JP2008015247A - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(I)[式中、R4は、炭素数3のフッ素化アルキル基である。]で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)と、フッ素原子を含有しないアニオン部を有するオニウム塩(B2−1)およびフッ素原子を含有しない非イオン型の酸発生剤(B2−2)からなる群から選択される少なくとも1種の酸発生剤(B2)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
[化1]
【選択図】なし
Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。たとえばポジ型の化学増幅型レジストは、ベース樹脂として、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂と酸発生剤とを含有しており、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、露光部がアルカリ可溶性となる。
化学増幅型レジストに用いる酸発生剤としては、カチオン部にスルホニウムイオン、ヨードニウムイオン等のオニウムイオンを有するオニウム塩系酸発生剤が主流である。かかる酸発生剤は、これまで多種多様のものが提案されており、たとえば特許文献3にはトリフェニルスルホニウム系のオニウム塩からなる酸発生剤が記載されている。オニウム塩系酸発生剤としては、アニオン部が、フッ素化アルキルスルホン酸イオンであるものが一般的であり、現在、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート等のパーフルオロアルキルスルホン酸イオンをアニオン部に有するオニウム塩系酸発生剤がもっとも多く用いられている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、狭ピッチのレジストパターンのパターン崩壊を抑制できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(I)で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)と、フッ素原子を含有しないアニオン部を有するオニウム塩(B2−1)およびフッ素原子を含有しない非イオン型の酸発生剤(B2−2)からなる群から選択される少なくとも1種の酸発生剤(B2)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「構成単位」とは、樹脂(重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のレジスト組成物は、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が、(A)成分の酸解離性溶解抑制基を解離させ、そのアルカリ溶解性を増大させる。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を有する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「酸解離性」とは、露光時に(B)成分から発生する酸の作用により(A)成分から解離可能であることを意味する。
「溶解抑制基」は、解離前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させる基である。
(A)成分は、特に、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有することが好ましい。かかる構成単位を有する樹脂は、特にArFエキシマレーザーに対する透明性が高く、ArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィーにおいて好適に使用できる。
アクリル酸エステルから誘導される構成単位として、より具体的には、たとえば、後述する構成単位(a1)〜(a3)等が挙げられる。
(A)成分中、アクリル酸エステルから誘導される構成単位の割合は、当該(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、20モル%以上であることが好ましく、50モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、100モル%であってもよい。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
本発明において、(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2は好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
上記の中でも、一般式(a1−1)で表される構成単位が好ましく、特に、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表される構成単位、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表される構成単位、および式(a1−1−42)〜(a1−1−55)で表される構成単位を包括する下記一般式(a1−1−03)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
特に、構成単位(a1)として、一般式(a1−1−01)で表される構成単位と、一般式(a1−1−03)で表される構成単位との両方を含有することが好ましい。
R11の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
R12の低級アルキル基は、Rにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
hは、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
R21〜R23の低級アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
R21〜R23の合計の炭素数は3以上であり、3〜9であることが好ましく、3〜7であることがより好ましく、4〜6であることが最も好ましい。
本発明においては、本発明の効果に優れることから、R21〜R23がすべて直鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、本発明の効果に優れることから、R21〜R23がすべて、炭素数が同じアルキル基であることが好ましい。中でも、R21〜R23がすべて炭素数が同じ直鎖状のアルキル基であることが好ましく、R21〜R23がすべてエチル基である(すなわち、−C(R21)(R22)(R23)がtert−ヘプチル基である)ことが最も好ましい。
(A)成分は、構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
(A)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A)成分は、構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および構成単位(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
(A)成分中、構成単位(a3)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(以下、構成単位(a4)という。)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1)、(a2)および(a3)からなる3元共重合体、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる4元共重合体等が例示できる。
(A)成分としては、特に、下記式(A−11)で表される3種の構成単位を含む共重合体(A−11)および下記式(A−12)で表される3種の構成単位を含む共重合体(A−12)からなる群から選択される1種以上の共重合体が好ましく、中でも、共重合体(A−11)および共重合体(A−12)の両方を含有することが好ましい。
式(A1−21)中、R21〜R23は、それぞれ独立に、前記式(a1−1−03)中のR21〜R23と同じであり、エチル基が最も好ましい。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。Mnは数平均分子量を示す。
(B)成分は、上記一般式(I)で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)と、フッ素原子を含有しないアニオン部を有するオニウム塩(B2−1)およびフッ素原子を含有しない非イオン型の酸発生剤(B2−2)からなる群から選択される少なくとも1種の酸発生剤(B2)とを含有する。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(B)成分中のオニウム塩(B1)と酸発生剤(B2)との比率(質量比)は、オニウム塩(B1):酸発生剤(B2)=99:1〜50:50の範囲内であることが好ましく、95:5〜60:40の範囲内であることがより好ましく、90:10〜80:20の範囲内であることがさらに好ましい。酸発生剤(B2)の含有量が、オニウム塩(B1)の含有量の1/99以上であると、本発明の効果に優れる。また、酸発生剤(B2)の含有量が、オニウム塩(B1)の含有量と等量以下であると、レジストパターンの形成が良好に行われる。
オニウム塩(B1)としては、これまで化学増幅型レジスト組成物用として提案されているオニウム塩系酸発生剤のうち、上記一般式(I)で表されるアニオン部を有する任意のものが使用できる。
一般式(I)中、R4は、炭素数3のフッ素化アルキル基を表す。該フッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。
R4のフッ素化アルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれであってもよく、直鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。
該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%であり、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換した基(パーフルオロアルキル基)が、発生する酸の強度が強く、好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、中でも、R1”〜R3”のうちの1つがフェニル基であり、他の2つがナフチル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
酸発生剤(B2)は、フッ素原子を含有しないアニオン部を有するオニウム塩(B2−1)およびフッ素原子を含有しない非イオン型の酸発生剤(B2−2)からなる群から選択される少なくとも1種である。
ここで、「非イオン型の酸発生剤」とは、オニウム塩以外の酸発生剤を意味する。
オニウム塩(B2−1)としては、これまで化学増幅型レジスト組成物用として提案されているオニウム塩系酸発生剤のうち、フッ素原子を含有しないアニオン部を有する任意のものが使用できる。
かかるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、例えば、上述したオニウム塩(B1)におけるアニオン部(R4−SO3 −)が、フッ素原子を含有しないアニオン部で置換されたオニウム塩が挙げられる。
フッ素原子を含有しないアニオン部としては、たとえば、置換基を有していてもよく有していなくてもよい炭化水素基を有するスルホン酸イオンが挙げられる。
かかるスルホン酸イオンは、下記一般式(b−5)で表すことができる。
R1における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。
また、脂肪族炭化水素基は、鎖状(直鎖、分岐鎖)であってもよく、環状であってもよい。
鎖状の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、該アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜8であることがより好ましく、3〜8であることがさらに好ましい。
直鎖または分岐鎖のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。これらの中でもメチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基が好ましく、特にn−オクチル基が好ましい。
一般式(b−6)で表されるスルホン酸イオンの具体例としては、たとえば、メタンスルホネートイオン、エタンスルホネートイオン、n−プロパンスルホネートイオン、n−ブタンスルホネートイオン、n−オクタンスルホネートイオン等が挙げられる。
前記「脂肪族環式基」としては、前記(A)成分の酸解離性溶解抑制基における「脂肪族環式基」として挙げたものと同様のものが挙げられ、炭素数が3〜12であることが好ましく、炭素数が4〜10であることがより好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。これらの中でも、多環式基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が好ましい。脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。また、これらの脂肪族環式基は、上述したように、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
前記「脂肪族環式基含有基」における脂肪族環式基としては、上記と同様のものが挙げられる。「脂肪族環式基含有基」において脂肪族環式基が結合する鎖状の炭化水素基としては、直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、これらの中でも、直鎖状のアルキル基が好ましく、工業的にはメチル基またはエチル基が好ましい。
本発明において、オニウム塩(B2−1)のアニオン部は、これらの中でも、式(b−5−1)で表されるものが好ましい。
R1が芳香族炭化水素基である場合のR1の具体例としては、たとえば下記式(b−7)または(b−8)で表される基が挙げられる。
R5およびR6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
R5およびR6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
pおよびqはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、好ましくは0〜2であり、最も好ましくは0である。
pおよび/またはqが2以上の整数であって、R5および/またはR6が複数存在する場合、複数のR5および/またはR6は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
R7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
R7のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
rは0〜3の整数であり、好ましくは1又は2であり、最も好ましくは1である。
rが2以上の整数であって、R7が複数存在する場合、複数のR7は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
Y44、Z44は、それぞれ独立に、直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X43のアルキレン基の炭素数またはY44、Z44のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
酸発生剤(B2−2)としては、フッ素原子を有さないものであれば特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されている非イオン型の酸発生剤、たとえばオキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などのなかから、フッ素原子を含有しないものを任意に選択して使用することができる。
酸発生剤(B2−2)としては、これらの中でも、フッ素原子を有さないオキシムスルホネート系酸発生剤、フッ素原子を有さないジアゾメタン系酸発生剤が好ましい。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
フッ素原子を有さないオキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、たとえば、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤のうち、フッ素原子を含まないものも好適に用いることができる。
フッ素原子を有さないオキシムスルホネート系酸発生剤としては、特に、下記の2つの化合物が好ましい。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明において、酸発生剤(B2)としては、オニウム塩(B2−1)、フッ素原子を含有しないオキシムスルホネート系酸発生剤およびフッ素原子を含有しないジアゾメタン系酸発生剤からなる群から選択される1種以上が好ましく、特に、オニウム塩(B2−1)が好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、(B)成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、上記オニウム塩(B1)および酸発生剤(B2)以外の他の酸発生剤(以下、(B3)成分という。)を含有してもよい。
(B3)成分としては、前記オニウム塩(B1)および酸発生剤(B2)に分類されないものであれば特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、たとえば、前記オニウム塩(B1)およびオニウム塩(B2−1)に分類されない他のオニウム塩系酸発生剤、ならびにフッ素原子を有する非イオン型の酸発生剤などが挙げられる。
かかるオニウム塩(B4)としては、例えば下記一般式(b−0)で表されるオニウム塩が挙げられる。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数が1、2、4〜10のいずれかであることが好ましく、炭素数1、2、4〜8であることがさらに好ましく、炭素数1、2または4であることが最も好ましい。また、該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特にパースルオロアルキル基が、酸の強度が強く、好ましい。
R51としては、直鎖状のフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
一般式(b−0)で表されるオニウム塩の具体例としては、以下の様なものを挙げることができる。
式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
フッ素原子を有するオキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤のうち、フッ素原子を有するものも好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合することができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、環式アミン、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポジ型レジスト組成物に(E)成分を配合する場合、(E)成分は、通常、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、前記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、特に、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、酸発生剤(B2)から発生する酸がフッ素原子を有さないことにより、未露光部に漏れた過剰な露光光のエネルギーが、(A)成分の酸解離性溶解抑制基を解離させることなく消費されるためではないかと推測される。すなわち、レジストパターンの形成時に露光を行うと、マスクパターンとの隙間からの光、基板からの反射光等が未露光部にあたり、当該部分に存在する酸解離性溶解抑制基を解離させ、露光部と同様にアルカリ溶解性が増大してしまう。このような傾向は、特に露光部との境界部分の未露光部に生じやすく、そのため、ピッチが大きい場合にはあまり問題にはならないが、狭ピッチの場合、未露光部の多くの部分のアルカリ溶解性が増大してしまい、パターン崩壊が生じていたと推測される。
本発明において用いられる酸発生剤(B2)は、アニオン部にフッ素原子を有さないオニウム塩(B2−1)および/またはフッ素原子を有さない非イオン型の酸発生剤(B2−2)であるため、当該酸発生剤(B2)から発生する酸の強度が弱く、(A)成分の酸解離性溶解抑制基を解離させないか、解離させたとしてもほとんど解離させず、そのため、酸発生剤(B2)に吸収された光のエネルギーは、(A)成分の酸解離性溶解抑制基を解離させることなく消費されることとなる。その結果として、未露光部にあたる光のエネルギー量が低減され、未露光部における酸解離性溶解抑制基の解離が抑制され、一方、光が直接照射される露光部においては、オニウム塩(B1)から強度の強い酸が発生し、酸解離性溶解抑制基を解離してアルカリ溶解性が増大するため、パターン崩壊を生じることなく狭ピッチのレジストパターンを形成できると考えられる。
なお、形成しようとするレジストパターンが狭ピッチであるかどうかは、使用する露光光源の波長、使用する露光装置の性能等のリソグラフィー条件によって異なり、たとえば後述する実施例1で用いたArF露光装置NSR−S−306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,σ=0.90)においては、180nm以下のピッチは狭ピッチである。
ELマージンが向上する理由としては、定かではないが、上述したように、酸発生剤(B2)が光を吸収するため、光による影響が少なくなり、露光量が変化した際に、酸の発生量の変化が抑えられることが考えられる。
[実施例1、比較例1]
表1に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(A)−1:下記式(A)−1で表されるMw10000、Mw/Mn2.0の樹脂。
(A)−2:下記式(A)−2で表されるMw10000、Mw/Mn2.0の樹脂。
(B)−1:下記式(B)−1で表される化合物。
(B)−2:下記式(B)−2で表される化合物。
(D)−1:トリエタノールアミン。
(S)−1:PGMEA/EL=8/2(質量比)の混合溶剤。
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、145℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S−306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,σ=0.90)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーンレクチル)を介して選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、その後30秒間水洗し、振り切り乾燥を行った。
また、このとき形成された各CHパターンの上面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、いずれのCHパターンもほぼ同等の形状であった。
感度として、上記各CHパターンが形成される際の最適露光量EOP(単位:mJ/cm2(単位面積当たりのエネルギー量)を求めた。その結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1の感度と比較例1の感度とを比較すると、いずれのパターンにおいても、(B)−2を添加した実施例1の方が、若干、感度が遅かった(EOPの値が大きかった)。
露光量を変化させた以外は上記と同様にして各CHパターンを形成し、得られたCHパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、各CHパターンをターゲット寸法(110nm)±10%の範囲内の寸法(すなわち90〜110nm)で形成できる露光量が、上記で求めたEOPの何%以内であるか(ELマージン)を求めた。その結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1のELマージンは、比較例1のELマージンの同等以上であり、特にDense CHパターンとIso CHパターンのELマージンが大きかった。
上記Dence CHパターンのEOPで、口径110nm、ピッチ220nmをターゲットとするマスクパターンと、口径130nm、ピッチ220nmをターゲットとするマスクパターンとを用いてCHパターンを形成し、以下の式からMEFの値を求めた。
MEF=|CD130−CD110|/|MD110−MD110|
上記式中、CD130、CD110は、それぞれ、口径130nm、110nmをターゲットとするマスクパターンを用いて形成されたCHパターンの実際の口径(nm)である。MD1 、MD110は、それぞれ、当該マスクパターンがターゲットとする口径(nm)であり、MD130=130、MD110=110である。
MEFは、同じ露光量で、ピッチを固定した状態でマスクサイズ(CHパターンにおけるホール直径や、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅)を変化させた際に、サイズの異なるマスクパターンをどれだけ忠実に再現できるかを示すパラメーターであり、MEFの値が1に近いほど、マスク再現性が良好であることを示す。結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1のMEFと、比較例1のMEFとはほぼ同等であった。
マスクパターンとして、口径90nm、ピッチ180nmのCHパターンをターゲットとするマスクパターンを用いた以外は上記と同様にしてCHパターンを形成し、当該パターンが形成される最適露光量EOPを求めた。その結果、実施例1のEOPは82mJ/cm2であり、比較例1のEOPは、CHパターンの一部が開口していない部分があったため、EOPの算出ができなかった。
上記EOPでの露光により、実施例1においては、パターン崩壊を生じることなくCHパターンが形成できた。また、同じマスクパターンを用い、EOPよりも大きい露光量で露光した場合でも、パターン崩壊は生じず、たとえば形成されたホールの口径が100nmを越えた場合でも、パターン崩壊は生じなかった。
一方、比較例1においては、露光量を増大していくに連れて、未露光部のレジスト膜の一部が溶解しており、パターン崩壊が生じていた。たとえば67mJ/cm2で露光した場合においてもパターンが崩壊していた。
一方、(B)成分として(B)−1のみを用いた比較例1のポジ型レジスト組成物を用いた場合は、解像性、形状、MEFなどについては実施例1とほぼ同等であったものの、EOPに達する前の露光量でも顕著なパターン崩壊が生じていた。このように、比較例1では、パターン崩壊を生じることなく口径90nm、ピッチ180nmのCHパターンを形成することはできなかった。
Claims (7)
- 前記酸発生剤成分(B)中の前記オニウム塩(B1)と前記酸発生剤(B2)との比率(質量比)が、オニウム塩(B1):酸発生剤(B2)=99:1〜50:50の範囲内である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項1または2記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)が、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項3記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項3または4記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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