JP2008025691A - 軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度や耐熱性を有し、内部の任意の位置に温度センサを組み込むことができる軸受装置を提供する。
【解決手段】基板TSaに用いるPEEKは高分子材料であるため、非常に安価に複雑な形状に加工することができるので、軸受装置の内部に組み込む温度センサTSに適している。またガラス転移温度が143℃、溶融温度が343℃と非常に耐熱性があり、半結晶性のため広範囲の有機・無機液体への耐薬品性がある。したがって、かかる温度センサTSを備えた軸受装置は、LLC、高温のオイルや水蒸気が存在する自動車用途の軸受や工作機械用軸受に特に適している。
【選択図】図2
【解決手段】基板TSaに用いるPEEKは高分子材料であるため、非常に安価に複雑な形状に加工することができるので、軸受装置の内部に組み込む温度センサTSに適している。またガラス転移温度が143℃、溶融温度が343℃と非常に耐熱性があり、半結晶性のため広範囲の有機・無機液体への耐薬品性がある。したがって、かかる温度センサTSを備えた軸受装置は、LLC、高温のオイルや水蒸気が存在する自動車用途の軸受や工作機械用軸受に特に適している。
【選択図】図2
Description
本発明は、温度センサ装置を備える軸受装置に関し、特に、自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ、水ポンプ、ハブユニット、ガスヒートポンプ用電磁クラッチ、コンプレッサ、リニアガイド装置、ボールねじ等に用いられると好適な軸受装置に関する。
従来、回転部品を支持する軸受装置は、一度組み込まれると定期的な検査が行われないケースが多く、かかる場合、温度異常に起因する不具合が発生したときに初めて内部を検査することが多かった。また鉄道車両や風車等の軸受の場合は、一定期間使用した後に、軸受装置やその他の部分について分解し検査が行われる。したがって、温度異常に起因する不具合を事前に予測することが難しかった。これに対し、温度センサを軸受装置に取り付けて温度変化を測定することで、致命的な不具合が発生する前に軸受の異常を発見しようとする試みがある(特許文献1参照)。
特開2002−130263号公報
しかしながら、特許文献1の技術によれば、温度センサとして積層サーミスタを用いているので一定の厚みが生じることから取付空間に制限があり、軸受の本来測定したい部分の温度を測定することが難しかった。特に、積層サーミスタを用いると複雑な形状に加工することが困難であり、強い衝撃に対してカケが発生する恐れがある。更に、製造工程が多いためコストがかかり一般用の軸受まで応用することが難しかった。加えて、軸受内部は高温になるため、温度センサを形成する素材に留意する必要があった。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、強度や耐熱性を有し、内部の任意の位置に温度センサを組み込むことができる軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の軸受装置は、
外輪と、内輪と、両輪間に配置された転動体とを有する転がり軸受と、前記転がり軸受の内部の温度を測定する温度センサとを有する軸受装置において、
前記温度センサは、高分子材料の基板上に金属薄膜を形成してなることを特徴とする。
外輪と、内輪と、両輪間に配置された転動体とを有する転がり軸受と、前記転がり軸受の内部の温度を測定する温度センサとを有する軸受装置において、
前記温度センサは、高分子材料の基板上に金属薄膜を形成してなることを特徴とする。
本発明によれば、前記温度センサが、高分子材料上に金属薄膜を形成してなるので、いかなる形状にも加工することができ、取り付け空間が限定されている軸受装置の任意の場所に組み込めるため、応答性に優れ高精度な測定を行うことができる。又、高分子材料の中でも、ポリエーテルエーテルケトンなどは高い強度を有し、耐熱性に優れるので、軸受装置内に設けるのに好適である。
前記高分子材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であると好ましい。ポリエーテルエーテルケトンは、以下の化学式で表される。
前記温度センサは、前記基板の表面に塗布したレジストに、マスクを用いて微細パターンを露光現像し、更にスパッタリングにより金属被膜を微細パターン上に付着させた後に、残留レジストを除去することで形成されていると好ましい。このような温度センサであると、極めて薄く製作できるため大きな取り付けスペースを必要としないので、前記軸受装置の内部において、任意の場所に取り付けることができ、本来測定したい部位の温度を精度良く測定することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に用いる転がり軸受の軸線方向断面図である。軸受装置(転がり軸受ともいう)10は、外輪11と、内輪12と、両輪11,12間に配置された転動体としての玉13と、玉13を周方向に等間隔に保持する保持器14と、両輪11,12間を密封する円盤状のシール15,15とを有する。玉13は、窒化珪素や炭化珪素等のセラミック製とすることもできる。
外輪11は、その内周において、軌道面11aと、両端近傍に形成された取り付け溝11b、11bを有する。内輪12は、その外周において、軌道面12aと、両端近傍に形成されたシール溝12b、12bを有する。
シール15は、略ドーナツ板状の金属板材(SPCCやSECC等)からなり鈎部以外の主部と鈎部とを備えた芯金15aと、芯金15aの内径側に一体的に加硫成形された合成ゴム(ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)製のリップ部15bと、芯金15aの外径側に一体的に加硫成形された合成ゴム製の取り付け部15cと、を有する。シール15は、取り付け部15cを弾性変形させながら、外方から取り付け溝11bに係合させることで、外輪11に取り付けられる。かかる状態で、リップ部15bの先端はシール溝12bに接触している。なお、軸受装置10のシールは、接触ゴムシールに限らず、非接触ゴムシール、非接触鋼板など限定されない。外輪11の軌道面11aの中央には、温度センサTSが玉13に非接触の状態で形成されている。図1において、温度センサTSの厚さは誇張して示されている。
図2は、温度センサTSの斜視図である。図2において、温度センサTSは、基板TSaと、基板TSaの表面上に形成された微細な抵抗パターンTSbと、を有する。微細な抵抗パターンTSbは、線幅が狭い白金製の一本の線からなっている。温度センサTSは、温度に応じて基板TSaに膨張又は収縮が生じることに従い抵抗パターンTSbの全長が変わり抵抗値が変化することを利用し、温度を求めることができる。
温度センサTSの製造方法について説明する。PEEKを板状に射出成形することにより形成された板状の基板(厚さ:200μm)表面上に、厚さ約2μmのフォトレジスト(東京応化(株)製OFPR800LB)をスピンコートにより塗布し、90℃で90秒(一分半)プレべーク処理を行った。その後、抵抗パターンTSbに対応するマスクを用いて露光(ユニオン光学(株)製 EMA−400)し、現像液(東京応化(株)製 MND3)を用いて現像した。これを、最後に超純水で60秒間リンスした。
その後、フォトレジスト上に、スパッタリング法にて厚さ約200nmの白金の被膜を付着させ、アセトンによりリフトオフ法を用いて、基板上の残留フォトレジストを除去することで抵抗パターンTSbを形成した。更に、ダイシング装置にて所定のチップサイズに切断した後、チップ上の白金抵抗パターンTSbに配線を接続した。
本実施の形態によれば、基板TSaに用いるPEEKは高分子材料であるため、非常に安価に複雑な形状に加工することができるので、軸受装置の内部に組み込む温度センサTSに適している。またガラス転移温度が143℃、溶融温度が343℃と優れた耐熱性を有し、また半結晶性のため広範囲な有機・無機液体に対する耐薬品性を有する。したがって、かかる温度センサTSを備えた軸受装置は、LLC、高温のオイルや水蒸気が存在する自動車用途の軸受や工作機械用軸受に特に適している。PEEK製の基板を成形するにあたっては、射出成形法、押出成形など、その成形方法には特に限定されない。又、本実施の形態では温度センサに白金測温抵抗体を用いているが、異なる金属薄膜を用いた熱電対でもよく、また金属薄膜の種類や形成方法はこれに限定するものではない。
本発明者は、上記方法により作製された温度センサTSを、実施例として外輪11の軌道面11aに取り付けると共に、比較例として外輪11の外周面に取り付けて、軸受装置を動作させたときの温度上昇をシミュレーションした。その結果を図3に示す。なお、シミュレーションに用いた仕様は、以下の通りである。
軸受:日本精工(株)製の6203(呼び番号)単列深溝玉軸受
回転数:10,000rpm
回転時間:1時間
軸受:日本精工(株)製の6203(呼び番号)単列深溝玉軸受
回転数:10,000rpm
回転時間:1時間
図3から明らかなように、比較例のように温度センサTSを軸受装置10の外部に配置した場合と比較して、実施例のように温度センサTSを軸受装置10の内部に配置すると、軸受装置の温度変化をレスポンス良く測定できることがわかる。本実施の形態の温度センサTSは、PEEK製の基板TSa上に、薄い微細抵抗パターンTSbを形成しているので、極めて薄くできることから、軸受装置10の内部において、精度良く温度を測定したい部位もしくはその近傍に配置できる。従って、レスポンスの良い温度測定を通じて、異常な温度上昇が予兆として現れる軸受装置に生じる不具合を精度良く予測することが可能となる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、温度センサTSは、点線で示すように外輪11の軌道面11a以外の内周面(箇所A)や、シール15の芯金15a(箇所B)や、リップ部15b(箇所C)に配置しても良い。組み込む場所はこれらに限定することはなく、転がり軸受10のいかなる場所にでも組み込むことができる。
10 軸受
11 外輪
11a 軌道面
11b 取り付け溝
12 内輪
12a 軌道面
12b シール溝
13 玉
14 保持器
15 シール
15a 芯金
15b リップ部
TS 温度センサ
TSa 基板
TSb 抵抗パターン
11 外輪
11a 軌道面
11b 取り付け溝
12 内輪
12a 軌道面
12b シール溝
13 玉
14 保持器
15 シール
15a 芯金
15b リップ部
TS 温度センサ
TSa 基板
TSb 抵抗パターン
Claims (3)
- 外輪と、内輪と、両輪間に配置された転動体とを有する転がり軸受と、前記転がり軸受の内部の温度を測定する温度センサとを有する軸受装置において、
前記温度センサは、高分子材料の基板上に金属薄膜を形成してなることを特徴とする軸受装置。 - 前記高分子材料はポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
- 前記温度センサは、前記基板の表面に塗布したレジストに、マスクを用いて微細パターンを露光現像し、更にスパッタリングにより金属被膜を微細パターン上に付着させた後に、残留レジストを除去することで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006197880A JP2008025691A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | 軸受装置 |
PCT/JP2007/055208 WO2007122922A1 (ja) | 2006-04-20 | 2007-03-15 | 軸受装置及びその製造方法 |
EP07738658A EP2023104A1 (en) | 2006-04-20 | 2007-03-15 | Bearing device and method of producing the same |
US12/295,596 US20090136167A1 (en) | 2006-04-20 | 2007-03-15 | Bearing apparatus and manufacturing method thereof |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006197880A JP2008025691A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | 軸受装置 |
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2006
- 2006-07-20 JP JP2006197880A patent/JP2008025691A/ja active Pending
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