JP2008024793A - 花粉飛散防止剤、及び花粉飛散防止剤噴霧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に、かつ効率的に花粉の飛散を抑制可能な花粉飛散防止剤、及び、花粉飛散防止剤噴霧装置を提供すること。
【解決手段】アルカリ性水溶液からなることを特徴とする花粉飛散防止剤、及び、前記花粉飛散防止剤を噴霧する噴霧手段を備えたことを特徴とする花粉飛散防止剤噴霧装置である。
【選択図】なし

Description

本発明は、花粉症の予防に好適な、花粉飛散防止剤、及び花粉飛散防止剤噴霧装置に関する。
スギやヒノキ等の植物の花粉が原因となり、鼻水やくしゃみ等のアレルギー症状が引き起こされる花粉症は、近年深刻な問題となっている。
花粉症の予防策としては様々なものが知られているが、中でも、発症の原因となる花粉を体内に進入させないことを目的としたものが多い。具体的には、例えば、マスクや空気清浄機等を利用して、花粉を、体内に進入する前にフィルターで捕捉しようとする対策が広く行われている。
しかし、このような対策は一般に、物理的に花粉をフィルターで捕捉するのみであり、花粉の機能や形態に変化を及ぼすものではなく、そのために何らかの要因で花粉が再飛散した場合には、再飛散した花粉が体内に進入し、アレルギー症状を引き起こしてしまうという問題があった。
一方で、発症の原因となる花粉の飛散そのものの抑制を目的とした予防策も提案されている。このような予防策の具体的手段として、例えば、オレイン酸及び/又はリノール酸を主成分とした植物油脂からなる花粉飛散防止剤(特許文献1参照);オレイン酸ナトリウムを有効成分とした花粉飛散防止剤(特許文献2参照);ポリビニールアルコールを特定量含むゾル状水溶液を花球に散布する方法(特許文献3参照);などが提案されているが、これらはいずれも、花粉を生じる植物そのものに対して薬剤を散布しなければならず、手間やコスト等の面で問題があった。
特許公開平5−238902号公報 特許公開平7−53307号公報 特許公開2005−261400号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、容易に、かつ効率的に花粉の飛散を抑制可能な花粉飛散防止剤、及び花粉飛散防止剤噴霧装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、花粉をアルカリ性水溶液に接触させて、花粉に形態変化を起こさせることにより、容易に、かつ効率的に花粉の飛散を抑制することができるという知見である。
従来から、鼻水等のアルカリ性条件下で花粉が形態変化を起こすという現象は、当該技術分野において知られており、この現象は、花粉の外膜(細胞壁)が割れ、内膜(細胞膜)に覆われた原形質が放出されることから、花粉の「破壊」「破裂」等とも呼ばれている。
しかしながら、このような形態変化を起こすことにより、花粉の飛散が効率的に抑制され、よって花粉症の予防に好適に利用可能であることは、従来全く知られておらず、本発明者らの新たな知見である。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アルカリ性水溶液からなることを特徴とする花粉飛散防止剤である。
<2> pHが7〜10である前記<1>に記載の花粉飛散防止剤である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の花粉飛散防止剤を噴霧する噴霧手段を備えたことを特徴とする花粉飛散防止剤噴霧装置である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、容易に、かつ効率的に花粉の飛散を抑制可能な花粉飛散防止剤、及び花粉飛散防止剤噴霧装置を提供することができる。
(花粉飛散防止剤)
本発明の花粉飛散防止剤は、アルカリ性水溶液からなり、好ましくは特定の範囲内のpHを有してなる。
<アルカリ性水溶液>
前記アルカリ性水溶液としては、アルカリ性を呈する水溶液であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重曹(炭酸水素ナトリウム)水、石灰(水酸化カルシウム)水、炭酸ナトリウム水、アンモニア水等の各種化合物の水溶液;Tris(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)−塩酸、HEPES(ヒドロキシエチルピペラジニルエタンスルホン酸)−水酸化カリウム等の各種緩衝液;などが挙げられる。これらの中でも、生態系への影響が小さいという点で、重曹(炭酸水素ナトリウム)水が好ましい。
また、前記アルカリ性水溶液は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、任意成分として如何なるものを含んでいてもよく、前記任意成分としては、例えば、メントールのような芳香剤などが挙げられる。
なお、前記アルカリ性水溶液は、それ自体を本発明の花粉飛散防止剤として使用することができる。
<pH>
前記花粉飛散防止剤のpHとしては、アルカリ性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば25℃における値で、7〜10が好ましく、7.5〜9がより好ましく、8〜9が特に好ましい。前記pHが、7未満であると、花粉の形態変化が起こらず、花粉の飛散が抑制できないことがあり、10を超えると、人体及び生態系に悪影響を生じることがある。一方、前記pHが前記特に好ましい範囲内であると、人体及び生態系への悪影響を生じることなく、花粉の形態変化を効率よく起こし、そのため花粉の飛散を効率よく抑制できる点で、有利である。
<製造>
前記花粉飛散防止剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来公知の各種アルカリ性水溶液の製造方法に従い、製造することができる。また、前記花粉飛散防止剤を前記したような好ましいpHに調整する方法としても、特に制限はなく、公知のpH調製方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
<使用>
前記花粉飛散防止剤の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記花粉飛散防止剤を、花粉の飛散を抑制したい任意の場所に直接散布して使用してもよいし、前記花粉飛散防止剤を、基材に含浸させ、後述するフィルターとして花粉の飛散や花粉の透過を抑制したい任意の場所で使用してもよい。
前記散布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スギ林等の花粉の飛散元となる場所や、花粉が多く飛散しているような場所において大規模な空中散布を行ってもよいし、また、家庭内や職場等の身の周りの環境での散布を行ってもよい。例えば、家庭内で散布を行う場合、花粉が存在していると思われる空気中や、花粉が付着していると思われる衣服、カーテン、カーペット、クッション、布団類等の繊維製品への散布を行うことなどが考えられる。
また、前記花粉飛散防止剤は、任意の容器に充填して使用することができるが、特に家庭内や職場内等の身の周りの環境に使用する場合、スプレー容器に充填することにより、手軽に所望の場所に散布することができるため、好ましい。前記スプレー容器の素材や容量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、特に部屋全体への散布や、大規模な空中散布等を行いたい場合には、後述する本発明の花粉飛散防止剤噴霧装置を利用して、前記花粉飛散防止剤の散布を行うこともまた、好ましい。
<対象>
また、前記花粉飛散防止剤の対象となる花粉の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花粉症の原因となるスギ、ヒノキ、スズメノテッポウ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ等の花粉などが挙げられる。
また、前記花粉飛散防止剤により花粉の飛散が抑制されたことは、例えば、スライドガラス上の花粉に対して前記花粉飛散防止剤を噴霧後、風圧をかけた後に残存する花粉の数を顕微鏡で計測し、スライドガラス上の花粉の数を測定することにより判定しうる。
<効果>
前記花粉飛散防止剤は、容易に、かつ効率的に花粉の飛散を抑制することができる。前記花粉飛散防止剤に接触した花粉は、後述する実施例に示すように、外膜がはずれ、内膜が大きく膨らんだ形態へと変化する。このような形態変化を起こした花粉は、正常な形態の花粉と比較し、飛散能力に劣る。現在、大気中のpHが低いため、花粉は自然には形態変化を起こさないと考えられる。したがって、前記花粉飛散防止剤によって人工的に花粉に形態変化を起こさせ、飛散を抑制させることは、花粉症の有効な予防策となり得ると考えられる。
(フィルター)
前記フィルターは、基材に本発明の前記花粉飛散防止剤が含浸されてなり、必要に応じて更にその他の構成部分を有してなる。
<基材>
前記基材としては、前記花粉飛散防止剤を含浸可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然繊維及び/又は合成繊維からなる織布や不織布、紙などが挙げられる。中でも、花粉の透過を物理的に抑制することができ、かつ通気性に優れた性質の基材であることが好ましい。このような好ましい性質の基材は、例えば、従来公知の基材から適宜選択することができる。
<含浸>
前記基材への前記花粉飛散防止剤の含浸方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記花粉飛散防止剤中に前記基材を浸し、静置することにより行われてもよいし、前記花粉飛散防止剤を前記基材に散布することにより行われてもよい。また、前記基材に含浸させる前記花粉飛散防止剤の量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、必ずしも前記基材の全てが前記花粉飛散防止剤に含浸されている必要はなく、少なくとも前記基材の一部が前記花粉飛散防止剤に含浸されていればよい。
<その他の構成部分>
前記その他の構成部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記フィルターを、例えば後述するマスクに適用する場合、前記マスクや肌が濡れるのを防止し、使用感を向上させる目的から、前記花粉飛散防止剤が含浸された基材の外側が、更に疎水性基材で覆われていることが好ましい。
前記疎水性基材としては、前記花粉飛散防止剤が前記フィルターの外に浸み出すことを防ぐことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、疎水性の織布や不織布などが挙げられる。中でも、前記花粉飛散防止剤の浸み出しは防ぐが、通気性には優れた性質の疎水性基材が好ましい。このような好ましい性質の疎水性基材は、例えば、従来公知の基材から適宜選択することができる。
<製造>
前記フィルターの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記のようにして前記花粉飛散防止剤を含浸させた基材を、前記疎水性基材で覆うことにより製造することができる。
前記花粉飛散防止剤を含浸させた基材を前記疎水性基材で覆う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記花粉飛散防止剤を含浸させた基材を袋状の前記疎水性基材の中に入れる方法、前記花粉飛散防止剤を含浸させた基材を前記疎水性基材で挟み込む方法、前記花粉飛散防止剤を含浸させた基材の両面に前記疎水性基材を接着する方法、などが挙げられる。
<使用>
前記フィルターは、例えば、そのまま、花粉が付着していると思われる身の周りの物や、顔や身体を拭くことに使用してもよいし、後述するマスクや、後述する装置等のフィルターとしても、好適に使用することができる。
<効果>
前記フィルターは、好ましくは花粉の透過を抑制することができる基材からなるため、まず前記フィルターそのものの物理的な作用により、ある程度の花粉の透過を抑制することができる。更に、前記フィルターは本発明の前記花粉飛散防止剤を含むので、前記フィルターに接触した花粉は形態変化を起こす。後述する実施例に示す通り、形態変化を起こした花粉は、外膜がはずれて内膜が大きく膨らんだ形態となるため、花粉全体としてのサイズが大きくなり、そのため、よりフィルターを透過しにくくなると考えられる。
また、前記フィルターに接触し、形態変化を起こした花粉は、前記したように、正常な形態の花粉と比較し、飛散能力に劣る。そのため、前記フィルターに捕捉された花粉が何らかの原因で再び前記フィルターから離れても、そのまま大気中に再飛散することがなく、花粉の体内への侵入を、より抑制することができると考えられる。
(マスク)
前記マスクは、前記フィルターを備えてなり、必要に応じて適宜その他の構成部分を備えてなる。前記その他の構成部分としては、例えば、口や鼻を覆うマスク本体部などが挙げられる。
なお、前記マスクは、前記フィルターのみからなるものであってもよい。
<マスク本体部>
前記マスク本体部としては、特に制限はなく、従来公知のマスク本体部として使用されているものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、織布や不織布等の繊維シートを複数枚重ねたシート材などを使用することができる。中でも、花粉の透過を物理的に抑制することができ、かつ通気性に優れた性質のマスク本体部であることが好ましい。このような好ましい性質のマスク本体部は、例えば、従来公知のマスク本体部から適宜選択することができる。また、前記マスク本体部は、前記フィルターを着脱可能な構造を有していることが好ましい。前記フィルターを着脱可能な構造としては、例えば、前記フィルターを容易に挿入することができ、かつ取り出すことができるような、ポケット構造、袋状構造などが挙げられる。
<製造>
前記マスクの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マスク本体部に前記フィルターを設置することにより製造することができる。
前記マスク本体部に前記フィルターを設置する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記フィルターを、前記マスク本体部で包み込む方法;前記フィルターを、前記マスク本体部で挟み込む方法;前記フィルターを、前記マスク本体部が有するポケット構造に挿入する方法;前記フィルターを、袋状構造とした前記マスク本体部に挿入する方法;などが挙げられる。
<効果>
前記マスクは、好ましくは花粉の透過を抑制することができる基材からなるフィルターや、花粉の透過を抑制することができるマスク本体部からなるため、まず前記マスクそのものの物理的な作用により、ある程度、体内への花粉の侵入を抑制することができる。更に、前記マスクはそのフィルター部分に本発明の前記花粉飛散防止剤を含むので、前記マスクのフィルター部分に接触した花粉は形態変化を起こす。後述する実施例に示す通り、形態変化を起こした花粉は、外膜がはずれて内膜が大きく膨らんだ形態となるため、花粉全体としてのサイズが大きくなり、よりマスクのフィルター部分を透過しにくくなり、体内への花粉の侵入をより抑制できると考えられる。
また、このように形態変化を起こした花粉は、前記したように、正常な形態の花粉と比較し、飛散能力に劣る。そのため、前記マスクのフィルター部分に捕捉された花粉が何らかの原因で再び前記フィルター部分から離れても、そのまま大気中に再飛散することがなく、花粉の体内への侵入を、より抑制することができると考えられる。
(装置)
前記装置は、前記フィルターを備えてなり、必要に応じて適宜その他の構成部分を備えてなる。
<装置の種類>
前記装置の種類としては、大気中の空気を前記装置中に取り込み、前記フィルターを介して、再び大気中に排出するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気清浄機、掃除機、エアコン、暖房機、クリーンベンチ、加湿器などが挙げられる。
<その他の構成部分>
前記その他の構成部分としては、特に制限はなく、前記装置の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば、吸気手段、排気手段、空気清浄手段、分離手段、温度調節手段等を司る構成部分などが挙げられる。
<製造>
前記装置の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記装置の種類に応じて、各種公知の製造方法に従い製造することができる。
なお、前記装置において、前記フィルターは、前記吸気手段を司る構成部分と、前記排気手段を司る構成部分との間に備えられることが好ましい。
<効果>
前記装置は、好ましくは花粉の透過を抑制することができる基材からなるフィルターや、空気清浄手段を司る構成部分を備えてなるため、まず前記装置そのものの物理的、機械的な作用により、ある程度、吸気する前の空気よりも、花粉の少ない空気を大気中に排出することができる。更に、前記マスクはそのフィルター部分に本発明の前記花粉飛散防止剤を含むので、前記マスクのフィルター部分に接触した花粉は形態変化を起こす。後述する実施例に示す通り、形態変化を起こした花粉は、外膜がはずれて内膜が大きく膨らんだ形態となるため、花粉全体としてのサイズが大きくなり、より装置のフィルター部分を透過しにくくなり、排出する空気中の花粉量をより減少させることができると考えられる。
また、このように形態変化を起こした花粉は、前記したように、正常な形態の花粉と比較し、飛散能力に劣る。そのため、前記装置のフィルター部分に捕捉された花粉が何らかの原因で再び前記フィルター部分から離れ、前記装置から排出されても、そのまま大気中に再飛散することがなく、花粉の体内への侵入をより抑制することができると考えられる。
なお、前記装置の場合、前記花粉飛散防止剤を基材に含浸させたものに限らず、前記花粉飛散防止剤そのものを、フィルターとして使用してもよい。例えば、前記花粉飛散防止剤を適当な容器に入れ、吸気した空気を前記容器内の花粉飛散防止剤に通した後、大気中に排出するものであってもよい。具体的には、例えば、掃除機の水フィルターとしての、前記花粉飛散防止剤の使用などが考えられる。
(花粉飛散防止剤噴霧装置)
本発明の花粉飛散防止剤噴霧装置は、本発明の前記花粉飛散防止剤を噴霧する噴霧手段を備えてなり、必要に応じて適宜その他の手段を備えてなる。
<噴霧手段>
前記噴霧手段としては、前記花粉飛散防止剤を噴霧できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記花粉飛散防止剤を空気と混合して噴霧する噴霧器、前記花粉飛散防止剤を高圧ガスと混合して噴霧する噴霧器などが挙げられる。
<その他の手段>
前記その他の手段としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記花粉飛散防止剤噴霧装置に前記花粉飛散防止剤を供給する供給手段、前記花粉飛散防止剤の噴霧量や噴霧形態等を調節する調節手段などが挙げられる。
<製造>
前記花粉飛散防止剤噴霧装置の製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の噴霧装置の製造方法に従い製造することができる。
<効果>
前記花粉飛散防止剤噴霧装置を使用することにより、本発明の前記花粉飛散防止剤を効率的に噴霧することが可能となり、例えば、前記花粉飛散防止剤の、部屋全体への散布や大規模な空中散布等も、容易に行うことが可能となる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1:ヒト鼻水中でのスギ花粉の形態変化)
スギ花粉をヒト鼻水中に懸濁し、室温で15分放置した後、2μLをサンプルとしてスライドガラス上に広げ、カバーガラスをのせて位相差顕微鏡(オリンパス社製、対物レンズ×10)で観察した。観察結果を図1に示す。蒸留水(炭酸ガスが溶け込んでいるため、pHは、およそ6の弱酸性を示す)に懸濁したスギ花粉と比べ、ヒト鼻水中に懸濁した花粉は、外側が薄い膜で囲まれた構造に変化していることが分かる。用いたヒト鼻水のpHは、およそ9の弱アルカリ性であった。
(実施例2:形態変化を起こしたスギ花粉の蛍光顕微鏡による観察)
スギ花粉を蒸留水(pH6)(図2、上段2枚の写真)、又は、50mM Tris−HCl(pH8)(図2、下段2枚の写真)に懸濁し、位相差顕微鏡(図2、左側2枚の写真)、又は、蛍光顕微鏡(図2、右側2枚の写真)でそれぞれ観察した。蒸留水中の形態変化を起こしていない花粉は蛍光を示す外膜に包まれている(図2、右上写真)。一方、弱アルカリ性のTris−HCl中では、蛍光を示す外膜がはずれ(図2、右下写真で蛍光を示す部分)、内側から透明な内膜がふくらむようにして現れている。透明な内膜の更に内側に花粉の本体が見えるが、これは蛍光を示さない。これら一連の形態変化は、通常、数秒で終了するが、顕微鏡下で観察することが可能である。
(実施例3:各種緩衝液中でのスギ花粉の形態変化)
スギ花粉を蒸留水(pH6)、50mM酢酸ナトリウム(AcONa)緩衝液(pH5.2)、50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)、又は50mMリン酸・ナトリウム(Na・phosphate)緩衝液(pH7.2)に懸濁し、20分後に位相差顕微鏡で観察した。観察結果を図3に示す。前二者(弱酸性)(図3、左側2枚の写真)では殆どの花粉が形態変化を起こしていないのに対し、後二者(弱アルカリ性)(図3、右側2枚の写真)では、大部分の花粉が形態変化を起こしていることが分かる。
(実施例4:各pHのリン酸緩衝液中でのスギ花粉の形態変化)
スギ花粉を、種々のpHの、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(Na−phosphate buffer)、又は25mMリン酸カリウム緩衝液(K−phosphate buffer)に懸濁し、20分後に位相差顕微鏡で観察した。用いたリン酸緩衝液のpHに対して、形態変化を起こした花粉の割合をプロットした。結果を図4に示す。
以上、実施例1〜4の結果から、本発明の花粉飛散防止剤であるアルカリ性水溶液中、特にpH7〜9の範囲内の水溶液中では、高い確率で花粉が形態変化を起こす(外膜がはずれ、内膜が膨らんだ状態となる)ことがわかった。
本発明の花粉飛散防止剤、前記花粉飛散防止剤を利用したフィルター、マスク、及び装置、並びに、本発明の花粉飛散防止剤噴霧装置はそれぞれ、花粉症の予防に好適に利用可能である。
図1は、ヒト鼻水中でのスギ花粉の形態変化を示した位相差顕微鏡写真像である。 図2は、形態変化を起こしたスギ花粉の、位相差顕微鏡又は蛍光顕微鏡写真像である。 図3は、各種緩衝液中でのスギ花粉の形態変化を示した位相差顕微鏡写真像である。 図4は、各pHのリン酸緩衝液中でのスギ花粉の形態変化の割合を示したグラフである。

Claims (3)

  1. アルカリ性水溶液からなることを特徴とする花粉飛散防止剤。
  2. pHが7〜10である請求項1に記載の花粉飛散防止剤。
  3. 請求項1から2のいずれかに記載の花粉飛散防止剤を噴霧する噴霧手段を備えたことを特徴とする花粉飛散防止剤噴霧装置。
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