JP2008018365A - たんぱく質除去用濾材、たんぱく質除去方法、並びに滓下げ方法 - Google Patents

たんぱく質除去用濾材、たんぱく質除去方法、並びに滓下げ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】対象となる液体中のたんぱく質を、前記液体の品質を劣化させることなく迅速に除去することができるたんぱく質除去用濾材を提供する。
【解決手段】カオリン鉱物に強酸を加え、水熱処理と焼成処理を施すことにより得られる多孔質体からなる。この濾材に、たんぱく質除去対象となる液体を接触させる。これにより、液体中のたんぱく質を濾材にて捕捉して速やかに吸着除去することができる。このとき加熱等の処理が不要である。また、濾材は能力が低下しても容易に再生して、繰り返し使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体中からたんぱく質を除去するたんぱく質除去用濾材、このたんぱく質除去用濾材を用いたたんぱく質除去方法、並びに滓下げ方法に関するものである。
醸造液、特に清酒の評価項目には、サエやテリと呼ばれるものがあり、白濁が生じた清酒はサエが悪いとして高い評価が得られない。この白濁の原因には白ボケと呼ばれるたんぱく混濁と、火落菌による火落とがあり、このような白濁の除去のためには珪藻土や活性炭による濾過が為されているが、たんぱく混濁は前記濾過のみでは除去できないため、火入れ及び滓下げと呼ばれる操作が必要とされている。また、みりんを調理、加工に使用する際には、白濁現象や、泡の発生を伴い商品価値を低下させるニキリ現象が生じる場合がある。このニキリの原因物質としてもたんぱく質が挙げられるため、やはり滓下げの操作が必要とされる。
従来の清酒等等の醸造液に対する滓下げ方法としては、柿しぶ(タンニン)、ゼラチン、シリカ、二酸化珪素ゾル等を混入して滓を強制的に形成させ、固いフロックとして沈降除去する方法、プロテアーゼにより混濁物質であるタンパクの末端を切断し、切断部分でタンパク同士を結合させて凝集させる方法、限外濾過膜により濾過する方法等が知られている。これらの方法については、財団法人日本醸造協会発行の「増補改訂清酒製造技術」に詳しく記載されている。
しかし、上記従来方法のうち、柿しぶ(タンニン)、ゼラチン、シリカ、二酸化珪素ゾル等を用いる方法では酒質によってこれらの添加量が変動するため、ときにはフロックの凝集度が低くて沈降に多大な日数を要したり、滓下げ剤が過剰になったりするという問題があった。また、殊にゼラチンは近年のBSE(牛海綿状脳症)問題やアレルギー物質表示の問題から使用を避けるようになってきている。
また。プロテアーゼを用いる方法では処理に長時間かかる上に、ロット間の配合が難しいという問題があった。
また、限外濾過膜を用いる方法は、浸透圧が高くなると濾過速度が落ちる上に、滓の原因物質以外の成分まで除去してしまうため、酒の味が変化して旨みがなくなる等の問題があった。
このような問題を解決するため、例えばセピオライト原石を焼成した多孔質体と醸造液と接触させることで滓下げを行う方法(特許文献1参照)が提案されているが、処理後の醸造液に着色が生じてしまうことがあるという問題があった。また、ゼオライト原石を焼成した多孔質体に醤油等を55℃以上の温度で接触させる方法(特許文献1参照)や、醸造液を所定の温度域で未焼成のセピオライトと接触させる方法(特許文献2参照)も提案されているが、処理温度が高いため製品の着色度が上昇したり製品の香りが変わってしまうおそれがあるため、別途活性炭処理工程等を追加する必要があった。
そのため、醸造液中のたんぱく質を品質を損なうことなく迅速に除去することにより滓下げを行うことができる技術が求められている。またこのような技術を得ることができれば、醸造液の滓下げに限らず、各種の動物や植物等から得られる抽出液等からたんぱく質を除去するために応用することもできるようになる。
特開2000-106863号公報 特開2000-152765号公報 特開2001-128657号公報
本発明は上記の問題に鑑みて為されたものであり、対象となる液体中のたんぱく質を、前記液体の品質を劣化させることなく迅速に除去することができるたんぱく質除去用濾材、このたんぱく質除去用濾材を用いたたんぱく質除去方法、並びにこのたんぱく質除去方法を利用した醸造液の滓下げ方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは鋭意研究の結果、加熱することなく滓下げに必要とされるたんぱく質除去性能を有すると共に品質の変化を生じることなく迅速なたんぱく質除去が可能な濾材を用いてたんぱく質の除去を行う手法を見出し、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、請求項1に係るたんぱく質除去用濾材は、カオリン鉱物に強酸を加え、水熱処理と焼成処理を施すことにより得られる多孔質体からなることを特徴とする。
請求項2に係るたんぱく質除去方法は、カオリン鉱物に強酸を加え、水熱処理と焼成処理を施すことにより得られる多孔質体からなる濾材に、たんぱく質除去対象となる液体を接触させることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1において、上記濾材をカラムに充填し、このカラムに上記たんぱく質除去対象となる液体を通液することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2又は3において、上記たんぱく質除去対象となる液体が、植物又は動物から得られた液体であることを特徴とする。
請求項5に係る滓下げ方法は、請求項2又は3に記載の方法を用いて醸造液の滓下げを行うことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、たんぱく質除去用濾材をたんぱく質除去対象となる液体と接触させることで、この液体中のたんぱく質を濾材にて捕捉して速やかに吸着除去することができ、液体中のたんぱく質を迅速に効率よく除去してこの液体中のたんぱく質濃度を低減することができるものであり、またこのとき加熱等の処理が不要であって液体の品質変化や着色の発生を抑制することができるものである。また、濾材は能力が低下しても容易に再生して、繰り返し使用することができるものである。
請求項2に係る発明によれば、たんぱく質除去対象となる液体中のたんぱく質を濾材にて捕捉して速やかに吸着除去することができ、液体中のたんぱく質を迅速に効率よく除去してこの液体中のたんぱく質濃度を低減することができるものであり、またこのとき加熱等の処理が不要であって液体の品質変化や着色の発生を抑制することができるものである。また、濾材は能力が低下しても容易に再生して、繰り返し使用することができるものである。
請求項3に係る発明によれば、連続的な処理にて液体からのたんぱく質の除去が可能であり、且つ液体と濾材とを分離するための操作も不要となって、更に効率良くたんぱく質の除去を行うことができるものである。
また、請求項4に係る発明によれば、動植物から得られる液体からもたんぱく質を除去することができ、例えばこの液体を原料とした加工品にたんぱく質に起因する白濁等が生じることを防止することができる。
また、請求項5に係る発明によれば、醸造液からたんぱく質を除去することで滓下げを迅速に効率良く行うことができると共に、醸造液の品質変化の発生を防止することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明にて用いられる濾材は、カオリン鉱物を原料として得られる。
カオリン鉱物として用いられるカオリナイトは、アルミニウムの含水珪酸塩で、カオリン鉱物中では最も代表的なものであり、三斜晶系に属する小さな偽六角形の薄片状や燐片状の結晶を作るほか、塊状や緻密土状、粘土状の塊のものもある。
カオリン鉱物は、上記カオリナイト以外にディッカイト、ナクライト、ハロイサイトから選択された一種又は複数のものが主成分であれば良く、天然品もしくは合成品のどちらでも良い。このようなカオリン鉱物の一例としては蛙目粘土を挙げることができる。
このカオリン鉱物に強酸を加え、水熱処理と焼成処理を施すことに多孔質体を得ることができる。この多孔質体を、たんぱく質除去用濾材(以下、濾材という)として用いることができる。
強酸としては、カオリン鉱物を10%スラリーにした状態でpHが4.0以下になるものを用いることができる。この強酸は、無機酸、有機酸のいずれでも良い。
水熱処理は、好ましくは100℃以上で1時間以上行う。前記処理温度は100〜250℃の範囲が特に好ましい。この水熱処理条件が弱いと得られたスラリー又は多孔質体の細孔量が少なく、逆に水熱処理条件が強過ぎるとカオリン鉱物の分解が発生する上、燃費等が余計にかかって不経済であるという問題が生じる。
水熱処理後のスラリー又は粉体には、必要に応じて造粒処理を施す。造粒方法は転動造粒法,粉霧乾燥造粒法,攪拌造粒法,真空乾燥造粒法,流動層造粒法等多くの造粒法の何れを用いても良い。ここで、濾材をカラムに充填して使用する場合には、造粒径が小さいほど液体との接触面積が増えるため、濾過効率が高くなるが、この造粒径が過小であると圧力損失が増えて液体の流れが悪くなるという問題が生じる。このため濾材の平均粒径は10μm以上であることが好ましく、実用的には液体の粘度等に応じて100μm〜2mmの範囲とすることが好ましい。
また、焼成処理は適宜の条件で行うことができるが、焼成温度は350〜1000℃の範囲が好ましく、また焼成時間は1〜5時間の範囲が好ましい。ここで示差熱分析のデータによれば、上記カオリン鉱物はOHの形で含まれている水が400℃前後から脱水し始め、600℃前後で大きい吸熱ピークをつくって脱水し、この脱水が終わった後メタカオリンになり、更に970℃〜1000℃付近でγアルミナ又はムライトの結晶化に起因する発熱ピークが現れ、焼成収縮が始まる。そのため焼成温度が350℃以下では結晶水の放出が十分行われず、メタカオリン化が不十分となって細孔量が少なくなり、焼成温度が1000℃以上では、焼成収縮が始まる為、細孔がつぶされて細孔量が少なくなる。従って焼成温度は前記の通り、350〜1000℃の範囲が好ましいものである。
このようにして得られる濾材は上記製造過程において原料であるカオリナイト原石の結晶構造が変化し、50〜1000nmの範囲に細孔径分布のピークが生じると共に比表面積が極めて大きなものとなることで、たんぱく質を捕捉するために適したものとなり、分子量3500以上程度或いは5000以上程度で広い範囲の分子量のたんぱく質を吸着除去することができるようになる。ここで、前記たんぱく質にはポリペプチド類も含まれる。このとき、この濾材によっては、旨味成分に欠かせないといわれる低分子量のペプチドは除去されにくく、滓等の原因となるたんぱく質のみを十分に低減することができる。
このような濾材をたんぱく質を含む液体と接触させた場合、液体中の分子量5000以上のたんぱく質が濾材の細孔に捕捉されて速やかに吸着除去され、またこの吸着したたんぱく質は再び液体中に溶出することがなくなる。
また、このような濾材によるたんぱく質の捕捉性能が低下した場合には、上記濾材は耐薬品性及び耐熱性が高いため、種々の薬品で処理したり加熱処理を施したりするなどして、濾材を変質させることなくこの濾材からたんぱく質を容易に除去又は変性させることが可能となり、たんぱく質の捕捉性能を再生させて、濾材を繰り返し再生して利用することが可能となる。ここで、濾材を再生する方法としては種々のものを挙げることができるが、例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液による処理、水酸化ナトリウム水溶液による処理、尿素水溶液による処理等のような薬剤による処理や、500〜600℃の温度での焼成処理を挙げることができる。
上記のようなたんぱく質除去性能は、清酒、みりん、発酵調味料、ビール、発泡酒、醤油、白醤油、ワイン等の各種醸造液における滓下げを行うために好適なものであり、前記のような醸造液を上記濾過材に接触させることでこの醸造液から滓の原因となるたんぱく質を高効率で迅速に除去して滓下げを行うことが可能となる。またこのとき濾材に加熱処理を施すことなく処理を行うことができると共に、滓の原因物質以外の成分までもが除去されることを抑制し、滓下げを行うことによる醸造液の品質低下を抑制することができる。
また、上記濾材によるたんぱく質の除去は、醸造液の滓下げのみならず、野菜や果物等の植物や、家畜・魚介類等の動物から得られる液体からたんぱく質を除去するためにも適用することができる。このような液体としては、動植物を採取した際や冷凍、解凍した際に出てくる液体、動植物を水・有機溶媒(エタノール等)で処理してこの動植物の旨味成分等を抽出した抽出液等を挙げることができる。これらの液体について上記濾材を用いてたんぱく質の除去を行うと、この液体を原料とした加工品にたんぱく質に起因する白濁が発生することを防止することができる。例えば鰹節、むろあじ節、鰹節エキス、昆布エキス等を水や湯などで煮出して抽出した風味原料溶液について上記濾材を用いてたんぱく質の除去を行うことにより、この風味原料溶液を醤油、みりん、発酵調味料等と混合して製造されるうどん、そば等のだしつゆに白濁が生じることを防止することができる。
これらの液体中からたんぱく質を除去するための具体的な方法としては、例えばたんぱく質除去対象となる液体中に濾材を投入することで両者を接触させることが挙げられる。このとき液体中を濾材が速やかに沈降する過程においてこの濾材にたんぱく質が吸着除去され、高効率でたんぱく質の除去がなされる。
また、濾材をカラム中に充填し、このカラムにたんぱく質除去対象となる液体を通液する方法も挙げられる。この場合、カラムに液体を通液することで連続的な処理が可能であり、且つ液体と濾材とを分離するための操作も不要となって、更に効率良くたんぱく質の除去を行うことができる。
以下、本発明を実施例を挙げて更に詳述する。
〔1〕清酒からのたんぱく質の除去
(濾材)
愛知県瀬戸地区で産出したカオリナイトを主成分とする蛙目粘土に塩酸を加えてpH0.5の10%スラリーを調整した。このスラリーをテフロン(登録商標)内装モーレ型ボンベに封入し、循環式温風乾燥にて220℃で18時間放置して水熱処理を行い、スラリーを取り出して濾過,水洗した後、乾燥させてサンプルミルで粉砕して粉体を得た。
この粉体と、上記濾過・水洗したスラリーとを、スプレードライヤーを用いて造粒し、造粒乾燥体を得た。
そして、上記造粒乾燥体を電気炉にて700℃、2時間焼成して、平均粒径170μmの粒状の濾材を得た。
この濾材について、10〜100nmの細孔径範囲における、積算細孔量(cm3/g)とlog微分細孔量(cm3/g)とを水銀圧入法で測定した結果を図1に示す。
(未処理試料1)
愛知県内酒造メーカーで製造された、滓下げが為されていない白濁を生じた清酒を未処理試料1とする。
(処理済試料1)
上記濾材を直径8mm、長さ170mmのカラム(バイオラット社製)に3.1g充填した。
そして、上記カラムを上下方向に配置した状態で上端から上記未処理試料1を供給すると共に下端からカラムを通液した試料を導出し、処理済試料1を得た。このとき120〜140mlの試料が約1〜2分かけて通液された。
(電気泳動試験)
上記未処理試料1及び処理済試料1のそれぞれについて、透析チューブ(Spectrum. Medical Industries社製、spec/por3,分画分子量3500)を用いて蒸留水中で透析することにより低分子量の糖類を除去した後、凍結乾燥して0.8mlの蒸留水に溶解し、下記表1に示す組成のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)用サンプル緩衝液と1:1の割合で混合して、電気泳動試料を調製した。
次いで、上記電気泳動試料について、電気泳動装置(アナテック株式会社製、3072w型)を用い、下記表2に示す組成を有する15%ポリアクリルアミドゲルを用いて、SDS−PAGEを行った。試験にあたっては、各電気泳動試料10μlを濃縮ゲル中に添加し、試料が濃縮ゲルに入るまでを5mA、濃縮ゲル中を10mA、分離ゲル中を15mAの定電流で泳動させた。
そして、泳動後のゲルの染色を下記表3に示す組成の染色液で行い、脱色を下記表4に示す組成の脱色液で行った。
(品質試験)
各試料のボーメ度、アルコール濃度、酸度、アミノ酸度を、国税庁所定分析法注解の清酒の項に従って分析した。
(結果及び考察)
図2に未処理試料1及び処理済試料1についての電気泳動試験の結果を示す。その結果、未処理試料1中には低分子から高分子の種々のたんぱく質が存在し、これが混濁の原因物質であると考えられる。一方、処理済試料1には、広い範囲分子量範囲でたんぱく質の含有量が低減されることが確認され、上記濾材によるたんぱく質除去が滓下げに非常に有用な手段であることが確認された。
また、各試料の品質試験結果によると、未処理試料1と処理済試料1では、共にボーメ度が+5、アルコール濃度が17.4、酸度が19.0、アミノ酸度が1.20となって、変化は認められず、上記濾材によるたんぱく質除去によっては清酒の品質変化が生じず、低分子量のペプチドは除去されないことが確認された。
〔2〕濾材の再生
同じ濾材を用いて上記の清酒からのたんぱく質の除去を繰り返し行い、100回目に得られた試料を処理済試料2とする。
次いで、処理済試料2を得た後の濾材について、カラム内に有効塩素濃度0.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を5時間循環させ、その後、このカラムに蒸留水を通水してカラムから導出される排液の有効塩素濃度が0.1ppm以下となるまで洗浄することにより、濾材に再生処理を施した。
この再生後の濾材について、上記清酒からのたんぱく質の除去と同様に、未処理試料1に対してたんぱく質除去処理を施し、処理済試料3を得た。
この処理済試料2,3について電気泳動試験を行った。その結果、図2に示すように、繰り返し使用された濾材を用いて得られた処理済試料2ではたんぱく質が十分に除去されなかったのに対して、再生処理を施した濾材を用いて得られた処理済試料3では広い範囲分子量範囲でたんぱく質の含有量が低減されることが確認され、再生処理によって濾材のたんぱく質除去性能が回復したことが確認された。
3.みりんからのたんぱく質の除去
(未処理試料2)
精米歩合80%のうるち米を46時間製麹して米麹を調製した。
また、もち米を15℃で6時間浸漬後、水切り、50分間蒸煮後、30℃まで放冷した。
次いで、下記表5に示す仕込配合で仕込を行い、仕込後、新日本化学株式会社製の蛋白分解酵素(スミチームLP50)を総米に対して重量比で10000分の1量添加し、蓋をして密閉したのち30℃の恒温槽にて糖化熟成させた。この間、7日に一度、もろみを均一にする混合し、仕込日から30日後にもろみを上槽した後、20日間放置し、滓を自然沈降させ滓引きを行って未処理試料2を得た。
(処理済試料4)
上記「清酒からのたんぱく質の除去」の場合と同一の濾材を直径23mm、長さ150mmのカラム(バイオラット社製)に36.7g充填した。
そして、上記カラムを上下方向に配置した状態で上端から上記未処理試料2を供給すると共に下端からカラムを通液した試料を導出し、処理済試料4を得た。このとき500mlの試料が約3〜5分かけて通液された。
(加熱処理試料、及び比較試料1〜10)
上記未処理試料を容量900mlのビンに800ml入れ、湯煎して87℃に達した後、3分間維持し、更に水冷し30℃まで急冷する加熱処理を施し、加熱処理試料を得た。
この加熱処理試料300mlに対して、柿渋を表7に示す割合で添加し、1分間攪拌した。次いで、50倍に稀釈したオリダイヤを表7に示す割合で添加し、30秒間攪拌した後、24時間静置して滓下げをした。次いで、上澄液と滓部分を分離して上澄液を比較試料1〜10として得た。
(比較試料11〜18)
上記未処理試料300mlに対して、加熱処理が施すことなく、柿渋を表8に示す割合で添加し、1分間攪拌した。次いで、50倍に稀釈したオリダイヤを表8に示す割合で添加し、30秒間攪拌した後、24時間静置して滓下げをした。次いで、上澄液と滓部分を分離して上澄液を比較試料11〜18として得た。
(品質試験)
未処理試料2、加熱試料、処理済試料4、並びに各比較試料について、ボーメ度、アルコール濃度、エキス分、pH、酸度、アミノ酸度、全糖含量、全窒素含量、色度(430nmの吸光度)を測定した。ボーメ度、アルコール濃度、エキス分、酸度、アミノ酸度は国税庁所定分析法注解のみりんの項、全糖分は同じく酒母・もろみの項、全窒素含量は同じく原料米の項、pH、色度(430nmの吸光度)は同じく清酒の項に従い測定した。また、たんぱく質含量を、全窒素含量に6.25を乗じた数として導出した。
(ニキリ測定)
各試料について、ニキリの定量を煮沸、加水、加酎反応、並びにTCA反応により行った。煮沸、加水、加酎反応はそれぞれ山下法を用いた測定により行った。またTCA反応については、試料2.5mlに50%TCA(トリクロロ酢酸)を2.5mlを加えて攪拌した後、10分間静置したものに対し、波長660nmの吸光度を測定した。
また、試料150mlを鍋に入れ、加熱して煮沸させた場合の泡立ちの状貌を観察した。そして、水を沸騰した場合のように泡の凝集が生じない場合を(−)、泡が液面全体に凝集した場合を(±)、泡が凝集しただけでなく更に泡の盛り上がりが生じた場合を(+)、泡の盛り上がりが著しい場合を(++)と、それぞれ評価した。
(試験結果及び考察)
各試料についての試験結果を表6〜8に示す。尚、表7,8における比較試料の評価において、評価が記載されていないものは、滓下げ時に上澄液と滓部分を分離できず、評価が不可能であったことを示す。
この結果、処理済試料4では、たんぱく質含有量が大きく低減した。また、煮沸反応、加水反応、加酎反応、TCA反応の結果のブランクとの差が小さいと共に沸騰泡も少なく、ニキリ現象が低減したことが確認された。これにより処理済試料4ではニキリの原因となるたんぱく質が高い効率で除去されたことが確認された。また、未処理試料2と処理済試料4では、ボーメ度、アルコール濃度、エキス分、pH、酸度、アミノ酸度、全糖含量に変化は認められず、上記濾材によるたんぱく質除去によっては品質変化が生じず、低分子量のペプチドは除去されないことが確認された。
これに対して、加熱試料ではニキリ現象やたんぱく質含量がある程度低減し、また各比較試料のように加熱処理後又は未加熱のまま、滓下げを柿渋やオリダイヤと組み合わせて処理する場合には、更にたんぱく質の除去とニキリの低減とがなされたが、処理済試料4に比して充分ではなく、しかも加熱した場合には着色を生じてしまうものであった。
4.鰹だしからのたんぱく質の除去
(未処理試料3)
かつお節(削りかつお)9gを200mlの水中に投入して懸濁させ、11分間かけて100℃まで加熱した後、5分間保持して煮沸した。これをキムワイプ(登録商標)2枚でろ過してかつお節を濾し取り、冷却して、162mlの未処理試料3を得た。
(処理済試料5)
上記「清酒からのたんぱく質の除去」の場合と同一の濾材を直径23mm、長さ150mmのカラム(バイオラット社製)に35.4g充填した。
そして、上記カラムを上下方向に配置した状態で上端から上記未処理試料を供給すると共に下端からカラムを通液した試料を導出し、処理済試料5を得た。このとき100mlの試料を約3〜4分かけて通液させた。
(評価試験)
上記未処理試料3及び処理済試料5について、上記「清酒からのたんぱく質の除去」の場合と同様の手法により電気泳動試料を30μlを調製し、電気泳動試験を実施した。
この結果を図3に示す。
また、各試料中のたんぱく質含量をバイオラッド株式会社製のプロテインアッセイにより測定した。尚、その際のたんぱく質としてのスタンダード(標準化)は牛血清アルブミンを使用した。
その結果、未処理試料中のたんぱく質含有量の測定結果は0.30mg/mlであるのに対して、処理済試料5中での測定結果は0.00mg/mlであった。
以上の結果から、濾材による処理によりたんぱく質が除去されたとことが確認された。
実施例における濾材の細孔分布を測定した結果を示すグラフである。 実施例における処理済試料1〜3及び未処理試料1についての電気泳動試験結果を撮影した写真である。 実施例における処理済試料5及び未処理試料3についての電気泳動試験結果を撮影した写真である。

Claims (5)

  1. カオリン鉱物に強酸を加え、水熱処理と焼成処理を施すことにより得られる多孔質体からなることを特徴とするたんぱく質除去用濾材。
  2. カオリン鉱物に強酸を加え、水熱処理と焼成処理を施すことにより得られる多孔質体からなる濾材に、たんぱく質除去対象となる液体を接触させることを特徴とするたんぱく質除去方法。
  3. 上記濾材をカラムに充填し、このカラムに上記たんぱく質除去対象となる液体を通液することを特徴とする請求項2に記載のたんぱく質除去方法。
  4. 上記たんぱく質除去対象となる液体が、植物又は動物から得られた液体であることを特徴とする請求項2又は3に記載のたんぱく質除去方法。
  5. 請求項2又は3に記載の方法を用いて醸造液の滓下げを行うことを特徴とする滓下げ方法。
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JPS5132599B1 (ja) * 1966-02-11 1976-09-13
JPS63132898A (ja) * 1986-11-26 1988-06-04 Meito Sangyo Kk 蛋白質の分離精製方法
JP2000152765A (ja) * 1998-11-19 2000-06-06 Ngk Insulators Ltd しょう油のオリ下げ方法

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