JP2008005750A - カツ含有食品の製造方法 - Google Patents

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Seiichi Takeuchi
誠一 竹内
Yoshikazu Kato
義和 加藤
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Katokichi Co Ltd
Ezaki Glico Co Ltd
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Katokichi Co Ltd
Ezaki Glico Co Ltd
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Abstract

【課題】
とき卵入りのつゆやカレーソース等の調味液とともにカツを加え、レトルト処理してもカツの衣の剥がれが起こらず、かつ丼やかつカツカレーらしいカツの食感、風味を維持できる食品の製造方法を提供する。
【解決手段】
カツのパン粉内周部のバッター粉配合中に澱粉含有原料を含まず、バッター粉配合中の水分を除いたたん白含有原料の占める割合を95%以上にしたことを特徴とし、さらに肉の最小一片の幅が5mm以上40mm以下、好ましくは10mm以上30mm以下で、肉に注入するピックリング液量が肉重量に対して2%から12%であることを特徴とする、とき卵入りのつゆやカレーソース等とともにカツを加え、レトルト処理した食品を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶き卵入りのつゆやカレーソースなどの調味液及びカツを含有し、気密性容器に密封包装された後、レトルト処理して製造された食品に関する。
衣を付けて油調したカツを溶き卵入りのつゆやカレーソース等の調味液とともに気密性容器に密封包装し、レトルト処理したかつ丼の素やかつカレーといった食品が市販されている。しかし、これらの食品は溶き卵入りのつゆやカレーソースからカツの衣への水分移行による膨潤で、食感が柔らかくなりすぎるなど従来のカツとはかけ離れたものになるとともに、場合によっては衣が剥がれて商品価値を損う。
衣の膨潤や衣剥がれを防止するために、(1)バッター粉として小麦粉に熱凝固性または、熱ゲル化性を有する可食性成分を混合した混合粉を用いるレトルトフライ食品の製造方法(特開昭62−91152)、(2)バッター粉として小麦粉に加工澱粉を混合した混合粉を用いるレトルトフライ食品の製造方法(特開昭62−138165)、(3)バッター粉として小麦粉、リン酸架橋澱粉および卵白粉を含有する混合粉を用いるレトルトフライ食品の製造方法(特許2730015号)が提案されているが、どのバッター粉も小麦粉などの澱粉原料を含み、レトルト処理及びレトルト処理後に溶き卵入りのつゆやカレーソースから澱粉原料へと水分の移行による膨潤が発生し、上記の文献技術でも衣の剥がれや膨潤により食感が柔らかくなりすぎるなどの劣化は解消されない。
また、バッター外周部に高蛋白含有素材を付着させるレトルトフライ食品の製造方法(特開平6−62)も提案されているが、カットした豚肉に、小麦粉などの澱粉を含むバッター粉を付けてから、その外周部にパン粉以外の植物性粒状たん白を付着させ、油調したものを溶き卵入りのつゆやカレーソースなどとともにレトルト処理すると、衣に含まれる澱粉原料への水分移行による膨潤で食感が柔らかくなりすぎることは幾分改善されるが、植物性粒状たん白を使用した場合、溶き卵入りのつゆやカレーソースへ植物性粒状たん白特有の風味が浸透し、消費者が期待するかつ丼の素やかつカレーといったとんかつ含有食品には到達していない。
市販の冷凍やチルドのカツの中で代表的な「とんかつ」は豚肉の肉質を柔らかくするために、豚肉にピックリング液を注入しているが、豚肉に対するその割合が高すぎると、レトルト処理したものは肉質が柔らかくなり、歯ごたえがなくなる。また、ピックリング量を減らせば減らすほど、とんかつとしての食感は残るが、レトルト後の保水性が落ちるために、油調した際、豚肉からの水分で衣が膨らみ、衣が剥がれやすくなる。
特開昭62−91152公報 特開昭62−138165公報 特許2730015号公報 特開平6−62公報
本発明が解決しようとする課題は、カツを溶き卵入りのつゆやカレーソース等の調味液とともにレトルトパウチに充填し、レトルト処理を行っても、衣剥がれがおこらず、調味液からの水分移行による衣の膨潤を最小限に押さえ、肉類の良好な食感を保つかつ丼の素やかつカレーなどの液及びカツを含有した食品の製造方法を提供する。
上記の課題を達成すべく鋭意研究を行なった結果、たとえば、肉類の中で代表的な豚肉の場合、(1)とんかつのバッター粉に小麦粉などの澱粉含有原料を配合せずに、とんかつのパン粉内周部のバッター粉の配合中に、水分を除いたたん白含有原料の占める割合を95%以上にしたバッター粉を使用する。(2)保水性を保つためのピックリング液を豚肉に対して2〜12%の割合で注入する。(3)とんかつの豚肉の最小一片の厚みを5mm以上40mm以下、好ましくは10mm以上30mm以下のものを使用することで、溶き卵入りのつゆやカレーソースとともにレトルト処理を行っても、衣剥がれが起こらず、液からの水分移行による衣の膨潤を最小限に押さえ、とんかつらしい豚肉の良好な食感を保つ加工食品を製造する方法を見出した。
本発明において、肉類とは豚肉、鶏肉、牛肉等の鳥獣類の肉および、まぐろ、鯨などの赤身の魚肉をいう。
本発明によれば、調味液とともにカツを加えてレトルト処理を行っても、衣剥がれが起こらず、液からの水分移行による衣の膨潤を最小限に押さえ、カツらしい肉の良好な食感を保つ加工食品を提供することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明において用いられる肉の部位としては、例えば豚肉であれば肩、肩ロース、ロース、ヒレ、そともも、ばら、ももがあるが、特にその部位を制限するものではない。他の肉においても同様である。
肉の最小一片の厚さが5mm以下の場合、レトルト処理した際の加熱による肉への影響が大きく、食感を損なうものなので好ましくない。また、最小一片の厚さが40mm以上の場合、通常の内容量50ml〜300mlのレトルト用気密性容器に収容しにくくなるばかりか、レトルト処理中の中心部への熱伝達率が遅延し、長大な殺菌時間が必要になり、調味液の劣化が大きく好ましくない。従って、肉の最小一片の厚さは5mm以上40mm以下、好ましくは10mm以上30mm以下が望ましい。
肉の保水力を高め、肉質を好ましいものにするため用いられるピックリング液としては、例えば、ポリリン酸塩や炭酸水素塩などのpH調整剤、なたね油、コーン油、ラード、牛脂などの食用動植物油脂、小麦たん白、大豆たん白、卵白、乳たん白などの動植物性たん白、食塩、砂糖、香辛料、調味料、乳化剤などを1種または複数種を組み合わせて水に分散・溶解・乳化したものを使用するが、その種類を制限するものではない。
ピックリング液を肉に注入する方法は、一般的に剣山状に並んだ鋭利な注射針状装置で注入する方法、タンブラーと呼ばれる回転容器内でピックリング液と肉をなじませる方法などが挙げられるが、その方法を特に限定するものではない。
ピックリング液を肉重量に対して12%以上注入した場合、レトルト処理した際に、肉が柔らかくなりすぎ、食感を損なうものであり好ましくない。ピックリング液を肉重量に対して2%以下で注入した場合、肉の保水力が低下し、油調後に肉から衣へ水分が移行し、肉と衣の間に空間ができ、調味液とともにカツを入れてレトルト処理を行うと衣剥がれが発生し好ましくない。ピックリング液を肉重量に対して2〜12%の範囲で注入した場合、レトルト処理した際に衣剥がれが起こりにくく、肉の良好な食感を保つレトルト適性のある加工食品を提供することができる。
本発明において用いられる打ち粉としては、例えば、小麦粉、澱粉、卵白粉、食塩、香辛料、調味料などを一種または複数種を組み合わせて用いられるが、その種類を特に制限するものではない。
本発明において用いられるバッター粉としては、たん白含有原料として例えば卵白粉、小麦たん白、大豆たん白などの動植物性たん白類、グアーガム、キサンタンガムなどの増粘剤、その他に食塩、香辛料、調味料などが挙げられる。バッター粉の配合に含まない澱粉含有原料としてたとえば小麦粉、タピオカでん粉、コーンスターチ、ばれいしょでん粉などの澱粉類やそれらのリン酸架橋などの化学的修飾品が挙げられる。
カツのパン粉内周部のバッター粉の配合中には、澱粉含有原料を含まないことが好ましく、さらに配合中の水分を除いたたん白含有原料の占める重量割合を95%以上にすることが好ましい。バッター粉に澱粉含有原料を含む場合、またはバッター粉配合中の水分を除いたたん白含有原料の占める重量割合が95%未満の場合、レトルト処理による水分移行がおこり、衣の膨潤がおこる。
本発明において用いられるパン粉は、例えば小麦粉、粉末状分離小麦たん白、粒状小麦等の小麦たん白加工品、たらのすり身のような魚肉加工品、乾燥全卵、乾燥卵白などの卵たん白加工品を用いてパン粉としたものが挙げられるが、大豆たん白加工品のみを使用した場合、その風味特性から大豆の風味が調味液に浸透し、厚揚げ、がんもどき様の食品となり好ましくない。
本発明において用いられる油調用の揚げ油としては、例えば、大豆油、なたね油、パーム油が挙げられるが、その種類を制限するものではない。
以下に実施例を挙げる。
(実施例1)
表1に示す重量配合でとんかつを作成し、揚げ油になたね油を用いて油調した。油調条件としては160〜185℃で、とんかつの中心温度が75℃以上1分間保持できる油調時間でとんかつを揚げた。バッター粉に含まれるたん白含有原料は小麦たん白と乾燥卵白粉であり、水分を除いた配合率は98.6%である。表2に示す配合で溶き卵入りのつゆを作り、溶き卵入りのつゆ140g、とんかつ40g、たまねぎ30gをレトルトパウチに充填し、121℃、30分のレトルト処理を行い、レトルトかつ丼を作成した。
(表1)とんかつ
Figure 2008005750
(表2)
Figure 2008005750
上記レトルト食品を35℃で2週間保管し、熱湯で温め評価したところ、とんかつの衣剥がれが起こらず、衣の膨潤もほとんど見られず、肉の食感も従来のとんかつと同じで風味良好なかつ丼を得られることができた。
(実施例2)
表1に示す配合でとんかつを作成し、揚げ油になたね油を用て油調した。油調条件としては160〜185℃で、とんかつの中心温度が75℃以上1分間保持できる油調時間でとんかつを揚げた。そして、表3に示す配合でカレーソースを作り、カレーソース140g、とんかつ40g、たまねぎ30gをレトルトパウチに充填し、121℃、30分のレトルト処理を行い、かつカレーを作成した。
(表3)
Figure 2008005750
上記レトルト食品を35℃で2週間保管し、熱湯で温め評価したところ、とんかつの衣剥がれが起こらず、衣の膨潤もほとんど見られず、肉の食感も従来のとんかつと同じで風味良好なかつカレーを得られることができた。
(比較例1)
表4に示す重量配合でとんかつを作成し、揚げ油になたね油を用いて油調した。油調条件としては160〜185℃で、とんかつの中心温度が75℃以上1分間保持できる油調時間でとんかつを揚げた。バッター粉に含まれるたん白含有原料は小麦たん白と乾燥卵白粉であり、水分を除いた配合率は98.6%である。表2に示す配合で溶き卵入りのつゆを作り、溶き卵入りのつゆ140g、とんかつ40g、たまねぎ30gをレトルトパウチに充填し、121℃、30分のレトルト処理を行い、レトルトかつ丼を作成した。
(表4)とんかつ
Figure 2008005750
上記レトルト食品を35℃で2週間保管し、熱湯で温め評価したところ、とんかつの衣剥がれがやや見られ、衣の膨潤も見られ、見栄え、食感とも満足なものを得られることができなかった。

Claims (3)

  1. 溶き卵入りのつゆやカレーソースなどの調味液及びカツを含有し、気密性容器に密封包装された後レトルト処理して製造された食品であって、カツのパン粉内周部のバッター粉の配合中に澱粉含有素材を含まず、配合中の水分を除いたたん白含有素材が占める割合が95%以上であることを特徴とするカツ含有食品の製造方法。
  2. カツがとんかつであることを特徴とする請求項1記載のカツ含有食品の製造方法。
  3. カツに内包された肉類の最小一片の幅が5mm以上40mm以下、好ましくは10mm以上30mm以下で、保水力を高めるために肉類に注入するピックリング液の量が肉類に対して2〜12%であるカツを使用した請求項1または請求項2記載のカツ含有食品の製造方法。
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