JP2008027717A - プラズマ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で処理効率の高いプラズマ装置を提供すること。
【解決手段】プラズマ装置1は、第1の処理部2と第2の処理部3とを有し、第1の処理部2、第2の処理部3は、ワーク8をその被処理面81を外周側に配置させて巻き付けるドラム21、31と、電極24、34と、電極24、34とドラム21、31との間に電圧を印加する高周波電源71、72と、電極24、34とドラム21、31との間にガスを供給するガス供給手段51、52とを備え、電極24、34とドラム21、31との間に前記ガスを供給しつつ、電極24、34とドラム21、31との間に電圧を印加することにより前記ガスを活性化してプラズマを生成させ、該プラズマによりワーク8の被処理面81が処理されるよう構成されており、第1の処理部2により処理されたワーク8を第2の処理部3に供給し処理するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、長尺状のワークをプラズマにより処理するプラズマ装置に関するものである。
近年の電子部品の小薄化を支える配線板として、ポリイミドなどの高分子系基板上に、COF(Chip on Film)技術を用いて配線を形成したFPC(Flexible Printed Circuit)基板がある。
このようなFPC基板は、基板となるテープ状のフィルム(原反)に、導電材や絶縁材の成膜、エッチング、表面改質等の各種処理を施し、所定の寸法に分断されて製造される。
このうち、ドライエッチング等のプラズマを用いる処理は、ガス供給手段が接続されたチャンバと、チャンバ内に対向配置された1対の平板電極を有し、チャンバ内に所定のガスを供給しつつ1対の平板電極間に電圧を印加することによりプラズマを生成するプラズマ装置を用い、プラズマが生成された1対の平板電極間を、テープを直線上に走行させ、このテープの被処理面81を、順次、プラズマによって処理することにより行われる(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、このようなプラズマ装置によって比較的処理レートの小さいプラズマ処理を行う場合、十分な処理を行うためには、ワークがプラズマに曝される時間(処理時間)を長くすることが必要である。処理時間を稼ぐ方法としては、(1)1対の平板電極間を走行するテープの走行速度を遅くする、(2)平板電極のテープの走行方向での幅を長くする方法等が用いられる。
しかし、(1)テープの走行速度を遅くする方法では、テープに対するプラズマ処理が終了するまでに費やされる装置の稼動時間が長くなることから、ガスの消費量が多くなり、コスト高を招くという不都合が生じる。
また、(2)平板電極の幅を長くする方法では、処理領域が大きくなるものの、プラズマ装置が大型化してしまい、大きな設置スペースを要するものとなるという問題がある。
特開平6−265864号公報
本発明の目的は、小型で処理効率の高いプラズマ装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のプラズマ装置は、長尺状のワークをその長手方向に走行させつつ、前記ワークの被処理面をプラズマにより処理するプラズマ装置であって、
前記ワークの被処理面を処理するための第1の処理部および第2の処理部を有し、
前記第1の処理部および前記第2の処理部は、それぞれ、
前記ワークの前記被処理面を外周側に配置させて前記ワークを巻き付けるドラムと、
前記ドラムの外周面と対向して設けられた電極と、
前記電極と前記ドラムとの間に電圧を印加する電源と、
前記電極と前記ドラムとの間にガスを供給するガス供給手段とを備え、
前記電極と前記ドラムとの間に前記処理ガスを供給しつつ、前記電極と前記ドラムとの間に電圧を印加することにより、前記処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、該プラズマにより前記ドラムに巻き付けられたワークの被処理面が処理されるよう構成されており、
前記第1の処理部により処理された前記ワークを前記第2の処理部に供給し処理するように構成されていることを特徴とする。
これにより、複数のプラズマ処理を連続的にかつ、円滑に行うことができるプラズマ装置を提供することができる。さらに、プラズマ装置の小型化、省コスト化を図ることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記ワークは、第1の処理部の前記ドラムおよび前記第2の処理部の前記ドラムに、螺旋状に巻きつけられていることが好ましい。
これにより、電極とドラムとの間に存在するワークの長さが大きくなり、小型の装置で長さの長いワークを一度にプラズマ処理することができる。また、ワークがドラムに巻きつけられて走行するので、プラズマ処理の時間が長くなり、プラズマ処理レートが小さいワークの場合であっても、短時間に所望のレートでプラズマ処理をすることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部は、前記第2の処理部の近傍に設けられていることが好ましい。
これにより、プラズマ装置の小型化を図ることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部の前記ドラムの回転軸は、前記第2の処理部の前記ドラムの回転軸とほぼ平行であることが好ましい。
これにより、プラズマ装置の小型化を図ることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部の前記ドラムと前記第2の処理部の前記ドラムとは、各前記ドラムの回転軸に直角な方向に沿って並設していることが好ましい。
これにより、プラズマ装置のさらなる小型化を図ることができる。また、前記第1の処理部の前記ドラムについて、該ドラムの回転軸方向の両端側に、前記ガス供給手段を設ける空間を確保することができる。これにより、前記ガス供給手段からのガスを前記第1の処理部の前記ドラムの一端から他端に向けて流通させることができる。
これと同様に、前記第2の処理部の前記ドラムについて、該ドラムの回転軸方向の両端側に、前記ガス供給手段を設ける空間を確保することができる。これにより、前記ガス供給手段からのガスを前記第2の処理部の前記ドラムの一端から他端に向けて流通させることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部の前記ドラムの回転軸方向での前記ワークの移動方向は、前記第2の処理部にかかる前記ドラムの回転軸方向での前記ワークの移動方向と反対方向であることが好ましい。
これにより、前記第1の処理部の前記ドラムの一端部から排出された前記ワークが、前記第2の処理部の前記ドラムの前記一端部と対応する端部へ供給されることとなり、前記第1の処理部で処理された前記ワークを円滑に(例えば、複雑な経路を経ることなく)前記第2の処理部へ供給することができる。
本発明のプラズマ装置では、前記電極は、前記ドラムの周方向に沿って設けられていることが好ましい。
これにより、プラズマが発生する領域が大きくなり、小型の装置で長さの長いワークを一度にプラズマ処理することができる。その結果、ガス消費量を一層抑えることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部および前記第2の処理部のそれぞれについて、前記ドラムを収容し、該ドラムの一端側に設けられたガス導入口と、前記ドラムの他端側に設けられたガス排出口とを備えるチャンバを有することが好ましい。
これにより、ガスを効率的に電極とドラム間に供給することができ、ガス消費量を低減することができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部のチャンバおよび前記第2の処理部のチャンバは、それぞれ、前記ワークが該チャンバ内に導入されるワーク導入口と、前記ワークが該チャンバ内から排出されるワーク排出口とを有し、
前記第1の処理部のチャンバの前記ワーク排出口と、前記第2の処理部のチャンバの前記ワーク導入口とが対向するように設けられていることが好ましい。
これにより、前記第1の処理部で処理された前記ワークを前記第2の処理部へより円滑に供給することができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部のチャンバと前記第2の処理部のチャンバとには、同種の前記ガスが供給されることが好ましい。
これにより、プラズマ装置の小型化を図ることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部のチャンバと前記第2の処理部のチャンバとには、異種の前記ガスが供給されることが好ましい。
これにより、異なるプラズマ処理を連続的に、かつ、円滑に行うことができる。
本発明のプラズマ装置では、前記ワークを前記第1の処理部のチャンバへ送り出すワーク送出手段と、
前記ワーク送出手段から送り出され、前記第2の処理部の前記ドラムに巻き付けられた前記ワークを巻取るワーク巻取手段とを備えることが好ましい。
これにより、より長いワークのプラズマ処理を簡便に行うことができ、従来よりもガスの消費量を飛躍的に抑えることができる。また、ドラムに巻き付いたワークを巻き取ることにより、ドラムの回転とともにワークが走行するので、プラズマ処理の時間が長くなり、プラズマ処理レートが小さいワークの場合であっても、短時間に所望のレートでプラズマ処理をすることができる。
本発明のプラズマ装置では、前記第1の処理部から排出される前記ワークの排出速度と、前記第1の処理部から排出された前記ワークを前記第2の処理部へ供給する供給速度との速度差を緩和する緩和手段を有することが好ましい。
これにより、前記第1の処理部の処理時間および前記第2の処理部の処理時間をそれぞれ所望の処理時間に設定することができる。
以下、本発明のプラズマ装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
(1)プラズマ装置
図1は、本発明のプラズマ装置の実施形態を示す模式図、図2は、図1に示すプラズマ装置の部分拡大図、図3は、図1中のA―A線断面図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、各部の構成について、図を用いて詳細に説明する。
各図に示すプラズマ装置1は、プラズマを発生(生成)し、そのプラズマにより、被処理物である長尺状のワーク(例えばテープ状のフィルム等)8の被処理面(表面)81を処理する装置である。
このプラズマ装置1は、図1に示すように、第1の処理部2と、第2の処理部3と、長尺状のワーク8を第1の処理部2へ送り出すワーク送出リール(ワーク送出手段)41と、第2の処理部3で処理されたワーク8を巻取るワーク巻取リール(ワーク巻取手段)42とを有している。なお、本実施形態では、第1の処理部2と第2の処理部3とは、同様の構成となっている。
第1の処理部2は、ワーク送出リール41から送り出されたワーク8が巻き付けられるドラム21と、ドラム21が収容され、その内部にプラズマ生成領域(プラズマ処理空間ともいう)221を形成するチャンバ22と、チャンバ22の外周面に、誘電体部材23を介して固定された電極24と、電極24とドラム21の間に電圧(高周波電圧)を印加するための高周波電源71とを有している。
さらに、第1の処理部2には、チャンバ22内に所定のガスを供給するガス供給手段51と、チャンバ22内のガスを排出するガス排出手段61とが備えられており、前記ガスが、チャンバ22内を図1中の矢印方向へ流れるように構成されている。なお、ガス供給手段51およびガス排出手段61については、後に詳述する。
第2の処理部3は、第1の処理部2と同様に、第1の処理部2で処理されたワーク8が巻き付けられるドラム31と、ドラム31が収容され、その内部にプラズマ生成領域(プラズマ処理空間ともいう)321を形成するチャンバ32と、チャンバ32の外周面に、誘電体部材33を介して固定された電極34と、電極34とドラム31の間に電圧(高周波電圧)を印加するための高周波電源72とを有している。
さらに、第2の処理部3には、チャンバ32内に所定のガスを供給するガス供給手段52と、チャンバ32内のガスを排出するガス排出手段62とが備えられており、前記ガスが、チャンバ32内を図1中の矢印方向へ流れるように構成されている。
第1の処理部2と第2の処理部3とを有するプラズマ装置1によるワーク8の被処理面81の処理は、まず、第1の処理部2にて、ドラム21に巻き付けられたワーク8をドラム21毎回転し、ドラム21の外周面に沿って長手方向(回転軸X1方向)に走行させつつ行い、次に、第2の処理部3にて、ドラム31に巻き付けられたワーク8をドラム31毎回転し、ドラム31の外周面に沿って長手方向(回転軸X2方向)に走行させつつ行う。
すなわち、プラズマ装置1は、第1の処理部2により処理されたワーク8を第2の処理部3に供給し処理するように構成されている。
以下、第1の処理部2、第2の処理部3の具体的構成を詳細に説明する。ただし、第2の処理部3の構成は、第1の処理部2の構成と同様であるため、第1の処理部2について代表的に説明し、第2の処理部3については、その説明を省略する。
第1の処理部2は、ドラム21を収容するチャンバ22を有している。このようなチャンバ22は、内部にプラズマ処理空間221を形成している。また、チャンバ22の外周面には、誘電体部材23を介して電極24が設けられている。このように、誘電体部材23を介すことにより、効率的に放電を発生させることができる。
チャンバ22は、中央部が略円筒状の形状であり、上端部(図1にて上側の端部)および下端部(図1にて下側の端部)がそれぞれ端に向かって縮径した形状となっている。
前記上端部には、所定のガスをチャンバ22内へ導入するガス導入口222が形成され、前記下端部には、チャンバ22内に導入されたガスを排出するガス排出口223が形成されている。言い換えすれば、ドラム21の一端側(図1にて上側)にガス導入口222が形成され、ドラム21の他端側(図1にて下側)にガス排出口223が形成されている。ガス導入口222には、ガス供給手段51の供給管514が接続され、ガス排出口223には、ガス排出手段61の排出管614が接続されている。これにより、チャンバ22内、すなわち、ドラム21と電極24との間の空間(プラズマ処理空間221)に所定のガスを効率的に供給することができる。また、このガスは、ガス導入口222からガス排出口223へ向けて流通することとなる。すなわち、チャンバ22内を図1中の矢印方向へ流通することとなる。
さらに、チャンバ22のガス流通方向下流側(図1にて下側)の側面には、ワーク8をチャンバ22内へ導入させるワーク導入口224が形成されており、チャンバ22のガス流通方向上流側(図1にて上側)の側面には、ワーク8をチャンバ22外へ排出させるワーク排出口225が形成されている。ワーク8は、ワーク導入口224からチャンバ22内へ導入され、チャンバ22内にてドラム21に巻き付けられながら走行し、ワーク排出口225からチャンバ22外へ排出される。
ここで、ワーク8の移動方向は、チャンバ22内を流れるガスの流通方向(図1中の矢印方向)と反対である(カウンタフロー)。このようなガスには、副次的に生成される不要な反応性生物が含まれているため、ワーク8の移動方向をガスの流通方向と反対方向とすることにより、当該反応生成物とワーク8との接触時間を短くすることができる。これにより、ワーク8が、反応生成物により不要な影響を受けることを抑制することができる。
なお、前述した「反応生成物」とは、プラズマ処理空間221で、プラズマが発生することにより副次的に生成する不要な化合物である。このような化合物には、例えば、SiOのエッチングにCF系ガスを用いる場合におけるSiF等が挙げられる。このような反応生成物は、ガス排出手段61によりチャンバ22外へ排出される。
また、ワーク導入口224およびワーク排出口225は、ガスの漏れる量をできるだけ少なくするために、ワーク8が導入、排出される最小限の大きさに設定されている。かかる大きさは、ワーク8の大きさによって適宜設定すればよい。
以上説明したチャンバ22の高さは、ドラム21の高さ(回転軸方向での幅)によって異なるが、200mm〜1100mmであるのが好ましく、350mm〜600mmであるのがより好ましい。これにより、ドラム21を収容することができ、プラズマ装置1のサイズを適切なサイズにすることができる。また、ドラム21を収容してプラズマ処理空間221を密閉系にすることができ、ガスの消費量を抑制することができる。
また、チャンバ22の直径は、ドラム21の直径によってことなるが、60mm〜310mmであるのが好ましく、110mm〜210mmであるのがより好ましい。これにより、ドラム21を収容することができ、プラズマ装置1のサイズを適切なサイズにすることができる。また、ドラム21を収容してプラズマ処理空間221を密閉系にすることができ、ガスの消費量を抑制することができる。
チャンバ22の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の各種プラスチック、石英ガラス等の各種ガラス、無機酸化物等が挙げられる。前記無機酸化物としては、例えば、Al、SiO、ZrO、TiO等の金属酸化物、BaTiO(チタン酸バリウム)等の複合酸化物等の誘電体材料等が挙げられる。
また、チャンバ22の構成材料として、それぞれ、25℃における比誘電率が10以上である誘電体材料を用いれば、低電圧で高密度のプラズマを発生させることができ、ワーク8の処理効率がより向上するという利点があり好ましい。
また、使用可能な誘電体材料の比誘電率の上限は、特に限定されないが、比誘電率が10〜100程度のものが好ましい。比誘電率が10以上である誘電体材料には、ZrO、TiO等の金属酸化物、BaTiO等の複合酸化物が該当する。
チャンバ22の内壁(内部)には、図2に示すように、その上端側および下端側に、それぞれ、チャンバ22内の空間を上下に仕切る壁部25および壁部26が設けられている。壁部25と壁部26との間の空間は、ドラム21を収容する空間を形成する。壁部25および壁部26には、それぞれドラム21を回転可能に支持する軸受け252および軸受け262が設けられている。これにより、ドラム21を安定的に回転させることができる。
また、壁部25の外周部近傍(ドラム21の外周に対応する位置の近傍)には、ガス流通口251が複数形成されている。このようなガス流通口251は、壁部25上で均一に配置されていることが好ましい。ガス流通口251は、プラズマ処理空間221と対面して形成されているため、ガス供給手段51から供給されたガスがプラズマ処理空間221へ均一に流通する。このため、プラズマ処理空間221では、プラズマが均一に発生し、ワーク8の被処理面81を均一にプラズマ処理することができる。
壁部26についても、壁部25と同様に、ガス流通口261が形成されており、同様の効果を有する。
このようなチャンバ22において、ガス供給手段51から供給されたガスは、ガス導入口222からチャンバ22内へ導入され、ガス流通口251を通過してプラズマ処理空間221に供給される。そして、プラズマ処理空間221で生成されたプラズマ、反応生成物、未活性ガスは、ガス流通口261を通過して、ガス排出口223からチャンバ22外へ排出される。このように、ガス導入口222から導入されたガスをガス流通口251からプラズマ処理空間221へ供給することにより、無用な領域(例えば、ドラム21の内部空間など)にガスが流通することを抑制することができる。その結果、ガスの消費量を抑えることができ、省コスト化を図ることができる。
壁部25および壁部26の構成材料としては、特に限定されないが、壁部25と壁部26は同じ材料であることが好ましい。
本実施形態では、壁部26がドラム21とアースを導通するリードとして機能する。したがって、壁部26の構成材料には導電性が良好な材料が用いられる。導電材料としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銀等の金属単体、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等の各種合金、金属間化合物、各種炭素材料等が挙げられる。
チャンバ22に収容されているドラム21は、軸211、212を有している。そして、軸211が軸受け252に回転可能に支持され、軸212が軸受け262に回転可能に支持されている。
このようなドラム21は、ワーク8をその被処理面81を外周側にして巻きつける。すなわち、ワーク8の被処理面81をプラズマ処理空間221に接触させるように巻きつける。また、ドラム21は、その外周面が電極24と対向するように設けられている。本実施形態では、電極24と軸211、212(すなわち回転軸X1)とが直交するように設けられている。
ドラム21の外周面には、ワーク導入口224からチャンバ22内へ導入されたワーク8が、ドラム21に螺旋状(本実施形態では左回り)に巻き付けられる。ドラム21に巻き付けられたワーク8は、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42が回転駆動することによりドラム21の外周面に沿って螺旋状に走行する。
このように、ワーク8を螺旋状に巻き付けることで、装置全体を大型化することなく、電極24とドラム21との間に存在するワーク8の全長を長くすることができる。これにより、装置の小型化を図りつつ、従来よりも長さの長いワーク8をプラズマ処理することができる。
なお、ドラム21は、ワーク8の被処理面81とは反対側の面と、ドラム21の外周面との摩擦力によって、ワーク8の走行に追従して回転する。
ドラム21には、その外周面に、巻き付けられたワーク8のドラム21に対する位置を定める位置決め手段213が設けられているのが好ましい。これにより、ドラム21におけるワーク8の位置が定まり、巻き付けられたワーク8が走行中にズレることによるワーク8同士の重なりを防止することができる。その結果、ワーク8を、均一にプラズマ処理することができる。また、ドラム21におけるワーク8の位置が容易に定まるため、ワーク8の巻き付けも容易にすることができる。
位置決め手段213としては、ワーク8を巻き付けるラインに対応して形成された溝や凸条(ただし、溝や凸条のエッジ部分には面取り加工を施すなど、電界の集中を緩和する手立てを講ずるか、ワークとほぼ同じ高さの溝にすることにより、段差を緩和した構造とする。)、ワーク8を巻き付けるラインに沿って形成されたピンやボス等が挙げられる。このうち、溝または凸条が好ましい。
位置決め手段213を溝とすることにより、ワーク8がドラム21の溝内に収まり、ワーク8がズレることによるワーク8同士の重なりを確実に防止することができる。
また、位置決め手段213を凸条とすることにより、ワーク8がドラム21の凸条に位置決めされ、ワーク8がズレることによるワーク8同士の重なりを確実に防止することができる。
ドラム21に巻き付けられたワーク8において、隣り合うワーク8同士の間隔は、ワーク8の幅によって異なるが、ワーク幅+5mm〜ワーク幅×2倍の距離であるのが好ましく、ワーク幅+10mm〜ワーク幅×1.5倍であるのがより好ましい。ワーク8同士の間隔が前記範囲であれば、ワーク8がドラム21に沿って走行する際に、隣り合うワーク8同士が重なり合う可能性が低く、ワーク8に対するプラズマ処理が均一行われる。また、プラズマ処理空間221におけるワーク8の巻回長さが長くなり、プラズマによる処理時間を十分に長くすることができる。
また、ドラム21に螺旋状に巻き付けられたワーク8の螺旋巻き数は、ワーク8の幅にもよるが、2巻き〜5巻きであることが好ましい。これにより、後述するプラズマ生成領域221におけるワーク8の存在長さをある程度大きくとることができ、プラズマ処理の処理効率の向上に寄与することができる。
また、プラズマ処理空間221に同時に位置しているワーク8の総長さは、処理レートによって変わるが、0.3〜3mであることが好ましく、0.5〜1mであることがより好ましい。これにより、プラズマ処理空間221におけるワーク8の存在長さを大きくとることができ、プラズマ処理の処理効率の向上に寄与することができる。
このようなドラム21は、ワーク8が螺旋状に巻きつけられているため、ワーク8のプラズマ処理時間を長く設定することができる。また、ワーク8が螺旋状に巻きつけられているため、プラズマ処理空間221に存在するワーク8の長さが大きくなり、長さの長いワーク8のプラズマ処理を一度に行うことができる。その結果、ガス消費量の低減にも資することができる。
ドラム21の直径は、ワーク8の許容屈曲率によっても異なるが、φ50mm〜φ300mm程度であるのが好ましく、φ100mm〜φ200mmであるのがより好ましい。かかる範囲内であれば、プラズマ装置1を適切なサイズにすることができ、省スペース化を実現することができる。また、適切なサイズになるため、容易にワーク8をドラム21に沿って巻き付けることができる。
ドラム21の高さ(回転軸X1方向での幅)は、150mm〜1,000mmであるのが好ましく、300mm〜500mmであるのがより好ましい。これにより、プラズマ装置1を適切なサイズにすることができ、省スペース化を実現することができる。また、ドラム21にワーク8を巻き付けた場合に、プラズマ処理空間221におけるワーク8の巻回長さが長くなり、プラズマによる処理時間を長くすることができる。
また、ドラム21の高さは、ワーク8の幅(ワークの短手方向の長さ)に対して3〜30倍であるのが好ましく、4〜12倍であるのがより好ましい。かかる範囲内であれば、ワーク8を後述する適正な間隔で巻き付けた場合に、プラズマ処理空間221におけるワーク8の巻回長さが十分得られ、プラズマによる処理時間を十分に長くすることが可能となる。したがって、プラズマ処理レートが小さいワーク8にも対応することができる。また、プラズマ装置1の設置スペースを低減することもできる。
チャンバ22の内側面とドラム21の外周面との距離は、特に限定されないが、0.1mm〜1mmであるのが好ましく、0.3mm〜0.5mmであるのがより好ましい。これにより、チャンバ22のプラズマ処理空間221に供給されるガスに対して、十分な電界を付与することができ、プラズマを確実に発生させることができる。
以上説明のようなドラム21は、本実施形態では、電極24との間で電圧が印加される対向電極として機能する。このようにドラム21に対向電極の機能を兼ねさせることにより、別途電極を設けることが不要となるので、装置の構成を簡易化することができる。
ドラム21の構成材料としては、特に限定されない。例えば、銅、アルミニウム、鉄、銀等の金属単体、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等の各種合金、金属間化合物、各種炭素材料等の導電性材料等が挙げられる。また、金属面上への放電がアーク状態とならないよう、誘電体、例えば、アルマイト処理、アルミナ溶射による被覆等を施しても良い。
電極24は、チャンバ22の外壁に設けられている。また、電極24は、ドラム21の周方向に沿ってドラム21と対向して設けられている。これにより、プラズマが発生する領域を大きくすることができる。さらに、本実施形態では、電極24は、ドラム21の全周にわたって配設されている。これにより、プラズマが発生する領域をさらに大きくすることができ、長さの長い(長尺上の)ワーク8を一度にプラズマ処理することができる。その結果、処理ガスの消費量を抑えることができ、省コスト化を図ることができる。また、プラズマ装置1の小型化を図ることができる。
このような電極24が、対向するドラム21とともに電源71により電圧を印加されることにより、プラズマ処理空間221でプラズマが発生する。
さらに、電極24は、誘電体部材23を介してチャンバ22の外壁に設けられている。言い換えすれば、電極24とドラム21との間に誘電体部材23が設けられている。誘電体部材23は、その横断面形状が凹状をなしており、その凹部を埋めるように電極24が配設されている。このように、誘電体部材23を設けることにより、電極24とドラム21との間で、確実かつ効率的に放電を生じさせ、プラズマを発生させることができる。
また、誘電体部材23の前記凹部における厚さとチャンバ22の厚さの合計は、0.01〜4mm程度であるのが好ましく、1〜2mm程度であるのがより好ましい。これにより、インピーダンスの増大を防止することができ、比較的低電圧で所望の放電を生じさせ、プラズマを確実に発生させることができる。また、電圧印加時における絶縁破壊を防止して、アーク放電が生じるのを好適に防止することもできる。
誘電体部材23の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、チャンバ22の構成材料と同様の誘電体材料等が挙げられる。
なお、プラズマ装置1では、電極24の高さ(ドラム21の回転軸X1と平行な方向での幅)によって、プラズマ処理空間221の大きさが制御される。
電極24の前記凹部への固定の方法としては、例えば、嵌合、融着、接着剤による接着等の方法が挙げられる。
電極24の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、壁部26の構成材料と同様の導電性材料等が挙げられる。
電極24の大きさは、ドラム21の大きさやドラム21へのワーク巻き数によって異なるが、例えば、その高さは、ワーク幅+5mm〜ワーク幅×12倍であることが好ましく、ワーク幅+5mm〜ワーク幅×8倍であることがより好ましい。これにより、広範囲でプラズマを発生させることができ、長さの長いワーク8を一度にプラズマ処理することができる。
また、電極24がドラム21の全周にわたって配置されている場合、すなわち、円筒状の構造である場合、電極24の直径は、ドラム21の大きさによって異なるが、60mm〜310mmであることが好ましく、110mm〜210mmであることがより好ましい。これにより、ドラム21とその外周面で対向して電極24を配置させることができ、確実にプラズマを発生させることができる。
電極24は、導線(ケーブルや金属板)を介して、高周波電源(電源部)71に接続されている。一方、ドラム21には、壁部26および導線(ケーブルや金属板)を介して、高周波電源71に接続されている。これにより、電極24とドラム21の間に電圧(高周波電圧)を印加する通電手段を構成することができる。これにより、簡易な構成で、チャンバ22のプラズマ処理空間221内に放電を生じさせることができる。
なお、壁部26とチャンバ22との接続部分には、ドラム21に電気が流れ、かつ、チャンバ22に電気が流れないように、チャンバ22を絶縁する図示しない絶縁部が形成されている。
ワーク8にプラズマによる処理を施すときは、高周波電源71が作動し、電極24とドラム21の間に電圧が印加される。このとき、チャンバ22の側壁の電極24に対応する部分とドラム21との間には、電界が発生し、ガス供給手段51よりガスが供給されると、放電が生じて、プラズマ処理空間221にプラズマが発生(生成)する。
電源71は、電極24とドラム21との間に電圧を印加する。かかる電源71は、典型的には高周波電源であるが、低周波電源も用いることができる。
電源71の周波数は、特に限定されないが、10〜50MHz程度であるのが好ましく、10〜40MHz程度であるのがより好ましい。
なお、図示されていないが、回路は、供給する電力に対する整合回路(インピーダンスマッチング回路)や、高周波電源71の周波数を変える周波数調整手段(回路)や、高周波電源71の印加電圧の最大値(振幅)を変える電圧調整手段(回路)を有していてもよい。これにより、必要に応じ、ワーク8に対するプラズマ処理の処理条件を調整することができる。
チャンバ22内(プラズマ処理空間221)にガスを供給するためのガス供給手段51は、電極24とドラム21との間にガスを供給する。このガス供給手段51は、所定のガスを充填し供給するガスボンベ(ガス供給源)511と、ガスボンベ511から供給されるガスの流量を調整するレギュレータ(流量調整手段)512と、その上流端側がガスボンベ511に接続され、下流端側がチャンバ22のガス導入口222に接続された供給管514とを有している。レギュレータ512は、ガスボンベ511より下流端側に配置されている。また、供給管514のレギュレータ512より下流端側には、供給管514内の流路を開閉するバルブ(流路開閉手段)513が設けられている。
ガスボンベ511から所定のガスが送出され、レギュレータ512で流量を調節された後、バルブ513が開いた状態で、供給管514内をガスが通って、供給管514の下流端側に流れ、ガス導入口222を通過してチャンバ22内に導入(供給)される。
プラズマ処理に用いるガス(処理ガス)には、処理目的により種々のガスを用いることができる。以下、目的別に用いられるガスの例を挙げる。
(a)ワーク8の被処理面81を加熱することを目的とする場合、例えば、N、O等が用いられる。
(b)ワーク8の被処理面81を撥水(撥液)化することを目的とする場合、例えば、CF、C、C、CClF、SF等のフッ素原子含有化合物ガスが用いられる。
(c)ワーク8の被処理面81を親水(親液)化することを目的とする場合、例えば、O、HO、空気等の酸素原子含有化合物、N、NH等の窒素原子含有化合物、SO、SO等の硫黄原子含有化合物が用いられる。これにより、ワーク8の被処理面81にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸等の親水基を有する重合性モノマーを用いて親水性重合膜を堆積(形成)することもできる。
(d)ワーク8の被処理面81に電気的、光学的機能を付加することを目的とする場合、SiO、TiO、SnO等の金属酸化物薄膜をワーク8の被処理面81に形成するために、Si、Ti、Sn等の金属の金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコキシド(有機金属化合物)等が用いられる。
(e)エッチング処理やダイシング処理を目的とする場合、例えばハロゲン系ガスが用いられ、レジスト処理や有機物汚染の除去を目的とする場合は、例えば酸素系ガスが用いられる。
なお、プラズマ処理空間221に供給するガスとしては、一般に、処理ガスとキャリアガス(例えば、He等)とからなる混合ガス(以下、単に「ガス」とも言う)が用いられる。「キャリアガス」とは、放電開始と放電維持のために導入するガスのことを言う。
この場合、ガスボンベ511内に、混合ガス(処理ガス+キャリアガス)を充填して用いてもよいし、処理ガスとキャリアガスとがそれぞれ別のガスボンベに充填され、供給管514の途中でこれらが所定の混合比で混合されるような構成であってもよい。
なお、キャリアガスとしては、He(ヘリウム)の他、例えば、Ne、Ar、Xe等の希ガスを用いることができ、これらは、単独でも2種以上を混合した形態でも用いることができる。
なお、混合ガス中における処理ガスの占める割合(混合比)は、処理の目的によっても若干異なり、特に限定されないが、例えば、混合ガス中の処理ガスの割合が0.01〜10%であるのが好ましく、1〜10%であるのがより好ましい。
供給するガスの流量は、ガスの種類、処理の目的、処理の程度等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、30SCCM〜50SLM程度であるのが好ましい。
ガス供給手段51から所定のガスがチャンバ22のプラズマ処理空間221に供給され、電極24とドラム21の間に、所定の電圧、例えば、高周波電圧(電圧)が印加されると、チャンバ22の側壁の電極24に対応する部分と、ドラム21との間に電界が発生して、放電、すなわち、グロー放電(バリア放電)が生じる。この放電により供給されたガスが活性化(電離、イオン化、励起等)され、プラズマが発生する。この発生したプラズマによって、ドラム21に巻き付けられたワーク8の被処理面81がプラズマ処理される。
一方、ガス排出手段61は、プラズマ処理空間221で生成したプラズマ、反応生成物および未活性のガスをガス排出口223から排出するよう構成されている。
このガス排出手段61は、ポンプ611と、ガス回収タンク613と、一端側がポンプ611に接続され、他端側がチャンバ22のガス排出口223に接続された排出管614とを有している。また、排出管614の途中には、排出管614内の流路を開閉するバルブ(流路開閉手段)612が設けられている。
ポンプ611を動作状態として、バルブ612を開くと、チャンバ22内のガスが、ガス排出口223を通過して、ガス排出管614に流出し、ポンプ611の下流域側に設けられたガス回収タンク613に回収される。そして、このガス回収タンク613に回収されたガスは、所定の処理を施すことにより、再びプラズマ処理に用いるガスとして使用することができる。
また、ポンプ611を動作すると、チャンバ22、ガス排出口223、排出管614内などが一時的に減圧される。そして、チャンバ22内に導入されたガスはガス排出口223を通ってガス回収タンク613に回収される。これにより、チャンバ22のワーク導入口224やワーク排出口225からガスが漏れることを抑制し、ガス導入口222から供給されたガスをより多くガス排出口223から排出させることができる。
以上、第1の処理部2について詳述したが、プラズマ装置1は、さらに、第1の処理部2と同一構成である第2の処理部3を有している(前述したように、説明は省略)。
さらに、プラズマ装置1は、前述したように、第1の処理部2のワーク導入口224近傍に設けられた、ワーク8をドラム21に送り出すワーク送出リール41と、第2の処理部3のワーク排出口325付近に設けられた、第2の処理部3で処理されたワーク8を巻き取るワーク巻取リール42とを有している。
ワーク送出リール41から送り出されたワーク8は、ワーク導入口224からチャンバ22内へ導入され、第1の処理部2によって処理された後、ワーク排出口225から排出される。さらに、この処理されたワーク8は、ワーク導入口324からチャンバ32内へ導入され、第2の処理部3によって処理された後、ワーク排出口325から排出され、ワーク巻取リール42により巻き取られる。ワーク送出手段41、ワーク巻取手段42として、このようなリールを用いることにより、長さの長い(長尺状の)ワーク8を簡便に供給・回収(巻取り)することができる。言い換えすると、ワーク8を第1の処理部2へ円滑に供給し、かつ、プラズマ処理されたワーク8を第2の処理部3から円滑に回収することができる。また、ワーク8がロールに巻きつけられているため、例えば、一時的、長期的な保管(省スペース性、ワーク8の絡み合い防止など)などにも便利である。
このようなワーク送出リール41は、回転ロール411と、回転ロール411の両端部にそれぞれ取り付けられたフランジ部412とを有している。これと同様に、ワーク巻取リール42は、回転ロール421と、回転ロール421の両端部にそれぞれ取り付けられたフランジ部422とを有している。
回転ロール411、421およびフランジ部412、422の構成材料としては、特に限定されないが、テフロン(「テフロン」は登録商標)等が挙げられる。
ここで、本実施形態では、回転ロール411は、その回転軸がドラム21の回転軸X1と直交するように設けられている。この場合、ワーク送出リール41から送り出されたワーク8は、チャンバ22のワーク導入口224に導入するために90度回転される。これにより、チャンバ22に導入された後、効率的にドラム21に巻き付けることができる。
一方、チャンバ32から排出されたワーク8は、ワーク巻取リール42に巻き取られるために90度回転される。これにより、プラズマ処理面(被処理面81)を傷つけることなくワーク8を巻取リール41に巻き付けることができる。
ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42の回転ロール411、421には、それぞれ、図示しない回転駆動機構が設置されている。そして、これら回転ロール411、421は、この回転駆動機構の動作により回転する。
この機構は、例えば、モータ変速機を備えている。モータ変速機を備えることにより、モータの回転数などを制御することができる。すなわち、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42の回転速度を制御することができる。このようにワーク送出リール41およびワーク巻取リール42の回転(回転速度)を制御することによって、処理レートの大きいワーク8、処理レートの小さいワーク8など、種々のワーク8を効率よくプラズマ処理することができる。
ここで、回転駆動機構は、回転速度(ワークの走行速度)を調節可能とするものが好ましい。これにより、ワーク8の処理の程度を調整したり、全体処理時間(単位時間当たりの処理量)を調整したりすることができ、ワーク8に対する処理の最適化を図ることができる。例えば、他の条件を固定し、ワーク8の走行速度を遅くした場合には、ワーク8の処理の程度(密度)を大とすること、すなわち、より緻密な処理を行うことができる。
以上、プラズマ装置1の全体の構造を説明した。次に、第1の処理部2と第2の処理部3との好適な位置関係について説明する。本実施形態では、ドラム21の螺旋方向とドラム31の螺旋方向とが反対方向となるように構成され、また、ドラム21の回転方向とドラム31の回転方向とが同方向となるように構成されている。
第1の処理部2は、図1に示すように、第2の処理部3の近傍に設けられている。これにより、プラズマ装置1の小型化を図ることができる。
また、ドラム21の回転軸X1が、ドラム31の回転軸X2と平行となるように、第1の処理部2と第2の処理部3とが配設されている。これにより、プラズマ装置1の小型化を図ることができる。
さらに、ドラム21の回転軸X1とドラム31の回転軸X2とが平行で、かつ、ドラム21の回転軸X1に直角な方向でドラム21とドラム31とを並設するように第1の処理部2と第2の処理部3とが配設されている。これにより、プラズマ装置1をさらに小型化することができる。また、ドラム21とドラム31とを並設することにより、ドラム21(チャンバ22)について、長手方向(回転軸X1方向)の両端側に、ガス供給手段51およびガス排出手段61を設ける空間を確保することができる。これにより、ガス供給手段51からのガスをドラム21の一端から他端(本実施形態では上端から下端)に向けて流通させることができる。ドラム31(チャンバ32)についても同様に、ガス供給手段52からのガスをドラム31の一端から他端(本実施形態では下端から上端)に向けて流通させることができる。その結果、プラズマ処理空間221、321に均一にプラズマを発生させることができ、プラズマ装置1は、ワーク8を効率的にプラズマ処理することができる。
さらに、このような配置のもとで、ワーク8の移動方向が、第1の処理部2と第2の処理部3とで反対方向となるように構成されている。具体的には、第1の処理部2では、ワーク8がドラム21の長手方向(回転軸X1方向)において下端から上端へ向けて移動しているのに対し、第2の処理部3では、ワーク8がドラム31の長手方向(回転軸X2方向)において上端から下端へ向けて移動している。このような構成にすることにより、ドラム21の上端部から排出されたワーク8が、ドラム31の上端部へ供給されることとなり、第1の処理部2で処理されたワーク8を円滑に(例えば、複雑な経路を経ることなく)第2の処理部3へ供給することができる。また、ワーク8が、ドラム21から排出され、ドラム31へ供給される際に捩れたりすることを防止することができ、その結果、ワーク8の損傷を防止することができる。
また、チャンバ22に設けられたワーク排出口225とチャンバ32に設けられたワーク導入口324とが対向するように設けられている。これにより、第1の処理部2で処理されたワーク8を第2の処理部3へより円滑に供給することができる。
また、例えば、ローラなどのガイド部材43をワーク排出口225とワーク導入口324の間(ワーク8の走行経路上)に設けてもよい。この場合には、ガイド部材(ローラ)43は、ワーク8の裏面(被処理面81とは反対の面)に接触するように設けることが好ましい。これにより、ワーク8の被処理面81の損傷を防止しつつ、より円滑にワーク8をワーク導入口324へ導入することができる。
(2)プラズマ装置の動作方法
次に、プラズマ装置1の作用(動作)を説明する。
ワーク送出リール41に巻き付けられたワーク8の被処理面81にプラズマによる処理を施す際は、まず、ワーク送出リール41から送り出したワーク8をワーク導入口224からチャンバ22内へ導入させ、ドラム21の外周面に螺旋状に巻き付けるとともに、ワーク排出口225からチャンバ22外へ排出させる。次に、排出させたワーク8をワーク導入口324からチャンバ32内へ導入させ、ドラム31の外周面に螺旋状に巻き付けるとともに、ワーク排出口325からチャンバ32外へ排出させ、その排出させたワーク8の端部をワーク巻取リール42に取り付ける。
そして、第1の処理部2にて、高周波電源71およびポンプ611を作動させるとともに、バルブ513、612を開き、レギュレータ512によりガスの流量を調整し、ガスボンベ511からガスを送り出す。
これにより、ガスボンベ511から送り出されたガスは、供給管514内を流れ、チャンバ22のガス導入口222から所定の流量でチャンバ22内へ供給される。そして、このガスはガス流通口251を通過して、プラズマ処理空間221、特にドラム21の外周面とチャンバ22の内壁面との間の空間に供給される。
一方、高周波電源71の作動により、電極24とドラム21の間に高周波電圧が印加され、チャンバ22の側壁の電極24に対応する部分とドラム21との間に電界が発生する。プラズマ処理空間221内に流入したガスは、放電によって活性化され、プラズマ処理空間221内にプラズマが発生する。
同様に、第2の処理部3にて、高周波電源72およびポンプ621を作動させるとともに、バルブ523、622を開き、レギュレータ522によりガスの流量を調整し、ガスボンベ521からガスを送り出す。
これにより、ガスボンベ521から送り出されたガスは、供給管524内を流れ、チャンバ32のガス導入口322から所定の流量でチャンバ32内へ供給される。そして、このガスはガス流通口351を通過して、プラズマ処理空間321、特にドラム31の外周面とチャンバ32の内壁面との間の空間に供給される。
一方、高周波電源72の作動により、電極34とドラム31の間に高周波電圧が印加され、チャンバ32の側壁の電極34に対応する部分とドラム31との間に電界が発生する。プラズマ処理空間321内に流入したガスは、放電によって活性化され、プラズマ処理空間321内にプラズマが発生する。
これと同時に、回転駆動機構を作動させて、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42を回転させる。これにより、まず、ワーク送出リール41に巻き付けられているワーク8が送り出され、チャンバ22のワーク導入口224を通過してプラズマ処理空間221内をドラム21の外周面に沿って螺旋状に走行する。そして、プラズマ処理空間221内で発生したプラズマ(活性化されたガス)が、ワーク8の被処理面81に接触し、その被処理面81に処理が施される。そして、処理されたワーク8は、ドラム21から離れてワーク排出口225からチャンバ22外へ排出される。
次に、チャンバ22から排出されたワーク8(すなわち、第1の処理部2での処理を終えたワーク8)が、チャンバ32のワーク導入口324を通過してプラズマ処理空間321内をドラム31の外周面に沿って螺旋状に走行する。そして、プラズマ処理空間321内で発生したプラズマ(活性化されたガス)が、ワーク8の被処理面81に接触し、その被処理面81に処理が施される。そして、処理されたワーク8は、ドラム31から離れてワーク排出口325からチャンバ32外へ排出され、ワーク巻取リール42に巻き取られる。
ここで、第1の処理部2のチャンバ22と第2の処理部3のチャンバ32とには、同種のガスが供給されてもよいし、異種のガスが供給されてもよい。
第1の処理部2のチャンバ22と第2の処理部3のチャンバ32とに、同種のガスが供給された場合には、第1の処理部2と第2の処理部3とで同一の処理を行うことができる。このように、同一の処理を第1の処理部2と第2の処理部3との2工程に分けて行うことにより、プラズマ装置1の小型化を図ることができる。また、チャンバ22およびチャンバ32の小型化を図ることで、例えば、プラズマ処理空間221を流通するガスの流通距離を短くすることができる(ガス導入口222からガス排出口223までの距離を短くすることができる)。これにより、チャンバ22およびチャンバ32内での反応生成物の発生を抑制することができ(すなわち、被処理面81が悪影響を受けることを抑制することができ)、より高精度にワーク8をプラズマ処理することができる。
第1の処理部2のチャンバ22と第2の処理部3のチャンバ32とに、異種のガスが供給された場合には、第1の処理部2と第2の処理部3とで異なる処理を行うことができる。すなわち、異なるプラズマ処理を連続的に、かつ、円滑に行うことができる。
このようなプラズマ装置1では、ワーク8のプラズマ処理時間は、ワーク8がプラズマ処理空間221、321を走行する走行時間に対応する。そして、この走行時間は、プラズマ処理空間221、321におけるワーク8の巻回長さ(ドラム21、31に巻き付けられる長さ)およびワーク8の走行速度によって決まる。このうち、プラズマ処理空間221、321におけるワーク8の巻回長さは、電極24、34の高さによって制御されるプラズマ処理空間221、321の大きさ(高さ)と、ドラム21、31へのワーク8の巻回数によって制御することができる。
ここで、本実施形態では、ドラム21およびドラム31は、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42の回転によるワーク8の走行に追従して回転している。そのため、ドラム21の回転速度とドラム31の回転速度とは、等しいこととなる。したがって、第1の処理部2の処理時間と第2の処理部3の処理時間とが異なるプラズマ処理を行いたい場合などには、プラズマ処理空間221におけるワーク8の巻回長さと、プラズマ処理空間321におけるワーク8の巻回長さとを異なる長さにすることにより、第1の処理部2の処理時間および第2の処理部3の処理時間をそれぞれ所望の処理時間とすることができる。
プラズマ処理空間221におけるワーク8の巻回長さと、プラズマ処理空間321におけるワーク8の巻回長さとを異なる長さとする方法としては、例えば、(1)ワーク8のドラム21とドラム31への巻きつけ回数を異なる回数にする、(2)ドラム21とドラム31の高さを異なる高さとする、(3)ドラム21とドラム31の径を異なる径にするなどの方法が挙げられる。
ここで、プラズマ処理の具体的な例を挙げて説明する。なお、説明の便宜上、第1の処理部2での処理を「第1の工程」とし、第2の処理部3での処理を「第2の工程」とする。
プラズマ装置1を用いて、例えば、ワーク8のエッチング処理を好適に行うことができる。このエッチング処理としては、被処理面81にレジストマスクが形成されたワーク8を準備し、第1の処理部2により前記レジストマスクの形状に対応してワーク8をエッチングし(第1の工程)、第2の処理部3により前記レジストマスクを除去する(第2の工程)処理が挙げられる。この場合に、チャンバ22に供給するガスとしては、前述したようにハロゲン系ガス(例えば、処理ガスCF+キャリアガスAr)が好適に用いられ、チャンバ32に供給するガスとしては、前述したように酸素系ガス(例えば、処理ガスO+キャリアガスAr)が好適に用いられる。このように、処理部を複数有することにより、異なる処理(第1の工程と第2の工程)を連続的に、かつ、円滑に行うことができる。
ここで、一般に、第1の工程(エッチング)の処理時間の方が、第2の工程(マスク除去)の処理時間よりも長いため、前述したような方法で、第1の工程の処理時間および第2の工程の処理時間をそれぞれ調整する(例えば、ワーク8のドラム21への巻きつけ回数をドラム31への巻きつけ回数の2倍にすれば、第1の工程の処理時間を第2の工程の処理時間の約2倍にすることができる)。
このように第1の工程の処理時間および第2の工程の処理時間をそれぞれ調整しつつ、第1の工程と第2の工程とによりワーク8を連続的に処理することで、高精度に、かつ、円滑に所望のプラズマ処理を行うことができる。
以上説明したプラズマ装置は、FPC製造工程、FPC使用デバイス製造工程、ICタグ製造工程等、FPCを用いたデバイス製造工程全般に好ましく用いられる。
なお、本実施形態では、第1の処理部2および第2の処理部3は、ともに、ワーク8の移動方向とガスの流通方向とが反対方向(カウンタフロー)となるよう構成されているが、これに限定されず、ワーク8の移動方向とガスの流通方向とが同方向(パラレルフロー)となるように構成されていてもよい。
プラズマ装置1では、ドラム21およびドラム31をそれぞれ本実施形態とは反対方向に回転させることで、パラレルフローとすることができる(すなわち、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42をそれぞれ本実施形態とは反対方向に回転させることで)。この場合には、ワーク送出リール41がワーク巻取手段42として機能し、ワーク巻取リール42がワーク送出手段41として機能することとなる。
このように、簡単かつ瞬時に、カウンタフローとパラレルフローとを切換えることができるため、プラズマ処理の種類によって、カウンタフローとパラレルフローのうちの適した方を選択することができる。このような観点から見ても、プラズマ装置1を用いることにより、高精度に、かつ、円滑にプラズマ処理を行うことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明のプラズマ装置の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明のプラズマ装置の第2実施形態を示す模式図である。なお、以下では、説明の便宜上、図4の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第2実施形態のプラズマ装置1Aについて、前述した第1実施形態のプラズマ装置1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のプラズマ装置1Aは、ストッカ9Aが設けられている以外は、第1実施形態のプラズマ装置1とほぼ同様である。
すなわち、本実施形態のプラズマ装置1Aは、第1の処理部2から排出されるワーク8の排出速度(以下、単に「排出速度」という)と、第1の処理部2から排出されたワーク8を第2の処理部3へ供給する供給速度(以下、単に「供給速度」という)との速度差を緩和する緩和手段9A(ストッカ)を有している。これにより、ドラム21とドラム31の回転速度を異なる速度に設定して、プラズマ装置1にてワーク8をプラズマ処理することができる。すなわち、第1の処理部2の処理時間および第2の処理部3の処理時間をそれぞれ所望の処理時間に設定することができる。その結果、プラズマ装置1は、ワーク8を高精度に、かつ、円滑にプラズマ処理することができる。
ドラム21の回転速度を変更する場合には、ワーク送出リール41の回転速度を変更すればよく、ドラム31の回転速度を変更する場合には、ワーク巻取リール42の回転速度を変更すればよい。そのため、ドラム21およびドラム31のそれぞれの回転速度を容易に変更することができる。
また、前述した第1の実施形態では、ワーク8のドラム21および/またはドラム31への巻き回数を変更することにより、第1の処理部2の処理時間および第2の処理部3の処理時間をそれぞれ所望の処理時間に設定する方法について説明したが、本実施形態のようなストッカ9Aを設けることで、ワーク8の巻き回数を変更するという工程を行うことなく第1の処理部2の処理時間および第2の処理部3の処理時間をそれぞれ所望の処理時間に設定することができる。
ストッカ9Aは、図4に示すように、回転可能に支持された複数の回転部材91Aと、ワーク8に張力を生じさせるための複数の回転部材92Aとを有している。そして、第1の処理部2から排出されたワーク8が、回転部材91Aの上面と回転部材92Aの下面とを交互に経由し、第2の処理部3に供給されるように設けられている。
このうち、回転部材92Aは、ストッカ9Aにストックされたワーク8の量(全長)に応じて、図4中の矢印方向へ移動するように構成されている。また、回転部材92Aは、図示しない付勢手段により、下方へ付勢されて(引っ張られて)いる。
このようなストッカ9Aは、ストッカ9Aにストックされたワーク8の量が増加すると、それに伴い回転部材92Aが下方に移動し、ストッカ9Aでのワーク走行距離が大きくなる。一方、ストッカ9Aにストックされたワーク8の量が減少すると、それに伴い回転部材92Aが上方に移動し、ストッカ9Aでのワーク走行距離が小さくなる。これにより、ワーク8の絡まり合いを防止しつつ、確実にワーク8の排出速度と供給速度との速度差を緩和することができる。
次に、ワーク8の排出速度とワーク8の供給速度との速度差と、ストッカ9Aとの関係について場合分けして具体的に説明する。
まず、ワーク8の排出速度が、ワーク8の供給速度よりも速い場合について説明する。この場合には、第1の処理部2の処理時間が第2の処理部3の処理時間よりも短い。すなわち、ドラム21の回転速度がドラム31の回転速度よりも速い。
このため、ストッカ9Aにストックされるワーク8の量(全長)は、プラズマ装置1でのプラズマ処理開始から、時間経過に伴って増加する。そして、ワーク8の第1の処理部2での処理が完了した後は、ストッカ9Aにストックされていたワーク8が、順次第2の処理部3へ供給されていき、最後にはストッカ9Aにストックされていたワーク8のすべてが第2の処理部3へ供給されることとなる。
次に、ワーク8の排出速度が、ワーク8の供給速度と等しい場合について説明する。この場合には、第1の処理部2の処理時間が第2の処理部3の処理時間と等しい。すなわち、ドラム21の回転速度がドラム31の回転速度と等しい。
このため、ストッカ9Aにストックされるワーク8の量は、プラズマ装置1でのプラズマ処理開始から終了まで変化しない。
次に、ワーク8の排出速度が、ワーク8の供給速度よりも遅い場合について説明する。この場合には、第1の処理部2の処理時間が第2の処理部3の処理時間よりも長い。すなわち、ドラム21の回転速度がドラム31の回転速度よりも遅い。
そのため、第2の処理部3での処理を停止させた状態で、まず、第1の処理部2による処理のみを行い、ストッカ9Aにワーク8を所定量ストックする必要がある。この「所定量」は、ワーク8の全長と、排出速度と供給速度との速度差とを考慮して定めることができる。そして、ワーク8がストッカ9Aに所定量ストックされた後、第2の処理部3による処理を開始し、ストッカ9Aにストックされていたワーク8が、順次第2の処理部3へ供給され、時間経過に伴いワーク8のストック量が減少していく。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
なお、本実施形態では、ドラム21およびドラム31が、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42の回転に追従して回転するものについて説明したが、これに限定されない。例えば、ドラム21およびドラム31が、それぞれ図示しない駆動手段(例えばモータ)と接続され、この駆動手段の差動によりドラム21およびドラム31が回転するように構成されていてもよい。これにより、より確実にドラム21およびドラム31のそれぞれの回転速度を所望の速度に設定することができる。
また、回転部材92Aが、付勢手段により下方へ付勢されているものについて説明したが、このような付勢手段を省略してもよい。この場合、回転部材92Aの自重によりワーク8に張力を発生させることができる。
以上、本発明のプラズマ装置を、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、前記実施形態では、プラズマ装置は、大気圧下において、ワークの表面にプラズマ処理を施すことを想定しているが、本発明では、減圧または真空状態においてワークの表面にプラズマ処理を施してもよい。
また、前述した実施形態では、第1の処理部2を第2の処理部3の近傍に配設するものについて説明したが、これに限定されず、近傍に配設していなくてもよい。
また、前述した実施形態では、ドラム21とドラム31とが回転軸Xに直角な方向で並設するように、第1の処理部2と第2の処理部3とを配設しているが、これに限定されず、例えば、回転軸X1方向で並設するように設けてもよい。
また、前述した実施形態では、電極24は、チャンバ22の全周にわたって形成されていたが、チャンバ22内のプラズマ処理空間221にプラズマを発生させることができれば、これに限定されず、例えば、複数の電極が、チャンバ22の外周に沿って等角度間隔で配置されていてもよい。
また、前述した実施形態では、ドラム21に対向電極の機能を兼ねさせているが、ドラム21とは別に対向電極を設けるようにしても構わない。この場合、ドラム21の構成材料としては、導電性材料に限らず、各種材料を用いることができる。
また、電極24とドラム21(対向電極)間に印加される電圧は、高周波によるものに限られず、例えば、パルス波やマイクロ波によるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、ワーク8は螺旋状にドラム21に巻き付けられていたが壁部25、26と平行して(リング状)ドラム21に巻き付けられていてもよい。この場合、ドラム21の外周分の長さのワーク8をプラズマ処理することができる。
また、前述した実施形態では、ワーク8は、チャンバ22に導入される前に90度回転し、チャンバ32から排出された後90度回転したが、ワーク送出リール41から送り出されたワーク8がチャンバ22のワーク導入口224に導入された後、90度回転し、ドラム21に巻きつけられていてもよい。また、ドラム31から離れてチャンバ32のワーク排出口325から排出される前に90度回転して排出されてもよい。これにより、ワーク送出リール41およびワーク巻取リール42による、ワーク8の送り出しおよび巻取りを効率良く行うことができる。
また、前述した実施形態では、回転ロール411、421は、回転軸X1、X2と直行して設けられていたが、平行して設けられていてもよい。これにより、ワーク8のチャンバ22内への導入時、チャンバ32からの排出時の90度回転を省略することができ、極めて簡便にワーク8の送り出し、チャンバ22への導入、チャンバ32からの排出、巻取りを行うことができる。また、ワーク8がよじれることによるプラズマ未処理部分の防止やワーク巻取り時のプラズマ処理部破損の防止をすることができる。
また、前述した実施形態では、プラズマ装置1が、第1の処理部2と第2の処理部3とを有するものについて説明したが、ワーク8を連続的にプラズマ処理できれば、これに限定されず、例えば、第1の処理部2と同様の構成からなる第3の処理部を有していてもよく、さらに同様の処理部を有していてもよい。
本発明のプラズマ装置の実施形態を示す模式図である。 図1に示すプラズマ装置の部分拡大図である。 図1中のA―A線断面図である。 本発明のプラズマ装置の第2実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1、1A……プラズマ装置 2……第1の処理部 3……第2の処理部 21、31……ドラム 211、212……軸 213……位置決め手段 22、32……チャンバ 221、321……プラズマ処理空間(プラズマ生成領域) 222、322……ガス導入口 223……ガス排出口 224、324……ワーク導入口 225、325……ワーク排出口 23、33……誘電体部材 24、34……電極 25、26……壁部 251、261、351……ガス流通口 252、262……軸受け 41……ワーク送出リール(ワーク送出手段) 42……ワーク巻取リール(ワーク巻取手段) 411、421……回転ロール 412、422……フランジ部 43……ガイド部材 51、52……ガス供給手段 511、521……ガスボンベ(ガス供給源) 512、522……レギュレータ(流量調整手段) 513、523……バルブ(流路開閉手段) 514、524……供給管 61、62……ガス排出手段 611、621……ポンプ 612、622……バルブ 613、623……ガス回収タンク 614、624……排出管 71、72……高周波電源 8……ワーク 81……被処理面 9A……緩和手段(ストッカ) 91A、92A……回転部材 X1、X2……回転軸

Claims (13)

  1. 長尺状のワークをその長手方向に走行させつつ、前記ワークの被処理面をプラズマにより処理するプラズマ装置であって、
    前記ワークの被処理面を処理するための第1の処理部および第2の処理部を有し、
    前記第1の処理部および前記第2の処理部は、それぞれ、
    前記ワークの前記被処理面を外周側に配置させて前記ワークを巻き付けるドラムと、
    前記ドラムの外周面と対向して設けられた電極と、
    前記電極と前記ドラムとの間に電圧を印加する電源と、
    前記電極と前記ドラムとの間にガスを供給するガス供給手段とを備え、
    前記電極と前記ドラムとの間に前記処理ガスを供給しつつ、前記電極と前記ドラムとの間に電圧を印加することにより、前記処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、該プラズマにより前記ドラムに巻き付けられたワークの被処理面が処理されるよう構成されており、
    前記第1の処理部により処理された前記ワークを前記第2の処理部に供給し処理するように構成されていることを特徴とするプラズマ装置。
  2. 前記ワークは、第1の処理部の前記ドラムおよび前記第2の処理部の前記ドラムに、螺旋状に巻きつけられている請求項1に記載のプラズマ装置。
  3. 前記第1の処理部は、前記第2の処理部の近傍に設けられている請求項2に記載のプラズマ装置。
  4. 前記第1の処理部の前記ドラムの回転軸は、前記第2の処理部の前記ドラムの回転軸とほぼ平行である請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ装置。
  5. 前記第1の処理部の前記ドラムと前記第2の処理部の前記ドラムとは、各前記ドラムの回転軸に直角な方向に沿って並設している請求項4に記載のプラズマ装置。
  6. 前記第1の処理部の前記ドラムの回転軸方向での前記ワークの移動方向は、前記第2の処理部にかかる前記ドラムの回転軸方向での前記ワークの移動方向と反対方向である請求項5に記載のプラズマ装置。
  7. 前記電極は、前記ドラムの周方向に沿って設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載のプラズマ装置。
  8. 前記第1の処理部および前記第2の処理部のそれぞれについて、前記ドラムを収容し、該ドラムの一端側に設けられたガス導入口と、前記ドラムの他端側に設けられたガス排出口とを備えるチャンバを有する請求項1ないし7のいずれかに記載のプラズマ装置。
  9. 前記第1の処理部のチャンバおよび前記第2の処理部のチャンバは、それぞれ、前記ワークが該チャンバ内に導入されるワーク導入口と、前記ワークが該チャンバ内から排出されるワーク排出口とを有し、
    前記第1の処理部のチャンバの前記ワーク排出口と、前記第2の処理部のチャンバの前記ワーク導入口とが対向するように設けられている請求項8に記載のプラズマ装置。
  10. 前記第1の処理部のチャンバと前記第2の処理部のチャンバとには、同種の前記ガスが供給される請求項8または9に記載のプラズマ装置。
  11. 前記第1の処理部のチャンバと前記第2の処理部のチャンバとには、異種の前記ガスが供給される請求項8または9に記載のプラズマ装置。
  12. 前記ワークを前記第1の処理部のチャンバへ送り出すワーク送出手段と、
    前記ワーク送出手段から送り出され、前記第2の処理部の前記ドラムに巻き付けられた前記ワークを巻取るワーク巻取手段とを備える請求項1ないし11のいずれかに記載のプラズマ装置。
  13. 前記第1の処理部から排出される前記ワークの排出速度と、前記第1の処理部から排出された前記ワークを前記第2の処理部へ供給する供給速度との速度差を緩和する緩和手段を有する請求項1ないし12のいずれかに記載のプラズマ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012117713A1 (ja) * 2011-03-01 2012-09-07 パナソニック株式会社 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

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