JP2008020597A - 光学フィルム、偏光板、液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、液晶表示装置 Download PDF

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【課題】偏光子と直接貼合することが容易である輝度向上フィルムに好適な光学フィルムの提供、さらに輝度向上した偏光板、およびその偏光板を用いた液晶表示装置の提供。
【解決手段】下記式(A)で表されるアスペクト比が2以上100以下である形状を有する散乱体をフィルム中に配向してなる光学フィルムあって、該散乱体の短軸径がレイリー散乱領域以下であり、長軸径がミー散乱もしくは幾何学散乱領域であり、かつ前記散乱体を配向するフィルムが、下記式(I)で定義されるRoが−5〜5nm、下記式(II)により定義されるRtが−10〜10nmであることを特徴とする。 式(A) アスペクト比=L/r1 L :長軸径 r1:短軸径 式(I) Ro=(nx−ny)×d 式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d nx、ny、nzはそれぞれフィルムの遅相軸方向、遅相軸に直交する方向、厚さ方向の屈折率、dはフィルムの厚さ
【選択図】図1

Description

本発明は、輝度向上一体型偏光素子である光学フィルム、輝度向上視野角拡大偏光板、及びそれらを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置には光学フィルムとして輝度向上フィルムが広く使用されている。通常、液晶表示装置において、偏光板1、液晶セル、偏光板2、輝度向上フィルム、バックライトユニットの順に配置され、バックライトと偏光板2の間に輝度向上フィルムを適当な角度で配置し、偏光板2で吸収されていた光を反射させ再利用することにより輝度向上することができる。現在、広く使用されている輝度向上フィルムの代表として、住友3M社製のDBEF(商品名)がある。これはポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレート等の複屈折の大きなポリエステルの複屈折性を利用したフィルムであり、偏光板とは別部材として供給されている。
一般に、偏光板1および偏光板2は、偏光子であるヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールフィルム(以下PVAフィルムと略す)に接着性の良好なケン化したセルロースエステルフィルムを貼合したものが広く使用されている。そして、このPVAフィルムとケン化したセルロースエステルフィルム以外の素材との接着は、経時での膜はがれ等の問題が起こり易く、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレート等を用いた輝度向上フィルムをPVAフィルムからなる偏光子に直接貼合するのは困難であった。
一方、別方式の輝度向上フィルムとして、特許文献1に散乱型偏光素子が公開されている。特許文献1では、アスペクト比1以上のいわゆる異方性粒子をフィルム中に配向させることにより、異方性反射型散乱素子を得ている。この異方性粒子は、粒径を、短軸方向はレイリー散乱領域であり、また、長軸方向はミー散乱もしくは幾何学散乱領域とすることにより偏光分離を行っている。しかしながら、ここで使用されているフィルムを形成するための樹脂は位相差が大きいものであって、せっかく異方性散乱粒子によって偏光分離された偏光光が、この樹脂の有する位相差により楕円偏光へと変換されることにより光のロスが発生し、結果として輝度向上の効果を低減させてしまうという課題があった。
特開平9−297204号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、偏光子と直接貼合することが容易である輝度向上フィルムに好適な光学フィルムを提供することにある。さらには、光学フィルムを偏光板保護フィルムに使用した場合に、位相差を持たせる事により液晶パネルの視野角を改善した輝度向上視野角拡大偏光板、およびその偏光板を用いた液晶表示装置を提供する事である。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
(1)下記式(A)で表されるアスペクト比が2以上100以下である形状を有する散乱体をフィルム中に配向してなる光学フィルムあって、該散乱体の短軸径がレイリー散乱領域以下であり、長軸径がミー散乱もしくは幾何学散乱領域であり、かつ前記散乱体を配向するフィルムが、下記式(I)で定義されるRoが−5〜5nm、下記式(II)により定義されるRtが−10〜10nmであることを特徴とする光学フィルム。
式(A)
アスペクト比=L/r1
L :長軸径
r1:短軸径
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここで、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
(2)前記フィルムが、少なくとも分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーXを含有するセルロースエステルフィルムであることを特徴とする前記(1)記載の光学フィルム。
(3)前記フィルムが、少なくとも分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーXおよび芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYを含有するセルロースエステルフィルムであることを特徴とする前記(1)または(2)記載の光学フィルム。
(4)前記ポリマーXが下記一般式(1)で示され、前記ポリマーYが下記一般式(2)で示されることを特徴とする前記(2)または(3)記載の光学フィルム。
一般式(1)
−[CH2−C(−R1)(−CO22)]m−[CH2−C(−R3)(−CO24−OH)−]n−[Xc]p−
一般式(2)
−[CH2−C(−R5)(−CO26)]k−[Yb]q−
(式中、R1、R3、R5は、HまたはCH3を表す。R2、R6は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。R4は−CH2−、−C24−または−C36−を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。m、n、k、pおよびqは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100、k+q=100である。)
(5)吸収型偏光子および該偏光子を挟む二枚の偏光板保護フィルムからなる偏光板であって、前記二枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一枚が前記(1)〜(4)いずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
(6)偏光板1、液晶セル、偏光板2、バックライトユニットがこの順で配置されてなる液晶表示装置において、偏光板2が前記(5)記載の偏光板であり、前記(1)〜(4)いずれかに記載の光学フィルムがバックライトユニット側に配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、偏光子との接着性が改良され部材を軽減した光学フィルム、偏光板、およびそれらを用いた液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
<散乱体>
本発明の散乱体は、一般式(A)で表されるアスペクト比が2以上100以下である形状を有することを特徴とするいわゆる異方性を有する散乱体である。この散乱体の具体例としては、酸化チタンに代表される針状無機粒子、ナノ繊維、ナノロッド、コアシェル構造を有する円柱状粒子、内部に空気のコアを有する円柱状物質などが挙げられる。
針状無機粒子の場合には、粒子自体が散乱体である。コアシェル構造を有する円柱状粒子の例としては、コアの屈折率をシェルの屈折率よりも大きいものとしシェルの屈折率はそれを分散するフィルムを形成する樹脂と同等のものとしたものが挙げられる。この場合コア部分が散乱体となる。内部に空気のコアを有する円柱状物質の散乱体の例としては、シェルの屈折率とそれを分散するフィルムを形成する樹脂の屈折率を同等のものが挙げられる。
本発明の散乱体の典型的な形状を図1および図2に例示するが、形状はこれらに限定されない。
図1は、上記針状粒子を表したものである。図1において、r1は散乱体の短軸径、Lは長軸径を表している。図2は、コアシェル構造を有する散乱体の形状を表している。図2において、r1は散乱体の短軸径、Lは散乱体の長軸径を表している。
本発明でのアスペクト比は、図1および図2においてL/r1を表している。本発明における散乱体のアスペクト比は偏光の分離の関係から2以上100以下である。
なお、本発明の散乱体の径は、透過型電子顕微鏡:TEM(株式会社日立製作所社製H−1700FA型)により観察した写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて10点について計算し、それを単純な円柱形状として平均値を求め、これを径とする。このとき、観察した散乱体は、1000個以上である。
本発明におけるr1はレイリー散乱領域以下であることが好ましい。また、Lはミー散乱もしくは幾何学散乱領域であることが好ましい。
散乱体と散乱との関係については、長軸径(L)と光の波長(λ)との関係により次の3つの場合に大別できる。
(1)幾何光学的領域(L>>λ)
この領域では光の散乱は粒子表面の反射によるため、散乱体の比表面積が大きいほど光の散乱能力も大きくなる。したがって、散乱能Sは長軸径Lの逆数に比例する。
S∝1/L
よって、散乱は長軸径に反比例して大きくなるため、本発明の長軸径Lは700nm以上であることが必要である。好ましくは700nm〜10000nmである。
(2)ミー(Mie)散乱領域(L≒λ)
長軸径と光の波長がほぼ同じレベルの領域ではミー散乱の式が成立する。本発明の散乱はほぼこの領域に当てはまる。
S≒L×2π×K/4(Kは定数)
ミー散乱の場合、光散乱が最大となる径は屈折率にもよるが酸化チタンの場合にはL=λ/2の時になるとされている。(詳しくは石原産業(株)発行のISHIHARA TIPAQUE NEWS 「T100超微粒子酸化チタンについて」、P.Stamatakis et.al.,J.Coatings Tech.,62(10)、951(1990))。よって本発明の長軸径Lは400〜700nmであることが必要である。
(3)レイリー(Rayleigh)散乱領域(L<<λ)
この領域では次のレイリーの式で全散乱能はあらわされる。
S∝L6/λ4
(詳しくは久保輝一郎他著 「粉体」丸善(1985)p177を参照することができる) よって本発明のr1は、400nm以下、好ましくは、50〜350nmであることが好ましい。
以上の領域は長軸径(L)、短軸径(r1)だけでなく屈折率差によっても大きく影響する。一般的に屈折率差が大きいほど長軸径にくらべて波長が小さくてもミー散乱領域となる傾向にある。
本発明の散乱体の素材としては、フィルムを形成するために使用されるポリマーとの屈折率差が0.2以下であることがポリマーおよび散乱体の間での光の干渉、回折、反射などの現象を起こさないため好ましい。光学的に等価であることがもっとも好ましく、この観点から屈折率差が0であることが最も好ましい。
屈折率差を調整する手法としては、散乱体の組成を適宜調整する手法やフィルムを形成するポリマーの屈折率を調整する手法等適宜選択することが出来る。一例として、ポリマーの屈折率を高める手法として、可視光域で散乱を引き起こさない小さな粒径を持つ酸化チタンや酸化ジルコニウム等の金属酸化物等をポリマー粒子中に混合して屈折率を高める事も好ましく用いられる。また、ポリマー屈折率を低下させる手法としては、屈折率が低く可視光域で散乱を引き起こさない粒子を添加する事も好ましく行われる。例えば、中空形状を持つシリカ微粒子などをポリマー中に添加することにより屈折率を低下させることが出来る。
本発明の散乱体の屈折率は次のようにして測定することができる。
アッベの屈折計に偏光接眼レンズを付けた状態で、光学フィルム両面で3軸方向の屈折率の測定を行い、これらを用いて平均屈折率を算出する。この時、光源としては550nmを用いた。散乱体の屈折率の測定の場合は、散乱体を含有しないフィルムを作成し、それと、前記光学フィルムの平均屈折率の差で求めた。
本発明で、散乱体を作成するには公知の手法を利用する事が可能である。一例として、軟化状態のガラスを透明な長尺毛細管に成形する場合、精密に加工した管状のガラス予備成形体を延伸成形して透明な長尺毛細管を作製してもよく、溶融したガラスを精密に成形することにより透明な長尺毛細管を作製してもよい。また、透明な長尺毛細管を構成するガラスとしては、結晶や異物、気泡等を実質的に含まないものであることが重要である。
本発明のガラスとしては特に限定はないが、ケイ酸塩や炭酸塩などを主成分とし、それらの液体状態を急冷して形成される固体のことを含む概念である。主要な成分は二酸化ケイ素(SiO2)である。二酸化ケイ素の比率はガラスの種類によって異なり、一般的にはモル比として55%から80%を占める。
偏光子との接着性の観点からも、使用されるフィルムを形成するポリマーはセルロースエステルが好ましい。一般的にセルロースエステルポリマーの屈折率は1.48程度である。このため、散乱体の素材としては屈折率が1.26〜1.68の範囲である事が好ましい。
散乱体の素材としては、ポリエステル等に代表されるポリマー、無機酸化物ガラス等を使用することが出来る。無機酸化物ガラスであることが好ましい。
現在、偏光板保護フィルムとして使用されているセルロースエステルフィルムはジクロロメタンおよびアルコールの混合溶媒を用いて溶液流延で製造されているため、散乱体の形状異方性を保つためにはこれらの溶剤に対する溶解性が低いものが好ましく用いられる。
フィルム中に中空微粒子、ボイド核剤等を導入し延伸処理をする事により異方性の空気層(ボイド)を散乱体と機能するものとして直接作成する方法も考えられるが、偏光分離能を高めようとするとセルロースエステルフィルムを高倍率で延伸する必要があり保護フィルムとしての寸法安定性の点から、異方性散乱体は別に作成しておき樹脂フィルム中に分散させ流延製膜時に配向させる事が好ましい。
本発明の散乱体を、光学フィルム形成性ポリマーに配向させながら含有させる方法としては、例えば、光学フィルムを溶液流延法で巻き形状に製造する場合、光学フィルムポリマー溶解液を支持体に流延する直前に、散乱体をインライン添加し、そのまま支持体に流延する方法が挙げられる。
インラインで散乱体を添加することにより、ロール状に製膜する方向に散乱体を容易に配向することができる。
これらの製造方法において、支持体上に流延後の製造工程において製膜方向または製膜方向に垂直な方向等の延伸処理をすることが好ましい。この延伸処理によって散乱体の配向が統一され、本発明の効果をより発揮させることができる。延伸倍率は、光学フィルムに使用するポリマーによって異なるが、一般的には製膜方向にたいして1.0〜2.0倍製膜方向に垂直な方向にたいして1.01〜3倍が好ましい。
本発明の散乱体は、光学フィルムを形成するためのポリマーに対して、5〜150体積%含有させることができ、50〜100体積%であることが好ましい。
本発明において、散乱体の70体積%以上の長軸径の方向が、全体の散乱体の平均方向にたいし±20度の配向角の範囲にあることが好ましい。散乱体の配向状態は、電子顕微鏡写真による無作為抽出30検体以上の散乱体について実施することで定める。
なお、本発明において使用する散乱体の体積%とは、TEMによる観察において、直径が軸径r2である長さ長軸径Lの円柱状であると仮定して計算した体積を用いた。
<ポリマーX、ポリマーY>
本発明のRoおよびRthを調整する方法としては、種々の方法が知られておりいずれを採用することもできるが、透明性の点から、分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーX、そしてより好ましくは、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYとを含有したセルロースエステルフィルムであることが好ましい。
一般にモノマー中、特に主鎖に芳香環を有する物質はセルロースエステルの複屈折性と同様に正の複屈折性を持つことが知られており、セルロースエステルフィルムのリターデーション値Rthを打ち消さないため、負の複屈折性を持つ材料をフィルム中に添加することが好ましい。
本発明のポリマーXは分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーであり、下記一般式(1)で表されるポリマーであることが好ましい。
一般式(1)
−[CH2−C(−R1)(−CO22)]m−[CH2−C(−R3)(−CO24−OH)−]n−[Xc]p−
(式中、R1、R3、R5は、HまたはCH3を表す。R2は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。R4は−CH2−、−C24−または−C36−を表す。m、nおよびpは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、m+n+p=100である。)
本発明のポリマーXを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
Xにおいて、親水性基とは、水酸基、エチレンオキシド連鎖を有する基をいう。
分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来る。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(i−、n−)であることが好ましい。
分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を有するモノマー単位として、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることが出来、好ましくは、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)及びメタクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)である。
Xcとしては、Xa、Xb以外のものでかつ共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば、特に制限はないが、芳香環を有していないものが好ましい。
Xa、XbおよびXcのモル組成比m:nは99:1〜65:35の範囲が好ましく、更に好ましくは95:5〜75:25の範囲である。Xcのpは0〜10である。Xcは複数のモノマー単位であってもよい。
Xaのモル組成比が多いとセルロースエステルとの相溶性が良化するがフィルム厚み方向のリターデーション値Rthが大きくなる。Xbのモル組成比が多いと上記相溶性が悪くなるが、Rthを低減させる効果が高い。また、Xbのモル組成比が上記範囲を超えると製膜時にヘイズが出る傾向があり、これらの最適化を図りXa、Xbのモル組成比を決めることが好ましい。
このようなポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で出来るだけ分子量を揃えることの出来る方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いられるが、特に、該公報に記載の方法が好ましい。
ポリマーXの水酸基価は30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
(水酸基価の測定方法)
この測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。この水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。更に空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、次の式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
(式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す)
ポリマーXの分子量は重量平均分子量が5000以上30000以下であり、更に好ましくは8000以上25000以下である。
重量平均分子量を5000以上とすることにより、セルロースエステルフィルムの、高温高湿下における寸法変化が少ない、偏光板保護フィルムとしてカールが少ない等の利点が得られ好ましい。重量平均分子量が30000を以内とした場合は、セルロースエステルとの相溶性がより向上し、高温高湿下においてのブリードアウト、さらには製膜直後でのヘイズの発生が抑制される。
本発明のポリマーXの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することが出来る。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。また、重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われるが、この温度または重合反応時間を調整することで可能である。
重量平均分子量の測定方法は下記方法によることが出来る。
(重量平均分子量測定方法)
重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明のポリマーYは芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーであり、下記一般式(2)で表されるポリマーであることが好ましい。
重量平均分子量500以上ではポリマーの残存モノマーが減少し好ましい。また、3000以下とすることは、リターデーション値Rth低下性能を維持するために好ましい。
一般式(2)
−[CH2−C(−R5)(−CO26)]k−[Yb]q−
(式中、R5は、HまたはCH3を表す。R6は炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。Ybは、Yaと共重合可能なモノマー単位を表す。kおよびqは、モル組成比を表す。ただしk≠0、k+q=100である。)
芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーYを構成するエチレン性不飽和モノマーYaはアクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることが出来る。
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はないが、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等が好ましい。
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はないが、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であってもよい。
ポリマーX、Yを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で出来るだけ分子量を揃えることの出来る方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いられるが、特に、分子中にチオール基と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用する重合方法が好ましい。この場合、ポリマーXおよびポリマーYの末端には、重合触媒および連鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテルを有することとなる。この末端残基により、ポリマーX、Yとセルロースエステルとの相溶性を調整することができる。k+q=100、qは0〜30である。
ポリマーXおよびYの水酸基価は30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
上述のポリマーX、ポリマーYは何れもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
ポリマーXとポリマーYのセルロースエステルフィルム中での含有量は、下記式(i)、式(ii)を満足する範囲であることが好ましい。ポリマーXの含有量をXg(質量%=ポリマーXの質量/セルロースエステルの質量×100)、ポリマーYの含有量をYg(質量%)とすると、
式(i) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
式(ii) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
式(i)の好ましい範囲は、10〜25質量%である。
ポリマーXとポリマーYは総量として5質量%以上であれば、リターデーション値Rthの低減に十分な作用をする。また、総量として35質量%以下であれば、偏光子PVAとの接着性が良好である。
ポリマーXとポリマーYは後述するドープ液を構成する素材として直接添加、溶解するか、もしくはセルロースエステルを溶解する有機溶媒に予め溶解した後ドープ液に添加することが出来る。
<フィルム>
本発明の散乱体を配向するためのフィルムは、23℃、55%RHの環境下における下記式で表される面内リターデーションRoが−5〜5nmで、かつ厚み方向のリターデーションRthが−10〜10nmである。
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここで、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
本発明のリターデーション値Ro、Rthは自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で求めることが出来る。
本発明において、バックライトから入射した光は、その光の偏光方向と散乱体の方向との関係により異なる散乱を受ける。具体的には、散乱体の短軸方向と光の電場の振動が平行な場合散乱体は波長に対して十分に小さい長さのため、光への影響は極めて小さい。一方、散乱体の長軸方向と光の電場の振動が平行な場合、散乱体は波長と同等もしくは波長よりも大きい長さのため大きく影響を受ける。形状異方性を有する散乱体がフィルム中に配向してなる本発明の光学フィルムにおいて、光は偏光分離されることになる。しかしながら、フィルムのリターデーションが大きいと偏光分離した光に影響を及ぼすため光学フィルムから出射する光は直線偏光から楕円偏光へと変換される。このため吸収偏光板による吸収ロスを引き起こし輝度向上率が低下する。
本発明においては、面内および厚み方向のリターデーションを小さく制御することにより、より高い輝度向上効果を発現することが可能となる。
本発明の散乱体を配向させるためのフィルムとしては、セルロースエステル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、シクロオレフィン等光学フィルムとして用いることができる樹脂を使用することができるが、散乱体の配向の容易さから、セルロースエステルフィルムであることが好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は薄い方が出来上がった偏光板が薄くなり、液晶ディスプレイの薄膜化が容易になるため好ましいが、薄過ぎると、透湿度や、引き裂き強度などが劣化する。これらを両立するセルロースエステルフィルムの膜厚は10〜100μmが好ましく、10〜80μmが更に好ましく、20〜60μmが特に好ましい。
セルロースエステルフィルムの幅は、1.4m以上、好ましくは1.4m〜4mの範囲が、生産性の観点から大サイズの液晶表示装置に好ましい。
<セルロースエステル>
本発明に用いられるセルロースエステルは、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることが出来る。
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)58.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは平均酢化度が60.5〜62.5%のセルローストリアセテートである。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
(I)2.6≦X+Y≦3.0
(II)1.0≦X≦2.9
(但し、Xはアセチル基の置換度、Yは炭素数3〜22の脂肪酸エステル基の置換度である。)
アシル基で置換されていない部分は、通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に、綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)から合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
セルロースエステルの分子量が大きいと、熱による弾性率の変化率が小さくなるが、分子量を上げすぎると、セルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎ、生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で30000〜200000のものが好ましく、40000〜170000のものが更に好ましい。
セルロースエステルは、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。pHが6未満の場合、残留有機酸が加熱溶融時にセルロースの劣化を促進させる恐れがあり、pHが7より高い場合、加水分解が促進する恐れがある。また、電気伝導度が100μS/cm以上の場合、残留イオンが比較的多く存在するため、加熱溶融時にセルロースを劣化させる要因になると考えられる。
<可塑剤>
本発明のセルロースエステルフィルムを製膜するのに使用されるドープ中には従来から使用されている低分子の可塑剤、低分子の紫外線吸収剤や低分子の酸化防止剤を本質的に含まないことが好ましいが、必要あれば、若干の量の低分子の可塑剤や低分子の紫外線吸収剤を析出しない程度に補助的に添加してもかまわないが、添加する可塑剤としてはリターデーションRthが上昇しない材料、例えば芳香環を持たない材料が好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、以下の可塑剤を用いることが出来る。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでも良く、また置換基同志が共有結合で結合していても良い。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでも良く、また置換基同志が共有結合で結合していても良い。
更にリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
エチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にエチレングリコール部も置換されていても良く、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
グリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていても良く、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
多価アルコールエステル系の可塑剤:具体的には、特開2003−12823号公報の段落30〜33記載の多価アルコールエステル系可塑剤が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていても良い。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでも良く、またこれら置換基同志が共有結合で結合していても良い。更に多価アルコール部も置換されていても良く、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていても良く、また酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
ジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でも良く、これらの置換基は更に置換されていても良い。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでも良く、またこれら置換基同士が共有結合で結合していても良い。更にフタル酸の芳香環も置換されていて良く、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でも良い。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
<紫外線吸収剤>
液晶画像表示装置に用いる偏光板保護フィルムや他のフィルムには、紫外線吸収剤が含有されており、紫外線吸収剤は屋外で使用する際に液晶や偏光膜の劣化防止の役割をする。本発明のセルロースエステルフィルムにおいても紫外線吸収剤は好ましく用いられる。紫外線吸収剤は波長370nm以下の紫外線を吸収する性能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少なく、透過率が50%以上であることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下である。本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。光に対する安定性を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のTINUVIN109(UV−1とする)、TINUVIN171、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328等を好ましく用いることが出来るが、低分子の紫外線吸収剤は使用量によっては可塑剤同様に製膜中にウェブに析出したり、揮発する場合があるので、その添加量は1〜10質量%である。
本発明においては、上記低分子の紫外線吸収剤より析出等が起こりにくい高分子紫外線吸収剤を、本発明に係るポリマーと共にセルロースエステルフィルムに含有させることがより好ましく、寸法安定性、保留性、透湿性等を損なうことなく、またフィルム中で相分離することもなく安定した状態で紫外線を十分にカットすることが出来る。本発明に有用な高分子紫外線吸収剤としては、特開平6−148430号公報に記載されている高分子紫外線吸収剤や、紫外線吸収剤モノマーを含むポリマーは制限なく使用出来る。
<マット剤>
本発明では、マット剤を光学フィルム中に含有させることができる。これによって、搬送や巻き取りをしやすくすることができる。マット剤の粒径は10nm〜0.1μmの1次粒子もしくは2次粒子であるであることが好ましい。1次粒子の針状比は1.1以下の略球状のマット剤が好ましく用いられる。
微粒子としては、ケイ素を含むものが好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。本発明に好ましい二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることができ、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることができる。ポリマーの微粒子の例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmがより好ましく、5〜12nmがさらに好ましい。1次粒子の平均径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見かけ比重は90〜200g/L以上が好ましく、100〜200g/L以上がより好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の微粒子分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が発生せず好ましい。
本発明におけるマット剤の添加量は、光学フィルム1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gがより好ましく、0.08〜0.16gがさらに好ましい。
<セルロースエステルフィルムの製造方法>
次に、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法について述べる。
本発明におけるセルロースエステルドープの調製方法について述べる。セルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中でフレーク状のセルロースエステルを攪拌しながら溶解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%程度である。更に好ましくは、15〜25質量%である。
本発明に有用なポリマーXおよびYをセルロースエステルドープ中に含有させるには、予め有機溶媒に該ポリマーを溶解してから添加、セルロースエステルドープに直接添加等、添加方法については、制限なく行うことが出来る。この場合、ポリマーがドープ中で白濁したり、相分離したりしないように添加する。
本発明に係るポリマーX、Yに対しても、有機溶媒の選定は、セルロースエステルの良溶媒を用いるのが好ましい。前記のように、低分子可塑剤を使用する場合には、通常の添加方法で行うことが出来、ドープ中に直接添加しても、予め有機溶媒に溶解してからドープ中に注ぎ入れてもよい。
本発明において、散乱体、その他の酸化防止剤、熱安定剤等の種々の添加剤をセルロースエステルドープに添加する際、セルロースエステルドープと各種添加剤を少量のセルロースエステルとを溶解させた溶液にしてインライン添加し混合を行うことも出来好ましい。例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなインラインミキサーを使用するのが好ましい。インラインミキサーを用いる場合、セルロースエステルを高圧下で濃縮溶解したドープに適用するのが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることが出来、加圧下で加熱、攪拌が出来ればよい。
本発明において、セルロースエステルドープは濾過することによって異物、特に液晶画像表示装置において、画像と認識してしまうような異物は除去しなければならい。
次に、セルロースエステルドープを金属支持体上に流延する工程、金属支持体上での乾燥工程及びウェブを金属支持体から剥離する剥離工程について述べる。金属支持体は無限に移行する無端の金属ベルト或いは回転する金属ドラムであり、その表面は鏡面となっている。流延工程は、上記の如きドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、金属支持体上に加圧ダイからドープを流延する工程である。
金属支持体上での乾燥工程は、ウェブ(金属支持体上に流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側及び支持体裏側から加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
本発明に適した金属支持体上での乾燥方法は、例えば、金属支持体温度を0〜40℃、好ましくは5〜30℃として流延するのが好ましい。ウェブに当てる乾燥風は30〜45℃程度が好ましいが、これに限定されない。
剥離工程は、金属支持体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離する工程で、その後ウェブは乾燥工程に送られる。金属支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点といい、また剥離を助けるロールを剥離ロールという。ウェブの厚さにもよるが、剥離点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりすることがある。通常、残留溶媒量が20〜180質量%でウェブの剥離が行われる。本発明において好ましい剥離残留溶媒量は20〜40質量%または60〜150質量%で、特に好ましくは80〜140質量%である。製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)として、残留溶媒量が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。その方法としては、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。
本発明で用いる残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を2.0質量%以下にすることが好ましい、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
ウェブ乾燥工程ではロールを千鳥状に配置したロール乾燥装置、ウェブの両端をクリップで把持しながら、幅保持或いは若干幅方向に延伸するテンター乾燥装置でウェブを搬送しながら乾燥する方式が採られる。本発明においては、テンター乾燥装置支持体より剥離した後任意の過程で、また任意の残留溶媒量の多いところで、幅保持または延伸することによって光学性能の湿度安定性を良好ならしめるため特に好ましい。ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜180℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜160℃の範囲で行うことが更に好ましい。また、リターデーション値Rth、Roを低下させる効果があることから、高温下での乾燥時間を長時間とることが好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、散乱体の配向のため、MD(フィルム搬送方向)およびTD(搬送方向に垂直方向)共に1%以上延伸することが好ましい。面内にリターデーションを持たないフィルムを作製する場合にはMD延伸率とTD延伸率は近いことが好ましいが、MDとTD方向の延伸率が異なってもかまわない。ただし、MD延伸率とTD延伸率の総和は小さい方がリターデーション値Rthは低くなるため、適宜調整する。また、Rthの低減効果の観点から、いずれの延伸時においても高温下で行うことが好ましい。
尚、散乱体の配向および光学フィルムのリターデーション調整のための延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
<偏光板>
本発明の偏光板では、通常吸収型偏光子として使用されるポリビニルアルコール系樹脂を延伸しヨウ素または二色性染料を染色させたものを使用することができる。
以上のようにして得られた偏光子は、その両面または片面に、本発明の光学フィルムを貼り合わせて偏光板として使用される。貼り合わせのための接着剤としては、ポリビニルアルコール系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、なかでもポリビニルアルコール系の接着剤が好ましく用いられる。
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、前記ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。
本発明の光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC10UDR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
また、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは8〜20μmの厚さのハードコート層もしくはアンチグレア層を有することが好ましい。例えば、特開2003−114333号公報、特開2004−203009号公報、2004−354699号公報,2004−354828号公報等記載のハードコート層もしくはアンチグレア層を有する偏光板保護フィルムが好ましく用いられる。更に、該ハードコート層もしくはアンチグレア層の上に少なくとも低屈折率層を含む反射防止層を有することが好ましく、該低屈折率層には中空微粒子を含有することが特に好ましい。
或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明のセルロースエステルフィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。或いは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもよい。この場合は、ケン化適性が低い為、適当な接着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、偏光板1、液晶セル、偏光板2、バックライトユニットがこの順で配置されてなる液晶表示装置であって、偏光板2が本発明の光学フィルムを使用した偏光板であり、さらにその光学フィルムがバックライトユニット側に配置されていることを特徴とする液晶表示装置である。この構成により、偏光板で吸収される光を偏光板に入射する前に散乱させ、光のリサイクルを行うことにより液晶表示装置の輝度を向上させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
(ポリマーXの合成)
攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管および温度計の付いたガラスフラスコに、表1記載の種類及び比率のモノマーXa、Xb混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸2gおよびトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、表1記載の種類及び比率のモノマーXa、Xb混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.4gを3時間かけて滴下した。その後さらに、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させ、ポリマーXを得た。
(ポリマーYの合成)
特開2000−128911号公報に記載の重合方法により塊状重合を行った。すなわち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、投入口及び環流冷却管を備えたフラスコにモノマーとして下記メチルアクリレートを投入し、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素ガスで置換した下記チオグリセロールを攪拌下添加した。
チオグリセロール添加後、4時間重合を行い、内容物を室温に戻し、それにベンゾキノン5質量%テトラヒドロフラン溶液を20質量部添加し、重合を停止させた。内容物をエバポレーターに移し、80℃で減圧下、テトラヒドロフラン、残存モノマー及び残存チオグリセロールを除去し、ポリマーYを得た。
(散乱体の調整)
常圧、室温、空気雰囲気下にて、撹拌速度700rpmで撹拌しているメタノール(JIS規格で純度99.8%以上、水分量0.1%以下)100mlに、チタンイソプロポキシド[Ti(O−iPr)4]2.0mlを0.5分かけて滴下し、90分経過後に反応混合物を採取し、遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥(70℃、1時間)を行った。得られた粒子を700℃で12時間熱処理し、ルチル方酸化チタン微粒子(散乱体A)を得た。針状酸化チタンの形状は、短軸径38nm、長軸径590nm、アスペクト比は16であった。
上記と同様の手法で、短軸径の長径化は反応温度を上げ、長軸の長径化には反応時間を延ばす条件を採用することにより、その他の散乱体を作成した。
Figure 2008020597
(ドープ液の調整)
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1、アセチル基置換度2.92)
100質量部
ポリマーX 12質量部
ポリマーY 6質量部
メチレンクロライド 430質量部
エタノール 40質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.5質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.7質量部
AEROSIL R972V(日本アエロジル(株)製) 0.1質量部
散乱体A 1質量部
(光学フィルムの調整)
ポリマーX、ポリマーYを上記のような添加比率でドープ液を作製し次いで日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、ベルト流延装置を用い、温度22℃、3m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上から剥離し、セルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させた。その後、長手方向に180℃で1.9倍に一軸延伸を行い、110℃の乾燥温度で乾燥させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、内径6インチコアに巻き取り、散乱体Aを含む光学フィルムAを得た。光学フィルムAの膜厚は80μm、巻数は4000mであった。
上記した光学フィルムAの作成と同様の手法で、表2に記載の光学フィルムB〜Rを作成した。また、前記光学フィルムの散乱体を添加せずに同様の手法で製膜を行い、リターデーションを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2008020597
(光学フィルムにおける輝度向上効果の確認)
図3に示した構成からなる輝度向上フィルムの評価系を用い輝度向上度の測定を行った。偏光板としては、日東電工(株)製F1205DUを純水に24時間浸し、片面の保護フィルムを剥離して使用した。なお、輝度向上フィルムは偏光板の吸収軸と散乱体の配向方向が平行になるように配置し測定を行った。
光学フィルムA〜Cは散乱体の軸径変化、光学フィルムDからHは散乱体のアスペクト比変化、光学フィルムIからMはフィルムのRoの変化、光学フィルムNからRはフィルムのRt変化についての結果である。
なお、光学フィルムAからC、DからH、IからM、NからRのなかで、光学フィルムA、F、K、Pを挿入した時に得られたフィルムを未挿入の状態での積分球での測定光量を輝度向上率100%として、輝度向上率の評価結果を表2に示した。
測定結果を表2にまとめて示す。
実施例2
(輝度向上一体型偏光板の作成)
実施例1で作成した光学フィルムと日東電工(株)製の偏光板F1205DUを純水に24時間浸し、保護フィルムの片面を剥離した。実施例1で作成した光学フィルムA〜Rを完全ケン化ポリビニルアルコール溶液を接着剤として、上記の保護フィルムをはがした偏光板に接着を行った。この時、偏光板の吸収軸と光学フィルムの散乱軸は平行となるようにした。
図4に示した構成で輝度向上度についての測定を行った。結果、実施例1とほぼ同様な結果となり本発明の特許の輝度向上偏光板は十分な輝度向上効果を示した。
実施例3
(液晶表示装置の作成)
VA型液晶表示装置であるシャープ製32型テレビAQ−32AD5の予め貼合されていたバックライト側の偏光板を剥がして、実施例2で作製した偏光板AからRをそれぞれ液晶セル(VA型)のガラス面に貼合し、液晶表示装置A〜Rを作製した。
その際、本発明の散乱体を含む光学フィルムがバックライトユニット側で、かつ偏光板の貼合の向きは予め貼合されていた偏光板と同一方向に吸収軸が向くように行った。
液晶表示装置の評価を、ELDIM社製EZ−contrastを用い白表示時の透過光量を測定して行った。
結果、実施例1および2と同様に、本発明の偏光板A、E、F、G、J、K、L、O、P、Qでは十分な輝度向上効果が確認された。
また、視野角の評価の結果は、本発明および比較例すべてにおいて拡大した。
本発明の散乱体の概念図 本発明の散乱体がコアシェル構造である場合の概念図 本発明の光学フィルムにおける輝度向上効果確認のための液晶表示装置図 本発明の光学フィルムを偏光板保護フィルムとして片面に貼り付けた偏光板を使用した液晶表示装置図

Claims (6)

  1. 下記式(A)で表されるアスペクト比が2以上100以下である形状を有する散乱体をフィルム中に配向してなる光学フィルムあって、該散乱体の短軸径がレイリー散乱領域以下であり、長軸径がミー散乱もしくは幾何学散乱領域であり、かつ前記散乱体を配向するフィルムが、下記式(I)で定義されるRoが−5〜5nm、下記式(II)により定義されるRtが−10〜10nmであることを特徴とする光学フィルム。
    式(A)
    アスペクト比=L/r1
    L :長軸径
    r1:短軸径
    式(I) Ro=(nx−ny)×d
    式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
    (ここで、フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚さ方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
  2. 前記フィルムが、少なくとも分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーXを含有するセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム。
  3. 前記フィルムが、少なくとも分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さず親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量5000以上30000以下のポリマーXおよび芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下のポリマーYを含有するセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1または2いずれかの項に記載の光学フィルム。
  4. 前記ポリマーXが下記一般式(1)で示され、前記ポリマーYが下記一般式(2)で示されることを特徴とする請求項2または3いずれかの項に記載の光学フィルム。
    一般式(1)
    −[CH2−C(−R1)(−CO22)]m−[CH2−C(−R3)(−CO24−OH)−]n−[Xc]p−
    一般式(2)
    −[CH2−C(−R5)(−CO26)]k−[Yb]q−
    (式中、R1、R3、R5は、HまたはCH3を表す。R2、R6は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。R4は−CH2−、−C24−または−C36−を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。m、n、k、pおよびqは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100、k+q=100である。)
  5. 吸収型偏光子および該偏光子を挟む二枚の偏光板保護フィルムからなる偏光板であって、前記二枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも一枚が請求項1〜4いずれかの項に記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
  6. 偏光板1、液晶セル、偏光板2、バックライトユニットがこの順で配置されてなる液晶表示装置において、偏光板2が請求項5記載の偏光板であり、請求項1〜4いずれかの項に記載の光学フィルムがバックライトユニット側に配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009113214A1 (ja) * 2008-03-12 2009-09-17 日東電工株式会社 光拡散フィルムおよびその製造方法
JP2010117497A (ja) * 2008-11-12 2010-05-27 Tosoh Corp 光学フィルム
CN108776365A (zh) * 2018-06-21 2018-11-09 惠州市华星光电技术有限公司 导光板结构

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