JP2008016278A - 有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子において光取り出し効率とコントラストを同時に向上させる。
【解決手段】基板11上に、有機発光層15と、有機発光層15に正孔を注入する陽極および電子を注入する陰極(14,16)と、素子全体を外部環境から保護する封止部17とを備え、封止部17は透明であり、陰極および陽極は実質的に透明の電極であり、陰極あるいは陽極と基板との間に基板11側から、1層以上の層からなる反射光を吸収する導電性の吸収電極12と、印加電圧によって光の散乱強度が変化する散乱層13とをこの順で備えており、かつ、有機発光層15が発光していない状態で散乱層13は実質的に散乱を失っており、有機発光層15が発光している状態では散乱層13は散乱性を有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを用いた表示装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、陰極と陽極に挟持された有機発光層に電子と正孔の注入を行うことにより有機発光層から光を取り出す有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを備えた表示装置に関し、とくに光取り出し効率とコントラストの向上が達成された有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを備えた表示装置に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に有機発光層が挟持された構造をもつ発光素子で、電圧の印加により陽極から正孔、陰極から電子が注入され、この正孔と電子の対が有機発光層表面あるいは内部で再結合することによって発生したエネルギーを光として取り出す素子である。発光層に有機物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は古くから研究されていたが、発光効率の問題で実用化が進展しなかった。これに対し、1987年にC.W.Tangにより有機層を発光層と正孔輸送層の2層に分けた積層構造の有機エレクトロルミネッセンス素子が提案され、低電圧で高効率の発光が確認され(非特許文献1等参照)、それ以降有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究が盛んに行われている。この積層構造をとることにより、発光層に注入された電子や正孔が対向電極に流れてしまうことを防ぐことができ、発光層内での再結合の効率が向上する。また、電子や正孔を発光層に注入する効率を高めることができる。そのため、現在では有機エレクトロルミネッセンス素子は積層構造をとるものが一般的であり、その構造は発光層と正孔注入層の2層構造、電子注入層と発光層、正孔注入層の3層構造、電子注入層と発光層、正孔輸送層、正孔注入層の4層構造等の構造の素子が提案されている。
しかし、有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層での再結合の際に、蛍光を放つために必要な一重項の生成確率は統計的に25%であることが知られている。そのため、理論的には注入した電子と正孔のうちの1/4しか光として取り出すことが出来ないことになる。これに対し、励起三重項からの燐光を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子が提案され(非特許文献2等参照)、近年では室温で燐光を示す材料の研究が盛んに行われている(なお、本発明において以後は、電子注入層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層などの有機層を総称して有機発光層と表記する)。
一方、これらの有機発光層からの光は3次元的に等方に放たれるため、放たれた光の半分は光取り出し側ではなく、反対側に進んでしまう。しかし、光取り出し側から見て有機発光層の奥側に位置する電極、即ち背面電極は通常、反射率の高い金属の電極を用いている。そのため、有機発光層から背面側に放たれた光も背面電極で反射して光取り出し側から外部に取り出すことが可能である。
しかし、この場合、背面電極は有機発光層からの光だけでなく、外部からの光も反射するために有機発光層が非発光状態にあるときは外部の光が反射し鏡面に見えてしまうために、素子が黒色を表示することができない。そこで、有機発光層が非発光状態にあるときに、発光部を黒色に見せるために、素子の光取り出し側の表面に1/4波長板と偏光板を重ねた円偏光板を設置する手法が広く行われている。この場合、外光が偏光板と1/4波長板を通過した後、外光は右旋性あるいは左旋性の偏光になり、背面電極で反射する際に偏光の旋回方向が逆転するため、再度1/4波長板を通過して偏光板に到達した時点では偏光の角度が90°ずれているために偏光板を通過できず、外部からは黒色に見えるようになる。この手法によって非発光時の素子の外見を黒色にすることが可能であるが、有機発光層で発生した光も外部に取り出されるときに偏光板で50%以上が吸収されてしまう。
また、円偏光板を用いる方法以外にも、背面電極を光吸収性のものにすることで外光の反射を抑制し、非発光時の素子の外見を黒色に見せる方法も知られている。この場合、有機発光層から取り出し側に直接向かう光は偏光板を通過しないので、吸収されることはないが、背面側に向かう光が背面電極で吸収されてしまうために、光の取り出し効率が半分程度になってしまう。
C.W.Tang、S.A.VanSlyke、Applied Physics Letters、51巻、913頁(1987年) M.A.Baldoら、Nature、395巻、151頁(1998年)
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は光取り出し効率を低下させることなく、高いコントラストを有する有機エレクトロルミネッセンス素子ならびに表示装置を提供することにある。
本発明者らは前記の課題を克服するために鋭意検討を行った結果、本発明を得るに至った。即ち本発明は次に示される(1)〜(8)の有機エレクトロルミネッセンス素子、および(9)に示される表示装置を提供する。
(1)基板上に少なくとも、発光領域を有する1層以上の有機発光層と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極と、電子を注入する陰極と、素子全体を外部環境から保護する封止部とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記封止部は透明であり、前記陰極および陽極は実質的に透明の電極であり、前記陰極あるいは陽極と前記基板との間に基板側から、1層以上の層からなる反射光を吸収する導電性の層と、印加電圧によって光の散乱強度が変化する層とをこの順で備えており、かつ、前記有機発光層が発光していない状態で前記光の散乱強度が変化する層は実質的に散乱を失っており、前記有機発光層が発光している状態では前記光の散乱強度が変化する層は散乱性を有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(2)透光性の基板上に少なくとも、発光領域を有する1層以上の有機発光層と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極と、電子を注入する陰極と、素子全体を外部環境から保護する封止部とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極および陽極は実質的に透明の電極であり、前記陰極と陽極のうち、基板から遠い側の電極に隣接して基板側から、印加電圧によって光の散乱強度が変化する層と、1層以上の層からなる反射光を吸収する導電性の層とをこの順で備えており、かつ、前記有機発光層が発光していない状態で前記光の散乱強度が変化する層は実質的に散乱を失っており、前記有機発光層が発光している状態では前記光の散乱強度が変化する層は散乱性を有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3)前記光の散乱強度が変化する層は、前記陰極と陽極のうち、前記光の散乱強度が変化する層に近い方の電極と、前記導電性の層との間に発生する電位によって散乱強度が変化する層であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(4)前記光の散乱強度が変化する層は、高分子分散型液晶からなる層であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5)前記光の散乱強度が変化する層が実質的に散乱を失っている状態において、素子の正面方向からは素子の発光部分が実質的に黒色に見えることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(6)前記導電性の層は、黒色の導電性材料を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(7)前記導電性の層は、黒色の層と電極の積層体であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(8)前記導電性の層は、金属クロムと酸化クロムの積層体であることを特徴とする前記(7)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置。
本発明によれば、光取り出し効率を低下させることなく、高いコントラストを有する有機エレクトロルミネッセンス素子ならびに表示装置が提供される。
以下に発明の実施の形態を挙げるが、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではない。
図面を参照して本発明の幾つかの形態を説明する。図1の有機エレクトロルミネッセンス素子は基板11上に、発光領域を有する1層以上の有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス素子層)15を有し、この有機発光層15は、有機発光層15に正孔を注入する陽極と、有機発光層12に電子を注入する陰極により挟持されている。なお、本発明において、陽極および陰極のいずれかが基板側で、いずれかが基板の反対側に設ける必要があるという制限はない。また、本発明において陽極ならびに陰極はいずれも実質的に透明の電極である。そのため、本発明においては、陽極または陰極のうち、有機発光層から見て基板側に位置する電極を第1の透明電極14、基板と反対側に位置する電極を第2の透明電極16と示す。また、基板11と第1の透明電極14との間には基板側から1層以上の層からなる反射光を吸収する導電性の層(以後吸収電極12と示す)と印加電圧によって光の散乱強度が変化する層(以後散乱層13と示す)をこの順で備えており、基板11上に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子は、光取り出し側で、素子全体を外部環境から保護する透明な封止部17で封止されている。本発明において、散乱層13は印加電圧によって散乱性が変化させることが可能な層である。さらに散乱層13は第1の透明電極14と吸収電極12との間の印加電圧によって散乱性が変化するのが好ましい。さらに本発明において、有機発光層15が発光している時、第1の透明電極14と第2の透明電極16との間には電圧が印加されており、図示しない回路によって吸収電極12の電位を第1の透明電極14と異なった電位に設定することで第1の透明電極14と吸収電極12との間には電位差が発生する。一方、有機発光層15が発光していない時には第1の透明電極14と吸収電極12との間には電位差が発生しないように回路が接続されている(図示せず)。この場合、第2の透明電極16と吸収電極12を電気的に接続して等電位になっている。また吸収電極12に一定のバイアスを掛けておくという形態の回路でも良い。有機エレクトロルミネッセンス素子をこのような形態にすると、素子が発光していない場合、即ち、散乱層が散乱性を失って透明になっている状態においては、光取り出し側である透明な封止部17側から入射した外光は第2の透明電極16、有機発光層15、第1の透明電極14、散乱層13を透過して吸収電極12で吸収され、反射はしない。そのため、光取り出し側の外部からは素子発光部は実質的に黒色に見える。すなわち、素子の正面方向からは素子の発光部分が実質的に黒色に見える。一方、この素子が発光する場合、即ち、散乱層が散乱性をもっている状態においては、有機発光層15から放たれる光のうち、封止部17側に進む光は第2の透明電極16、封止部17を透過して外部に取り出される。また、基板11側に進む光は第1の透明電極14を透過した後、散乱層13で散乱し、散乱層の散乱性を十分にすることによって光は第1の透明電極14側に乱反射する。散乱層13で乱反射した光は第1の透明電極14、有機発光層15、第2の透明電極16、封止部17を透過して外部に取り出される。そのため、吸収電極12で吸収される光を低減することが可能になり、光の取り出し効率が向上する。この状態においては入射した外光も散乱層13で乱反射するが、素子からの光とともに反射するためにコントラストにはほとんど影響しない。このような形態をとることで素子の発光時の光のロスを抑制しつつ、非発光時の黒表示との輝度のコントラストをとることが可能になる。
図2は図1の構造で光取り出し方向を封止部側でなく基板側にしたものであり、光の取り出し方向を変更した以外は、素子の発光時の光のロスを抑制しつつ、非発光時の黒表示との輝度のコントラストをとる手法は図1の場合と同じである。このようにすることで封止部を透明な材料にする必要性がなくなる。すなわち図2の有機エレクトロルミネッセンス素子は基板11上に、第1の透明電極14、発光領域を有する1層以上の有機発光層15、第2の透明電極16、散乱層13、吸収電極12、封止部17がこの順で設けられている。
また前述のように、図1の形態において、散乱層13は印加電圧によって光の散乱強度が変化する層であり、吸収電極12と第1の透明電極14との間の電圧で散乱性が変化する層であるのが好ましい(図2の形態では、散乱層13は、吸収電極12と第2の透明電極16との間の電圧で散乱性が変化する層であるのが好ましい)。この場合、第2の透明電極16と吸収電極12を接続して等電位にするようにしておけば、素子非発光時には第1の透明電極14と第2の透明電極16との間には電圧が印加されておらず、即ち第1の透明電極14と吸収電極12との間には電圧が印加されない。この状態で散乱層13が散乱性を失うようにすることで非発光時には外光が散乱せず、素子は外部からは黒色に見える。反対に、素子発光時には第1の透明電極14と第2の透明電極16との間には電圧が印加され、即ち第1の透明電極14と吸収電極12との間に電圧が印加されるときに散乱層13が散乱性を有するようにしておくことで有機発光層15からの光が吸収電極12へ吸収されることを抑止することができる。
また、吸収電極12と第2の透明電極16を一定のバイアスを掛けて接続し、第1の透明電極14側の電位を変化させて素子を発光させてもよい。この場合は、素子発光時即ち、第1の透明電極14と吸収電極12が等電位になったときに散乱層13は散乱性を有するようにしておけば有機発光層15からの光が吸収電極12へ吸収されることを抑止することができ、素子非発光時には第2の透明電極16と吸収電極12との間でのバイアス分だけ第1の透明電極14と吸収電極12の間で電圧が印加され、この状態で散乱層13が散乱性を失うようにすることで非発光時には外光が散乱せず、素子は外部からは黒色に見える。
本発明において散乱層13は印加電圧によって光の散乱強度が変化する層であり、層の材料として高分子分散型液晶(PDLC)からなる層を用いることができる。高分子分散型液晶とは、液晶をポリマー中に球状の小滴として分散させたものであり、液晶分子の配向状態を電界により変化させ、液晶とポリマーマトリックスとの屈折率のミスマッチによる散乱状態とマッチングによる透明状態を作ることができる。高分子分散型液晶はポリマーの前駆体中に液晶を分散させたものを基板上に塗布し、熱や光などによって前駆体を重合させてポリマーのネットワークを形成させ、その内部に液晶の微小な液滴が分散している形態になっている。液滴中の液晶は通常は配向せず、ランダムになっているが、電圧を印加することで配向し、液滴の屈折率が変化する。ここで、ポリマーの屈折率を液晶がランダムになっているときの液滴の屈折率に合わせるようにすると、電圧を印加したときに高分子分散型液晶の層は光を散乱して白濁する。一方、ポリマーの屈折率を液晶が配向したときの液滴の屈折率に合わせるようにすると、通常は白濁している高分子分散型液晶の層が電圧の印加によって透明になる。本発明においては上述のように、いずれのタイプの高分子分散型液晶でも散乱層13の材料として用いることが可能である。高分子分散型液晶の散乱性は白濁時の液晶の液滴とポリマーの屈折率差と、高分子分散型液晶層の膜厚に正の相関で依存しているが、本発明においては十分な散乱性を得るために十分な屈折率差および膜厚を持たせることが好ましい。
高分子分散型液晶の膜厚としては、十分な散乱性を得るためには10μm以上であることが好ましい。高分子分散型液晶を低電圧で駆動させるためには、膜厚は小さい方が好ましく、膜厚は100μm以下であることが好ましい。また、屈折率差は、0.20以上であることが好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。
高分子分散型液晶に用いられる液晶材料としては、単一もしくは複数の種類の液晶化合物もしくは液晶混合物を用いることができ、ネマチック液晶が特に好ましい。また、これら液晶材料は材料の融点、粘度、屈折率異方性(Δn)、誘電率異方性(Δε)、等方性液体と液晶の相転移温度、重合性組成物との溶解性等を考慮し、適宜選択、配合して用いることができる。液晶材料としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶が挙げられるが、このような液晶材料には、安息香酸エステル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキサンシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、トラン系、アンケニル系等の各種液晶化合物が使用される。
そのような液晶材料としては、例えば、4−置換安息香酸−4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸−4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸−4’−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸−4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸−4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸−4’−置換シクロヘキシルエステル、4−置換フェニル−4’−置換シクロヘキサン、4−置換ビフェニル−4’−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリジン等を挙げることができる。
高分子分散型液晶を形成する透明性を有するポリマーとしては、高分子形成モノマー若しくはオリゴマーを重合させて得られる光硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。光硬化性の樹脂は、すくなくとも高分子形成モノマー若しくはオリゴマー、さらに光重合開始剤を含有するものであり、そらの重合によって液晶材料との相分離を誘発するものであればよい。
ポリマー形成モノマーとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、シクロヘキシル、ノルボニル、イソボニル、シクロペンテニル、パーフルオロ置換アルキル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、エチレンオキシド付加アルキル、プロピレンオキシド付加アルキル、フェノキシエチル、アルリル、メタリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル等の置換基を有するアクリレート、メタクリレート又はフマレートを用いることができる。
また、これら以外にもエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトール等のモノ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、酪酸ビニル又は安息香酸ビニル、アクリロニトリル、セチルビニルエーテル、リモネン、シクロヘキセン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、2−、3−又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメトキシメチルアクリルアミド又はN−ヒドロキシエチルメタクリルアミド及びそれらのアルキルエーテル化合物、トリメチロールプロパンにエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとフェニルイソシアネート若しくはnーブチルイソシアネートとの反応生成物、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、トリス−(ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート、トリス−(ヒドロキシエチル)−リン酸のポリ(メタ)アクリレート、ジ−(ヒドロキシエチル)−ジシクロペンタジエンのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、直鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
高分子形成性オリゴマーとしては、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−1オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフォンオキシド(BASF社製ルシリンTPO)等が挙げられる。
モノマーの重合は紫外線照射によるラジカル重合で行うことが好ましい。紫外線の光源としてはメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また光重合開始剤を添加することも好ましい。また、散乱層13が有機発光層15よりも後に形成される場合、散乱層13を形成する際に照射される紫外線で有機発光層15が劣化してしまうことを避けるために、散乱層13と第1の透明電極14または第2の透明電極16との間に紫外線吸収層を設けても良い。さらに、散乱層13は樹脂などの有機材料であるために、素子作成後、散乱層13からアウトガスが発生し、アウトガスが有機発光層15に作用して素子が劣化してしまう可能性がある。そこで散乱層13と第1の透明電極14または第2の透明電極16との間にガスバリア層を形成しても良い。ガスバリア層の材料や形成手段としては上記封止部17形成において、膜封止を行う場合の材料および手法を用いることが可能である。
また、散乱層としては、高分子分散型液晶を用いた散乱層の他に、コレステリック液晶を用いた散乱層、2色に塗り分けられた帯電球体からなるツイストボールを用いた散乱層とすることも可能である。コレステリック液晶では電圧を印加しその螺旋構造を制御することにより、画面の光を通す(フォーカルコニック)状態、特定の光だけを反射する(プレーナ)状態を形成し、光の散乱強度を変化させることが可能となる。ツイストボールの中でも球状ツイストボールを用いて散乱層を形成する場合、半球面ごとに色(白と黒)と帯電状態が異なる球形のボールをボール径よりも少し大きめのキャビティ内に支持させ、透明な絶縁フィルムに埋め込むことにより、電圧印加により光の散乱強度を変化させることが可能となる。
図2の形態において、基板11は平滑で可視光において透光性があるものを用いる。透光性としては基板の透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上あることが更に好ましい。このような用途に好適に用いられる基板としては、例を挙げると、BK7、BaK1、F2などの光学ガラス、ソーダライムガラス、石英ガラス、液晶ディスプレイに用いられる無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスなどのガラス基板、PMMAなどのアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレンなどのスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂などといった樹脂基板を挙げることができる。また、基板の厚さは通常0.1mm乃至10mmのものが用いられるが、機械的強度や、基板の重量を考慮すると0.3乃至5mm、好ましくは0.5乃至2mmのものが用いられる。
また、図1の形態において用いられる基板11には透光性は必要ないので、平滑であれば基板は上記の材料の他に金属基板や樹脂基板などの不透明な基板を用いることができる。
一方、図1の形態において、封止部17は光取り出し側であるので、透明である必要があり、上記の透明基板を加工して封止部を作成する。あるいは、板状の材料を用いずに、膜封止を行うことも可能である。この場合、基板11上に吸収電極12側から順に各層を積層していき、第2の透明電極16を作成した後に、各種手段を用いて第2の透明電極16上に封止膜を形成する。封止膜は1層でも多層でも良く、封止膜の形成手段は蒸着、スパッタリング、CVD、イオンプレーティングなどの各種真空成膜手段、封止膜の材料を溶媒に溶解させて各種塗布手段を用いて基板上に封止材料を塗布するウェットコーティングの手法を用いることが可能であり、真空成膜手段ウェットコーティング成膜の手段を組み合わせた多層の膜にしても良い。封止膜の材料としては有機材料、無機材料いずれも用いることが可能であり、有機材料を用いる場合は、各種の透明樹脂を溶媒に溶解させてウェットコーティングで成膜する手法や、透明樹脂の前駆体のモノマーを気層重合させて素子上に成膜するという手法で封止膜が形成される。無機材料を用いる場合は、主に真空成膜手段で成膜され、材料としては、珪素や金属の酸化物、窒化物、炭化物などが用いられる。
なお、図2の形態においては、封止部17は光取り出し側ではないので、透光性である必要はなく、材料としては金属基板や樹脂基板などの不透明な基板を用いることができる。
本発明において、吸収電極12として反射光を吸収する導電性の層はこの機能を有する層であれば特に制限はないが、積層体にする場合は黒色の層と電極の積層体を用いることが好ましい。黒色の層としてはアニリンなどの黒色の染料あるいはチタンブラックやカーボンブラックなどの顔料を含有する樹脂層などを用いることができる。電極を黒色の層よりも散乱層側に配置する場合は透明電極にする必要があるが、この場合、透明電極としては酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛などの既知の材料を用いることができる。これらの電極材料はスパッタリングや蒸着などの真空成膜手段で成膜する方法が一般的であるが、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛などの透明電極材料の微粒子をバインダーあるいは溶媒に分散させた分散液を基板上に塗布することで成膜することも可能である。この場合、基板上に分散液を塗布する手段としては、スピンコート、ディップコート、スリットコート、ダイコート、ロールコート、スプレーコートなどの各種塗布手段を挙げることができる。
電極を黒色の層よりも散乱層の反対側に配置する場合は電極の材質は導電性以外には特に制限はない。また、カーボンブラックなどの導電性の黒色色材を樹脂などに分散させた樹脂液を上記各種塗布手段で基板に塗布することで黒色の導電層を形成することが可能である。さらに、液晶ディスプレイのブラックマトリクスに用いられる金属クロムと酸化クロムの積層体を吸収電極12として用いることも可能である。この場合、散乱層13側から酸化クロム、金属クロムの順で積層する。金属クロムの層は薄すぎると光が透過してしまうので、膜厚は200Å以上あることが好ましい。また、酸化クロムの層は反射光の位相を考慮して膜厚を設定するが膜厚は200Å〜2000Åであることが好ましい。これらの材料を吸収電極12に用いることで素子非発光時に十分な黒色を表示することが可能になる。
第1の透明電極14および第2の透明電極16は酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛など既知の透明電極材料を用いる。また、第1の透明電極14および第2の透明電極16のうち、有機発光層15に電子を注入する陰極になる電極は電子の注入特性を向上させるために、有機発光層15との間にバリウムやカルシウムなどの電子注入性に優れた層を配置することが好ましい。また、有機発光層15に正孔を注入する陽極になる電極は正孔の注入特性を向上させるために、酸素プラズマ処理やUVオゾン処理を行うことも好ましい。この場合、透明導電膜表面の有機物汚染が除去され、また透明電極が酸化インジウム錫の場合、酸素プラズマ処理やUVオゾン処理によって酸化インジウムスズの仕事関数が高くなるため、有機発光層への正孔の注入が容易になり、素子の性能が向上することが知られている。
本発明において、有機発光層15に用いる材料については特に限定はなく、低分子系の材料、高分子系の材料共に好適に用いられる。有機発光層15に低分子系の材料を用いる場合は、電極のパターニング加工を行った基板の上に発光部のパターンに応じた孔あるいはスリットを設けたシャドーマスクを用いて、各発光色に応じた有機発光層を発光色数回蒸着する。また、有機発光層15の陽極側に正孔注入層あるいは輸送層を設けてもよい。また、発光層の陰極側には共通の電子注入層あるいは輸送層を設けてもよい。これらの発光層、輸送層、注入層は単一の材料からなる膜であっても良いし、ドーピングのために複数の材料を共蒸着して形成しても良い。
また、有機発光層15に高分子系の材料を用いる場合、有機発光層15に隣接して形成される共通の注入層あるいは輸送層の形成を行う場合は、注入層や輸送層の材料を溶媒に溶かした、あるいは分散させた溶液をスピンコート、ディップコート、スリットコート、ダイコート、ロールコート、スプレーコートなどの各種塗布手段で塗布して乾燥させる方法が一般的である。このようにして形成された共通層の上に発光層を発光部パターンに応じてパターニングして形成させる必要がある。この際に用いられるパターニング方法としてはインクジェット法や印刷法などが挙げられる。印刷法は高分子発光層の材料と溶剤を混合してなるインクを基板上に印刷する方法である。用いる印刷方式は、グラビア印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、平版印刷、反転印刷など既知の手法である。これによって発光層のパターンを得ることが可能である。インクジェット法はインクジェットノズルの吐出部に高分子発光層の材料と溶剤を混合してなるインクを供給し、ピエゾ素子の振動や熱エネルギーによってインクの粒をノズルより吐出し、パターン形状に応じて基板上に着滴させることで発光層のパターンを形成する方法である。インクジェット法の場合、特開昭59−75205号公報記載のようにノズルから吐出されたインクの着滴位置の精度に限界があるため、予め基板上の画素の縁になる部分に、フォトリソグラフィなどを用いて、バンクと呼ばれる、撥液性のある材料で形成されたパターンを形成しておき、ノズルから吐出されたインクが着滴する目標の画素から外れた場合に、画素から外れて着滴した部分のバンクでインクがはじいて画素部分にインクを移動させることでパターン形状を正確に形成させている。また、有機発光層を形成する輸送層、注入層、発光層をすべて低分子系、あるいは高分子系の材料で統一する必要は無く、高分子系の材料で注入層を形成した後に、低分子系の材料を用いて発光層は蒸着で形成するなど、低分子、高分子を併用しても良い。
有機発光層についてさらに詳しく説明する。
有機発光層の形成する有機発光材料としては、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノー8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどの低分子系発光材料が使用できる。
また、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポリフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料を、高分子中に分散させたものが使用できる。高分子としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等が使用できる。
また、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)やポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイドなどのPPP誘導体、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)、ポリスピロフルオレンなどの高分子発光材料であってもよい。PPV前駆体、PPP前駆体などの高分子前駆体が挙げられる。また、その他既存の発光材料を用いることもできる。
正孔輸送層を形成する正孔輸送材料としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、チオフェンオリゴマー材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
また、電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、2−(4−ビフィニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。
有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メチル−(t−ブチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,3,5−トリ−イソプロピルベンゼン等を単独又は混合して用いることができる。また、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
正孔輸送材料、電子輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等の単独またはこれらの混合溶剤などが挙げられる。特に、正孔輸送材料をインキ化する場合には水またはアルコール類が好適である。
有機発光層や発光補助層は湿式成膜法により形成される。なお、これらの層が積層構造から構成される場合には、その各層の全てを湿式成膜法により形成する必要はない。湿式成膜法としては、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、吐出コート法、プレコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗布法と、凸版印刷法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法が挙げられる。特に、RGB三色の有機発光層をパターン形成する場合、印刷法によって画素部に選択的に形成することができ、カラー表示のできる有機エレクトロルミネッセンス素子を製造することが可能となる。有機発光層の膜厚は、単層又は積層により形成する場合においても1000nm以下であり、好ましくは50nm〜150nmである。
さらに、本発明は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置にも関する。この表示装置は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子がコントラストを犠牲にせずに光取り出し効率が優れている故に、消費電力を低減することができ、また、有機エレクトロルミネッセンス素子に通ずる電流を低減することができるために素子の長寿命化を可能にするものである。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を次のようにして作製した。基板11として、300mm角、厚さ0.7mmのガラス基板を用い、この上に散乱層13側から酸化クロム、金属クロムの順となるように、当該材料を真空蒸着法により積層し、吸収電極12を形成した。酸化クロム、金属クロムの層の厚さはいずれも1000Åであった。
次に、吸収電極12上に散乱層13を形成した。散乱層13は、安息香酸エステル系のネマチック液晶材料、高分子形成性オリゴマーとしてエポキシメタクリレート、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)を用い、塗布法により塗布し、紫外線によって硬化させ、厚さ15μmとして形成した。なお、白濁時の液晶の液滴とポリマーの屈折率差は0.25であった。
続いて、散乱層13上に、ITOからなる第1の透明電極14をスパッタ法を用いて形成し、その上に、スピンコーターを用いて正孔輸送層としてポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)1.5wt%水溶液を100nm膜厚で成膜した。さらにこの成膜されたPEDOT/PSS薄膜を減圧下100℃で1時間乾燥した。
緑色発光インク(G)として、ポリフルオレン系誘導体のトルエン1質量%溶液(住友化学社製緑色発光材料 商品名Green1300)を用い、凸版印刷法によって印刷をおこなった後、オーブン内で130℃で1時間乾燥を行った。形成された有機発光層15の膜厚は102nmであった。
有機発光層15上に、ITOからなる第2の透明電極16をスパッタ法を用いて形成し、その上に、エポキシ樹脂からなる封止部17を塗布法により形成し、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。なお、第2の透明電極16と吸収電極12を接続して等電位にするようにしておいた。
こうして作製した有機エレクトロルミネッセンス素子の各電極に電圧を印加すると、有機発光層15が緑色に発光し、散乱層13は散乱性を発現し、有機発光層15からの発光を乱反射した。電圧の印加を解除すると、散乱層13は透明となり、素子は外部からみて黒色となった。照度500lx以下での、発光時と非発光時のコントラストは100:1とすることができた。
実施例2
図2に示す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を次のようにして作製した。基板11として、300mm角、厚さ0.7mmの石英ガラス基板を用い、この上にITOからなる第1の透明電極14をスパッタ法を用いて形成した。第1の透明電極14上に、スピンコーターを用いて正孔輸送層としてポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)1.5wt%水溶液を100nm膜厚で成膜した。さらにこの成膜されたPEDOT/PSS薄膜を減圧下100℃で1時間乾燥した。
続いて、緑色発光インク(G)として、ポリフルオレン系誘導体のトルエン1質量%溶液(住友化学社製緑色発光材料 商品名Green1300)を用い、凸版印刷法によって印刷をおこなった後、オーブン内で130℃で1時間乾燥を行った。形成された有機発光層15の膜厚は102nmであった。
有機発光層15上に、ITOからなる第2の透明電極16をスパッタ法を用いて形成し、その上に、散乱層13を形成した。散乱層13は、安息香酸エステル系のネマチック液晶材料、高分子形成性オリゴマーとしてトリメチロールプロパンジアクリレート、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)を用い、塗布法により塗布し、紫外線によって硬化させ、厚さ15μmとして形成した。なお、白濁時の液晶の液滴とポリマーの屈折率差は0.25であった。
続いて、散乱層13上に、散乱層13側から酸化クロム、金属クロムの順となるように、当該材料を真空蒸着法により積層し、吸収電極12を形成した。酸化クロム、金属クロムの層の厚さはいずれも1000Åであった。
次に、吸収電極12上に、エポキシ樹脂からなる封止部17を塗布法により形成し、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。なお、第1の透明電極14と吸収電極12を接続して等電位にするようにしておいた。
こうして作製した有機エレクトロルミネッセンス素子の各電極に電圧を印加すると、有機発光層15が緑色に発光し、散乱層13は散乱性を発現し、有機発光層15からの発光を乱反射した。電圧の印加を解除すると、散乱層13は透明となり、素子は外部からみて黒色となった。照度500lx以下での、発光時と非発光時のコントラストは100:1とすることができた。
比較例1〜2
実施例1において、散乱層13を設けなかったこと(比較例1)、あるいは、吸収電極12を設けなかったこと(比較例2)以外は、実施例1と同様に有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。その結果、照度500lx以下での、発光時と非発光時のコントラストは10:1程度であった。
上述のように、本発明を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子はコントラストを犠牲にせずに光取り出し効率が優れている故に、本発明を用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置は消費電力を低減することができ、また、有機エレクトロルミネッセンス素子表示装置に通ずる電流を低減することができるために素子ならびに表示装置の長寿命化を可能にするものである。
本発明の第1の態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を示す概略断面図である。 本発明の第2の態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を示す概略断面図である。
符号の説明
11……基板、12……吸収電極、13……散乱層、14……第1の透明電極、15……有機発光層、16……第2の透明電極、17……封止部。

Claims (9)

  1. 基板上に少なくとも、発光領域を有する1層以上の有機発光層と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極と、電子を注入する陰極と、素子全体を外部環境から保護する封止部とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記封止部は透明であり、前記陰極および陽極は実質的に透明の電極であり、前記陰極あるいは陽極と前記基板との間に基板側から、1層以上の層からなる反射光を吸収する導電性の層と、印加電圧によって光の散乱強度が変化する層とをこの順で備えており、かつ、前記有機発光層が発光していない状態で前記光の散乱強度が変化する層は実質的に散乱を失っており、前記有機発光層が発光している状態では前記光の散乱強度が変化する層は散乱性を有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 透光性の基板上に少なくとも、発光領域を有する1層以上の有機発光層と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極と、電子を注入する陰極と、素子全体を外部環境から保護する封止部とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極および陽極は実質的に透明の電極であり、前記陰極と陽極のうち、基板から遠い側の電極に隣接して基板側から、印加電圧によって光の散乱強度が変化する層と、1層以上の層からなる反射光を吸収する導電性の層とをこの順で備えており、かつ、前記有機発光層が発光していない状態で前記光の散乱強度が変化する層は実質的に散乱を失っており、前記有機発光層が発光している状態では前記光の散乱強度が変化する層は散乱性を有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記光の散乱強度が変化する層は、前記陰極と陽極のうち、前記光の散乱強度が変化する層に近い方の電極と、前記導電性の層との間に発生する電位によって散乱強度が変化する層であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記光の散乱強度が変化する層は、高分子分散型液晶からなる層であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記光の散乱強度が変化する層が実質的に散乱を失っている状態において、素子の正面方向からは素子の発光部分が実質的に黒色に見えることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記導電性の層は、黒色の導電性材料を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記導電性の層は、黒色の層と電極の積層体であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記導電性の層は、金属クロムと酸化クロムの積層体であることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置。
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