JP2008021056A - 樹脂成形品の強度評価プログラム及びこの強度評価プログラムを搭載した装置 - Google Patents

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Shunichi Okabe
俊一 岡部
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Abstract

【課題】ウェルドを有する樹脂成形品において、ウェルド部分がウェルド以外の部分よりも弱いことを考慮した強度CAE評価を可能にする。その際、強度CAEをやり直すことなく、安全率などを考慮してウェルドの弱さ具合を種々に変更可能とする。
【解決手段】応力読み取り部3は、強度CAEの出力である応力分布を読み取る。ウェルド読み取り部4は、樹脂流動CAEの出力であるウェルド分布を読み取る。演算部5は、読み取った2つの分布図を、もとの応力分布に対してウェルド近辺の応力を高くするように演算し、演算結果の数値情報を分布図として表示部1に表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウェルドを有する樹脂成形品の強度を、CAEを用いて評価する強度評価プログラムに関する。
製品の強度を評価するに際し、従来からCAEプログラムを用いることが多い。しかしながら、樹脂成形品の場合、強度CAEで得られた結果と実験の結果が異なることも多く、その原因の1つがウェルドの存在である。ウェルドは成形過程で溶融樹脂が合流した場所であり、一般的にウェルド部分はウェルド以外の部分よりも強度が弱い。そのため、強度CAEで得られた応力の高い場所ではなく、ウェルドで割れる事も多く、正確な強度CAE評価を行うことが困難であった。
そこで、ウェルド部分がウェルド以外の部分よりも強度が弱いこと考慮した強度CAEを行う方法が、特許文献1で提案されている。特許文献1は、衝撃解析(強度CAEの1種)を行う際、事前に樹脂流動解析を行い、求めたウェルド位置の情報から衝撃解析の物性値を変更することにより、ウェルドの弱さを考慮するものである。より具体的には、樹脂成形品のCADデータを取得するステップと、CADデータに基づいて樹脂流動解析を行いウェルドが発生する位置情報を求めるステップと、ウェルドが発生する位置情報を利用して樹脂成形品の衝撃解析を行うステップとを有するものであり、樹脂流動解析によってよって得たウェルド位置を衝撃解析に利用することで、正確な衝撃解析を行うことが可能となっている。
特開2005−169909号公報
上記特許文献1記載の技術は、ウェルドの弱さを考慮した強度CAEを行うことができる優れた技術であるが、ウェルド弱さの考慮方法として、衝撃解析の入力データに反映しているため、安全率などを考慮して弱さ具合を種々に変更したい場合には、時間のかかる衝撃解析をやり直さなければならないといった問題点があった。
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、強度CAEをやり直すことなく、ウェルド弱さ具合を種々に変更して、強度評価を行うことのできる樹脂成形品の強度評価プログラム及びこの強度評価プログラムを搭載した装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の強度評価プログラムは、樹脂成形品の強度評価プログラムであって、強度CAEの出力である数値情報を読み取るステップと、樹脂流動CAEの出力である数値情報を読み取るステップと、前記2つの数値情報を演算するステップと、前記演算結果の数値情報を表示するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴としている。
また、本発明の強度評価プログラムは、ウェルドを有する樹脂成形品の強度評価プログラムであって、強度CAEの出力である応力もしくは歪の数値情報を読み取るステップと、樹脂流動CAEの出力であるウェルド位置を示す数値情報を読み取るステップと、前記2つの数値情報を、元の応力もしくは歪の数値情報に対してウェルド近辺の応力もしくは歪を高くするように演算するステップと、前記演算結果の数値情報を分布図などの図として表示するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、強度CAEと樹脂流動CAEは1度行うだけでよく、演算するステップにおいて演算方法を変更するだけで、種々のウェルド弱さ具合で評価を行うことができる。
本発明は上記のように構成したので、ウェルドを有する樹脂成形品などの設計において、ウェルド部分がウェルド以外の部分よりも強度的に弱いことを考慮した強度CAE評価を行うことができる。その際、CAEを実行し直すことなく、安全率などを考慮してウェルドの弱さ具合を種々に変更することができるので、CAEを用いた検討時間を短縮することができる。また、ウェルドの弱さを考慮した応力分布もしくは歪分布において、ウェルド部分の応力もしくは歪が低い場合には、ウェルドの弱さを考慮してもなお応力もしくは歪が低いのであるから、ウェルドの位置は理想的であり、ウェルド割れは発生しないであろうことがわかる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のプログラムを搭載した装置の一実施形態を概念的に示したブロック図である。
この装置は、大別すると、解析結果の応力分布などを表示する表示部1と、表示部1に表示された項目を操作する際に用いられるマウスやキーボードなどからなる入力部2と、強度CAEの出力である応力分布を読み取る応力読み取り部3と、樹脂流動CAEの出力であるウェルド分布を読み取るウェルド読み取り部4と、前記2つの読み取った数値情報を演算する演算部5とを備えている。
上記構成において装置を起動すると、表示部1には、図2に示す初期画面10が表示される。この初期画面10から「応力」ボタン11が押されると、ファイル選択画面(図示省略)が現れる。このファイル選択画面から応力ファイルが選択されると、応力読み取り部3が内部に保存している応力ファイルから応力の数値情報を読み取る。
応力ファイルとしては、予め実施した強度CAEの出力結果を用いる。ここでは、節点番号と最大主応力数値の組み合わせが節点数分記述されているとする。また、応力ファイルが選択されると同時に、メッシュ情報(節点番号と節点座標、要素番号と構成節点番号)が記述された応力ファイルと同名で拡張子の名称のみ異なるファイルが読み取られる。そして読み取った情報に基づいて表示部1に応力分布図が表示される。なお、このような強度CAEの出力結果を用いた応力分布図の表示は、従来周知のものであるので、ここでは強度CAEの解析処理の詳細の説明については省略している。図3は表示部1に表示された応力分布図の一例を示している。
次に、図3に示す応力分布図が表示された状態の初期画面10から「ウェルド」ボタン12が押されると、再びファイル選択画面(図示省略)が現れる。このファイル選択画面から次にウェルドファイルが選択されると、ウェルド読み取り部4が内部に保存しているウェルドファイルからウェルドの数値情報を読み取る。ウェルドファイルとしては、予め実施した樹脂流動CAEの出力結果を用いる。ここでは、節点番号とウェルドアングル数値の組み合わせが節点数分記述されているとする。ウェルドアングル数値は、樹脂流動CAEの出力として一般的に用いられている0〜180までの数値であり、0に近い程、その位置がウェルド近辺であることを示している。図4は、ウェルドアングルの分布図の一例を示している。図中、符号51で示す部分がウェルド部である。
最後に、図4に示すウェルドアングル分布図が表示された状態の初期画面10から「演算」ボタン13が押されると、表示部1に演算指針数値の入力を促す画面(図示省略)が現れる。この画面から演算指針数値が入力されると、演算部5は、入力された数値に基づいて演算を実行し、表示部1に演算結果の応力分布を表示する。以下、演算部5での演算処理について具体的に説明する。
ここではまず、ウェルドアングル数値を0〜1に変換するために、各節点において、
( 180−ウェルドアングル数値 ) / 180
が演算される。この変換により、1に近い程、その位置がウェルド近辺であることになる。
次に、各節点において、
最大主応力×(1+演算指針数値×変換後のウェルドアングル数値 )
が演算される。この演算に基づいて表示された応力分布は、元の応力分布に対して、ウェルド近辺の応力のみが高い結果となるはずである。すなわち、ウェルドアングルが0のウェルド位置の場合、換算後は1となり、最大主応力は(1+演算指針数値)倍となる。逆にウェルドアングルが180のウェルドとは無関係の領域では、換算後は0となり、最大主応力は元の数値のままである。
どの程度高くなるかは入力された演算指針数値によるが、例えば演算指針数値として1を入力した場合には、ウェルド部の応力は2倍となり、ウェルドから遠く離れた部分の応力はそのままの値である。図5は、演算指針数値=1を入力した場合の応力分布図の例を示している。図中、符号51がウェルド部である。ウェルド弱さを考慮していない図3と比較して、ウェルド近辺の応力が高くなっている。
また、安全率などを考慮して弱さ具合を厳しく設定したい場合には、演算指針数値の入力を再度行えば良い。例えば2を入力すると、ウェルド部の応力は3倍となる。図6は、演算指針数値=2を入力した場合の応力分布図の例を示しており、図7は、演算指針数値=4を入力した場合の応力分布図の例を示している。図中、符号51がウェルド部である。
このように、本発明の強度評価プログラムは、演算指針数値の入力を繰り返すだけで、種々のウェルド弱さ具合で評価することができるので、このような演算に基づいて表示された応力分布を評価することにより、ウェルドの弱さを考慮した評価、設計を行うことができる。
なお、本発明の特徴とするところは上記のような演算方法自体ではなく、応力分布とウェルド位置情報とを基にして演算された新たな応力分布図を提示することであり、これによりウェルドの弱さを考慮した強度評価を簡単かつ短時間に行うことが可能となるものである。従って、上記で説明した演算方法に限る必要はない。
例えば、上記のように式を固定して演算指針数値のみを入力するのではなく、式自体を入力することで応用範囲を格段に広げることができる。また、上記のようにウェルドアングルが0〜180全ての領域で最大主応力が変更されるような式ではなく、ウェルド直近の0近辺でのみ最大主応力が変更されるような式を用いたほうが現実的である。
また、演算する際に予め用意されたテーブル(表)を利用しても良い。例えば、ウェルドアングルと応力の増加度をテーブルにしておくことなどが考えられる。いずれにしても、実験結果と比較して個別の製品や材料毎にウェルドの弱さ具合を求め、適切な演算を行うようにすれば良い。また、応力分布として最大主応力を用いていることも一例であり、Mises応力など、他の応力分布であってかまわないし、応力ではなく歪であってもかまわない。ウェルドアングルに関しても同様に、他のウェルド位置を示す情報であってかまわない。さらに、強度CAEプログラム自体が応力読み取り部3を兼ねても良いし、樹脂流動CAEプログラム自体がウェルド読み取り部4を兼ねても良い。
さらに補足すると、本発明の実施に用いた強度CAEプログラムと樹脂流動CAEプログラムは同じCAEプログラムに包含されているため、同じメッシュ(節点および要素)を用いて強度CAEと樹脂流動CAEとを行うことができる。そのため、読み取った応力分布とウェルド分布に対して、節点座標の違いによる補間(マッピング)を行う必要が無い。さらに、本発明の趣旨と異なるので説明は省略するが、メッシュが異なる場合には補間を行えば良い。
本発明の強度評価プログラムを搭載した装置の一実施形態を概念的に示したブロック図である。 表示部に表示される初期画面例を示す説明図である。 ウェルド弱さを考慮していない応力分布図の例を示す説明図である。 表示部に表示されたウェルドアングルの分布図の一例を示す説明図である。 演算指針数値=1を入力した場合の応力分布図の例を示す説明図である。 演算指針数値=2を入力した場合の応力分布図の例を示す説明図である。 演算指針数値=4を入力した場合の応力分布図の例を示す説明図である。
符号の説明
1 表示部
2 入力部
3 応力読み取り部
4 ウェルド読み取り部
5 演算部
10 初期画面
11 「応力」ボタン
12 「ウェルド」ボタン
13 「演算」ボタン

Claims (4)

  1. 樹脂成形品の強度評価プログラムであって、
    強度CAEの出力である数値情報を読み取るステップと、
    樹脂流動CAEの出力である数値情報を読み取るステップと、
    前記2つの数値情報を演算するステップと、
    前記演算結果の数値情報を表示するステップと、をコンピュータに実行させるための強度評価プログラム。
  2. ウェルドを有する樹脂成形品の強度評価プログラムであって、
    強度CAEの出力である応力もしくは歪の数値情報を読み取るステップと、
    樹脂流動CAEの出力であるウェルド位置を示す数値情報を読み取るステップと、
    前記2つの数値情報を演算するステップと、
    前記演算結果の数値情報を分布図などの図として表示するステップと、をコンピュータに実行させるための強度評価プログラム。
  3. 前記演算ステップが、元の応力もしくは歪の数値情報に対してウェルド近辺の応力もしくは歪を高くするような演算であることを特徴とする請求項2に記載の強度評価プログラム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の強度評価プログラムを搭載したことを特徴とする電子機器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010069653A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Mitsubishi Electric Corp 強度解析方法、強度解析装置及び強度解析プログラム
JP2011000758A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Polyplastics Co 配向状態予測方法及び変形挙動解析方法

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