JP2008024990A - 薄膜形成装置、薄膜形成方法及び高機能性薄膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】大気圧プラズマ放電による薄膜形成方法において、膜厚均一化を達成することができる薄膜形成装置、薄膜形成方法、及びこれらを用いて得られる高機能性薄膜を提供すること。
【解決手段】薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出手段と、検出手段から検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、膜厚制御手段の指示により膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有することにより放電部の間隙を長手方向と横手方向とに厳密に調整することができるので品質バラツキのない安定した薄膜を有する製品を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出手段と、検出手段から検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、膜厚制御手段の指示により膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有することにより放電部の間隙を長手方向と横手方向とに厳密に調整することができるので品質バラツキのない安定した薄膜を有する製品を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマ放電処理により基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置、薄膜形成方法及びこれらを用いて得られる高機能性薄膜に関する。
近年、LSI、半導体、表示デバイス、磁気記録デバイス、光電変換デバイス、ジョセフソンデバイス、太陽電池、光熱変換デバイス等の各種製品には、基材上に電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、蛍光膜、超伝導膜、誘電体膜、太陽電池膜、反射防止膜、耐摩耗性膜、光学干渉膜、帯電防止膜、導電膜などの高機能性の薄膜を設けた材料が多数用いられている。
従来、このような高機能性の薄膜は、塗布法に代表される湿式製膜法か、あるいは、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用いた乾式製膜法によって、形成されている。
しかし最近では例えば、大気圧プラズマ放電処理薄膜形成法が、上記湿式製膜法に比べてより高性能な薄膜が得られること、且つ、真空を用いた乾式製膜法に比べて生産性が高いこと等から、考案され実用化されつつある(例えば、特許文献1参照。)。大気圧プラズマ放電処理方法の最大のメリットは、真空にする必要がないので、塗布法と同様に連続製膜が可能であることである。
大気圧プラズマ放電処理による薄膜形成法において、膜厚均一化に関しては、電極誘電体に多孔質体を用い、ガスを多孔質体を通して導入することにより、ガスが放電空間で均一に分布するようにする方法(例えば、特許文献2参照。)、平行平板型の電極に挟まれた空間に、その電極幅における流速変動巾が±20%以下の流速のもとに反応ガスを導入する方法(例えば、特許文献3参照。)、対向電極間の放電空間を固体誘電体からなる遮断壁で囲むことにより、処理用ガスを電極巾方向に略均一に供給する方法(例えば、特許文献4参照。)等、電極の幅手方向にわたって均一にガスを供給する各種方法が提案されている。
また、基材に製膜された膜厚をオンラインで測定し、その膜厚測定値をもとにフィードバック制御して膜厚を均一にする方法(例えば、特許文献5参照。)も提案されているが、これは経時による基材の搬送方向と電極の幅手方向とが交差する方向における電界変動を、周波数や電圧で制御するというものであり、この方法では、幅手方向の膜厚均一性を得ることはできない。
上記特許文献2〜5に記載の方法に従って、連続処理により薄膜形成する場合、幅手方向の膜厚均一化を行うことは極めて難しいことが判明した。すなわち、上記各方法によって、電極の幅手方向で均一にガスを供給できたとしても、幅手方向の放電プラズマの均一化には不十分な可能性がある。
さらに特許文献6では、固定電極の背面に複数のプッシュボルトやヒートボルトを用いて膜厚を均一にすることが提案されている。すなわちプッシュボルト方式は、複数のプッシュボルトを引いたり押すことにより局部的に電極ギャップを調整しようとするものであり、ヒートボルト方式は、加熱あるいは冷却することにより、そのヒートボルトの膨張あるいは収縮により電極の放電面が対向する電極に対して法線方向に凸になったり、あるいは凹になったりすることにより、部分的に電極間隙が微変動し、膜厚の不均一性を解消しようとするものである。またチョークバーを用いて局所的にガスの供給量を調整することも記載されている。
しかしながら、特許文献6においては固定電極で挟まれた放電空間もしくはロール電極と固定電極で挟まれた放電空間の一方の固定電極に適用可能であるが、ロール電極どうしの対向電極方式においては適用できないという問題がある。
特開平2−48626号公報
特開平6−2149号公報
特開平11−236676号公報
特開2000−82595号公報
特開2001−181850号公報
特開2005−2417号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、大気圧プラズマ放電による薄膜形成方法において、膜厚均一化を達成することができる薄膜形成装置、薄膜形成方法、及びこれらを用いて得られる高機能性薄膜を提供することにある。
上記目的は、下記構成により達成することができる。
1.一対の回転するロール電極からなる対向電極と前記対向電極の間に形成される放電部と、前記放電部に電圧を印加してプラズマ放電を発生させるプラズマ放電手段と、連続する基材が前記対向電極の一方のロール電極に接しながら前記放電部を通過し、再び前記対向電極の他方のロール電極に接しながら前記放電部に移送するための折り返し移送手段と、前記放電部において往復して通過する前記基材の間に、大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、前記反応ガス供給手段から供給された前記反応ガスを晒すことにより、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、前記薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出手段と、前記検出手段から検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、前記膜厚制御手段の指示により膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有し、前記膜厚調整手段は、長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整手段と、横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整手段と、を有することを特徴とする薄膜形成装置。
2.前記長手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極のうち前記一方のロール電極を移動する手段と、前記基材が移送する速度を調整する手段と、を有することを特徴とする1に記載の薄膜形成装置。
3.前記横手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極の少なくとも一部分を変化させる手段を有することを特徴とする1または2に記載の薄膜形成装置。
4.前記横手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極のうち前記他方のロール電極に押し当てる押し当てロールと、前記押し当てロールを駆動する押し当て駆動手段を有することを特徴とする3に記載の薄膜形成装置。
5.前記横手方向膜厚調整手段に抗して、斜方向から前記他方のロール電極を押し当てる複数個の斜め押し当て手段を有し、前記斜め押し当て手段は、斜め押し当てロールと前記斜め押し当てロールを駆動する斜め押し当て駆動手段を有することを特徴とする1乃至4の何れかに記載の薄膜形成装置。
6.前記押し当てロール及び前記斜め押し当てロールのロール部材は、弾性部材からなり、前記ロール部材または前記ロール部材を支持する支持部材の少なくとも一方は絶縁性を有する部材であることを特徴とする4または5に記載の薄膜形成装置。
7.前記横手方向膜厚調整手段は、前記他方のロール電極に接する前記基材が移送される上流側と下流側との間にできる領域内に、横手方向に複数個設けることを特徴とする1乃至6の何れかに記載の薄膜形成装置。
8.前記斜め押し当て手段は、前記他方のロール電極の横手方向に複数個設けることを特徴とする1乃至6の何れかに記載の薄膜形成装置。
9.一対の回転するロール電極からなる対向電極と前記対向電極の間に形成される放電部に電圧を印加してプラズマ放電を発生させ、前記対向電極の一方のロール電極に接しながら前記放電部を通過し処理された基材が、再び折り返して前記対向電極の他方のロール電極に接しながら前記放電部に移送され、前記放電部に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給して、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、前記薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出工程と、検出された値に基づいて所定の厚みになるように調整する調整工程を有し、前記調整工程は、前記基材が移送される方向である長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整工程と、前記基材が移送される方向とは垂直方向である横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整工程と、を有することを特徴とする薄膜形成方法。
10.前記長手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極のうち前記一方のロール電極を平行に移動する工程と、前記基材が移送する速度を調整する工程と、を有することを特徴とする9に記載の薄膜形成方法。
11.前記横手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極の少なくとも一部分を変化させることを特徴とする9または10に記載の薄膜形成方法。
12.前記横手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極のうち前記他方のロール電極に押し当てる押し当てロールと、前記押し当てロールを駆動する押し当て駆動工程を有することを特徴とする11に記載の薄膜形成方法。
13.前記横手方向膜厚調整工程に抗して、斜方向から他方の前記ロール電極を押し当てる複数個の斜め押し当てロールと前記斜め押し当てロールを駆動する工程を有することを特徴とする9乃至12の何れかに記載の薄膜形成方法。
14.1乃至8のいずれかに記載の薄膜形成装置を用いて作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
1.一対の回転するロール電極からなる対向電極と前記対向電極の間に形成される放電部と、前記放電部に電圧を印加してプラズマ放電を発生させるプラズマ放電手段と、連続する基材が前記対向電極の一方のロール電極に接しながら前記放電部を通過し、再び前記対向電極の他方のロール電極に接しながら前記放電部に移送するための折り返し移送手段と、前記放電部において往復して通過する前記基材の間に、大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、前記反応ガス供給手段から供給された前記反応ガスを晒すことにより、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、前記薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出手段と、前記検出手段から検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、前記膜厚制御手段の指示により膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有し、前記膜厚調整手段は、長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整手段と、横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整手段と、を有することを特徴とする薄膜形成装置。
2.前記長手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極のうち前記一方のロール電極を移動する手段と、前記基材が移送する速度を調整する手段と、を有することを特徴とする1に記載の薄膜形成装置。
3.前記横手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極の少なくとも一部分を変化させる手段を有することを特徴とする1または2に記載の薄膜形成装置。
4.前記横手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極のうち前記他方のロール電極に押し当てる押し当てロールと、前記押し当てロールを駆動する押し当て駆動手段を有することを特徴とする3に記載の薄膜形成装置。
5.前記横手方向膜厚調整手段に抗して、斜方向から前記他方のロール電極を押し当てる複数個の斜め押し当て手段を有し、前記斜め押し当て手段は、斜め押し当てロールと前記斜め押し当てロールを駆動する斜め押し当て駆動手段を有することを特徴とする1乃至4の何れかに記載の薄膜形成装置。
6.前記押し当てロール及び前記斜め押し当てロールのロール部材は、弾性部材からなり、前記ロール部材または前記ロール部材を支持する支持部材の少なくとも一方は絶縁性を有する部材であることを特徴とする4または5に記載の薄膜形成装置。
7.前記横手方向膜厚調整手段は、前記他方のロール電極に接する前記基材が移送される上流側と下流側との間にできる領域内に、横手方向に複数個設けることを特徴とする1乃至6の何れかに記載の薄膜形成装置。
8.前記斜め押し当て手段は、前記他方のロール電極の横手方向に複数個設けることを特徴とする1乃至6の何れかに記載の薄膜形成装置。
9.一対の回転するロール電極からなる対向電極と前記対向電極の間に形成される放電部に電圧を印加してプラズマ放電を発生させ、前記対向電極の一方のロール電極に接しながら前記放電部を通過し処理された基材が、再び折り返して前記対向電極の他方のロール電極に接しながら前記放電部に移送され、前記放電部に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給して、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、前記薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出工程と、検出された値に基づいて所定の厚みになるように調整する調整工程を有し、前記調整工程は、前記基材が移送される方向である長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整工程と、前記基材が移送される方向とは垂直方向である横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整工程と、を有することを特徴とする薄膜形成方法。
10.前記長手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極のうち前記一方のロール電極を平行に移動する工程と、前記基材が移送する速度を調整する工程と、を有することを特徴とする9に記載の薄膜形成方法。
11.前記横手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極の少なくとも一部分を変化させることを特徴とする9または10に記載の薄膜形成方法。
12.前記横手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極のうち前記他方のロール電極に押し当てる押し当てロールと、前記押し当てロールを駆動する押し当て駆動工程を有することを特徴とする11に記載の薄膜形成方法。
13.前記横手方向膜厚調整工程に抗して、斜方向から他方の前記ロール電極を押し当てる複数個の斜め押し当てロールと前記斜め押し当てロールを駆動する工程を有することを特徴とする9乃至12の何れかに記載の薄膜形成方法。
14.1乃至8のいずれかに記載の薄膜形成装置を用いて作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
本発明によれば、薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出手段と、検出手段から検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、膜厚制御手段の指示により膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有することにより放電部の間隙を長手方向と横手方向とに厳密に調整することができるので品質バラツキのない安定した薄膜を有する製品を得ることができる。また印加電圧やガス流量を部分的に調整する複雑な装置が不要となり、さらに放電熱による電極ロール膨張で、長手方向の膜厚の経時変化による影響(例えば徐々に放電ギャップが狭くなり、長手方向の膜厚が薄くなる)をなくし、長手方向の膜厚が均一化がはかれる。
本発明の大気圧もしくはその近傍の圧力下でプラズマ放電処理することにより薄膜を形成する薄膜形成装置を図として例示し説明をするが、本発明における薄膜形成装置はこれらに限定されない。
〈薄膜形成装置〉
薄膜形成装置Aの構成について図1、図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に用いられる薄膜形成装置Aの概略中央断面図であり、図2はその概略斜視図である。図中10A,10Bは一対のロール電極であり、これらのロール電極10Aと10Bにはプラズマ放電のための電圧を印加できる電源80が電圧供給手段81と82を介して接続されている。ロール電極10Aと10Bは、基材Fを巻き回しながら回転することができる回転電極である。放電部100は大気圧もしくはその近傍の圧力下に維持され、図1において2点鎖線で示す反応ガス供給部30から反応ガスGが供給され、放電部100においてプラズマ放電が行われる。
薄膜形成装置Aの構成について図1、図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に用いられる薄膜形成装置Aの概略中央断面図であり、図2はその概略斜視図である。図中10A,10Bは一対のロール電極であり、これらのロール電極10Aと10Bにはプラズマ放電のための電圧を印加できる電源80が電圧供給手段81と82を介して接続されている。ロール電極10Aと10Bは、基材Fを巻き回しながら回転することができる回転電極である。放電部100は大気圧もしくはその近傍の圧力下に維持され、図1において2点鎖線で示す反応ガス供給部30から反応ガスGが供給され、放電部100においてプラズマ放電が行われる。
基材Fは、端部がF1で繋ぎ合わされた無端状のループ形状に加工されている。本実施の形態では長さが約50m、幅は約1.5mの寸法を有しており、矢印方向に移送される。そして基材Fはガイドロール20とガイドロール11Aによりロール電極10Aに密着され、ガイドロール11B、11C、11Dを通過してガイドロール21とによりロール電極10Bに再度密着するようになっている。このような基材移送系を通過する基材Fは、放電部100で大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガスGによりプラズマ放電処理が施される。またガイドローラ20には機材Fの張力を調整するためのテンション機構22が設けられている。
反応ガス供給手段30は基材Fの幅と同等か、あるいはそれよりやや幅が広いスリット状であることが好ましく、あるいはパイプ状の吹き出し口を横に並べて基材Fの幅同等となるように配置したものでもよく、幅方向全体で均一な流量或いは流速で反応ガスGが放電部100に導入されるようにするのがよい。また処理後のガスG′は、排気口40より排気される。排気口40からの排気流量は反応ガス供給手段30からの流量と同等か、やや多いことが好ましい。放電部100のロール電極10A及び10Bの側面側を遮蔽しても、また装置全体を囲い、全体を希ガス或いは反応ガスGで満たしてもよい。
〈膜厚調整手段〉
このような形態で構成されている本発明の薄膜形成装置Aでは、ロール電極間の隙間を調整することが重要である。すなわち薄膜の厚みバラツキは数nm(ナノメータ)の範囲内で管理する必要がある。そのために、基材が移送される方向(長手方向という)の膜厚を調整する長手方向膜厚調整手段50と、基材が移送される方向とは垂直方向の(横手方向という)膜厚を調整する横手方向膜厚調整手段60とを有している。
このような形態で構成されている本発明の薄膜形成装置Aでは、ロール電極間の隙間を調整することが重要である。すなわち薄膜の厚みバラツキは数nm(ナノメータ)の範囲内で管理する必要がある。そのために、基材が移送される方向(長手方向という)の膜厚を調整する長手方向膜厚調整手段50と、基材が移送される方向とは垂直方向の(横手方向という)膜厚を調整する横手方向膜厚調整手段60とを有している。
長手方向膜厚調整手段50は、ロール電極10Aの回転軸の両端を軸支し、基材Fの移送方向に移動可能な調整板51と、調整板50を移動させる、例えばエアシリンダ等の駆動手段52を有し、ロール電極10Aを長手方向に移動できるようになっている。また図には示していないが、基材を移送する基材駆動手段を有し、基材の移送速度を調整できるようになっている。
横手方向膜厚調整手段60は、基材Fがロール電極10Bに進入する上流側とロール電極10Bから出た下流側とによりできる領域E内に設けられ、ロール電極10Bに押し当てる押し当てロール54と、押し当てロール54を駆動する押し当て駆動手段53を有し、ロール電極10Bの少なくとも一部分を変化させることが可能な構造手段を有している。本実施例ではロール電極10Bの横手方向に100mmピッチで設けてある。
また対向電極間の間隙を広げるために、ロール電極10Bを挟んで横手方向膜厚調整手段60の反対側に斜め上方からロール電極10Bに押し当てる斜め上方押し当て手段61Aと、斜め下方から押し当てる斜め下方押し当て手段61Bをそれぞれ複数個設けられている。斜め上方押し当て手段61A、斜め下方押し当て手段61Bは、横手方向膜厚調整手段60と同じ構成になっており押し当てロール54と、押し当てロール54をロール電極10Bに押し当て駆動する押し当て駆動手段53を有している。
なおここで斜め上方/下方とは上述したように、ロール電極10Bを挟んで横手方向膜厚調整手段60の反対側でかつロール電極10Aに触れない場所をいい、具体的には図3に示すようにロール電極10Bの中心を通る垂直線と、ロール電極10Bの中心を通りロール電極10Aの外周と接する線となす角度θの領域内にあることをいう。
また押し当てロール54は、ロール電極10Bからの静電気などから絶縁するために絶縁性を有する部材であり、さらにロール電極10Bを傷つけないようにするために弾性部材であることが望ましい。本実施例では硬度が約80度(JIS−A)のシリコンゴムを使用している。あるいは、絶縁性を有する部材は押し当てロール54のみならず、押し当てロール54を支持する支持部材であってもよく、いずれにしてもロール電極10Bからの静電気等の影響を受けないようしている。
〈厚み検出手段〉
次に、本発明の薄膜形成装置Aの調整手段について説明する。
次に、本発明の薄膜形成装置Aの調整手段について説明する。
本発明に係る調整手段は、形成された薄膜の幅手方向にわたって、連続もしくは不連続に複数箇所、膜厚を測定し(膜厚分布を検出し)、この検出結果において、目標膜厚から、所定の厚さ以上ずれた部分を、ずれた厚さに応じて変化させる。つまり、膜厚の異常部分を修正して膜厚を目標値に対し均一化するものである。
膜厚分布の測定は、オンラインでも、オフラインでも何れで行ってもよいが、オンラインで行うことが好ましい。幅手方向の膜厚測定装置70としては、J.A.Woollam社製エリプソメータ(M−44)、大塚電子(株)製の膜厚測定システムMCPDシリーズ(MCPD検出器と光ファイバーの組み合わせ)やFILMETRICS社製薄膜測定装置F20−UV等で物理膜厚を測定することができる。
なお上記膜厚測定装置70は、膜厚の他に色味を測定できる分光測色機能を有することが望ましい。あるいはコニカミノルタ製分光測色計CMシリーズなどの分光測色計71を専用に設け色味を測定しても良い。なお本発明に用いる色味とはL*a*b*表色系のa*、b*の値である。すなわちL*a*b*表色系色度図において、a*は赤方向、−a*は緑方向、b*は黄色方向、−b*は青方向を示す。数値が大きくなるに従って色の鮮やかさが増し、中心(数値が0)になるにしたがってくすんだ色になる。そして色味情報は、膜厚情報と同様に膜厚に大きく影響する。膜厚が変化すると、光が反射または透過する波長が変化して色味が異なってしまい品質上好ましいものではない。またユーザから色味を指定されるときにおいても色味管理が重要になってくる。
本発明の薄膜形成装置Aで使用する膜厚測定装置70または分光測色計71は図2に示すように横手方向に複数個設けている。本実施の形態では100mmピッチで膜厚測定装置70と分光測色計71を交互に合計26個設けている。
〈ブロック図〉
図4に本実施の形態における薄膜形成装置Aのブロック図を示す。膜厚測定装置70および分光測色計71にて測定された測定データを膜厚制御手段72に送信する。また膜厚制御手段72は、CPU(中央処理装置)とRAM(Randam Access Memory),ROM(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROMに記憶されているプログラムをRAMに読み出し、測定データと既定値との差を演算し当該プログラムに従って長手方向膜厚調整手段50、横手方向膜厚調整手段60、斜め上方押し当て手段61A、斜め下方押し当て手段61Bの各部を集中制御する。
図4に本実施の形態における薄膜形成装置Aのブロック図を示す。膜厚測定装置70および分光測色計71にて測定された測定データを膜厚制御手段72に送信する。また膜厚制御手段72は、CPU(中央処理装置)とRAM(Randam Access Memory),ROM(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROMに記憶されているプログラムをRAMに読み出し、測定データと既定値との差を演算し当該プログラムに従って長手方向膜厚調整手段50、横手方向膜厚調整手段60、斜め上方押し当て手段61A、斜め下方押し当て手段61Bの各部を集中制御する。
膜厚制御手段72からの信号に基づき、長手方向膜厚調整手段50はロール電極10Aを移動する手前側と奥側の駆動手段52と、基材駆動手段に所定の値になるように信号を与える。
また複数の横手方向膜厚調整手段60が有する押し当て駆動手段53と、複数の斜め上方押し当て手段61Aが有する駆動手段53Aと、複数の斜め下方押し当て手段61Bが有する駆動手段53Bに、それぞれ所定の値になるように信号を与える。この時複数の駆動手段53、53A、53Bは図4の1・・n番目と記載されている位置の駆動手段に信号を与えることにより、ロール電極10Bの一部を押すことが可能であるので微妙な調整ができる。
〈フローチャート〉
図5に本発明に係る膜厚制御のフローチャートを示す。
図5に本発明に係る膜厚制御のフローチャートを示す。
S01:膜厚測定装置70および分光測色計71によって膜厚および色味を測定し、横手方向か、長手方向かを調整する判断するステップである。横手方向の調整(ステップS01:YES)のときステップS02に進む。
S02:幅手複数の測定器間で、平均膜厚または目標膜厚との差を算出、あるいは平均色味または目標色味との差を算出するステップである(ステップS02)。
膜厚制御手段72は膜厚と色味に関する基準データを予め入力してあり、基準データに対する差を算出する(ステップS02)。
S03:基準データと照合して幅手方向の補正を行うかどうかを判断するステップである(ステップS03)。
S04:ステップS03がYESの場合、膜厚差分または色味差分を補正するように放電ギャップを変化させるステップである(ステップS04)。
S05:ステップS03がNOの場合、放電ギャップは変更しない(ステップS05)。
S06:ステップS01で長手方向の調整を行うと判断したとき(ステップS01:NO)、長手方向の膜厚または色味の傾向をみて大きなうねりや傾きがあるかを解析するステップである(ステップS06)。
膜厚が徐々に厚くなっているかまたは薄くなっているかの傾向を解析する。
S07:ステップS06の解析データと基準データとを比較して長手方向の補正が必要かどうかを判断するステップである(ステップS07)。
S08:ステップS07がYESの場合、長手方向の膜厚差分または色味差分を補正するステップである(ステップS08)。
長手方向の膜厚および色味が既定値と異なる場合、その差分を補正するように一方のロール電極を平行移動させて放電ギャップ間隙を適正値になるようする。さらに基材の移送速度を膜厚トレンドにあわせて変更する。
S09:ステップS07がNOの場合、放電ギャップや移送速度の変更は行わない(ステップS09)。
S10:ステップS04およびステップS08により膜厚または色味が調整されたことを確認するステップである(ステップS10)。
ステップS10の確認は、薄膜形成装置Aの作動が停止するまでステップS01からステップS09までを繰り返し行う。
〈ロール電極〉
次に本実施の形態に使用されるロール電極について説明する。ロール電極は、金属等の導電性母材でできており、その表面が固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の金属酸化物あるいはチタン酸バリウム等の複合金属酸化物等を挙げることができる。特に好ましいものは、セラミックスを溶射後に無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体である。また、電極の金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、ライニング材としては、珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いという点でより好ましく用いられる。
次に本実施の形態に使用されるロール電極について説明する。ロール電極は、金属等の導電性母材でできており、その表面が固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の金属酸化物あるいはチタン酸バリウム等の複合金属酸化物等を挙げることができる。特に好ましいものは、セラミックスを溶射後に無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体である。また、電極の金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、ライニング材としては、珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いという点でより好ましく用いられる。
本実施の形態に使用される電極は必要に応じて加熱あるいは冷却等の温度調整することが望ましい。例えばロールの内部に液体を供給して、電極表面の温度及び基材の温度を制御する。温度を与える液体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましい。基材の温度は処理条件によって異なるが、通常、室温〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは室温〜120℃とすることである。
ロール電極の表面は、基材が密着して基材と電極とが同期して移送及び回転するので高い平滑性が求められる。平滑性はJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)及び中心線平均表面粗さ(Ra)として表される。本実施の形態に使用するロール電極の表面粗さのRmaxは10μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以下であり、特に好ましくは7μm以下である。またRaは0.5μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本実施の形態において、ロール電極間の間隙は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的、電極の形状等を考慮して決定される。電極表面同士の距離は、プラズマ放電を均一に発生させるという観点から0.5〜20mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mmであり、特に好ましくは1mm±0.5mmである。本実施の形態におけるロール電極間の間隙とは対向する電極表面が互いに最も接近している間隔をいう。また、ロール電極の場合には、間隙がロール電極の回転によっても一定であることが望ましい。具体的には、ロールが1回転した時のロール間の間隙の変動が±30%未満であることが好ましく、好ましくは±10%未満で、より好ましくは±5%未満であり、最も好ましくは±0である。ロール電極の間隙の基材の幅方向の変動も上記と同様である。ロール電極の直径は10〜1000mmが好ましく、20〜500mmがより好ましく、30〜350mmが更に好ましい。
本実施の形態において、プラズマ放電を行う処理室は、電極と絶縁性の材質のフレームや容器で囲むことが好ましく、電極との絶縁がとれれば金属製のものを用いてもよい。例えば、金属製のものとしては、アルミまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けたものでもよく、金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性を持たせたものでもよい。またパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器で装置全体を囲うのも好ましい。この様な外側の囲いではなく、放電部、電極、基材搬送手段等の側面を局部的に囲むことも、反応ガスを適切に放電部に供給したり、排ガスを排気することができるため、ガス濃度や組成を一定にでき、プラズマ放電処理を安定して行うことができ好ましい。
本実施の形態におけるプラズマ放電を発生させるための電圧を加える手段は、ロール電極の一方の電極に電源を接続し、もう一方の電極にアースを接地して、電圧を印加するようになっている。本実施の形態における電源は、高周波電源が好ましく用いられる。またはパルス電源も使用できる。電圧を印加し電源より電極に印加する電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧は0.5〜10kV程度が好ましく、また電源周波数としては1kHz〜150MHzに調整するが、特に100kHzを超え13.56MHz以下であると、安定した放電により均一な薄膜が得られ好ましい。その波形はパルス波であってもサイン波であってもよい。また、電極間の放電電流密度は0.01〜500mA/cm2が好ましい。プラズマ放電処理の放電強度は、アーク放電も起こらず安定した効果的な処理を行うには、50W・min/m2以上500W・min/m2未満が好ましい。この範囲でプラズマ放電処理を行うことにより、処理の均一性を有し、ダメージもなく仕上げることができる。
〈ガスの説明〉
次に、放電空間に供給するガスについて説明する。
供給するガスは、放電ガスおよび薄膜形成ガスを含有する。放電ガスと薄膜形成ガスは、放電空間に供給する前に混合して供給してもよいし、別々でもかまわない。更に、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素等の添加ガス(または補助ガス)を加えて薄膜形成を迅速にまた、強固に行うことの出来き、ガスの一成分として混合させるのが好ましい。
次に、放電空間に供給するガスについて説明する。
供給するガスは、放電ガスおよび薄膜形成ガスを含有する。放電ガスと薄膜形成ガスは、放電空間に供給する前に混合して供給してもよいし、別々でもかまわない。更に、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素等の添加ガス(または補助ガス)を加えて薄膜形成を迅速にまた、強固に行うことの出来き、ガスの一成分として混合させるのが好ましい。
放電ガスとは、薄膜形成可能な放電を起こすことの出来るガスである。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、好ましいのは安全性、コストなどの点から窒素である。放電ガスの50〜100体積%が窒素ガスであることが好ましい。このとき、放電ガスとして窒素以外の放電ガスとしては、希ガスを50体積%未満含有することもできる。また、放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有することが好ましい。
薄膜形成ガスとは、それ自身励起して活性となり、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成する原料ガスのことである。本発明に有用な薄膜形成ガスとしては、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等を挙げることができる。
本発明において取り扱いの問題から、爆発の危険性の少ない有機金属化合物が好ましく、分子内に少なくとも一つ以上の酸素を有する有機金属化合物が好ましい。
本発明において、薄膜形成ガスに使用する有機金属化合物、ハロゲン化金属、金属水素化合物の金属として、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
本発明の薄膜形成方法で、上記のような有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等の金属化合物を放電ガスと共に使用することにより様々な高機能性薄膜を得ることができる。
〈基材〉
本発明の薄膜形成方法において、使用される基材としては、長尺のフィルム状、板状、レンズ状など薄膜をその表面に形成することができる形状であれば特に限定されない。
本発明の薄膜形成方法において、使用される基材としては、長尺のフィルム状、板状、レンズ状など薄膜をその表面に形成することができる形状であれば特に限定されない。
本発明において、フィルム状の基材としては例えば、セルロースエステル(セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等)、ポリエステル(ポリエチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート(ビスフェノールAポリカーボネート等)、ポリスチレン(シンジオタクティックポリスチレン等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、セロファン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、コポリエチレンビニルアルコール、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート等のフィルムを挙げることができる。
また、ガラス板の基材としては、その材質は特に制限ないが、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、超高純度ガラス、クリスタルガラス等を挙げることができる。
これらの基材の上に、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設した後、その上に本発明の薄膜形成方法に従って、所望の薄膜を形成することもできる。
以上説明したように、本発明は薄膜の厚みおよび色味または何れかを検出する検出手段と、検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、その指示により長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整手段と、横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整手段と、斜め上方押し当て手段と、斜め下方押し当て手段がそれぞれ有する駆動手段に、所定の値になるように信号を与えることにより、ロール電極10Bの一部が押され放電部の間隙を微妙に調整することができる。また長手方向に対しても長手方向膜厚調整手段によりロール電極10Aを移動する手前側と奥側の駆動手段52に所定の値になるように信号を与えることによって放電部全域の間隙を調整することができる。さらに基材を移送する速度を制御することにより基材上に形成される薄膜の厚さを制御することができるので、品質バラツキのない安定した薄膜をもった製品を提供ができる。
〈他の薄膜形成装置の例〉
本実施の形態では、無端状のループ形状に加工された基材を用いているが、図6に示すような、ロールツーロールでリバース機構を用いた形態であっても良い。すなわち、ロール11に巻かれた基材Fからプラズマ放電部100にて製膜され、巻き取りロール12にて巻き取られた基材Fをリバースさせ、色味や膜厚の情報を基に所定の値になるまで繰り返し製膜する形態である。なお図中において図1と同じ名称はその符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態では、無端状のループ形状に加工された基材を用いているが、図6に示すような、ロールツーロールでリバース機構を用いた形態であっても良い。すなわち、ロール11に巻かれた基材Fからプラズマ放電部100にて製膜され、巻き取りロール12にて巻き取られた基材Fをリバースさせ、色味や膜厚の情報を基に所定の値になるまで繰り返し製膜する形態である。なお図中において図1と同じ名称はその符号を付し、説明を省略する。
さらに図7は、プラズマ放電部を含む製膜手段を複数並べて、その前の製膜手段で得れた色味や膜厚情報を基に次の製膜手段で調整するロールツーロールの形態を模式的に示した図である。また図7において、膜厚調整手段、厚み検出手段は図1と同様な構成であるので省略してある。さらに基材Fの移送の仕方は図6と同様であるので、詳細は省略する。図中、24、25、26はガイドロール、10Jと10K、10Lと10M、10Nと10P、10Qと10Rはそれぞれ対をなすロール電極である。また107、108、109、110はそれぞれの放電部、30J、30L、30N、30Qはそれぞれガス供給部、40J、40L、40N、40Qはそれぞれガス排出口である。更に80J、80L、80N、80Qはそれぞれの電源、81Jと82J、81Lと82L、81Nと82N、81Qと82Qはそれぞれの対の電圧供給手段である。
10A、10B ロール電極
11 ロール
12 巻き取りロール
20 ガイドロール
30 反応ガス供給部
40 排気口
50 長手方向膜圧調整手段
60 横手方向膜圧調整手段
61A 斜め上方押し当て手段
61B 斜め下方押し当て手段
70 膜厚測定装置
71 分光側色計
72 膜厚制御手段
A 薄膜形成装置
F 基材
G 反応ガス
11 ロール
12 巻き取りロール
20 ガイドロール
30 反応ガス供給部
40 排気口
50 長手方向膜圧調整手段
60 横手方向膜圧調整手段
61A 斜め上方押し当て手段
61B 斜め下方押し当て手段
70 膜厚測定装置
71 分光側色計
72 膜厚制御手段
A 薄膜形成装置
F 基材
G 反応ガス
Claims (14)
- 一対の回転するロール電極からなる対向電極と前記対向電極の間に形成される放電部と、
前記放電部に電圧を印加してプラズマ放電を発生させるプラズマ放電手段と、
連続する基材が前記対向電極の一方のロール電極に接しながら前記放電部を通過し、再び前記対向電極の他方のロール電極に接しながら前記放電部に移送するための折り返し移送手段と、
前記放電部において往復して通過する前記基材の間に、大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
前記反応ガス供給手段から供給された前記反応ガスを晒すことにより、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
前記薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出手段と、前記検出手段から検出された値に基づいて所定の値になるように制御する膜厚制御手段と、前記膜厚制御手段の指示により膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有し、
前記膜厚調整手段は、長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整手段と、
横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整手段と、
を有することを特徴とする薄膜形成装置。 - 前記長手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極のうち前記一方のロール電極を移動する手段と、前記基材が移送する速度を調整する手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記横手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極の少なくとも一部分を変化させる手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜形成装置。
- 前記横手方向膜厚調整手段は、対向する前記ロール電極のうち前記他方のロール電極に押し当てる押し当てロールと、前記押し当てロールを駆動する押し当て駆動手段を有することを特徴とする請求項3に記載の薄膜形成装置。
- 前記横手方向膜厚調整手段に抗して、斜方向から前記他方のロール電極を押し当てる複数個の斜め押し当て手段を有し、前記斜め押し当て手段は、斜め押し当てロールと前記斜め押し当てロールを駆動する斜め押し当て駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
- 前記押し当てロール及び前記斜め押し当てロールのロール部材は、弾性部材からなり、前記ロール部材または前記ロール部材を支持する支持部材の少なくとも一方は絶縁性を有する部材であることを特徴とする請求項4または5に記載の薄膜形成装置。
- 前記横手方向膜厚調整手段は、前記他方のロール電極に接する前記基材が移送される上流側と下流側との間にできる領域内に、横手方向に複数個設けることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
- 前記斜め押し当て手段は、前記他方のロール電極の横手方向に複数個設けることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
- 一対の回転するロール電極からなる対向電極と前記対向電極の間に形成される放電部に電圧を印加してプラズマ放電を発生させ、
前記対向電極の一方のロール電極に接しながら前記放電部を通過し処理された基材が、再び折り返して前記対向電極の他方のロール電極に接しながら前記放電部に移送され、前記放電部に大気圧またはその近傍の圧力の反応ガスを供給して、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記薄膜の厚み、および色味、または何れかを検出する検出工程と、検出された値に基づいて所定の厚みになるように調整する調整工程を有し、
前記調整工程は、前記基材が移送される方向である長手方向の膜厚を調整する長手方向膜厚調整工程と、
前記基材が移送される方向とは垂直方向である横手方向の膜厚を調整する横手方向膜厚調整工程と、を有することを特徴とする薄膜形成方法。 - 前記長手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極のうち前記一方のロール電極を平行に移動する工程と、前記基材が移送する速度を調整する工程と、を有することを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
- 前記横手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極の少なくとも一部分を変化させることを特徴とする請求項9または10に記載の薄膜形成方法。
- 前記横手方向膜厚調整工程は、対向する前記ロール電極のうち前記他方のロール電極に押し当てる押し当てロールと、前記押し当てロールを駆動する押し当て駆動工程を有することを特徴とする請求項11に記載の薄膜形成方法。
- 前記横手方向膜厚調整工程に抗して、斜方向から他方の前記ロール電極を押し当てる複数個の斜め押し当てロールと前記斜め押し当てロールを駆動する工程を有することを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の薄膜形成装置を用いて作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
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JP2006199187A JP2008024990A (ja) | 2006-07-21 | 2006-07-21 | 薄膜形成装置、薄膜形成方法及び高機能性薄膜 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011048790A1 (ja) * | 2009-10-22 | 2011-04-28 | 株式会社神戸製鋼所 | Cvd成膜装置 |
JP2014037636A (ja) * | 2013-11-25 | 2014-02-27 | Kobe Steel Ltd | Cvd成膜装置 |
WO2016148029A1 (ja) * | 2015-03-13 | 2016-09-22 | コニカミノルタ株式会社 | 成膜装置及びガスバリアーフィルムの製造方法 |
-
2006
- 2006-07-21 JP JP2006199187A patent/JP2008024990A/ja not_active Withdrawn
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CN102597308A (zh) * | 2009-10-22 | 2012-07-18 | 株式会社神户制钢所 | Cvd成膜装置 |
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