JP2008015115A - ズーム光学系 - Google Patents

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Abstract

【課題】非軸光学系の特長を十分に活かすとともに、ズーミング中に像面中心位置をほぼ一定に保ちながら品質の高い像を得ることのできるズーム光学系を提供する。
【解決手段】撮像光学系ZLは、複数の光学面と絞りSTを有し、複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面S10,S13を有する。偏芯した反射面S10,S13を第2,第3プリズムP2,P3が有し、正パワー又は負パワーの移動群(第2群Gr2,第3群Gr3)として平行移動と回転移動を行うことにより、軸上の結像位置と軸上主光線の像面S15への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明はズーム光学系に関するものであり、例えば、撮像光学系,投影光学系等として用いられるズーム光学系に関するものである。撮像光学系としては、例えば、画像入力機能付きデジタル機器(例えば携帯電話機)において撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成する光学系が挙げられ、投影光学系としては、例えば、プロジェクターにおいて表示素子の画像をスクリーン上に投影する光学系が挙げられる。
近年、撮像光学系や投影光学系を小型化するために、偏芯した光学面(例えば非回転対称な曲面形状を有する自由曲面等)を用いて光路を折り曲げる非軸光学系の開発が行われている。非軸光学系で撮像光学系や投影光学系を構成した場合でも、それらの実際の活用を考えると、撮影倍率や投影倍率を可変とするズーミング機能があれば便利である。従来より提案されている非軸光学系のズーミング方法としては、例えば、特許文献1〜5等で提案されているものが挙げられる。特許文献1記載の非軸光学系では、ズーミング中に移動する群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行になっており、その方向に対して平行に群を移動させることによりズーミングを実現している。また、特許文献2〜5記載の非軸光学系では、移動群を回転させることによりズーミングを実現している。
偏芯した光学レンズを用いた投影光学系のフォーカシング方法については、特許文献6〜8記載のものが挙げられる。特許文献6〜8では、T.Scheimpflugの理論を用いた、物体面と像面の傾きの関係を満たす、台形歪の少ない光学系が提案されている。具体的な数値実施例の記載は無いが、その構成は共軸系レンズが光軸に対し傾いた場合の光学系について成り立っており、傾いた物面に対しT.Scheimpflugの理論が成り立つように共軸系レンズを配置することにより、台形歪の少ない像を得るようにしている。そしてフォーカシングは、T.Scheimpflugの理論が成り立つように、光学レンズ,像面位置,物体面位置を変化させることにより実現している。
特開平8−292368号公報 特開2005−257713号公報 特開2005−283717号公報 特開2005−283718号公報 特開2005−300588号公報 特開平5−80418号公報 特開平5−113600号公報 特開平6−148566号公報
特許文献1で提案されているズーミング方法では、ズーミングのために移動させる移動群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行になっており、その方向に対して平行に移動群を移動させることによりズーミングが行われる。非軸光学系における光路の折り曲げは、小型化・薄型化を実現する上で共軸光学系よりも有効である。つまり、光学系や光学素子の軸上入射主光線と軸上射出主光線とを平行にすると、光路を折りたたむことによる小型化や薄型化の効果が薄れてしまい、非軸光学系のメリットを十分に発揮できなくなるのである。
特許文献2〜5で提案されているズーミング方法では、光学素子を回転させることによりズーミングが行われ、ズーミング中に像面中心の主光線(つまり軸上主光線)の像面への入射角度が変動する。特に軸上主光線の入射が像面に対して垂直からも大きく変化すると、その位置での光量の偏りが生じ、非対称な明るさ分布となって像に明るさムラが生じる。したがって、これらのズーミング方法では像の明るさムラが発生し、特にズーミングに伴ってそのムラが変化するためきれいな像が得られず、実用的でない。
特許文献6〜8で提案されているフォーカシング方法は、偏芯した反射面を用いた、偏芯のより大きな非軸光学系の場合、適用が困難である。そのような非軸光学系には、T.Scheimpflugの理論が適用できないからである。T.Scheimpflugの理論を適用するためには、1本の直線から成る光軸が必要であるが、非軸光学系にはそのような軸は通常存在しない。したがって、特許文献6〜8で提案されているフォーカシング方法をズーミングに適用しようとしても、光路を折り曲げたような積極的な非軸光学系のズーミングを行うことは不可能である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、非軸光学系の特長を十分に活かすとともに、ズーミング中に像面中心位置をほぼ一定に保ちながら品質の高い像を得ることのできるズーム光学系を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明のズーム光学系は、複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有するズーム光学系であって、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることを特徴とする。
第2の発明のズーム光学系は、上記第1の発明において、前記移動群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする。
第3の発明のズーム光学系は、上記第1又は第2の発明において、前記移動群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々の移動群について行うことを特徴とする。
第4の発明のズーム光学系は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記移動群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
第5の発明のズーム光学系は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、最も物体側のズーム群が正パワーを有することを特徴とする。
第6の発明のズーム光学系は、上記第5の発明において、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
0.001<φ1/φall<30.0 …(1)
ただし、
φ1:ズーミング中のある焦点距離状態における最も物体側のズーム群のパワー、
φall:ズーミング中のある焦点距離状態における全系のパワー、
である。
第7の発明のズーム光学系は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明において、ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、前記移動群が負パワーを有することを特徴とする。
第8の発明のズーム光学系は、上記第7の発明において、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
0.01<|φv/φall|<30.0 …(2)
ただし、
φv:ズーミング中のある焦点距離状態における移動群のパワー、
φall:ズーミング中のある焦点距離状態における全系のパワー、
である。
第9の発明のズーム光学系は、上記第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記偏芯した反射面として、非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする。
第10の発明のズーム光学系は、上記第1〜第9のいずれか1つの発明において、ズーム光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする。
第11の発明のズーム光学系は、上記第10の発明において、前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする。
第12の発明のズーム光学系は、上記第1〜第11のいずれか1つの発明において、前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることを特徴とする。
本発明によれば、移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら全系の焦点距離を変化させる構成になっているので、非軸光学系の特長を十分に活かすとともに、ズーミング中に像面中心位置をほぼ一定に保ちながら品質の高い像を得ることができる。
以下、本発明に係るズーム光学系の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1〜図3に、第1〜第3の実施の形態の撮像光学系ZLの光学構成をそれぞれ光学断面で示す。図1〜図3中、(A)はワイド端(最短焦点距離状態,W)、(B)はミドル(中間焦点距離状態,M)、(C)はテレ端(最長焦点距離状態,T)での光学配置,光路等をそれぞれ示している。また図1〜図3中、Si(i=1,2,3,...)が付された面は物体側から数えてi番目の面であり、Siに*印が付された面は自由曲面であり、第1面S1は後述する各面頂点位置を表すためのダミー面(基準面)である。
各実施の形態に係る撮像光学系ZLはいずれも、撮像素子{例えば、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子}SRの受光面上に物体(すなわち被写体)の光学像を形成するためのズーム光学系であり、物体側から順に、固定群である第1群Gr1と、移動群である第2群Gr2と、移動群である第3群Gr3と、の3群ズーム構成になっている。第1群Gr1は第1プリズムP1,レンズLN及び絞りSTから成っており、第2群Gr2は第2プリズムP2から成っており、第3群Gr3は第3プリズムP3から成っている。
第1〜第3の実施の形態の光学構成を光路順に説明する。撮像光学系ZLの最も物体側の面である第2面S2は、第1プリズムP1の入射面である。その第2面S2から撮像光学系ZLに入射してきた光線は、反射面である第3面S3(第1反射面)で反射されて第4面S4に向かう。第4面S4は全反射面(第2反射面)であり、第4面S4で反射された光線は第5面S5を透過する。第5面S5は第1プリズムP1の射出面であり、第5面S5から第1プリズムP1を射出した光線はレンズLNの第6面S6に入射する。
第5面S5から第1プリズムP1を射出した光線は、レンズLNを透過する。第6面S6はレンズLNの入射面であり、第7面S7はレンズLNの射出面である。したがって、第6面S6からレンズLNに入射した光線は、第7面S7からレンズLNを射出することになる。レンズLNを透過した光線は、絞りSTの第8面S8に向かう。なお、第2面S2から第7面S7までは全て自由曲面である。また、第2面S2から第8面S8(絞り面)までが第1群Gr1であり、ズーミング全体を通じて固定である。
第8面S8の絞りSTを通過した光線は、第2プリズムP2に向かう。第2プリズムP2の最も物体側の面である第9面S9は、第2プリズムP2の入射面である。その第9面S9から第2プリズムP2に入射してきた光線は、反射面である第10面S10(第3反射面)で反射されて第11面S11に向かう。第11面S11は第2プリズムP2の射出面であり、第11面S11から第2プリズムP2を射出した光線は、第3プリズムP3の第12面S12に入射する。なお、第9面S9から第11面S11までが第2群Gr2(第1の移動群)であり、全て自由曲面から成っている。
第12面S12は第3プリズムP3の入射面であり、その第12面S12から第3プリズムP3に入射してきた光線は、反射面である第13面S13(第4反射面)で反射された後、第14面S14を透過する。第14面S14は第3プリズムP3の射出面であり、第14面S14から第3プリズムP3を射出した光線は撮像素子SRに向かう。なお、第12面S12から第14面S14までが第3群Gr3(第2の移動群)であり、全て自由曲面から成っている。
第3プリズムP3を射出した光線は、像面(第15面S15)に相当する撮像素子SRの受光面に到達して、撮像素子SRの受光面上に被写体の光学像を形成する。形成された光学像は、撮像素子SRによって電気的な信号に変換される。ここでいう「撮像素子」とは、受光面が平面の2次元的なものである。2次元的な撮像素子は、水平方向と垂直方向に広がりを持つため、用いる撮像光学系も複雑になり、性能を劣化させる収差も複雑である。その補正のためには、各実施の形態のように、自由曲面等の回転非対称な面を適切に設定して用いるのが好ましい。
各実施の形態の撮像光学系ZLは、複数の光学面S2〜S14と絞りSTを有しており、第2群Gr2が偏芯した反射面として第10面S10を有する第2プリズムP2から成っており、第3群Gr3が偏芯した反射面として第13面S13を有する第3プリズムP3から成っている。各実施の形態におけるズーミングは、第2群Gr2と第3群Gr3を移動群として、その個々の移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることにより行われる。このように、偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を含むズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら全系の焦点距離を変化させるズーム構成は、複数の光学面と絞りを有し、その複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系であれば適用可能であり、各実施の形態に係るズーム光学系への適用に限るものではない。以下に、その特徴的な構成、作用効果等を説明する。
一般に、光学系を薄型にするには、偏芯した反射面で光路を折り曲げて配置するのが有効である。そのような配置にすることにより、共軸光学系よりもはるかに厚みの薄い光学系を実現することができる。また、光学系の焦点距離を変える、いわゆるズーミング機能があると便利である。光学系にズーミング機能を持たせれば、例えば、撮像光学系の場合には画角や撮影倍率を変えることができ、投影光学系の場合には投影倍率を変えることができる。
共軸光学系のズーミングでは、光学系内の光学面や光学素子を幾つかの固まり(「群」と呼ぶ)に分け、それらを個々に又はそれらのいくつかを一体に、光軸に沿って移動させることにより、光学系全体の焦点距離を変化させるのが一般的である。共軸光学系の場合、通常、直線で表される光軸が存在し、その光軸は軸上主光線と一致する。ズーミングに際して移動する群(すなわち移動群)は、光軸上をその光軸に対して平行に移動することによりズーミングを行う。言い換えると、移動群はズーミングに際し、それに入射する軸上主光線(すなわち軸上入射主光線)と、そこから射出する軸上主光線(すなわち軸上射出主光線)と、に対して平行な方向に移動する。
ここで、共軸光学系において焦点距離が変わる原理を、正負の2群ズームタイプの場合を例に挙げて説明する。図40に示すように、光学系を薄肉系として考える。第1群Gr1の焦点距離f1(パワーφ1)を正とし、第2群Gr2の焦点距離f2(パワーφ2)を負とし、群間の主点間隔をeとすると、全系のパワーφallは、φall=φ1+φ2−eφ1φ2で簡単に表される。今、図41に示すように、主点間隔をワイド端(W)でeW、テレ端(T)でeTとなるように、第1群Gr1と第2群Gr2を矢印m1,m2の方向にそれぞれ移動させる。そうすると、ワイド端(T)での全系のパワーφWallは、φWall=φ1+φ2−eWφ1φ2となり、テレ端(T)での全系のパワーφTallは、φTall=φ1+φ2−eTφ1φ2となる。主点間隔が群の移動により変わるため、ワイド端(W)とテレ端(T)とで全系のパワーを変えることができる。なお、ワイド端(W)からテレ端(T)へのズーミングにおいて、第1群Gr1,第2群Gr2とも物体側に移動しているのは、像面の位置を一定に保つためである。
次に、ここで扱う偏芯光学系、いわゆる非軸光学系の場合を考える。非軸光学系の場合、一般に共軸光学系が持つような直線から成る光軸は存在しない。そのため、光軸の代わりに基準となる光線を考える。その光線は、物体中心から絞り中心を通り像面中心に至る光線とする。これは軸上光線の主光線であり、これを「ベースレイ」と呼ぶ。この光線を基準とするが、この光線は共軸光学系の場合のような直線ではない。非軸光学系の場合、ベースレイは直線ではないが、これを直線に展開して考えることができる。折れ曲がったベースレイをつないで一本の直線とし、その上に光学面を配置することにより、パワー配置等を考え易くすることが可能である。
非軸光学系の場合のズーミング方法を説明する。ここでの説明には、ハミルトン光学の特性関数を用い、特に、論文「B.D.Stone and G.W.Forbes, "Foundations of first-order layout for asymmetric systems : an application of Hamilton's methods" J.Opt.Soc.Am.A 9,96-109(1992)」で導入された1次特性関数行列を用いる。そして、1次特性関数行列はangle特性関数行列とする。また、ここで考える光学系は、図42に示す2群構成のズーム光学系とする。ただし、群を構成するものとしては、単独の光学面、複数の光学面、単独の光学素子、複数の光学素子、のいずれでもよく、ズーミング中に一体で移動させる集まり又は一体で固定している集まりを群(いわゆるズーム群)とする。
また、光学系を考えるために、基準となる面を考える。例えば後述する各実施例のように、ズーム光学系の一番前方に基準面を設定する。その基準面にグローバル座標系を設定する。グローバル座標系の原点はベースレイと基準面との交点とし、ベースレイ方向にZ軸を設定し、紙面の手前から向こう側へX軸を設定し、Z軸とX軸で右手系を成す方向をY軸(Y軸は紙面内にある。)と設定する。以上のようにグローバル座標系を設定し、また、説明を容易にするためズーム光学系はY−Z面対称とする。
次に、各群に座標系を導入する。図42に示すように、各座標系の原点をベースレイBR上に設定する。光学系における第1群Gr1の前方と後方に、第1群Gr1に関する座標系を設定する。前方の座標系を第1群前方座標系1Fとし、後方の座標系を第1群後方座標系1Rとする。各座標系の原点はベースレイBR上にとり、各座標系の軸として、ベースレイBR方向にz軸を設定し、x軸をグローバル座標と同じ方向に設定し、z軸とx軸で右手系を成す方向をy軸と設定する。第2群Gr2に関する座標系も、第1群Gr1と同様に設定する。前方の座標系を第2群前方座標系2Fとし、後方の座標系を第2群後方座標系2Rとする。そして、第1群後方座標系1Rと第2群前方座標系2Fとを一致させておく。
折れ曲がったベースレイBRを直線に展開すると、図43(A)に示すようになり、各主点位置で表すと図43(B)に示すようになる。図43(B)において、H1は第1群Gr1の前側主点、H1’は第1群Gr1の後側主点、H2は第2群Gr2の前側主点、H2’は第2群Gr2の後側主点、eは主点間隔である。
ここで、1次特性関数を用いると、以下の関係が成り立つ。
Figure 2008015115
以上の関係から、全系の合成パワーは以下に示すようになる。
Figure 2008015115
ズーミングを行う場合、群の主点間隔が変わるように群を移動させれば、全系のパワー(言い換えれば焦点距離)を変えることができる。しかしながら、非軸光学系の場合は、共軸光学系とは異なる課題がある。つまり、単純な平行移動の場合は、通常、ベースレイが移動してしまう。具体的には、第2群Gr2が平行に移動した場合、第2群Gr2へのベースレイBRの入射位置が変わり、ベースレイBRの通過位置・射出位置と方向が変わることになる。この場合、像面IMへ向かうベースレイBRの方向が変わるため、像面IMでのベースレイBRの位置、つまり軸上の結像位置が移動してしまう。このような現象が起こると、ズーミング中に軸上位置(中心位置)が移動してしまい、像がズーミング中に動いたり、ふらふらしたりしてしまう。さらに、中心がずれるため、像の周辺に欠ける部分が生じてしまう。いずれにしても実用性はなくなる。
平行移動だけでは軸上射出主光線を一定にできないことを、偏芯した反射面を持つ三角プリズムPR(図42中の第2群Gr2)を例に挙げて説明する。図44(A)は、ある焦点距離状態で三角プリズムPRを通過するベースレイBRの様子を示している。この三角プリズムPRを軸上入射光線(ベースレイBR)方向に平行移動させた場合、そのベースレイBRの通過する様子を描いたのが図44(B)である(移動後の位置を破線で示す。)。図44(B)から分かるように、軸上射出主光線(ベースレイBR)は元の光線位置(実線)からずれている。また、三角プリズムPRを軸上射出主光線(ベースレイBR)方向に平行移動させた場合、そのベースレイBRの通過する様子を描いたのが図44(C)である(移動後の位置を破線で示す。)。この場合も、軸上射出主光線(ベースレイBR)が元の光線位置(実線)からずれていることが分かる。
上記のように、三角プリズムPRを平行移動させると、いずれの場合も軸上射出主光線がずれてしまう。ただし、移動群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行で、その方向に移動させた場合には、このような現象は生じない。しかしながら、そのような配置は非軸光学系では特別の場合であることが多い。また、そのような配置にすると、光路の折りたたみ効果が少なくなり、大きなスペースが必要となるため、非軸光学系のメリットを十分に活かせなくなる。そして、そのような設計制約が発生する結果として、設計での自由度が少なくなってしまう。
上記課題を解決するには、移動群のズーム移動として平行移動と回転移動を行うのが好ましい。平行移動と回転移動を行うことにより、ベースレイの各面への入射角度及び入射位置を変えることができる。各面の位置,形状及び移動を適切に設定することにより、移動群の最終面から射出するベースレイを、他のズームポジションでのベースレイと一致させることができる。特に、偏芯した反射面があると、そのような配置を取ることが可能となる。これを全ての移動群の個々に要求する必要はない。移動させる群のうち、最後の群から射出するベースレイが一致するように、移動群を個々に平行移動及び回転移動させればよい。移動群のなかには、平行移動のみの群や回転移動のみの群が含まれていても構わない。また、移動群間ではベースレイが移動しても構わない。
図45に、先の三角プリズムPRの平行移動及び回転移動を行った場合を例として示す。三角プリズムPRの平行移動及び回転移動を行うと、以下のようにベースレイBRが変動する(図45中、移動後の三角プリズムPRとベースレイBRの位置を破線で示す。)。まず、三角プリズムPRの第1面s1(入射面)とベースレイBRとの交点が移動し、さらには第1面s1に対するベースレイBRの入射角度が変化する。したがって、この第1面s1から射出するベースレイBRの方向が変化する。三角プリズムPRの移動前後で、第1面s1からの射出ベースレイBRの位置と方向が異なるため、第2面s2(反射面)とベースレイBRとの交点位置も異なる。さらには、第2面s2への入射角度が異なるため第2面s2での反射角度も異なる。第2面s2を射出するベースレイBRは位置と方向が異なるため、ベースレイBRと第3面s3(射出面)との交点位置を変えることが可能である。
第2面s2を射出したベースレイBRの位置と方向が異なるため、第3面S3とベースレイBRとの交点位置が変化し、また、第3面S3への入射角度が異なるため、第3面S3からの射出角度も変化する。このとき、第3面S3とベースレイBRとの交点を、元の三角プリズムPR位置の射出ベースレイBR上に乗るようにし、その射出方向を元の射出ベースレイBRと同じ方向にすれば、射出光線としてのベースレイBRは移動しない。このようにするためには、三角プリズムPRの平行移動と回転移動が必要であり、その移動により、各面とベースレイBRとの交点、及び各面に対する入射角度を変化させることが可能となり、射出ベースレイBRを一定とすることが可能となる。ここでは、三角プリズムの移動によるズーミング方法を例示したが、単独の偏芯した光学面や複数の光学面を持つ光学素子の移動によるズーミング方法においても同様であり、平行移動と回転移動により射出ベースレイを一定にすることが可能となる。
図46に、前述した2群構成のズーム光学系(図42)について、そのワイド端(W)とテレ端(T)での光学配置を示す。また図47に、折れ曲がったベースレイBRを直線に展開したときの各焦点距離状態(W),(T)での光学配置を示す。このとき、ワイド端(W)とテレ端(T)での各焦点距離(パワー)は、以下の式で表される。以下の式から分かるように、移動群のパワー(すなわち焦点距離の逆数)が正又は負であれば変倍可能であり、ズーミングを行うことができる。
Figure 2008015115
従来の共軸光学系と比べると、非軸光学系に用いる上記ズーミング方法には大きな利点がある。例えば、移動群内をベースレイが通る位置は各ズームポジションで異なるため、移動群を構成する各面のパワーはズーミングに伴って変化し、さらには各面のベースレイに沿った間隔も変化する。結果として、移動群のトータルのパワー(焦点距離)を変化させることができる。これは、単独の面を移動させる場合も同じである。これにより、変倍を移動量だけではなく各群のパワーの変化でも負担できるため、移動量を小さくすることができる。このため、移動のスペースを小さくすることが可能となり、光学系をよりコンパクトにすることが可能となる。逆に、同じスペースでも、変倍比を大きくすることが可能となる。この点が、共軸光学系と大きく異なる点の1つであり、ズーム比に対して、非常にコンパクトな光学系を実現することが可能となる。また、移動量の極端に小さい光学系を実現することが可能である。
非軸光学系のMの係数は、透過面の場合、以下の式で表される。
Figure 2008015115
また、反射面の場合、非軸光学系のMの係数は、以下の式で表される。
Figure 2008015115
ここで、L11、L22は各方向の面の曲率、θは入射角度、θ’は射出角度、nは入射前の媒質の屈折率、n’は射出後の媒質の屈折率である。
上記式から分かるように、面の曲率が同じでも、反射面を用いた場合の方が2〜4倍、パワーを強くすることができる。非軸光学系のような偏芯した反射面の場合は、共軸光学系と異なり、入射角度θが面のパワーに影響を及ぼす。このθの変動の影響は、cos(θ)について、屈折面に対し反射面の方が2〜4倍、パワーを変化させることができる。つまり、偏芯した反射面を回転させることにより、ベースレイの入射角度θを変化させた場合、屈折系よりも、より大きくパワーを変化させることが可能となる。よって、このような面を、ズーミングの移動群として採用することにより、移動群のパワーを大きく変えることが可能となるため、ズーミングによる移動量を大幅に減らすことが可能となる。これにより、よりコンパクトな光学系の実現が可能となり、さらにはズーム比の拡大を実現することができる。したがって、偏芯した反射面を含む光学面群、又は偏芯した反射面を含む光学素子群を移動群とし、ズーミングに回転移動を用いることが、以上のことから望ましいといえる。
ズーミングを行う場合、ズーミング中に像面が移動してしまったのでは実用的でない。そのため、像面が一定となるように移動群を移動させることが望ましい。移動群の平行移動と回転移動を行うことにより、像面位置がほぼ一定となるようにすることが可能となる。またそのとき、像面への軸上射出主光線をほぼ一定にすることは、上述したように射出ベースレイを一定にする方法を用いることにより可能である。ここでは、2群ズーム構成のズーミングについて述べたが、移動群がさらに多いズームタイプ、固定群が含まれるズーム光学系についても、考え方は同じであり、容易に拡張することができる。また、撮像光学系のズーミングに限らず、投影光学系のズーミングについても同様である。
したがって各実施の形態のように、偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら全系の焦点距離を変化させる構成は、複数の光学面と絞りを有し、その複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有するズーム光学系,又はそのズーミング方法における適用において一般化が可能である。上記移動群としては、例えば、光学面として偏芯した反射面のみを有するプリズム光学素子、光学面として偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成るものが挙げられる。また前述した各実施の形態のように、ズーム光学系が移動群を複数有し、平行移動と回転移動を個々の移動群について行う構成としてもよい。
更に詳しくは、光学面として少なくとも1面の偏芯した反射面を有するズーム光学系,又はそのズーミング方法において、以下の(a)〜(e)の一体又は個々の平行移動及び回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら全系の焦点距離を変化させる構成を有することが望ましい。
(a):少なくとも1面の偏芯したプリズム反射面。
(b):少なくとも1面の偏芯したプリズム反射面を含む複数の光学面(偏芯した反射面以外の光学面を含む。)。
(c):少なくとも1面の偏芯したプリズム反射面を有する少なくとも1つのプリズム光学素子。
(d):少なくとも1面の偏芯したプリズム反射面を有するプリズム光学素子を含む複数の光学素子(偏芯した反射面の無い光学素子を含む。)。
(e):少なくとも1面の偏芯したプリズム反射面を有するプリズム光学素子を含む全光学素子(偏芯した反射面の無い光学素子を含む。)。
上記のように、偏芯したプリズム反射面を少なくとも1面有する移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら全系の焦点距離を変化させる構成によれば、非軸光学系の特長を十分に活かすとともに、ズーミング中に像面中心位置をほぼ一定に保ちながら品質の高い像を得ることができる。この効果に加え、更に高い光学性能等を達成するための条件、その他の好ましい構成等を以下に説明する。
前記移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させる構成にすることが望ましい。軸上主光線が像面に対して垂直に入射しないと、像面での明るさが非対称となり、明るさのムラが発生する。そのとき、デフォーカスした位置での像は非対称なボケ像となるため、きれいな像は得られない。ズーミング中に軸上主光線の像面への入射角度が大きく変化すると、像の明るさムラがズーミング中に大きく変化し、実用的でなくなる。このため、ズーミング中は軸上主光線の像面への入射角度が大きく変化しないことが好ましい。したがって、偏芯した反射面を少なくとも1面有する移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることが望ましい。
上記観点から、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。条件式(4)の条件範囲を外れて入射角度が大きく変化すると、ズーミング中に像の明るさムラが大きくなりすぎてしまい、実用的でなくなる。
|θT−θW|<5.0° …(4)
ただし、
θT:テレ端での軸上主光線の像面への入射角度、
θW:ワイド端での軸上主光線の像面への入射角度、
である。
以下の条件式(4a)を満足することが望ましく、条件式(4b)を満足することが更に望ましい。
|θT−θW|<3.0° …(4a)
|θT−θW|<1.0° …(4b)
これらの条件式(4a),(4b)は、上記条件式(4)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
ここで、軸上主光線の像面への入射角度をほぼ一定に保つための条件を説明する。共軸光学系の場合は、ズーミング時に移動群を光軸に対し平行に移動させても、軸上光線の入射光線と射出光線は光軸上にある。しかしながら、一般の非軸光学系では移動群に対する軸上光線のうち入射光線と射出光線とが平行でないと、移動群の移動により射出光線が移動してしまい、像面位置が移動してしまう。これを防ぐためには、前述したように移動群を平行移動させるのに加えて適切に回転移動させることが好ましく、これにより軸上射出光線が一定であるようにすることができる。
移動群がズーム移動したときでも、像面へ向かう軸上光線がほとんど移動しないようにするための条件は、以下のようにして求められる。簡単のために、前述した図45に示す三角プリズムPRを像面に最も近い移動群とした場合を例に挙げ、その移動と回転により射出光線が移動しないようにする場合を考える。三角プリズムPRは、光路に沿って順に、入射面(第1面s1)と、反射面(第2面s2)と、射出面(第3面s3)と、の各1面から成っている。なお、説明を簡単にするためズーム光学系はY−Z面対称とする。
ズーミングにおいて互いに異なる2つの焦点距離状態F1,F2を考える。図45において、実線が焦点距離状態F1での位置を示し、破線が焦点距離状態F2での位置を示すものとする。図45に示すように、各焦点距離状態F1,F2で三角プリズムPR内を通過するベースレイBRの軌跡は異なる。そこで、この光学系のある位置、例えば、この三角プリズムPRへ入射する軸上光線上にグローバル座標系の原点を設定し、その座標系で説明する。
焦点距離状態F1の場合、第1面s1への入射光線の方向余弦ベクトルをQA1=QA1(lA1,mA1,nA1)とし、第1面s1からの射出光線の方向余弦ベクトルをQdA1=QdA1(ldA1,mdA1,ndA1)とする。第2面s2,第3面s3も同様に、入射光線の方向余弦ベクトルをそれぞれQB1=QB1(lB1,mB1,nB1),QC1=QC1(lC1,mC1,nC1)とし、射出光線の方向余弦ベクトルをそれぞれQdB1=QdB1(ldB1,mdB1,ndB1),QdC1=QdC1(ldC1,mdC1,ndC1)とする。明らかに、QdA1=QB1,QdB1=QC1である。第1面s1〜第3面s3とベースレイBRとの交点を、それぞれ(xA1,yA1,zA1),(xB1,yB1,zB1),(xC1,yC1,zC1)とする。第1面s1〜第3面s3とベースレイBRとの交点における単位法線ベクトルを、それぞれEA1,EB1,EC1とする。また、第1面s1の前後の媒質の屈折率をnA,nAdとする。第2面s2,第3面s3についても同様に、屈折率をnB,nBd;nC,nCdとする。なお、第2面s2は反射面なので、nB=nBd、更には、nB=nAd,nC=nAdである。焦点距離状態F2の場合、焦点距離状態F1の添字1を2に変更する。
移動群に入射する光線上の位置と入射光線ベクトルが分かっているので、第1面s1とベースレイBRとの交点(xA1,yA1,zA1)を計算することができ、そこからEA1が算出される。QdA1はnA(EA1×QA1)=nAd(EA1×QAd1)より求められる。順次、追跡することにより、第3面s3とベースレイBRとの交点(xC1,yC1,zC1)とQdC1を計算することができる。
焦点距離状態F1,F2の第3面s3からの射出ベースレイBRは、Y−Z面が対称面であることから以下の式で表される。
・焦点距離状態F1の場合 … (Y−yC1)/(mdC1)=(Z−zC1)/(ndC1)
・焦点距離状態F2の場合 … (Y−yC2)/(mdC2)=(Z−zC2)/(ndC2)
2つの焦点距離状態F1,F2での2直線が一致すると、軸上光線の像面での位置と入射角度はズーミングにおいて変動しない。その条件は以下の式で表される。ただし、正確に一致している必要はなく、ある程度の差は許容される。
(mdC1)/(mdC2)=(ndC1)/(ndC2)=(yC1−yC2)/(zC1−zC2)
なお、図45に示すような移動群の焦点距離は、以下の式で表される。
11=(nAd)/(2・LB11・V11・V12・cosθBs−EA・LA11・V12−EC・LC11・V11)
22=(nAd・cosθCsd・cosθCs・cosθBs・cosθAsd・cosθAs)/(2・LB22・V21・V22−EA・LA22・V22・cosθBs−EC・LC22・V21・cosθBs)
ここで、各面でのベースレイBRとの交点におけるX方向とY方向の曲率をLA11,LA22;LB11,LB22;LC11,LC22とする。また、各面でのベースレイBRの入射角と射出角をそれぞれ、θAs,θAsd;θBs,θBsd(=θBs);θCs,θCsdとする。nAdは屈折率であり、V11,V12,V21,V22,EA,ECは以下の通りである。ただし、移動群である三角プリズムPR(図42中の第2群Gr2)の前方座標系2Fの原点から、ベースレイBRと第1面s1との交点までの距離をdAとし、ベースレイBRと第1面s1との交点からベースレイBRと第2面s2との交点までの距離をdBとし、ベースレイBRと第2面s2との交点からベースレイBRと第3面s3との交点までの距離をdCとする。
11=(EA・LA11・dB−nAd)
12=(EC・LC11・dC+nAd)
21=(EA・LA22・dB−nAd・cos2θAsd)
22=(EC・LC22・dC+nAd・cos2θCs)
A=(nA・cosθAs−nAd・cosθAsd)
C=(nC・cosθCs−nCd・cosθCsd)
移動群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行である場合には、その方向に移動群を平行移動させることにより、軸上射出主光線の方向を一定にすることができる。しかしながら、その場合には移動群が群間距離を変えることによる変倍のみが、ズーミングに寄与することになる。それは、ベースレイの通過位置が変動せず、ベースレイと各光学面との交点位置が一定であり、さらに各光学面へのベースレイの入射角度が変化せず、結果として、その移動群のパワーが変化しないからである。
非軸光学系では、移動群の平行移動と回転移動により、軸上射出光線を一定のまま群間距離を変え、更には群のパワー(焦点距離)を変化させることにより、変倍を行うことが可能である。つまり、群のパワーを変化させて変倍を稼いだ方が、ズーミングにおける移動距離を減らすことが可能となる。移動距離が少ないと、それだけスペースが少なくて済むため、よりコンパクトな光学系の実現が可能となる。それに対し、移動群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とを平行に配置すると、大きなスペースが必要となるため、光路の折りたたみ効果が少なくなり、コンパクトな光学系にならなくなる。また、そのような設計制約が発生する結果、設計での自由度が少なくなってしまう。したがって、よりコンパクトな光学系を実現するには、偏芯した反射面を少なくとも1面有する移動群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することが望ましい。
上記観点から、偏芯した反射面を少なくとも1面有する移動群として、以下の条件式(3)を満足するものを少なくとも1つ有することが望ましい。
5<|θpr|<175 …(3)
ただし、
θpr:移動群に対する軸上主光線のうち軸上入射主光線と軸上射出主光線とが成す角度、
である。
この条件式(3)は、移動群における軸上主光線の方向の変化に関して好ましい条件範囲を規定しており、|θpr|の値は、光路の折りたたみの度合いを表している。条件式(3)の下限を越えて軸上主光線の変化が小さくなると、光路の折りたたみ効果が小さくなるため、コンパクトな光学系にならなくなる。逆に、条件式(3)の上限を越えて光路が反対の方向へ曲げられた場合でも、光路の折りたたみ効果が小さくなるため、コンパクトな光学系にならなくなる。特に非軸光学系から成るズーム光学系の場合、移動群については折りたたみ効果が小さいと、その分、より大きなスペースが必要となるため、コンパクトな光学系の実現が困難になる。
以下の条件式(3a)を満足することが望ましく、条件式(3b)を満足することが更に望ましい。
20<|θpr|<160 …(3a)
30<|θpr|<150 …(3b)
これらの条件式(3a),(3b)は、上記条件式(3)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
前述した非軸光学系のズーミングにおける移動群は、平行移動と回転移動を行うため、移動群内のベースレイの透過経路が異なる。そのため、移動群のパワーがズーミングに伴って変化する。前述したように移動群のパワーを変えることにより、移動群の結像関係のM11、M22の値を変えることが可能となり、その変化で変倍の一部を負担することができる。移動群の移動による変倍の一部がパワーの変化により負担されると、結果的に移動群の移動量を小さくすることが可能となる。これにより、移動群の移動のためのスペースを小さくすることが可能となり、光学系の厚みをさらに薄く抑えることが可能となる。したがって、偏芯した反射面を少なくとも1面有する移動群として、ズーミング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することが望ましい。パワーを変えながらズーミングを行うことにより、移動群の移動量を小さくできる、という大きな効果を得ることができる。
ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、最も物体側のズーム群が正パワーを有することが望ましい。第1〜第3の実施の形態では第1群Gr1が固定群となっているが、最も物体側のズーム群は固定群に限らず移動群でもよい。最も物体側のズーム群のパワーが正であることにより、第2群以降の光束が狭くなる。これにより、光学系のコンパクト化が可能となる。特に非軸光学系の場合、厚みを薄くするために、最も物体側のズーム群で入射光線をほぼ垂直方向に曲げることが望ましい。その場合、厚みが光束幅と密接な関係を持つため、光束を狭くする方が薄型化に有利である。さらに、最も物体側のズーム群のパワーを正とした場合、後群において変倍を行う群の光線高さを低くすることができるため、ズーミングに伴う収差変動を効果的に抑えることが可能となる。したがって、最も物体側のズーム群に正パワーを持たせることは、ズーム比のより一層の高変倍率化に適している。
ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、最も物体側のズーム群が正パワーを有するとともに、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
0.001<φ1/φall<30.0 …(1)
ただし、
φ1:ズーミング中のある焦点距離状態における最も物体側のズーム群のパワー、
φall:ズーミング中のある焦点距離状態における全系のパワー、
である。
この条件式(1)は、第1群のパワーに関して好ましい条件範囲を規定している。第1群は最も物体側に位置するため光線高さが高く、球面収差に相当する非軸球面収差の影響が大きくなる。また第1群において、光線を入射光線方向に対して大きく曲げることにより厚みを薄くすると、曲げる方向の焦点距離は、その面への入射角度の余弦の2乗が乗じられるため、非点隔差の原因となる。条件式(1)の上限を越えて第1群のパワーが大きくなると、球面収差に相当する収差が大きくなり、さらには非点隔差が大きくなるため、性能が満たせなくなる。また、条件式(1)の下限を越えて第1群のパワーが小さくなると、光束を十分に小さくできなくなるため、薄い光学系の実現が困難になる。
以下の条件式(1a)を満足することが望ましく、条件式(1b)を満足することが更に望ましい。
0.01<φ1/φall<10.0 …(1a)
0.01<φ1/φall<3.0 …(1b)
これらの条件式(1a),(1b)は、上記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、前記プリズム光学素子を含む移動群は負パワーを有することが望ましい。ズーミングにおいて移動群は変倍作用を担うが、変倍する群のパワーが負であれば光線高さが低くなるため、変倍における収差変動を小さく抑えることができる。したがって、変倍に伴う収差変動を小さくできることから、ズーム比を大きくすることが可能となる。
ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、前記プリズム光学素子を含む移動群は負パワーを有するとともに、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
0.01<|φv/φall|<30.0 …(2)
ただし、
φv:ズーミング中のある焦点距離状態における移動群のパワー、
φall:ズーミング中のある焦点距離状態における全系のパワー、
である。
変倍群として負の群を採用すると光線高さを低く抑えることができ、そのため、面のパワーをある程度強くすることが可能となる。しかしながら、非軸光学系の場合、非点隔差の問題があり、大きくするのにも限界がある。非軸光学系の場合、偏芯している方向への焦点距離が、偏芯していない方向に対して入射角度の2乗を乗じた値になる。そのため、非点隔差の発生に注意する必要がある。特に非軸光学系の場合、ズーミングにおいて移動群が平行移動と回転移動を行うため、ベースレイの光路が変化する。それによって、光学面への入射角度が変化するため、非点隔差が変動する。一方、このベースレイの光路の変化により、移動群である負群のパワーが変化する。この両者を適切に設定することにより、非点隔差の小さい高性能な光学系を実現することができる。条件式(2)の上限を越えて移動群のパワーが強くなると、非点隔差が大きくなりすぎて高性能な光学系の実現が困難になる。
各実施の形態のように非軸光学系に用いる前記ズーミング方法では、変倍群の移動のみではなく、変倍群自体のパワーの変化も変倍に寄与する。しかしながら、移動群のパワーが小さい場合、変倍をかせぐためには、前述した式から分かるように、移動群を大きく移動させる必要がある。そのため、移動群のパワーが弱すぎると、変倍のために移動量を大きくしなければならなくなり、そのためのスペースが必要となってコンパクトな光学系の実現が難しくなる。例えば、条件式(2)の下限を越えて移動群のパワーが弱くなりすぎると、コンパクトな光学系の実現が困難になる。
以下の条件式(2a)を満足することが望ましく、条件式(2b)を満足することが更に望ましく、条件式(2c)を満足することが更に望ましい。
0.01<|φv/φall|<20.0 …(2a)
0.05<|φv/φall|<10.0 …(2b)
0.2<|φv/φall|<3.0 …(2c)
これらの条件式(2a),(2b),(2c)は、上記条件式(2)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
偏芯した反射面として、自由曲面又は非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することが望ましい。偏芯した反射面を用いると、光路の折りたたみ等の偏芯の効果により、より薄い光学系を実現することができる。しかしながら、偏芯しているために、偏芯による独特の収差が発生する。例えば、軸上でも非点収差が発生する。その収差補正は、光学面の曲率半径を水平方向と垂直方向とで異ならせることによって初めて可能となる。この状況は、周辺部分でも同様である。このような非回転対称な面から成る反射面としては、水平方向と垂直方向との曲率半径を任意に選択できる自由曲面が適している。したがって、高性能な光学系を実現するためには、自由曲面を用いることが望ましい。
前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることが望ましい。「プラスチック材料から形成されている」とは、プラスチック材料を母材としていることを言い、その表面に反射防止や表面硬度向上を目的としてコーティング処理を施した場合をも含むものとする。また、ここで言う「プラスチック材料」とは、特開2005−55852号公報で開示されている、プラスチック材料も含むものとする。特開2005−55852号公報で開示されているプラスチック材料は、通常のプラスチック材料に比べ、温度による屈折率変化が小さい材料である。特にこのような、温度による屈折率変化の小さいプラスチック材料を、ここでは「アサーマル樹脂」と呼ぶことにする。特開2005−55852号公報で開示されているプラスチック材料とは、具体的には、プラスチック材料中に最大長が30ナノメートル以下の粒子(例えば、無機微粒子等)を分散させた素材を用いて成形したプラスチック材料であり、例えばアクリルに酸化ニオブ(Nb25)の微粒子を分散させたものである。
プラスチック材料を光学系に用いる利点は、軽量化,コストダウン,一体成型の容易さ等、多々ある。その反面、デメリットとしては、環境温度変化による屈折率変化が大きいことが挙げられる。この影響により、周囲温度が変化した際に、撮像レンズ全系の像点位置が変動してしまうという問題をかかえてしまう。これを補正するために、アサーマル樹脂を部分的又は全てのプラスチック材料として用いることが望ましい。そうすることにより、光学系の像点位置変化を小さく抑えることが可能となる。なお、特開2005−55852号公報では、プラスチック材料の例としてdn/dt(n:屈折率,t:温度)の符号の異なる微粒子を分散させた例が示されているが、プラスチック材料のdn/dtに比べてdn/dtの絶対値が小さい微粒子を分散させれば、dn/dtの符号が同符号であっても温度変化による屈折率変化は小さくなり、従来のプラスチック材料を用いる場合に比べて光学系の像点位置の変化量を小さくすることができる。ただし、プラスチック材料にはdn/dtの符号の異なる微粒子を分散させた方が、プラスチックに分散する微粒子の量を少なくすることができる。
また、前述した各実施の形態のように偏芯した反射面を有するズーム光学系の場合、環境温度による屈折率変化が大きいと、非点隔差が増大するという問題が発生する。これを補正するためには、従来のパワー配分の調整だけでは限界があり、アサーマル樹脂を使う必要がある。各実施の形態のような偏芯光学系では、非点隔差を小さく保つことが高性能な光学系を実現するためには必要であり、特に、プリズム材料としてアサーマル樹脂を用いることが望ましい。
前述した特徴的なズーミング方法を実施するにあたり、撮像素子へ光学像を形成するような構成をとることが望ましい。前述した各実施の形態に係るズーミング方法は、撮像素子SRの受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系ZLに用いられている。そのように、前記ズーム光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることが望ましい。ただし、前記ズーミング方法は撮像光学系への適用に限るものではなく、あらゆる非軸光学系に適用できるものであることから、投影光学系,表示光学系等にも適用可能な方法である。
前記ズーミング方法が適用される光学系は、少なくとも3群構成であることが望ましい。少なくとも3群構成のズーム光学系では、1つの群が主にバリエータの役割を果たし、1つの群がコンペンセータの役割を果たすことになる。したがって、収差補正のために、1つの群を固定群又は移動群とするのが更に望ましい。収差補正用のズーム群として、更に他の群を配置することも好ましいが、群が多くなるとそれだけコンパクトさが失われることになる。よって、収差補正やコンパクトさ等を考慮すると、3群構成のズーム光学系が望ましい。
少なくとも3群構成のズーム光学系において、第3群(各実施の形態における第3プリズムP3)の入射面は絞りに対してコンセントリックに近い自由曲面形状を有することが望ましい。高性能の光学系では、より広い画角の性能も確保する必要がある。そのためには、像面の平坦性に優れ、非点収差の小さい光学系が望ましい。そのような光学系を達成するために、第3プリズムの入射面を、絞りに対してコンセントリックに近い面形状にすることが望ましい。
移動群として第2群及び第3群を有する少なくとも3群構成のズーム光学系において、第2群の射出面と第3群の入射面とは対向配置されていることが望ましい。第2群と第3群を移動群とし、お互いの間隔を大きく変動させた場合、大きなスペースが必要になる。このため、ズーム光学系のコンパクト化が困難になる。コンパクトな光学系を実現するには、両者の面を対向配置してスペースを減らすことが望ましい。さらに、お互いの面の軸上主光線(ベースレイ)の通過する位置を変えることにより、効果的に変倍を行うことが可能になる。
少なくとも3群構成のズーム光学系において、第3群を構成する第3プリズムの反射面はX方向とY方向のパワーの符号が異なることが望ましい。非軸光学系では、非点隔差の発生は必然的である。その補正のためにも、回転対称軸を持たない自由曲面を用いることが望ましい。自由曲面の大きな特徴の1つとして、X方向とY方向の曲率の符号を変え得る点が挙げられる。これにより、非点収差の発生する方向をX方向とY方向とで変えることができるため、補正に大きく役に立つ。特に像面に近い第3プリズムの反射面に、X方向とY方向の曲率の符号を異なる面とすることが、非点隔差を補正する上で好ましい。しかも反射面は色収差に影響を与えないため、特に有用である。
ズーミング中は、絞り位置が固定であることが望ましい。絞りは、光量を調整する働きをする。非軸光学系の場合、共軸光学系とは異なり、軸上光束についても回転対称な集光はせず、一般に非回転対称な集光を行う。そのため、ズーミング中に絞りが移動すると、集光の非対称性が大きく変化することがある。このような現象が発生すると、ズーミング中に明るさのムラが変化し、像が非常に見づらくなるため実用的でない。さらに、絞りがズーミング中に移動すると、絞りのエッジの光線に対する角度が変化するためフレアーの原因となる。したがって、ズーミング中は絞り位置が固定であることが望ましい。
ズーミング中に固定の群(つまり固定群)があることが望ましい。移動する群(つまり移動群)が多いと、性能の低下が大きくなる可能性が高くなる。固定群があることにより、物を組み立てるときに基準とすることができる。例えば、固定群を基準として移動群の位置を相対的に決めることができる。その方法により、高精度に移動群の位置を決めることができる。
前述した各実施の形態では、第1群が第1プリズムP1の像側にレンズLNを有している。このように、最も物体側の群には透過面のみから成る光学素子が存在することが望ましい。それが反射面を持たないことより、光路を大きく変えることがなく、他の収差への影響を小さくしたまま、色収差を補正することが可能となる。例えば、色収差,フレア等の補正を効果的に行うことが可能となる。
光学系は、入射面と、少なくとも1面の反射面と、射出面と、を有するプリズム光学素子を、少なくとも3つ有することが望ましい。さらには、前述した各実施の形態のように、プリズム光学素子を3つ有することが望ましい。高性能化を実現するためには、収差補正能力を高める必要がある。特に、画角の拡大,像高の拡大,長焦点距離化等に伴い、軸外収差が大きくなる。その補正のためには、光学面が多いほうが有利である。しかしながら、光学素子が増えるとコンパクトさが失われてしまう。コンパクトさを維持しながら収差補正能力を高めるには、プリズム光学素子を少なくとも3つ有することが好ましい。さらには、光学素子3つで光学系を構成すると、コンパクトでありながら高性能を実現することができる。
プリズム光学素子の反射面を形成する面には、反射する領域と透過する領域があることが望ましい。プリズム面を作製する場合、その全てを反射面にすると、エッジの部分で迷光が発生するという問題があり、また、プリズム光学素子を保持するための部分が確保できないという問題もある。反射する領域以外の光を透過させる構成にすれば、有効範囲だけを利用することができ、迷光対策において好ましい。また、その領域でプリズム保持も可能となるが、保持部で光をカット又は吸収する構成にすれば迷光対策になる。
プリズム光学素子の反射面を形成する面には、反射する領域と吸収する領域があることが望ましい。プリズム面を作製する場合、その全てを反射面にすると、エッジの部分で迷光が発生するという問題があり、また、プリズム光学素子を保持するための部分が確保できないという問題もある。反射する領域以外の光を吸収させる構成にすれば、有効範囲だけを利用することができ、迷光対策において好ましい。また、吸収される部分でプリズム保持も可能となる。
プリズム光学素子の反射面を形成する面には、反射する領域と遮光する領域があることが望ましい。プリズム面を作製する場合、その全てを反射面にすると、エッジの部分で迷光が発生するという問題があり、また、プリズム光学素子を保持するための部分が確保できないという問題もある。反射する領域以外の光を遮光する構成にすれば、有効範囲だけを利用することができ、迷光対策において好ましい。また、遮光される部分でプリズム保持も可能となる。
前記反射する領域には、反射コートを施していることが望ましい。反射する部分に反射コートを施すことにより、光を効率良く反射させることが可能となる。例えば、絞りを有する反射面を用いる場合には、絞りの有効径内にのみ反射コートを施すのが望ましい。これにより、絞り有効径以外の光をカットすることが可能となり、部品点数を増やすことなく、安価な構成をとることが可能となる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が黒染により構成されていることが望ましい。黒染することにより、その領域の面の変形を防止することができる。また、その面を保持部や測定基準面とすれば高精度を保つことができる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が粗研削により構成されていることが望ましい。面を粗くして光を散乱させる構成にすれば、有効径内のみの光を反射の対象にすることができる。また、粗研削では領域の変更を簡単に行うことが可能であり、安く加工できるというメリットもある。
前記吸収する領域又は遮光する領域が粗い面に加工されていることが望ましい。面を粗くして光を散乱させる構成にすれば、有効径内のみの光を反射の対象にすることができる。面を研磨又はプレスで作製する場合、研磨での仕上げは行われない。プレスでは金型のその部分を粗くしておけば、安く簡単に吸収領域又は遮光領域を形成することができる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が、光を散乱させるピラミッドの微小形状を有することが望ましい。吸収する領域又は遮光する領域に、光を散乱させるピラミッドの微小形状を作製することにより、その部分で光を減衰させることが可能となるため、特に迷光の対策になる。もし、その部分を透過にしておくと、鏡筒等で反射したり乱反射したりした光が迷光の原因となるため、その部分の形状を工夫したり、部品を追加したりする必要が生じる。それに比べれば、光を散乱させるピラミッドの微小形状はプレス等で安く加工できる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が、有機溶剤での化学反応により構成されたものであることが望ましい。吸収する領域又は遮光する領域の形成に有機溶剤を用い、化学反応を起こさせてその部分の性質を変えてやることが可能である。その部分に塗布したり、溶剤に浸しておくだけの処理で済むため、一度に大量の生産が可能となる。
前記反射する領域が鏡面状態にされていることが望ましい。光を有効に反射させるためには、反射部分を鏡面状態にするのが好ましい。特に、リップル等の微小な凹凸があると、反射効率が落ちたり迷光が発生したりする原因になるため、鏡面状態にすることが望ましい。
反射面にはアルミ蒸着のコーティングが施されていることが望ましい。アルミ蒸着のコーティングは反射率が高く、安価に加工できるというメリットがある。また、反射面にはアルミ増反射のコーティングが施されていることが望ましい。アルミ増反射のコーティングは、通常のアルミ蒸着コーティングよりも高い反射率が得られるように形成することができる。
さらに、高い反射率を得るには、反射面に誘電体のコーティングが施されていることが望ましい。誘電体のコーティングは反射率が非常に高い。特に複数の反射面が存在する場合には、光量の損失を低く抑える必要があり、その場合には誘電体のコートが有効である。また、反射面には銀蒸着のコーティングが施されていることが望ましい。銀蒸着のコーティングは反射率が非常に高い。特に複数の反射面が存在する場合には、光量の損失を低く抑える必要があり、その場合には銀蒸着のコートが有効である。
プリズム光学素子の反射面は、アルミ蒸着コーティングを施した面、アルミ増反射コーティングを施した面、誘電体コーティングを施した面、銀蒸着コーティングを施した面、が混在していることが望ましい。1つのプリズム光学素子に複数の反射面がある場合、反射面の全てにアルミ蒸着コーティングを施せば安価に製作できるが、反射率の低下を招くおそれがある。また、全ての反射面に増反射コーティング,銀蒸着コーティング,誘電体コーティングを施すと、反射率の低下は抑えられるが高価になってしまう。反射率の低下を少なくしながらより安価にするためには、4者をバランスさせるのが好ましい。また、4者のうち、2つ又は3つを選択してもよい。
少なくとも1面の反射面の反射率は80%以上であることが望ましい。全系の反射率は、各反射面の反射率の掛け算となる。全体の反射率を上げるためには個々の反射率を高くする必要があるが、それとともに反射率の低い面が1面あれば、全体の反射率の低下は大きくなってしまう。そのため、少なくとも1面の反射率は80%以上であることが必要となる。
プリズム光学素子の透過面又は反射面のうちの少なくとも1面に、長波長域を吸収するコーティングが施されていることが望ましい。光学系の波長に依存した結像性能に対し、長波長領域の光は有害である。そのため、長波長領域を吸収するコートが施された平行平板が撮像素子の前に配置されたりする。しかしながら、プリズム光学素子の反射面でそのような長波長領域の光を吸収してしまえば、有害光がなくなる。したがって、長波長領域を吸収する部材は不要となり、コストダウンが可能となる。
プリズム光学素子はプラスチック材料から成ることが望ましい。プラスチック材料を用いればプリズム光学素子を安価に構成することができ、また、プレス加工により大量に作ることも可能である。別の観点から言えば、プリズム光学素子はガラス材料から成ることが望ましい。プリズム光学素子をガラス材料で構成する場合、屈折率の高い材料を選択することができるので、その分、薄型化・高性能化に有利である。
なお、各実施の形態の撮像光学系ZLには、入射光線を屈折作用により偏向させる屈折型レンズ面(つまり、異なる屈折率を有する媒質同士の界面で偏向が行われるタイプのレンズ面)が用いられているが、使用可能なレンズ面はこれに限らない。例えば、回折作用により入射光線を偏向させる回折型レンズ面,屈折作用と回折作用との組み合わせで入射光線を偏向させる屈折・回折ハイブリッド型レンズ面等を用いてもよい。
各実施の形態の撮像光学系は、画像入力機能付きデジタル機器(例えばカメラ付き携帯電話)用の薄型撮像光学系としての使用に適しており、これを撮像素子等と組み合わせることにより、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像装置を構成することができる。撮像装置は、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成す光学装置であり、例えば、物体(被写体)側から順に、物体の光学像を形成する撮像光学系と、撮像光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、で構成される。
撮像素子としては、例えば複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の固体撮像素子が用いられ、撮像光学系により形成された光学像は撮像素子により電気的な信号に変換される。撮像素子で生成した信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が施されて、デジタル映像信号としてメモリー(半導体メモリー,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号に変換されたりして他の機器に伝送される。なお、撮像光学系と撮像素子との間には、光学フィルター(光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等)が必要に応じて配置される。
カメラの例としては、デジタルカメラ;ビデオカメラ;監視カメラ;車載カメラ;テレビ電話用カメラ;ドアホーン用カメラ;パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,携帯電話,携帯情報端末,これらの周辺機器(マウス,スキャナー,プリンター等),その他のデジタル機器等に内蔵又は外付けされるカメラが挙げられる。これらの例から分かるように、撮像装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像装置を搭載することによりカメラ機能を付加することも可能である。また、カメラ機能を実現する際には、必要に応じた形態で撮像装置を使用することが可能である。例えば、ユニット化した撮像装置をカメラボディに対して着脱自在又は回動自在に構成してもよく、ユニット化した撮像装置を携帯情報機器(携帯電話,PDA等)に対して着脱自在又は回動自在に構成してもよい。
以上の説明から分かるように、上述した各実施の形態や後述する各実施例には以下の構成が含まれている。その構成により、良好な光学性能と低コストで薄型・コンパクトな撮像装置を実現することができ、カメラ,デジタル機器等への適用により、その高性能化,高機能化,低コスト化及びコンパクト化に寄与することができる。
(U1) 光学像を形成する撮像光学系と、その撮像光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像装置であって、前記撮像光学系が偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることを特徴とする撮像装置。
(U2) 光学像を形成する撮像光学系と、その撮像光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像装置であって、前記撮像光学系が複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有し、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることを特徴とする撮像装置。
(U3) 前記移動群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする上記(U1)又は(U2)記載の撮像装置。
(U4) 前記撮像光学系が前記移動群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々の移動群について行うことを特徴とする上記(U1)〜(U3)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U5) 前記移動群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U4)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U6) 前記移動群として、ズーミング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U5)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U7) ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、最も物体側のズーム群が正パワーを有することを特徴とする上記(U1)〜(U6)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U8) 前記条件式(1)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(U7)記載の撮像装置。
(U9) ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、前記移動群が負パワーを有することを特徴とする上記(U1)〜(U8)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U10) 前記条件式(2)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(U9)記載の撮像装置。
(U11) 前記移動群として、ズーミング中の任意の焦点距離状態で前記条件式(3)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U10)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U12) 前記条件式(4)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(U1)〜(U11)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U13) 前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(U1)〜(U12)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U14) 前記偏芯した反射面として、非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(U1)〜(U13)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U15) 前記撮像光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする上記(U1)〜(U14)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U16) 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする上記(U15)記載の撮像装置。
(C1) 上記(U1)〜(U16)のいずれか1項に記載の撮像装置を備え、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方に用いられることを特徴とするカメラ。
(C2) デジタルカメラ;ビデオカメラ;又は携帯電話,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,若しくはこれらの周辺機器に内蔵又は外付けされるカメラであることを特徴とする上記(C1)記載のカメラ。
(D1) 上記(U1)〜(U16)のいずれか1項に記載の撮像装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。
(D2) 携帯電話,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,又はこれらの周辺機器であることを特徴とする上記(D1)記載のデジタル機器。
撮像装置では、撮像光学系によって拡大側の被写体から縮小側の撮像素子への縮小投影が行われるが、撮像素子の代わりに2次元画像を表示する表示素子(例えば液晶表示素子)を用い、撮像光学系を投影光学系として使用すれば、縮小側の画像表示面から拡大側のスクリーン面への拡大投影を行う画像投影装置(すなわちプロジェクター)を構成することができる。したがって、上述した各実施の形態や後述する各実施例には、以下の構成が含まれている。つまり、各実施の形態のズーミング方法は、撮像光学系に限らず、投影光学系にも好適に用いることが可能である。
(T1) 2次元画像を表示する表示素子と、その表示画像をズーミング可能に拡大投影する投影光学系と、を備えた画像投影装置であって、前記投影光学系が偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることを特徴とする画像投影装置。
(T2) 2次元画像を表示する表示素子と、その表示画像をズーミング可能に拡大投影する投影光学系と、を備えた画像投影装置であって、前記投影光学系が複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有し、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることを特徴とする画像投影装置。
(T3) 前記移動群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする上記(T1)又は(T2)記載の画像投影装置。
(T4) 前記投影光学系が前記移動群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々の移動群について行うことを特徴とする上記(T1)〜(T3)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T5) 前記移動群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T4)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T6) 前記移動群として、ズーミング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T5)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T7) ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、最も物体側のズーム群が正パワーを有することを特徴とする上記(T1)〜(T6)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T8) 前記条件式(1)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(T7)記載の画像投影装置。
(T9) ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、前記移動群が負パワーを有することを特徴とする上記(T1)〜(T8)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T10) 前記条件式(2)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(T9)記載の画像投影装置。
(T11) 前記移動群として、ズーミング中の任意の焦点距離状態で前記条件式(3)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T10)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T12) 前記条件式(4)、及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(T1)〜(T11)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T13) 前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(T1)〜(T12)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T14) 前記偏芯した反射面として、非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(T1)〜(T13)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T15) 前記投影光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする上記(T1)〜(T14)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T16) 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする上記(T15)記載の画像投影装置。
以下、本発明を実施したズーム光学系を、コンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1〜3は、前述した第1〜第3の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1〜第3の実施の形態を表す光学構成図(図1〜図3)は、対応する実施例1〜3の光学構成,光路等をそれぞれ示している。
表1〜表18に、実施例1〜3のコンストラクションデータを示す。表1,表7,表13中の基本的な光学構成(i:面番号)において、Si(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面(S1は基準面としてのダミー面に相当し、S2は撮像光学系の最も物体側の面に相当する。)、ri(i=1,2,3,...)は面Siの曲率半径(単位:mm)、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面Siと(i+1)番目の面Si+1との間に位置する光学材料のd線に対する屈折率(Nd),アッベ数(νd)をそれぞれ示している。
実施例1〜3における各面Siの配置は、表2,表8,表14中の面頂点座標と回転角度の各面データでそれぞれ特定される。面データは右手系の直交座標系(X,Y,Z)に基づいて表現されており、その直交座標系(X,Y,Z)では、物体中心と像面中心を通る主光線をベースレイとし、ベースレイと第1面S1(ただし、第2プリズムP2に関してはその入射面S9を面S10,S11の座標基準とし、第3プリズムP3に関してはその入射面S12を面S13,S14の座標基準とする。)との交点を原点(0,0,0)とし、Z軸方向をベースレイが物体中心から第1面S1の交点を通る方向とし、その向きを正としている。各光路図(図1〜図3)において、X軸方向は紙面に対して垂直方向であり(紙面の裏面方向を正とし、紙面に向かって反時計回りをX回転の正とする。)、Y軸方向はX軸とZ軸により右手系をなす方向(紙面と平行)である。各面の面頂点位置は面頂点座標(X座標,Y座標,Z座標)で表されており(単位:mm)、その面の面頂点を中心とするX,Y,Zの各方向の軸回り回転角度(X回転,Y回転,Z回転)で面の傾きが表されている(単位:°)。なお、X軸,Y軸の正方向に対して反時計回りがそれぞれX回転,Y回転の回転角度の正方向であり、Z軸の正方向に対して時計回りがZ回転の正方向である。
表2,表8,表14に示すデータは、ワイド端(最短焦点距離状態,W)での各面Siの配置を示している。第2,第3プリズムP2,P3の平行移動と回転移動によりズーミングを行うと、第1面S1を座標基準とする第9面S9と第12面S12の配置が変化する。表3,表9,表15に、ワイド端(最短焦点距離状態,W),ミドル(中間焦点距離状態,M),テレ端(最長焦点距離状態,T)での第9面S9と第12面S12の面頂点座標と回転角度のデータを示す。ズーミングにおいて、平行移動はY−Z平面に沿って行われるためX=0であり、回転移動はX回転で行われるためY回転,Z回転の回転角度=0である。また、像面S15の位置もズーミングにおいて変化しない。
表1,表7,表13中、*印が付された面Siは自由曲面であり、その面頂点を原点とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(FS)で定義される。表4〜表6,表10〜表12,表16〜表18に、各実施例の自由曲面データを示す。ただし、表記の無い項の係数は0であり(すべての自由曲面についてk=0である。)、すべてのデータに関してE−n=×10-nである。
Figure 2008015115
…(FS)
ただし、式(FS)中、
z:高さhの位置でのz軸方向の変位量(面頂点基準)、
h:z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
c:近軸曲率(=1/曲率半径)、
k:円錐係数、
j:係数、
であり、自由曲面項は以下の式(FC)で表される。
Figure 2008015115
…(FC)
表19に、各実施例の全系の焦点距離(単位:mm),Fナンバー(Fno),半画角(単位:°)及び絞りSTの半径(単位:mm)を示す。また、表20に各実施例の全系・各群の焦点距離及びパワーを示し、表21に各実施例の条件式対応値等を示す。なお、表19〜表21において、X方向は水平方向(画面の長辺方向)、Y方向は垂直方向(画面の短辺方向)である。
実施例1では(表20)、全系の焦点距離が、X方向には5.01mm(W)〜9.52mm(M)〜13.53mm(T)と変化し、Y方向には5.00mm(W)〜9.51mm(M)〜13.50mm(T)と変化する。各群の焦点距離は、ワイド端(W)からテレ端(T)にかけて、X方向には正正負の3群ズーム構成のままであるが、Y方向には正正正の3群ズーム構成から正負正の3群ズーム構成へと変化する。第1群Gr1の焦点距離は、X方向には136.06mmでワイド端(W)からテレ端(T)まで固定であり、Y方向には13.28mmでワイド端(W)からテレ端(T)まで固定である。第2群Gr2の焦点距離は、X方向には4.30mm(W)〜6.26mm(M)〜7.68mm(T)と変化し、Y方向には9.51mm(W)〜−338.90mm(M)〜−27.40mm(T)と変化する。第3群Gr3の焦点距離は、X方向には−8.70mm(W)〜−7.03mm(M)〜−6.31mm(T)と変化し、Y方向には7.46mm(W)〜15.57mm(M)〜21.72mm(T)と変化する。
実施例2では(表20)、全系の焦点距離が、X方向には5.01mm(W)〜9.52mm(M)〜13.53mm(T)と変化し、Y方向には5.00mm(W)〜9.51mm(M)〜13.50mm(T)と変化する。各群の焦点距離は、ワイド端(W)からテレ端(T)にかけて、X方向には正正負の3群ズーム構成のままであるが、Y方向には正正正の3群ズーム構成から正負正の3群ズーム構成へと変化する。第1群Gr1の焦点距離は、X方向には278.63mmでワイド端(W)からテレ端(T)まで固定であり、Y方向には13.93mmでワイド端(W)からテレ端(T)まで固定である。第2群Gr2の焦点距離は、X方向には4.26mm(W)〜6.22mm(M)〜7.61mm(T)と変化し、Y方向には10.04mm(W)〜−106.61mm(M)〜−22.83mm(T)と変化する。第3群Gr3の焦点距離は、X方向には−8.48mm(W)〜−7.03mm(M)〜−6.33mm(T)と変化し、Y方向には6.95mm(W)〜13.09mm(M)〜16.58mm(T)と変化する。
実施例3では(表20)、全系の焦点距離が、X方向には5.01mm(W)〜9.50mm(M)〜13.47mm(T)と変化し、Y方向には5.01mm(W)〜9.51mm(M)〜13.49mm(T)と変化する。各群の焦点距離は、ワイド端(W)からテレ端(T)にかけて、X方向には正正負の3群ズーム構成のままであるが、Y方向には正正正の3群ズーム構成から正負正の3群ズーム構成へと変化する。第1群Gr1の焦点距離は、X方向には217.43mmでワイド端(W)からテレ端(T)まで固定であり、Y方向には13.88mmでワイド端(W)からテレ端(T)まで固定である。第2群Gr2の焦点距離は、X方向には4.26mm(W)〜6.25mm(M)〜7.67mm(T)と変化し、Y方向には9.98mm(W)〜−97.77mm(M)−22.21mm(T)と変化する。第3群Gr3の焦点距離は、X方向には−8.67mm(W)〜−7.19mm(M)〜−6.48mm(T)と変化し、Y方向には6.84mm(W)〜12.87mm(M)〜16.21mm(T)と変化する。
図4〜図39の(A)〜(F)は実施例1〜3の横収差図であり、各焦点距離状態W,M,TにおけるX方向,Y方向の横収差Δx,Δyを示している。また各横収差図は、各図中のローカルな直交座標系(x,y)で表されている像高(単位:mm)でのd線に対する横収差Δx,Δy(単位:mm)を示している。なお、収差図のスケールは、縦軸が−0.02〜0.02、横軸が−1.0〜1.0である。
Figure 2008015115
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Figure 2008015115
Figure 2008015115
第1の実施の形態(実施例1)の光学構成図。 第2の実施の形態(実施例2)の光学構成図。 第3の実施の形態(実施例3)の光学構成図。 実施例1のワイド端でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のミドルでのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のテレ端でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のワイド端でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のミドルでのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のテレ端でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のワイド端でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のミドルでのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のテレ端でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のワイド端でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のミドルでのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のテレ端でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のワイド端でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のミドルでのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のテレ端でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のワイド端でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のミドルでのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のテレ端でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のワイド端でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のミドルでのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のテレ端でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のワイド端でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のミドルでのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のテレ端でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例3のワイド端でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例3のミドルでのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例3のテレ端でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例3のワイド端でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例3のミドルでのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例3のテレ端でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例3のワイド端でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例3のミドルでのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例3のテレ端でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例3のワイド端でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例3のミドルでのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例3のテレ端でのY方向のΔyを示す横収差図。 2群ズームタイプの共軸光学系において焦点距離が変わる原理を説明するための模式図。 図40に示す共軸光学系のズーミングを示す模式図。 2群ズームタイプの非軸光学系において焦点距離が変わる原理を説明するための模式図。 図42に示す非軸光学系をベースレイに沿って展開した状態を示す模式図。 図42に示す非軸光学系において偏芯した反射面を持つ三角プリズムの平行移動によるベースレイの動きを説明するための模式図。 図42に示す非軸光学系において偏芯した反射面を持つ三角プリズムの平行移動及び回転移動によるベースレイの動きを説明するための模式図。 図42に示す非軸光学系のズーミングを示す模式図。 図46に示す非軸光学系をベースレイに沿って展開した状態を示す模式図。
符号の説明
P1 第1プリズム(第1群,固定群,プリズム光学素子)
LN レンズ(第1群,固定群,光学素子)
ST 絞り(第1群,固定群)
P2 第2プリズム(第2群,移動群,プリズム光学素子)
P3 第3プリズム(第3群,移動群,プリズム光学素子)
S1〜S15 第1面〜第15面
ZL 撮像光学系(ズーム光学系)
Gr1 第1群(固定群)
Gr2 第2群(移動群)
Gr3 第3群(移動群)
BR ベースレイ
SR 撮像素子

Claims (12)

  1. 複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有するズーム光学系であって、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む正パワー又は負パワーのズーム群を移動群として、その移動群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、全系の焦点距離を変化させることを特徴とするズーム光学系。
  2. 前記移動群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする請求項1記載のズーム光学系。
  3. 前記移動群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々の移動群について行うことを特徴とする請求項1又は2記載のズーム光学系。
  4. 前記移動群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のズーム光学系。
  5. ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、最も物体側のズーム群が正パワーを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のズーム光学系。
  6. 以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項5記載のズーム光学系;
    0.001<φ1/φall<30.0 …(1)
    ただし、
    φ1:ズーミング中のある焦点距離状態における最も物体側のズーム群のパワー、
    φall:ズーミング中のある焦点距離状態における全系のパワー、
    である。
  7. ズーミング中の少なくとも1つの焦点距離状態において、前記移動群が負パワーを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のズーム光学系。
  8. 以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項7記載のズーム光学系;
    0.01<|φv/φall|<30.0 …(2)
    ただし、
    φv:ズーミング中のある焦点距離状態における移動群のパワー、
    φall:ズーミング中のある焦点距離状態における全系のパワー、
    である。
  9. 前記偏芯した反射面として、非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のズーム光学系。
  10. ズーム光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のズーム光学系。
  11. 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする請求項10記載のズーム光学系。
  12. 前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のズーム光学系。
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