JP2008007764A - 架橋性プレポリマーならびにその製造方法および用途 - Google Patents

架橋性プレポリマーならびにその製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れるとともに、撥油性および撥水性にも優れた硬化物を形成できるプレポリマーを提供する。
【解決手段】主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有しており、かつ「R−CH−O−」で表される側鎖を有する架橋性プレポリマー。上記Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、架橋性プレポリマー、該架橋性プレポリマーの製造方法および該架橋性プレポリマーの用途に関する。
主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーに関して、例えば下記特許文献1に、フェノール性水酸基またはフッ素置換芳香環と、架橋性官能基とを有する化合物、フッ素置換芳香族化合物、およびフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を縮合させて、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するとともに架橋性官能基が導入された架橋性プレポリマーを製造する方法が提案されている。
特開2005−105115号公報
特許文献1の架橋性プレポリマーからなる硬化物は耐熱性に優れるものの、用途によっては、撥油性および撥水性が必ずしも充分とはいえなかった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、耐熱性に優れるとともに、撥油性および撥水性にも優れた硬化物を形成できるプレポリマーならびにその製造方法および用途を提供する。
本発明の第1の形態は、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有しており、かつ下記一般式(I)で表される側鎖を有することを特徴とする架橋性プレポリマーである。
Figure 2008007764
[式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記主鎖に、芳香環に結合している水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されているハロゲン置換芳香環を有し、前記一般式(I)で表される側鎖が、該ハロゲン置換芳香環に結合している架橋性プレポリマーである。
本発明の第3の形態は、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方と、下記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P21)に、前記一般式(I)で表される側鎖を導入してなる、第2の形態の架橋性プレポリマーである。
Figure 2008007764
[式中、nは0〜2の整数を表し;a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し;Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下の含フッ素アルキル基を表し、RfまたはRfが複数存在する場合、互いに同じであっても異なっていてもよく;芳香環内のFはその芳香環に結合している水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。]
本発明の第4の形態は、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P11)に、前記一般式(I)で表される側鎖を導入し、さらに架橋性官能基を導入してなる第2の形態の架橋性プレポリマーである。
本発明の第5の形態は、架橋性官能基の導入方法が、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方との、脱フッ化水素剤存在下に行う縮合反応である第4の形態の架橋性プレポリマーである。
本発明の第6の形態は、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有し、かつ主鎖に「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」を有する前駆体(P2)と、下記一般式(II)で表されるアルコール(Q)とを、脱フッ化水素剤の存在下に反応させることを特徴とする架橋性プレポリマーの製造方法である。
Figure 2008007764
[式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
本発明の第7の形態は、第6の形態において、前駆体(P2)として、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方と、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P21)を用いる架橋性プレポリマーの製造方法である。
本発明の第8の形態は、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、かつ主鎖に「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」を有する前駆体(P1)と、前記一般式(II)で表されるアルコール(Q)とを、脱フッ化水素剤の存在下に反応させ、さらに架橋性官能基を導入することを特徴とする架橋性プレポリマーの製造方法である。
本発明の第9の形態は、第8の形態において、前駆体(P1)として、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P11)を用いる架橋性プレポリマーの製造方法である。
本発明の第10の形態は、第8または第9の形態において、架橋性官能基の導入方法が、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方との、脱フッ化水素剤存在下に行う縮合反応である架橋性プレポリマーの製造方法である。
本発明の第11の形態は、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させる工程(S1)と、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方を、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させ、架橋性官能基を導入する工程(S2)と、前記一般式(II)で表されるアルコール(Q)を、脱フッ化水素剤の存在下に反応させ、側鎖を導入する工程(S3)と、を有することを特徴とする架橋性プレポリマーの製造方法である。
本発明の第12の形態は、第1〜5の形態のいずれかの架橋性プレポリマーを硬化させることにより形成される硬化物である。
本発明の第13の形態は、第1〜5の形態のいずれかの架橋性プレポリマーおよび溶剤を含む塗布用組成物である。
本発明の第14の形態は、第13の形態の塗布用組成物を基材に塗布して湿潤膜を形成し、該湿潤膜中の溶剤を除去し、次いでまたは溶剤の除去と同時に、湿潤膜中の架橋性プレポリマーを硬化させることにより得られる硬化膜である。
本発明の第15の形態は、第14の形態の硬化膜を有する物品である。
本発明によれば、耐熱性に優れるとともに、撥油性および撥水性にも優れた硬化物を形成できる架橋性プレポリマーが得られる。
本発明の硬化物は、優れた耐熱性と撥油性と撥水性を同時に達成できる。
本発明の塗布用組成物によれば、耐熱性に優れるとともに、撥油性および撥水性にも優れた硬化膜を形成できる。
本発明の硬化膜は、優れた耐熱性と撥油性と撥水性を同時に達成できる。
本発明の物品は、耐熱性に優れるとともに、撥油性および撥水性にも優れた膜を有する。
また得られた硬化膜は低誘電率、低吸水率及び高耐熱性を同時に満足する。このため、例えば各種メモリ等の記憶素子、マイクロプロセッサ等の理論回路素子等の絶縁膜に用いた場合に、素子の電気特性の向上が図れる。さらに水分の影響、熱の影響を受けにくいため、電気特性と同時に信頼性の向上も図れる。
また得られた硬化膜は耐アルカリ性に優れる。すなわちアルカリ性雰囲気に暴露しても、優れた撥水性、撥油性が維持される。
さらに本発明に係る架橋性プレポリマーは、可とう性に優れた硬化膜を形成できるので、曲げ等の外力に強い膜が得られる。また厚膜も容易に形成できる。
<架橋性プレポリマー>
本発明の架橋性プレポリマー(以下、単にプレポリマーということもある。)は、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有しており、かつ上記一般式(I)で表される側鎖を有する。
[主鎖]
本発明において、「ポリアリールエーテル構造」とは、2個の芳香環がエーテル結合(−O−)を介して結合されている構造の繰り返しによるポリマー構造を意味する。なお本発明における「芳香環」とは芳香族性を有する環状有機化合物における環構造を意味し、特に断りのない限り、任意の置換基を有するものも含む。
「主鎖にポリアリールエーテル構造を有する」とは、ポリアリールエーテル構造を構成している各芳香環において、環を構成する炭素原子の2以上が、主鎖を構成する炭素連鎖(ただし、2個の芳香環の間のエーテル結合は主鎖を構成する炭素連鎖の一部とみなす。すなわち2個の芳香環の間にエーテル結合が介在していてもよい。以下同様。)中の炭素原子であることをいう。
本発明の架橋性プレポリマーは、主鎖を構成している炭素連鎖が枝分かれしていてもよい。本発明においては、枝分かれしている炭素連鎖(分岐鎖)であっても、ポリアリールエーテル構造を含む部分、または「2以上の炭素原子が炭素連鎖中の炭素原子である芳香環」を含む部分は主鎖の一部とみなし、これらの構造を含まない末端部分を「側鎖」と称する。
主鎖のポリアリールエーテル構造において、エーテル結合を介して結合されている2個の芳香環の一方が、芳香環に結合している水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されているハロゲン置換芳香環であることが好ましい。
前記ハロゲン置換芳香環におけるハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。前記ハロゲン置換芳香環は、芳香環に結合している水素原子の全部がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、該水素原子の全部がフッ素原子で置換されているペルフルオロ芳香環であることがより好ましい。
主鎖に、ポリアリールエーテル構造を構成している芳香環以外の、他の芳香環を有していてもよい。該他の芳香環は、前記ハロゲン置換芳香環であることが好ましく前記ペルフルオロ芳香環であることがより好ましい。
[架橋性官能基]
本発明における架橋性官能基は、プレポリマー製造時には実質上反応を起こさず、膜、フィルム又は成形体などの硬化物を作製する時点、又は作製後の任意の時点で、外部エネルギーを与えることにより反応し、プレポリマー分子間の架橋又は鎖延長を引き起こす反応性官能基である。
外部エネルギーとしては、熱、光、電子線等が挙げられる。これらを併用してもよい。外部エネルギーとして熱を用いる場合、40℃〜500℃の温度で反応する反応性官能基が好ましい。反応温度が低すぎると、プレポリマー又は該プレポリマーを含む塗布用組成物の保存時における安定性が確保できず、高すぎると反応時にプレポリマー自体の熱分解が発生してしまうので、前記範囲にあることが好ましい。より好ましくは60℃〜400℃であり、70℃〜350℃が最も好ましい。
また、外部エネルギーとして光(化学線)を用いる場合は、プレポリマー又は該プレポリマーを含む塗布用組成物に、感光剤を含有させることが好ましい。この場合、露光工程において化学線を選択的に照射することにより露光部のプレポリマーを高分子量化できるとともに、必要に応じて、露光および現像工程の後にも、化学線または熱等の外部エネルギーを与えてプレポリマーをさらに高分子量化させることができる。
架橋性官能基の具体例としては、ビニル基、アリル基、メタクリロイル(オキシ)基、アクリロイル(オキシ)基、ビニルオキシ基、トリフルオロビニル基、トリフルオロビニルオキシ基、エチニル基、1−オキソシクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル基、シアノ基、アルコキシシリル基、ジアリールヒドロキシメチル基、ヒドロキシフルオレニル基等が挙げられる。反応性が高く、高い架橋密度が得られる点で、ビニル基、メタクリロイル(オキシ)基、アクリロイル(オキシ)基、トリフルオロビニルオキシ基、エチニル基が好ましく、得られる硬化物が良好な耐熱性を有する点から、ビニル基、エチニル基が最も好ましい。なおメタクリロイル(オキシ)基とは、メタクリロイル基またはメタクリロイルオキシ基を意味し、アクリロイル(オキシ)基も同様である。
架橋性官能基は主鎖中にあってもよく、側鎖にあってもよい。なお「主鎖中に架橋性官能基がある」とは、架橋性官能基を構成している炭素原子の1個以上(エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)が、主鎖を構成する炭素連鎖中の炭素原子であることをいう。
原料の入手の容易性の点からは架橋性官能基が側鎖にあり、主鎖中に架橋性官能基を有しないことが好ましい。
本発明のプレポリマーにおける架橋性官能基の含有量は、プレポリマー1gに対して架橋性官能基が0.1〜4ミリモルが好ましく、0.2〜3ミリモルがより好ましい。この含有量を0.1ミリモル以上とすることで硬化物の耐熱性及び耐溶剤性を高くでき、また4ミリモル以下とすることで、脆性を小さく抑えやすい。
[一般式(I)で表される側鎖]
上記一般式(I)において、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基を示し、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。Rとしての含フッ素アルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたものを意味する。またこの含フッ素アルキル基は、鎖状アルキル基であっても、シクロアルキル基であってもよい。
は直鎖状、分岐鎖状または環状が好ましい。またRはアルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全部がフッ素原子で置換されたペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される側鎖のうち直鎖状のものとしては、下記一般式(I−1)または下記一般式(I−2)で表されるものが好ましい。下記一般式(I−1)において、mは1〜5の整数を表し、Rfaは炭素数4〜50の含フッ素アルキル基を示し、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。mは1〜3の整数であることがより好ましい。
下記一般式(I−1)で表される側鎖のさらに好ましい例としては下記一般式(I−1−1)で表される一価基、または下記一般式(I−1−2)で表される一価基が挙げられる。
Figure 2008007764
また上記一般式(I)で表される側鎖のうち分岐鎖状のものとしては、下記一般式(I−3)または(I−4)で表される一価基が好ましい。
Figure 2008007764
また上記一般式(I)で表される側鎖のうち環状のものとしては、下記式(I−5)、(I−6)または(I−7)で表される一価基が好ましい。
Figure 2008007764
一般式(I)で表される側鎖が導入される位置は特に限定されないが、主鎖中のハロゲン置換芳香環に該側鎖が結合していることが、製造上好ましい。すなわち、主鎖にハロゲン置換芳香環が存在しており、その芳香環に一般式(I)で表される側鎖が結合していることが好ましい。
該側鎖が結合しているハロゲン置換芳香環は、ポリアリールエーテル構造を構成している芳香環であってもよく、それ以外の他の芳香環であってもよい。プレポリマーの製造が容易である点からは、後者、すなわちポリアリールエーテル構造を構成していないハロゲン置換芳香環に一般式(I)で表される側鎖が結合していることがより好ましい。また、該側鎖が結合しているハロゲン置換芳香環は、ペルフルオロ芳香環であることがより好ましい。
プレポリマーの1分子中に存在する「一般式(I)で表される側鎖」は1種でもよく、2種以上であってもよい。
本発明のプレポリマーにおける「一般式(I)で表される側鎖」の含有量は、プレポリマー1gに対して0.01〜1gが好ましく、0.05〜0.5gがより好ましい。この含有量が上記範囲の下限値以上であると、撥水性および撥油性の向上効果が良好に得られ、上限値以下であると耐熱性が良好である。
<プレポリマーの製造方法>
本発明のプレポリマーは、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させる工程(S1)と、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方を、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させ、架橋性官能基を導入する工程(S2)と、前記一般式(II)で表されるアルコール(Q)を、脱フッ化水素剤の存在下に反応させ、側鎖を導入する工程(S3)と、を有する製造方法により製造できる。なお以下の説明で、化合物(Y−1)と化合物(Y−2)とを総称して化合物(Y)ということがある。
より具体的には、工程(S1)と工程(S2)とを実施した後に工程(S3)を実施する方法、または、工程(S1)と工程(S3)とを実施した後に工程(S2)を実施する方法が好ましい。ただし工程(S1)と工程(S2)とを実施するとは、工程(S1)を実施した後に工程(S2)を実施してもよく、工程(S1)と工程(S2)とを同時に実施してもよい。工程(S1)と工程(S3)の場合も同様である。
工程(S1)、(S2)および(S3)はいずれも、脱フッ化水素剤(以下、脱HF剤ということもある。)の存在下に行う縮合反応である。なおこれらの縮合反応は一段階で全てを反応させてもよく、多段階に分けて反応させてもよい。また反応原料のうち特定の化合物を先に優先的に反応させた後に、引き続いて他の化合物を反応させてもよい。縮合反応を多段階に分けて行う場合に、途中で得られた中間生成物は、反応系から分離し精製した後に、後続の反応(縮合反応)に用いてもよい。反応の場において原料化合物は一括で投入されてもよく、連続的に投入されてもよく、間歇的に投入されてもよい。
[前駆体(P1)を用いる製造方法]
また本発明のプレポリマーの製造方法としては、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、かつ主鎖に「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」を有する前駆体(P1)と、前記一般式(II)で表されるアルコール(Q)とを、脱フッ化水素剤の存在下に反応させ、さらに架橋性官能基を導入することが好ましい。具体的には、工程(S1)を行い前駆体(P1)を得て、この前駆体(P1)とアルコール(Q)とを縮合反応させ、さらにその後に化合物(Y)を縮合反応させることにより本発明のプレポリマーが得られる。
この製造方法は、前駆体(P1)を先に製造することにより、プレポリマーの分子量の制御が行いやすい。またアルコール(Q)の反応性が化合物(Y)と比較して低い場合に、所望量のアルコール(Q)を反応させるために好適である。すなわち所望量の一般式(I)で表される側鎖の導入を制御しやすいという点で好適である。また原料の選択によっては、架橋性官能基を導入すると、架橋反応が進行することによりプレポリマーの貯蔵安定性が低下する場合がある。この場合には中間生成物として、架橋性官能基を導入しない段階で貯蔵することが可能となりプレポリマーの歩留まりが向上することが期待される場合がある。
より具体的には、前駆体(P1)として、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P11)を用いることが好ましい。すなわち工程(S1)を実施した後に、工程(S3)を実施し一般式(I)で表される側鎖を導入し、その後工程(S2)を実施し架橋性官能基を導入することが好ましい。
[前駆体(P2)を用いる製造方法]
また本発明のプレポリマーの他の製造方法としては、主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有し、かつ主鎖に「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」を有する前駆体(P2)と、前記一般式(II)で表されるアルコール(Q)とを、脱フッ化水素剤の存在下に反応させることも好ましい。具体的には、工程(S1)と工程(S2)とを行い前駆体(P2)を得て、この前駆体(P2)とアルコール(Q)とを縮合反応させることにより本発明のプレポリマーが得られる。この製造方法は、前駆体(P2)を先に製造することにより、プレポリマーの製造工程が簡略化しやすい点で好ましい。
より具体的には、前駆体(P2)として、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方と、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P21)を用いることが好ましい。すなわち工程(S1)と工程(S2)を実施し架橋性官能基を導入した後に、工程(S3)を実施し側鎖を導入することが好ましい。なお前駆体(P2)は前駆体(P1)を得た後に化合物(Y)を反応させることでも得られる。
なお「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」は、好ましくは、芳香環に結合している水素原子の2以上がハロゲン原子で置換されている芳香環であり、該水素原子の全部がハロゲン原子で置換されていることが好ましい。該ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましく、「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」は、ペルフルオロ芳香環が最も好ましい。該ペルフルオロ芳香環の例としては、ペルフルオロフェニル、ペルフルオロビフェニル等が挙げられる。
さらに「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」は、含フッ素芳香族化合物(B)または化合物(Y−2)によりプレポリマーに導入される。したがって一般式(I)で表される側鎖は、含フッ素芳香族化合物(B)または化合物(Y−2)に由来する芳香環に導入される。
本発明のプレポリマーの製造方法における縮合反応は、下式(2)で表されるように、フェノール性水酸基から誘導されるフェノキシ基が、含フッ素芳香族化合物(B)のフッ素原子が結合した炭素原子、及び/又は(Y−2)のフッ素原子(またはハロゲン原子)が結合した炭素原子を攻撃し、ついでフッ素原子(またはハロゲン原子)が脱離する反応機構等によりエーテル結合が生成する。また、化合物(C)及び/又は(Y−1)がオルト位置関係にある2個のフェノール性水酸基を有する場合には、同様の反応機構等により、下式(3)に示すようにジオキシン骨格が生成する可能性がある。
Figure 2008007764
Figure 2008007764
本発明のプレポリマーを製造するモノマーとして、架橋性官能基を有する化合物(Y−1)または(Y−2)を用いることにより、架橋性官能基が導入されたプレポリマーが得られる。これにより本発明のプレポリマーを硬化させる際に、プレポリマー分子間の架橋又は鎖延長反応が進行して、耐熱性が大きく向上する。また硬化物の耐溶剤性が向上するという効果も得られる。
またフェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)を用いることにより、ポリマー鎖に分岐構造が導入され、分子構造が三次元化されたプレポリマーが得られる。これにより、プレポリマーの分子量を下げることなく、架橋基または上記式(I)で表される側鎖を導入できる。
さらに、前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物(B)を用いることにより、硬化物における可とう性を向上させることができる。該化合物(B)をモノマーとして用いたプレポリマーは、自身が分岐構造を有する含フッ素芳香族化合物をモノマーとして用いて製造された含フッ素芳香族ポリマーに比べて、エーテル結合の密度が高くなり、主鎖の柔軟性が向上する。これにより本発明のプレポリマーの硬化物において良好な可とう性が得られる。また硬化物の可とう性が良好であることは、硬化物が硬化膜の形状である場合に特に有利である。
[含フッ素芳香族化合物(B)]
含フッ素芳香族化合物(B)は前記一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物である。すなわち含フッ素芳香族化合物(B)は、「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物である。また含フッ素芳香族化合物(B)は、アルコール(Q)との縮合反応において、前記一般式(I)で表される側鎖が結合しうる芳香環を有する化合物でもある。
この式(1)中、Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下、好ましくは炭素数3以下の含フッ素アルキル基を表す。1種の含フッ素芳香族化合物(B)中にRfが複数存在する場合、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。同様にRfが複数存在する場合、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。
RfまたはRfとしての含フッ素アルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたものを意味する。耐熱性の観点より、ペルフルオロアルキル基が好ましい。具体例としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基が挙げられる。
Rf及びRfが多くなると含フッ素芳香族化合物(B)の製造が困難となる。したがってRfの数(式中のa)は0〜3であり、0〜2が好ましく、0が最も好ましい。
またRfの数(式中のn個のb)は0〜6であり、0〜2が好ましく、0が最も好ましい。
前記一般式(1)において、nは0〜2の整数であり、0または1が好ましく、1が最も好ましい。
含フッ素芳香族化合物(B)の具体例としては、以下の化合物が好適に例示できる。
n=0の場合は、ペルフルオロベンゼン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン;n=1の場合は、ペルフルオロビフェニル;n=2の場合は、ペルフルオロテルフェニル;n=3の場合は、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(1,2,4−トリフェニルベンゼン)が挙げられる。特にペルフルオロベンゼン、ペルフルオロビフェニル、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(1,2,4−トリフェニルベンゼン)が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。n=3の場合は、プレポリマーに分岐構造が導入されるため硬化物の耐熱性を向上させることができる。
得られる硬化物の誘電率と耐熱性のバランスに優れ、かつ硬化物の可とう性が高くなる点で、含フッ素芳香族化合物(B)としては、ペルフルオロビフェニルが最も好ましい。
[化合物(C)]
化合物(C)はフェノール性水酸基を3個以上有する化合物である。本発明において、架橋性官能基を有するものは該化合物(C)には含まれないものとする。
化合物(C)の具体例としては、トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシビフェニル、トリヒドロキシナフタレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシビフェニル、テトラヒドロキシビナフチル、テトラヒドロキシスピロインダン類等が挙げられる。得られる硬化膜の可とう性が高くなることから、化合物(C)としてはフェノール性水酸基を3個有する化合物が好ましい。その中でも、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリヒドロキシベンゼンがより好ましい。
前駆体(P11)は、化合物(B)と化合物(C)とを脱HF剤存在下に縮合反応させて製造される。この後上記一般式(I)で表される側鎖の導入と架橋性官能基の導入を行う。架橋性官能基の導入には、化合物(Y−1)又は化合物(Y−2)を用いることが好ましい。
前駆体(P21)は、下記(i)又は(ii)の方法のいずれか一方又は両方で製造される。
(i)化合物(B)と化合物(C)と化合物(Y−1)とを脱HF剤存在下に縮合反応させる方法。
(ii)化合物(B)と化合物(C)と化合物(Y−2)とを脱HF剤存在下に縮合反応させる方法。
なお、前記(i)及び(ii)の両方で前駆体(P21)を製造する場合は、含フッ素芳香族化合物(B)、化合物(C)、化合物(Y−1)及び化合物(Y−2)を脱HF剤存在下に縮合反応させる。
なお前駆体(P21)に上記一般式(I)で表される側鎖を導入すると、主鎖に「芳香環に結合している水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されている芳香環」を有し、前記一般式(I)で表される側鎖が、該含フッ素芳香環に結合しているプレポリマーが得られる。
[化合物(Y−1)]
化合物(Y−1)は、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有するものである。化合物(Y−1)は「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有していない。
化合物(Y−1)としては、フェノール性水酸基を1個有する化合物(Y−1−1)及びフェノール性水酸基を2個有する化合物(Y−1−2)が好ましい。(Y−1−1)は一官能性化合物として働き、これを用いると側鎖に架橋性官能基を有するプレポリマーが得られる。(Y−1−2)は二官能性化合物として働き、これを用いると主鎖に架橋性官能基を有する前駆体プレポリマーが得られる。(Y−1−1)および(Y−1−2)の両方を用いてもよく、その場合は主鎖および側鎖に架橋性官能基を有するプレポリマーが得られる。
なお化合物(Y−1)におけるフェノール性水酸基は、反応系中で発生させてもよい。具体的には、アルカリ存在下で加水分解を受けてフェノール性水酸基となる、保護されたフェノール性水酸基も、上記フェノール性水酸基と同じものとして考える。より具体的には、脱フッ化水素剤存在下でフェノール性水酸基を与える、エステル等の化合物も(Y−1)に含めて考える。
上述したように、本発明のプレポリマーは、側鎖にのみ架橋性官能基を有することが好ましく、したがって(Y−1−1)のみを用いることがより好ましい。
また、(Y−1−1)および(Y−1−2)のそれぞれにおける架橋性官能基の数は1が好ましい。
化合物(Y−1−1)の具体例としては、4−ヒドロキシスチレン等の反応性二重結合を有するフェノール類、3−エチニルフェノール、4−フェニルエチニルフェノール、4−(4−フルオロフェニル)エチニルフェノール等のエチニルフェノール類が挙げられる。またフェノール性水酸基が保護された化合物の具体例としては、4−アセトキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。架橋性官能基としてビニル基またはエチニル基を有する芳香族化合物が好ましく、ビニル基を有する芳香族化合物がより好ましい。
なお、4−(4−フルオロフェニル)エチニルフェノールは、芳香環に結合している1個の水素原子がフッ素原子で置換されている芳香環を有するが、このフッ素原子は実質的にはフェノール性水酸基と反応しない。このように芳香環にフッ素原子が結合している化合物であっても、該フッ素原子がフェノール性水酸基と反応しないものは、化合物(Y−1−1)に含まれる。
化合物(Y−1−2)の具体例としては、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−5,5’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビス(フェニルエチニル)ジヒドロキシビフェニル類、4,4’−ジヒドロキシトラン、3,3’−ジヒドロキシトラン等のジヒドロキシジフェニルアセチレン類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
[化合物(Y−2)]
化合物(Y−2)は、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有するものである。化合物(Y−2)はフェノール性水酸基を有しない。
化合物(Y−2)における「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」は、好ましくは、芳香環に結合している水素原子の2以上がフッ素原子で置換されている芳香環であり、該水素原子の全部がフッ素原子で置換されているペルフルオロ芳香環がより好ましい。該ペルフルオロ芳香環の例としては、ペルフルオロフェニル、ペルフルオロビフェニル等が挙げられる。
(Y−2)における「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子」が1個の場合(Y−2)は一官能性化合物として働き、2個の場合は二官能性化合物として働く。いずれを用いた場合も側鎖に架橋性官能基が導入されたプレポリマーが得られる。
(Y−2)における架橋性官能基の数は1が好ましい。
化合物(Y−2)の具体例としては、ペンタフルオロスチレン、ペンタフルオロベンジルアクリレート、ペンタフルオロベンジルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、ペルフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニルトリフルオロビニルエーテル、3−(ペンタフルオロフェニル)ペンタフルオロ−1−プロペン等の反応性二重結合を有する含フッ素アリール類;ペンタフルオロベンゾニトリル等のシアノ基を有する含フッ素アリール類;ペンタフルオロフェニルアセチレン、ノナフルオロビフェニルアセチレン等の含フッ素アリールアセチレン類;フェニルエチニルペンタフルオロベンゼン、フェニルエチニルノナフルオロビフェニル、デカフルオロトラン等の含フッ素ジアリールアセチレン類が挙げられる。
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。比較的低温で架橋反応が進行し、かつ得られるプレポリマー硬化物の耐熱性が高くなることから、化合物(Y−2)としては、ペンタフルオロフェニルアセチレン等の含フッ素アリールアセチレン類、ペンタフルオロスチレン等の反応性二重結合を有する含フッ素アリール類が好適である。
[脱フッ化水素剤]
前駆体(P1)、前駆体(P2)を製造する際に用いられる脱フッ化水素剤(脱HF剤)としては、塩基性化合物が好ましく、特にアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物が好ましい。具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。前駆体(P1)、前駆体(P2)を製造する際に用いられる脱フッ化水素剤としては、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムがより好ましい。
脱HF剤の使用量は、反応させるべきフェノール性水酸基のモル数に対し、モル比で1倍以上の量が必要であり、1.1〜3倍が好ましい。すなわちフェノール性水酸基を有する、化合物(C)の水酸基の量、又は、化合物(C)及び化合物(Y−1)の水酸基の合計量に対して、モル比で1倍以上の量が必要であり、1.1〜3倍が好ましい。
前記縮合反応は、極性溶媒中で行うことが好ましい。極性溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性の極性溶媒を含有する溶媒が好ましい。極性溶媒には、生成するプレポリマーの溶解性を低下せず、縮合反応に悪影響を及ぼさない範囲で、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゾトリフルオライド、キシレンヘキサフルオライド等が含有されてもよい。これらを含有することにより、溶媒の極性(誘電率)が変化し、反応速度をコントロールすることが可能である。
縮合反応条件としては、10〜200℃で1〜80時間が好ましい。より好ましくは20〜180℃で2〜60時間、最も好ましくは50〜160℃で3〜48時間である。
プレポリマーの数平均分子量は、1×10〜5×10、好ましくは1.5×10〜1×10の範囲である。この範囲にあると、本発明のプレポリマーを含む塗布用組成物の塗布特性が良好となり、得られる硬化膜が良好な耐熱性、機械特性、及び耐溶剤性等を有する。
電子デバイス用絶縁膜の用途においては、下地の微細スペース間に充分に浸透し、かつ表面を平滑にする特性(いわゆる埋め込み平坦性)が要求され、プレポリマーの数平均分子量は1.5×10〜5×10の範囲が最も好ましい。
プレポリマーの数平均分子量は、化合物(Y−1)を用いる製造方法においては化合物(C)、化合物(Y−1)及びアルコール(Q)の合計と、含フッ素芳香族化合物(B)との仕込み比率を変化させることによって制御できる。ここで、プレポリマー中に水酸基が残存しない方が、撥水性および撥油性が向上するため好ましい。
前記縮合反応では、含フッ素芳香族化合物(B)は通常二官能性化合物として働く。従って、分子量のコントロールは、化合物(C)、化合物(Y−1)、及びアルコール(Q)の水酸基の合計モル数が、含フッ素芳香族化合物(B)のモル数の2倍を超えない範囲内で調整することが好ましい。
化合物(Y−2)を用いる製造方法におけるプレポリマーの数平均分子量は、含フッ素芳香族化合物(B)及び化合物(Y−2)の合計と化合物(C)及びアルコール(Q)の合計との仕込み比率を変化させることによって制御できる。ここでも前記と同様、分子量のコントロールは、化合物(Y−2)が一官能性化合物として働く場合、水酸基の合計モル数が、含フッ素芳香族化合物(B)のモル数の2倍と化合物(Y−2)のモル数の合計を超えない範囲内で調整することが好ましい。また、化合物(Y−2)が二官能性化合物として働く場合、水酸基の合計モル数が、含フッ素芳香族化合物(B)と化合物(Y−2)の合計モル数の2倍を超えない範囲内で調整することが好ましい。
また化合物(Y−2)を用いる製造方法において、含フッ素芳香族化合物(B)と化合物(Y−2)の反応速度が異なる場合、添加順序によって得られる前駆体またはプレポリマーの分子量や組成が異なる場合がある。例えば、化合物(C)のフェノール性水酸基から誘導されるフェノキシ基に対する反応速度が(B)>(Y−2)である場合、含フッ素芳香族化合物(B)と化合物(Y−2)とを同時に仕込むと、化合物(Y−2)がすべて消費される前に、すべてのフェノキシ基が含フッ素芳香族化合物(B)により消費され、未反応の化合物(Y−2)が残存する場合がある。この様な場合、化合物(Y−2)の反応率を高めるためには、化合物(Y−2)を先に仕込んだ後に含フッ素芳香族化合物(B)を仕込むことが好ましい。しかし本方法では、得られる前駆体の分子鎖間における組成のばらつきが大きくなる傾向がある。得られる前駆体の分子鎖間の組成のばらつきを小さくする必要がある場合は、一括仕込みにより製造することが好ましい。
化合物(Y−1)を用いる製造方法において、化合物(C)の使用量は含フッ素芳香族化合物(B)に対するモル比で0.1〜1倍が好ましく、より好ましくは0.3〜0.6倍であり、化合物(Y−1)の使用量は含フッ素芳香族化合物(B)に対するモル比で0.1〜2倍が好ましく、より好ましくは0.2〜1.5倍である。
化合物(Y−2)を用いる製造方法において、化合物(C)の使用量は含フッ素芳香族化合物(B)に対するモル比で0.5〜2倍が好ましく、より好ましくは0.6〜1.5倍であり、化合物(Y−2)の使用量は含フッ素芳香族化合物(B)に対するモル比で0.1〜2倍が好ましく、より好ましくは0.2〜1.5倍である。各値がこの範囲にあると、得られた本発明のプレポリマーが高い耐熱性を持つため好ましい。
本発明のプレポリマーは、これを硬化させて得られる硬化物の耐熱性、可とう性などの物性に応じて、化合物(Y−1)、(Y−2)を適宜選択して所望の物性の硬化物が得られるプレポリマーを製造することができる。
本発明のプレポリマーは、その中間工程において縮合反応の後(例えば前駆体を合成した後、又は、前記一般式(I)で表される側鎖を導入した後)、中和、再沈殿、抽出、ろ過等の方法で精製を適宜行うことが好ましい。
[その他の共縮合成分]
プレポリマーを用いて製造された硬化物において、耐熱性が不充分であったり、該硬化物からなる膜又はフィルムが脆性である場合には、硬化物の耐熱性向上や可とう性を改良するために、プレポリマーの製造時に上記(B)(C)(Y−1)(Y−2)(Q)以外の他の共縮合成分を添加することができる。
他の共縮合成分としては、硬化膜の可とう性向上のためには(Y−1)以外のフェノール性水酸基を2個有する化合物(Z)が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を2個有する化合物(Z)としては、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシターフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、ジヒドロキシフェナントラセン、ジヒドロキシ−9,9−ジフェニルフルオレン、ジヒドロキシジベンゾフラン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプロパン、ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジヒドロキシビナフチル等の2官能フェノール類が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
[アルコール(Q)]
本発明において、一般式(I)で表される側鎖を導入するためには、一般式(II)で表されるアルコール(Q)を用いることが好ましい。特に、「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」とアルコール(Q)とを脱フッ化水素剤の存在下に反応させることが好ましい。
「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」とアルコール(Q)との反応は、前記式(2)で表される反応と同様に、アルコール(Q)の水酸基から誘導されるアルコキシ基が、「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」のハロゲン原子が結合した炭素原子を攻撃し、ついでハロゲン原子が脱離する反応機構等によりエーテル結合が生成する。
かかる反応により、アルコール(Q)の水酸基から水素を除いた側鎖、すなわち前記一般式(I)で表される側鎖がプレポリマーに導入される。
前記一般式(II)におけるRは、前記一般式(I)におけるRと同じである。前記一般式(II)で表されるアルコール(Q)のより好ましい具体例としては以下のものが挙げられる。
下記一般式(II−1)で表されるアルコールを用いると前記一般式(I−1)で表される側鎖を有するプレポリマーが得られ、以下のその他のアルコールを用いた場合も対応する側鎖を有するプレポリマーが得られる。アルコール(Q)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(II)で表されるアルコール(Q)のうち直鎖状のものとしては、下記一般式(II−1)または下記一般式(II−2)で表されるものが好ましい。下記一般式(II−1)において、mは1〜5の整数を表し、Rfaは炭素数4〜50の含フッ素アルキル基を示し、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。mは1〜3の整数であることがより好ましい。
下記一般式(II−1)で表されるアルコール(Q)のさらに好ましい例としては下記一般式(II−1−1)で表されるアルコール、または下記一般式(II−1−2)で表されるアルコールが挙げられる。
Figure 2008007764
また上記一般式(II)で表されるアルコール(Q)のうち分岐鎖状のものとしては、下記一般式(II−3)または(II−4)で表されるアルコールが好ましい。
Figure 2008007764
また上記一般式(II)で表されるアルコール(Q)のうち環状のものとしては、下記式(II−5)、(II−6)または(II−7)で表されるアルコールが好ましい。
Figure 2008007764
アルコール(Q)を反応させる際に用いられる脱フッ化水素剤としては、前記の化合物(B)、化合物(C)、化合物(Y)の縮合反応に用いる脱HF剤と同じものを使用できる。すなわち脱HF剤としては、塩基性化合物が好ましく、特にアルカリ金属の水素化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は水酸化物が好ましい。具体例としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等が挙げられる。アルコール(Q)を反応させる製造する際に用いられる脱フッ化水素剤としては、水素化ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化セシウムがより好ましい。
脱HF剤の使用量は、使用するアルコール(Q)の水酸基のモル数に対し、モル比で1倍以上の量が必要であり、1.1〜3倍が好ましい。
アルコール(Q)を反応させる際は、極性溶媒中で行うことが好ましい。極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル性溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性の極性溶媒を含有する溶媒が好ましい。
反応条件としては、0〜200℃で1〜80時間が好ましい。より好ましくは20〜180℃で2〜60時間、最も好ましくは30〜100℃で3〜48時間である。
<硬化物>
本発明のプレポリマーは、外部エネルギーが与えられると、架橋性官能基が反応して架橋プレポリマー分子間の架橋又は鎖延長が進行し、硬化物となる。硬化物の形状は得に限定されない。例えば膜、フィルム、成形体等である。
特に、本発明のプレポリマーおよび溶剤を含む液状の塗布用組成物を調製し、該塗布用組成物を基材上にコーティングし、硬化せしめて膜状に成形すると、架橋性官能基の反応が均一に進行しやすく、均質な硬化物(硬化膜)が得られる。したがって、本発明のプレポリマーは硬化膜の製造に好適である。
<塗布用組成物>
本発明の塗布用組成物は本発明のプレポリマーと溶剤とを含む。本発明のプレポリマーを含む塗布用組成物は、プレポリマーを溶剤に溶解するか、または分散して得られる。本発明の塗布用組成物は硬化膜または硬化フィルムの製造に好適に用いられる。本発明の塗布用組成物は必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
<溶剤>
本発明の塗布用組成物における溶剤は、プレポリマー及び必要に応じて添加される添加剤類を溶解又は分散できるものであればよい。また、本発明の塗布用組成物の性状を、所望の方法で、所望の膜厚を有し、かつ膜厚の均一性が良好であり、必要に応じて埋め込み平坦性を有する塗膜を形成できる性状とするのに好適な溶剤を用いることが好ましい。
溶剤として、例えば芳香族炭化水素類、双極子非プロトン系溶媒類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。該溶剤は、前述したプレポリマー製造時の反応溶剤と同じであっても、異なっていてもよい。異なる溶剤を使用する場合には、再沈殿法等でプレポリマーを一旦反応溶液より回収し、異なる溶剤に溶解若しくは分散させるか、又はエパポレーション法、限外濾過法等の公知の手法を用いて溶剤置換を行うことができる。
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、キュメン、メシチレン、テトラリン、メチルナフタレン等が挙げられる。双極子非プロトン系溶媒類としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
ケトン類としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルアミルケトン等が挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジフェニルエーテル、アニソール、フェネトール、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。
エステル類としては、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸ベンジル、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素類としては、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
溶剤の使用量は、本発明の塗布用組成物中におけるプレポリマーの固形分濃度が1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%となるように調整することが好ましい。
<その他の成分>
本発明の感光性組成物には、プレポリマーを硬化させる際の反応速度を上げる又は反応欠陥を低減させる等の目的で各種の触媒又は添加剤を添加することが好ましい。
例えば、プレポリマーが架橋性官能基としてエチニル基を含有する場合には、触媒としてはアニリン、トリエチルアミン、アミノフェニルトリアルコキシシラン、アミノプロピルトリアルコキシシラン等のアミン類や、モリブデン、ニッケル等を含有する有機金属化合物等が好ましい。
また添加剤としては、ビスシクロペンタジエノン誘導体が好ましい。エチニル基とシクロペンタジエノン基(1−オキソシクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル基)は熱によりディールスアルダー反応で付加物を形成した後、脱一酸化炭素反応して芳香環を形成する。したがって、ビスシクロペンタジエノン誘導体を使用すると芳香環が結合部位である架橋又は鎖延長が形成される。
ビスシクロペンタジエノン誘導体の具体例としては、1,4−ビス(1−オキソ−2,4,5−トリフェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)ベンゼン、4,4’−ビス(1−オキソ−2,4,5−トリフェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)ビフェニル、4,4’−ビス(1−オキソ−2,4,5−トリフェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)1,1’−オキシビスベンゼン、4,4’−ビス(1−オキソ−2,4,5−トリフェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)1,1’−チオビスベンゼン、1,4−ビス(1−オキソ−2,5−ジ−[4−フルオロフェニル]−4−フェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)ベンゼン、4,4’−ビス(1−オキソ−2,4,5−トリフェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)1,1’−(1,2−エタンジイル)ビスベンゼン、4,4’−ビス(1−オキソ−2,4,5−トリフェニル−シクロペンタ−2,5−ジエン−3−イル)1,1’−(1,3−プロパンジイル)ビスベンゼン等を挙げることができる。
これらのビスシクロペンタジエノン誘導体のうち、耐熱性の観点から全芳香族骨格のビスシクロペンタジエノン誘導体が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の塗布用組成物には、触媒および/又は添加剤のほか、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安定剤類;レベリング剤、消泡剤、沈殿防止剤、分散剤などの界面活性剤類;架橋剤;可塑剤;増粘剤などのコーティング分野で周知の各種添加剤の中から選択される少なくとも1種の添加剤を配合してもよい。また、空孔を有する膜またはフィルムを形成する場合には、後述する中空体及び薄膜形成後除去可能な物質等を適宜配合することができる。
<硬化膜>
硬化物の製造方法については、硬化物の好適な例として硬化膜が挙げられる。
本発明の塗布用組成物を適当な基材表面に塗布して湿潤膜を形成し、次いで溶剤を揮散等で除去した後、または除去すると同時に硬化処理を施し、プレポリマー中の架橋性官能基に架橋反応を生じさせることにより、硬化膜を形成できる。
湿潤膜の形成方法としては、コーティング方法または印刷法を採用することが好ましい。コーティング法としては例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、バーコート法、ドクターコート法、押し出しコート法、スキャンコート法、はけ塗り法、ポッティング法等の公知のコーティング方法が挙げられる。印刷法としては例えば、ナノインプリント法、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。
なおプレポリマーが、常温で実質的な蒸気圧を有する低分子量体を含有する場合には、ベーク時の揮発を防止するために、塗布用組成物を塗布する前に、溶液中で架橋性官能基の一部を反応させておくこともできる。その方法としては加熱が好ましい。加熱条件としては50℃〜250℃で1〜50時間が好ましく、より好ましくは70〜200℃で1〜20時間である。架橋性官能基の溶液中での反応率は、溶液中でのプレポリマーのゲル化を防止する観点より、50%未満とするのが好ましく、より好ましくは30%未満である。
塗布用組成物により形成される湿潤膜の厚さは、製造する目的の硬化膜の形状に合わせて適宜設定できる。例えばフィルムを製造する目的においては、基板上に0.01〜500μm程度の湿潤膜を成膜することが好ましく、0.1〜300μmがより好ましい。
硬化処理では、架橋性官能基が反応を生じさせる外部エネルギーを与える。かかる外部エネルギーは、プレポリマー中に存在する架橋性官能基の種類に応じて選択される。 好ましくは熱により反応を生じる架橋性官能基を用い、ベーク(加熱)により硬化処理を行う。加熱条件は150〜450℃で1〜120分程度が好ましく、160〜350℃で2〜60分程度がより好ましい。加熱装置としては、ホットプレート、オーブン、ファーネス(炉)が好ましく、加熱雰囲気は、窒素またはアルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気、酸素、減圧などが挙げられる。不活性ガス雰囲気および減圧が好ましい。薄膜の表面平滑性を確保するために、または薄膜の微細スペース埋込性を向上させるために、50〜250℃程度のプリベーク工程を追加したり、加熱工程を何段階かに分けて実施することが好ましい。
硬化処理後に得られる硬化膜中における、架橋性官能基の反応率は、30〜100モル%が好ましい。反応率を30モル%以上とすることで硬化膜の耐熱性及び耐薬品性が良好となる。この観点から、反応率は50モル%以上がさらに好ましく、特に70モル%以上であることが最も好ましい。
本発明の塗布用組成物から得られる硬化膜は、基材から剥離してフィルム単体として用いることもできるし、基材上に接着したままの状態で撥水・撥油膜等のコーテイング等として用いることもできる。後者の場合、硬化膜と基材との接着性の向上のため、接着促進剤(接着性向上剤)を使用することもできる。
接着促進剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。ビニルシラン類、アクリルシラン類、スチリルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類などのシラン系カップリング剤がより好ましい。
ビニルシラン類としてはビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が例示される。スチリルシラン類としては、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン等が例示される。
アクリルシラン類としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が例示される。
エポキシシラン類としては2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが例示される。
アミノシラン類としては、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの脂肪族アミノシラン類、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどの含芳香族基アミノシラン類が挙げられる。
接着促進剤の適用方法としては、塗布用組成物の塗布前に基材を接着促進剤で処理する方法や塗布用組成物中に接着促進剤を添加する方法が好ましい。基材を接着促進剤で処理する方法としては、アミノシラン類の例では、0.01〜3質量%のアルコール系溶液として基材にスピンコートする方法が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。接着促進剤をプレポリマー溶液中に添加する方法では、接着促進剤の添加量は含有されるプレポリマーに対して0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。接着促進剤の添加量が少ないと接着性向上効果が充分でなく、多すぎると耐熱性が低下する。
<硬化物の用途>
本発明によれば、主鎖にポリアリールエーテル構造を有し、架橋性官能基および上記一般式(I)で表される特定の側鎖を有するプレポリマーが得られ、該プレポリマーを硬化させた硬化物において、良好な耐熱性、高い撥水性、および高い撥油性が同時に達成できる。
本発明のプレポリマーを用いて製造される硬化物または硬化膜は、耐熱性、撥水性および撥油性が要求される用途に好適である。
用途の具体例としては、モールド、金型類の離型材(特に、ホットエンボス及びナノインプリント・リソグラフィー等の微細パターン形成用);インクジェットプリンタヘッド、センサー等のMEMS(マイクロエレクトロニック メカニカル システム)デバイス用の表面保護膜;コピー機定着ロールコーティング;液体レンズ用部材のコーティング;オイルシール材;接合部材またはシール材のコーティング;自動車用インジェクターのコーティング;撥油防水性通気フィルター;封止剤;バンク材;樹脂への添加剤;家電、調理器具用の撥水、撥油膜;耐候性塗膜;防湿コーティング;各種保護膜(耐熱・撥水膜、耐熱・撥油膜);各種フィルム(耐熱・撥水フィルム、耐熱・撥油フィルム);等が挙げられる。
また、特に上記一般式(I)で表される側鎖が導入されたプレポリマーは、耐熱性、撥水性、撥油性、非粘着性、低摩擦性、耐摩擦性、低誘電率、および低複屈折を満たす硬化物または硬化膜を形成できるため、上記の用途に好適であるほか、それ以外の用途にも広く適用できる。
本発明のプレポリマーの硬化物または硬化膜の用途の具体例としては、燃料電池等の各種電池用膜材料;自動車用エンジンピストン、コピー機定着部軸受け、エアコン用コンプレッサー軸受け、自動車エンジン軸受け、カーコンプレッサー斜板、自動車用すべり軸受け等のコーティング;パワー半導体用放熱板絶縁コーティング;電子デバイス用又は多層配線板用の絶縁膜;電子用部材;LCD配向膜;光導波路;非線形光学材料;等が挙げられる。
<物品>
また、本発明の硬化膜を有する物品は、特に制限されないが、好ましい例としてはモールド、金型類(特に、ホットエンボス及びナノインプリント・リソグラフィー等の微細パターン形成用);インクジェットプリンタヘッド、センサー等のMEMS(マイクロエレクトロニック メカニカル システム)デバイス;コピー機定着ロール;液体レンズ用部材;オイルシール材;接合部材またはシール材;自動車用インジェクター;撥油防水性通気フィルター;封止剤;バンク材;家電、調理器具用の撥水、撥油部材;耐候性塗膜;防湿コーティング;各種保護膜(耐熱・撥水膜、耐熱・撥油膜);各種フィルム(耐熱・撥水フィルム、耐熱・撥油フィルム);燃料電池等の各種電池用膜材料;自動車用エンジンピストン;コピー機定着部軸受け;エアコン用コンプレッサー軸受け;自動車エンジン軸受け;カーコンプレッサー斜板;自動車用すべり軸受け;パワー半導体用放熱板絶縁コーティング;電子デバイス用又は多層配線板用の絶縁膜;電子用部材;LCD配向膜;光導波路;非線形光学材料;等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各測定項目は下記方法により測定した。
[分子量]
真空乾燥したプレポリマー粉末をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によりポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。キャリア溶媒はテトラヒドロフランを使用した。
[エーテル結合の確認]
真空乾燥したプレポリマー粉末をIRにて測定し、1300cm−1付近に吸収があることにより確認を行った。
[架橋性官能基の確認]
真空乾燥したプレポリマー粉末を重アセトンに溶解し、NMRを測定し所定の領域にシグナルがあることにより確認を行った。架橋性官能基がビニル基の場合はδ=5.0〜7.0ppm、エチニル基の場合はδ=4.5ppm付近にシグナルが現れる。
[合成例1:前駆体(P2−1)の合成]
化合物(B)、(C)及び(Y−2)を用い、製造方法(ii)により前駆体(P2−1)を製造した。
すなわち、ジムロートコンデンサー、スターラーチップの付いた50mL二つ口フラスコに、化合物(Y−2)としてペンタフルオロフェニルアセチレンの1.15g(0.006モル)、化合物(C)として1,3,5−トリヒドロキシベンゼンの0.65g、(0.005モル)、化合物(B)としてペルフルオロビフェニルの2.00g(0.006モル)、溶剤としてDMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)の34.22g)を仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸ナトリウムの3.23g(0.03モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で22時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、激しく撹拌した0.5N塩酸水の150mLに徐々に投入すると微褐色粉状物が沈殿した。この微褐色粉状物をろ過し、さらに純水で2回洗浄した後に、80℃で12時間真空乾燥を行って、2.58gの白灰色粉末状の前駆体(P2−1)を得た。
[合成例2:前駆体(P2−2)の合成]
化合物(B)、(C)及び(Y−2)を用い、製造方法(ii)により前駆体(P2−2)を製造した。
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラの付いた100mLガラス製4つ口フラスコに、化合物(Y−2)としてペンタフルオロスチレンの2.2g(0.01モル)、化合物(C)として1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの3.3g(0.01モル)、溶剤としてDMAcの49.2gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で加温し、液温が60℃となった時点で脱HF剤として炭酸ナトリウムの5.1g(0.05モル)を素早く添加した。撹拌を継続しながら60℃で24時間加熱した。
次いで、化合物(B)としてペルフルオロビフェニルの4.0g(0.01モル)をDMAcの36.0gに溶かした溶液を添加し、さらに60℃で17時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、激しく撹拌した0.5N塩酸水の約300mLに徐々に滴下し、再沈殿を行った。ろ過後、さらに純水で2回洗浄した後に、60℃で12時間真空乾燥を行って7.5gの白色粉末状の前駆体(P2−2)を得た。
[合成例3:前駆体(P1−1)の合成]
化合物(B)、(C)を用い、前駆体(P1−1)を製造した。
すなわち、ジムロートコンデンサー、スターラーチップの付いた200mL二つ口フラスコに、化合物(C)として1,3,5−トリヒドロキシベンゼンの1.79g、(0.014モル)、化合物(B)としてペルフルオロビフェニルの10.0g(0.030モル)、溶剤としてDMAcの106。14gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で40℃に加温し、脱HF剤として炭酸カリウムの8.84g(0.064モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら40℃で24時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、激しく撹拌した0.5N塩酸水の300mLに徐々に投入すると白色粉状物が沈殿した。この白色粉状物をろ過し、さらに純水で2回洗浄した後に、80℃で12時間真空乾燥を行って、9.84gの白色粉末状の前駆体(P1−1)を得た。
[実施例1:前駆体(P2−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例1で得た前駆体(P2−1)の3g、アルコール(Q)としてCF(OCFCFOCFCHOH(平均分子量1000)(Q−1)の0.45g(0.0004モル)、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)の31.1gを仕込んだ。
室温で撹拌しながら、脱HF剤として水素化ナトリウム(55%ミネラルオイル分散物)の0.06g(0.001モル)を添加した。添加後、撹拌しながらオイルバス上で30℃に加温し、45時間撹拌した。
その後、反応液を室温に冷却し、激しく撹拌した塩酸水含有メタノールの120g(塩酸6gとメタノール114gの混合液)に徐々に投入すると微褐色粉状物が沈殿した。この微褐色粉状物をろ過し、さらにメタノールで3回洗浄した後にヘキサンで3回洗浄し、60℃で12時間真空乾燥を行って、2.4gの白灰色粉末状のプレポリマーAを得た。
本例で得られたプレポリマーAのNMRスペクトルデータを以下に示す。該NMRスペクトルデータは、みかけの化学シフト範囲として示したものある(以下、同様。)。以下、テトラメチルシランをTMSと記す。
<NMRスペクトル>
H−NMR(300.4MHz、溶媒アセトン−d6、基準:TMS)δ(ppm):4.50(CC−H)、5.08(CF−CH−O)、6.69〜7.24(Ph−H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒アセトン−d6、基準:CFCl)δ(ppm):−55.2(CF)、−77.9(−CF−CHO)、−88.2〜−90.3(CF−O)、−137.2〜−161.9(Ph−F)。
[実施例2:前駆体(P2−2)への側鎖導入]
上記実施例1と同様の4つ口フラスコに、合成例2で得た前駆体(P2−2)の3g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.45g(0.0004モル)、実施例1と同じ溶剤(THF)の32.2gを仕込んだ。
室温で撹拌しながら、実施例1と同じ脱HF剤の0.06g(0.001モル)を添加した。添加後、撹拌しながらオイルバス上で50℃に加温し、24時間撹拌した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例1と同様の操作を行って2.8gの白灰色粉末状のプレポリマーBを得た。
本例で得られたプレポリマーBのNMRスペクトルデータを以下に示す。
<NMRスペクトル>
H−NMR(300.4MHz、溶媒アセトン−d6、基準:TMS)δ(ppm):2.19(C−CH)、5.08(CF−CH−O)、5.77(Ph−CH=CH)、6.08(Ph−CH=CH)、6.73(Ph−CH=CH)、6.90〜7.21(Ph−H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒アセトン−d6、基準:CFCl)δ(ppm):−55.2(CF)、−77.9(−CF−CHO)、−88.2〜−90.3(CF−O)、−138.3〜−161.9(Ph−F)。
[実施例3:前駆体(P2−2)への側鎖導入]
上記実施例1と同様の4つ口フラスコに、合成例2で得た前駆体(P2−2)の3g、アルコール(Q)としてCFCFCFCFOCFCFOCFCHOH(Q−2)の0.75g(0.002モル)、実施例1と同じ溶剤の33.8gを仕込んだ。
室温で撹拌しながら、実施例1と同じ脱HF剤の0.23g(0.005モル)を添加した。添加後、撹拌しながらオイルバス上で50℃に加温し、94時間撹拌した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例1と同様の操作を行って3.1gの白灰色粉末状のプレポリマーCを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例4:前駆体(P2−2)への側鎖導入]
上記実施例1と同様の4つ口フラスコに、合成例2で得た前駆体(P2−2)の2.5g、アルコール(Q)としてCFCFCFCFCFCFOCFCFOCFCHOH(Q−3)の0.63g(0.001モル)、実施例1と同じ溶剤の28.1gを仕込んだ。
室温で撹拌しながら、実施例1と同じ脱HF剤の0.16g(0.004モル)を添加した。添加後、撹拌しながらオイルバス上で50℃に加温し、69時間撹拌した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例1と同様の操作を行って2.5gの白灰色粉末状のプレポリマーDを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例5:前駆体(P2−2)への側鎖導入]
上記実施例1と同様の4つ口フラスコに、合成例2で得た前駆体(P2−2)の3.0g、アルコール(Q)としてCFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH(Q−4)の0.75g(0.002モル)、実施例1と同じ溶剤の33.8gを仕込んだ。
室温で撹拌しながら、実施例1と同じ脱HF剤の0.20g(0.005モル)を添加した。添加後、撹拌しながらオイルバス上で50℃に加温し、17時間撹拌した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例1と同様の操作を行って3.1gの白灰色粉末状のプレポリマーEを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例6:前駆体(P2−2)への側鎖導入]
上記実施例1と同様の4つ口フラスコに、合成例2で得た前駆体(P2−2)の2.0g、アルコール(Q)として下記化学式で表されるFAdCHOH(Q−5)の0.50g(0.001モル)、実施例1と同じ溶剤の22.5gを仕込んだ。
室温で撹拌しながら、実施例1と同じ脱HF剤の0.15g(0.003モル)を添加した。添加後、撹拌しながらオイルバス上で50℃に加温し、45時間撹拌した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例1と同様の操作を行って1.9gの白灰色粉末状のプレポリマーFを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
Figure 2008007764
[実施例7:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の3g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.75g(0.0007モル)、溶剤としてDMAcの33.8gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.94g(0.003モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で46時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、激しく撹拌した0.5mol/L塩酸の120gに徐々に投入すると白灰色粉状物が沈殿した。この白灰色粉状物をろ過し、さらに水で3回洗浄した後に、60℃で12時間真空乾燥を行って、3.1gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの2g、フェノール性水酸基が保護された(Y−1)として4−アセトキシスチレンの0.35g(0.002モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの21.2gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の0.76g(0.006モル)を素早く添加し、22時間撹拌した。
その後、反応液を激しく撹拌した0.5mol/L塩酸の100gに徐々に投入すると白灰色粉状物が沈殿した。この白灰色粉状物をろ過し、さらに水で3回洗浄した後に、60℃で12時間真空乾燥を行って、2.0gの白灰色粉末状のプレポリマーGを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例8:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の3g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.45g(0.0004モル)、溶剤としてDMAcの31.1gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.56g(0.002モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で41時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例7と同様の操作を行って、2.8gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの2.5g、4−アセトキシスチレンの0.50g(0.003モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの27.1gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の1.1g(0.009モル)を素早く添加し、25時間撹拌した。
その後、実施例7と同様の操作を行って、2.5gの白灰色粉末状のプレポリマーHを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例9:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の3g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.45g(0.0004モル)、溶剤としてDMAcの31.1gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.56g(0.002モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で41時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例7と同様の操作を行って、2.8gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの2.5g、4−アセトキシスチレンの0.38g(0.002モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの25.9gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の0.82g(0.007モル)を素早く添加し、44時間撹拌した。
その後、実施例7と同様の操作を行って、2.4gの白灰色粉末状のプレポリマーIを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例10:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の3g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.45g(0.0004モル)、溶剤としてDMAcの31.1gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.56g(0.002モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で41時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例7と同様の操作を行って、2.8gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの2.5g、4−アセトキシスチレンの0.25g(0.002モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの24.8gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の0.55g(0.005モル)を素早く添加し、44時間撹拌した。
その後、実施例7と同様の操作を行って、2.4gの白灰色粉末状のプレポリマーJを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例11:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の4g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.20g(0.0002モル)、溶剤としてDMAcの37.8gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.25g(0.001モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で46時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例7と同様の操作を行って、3.9gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの2g、4−アセトキシスチレンの0.52g(0.003モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの22.7gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の1.1g(0.010モル)を素早く添加し、22時間撹拌した。
その後、実施例7と同様の操作を行って、2.1gの白灰色粉末状のプレポリマーKを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例12:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の4g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.20g(0.0002モル)、溶剤としてDMAcの37.8gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.25g(0.001モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で46時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例7と同様の操作を行って、3.9gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの3g、4−アセトキシスチレンの0.57g(0.004モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの32.2gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の1.2g(0.011モル)を素早く添加し、23時間撹拌した。
その後、実施例7と同様の操作を行って、2.7gの白灰色粉末状のプレポリマーLを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[実施例13:前駆体(P1−1)への側鎖導入]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、合成例3で得た前駆体(P1−1)の4g、実施例1と同じアルコール(Q−1)の0.20g(0.0002モル)、溶剤としてDMAcの37.8gを仕込んだ。
撹拌しながらオイルバス上で60℃に加温し、脱HF剤として炭酸セシウムの0.25g(0.001モル)を素早く添加し、撹拌を継続しながら60℃で46時間加熱した。
その後、反応液を室温に冷却し、実施例7と同様の操作を行って、3.9gの白灰色粉末状のポリマーを得た。
続いて、ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラーの付いた50mLパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコに、上記反応で得たポリマーの3g、4−アセトキシスチレンの0.38g(0.002モル)、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテルの30.4gを仕込んだ。
撹拌しながら水酸化カリウム(48%水溶液)の0.82g(0.007モル)を素早く添加し、24時間撹拌した。
その後、実施例7と同様の操作を行って、2.8gの白灰色粉末状のプレポリマーMを得た。
得られたプレポリマーはエーテル結合、架橋性官能基であるビニル基および含フッ素の側鎖を有していた。
[接触角評価]
合成例1、2で得た前駆体P2−1、P2−2、および実施例1〜6で得たプレポリマーA〜Fの真空乾燥物(樹脂粉末)を用いて硬化膜を形成し、該硬化膜の接触角を下記の方法で測定した。測定結果を表1に示す。表1において「N/A」は評価していないことを表す。
合成例1、2および実施例1〜6で得た真空乾燥物(樹脂粉末)をシクロヘキサノンに溶解させて15重量%の溶液とし、該溶液をポア径0.5μmのPTFE(四フッ化エチレン樹脂)製フィルタでろ過した。得られたろ液をシリコンウェハ上にスピンコート法によって塗布し、厚さ約1μmの湿潤膜を形成した。スピン条件は毎分2000回転で30秒とした。
続いて、ホットプレートで100℃(90秒)次いで200℃(90秒)のプリベークを行った後、縦型炉で250℃(1時間)、窒素雰囲気下でのファイナルベークを行って硬化膜を得た。こうして得られた硬化膜に約1μLの水を滴下して接触角を測定した(撥水性評価)。また得られた硬化膜にノルマルデカンを滴下して接触角を測定した(撥油性評価)。接触角の測定は、協和界面科学社製、CA−A(製品名)を用い、25℃の条件下、液滴法で行った。
[耐熱性評価]
実施例1、2で得た真空乾燥物(樹脂粉末)を試料として用い、マックサイエンス社製、MTC1000S(製品名)を用いて熱重量分析を行った。分析条件は、室温から600℃まで1分当たり10℃の速度で昇温を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2008007764
表1の結果に示されるように、プレポリマーA、Bは耐熱性が良好であり、プレポリマーAと前駆体P2−1、プレポリマーB〜FとP2−2をそれぞれ比べると、プレポリマーA〜Fは撥油性および撥水性が大幅に向上した。
[耐アルカリ性評価]
実施例7〜13で得たプレポリマーG〜Mの真空乾燥物(樹脂粉末)を用いて硬化膜を形成した。続いて、得られた該硬化膜をアルカリ水溶液に浸漬し、浸漬前後での該硬化膜の接触角を下記の方法で測定した。測定結果を表2に示す。
実施例7〜13で得た真空乾燥物(樹脂粉末)をシクロヘキサノンに溶解させて15重量%の溶液とし、該溶液をポア径0.5μmのPTFE(四フッ化エチレン樹脂)製フィルタでろ過した。得られたろ液をガラス上にスピンコート法によって塗布し、厚さ約1μmの湿潤膜を形成した。スピン条件は毎分2000回転で30秒とした。
続いて、ホットプレートで100℃(90秒)のプリベークを行った後、縦型炉で200℃(1時間)、窒素雰囲気下でのファイナルベークを行って硬化膜を得た。こうして得られた硬化膜に約1μLの水を滴下して接触角を測定した(撥水性評価)。また得られた硬化膜にノルマルデカンおよびキシレンを滴下して接触角を測定した(撥油性評価)。接触角の測定は、協和界面科学社製、DM700(製品名)を用い、25℃の条件下、液滴法で行った。
また上記と同様の手法にて得られた硬化膜を、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した後、60℃で3日間加熱した。その後、冷却し純水で洗浄したのち室温で乾燥させ、上記と同様の手法にて接触角を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2008007764
表2の結果に示されるように、プレポリマーG〜Mはアルカリ試験前後での撥油性および撥水性が良好であり、耐アルカリ性を有していることがわかった。

Claims (15)

  1. 主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有しており、かつ下記一般式(I)
    Figure 2008007764
    [式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
    で表される側鎖を有することを特徴とする架橋性プレポリマー。
  2. 前記主鎖に、芳香環に結合している水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されているハロゲン置換芳香環を有し、前記一般式(I)で表される側鎖が、該ハロゲン置換芳香環に結合している請求項1記載の架橋性プレポリマー。
  3. 架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方と、
    下記一般式(1)
    Figure 2008007764
    [式中、nは0〜2の整数を表し;a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し;Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下の含フッ素アルキル基を表し、RfまたはRfが複数存在する場合、互いに同じであっても異なっていてもよく;芳香環内のFはその芳香環に結合している水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。]
    で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、
    フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P21)に、
    下記一般式(I)
    Figure 2008007764
    [式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
    で表される側鎖を導入してなる請求項2記載の架橋性プレポリマー。
  4. 下記一般式(1)
    Figure 2008007764
    [式中、nは0〜2の整数を表し;a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し;Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下の含フッ素アルキル基を表し、RfまたはRfが複数存在する場合、互いに同じであっても異なっていてもよく;芳香環内のFはその芳香環に結合している水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。]
    で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、
    フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P11)に、
    下記一般式(I)
    Figure 2008007764
    [式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
    で表される側鎖を導入し、
    さらに架橋性官能基を導入してなる請求項2記載の架橋性プレポリマー。
  5. 架橋性官能基の導入方法が、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方との、脱フッ化水素剤存在下に行う縮合反応である請求項4記載の架橋性プレポリマー。
  6. 主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、架橋性官能基を有し、かつ主鎖に「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」を有する前駆体(P2)と、下記一般式(II)
    Figure 2008007764
    [式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
    で表されるアルコール(Q)とを、脱フッ化水素剤の存在下に反応させることを特徴とする架橋性プレポリマーの製造方法。
  7. 前駆体(P2)として、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方と、
    下記一般式(1)
    Figure 2008007764
    [式中、nは0〜2の整数を表し;a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し;Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下の含フッ素アルキル基を表し、RfまたはRfが複数存在する場合、互いに同じであっても異なっていてもよく;芳香環内のFはその芳香環に結合している水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。]
    で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、
    フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P21)を用いる請求項6記載の架橋性プレポリマーの製造方法。
  8. 主鎖にポリアリールエーテル構造を有するポリマーであって、かつ主鎖に「フェノール性水酸基と反応しうるハロゲン原子で置換されている芳香環」を有する前駆体(P1)と、下記一般式(II)
    Figure 2008007764
    [式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
    で表されるアルコール(Q)とを、脱フッ化水素剤の存在下に反応させ、
    さらに架橋性官能基を導入することを特徴とする架橋性プレポリマーの製造方法。
  9. 前駆体(P1)として、下記一般式(1)
    Figure 2008007764
    [式中、nは0〜2の整数を表し;a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し;Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下の含フッ素アルキル基を表し、RfまたはRfが複数存在する場合、互いに同じであっても異なっていてもよく;芳香環内のFはその芳香環に結合している水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。]
    で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、
    フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させて得られる前駆体(P11)を用いる請求項8記載の架橋性プレポリマーの製造方法。
  10. 架橋性官能基の導入方法が、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方との、脱フッ化水素剤存在下に行う縮合反応である請求項8または9記載の架橋性プレポリマーの製造方法。
  11. 下記一般式(1)
    Figure 2008007764
    [式中、nは0〜2の整数を表し;a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し;Rf及びRfはそれぞれ独立に炭素数8以下の含フッ素アルキル基を表し、RfまたはRfが複数存在する場合、互いに同じであっても異なっていてもよく;芳香環内のFはその芳香環に結合している水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。]
    で表される含フッ素芳香族化合物(B)と、
    フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させる工程(S1)と、
    架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)、架橋性官能基および「フェノール性水酸基と反応しうるフッ素原子で置換されている芳香環」を有する化合物(Y−2)のいずれか一方又は両方を、脱フッ化水素剤存在下に縮合反応させ、架橋性官能基を導入する工程(S2)と、
    下記一般式(II)
    Figure 2008007764
    [式中、Rは炭素数3〜50の含フッ素アルキル基(ただし、エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)を表す。]
    で表されるアルコール(Q)を、脱フッ化水素剤の存在下に反応させ、側鎖を導入する工程(S3)と、
    を有することを特徴とする架橋性プレポリマーの製造方法。
  12. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の架橋性プレポリマーを硬化させることにより形成される硬化物。
  13. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の架橋性プレポリマーおよび溶剤を含む塗布用組成物。
  14. 請求項13記載の塗布用組成物を基材に塗布して湿潤膜を形成し、該湿潤膜中の溶剤を除去し、次いでまたは溶剤の除去と同時に、湿潤膜中の架橋性プレポリマーを硬化させることにより得られる硬化膜。
  15. 請求項14に記載の硬化膜を有する物品。
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