JP2008023855A - 畦ブロックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主板と、長さが異なるまたは同一の二つの側板とが、略コの字状または略ヘの字状の断面形状をなし、かつ、水平方向に長尺の畦ブロックの製造方法であって、下記工程(a)〜(c)を含む畦ブロックの製造方法である。(a)主成分としての再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜120重量部のフライアッシュを含む樹脂組成物を、150〜250℃の範囲で、加熱混合して、可塑化した樹脂組成物とする可塑化工程、(b)可塑化した樹脂組成物を金型内に、プランジャーを用い、多段階に分けて射出する射出工程、(c)金型を冷却し、可塑化した樹脂組成物を固化させることにより、畦ブロックの成形品とする成形工程
【選択図】図1
Description
すなわち、原料を加熱溶融させて押し出すための押出機と、当該押出機から押し出した溶融物を金型に流入させるための流路装置と、金型を保持するための金型保持装置と、を備えた押出成形装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、図7に示すように、押出成形装置230は、原料を投入するためのホッパ206を有するベント式押出機202と、ベント式押出機202から押し出された溶融物を金型203に流入させるための流路装置と、金型203を保持するための金型保持装置207と、を備えている。また、ベント式押出機202の吐出口と、金型203と、は金型保持装置207に設置された流路装置を介して連結されている。そして、金型保持装置207は、ベント式押出機202の吐出口側に配置され、金型保持装置207の金型移動方向における中央部付近に、流路装置が設置されている。また、金型保持装置207の上部には金型203が設置されている。ここで、金型保持装置207の上部には走行レール205aが設けられ、この走行レール205a上に複数の金型203が移動可能に設置されている。
より具体的には、熱可塑性樹脂組成物が、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体および/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体を1〜50質量%含有し、その残部にポリオレフィン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂100質量部に対し、表面処理剤0.1〜5質量部およびフライアッシュ20〜230質量部を含有して、構成されている。
また、特許文献2に開示された熱可塑性樹脂組成物は、フライアッシュの有効利用が図られているものの、主成分が、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体および/またはエチレン−酢酸ビニル共重合体であって、容易に熱分解したり、残留歪が発生しやすかったりして、畦ブロックのような大型成形品の射出成形には不適切であった。さらに言えば、所定量の表面処理剤を使用しなければならず、畦ブロックの使用場所である農地への流出等の問題が見られた。
すなわち、本発明の目的は、所定形態の畦ブロックであっても、再生ポリオレフィン樹脂およびフライアッシュを主成分とし、所定の射出成形方法を採用することにより、経済的かつ安定的製造が可能な畦ブロックの製造方法を提供することにある。
(a)主成分としての再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜120重量部のフライアッシュを含む樹脂組成物を、150〜250℃の範囲で、加熱混合して、可塑化した樹脂組成物とする可塑化工程
(b)可塑化した樹脂組成物を金型内に、プランジャーを用い、多段階に分けて射出する射出工程
(c)金型を冷却し、可塑化した樹脂組成物を固化させることにより、畦ブロックの成形品とする成形工程
また、このような加熱混合温度および多段階の射出成形工程を採用することにより、再生ポリオレフィン樹脂の熱劣化や変色等についても、過度の酸化防止剤等を添加することなく、有効に防止することができる。
また、多段階に分けて金型内に射出することにより、段階ごとに圧力を変えることもできる。したがって、例えば、徐々に圧力を上げることにより、金型内に樹脂組成物を均一に充填しやすいばかりか、大型成形品である畦ブロックにおける残留応力をさらに減少させることができる。
また、多段階の射出成形を実施した場合、主板や側板において、多段階の回数に応じて、その痕跡が残りやすいという特徴がある。しかるに、畦ブロックの表面等におけるフライアッシュが、所定模様を現出するため、装飾効果に優れるという効果を得ることができる。
さらに、畦ブロックの表面等におけるフライアッシュが、外光や水田の反射光にきらめいて、白っぽく見えたり、唐草模様やペルズリー柄等に見えたりするために、もぐらやアメリカザリガニ等の小動物や、サギやスズメ等の鳥まで寄り付かないという効果を得ることができる。したがって、畦ブロックを用いた水田等において、動物被害が少なくなるという効果も得ることができる。
このような射出速度を採用することにより、大型成形品である畦ブロックの残留応力をさらに減少させるとともに、再生ポリオレフィン樹脂の熱劣化や変色等についても、さらに有効に防止することができる。
このようなメルトフローレートを有する樹脂組成物を用いることにより、大型成形品である畦ブロックの残留応力をさらに減少させるとともに、再生ポリオレフィン樹脂の熱劣化や変色等についても、さらに有効に防止することができる。
このようなメルトフローレートを有する樹脂組成物を用いることにより、大型成形品である畦ブロックの残留応力をさらに減少させるとともに、その後の金型冷却や畦ブロックの取り出しについても容易に実施することができる。
このようなクリーニング工程を設けることにより、再生ポリオレフィン樹脂やフライアッシュを用いて、大型成形品である畦ブロックを、連続的かつ安定的に製造することができ、結果として、さらなる低コスト化に資することができる。
このような大型成形品の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができる。
このような複雑形状の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができる。
このような均等形状の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができる。
このような不均等形状の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができる。
第1の実施形態は、図1(a)〜(b)あるいは図2(a)〜(b)に示すように、主板と、長さが異なるまたは同一の二つの側板とが、略コの字状または略ヘの字状の断面形状をなし、かつ、水平方向に長尺の畦ブロックの製造方法であって、下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする畦ブロックの製造方法である。
(a)主成分としての再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜120重量部のフライアッシュを含む樹脂組成物を、150〜250℃の範囲で、加熱混合して、可塑化した樹脂組成物とする可塑化工程
(b)可塑化した樹脂組成物を金型内に、プランジャーを用い、多段階に分けて射出する射出工程
(c)金型を冷却し、可塑化した樹脂組成物を固化させることにより、畦ブロックの成形品とする成形工程
なお、図1(a)〜(b)は、両側板の長さが等しい場合の畦ブロック(タイプ1)の態様および使用状態であって、図2(a)〜(b)は、両側板の長さが異なる場合の畦ブロック(タイプ2)の態様および使用状態をそれぞれ示している。但し、図1(a)及び図2(a)中の寸法は一例であって、この寸法に制限されるものではない。
(1)再生ポリオレフィン樹脂
また、主成分としての再生ポリオレフィン樹脂は、再生ポリプロピレン樹脂や再生ポリエチレン樹脂を所定量以上含むものであれば好ましいが、具体的に、これらの再生ポリプロピレン樹脂や再生ポリエチレン樹脂の含有量を、再生ポリオレフィン樹脂の全体量に対して、55重量%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が55重量%未満の値になると、再生成形品やペレットにおける外観性が著しく低下するばかりか、射出成形の際の射出速度やメルトフローレートの調整が困難になる場合があるためである。
したがって、再生ポリプロピレン樹脂や再生ポリエチレン樹脂の含有量を、再生ポリオレフィン樹脂の全体量に対して、60〜99重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜95重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる再生ポリオレフィン樹脂は、強度、耐熱性、流動性等の特性においてバランスがとれており、分別回収の手間やコストを著しく低減させることができるためである。
また、かかる再生ポリオレフィン樹脂は、融点が200℃以上の熱可塑性オレフィン樹脂(TPO)が多く使用されており、過度の相分離や残留応力を生じさせることが少ないためである。したがって、得られる畦ブロックにおいて、耐久性や耐熱性、あるいは、塗装性についても向上させることができる。
この理由は、かかる再生ポリオレフィン樹脂の粒度が0.01mm未満の値になると、作成するのに過度に時間やコストを要する場合があるためである。一方、かかる再生ポリオレフィン樹脂の粒度が20mmを超えると、不均一に加熱混合し、射出速度やメルトフローレートの調整が困難になる場合があるためである。
したがって、再生ポリオレフィン樹脂が粉砕物である場合、その粒度を0.1〜15mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、粉砕物としての形状は球形や楕円形であっても良いが、角部を多数有する多面体やフレーク状であることも好ましい。
(2)−1 種類
本発明に使用するフライアッシュは、火力発電所において粉状に砕いた石炭をボイラー内で燃焼させ、その際に溶融した燃焼残渣の粒子が、高温の燃焼ガス中に浮遊しており、それを例えば、集塵機を用いて集めた球形粒子である。
すなわち、再生ポリオレフィン樹脂に対して、シリカ(SiO2)やアルミナ(Al2O3)等を主成分としたフライアッシュを添加することにより、再生ポリオレフィン樹脂の耐候性、機械的強度、圧縮歪、および流動性等を幅広い範囲で調整して、使用環境の対応性はもちろんのこと、射出成形等にも好適な畦ブロックの態様とすることができる。
また、再生ポリオレフィン樹脂に対して、シリカ(SiO2)等を主成分としたフライアッシュを添加することにより、畦ブロックにおける排水性、通気性、あるいは保水性についても、適宜調整して、使用環境の対応性に優れた畦ブロックとすることもできる。
さらに、フライアッシュは、外光や水の反射光によって、白っぽく光るために、再生ポリオレフィン樹脂に混合して、畦ブロックを成形した場合、上述したように、小動物や鳥を寄せつけないという効果を得ることができる。
かかるシリカ(SiO2)については、全体量に対して、40〜75重量%の範囲内の値とすることが好ましく、アルミナ(Al2O3)については、全体量に対して、15〜35重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、フライアッシュは、構成成分として、全体量に対して、酸化鉄(Fe2O3)を1〜20重量%の範囲で含んだり、酸化マグネシウム(MgO)を0.1〜10重量%の範囲で含んだりすることも好ましい。
この理由は、このような構成成分を添加することにより、耐候性や機械的強度のさらなる向上を図ることができるためである。また、所定量の酸化鉄(Fe2O3)や酸化マグネシウム(MgO)を含むフライアッシュであれば、着色性が強いために、畦ブロックを多段階射出成形した場合の流動むらを、目立たなくすることができるためである。
なお、フライアッシュの構成成分については、例えば、無機材料についての元素分析法や、X線マイクロアナライザー用いて求めることができる。
また、フライアッシュの平均粒径を0.1〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるフライアッシュの平均粒径が、0.1μm未満となると、耐候性や機械的強度の向上が乏しい場合があるためである。
一方、かかるフライアッシュの平均粒径が、300μmを越えると、流動性が低下し、成形加工性が大幅に低下する場合があるためである。
したがって、フライアッシュの平均粒径を1〜150μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜100μm重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、フライアッシュの平均粒径については、例えば、その顕微鏡写真から、画像解析装置を用いて求めることもできるし、レーザー方式や沈降方式の粒度分布計を用いて測定することができる。
この理由は、かかる粉末度が100を超えると、再生ポリオレフィン樹脂の流動性が低下し、成形加工性が大幅に低下する場合があり、その結果、得られる畦ブロックの耐候性や機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかるフライアッシュの粉末度が1未満になると、再生ポリオレフィン樹脂に対して、均一に混合することが困難となったり、フライアッシュ自体の取り扱いが困難となったりする場合があるためである。
また、上述した粒度が異なる複数のフライアッシュを用いることも好ましい。より具体的には、例えば、粒度が1〜40のフライアッシュと、40超〜100以下のフライアッシュと、を併用することが好ましい。
この理由は、このように粒度が異なるフライアッシュを用いることにより、それぞれ比較的少量の使用であっても、再生ポリオレフィン樹脂の耐候性、機械的強度、圧縮歪、および流動性等を調整することができるためである。
なお、一例であるが、粒度が1〜40のフライアッシュ100重量部に対して、40超〜100以下のフライアッシュの使用割合を1〜120重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
その場合、粒度が異なるフライアッシュの合計添加量を、再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、10〜60重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、フライアッシュと、クリンカアッシュと、を併用することも好ましい。より具体的には、例えば、フライアッシュ100重量部に対して、クリンカアッシュの使用割合を1〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにクリンカアッシュを用いることにより、それぞれ比較的少量の使用であっても、再生ポリオレフィン樹脂の耐候性、機械的強度、圧縮歪、および流動性等を調整することができるばかりか、畦ブロックにおける排水性、通気性、あるいは保水性についても、さらに幅広い範囲で調整して、使用環境の対応性に優れた畦ブロックとすることができるためである。
ここで、併用するクリンカアッシュの形態は、細礫や粗砂であって、その構成成分としては、例えば、全体量に対して、シリカ(SiO2)を50〜70重量%、アルミナ(Al2O3)を15〜30重量%、酸化鉄(Fe2O3)を3〜15重量%、酸化マグネシウム(MgO)を1〜5重量%、酸化カルシウム(CaO)を2〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、フライアッシュと、クリンカアッシュと、を併用する場合、フライアッシュと、クリンカアッシュの合計添加量を、再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましく、20〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、フライアッシュの添加量を、再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜120重量部の範囲内の値とする。
この理由は、かかるフライアッシュの添加量が、1重量部未満となると、畦ブロックにおける耐候性や機械的強度の向上が乏しい場合があるためである。
また、フライアッシュの添加量が少なすぎると、複数の畦ブロックを積み重ねたときに、取り外しができなくなるためである。
一方、かかるフライアッシュの添加量が、120重量部を越えると、再生ポリオレフィン樹脂の流動性が低下し、成形加工性が大幅に低下する場合があるためである。
したがって、フライアッシュの添加量を、再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜50重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ここで、図3(a)〜(d)に、再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対するフライアッシュの添加量(重量部)と、畦ブロックにおける耐候性、機械的強度、収縮率、および再生ポリオレフィン樹脂の流動性との関係を示す。
これらの図に示す特性曲線から、畦ブロックにおける耐候性、および機械的強度については、フライアッシュの添加量が多くなるほど、臨界的に変化して、向上する傾向が見られた。一方、フライアッシュの添加量が多くなるほど、畦ブロックにおけ収縮率が低下するものの、再生ポリオレフィン樹脂の流動性が臨界的に変化して、低下する傾向が見られた。
したがって、フライアッシュの添加量を、再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜120重量部の範囲内の値、より好ましくは、50〜80重量部の範囲内の値とすることにより、畦ブロックにおける耐候性、機械的強度、収縮率、および再生ポリオレフィン樹脂の流動性のバランスが良好となることが理解される。
(3)−1 種類
樹脂組成物への添加剤としては、着色剤(顔料、染料)、隠蔽材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属フィラー、無機フィラー、カップリング剤、軽量化剤、繊維材、導電材料、流動化剤、粘度調整剤などの一種単独、または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、かかる添加剤の添加量についても、特に制限されるものではないが、例えば、全体量に対して、0.1〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる添加剤の添加量が、0.1重量%未満になると、添加効果が発揮されない場合があるためである。一方、かかる添加剤の添加量が、15重量%を超えると、樹脂組成物の機械的強度や耐久性、あるいは流動特性が著しく低下したりする場合があるためである。
(4)−1 温度
また、可塑化温度を150〜250℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる可塑化温度が、150℃未満になると、可塑化が不十分となって、成形加工性が大幅に低下する場合があるためである。一方、かかる可塑化温度が、250℃を超えると、再生ポリオレフィン樹脂が熱分解したり、変色したりする場合があるためである。
したがって、可塑化温度を160〜230℃の範囲内の値とすることがより好ましく、180〜210℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、可塑化時間を0.1〜20分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる可塑化時間が、0.1分未満になると、再生ポリオレフィン樹脂と、フライアッシュとの混合分散が不均一になりやすい場合があるためである。一方、かかる可塑化時間が、20分を超えると、可塑化温度にもよるが、再生ポリオレフィン樹脂が熱分解したり、変色したりする場合があるためである。
したがって、可塑化時間を0.5〜10分の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5分の範囲内の値とすることが好ましい。
また、可塑化装置104としては、図4に示すような構成とすることが好ましい。
すなわち、可塑化装置104として、ホッパー153から投入した再生ポリオレフィン樹脂やフライアッシュ等を可塑化スクリューやピストン142を用いて溶融させ、それを加熱シンダー141によって、加熱混合することが好ましい。
(1)射出条件
また、射出温度を180〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる射出温度が、180℃未満になると、再生ポリオレフィン樹脂と、フライアッシュとからなる樹脂組成物の粘度が高すぎて、均一に射出することが困難となりやすい場合があるためである。一方、かかる射出温度が300℃を超えると、再生ポリオレフィン樹脂が熱分解したり、変色したりする場合があるためである。
したがって、射出温度を190〜270℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜250℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、射出温度とは、射出成形装置におけるノズル先端部分の温度を意味しており、例えば、熱電対を用いて測定することができる。
また、射出時間を0.01〜10分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、可塑化時間が、0.01分未満になると、再生ポリオレフィン樹脂と、フライアッシュとからなる樹脂組成物の射出成形が過度に不均一になりやすい場合があるためである。
一方、かかる可塑化時間が、10分を超えると、可塑化温度にもよるが、再生ポリオレフィン樹脂が熱分解したり、変色したりする場合があるためである。また、射出時間が過度に長くなると、畦ブロックの冷却工程にも悪影響を及ぼす場合があるためである。
したがって、可塑化時間を0.1〜5分の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜3分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような射出速度を採用することにより、大型成形品である畦ブロックの残留応力をさらに減少させるとともに、再生ポリオレフィン樹脂の熱劣化や変色等についても、さらに有効に防止することができるためである。
また、図4の一部に示すように、金型117としては、射出成形装置の端部に位置することが好ましい。
ここで、図4の金型117は、図1(a)に示す両側板の長さが等しい場合の畦ブロックに適した金型が、開いた状態を示しているが、図2(a)に示す両側板の長さが異なる場合の畦ブロックについても、金型を用いて両側板の長さが等しいように成形した後、片方の側面部を適宜切断除去すればよい。
そして、かかる金型117は、可動側金型117aと、固定側金型117bと、2パートから構成してあり、固定側金型117bの一部に、射出成形装置のノズル114が内部において、固定されていることが好ましい。
また、射出装置としては、公知のものが使用できるが、一例として、図4に示すような射出装置100とすることが好ましい。
すなわち、可塑化装置104から送られてきた溶融樹脂を一旦ためるための収集チャンバ110を備え、可塑化装置104から送られてきた溶融樹脂をかかる収集チャンバ110にため、次いで、高温チャンネル101内に突出し射出ピストン135等が、溶融樹脂を射出する構成であることが好ましい。
また、可塑化装置と、射出装置との間に、可塑化した樹脂組成物をフィルタ処理するためのクリーニング装置を設けることが好ましい。
この理由は、このようなクリーニング装置を設けることにより、再生ポリオレフィン樹脂やフライアッシュを用いて、大型成形品である畦ブロックを、連続的かつ安定的に製造することができ、結果として、さらなる低コスト化に資することができるためである。
なお、図5に、一例であるが、クリーニング装置200の態様を示す。かかるクリーニング装置200によれば、ハウジング201内に中空であって、かつ円筒形のフィルタ202が備えてあり、それに関連して内部チャンバと、外側チャンバとが規定されており、フィルタ202の回転と、クリーニング装置200に設けてあるスクレーバ225によって、再生ポリオレフィン樹脂やフライアッシュ等の溶融物が、クリーニングされることになる。
(1)冷却条件
また、金型の冷却温度を10〜80℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金型の冷却温度が、10℃未満になると、鋳物等からなる金型が熱劣化する場合があるためである。
一方、かかる金型の冷却温度が、80℃を超えると、畦ブロックを構成する樹脂組成物の固化が不十分であって、所望の形状に保持することが困難となる場合があるためである。
したがって、金型の冷却温度を20〜75℃の範囲内の値とすることが好ましく、30〜70℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、冷却装置としては、冷却媒を直接的に吹き付けたり、冷却媒を流した冷却管を金型の背面側に設けたりすることによって、構成することができる。
なお、250から300℃程度の金型を、80℃未満に冷却するため、冷却媒としては、冷却水、アルコール化合物、炭化水素化物、油類、フッ化水素炭素化物等が挙げられる。
また、成形した畦ブロックをさらに別の場所で、空冷したり、所定場所で保管したりするために運搬する必要がある。
一方、成形した長尺の畦ブロックは、大きさや形状にもよるが、通常、重量が5Kg〜20Kg程度である。
したがって、図示しないものの、鉛直方向に配置してある金型内で冷却し、その金型を開いた後、運搬装置によって、地面に対して、鉛直方向にたっている畦ブロックをそのまま金型から引き出すとともに、その両端をはさんで、水平方向になるように、回転傾斜させながら、所定場所に運んで、室温になるまでの間、完全冷却を行うことが好ましい。
この理由は、このように冷却することにより、冷却時の熱収縮がすくなくなって、残留応力を少なくすることができるためである。
なお、冷却時に、畦ブロックの周囲から冷却媒(空気等を含む)が均一にあたるように、ローラ上や回転板上等で畦ブロックを動かしながら、冷却することがさらに好ましいと言える。
畦ブロックの基本的構成としては、図1(a)または図2(a)に示すように、滑り止め付きの主板10dと、長さが異なるまたは同一の二つの側板10a、10b(20a、20b)とが、略コの字状または略ヘの字状の断面形状をなし、かつ、水平方向に長尺である。
そして、主板は、側板とともに、土製の畦を上方から保護する部材であって、畦ブロックの設置後は、水田の中の通路となる。
また、側板は、主板と協働して、側方から土製の畦を保護する部材であって、畦ブロックの設置後は、水田における水の保水部材や小動物からの保護部材となる。
ここで、畦ブロックの水平方向長さを100〜500mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような大型成形品の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができるためである。
この理由は、このような三角形突起10fを設けることにより、角棒状の補強用リブ10cのさらなる補強ができるとともに、複数の畦ブロックを積み重ねた場合であっても、三角形突起10fが、ストッパーの機能を発揮して、後で取り外すことが容易となるためである。また、このような補強用リブ10c、あるいはその表面における三角形突起10fであれば、固定用金型と、可動用金型の二つから、容易かつ精度良く射出成形することができるためである。
なお、本発明の製造方法によれば、このような複雑形状の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができる。
この理由は、このような均等形状の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができるためである。
この理由は、このような不均等形状の畦ブロックであっても、残留応力を減少させることができるとともに、連続的かつ安定的に製造することができるためである。
かかるジョイントの形態についても特に制限されるものではないが、例えば、突起と、それに係合する凹部やフックであっても良い。
そして、本発明の畦ブロックの製造方法によれば、主成分として、再生オレフィン樹脂およびフライアッシュを用いているため、廃棄するときには、容易に低温加熱して、燃やしても有害ガスを発揮することがない。
また、再生オレフィン樹脂に対して、所定量のフライアッシュを用いているため、白っぽく光り、それによって、小動物や鳥が寄り付かず、水田等における動物被害が少なくなるという効果を得ることができる。
さらに、再生ポリオレフィン樹脂が生分解性であるならば、10〜20年程度使用した後は、破砕して、水田や畦の土に再生することもできる。
なお、本発明の畦ブロックの製造方法は、再生ポリオレフィン樹脂およびフライアッシュを主成分として利用し、低コスト化を重視した製造技術であるものの、再生ポリオレフィン樹脂のかわりに、通常の、ポリオレフィン樹脂を適用することもできる。
10a:左側板
10b:右側板
10c:リブ
10d:主板
10e:ジョイント
10f:三角形突起
11:稲
12:水
13:土
20:畦ブロック(タイプ2)
20a:左側板
20b:右側板
20c:リブ
20d:主板
20e:ジョイント
100:射出成形装置
101:高温チャンネル
104:可塑化装置
114:ノズル
117:金型
117a:可動側金型
117b:固定側金型
153:ホッパー
200:クリーニング装置
Claims (9)
- 主板と、長さが異なるまたは同一の二つの側板とが、略コの字状または略ヘの字状の断面形状をなし、かつ、水平方向に長尺の畦ブロックの製造方法であって、下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする畦ブロックの製造方法。
(a)主成分としての再生ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜120重量部のフライアッシュを含む樹脂組成物を、150〜250℃の範囲で、加熱混合して、可塑化した樹脂組成物とする可塑化工程
(b)前記可塑化した樹脂組成物を金型内に、プランジャーを用い、多段階に分けて射出する射出工程
(c)前記金型を冷却し、前記可塑化した樹脂組成物を固化させることにより、畦ブロックの成形品とする成形工程 - 前記射出工程(b)において、前記可塑化した樹脂組成物を、合計した場合に、0.1〜30分/畦ブロック1本の射出速度となるように、多段階で射出することを特徴とする請求項1に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記射出工程(b)において、前記可塑化した樹脂組成物におけるメルトフローレートを0.05〜10g/分(ASTMD1238に準拠し、荷重2.16kg、温度190℃で測定)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記射出工程(b)において、前記金型を鉛直方向に載置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記可塑化工程(a)と、射出工程(b)との間に、前記可塑化した樹脂組成物をフィルタ処理するためのクリーニング工程を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記畦ブロックの水平方向長さを100〜500mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記主板および二つの側板の背面側に、補強用リブを有するとともに、その表面に、側面形状が三角形であって、かつ、平板状のさらなる突起を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記二つの側板の長さが同一であって、それぞれの側板の長さを10〜50cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の畦ブロックの製造方法。
- 前記二つの側板の長さが異なり、一方の側板の長さを30〜50cmの範囲内の値とするとともに、もう一方の側板の長さを3〜20cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の畦ブロックの製造方法。
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