JP2008002379A - 遠心ファン - Google Patents
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Abstract
【課題】ターボファン等遠心ファンの羽根を改良することにより、該羽根の負圧面側での空気の剥離による騒音の発生を抑制する。
【解決手段】円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の側板15側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の外周部負圧面側に補助空気吹出口20aを設けて、十分な風量と風速の吹出気流で羽根の負圧面側の不安定な境界層の剥離を効果的に抑制するようにした。
【選択図】 図4
【解決手段】円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の側板15側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の外周部負圧面側に補助空気吹出口20aを設けて、十分な風量と風速の吹出気流で羽根の負圧面側の不安定な境界層の剥離を効果的に抑制するようにした。
【選択図】 図4
Description
本願発明は、遠心ファンの構造に関するものである。
例えばターボファン等の遠心ファンでも、必要に応じて羽根重量を軽量化するために、中空羽根構造が採用されている。
しかし、このような中空羽根構造を採用したターボファン等の遠心ファンでも、羽根の負圧面の外周端部近傍において空気の剥離が生じ、この剥離部分での空気の渦流の発生に伴って送風音が増大し、空気調和装置等の装置全体としての運転音を低減するには限界があった。
そこで、従来その対策として、上記中空羽根の内部空間を主板側に開放する一方、また、空気供給手段として、この主板側の開放部分から導入した空気を羽根の負圧面側に供給するように該負圧面に空気吹出口を設けた構成とし、同空気吹出口からの吹出気流により、上記負圧面近傍での空気の流れを改良することにより、上記負圧面側での空気の剥離による騒音の発生を抑制するようにしたものがある(特許文献1参照)。
しかし、該従来技術の構成では、吹出のための補助空気取入れ口が主板側となっているので、天埋型又は天吊型空気調和機に適用したような場合に、送風機の主板と空調機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しい問題があった。
また、一方上記負圧面側部への空気吹出口の形状も、必ずしも剥離抑制に効果のある有効な形状になっておらず、境界層の制御効果、送風性能向上効果を得にくい問題があった。
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、空胴部への補助空気取入れ口を側板側に設けるか、または負圧面側の空気吹出口をノズル構造にし、有効な吹出風量または空気吹出速度の吹出気流を得られるようにして、剥離抑制効果を向上させた遠心ファンを提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記の目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明
この発明は、円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の側板15側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の負圧面側に補助空気吹出口20aを設けたことを特徴としている。
この発明は、円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の側板15側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の負圧面側に補助空気吹出口20aを設けたことを特徴としている。
このような構成によれば、羽根16,16・・・の内部が中空で空胴部20を有する構成となっているので、従来同様の遠心ファン11の送風作用を、羽根重量を増大させることなく実現することができ、羽根16,16・・・に作用する遠心力も小さくなる。その結果、可及的に軽量で高剛性の羽根を実現できる。また駆動力も小さくて済む。
そして、その場合において、当該空胴部20を有する羽根16,16・・・には、外部空気の吸込側である側板15側に位置して当該空胴部20に連通する補助空気取入口20bが設けられているとともに、外周部側負圧面には、境界層剥離抑制用の補助空気吹出口20aが設けられている。
したがって、遠心ファン11が駆動されると、補助空気取入口20bから側板15外部の空気が何の障害物もなく空胴部20内に効率良く取り入られ、空胴部20を介して補助空気吹出口20aに供給され、同補助空気吹出口20aから負圧面外周方向にスムーズに吹き出されて行く。
このため、例えば前述のような天井埋込型空気調和機(または天吊型空気調和機)に適用した場合にも、従来のように送風機の主板と空気調和機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しいと言った問題が解決される。
また、上記補助空気取入口20bから空胴部20内に取入れられた空気は、空胴部20内に作用する遠心ファン11の回転による遠心力の作用により羽根外周方向に向けて効果的に昇圧され、羽根16,16・・・の外周側負圧面にある補助空気吹出口20aから外周方向に吹き出される空気の流速は有効に増速されて高流速となる。
これらの結果、同構成によれば、十分な風量と風速の吹出気流を得ることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を有効に抑制することができ、送風性能向上、送風音低減効果を向上させることができる。
(2) 請求項2の発明
この発明は、円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の主板14側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の負圧面側にノズル構造の補助空気吹出口20aを設けたことを特徴としている。
この発明は、円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の主板14側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の負圧面側にノズル構造の補助空気吹出口20aを設けたことを特徴としている。
このような構成によれば、羽根16,16・・・の内部が中空で空胴部20を有する構成となっているので、従来同様の遠心ファン11の送風作用を、羽根重量を増大させることなく実現することができ、羽根16,16・・・に作用する遠心力も小さくなる。その結果、可及的に軽量で高剛性の羽根を実現できる。また駆動力も小さくて済む。
そして、その場合において、当該空胴部20を有する羽根16,16・・・には、主板14側に位置して当該空胴部20に連通する補助空気取入口20bが設けられているとともに、外周部側負圧面には、境界層剥離抑制用の補助空気吹出口20aが設けられている。
したがって、遠心ファン11が駆動されると、主板14側の補助空気取入口20bから主板14外部の空気が空胴部20内に取り入られ、空胴部20を介して補助空気吹出口20aに供給され、同補助空気吹出口20aから負圧面外周方向にスムーズに吹き出されて行く。
なお、このように主板14側に補助空気取入口20bを設けても、例えば前述のような天井埋込型空気調和機(または天吊型空気調和機)以外の空気調和機に適用した場合には、従来の送風機の主板と空気調和機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しいと言った問題は生じず、十分な量の空気を取入れることができる。
一方、上記補助空気取入口20bから空胴部20内に取入れられた空気は、空胴部20内に作用する遠心ファン11の回転による遠心力の作用により羽根外周方向に向けて効果的に昇圧され、羽根16,16・・・の外周側負圧面にある補助空気吹出口20aから外周方向に吹き出される空気の流速は有効に増速されて高流速となる。
しかも、以上の構成では、同負圧面側の空気吹出口20aがノズル構造の吹出口に形成されている。
したがって、上述の十分な風量の導入空気をファン回転時の遠心力で外周方向に昇圧させた上で、さらに高い風速で負圧面外周方向に吹き出させることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を一層有効に抑制することができるようになり、より送風性能向上、送風音低減効果を向上させることができる。
これらの結果、同構成によれば、十分な風量と風速の吹出気流を得ることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を有効に抑制することができ、送風性能向上、送風音低減効果を向上させることができる。
(3) 請求項3の発明
この発明は、円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の側板15側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の負圧面側にノズル構造の補助空気吹出口20aを設けたことを特徴としている。
この発明は、円形の主板14および円形の側板15を有するとともに、これら主板14および側板15の間に内部が空胴の多数枚の羽根16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根16,16の側板15側に空胴部20内への補助空気取入口20bを設ける一方、上記羽根16,16・・・の負圧面側にノズル構造の補助空気吹出口20aを設けたことを特徴としている。
このような構成によれば、羽根16,16・・・の内部が中空で空胴部20を有する構成となっているので、従来同様の遠心ファン11の送風作用を、羽根重量を増大させることなく実現することができ、羽根16,16・・・に作用する遠心力も小さくなる。その結果、可及的に軽量で高剛性の羽根を実現できる。また駆動力も小さくて済む。
そして、その場合において、当該空胴部20を有する羽根16,16・・・には、外部空気の吸込側である側板15側に位置して当該空胴部20に連通する補助空気取入口20bが設けられているとともに、外周部側負圧面には、境界層剥離抑制用の補助空気吹出口20aが設けられている。
したがって、遠心ファン11が駆動されると、補助空気取入口20bから側板15外部の空気が何の障害物もなく空胴部20内に効率良く取り入られ、空胴部20を介して補助空気吹出口20aに供給され、同補助空気吹出口20aから負圧面外周方向にスムーズに吹き出されて行く。
このため、例えば前述のような天井埋込型空気調和機(または天吊型空気調和機)に適用した場合にも、従来のように送風機の主板と空気調和機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しいと言った問題が解決される。
また、上記補助空気取入口20bから空胴部20内に取入れられた空気は、空胴部20内に作用する遠心ファン11の回転による遠心力の作用により羽根外周方向に向けて効果的に昇圧され、羽根16,16・・・の外周側負圧面にある補助空気吹出口20aから外周方向に吹き出される空気の流速は有効に増速されて高流速となる。
これらの結果、同構成によれば、十分な風量と風速の吹出気流を得ることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を有効に抑制することができ、送風性能向上、送風音低減効果を向上させることができる。
また、前述した従来例における羽根負圧面側への空気吹出口の形状は、単に縦長の開口部を形成しただけで必ずしも剥離抑制に効果のある吹出口構造になっておらず、境界層の制御効果、送風性能向上作用を得にくい問題があったが、以上の構成では、同負圧面側の空気吹出口20aが、さらにノズル構造の吹出口に形成されている。
したがって、上述の十分な風量の導入空気をファン回転時の遠心力で外周方向に昇圧させた上で、さらに一段と高い風速で負圧面外周方向に吹き出させることができ、上記羽根16,16・・・の負圧面側の不安定な境界層の剥離を一層有効に抑制することができるようになり、より送風性能向上、送風音低減効果を向上させることができるようになる。
(4) 請求項4の発明
この発明は、上記請求項2又は3の発明の構成において、負圧面側の補助空気吹出口20aは、負圧面と略平行な方向に延びて開口しているとともに同負圧面側の空気吹出口20aの開口面と内側空胴部20との接続部は、断面積が徐々に変化するノズル構造の空気吹出通路となっていることを特徴としている。
この発明は、上記請求項2又は3の発明の構成において、負圧面側の補助空気吹出口20aは、負圧面と略平行な方向に延びて開口しているとともに同負圧面側の空気吹出口20aの開口面と内側空胴部20との接続部は、断面積が徐々に変化するノズル構造の空気吹出通路となっていることを特徴としている。
このように、羽根16,16・・・の負圧面側に設けられた補助空気吹出口20aが、羽根負圧面と略平行な方向に延びて開口しているとともに、同負圧面側の空気吹出口20aの開口面と内側空胴部20との接続部が、断面積が徐々に変化するノズル構造の空気吹出通路になっていると、上述した空胴部20から負圧面側外周方向へ吹き出される空気の増速効果が、さらに有効に向上し、上述の剥離抑制効果が高くなる。
(5) 請求項5の発明
この発明は、上記請求項4の発明の構成において、負圧面側空気吹出口20aのノズル構造の空気吹出通路壁面から羽根16の外周縁までの一部あるいは全てには、主流方向に延びる整流溝が形成されていることを特徴としている。
この発明は、上記請求項4の発明の構成において、負圧面側空気吹出口20aのノズル構造の空気吹出通路壁面から羽根16の外周縁までの一部あるいは全てには、主流方向に延びる整流溝が形成されていることを特徴としている。
このように、羽根16,16・・・の負圧面側補助空気吹出口20aのノズル構造の空気吹出通路壁面から羽根16,16・・・の外周縁までの一部あるいは全てに、主流方向に延びる整流溝が形成されていると、上記負圧面外周方向に高流速で吹き出される吹出気流がスムーズな流れに整流され、より有効に剥離抑制作用が向上する。
(6) 請求項6の発明
この発明は、上記請求項4又は5の発明の構成において、ノズル構造の空気吹出通路と空胴部20の間にはノズル構造の空気吹出通路の延設方向と平行なガイドリブL1,L2が設けられていることを特徴としている。
この発明は、上記請求項4又は5の発明の構成において、ノズル構造の空気吹出通路と空胴部20の間にはノズル構造の空気吹出通路の延設方向と平行なガイドリブL1,L2が設けられていることを特徴としている。
このように、ノズル構造の空気吹出通路と空胴部20の間に、ノズル構造の空気吹出通路の延設方向と平行なガイドリブL1,L2が設けられていると。空胴部20内の空気を上述したファン回転時に遠心力が作用する空気吹出方向に効果的に整流ガイドすることができるようになる。
以上の結果、本願発明によれば、十分な風量と風速の吹出気流で、羽根の負圧面側の不安定な境界層の剥離を効果的に抑制することができ、有効な送風性能向上、送風音低減効果を実現することができる。
(最良の実施の形態1)
図1〜図6は、例えば天井埋込型空気調和機に適用した本願発明の最良の実施の形態1に係る遠心ファンの構造を示している。
図1〜図6は、例えば天井埋込型空気調和機に適用した本願発明の最良の実施の形態1に係る遠心ファンの構造を示している。
図中、先ず符号2は、当該天井埋込型空気調和機1のカセット型の本体ケーシングである。該本体ケーシング2は、その吸気・吹出パネル(下面パネル部)4が天井3と略同一平面状に連続するようにして、天井3内に埋設されている。
そして、上記本体ケーシング2の上記吸気・吹出パネル4には、中央部に方形の空気吸込口5が設けられ、さらに、その内側に遠心ファンの一例であるターボファン11用のベルマウス6が連設されている。
また、上記本体ケーシング2の吸気・吹出パネル4の上記空気吸込口5の外周部4方には、所定の幅の空気吹出口9,9・・が設けられている。
そして、上記本体ケーシング2内には上記空気吸込口5から上記ベルマウス6を経て上記空気吹出口9,9・・方向に到る全周方向の通風路10が形成されており、該通風路10の上記ベルマウス6の背後(図示上部)中央に位置して、その空気吸込側(後述する側板15側)が上記ベルマウス6に対応するターボファン11がファンモータ13およびファンモータ13の回転駆動軸13aを介して上記本体ケーシング2の天板2aに吊設されている。
また、同通風路10には、該ターボファン11を囲む状態で空気熱交換器12が設けられている。
一方、該ターボファン11は、上記ファンモータ13の回転駆動軸13aに対して固定された円形の主板14とターボファン羽根車内遠心方向への空気吸込口を形成する他端側筒状の側板15との間に多数枚の羽根(動翼羽根)16,16・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設して構成されている。他方、その側板15の筒状の空気吸込側端部内側には、上記ベルマウス6の下流側筒状の空気流出口側端部が所定の隙間を保って相対回転可能に所定寸法遊嵌されている。
上記ベルマウス6は、上記ターボファン羽根車の空気吸込口を形成している側板15の空気吸込側端部に対して上記本体ケーシング2側空気吸込口5からの空気を羽根車内遠心方向にスムーズに流入させるために、図示のように吸気・吹出パネル4への取付縁部から内方に延び、その空気流上流側から空気流下流側にかけて次第に開口径が縮小した所定曲率半径の空気流入口部と空気流出口部とからなる気流ガイド面を有して構成されている。そして、その形状により上記ターボファン羽根車の側板15に対応して、上記ターボファン羽根車の吸込側の空気を当該吸込側において吹出側遠心方向にスムーズに吸込ガイドすることによって送風時に生じる空力騒音を可能な限り低減するようにしている。
ところで、この実施の形態の場合、上記羽根16,16・・・は、例えば図4〜図6に示すように、内側に空胴部20を有する中空構造のものよりなっていて、可及的な軽量化が図られている一方、内周端側から外周端側にかけてエアフォイル形状をなして構成されている。
すなわち、該羽根16は、中空部形成用の凹部16aを形成した羽根本体部材16bの同凹部16aの開口段部16d,16eに対して蓋部材16cを連続面を形成するように一体に溶着接合して構成されており、それによって内周端側(吸込側)から外周端側(吹出側)にかけて次第に空間部の断面積の幅が小さくなる図4,図5の断面構造のような空胴部20が形成され、該空胴部20によって図示の如きエアフォイル構造の羽根16が形成されている。
そして、その外周端側負圧面部分には空胴部20内の空気を外周方向に吹き出す補助空気吹出口20aが、また側板15側端部には、補助的に側板15の外部の空気を空胴部20内に取り入れるための翼弦方向に延びる補助空気取入口20bが、それぞれ設けられている。そして、空胴部20内は、それらによって空気の流通が可能になっている。
上記羽根16の負圧面側の補助空気吹出口20aは、回転軸に直交する面で切断した断面で見た時に、羽根16の最大厚み部分よりも外周側に設けられている。また同補助空気吹出口20aは、例えば図4および図5に示すように、上記羽根16の外周縁に略平行な方向に延びて開口する上下方向に長いスリット形状の開口に形成され、その内側の上記羽根16内の空胴部20との接続部は、上記空胴部20側から補助空気吹出口20a側にかけて断面積がa〜c(a>b>c)と徐々に小さくなるように変化するノズル構造の空気吹出通路となっている。
この結果、上記羽根16の厚みは負圧面側の補助空気吹出口20aの開口面部でステップ状に薄くなり、外周縁(チップ部)では上記補助空気吹出口20aが設けられていない部分と同じ厚さに収束するものとなっている。
そして、同ノズル構造の空気吹出通路上流側には所定の長さ空胴部20内に延びて、当該通路の延設方向と平行なガイドリブL1,L2が上下に位置して並設され、空胴部20から補助空気吹出口20a方向に吹き出される空気流の吹出方向を境界層の剥離を抑制するのに適正な吹出方向に整流ガイドするようになっている。
以上のような構成によれば、羽根16の内部が中空で空胴部20を有する構成となっているので、従来同様のターボファン等遠心ファン11の送風作用を、羽根重量を増大させることなく実現することができ、羽根16,16・・・に作用する遠心力も小さくなる。その結果、可及的に軽量で高剛性の羽根を実現することができる。また駆動力も小さくて済む。
そして、その場合において、当該空胴部20を有する羽根16には、外部空気の吸込側である側板15側に位置して当該空胴部20に連通する補助空気取入口20bが設けられているとともに、その最大厚み部よりも外周部側負圧面には、境界層剥離抑制用の補助空気吹出口20aが設けられている。
したがって、ターボファン等遠心ファン11が駆動されると、補助空気取入口20bから側板15外部の空気が何の障害物もなく空胴部20内に効率良く取り入られ、空胴部20を介して補助空気吹出口20aに供給され、同補助空気吹出口20aから負圧面外周方向にスムーズに吹き出されて行く。
このため、例えば上述のような天井埋込型空気調和機(または天吊型空気調和機)に適用した場合にも、従来のように送風機の主板と空気調和機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しいと言った問題が解決される。
また、上記補助空気取入口20bから空胴部20内に取入れられた空気は、空胴部20内に作用するファン回転による遠心力の作用により羽根外周方向に向けて効果的に昇圧され、羽根16の外周側にある補助空気吹出口20aから外周方向に吹き出される空気の流速は増速されて高流速となる。
これらの結果、結局同構成によれば、十分な風量と風速の吹出気流を得ることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を有効に抑制することができ、送風性能向上、送風音低減効果を可及的に向上させることができる。
また、前述した従来例における羽根負圧面側への空気吹出口の形状は、単に縦長の開口部を形成しただけで必ずしも剥離抑制に効果のある吹出口構造になっておらず、境界層の制御効果、送風性能向上作用を得にくい問題があったが、以上の構成では、同負圧面側の空気吹出口20aがノズル構造の空気吹出通路を有するノズル構造の空気吹出口に形成されている。
したがって、上述の十分な風量の導入空気をファン回転時の遠心力で外周方向に昇圧された上で、さらに高い風速で負圧面外周方向に吹き出させることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を一層有効に抑制することができるようになり、より送風性能向上、送風音低減効果を向上させることができる。
さらに、また以上の場合、上記本実施の形態の羽根16は、上述のように、羽根本体部を形成する羽根本体部材16bと蓋部材16cとの2つの部材より構成されていて、上記ノズル構造の空気吹出通路部および補助空気吹出口20aは、それら羽根本体部材16bと蓋部材16cとの間に形成され、特に補助空気吹出口20aの開口面は、羽根本体部材16bの外周端部の一部を上下に所定幅かつ所定の深さ切り欠くことによって形成されている。また、ガイドリブL1,L2も上記空気吹出通路部の上流から空胴部20内に延びて連接する形で羽根本体部材16b側に一体に設けられている。
したがって、それらガイドリブL1,L2やノズル構造の空気吹出通路部および補助空気吹出口20a等の形成は極めて容易であり、例えば合成樹脂による一体成型で容易に実現することができる。
(変形例1)
なお、以上の最良の実施の形態1では、上述のような天井埋込型空気調和機(または天吊型空気調和機)に適用することを前提として、従来の送風機の主板と空気調和機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しいと言った問題を解決するために、羽根16の側板15側に補助空気取入口20bを形成したが、それら以外の上記の問題の生じないタイプの空気調和機等に適用する場合には、従来と同様に主板14側に補助空気取入口20bを形成しても十分な量の風量を得ることができ、空胴部20からの空気吹出通路および補助空気吹出口20aに上述と同様の構造を採用すれば、全く同様に十分な風量と風速の吹出気流を得ることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を有効に抑制することができ、送風性能向上、送風音低減効果を可及的に向上させることができる。
なお、以上の最良の実施の形態1では、上述のような天井埋込型空気調和機(または天吊型空気調和機)に適用することを前提として、従来の送風機の主板と空気調和機の筺体との間隔が狭くなり、有効な吹出風量を得ることが難しいと言った問題を解決するために、羽根16の側板15側に補助空気取入口20bを形成したが、それら以外の上記の問題の生じないタイプの空気調和機等に適用する場合には、従来と同様に主板14側に補助空気取入口20bを形成しても十分な量の風量を得ることができ、空胴部20からの空気吹出通路および補助空気吹出口20aに上述と同様の構造を採用すれば、全く同様に十分な風量と風速の吹出気流を得ることができ、羽根16の負圧面側の不安定な境界層の剥離を有効に抑制することができ、送風性能向上、送風音低減効果を可及的に向上させることができる。
(変形例2)
次に、図7は、上記本願発明の最良の実施の形態1に係る遠心ファンの変形例2の構造を示している。
次に、図7は、上記本願発明の最良の実施の形態1に係る遠心ファンの変形例2の構造を示している。
本例の構成では、上記最良の実施の形態1の遠心ファンの構成において、上記負圧面側空気吹出口20aのノズル構造の空気吹出通路の壁面から羽根16の外周縁(チップ部)までの全て(又は一部でもよい)には、図示のように主流方向に延びる整流溝が形成されていることを特徴としている。
このように、羽根16,16・・・の負圧面側補助空気吹出口20aのノズル構造の空気吹出通路の壁面から羽根16,16・・・の外周縁までの全て(又は一部)に、主流方向に延びる整流溝が形成されていると、上記負圧面外周方向に高流速で吹き出される吹出気流がスムーズな流れに整流され、より有効に剥離抑制作用が向上する。
この場合、上記整流溝の断面形状としては、例えば三角形状(V字溝)、矩形状(方形溝)その他の形状のものの採用が可能である。
(最良の実施の形態2)
次に、図8は、上記の場合と同様に天井埋込型空気調和機に適用した本願発明の最良の実施の形態2に係る遠心ファンの構造を示している。
次に、図8は、上記の場合と同様に天井埋込型空気調和機に適用した本願発明の最良の実施の形態2に係る遠心ファンの構造を示している。
本実施の形態の構成では、上記羽根16の側板15側端部に所定の幅の側板15側凹部15aへの嵌合用の凸部16fが形成されており、同凸部16fを当該側板15側に形成したファン回転軸方向への凹部15a内に嵌合させて相互に一体化する構造になっている一方、それら凸部16fと凹部15aの各々の嵌合状態において相互に対面する縦壁部部分に対して、図示のように相互に同軸状に対応して連通する補助空気取入口20bを形成したことを特徴としている。
その他、補助空気吹出口20a側の構成については、上述した最良の実施の形態1の場合と同様であり、同様の作用を奏する。
このような構成にすると、側板15と羽根16との確実な一体化、強度アップを図りながら、上記最良の実施の形態1の場合と全く同様の羽根負圧面側の不安定な境界層の剥離を抑制し、それによる送風性能向上、送風音低減効果を実現することができる。
なお、符号14bは羽根16を主板14側に取り付けるための嵌合凹部である。
(最良の実施の形態3)
次に、図9は、上記の場合と同様に天井埋込型空気調和機に適用した本願発明の最良の実施の形態3に係る遠心ファンの構造を示している。
次に、図9は、上記の場合と同様に天井埋込型空気調和機に適用した本願発明の最良の実施の形態3に係る遠心ファンの構造を示している。
本実施の形態の構成では、上記羽根16の側板15側端部に側板15に形成した凸部15bを嵌合する所定の幅の開口部が形成されており、上記側板15側の凸部15bを上記羽根16の側板15側に形成した開口部内に図示のように嵌合させて一体化する構造になっている一方、上記嵌合された側板15の凸部15bのテーパー面状の底壁部に補助空気取入口20bを設けたことを特徴としている。
その他、補助空気吹出口20a側の構成については、上述した最良の実施の形態1の場合と同様であり、同様の作用を奏する。
このような構成にすると、やはり側板15と羽根16との確実な一体化、強度アップを図りながら、上記最良の実施の形態1の場合と全く同様の羽根負圧面側の不安定な境界層の剥離を抑制し、それによる送風性能向上、送風音低減効果を実現することができる。
(その他の実施の形態)
なお、上述の各実施の形態における補助空気取入口20bには、必要に応じて格子状、網状、グリル状等各種の形状のフィルタを設け、ゴミ等が入るのを防止する。
なお、上述の各実施の形態における補助空気取入口20bには、必要に応じて格子状、網状、グリル状等各種の形状のフィルタを設け、ゴミ等が入るのを防止する。
6はベルマウス、10は通風路、11はターボファン、14は主板、14aはハブ、15は側板、16は羽根、20は空胴部、20aは補助空気吹出口、20bは補助空気取入口である。
Claims (6)
- 円形の主板(14)および円形の側板(15)を有するとともに、これら主板(14)および側板(15)の間に内部が空胴の多数枚の羽根(16),(16)・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根(16),(16)の側板(15)側に空胴部(20)内への補助空気取入口(20b)を設ける一方、上記羽根(16),(16)・・・の負圧面側に補助空気吹出口(20a)を設けたことを特徴とする遠心ファン。
- 円形の主板(14)および円形の側板(15)を有するとともに、これら主板(14)および側板(15)の間に内部が空胴の多数枚の羽根(16),(16)・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根(16),(16)の主板(14)側に空胴部(20)内への補助空気取入口(20b)を設ける一方、上記羽根(16),(16)・・・の負圧面側にノズル構造の補助空気吹出口(20a)を設けたことを特徴とする遠心ファン。
- 円形の主板(14)および円形の側板(15)を有するとともに、これら主板(14)および側板(15)の間に内部が空胴の多数枚の羽根(16),(16)・・・を所定の翼角、所定の翼間隔で周方向に並設してなる遠心ファンにおいて、上記羽根(16),(16)の側板(15)側に空胴部(20)内への補助空気取入口(20b)を設ける一方、上記羽根(16),(16)・・・の負圧面側にノズル構造の補助空気吹出口(20a)を設けたことを特徴とする遠心ファン。
- 負圧面側の補助空気吹出口(20a)は、負圧面と略平行な方向に延びて開口しているとともに同負圧面側の空気吹出口(20a)の開口面と内側空胴部(20)との接続部は、断面積が徐々に変化するノズル構造の空気吹出通路となっていることを特徴とする請求項2又は3記載の遠心ファン。
- 負圧面側空気吹出口(20a)のノズル構造の空気吹出通路の壁面から羽根(16)の外周縁までの一部あるいは全てには、主流方向に延びる整流溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の遠心ファン。
- ノズル構造の空気吹出通路と空胴部(20)の間にはノズル構造の空気吹出通路の延設方向と平行なガイドリブ(L1),(L2)が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の遠心ファン。
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