JP2008500527A - 所定のpMHC複合体に結合するポリペプチドの同定法 - Google Patents
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Abstract
所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するポリペプチドの同定法、核タンパク質粒子が第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原に結合する1又はそれ以上のT細胞レセプターに由来する多様な合成TCR可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドをディスプレイする核タンパク質ディスプレイライブラリ。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するポリペプチドの同定法、核タンパク質粒子が第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原に結合する1又はそれ以上のT細胞レセプター(「TCR」)に由来する多様な合成TCR可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドをディスプレイする核タンパク質ディスプレイライブラリに関する。
発明の背景
天然型TCR
例えばWO99/60120に記載のように、TCRは、T細胞による特異的な主要組織適合性複合体(MHC)-ペプチド複合体の認識を媒介し、それ自体が免疫系の細胞兵器の機能化に必須である。
天然型TCR
例えばWO99/60120に記載のように、TCRは、T細胞による特異的な主要組織適合性複合体(MHC)-ペプチド複合体の認識を媒介し、それ自体が免疫系の細胞兵器の機能化に必須である。
抗体及びTCRは、特異的な様式で抗原を認識する分子の唯2つの型であり、したがってTCRは、MHCにおいて提示される特定のペプチド抗原(この外来ペプチドは、しばしば、細胞内の異常の唯一の徴候である)の唯一のレセプターである。T細胞認識は、T細胞及び抗原提示細胞(APC)が直接物理的接触をしているときに起こり、抗原特異的TCRとpMHC複合体との結びつきにより開始される。
天然型(native)TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体の不変タンパク質と関係する免疫グロブリンスーパーファミリーのヘテロ二量体細胞表面タンパク質である。TCRはαβ形態及びγδ形態で存在し、これらの形態は構造的に類似するが、解剖学的に全く異なって所在し、おそらくは全く異なる機能を有する。MHCクラスI及びクラスIIリガンドもまた、免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質であるが、APC細胞表面で多様な数々の短いペプチドフラグメントを提示することを可能にする高度に多形性のペプチド結合部位を有して抗原提示に特化している。
2つの更なるクラスのタンパク質が、TCRリガンドとして機能し得ることが知られている。(1)CD1-抗原は、その遺伝子が古典的なMHCクラスI及びクラスII抗原とは異なる染色体に位置するMHCクラスI関連分子である。CD1分子は、従来のクラスI及びクラスII-MHC-pep複合体と類似の様式で、ペプチド部分及び非ペプチド(例えば、脂質、糖脂質)部分をT細胞に提示することができる(例えば、Barclayら(1997) The Leucocyte Antigen Factsbook 第2版,Academic Press、及びBauer(1997) Eur J Immunol 27(6) 1366-1373を参照)。(2)細菌性スーパー抗原は、クラスII MHC分子とTCRのサブセットとの両方に結合できる可溶性毒素である(Fraser(1989) Nature 339 221-233)。多くのスーパー抗原が1又は2のVβセグメントに対して特異性を示す一方、その他のものはより無差別な結合を示す。ともかく、スーパー抗原は、多クローン性様式でT細胞のサブセットを刺激する能力により、亢進した免疫応答を誘発することができる。
天然型ヘテロ二量体αβTCR及びγδTCRの細胞外部分は2つのポリペプチドからなり、その各々が、膜近位定常ドメイン及び膜遠位可変ドメインを有する。定常ドメイン及び可変ドメインの各々が鎖内ジスルフィド結合を含む。可変ドメインは、抗体の相補性決定領域(CDR)に類似する高度多形性ループを含有する。αβTCRのCDR3はMHCにより提示されたペプチドと優勢に相互作用し、αβTCRのCDR1及びCDR2はそのペプチド及びMHCと優勢に相互作用する。TCR可変ドメイン配列の多様性は、連結している可変(V)遺伝子と多様性(D)遺伝子と連結(J)遺伝子と定常遺伝子との体細胞再編成(somatic rearrangement)を介して生じる。
機能的なα鎖ポリペプチド及びγ鎖ポリペプチドは、再編成V-J-C領域により形成される一方、β鎖及びδ鎖はV-D-J-C領域からなる。細胞外定常ドメインは、膜近位領域及び免疫グロブリン領域を有する。それぞれTRAC及びTRDCとして知られる単一α鎖定常ドメイン及び単一δ鎖定常ドメインが存在する。β鎖定常ドメインは、TRBC1及びTRBC2として知られる(IMGT命名法)2つの異なるβ定常ドメインの一方から構成される。これらβ定常ドメイン間には4つのアミノ酸変化が存在し、そのうちの3つは、本発明のファージ粒子上にディスプレイされる単鎖TCRを作製するために使用するドメイン内にある。これら変化は全て、TRBC1及びTRBC2のエキソン1内にあり(N4K5→K4N5及びF37→Y(IMGT番号付け、差異TRBC1→TRBC2))、2つのTCRβ鎖定常領域間の最後のアミノ酸変化は、TRBC1及びTRBC2のエキソン3にある(V1→E)。定常γドメインは、TRGC1、TRGC2(2×)又はTRGC2(3×)の1つから構成される。2つのTRGC2定常ドメインは、この遺伝子のエキソン2によりコードされるアミノ酸の、存在するコピー数のみが異なる。
TCR細胞外ドメインの各々の範囲はいくらか変化し得る。しかし、当業者は、The T Cell Receptor Facts Book,Lefranc & Lefranc,Academic Press発行,2001のような参考文献を使用して、ドメイン境界の位置を容易に決定できる。
組換えTCR
組換えTCRの作製は、それらが以下の目的に適切な可溶性TCRアナログを提供するので有益である:
・TCR/リガンド相互作用(例えばαβTCRに関するpMHC)の研究
・TCR関連相互作用の阻害剤についてのスクリーニング
・治療剤候補の基礎の提供
組換えTCRの作製は、それらが以下の目的に適切な可溶性TCRアナログを提供するので有益である:
・TCR/リガンド相互作用(例えばαβTCRに関するpMHC)の研究
・TCR関連相互作用の阻害剤についてのスクリーニング
・治療剤候補の基礎の提供
今日までに、組換えTCRの作製のために多くの構築物が考案されてきた。これら構築物は、2つの広義のクラス、単鎖TCR及び二量体TCRに分けられ、これら構築物に関連する文献を下記に概説する。単鎖TCR(scTCR)は、一本のアミノ酸鎖からなる人工の構築物であり、これは天然型へテロ二量体TCRと同様にMHC-ペプチド複合体に結合する。不運にも、α鎖及びβ鎖をその両方が1つのオープンリーディングフレームで発現するように単に連結することによって機能的なα/βアナログscTCRを作製する試みは、成功しなかった。これは、おそらく、α-β可溶性ドメイン対形成の当然の不安定性のためである。
したがって、α鎖及びβ鎖のいずれか又は両方の種々の短縮化を使用する特別な技法が、scTCRの作製に必要とされてきた。これら方式は、非常に限られた範囲のscTCR配列に対してのみ適用可能であるようである。Hooら(1992) PNAS. 89(10):4759-63は、25アミノ酸のリンカーと連結した短縮型β鎖及びα鎖と細菌細胞周辺質発現(bacterial periplasmic expression)とを使用する2C T細胞クローンからの単鎖形式でのマウスTCRの発現を報告している(Schodinら(1996) Mol.Immunol. 33(9):819-29もまた参照)。この設計はまた、Hollerら(2000) PNAS. 97(10):5387-92により報告された、2C scTCRから誘導され同じH2-Ld制限アロエピトープ(alloepitope)に結合するm6単鎖TCRの基礎をなす。Shustaら(2000) Nature Biotechnology 18:754-759及び米国特許第6,423,538号は、酵母ディスプレイ実験においてマウス単鎖2C TCR構築物を使用することを報告し、これは亢進した熱安定性及び溶解性を有する変異TCRを産生した。この報告はまた、これらディスプレイされた2C TCRがその同族pMHCを発現する細胞に選択的に結合することができることを証明した。Khandekarら(1997) J.Biol.Chem. 272(51):32190-7は、マウスD10 TCRについて、このscTCRをMBPに融合して細菌細胞質で発現させてはいるものの同様な設計を報告している(Hareら(1999) Nat.Struct.Biol. 6(6):574-81もまた参照)。Hilyardら(1994) PNAS. 91(19):9057-61は、Vα-リンカー-Vβ設計を使用し細菌細胞周辺質で発現させた、インフルエンザマトリクスタンパク質-HLA-A2に特異的なヒトscTCRを報告している。
Chungら(1994) PNAS. 91(26) 12654-8は、Vα-リンカー-Vβ-Cβ設計及び哺乳動物細胞株の表面での発現を使用するヒトscTCRの作製を報告している。この報告は、scTCRのペプチド-HLA特異的結合に対しては何らの言及も含んでいない。Plaksinら(1997) J.Immunol. 158(5):2218-27は、HIV gp120-H-2Ddエピトープに特異的なマウスscTCRを作製するための同様なVα-リンカー-Vβ-Cβ設計を報告している。このscTCRは、細菌封入体として発現し、インビトロでリフォールディングする。
多くの論文が、それぞれのサブユニットを接続する天然型ジスルフィド橋架けを含むTCRへテロ二量体の作製を記載している(Garbocziら(1996) Nature 384(6605):134-41;Garbocziら(1996) J Immunol 157(12):5403-10;Changら(1994) PNAS USA 91:11408-11412;Davodeauら(1993) J.Biol.Chem. 268(21):15455-15460;Goldenら(1997) J.Imm.Meth. 206:163-169;米国特許第6080840号)。しかし、このようなTCRはTCR特異的抗体により認識され得るが、いずれも、相対的に高い濃度以外ではその天然型リガンドを認識することを示されておらず、そして/又は安定でなかった。
WO99/60120には、天然型リガンドを認識し得るように正確にフォールディングし、経時的に安定であり、合理的な量で作製することが可能な可溶性TCRが記載されている。このTCRは、一対のC末端二量体化ペプチド(例えばロイシンジッパー)により、それぞれTCRβ鎖又はδ鎖の細胞外ドメインと二量体化したTCRα鎖又はγ鎖の細胞外ドメインを含んでなる。TCRを作製するためのこのストラテジーは、一般に、全てのTCRに適用可能である。
Reiterら(Immunity,1995,2:281-287)は、一方がPseudomonasエクソトキシン(PE38)の短縮型形態に連結しているジスルフィド安定化TCRα可変ドメイン及びβ可変ドメインを含んでなる可溶性分子の構築を詳述している。述べられているこの分子を作製するための理由の1つは、単鎖TCRの本来的な不安定性を克服することであった。TCR可変ドメイン中の新規ジスルフィド結合の位置は、これらが予め導入されている抗体の可変ドメインとの相同性により同定された(例えば、Brinkmannら(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7538-7542及びReiterら(1994) Biochemistry 33:5451-5459を参照)。しかし、抗体とTCRの定常ドメイン間にそのような相同性はないので、この技法は、TCR定常ドメイン間の新たな鎖間ジスルフィド結合の適切な部位を同定するために用いることができなかった。
上記のように、Shustaら(2000) Nature Biotechnology 18:754-759は、酵母ディスプレイ実験で単鎖2C TCR構築物を使用することを報告している。ファージ粒子上でscTCRをディスプレイする原理は、以前から議論されてきた。例えば、WO99/19129は、scTCRの作製を詳述し、Vα-リンカー-VβCβ形式のscTCRをディスプレイするファージ粒子の作製のための可能性のある方法を概説している。しかし、この出願は、TCRをディスプレイする当該ファージ粒子の作製を証明する例証を含んでいない。しかし、この出願は、確かに同時係属中の出願に言及している:「バクテリオファージコートタンパク質(遺伝子II又は遺伝子VIII)に融合したsc-TCR分子をコードするDNAセグメントを含むDNAベクターの構築は、係属中の米国特許出願第08/813,781号に記載されている。」
更に、この出願は、その正確なコンホメーションを検証するために作製した可溶性(ファージにディスプレイされていない)scTCRを、抗TCR抗体又はスーパー抗原MHC複合体が認識することができることに基づいている。したがって、scTCRのペプチド-MHC結合の真正な特異性は、いかなる形式でも最終的に証明されていない。最後に、更なる研究(Ondaら(1995) Molecular Immunology 32(17-18)1387-1397)は、それぞれのβ鎖が存在しない2つのマウスTCRα鎖のファージディスプレイを開示している。この研究は、マイクロタイターウェルに固定した、マウスクラスI MHC I-Adにより提示される場合に完全なTCRが通常応答する同じペプチドに、(A1.1マウスハイブリドーマから誘導された)TCRα鎖の1つをディスプレイするファージ粒子が優先的に結合することを証明した。
ディスプレイ法
所定のペプチド又はポリペプチドを核タンパク質粒子の表面に提示することがしばしば所望され得る。このような粒子は、ペプチド又はポリペプチドの精製を援助するものとして働き得る(なぜなら、当該ペプチド又はポリペプチドを保有する粒子が、沈降又は他の方法によって欲しない混入物質と分離され得るからである)。これらはまた、表面でディスプレイされるペプチド又はポリペプチドに対する免疫応答が粒子提示により刺激される粒子ワクチンとして働き得る。酵母レトロトランスポゾンのタンパク質p24及びB型肝炎表面コートタンパク質は、粒子に自己組織化(self assemble)するタンパク質の例である。目的のペプチド又はポリペプチドとこれら粒子形成性タンパク質との融合は、得られる粒子の表面に当該ペプチド又はポリペプチドを提示する認識された方法である。
所定のペプチド又はポリペプチドを核タンパク質粒子の表面に提示することがしばしば所望され得る。このような粒子は、ペプチド又はポリペプチドの精製を援助するものとして働き得る(なぜなら、当該ペプチド又はポリペプチドを保有する粒子が、沈降又は他の方法によって欲しない混入物質と分離され得るからである)。これらはまた、表面でディスプレイされるペプチド又はポリペプチドに対する免疫応答が粒子提示により刺激される粒子ワクチンとして働き得る。酵母レトロトランスポゾンのタンパク質p24及びB型肝炎表面コートタンパク質は、粒子に自己組織化(self assemble)するタンパク質の例である。目的のペプチド又はポリペプチドとこれら粒子形成性タンパク質との融合は、得られる粒子の表面に当該ペプチド又はポリペプチドを提示する認識された方法である。
しかし、粒子ディスプレイ法は、主に、所望され得る性質(例えば、亢進した発現収率、結合特性及び/又は安定特性)を有するタンパク質を同定するために使用されてきた。これらの方法は、核タンパク質粒子の表面に発現されるタンパク質又はポリペプチドの多様性プール又は「ライブラリ」を作製することを含む。これら粒子は2つの鍵となる特徴を有する。第一に、各粒子は、1つの異形タンパク質又はポリペプチドを提示し、第二に、発現されるタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝物質は、粒子の遺伝物質に結合している。次いで、このライブラリは、1回又はそれ以上の選択に付される。例えば、これは、リガンドを変異レセプターの粒子ディスプレイライブラリと接触させること、及びどの変異レセプターが最高の親和性でリガンドと結合するかを同定することからなってもよい。一旦、選択プロセスが完了すると、所望の性質を有するレセプターを単離することができ、レセプターの配列決定を可能とするために、その遺伝物質を増幅することができる。
これらのディスプレイ法は、2つの広義のカテゴリー、インビトロディスプレイ及びインビボディスプレイに分類される。
全てのインビボディスプレイ法は、複製可能な粒子(例えばプラスミド又はファージレプリコン)の遺伝子核酸中に又は該遺伝子核酸と共に通常はコードされるライブラリが、タンパク質又はポリペプチドの発現を可能とするように細胞に形質転換される工程に基づく(Pluckthun(2001) Adv Protein Chem 55 367-403)。タンパク質又はポリペプチドのインビボディスプレイに適切であることが証明されている多くのレプリコン/宿主系が存在する。これらには以下のものが含まれる:
全てのインビボディスプレイ法は、複製可能な粒子(例えばプラスミド又はファージレプリコン)の遺伝子核酸中に又は該遺伝子核酸と共に通常はコードされるライブラリが、タンパク質又はポリペプチドの発現を可能とするように細胞に形質転換される工程に基づく(Pluckthun(2001) Adv Protein Chem 55 367-403)。タンパク質又はポリペプチドのインビボディスプレイに適切であることが証明されている多くのレプリコン/宿主系が存在する。これらには以下のものが含まれる:
ファージ/細菌細胞
プラスミド/CHO細胞
酵母2μmプラスミドをベースとするベクター/酵母細胞
バキュロウイルス/昆虫細胞
プラスミド/細菌細胞。
プラスミド/CHO細胞
酵母2μmプラスミドをベースとするベクター/酵母細胞
バキュロウイルス/昆虫細胞
プラスミド/細菌細胞。
インビボディスプレイ法は、細胞表面タンパク質又はポリペプチドに融合された目的のタンパク質又はポリペプチドからなる融合タンパク質をコードするプラスミドが宿主細胞に導入される細胞表面ディスプレイ法を含む。この融合タンパク質の発現は、目的のタンパク質又はポリペプチドが細胞の表面でディスプレイされることに至る。次いで、これら目的のタンパク質又はポリペプチドをディスプレイする細胞は、選択プロセス(例えばFACS)に付すことが可能であり、選択した1又はそれ以上の細胞から得たプラスミドを単離及び配列決定することができる。細胞表面ディスプレイ系は、哺乳動物細胞(Higuschi(1997) J Immunol. Methods 202 193-204)、酵母細胞(Shusta(1999) J Mol Biol 292 949-956)及び細菌細胞(Sameulson(2002) J. Biotechnol 96(2)129-154)について考案されている。
種々のインビボディスプレイ技法の多くの総説が公表されている(例えば、Hudson(2002) Expert Opin Biol Ther (2001) 1(5) 845-55及びSchmitz(2000) 21(Supp A) S106-S112)。
インビトロディスプレイ法は、mRNAのライブラリを多様な数々のタンパク質又はポリペプチドの変形体に翻訳するためのリボソームの使用に基づく。生成されたタンパク質又はポリペプチドとこれら分子をコードするmRNAとの間の連結は、2つの方法の一方により維持される。従来のリボソームディスプレイは、短い(代表的には40〜100アミノ酸)リンカー配列とディスプレイされるべきタンパク質又はポリペプチドとをコードするmRNA配列を利用する。リンカー配列は、ディスプレイされるタンパク質又はポリペプチドが、リボソームにより立体障害されないで、リフォールディングするに十分な空間を許容する。mRNA配列は「停止」コドンを欠いており、このことにより確実に、発現されたタンパク質又はポリペプチド及びRNAがリボソーム粒子に付着したままになる。関連するmRNAディスプレイ法は、目的のタンパク質又はポリペプチドをコードするmRNA配列及びピューロマイシン部分を保有するDNAリンカーの調製に基づく。リボソームがmRNA/DNA接合部に達するや否や、翻訳は停止し、ピューロマイシンがリボソームと共有結合を形成する。これら2つの関連するインビトロディスプレイ法の最近の総説については、Amstutz(2001) Curr Opin Biotechnol 12 400-405を参照。
特に好ましいのは、バクテリオファージ粒子がその表面タンパク質に融合した異種ペプチド又はポリペプチドを発現することができる能力に基づくファージディスプレイ技法である(Smith(1985) Science 217 1315-1317)。手順は全く一般的であり、ポリペプチド単量体のディスプレイについて当該分野で十分に理解されている。しかし、天然型形態で二量体として結合するポリペプチドの場合、抗体のファージディスプレイのみが十分に研究されてきたようである。
単量体ポリペプチドディスプレイについては2つの主な手順が存在する:
第1(方法A)は、ベクター(ファージミド)中に、バクテリオファージコートタンパク質をコードするDNAに融合させた異種ペプチド又はポリペプチドをコードするDNAを挿入することによる。その後、異種ペプチド又はポリペプチドをディスプレイするファージ粒子の発現は、そのファージミドで細菌細胞をトランスフェクトし、次いで該形質転換細胞に「ヘルパーファージ」を感染させることにより行なう。ヘルパーファージは、機能的なファージ粒子を作製するために必要であるがファージミドによりコードされないファージタンパク質の供給源として作用する。
第1(方法A)は、ベクター(ファージミド)中に、バクテリオファージコートタンパク質をコードするDNAに融合させた異種ペプチド又はポリペプチドをコードするDNAを挿入することによる。その後、異種ペプチド又はポリペプチドをディスプレイするファージ粒子の発現は、そのファージミドで細菌細胞をトランスフェクトし、次いで該形質転換細胞に「ヘルパーファージ」を感染させることにより行なう。ヘルパーファージは、機能的なファージ粒子を作製するために必要であるがファージミドによりコードされないファージタンパク質の供給源として作用する。
第2(方法B)は、異種ペプチド又はポリペプチドをコードするDNAを、バクテリオファージコートタンパク質をコードするDNAに融合させた完全なファージゲノム中に挿入することによる。その後、異種ペプチド又はポリペプチドをディスプレイするファージ粒子の発現は、そのファージゲノムを細菌細胞に感染させることにより行なう。この方法は、「単一工程」プロセスであるという、第1の方法に対する利点を有する。しかし、得られるファージ粒子中へのパッケージングに成功し得る異種DNA配列のサイズは、減少する。M13、T7及びλがこの方法に適切なファージの例である。
方法Bの変形には、ディスプレイされる異種ペプチドをコードするファージゲノム中のDNAに、ヌクレオチド結合性ドメインをコードするDNA配列を付加し、更に、ファージゲノムに、対応するヌクレオチド結合性部位を付加することが含まれる。このことにより、異種ペプチドがファージゲノムに直接付着するようになる。その後、このペプチド/ゲノム複合体は、異種ペプチドをディスプレイするファージ粒子中にパッケージングされる。この方法は、WO99/11785に十分に記載されている。
次いで、ファージ粒子を回収し、異種ペプチド又はポリペプチドの結合特性を研究するために使用することができる。一旦単離されると、ファージミドDNA又はファージDNAは、ペプチド又はポリペプチドをディスプレイするファージ粒子から回収することができ、このDNAは、PCRにより複製することができる。PCR産物は、所定のファージ粒子によりディスプレイされる異種ペプチド又はポリペプチドを配列決定するために使用することができる。
単鎖抗体及びそのフラグメントのファージディスプレイは、これらポリペプチドの結合特性を研究する慣用手段となっている。ファージディスプレイ技法及びバクテリオファージの生物学を総説する利用可能な多くの本が存在する(例えばPhage Display - A Laboratory Manual,Barbasら(2001) Cold Spring Harbour Laboratory Pressを参照)。
第3のファージディスプレイ法(方法C)は、所望の位置にシステイン残基を有する異種ポリペプチドを、ファージミド又はファージゲノムによって可溶形態で発現させ、これもまた表面に露出した位置にシステイン残基を有する改変ファージ表面タンパク質と2つのシステイン間のジスルフィド連結の形成により結合させことができるという事実に基づく。WO01/05950は、単鎖抗体由来ペプチドの発現についてこの代替連結法の使用を詳述している。
高親和性TCR
T細胞は胸腺で成熟し、そこで、一般にはポジティブ選択及びネガティブ選択と呼ばれる少なくとも2つの選択機構を経験する。ほとんどの又は全てのTCRの構造は、可変の相補性決定領域(CDR)によるMHC/ペプチド結合に適切なフレームワークを提供する或る特定の一般的な構造上の特徴を共有すると考えられている(Chothiaら、Embo J (1988) 7: 3745-55)。したがって、ほとんどのTCRは、MHC/ペプチド複合体に関して本来的な親和性を有し得る(Chothiaら、Embo J (1988) 7: 3745-55)。胸腺で、MHC分子(これに対してTCRが提示される)(「自己」MHC分子)の1つに関して或る特定の最小レベルの親和性を有するTCRのみがポジティブ選択される。自己MHC分子の1つに関して高親和性を有するT細胞はネガティブ選択される(Amsen及びKruisbeek(1998) Immunol Rev 165: 209-29;Sebzdaら(1999) Annu Rev Immunol 17: 829-74)。
T細胞は胸腺で成熟し、そこで、一般にはポジティブ選択及びネガティブ選択と呼ばれる少なくとも2つの選択機構を経験する。ほとんどの又は全てのTCRの構造は、可変の相補性決定領域(CDR)によるMHC/ペプチド結合に適切なフレームワークを提供する或る特定の一般的な構造上の特徴を共有すると考えられている(Chothiaら、Embo J (1988) 7: 3745-55)。したがって、ほとんどのTCRは、MHC/ペプチド複合体に関して本来的な親和性を有し得る(Chothiaら、Embo J (1988) 7: 3745-55)。胸腺で、MHC分子(これに対してTCRが提示される)(「自己」MHC分子)の1つに関して或る特定の最小レベルの親和性を有するTCRのみがポジティブ選択される。自己MHC分子の1つに関して高親和性を有するT細胞はネガティブ選択される(Amsen及びKruisbeek(1998) Immunol Rev 165: 209-29;Sebzdaら(1999) Annu Rev Immunol 17: 829-74)。
細胞性免疫におけるTCRは、体液性免疫における抗体と同様であると考えることができる。抗体は、それ自体で治療薬として(例えば、ハーセプチン)、又は標的化因子として(例えば、マイロターグ(mylotarg))の使用に成功しており、この分野での関心が増し続けている。T細胞レセプターを使用して、類似のストラテジーが企図され得る。したがって、可溶性TCRは、特定のTCR-pMHC相互作用を研究する目的だけでなく、感染を検出するか、自己免疫疾患マーカーを検出するか、又はT細胞ワクチンの効力を検出するための診断ツールとしても有用である。可溶性TCRはまた、染色における適用、例えばMHCに関して提示される特定のウイルス抗原の存在について細胞を染色するための適用を有する。同様に、可溶性TCRは、特定の抗原を提示する細胞に、治療薬、例えば細胞傷害性化合物又は免疫刺激性化合物を送達するために使用することができる。
しかし、2つの要因がこのような方法でのTCRの開発を妨げている。第1には、可溶性(すなわち膜非結合)T細胞レセプターの作製のための一般的に適用可能な方法が最近まで利用可能でなかった(適切な作製法の詳細についてはWO03/020763及びWO04/033685を参照)。第2には、特異的pMHCリガンドに関するT細胞レセプターの親和性は、抗体(nM範囲のKD)よりずっと低い(μM範囲のKD)。このTCRのより低い親和性は、発生の間のネガティブ選択の結果であると考えられ、したがって自己MHC-ペプチド複合体に関して高親和性を有するTCRを見出すことは、おそらく不可能である(Salzmann及びBachmann,Molecular Immunology,1998,35:65-71)。
高親和性抗体のインビトロ選択の方法は、ファージディスプレイ技術を使用して開発されている。T細胞レセプターのファージディスプレイの成功を報告する1つの報告(Weidanzら、J. Immunol. Methods, 1998, 221: 59-76)があるが、この研究の詳細な検査により、十分に機能的な(pMHC結合性の)ディスプレイされたタンパク質が一例のTCRについてのみ達成されたことが示される。第2の例は、そのタンパク質のリガンド認識に必ずしも関係しない僅かな部分の正確なフォールディングを認識する「コンホメーション感受性抗体(conformation sensitive antibody)」への結合のみを示した。すなわち、このTCRが該抗体により認識された事実は、それがペプチド-MHC複合体と結合し得ることを意味しない。このように成功しなかったのは、おそらく、ファージディスプレイには単鎖組換えTCRを使用する必要があることに起因する。天然のヘテロ二量体TCRを無理やり単鎖にするためには、α鎖を切断し、リンカーをα鎖可変ドメインのC末端とβ鎖のN末端との間に挿入する。可溶性TCRの作製へのこのアプローチは、ほんの僅か数個のT細胞レセプターに適用可能であることが判明した。このため、これが、T細胞レセプターのディスプレイに一般的に適用可能であり、したがってそのT細胞レセプターの高親和性変異体の選択に適用可能である可能性は非常に低い。
酵母もまた、T細胞レセプターをディスプレイするシステムとして、またTCRの安定で高親和性の変異体を選択するシステムとして研究されてきた(Hollerら(2000) Proc. Natl. Acad. Sci. 97, 5387-5392;Shustaら(2000) Nature Biotechnology 18, 754-759;Shustaら(1999) J. Mol. Biol. 292, 949-956;Kiekeら(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. 96, 5651-5656)。Hollerらは、1.5μMのKDから9nMのKDへの親和性の増加(160倍の増加)を報告している。しかし、単鎖形態の2C TCRである1つのTCRについてのデータが示されたのみであり、このことは、上記のように、このアプローチを一般に適用可能とはしない。
高親和性TCRの作製のための他の技法は、リガンドにより強く結合することができるようにTCRのアミノ酸配列を変更することに向けられてきた。このアプローチは、元々、高親和性モノクローナル抗体の作製に適用され、抗体/ハプテン界面のモデリングに基づいて抗体を変異させ、CDR3領域中のアミノ酸配列を変更することにより親和性の2〜3倍の増大を生じさせる試みに適用された(Reichmannら(1992) J. Mol. Biol. 224, (4) 913-918)。
更なる研究(Manningら(1998) Immunity 8 (4): 413-25)は、単一点アラニンスキャニングを利用して、QL9/Ld複合体へのマウス2C TCRの結合を調べた。この研究は、CDR2ループの各々における2アミノ酸が、アラニンによって置換されたとき等価の結合又は僅かに向上した結合を誘発すると記載した(53α Asp、54α Pro、55β Thr、及び56β Glu)。同じグループによる後の研究(Manningら(1999) J Exp Med 189 (3): 461-70)は、単一点及び組合せの更なるアラニンスキャニング変異を実施して、2CマウスTCRの可変ドメイン(CDR2ループを含む)における幾つかのアミノ酸の結合寄与を調べた。TCRβ CDR2ループ及びTCRα CDR3ループの両方で単一アラニン置換を含有する変異体2C TCRは、QL9/Ld複合体に関する親和性の約2倍の増大並びにより遅い結合及び解離特性が示された(KD = 3.2μM(WT)及び2.54μM(変異体)、koff = 19×10-3 S-1(WT)及び5.9×10-3 S-1(変異体))。この研究はまた、指向性の部位特異的変異誘発により達成された親和性の僅か2倍の増大にもかかわらず、これらの結果が、より洗練された技法を使用することで、TCR親和性の更に大きな向上を得る見込みを示唆すると記載した。
TCRはシンジェニックのpMHCよりアロジェニックのpMHCに関してより高い親和性を示し得ることが知られている。例えば、MHC H2-Kbにより提示される天然リガンドdEV8ペプチド(EQYKFYSV)に関する2C TCRの親和性は、KD = 84.1×106 M-1 ± 12.0μMと決定されている(Garciaら(1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 94: 13838-13843)。これは、MHC H2-Ldにより提示されるアロジェニックのリガンドQL9ペプチド(QLSPFPFDL)への2C T細胞クローンの結合について観察されたKD 1.5×107 M-1 に匹敵する(Sykulevら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91, p11487-11491)。
(発明の簡単な説明)
天然型TCRは、機能的二量体として安定性を維持するに必須である非常に長い膜貫通ドメインを有するへテロ二量体である。上記のように、TCRは、可溶形態が研究目的及び治療目的に有用であり、不溶性の天然型形態のディスプレイは有用性がほとんどない。
TCRディスプレイの種々の手段に関する多くの刊行物が存在している。下記にまとめると:
天然型TCRは、機能的二量体として安定性を維持するに必須である非常に長い膜貫通ドメインを有するへテロ二量体である。上記のように、TCRは、可溶形態が研究目的及び治療目的に有用であり、不溶性の天然型形態のディスプレイは有用性がほとんどない。
TCRディスプレイの種々の手段に関する多くの刊行物が存在している。下記にまとめると:
WO98/39482は、scTCRのファージディスプレイ法を記載している。この出願の発明者らは、ファージ粒子上での2つのマウスscTCRのディスプレイを証明する論文(Weidanz(1998) J Immunol Methods 221 59-76)を発表した。
WO01/62908は、scTCR及びscTCR/Ig融合タンパク質のファージディスプレイの方法を開示している。しかし、開示した構築物の機能性(特異的なpMHC結合)は評価しなかった。
未成熟T細胞の表面上での多様性TCRライブラリのディスプレイのためのレトロウイルス媒介方法がマウスTCRについて証明されている。未成熟T細胞の表面でディスプレイされた変異TCRのライブラリが、pMHC四量体を用いるフローサイトメトリによりスクリーニングされた。これにより、同族pMHC又はその変形体のいずれかに特異的であるTCR変形体の同定が導かれた(Helmutら(2000) PNAS 97(26) 14578-14583)。
最近の論文(Chlewickiら(2005) J Mol Biol. 346(1): 223-39)は、酵母ディスプレイライブラリから作製された、CDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列に変異を含んでなる高親和性TCRを記載している。
本発明者らの同時係属中の出願(WO2004/044004)は、一部、機能的な単鎖及び二量体のTCRをタンパク質性粒子との表面融合体として発現させることができるという知見に基づく。これにより、α/βアナログおよびγ/δアナログのscTCR構築物及びdTCR構築物をディスプレイするタンパク質性粒子を利用可能にする。TCRがディスプレイされる核タンパク質粒子は、好ましくはファージ粒子であるが、自己凝集粒子形成性タンパク質、ウイルス誘導粒子、及びリボソーム粒子が含まれる。このような核タンパク質粒子でディスプレイされるTCRは、精製及びスクリーニング目的、特に、所望され得る特性(例えば標的MHC-ペプチド複合体についての高親和性)を有するTCRを同定するためのバイオパニング用の粒子でディスプレイされるTCRの多様性ライブラリとして有用である。後者に関連して、粒子にディスプレイされるscTCRは、所望のTCRの同定に有用であり得るが、その情報は、より良好には、究極的な治療での使用のためのアナログ二量体TCRの構築に適用し得る。本発明はまた、これらの方法により同定可能な高親和性TCRを包含する。
本発明は、合成TCR可変ドメインを含んでなるポリペプチドをディスプレイする核タンパク質の高度に多様性であるライブラリを用いる、そのライブラリメンバーが由来するTCRが結合し得るもの以外のpMHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合し得るライブラリメンバーの同定法を最初に提供する。これらの方法により同定されるポリペプチドは、治療剤及び診断剤のための標的付け部分(targeting moiety)としての有用性を有する。
(発明の詳細な説明)
所定の細胞の表面における或るpMHCの存在及び/又はその発現レベルは、その細胞の疾患状態に関連することが知られている。例えば、或るガンはNY-ESO-1タンパク質を発現し、これは、NY-ESO-1タンパク質に由来するペプチドを提示するガン細胞の表面上でMHC分子に至る。SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体は、NY-ESO-1+ガン細胞により発現されるガン関連pMHCの例である。病的細胞又はガン細胞で発現されるこれら疾患及び/又はガンpMHC分子に結合するリガンド(例えばTCR)の単離は、治療上及び/又は診断上の薬剤を病的細胞又はガン細胞に送達し得る標的付け部分の可能性のある基礎を提供する。
所定の細胞の表面における或るpMHCの存在及び/又はその発現レベルは、その細胞の疾患状態に関連することが知られている。例えば、或るガンはNY-ESO-1タンパク質を発現し、これは、NY-ESO-1タンパク質に由来するペプチドを提示するガン細胞の表面上でMHC分子に至る。SLLMWITQC-HLA-A*0201複合体は、NY-ESO-1+ガン細胞により発現されるガン関連pMHCの例である。病的細胞又はガン細胞で発現されるこれら疾患及び/又はガンpMHC分子に結合するリガンド(例えばTCR)の単離は、治療上及び/又は診断上の薬剤を病的細胞又はガン細胞に送達し得る標的付け部分の可能性のある基礎を提供する。
所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するTCRを同定する方法
本発明の1つの広義の観点では、所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するポリペプチドを同定する方法が提供される。この方法は、第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するTCRに由来する多様な合成T細胞レセプター(「TCR」)可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の多様性ライブラリであって多様性が少なくとも該ポリペプチドの可変ドメインにあるライブラリのメンバーと、第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とは異なる所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とを接触させ;該ライブラリメンバーと該所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体との間の結合を検出し;該所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するとして検出したライブラリメンバーを単離し;任意に、増幅プロセスで単離したライブラリメンバーの数を増やし;該ライブラリメンバーの表面でディスプレイされるポリペプチドを所望のポリペプチドであるとみなすことを含んでなる。
本発明の1つの広義の観点では、所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するポリペプチドを同定する方法が提供される。この方法は、第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するTCRに由来する多様な合成T細胞レセプター(「TCR」)可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の多様性ライブラリであって多様性が少なくとも該ポリペプチドの可変ドメインにあるライブラリのメンバーと、第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とは異なる所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とを接触させ;該ライブラリメンバーと該所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体との間の結合を検出し;該所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するとして検出したライブラリメンバーを単離し;任意に、増幅プロセスで単離したライブラリメンバーの数を増やし;該ライブラリメンバーの表面でディスプレイされるポリペプチドを所望のポリペプチドであるとみなすことを含んでなる。
本明細書で使用する用語「合成TCR可変ドメイン」は、生殖細胞系列TCR可変ドメインフレームワーク配列を、可変ドメインの1又はそれ以上の超可変領域における変異と組み合わせて含んでなる任意のTCR可変ドメインをいうと理解される。
本発明の方法の好ましい実施形態において、核タンパク質は、所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とは異なるペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合する複数のTCRに由来する多様な合成TCR可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドをディスプレイする。
結合測定は、任意の適切な方法によりなすことができる。好ましい実施形態では、結合はELISAにより決定される。
本明細書中の実施例2は、pMHC又はCD1-抗原への核タンパク質によりディスプレイされるTCRの結合を決定するために適切なELISAベースの方法の詳細を提供する。
本明細書中の実施例2は、pMHC又はCD1-抗原への核タンパク質によりディスプレイされるTCRの結合を決定するために適切なELISAベースの方法の詳細を提供する。
本発明の方法の別の実施形態では、核タンパク質粒子は線状ファージ粒子又はリボソーム粒子であり、ディスプレイされるポリペプチドは単鎖TCR(「scTCR」)である。
本発明者らの同時係属中の出願(WO2004/044004)は、scTCRをディスプレイする線状ファージ粒子及びリボソーム粒子の作製を記載している。
本発明者らの同時係属中の出願(WO2004/044004)は、scTCRをディスプレイする線状ファージ粒子及びリボソーム粒子の作製を記載している。
本発明の方法の代替の実施形態が提供され、その実施形態では、核タンパク質のライブラリは、(a)多様な合成TCRα可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第1のセット、及び/又は(b)多様な合成TCRβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第2のセット、及び/又は(c)多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第3のセットを含んでなり、これらポリペプチドは、これもまた多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドと対で結合している。
本発明の方法の更なる代替の実施形態が提供され、その実施形態では、核タンパク質は線状ファージ粒子であり、ライブラリはαβ二量体TCR(「dTCR」)であるポリペプチドをディスプレイするメンバーを含むか又は該メンバーからなり、任意にTCRα鎖及び/又はTCRβ鎖及び/又はホモ二量体αα鎖及び/又はホモ二量体ββ鎖をディスプレイするメンバーを含んでもよい。
本発明の別の実施形態において、ライブラリは、TCRα鎖及び/又はTCRβ鎖及び/又はホモ二量体αα鎖及び/又はホモ二量体ββ鎖をディスプレイするメンバーを含む。
本発明の方法の更なる実施形態では、ファージにディスプレイされるαβdTCRは、
TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第1のポリペプチドと、
TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第2のポリペプチドとを含んでなり、
第1及び第2のポリペプチドは天然型αβT細胞レセプター中に等価物がないジスルフィド結合により連結され、
第1及び第2のポリペプチドの一方が、C末端で、ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結している。
TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第1のポリペプチドと、
TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第2のポリペプチドとを含んでなり、
第1及び第2のポリペプチドは天然型αβT細胞レセプター中に等価物がないジスルフィド結合により連結され、
第1及び第2のポリペプチドの一方が、C末端で、ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結している。
本発明の方法の具体的実施形態では、第1及び第2のポリペプチドは、TRAC*01のエキソン1のThr48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer57、又はそれらの非ヒト等価物から置換されたシステイン残基間のジスルフィド結合により連結される。
非天然型ジスルフィド鎖間結合を形成するためのシステインへの変異のための残基は、ImMunoGeneTics(IMGT)命名法を用いて同定される(The T cell Receptor Factsbook 第2版(2001) LeFranc及びLefranc,Academic Press)。WO03/020763は、特定の非天然型ジスルフィド鎖間結合、及び鎖間結合がその間に位置し得る代替の残基を導入するに必要な方法の詳細な説明を提供する。
本発明の1つの実施形態は、核タンパク質が線状ファージ粒子であり、ライブラリがαβ二量体TCR(「dTCR」)であるポリペプチドをディスプレイするメンバーを含み、任意にTCRα鎖及び/又はTCRβ鎖及び/又はホモ二量体αα鎖及び/又はホモ二量体ββ鎖をディスプレイするメンバーを含み、
(i)該ライブラリの幾つかのメンバーを並行して該所定のpMHC又はCD1-抗原と接触させ、該pMHC又はCD1-抗原に結合するメンバーを同定し、
(ii)工程(i)で評価した該所定のpMHC又はCD1-抗原に結合する1又はそれ以上のライブラリメンバーを選択し、ディスプレイされるTCRの可変ドメイン配列を決定し、
(iii)このように決定された可変ドメイン配列が組み込まれている可溶形態TCRを作り、
(iv)これらTCRの該所定のpMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、
(v)工程(iv)で決定した所望の親和性及び/又は解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択する、所定のpMHC又はCD1-抗原に結合するライブラリメンバーを同定し、結合するものを単離するための方法を提供する。
(i)該ライブラリの幾つかのメンバーを並行して該所定のpMHC又はCD1-抗原と接触させ、該pMHC又はCD1-抗原に結合するメンバーを同定し、
(ii)工程(i)で評価した該所定のpMHC又はCD1-抗原に結合する1又はそれ以上のライブラリメンバーを選択し、ディスプレイされるTCRの可変ドメイン配列を決定し、
(iii)このように決定された可変ドメイン配列が組み込まれている可溶形態TCRを作り、
(iv)これらTCRの該所定のpMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、
(v)工程(iv)で決定した所望の親和性及び/又は解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択する、所定のpMHC又はCD1-抗原に結合するライブラリメンバーを同定し、結合するものを単離するための方法を提供する。
本発明の上記方法及び核タンパク質ライブラリにより、標的pMHC又はCD1-抗原に結合するαβdTCR、TCRα鎖、TCRβ鎖、TCRααホモ二量体及び/又はTCRββホモ二量体の同定が可能になる。
本明細書で使用する用語「可溶性TCR」は、
(i)天然型膜貫通ドメインを欠き、
(ii)核タンパク質と結合しておらず、
そして、MHC又はCD1-抗原と結合する能力を保持している
任意のTCRをいうと理解される。
(i)天然型膜貫通ドメインを欠き、
(ii)核タンパク質と結合しておらず、
そして、MHC又はCD1-抗原と結合する能力を保持している
任意のTCRをいうと理解される。
親和性及び/又は解離速度の測定は、任意の適切な方法によりなすことができる。好ましい実施形態では、親和性及び/又は解離速度は、表面プラズモン共鳴(SPR)により決定される。
本明細書中の実施例3は、可溶形態のTCRとpMHC又はCD1-抗原との間の相互作用に関する親和性及び解離速度を決定するために適切なSPRベース(Biacore)の方法の詳細を提供する。
本明細書中の実施例3は、可溶形態のTCRとpMHC又はCD1-抗原との間の相互作用に関する親和性及び解離速度を決定するために適切なSPRベース(Biacore)の方法の詳細を提供する。
本発明の別の実施形態では、ディスプレイされるポリペプチドが、所定のTCRから、可変ドメインの相補性決定領域の少なくとも1つの変異により誘導される方法が提供される。例えば、ディスプレイされるポリペプチドは、所定のTCRから、可変ドメインの相補性決定領域CDR2又はCDR3の少なくとも一方の変異により誘導することができる。
本発明の更なる実施形態では、本発明の方法で使用するライブラリの創出のための出発点である所定のTCRが天然物である方法が提供される。
当業者に自明であるように、上記方法は、ライブラリメンバーからの、ライブラリメンバーにより結合され得る他の任意の複合体に対するリガンドの同定に等しく適用可能である。
TCRライブラリ
本発明の更なる広義の実施形態は、多様な合成TCRα可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第1のセット、及び/又は多様な合成TCRβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第2のセット、及び/又は多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第3のセットを含んでなる核タンパク質のライブラリにより提供され、これらポリペプチドは、これもまた多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドと対で結合している。ただし、該ライブラリはセット(a)及び(b)の少なくとも一方を含む。
本発明の更なる広義の実施形態は、多様な合成TCRα可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第1のセット、及び/又は多様な合成TCRβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第2のセット、及び/又は多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第3のセットを含んでなる核タンパク質のライブラリにより提供され、これらポリペプチドは、これもまた多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドと対で結合している。ただし、該ライブラリはセット(a)及び(b)の少なくとも一方を含む。
本発明の具体的実施形態は、多様性が少なくとも可変ドメイン配列のCDR2配列又はCDR3配列にあるライブラリにより提供される。
本発明の好ましい実施形態は、核タンパク質がファージ粒子又はリボソーム粒子である本発明のライブラリにより提供される。
本発明の好ましい実施形態は、核タンパク質がファージ粒子又はリボソーム粒子である本発明のライブラリにより提供される。
本発明のライブラリの具体的実施形態では、ディスプレイされるポリペプチドの合成可変ドメイン配列は、膜貫通ドメインを除き定常ドメイン配列の全て又は一部を含むTCR鎖の部分に対してN末端側に位置する。
本発明のライブラリの更なる具体的な実施形態において、核タンパク質の第3のセットでは、対での結合は、少なくとも一部が、天然型αβT細胞レセプター中に等価物がない、対を形成したポリペプチドのTCR定常ドメイン配列中の導入システイン残基間のジスルフィド結合により維持される。
本発明のライブラリの好ましい実施形態では、ファージ粒子又はリボソーム上で、ディスプレイされるポリペプチド又はディスプレイされる結合したポリペプチド対の一方のメンバーはC末端で該ファージ粒子又はリボソームの表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結されている。
本発明のライブラリの具体的な実施形態では、第1及び第2のポリペプチドは、TRAC*01のエキソン1のThr48及びTRBC1*01若しくはTRBC2*01のエキソン1のSer57、又はそれらの非ヒト等価物から置換されたシステイン残基間のジスルフィド結合により連結される。
本発明のライブラリの別の実施形態では、合成α及びβ可変ドメイン配列は、少なくとも2つのTCRの変異により誘導される。
本発明のライブラリの別の実施形態では、合成α及びβ可変ドメイン配列は、少なくとも2つのTCRの変異により誘導される。
ディスプレイされるTCR
本発明者らの同時係属中の出願(WO2004/044004)は、本発明での使用に好ましいscTCR及びdTCRをディスプレイする核タンパク質を作製するために必要な方法を記載している。
本発明者らの同時係属中の出願(WO2004/044004)は、本発明での使用に好ましいscTCR及びdTCRをディスプレイする核タンパク質を作製するために必要な方法を記載している。
変異TCRのライブラリの作製には、(a)dTCRポリペプチド対の一方の鎖と(b)核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したdTCRポリペプチド対の他方の鎖とをコードする核酸;又は核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したscTCRポリペプチドをコードする核酸を必要とする。
TCRの発現のためには、(a)dTCRポリペプチド対の一方の鎖及び(b)核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したdTCRポリペプチド対の他方の鎖をコードする核酸;又は核タンパク質粒子の表面の一部を形成し得るタンパク質をコードする核酸配列に融合したscTCRポリペプチドをコードする核酸を含んでなる発現ベクターで形質転換した宿主細胞を使用し得る。
好ましくは、発現系は、核酸(a)及び(b)を発現するファージミド又はファージゲノムベクターを含んでなる。好ましくは、これらファージミド又はファージゲノムベクターは、バクテリオファージgIII又はgVIIIのコートタンパク質をコードするものである。
形質転換細胞は、TCRをディスプレイする核タンパク質粒子の発現を可能にするようにインキュベートする。次いで、これら粒子は、所望の親和性及び/又は解離速度特性を有するTCR変形体を同定するためのアッセイで使用することができる。次いで、調査中の所望の特性を有する任意の粒子を単離することができる。次いで、これらTCRをコードするDNAは、PCRにより増幅され、配列を決定することができる。
外因性ポリペプチドの高発現レベルは宿主細胞に対して毒性であり得ることが知られている。このような場合、外因性ポリペプチドにより寛容である宿主株を見出さなければならないか、又は宿主細胞における発現レベルを寛容されるレベルに限定しなければならないかのいずれかである。例えば、Beekwilderら(1999) Gene 228(1-2) 23-31は、欠失又はアンバー停止コドンを含有する変異形態のジャガイモプロテアーゼインヒビター(PI2)のみが、ファージディスプレイライブラリから選択することに成功したと報告している
scTCR又はdTCRの一方若しくは両方のTCR鎖の発現レベルを制限するに適切であり得る、宿主において所定の発現系からの外因性ポリペプチドの発現レベルを制限するための幾つかのストラテジーが存在する。これらのストラテジーは本発明者らの同時係属中の出願(WO2004/044004)に記載されている。
発現後のscTCRポリペプチドの可変ドメイン配列の正確な対形成が、好ましくは、scTCRの細胞外定常ドメイン中の導入ジスルフィド結合によって支援される。理論による限定は望まないが、新規なジスルフィド結合は、フォールディングプロセスの間にscTCRに対して特別な安定性を提供し、これによって第1及び第2のセグメントの正確な対形成を容易にすると考えられる。
dTCRファージディスプレイについて上でも記載したように、dTCRポリペプチド対の一方は、ファージ上にまるで最終的に単量体ポリペプチドとしてディスプレイされるかのように発現し、dTCRポリペプチド対の他方は、同じ宿主細胞で共発現する。ファージ粒子が自己組織化するにつれて、2つのポリペプチドはファージ上で二量体としてディスプレイするために自己結合する。再び、本発明のこの観点の好ましい実施形態において、ポリペプチド対の結合の間の正確なフォールディングは、定常配列間のジスルフィド結合により支援される。鎖間ジスルフィド結合を有するdTCRのファージディスプレイのための手順の更なる詳細は、本発明者らの同時係属中の出願WO2004/044004に含まれる実施例に見られる。
或いは、dTCRの第1の鎖をディスプレイするファージを先ず発現させ、第2の鎖のポリペプチドを、後の工程で、ファージ表面上での機能的dTCRとしての結合のために、発現したファージと接触させてもよい。
標的ペプチド-MHC複合体に関する高い親和性及び/又は遅い解離速度を有する変異CDR2配列を含んでなるTCRを同定するバイオパニングのための好ましいインビトロTCRディスプレイ法は、リボソームディスプレイである。先ず、上記の技法を使用して、多様な数々の変異scTCR又はdsTCRポリペプチドをコードするDNAライブラリを構築する。次に、相補性mRNAライブラリを作製するためにDNAライブラリをRNAポリメラーゼと接触させる。任意に、mRNAディスプレイ技法のために、mRNA配列を、次に、ピューロマイシン結合性部位を含んでなるDNA配列に連結することができる。次いで、これら遺伝子構築物を、インビトロにて、scTCRポリペプチド又はdTCR対の第1のポリペプチドの翻訳を可能にする条件下でリボソームと接触させる。dTCRの場合には、ポリペプチド対の第2のポリペプチドは、別途発現させ、(好ましくは定常ドメイン間でのジスルフィド結合の形成により支援された)2つのポリペプチド間の結合のために、リボソームにディスプレイされた第1のポリペプチドと接触させる。或いは、dTCRの両方の鎖をコードするmRNAを、インビトロにて、dTCRをディスプレイするリボソームが形成されるようにTCR鎖の翻訳を可能にする条件下でリボソームと接触させてもよい。これらscTCR又はdTCRをディスプレイするリボソームは、次いで、特定の亢進した特性を有するTCR変形体を同定するためのスクリーニングのため又はアッセイで使用することができる。次いで、調査中の亢進した特性を有する任意の粒子を単離することができる。これらTCRをコードするmRNAは、次いで、逆転写酵素を用いて相補性DNA配列に変換させることができる。次いで、このDNAはPCRにより増幅させることができ、配列を決定することができる。
本発明のscTCR又はdTCRは、核タンパク質粒子上、例えばファージ粒子上、好ましくは線状ファージ粒子上に、例えば以下の2つの手段によりディスプレイされてもよい:
(i)dTCRポリペプチド対の一方のメンバーのC末端、又はscTCRポリペプチドのC末端、又はいずれかのC末端に付着した短いペプチドリンカーのC末端を、核タンパク質粒子の表面露出残基にペプチド結合により直接連結することができる。例えば、表面露出残基は、好ましくは、バクテリオファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIの遺伝子産物のN末端にある;及び
(ii)dTCRポリペプチド対の一方のメンバーのC末端、又はscTCRポリペプチドのC末端、又はいずれかのC末端に付着した短いペプチドリンカーのC末端を、導入システイン残基を介して核タンパク質粒子の表面露出システイン残基にジスルフィド結合により連結する。例えば、表面露出残基は再び、好ましくは、バクテリオファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIの遺伝子産物のN末端にある。
(i)dTCRポリペプチド対の一方のメンバーのC末端、又はscTCRポリペプチドのC末端、又はいずれかのC末端に付着した短いペプチドリンカーのC末端を、核タンパク質粒子の表面露出残基にペプチド結合により直接連結することができる。例えば、表面露出残基は、好ましくは、バクテリオファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIの遺伝子産物のN末端にある;及び
(ii)dTCRポリペプチド対の一方のメンバーのC末端、又はscTCRポリペプチドのC末端、又はいずれかのC末端に付着した短いペプチドリンカーのC末端を、導入システイン残基を介して核タンパク質粒子の表面露出システイン残基にジスルフィド結合により連結する。例えば、表面露出残基は再び、好ましくは、バクテリオファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIの遺伝子産物のN末端にある。
M13及びf1は、遺伝子III及び遺伝子VIIIの遺伝子産物を発現するバクテリオファージの例である。
上記方法(i)が好ましい。scTCRの場合、該TCRをコードする核酸は、複製可能な粒子、例えばファージ又は細胞の粒子形成タンパク質又は表面タンパク質をコードする核酸に融合してもよい。或いは、停止コドンがないか又はピューロマイシンRNAに融合したmRNAを表す核酸は、TCRがリボソーム粒子に融合したままであるように、リボソームにより翻訳され得る。dTCRの場合、該TCRの一方の鎖をコードする核酸は、複製可能な粒子、例えばファージ又は細胞の粒子形成タンパク質又は表面タンパク質をコードする核酸に融合してもよく、該TCRポリペプチド対の第2の鎖は、第1の鎖をディスプレイする得られる発現粒子と結合させてもよい。2つの鎖の適正な機能的結合は、下記でより十分に議論するように、鎖間ジスルフィド結合を形成し得る2つの鎖の定常ドメイン中のシステインの存在によって支援され得る。
更なる観点
本発明の方法により単離されるscTCR又はdTCRは、実質的に純粋な形態で、又は精製されたか若しくは単離された調製物として提供され得る。例えば、これは、他のタンパク質を実質的に含まない形態で提供されてもよい。
本発明の方法により単離されるscTCR又はdTCRは、実質的に純粋な形態で、又は精製されたか若しくは単離された調製物として提供され得る。例えば、これは、他のタンパク質を実質的に含まない形態で提供されてもよい。
本発明の各観点の好ましい性状は、その他の観点の各々についての性状と同様である(ただし必要な変更は加える)。本明細書中で言及した先行技術文献は、法が許す最大範囲で本明細書に組み込まれる。
本発明を以下の実施例において更に説明する。実施例は如何なる様式でも本発明の範囲を制限しない。
以下で、添付の図面に言及する:
図1は、pEX922-ILAベクターのDNA配列を詳述する。
図2は、pEX922-ILAベクターのプラスミドマップを提供する。
図3a及び3bは、pEX922-ILAベクター中に含有される可溶性ILA TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を詳述する。両方のDNA配列は、発現した可溶性TCRにおいて非天然型ジスルフィド鎖間結合を形成するために必要なシステイン残基をコードする変異コドンを含有する。変異システインコドンを影付きで示す。
以下で、添付の図面に言及する:
図1は、pEX922-ILAベクターのDNA配列を詳述する。
図2は、pEX922-ILAベクターのプラスミドマップを提供する。
図3a及び3bは、pEX922-ILAベクター中に含有される可溶性ILA TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を詳述する。両方のDNA配列は、発現した可溶性TCRにおいて非天然型ジスルフィド鎖間結合を形成するために必要なシステイン残基をコードする変異コドンを含有する。変異システインコドンを影付きで示す。
図4a及び4bは、それぞれ、図3a及び3bのDNAによりコードされる可溶性ILA TCRα鎖及びβ鎖のアミノ酸配列を詳述する。導入システイン残基を影付きで示す。
図5は、ILA TCR由来ライブラリの作製の間に生じたPCR産物を示す概略図を提供する。
図6は、この可溶性TCRの相互作用に関して作成したBiacore応答曲線を提供する。
図5は、ILA TCR由来ライブラリの作製の間に生じたPCR産物を示す概略図を提供する。
図6は、この可溶性TCRの相互作用に関して作成したBiacore応答曲線を提供する。
実施例1 − ILA-TCRのCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域の変異誘発
ILA TCRのCDR1、CDR2及びCDR3 α可変領域及びβ可変領域を変異導入の標的として、高親和性変異体を作製できる可能性を調べた。
オーバーラップPCRを使用し、α及びβのCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域の配列を改変して変異を導入した。TCRα鎖及びTCRβ鎖の両方のために、CDR1領域、CDR2領域又はCDR3領域の両方の側の側方に位置する(flanked)2つのPCR産物を作製した。これらPCR産物は、オーバーラップせず、変異すべきCDR1配列もCDR2配列もCDR3配列も含んでいない。これら2つのPCR産物を、次いで、CDR1、CDR2又はCDR3の側方に位置するPCR産物の両方と相同性を有する領域を含有する変異誘発性オリゴの存在下での更なるPCR反応に含ませる。PCR反応における、外側側方に位置するプライマーとの組合せでの変異誘発性オリゴの存在により、2つのPCRフラグメントの縫い合わせ(stitching)がCDR1変異、CDR2変異又はCDR3変異のいずれかを組み込むことが可能になる。
変異誘発法のより詳細な説明を下記に記載する。
ILA TCRのCDR1、CDR2及びCDR3 α可変領域及びβ可変領域を変異導入の標的として、高親和性変異体を作製できる可能性を調べた。
オーバーラップPCRを使用し、α及びβのCDR1領域、CDR2領域及びCDR3領域の配列を改変して変異を導入した。TCRα鎖及びTCRβ鎖の両方のために、CDR1領域、CDR2領域又はCDR3領域の両方の側の側方に位置する(flanked)2つのPCR産物を作製した。これらPCR産物は、オーバーラップせず、変異すべきCDR1配列もCDR2配列もCDR3配列も含んでいない。これら2つのPCR産物を、次いで、CDR1、CDR2又はCDR3の側方に位置するPCR産物の両方と相同性を有する領域を含有する変異誘発性オリゴの存在下での更なるPCR反応に含ませる。PCR反応における、外側側方に位置するプライマーとの組合せでの変異誘発性オリゴの存在により、2つのPCRフラグメントの縫い合わせ(stitching)がCDR1変異、CDR2変異又はCDR3変異のいずれかを組み込むことが可能になる。
変異誘発法のより詳細な説明を下記に記載する。
VαCDR3変異誘発のために、鋳型としてpEX922-ILAベクターを用い、下記のプライマーを用いて以下のPCR産物を作製した。
PCR1:
40.5μlの水、5μlの10×Pfu緩衝液、1μlのYOL13プライマー10pM/μl、1μlの(272)プライマー10pM/μl、1μlの10mM dNTP、10ngのpEX922-ILA及び0.5μlのPfuポリメラーゼ。PCRは以下のとおりのサイクルで行った:95度での15秒間と55度での15秒間と72度での2分間の30サイクル。PCR産物を1.6%TBEアガロースゲル上で泳動し、正確なサイズのバンドを切り出し、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製した。
PCR1:
40.5μlの水、5μlの10×Pfu緩衝液、1μlのYOL13プライマー10pM/μl、1μlの(272)プライマー10pM/μl、1μlの10mM dNTP、10ngのpEX922-ILA及び0.5μlのPfuポリメラーゼ。PCRは以下のとおりのサイクルで行った:95度での15秒間と55度での15秒間と72度での2分間の30サイクル。PCR産物を1.6%TBEアガロースゲル上で泳動し、正確なサイズのバンドを切り出し、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製した。
PCR2:
プライマー281及びYo1 13に代えて上記のとおり。
PCR3:
プライマー284及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR4:
プライマー287及びYol 13に代えて上記のとおり。
プライマー281及びYo1 13に代えて上記のとおり。
PCR3:
プライマー284及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR4:
プライマー287及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR5:
プライマー290及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR7:
プライマー278及び238に代えて上記のとおり。
PCR8:
プライマー280及び238に代えて上記のとおり。
プライマー290及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR7:
プライマー278及び238に代えて上記のとおり。
PCR8:
プライマー280及び238に代えて上記のとおり。
PCR9:
プライマー283及び238に代えて上記のとおり。
PCR10:
プライマー286及び238に代えて上記のとおり。
PCR11:
プライマー289及び238に代えて上記のとおり。
PCR12:
プライマー292及び238に代えて上記のとおり。
プライマー283及び238に代えて上記のとおり。
PCR10:
プライマー286及び238に代えて上記のとおり。
PCR11:
プライマー289及び238に代えて上記のとおり。
PCR12:
プライマー292及び238に代えて上記のとおり。
pEX922-ILAベクターは、非天然型システイン残基コードする変異コドンを含有する可溶形態のILA TCRα鎖及びβ鎖をコードするDNAを含有する。
図1はpEX922-ILAベクターのDNA配列を詳述し、図2はこのベクターのプラスミドマップを提供する。
図3a及び3bは、pEX922-ILAベクター中に含有される可溶性ILA TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を詳述する。
図4a及び4bは、それぞれ、図3a及び3bのDNAによりコードされるILA TCRα鎖及びβ鎖のアミノ酸配列を詳述する。
図3a及び3bは、pEX922-ILAベクター中に含有される可溶性ILA TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を詳述する。
図4a及び4bは、それぞれ、図3a及び3bのDNAによりコードされるILA TCRα鎖及びβ鎖のアミノ酸配列を詳述する。
VαCDR2変異誘発のために、以下のPCR産物を作製した。
PCR6:
プライマー293及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR13:
プライマー295及び238に代えて上記のとおり。
PCR6:
プライマー293及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR13:
プライマー295及び238に代えて上記のとおり。
VαCDR1の変異誘発のために、以下のPCR産物を作った。
PCR28:
プライマー296及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR29:
プライマー238及び298に代えて上記のとおり。
PCR28:
プライマー296及びYol 13に代えて上記のとおり。
PCR29:
プライマー238及び298に代えて上記のとおり。
VβCDR3の変異誘発のために、鋳型としてpEX922-ILAベクターを用い、下記のプライマーを用いて以下のPCR産物を作製した。上記に詳述した同じPCR条件を用いた。
PCR14:
プライマー299及び247に代えて上記のとおり。
PCR15:
プライマー299及び250に代えて上記のとおり。
PCR16:
プライマー299及び253に代えて上記のとおり。
PCR14:
プライマー299及び247に代えて上記のとおり。
PCR15:
プライマー299及び250に代えて上記のとおり。
PCR16:
プライマー299及び253に代えて上記のとおり。
PCR17:
プライマー299及び256に代えて上記のとおり。
PCR18:
プライマー299及び259に代えて上記のとおり。
PCR19:
プライマー299及び262に代えて上記のとおり。
プライマー299及び256に代えて上記のとおり。
PCR18:
プライマー299及び259に代えて上記のとおり。
PCR19:
プライマー299及び262に代えて上記のとおり。
PCR21:
プライマー249及び22に代えて上記のとおり。
PCR22:
プライマー252及び22に代えて上記のとおり。
PCR23:
プライマー255及び22に代えて上記のとおり。
プライマー249及び22に代えて上記のとおり。
PCR22:
プライマー252及び22に代えて上記のとおり。
PCR23:
プライマー255及び22に代えて上記のとおり。
PCR24:
プライマー258及び22に代えて上記のとおり。
PCR25:
プライマー261及び22に代えて上記のとおり。
PCR26:
プライマー265及び22に代えて上記のとおり。
プライマー258及び22に代えて上記のとおり。
PCR25:
プライマー261及び22に代えて上記のとおり。
PCR26:
プライマー265及び22に代えて上記のとおり。
VβCDR2の変異誘発のために、以下のPCR産物を作製した。
PCR20:
プライマー299及び266に代えて上記のとおり。
PCR27:
プライマー268及び22に代えて上記のとおり。
PCR20:
プライマー299及び266に代えて上記のとおり。
PCR27:
プライマー268及び22に代えて上記のとおり。
VβCDR1の変異誘発のために、以下のPCR産物を作製した。
PCR30:
プライマー269及び22に代えて上記のとおり。
PCR31:
プライマー271及び22に代えて上記のとおり。
PCR30:
プライマー269及び22に代えて上記のとおり。
PCR31:
プライマー271及び22に代えて上記のとおり。
上記のPCR産物は、引き続いて、下記のオーバーラップPCRで、完全長CDR1、CDR2又はCDR3の変異Vα鎖又はVβ鎖を作製するために使用する。完全長CDR1、CDR2又はCDR3の変異Vα鎖又はVβ鎖は、次いで、切断し、ファージディスプレイベクターpEX922中にクローニングすることができる。これらPCR反応は、以下のとおり実施した(ILA TCR由来ライブラリの作製の間に生じたPCR産物を示す概略図については、図5を参照)。
VβCDR3の変異誘発には、以下のオーバーラップPCRを実施した。
PCR A:
39.5μlの水、5μlの10×Pfu緩衝液、1μlの299プライマー10pM/μl、1μlの22プライマー10pM/μl、1μlの10mM dNTP、10ngのPCR14、10ngのPCR21(上記マップを参照) 10ng及び0.33pMのオリゴ248及び0.5μlのPfuポリメラーゼ。PCRは以下のとおりのサイクルであった:95度で15秒間と55度で15秒間と72度で2分間の30サイクル。PCR産物を、1.6%TBEアガロースゲル上で泳動し、正確なサイズのバンドを切り出し、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製した。
PCR A:
39.5μlの水、5μlの10×Pfu緩衝液、1μlの299プライマー10pM/μl、1μlの22プライマー10pM/μl、1μlの10mM dNTP、10ngのPCR14、10ngのPCR21(上記マップを参照) 10ng及び0.33pMのオリゴ248及び0.5μlのPfuポリメラーゼ。PCRは以下のとおりのサイクルであった:95度で15秒間と55度で15秒間と72度で2分間の30サイクル。PCR産物を、1.6%TBEアガロースゲル上で泳動し、正確なサイズのバンドを切り出し、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製した。
PCR B:
変異誘発性オリゴを248 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR15、10ngのPCR22(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR C:
変異誘発性オリゴを251 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR16、10ngのPCR23(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR D:
変異誘発性オリゴを257 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR17、10ngのPCR24(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
変異誘発性オリゴを248 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR15、10ngのPCR22(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR C:
変異誘発性オリゴを251 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR16、10ngのPCR23(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR D:
変異誘発性オリゴを257 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR17、10ngのPCR24(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR E:
変異誘発性オリゴを260 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR18、10ngのPCR25(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR F:
変異誘発性オリゴを263 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR19、10ngのPCR26(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR G:
変異誘発性オリゴを264 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR19、10ngのPCR26(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
変異誘発性オリゴを260 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR18、10ngのPCR25(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR F:
変異誘発性オリゴを263 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR19、10ngのPCR26(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR G:
変異誘発性オリゴを264 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR19、10ngのPCR26(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
VβCDR2の変異誘発には、以下のオーバーラップPCRを実施した。
PCR H:
変異誘発性オリゴを267 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR20、10ngのPCR27(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR H:
変異誘発性オリゴを267 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR20、10ngのPCR27(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
VβCDR1の変異誘発には、以下のオーバーラップPCRを実施した。
PCR I:
変異誘発性オリゴを270 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR30、10ngのPCR31(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR I:
変異誘発性オリゴを270 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR30、10ngのPCR31(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
VαCDR3の変異誘発のためには、以下のオーバーラップPCRを実施した。
PCR J:
39.5μlの水、5μlの10×Pfu緩衝液、1μlの13プライマー10pM/μl、1μlの238プライマー10pM/μl、1μlの10mM dNTP、10ngのPCR1、10ngのPCR7(上記マップを参照) 10ng及び0.33pMのオリゴ273及び0.5μlのPfuポリメラーゼ。PCRは以下のとおりのサイクルであった:95度で15秒間と55度で15秒間と72度で2分間の30サイクル。PCR産物を、1.6%TBEアガロースゲル上で泳動し、正確なサイズのバンドを切り出し、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製した。
PCR J:
39.5μlの水、5μlの10×Pfu緩衝液、1μlの13プライマー10pM/μl、1μlの238プライマー10pM/μl、1μlの10mM dNTP、10ngのPCR1、10ngのPCR7(上記マップを参照) 10ng及び0.33pMのオリゴ273及び0.5μlのPfuポリメラーゼ。PCRは以下のとおりのサイクルであった:95度で15秒間と55度で15秒間と72度で2分間の30サイクル。PCR産物を、1.6%TBEアガロースゲル上で泳動し、正確なサイズのバンドを切り出し、Qiagenゲル抽出キットを用いて精製した。
PCR K:
変異誘発性オリゴを274 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR L:
変異誘発性オリゴを275 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR M:
変異誘発性オリゴを276 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
変異誘発性オリゴを274 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR L:
変異誘発性オリゴを275 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR M:
変異誘発性オリゴを276 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR N:
変異誘発性オリゴを277 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR O:
変異誘発性オリゴを279 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR1、10ngのPCR8(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR P:
変異誘発性オリゴを282 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR2、10ngのPCR9(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
変異誘発性オリゴを277 0.33pMに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR O:
変異誘発性オリゴを279 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR1、10ngのPCR8(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR P:
変異誘発性オリゴを282 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR2、10ngのPCR9(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR Q:
変異誘発性オリゴを285 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR3、10ngのPCR10(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR R:
変異誘発性オリゴを288 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR4、10ngのPCR11(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR S:
変異誘発性オリゴを291 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR5、10ngのPCR12(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
変異誘発性オリゴを285 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR3、10ngのPCR10(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR R:
変異誘発性オリゴを288 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR4、10ngのPCR11(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
PCR S:
変異誘発性オリゴを291 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR5、10ngのPCR12(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR A)のとおり。
VαCDR2の変異誘発のためには、以下のオーバーラップPCRを実施した。
PCR T:
変異誘発性オリゴを294 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR6、10ngのPCR13(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR T:
変異誘発性オリゴを294 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR6、10ngのPCR13(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
VαCDR1の変異誘発のためには、以下のオーバーラップPCRを実施した。
PCR U:
変異誘発性オリゴを297 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR28、10ngのPCR29(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
PCR U:
変異誘発性オリゴを297 0.33pMに代え、PCR鋳型を10ngのPCR28、10ngのPCR29(上記マップを参照) 10ngに代えた以外は、上記(PCR J)のとおり。
ILA CDR1、CDR2及びCDR3のα変異誘発性ファージディスプレイライブラリの構築のために:プールしたα鎖PCRフラグメント(J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、及びU)は、Nco I及びNotIで消化し、Qiagenキットを使用して再精製し、レシピエントベクターは、pEX922をNco I及びNotIで消化し、続いてQiagenキットを用いてゲル精製することにより調製した。
ILA CDR1、CDR2及びCDR3のβ変異誘発性ファージディスプレイライブラリの構築のために:プールしたβ鎖PCRフラグメント(A、B、C、D、E、F、G、H、及びI)は、Nco I及びNotIで消化し、Qiagenキットを使用して再精製し、レシピエントベクターは、pEX922をNco I及びNotIで消化し、続いてQiagenキットを用いてゲル精製することにより調製した。
Vαライブラリ及びVβライブラリは別々に連結し形質転換させた。
3:1のモル比の精製した挿入物及びベクターをT4リガーゼ緩衝液、T4リガーゼ、及びヌクレアーゼを含まない水と混合した。連結を16℃の水浴にて一晩実施した。各変異ライブラリのため、合計0.5〜2μgの精製し脱塩した連結生成物を、E.coli TG1中に、40μlのエレクトロポレーションコンピテント細胞(Stratagen)当たり0.2μg DNAの比にて、製造業者が提供したプロトコルに従ってエレクトロポレートした。エレクトロポレーションの後、960μlのSOC培地(37℃)で直ぐに細胞を再懸濁し、100μg/mlアンピシリン及び2%グルコースを補充したYTE(1リットル中15gのBacto-Agar、8gのNaCl、10gのトリプトン、5gの酵母抽出物)を含有する244mm×244mm組織培養プレートに播種した。プレートを30℃にて一晩インキュベートした。次いで、細胞を、15%のグリセロールを補充した5mlのDYT(1リットル中16gのトリプトン、1Ogの酵母抽出物及び5gのNaCl、125℃にて15分間オートクレーブにかけた)でプレートから剥ぎ取った。
3:1のモル比の精製した挿入物及びベクターをT4リガーゼ緩衝液、T4リガーゼ、及びヌクレアーゼを含まない水と混合した。連結を16℃の水浴にて一晩実施した。各変異ライブラリのため、合計0.5〜2μgの精製し脱塩した連結生成物を、E.coli TG1中に、40μlのエレクトロポレーションコンピテント細胞(Stratagen)当たり0.2μg DNAの比にて、製造業者が提供したプロトコルに従ってエレクトロポレートした。エレクトロポレーションの後、960μlのSOC培地(37℃)で直ぐに細胞を再懸濁し、100μg/mlアンピシリン及び2%グルコースを補充したYTE(1リットル中15gのBacto-Agar、8gのNaCl、10gのトリプトン、5gの酵母抽出物)を含有する244mm×244mm組織培養プレートに播種した。プレートを30℃にて一晩インキュベートした。次いで、細胞を、15%のグリセロールを補充した5mlのDYT(1リットル中16gのトリプトン、1Ogの酵母抽出物及び5gのNaCl、125℃にて15分間オートクレーブにかけた)でプレートから剥ぎ取った。
ILA TCRライブラリをディスプレイするファージ粒子を作製するため、500mlのDYTag(100μg/mlのアンピシリン及び2%グルコースを含有するDYT)に500〜1000μlのライブラリストックを接種した。OD(600nm)が0.5に達するまで培養物を増殖させた。100mlの培養物をヘルパーファージ(M13 K07(Invitrogen)又はHYPER PHAGE(Progen Biotechnik, GmbH 69123 Heidelberg)に感染させ、37℃の水浴で30分間インキュベートした。培地を100mlのDYTak(100μg/mlアンピシリン及び25μg/mlのカナマイシンを含有するDYT)と交換した。次いで、培養物を、300rpmで振盪させながら25℃にて20〜36時間インキュベートした。
実施例2 − ILA TCRに由来するTCRファージライブラリからの(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201、(サービビン)ELTLGEFLKL-HLA-A*0201、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体に結合するTCRの単離
上記のILAテロメラーゼファージディスプレイライブラリからの(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201、(サービビン(Survivin))ELTLGEFLKL-HLA-A*0201、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体に結合するTCRの単離は、以下のとおり実施した。最初のパニングは、ILA TCRに由来する変異体TCRをディスプレイするファージ粒子(上記のように調製)の選択を利用して実施した。
上記のILAテロメラーゼファージディスプレイライブラリからの(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201、(サービビン(Survivin))ELTLGEFLKL-HLA-A*0201、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体に結合するTCRの単離は、以下のとおり実施した。最初のパニングは、ILA TCRに由来する変異体TCRをディスプレイするファージ粒子(上記のように調製)の選択を利用して実施した。
ストレプトアビジンで被覆した常磁性体ビーズ(Roche)を製造業者のプロトコルに従って予め洗浄した。変異ILA TCRをディスプレイするファージ粒子を3%粉ミルク-PBS中1012〜1013cfuの濃度で、実施した3回全ての選択について500nMの濃度のビオチン化した(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201複合体、(サービビン)ELTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体のいずれかと予め混合した。ILA TCRをディスプレイするファージ粒子と、(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201複合体、(サービビン)ELTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体のいずれかとの混合物を穏やかに回転させながら室温にて1時間インキュベートし、TCRをディスプレイするファージ粒子を、(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201複合体、(サービビン)ELTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体に結合した。ファージビオチン化HLA複合体を、脱ビオチン化した3%粉ミルク-PBSでブロックした100mlのストレプトアビジン被覆(Roche)磁性ビーズで5分間レスキューした。ファージ粒子の捕捉後、Dynal磁性粒子濃縮器を用いてビーズを合計6回(3回はPBS-0.1%tween20中、3回はPBS中で)洗浄した。最終の洗浄後、ビーズを100μlの新たに調製したPBS中に再懸濁し、50μlの再懸濁ビーズを使用して、選択したファージ粒子の増幅用に新たに調製した10mlのE.coli TG1にOD(600nm)=0.5で確立された方法に従って感染させた。
3回目の選択の後、(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201複合体プレート、(サービビン)ELTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体プレート、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体プレートのいずれかから100コロニーを採取し、これを、96ウェルマイクロタイタープレート中の100μlの2TYAGに接種した。培養物を振盪させながら30℃にて一晩インキュベートした。次いで、100μlの2TYAGに2〜5μlの一晩培養物を接種し、振盪させながら30℃にて2〜3時間又は培養物が濁るまでインキュベートした。細胞にヘルパーファージを感染させるために、培養物を5×109のpfuヘルパーファージを含有する100μlの2TYAGに感染させ、37℃にて60分間インキュベートした。5μlの感染培養物を200μlの2TYAK(「TYAG+100μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのカノマイシン)に加えた。プレートを300rpmで振盪させながら25℃にて20〜36時間インキュベートした。細胞を3000gで4℃にて10分間の遠心分離により沈降させた。上清を使用して、ファージELISAにより高親和性TCR変異体についてスクリーニングした。
(テロメラーゼ)RLVDDFLLV-HLA-A*0201複合体、(サービビン)ELTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体、又は(サービビン)LTLGEFLKL-HLA-A*0201複合体のいずれかに結合するファージクローンは、ELISAスクリーニングの間に、コントロールのウェル(OD600 0.05)と比較して強いELISAシグナル(OD600 0.3〜1)により決定して見出した。ライブラリが由来する野生型ILA TCRは、上記ELISAアッセイにより検出可能な程度には、これらpMHC複合体のいずれにも結合し得なかった。したがって、このことは、変異したファージディスプレイライブラリを構築するために使用した親ILA TCRのものとは異なる特異性を有するTCRが該ライブラリから単離されたことを証明する。
このようなアプローチにより、特定のpMHC特異性を有するTCRに由来するファージディスプレイライブラリから、異なるMHCにより提示されるペプチドに結合し得るTCRを単離することが可能になる。一般的なアプローチは、同定したTCRをコードするファージミドDNAを、Mini-Prepキット(Quiagen, UK)を用いて該当するE.coli細胞から単離することを包含する。PCR増幅は、鋳型としてのファージミドDNA及び該ファージミドによりコードされる可溶性TCRα鎖及びβ鎖のDNA配列を増幅するために設計した1セットのプライマーを用いて実行することができる。必要なプライマーの全範囲は、TCRα及びTCRβのV配列及びC配列を参照することにより推定可能である。次いで、PCR産物は、適切な制限酵素で消化し、対応する挿入部位を用いてE. coli発現ベクター中にクローニングする。増幅したTCRα鎖及びβ鎖のDNA配列(これらは、上記のように、導入した定常ドメイン鎖間ジスルフィド結合を形成するために必要なシステインをコードするコドンを含む)は、次いで、WO03/020763に記載のように、可溶性TCRを作製するために使用する。簡潔には、2つの鎖は別々のE.coli培養物中で封入体として発現する。次いで、封入体を単離し、変性させ、インビトロで一緒にリフォールディングさせる。
可溶性TCRの結合特性を特徴付けることが必要であれば、Biacoreシステムを使用してこれを行ってもよい:
実施例3 − 特異的pMHCへのsTCR結合のBIAcore表面プラズモン共鳴特徴付け
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(BIAcore 3000TM)を使用して、sTCRのペプチド-MHCリガンドへの結合を分析した。これは、ストレプトアビジンで被覆した結合表面に半配向様式で固定した単一pMHC複合体(下記で説明)を作製し、同時に4つまでの異なるpMHC(別々のフローセルに固定)に対する可溶性T細胞レセプターの結合の効率的な試験を可能にすることによって促進された。HLA複合体の手動での注入により、固定したクラスI分子を正確なレベルで容易に操作することが可能になる。
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(BIAcore 3000TM)を使用して、sTCRのペプチド-MHCリガンドへの結合を分析した。これは、ストレプトアビジンで被覆した結合表面に半配向様式で固定した単一pMHC複合体(下記で説明)を作製し、同時に4つまでの異なるpMHC(別々のフローセルに固定)に対する可溶性T細胞レセプターの結合の効率的な試験を可能にすることによって促進された。HLA複合体の手動での注入により、固定したクラスI分子を正確なレベルで容易に操作することが可能になる。
ビオチン化した可溶性ペプチド-MHC分子は、インビトロで、構成成分サブユニットタンパク質及び合成ペプチドを含有する細菌発現封入体からリフォールディングし、続いて精製及びインビトロ酵素ビオチン化(O'Callaghanら(1999) Anal. Biochem. 266: 9-15)する。重鎖を、適切な構築物において、該タンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインに置換したC末端ビオチン化タグと共に発現させた。〜75mg/リットル細胞培養物の封入体発現レベルが得られた。また、MHC軽鎖又はb2-マイクログロブリンを、E.coli中で適切な構築物から封入体として、〜500mg/リットル細胞培養物のレベルで発現させた。
E. coli細胞を溶解させ、封入体を約80%の純度まで精製する。封入体由来のタンパク質を、6Mグアニジン-HCl、50mM Tris(pH8.1)、100mM NaCl、10mM DTT、10mM EDTA中で変性させた。そして、5℃未満のリフォールディング緩衝液中に変性タンパク質の単一パルスを添加することにより、0.4MのL-アルギニン-HCl、100mM Tris(pH8.1)、3.7mMのシスタミン、mMのシスタミン、MHC分子がロードするために必要なペプチド4mg/ml中に、30mg/リットルの重鎖、30mg/リットルのβ2mの濃度でリフォールディングした。リフォールディングは、4℃にて少なくとも1時間で完全に達するようにした。
10容量の10mM Tris(pH8.1)中の透析により緩衝液を交換した。緩衝液の2回の交換は、溶液のイオン強度を十分に減少させるために必要であった。このタンパク質溶液を、次いで、1.5μm酢酸セルロースフィルターにて濾過し、POROS 50HQアニオン交換カラム(8mlベッドボリューム)上にロードした。タンパク質を線形の0〜500mM NaCl勾配で溶出させた。HLA-A2-ペプチド複合体は約250mM NaClで溶出した。ピーク画分を集め、プロテアーゼインヒビターのカクテル(Calbiochem)を加え、該画分を氷上で冷却した。
ビオチン化タグを付したpMHC分子は、10mM Tris(pH8.1)、5mM NaCl中に、同じ緩衝液中で平衡化したPharmacia fast脱塩カラムを用い緩衝液交換した。溶出の直後に、タンパク質含有画分を氷上で冷却し、プロテアーゼインヒビターカクテル(Calbiochem)を加えた。次いで、ビオチン化試薬を加えた:1mMのビオチン、5mMのATP(pH8に緩衝化)、7.5mM MgCl2、及び5μg/ml BirA酵素(O'Callaghanら(1999) Anal. Biochem. 266: 9-15に従い精製)。次いで、混合物を室温にて一晩インキュベートした。
ビオチン化したpMHC分子は、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて精製した。Pharmacia Superdex 75 HR 10/30カラムは、濾過したPBSで予め平衡化し、1mlのビオチン化反応混合物をロードし、カラムをPBSを用いて0.5ml/分で展開した。ビオチン化したpMHC分子は約15mlで単一ピークとして溶出した。タンパク質含有画分をプールし、氷上で冷却し、プロテアーゼインヒビターカクテルを添加した。タンパク質濃度は、クーマーシー結合アッセイ(PerBio)を使用して決定し、ビオチン化したpMHC分子の小分けを−20℃にて冷凍貯蔵した。ストレプトアビジンは、標準的なアミンカップリング法により固定化した。
このような固定化複合体は、T細胞レセプター及びコレセプターCD8ααの両方(これらは共に可溶相に注入され得る)に結合し得る。TCRの特異的結合は低濃度(少なくとも40μg/ml)でさえ得られる。このことはTCRが比較的安定であることを示す。sTCRのpMHC結合特性は、sTCRが可溶相又は固定相のいずれで使用されても、質的及び量的に類似して観察される。これは、可溶性種の部分的な活性に対する重要なコントロールであり、しかもビオチン化pMHC複合体が非ビオチン化複合体と同程度に生物学的に活性であることを示唆する。
新規な鎖間結合を含有する変異体ILA TCRとそのリガンド/MHC複合体又は無関係のHLA-ペプチド組合せ(これらの製造は上記で説明)との間の相互作用を、BIAcore 3000TM表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサで分析した。SPRは、レセプターリガンド相互作用を検出しその親和性及び動力学的パラメータを分析するために使用することができる原理である、小さなフローセル内のセンサ表面近くでの屈折率の変化(応答単位(RU)で表される)を測定する。β2mに架橋したビオチンとフローセルの活性化表面に化学的に架橋されたストレプトアビジンとの間の結合を介して、個々のHLA-ペプチド複合体を別々のフローセルに固定化することにより、プローブフローセルを準備した。次いで、異なるフローセルの表面上にsTCRを一定流速で通過させ、そうしている間のSPR応答を測定することにより、アッセイを実施した。
平衡結合定数の測定
変異体ILA sTCRの系列希釈物を調製し、1つは〜1000RUの特異的ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめは〜1000RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆した2つの異なるフローセル上に5μl/分の一定流速で注入した。コントロールセルからの測定値を使用して各濃度について応答を規格化する。規格化したデータ応答をTCRサンプルの濃度に対してプロットし、平衡結合定数KDを算出するために双曲線にフィットさせた(Price及びDwek,Principles and Problems in Physical Chemistry for Biochemists(第2版) 1979,Clarendon Press,Oxford)。
変異体ILA sTCRの系列希釈物を調製し、1つは〜1000RUの特異的ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめは〜1000RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆した2つの異なるフローセル上に5μl/分の一定流速で注入した。コントロールセルからの測定値を使用して各濃度について応答を規格化する。規格化したデータ応答をTCRサンプルの濃度に対してプロットし、平衡結合定数KDを算出するために双曲線にフィットさせた(Price及びDwek,Principles and Problems in Physical Chemistry for Biochemists(第2版) 1979,Clarendon Press,Oxford)。
動力学パラメータの測定
高親和性TCRに関して、解離速度定数kd及び結合速度定数kaを実験的に測定することによりKDを決定した。平衡定数KDはkd/kaとして算出した。
1つは〜300RUの特異的ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめは〜300RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆した2つの異なるセル上にTCRを注入した。流速を50μl/分に設定した。代表的には、250μlのTCRを〜3μM濃度で注入した。次いで、反応がベースラインに戻るまで緩衝液を流した。Biaevaluationソフトウェアを用いて動力学パラメータを算出した。また、解離相を、半減期の算出を可能にする一次指数関数減衰式にフィットさせた。
高親和性TCRに関して、解離速度定数kd及び結合速度定数kaを実験的に測定することによりKDを決定した。平衡定数KDはkd/kaとして算出した。
1つは〜300RUの特異的ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体で被覆し、2つめは〜300RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆した2つの異なるセル上にTCRを注入した。流速を50μl/分に設定した。代表的には、250μlのTCRを〜3μM濃度で注入した。次いで、反応がベースラインに戻るまで緩衝液を流した。Biaevaluationソフトウェアを用いて動力学パラメータを算出した。また、解離相を、半減期の算出を可能にする一次指数関数減衰式にフィットさせた。
実施例4 − A6 TCR由来ファージディスプレイライブラリからのHLA-A24-VYGFVRACL結合性TCRの単離
第2のファージにディスプレイされるTCRライブラリを、本発明者らの同時係属中の出願WO2004/044004の実施例1及び2の手順を使用して作った。
このライブラリが由来したA6 TCRは、HLA-A2-LLFGYPVYVに特異的である。このライブラリは、上記ファージELISA法を使用してテロメラーゼ由来のVYGFVRACLペプチドをロードしたHLA-A24に対してパニングした。
第2のファージにディスプレイされるTCRライブラリを、本発明者らの同時係属中の出願WO2004/044004の実施例1及び2の手順を使用して作った。
このライブラリが由来したA6 TCRは、HLA-A2-LLFGYPVYVに特異的である。このライブラリは、上記ファージELISA法を使用してテロメラーゼ由来のVYGFVRACLペプチドをロードしたHLA-A24に対してパニングした。
次いで、ディスプレイされるTCRをコードするDNAを、結合性ファージ粒子から単離し、上記の可溶性dTCRを産生するために使用した。
単離したファージ粒子に由来するこの可溶性TCRがHLA-A24-VYGFVRACLに結合する能力は、実施例3のBiacore法を使用して検証した。
単離したファージ粒子に由来するこの可溶性TCRがHLA-A24-VYGFVRACLに結合する能力は、実施例3のBiacore法を使用して検証した。
結果
導入ジスルフィド鎖間結合を含有する可溶性TCRは、HLA-A24-VYGFVRACLに1.6μMの親和性(Kd)で結合することが示された。
図6は、この可溶性TCRの相互作用に関して作成したBiacore応答曲線を提供する。
導入ジスルフィド鎖間結合を含有する可溶性TCRは、HLA-A24-VYGFVRACLに1.6μMの親和性(Kd)で結合することが示された。
図6は、この可溶性TCRの相互作用に関して作成したBiacore応答曲線を提供する。
Claims (22)
- (a)第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するTCRに由来する多様な合成T細胞レセプター(「TCR」)可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の多様性ライブラリであって多様性が少なくとも該ポリペプチドの可変ドメインにあるライブラリのメンバーと(b)第1のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とは異なる所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とを接触させ、
該ライブラリメンバーと該所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体との間の結合を検出し、
該所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するとして検出したライブラリメンバーを単離し、任意に、増幅プロセスで単離したライブラリメンバーの数を増やし、
該ライブラリメンバーの表面でディスプレイされるポリペプチドを所望のポリペプチドであるとみなす
ことを含んでなる所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合するポリペプチドの同定方法。 - 前記核タンパク質が、前記所定のペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体とは異なるペプチド-MHC複合体又はCD1-抗原複合体に結合する複数のTCRに由来する多様な合成TCR可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドをディスプレイする請求項1に記載の方法。
- 前記結合がELISAにより決定される請求項1又は2に記載の方法。
- 前記核タンパク質粒子が線状ファージ粒子又はリボソーム粒子であり、前記ディスプレイされるポリペプチドが単鎖TCR(「scTCR」)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記核タンパク質のライブラリが、(a)多様な合成TCRα可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第1のセット、及び/又は(b)多様な合成TCRβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第2のセット、及び/又は(c)多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第3のセットを含んでなり、これらポリペプチドは、これもまた多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドと対で結合している請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記核タンパク質が線状ファージ粒子であり、前記ライブラリがαβ二量体TCR(「dTCR」)であるポリペプチドをディスプレイするメンバーを含むか又は該メンバーからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ライブラリが、TCRα鎖及び/又はTCRβ鎖及び/又はホモ二量体αα鎖及び/又はホモ二量体ββ鎖をディスプレイするメンバーを含む請求項6に記載の方法。
- 前記ファージによりディスプレイされるαβdTCRが、
TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第1のポリペプチドと、
TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第2のポリペプチドとを含んでなり、
第1及び第2のポリペプチドは天然型αβT細胞レセプター中に等価物がないジスルフィド結合により連結され、
第1又は第2のポリペプチドの一方が、C末端で、該ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結している請求項6又は7に記載の方法。 - 前記ファージによりディスプレイされるαβdTCRが、
TCRα鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第1のポリペプチドと、
TCRβ鎖可変ドメイン配列に対応する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応する配列のN末端に融合した第2のポリペプチドとを含んでなり、
第1及び第2のポリペプチドは、TRAC*01のエキソン1のThr48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer57、又はそれらの非ヒト等価物から置換されたシステイン残基間のジスルフィド結合により連結され、
第1又は第2のポリペプチドの一方は、C末端で、該ファージ粒子の表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結している請求項6又は7に記載の方法。 - (i)前記ライブラリの幾つかのメンバーを並行して前記所定のpMHC又はCD1-抗原と接触させ、該pMHC又はCD1-抗原に結合するメンバーを同定し、
(ii)工程(i)で評価した該所定のpMHC又はCD1-抗原に結合する1又はそれ以上のライブラリメンバーを選択し、ディスプレイされるTCRの可変ドメイン配列を決定し、
(iii)このように決定された可変ドメイン配列が組み込まれている可溶形態TCRを作り、
(iv)これらTCRの該所定のpMHCに関する親和性及び/又は解離速度を決定し、
(v)工程(iv)で決定した所望の親和性及び/又は解離速度を有する1又はそれ以上のTCRを選択する、所定のpMHC又はCD1-抗原に結合するライブラリメンバーを同定し、結合するものを単離するための請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。 - 前記親和性及び/又は解離速度が表面プラズモン共鳴により決定される請求項10に記載の方法。
- 前記ディスプレイされるポリペプチドが、前記所定のTCRから可変ドメインの少なくとも1つの相補性決定領域の変異により誘導される請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ディスプレイされるポリペプチドが、前記所定のTCRから可変ドメインの相補性決定領域CDR2又はCDR3の少なくとも一方の変異により誘導される請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記所定のTCRが天然物である請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- (a)多様な合成TCRα可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第1のセット、及び/又は(b)多様な合成TCRβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第2のセット、及び/又は(c)多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドを表面でディスプレイする核タンパク質の第3のセットを含んでなり、ただしセット(a)及び(b)の少なくとも一方を含み、これらポリペプチドは、これもまた多様な合成TCRα又はβ可変ドメイン配列を含んでなるポリペプチドと対で結合している核タンパク質のライブラリ。
- 多様性が少なくとも可変ドメイン配列のCDR2配列又はCDR3配列にある請求項15に記載のライブラリ。
- 前記核タンパク質がファージ粒子又はリボソーム粒子である請求項15又は16に記載のライブラリ。
- 前記ディスプレイされるポリペプチドの合成可変ドメイン配列が、膜貫通ドメインを除き定常ドメイン配列の全て又は一部を含むTCR鎖の部分に対してN末端側に位置する請求項15〜17のいずれか1項に記載の核タンパク質の多様性ライブラリ。
- 前記核タンパク質の第3のセットにおいて、前記対での結合の少なくとも一部が、天然型αβT細胞レセプター中に等価物がない、前記対を形成したポリペプチドのTCR定常ドメイン配列中の導入システイン残基間のジスルフィド結合により維持される請求項18に記載の多様性ライブラリ。
- ファージ粒子又はリボソームを含んでなり、該ファージ粒子又はリボソーム上で、前記ディスプレイされるポリペプチド又はディスプレイされる結合したポリペプチド対の一方のメンバーが、C末端で該ファージ粒子又はリボソームの表面露出アミノ酸残基にペプチド結合により連結される請求項19に記載の多様性ライブラリ。
- 第1及び第2のポリペプチドが、TRAC*01のエキソン1のThr48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1のSer57、又はそれらの非ヒト等価物から置換されたシステイン残基間のジスルフィド結合により連結される請求項20に記載のファージ粒子の多様性ライブラリ。
- 前記合成α及びβ可変ドメイン配列が少なくとも2つのTCRの変異により誘導される請求項15〜21のいずれか1項に記載のライブラリ。
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