JP2008012559A - 微細凹部加工装置及び微細凹部加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹部形成用の凸部を有するフォームローラ10と、フォームローラを回転自在に支持するローラ支持部材20と、円周面の中心軸とフォームローラの回転軸とが平行となる状態にローラ支持部材を保持する工具ホルダ30と、ローラ支持部材に対して荷重を付与してフォームローラを円周面に圧接させる荷重付与手段40と、フォームローラと被加工物の間のすべりを検出するすべり検出手段70と、すべり検出手段から入力されるデータによって、円周面に対するフォームローラの圧接荷重を変化させる荷重制御手段とを備え、被加工物の円周面に微細凹部を形成する微細凹部加工装置である。
【選択図】図1
Description
また、被加工物の硬さのばらつきなどによっても、同様に、加工される微細形状の加工深さにばらつきが発生することがあった。
そして、従来は、加工深さの測定は、加工後に粗さ計や非接触式の3次元測定器を使用して深さを測定する必要があり、上記のような理由によって発生する加工深さのばらつきを判断するために非常に多くの時間を要していた。
上述の如く、本発明の微細凹部加工装置は、被加工物の円周面に微細凹部を形成する微細凹部加工装置であって、凹部形成用の凸部を有するフォームローラと、フォームローラを回転自在に支持するローラ支持部材と、円周面の中心軸とフォームローラの回転軸とが平行となる状態にローラ支持部材を保持する工具ホルダと、ローラ支持部材に対して荷重を付与してフォームローラを円周面に圧接させる荷重付与手段と、フォームローラと被加工物の間のすべりを検出するすべり検出手段と、すべり検出手段から入力されるデータによって、円周面に対するフォームローラの圧接荷重を変化させる荷重制御手段とを備え、工具摩耗や被加工物の硬さのばらつきによる加工深さのばらつきを抑制し得る。
上述の如く、本発明の微細凹部加工方法は、上記本発明の微細凹部加工装置を用い、被加工物の円周面に微細凹部を形成する加工方法であって、荷重付与手段によりローラ支持部材に荷重を付与してフォームローラの凸部を被加工物の円周面に圧接させ、被加工物の円周面に圧接させたフォームローラを円周面に沿って転動させることにより、同円周面に微細凹部を形成するに当たり、すべり検出手段から入力されるデータによって、円周面に対するフォームローラの圧接荷重を荷重制御手段で変化させながら微細凹部を形成する加工方法であって、例えば所望の微細凹部を有する摺動部材やクランクシャフト、カムシャフトバランサシャフト、ピストンピン、シリンダブロックなどを製造することができる。
このような構成とすることにより、加工後の溝深さを測らないでも加工深さの変動を検知することができるので、加工後に加工深さの測定をしなくても、加工深さの品質を管理することができる。つまり、加工品全数の検査をしなくても、抜き取り検査によって品質を管理することができる。
なお、加工深さの品質は、例えば加工深さとすべりの関係を予め実験等により求めておき、その結果より、加工深さの品質限界となるすべりを求め、その値をすべりの限界値として設定することで管理できる。
また、工具摩耗や被加工物のばらつき(形状や硬さなど。)による加工深さの変動を修正することもできる。
そして、このような加工方法で形成した微細凹部は、潤滑油溜まりとなり、また潤滑油の流れを効率的に制御することができるので、摺動部材の摩擦を低減することができる。
また、円周面に微細凹部を形成したジャーナル及びピンの少なくとも一方を有するクランクシャフトや円周面に微細凹部を形成したジャーナル及びカムロブの少なくとも一方を有するカムシャフト、円周面に微細凹部を形成したジャーナルを有するバランサシャフト、円周面に微細凹部を形成したピストンピン、円周面に微細凹部を形成したシリンダボアを有するシリンダブロックにおいても同様の効果を得ることができる。
図1は、本発明の微細凹部加工装置の第1実施例の構成を示す説明図である。同図に示すように、同図に垂直な回転軸を中心に回転可能に保持された被加工物Wが保持されている。そして、本例の微細凹部加工装置は、凹部形成用の凸部を有するフォームローラ10の一例である外周部に微細な突起を有し、高硬度な部材から成る円筒状のフォームローラ12と、フォームローラ12を回転自在に支持するローラ支持部材20の一例であるアーム22と、被加工物Wの円周面の中心軸とフォームローラ12の回転軸とが平行となる状態にローラ支持部材20と後述する荷重付与手段40と荷重付与手段40で発生した荷重を検出する荷重検出器50を保持すると共に、図中のX、Z及びC方向に移動可能な工具ホルダ30の一例であるボディ32と、ローラ支持部材20に対して荷重を付与してフォームローラ12を所定の荷重で円周面に圧接させる荷重付与手段40の一例である弾性体(例えばバネなど。)42と、ローラ支持部材20をほぼ水平方向に支える支持部材60と、フォームローラ12と被加工物Wの間のすべりを検出するすべり検出手段70の一例であるフォームローラ12の接線方向の力を測定するすべり検出器71とを備える。
そして、すべり検出手段70から入力されるデータによって、円周面に対するフォームローラ12の圧接荷重を変化させる荷重制御手段とを更に備える。
なお、荷重検出器は、荷重制御手段の一部を構成する。
次に、S102において、すべりの値の限界値、すべりと荷重の相関データ、工具寿命荷重、加工荷重、加工速度及び加工範囲などの加工条件を入力する。
ここで、「すべりの値」とは、本例においては、すべり検出器で測定された荷重をいう。また、加工深さを一定にしたときのすべりの値(摩擦係数)と圧接荷重とは、図3に示すような相関関係を有する。図3は、加工深さを一定にしたときのすべりの値(摩擦係数)と圧接荷重との関係を示すグラフ図である。このような相関データは、すべりの値の限界値及び工具寿命荷重と共に、事前に予備実験等を行って求めておく。
次に、S104において、フォームローラをZ方向に移動させ、被加工物に圧接させる。
このとき、フォームローラはバネなどの弾性体で構成される荷重付与手段を介して押し付けられるので、被加工物の形状が若干変形していても、ほぼ一定の圧接荷重で被加工物に押し付けられる。
次に、S107において、すべり検出器により、すべりの値の測定と記録を開始する。
このとき、加工中はすべり検出器により常に測定と記録を行う。
次に、S110において、すべりの値の平均値がS102で入力されたすべりの値の限界値以下か否かを判断し、YESの場合には、S111に進む。
次に、S112において、次の被加工物の加工を開始する。
次に、S114において、修正加工荷重が工具寿命荷重以下か否かを判断し、YESの場合には、S111に進む。
このときは、破損した凸部の数を積算し、所定の数となったときに、フォームローラの交換を行ってもよい。
更に、加工深さのばらつきを所定のばらつき以下に低減することもできる。更にまた、フォームローラを直接測定しなくてもフォームローラの摩耗を判断することができ、フォームローラの測定工程を省くことができ、更にフォームローラを工具寿命限界まで使用することができる。
図5は、本発明の微細凹部加工装置の第2実施例の構成を示す説明図である。同図に示すように、本例の微細凹部加工装置は、実施例1の微細凹部加工装置とほぼ同じであるが、フォームローラ12と被加工物Wの間のすべりを検出するすべり検出手段70として、フォームローラ12の接線方向の力を測定するすべり検出器71に代えて、フォームローラ12と被加工物Wの回転速度差を測定する回転速度検出器72を備え、フォームローラ12と被加工物Wの周速度差を測定して、すべりを検出できるようになっている。ここで、すべり速度は、Vw−Vtで算出される。
図6は、本発明の微細凹部加工装置の第3実施例の構成を示す説明図である。同図に示すように、本例の微細凹部加工装置は、実施例1の微細凹部加工装置とほぼ同じであるが、フォームローラ12と被加工物Wの間のすべりを検出するすべり検出手段70として、フォームローラ12の接線方向の力を測定するすべり検出器71に代えて、ローラ支持部材20の被加工物Wの接線方向における歪みを測定する歪みゲージ73を備え、ローラ支持部材20の被加工物Wの接線方向における歪みを測定して、すべりを検出できるようになっている。
図7は、本発明の微細凹部加工装置の第4実施例の構成を示す説明図である。同図に示すように、本例の微細凹部加工装置は、実施例1の微細凹部加工装置とほぼ同じであるが、フォームローラ12と被加工物Wの間のすべりを検出するすべり検出手段70として、フォームローラ12の接線方向の力を測定するすべり検出器71に代えて、図示しない被加工物Wの回転トルク変動を測定するセンサーを備え、被加工物の回転トルク変動を測定して、すべりを検出できるようになっている。
図8(a)は、本発明の微細凹部加工装置の第5実施例の構成を示す説明図である。同図に示すように、本例の微細凹部加工装置は、実施例1の微細凹部加工装置とほぼ同じであるが、フォームローラ12と被加工物Wの間のすべりを検出するすべり検出手段70として、フォームローラ12の接線方向の力を測定するすべり検出器71に代えて、加工後の2個以上の微細形状間の距離を測定する加工形状測定装置75を備え、加工直後の微細形状間の距離を測定して、すべりを検出できるようになっている。なお、同図(b)は、実際に加工された微細形状の様子を示す説明図である。
本例においても、実施例1−1と同様の微細凹部加工装置を使用して被加工物の円周面に微細凹部を形成した。
図9は、本例の微細凹部加工装置を使用した微細凹部加工方法の他の実施例を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、S201において、被加工物を微細凹部加工装置に取り付ける。
次に、S202において、すべりと荷重の相関データ、加工荷重、加工速度及び加工範囲などの加工条件を入力する。
次に、S203において、フォームローラを被加工物の真上に移動させる。
次に、S204において、フォームローラをZ方向に移動させ、被加工物に圧接させる。
次に、S205において、圧接荷重がS202で入力された加工荷重となったか否かを判断し、YESの場合には、S206に進む。
次に、S207において、すべり検出器により、すべりの値の測定と記録を開始する。
このとき、加工中はすべり検出器により常に測定と記録を行う。
次に、S210において、すべりと荷重の相関データから荷重補正値を計算し、加工荷重を修正する。
次に、S211において、加工後の被加工物を取り出す。
次に、S212において、次の被加工物の加工を開始する。
本例においても、実施例1−1と同様の微細凹部加工装置を使用して被加工物の円周面に微細凹部を形成した。
図10は、本例の微細凹部加工装置を使用した微細凹部加工方法の更に他の実施例を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、S301において、被加工物を微細凹部加工装置に取り付ける。
次に、S302において、加工荷重、加工速度及び加工範囲などの加工条件を入力する。
次に、S303において、フォームローラを被加工物の真上に移動させる。
次に、S304において、フォームローラをZ方向に移動させ、被加工物に圧接させる。
次に、S305において、圧接荷重がS302で入力された加工荷重となったか否かを判断し、YESの場合には、S306に進む。
次に、S307において、すべり検出器により、すべりの値の測定と記録を開始する。
このとき、加工中はすべり検出器により常に測定と記録を行う。
次に、S311において、加工範囲全面に加工が終了したか否かを判断し、YESの場合には、S312に進む。
次に、S313において、次の被加工物の加工を開始する。
例えば、上記の実施例では、円筒形状の外周面に微細凹部を加工する場合を説明したが、円筒形状の内周面に微細凹部を加工する場合においても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。
また、上記の実施例で示した微細凹部加工方法を例えば自動車用のクランクやカム、バランサなどの摺動部材の摺動部に適用することによって、加工された微細形状が潤滑油溜りとして機能したり、潤滑油の流れを制御したりすることができ、その摩擦を低減することができる。
20 ローラ支持部材
22 アーム
30 工具ホルダ
32 ボディ
40 荷重付与手段
42 弾性体
50 荷重検出器
60 支持部材
70 すべり検出手段
71 すべり検出器
72 回転速度検出器
73 歪みゲージ
75 加工形状測定装置
Claims (18)
- 被加工物の円周面に微細凹部を形成する微細凹部加工装置であって、
凹部形成用の凸部を有するフォームローラと、
フォームローラを回転自在に支持するローラ支持部材と、
円周面の中心軸とフォームローラの回転軸とが平行となる状態にローラ支持部材を保持する工具ホルダと、
ローラ支持部材に対して荷重を付与してフォームローラを円周面に圧接させる荷重付与手段と、
フォームローラと被加工物の間のすべりを検出するすべり検出手段と、
すべり検出手段から入力されるデータによって、円周面に対するフォームローラの圧接荷重を変化させる荷重制御手段と、
を備えることを特徴とする微細凹部加工装置。 - 被加工物と工具ホルダが円周面の中心軸回りに相対的に回転できる回転機構を更に有すると共に、すべり検出手段が、フォームローラの接線方向の力を測定するものであることを特徴とする請求項1に記載の微細凹部加工装置。
- すべり検出手段が、フォームローラと被加工物の回転速度差を測定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微細凹部加工装置。
- すべり検出手段が、ローラ支持部材の歪みを測定するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- すべり検出手段が、被加工物のトルク変動を測定するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- すべり検出手段が、加工後の2個以上の微細形状間の距離を測定するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- 荷重制御手段が、すべり検出手段から入力されるフォームローラと各被加工物の間のすべりの平均値を演算し、次の被加工物の円周面に対するフォームローラの圧接荷重を変化させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- 荷重制御手段が、すべり検出手段から入力されるフォームローラと被加工物の間の1回転分のすべりの平均値を演算し、被加工物の円周面に対するフォームローラの次の1回転分の圧接荷重を変化させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- 荷重制御手段が、すべり検出手段から入力されるフォームローラと被加工物の間のすべりが一定となるように、被加工物の円周面に対するフォームローラの圧接荷重を変化させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- すべり検出手段から入力されるフォームローラと被加工物の間のすべりの変化、又は被加工物の円周面に対するフォームローラの圧接荷重の変化からフォームローラの摩耗を判断する摩耗判断手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- すべり検出手段から入力されるフォームローラと被加工物の間のすべりの変化からフォームローラの破損を判断する破損判断手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置。
- 請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の微細凹部加工装置を用い、被加工物の円周面に微細凹部を形成する加工方法であって、
荷重付与手段によりローラ支持部材に荷重を付与してフォームローラの凸部を被加工物の円周面に圧接させ、被加工物の円周面に圧接させたフォームローラを円周面に沿って転動させることにより、同円周面に微細凹部を形成するに当たり、すべり検出手段から入力されるデータによって、円周面に対するフォームローラの圧接荷重を荷重制御手段で変化させながら微細凹部を形成することを特徴とする微細凹部加工方法。 - 請求項12に記載の微細凹部加工方法によって、円周面に微細凹部を形成したことを特徴とする摺動部材。
- 請求項12に記載の微細凹部加工方法によって、円周面に微細凹部を形成したジャーナル及び/又はピンを有することを特徴とするクランクシャフト。
- 請求項12に記載の微細凹部加工方法によって、円周面に微細凹部を形成したジャーナル及び/又はカムロブを有することを特徴とするカムシャフト。
- 請求項12に記載の微細凹部加工方法によって、円周面に微細凹部を形成したジャーナルを有することを特徴とするバランサシャフト。
- 請求項12に記載の微細凹部加工方法によって、円周面に微細凹部を形成したことを特徴とするピストンピン。
- 請求項12に記載の微細凹部加工方法によって、円周面に微細凹部を形成したシリンダボアを有することを特徴とするシリンダブロック。
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