JP2008009344A - 定着装置 - Google Patents

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鐘浩 権
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Abstract

【課題】静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる誘導加熱式定着装置における誘導加熱用コイルユニットの冷却を効率よく行うことが出来なかった。
【解決手段】定着ローラ(1)と、該定着ローラに圧接して回転する加圧ローラ(2)とを備えた定着装置において、中空の定着ローラ(1)の内部に磁性体コアと励磁コイルを有する誘導加熱用コイルユニット(5)を該定着ローラの軸方向に沿って設け、該コイルユニット(5)の内部に冷却媒体流通用の冷却チューブ(7)を挿通して設けるとともに、コイルユニットの外部を通る冷却媒体の循環経路を形成し、該コイルユニット内で加熱された冷却媒体を循環させつつヒートポンプで冷却するように構成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に装着されて、記録紙上の未定着トナー画像を記録紙上に溶融定着させる定着装置に関するものである。
電子写真方式による複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の定着装置としては、ハロゲンヒータを熱源として設けたものが従来広く使用されてきた。しかしながら、ハロゲンヒータを熱源とするものは、ウォーミングアップに時間がかかり、エネルギー損失も大きいので、ウォーミングアップの短縮、省エネの見地から最近はIH(誘導加熱)方式の熱源を用いるものが提案されている。
IH方式は、定着ローラの近傍に誘導コイルを配設し、該誘導コイルに高周波電流を流して誘導磁束を発生させ、この誘導磁束によって定着ローラに渦電流を発生させて、これに伴うジュール熱で定着ローラを発熱させるものである。このIH方式では、ボビン、コア、コイル先等からなるコイルユニットが使用されるが、発熱部材から受ける輻射熱や、コイル自身の発熱等により、コイルユニットの温度がかなり高温に達する。一方、コイルユニットの磁性コアのキュ−リー点の関係や、ボビンの樹脂材やコイル線の耐熱性の点から、コイルユニットの温度は所定温度以下に保持する必要がある。
このため、従来の設計においては、発熱部材からの輻射熱を遮断する部材でコイルユニットを覆う方法を採用したり、コイル構成、部材の選択等により、特別な冷却構成を設けずに対応したり、コイルユニット内に通風用経路を設け、ファンによる送風で空冷する構成等が採用された。
この種の誘導加熱方式の熱源に採用される冷却装置としては、下記特許文献1に記載のような空冷方式や、特許文献2に記載の水冷方式が知られている。特許文献1に記載の装置は、定着ローラの外側にコアや励磁コイルを設けたもので、コア及び励磁コイルに発生する熱気を導く空気流路と排出口とを設けたものである。また、特許文献2に記載の装置は、定着ローラ内に設けた誘導コイルを冷却する冷却チューブを巻回したものである。
特開2000−187406号公報 特開平11−352810号公報
しかしながら、これら従来公知の装置では、冷却風や冷却水をポンプで送って冷却するものであるから、冷却効率がそれほど高くはなく、特に作動速度が高速領域の装置にIH方式の加熱方式を採用しようとすると、コイル温度が上昇しやすいため、より効率的な冷却方式に対する要望が強かった。
本発明は、上記従来の定着装置の冷却方式における課題を考慮し、誘導加熱用コイルユニットを効率よく冷却できる定着装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するため、次のような構成を採用した。
すなわち、第1の本発明の定着装置は、加熱手段が設けられた定着ローラと、該定着ローラに圧接して回転する加圧ローラとを備えた定着装置において、前記加熱手段として、中空の定着ローラの内部に磁性体コアと励磁コイルを有する誘導加熱用コイルユニットを該定着ローラの軸方向に沿って設け、該コイルユニットの内部に冷却媒体流通用の冷却チューブを挿通して設けるとともに、前記コイルユニットの外部を通る冷却媒体の循環経路を形成し、該コイルユニット内で加熱された冷却媒体を循環させつつヒートポンプで冷却するように構成したことを特徴としている。
また、第2の本発明の定着装置は、上記第1の本発明の定着装置において、前記ヒートポンプが、機械圧縮方式のヒートポンプであることを特徴としている。
さらに、第3の本発明の定着装置は、上記第1、又は第2の本発明のものにおいて、コイルユニット内に2本の冷却チューブを並列に設け、一方の冷却チューブから出た冷却媒体を他方の冷却チューブに導いて前記一方の冷却チューブと逆向きに流通させることにより、これら2本の冷却チューブ内を流れる冷却媒体でコイルユニットを冷却するように構成したことを特徴としている。
本願発明は、定着ローラを加熱するための誘導加熱用コイルユニットを冷却する冷却装置として、ヒートポンプを用いるので、熱運搬能力が向上し、より効果的にコイルを冷却することが可能となった。
以下、本発明に係る定着装置の実施形態について具体的に説明するが、この定着装置が用いられる画像形成装置、例えば複写機等の全体構成は周知であるから説明を省略する。図1は、一般的なモノクロ用の定着装置を表すもので、この定着装置は、1対のローラ、すなわち、ヒートローラ(定着ローラ)1と加圧ローラ2とを備え、両ローラに挟まれたニップ部で記録紙を加圧・加熱して、表面のトナー画像を定着するものである。
ヒートローラ1は、外径が数十mmの中空円筒体で、その肉厚部は、内側に磁性金属層11が設けられ、その外側にフッ素樹脂層12が形成されている。また、加圧ローラ2は、内側に非磁性金属層21が設けられ、その外側にシリコンゴム層22とフッ素樹脂層23が形成されている。
ヒートローラ1の中空部には、コイルユニット5が設けられている。コイルユニット5は、ボビン51の外面にコイル線を巻回したコイル52が設けられ、ボビン51の内部にはコア53が設けられている。このコア53の芯部には、冷却媒体を流通させるための冷却チューブ7が挿通されている。コイルユニット5は、前記ヒートローラ1とほぼ等しい長さを備え、ヒートローラ1の内周面との間に所定の間隔をおいて、該ヒートローラ1の中心軸に平行に配置されている。
図2は、この定着装置におけるヒートローラ1の冷却装置(システム)を模式的に表すもので、コイルユニット5の内部にコイル内チューブ7が挿通されていて、冷却媒体がこのコイル内チューブ7内を図の矢印X方向に流れるようになっている。冷却媒体としては、水や、それ以外の絶縁性液体を使用できるが、冷却媒体としては水を用いるのが最も経済的である。
コイル内チューブ7の出口側端部は、コイルユニット5の外側の圧縮部に設けられている機械式の圧縮機8に接続されている。圧縮機8の出口側には、コイル外チューブ9が接続されている。冷却チューブ7から供給される冷却媒体がこの圧縮機8で圧縮され、コイル外チューブ9に送り出される。
コイル外チューブ9内に流入した冷却媒体は、熱交換器10に送られ、ここで熱交換が行われ凝縮する。この熱交換により凝縮した冷却媒体は、コイル外チューブ31に流入し、膨張部に設けられている膨張弁32によって膨張させられ、前記コイル内チューブ7に還流する。このように、コイル内チューブ7、圧縮機8、コイル外チューブ9、熱交換器10、コイル外チューブ31、膨張弁32によってヒートポンプを構成する冷却媒体の循環経路が形成され、コイル内チューブ7が受けた熱をヒートポンプで放熱して効果的な冷却が行われるのである。
図2の冷却装置における冷却媒体の状態は次のとおりである。まず、冷却媒体がコイル内チューブ7を流通する間に、コイルユニット5を冷却するが、コイル内チューブ7内の冷却媒体は熱を受けて気化し、「冷たい気体」の状態になっている。この冷却媒体は、圧縮機8で高圧で圧縮され、高温・高圧の「熱い気体」の状態となる。
上記圧縮機8で圧縮された高温・高圧の冷却媒体は、チューブ9によって熱交換器10に送られ、ここで冷却媒体の熱が外部に排出されて凝縮し、中温・高圧の「熱い液体」の状態となる。熱交換器10から出た冷却媒体は、チューブ31を通って前記圧縮機8の位置と反対側に設置された膨張弁32に送られ、ここで低圧となって膨張することにより、低温・低圧の「冷たい液体+気体」の状態になる。この液体と気体の混合物が前記コイル内チューブ7に循環供給され、コイルユニット5を冷却するのである。
上記冷却媒体循環用のチューブの材質としては、金属チューブや樹脂チューブ等を使用することができるが、コイルユニット5の温度は150℃以上になる可能性があるので、コイルユニット5の内部に挿通されるコイル内チューブ7は200℃程度の温度までの耐熱性を備えたもので、かつ熱伝導性の良好なものを用いるのが好ましい。また、圧力や温度が高い冷却媒体が流通するチューブ9としては、強度が高い銅、アルミニウム等の金属チューブを用いるのが好ましい。
なお、低圧で温度が比較的低い冷却媒体が流通するチューブ31としては、上記金属チューブの他に、経路配置が容易なフレキシブルなチューブ(例えば、フッ素系、PI系等のチューブ)を使用することもできる。これら各チューブの径は、チューブ内の冷却媒体の量に影響し、冷却媒体量はコイルユニット5の冷却能力に影響するので、これらを考慮して決めればよい。
つぎに、図3は、上記と異なる実施形態を表すもので、この冷却装置では、コイルユニット5内に2本のチューブ7,7’が並列に設けられている。それ以外の点は上記図2の実施形態と同じであり、同じ部分には同じ番号を付記している。図3中のXは、冷却媒体の流れ方向を表す。この実施形態では、コイルユニット5内に設けられた第1のコイル内チューブ7を流通してコイルユニット5を冷却した冷却媒体が、一旦コイルユニット5を出た位置でU字状に折り返して、第2のコイル内チューブ7’に流入し、前記と反対方向にコイルユニット5内を流れて、再度コイルユニット5を冷却する。第2のコイル内チューブ7’から出た冷却媒体が、圧縮機8で圧縮され、以下熱交換と膨張が行われることは前記図2の実施形態と同じである。
図3の実施形態では、冷却チューブ(コイル内チューブ7,7’)の表面積及び冷却媒体のコイル内通過時間を大きくすることができるので、コイルユニット5の冷却効率がアップする。また、いずれのチューブでも、コイルユニット5への入口側の冷却媒体の温度が低く、出口側の温度が高いが、両チューブの流れ方向が逆向きとなっているので、全体的には比較的均等な冷却が行われることになる。
なお、以上の説明では、機械圧縮式のヒートポンプを使用する例について説明したが、機械圧縮方式以外に、ペルチェ素子を用いたヒートポンプ等の使用も可能である。
本発明に係る定着装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置用の定着装置として効果的に利用することができる。
定着装置の概略を模式的に表す断面図である。 冷却装置の構成を模式的に表す回路図である。 上記と異なる冷却装置の構成を模式的に表す回路図である。
符号の説明
1 ヒートローラ(定着ローラ)
2 加圧ローラ
5 コイルユニット
7 コイル内チューブ
8 圧縮機
10 熱交換器
32 膨張弁

Claims (3)

  1. 加熱手段が設けられた定着ローラと、該定着ローラに圧接して回転する加圧ローラとを備えた定着装置において、
    前記加熱手段として、中空の前記定着ローラの内部に磁性体コアと励磁コイルを有する誘導加熱用コイルユニットを該定着ローラの軸方向に沿って設け、該コイルユニットの内部に冷却媒体流通用の冷却チューブを挿通して設けるとともに、前記コイルユニットの外部を通る冷却媒体の循環経路を形成し、該コイルユニット内で加熱された前記冷却媒体を循環させつつヒートポンプで冷却するように構成したことを特徴とする定着装置。
  2. 前記ヒートポンプが、機械圧縮方式のヒートポンプである請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記コイルユニット内に2本の冷却チューブを設け、一方の冷却チューブから出た前記冷却媒体を他方の冷却チューブに導いて前記一方の冷却チューブと逆向きに流通させることにより、これら前記2本の冷却チューブ内を流れる前記冷却媒体で前記コイルユニットを冷却するように構成した請求項1又は2に記載の定着装置。
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