JP2008005612A - 風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機 - Google Patents

風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機 Download PDF

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Abstract

【課題】 風速が増して風力が増大しても回転子が過回転状態となることを防止し、短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキを併用して効率よく回転子の回転を抑制できる風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機を提供する。
【解決手段】 回転子の回転を抑制する短絡ブレーキを行い、この状態で、回転子に連結された回転板の回転を磁力により抑制する電磁摩擦ブレーキを行う風力発電機の回転子のブレーキ制御方法であって、短絡ブレーキ及び電磁摩擦ブレーキを、風力から定まるパラメータをもとに作動させる。
【選択図】 図3

Description

この発明は、短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキを用いた風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機、好ましくは小型、あるいはマイクロ風車における風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機に関するものである。
風力発電機(風車)は、風力によるエネルギーを発電機を用いて電気エネルギーに変換するものである。このときの電流は、発電機内に備わる固定子に対し、回転子を回転させることにより発生する。風力発電機には、この回転子と直接又は間接的に接続されて回転し、プロペラ状に形成された複数枚のブレードが備わる。風力発電機による発電は、このブレードが風力で回転することによって回転子を回転させ、固定子との間に発生している磁束を切ることにより行われる。風速が増して風力が増大し、このブレードが過回転状態になると、このブレードと連結された回転子も過回転状態となり、多量の電流により発電機が破損するおそれがある。
この過回転防止方法として、ファーリング、弾性ブレードによるストール制御が挙げられる。ファーリングは、風速の増加に伴い、その風力を利用して風車受風部を側方に向けるものである。ストール制御は、ブレードのピッチ角は固定して、風速が一定以上になるとブレードの形状の空気特性により、失速現象を起こさせて出力を制御するものである。しかし、ファーリングによる制御は、市街地等、急激な風速、風向変動が起こる場合、制御がきかないおそれがある。ストール制御については、ブレードが失速することによる制御であるため、大きな騒音や振動が発生するおそれがある。
このため、近年では、機械的可動部を設ける必要がなく、騒音や振動のおそれも少ない短絡ブレーキが利用されている。この短絡ブレーキは、発電機の回路を短絡させ、回生電流により回転負荷を増大させて回転子の回転を抑制するものである。しかし、風速が増して風力がさらに増大した場合、短絡ブレーキの抑制力よりもブレードの回転力が勝ってしまい、再びブレードの回転数が上昇する。このとき、発電機は短絡しているため、ブレードが過回転状態となるとコイルの許容電流を超え、発電機用のコイル自体が発熱し、やがて燃焼してしまう。
このような事態を回避するため、過大な起電力を有する発電機を用いて対応している。このような発電機を用いれば、短絡ブレーキ時に過大な回生電流を発生させることができ、風力が増しても回転子の回転を抑制する効果が期待できる。しかし、この方法では、通常の電力使用においては発電能力の数%のみを使用し、短絡ブレーキ時だけ100%用いることになるため、資源の無駄であり、また発電機自体が大きくなりそのためのスペースが必要となる。したがって、このような過大な発電機を短絡ブレーキのためだけに用いることは現実的に好ましいことではない。また、短絡ブレーキのみを用いて回転子のブレーキ制御を行った場合、当該発電機が備えている能力以上の制御を行うことはできない。
このような短絡ブレーキを用いた風力発電装置が特許文献1に記載されている。この風力発電装置は、不測の事態によってロータ(ブレード)を停止させる必要が生じたときに、電力供給先を切り替えて短絡させることにより、ロータに電気的な制動力を負荷するものである。また、補助的なブレーキとして油圧式の制動装置を備えている。しかし、油圧式の制動装置の小型化には限界があり、やはり風力発電装置としては大型であり、設置場所が限られる。また、短絡によるブレーキと油圧式の制動装置によるブレーキをどのような順番、及びタイミングで作動させるかの記載も示唆もない。したがって、風力に応じた効率のよい短絡ブレーキとその他のブレーキ(特許文献1では油圧式ブレーキ)の使用を実現できるものではない。
一方、コイルが埋め込まれた固定部と板バネに取付けられた回転板で構成された電磁摩擦ブレーキが知られている。この電磁摩擦ブレーキは、コイルに通電すると回転板と固定部との間に磁束を生じ、回転板が固定部に吸引されることで、回転板が取付けられた回転体(回転子)にブレーキをかけるものである。この電磁摩擦ブレーキは、多くの回転体のブレーキとして利用されているが、磁束の発生とともに急激に回転板を停止するため、強風時に回転板が高速回転している場合、衝撃荷重によってブレードおよびその他回転子が破損するおそれがある。
また、電磁摩擦ブレーキは、静的な制動力に比べ、動的な制動力は低くなる。この傾向は回転数が大きいほど顕著になる。このため、電磁摩擦ブレーキを上述した過回転状態での回転子に適用してブレーキをかけることは困難であり、適用するにしても、静的制動時に比べて、より大きな容量の電磁摩擦ブレーキが必要になり、風力発電機の大型化を促進してしまう。
以上より、短絡ブレーキのみ、あるいは電磁摩擦ブレーキのみでは、適切かつ効率のよい風力発電機の回転子のブレーキ制御を行うことは困難である。
特開2002−315395号公報
この発明は上記従来技術を考慮したものであって、風速が増して風力が増大しても回転子が過回転状態となることを防止し、短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキを併用して効率よく回転子の回転を抑制できる風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機の提供を目的とするものである。
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、発電機の回路を短絡して回生電流を生じさせ、回転子の回転を抑制する短絡ブレーキを行い、この状態で、上記回転子に連結された回転板の回転を磁力により抑制する電磁摩擦ブレーキを行う風力発電機の回転子のブレーキ制御方法であって、上記短絡ブレーキ及び上記電磁摩擦ブレーキを、風力から定まるパラメータをもとに作動させることを特徴とする風力発電機の回転子のブレーキ制御方法を提供する。
また、請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記風力から定まるパラメータは、風力を受けて回転するブレードの回転方向の先端速度と、実際の風の風速との比により求まる周速比であることを特徴としている。
また、請求項3の発明では、請求項1の発明において、上記風力から定まるパラメータは、上記発電機に接続された電流計により定まる電流値、又は上記回転子の回転数であることを特徴としている。
また、請求項4の発明では、短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキとを有する風力発電機であって、上記短絡ブレーキは、風力を受けて回転するブレードによって回転する回転子と、固定子と、回生電流を生じさせることができる短絡回路からなり、上記電磁摩擦ブレーキは、上記回転子に連結される回転板と、当該回転板を磁力により連結可能な固定部とからなる請求項1〜3のいずれかに記載の風力発電機の回転子のブレーキ制御方法に用いる風力発電機を提供する。
さらに、請求項5の発明では、回転子と固定子とを有し、発電機の回路を短絡することにより生じる回生電流を用いた短絡ブレーキと、上記回転子に連結され、当該回転子とともに回転する回転板と、当該回転板を磁力により連結可能な固定部とを備えた電磁摩擦ブレーキを備えたことを特徴とする風力発電機を提供する。
請求項1の発明によれば、まず短絡ブレーキを行ってある程度回転子の回転数を減少させることができるので、静的な制動力が高い電磁摩擦ブレーキを高効率で使用できる。また、ブレードおよびその他回転子への衝撃力を緩和することができるので、ブレード及びその他回転板の破損を防止できる。また、電磁摩擦ブレーキの容量を小さくすることができるので、風力発電機の小型化にも寄与することができる。さらに、短絡ブレーキ及び電磁摩擦ブレーキは風力から定まるパラメータをもとに作動させるため、最適なブレーキの負荷率で回転子の制動を行うことができ、安定した電力発電を行うことができるとともに、装置の寿命の長期化に貢献できる。また、電磁摩擦ブレーキを作動させる際の消費電力も軽減できる。
請求項2の発明によれば、ブレードの回転方向の先端速度と風速との比で求まる周速比をもとにして、短絡ブレーキ及び電磁摩擦ブレーキを作動させるため、最適なブレーキタイミングで回転子の制動動作を行うことができる。また、この周速比を基準とすれば、発電機による電流値及びブレードの回転数を総合的に判断できるため、効率がよい。
請求項3の発明によれば、発電機に接続された電流計により定まる電流値、又は回転子の回転数をもとにして、短絡ブレーキ及び電磁摩擦ブレーキを作動させるため、最適なブレーキタイミングで回転子の制動動作を行うことができる。
請求項4の発明によれば、短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキを備えたことにより、まず短絡ブレーキを行ってある程度回転子の回転数を減少させることができるので、静的な制動力が高い電磁摩擦ブレーキを高効率で使用できる。このため、ブレードおよびその他回転子への衝撃力を緩和することができるので、破損を防止できる。また、電磁摩擦ブレーキの容量を小さくすることができるので、風力発電機の小型化にも寄与することができる。さらに、短絡ブレーキ及び電磁摩擦ブレーキは風力から定まるパラメータをもとに作動させるため、最適なブレーキの負荷率で回転子の制動を行うことができ、安定した電力発電を行うことができるとともに、装置の寿命の長期化に貢献できる。また、電磁摩擦ブレーキを作動させる際の消費電力も軽減できる。
請求項5の発明によれば、短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキを備えるため、まず短絡ブレーキを行ってある程度回転子の回転数を減少させることができるので、静的な制動力が高い電磁摩擦ブレーキを高効率で使用できる。このため、ブレードおよびその他回転子への衝撃力を緩和することができるので、破損を防止できる。また、電磁摩擦ブレーキの容量を小さくすることができるので、風力発電機の小型化にも寄与することができる。
この発明は、発電機の回路を短絡して回生電流を生じさせ、回転子の回転を抑制する短絡ブレーキを行い、この状態で、上記回転子に連結された回転板の回転を磁力により抑制する電磁摩擦ブレーキを行う風力発電機の回転子のブレーキ制御方法であって、上記短絡ブレーキ及び上記電磁摩擦ブレーキを、風力から定まるパラメータをもとに作動させることを特徴とする風力発電機の回転子のブレーキ制御方法及び風力発電機である。
図1はこの発明に係る風力発電機の概略構成図である。
風力発電機1には、短絡回路2と電磁摩擦ブレーキ部材3が接続される。風力発電機1の出力側には、交流から直流に変換する整流回路5が接続され、通常の発電を行う場合、当該整流回路5で直流にしてCPU6を介してバッテリー7に充電(蓄電)される。上記風力発電機1と整流回路5との間に、短絡リレーからなる上記短絡回路2が設けられている。短絡ブレーキを行う場合、短絡リレーに備わるスイッチ8を閉じて短絡回路2を短絡させる。これにより発生する回生電流を風力発電機1に作用させて行われる。電磁摩擦ブレーキを行う場合、スイッチ9により上記電磁摩擦ブレーキ部材3を作動させて風力発電機1に作用することにより行われる。CPU6は、風力発電機1に備わるブレードの回転数や、電流計10等の値を総合的に判断して、上記短絡回路2のスイッチ8をオンにし、また電磁ブレーキ部材3のスイッチ9をオンにして短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキの制御を行う。
図2はこの発明に係る風力発電機の断面図である。
図示したように、風力発電機1には、風力によりシャフト11の軸廻りに回転するプロペラ状のブレード12が複数枚(図では1枚)備わる。シャフト11は外周のベアリング13を介してハウジング17に支持されている。ハウジング17の内側には、コイル等からなる固定子14が取付けられる。シャフト11には、シャフト11とともに回転する磁石等からなる回転子16が備わる。これにより、ブレード12が風力を受けて回転すれば、その回転はシャフト11を介して回転子16に伝達される。風力発電機1による発電は、ブレード12が風力で回転することによってこれに連結された回転子16を回転させ、固定子14との間に発生する磁束を切ることにより行われる。
風力発電機1の前側には、電磁摩擦ブレーキ部材3が備わる。電磁摩擦ブレーキ部材3は、ハウジング17に備わるフランジ15に固定されたコイルを内蔵した固定部20と、シャフト11とともに回転する回転板22で構成される。回転板22は、シャフト11に固定されたフランジ18に対し、板バネ21を介してフランジ18側に付勢されて取付けられる。固定部20にはアーマチュア19が備わり、回転板22にはライニング24が備わる。固定部20及び回転板22は、カバー材23で覆われる。電磁摩擦ブレーキを用いて回転子16の回転を抑制する場合、上記スイッチ9(図1参照)により固定部20内に形成されたコイル(図示省略)に通電する。これにより、固定部20と回転板22の間に磁束が生じ、回転板22が固定部20に吸引される。これにより、ライニング24とアーマチュア19が接触し、この摩擦力により、シャフト11の回転を抑制する。
なお、図では電磁摩擦ブレーキ部材3を風力発電機1の前側に取付けた例を示したが、後側に取付けてもいいし、シャフト11の回転を抑制できる位置であれば、どこに取付けてもよい。また、風力発電機1は、図で示したインナーロータ型だけでなく、アウターロータ型や同期発電機、誘導発電機等、どのような構造の発電機でもよい。
図3はこの発明に係る風力発電機の回転子のブレーキ制御方法のフローチャート図である。
ステップS1:
風車による風力発電を行う。このとき、風力発電機には短絡ブレーキも電磁摩擦ブレーキも作用させていない。
ステップS2:
風力発電機による発電によりバッテリーを充電(蓄電)する。これにより風力を利用した電力を有効に利用することができる。
ステップS3:
風力発電機による発電電流が所定電流以上か否かを、発電機に備わる電流計等により判断する。以下であればステップS2に戻り、そのまま充電を行う。
ステップS4:
発電電流が所定電流以上の場合、このまま電流が上昇すると回転子が過回転状態に陥る可能性があると判断し、短絡ブレーキを開始して回転子の回転を制御する。この短絡ブレーキは、徐々に回生電流を増加させるように行ってもよい。すなわち、インピーダンスの配分を変化させながらブレーキ動作中にも電流を取り続けてバッテリーに充電することも可能である。
ステップS5:
短絡ブレーキにより発生する回生電流が、所定電流以下か否かを判断する。
ステップS6:
回生電流が所定電流以下の場合、十分に回転子の回転を抑制でき、回転子が過回転状態に陥る状況は脱したと判断し、短絡ブレーキを解除する。この後、ステップS2に戻り、バッテリー充電を行う。
ステップS7:
回生電流が所定電流以上か否かを判断する。以上ではない場合、ステップS5に戻る。
ステップS8:
回生電流が所定電流以上の場合、短絡ブレーキのみでは回転子の回転を抑制できないと判断し、短絡ブレーキを作動させた状態で、電磁摩擦ブレーキを作動させる。このとき、電磁摩擦ブレーキの電源は、発電機により充電されたバッテリーあるいは外部電源から供給される。
ステップS9:
設定時間経過後、電磁摩擦ブレーキを解除する。この後、回転子がまだ過回転状態に陥る状況であるか否かを判断するため、短絡ブレーキを作動させたままのステップS5に戻る。過回転状態に陥る状況であれば、回生電流が所定電流以上を示すため、再び電磁摩擦ブレーキを作動させ、ステップS7、ステップS8を繰返す。過回転状態に陥る状況を脱しているならば、回生電流が所定電流以下であるため、短絡ブレーキを解除し(ステップS6)、通常の発電状態に戻る(ステップS2)。
上述した例では発電電流をもとに短絡ブレーキ制御を行い、回生電流をもとに電磁摩擦ブレーキの制御を行うものを示したが、これらの制御の判断は、電流値だけでなく、ブレード(図2参照)の回転数、又はブレードの周速比をもとにして行ってもよい。また、これらのパラメータを組合わせて総合して判断してもよい。なお、周速比とは、風力を受けて上記回転子と同軸で回転するブレードの回転方向の先端速度と、実際の風の風速との比から求まる値である。
このように、この発明では、電磁摩擦ブレーキを行う前に、まず短絡ブレーキを行ってある程度回転子の回転数を減少させるので、静的な制動力が高い電磁摩擦ブレーキを高効率で使用できる。このため、電磁摩擦ブレーキ部材に備わるブレードおよびその他回転子への衝撃力を緩和することができるので、破損を防止できる。また、電磁摩擦ブレーキの容量を小さくすることができるので、風力発電機の小型化にも寄与することができる。したがって、特に小型、あるいはマイクロ風車に好適に使用できる。さらに、短絡ブレーキ及び電磁摩擦ブレーキは風力から定まる周速比や電流値、あるいはブレードの回転数等のパラメータをもとに作動させるため、最適なブレーキの負荷率で回転子の制動を行うことができ、安定した電力発電を行うことができるとともに、装置の寿命の長期化に貢献できる。また、電磁摩擦ブレーキを作動させる際の消費電力も軽減できる。
言い換えると、この発明は、比較的風速が低いときは、通常の短絡ブレーキを行い、それ以上の風速が発生した場合、短絡ブレーキに追加する形で電磁摩擦ブレーキを行う。この方法であれば、電力を必要としない短絡ブレーキで制御する頻度を多くすることができ、全体としての消費電力を軽減できる。また、電磁摩擦ブレーキを行うときの回転子の回転数は、短絡ブレーキにより抑えられていることから、比較的低速回転で電磁摩擦ブレーキを行うことができる。したがって、電磁摩擦ブレーキを行ったときの急停止による衝撃力の低減が図れ、まだ動摩擦トルクによる電磁摩擦ブレーキの制動力低下も抑えることができる。
また、短絡ブレーキは回転数が高いほど回生電流が増加し制動力は上がる。電磁摩擦ブレーキは回転数が低いほど制動力が上がる。このように、お互いのブレーキは相互補完関係にあるといえる。すなわち、電磁摩擦ブレーキの欠点である動的特性における定格の低下分は、予め行う短絡ブレーキの定格の補完で補うことができる。したがって、この発明が示すような、まず短絡ブレーキを行って回転数を下げて、この後電磁摩擦ブレーキを用いることは、電磁摩擦ブレーキの容量を小さくすることができ、ブレーキシステムのコンパクト化に寄与できる。
図4(A)は、この発明のブレーキ制御における電流と風速の関係を示すグラフ図であり、(B)は、ブレードの回転数と風速の関係を示すグラフ図である。
(A)に示すように、風速が高まると、回転子が高速回転するため、電流値が上昇する。このまま上昇すると発電機が損傷するため、所定電流の位置で短絡ブレーキを行う(図のK点)。すると、回転子の回転が抑制されるため、電流値も下降する。しかし、この状態でさらに風速が増してくると、短絡ブレーキの抑制力よりもブレードの回転力が勝ってしまい、再びブレードの回転数が上昇する。これに伴い、再び電流値も上昇する。所定電流値になると、電磁摩擦ブレーキを行う(図のM点)。これにより、回転子の回転が制御される。
(B)も(A)と同様であり、風速が高まるとブレードの回転数が上昇する。これに伴い回転子の回転も上昇するため、所定回転数で短絡ブレーキを行う(図のK点)。すると回転数は減少する。しかし、さらに風速が増してくると、回転数も徐々に上がってくる。しかし、短絡ブレーキを行っているため、回転数の上昇は緩やかである。所定回転数になったら、電磁摩擦ブレーキを行う(図のM点)。これにより、回転子の回転が制御される。これらの短絡ブレーキ、電磁摩擦ブレーキを行うタイミングは、風力発電機の大きさやブレードの形状等により適宜変更して行われる。
図5(A)は、風力発電機の出力係数と周速比の関係を示すグラフ図であり、(B)は、トルク係数と周速比の関係を示すグラフ図である。
図示したように、出力係数及びトルク係数ともに、周速比が所定値を超えると、突然増大する傾向を示す。ここで、出力係数とは、風の持つパワーからどれだけ出力が得られるかを表す指標であり、トルク係数とは、この値に周速比を割ったものである。これらの値が増大するということは、回転子の回転を抑制するのにより強い力が必要であることを示す。これらの値が突然増大する周速比は、ブレードの大きさや形状等で異なるが、一般的には、0.7〜2.0の間である。すなわち、出力係数及びトルク係数が突然増大する少し手前(図の一点鎖線)で電磁摩擦ブレーキを開始して回転子の回転制御を行う。これにより、小さな容量のブレーキで回転子の回転を抑制することができる。
この発明は、種々の風力発電機のブレーキ制御方法として適用できる。
この発明に係る風力発電機の概略構成図である。 この発明に係る風力発電機の断面図である。 この発明に係る風力発電機の回転子のブレーキ制御方法のフローチャート図である。 (A)は、この発明のブレーキ制御における電流と風速の関係を示すグラフ図であり、(B)は、ブレードの回転数と風速の関係を示すグラフ図である。 (A)は、風力発電機の出力係数と周速比の関係を示すグラフ図であり、(B)は、トルク係数と周速比の関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1:風力発電機、2:短絡回路、3:電磁摩擦ブレーキ部材、5:整流回路、6:CPU、7:バッテリー、8:スイッチ、9:スイッチ、10:電流計 、11:シャフト、12:ブレード、13:ベアリング、14:固定子、15:フランジ、16:回転子、17:ハウジング、18:フランジ、19:アーマチュア、20:固定部、21:板バネ、22:回転板、23:カバー材、24:ライニング

Claims (5)

  1. 発電機の回路を短絡して回生電流を生じさせ、回転子の回転を抑制する短絡ブレーキを行い、
    この状態で、上記回転子に連結された回転板の回転を磁力により抑制する電磁摩擦ブレーキを行う風力発電機の回転子のブレーキ制御方法であって、
    上記短絡ブレーキ及び上記電磁摩擦ブレーキを、風力から定まるパラメータをもとに作動させることを特徴とする風力発電機の回転子のブレーキ制御方法。
  2. 上記風力から定まるパラメータは、風力を受けて回転するブレードの回転方向の先端速度と、実際の風の風速との比により求まる周速比であることを特徴とする請求項1に記載の風力発電機の回転子のブレーキ制御方法。
  3. 上記風力から定まるパラメータは、上記発電機に接続された電流計により定まる電流値、又は上記回転子の回転数であることを特徴とする請求項1に記載の風力発電機の回転子のブレーキ制御方法。
  4. 短絡ブレーキと電磁摩擦ブレーキとを有する風力発電機であって、
    上記短絡ブレーキは、風力を受けて回転するブレードによって回転する回転子と、固定子と、回生電流を生じさせることができる短絡回路からなり、
    上記電磁摩擦ブレーキは、上記回転子に連結される回転板と、当該回転板を磁力により連結可能な固定部とからなる請求項1〜3のいずれかに記載の風力発電機の回転子のブレーキ制御方法を用いる風力発電機。
  5. 回転子と固定子とを有し、発電機の回路を短絡することにより生じる回生電流を用いた短絡ブレーキと、
    上記回転子に連結され、当該回転子とともに回転する回転板と、当該回転板を磁力により連結可能な固定部とを備えた電磁摩擦ブレーキを備えたことを特徴とする風力発電機。
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