JP2008003405A - 素子基板作製用基板、液晶素子、液晶表示装置および、素子基板の製造装置 - Google Patents

素子基板作製用基板、液晶素子、液晶表示装置および、素子基板の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が高い無機配向膜を用いた液晶素子において、高品位な画像を表示する素子基板を作製するための基板及び液晶素子を提供する。
【解決手段】液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する一対の素子基板の作製に用いる基板であって、前記一対の素子基板の少なくとも一方は一枚の基板上に複数個形成され、該基板から素子基板の大きさに切り出すことによって作製され、該切り出し前の基板における複数個の素子基板は互いに平行または直交と異なる所定の角度で配置されている基板。上記の基板を用いて作製された、液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する素子基板。上記の素子基板を用いて製造された液晶素子。
【選択図】図6

Description

本発明は、素子基板の作製用基板、該素子基板を用いた液晶素子、液晶表示装置及び該素子基板を作製するための素子基板製造装置に関する。
現在、液晶表示装置は広く実用化されており、今後ますます普及が促進されるものと考えられている。そして、このような液晶表示装置としては、液晶素子をそのままのサイズで観測する直視型と、拡大光学系を用いて液晶素子のサイズよりも大きな画像を観測できる投射型とに分類することができる。
ここで、投射型液晶表示装置は容易に大画面表示を実現できることから、スクリーンの前面から投射するフロントプロジェクターやスクリーンの背面から投射するリアプロジェクターとして、広く利用されている。なお、この投射型液晶表示装置では、液晶素子として透過型液晶素子や反射型液晶素子が用いられている。
ところで、このような投射型液晶表示装置では、極めて強い光を液晶素子に照射することによって、スクリーンへ投射した時に実用的な明るさを得ることができるようになっているが、このように強い光を照射すると、液晶素子が劣化し、寿命が短くなるという課題があった。
つまり、投射型液晶表示装置では、強い光を連続照射すると液晶素子の電圧保持率が徐々に低下するなどの劣化現象が生じ、これに伴い初期に得られていた表示品位が徐々に低下し、やがて正常な表示ができなくなるという課題があることが明らかにされてきた。
そこで、このような課題を解決するための方法として、配向膜として、従来広く用いられてきたポリイミドなどの有機高分子ではなく、無機材料からなる配向膜を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、特許文献1によると、有機配向膜は本質的に耐光性が悪いことから、有機配向膜の代わりに無機配向膜を用いることによって耐光性を確保でき、その結果、強い光が照射されることによる表示品位の低下現象を抑制することができる。
この無機配向膜の代表的な成膜法が斜方蒸着法と呼ばれる方法であり、この斜方蒸着法とは1970年代から広く知られている液晶分子の配向制御方法である。この斜方蒸着法では無機蒸着材料として酸化ケイ素が用いられる。この斜方蒸着法においては、蒸着源である酸化ケイ素(以下、SiOxと記す)を、真空雰囲気下において、高温に加熱したり、電子ビームを照射したりすることによってSiOx分子が蒸発し、このSiOx分子が被蒸着基板へと到達して堆積することによって柱状のSiOx(以下、カラムと言う)が成長するようになっている。
ここで、このプロセスはあたかも点光源から放射した光と同様に、点源から蒸着物が放出される方式であるために、カラムは点源に向かって成長する。これにより、有限の面積を有する被蒸着基板上においてカラムの成長方向が面内で一定とならず、連続的に方向を変えるように形成される。
つまり、この斜方蒸着法では、カラムの成長方向が面内で一定とならず、連続的に分布を持ちながら形成される。このため、一つの基板に成膜したものを複数個切り出して素子として用いる場合に、異なる素子との間では必然的にばらつきを有して形成される。一方、例えば数ミクロン角という一つの画素の中では、ほぼ同じ方向を向いて配向するので画素内での特性分布はほとんど問題になることはない。また例えば一つの液晶素子の対角の両端での特性に関して、蒸着源と基板との距離及び素子基板の大きさにも依存するが、投射型液晶表示装置に用いる液晶素子は一般に対角25.4mm(1インチ)以下と小さいため、ばらつきの影響は軽微である。したがって斜方蒸着法では素子間ばらつきが主たる問題となる。
特開平08−136932号公報
図1は斜方蒸着の様子を模式的に表した模式図である。図1に示すとおり、点源5から発せられた蒸着物が基板1の面に到達する際に、基板面上では蒸着角度に分布を有することは明らかである。これにより、上述したカラムの成長方向は一定とならず、その結果として液晶分子を配向させたときに、その配向方位に分布を生じる。図2はその分布の様子を模式的に表した図である。22は配向方位の分布を模式的に表しているが、基板の左側22aでは反時計回りに、右側22bでは時計回りに配向方位がずれている。
一般的な液晶素子の素子基板の作製プロセスでは、基板上には素子基板が複数形成され、かつ各素子基板は整然と配置されている。ここではその一例として、図3に基板31上に9個の素子基板34が形成される例を示す。図3(a)はシリコンウェハ31上に複数の素子基板34が形成されている模式図であり、図3(b)はガラス基板32上に素子基板34が形成されている模式図である。シリコンウェハ上には少なくとも画素回路および反射電極が形成されており、ガラス基板上には少なくとも透明電極が設けられている。以下、本発明の説明では、これらシリコンとガラスとを組み合わせた反射型液晶素子、いわゆるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を例に挙げて説明を行う。なおこの説明をもとに、ガラス同士を組み合わせた透過型液晶素子、もしくは半透過型液晶素子に応用することは容易であるため、これらに関しては省略し、LCOSに絞って説明を行う。
図3(a)において、左からA列、B列、C列とする。B列ではカラム成長方向33は正しく12時の方向に形成されるが、A列では反時計回りに、C列では時計回りにずれた方向に形成される。同様に図3(b)において、左からa列、b列、c列としたとき、b列ではカラム成長方向は正しく12時の方向に形成されるが、a列では反時計回りに、c列では時計回りにずれた方向に形成される。つまりBおよびb列では基板の短辺と平行にカラムが形成されるが、その他の位置ではずれた方向に形成される。
ここで、シリコン素子基板とガラス素子基板とを反平行に重ね合わせて液晶セルを作製しようとするとき、例えばA列のシリコン素子基板とa列のガラス素子基板とを重ねてセルを作製すると、上下のカラム成長方向は互いに平行もしくは反平行とはならず、ねじれた関係になってしまう。
したがって、こうしたねじれを解消すべく素子を作製するためには、A列のシリコン素子基板に対してはc列のガラス素子基板を、C列のシリコン素子基板に対してはa列のガラス素子基板を組み合わせて素子を作製することが必要である。このためにはウェハから各素子基板を一つひとつ切り出した上で、上下素子基板の対応関係を間違うことなく組み合わせ、液晶素子を作製しなければならない。つまり、使用する素子基板の位置(アドレス)を同定しておかなければならないという煩雑さが発生する。
さらに、こうした煩雑な過程を経て液晶素子を作製したとしても、次のような課題が発生する。得られた液晶素子のガラス素子基板面を上にして観測すると、A列のシリコン素子基板とc列のガラス素子基板とを組み合わせた液晶素子では、B列のシリコン素子基板とb列のガラス素子基板とを組み合わせた液晶素子に対して、液晶の配向方向が反時計回りにずれた方向に配向する。同様にC列のシリコン素子基板とa列のガラス素子基板とを組み合わせた液晶素子では、B列のシリコン素子基板とb列のガラス素子基板とを組み合わせた液晶素子に対して、液晶の配向方向が時計回りにずれた方向に配向する。これは液晶素子をガラス素子基板面から見たときに、そもそもシリコン側のカラム形成方位が分布を有していることからも明らかである。
こうした配向方位が異なる液晶素子を用いると、得られる明るさが各素子ごとにばらつきを生じることになる。例えばこれを3板式の投射型液晶表示装置として用いた場合、赤(R)・緑(G)・青(B)各色での明るさにばらつきを生じる場合には、装置ごとに色味の異なった表示状態になってしまう。
つまり上述のような煩雑な過程を経て液晶素子を得たとしても、結果として良好な表示を得ることが困難であるという課題があった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、耐久性が高い無機配向膜を用いた液晶素子において高品位な画像を表示するための素子基板を作製するための基板、液晶素子、液晶表示装置および素子基板の製造装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する一対の素子基板の作製に用いる基板であって、前記一対の素子基板の少なくとも一方は一枚の基板上に複数個形成され、該基板から素子基板の大きさに切り出すことによって作製され、該切り出し前の基板における複数個の素子基板は互いに平行または直交と異なる所定の角度で配置されていることを特徴とする基板である。
前記複数個の素子基板の配置方向は、実質的に点源から放射状に配向膜の配向方向を付与する方向に対応する様に、素子基板の長辺もしくは短辺と、前記放射状に付与される配向方向とのなす角がそれぞれの基板にて略一定となるように、素子基板の配置方向を放射状に配置することが好ましい。
また、本発明は、上記の基板を用いて作製された、液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する素子基板である。
また、本発明は、上記の液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する素子基板を用いて製造された液晶素子である。
前記配向膜が少なくとも酸化ケイ素を含む無機材料からなるのが好ましい。
前記素子基板がシリコンウェハであり、かつ反射型液晶素子であるのが好ましい。
前記素子基板が石英であり、かつ透過型液晶素子であるのが好ましい。
前記一対の素子基板のプレチルト角が互いに異なるのが好ましい。
また、本発明は、上記の液晶素子を用いた投射型液晶表示装置である。
また、本発明は、レジストが塗布された請求項1記載の基板をステップ移動しながら該基板上の各ショットにレチクルのパターンを順次露光する工程を有する素子基板の製造装置であって、前記レチクルのパターンを基板上において形成方位角を所定角度に回転させ露光する手段を有することを特徴とする素子基板の製造装置である。
本発明は、液晶素子の切り出し前の基板に配置された素子基板を、所定の角度だけずらして形成することによって、高耐久な無機配向膜を斜方蒸着によって形成する際の素子間ばらつきを回避することができ、これにより、耐久性が高く高品位な画像を表示することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
まず、本発明において、点源から放射状に配向膜の配向方向を付与する方法において、既述したように、点源からの蒸着における蒸着角度には面内に分布が生じる。この分布角度に関して以下のように計算することができる。
図4は、本発明における蒸着源から蒸着方向を説明するための説明図である。基板中心における蒸着角度に関して、図4(a)および(b)に示すように基板41の中心を原点42としたとき、原点と蒸着源(点源)5とを結ぶ線と基板法線とのなす角をΘとする。また原点と蒸着源を結ぶ線の基板面に対する正射影をy軸とし、基板面上でかつy軸と直交する方向をx軸とする。基板上の任意の点を(x,y)、蒸着源と基板中心との長さをhとすると、点(x,y)における蒸着方向φは、下記の式(1)で表される。
Figure 2008003405
つまり、基板が配置される位置に依存して、蒸着方向すなわちカラム形成方向が分布を有することがわかる。これが原因で、表示特性の分布が発生する。
そこで本発明者は、上記の式(1)に着目し、基板の位置と蒸着される方向が1対1に対応しており、幾何学的に計算されることを利用して、特性改善を行うことができると考えた。
つまり、本発明では、この基板内における素子基板の配置を上記の式(1)で計算される蒸着方向に応じて変化させるように形成しておくことにより、素子基板を基準とした相対的な配向方向についてはほとんどばらつきを生じない。このため、安定した表示状態を得ることができる。
以上述べたように、従来、斜方蒸着では大面積で安定した特性を得ることが不可能とされていたのに対し、切り出し前の基板上ではカラム形成方位のばらつきが存在するものの、本発明では個々の素子基板における相対的な配向容易軸の分布を減らすことが可能となることから、斜方蒸着による大面積プロセスが可能なる。なお、配向容易軸とは、カラム形成方位にしたがって液晶分子が配向する際の、液晶分子長軸が配向している平均的な方位軸を表す。
これによって、強い光照射に対する耐久性を確保しうる無機配向膜材料を用いた液晶素子において、特性ばらつきが極めて少ない液晶素子素子を得ることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図6は基板上の素子基板の配置を示す概略図である。図6は203.2mm(8インチ)の円形ウェハ上におよそ20.3mm(0.8インチ)の表示エリアを有する素子基板が62個配置された様子を表している。このときの配向膜蒸着方向は図示するように、中央列における蒸着方向は、蒸着源と基板中心とを結ぶ線の、基板面に対する正射影方向に蒸着されている。それに対し、隣接する列では蒸着方向がずれている。このずれ角は上記の式(1)にほぼしたがってずれ角が決まっている。一方、素子基板に関して、図示するように基板上にて、同一列上では略同一方向に配列しているが、隣接する列方向では少しずつ傾斜した角度に配置している。このときの傾斜角度は、各素子基板の中心位置より計算される値に設定することが好ましい。
この素子基板を用いて得られる液晶素子の断面構造を図5に示す。図5は、本発明の液晶素子の一実施態様の構成を示す断面図である。図5において、液晶素子120は、ガラス基板121と、シリコン基板127と、基板121,127上に形成された電極122,126と、電極表面に形成された配向膜123,125と、基板121,127に挟持された液晶層124を備えている。
ここで、この配向膜123,125は、図1に示した斜方蒸着方法を採用した液晶表示装置の製造装置に設けられた蒸着装置により形成する。これにより、蒸着角度に関して、基板面内での方位角は10度近く変化するものの、基板上では素子基板が傾斜して配列しているので、素子基板に対して相対的には略一方向に分子配向する。このような配置の場合には一つの素子基板内での配向容易軸のばらつき量は光学特性にほとんど影響を及ぼさないほど小さい値である。このため一定の明るさの表示状態を得ることが可能となる。
このように、液晶素子の配向膜を無機配向膜とすると共に、それに用いる基板及び成膜方法を上記に基づいて行うことによって、耐久性が高く高品位な画像を表示することができる。
なお、以上述べた本実施形態に係る液晶素子として、既述した反射型液晶素子の他にも、透過型液晶素子を用いることも可能である。また、液晶表示装置の構成として、拡大光学系を用いた投射型の構成を採用しても良いし、液晶素子の大きさそのものの画像を観測するような直視型の構成を採用しても良い。
また、これまでは液晶モードとして垂直配向モードの例を示したが、平行配向モードやHAN(上下プレチルトが異なるハイブリッド配向)モード、OCBモードなどの配向モードを用いることが可能である。さらに光学特性に悪影響を及ぼさない範囲にて若干のねじれ配向を有していてもよい。ここで特にHANモードにおいて、一方を完全な垂直配向に設定することによって、配向膜を形成する過程において一方の基板のみを傾斜させれば十分であるため、製造工程の簡素化に有利である。
さらに、分子配向の精度を高めるために、蒸着源と基板との間に公知の方法を用いてスリットを設けることも可能である。
さらに、カラー化の手法として、カラーフィルタを用いても良いし、時分割によるカラー表示方法を用いても良い。特に、たとえばRGB各色に対応した複数の液晶素子を用いた投射型液晶表示装置の場合には、全ての液晶素子においてばらつきの少ない特性が得られるために、再現性のよいカラー表示を得るためにも本発明は有効である。たとえば上記のいわゆる3板式の投射型液晶表示装置を構成する場合において、本発明の素子基板を用いることによって安定した表示を実現できるために、常に同じ光学特性を得ることが可能となる。これにより3板の合成色も安定に再現できることになる。その結果、製造プロセス負荷の軽減、ひいてはコストダウンにとって有効であり、またこれによって色再現性の良好な投射型液晶表示装置を得ることが可能となる。
また、液晶素子の配向膜成膜法として斜方蒸着法を例にとって説明をしたが、イオン照射法、斜方スパッタ法、紫外線の点光源を用いた光配向膜による配向制御、サンドブラストなどによって表面形状を制御する方法など、様々な配向制御法に対して本発明を応用することが可能である。また、本発明では点源を中心に説明を行ったが、面源でも、蒸着面源が基板サイズよりも小さい場合には照射方向に放射状の分布を持つことがある。その場合にも、上記の方法に基づいて計算を行い、その分布に応じて素子基板を形成しておくことが有効である。
次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
本実施例においては、図5に示す液晶素子を作製する。なお、液晶材料として誘電率異方性Δεが負である液晶材料(メルク社製、型名MLC−6608)を用い、液晶層124のセル厚は3.5μmである。また、基板121,127として直径203.2mm(8インチ)のものを用いる。液晶素子120の作製法は下記のとおりである。
配向膜123,125を形成する際には、基板全面に配向膜を形成する。次いで、各素子サイズにカットした後、2枚の素子基板121,127に不図示のシール材を形成し、重ね合わせる。ここで配向処理方向は128の矢印に示す方向とし、上下素子基板が互いに反平行な関係となるように組み合わせる。次に、得られたセルに液晶を注入し、封止した後、所定の周辺回路と接続して液晶素子120を作製する。なお、このように作製した液晶素子120を、図9に示した光学系の中に組みこんで投射型液晶表示装置とする。ここで、50は超高圧水銀ランプなどの光源、55は偏光ビームスプリッタである。L1、L2はそれぞれ入射光および反射光の光線を表している。
実施例1
本実施例においては、まず基板上に、所定の角度に傾斜した個別の素子基板を形成する。ここで、図6に示すとおり、基板面内で放射状に方位角をずらした素子基板の配置とする。この傾斜角に関して、左右両端の素子基板はそれぞれ中央部の素子基板に対して、反時計回りに9度(−9°)および時計回りに9度(+9°)傾斜させている。それぞれの傾斜角は左の列から、−9°、−6°、−3°、0°、+3°、+6°、+9°である。
そのとき用いる基板として、一方をシリコンウェハーとし、残る一方をガラス基板とする。シリコンウェハー側には液晶を駆動するための画素回路が形成される。この画素回路に関して、トランジスタ、保持容量、ゲートおよびソース配線、遮光層、コンタクトホール、反射電極層をフォトリソグラフィープロセスを用いて形成する。この画素回路の構成は、例えば特許第03349332号公報に記載の構成と同様である。
このフォトリソグラフィープロセスに用いるステッパの模式図を図7に示す。基板面内をXY軸、基板法線方向をZ軸、基板回転方向をθとしている。従来の半導体ステッパでは露光パターンがXY方向のみの移動を繰り返し、露光を行うことによって複数の素子基板を得ることができる。一方、本発明に用いる素子基板は方位角方向にずれた配置を採らなければならない。このような素子基板を得るために、仮に通常のステッパのようにXY方向にしか基板移動を行わない装置を用いる場合、所定の角度にずらした数だけのフォトマスク(レチクル)を準備する必要がある。つまり高価なレチクルを複数枚用意しておく必要がある。
それに対して、本実施例ではステッパの基板移動ステージとしてXY方向のみならず、回転方向(θ方向)の回転を行うことができるステッパを使用する。これにより、単一のレチクルを用いて、場所に応じたθ角度に設定してパターンを露光することによって、所定角度に素子基板を形成することが可能となる。
そこで、レジストが塗布されたシリコンウェハをステップ移動しながら該ウエハ上の各ショットにレチクルのパターンを順次露光する半導体製造装置を用いて、該レチクルのパターンを基板上において形成方位角を所定角度に回転させ露光することによって、所定角度に傾斜した素子基板を得ることができる。これにより、レチクルを追加することなく、安価な液晶用素子基板を得ることができる。
また基板をXY方向に移動するとともにレチクル自身をθ回転する方法を用いても同様に安価な液晶用素子基板を得ることができる。
次いで、図1にて示した蒸着装置にてシリコンウェハおよびガラス基板のそれぞれに対して配向膜123,125を成膜し、液晶素子を作製する。このとき、蒸着源5と基板1との距離は1mとする。そして、この液晶素子を用いて投射型液晶表示装置とする。このときのプレチルト角は約5度である。
上下基板は同じ蒸着角度となるように成膜する。その後、基板から素子基板をカットし、その後、上下基板を組み合わせて配向処理方向が反平行な関係となるようにし、液晶素子を得る。
ここで、これら液晶素子を用いた投射型表示装置において画像を観測してみると、いずれの場所の素子を用いても同じ特性にて表示され、表示画像の均一性の高い、優れた表示品位の投射型液晶表示装置を得ることができる。
実施例2
実施例1では素子基板の短辺に略平行な配向処理方向となるように配置したが、本実施例では素子基板の短辺に対して45度方向に配向処理方向を設定する。このときの蒸着の状態を表す模式図を図8に示す。こうして蒸着された素子に関して、実施例1と同様に上下基板を組み合わせて投射型液晶表示装置を作製したところ、表示画像の均一性の高い、優れた表示品位を得ることができる。
比較例1
本比較例においては、液晶素子を作製する際に、切り出し前の基板上での配置として、実施例1と異なり従来どおり全ての基板を平行に配置する。そして、この液晶素子を用いて、投射型液晶表示装置とする。その結果、各素子間でのばらつきが大きくなる。
次に、この液晶素子を用いて3板式の投射型液晶表示装置を作り画像表示させると、装置間での色ずれが生じており、安定した表示を得ることができない。
本発明は、液晶素子の切り出し前の基板に配置された素子基板を、所定の角度だけずらして形成することによって、高耐久な無機配向膜を斜方蒸着によって形成する際の素子間ばらつきを回避することができので、耐久性が高く高品位な画像を表示する液晶素子に利用することができる。
斜方蒸着の様子を模式的に表した模式図である。 蒸着方向の分布を示す模式図である。 切り出し前の基板上の各素子基板における蒸着方向の分布を示す模式図である。 本発明における蒸着源から蒸着方向を説明するための説明図である。 本発明の液晶素子の一実施態様の構成を示す断面図である。 切り出し前の基板の中に素子基板を配置した状態を示す模式図である。 半導体ステッパを示す模式図である。 切り出し前基板の中に素子基板を配置した状態を示す模式図である。 投射型液晶表示装置の光学系を示す模式図である。
符号の説明
1 基板
5 蒸着源
6 ベルジャー
7 蒸着方向
21 基板
22、22a、22b 配向方向
31 シリコン基板
32 ガラス基板
33 カラム成長方向
34 素子基板
41 基板
42 原点
120 液晶素子
121、127 基板
122、126 電極
123、125 配向膜
124 液晶層
128 配向処理方向

Claims (10)

  1. 液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する一対の素子基板の作製に用いる基板であって、前記一対の素子基板の少なくとも一方は一枚の基板上に複数個形成され、該基板から素子基板の大きさに切り出すことによって作製され、該切り出し前の基板における複数個の素子基板は互いに平行または直交と異なる所定の角度で配置されていることを特徴とする基板。
  2. 前記複数個の素子基板の配置方向は、実質的に点源から放射状に配向膜の配向方向を付与する方向に対応する様に、素子基板の長辺もしくは短辺と、前記放射状に付与される配向方向とのなす角がそれぞれの基板にて略一定となるように、素子基板の配置方向を放射状に配置することを特徴とする請求項1記載の基板。
  3. 請求項1または2に記載の基板を用いて作製された、液晶素子の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する素子基板。
  4. 請求項3記載の液晶の配向方向を制御するための配向膜を有する素子基板を用いて製造された液晶素子。
  5. 前記配向膜が少なくとも酸化ケイ素を含む無機材料からなる請求項4に記載の液晶素子。
  6. 前記素子基板がシリコンウェハであり、かつ反射型液晶素子である請求項4または5に記載の液晶素子。
  7. 前記素子基板が石英であり、かつ透過型液晶素子である請求項4または5に記載の液晶素子。
  8. 前記一対の素子基板のプレチルト角が互いに異なる請求項4乃至7のいずれかの項に記載の液晶素子。
  9. 請求項4乃至8のいずれかの液晶素子を用いた投射型液晶表示装置。
  10. レジストが塗布された請求項1記載の基板をステップ移動しながら該基板上の各ショットにレチクルのパターンを順次露光する工程を有する素子基板の製造装置であって、前記レチクルのパターンを基板上において形成方位角を所定角度に回転させ露光する手段を有することを特徴とする素子基板の製造装置。
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