JP2008020035A - 電食防止用絶縁転がり軸受 - Google Patents

電食防止用絶縁転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示11a、11bの刻印に拘らず、電食防止性能が低下する事がない構造を実現する。
【解決手段】内輪1の内周面及び軸方向両端面に内径側絶縁層9を、外輪3の外周面及び軸方向両端面に外径側絶縁層10を、それぞれ形成する。上記内輪1の内輪肩部13の外周面と、上記外輪3の外輪肩部12の内周面とに、この電食防止用絶縁転がり軸受7の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示11a、11bを刻印する。これら両表示11a、11bは、絶縁不要の部分に設けているので、上記課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、汎用或は鉄道車両用の電動モータの回転軸、或は発電機の回転軸の様に、電流が流れる可能性がある回転支持部に組み込む電食防止用絶縁転がり軸受の改良に関する。
電動モータや発電機等、各種電気機器等の回転軸を支承する為の転がり軸受の場合、対策を講じないと、転がり軸受自体に、帰路電流、モータ軸電流等の電流が流れてしまう。転がり軸受に電流が流れた場合、電流の通路となる部分の腐食が進む、所謂電食が発生して、転がり軸受の寿命を著しく短縮してしまう。この様な電食の発生を防止する為、転がり軸受を構成する外輪や内輪の表面に絶縁層を形成する事で、転がり軸受に電流が流れない様にする電食防止用絶縁転がり軸受が、例えば特許文献1〜3に記載されている様に、従来から知られている。
これら各特許文献に記載された絶縁型の転がり軸受は何れも、転がり軸受を構成する軌道輪のうちで、相手部材を嵌合支持する部分に、セラミック、合成樹脂等の絶縁層を形成して成るもので、例えば図9に示す様に構成されている。転がり軸受は、内輪1の外周面に形成した内輪軌道2と外輪3の内周面に形成した外輪軌道4との間に複数の転動体5を設ける事で、上記内輪1と外輪3との相対的回転を自在としている。そして、この外輪3の外周面及び軸方向両端面に、合成樹脂層、セラミック溶射層等の絶縁層6を形成している。この様な電食防止用絶縁転がり軸受の場合、特許請求の範囲に記載した被覆軌道輪である、上記外輪3を金属製のハウジングに内嵌支持した状態では、上記絶縁層6が、これら外輪3とハウジングとを絶縁する。この結果、これら外輪3とハウジングとの間に電流が流れなくなり、上記転がり軸受の構成各部材1、3、5に、上述した様な電食が発生しなくなる。
ところで、転がり軸受を構成する内輪1或いは外輪3の一部表面に、当該内輪1或いは外輪3を組み込んだ転がり軸受の性能、或いは、製造番号、ロット番号等を表す文字若しくは符号を記載する事が行なわれている。一般的な転がり軸受の場合には、図10に示す様に、内輪1又は外輪3の軸方向端面に、上記文字若しくは符号(同図に「****001」で表した部分)を、レーザマーカ、エアマーカ(圧縮空気により回転駆動される、ドリル状の微小刃物)、打刻により刻印する事が、例えば特許文献4に記載されている様に、従来から行なわれている。又、特許文献5には、外輪の一部に、当該外輪の組み付け方向をけがき線等により表示する事が記載されている。
上述した図10に示した様な、内輪1或いは外輪3の軸方向端面に文字若しくは符号を記載する構造を、前述の図9に示した様な電食防止用絶縁転がり軸受に適用しても、当該文字若しくは記号が絶縁層6で覆われて判別できなくなる可能性がある。又、仮に判別できたとしても、刻印に伴って生じたエッジ(尖鋭端)が放電の起点となり易く、放電が生じた場合には、転がり軸受に電食に基づく損傷が発生する。
特開平1−182621号公報 特開平5−52223号公報 特開平5−312216号公報 特開2005−42895号公報(段落0003) 特開2005−214348号公報(段落0040)
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号の刻印に拘らず、電食防止性能が低下する事がない電食防止用絶縁転がり軸受を実現すべく発明したものである。
本発明の電食防止用絶縁転がり軸受は、何れも、内周面に外輪軌道を有する金属製の外輪と、外周面に内輪軌道を有し、この外輪の内径側にこの外輪と同心に配置された金属製の内輪と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備える。
又、請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受の場合には、上記外輪と上記内輪とのうちの少なくとも一方を被覆軌道輪とし、この被覆軌道輪の表面のうちで、上記外輪軌道又は上記内輪軌道である軌道面を設けた軌道側周面以外の面を絶縁層により被覆している。
特に、請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受に於いては、上記軌道側周面の一部で上記軌道面から外れた部分に、当該軌道側周面を有する被覆軌道輪を含む転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す、文字若しくは符号を刻印している。
この様な請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様に、上記各転動体を保持する円環状の保持器を備える。そして、上記文字若しくは符号は、この保持器により覆われる部分に刻印する。
又、上述の様な請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記被覆軌道輪に関して、軸方向端面のうちの径方向の一部で軌道面を設けた周面寄り部分に、この軸方向端面よりも軸方向に凹んだ凹入部分を、全周に亙って設ける。そして、上記絶縁層は、この軸方向端面からこの凹入部分迄連続して被覆する。
この様な請求項3に記載した電食防止用絶縁転がり軸受を実施する場合に、より好ましくは、請求項4に記載した様に、上記軸方向端面と上記凹入部分との連続部を、頂角が135度以下の尖鋭端としない。具体的には、頂角を135度を上回る角度(例えば150度以上)とするか、連続部を断面円弧形の凸曲面とする。且つ、上記凹入部分の径方向両端縁のうち、軌道面を設けた周面寄りの端縁を、上記軸方向端面よりも、1mm以上軸方向内方に位置させる。
又、請求項5に記載した電食防止用絶縁転がり軸受の場合には、前記外輪と前記内輪とのうちの一方の軌道輪のみを被覆軌道輪とする。そして、この被覆軌道輪の表面のうちで、前記外輪軌道又は前記内輪軌道である軌道面を設けた軌道側周面以外の面を、絶縁層により被覆する。これに対して、上記外輪と上記内輪とのうちの他方の軌道輪を、何れの面も絶縁層により覆われていない露出軌道輪とする。
特に、請求項5に記載した電食防止用絶縁転がり軸受に於いては、上記露出軌道輪の一部表面でこの露出軌道輪の周面に形成した軌道面以外の部分に、この露出軌道輪を含む転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号を刻印する。
この様な請求項5に記載した電食防止用絶縁転がり軸受を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、上記被覆軌道輪のうちで軌道面を設けた周面の一部でこの軌道面から外れた部分に、露出軌道輪の表面に刻印した文字若しくは符号と対応する、第二の文字若しくは符号を刻印する。尚、この様な請求項5〜6に記載した電食防止用絶縁転がり軸受を実施する場合も、上述の請求項2〜4に記載した様な構造を採用できる。
上述の様に構成する本発明の電食防止用絶縁転がり軸受の場合には、電食防止性能を低下させる事なく、性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号の刻印を設けられる。即ち、この刻印を、軌道輪の表面のうちで絶縁層により被覆されない部分、即ち、相手面との間の絶縁を必要としない部分に設けているので、上記刻印の存在により上記電食防止性能が損なわれる事はない。この為、電食防止用絶縁転がり軸受本来の性能を確保しつつ、この電食防止用絶縁転がり軸受の品質管理を効果的に図れる。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1〜2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の電食防止用絶縁転がり軸受7は、外周面に内輪軌道2を形成した内輪1と、内周面に外輪軌道4を形成した外輪3とを同心に配置すると共に、これら内輪軌道2と外輪軌道4との間に複数の転動体5、5を、保持器8により保持した状態で、転動自在に設けている。又、上記内輪1の内周面及び軸方向両端面に内径側絶縁層9を形成して、この内輪1を回転軸等の内径側相手部材に外嵌固定した状態で、これら内輪1と内径側相手部材との間に電流が流れない様にしている。又、外輪3の外周面及び軸方向両端面に外径側絶縁層10を形成して、この外輪3をハウジング等の外径側相手部材に内嵌固定した状態で、これら外輪3と外径側相手部材との間に電流が流れない様にしている。上記内径側、外径側両絶縁層9、10として本例の場合には、セラミック溶射層を使用している。
この様な電食防止用絶縁転がり軸受の場合、何れも特許請求の範囲に記載した被覆軌道輪である、上記内輪1を金属製の回転軸に外嵌固定すると共に、上記外輪3を金属製のハウジングに内嵌固定した状態では、上記内径側、外径側両絶縁層9、10が、このハウジングと上記回転軸との間を絶縁する。この結果、これらハウジングと回転軸との間に電流が流れなくなり、上記転がり軸受の構成各部材1、3、5に、前述した様な電食が発生しなくなる。
本例の場合には、上述の様な電食防止用絶縁転がり軸受7を構成する、上記内輪1の一部外周面と、上記外輪3の一部内周面とに、この電食防止用絶縁転がり軸受7の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示11a、11bを刻印している。先ず、上記外輪3に関しては、この外輪3の内周面中間部に形成した外輪軌道4を軸方向両側から挟む1対の外輪肩部12、12のうちの一方{図1の(C)の右方}の外輪肩部12の内周面に、上記表示11aを、エアマーカ或いはレーザマーカにより刻印している。又、上記内輪1に関しては、この内輪1の外周面中間部に形成した内輪軌道2を軸方向両側から挟む1対の内輪肩部13、13のうちの一方{図1の(D)の右方}の内輪肩部13の外周面に、上記表示11bを、同様の方法により刻印している。これら両刻印11a、11bは、放電の起点となって電食防止性能に悪影響を及ぼす可能性をできるだけ低く抑える為に、上記両軌道2、4に悪影響を及ぼさない範囲で、極力上記内輪1及び上記外輪3の軸方向中央寄り部分に刻印する。従って、上記内輪肩部13の外周面及び上記外輪肩部12の内周面で、上記両表示11a、11bを刻印した部分は、上記電食防止用絶縁転がり軸受7を組み立てた状態で、前記保持器8により覆われる。
上述の様に構成する本例の電食防止用絶縁転がり軸受7の場合には、電食防止性能を低下させる事なく、性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号の表示11a、11bを刻印できる。即ち、上記内輪1及び上記外輪3の何れに就いても、これら両表示を、これら内輪1及び外輪3の周面のうちで内径側、外径側両絶縁層9、10により被覆されない部分、即ち、相手面である回転軸或いはハウジングとの間の絶縁を必要としない部分に設けているので、上記表示11a、11bの刻印の存在により上記電食防止性能が損なわれる事はない。又、これら表示11a、11bは、上記保持器8により覆われてはいるが、この保持器8を径方向に押し動かす事で確認できるし、仮に上記電食防止用絶縁転がり軸受7に何らかの問題が生じた場合には、当該電食防止用絶縁転がり軸受7を分解する事で確認できる。この為、電食防止用絶縁転がり軸受7本来の性能を確保しつつ、この電食防止用絶縁転がり軸受7の品質管理を効果的に図れる。
[実施の形態の第2例]
図2〜3は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、外輪3の軸方向両端面14、14と内周面15との間に、この外輪3の中心軸に対し45度傾斜した、部分円すい凹面状の面取り部16、16を形成している。これら両面取り部16、16部分が、特許請求の範囲に記載した凹入部分となる。そして、上記両面取り部16、16の外周縁と上記軸方向両端面14、14との連続部17、17を、断面形状が部分円弧状で、曲率半径rが1mm以上である、凸曲面18としている。又、上記両面取り部16、16の内周縁部分(に被覆した外径側絶縁層10の表面)と上記軸方向両端面14、14(に被覆したこの外径側絶縁層10の表面)との、上記外輪3の軸方向に関する距離(=上記面取り部16の内周縁部分を被覆した外径側絶縁層10の表面とハウジング19との距離)Lを、1mm以上確保している。電食防止用絶縁転がり軸受7aの性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、外輪肩部12の内周面{図1の(C)参照}に刻印している。
上述の様に構成する本例の構造によれば、上記外輪3と、この外輪3と接触した、導電材製のハウジング19との間を電流が流れようとした場合でも、このハウジング19と対向する上記連続部17への電流の集中程度は限られる。即ち、この連続部17は、断面形状の曲率半径rが1mm以上の部分円弧状の凸曲面18であり、尖鋭端ではないので、上記連続部17に電流が集中する程度を抑えられる。この為、汎用或は鉄道車両用の電動モータの回転軸、或は発電機の回転軸の回転支持部に組み込んだ電食防止用絶縁転がり軸受に加わる程度の電圧(DC1000V以下)であれば、上記連続部17と上記ハウジング19との間でスパークが発生する事は殆どなくなる。この為、電食防止用絶縁転がり軸受の耐久性を十分に確保できる。
尚、本発明者が、上記曲率半径rを、0.6mm、1.0mm、1.2mm、1.5mmの4段階に変化させて、上記外輪3と上記ハウジング19との間に1000Vの直流電圧を印加した場合に、上記曲率半径rが、0.6mmの場合には、上記連続部17部分でスパークが発生したのに対して、この曲率半径rが、1.0mm、1.2mm、1.5mmである場合には、スパークは発生しなかった。尚、実験では、外径側絶縁層10の材質をホワイトアルミナとし、厚さを0.2mmとした。又、上記面取り部16の内周縁部分を被覆したこの外径側絶縁層10の表面と上記ハウジング19との距離Lは1.0mmとした。
この様な実験からも明らかな通り、本例の構造の場合には、上記外径側絶縁層10を特に厚くしなくても(例えば0.5mm以下、更には0.3mm以下としても)、上記外輪3と上記導電材製のハウジング19との間でスパークが発生する事を防止できる。この為、使用条件が厳しい場合にも電食を十分効果的に防止できる電食防止用絶縁転がり軸受を、低コストで実現できる。尚、上記連続部17の断面形状の曲率半径rは、好ましくは2mm以上とする。即ち、この曲率半径rの値は、上記面取り部16の内周縁部分を被覆した上記外径側絶縁層10の表面と上記ハウジング19との距離Lを1mm以上(好ましくは2mm以上)確保できる限り、大きくする事が好ましい。この距離Lを確保できる限り、曲率半径rとして、100mmと言った、大きな値を採用する事もできる。
本例の場合には、前述した実施の形態の第1例とは異なり、内輪1には内径側絶縁層を設けていないが、設ける事は自由である。その他の部分の構成及び作用は、上記実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図4も、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本実施例の場合には、被覆軌道輪である外輪3の軸方向端面14の内径寄り部分に形成した凹入部分を、この外輪3の中心軸に対する傾斜角度が互いに異なり、それぞれの母線形状が直線である、複数(図示の例では3個)の部分円すい凹面20a、20b、20cを連続させたものとしている。そして、隣接する部分円すい凹面20a、20b、20c同士の交差角度、及び、最も外径側に存在する部分円すい凹面20cと上記軸方向端面14との連続部17a、17b、17cの頂角を、何れも150度以上(更に好ましくは165度以上)としている。又、本例の場合には、最も内径寄りに存在する上記部分円すい凹面20aの内周縁を被覆した外径側絶縁層10の表面とハウジング19との距離Lを、1mm以上(好ましくは2mm以上)確保している。電食防止用絶縁転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示は、前述した実施の形態の第1例及び上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、外輪肩部12の内周面{図1の(C)参照}に刻印している。
上述の様に構成する本例の構造によっても、上記外輪3と、この外輪3と接触した、導電材製のハウジング19との間を電流が流れようとした場合に於ける、このハウジング19と対向する上記各連続部17a、17b、17cへの電流の集中程度は限られる。即ち、これら各連続部17a、17b、17cは、頂角が150度以上(更に好ましくは165度以上)であり、尖鋭端ではないので、上記各連続部17a、17b、17cに電流が集中する事はなく、電食防止用絶縁転がり軸受の耐久性を十分に確保できる。尚、上記各連続部17a、17b、17cの頂角は、上記部分円すい凹面20aの内周縁を被覆した上記外径側絶縁層10の表面とハウジング19との距離Lを1mm以上(好ましくは2mm以上)確保できる限り、大きくする事が好ましい。逆に言えば、上記各連続部17a、17b、17cの頂角が175度を超えると、上記距離Lを確保する事が難しくなる。従って、これら各連続部17a、17b、17cの頂角は、175度以下に抑える事が現実的である。外径側絶縁層10の厚さが0.5mm未満、特に0.3mm未満の場合に、上記頂角を大きくする事による効果が顕著になる事は、前述した実施の形態の第2例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図5も、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、被覆軌道輪である外輪3の軸方向端面14の内径寄り部分に形成した凹入部分を、母線形状が直線である単一の部分円すい凹面20としている。そして、この部分円すい凹面20と、上記外輪3の軸方向端面14との連続部17dの頂角を、150度以上としている。この様な本例の場合も、この連続部17dとハウジング19との間でスパークが発生する事を防止して、電食防止用絶縁転がり軸受の耐久性を十分に確保できる。電食防止用絶縁転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示は、前述した実施の形態の第1〜2例及び上述した実施の形態の第3例の場合と同様に、外輪肩部12の内周面{図1の(C)参照}に刻印している。その他の部分の構成及び作用は、前述の実施の形態の第1〜2例及び上述の実施の形態の第3例と同様である。
[実施の形態の第5例]
図6も、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、被覆軌道輪である外輪3の軸方向端面14の内径寄り部分に形成した凹入部分を、母線形状が部分円弧状の凸曲面18aとしている。そして、上記軸方向端面14の母線を、この凸曲面18aの母線の接線方向に配置している。この様な本例の場合も、この凸曲面18aと上記軸方向端面14との連続部17を含め、上記外輪3とハウジング19との間でスパークが発生する事を防止して、電食防止用絶縁転がり軸受の耐久性を十分に確保できる。電食防止用絶縁転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号である表示は、前述した実施の形態の第1〜3例及び上述した実施の形態の第4例の場合と同様に、外輪肩部12の内周面{図1の(C)参照}に刻印している。その他の部分の構成及び作用は、前述の実施の形態の第1〜3例及び上述の実施の形態の第4例と同様である。
[実施の形態の第6例]
図7は、請求項5〜6に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、内輪1の内周面及び軸方向両端面を内径側絶縁層9により被覆しているが、外輪3の表面には絶縁層を被覆せず、この外輪3を構成する金属材料(軸受鋼)を露出させている。即ち、本例の場合には、上記内輪1を特許請求の範囲に記載した被覆軌道輪とし、上記外輪3を露出軌道輪としている。そして、この外輪3の軸方向端面に、この外輪3を含む電食防止用絶縁転がり軸受7bの性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号を表す表示11cを刻印している。更に本例の場合には、上記内輪1の内輪肩部13の外周面に、上記外輪3に刻印した上記表示11cと対応する、第二の文字若しくは符号の表示11dを刻印している。
本例の場合、回転軸とハウジングとの間の絶縁は、上記内径側絶縁層9のみで図る。上記外輪3とハウジングとの間は絶縁しない。この様な本例の場合、上記両表示11c、11dの刻印は、相手面である回転軸或いはハウジングとの間の絶縁を必要としない部分に設けているので、上記表示11c、11dの刻印の存在により上記電食防止性能が損なわれる事はない。上記外輪3に刻印した上記表示11cは、この外輪3の軸方向端面の目立つ部分に設けている為、上記電食防止用絶縁転がり軸受7bの品質管理等を容易に行なえる。
又、本例の場合には、上記被覆軌道輪である内輪1に、上記外輪3に刻印した上記表示11cと対応する表示11dを刻印している為、上記電食防止用絶縁転がり軸受7bの使用状態で、上記内輪1と上記外輪3とを正しく対応させる事ができる。例えば、この電食防止用絶縁転がり軸受7bが円すいころ軸受である場合、軸受工場で造った電食防止用絶縁転がり軸受7bを、分解した状態で電動モータ、発電機等の製造工場に運び、この製造工場で組み立てる事がある。この様な場合に上記表示11dを刻印しておけば、上記内輪1と上記外輪3とを正しく対応させて、上記電食防止用絶縁転がり軸受7bの性能を十分に発揮させる事ができる。その他の部分の構成及び作用は、前述の実施の形態の第1例と同様である。尚、本例に関しても、内径側絶縁層9の端縁部の形状を(径方向に関する内外を逆にして)前述の図2〜6に示す様な形状とする事が好ましい。
[実施の形態の第7例]
図8も、請求項5〜6に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、外輪3の外周面及び軸方向両端面を外径側絶縁層10により被覆しているが、内輪1の表面には絶縁層を被覆せず、この内輪1を構成する金属材料(軸受鋼)を露出させている。即ち、本例の場合には、上記外輪3を特許請求の範囲に記載した被覆軌道輪とし、上記内輪1を露出軌道輪としている。そして、この内輪1の軸方向端面に、この内輪1を含む電食防止用絶縁転がり軸受7cの性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号を表す表示11cを刻印している。更に本例の場合には、上記外輪3の外輪肩部12の内周面に、上記内輪1に刻印した上記表示11cと対応する、第二の文字若しくは符号の表示11dを刻印している。被覆軌道輪と露出軌道輪とが内外逆になった以外の構成及び作用は、上述した実施の形態の第6例の場合と同様である。本例に関しても、上記外径側絶縁層の端縁部の形状を、前述の図2〜6に示す様な形状とする事が好ましい。
本発明を実施する場合に、各実施例を組み合わせて実施する事もできる。又、本発明は、図示の様な単列深溝型の玉軸受に限らず、アンギュラ型、複列等、他の型式の玉軸受や、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受等、他の型式の転がり軸受で実施する事もできる。
本発明の実施の形態の第1例を示しており、(A)は全体の断面図、(B)は側面図、(C)は外輪の断面図、(D)は内輪を(B)の側方から見た図。 本発明の実施の形態の第2例を、ハウジングに装着した状態で示す部分断面図。 図2のX部拡大図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図3と同様の図。 同第4例を示す、図3と同様の図。 同第5例を示す、図3と同様の図。 同第6例を示しており、(A)は全体を示す側面図、(B)は内輪を取り出して(A)の側方から見た図。 同第7例を示しており、(A)は全体を示す側面図、(B)は外輪を取り出して示す断面図。 従来構造の第1例を示す半部断面図。 同第2例を示す側面図。
符号の説明
1 内輪
2 内輪軌道
3 外輪
4 外輪軌道
5 転動体
6 絶縁層
7、7a、7b、7c 電食防止用絶縁転がり軸受
8 保持器
9 内径側絶縁層
10 外径側絶縁層
11a、11b、11c 表示
12 外輪肩部
13 内輪肩部
14 端面
15 内周面
16 面取り部
17、17a、17b、17c、17d 連続部
18、18a 凸曲面
19 ハウジング
20、20a、20b、20c 部分円すい凹面

Claims (6)

  1. 内周面に外輪軌道を有する金属製の外輪と、外周面に内輪軌道を有し、この外輪の内径側にこの外輪と同心に配置された金属製の内輪と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備え、上記外輪と上記内輪とのうちの少なくとも一方を被覆軌道輪とし、この被覆軌道輪の表面のうちで、上記外輪軌道又は上記内輪軌道である軌道面を設けた軌道側周面以外の面を絶縁層により被覆した電食防止用絶縁転がり軸受に於いて、この軌道側周面の一部で上記軌道面から外れた部分に、当該軌道側周面を有する被覆軌道輪を含む転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号を刻印した事を特徴とする電食防止用絶縁転がり軸受。
  2. 各転動体を保持する円環状の保持器を備え、文字若しくは符号は、この保持器により覆われる部分に刻印されている、請求項1に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
  3. 被覆軌道輪に関して、軸方向端面のうちの径方向の一部で軌道面を設けた周面寄り部分に、この軸方向端面よりも軸方向に凹んだ凹入部分が、全周に亙って設けられており、絶縁層は、この軸方向端面からこの凹入部分迄連続して被覆されている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
  4. 軸方向端面と凹入部分との連続部が、頂角が135度以下の尖鋭端でなく、この凹入部分の径方向両端縁のうち、軌道面を設けた周面寄りの端縁が、上記軸方向端面よりも、1mm以上軸方向内方に位置している、請求項3に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
  5. 内周面に外輪軌道を有する金属製の外輪と、外周面に内輪軌道を有し、この外輪の内径側にこの外輪と同心に配置された金属製の内輪と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備え、上記外輪と上記内輪とのうちの一方の軌道輪のみを被覆軌道輪とし、この被覆軌道輪の表面のうちで、上記外輪軌道又は上記内輪軌道である軌道面を設けた軌道側周面以外の面を絶縁層により被覆し、上記外輪と上記内輪とのうちの他方の軌道輪を、何れの面も絶縁層により覆われていない露出軌道輪とした電食防止用絶縁転がり軸受に於いて、この露出軌道輪の一部表面でこの露出軌道輪の周面に形成した軌道面以外の部分に、この露出軌道輪を含む転がり軸受の性状若しくは履歴に関する情報を表す文字若しくは符号を刻印した事を特徴とする電食防止用絶縁転がり軸受。
  6. 被覆軌道輪のうちで軌道面を設けた周面の一部でこの軌道面から外れた部分に、露出軌道輪の表面に刻印した文字若しくは符号と対応する、第二の文字若しくは符号が刻印されている、請求項5に記載した電食防止用絶縁転がり軸受。
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