JP2007538140A - 安定な湿潤剤濃縮物 - Google Patents

Abstract

安定な湿潤剤濃縮物はオクチル又はドデシルピロリドン、エトキシ化アルコール、及び水で濃縮物を希釈するための相溶化剤、すなわち好ましくは水中で２つのベース成分が分離するのを防ぐ陰イオン性乳化剤又はポリオールのような極性物質、及び任意に水を含み、水での希釈により優れた湿潤及び拡散特性を示す安定な湿潤剤組成物を提供する。

Description

本発明は湿潤剤、更に具体的には安定な湿潤剤濃縮物及び優れた湿潤及び拡散特性を示す水性湿潤剤組成物に関する。

コラジ Ｓ、ナラヤナンの特許文献１，２，３及び４には、いくつかの用途、特に農薬へのＮ-オクチルピロリドン（サルファドン（登録商標）ＬＰ１００）（インターナショナルスペシャルティープロダクツ）の使用が記載されている。しかしながら、Ｎ-オクチルピロリドン（ＮＯＰ）は、他の界面活性剤に較べて高価である。

米国特許第5,424,072号公報 米国特許第5,508,249号公報 米国特許第5,470,508号公報 米国特許第5,409,639号公報

従って、本発明の目的はＮＯＰを含みコストを低下させた安定で優れた湿潤剤を提供することにある。

ここに記載しているのは、
（ａ）１０−３０重量％のオクチル又はドデシルピロリドン、
（ｂ）５０−９０重量％のエトキシ化アルコール、例えばエトキシ化ノニノール、
（ｃ）０．５−５重量％の水で希釈する（ａ）及び（ｂ）用相溶化剤、例えば陰イオン性乳化剤又はポリオール、並びに、
（ｄ）０−１０重量％の水
を備える湿潤剤濃縮物である。

本発明の好ましい実施態様において、（ｂ）は２又は３個のＥＯ（エチレンオキシド）単位を含み、（ａ）：（ｂ）の重量比は約８０：２０であり、（ｃ）はラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムであり、並びに（ｃ）は約２．５重量％であり、（ｄ）は約１．５重量％である。

安定な湿潤剤組成物は、湿潤剤濃縮物及び希釈水を含み、希釈する際の濃縮物対水の割合は１：５０から１：５０００、好ましくは１：１０００から１：２０００である。

ここで用いる典型的な湿潤剤配合物は、湿潤剤濃縮物及び希釈水を含み、例えば農業用スプレー溶液、表面洗浄剤、車用洗剤、又は油だめ洗浄液として有用である。

Ｎ−オクチルピロリドン（アグゾール（登録商標）Ｅｘ８またはサルファドン（登録商標）ＬＰ１００）は、それのみで又は他の配合組成物とともに、いくつかの用途において商業的に使用されている。Ｎ−オクチルピロリドンの主な利点は、疎水性分子に対する高い溶解性である。また、他のいくつかの界面活性剤、特にラウリル硫酸ナトリウム（ＳＬＳ）及びラウレス硫酸ナトリウムのような陰イオン性乳化剤と混合ミセルを形成することができる。また、Ｎ−オクチルピロリドンは界面活性溶媒である点でもユニークで、従って界面溶剤として機能しうる。この性質は、例えば有機香料の放出を制御し、またスプレー溶液の表面に更なる湿潤を付与するために、多くの民生用配合物において有利である。

本発明の湿潤剤濃縮物は、（ａ）オクチルまたはドデシルピロリドン、（ｂ）エトキシ化ノニルアルコールのようなエトキシ化アルコール、(ｃ)相溶化剤、好ましくは陰イオン性乳化剤又はポリオール、及び状況に応じて(ｄ)水を含む。

湿潤剤濃縮物において、（ｂ）は２又は３ＥＯ単位を含み、（ａ）：（ｂ）の重量比が約８０：２０であり、また（ｃ）はラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムであることが好ましい。

本発明の安定な湿潤剤組成物は、湿潤剤濃縮物及び希釈水を含み、希釈する際の濃縮物対水の割合が約１：５０から１：５０００、好ましくは約１：１０００から１：２０００である。

本発明の典型的な有用配合物としては、農業用スプレー溶液、表面洗浄剤、車用洗剤、又は油だめ洗浄液に湿潤剤濃縮物を含む。

本発明の有用配合物は、＜３０秒の湿潤時間と、パラフィルム（登録商標）の表面（疎水性表面）で水の６．２５倍の拡散面積（２０マイクロリットル）とを有することができる。

使用した材料
ラウレス硫酸ナトリウム、２ＥＯ、純度２５．６％、ローダペックス（登録商標）ＥＳ−２［ローディアケミカルズ、ニュージャージー］。
ラウレス硫酸ナトリウム、３ＥＯ、純度３０％、スタンダポール（登録商標）ＥＳ−３［ステパンケミカルズ、ニュージャージー］。
２９％のラウリル硫酸ナトリウム水溶液、［ローディア］。
Ｎ−（ｎ−オクチル）−２−ピロリドン、水、純度＞９９．０％、アグゾール（登録商標）Ｅｘ８［インターナショナルスペシャルティープロダクツ、ウェイン、ニュージャージー］。
ポリ−（オキシ−１，２−エタンジリル）−アルファ−ウンデシル−オメガ １−ウンデカノール、１−ウンデカノール、(エトキシ化ノニルアルコール)。純度８４％、トマドール(登録商標)１−３［トマリザーブ社、リザーブ、ロサンゼルス］。

Ａ）湿潤剤濃縮物及びその希釈水溶液並びに連続的希釈液の調製。
湿潤剤濃縮物は、それぞれの成分の適切な量を精秤して１００ｇの原液を生成することによって調製した。

以下の表１は、アグゾール(登録商標)Ｅｘ８、トマドール(登録商標)１−３、ラウレス硫酸ナトリウム水溶液２ＥＯ及び／又はラウレス硫酸ナトリウム水溶液３ＥＯを含む本発明の三元組成物を示す。これらの組成物は、アグソール(登録商標)Ｅｘ８及びトマドール(登録商標)１−３の基本混合物（２０：８０）に増加量（０から２５％）の市販のラウレス硫酸ナトリウム水溶液を添加することによって調製した。

これら原液を用いて連続希釈液を以下のようにして調製した。

蒸留水で希釈したＳＷ１の場合。
１）１／１００、１０ｇのアグゾールＥｘ８を希釈して１０００gにした。
２）１／５００、１００ｇの溶液１）を希釈して５００gにした。
３）１／１０００、５０ｇの溶液１）を希釈して５００gにした。
４）１／２０００、２５ｇの溶液１）を希釈して５００gにした。
５）１／５０００、５０ｇの溶液２）を希釈して５００gにした。

残りの原液も、上記と同じように1／１００、1／１０００、1／２０００及び１／５０００の希釈液に調製した。全ての希釈液を以下の試験に使用した。

Ｂ） 安定性／据え置き状態での分離
Ｃ） ドレーブの湿潤時間
Ｄ） 拡散／液滴の面積／面積比
Ｅ） フォーム特性

Ｂ） 安定性／据え置き状態での分離
５０ｍｌの各希釈液をネスラー型比色管に移し、各溶液を０時間から１０日まで観察した。かかる結果を以下の表２に示す。

Ｃ） 湿潤時間（ドレーブ法）
約３００ｍｌの各希釈液（初めにより高い希釈液）を２５０ｍｌの容量測定用シリンダーに移した。錘に綿糸を取り付け、次いで錘を下端にしてシリンダー内に緩徐に移した。錘がシリンダーの底部に位置したら、直ちにストップウォッチをスタートさせ綿糸の位置を観察した。綿糸がシリンダーの底に落ちた際の時間を記録した。この方法を数回繰り返し、各溶液の湿潤時間の平均を記録した。一般的に、再現性は表３に示すように報告値の１０％以内であった。アグゾールＥｘ８の水溶液を濃塩酸によってｐＨ〜１．２まで酸性にして、アグゾールＥｘ８を溶解した。アグゾールＥｘ８を使用した他の全ての組成物には酸を加えなかった。

Ｄ）拡散効果
上質のミリ方眼紙を２枚の１２インチ×１２インチのガラス板間に挿入した。各溶液２０マイクロリットルをガラス板の上に搭載したパラフィルムワックス紙の上に移した。２０倍の拡大鏡で液滴を観察することによって、各液滴の時間と直径を直ちに記録した。３分後、同じ液滴の直径を再び測定した。この手順を同じ液滴について少なくとも３回繰り返した。同様にして、蒸留水の液滴の平均直径を３分後に記録した。表４に示すように、各組の液滴の半径と水滴の半径の平方の比を、拡散効果の尺度として算出した。

Ｅ）フォーム特性
５０ｍｌの溶液を正確に１００ｍｌの測定用シリンダーに移し、栓をして、溶液を１８０°の角度で２５回ひっくり返した。フォームの容積高さを、０分から１分おきに１５分間記録し、フォーム容積高さを記録した。その後、この手順を繰り返し、各分毎に読み取った２つの読み取り値の平均をｍｍの長さで記録した。同様にして、全希釈原液のフォーム高さを測定した（組成物６及び７又はＳＷ１及びＳＷ２のフォーム高さに関する表５を参照）。

表２は、表１の所定組成物の１／１００、１／５００、１／１０００、及び１／２０００の希釈比率による物理的安定性を示す。全ての組成物は１０日後でも透明なままであった。しかし、如何なる陰イオン性界面活性剤も含まないベース組成物（ＳＷ１）は、１／１００希釈率で水で希釈すると、２４時間以内に２相に分離した。然るに、ラウレス硫酸ナトリウムの５％水溶液（２ＥＯ又は３ＥＯのいずれか）を添加すると、希釈液の安定性は十分に改善された。

アグゾール(登録商標)Ｅｘ８、トマドール(登録商標)１−３及びローダペックス(登録商標)ＥＳ−２水溶液及び／又はスタンダポール(登録商標)ＥＳ−３の混合物の１／１００、１／５００、１／１０００、１／２０００及び１／５０００希釈率での湿潤、拡散及びフォーム特性を測定した。結果を表３から表５に示す。

（N-オクチル又はN-ドデシルピロリドン）、２ＥＯ及び３ＥＯを有するエトキシ化ノニノール並びにラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウム水溶液の三元混合物は、水で希釈すると、透明度、湿潤、拡散性、及びフォームの優れた特性を示した。優れた湿潤（綿）及びパラフィルム（登録商標）表面での拡散がこれら混合物で観察された。最も好ましい透明度が三元混合物によって、すなわち例えばラウレス硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムのような陰イオン性乳化剤の存在下で観察された。本発明の組成物は、疎水性表面上で湿潤及び拡散が不可欠な用途、例えば、農学的配合物でのタンク混合用添加剤、及びクリーニング組成物での添加剤がある。ラウレス硫酸ナトリウムを含む三元混合物は、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を含む三元混合物に匹敵する性質を示すが、ラウレス硫酸ナトリウムはラウリル硫酸ナトリウムに較べて皮膚刺激が低いため、ラウレス硫酸ナトリウムがパーソナルケア製品に特に有利である。

特定の実施態様を特に参照して本発明を記載したが、当業者の技術の範囲内である変更及び修正が成されうることは理解されるであろう。従って、前記請求項によってのみ制約されることが意図されている。

Claims (12)

1. （ａ） １０−３０重量％のオクチル又はドデシルピロリドン、
   （ｂ） ５０−９０重量％のエトキシ化アルコール
   （ｃ） ０．５−５重量％の(ａ)及び(ｂ)用相溶化剤、並びに
   （ｄ） ０−１０重量％の水
   を備える安定な湿潤剤濃縮物。
2. 前記（ｂ）がエトキシ化ノニルアルコールである請求項１記載の安定な湿潤剤濃縮物。
3. 前記（ｂ）が２または３エチレンオキシド単位を含む請求項１記載の湿潤剤濃縮物。
4. (ａ)：（ｂ）の重量比が約８０：２０である請求項１記載の湿潤剤濃縮物。
5. （ｃ）がラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである請求項１記載の湿潤剤濃縮物。
6. （ｃ）が陰イオン性乳化剤である請求項１記載の湿潤剤濃縮物。
7. （ａ）が１９重量％、
   （ｂ）が７６重量％、
   （ｃ）が１．５重量％、及び
   （ｄ）が３．５重量％
   である請求項１記載の安定な湿潤剤濃縮物。
8. 請求項１の湿潤剤濃縮物および希釈水を備える安定な湿潤剤組成物。
9. 希釈水が１：５０から１：５０００である請求項８記載の安定な湿潤剤濃縮物。
10. 前記希釈比が１：１０００から１：２０００である請求項９記載の安定な湿潤剤濃縮物。
11. 請求項１記載の湿潤剤濃縮物を含む有用配合物。
12. 農業用スプレー溶液、表面洗浄剤、車用洗剤又は油だめ用洗浄液であることを特徴とする請求項１１記載の有用配合物。