JP2007537743A - T細胞レセプターを改善する方法 - Google Patents

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Abstract

所定の標的pMHCに特異的な所定のTCRの親和性を増大させ及び/又は解離速度を減少させる方法であって、該所定のTCRの対応するCDR2配列とは異なるα鎖CDR2配列及び/又はβ鎖CDR2配列を有するが、該所定のTCRと同じα及びβのCDR1配列及びCDR3配列を有する複数のTCRを作り、該標的pMHCについて該複数のTCRからのメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のメンバーを選択することを含んでなる方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、所定の標的ペプチド-MHC複合体(「pMHC」)に特異的な所定のT細胞レセプター(「TCR」)の親和性を増大させ及び/又は解離速度(off-rate)を減少させる方法に関し、この方法は、該所定のTCRの対応するCDR2(相補性決定領域2)配列とは異なるα鎖CDR2配列及び/又はβ鎖CDR2配列を有する複数のTCRを作り、該標的pMHCについて該複数のTCRからのメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCについて該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCについて該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のメンバーを選択することを含んでなる。
(本発明の背景)
TCRは、T細胞による特定のpMHCの認識を媒介し、それ自体が免疫系の細胞性因子(arm)の機能化に必須である。天然型(native)TCRは、シグナル伝達を媒介することに関与するCD3複合体の非変形タンパク質と会合する免疫グロブリンスーパーファミリーのヘテロ二量体細胞表面タンパク質である。TCRはαβ形態及びγδ形態で存在し、これらの形態は、構造的に類似するが、全く異なる解剖学的所在及びおそらくは機能を有する。MHCクラスI及びクラスIIリガンドもまた、免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質であるが、抗原提示細胞(「APC」)表面で多様な数々の短いペプチドフラグメントを提示することを可能にする高度に多形性のペプチド結合部位を有して抗原提示に特化している。
2つのさらなるクラスのタンパク質が、TCRリガンドとして機能し得ることが知られている。(1)CD1抗原は、その遺伝子が古典的なMHCクラスI及びクラスII抗原とは異なる染色体に位置するMHCクラスI関連分子である。CD1分子は、従来のクラスI及びクラスII-MHC−ペプチド複合体と同様の様式で、ペプチド部分及び非ペプチド(例えば、脂質、糖脂質)部分をT細胞に提示することができる(例えば、Barclayら(1997) The Leucocyte Antigen Factsbook 第2版,Academic Press、及びBauer(1997) Eur J Immunol 27(6) 1366-1373を参照)。細菌性スーパー抗原は、クラスII MHC分子とTCRのサブセットとの両方に結合できる可溶性毒素である(Fraser(1989) Nature 339 221-233)。多くのスーパー抗原が1又は2のVβセグメントに対して特異性を示す一方、その他のものはより無差別な結合を示す。ともかく、スーパー抗原は、多クローン性様式でT細胞のサブセットを刺激する能力により、亢進した免疫応答を誘発することができる。
天然型ヘテロ二量体αβ及びγδTCRの細胞外部分は2つのポリペプチドからなり、その各々が、膜近位定常ドメイン及び膜遠位可変ドメインを有する。定常ドメイン及び可変ドメインの各々が鎖内ジスルフィド結合を含む。可変ドメインは、抗体の相補性決定領域(CDR)と同様な高度多形性ループを含有する。αβTCRのCDR3は、MHCにより提示されたペプチドと優勢に相互作用し、αβTCRのCDR1及びCDR2は、そのペプチド及びMHCと優勢に相互作用する。TCR可変ドメイン配列の多様性は、連結している可変(V)、多様性(D)、連結(J)及び定常遺伝子の体細胞再編成(somatic rearrangement)を介して生じる。
機能的なα鎖TCRポリペプチド及びγ鎖TCRポリペプチドは、再編成V-J-C領域により形成される一方、β鎖及びδ鎖はV-D-J-C領域からなる。細胞外定常ドメインは、膜近位領域及び免疫グロブリン領域を有する。それぞれTRAC及びTRDCとして知られる、単一のα鎖及びδ鎖定常ドメインが存在する。β鎖定常ドメインは、TRBC1及びTRBC2として知られる(IMGT命名法)2つの異なるβ定常ドメインの1つから構成される。これらβ定常ドメイン間には4つのアミノ酸変化が存在し、そのうちの3つは、本発明のファージ粒子上にディスプレイされる単鎖TCRを作成するために使用するドメイン内にある。これらの変化は全て、TRBC1及びTRBC2のエキソン1内にあり(N4K5→K4N5及びF37→Y(IMGT番号付け、差異TRBC1→TRBC2))、2つのTCRβ鎖定常領域間の最後のアミノ酸変化は、TRBC1及びTRBC2のエキソン3にある(V1→E)。定常γドメインは、TRGC1、TRGC2(2×)又はTRGC2(3×)のいずれか1つから構成される。2つのTRGC2定常ドメインは、この遺伝子のエキソン2によりコードされるアミノ酸の、存在するコピー数のみが異なる。
TCR細胞外ドメインの各々の範囲はいくらか変化し得る。しかし、当業者は、The T Cell Receptor Facts Book,Lefranc及びLefranc,Academic Press発行,2001のような参考文献を使用して、ドメイン境界の位置を容易に決定できる。
TCRは組換え手段により作製することができる。組換えTCRの作製のために今日までに多くの構築物が考案されている。これら構築物は2つの広義のクラス:単鎖TCR(「scTCR」)及び二量体TCR(「dTCR」)に分けられる。
ディスプレイ法
粒子ディスプレイ法は、主に、所望され得る性質(例えば、亢進した発現収率、結合及び/又は安定性の特性)を有するタンパク質を同定するために使用されてきた。これらの方法は、核タンパク質粒子の表面に発現されるタンパク質又はポリペプチドの多様性プール又は「ライブラリ」を作ることを含む。これら粒子は2つの鍵となる特徴を有する。第一に、各粒子は、単一の変形タンパク質又はポリペプチドを提示する。第二に、発現するタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝物質は、該粒子の遺伝物質に結合している。このライブラリは、次いで、1回又はそれ以上の選択に付される。例えば、これは、リガンドを変異レセプターの粒子ディスプレイライブラリーと接触させ、どの変異レセプターが最高の親和性で該リガンドと結合するかを同定することからなってもよい。一旦、選択プロセスが完了すると、所望の性質を有するレセプターを単離することができ、レセプターの配列決定を可能とするために、その遺伝物質を増幅することができる。
特に好ましいのは、バクテリオファージ粒子がその表面タンパク質に融合した異種ペプチド又はポリペプチドを発現することができる能力に基づくファージディスプレイ技法である(Smith(1985)Science 217 1315-1317)。手順は全く一般的であり、ポリペプチド単量体のディスプレイについての当該分野において十分に理解されている。しかし、天然型形態で二量体として会合するポリペプチドの場合、抗体のファージディスプレイのみが十分に研究されてきたようである。
単量体ポリペプチドディスプレイについては2つの主な手順が存在する:
第1(方法A)は、ベクター(ファージミド)中に、バクテリオファージのコートタンパク質をコードするDNAと融合した異種ペプチド又はポリペプチドをコードするDNAを挿入することによる。次いで、異種ペプチド又はポリペプチドをディスプレイしているファージ粒子の発現を、そのファージミドで細菌細胞をトランスフェクトした後に形質転換細胞を「ヘルパーファージ」に感染させることにより行なう。ヘルパーファージは、機能的なファージ粒子を作成するために必要であるファージミドによりコードされないファージタンパク質の供給源として作用する。
第2(方法B)は、異種ペプチド又はポリペプチドをコードするDNAを、バクテリオファージのコートタンパク質をコードするDNAと融合した完全ファージゲノム中に挿入することによる。次いで、異種ペプチド又はポリペプチドをディスプレイしているファージ粒子の発現を、そのファージゲノムを細菌細胞に感染させることにより行なう。この方法は、「単一工程」プロセスであるという、第1の方法に対する利点を有する。しかし、得られるファージ粒子中へのパッケージングに成功し得る異種DNA配列のサイズは、減少する。M13、T7及びλがこの方法に適切なファージの例である。
方法Bの変形には、ディスプレイされる異種ペプチドをコードするファージゲノム中のDNAに、ヌクレオチド結合性ドメインをコードするDNA配列を付加し、更に、ファージゲノムに、対応するヌクレオチド結合性部位を付加することが含まれる。このことにより、異種ペプチドはファージゲノムに直接付着するようになる。次いで、このペプチド/ゲノム複合体を、異種ペプチドをディスプレイするファージ粒子中にパッケージングする。この方法はWO99/11785に記載されている。
次いで、ファージ粒子を回収し、異種ペプチド又はポリペプチドの結合特性を研究するために使用することができる。一旦単離されると、ファージミド又はファージのDNAは、ペプチド又はポリペプチドをディスプレイするファージ粒子から回収することができ、このDNAは、PCRにより複製することができる。PCR産物は、所定のファージ粒子によりディスプレイされる異種ペプチド又はポリペプチドを配列決定するために使用することができる。
単鎖抗体及びそのフラグメントのファージディスプレイは、これらポリペプチドの結合特性を研究する慣用手段となっている。ファージディスプレイ技法及びバクテリオファージの生物学を総説する利用可能な多くの本が存在する(例えばPhage Display - A Laboratory Manual,Barbasら(2001)Cold Spring Harbour Laboratory Pressを参照)。
第3のファージディスプレイ法(方法C)は、所望の位置にシステイン残基を有する異種ポリペプチドは、ファージミド又はファージのゲノムによって可溶形態で発現させることができ、表面に露出した位置にもシステイン残基を有する改変ファージ表面タンパク質と、2つのシステイン間のジスルフィド連結の形成により、結合させことができるという事実に基づく。WO01/05950は、単鎖抗体由来ペプチドの発現についてこの代替連結法の使用を詳述している。
高親和性TCR
T細胞は胸腺で成熟し、そこで、一般にはポジティブ選択及びネガティブ選択と呼ばれる少なくとも2つの選択機構を経験する。ほとんどの又は全てのTCRの構造は、可変の相補性決定領域(CDR)によるMHC/ペプチド結合に適切なフレームワークを提供する或る特定の一般的な構造上の特徴を共有すると考えられている(Chothiaら、Embo J (1988) 7: 3745-55)。したがって、ほとんどのTCRは、MHC/ペプチド複合体に関して本来的な親和性を有し得る(Chothiaら、Embo J (1988) 7: 3745-55)。胸腺で、MHC分子(これに対してTCRが提示される)(「自己」MHC分子)の1つに関して或る特定の最小レベルの親和性を有するTCRのみがポジティブ選択される。自己MHC分子の1つに関して高親和性を有するT細胞はネガティブ選択される(Amsen及びKruisbeek(1998) Immunol Rev 165: 209-29;Sebzdaら(1999) Annu Rev Immunol 17: 829-74)。
細胞性免疫におけるTCRは、体液性免疫における抗体と同様であると考えることができる。抗体は、それ自体で治療薬として(例えば、ハーセプチン)、又は標的化因子として(例えば、マイロターグ(mylotarg))の使用に成功しており、この分野での関心が増し続けている。T細胞レセプターを使用して、類似のストラテジーが企図し得る。したがって、可溶性TCRは、特定のTCR-pMHC相互作用を研究する目的だけでなく、感染を検出するか、自己免疫疾患マーカーを検出するか、又はT細胞ワクチンの効力を検出するための診断ツールとしても有用である。可溶性TCRはまた、染色における適用、例えばMHCに関して提示される特定のウイルス抗原の存在について細胞を染色するための適用を有する。同様に、可溶性TCRは、特定の抗原を提示する細胞に、治療薬、例えば細胞傷害性化合物又は免疫刺激性化合物を送達するために使用することができる。
しかし、2つの要因がこのような方法でのTCRの開発を妨げている。第1には、可溶性(すなわち膜非結合)T細胞レセプターの作製のための一般的に適用可能な方法が最近まで利用可能でなかった。第2には、特異的pMHCリガンドに関するT細胞レセプターの親和性は、抗体(nM範囲のKD)よりずっと低い(μM範囲のKD)。このTCRのより低い親和性は、発生の間のネガティブ選択の結果であると考えられ、したがって自己MHC-ペプチド複合体に関して高親和性を有するTCRを見出すことは、おそらく不可能である(Salzmann及びBachmann,Molecular Immunology,1998,35:65-71)。
(発明の簡単な説明)
本発明は、所定のペプチド-MHCに結合するTCRのTCRα鎖CDR2配列及び/又はTCRβ鎖CDR2配列への変異の導入が該pMHCとの相互作用に関して少なくとも10倍大きい親和性及び/又は少なくとも10倍遅い解離速度を生じることができるという知見に基く。α鎖及びβ鎖の各々が3つのCDR配列(CDR1、CDR2、及びCDR3)を含有するので、CDR2配列のみの変異が親和性及び/又は解離速度の上記のような改善を有するTCRを生じ得るとは予測されなかった。特に、pMHCのペプチドとの相互作用において優勢であると考えられているのはCDR3領域であり、したがって親和性を増大させ及び/又は解離速度を減少させるための最も見込みのあるストラテジーであると予測され得るのはCDR3配列の変異であるので、予測されない。
(発明の詳細な説明)
1つの広い観点において、本発明は、所定の標的pMHCに特異的な所定のTCRの親和性を増大させ及び/又は解離速度を減少させる方法を提供し、この方法は、該所定のTCRの対応するCDR2配列とは異なるα鎖CDR2配列及び/又はβ鎖CDR2配列を有する複数のTCRを作り、該標的pMHCに関して該複数のTCRからのメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のメンバーを選択することを含んでなる。
本発明の方法の1つの実施形態は、(a)所定のTCRに関してα鎖CDR2配列で変異しているがβ鎖CDR2配列では変異していない第1の複数のTCRを作り、(b)別に、該所定のTCRに関してβ鎖CDR2配列で変異しているがα鎖CDR2配列では変異していない第2の複数のTCRを作り、(c)標的pMHCに関して第1及び第2の複数のTCRからのメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する各々の複数のTCRからのメンバーを1又はそれ以上選択し、(d)各々の複数のTCRからの選択したメンバーのCDR2配列を決定し、(e)各々が第1の複数のTCRからのα鎖CDR2配列及び第2の複数のTCRからのβ鎖CDR2配列を有する1又はそれ以上のTCRを作り、(f)標的pMHCに関する工程(e)で作った1又はそれ以上のTCRの親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択することを含んでなる。
本発明の方法の別の実施形態は、(a)所定のTCRのα鎖及びβ鎖の両方をコードする核酸を提供し、(b)該核酸をα鎖CDR2配列の1又はそれ以上のコドン及びβ鎖CDR2配列の1又はそれ以上のコドンの変異誘発に付し、(c)工程(b)の変異した核酸から、該所定のTCRに関してα鎖CDR2配列の1又はそれ以上のアミノ酸及びβ鎖CDR2配列の1又はそれ以上のアミノ酸で変異した複数のTCRを作り、(d)標的pMHCに関する該複数のTCRからのメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のメンバーを選択することを含んでなる。
前記実施形態の工程(b)では、核酸は、α鎖CDR2配列の3つまでの連続コドン及びβ鎖CDR2配列の3つまでの連続コドンの変異誘発に付してもよい。工程(c)では、所定のTCRに関してα鎖CDR2配列3つまでの連続アミノ酸及びβ鎖CDR2配列の3つまでの連続アミノ酸で変異した複数のTCRが作られてもよい。
本発明の好ましい実施形態では、標的pMHCに関して所定のTCRより少なくとも50倍大きい親和性及び/又は少なくとも50倍遅い解離速度を有する複数のTCRからの1又はそれ以上のメンバーが選択される。
本発明の別の好ましい実施形態では、標的pMHCに関して所定のTCRより少なくとも100倍大きい親和性及び/又は少なくとも100倍遅い解離速度を有する複数のTCRからの1又はそれ以上のメンバーが選択される。
本発明の更なる好ましい実施形態では、標的pMHCに関して所定のTCRより少なくとも500倍大きい親和性及び/又は少なくとも500倍遅い解離速度を有する複数のTCRからの1又はそれ以上のメンバーが選択される。
本発明の方法の1つの実施形態は、上記のように選択したTCRのCDR2配列を決定し、決定したCDR2配列が組み込まれているTCRのストックを作製する追加の工程を含む。
本発明に関しては、用語「標的pMHCに関して所定のTCRより少なくともx倍大きい親和性及び/又は少なくともx倍遅い解離速度を有するTCR」は、公知の方法により測定したとき、相互作用の速度論(kinetics)における前記改善の一方又は両方がなされていることを意味すると理解される。
例えばx=10のとき、標的pMHCに関する所定のTCRのKDが10μMであれば、標的pMHCに関するKDが1μM以下である変異TCRα鎖CDR2配列及び/又は変異TCRβ鎖CDR2配列を含んでなる全ての選択したTCRがこの基準を充足し;x=10のとき、標的pMHCに関する所定のTCRのkoffが1×10-3-1であれば、標的pMHCに関するkoffが1×10-4-1以下である変異TCRα鎖CDR2配列及び/又は変異TCRβ鎖CDR2配列を含んでなる全ての選択したTCRがこの基準を充足する。
標的pMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定する適切な方法は、表面プラズモン共鳴による測定である。本明細書中の実施例6は、この測定を実施の仕方を詳細に説明している。
CDR2変異を含んでなる複数のTCRの作製
複数の変異したTCRを作る多くの方法が存在する。
これら方法は2つのカテゴリーに分けられる:
(i)核タンパク質と会合した複数の変異したTCRを作製して、個々のTCR変異体とそれらをコードする遺伝物質との間に連関が存在するTCRライブラリを形成する。核タンパク質が会合したTCRのライブラリは、該ライブラリのメンバーが特定のTCRリガンド、例えばpMHCに結合する能力についての情報を並列に提供するパニング法での使用に特に適切である。このパニング法により選択したTCRライブラリからの幾つかのメンバーは、次いで、一連の更なる親和性及び/又は解離速度の評価を受けてもよい。
(ii)会合した核タンパク質を欠いている可溶性変異体TCRの作製。このような可溶性TCRはTCRライブラリの作製に適切ではなく、複数のこれら可溶性TCRからの各メンバーは、一般に、個別の親和性及び/又は解離速度の評価を必要とする。
本明細書で使用する用語「可溶性TCR」は、
(i)天然型膜貫通ドメインを欠き、
(ii)核タンパク質と会合しておらず、
(iii)同族のpMHCと結合する能力を保持している
任意のTCRをいうと理解される。
当業者に公知であるように、具体的なヒトTCRα鎖又はヒトTCRβ鎖のアミノ酸配列内でのCDR2配列の位置は、IMGT番号付け体系を使用して可変ドメイン残基を番号付けることにより位置決めすることができる(The T Cell Factsbook 第2版,Lefranc及びLeFranc Academic Press 2001)。この体系を使用して、TCRα鎖及びβ鎖のCDR2配列は、可変ドメインの番号56〜65(両端を含む)の残基間に存在する全てのアミノ酸からなる。
当業者に自明であるように、TCRα鎖CDR2配列及び/又はTCRβ鎖CDR2配列に導入する変異は、1又はそれ以上の置換、欠失又は挿入であり得る。これらCDR2変異は任意の適切な方法を用いて実施することができる。その方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、制限酵素クローニング(restriction enzyme-based cloning)、又はライゲーション非依存性クローニング(ligation independent cloning)(LIC)手順が含まれるがこれらに限定されない。これら方法は、多くの標準的な分子生物学の教科書に詳述されている。PCR変異誘発及び制限酵素に基くクローニングに関する更なる詳細については、Sambrook及びRussell(2001) Molecular Cloning - A Laboratory Manual(第3版) CSHL Pressを参照。LIC手順についての更なる情報は、Rashtchian(1995) Curr Opin Biotechnol 6 (1): 30-6に見出すことができる。
更なる実施形態は、TCRα鎖CDR2配列及び/又はTCRβ鎖CDR2配列の2又はそれ以上のアミノ酸が変異した本発明における使用のためのTCRを提供する。
当業者に公知であるように、部位特異的変異誘発により、単一点変異又は複数変異を個々の可溶性TCRの一方又は両方のCDR2配列に導入して、親和性及び/又は解離速度の評価用の複数の変異体TCRを作製することができる。
しかし、これは、多数のTCR変異体の作製及び試験に理想的には適していない比較的時間を要する方法である。したがって、ライブラリに基くアプローチは、変異α鎖CDR2配列及び/又は変異β鎖CDR2配列を含んでなる複数のTCRの作製に好ましい。本明細書中の実施例は、このようなライブラリを作製するに必要な方法の詳細な説明を提供する。
CDR2変異を含んでなる高親和性TCRを単離する方法
本発明の1つの実施形態では、複数のTCRは可溶形態で作られ、標的pMHCに結合するものの親和性及び/又は解離速度を決定し、所望の親和性及び/又は解離速度を有するものを選択するために、順次、該標的pMHCと接触させる。
本発明の好ましい実施形態では、複数のTCRは、多様性がCDR2配列に存する、ファージによりディスプレイされるαβ二量体TCRの多様性ライブラリとして作られる。
本発明の代替の実施形態では、複数のTCRは、多様性が少なくともCDR2配列に存する、リボソームによりディスプレイされるαβ単鎖TCRの多様性ライブラリとして作られる。WO 2004/044004は、リボソーム上に単鎖TCR(scTCR)をディスプレイするために必要な方法の説明を提供する。
ディスプレイされるTCR
以下は、CDR2変異を含んでなるTCRの核タンパク質との会合によるディスプレイに好ましいTCRの設計である。これらTCRの設計は、会合した核タンパク質がない可溶性TCRとしての使用にも等しく適していることに留意すべきである。
ディスプレイされるdTCR
本発明の1つの好ましい実施形態では、ディスプレイされるαβ二量体TCRは、TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第1のポリペプチドと、TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第2のポリペプチドとを含んでなり、第1及び第2のポリペプチドは天然型αβT細胞レセプター中に等価物がないジスルフィド結合により連結され、第1及び第2のポリペプチドの一方が、C末端で、核タンパク質(通常、ファージ粒子)の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結している。
本発明の具体的実施形態では、第1及び第2のTCRポリペプチドは、TRAC*01のエキソン1のThr48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer57、又はそれらの非ヒト等価物から置換されたシステイン残基間のジスルフィド結合により連結され、第1及び第2のポリペプチドの一方は、C末端で、ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結している。
非天然型ジスルフィド鎖間結合を形成するためのシステイン残基への変異のための残基は、ImMunoGeneTics(IMGT)命名法を用いて同定される(The T cell Receptor Factsbook 第2版(2001) LeFranc及びLefranc,Academic Press)。WO 03/020763は、特定の非天然型ジスルフィド鎖間結合、及びこれがその間に位置し得る代替の残基を導入するに必要な方法の詳細な説明を提供する。
ディスプレイされるscTCR
本発明の別の実施形態では、ディスプレイされるαβ scTCRポリペプチドは、例えば、
TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRα可変ドメイン配列に対応するアミノ酸配列により構成される第1のセグメント、
TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変ドメインに対応するアミノ酸配列により構成される第2のセグメント、
第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するか又はその逆に連結するリンカー配列、及び
第1及び第2の鎖の間のジスルフィド結合
を含んでなり、ジスルフィド結合は天然型αβT細胞レセプター中に等価物を有さないものであり、リンカー配列の長さ及びジスルフィド結合の位置は、第1及び第2のセグメントの可変ドメイン配列が天然型αβT細胞レセプター中と実質的に同様に互いに配向しているような長さ及び位置である。
或いは、ディスプレイされるscTCRは、
TCRα鎖可変ドメインに対応するアミノ酸配列により構成される第1のセグメント、
TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変ドメイン配列に対応するアミノ酸配列により構成される第2のセグメント、及び
第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列
を有するものであってもよく、又は
TCRβ鎖可変ドメインに対応するアミノ酸配列により構成される第1のセグメント、
TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRα鎖可変ドメイン配列に対応するアミノ酸配列により構成される第2のセグメント、及び
第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列
を有するものであってもよい。
dTCRポリペプチド対及びscTCRポリペプチド
ディスプレイされるscTCR又はdTCRに存在する定常ドメイン細胞外配列は、好ましくは、ヒトTCRのそれらに対応し、可変ドメイン配列も同様である。しかし、このような配列間の対応は、アミノ酸レベルで1:1である必要はない。対応するヒトTCR配列に対する、N末端若しくはC末端の切断並びに/又はアミノ酸の欠失及び/若しくは置換は許容され得る。特に、第1及び第2のセグメントに存在する定常ドメイン細胞外配列は、scTCR又はdTCRが結合するリガンドとの接触に直接関与しないので、天然型TCRの細胞外定常ドメイン配列より短くてもよいし、又はこの配列に対する置換若しくは欠失を含んでいてもよい。
ディスプレイされるdTCRポリペプチド対の一方若しくはディスプレイされるscTCRポリペプチドの第1のセグメントに存在する定常ドメイン細胞外配列は、TCRα鎖の細胞外定常Igドメインに対応する配列を含んでもよく、及び/又はその対の他方のメンバー若しくは第2のセグメントに存在する定常ドメイン細胞外配列は、TCRβ鎖の細胞外定常Igドメインに対応する配列を含んでもよい。
本発明の1つの実施形態では、ディスプレイされるdTCRポリペプチド対の一方のメンバー若しくはディスプレイされるscTCRポリペプチドの第1のセグメントは、TCRα鎖の定常ドメインの実質的に全ての細胞外ドメインのN末端に融合したTCRα鎖の実質的に全ての可変ドメインに対応し、及び/又はその対の他方のメンバー若しくは第2のセグメントは、TCRβ鎖の定常ドメインの実質的に全ての細胞外ドメインのN末端に融合したTCRβ鎖の実質的に全ての可変ドメインに対応する。
別の実施形態では、ディスプレイされるdTCRポリペプチド対又はディスプレイされるscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在する定常ドメイン細胞外配列は、TCRの天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を排除するように、C末端で切断した天然型TCRのα鎖及びβ鎖の定常ドメインに対応する。或いは、これらシステイン残基は、天然型ジスルフィド結合が欠失するように別のアミノ酸残基(例えばセリン又はアラニン)で置換していてもよい。加えて、天然型TCRβ鎖は、対合していないシステイン残基を含むが、その残基は、本発明のscTCRのβ配列から欠失されていてもよいし、その配列において非システイン残基で置換されていてもよい。
本発明の1つの特定の実施形態において、ディスプレイされるdTCRポリペプチド対又はディスプレイされるscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在するTCRα鎖及びβ鎖の可変ドメイン配列は、併せて、第1のTCRの機能的な可変ドメインに対応していてもよく、dTCRポリペプチド対又はscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在するTCRα鎖及びβ鎖の定常ドメイン細胞外配列は、第2のTCRのものに対応していてもよいが、第1及び第2のTCRは同じ種に由来する。したがって、dTCRポリペプチド対又はscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在するα鎖及びβ鎖の可変ドメイン配列は、第1のヒトTCRのそれらに対応していてもよく、α鎖及びβ鎖の定常ドメイン細胞外配列は、第2のヒトTCRのそれらに対応していてもよい。例えば、A6 Tax sTCR定常ドメイン細胞外配列は、異種のα及びβの可変ドメインが融合することができるフレームワークとして使用することが可能である。
本発明の1つの特定の実施形態において、ディスプレイされるdTCRポリペプチド対又はディスプレイされるscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在するTCRα鎖及びβ鎖の可変ドメイン配列は、併せて、第1のヒトTCRの機能的可変ドメインに対応していてもよく、dTCRポリペプチド対又はscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在するTCRα鎖及びβ鎖の定常ドメイン細胞外配列は、第2の非ヒトTCRのそれらに対応していてもよい。したがって、dTCRポリペプチド対又はscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントに存在するα鎖及びβ鎖の可変ドメイン配列は、第1のヒトTCRのそれらに対応していてもよく、α鎖及びβ鎖の定常ドメイン細胞外配列は、第2の非ヒトTCRのそれらに対応していてもよい。例えば、マウスTCR定常ドメイン細胞外配列は、異種ヒトα及びβのTCR可変ドメインが融合できるフレームワークとして使用することが可能である。
scTCRポリペプチド中のリンカー
ディスプレイされるscTCRについては、リンカー配列は、単一のポリペプチド鎖を形成するために、第1及び第2のTCRセグメントを連結する。リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-(式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸がグリシン及びセリンであるアミノ酸配列を表す)を有してもよい。
scTCRがリガンド(αβTCRの場合にはMHC-ペプチド複合体)に結合するために、第1及び第2のセグメントは、その可変ドメイン配列がそのような結合のために配向するように対合している。したがって、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端との間又は第1のセグメントのN末端と第2のセグメントのC末端との間の距離を橋渡しするに十分な長さを有するべきである。他方で、万一にもリンカーの末端部がN末端の可変ドメイン配列でscTCRと標的リガンドとの結合を遮断し又は減少させることがないように、好ましくは、過度なリンカー長は避けるべきである。
例えば、第1及び第2のセグメント中に存在する定常ドメイン細胞外配列が、TCRの天然型鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を排除するように、C末端で切断した天然型TCRのα鎖及びβ鎖の定常ドメインに対応し、リンカー配列が第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端を連結する場合。
リンカーは、例えば26〜41アミノ酸、好ましくは29、30、31若しくは32アミノ酸又は33、34、35若しくは36アミノ酸からなってもよい、特定のリンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-(配列番号:1)及び-PGGG-(SGGGG)6-P-(配列番号:2)(式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、Sはセリンである)を有する。
鎖間ジスルフィド結合
本発明のdTCR及びscTCRは、dTCRポリペプチド対又はscTCRポリペプチドの第1と第2のセグメントの定常ドメイン細胞外配列間のジスルフィド結合を有してもよい。この結合は、天然型二量体αβTCRに存在する天然型鎖間ジスルフィド結合に対応してもよいし、天然型TCR中に対応物(counterpart)を有さない、dTCRポリペプチド対又はscTCRポリペプチドの第1及び第2のセグメントの定常ドメイン細胞外配列中に特異的に組み込まれたシステイン間のものであってもよい。いくつかの場合では、天然型及び非天然型の両方のジスルフィド結合が、望ましくあり得る。
上記のように、WO 03/020763は、特定の非天然型ジスルフィド鎖間結合、及びこれがその間に位置し得る代替の残基を導入するために必要な方法の詳細な説明を提供する。
変異したTCRのライブラリの作製には、dTCR対又はscTCRにより、(a)dTCRポリペプチド対の一方の鎖をコードする核酸、及び(b)核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したdTCRポリペプチド対の他方の鎖をコードする核酸;又は核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したscTCRポリペプチドをコードする核酸を必要とする。
TCRの発現のためには、dTCR対又はscTCRにより、(a)dTCRポリペプチド対の一方の鎖をコードする核酸、及び(b)核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したdTCRポリペプチド対の他方の鎖をコードする核酸;又は核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したscTCRポリペプチドをコードする核酸を含んでなる発現ベクターで形質転換した宿主細胞を使用し得る。
好ましくは、発現系は、核酸(a)及び(b)を発現するファージミド又はファージゲノムベクターを含んでなる。好ましくは、これらファージミド又はファージゲノムベクターは、バクテリオファージgIII又はgVIIIのコートタンパク質をコードするものである。
形質転換細胞は、TCRをディスプレイする核タンパク質粒子の発現を可能にするようにインキュベートする。次いで、これらの粒子は、所望の親和性及び/又は解離速度特性を有するTCR変形体を同定するためのアッセイで使用することができる。次いで、調査中の所望の特性を有する任意の粒子を単離することができる。次いで、これらTCRをコードするDNAは、PCRにより増幅され、配列を決定することができる。
外因性ポリペプチドの高発現レベルは宿主細胞に対して毒性であり得ることが知られている。このような場合、外因性ポリペプチドにより寛容である宿主株を見出さなければならないか、又は宿主細胞における発現レベルを寛容されるレベルに限定しなければならないかのいずれかである。例えば、Beekwilderら(1999) Gene 228(1-2) 23-31は、欠失又はアンバー停止コドンを含有する変異形態のジャガイモプロテアーゼインヒビター(PI2)のみが、ファージディスプレイライブラリから選択することに成功したと報告している
scTCR又はdTCRの一方若しくは両方のTCR鎖の発現レベルを制限するに適切であり得る、宿主において所定の発現系からの外因性ポリペプチドの発現レベルを制限するための幾つかのストラテジーが存在する。これらのストラテジーはWO 2004/044004に記載されている。
発現後のscTCRポリペプチドの可変ドメイン配列の正確な対合が、好ましくは、scTCRの細胞外定常ドメイン中の導入ジスルフィド結合によって支援される。理論による限定は望まないが、新規なジスルフィド結合は、フォールディングプロセスの間にscTCRに対して特別な安定性を提供し、これによって第1及び第2のセグメントの正確な対合を容易にすると考えられる。
再び、dTCRファージディスプレイについて上で記載したように、dTCRポリペプチド対の一方は、ファージ上にまるで最終的に単量体ポリペプチドとしてディスプレイされるかのように発現し、dTCRポリペプチド対の他方は、同じ宿主細胞で共発現する。ファージ粒子が自己組織化するにつれて、2つのポリペプチドはファージ上で二量体としてディスプレイするために自己会合する。再び、本発明のこの観点の好ましい実施形態において、ポリペプチド対の会合の間の正確なフォールディングは、定常配列間のジスルフィド結合により支援される。鎖間ジスルフィド結合を有するdTCRのファージディスプレイのための手順の更なる詳細は、WO 2004/044004の実施例に見られる。
或いは、dTCRの第1の鎖をディスプレイするファージを先ず発現させ、第2の鎖のポリペプチドを、後の工程で、ファージ表面上での機能的dTCRとしての会合のために、発現したファージと接触させてもよい。
標的のペプチド-MHC複合体に関する高い親和性及び/又は遅い解離速度を有する変異したCDR2配列を含んでなるTCRを同定するバイオパニングのための好ましいインビトロTCRディスプレイ法は、リボソームディスプレイである。先ず、上記の技法を使用して、変異した多様な数々のscTCR又はdTCRポリペプチドをコードするDNAライブラリを構築する。次に、相補性mRNAライブラリを作製するためにDNAライブラリをRNAポリメラーゼと接触させる。選択肢として、mRNAディスプレイ技法のために、mRNA配列を、次に、ピューロマイシン結合性部位を含んでなるDNA配列に連結することができる。次いで、これら遺伝子構築物を、インビトロにて、scTCRポリペプチド又はdTCR対の第1のポリペプチドの翻訳を可能にする条件下でリボソームと接触させる。dTCRの場合には、ポリペプチド対の第2のポリペプチドは、別途発現させ、好ましくは定常ドメイン間でのジスルフィド結合の形成により支援された2つのポリペプチド間の会合のために、リボソームにディスプレイされた第1のポリペプチドと接触させる。或いは、TCRの両方の鎖をコードするmRNAを、インビトロにて、dTCRをディスプレイするリボソームが形成されるようにTCR鎖の翻訳を可能にする条件下でリボソームと接触させてもよい。これらscTCR又はdTCRをディスプレイするリボソームは、次いで、特定の亢進された特徴を有するTCR変形体を同定するためのスクリーニングのため又はアッセイで使用することができる。次いで、調査下にある亢進した特徴を保有する任意の粒子を単離することができる。これらTCRをコードするmRNAは、次いで、逆転写酵素を用いて相補性DNA配列に変換させることができる。次いで、このDNAはPCRにより増幅させることができ、配列を決定することができる。
本発明のscTCR又はdTCRは、核タンパク質粒子上、例えばファージ粒子上、好ましくは線状ファージ粒子上に、例えば以下の2つの手段によりディスプレイされてもよい:
(i)dTCRポリペプチド対の一方のメンバーのC末端、又はscTCRポリペプチドのC末端、又はいずれかのC末端に付着した短いペプチドリンカーのC末端を、核タンパク質粒子の表面露出残基にペプチド結合により直接連結することができる。例えば、表面露出残基は、好ましくは、バクテリオファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIの遺伝子産物のN末端にある;及び
(ii)dTCRポリペプチド対の一方のメンバーのC末端、又はscTCRポリペプチドのC末端、又はいずれかのC末端に付着した短いペプチドリンカーのC末端を、導入システイン残基を介して核タンパク質粒子の表面露出システイン残基にジスルフィド結合により連結する。例えば、表面露出残基は再び、好ましくは、バクテリオファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIの遺伝子産物のN末端にある。
M13及びf1は、遺伝子III及び遺伝子VIIIの遺伝子産物を発現するバクテリオファージの例である。
上記方法(i)が好ましい。scTCRの場合、該TCRをコードする核酸は、複製可能な粒子、例えばファージ又は細胞の粒子形成タンパク質又は表面タンパク質をコードする核酸に融合してもよい。或いは、停止コドンがないか又はピューロマイシンRNAに融合したmRNAを表す核酸は、TCRがリボソーム粒子に融合したままであるように、リボソームにより翻訳され得る。dTCRの場合、該TCRの一方の鎖をコードする核酸は、複製可能な粒子、例えばファージ又は細胞の粒子形成タンパク質又は表面タンパク質をコードする核酸に融合してもよく、該TCRポリペプチド対の第2の鎖は、第1の鎖をディスプレイする得られる発現粒子と会合させてもよい。2つの鎖の適正な機能的会合は、下記でより十分に議論するように、鎖間ジスルフィド結合を形成し得る2つの鎖の定常ドメイン中のシステインの存在によって支援され得る。
同族のリガンドに関して増大した親和性を有するTCR変形体の単離
本発明の具体的実施形態は、標的pMHCに結合するライブラリメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、所望の親和性及び/又は解離速度を有するものを選択するための方法を提供する。この方法では、
(i)ライブラリの幾つかのメンバーを並列して標的pMHCと接触させ、該pMHCに結合するメンバーを同定し、
(ii)工程(i)で同定したメンバーを順次、標的pMHCと接触させ、該pMHCに関するそれらの親和性を評価し、
(iii)工程(ii)で決定した所望の親和性を有する1又はそれ以上のメンバーを選択し、ディスプレイされているTCRのCDR2配列を決定し、
(iv)このように決定したCDR2配列が組み込まれている可溶形態TCRを作り、
(vi)該標的pMHCに関するこれらTCRの親和性及び/又は解離速度を再決定し、及び又は場合によっては決定し、
(vii)工程(vi)で決定した所望の親和性及び/又は解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択する。
更なる観点
本発明の方法により単離されるscTCR又はdTCR(好ましくは、ヒト配列に対応する定常配列及び可変配列により構成される)は、実質的に純粋な形態で、又は精製されたか若しくは単離された調製物として提供され得る。例えば、これは、他のタンパク質を実質的に含まない形態で提供されてもよい。
本発明はまた、本発明の方法により選択されたTCRの鎖を得るための方法を提供し、この方法は、その鎖をコードする核酸を含んでなる宿主細胞を、該鎖の発現を引き起こす条件下でインキュベートし、次いで該ポリペプチド鎖を精製することを含んでなる。dTCRは、次いで、実施例5に記載するように、精製したα及びβをリフォールディングさせることによって形成することができる。
本発明の各観点の好ましい性状は、その他の観点の各々についての性状と同様である(ただし必要な変更は加える)。本明細書中で言及した先行技術文献は、法が許す最大範囲で本明細書に組み込まれる。
本発明を以下の実施例で更に説明するが、実施例は本発明の範囲を如何なる態様でも限定するものではない。
以下で添付の図面に言及する。
図1a及び2bはそれぞれ、1G4 TCRのα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す。これら鎖の各々はシステイン残基をコードするように変異したコドンを有する。影付きはこれら変異コドンの位置を示す。
図2a及び2bはそれぞれ、図1a及び1bのDNA配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。影付きはこれら導入システイン残基の位置を示す。
図3は、ファージミドプラスミドpEX746:NY-ESOの完全DNA配列を詳述する。
図4はpEX922-1G4プラスミドのDNA配列を詳述する。
図5はpEX821プラスミドのDNA配列を詳述する。
図6はpEX954プラスミドのDNA配列を詳述する。
図7a及び7bはそれぞれ、非天然型ジスルフィド結合を形成するための追加のシステイン残基を含むように変異した可溶形のILA TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す。変異コドンを影付きで示す。
図8a及び8bはそれぞれ、図7a及び7bのDNA配列から産生されるILA TCRα鎖及びβ鎖の細胞外アミノ酸配列を示す。導入システインを影付きで示す。
図9a及び9bはそれぞれ、非天然型ジスルフィド結合を形成するための追加のシステイン残基を含むように変異した可溶形のHIV Gag TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す。変異コドンを影付きで示す。
図10a及び10bはそれぞれ、図4a及び4bのDNA配列から産生されるHIV Gag TCRα鎖及びβ鎖の細胞外アミノ酸配列を示す。導入システインを影付きで示す。
実施例1 − 1G4 CDR2ライブラリの構築
SLLMWITQC(配列番号:3)-HLA-A*0201複合体に、このpMHCに関して増大した親和性及び/又は減少した解離速度で結合する変形体を含有する2つのTCRライブラリを得るために、多数の変異を1G4 TCR鎖のCDR2α配列及びCDR2β配列に別々に導入した。
変異したフラグメントの集団を作製するために、順方向プライマーとして変異誘発性オリゴヌクレオチド(Jon342及びJon344)を、逆方向プライマーとして下流の完全相補性オリゴヌクレオチドを用いるPCR増幅を使用して、各CDR2配列について変異体の高度に多様性の集団を得た。CDR2αの場合、3つのコア残基をランダム化する(Jon342)一方で、CDR2βについては4つの残基をランダム化した(Jon344)。
後のライブラリ構築に好都合な制限部位を導入するために、2つの得られる変異誘発したPCRフラグメントの各々を、変異誘発性オリゴヌクレオチドの5'領域に重なる相補性を有するTCRオープンリーディングフレームの隣接部分を含んでなる追加のフラグメントに結合する。このスプライシング反応(オーバーラップ伸長によるスプライシング(Splicing by Overlap Extension)(SOE)と呼ばれる)は、側方に位置する適切な順方向及び逆方向のプライマー対を用いる第2のPCR反応で実施する。
PCR1 − 変異誘発したCDR2αフラグメントの作製:
38.5μlの水、5μlの10×PCR緩衝液、1.5μlのJon342プライマー(10μMストック)、1.5μlのCDR1bRevプライマー(10μMストック)、1G4 TCRα鎖及びβ鎖を含有する2.5ngの鋳型ベクター(pEX746:NY-ESO)、2μlのdNTP(20mM組合せストック)、1μlのpfu turbo polymerase。PCR反応は、95度にて2分間の最初の変性、続いて95度にて30秒間と53度にて30秒間と72度にて60秒間の30サイクルに付した。72度にて10分間の最終の伸長工程を含ませた。50μlのPCR反応物全体を1.4%のTBEアガロースゲル上で分離し、変異誘発産物を表すバンドを切り出し、製造業者の指示に従ってQiagen MinEluteキットを使用して精製した。
図1a及び1bはそれぞれ、1G4 TCRのα鎖及びβ鎖のDNA配列を示す。これら鎖の各々はシステイン残基をコードするように変異したコドンを有する。影付きはこれら変異コドンの位置を示す。
図2a及び2bはそれぞれ、図1a及び1bのDNA配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。影付きはこれら導入システイン残基の位置を示す。
図3はpEX746:NY-ESOプラスミドのDNA配列を詳述する。
PCR2 − 変異誘発したCDR2βフラグメントの作製:
プライマーJon344及びYol22に置換して上記のとおり。
PCR3 − CDR2α変異用の重複フラグメントの作製:
プライマーYol13及びCDR2aRevに置換して上記のとおり。
PCR4 − CDR2β変異用の重複フラグメントの作製:
プライマーCDR2aFw及びCDR2bRevに置換して上記のとおり。
PCR5 − スプライスしたPCR1/PCR3 CDR2α変異誘発フラグメントの作製:
PCR1及びPCR3からの精製した鋳型フラグメントを水に1:10に希釈し、各々1μlを、37μlの水と5μlの10×PCR緩衝液と1.5μlのYol13プライマー(10μMストック)と1.5μlのcdr1bRevプライマー(10μMストック)と2μlのdNTP(20mM組合せストック)と1μlのpfu turbo polymeraseとを含んでなる50μlのPCR反応液中で合わせた。スプライシングPCR反応は、95℃にて2分間の最初の変性、続いて95℃にて30秒間と54℃にて40秒間と72℃にて90秒間の27サイクルに付した。72℃にて10分間の最終の伸長工程を含ませた。12の同一PCR反応を実施した。12のPCR反応物をプールし、スプライスした変異誘発産物を、製造業者の指示に従ってQiagen Qiaquickキットを使用して精製した。
PCR6 − スプライスしたPCR2/PCR4 CDR2β変異誘発フラグメントの作製:
PCR2及びPCR4に置換して上記のとおり。
PCR5の変異誘発産物をNco I及びBssH IIで消化し、親の1G4 TCRオープンリーディングフレームを含有しNco I及びBssH IIで消化したpEX922-1G4ファージディスプレイベクター(図4はこのプラスミドのDNA配列を詳述する)中に連結した。このようにして、結果的に、親のCDR2α配列モチーフの、変異体配列の大きな多様性集団での置換を生じた。同じことをPCR6についても実施し、その結果、親の配列をCDR2β変異体配列の大きな多様性集団に置換した。しかし、この場合には、使用したクローニング酵素は、BssH II及びNot Iであった。
連結は、標準的なプロトコルに従いT4 DNAリガーゼを用いて3:1のインサート対ベクター比で行った。
連結したCDR2α変異体プール及びCDR2β変異体プールを、Qiagen MinEluteカラムでの濃縮及び脱塩の後に、独立してTG1細胞中にエレクトロポレートした。エレクトロポレーションは、細胞の市販業者(Stratagene)により提供されたプロトコルに従い、そして約300ngのDNA/50μlのエレクトロコンピテント細胞の比を用いて実施した。2つのエレクトロポレーションを2つのライブラリの各々について実施した。エレクトロポレーションの後、細胞を950μlの予め加温した(37℃)SOC培地に再懸濁することによりキュベットから回収し、50ml滅菌チューブ中で40分間穏やかに撹拌することにより回復させた。その後、1mlの回復した細胞を、滅菌振盪フラスコ(すなわちライブラリ当たり2つのフラスコ)において、100μg/mlアンピシリン及び1.6%グルコースを含有する50mlの2TY培地(1リットル当たり16gのBactoトリプトン、10gのBacto酵素抽出物、5gのNaCl)(2TYAG)に加えた。フラスコを5時間37℃にて280rpmで振盪させた。その期間後、培養物は1〜1.5のOD600に達した。細胞を遠心分離により集め、4ml/ライブラリの2TY+20%グリセロールに再懸濁した。小分け(250μl)をドライアイスで凍結し−80℃で貯蔵した。
プライマー:
Figure 2007537743
実施例2 − 変異したCDR2配列を含んでなる高親和性1G4 TCRの単離
実施例1に記載のように構築した2つのライブラリのプールを含んでなるファージ粒子集団から、変異したCDR2配列を含んでなる高親和性1G4 TCRの単離を行った。最初のパニングを、溶液で、SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体に結合し得る変異体1G4 TCRをディスプレイするファージ粒子の選択を利用して、以下のとおり行った:
ストレプトアビジンで被覆した常磁性体ビーズ(Dynal M280)を製造業者のプロトコルに従って予め洗浄した。変異した1G4 TCRをディスプレイするファージ粒子を1012〜1013cfuの濃度で、実施した3回全ての選択について1×10-7Mの濃度のビオチン化したSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体と予め混合した。1G4 TCRをディスプレイするファージ粒子とSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体との混合物を、穏やかに回転させながら室温にて1時間インキュベートし、ビオチン化SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体に結合した1G4 TCRディスプレイファージ粒子を、3回全てについて100μlのストレプトアビジンで被覆したM280磁性ビーズを用いて捕捉した。ファージ粒子の捕捉後、Dynal磁性粒子濃縮器を用いてビーズを合計6回(3回はPBStween20中、3回はPBS中で)洗浄した。最終の洗浄後、ビーズを100μlの新たに調製したPBS中に再懸濁し、50μlの再懸濁ビーズを使用して、選択したファージ粒子の増幅用に新たに調製した10mlのE.coli TG1にOD(600nm)=0.5で確立された方法に従って感染させた。
3回目の選択の後、プレートから300コロニーを採取し、これを、96ウェルマイクロタイタープレート中の100μlの2TYAGに接種した。培養物を振盪させながら30℃にて一晩インキュベートした。次いで、100μlの2TYAGに2〜5μlの一晩培養物を接種し、振盪させながら30℃にて2〜3時間又は培養物が濁るまでインキュベートした。細胞にヘルパーファージを感染させるために、培養物に5×109のpfuヘルパーファージを含有する100μlの2TYAGを感染させ、37℃にて60分間インキュベートした。5μlの感染培養物を200μlの2TYAK(「TYAG+100μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのカノマイシン)に加えた。プレートを300rpmで振盪させながら25℃にて20〜36時間インキュベートした。細胞を3000gで4℃にて10分間の遠心分離により沈降させた。上清を使用して、以下のとおり、ファージELISAにより高親和性1G4 TCR変異体についてスクリーニングした。
実施例3 − ファージ粒子上にディスプレイされた天然型及び変異型のジスルフィド連結CDR2変異体IG4 TCRの結合の基本ELISA分析及び競合ELISA分析
ファージ粒子上にディスプレイされたジスルフィド連結した天然型1G4 TCRと変異したCDR2配列を含んでなる1G4 TCRとを用いる以下の基本ELISAアッセイを、これら分子のSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体に関する親和性を評価するために使用した:
ニュートラビジン(Neutravidin)で被覆したNunc-Immuno Maxisorpウェルを、PBSで2回濯いだ。25μlの5μg/mlのビオチン化SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体を各ウェルに加え、これらを室温にて30〜60分間インキュベートし、続いてPBSで2回濯いだ。ウェル中の非特異タンパク質結合部位を、300μlのPBS中3%のスキムミルクを添加し、続いて室温にて2時間インキュベートすることによりブロックした。実施例2で詳述したように作製した変異体1G4 TCRをディスプレイするファージ粒子を調製するために、ファージ粒子をPBS中3%のスキムミルクと混合し、続いて室温にて1時間インキュベートした。ファージを、SLLMWITQC-HLA-A*0201で被覆したウェルに加え、室温にて1時間インキュベートし、続いて0.1%のTween 20を含有するPBSで3回洗浄し、次いでPBSで3回洗浄する。結合したTCRディスプレイファージ粒子は、抗fdポリクローナル一次抗血清、続いてアルカリホスファターゼ結合抗ウサギモノクローナル抗体(Sigma)を使用して二工程反応で検出する。
次いで、この基本ELISAアッセイでSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体に結合した、ファージによりディスプレイされたTCRを配列決定して、CDR2変異の性質を特徴付けた。次いで、これらTCRのSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体に関する親和性についての更なる情報を提供するために、関心あるファージミドクローンを競合ELISAアッセイに付した。
以下を除き、基本ELISAアッセイについて上で記載した正にそのとおりに競合ELISAアッセイを行った:変異体1G4 TCRをディスプレイするファージ粒子を調製するために、ファージ粒子をPBS中3%のスキムミルク及び100μl又は200μlの可溶性SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体と混合し、続いて室温にて1時間インキュベートした。
可溶性SLLMWITQC-HLA-A*0201の所定の添加について生じる結合阻害の程度は、TCRのSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体に関する親和性に比例する。
結果
以下の表は、本実施例で記載した3回目のパニングから得た基本ELISA陽性の20のヒット(hit)のCDR2配列を詳述する。
Figure 2007537743
* − このCDR2α配列で変異したグルタミンは、グルタミンの発現を生じるアンバーコドンによりコードされていた。
以下の表は、ファージによりディスプレイされる、WT 1G4 TCR及び基本ELISAにより同定された優勢変異体1G4 TCRについて得た競合ELISAデータを詳述する。変異体1G4 TCRは、CDR2配列の一方に変異があることを除き天然型可変ドメイン配列を含んでなっていた。
Figure 2007537743
実施例4 − 個々の関心あるCDR2ヒットを使用する第2世代ライブラリ
実施例3の競合ELISAアッセイにより特徴付けられたCDR2α配列又はCDR2α配列のいずれかに変異を含有する高親和性1G4 TCRをコードする3つのファージミドクローンを、更に変異させた。これは、これらクローンを第2世代ライブラリの構築用の出発鋳型として使用することにより実施した。これらライブラリは、実施例1に記載したPCRアプローチを用い各クローンのWT CDR2配列を変異させて構築した。
上記のように構築した3つのライブラリのプールを含んでなるファージ粒子集団から、二重に変異したCDR2配列を含んでなる高親和性1G4 TCRの単離を行った。使用したビオチン化SLLMWITQC-HLA-A*0201の濃度が1×10-8Mであったことを除き、3回のパニングは実施例2に記載のように実施した。
実施例3に記載のように、ヒットを同定し、特徴付けた。
結果
以下の表は、本実施例で記載した第2世代の3回目のパニングから得た基本ELISA陽性の20のヒットの配列を詳述する。
Figure 2007537743
このELISAアッセイにより同定した全てのCDR2α変異体は、SVSVGM CDR2β配列を含有することが判明した。
* − これらCDR2α配列の5つで変異したグルタミンは、グルタミン残基の発現を生じるアンバーコドンによりコードされていた。
** − これらCDR2α配列の両方で変異したグルタミンは、グルタミン残基の発現を生じるアンバーコドンによりコードされていた。
A − 実施例1〜3に記載の第1世代実験から回収したものの1つに正確に一致する変異体1G4 TCR配列を示す。
以下の表は、ファージによりディスプレイされるWT及び二重変異体の1G4 TCRについて得た競合ELISAデータを詳述する。変異体1G4 TCRは、両方のCDR2配列に変異があることを除き天然型可変ドメイン配列を含んでなっていた。
Figure 2007537743
実施例5 − 変異したCDR2配列を含んでなる可溶性の高親和性ジスルフィド連結1G4 TCRのファージミドからの作製
実施例3で記載したように同定した高親和性1G4 TCR変異体をコードするファージミドDNAを、Mini-Prepキット(Qiagen,UK)を使用して該当するE.coli細胞から単離した。
ファージミドDNAを鋳型として使用し以下のプライマーを使用してPCR増幅を行い、可溶性のTCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を増幅した。
Figure 2007537743
以下の条件を使用してPCRを行った:合計容量50μlで50ngのプラスミド鋳型、1μlの10mM dNTP、5μlの10×pfu緩衝液、25pmolのfwdプライマー、25pmolのrevプライマー、1μlのpfu。95℃にて2分間の最初の変性工程の後、反応を、変性(95℃、10秒間)とアニーリング(55℃、10秒間)と伸長(72℃、2分間)の25サイクルに付した。
高親和性1G4 TCRのジスルフィドリンカー形を作製するために、β鎖PCR産物を次いでAge1/Ase1で消化し、Nde/Age1で切断したpEX821(図5は配列についてこのプラスミドのDNAを詳述する)中にクローニングした。α鎖PCR産物をClaI/SalIで消化し、ClaI/XhoIで切断したpEX954(図6はこのプラスミドのDNA配列を詳述する)中にクローニングした。変異した可溶性1G4 TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を自動化配列決定により検証した。
実施例6 − 可溶性TCRの発現、リフォールディング、及び精製
実施例5で作製したTCRα鎖及びβ鎖をそれぞれ含有する発現プラスミドを、E.coli系統BL21pLysS中に別々に形質転換し、単一のアンピシリン耐性コロニーをTYP(アンピシリン100μg/ml)培地中で37℃にてOD600が0.4となるまで増殖させた後、0.5mM IPTGでタンパク質発現を誘導した。誘導の3時間後に、Beckman J-6Bにおける30分間4000rpmでの遠心分離により細胞を採集した。細胞ペレットを、50mM Tris-HCl、25%(w/v)スクロース、1mM NaEDTA、0.1%(w/v)アジ化Na、10mM DTTを含有する緩衝液(pH8.0)に再懸濁した。一晩の凍結-解凍工程後、再懸濁細胞を、Milsonix XL2020ソニケータにおいて標準の直径12mmプローブを用い1分間のバーストで合計約10分間超音波処理した。Beckman J2-21遠心機における13000rpmで30分間の遠心分離により封入体ペレットを回収した。次いで、3回の界面活性剤での洗浄を行い、細胞残渣及び膜成分を除去した。各回、封入体ペレットをTriton緩衝液(50mM Tris-HCl、0.5% Triton-X100、200mM NaCl、10mM NaEDTA、0.1%(w/v)アジ化Na、2mM DTT、pH8.0)中でホモジナイズした後、Beckman J2-21における13000rpmで15分間の遠心分離によりペレット化した。次いで、以下の緩衝液中での類似の洗浄により界面活性剤及び塩を除去した:50mM Tris-HCl、1mM NaEDTA、0.1%(w/v)アジ化Na、2mM DTT、pH8.0。最後に、封入体を30mgの小分けに分割し、−70℃で凍結した。封入体タンパク質の収率を、6Mグアニジン-HClでの可溶化及びBradford色素結合アッセイ(PerBio)での測定により定量した。
約30mgのTCRβ鎖及び60mgのTCRα鎖の可溶化した封入体を凍結ストックから解凍し、次いでサンプルを混合し、完全な鎖変性を確実にするために混合物を15mlのグアニジン溶液(6Mグアニジン-塩酸塩、10mM酢酸ナトリウム、10mM EDTA)中に希釈した。次いで、十分に還元し変性させたTCR鎖を含有するグアニジン溶液を、1リットルの以下のリフォールディング緩衝液に注入した:100mM Tris(pH8.5)、400mM L-アルギニン、2mM EDTA、5mM還元グルタチオン、0.5mM酸化グルタチオン、5M尿素、0.2mM PMSF。変性したTCR鎖を添加する前に、レドックスカップル(2-メルカプトエチルアミン及びシスタミン、それぞれ6.6mM及び3.7mMの最終濃度まで)を約5分間加えた。溶液を5時間±15分間放置した。リフォールディングしたTCRを、Spectrapor 1メンブレン(Spectrum;Product No. 132670)において、5℃±3℃にて18〜20時間、10Lの10mM Tris(pH8.1)に対して透析した。この時間の後、透析緩衝液を新鮮な10mM Tris(pH8.1)(10L)に交換し、5℃±3℃にて更に20〜22時間、透析を続けた。
透析したリフォールディング体をPOROS 50HQアニオン交換カラムに負荷し、Akta精製装置(Pharmacia)を用い50カラム容量にわたって0〜500mM NaClの勾配で結合タンパク質を溶出させることにより、sTCRを分解産物及び不純物から分離した。ピーク画分を4℃で貯蔵し、クーマシー染色SDS-PAGEにより分析した後にプールし、濃縮した。最後に、HBS-EP緩衝液(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、3.5mM EDTA、0.05% nonidet p40)中で予め平衡化したSuperdex 200HRゲル濾過カラムを用いて、sTCRを精製し特徴付けた。約50kDaの相対分子量で溶出するピークをプールし濃縮した後に、Biacore表面プラズモン共鳴分析により特徴付けた。
実施例7 − 特定pMHCへのsTCR結合のBiacore表面プラズモン共鳴特徴付け
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(Biacore 3000TM)を使用して、sTCRのペプチド-MHCリガンドへの結合を分析した。これは、ストレプトアビジンで被覆した結合表面に半配向様式で固定した単一pMHC複合体(下記で説明)を作製し、同時に4つまでの異なるpMHC(別々のフローセルに固定)に対する可溶性T細胞レセプターの結合の効率的な試験を可能にすることによって促進された。HLA複合体の手動での注入により、固定したクラスI分子を正確なレベルで容易に操作することが可能になる。
このような固定複合体は、T細胞レセプター及びコレセプターCD8ααの両方(これらは共に可溶相に注入され得る)に結合し得る。TCRの特異的結合は低濃度(少なくとも40μg/ml)でさえ得られる。このことはTCRが比較的安定であることを示す。sTCRのpMHC結合特性は、sTCRが可溶相又は固定相のいずで使用されても、質的及び量的に類似して観察される。これは、可溶性種の部分的な活性に対する重要なコントロールであり、しかもビオチン化pMHC複合体が非ビオチン化複合体と同程度に生物学的に活性であることを示唆する。
新規な鎖間結合を含有する1G4 sTCRとそのリガンド/MHC複合体又は無関係のHLA-ペプチド組合せ(これらの製造は上記で説明)との間の相互作用を、BIAcore 3000TM表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサで分析した。SPRは、レセプターリガンド相互作用を検出しその親和性及び動力学的パラメータを分析するために使用することができる原理である、小さなフローセル内のセンサ表面近くでの屈折率の変化(応答単位(RU)で表される)を測定する。β2mに架橋したビオチンとフローセルの活性化表面に化学的に架橋されたストレプトアビジンとの間の結合を介して、個々のHLA-ペプチド複合体を別々のフローセルに固定化することにより、プローブフローセルを準備した。次いで、異なるフローセルの表面上にsTCRを一定流速で通過させ、そうしている間のSPR応答を測定することにより、アッセイを実施した。
平衡結合定数の測定
WT IG4 sTCRの系列希釈物を調製し、1つは〜1000RUの特異的SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめは〜1000RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆した2つの異なるフローセル上に5μl/分の一定流速で注入した。コントロールセルからの測定値を使用して各濃度について応答を規格化した。規格化したデータ応答をTCRサンプルの濃度に対してプロットし、平衡結合定数KDを算出するために双曲線にフィットさせた(Price及びDwek,Principles and Problems in Physical Chemistry for Biochemists(第2版) 1979,Clarendon Press,Oxford)。
動力学パラメータの測定
高親和性TCRに関して、解離速度定数kd及び会合速度定数kaを実験的に測定することによりKDを決定した。平衡定数KDはkd/kaとして算出した。
1つは〜300RUの特異的SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめは〜300RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆した2つの異なるセル上にTCRを注入した。流速を50μl/分に設定した。代表的には、250μlのTCRを〜3μM濃度で注入した。次いで、反応がベースラインに戻るまで緩衝液を流した。Biaevaluationソフトウェアを用いて動力学パラメータを算出した。また、半減期の算出を可能とするために、解離相を一次指数関数減衰式にフィットさせた。
結果
可溶性ジスルフィド連結天然型1G4 TCRとSLLMWITQC-HLA-A*0201複合体との間の相互作用を、上記の方法を用いて分析して、KDが15μMでkoffが1.28×10-1S-1であると明らかにした。
以下の表は、変異したCDR2配列を有する高親和性1G4 TCRについて上記の方法を用いて得たBiacore結果を詳述する:
Figure 2007537743
実施例8 − ILA TCR CDR2ライブラリの構築
前述の実施例に記載した方法は、変異したCDR2配列を含んでなる他のTCRの高親和性変形体を作製し試験するために改変することができる。簡潔には、変異すべきTCR鎖をコードするDNAを、実施例1に記載のようなCDR2ライブラリを作製するための鋳型として使用する。必要な唯一の変更は、ライブラリ構築に利用するプライマーが、変異すべきTCR鎖のDNA配列の等価部分に相補的であるべきことである。
これら方法を、ILAKFLHWL(配列番号:34)-HLA-A*0201 pMHCに特異的に結合するILA TCRの変形体を作製し試験するために適用した。
天然型可変ドメイン及び導入システインコドンを含んでなるILA TCRの可溶性変形体のα及びβのTCR鎖のDNA配列は、それぞれ図7a及び7b(配列番号:35及び36)に提供する。
天然型可変ドメイン及び導入システイン残基を含んでなるILA TCRの可溶性変形体のα及びβのTCR鎖のアミノ酸配列は、それぞれ図8a及び8b(配列番号:37及び38)に提供する。
ILAKFLHWL(配列番号:34)-HLA-A*0201複合体にこのpMHCに関して増大した親和性及び/又は減少した解離速度で結合する変形体を含有するTCRライブラリを得るために、ILA TCR鎖のCDR2α配列及びCDR2β配列中に複数の変異を導入した。ILA TCRβ鎖は1G4 TCRβ鎖と同じTRBV6.5遺伝子に基づき、これら2つのTCRのCDR2β領域中及び該領域の周辺でアミノ酸配列及びDNA配列は同一であるので、非常に類似するプライマーを使用してILA TCR CDR2β配列を変異させた。
変異したフラグメント集団を作製するために変異誘発性オリゴヌクレオチド(Jon342及びJon344のILA TCR等価物)を順方向プライマーとして、下流の完全に相補的なオリゴヌクレオチドを逆方向プライマーとして用いるPCR増幅を使用して、各CDR2配列について高度に多様性の変異体集団を得た。CDR2αの場合、コア残基の3つをランダム化した(Jon342のILA TCR等価物)一方で、CDR2βについては4残基をランダム化した(Jon344のILA TCR等価物)。
後のライブラリ構築に好都合な制限部位を導入するために、2つの得られる変異誘発したPCRフラグメントの各々を、変異誘発性オリゴヌクレオチドの5'領域に重なる相補性を有するTCRオープンリーディングフレームの隣接部分を含んでなる追加のフラグメントに結合する。このスプライシング反応(オーバーラップ伸長によるスプライシング(SOE)と呼ばれる)は、側方に位置する適切な順方向及び逆方向のプライマー対を用いる第2のPCR反応で実施する。
PCR1 − 変異誘発したCDR2αフラグメントの作製:
38.5μlの水、5μlの10×PCR緩衝液、1.5μlのJon342プライマーのILA TCR等価物(10μMストック)、1.5μlのCDR1bRevプライマーのILA TCR等価物(10μMストック)、ILA TCRα鎖及びβ鎖を含有する2.5ngの鋳型ベクター(pEX746:ILA)、2μlのdNTP(20mM組合せストック)、1μlのpfu turbo polymerase。PCR反応は、95度にて2分間の最初の変性、続いて95度にて30秒間と53度にて30秒間と72度にて60秒間の30サイクルに付した。72度にて10分間の最終の伸長工程を含ませた。50μlのPCR反応物全体を1.4%のTBEアガロースゲル上で分離し、変異誘発産物を表すバンドを切り出し、製造業者の指示に従ってQiagen MinEluteキットを使用して精製した。
PCR2 − 変異誘発したCDR2βフラグメントの作製:
プライマーJon344及びYol22のILA TCR等価物に置換して上記のとおり。
PCR3 − CDR2α変異のための重複フラグメントの作製:
プライマーYol13及びCDR2aRevのILA TCR等価物に置換して上記のとおり。
PCR4 − CDR2β変異用の重複フラグメントの作製:
プライマーCDR2aFw及びCDR2bRevのILA TCR等価物に置換して上記のとおり。
PCR5 − スプライスしたPCR1/PCR3 CDR2α変異誘発フラグメントの作製:
PCR1及びPCR3からの精製した鋳型フラグメントを水に1:10に希釈し、各々1μlを、37μlの水と5μlの10×PCR緩衝液と1.5μlのYol13プライマーのILA TCR等価物(10μMストック)と1.5μlのcdr1bRevプライマーのILA TCR等価物(10μMストック)と2μlのdNTP(20mM組合せストック)と1μlのpfu turbo polymeraseとを含んでなる50μlのPCR反応物において合わせた。スプライシングPCR反応は、95℃にて2分間の最初の変性、続いて95℃にて30秒間と54℃にて40秒間と72℃にて90秒間の27サイクルに付した。72℃にて10分間の最終の伸長工程を含ませた。12の同一PCR反応を実施した。12のPCR反応物をプールし、スプライスした変異誘発産物を、製造業者の指示に従ってQiagen Qiaquickキットを使用して精製した。
PCR6 − スプライスしたPCR2/PCR4 CDR2β変異誘発フラグメントの作製:
PCR2及びPCR4に置換して上記のとおり。
PCR5の変異誘発産物をNco I及びBssH IIで消化し、親のILA TCRオープンリーディングフレームを含有しNco I及びBssH IIで消化したpEX922-ILAファージディスプレイベクター中に連結した。このようにして、結果的に、親のCDR2α配列モチーフの、変異体配列の大きな多様性集団での置換を生じた。同じことをPCR6についても実施し、その結果、親の配列をCDR2β変異体配列の大きな多様性集団に置換した。しかし、この場合には、使用したクローニング酵素は、BssH II及びNot Iであった。
連結は、標準的なプロトコルに従いT4 DNAリガーゼを用いて3:1のインサート対ベクター比で行った。
連結したCDR2α変異体プール及びCDR2β変異体プールを、Qiagen MinEluteカラムでの濃縮及び脱塩の後に、独立してTG1細胞中にエレクトロポレートした。エレクトロポレーションは、細胞の市販業者(Stratagene)により提供されたプロトコルに従い、そして約300ngのDNA/50μlのエレクトロコンピテント細胞の比を用いて実施した。2つのエレクトロポレーションを2つのライブラリの各々について実施した。エレクトロポレーションの後、細胞を950μlの予め加温した(37℃)SOC培地に再懸濁することによりキュベットから回収し、50ml滅菌チューブ中で40分間穏やかに撹拌することにより回復させた。その後、1mlの回復した細胞を、滅菌振盪フラスコ(すなわちライブラリ当たり2つのフラスコ)において、100μg/mlアンピシリン及び1.6%グルコースを含有する50mlの2TY培地(1リットル当たり16gのBactoトリプトン、10gのBacto酵素抽出物、5gのNaCl)(2TYAG)に加えた。フラスコを5時間37℃にて280rpmで振盪させた。その期間後、培養物は1〜1.5のOD600に達した。細胞を遠心分離により集め、4ml/ライブラリの2TY+20%グリセロールに再懸濁した。小分け(250μl)をドライアイスで凍結し−80℃で貯蔵した。
次いで、上記で作製したILA TCRライブラリを、パニング及び後のELISA試験にILA TCRについての同族のpMHC(ILAKFLHWL(配列番号:34)-HLA-A*0201)を使用した以外は上記実施例2及び3でIG4 TCR CDR2変異体について記載した方法を使用して、パニングし試験した。
結果
Figure 2007537743
次いで、実施例3に記載したELISA法により同定したCDR2変異を含んでなる可溶性ILA TCRを、実施例5及び6に記載の方法を用いて作製し、実施例7に記載の方法を用いる変異体のBiacore特徴付けを可能にした。
実施例9 − 高親和性HIV Gag TCR CDR2変異体
上記のように、前述の実施例に記載した方法は、変異したCDR2配列を含んでなる他のTCRの高親和性変形体を作製し試験するために改変することができる。簡潔には、変異すべきTCR鎖をコードするDNAを、実施例1に記載のようなCDR2ライブラリを作製するための鋳型として使用する。必要な唯一の変更は、ライブラリ構築に利用するプライマーが変異すべきTCR鎖のDNA配列の等価部分に相補的であるべきことである。
これら方法は、SLYNTVATL(配列番号:53)-HLA-A*0201 pMHCに特異的に結合する親のHIV Gag TCRの変形体を作製し試験するために適用されている。
天然型可変ドメイン及び導入システインコドンを含んでなるILA TCRの可溶性変形体のα及びβのTCR鎖のDNA配列は、それぞれ図9a及び9b(配列番号:54及び55)に提供される。
天然型可変ドメイン及び導入システイン残基を含んでなるILA TCRの可溶性変形体のα及びβのTCR鎖のアミノ酸配列は、それぞれ図10a及び10b(配列番号:56及び57)に提供される。
SLYNTVATL(配列番号:53)-HLA-A*0201複合体にこのpMHCに関して増大した親和性及び/又は減少した解離速度で結合する変形体を含有するTCRライブラリを得るために、親のHIV Gag TCR鎖のCDR2α配列及びCDR2β配列中に複数の変異を導入した。
変異誘発性オリゴヌクレオチドを用いるPCR増幅を使用して、各CDR2配列について高度に多様性の変異体集団を得た。
後のライブラリ構築に好都合な制限部位を導入するために、2つの得られる変異誘発したPCRフラグメントの各々を、変異誘発性オリゴヌクレオチドの5'領域に重なる相補性を有するTCRオープンリーディングフレームの隣接部分を含んでなる追加のフラグメントに結合する。このスプライシング反応(オーバーラップ伸長によるスプライシング(SOE)と呼ばれる)は、側方に位置する適切な順方向及び逆方向のプライマー対を用いる第2のPCR反応で実施する。
連結したCDR2α変異体プール及びCDR2β変異体プールを、Qiagen MinEluteカラムでの濃縮及び脱塩の後に、独立してTG1細胞中にエレクトロポレートした。エレクトロポレーションを、細胞の市販業者(Stratagene)により提供されたプロトコルに従い、そして約300ngのDNA/50μlのエレクトロコンピテント細胞の比を用いて実施した。2つのエレクトロポレーションを2つのライブラリの各々について実施した。エレクトロポレーションの後、細胞を950μlの予め加温した(37℃)SOC培地に再懸濁することによりキュベットから回収し、50ml滅菌チューブ中で40分間穏やかに撹拌することにより回復させた。その後、1mlの回復した細胞を、滅菌振盪フラスコ(すなわちライブラリ当たり2つのフラスコ)において、100μg/mlアンピシリン及び1.6%グルコースを含有する50mlの2TY培地(1リットル当たり16gのBactoトリプトン、10gのBacto酵素抽出物、5gのNaCl)(2TYAG)に加えた。フラスコを5時間37℃にて280rpmで振盪させた。その期間後、培養物は1〜1.5のOD600に達した。細胞を遠心分離により集め、4ml/ライブラリの2TY+20%グリセロールに再懸濁した。小分け(250μl)をドライアイスで凍結し−80℃で貯蔵した。
次いで、上記で作製したHIV Gag TCRライブラリを、パニング及び後のELISAにHIV Gag TCRについての同族のpMHC(SLYNTVATL(配列番号:53) HLA-A*0201)を使用した以外は上記実施例2及び3でIG4 TCR CDR2変異体について記載した方法を使用して、パニングし試験した。
次いで、同定したCDR2変異を含有する可溶性ジスルフィド連結TCRを作製して、SLYNTVATL-HLA-A*0201リガンドに関するそれぞれの親和性のBiacoreに基づく測定を可能にした。
結果
上記のライブラリから同定した全ての高親和性HIV Gag TCRがCDR2β変異のみを含有していたことに留意すべきである。
Figure 2007537743

Claims (13)

  1. 所定のTCRの対応するCDR2配列とは異なるα鎖CDR2配列及び/又はβ鎖CDR2配列を有するが、該所定のTCRと同じα及びβのCDR1配列及びCDR3配列を有する複数のTCRを作り、該複数のTCRからのメンバーの標的pMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のメンバーを選択することを含んでなる、所定の標的pMHCに特異的な所定のTCRの親和性を増大させ及び/又は解離速度を減少させる方法。
  2. (a)前記所定のTCRに関して前記α鎖CDR2配列で変異し前記β鎖CDR2配列では変異していない第1の複数のTCRを作り、
    (b)別に、該所定のTCRに関して該β鎖CDR2配列で変異し該α鎖CDR2配列では変異していない第2の複数のTCRを作り、
    (c)該第1及び第2の複数のTCRからのメンバーの前記標的pMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する該複数の各々からの1又はそれ以上のメンバーを選択し、
    (d)該複数の各々からの選択したメンバーのCDR2配列を決定し、
    (e)各々が該第1の複数からのα鎖CDR2配列及び該第2の複数からのβ鎖CDR2配列を有する1又はそれ以上のTCRを作り、
    (f)工程(e)で作った1又はそれ以上のTCRの該標的pMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択することを含んでなる請求項1に記載の方法。
  3. (a)前記所定のTCRのα鎖及びβ鎖の両方をコードする核酸を提供し、
    (b)該核酸を、前記α鎖CDR2配列の1又はそれ以上のコドン及び前記β鎖CDR2配列の1又はそれ以上のコドンの変異誘発に付し、
    (c)工程(b)の該変異した核酸から、該所定のTCRに関して該α鎖CDR2配列の1又はそれ以上のアミノ酸及び該β鎖CDR2配列の1又はそれ以上のアミノ酸で変異した複数のTCRを作り、
    (d)該複数のTCRのメンバーの前記標的pMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍大きい親和性及び/又は該標的pMHCに関して該所定のTCRより少なくとも10倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のメンバーを選択することを含んでなる請求項1に記載の方法。
  4. 工程(b)において、前記核酸を、前記α鎖CDR2配列の3つまでの連続コドン及び前記β鎖CDR2配列の3つまでの連続コドンの変異誘発に付し、工程(c)において、前記所定のTCRに関して該α鎖CDR2配列の3つまでの連続アミノ酸及び該β鎖CDR2配列の3つまでの連続アミノ酸で変異した複数のTCRを作る請求項3に記載の方法。
  5. 前記親和性及び/又は解離速度が表面プラズモン共鳴により決定される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記標的pMHCに関して前記所定のTCRより少なくとも100倍大きい親和性及び/又は少なくとも100倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のTCRが選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記標的pMHCに関して前記所定のTCRより少なくとも500倍大きい親和性及び/又は少なくとも500倍遅い解離速度を有する1又はそれ以上のTCRが選択される請求項1又は5に記載の方法。
  8. 親和性及び/又は結合速度/解離速度の決定用のTCRが可溶形態で作られる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 親和性及び結合速度/解離速度の決定用のTCRがファージによりディスプレイされているαβ二量体TCRの多様性ライブラリとして作られる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記ファージによりディスプレイされているαβ二量体TCRが、
    TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合されている第1のポリペプチドと、
    TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合されている第2のポリペプチド
    とを含んでなり、
    該第1及び第2のポリペプチドは天然型αβT細胞レセプターに等価物を有しないジスルフィド結合により連結され、
    該第1又は第2のポリペプチドの一方がC末端で、ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結されている請求項9に記載の方法。
  11. 前記ファージによりディスプレイされているαβ二量体TCRが、
    TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合されている第1のポリペプチドと、
    TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合されている第2のポリペプチド
    とを含んでなり、
    該第1及び第2のポリペプチドがTRAC*01のエキソン1のThr48及びTRBC1*01若しくはTRBC2*01のエキソン1のSer57又はそれらの非ヒト等価物から置換されたシステイン残基間のジスルフィド結合により連結され、
    該第1又は第2のポリペプチドの一方がC末端で、ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結されている請求項9に記載の方法。
  12. 前記複数のTCRがリボソームによりディスプレイされているαβ単鎖TCRの多様性ライブラリとして作られる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記標的pMHCに結合するライブラリメンバーの親和性及び/又は解離速度を決定し、所望の親和性及び/又は解離速度を有するものを選択するために、
    (i)該ライブラリの幾つかのメンバーを並列して該標的pMHCと接触させ、該pMHCと結合するメンバーを同定し、
    (ii)工程(i)で同定したメンバーを順次、該標的pMHCと接触させ、該pMHCに関するそれらの親和性を評価し、
    (iii)工程(ii)で評価した該所望の親和性を有する1又はそれ以上のメンバーを選択し、ディスプレイされているTCRのCDR2配列を決定し、
    (v)このように決定したCDR2配列が組み込まれている可溶形態のTCRを作り、
    (vi)これらTCRの該標的pMHCに関する親和性及び/又は解離速度を再決定又は場合によっては決定し、
    (vii)工程(vi)で決定した該所望の親和性及び/又は解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択する請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
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