JP2007536920A - イマチニブを用いる処置に感受性のある膠芽腫の小集団の同定および特性化 - Google Patents

イマチニブを用いる処置に感受性のある膠芽腫の小集団の同定および特性化 Download PDF

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Abstract

本発明は、特定の遺伝子マーカーを用いた、哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断法、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測法、および細胞増殖性疾患を有し、かつ少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される哺乳動物の選択法に関する。

Description

本発明は、特定の遺伝子マーカーを用いることによる、哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断方法、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個の血小板由来増殖因子(PDGF)受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測方法、および細胞増殖性疾患を有し、かつ少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される哺乳動物の選択方法に関する。
神経膠腫は、世界保健機関基準に従うと、グレードIVの悪性度である。悪性度は、核異型、有糸分裂活性、血管血栓症、毛細血管増殖および壊死のような組織学的基準に基づく。グレードII腫瘍は、一般的に、細胞型起源に依存して星状細胞腫、乏突起神経膠腫および混合性乏星状細胞腫に分けられる。グレードIIIは、未分化星状細胞腫および未分化乏突起神経膠腫に分けられる。最高度であるグレードIVは、一般に多形性膠芽腫(GBM)として公知である。
従って、膠芽腫(GBM)は、最も一般的な成人の悪性脳腫瘍である。処置は現在、外科手術、放射線療法および化学療法に基づく。しかしながら、これらの処置モダリティでは、応答は非常に悪い。GBM患者の2年生存率は、7.5%以下である(Maher et al., 2001)。それ故、新規の処置法の同定が極めて望まれている。
前記疾患の臨床経過および遺伝子変化特性を基に、GBMは、原発性および続発性GBMに大まかに分けられている(Maher et al., 2002に概説される)。原発性GBMは、変異により変化したEGF受容体の増幅と関係し、一方、続発性GBMは、p53変異ならびにPDGFおよびPDGF受容体の過剰発現により特徴付けられる。原発性GBMと比較して、続発性GBMは、より若い患者に起こる。最近の研究により、染色体12q13−14上の遺伝子の過剰発現により特徴付けられる続発性GBMの新規小集団も同定された(Mischel et al., 2003)。
GBM小集団におけるPDGFおよびPDGF受容体の合わせた発現は、GBM増殖における自己分泌性PDGF受容体シグナル伝達の機能的役割と一致する。この概念は、実験的方法により支持されている。第一に、GBM様腫瘍は、マウス脳におけるPDGFの過剰発現後にマウスにおいて誘導され得る(Dai et al., 2001; Uhrbom et al., 1998)。第二に、様々な種類のPDGF受容体阻害剤を用いる実験的治療研究は、GBM由来細胞株の増殖が、PDGF受容体シグナル伝達を妨害することにより阻害され得ることを実証した(Kilic et al., 2000; Shamah et al., 1993; Strawn et al., 1994)。
化合物Iのような、臨床的に有用なPDGF受容体アンタゴニストの利用可能性は、腫瘍におけるPDGF受容体シグナル伝達を妨害することにより治療効果を得る可能性を実証している(Pietras et al., 2003に概説される)。化合物Iは、PDGF受容体に加えて、c−Kit、c−Abl、Bcr−AblおよびArgのチロシンキナーゼ活性も阻害する、経口的に利用できるチロシンキナーゼ阻害剤である(Capdeville et al., 2002に概説される)。化合物Iの臨床的有用性は、それぞれBcr−Ablおよびc−Kitの異常と関係する、CMLおよびGISTを有する患者の試験において十分に実証されている(Demetri et al., 2002; O’Brien et al., 2003)。
上記の通り、GBMの満足できる処置が現在まで存在しないため、GBM、およびより一般的には、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物、好ましくはヒトを成功裏に処置する新規治療法を発見する必要がある。
本明細書に用いる“哺乳動物”は、ヒトを含む温血動物である。
本発明の“生物学的試料”は、組織、細胞、血漿、血清、細胞または組織溶解物、ならびに好ましくは腫瘍組織を含む哺乳動物体から単離された何らかの生物学的材料から得られた哺乳動物の試料である。そのような試料は、例えば生検により得られる。
本明細書中の表現“血小板由来増殖因子(PDGF)受容体アンタゴニスト”は、例えば、PDGFリガンドまたは受容体を標的とする抗体、PDGFの受容体への結合を阻害する可溶性受容体またはアプタマーの組換え形態、ならびに化合物I(下記に示す)および同様の作用機序を有する他の物質のようなPDGF受容体キナーゼ活性を直接妨害するLMW化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む、PDGF受容体シグナル伝達を阻害する全ての物質を示す。好ましくは、本発明の実施に有用なPDGF受容体アンタゴニストは、下記の化合物I、またはその薬学的に許容される塩である。
表現“薬学的に許容される”は、一般的に安全であり、非毒性であり、そして生物学的にも他にも望ましくないものでない、医薬組成物を製造するのに有用なものを意味し、そして哺乳動物、好ましくはヒトへの、医薬的使用に適用可能なものが含まれる。
“薬学的に許容される塩”は、特定の化合物(例えば、化合物Iまたは他のPDGF受容体アンタゴニスト)の遊離酸および塩基の生物学的有効性を保持し、そして生物学的にも他にも望ましくないものではない塩を意味することを意図する。薬学的に許容される塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプロン酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩およびマンデル酸塩が含まれる。
望ましい塩は、化合物IのようなPDGF受容体アンタゴニストの遊離塩基と塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸との処理、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸またはガラクツロン酸のようなピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、クエン酸または酒石酸のようなα−ヒドロキシ酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸のようなアミノ酸、安息香酸または桂皮酸のような芳香族性酸、p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸のようなスルホン酸などのような有機酸との処理を含む、当技術分野で公知の全ての適する方法により製造され得る。
化合物、塩または溶媒和物が固体である場合、化合物、塩および溶媒和物は、異なる結晶形態で存在し得、それらの全ては、本発明の範囲内および特定の式の範囲内であると意図されることが、当業者に理解される。
“医薬組成物”はまた、本明細書中、同義語“医薬製剤”または“薬剤”で示される。
化合物I、およびその薬学的に許容される塩または溶媒和物を含むPDGF受容体アンタゴニストは、当業者に適していると認識され得る全ての医薬形態で医薬組成物として投与され得る。適する医薬形態には、錠剤、粉剤、カプセル剤、坐剤、懸濁液、リポソーム剤およびエアロゾルのような固体、半固体、液体、または凍結乾燥製剤が含まれる。医薬組成物にはまた、使用目的または投与方法に依存して、適する賦形剤、希釈剤、ビヒクル、および担体、ならびに他の薬学的活性剤が含まれ得る。
医薬組成物の適する医薬形態を製造するための許容される方法は、当業者により通常どおりに決定され得る。例えば、医薬品を、経口、非経腸、局所、膣内、鼻内、気管支内、眼内、耳内、および/または経直腸投与のための所望の製品を得るために、混合、造粒、および錠剤形について必要なとき圧縮する工程、または必要に応じて成分を混合、充填、および溶解する工程を含む薬化学の常套技術に従い製造することができる。
固体または液体の薬学的に許容される担体、希釈剤、ビヒクル、または賦形剤を、医薬組成物中に用いることができる。固体担体の例には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、石こう(terra alba)、ショ糖、タルク、ゼラチン、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が含まれる。液体担体の例には、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、食塩水および水が含まれる。担体および希釈剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンのような適する持続放出性物質を、単独でかまたは蝋と共に含み得る。液体担体を用いるとき、前記製剤は、シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョン剤、軟ゼラチンカプセル、無菌注射液(例えば、溶液)、または非水性または水性液体懸濁液の形態であり得る。
PDGF受容体アンタゴニスト、とりわけ化合物I、ならびにその薬学的に許容される塩および溶媒和物の投与は、当業者に利用可能な一般的に許容される投与方法の全てにより行われ得る。適する投与方法の具体例には、経口、経鼻、非経腸、局所、経皮、および経直腸が含まれる。
一回用量の医薬組成物は、少なくとも1個の治療的有効量の活性化合物(例えば、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)を含み、そして好ましくは1個またはそれ以上の薬学的投与量単位で構成される。選択された用量を、例えば軟膏もしくはクリームとしての局所投与;経口投与、例えば坐剤として経直腸投与;注射による非経腸投与;または、膣内、鼻内、気管支内、耳内、または眼内注入による連続投与を含む、前記用量の任意の公知かまたは適する投与方法により、処置の必要な哺乳動物、好ましくはヒト患者に投与することができる。
“治療的有効量”は、活性薬剤を必要とする哺乳動物に投与したとき、細胞増殖性疾患の効果的な処置に十分なその量を意味するものとする。治療的に有効である所定の化合物の量は、特定の化合物、疾患状態およびその重症度、それを必要とする哺乳動物の特性のような因子に依存して変化し、その量は通常、当業者により決定され得る。
疾患状態を“処置する”またはその“処置”には、
(1)障害を予防すること、すなわち、疾患状態に暴露され得るかまたは疾患状態の素因を有するが、未だその疾患状態の症状を経験または示していない、哺乳動物対象、好ましくはヒト対象に疾患状態の臨床症状を生じさせないこと;
(2)疾患状態を阻害すること、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の進行を阻止すること;または
(3)疾患状態を緩和すること、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の一時的または永続的緩解をもたらすこと
が含まれる。
上記で用いる“疾患”は、所定の細胞型の蓄積を含む細胞増殖性疾患を示し、全ての腫瘍、癌、癌腫、肉腫、リンパ腫、芽腫などを含む。好ましくは、前記細胞増殖性疾患は、膠芽腫である。
用語“遺伝子マーカー”、“バイオマーカー”、“マーカー”および“特徴(feature)”は、同義語であり、本明細書中互換的に用いられる。
化合物Iは、下記の式
Figure 2007536920
を有する、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドである。
化合物Iの遊離塩基、その薬学的に許容される塩、ならびにその製造は、参照により本明細書中に包含される欧州特許EP0564409に開示される。化合物Iの遊離塩基は、活性部分に相当する。化合物Iは、血小板由来増殖因子受容体αおよびβ(PDGFRαおよびβ)、Bcr−Ablおよびc−kitチロシンキナーゼの阻害剤である。
化合物Iのモノメタンスルホン酸付加塩(下記に“塩I”と称する)、およびその好ましい結晶型、例えばβ結晶型は、参照により本明細書中に包含される欧州特許EP0998473に記載される。
従って、本発明の第一の局面は、哺乳動物における細胞増殖性疾患をインビトロで診断するための方法であって、
a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;および
b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
c)患者の遺伝子発現プロフィールと表3に示される平均非応答性発現プロフィールとを比較する工程
を少なくとも含む方法に関する。
有利には、表3から選択される該マーカーのうち、少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのみの発現および/またはリン酸化プロフィールが、工程b)で決定される。
遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化状態のレベルを、例えばRT−PCR技術を用いる、例えばRNA発現に基づくか、または、例えば免疫測定法、免疫沈殿法および電気泳動法を含む、ウエスタンブロッティング、免疫組織化学またはELISA(酵素免疫測定法)の中のいずれかの技術を用いる、例えばタンパク質発現に基づく任意の常套技術により生物学的試料において分析することができる。好ましくは、当業者は、試料における遺伝子マーカーの発現レベルおよび/またはそのリン酸化レベルを決定し得る。
例えば、非リン酸化形態またはリン酸化形態の遺伝子マーカー、または非リン酸化形態およびリン酸化形態の両方に特異的な抗体を、該マーカーの発現および/またはリン酸化レベルを測定するための標準的免疫学的分析において用いることができる。例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いるELISAタイプ分析、免疫沈降タイプ分析、常套的ウエスタンブロッティング分析、および免疫組織化学的分析を、マーカーの発現および/またはリン酸化レベルを決定するためにも用いることができる。
第二の局面に従い、本発明は、少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の行動を予測するための方法であって、
a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;
b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
c)工程b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールと、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて表3から計算された平均±標準偏差とを比較する工程;そして
d)該哺乳動物の行動を下記の通りに予測する工程:
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に応答性であると予測する
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に非応答であると予測する;および
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差外であるならば、該処置に応答した該哺乳動物の行動は不明である
を少なくとも含む方法に関する。
特定の態様において、表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのみの発現および/またはリン酸化プロフィールを、工程b)で決定する。
第三の局面に従い、本発明は、少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物を選択するための方法であって、
a)上記の方法を用いて該哺乳動物の行動を予測する工程;および
b)該哺乳動物が応答性であると予測されるならば、該哺乳動物を選択する工程
を少なくとも含む方法に関する。
この哺乳動物は、少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩を用いる臨床試験に参加させるため、または薬物療法を施すためのような様々な目的に関して選択され得る。
本発明の第四の局面は、哺乳動物における遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールをインビトロで分析するためのキットであって、少なくとも2個から40個、好ましくは3個から5個の、表3から選択される遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含むキットに関する。
第五の局面において、本発明は、少なくとも2個から40個、好ましくは3個から5個の、表3から選択される遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、哺乳動物における遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールをインビトロで分析するためのマイクロアレイまたはバイオチップに関する。
本発明の第六の局面は、
−哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための、表3から選択される少なくとも1個の遺伝子および/または少なくとも1個の遺伝子産物の遺伝子マーカーとしての使用に関する。
この観点において、該遺伝子に対応するcDNAおよび/または該遺伝子産物(そのリン酸化型、またはその非リン酸化型、または両方)に特異的な抗体(複数可)が、有利に用いられる。
第七の局面に従い、本発明は、
−哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための、上記のキット、マイクロアレイまたはバイオチップの使用に関する。
第八の局面に従い、本発明は、上記の方法を用いて選択される細胞増殖性疾患を有する応答性哺乳動物を処置するための薬剤の製造を目的とした少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストの使用に関する。
本発明はまた、上記の方法を用いて選択された細胞増殖性疾患の処置を必要とする応答性哺乳動物における、治療的有効量のPDGF受容体アンタゴニストをそれに投与することを含む処置方法を開示する。
特定の態様において、該PDGF受容体アンタゴニストは、医薬組成物中に含まれる。
本発明を下記の図面により説明するが、それらに限定されない:
図1、GBM培養の増殖速度および化合物I感受性。
(A)23個のGBM培養の増殖速度を、24ウェルプレート中、4000細胞/ウェルで播き、培養4日後の細胞数を測定することにより決定した。値は、培養期間中の増殖倍数であり、2個の独立した実験からの平均値を示す。(B)化合物Iに対する感受性を決定するため、7個の最も遅い増殖速度の培養を除く16個のGBM培養の各4000細胞を、96ウェルプレートのウェルに播き、1μMの化合物Iの存在または不存在下で4日間増殖させた。培養終了時の細胞数を、クリスタルバイオレット染色および光度測定により決定した。化合物I感受性を、化合物I処理により誘導される増殖阻害の割合(%)として示す。標準偏差と共に示す結果は、各々クアドルプリケート(quadruplicate)で分析した3個の独立した実験から導かれる。(C)増殖速度と化合物I感受性の相関関係を、0.39のピアソンの相関係数を示す散布図に結果を示すことにより説明する。
図2、GBM培養におけるPDGF受容体発現および活性化。
異なる細胞培養におけるPDGFαおよびβ受容体の発現レベルおよび活性状態を、GBM培養からのWGA画分をPDGFRα、PDGFRβおよびホスホチロシンを認識する抗体で連続的に免疫ブロッティングすることにより決定した。どちらかの受容体を発現する細胞からの試料を、特異的対照として、および異なるフィルター間の標準化に用いた。(A)GBM培養および対照細胞の免疫ブロッティング分析の代表例。GBM培養における(B)PDGFα受容体および(C)PDGFβ受容体の発現。細胞株を、PDGFα−受容体発現レベルに従い順に並べる。GBM培養21の発現レベルを、任意に1とした。挿入図は、免疫ブロッティングおよびmRNA発現分析により決定したPDGFα受容体の発現とPDGFβ受容体の発現の相関関係を示す(ピアソン相関、PDGFα受容体 r=0.86、PDGFβ受容体 r=0.52)。(D)ホスホチロシン免疫ブロッティングにより決定されたPDGFRのチロシンリン酸化。PDGFαおよびβ受容体の合わせた移動位置に相当するフィルターの面積を、分析した。細胞株を、BおよびCにおける通りに並べる。GBM培養21における総PDGF受容体リン酸化を、任意に1とした。
図3、化合物I感受性とPDGFR状態との相関関係。
化合物I感受性と、PDGFα受容体発現(左上パネル)、PDGFβ受容体発現(右上パネル)、合わせたPDGFαおよびβ受容体発現(左下パネル)および全PDGF受容体チロシンリン酸化(右下パネル)との相関関係を示す。分析を、化合物I感受性実験で最大の実験間のばらつきを示した5個のGBM培養を除いて11個のGBM培養にて行った。
図4、GBM培養におけるERKおよびAktリン酸化レベル、ならびにこれらのパラメーターと化合物I感受性またはPDGF受容体状態との相関関係。
ERKおよびAktの特異的リン酸化を、p44/42 MAPK、ホスホ−p44/42 MAPK Thr202/Tyr2O4、Aktおよびホスホ−Akt Ser473を認識する抗体を用いる免疫ブロッティングにより決定した。ECLシグナルを定量し、対照溶解物を用いてフィルター間の移動効率における相違を標準化した。10個のGBM培養における(A)ERKおよび(C)Aktの相対的リン酸化、ならびにERK、Aktのリン酸化と、化合物I感受性(B、D、左上パネル)、PDGF受容体発現(B、D、右上パネル)およびPDGF受容体リン酸化(B、D、下パネル)との相関関係。
図5、AktおよびERKのリン酸化における化合物Iの効果の分析、およびこれらのパラメーターと化合物I感受性およびPDGF受容体状態との相関関係。
ERKおよびAktの化合物Iにより誘導される変化を、非処理細胞と1μMの化合物Iと共に予め1時間インキュベートした細胞におけるERKおよびAktのリン酸化を比較することにより観察した。10個のGBM培養における(A)ERKおよび(C)Aktのリン酸化の化合物Iにより誘導される変化、ならびにこれらのパラメーターと、化合物I感受性(B、D、左上パネル)、PDGF受容体発現(B、D、右上パネル)およびPDGF受容体リン酸化(B、D、下パネル)との相関関係。
図6、クラスタリングに用いる特徴の選択のための3個の異なる基準を用いる23個の膠芽腫細胞培養の階層的クラスタリング。
(A)ANOVA検定で0.05未満のp値を有する88エレメントを含み、また、少なくとも3個のGBM培養の2倍以上の上方制御および少なくとも3個の他のGBM培養の2倍の下方制御が示された遺伝子リストを用いるピアソン相関による階層的クラスタリング。(B)ANOVA検定で0.05を有意レベルと設定することにより得られる、2795個の特徴リストを用いるGBM培養のクラスタリング。(C)Bの通りであるが、ANOVA検定でp<0.000000001を有意と設定して得られた、311個の特徴リストの作製後のクラスタリング。色分けを、特徴リストの選択に用いた基準に関わらず、全ての場合に23個のGBM培養のうち17個が同じ分布を示す(例えばGBM培養5、7、8および11は、常に一緒のクラスターになる)3個の主要なクラスターが形成されるという説明のために用いる。
図7、GBM培養の3個の小集団を定義する遺伝子のクラスタリング。
図6Aに示されるGBM細胞クラスターに使用される特徴を、特徴に関する相関樹を与えるピアソン相関により階層的にクラスタリングした。このクラスタリングにより、23個のGBM培養全体の発現パターンにおける類似性に従い遺伝子がグループ分けされる。赤および緑は、個々のGBM培養における遺伝子の高いおよび低い発現をそれぞれ示す。
図8、23個のGBM培養の生化学的特性化後に得られる結果の比較、および発現プロファイリング。
ANOVA検定で0.05未満のp値を示し、また、少なくとも3個のGBM培養で2倍以上の上方制御および少なくとも3個の他のGBM培養で2倍の下方制御を示す(図6A)、特徴の選択後に得られるクラスタリングを示す。増殖速度の記載は、4日間培養後の細胞数の増加倍数を示す数字を用い、図1Aの通りである。化合物I感受性について、16個の分析したGBM培養を、6個のレスポンダー(+、40%以上の増殖阻害を示す)、7個のノンレスポンダー(−;20%未満の増殖阻害を示す)および3個の中間レスポンダー(*;20−40%の増殖阻害)に分けた。PDGF受容体発現およびリン酸化について、21個の分析したGBM培養を、高い(+;10個のGBM培養)または低い(−;11個のGBM培養)PDGF受容体発現またはリン酸化の2個の群に分けた。
図9、leave-one-out試験における化合物Iレスポンダーおよびノンレスポンダーの加重投票(weight voting)分類の性能。
分類のため、細胞株6、7、9および31をレスポンダーとして選択し、細胞株5、18、21、30、35および38をノンレスポンダーとして選択した。x軸には、分類に用いた特徴の数(1−250)を記載し、y軸には、leave-one-out試験において分類を誤った培養画分を記載する。
図10、トレーニングセットから外された5個のGBM培養での分類子の性能。
10個の膠芽腫細胞からのシグナル対ノイズで整列した遺伝子リストで上位の特徴から作成された3−5個の特徴からなる分類子を、5個のさらなるGBM培養の応答を予測するために用いた。棒グラフは、図1Bで決定された培養の化合物I感受性を示す。各棒の下に、3、4または5個の特徴からなる特徴リストで得られた、5個のGBM培養の分類を示す。それぞれの細胞培養についての、異なる分類子を用いる予測の強さを、信頼値として示す。
本発明は、実施例を含む、下記の実験の詳細な説明に照らしてより理解され得る。それにも関わらず、当業者は、この実施例の記載が限定的でなく、様々な修飾、置換、削除および変更が、本発明の範囲を逸脱せずに行われ得ることを理解する。
I−材料および方法
I−1− 組織培養、ならびにGBM培養の増殖速度および化合物I感受性の決定
GBMの初代培養の確立を、標準的方法(Ponten and Westermark, 1978)に従い行った。膠芽腫由来の初代細胞培養を、10%FBS、10U/mlのペニシリンおよび10μg/mlのストレプトマイシンを添加したMEM中、5%COの雰囲気下、37℃で増殖させた。
増殖速度の決定のため、24ウェルプレート(Sarstedt)中、4000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた。培養4日後、細胞をトリプシン消化により集め、Coulter細胞計測器で計数した。増殖速度を、培養期間中の細胞数の増殖倍数として表した。示したデータは2個の独立した実験に由来し、それぞれの分析をデュプリケートで行った。
I−2− 化合物Iによりもたらされる増殖阻害
化合物Iを、Novartis Pharmaceuticalsから入手した。各実験のため、新鮮な1mMの化合物I原液を、PBS10ml中に化合物Iを6mg溶解し、次いで、45μmフィルターで滅菌ろ過することにより製造した。4日間かけて1.2倍を超えない増殖速度を有する細胞培養は、化合物Iにより誘導される増殖阻害について試験しなかった。細胞増殖における化合物Iの効果を決定するために、細胞を、96ウェルプレート(Sarstedt)中、4000細胞/ウェルの密度で播いた。翌日、培地を、1μM化合物I含有または不含有の培地と交換した。2日後の培地交換を含む、インキュベーションの4日後、細胞をPBS中冷4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で30分間固定し、4%エタノール中0.01%クリスタルバイオレットで30分間染色した。試料を水道水で3回洗浄し、そして少なくとも30分間空気乾燥させた。染色した細胞を100μlの1%SDS中に溶解し、吸光度を、Biomek1000(Beckman)光学ツールで600nmフィルターを用いて定量した。
化合物Iの効果を、4日間処理中の細胞数増加の減少%として表し、故に、100%増殖減少は、培養期間の最後および最初で細胞数が等しい状態に相当する。陽性対照として、各実験には、化合物I感受性増殖を示すことが既に示されている細胞が含まれた(Sjoeblom et al., 2001)。示したデータは、デュプリケート/クアドルプリケートで行った、各GBM培養における化合物Iの効果の、2個または3個の独立した分析に由来する。
I−3− PDGF受容体、ERKおよびAktの発現およびリン酸化状態の分析のための対照細胞溶解物の調製
PDGFαまたはβ受容体で安定にトランスフェクトされたブタ大動脈血管内皮細胞(それぞれ、PAE/RαおよびPAE/Rβ細胞(Claesson-Welsh et al., 1988; Claesson-Welsh et al., 1989))を、標準的培養条件を用いて10cm皿(Sarstedt)中に高密度で播いた。16時間後、細胞を、0.1%FBSを含む培地に交換して24時間で血清飢餓状態にした。その後、細胞を、0.1%FBSを含む培地中、100ng/mlのPDGF−BBの存在または不存在下で、37℃で5分間処理した。氷冷PBSで洗浄後、細胞を、氷上で、0.5%トライトンX−100、0.5%デオキシコール酸、150mM NaCl、20mM トリス pH7.5、10mM EDTA、30mM 二リン酸四ナトリウム十水和物、1%トラジロール、0.5%フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および0.5%NaVOからなる溶解緩衝液1ml中、10分間溶解させた。15000×gで15分間遠心分離後、細胞溶解物を集め、そしてタンパク質濃度を、BCAタンパク質分析試薬Aキット(Pierce)を用いて測定した。タンパク質濃度を標準化後、糖タンパク質を、小麦胚芽凝集素(WGA)−セファロースと共に4℃で16時間インキュベーションすることにより単離した。試料を、15000×gで15分間遠心分離し、WGA−セファロースビーズをペレットとした。上清を取り出し、ERKおよびAkt分析のための対照とした。前記WGAビーズを、0.5%トライトンX−100、0.5%デオキシコール酸、500mM NaCl、20mM トリス pH7.5、10mM EDTA、30mM 二リン酸四ナトリウム十水和物、1%トラジロール、0.5%PMSFおよび0.5%NaVOからなる高塩濃度溶解緩衝液1mlで3回洗浄した。細胞溶解上清または糖タンパク質のWGA−セファロース画分を、Laemmli緩衝液(0.0625M トリス−HCl、10%グリセロール、2%SDS、5% β−メルカプトエタノール、0.0125%ブロモフェノールブルー)と混合し、95℃で5分間加熱し、そして−20℃で保存した。
I−4− PDGF受容体発現およびリン酸化の分析
10%FCS添加培地中で維持されたサブコンフルエントな培養由来の約50万のGBM細胞からの細胞溶解物を、上記の通りに調製した。標準化されたタンパク質含有量の細胞溶解物からのWGA画分を、上記の通りに単離した。
試料を、7%ポリアクリルアミドゲルを用いてSDS−PAGEを行った。各ゲル上に、非刺激またはPDGF−BB刺激したPAE/RαおよびPAE/Rβ細胞からの対照試料を負荷した。その後、タンパク質を、Hydrobond−C−Extraフィルター(Amersham Life Science)に電気泳動的に移した。PDGFRβの検出のため、フィルターを、5%BSAを含むTBS中で1時間ブロッキングし、次いで、TTBS(10mM トリス−HCl、pH7.4、150mM NaCl、0.02%トゥイーン20)中、1μg/mlの958(Santa Cruz Biotechnologies)のPDGFRβ一次抗体溶液と共に一晩インキュベートした。3回10分間の洗浄後、前記フィルターを、1:25000希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ロバ抗ウサギ抗体(Amersham Life Science)と共に1時間インキュベートし、そしてTTBSで3回洗浄した。抗原を、Lumi−Light Plus ウエスタンブロッティング基質(Roche)を製造者の説明書に従い、Intelligent Darkbox IIデジタルスキャナー(FUJIFILM)と共に用いて増強した化学発光により検出した。検出後、前記フィルターを、剥離緩衝液(2%SDS、62.5mM トリスHCl、pH6.7および100mM β−メルカプトエタノール)中、50℃にて30分間で剥離させ、TTBSで1回洗浄し、そして5%BSAを含むTBS中で1時間ブロッキングした。PDGFRαの検出のため、前記フィルターを、TTBS中1μg/mlのPDGFRα抗体338(Santa Cruz Biotechnologies)で再プローブし、一晩インキュベートした。現像および検出を、上記の通りに行った。リン酸化PDGFRの検出のために、前記フィルターを、TTBS中1μg/mlのリン酸化チロシン特異的抗体PY99(Santa Cruz Biotechnologies)で3回再プローブし、一晩インキュベートした。現像および検出を、TTBSで1:50000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗マウス抗体(Amersham Life Science)を二次抗体として用いること以外は上記の通り行った。
受容体発現およびリン酸化を、AIDAソフトウェアバージョン3.10.039(FUJIFILM)を用いて定量した。移動効率におけるフィルター間の相違を、GBM培養の値と対照試料の値を相関させることにより標準化した。GBM培養21におけるPDGFRαおよびPDGFRβ発現レベル、ならびに受容体リン酸化を、任意に値1とした。
I−5− 化合物Iの不存在または存在下で増殖させたGBM培養のAktおよびERK発現およびリン酸化の分析
膠芽腫細胞培養を、12ウェルプレートのウェル(Falcon)中にコンフルエントに播いた。翌日、細胞を非処理のままにするか、または1μMの化合物Iで1時間処理した。細胞溶解物を上記の通りに調製した。
タンパク質含有量を標準化した試料を、12%ゲルを用いてSDS−PAGEした。非刺激およびPDGF−BB刺激したPAE/Rβ細胞からの対照溶解物を、各ゲルに負荷した。試料を、Hydrobond−C−Extraフィルター(Amersham Life Science)に電気泳動的に移動させた。ERKおよびAktのリン酸化型を検出するため、フィルターを、5%BSAを含むトリス緩衝食塩水、pH7.6(TBS)、0.137M NaClおよび0.0035M トリス−HCl中で1時間ブロッキングし、0.001%トゥイーン20含有TBS(TTBS)中、1μg/mlの抗ホスホ−p44/42 MAPK Thr202/Tyr2O4(Cell Signaling Technology)または1μg/mlの抗ホスホ−Akt Ser473(Cell Signaling Technology)と共に一晩インキュベートした。TTBS中で3回10分間洗浄後、前記フィルターを、1:25000希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗ウサギ抗体(Amersham Life Science)と共に1時間インキュベートし、TTBS中で3回10分間洗浄した。抗原を、Lumi−Light plusウエスタンブロッティング基質(Roche)を製造者の説明書に従い、Intelligent Darkbox IIデジタルスキャナー(FUJIFILM)と共に用いて検出した。検出後、前記フィルターを、0.4M NaOH中10分間で剥がし、TTBSで1回洗浄し、そして5%BSAを含むTBS中で1時間ブロッキングした。ERKおよびAkt発現の決定のため、前記フィルターを、TTBS中、1μg/mlの抗p44/42 MAPK(Cell Signaling Technology)および1μg/mlの抗Akt(Cell Signaling Technology)で一晩再プローブした。現像および検出を上記の通りに行った。値を、AIDAソフトウェアバージョン3.10.039(FUJIFILM)を用いて定量した。
異なるGBM培養におけるERKおよびAktの相対的発現およびリン酸化を、PAE/Rβ細胞由来の参照試料を用いて決定した。化合物I処理への応答を、ERKおよびAktの特異的リン酸化の変化倍率として表した。
I−6− 遺伝子発現の分析のためのRNA抽出
23個のGBM培養それぞれのサブコンフルエントな75cm培養皿から、製造者の説明書に従いRNAeasyキット(Qiagen)を用いてRNAを抽出した。RNA量を、分光学的に判断し、異なる培養からの10−100μgのRNA収量が示された。RNAの構造的完全性を、アガロースゲル電気泳動法により確かめた。
I−7− 競合的ハイブリダイゼーションのためのRNAの増幅および標識化
各細胞株からの5μgのRNAを、幾分変更した線形増幅(Van Gelder et al., 1990)に用いた。簡単には、cDNAを、5μgのRNA、1μlの細菌RNAカクテル、1μlのdT−T7プライマー(1μg/ml、配列番号1:AAA CGA CGG CCA GTG AAT TGT AAT ACG ACT CAC TAT AGG CGC TTT TTT TTT TTT TTT)、4μlの5×Superscript II反応緩衝液(Invitrogen)、2μlのDTT(Invitrogen)、1μlのUltrapure dNTP混合物(Clontech)、1μlのRNAsin(Ambion)、1μlのテンプレート・スイッチ・オリゴプライマー(1μg/ml、配列番号2:AAA CAG TGG TAT CAA CGC AGA GTA CGC GGG)および2μlのSuperscript II(Invitrogen)の混合物中、42℃で1時間逆転写した。第二の鎖合成のため、106μlの水、15μlのAdvantage 10×PCR緩衝液(Clontech)、3μlのUltrapure dNTP混合物、1μlのRNaseH(Promega)および3μlのcDNAポリメラーゼ(Clontech)を添加した。その後、RNaseH分解のため、試料をPCR機(Applied Biosystems)中、37℃で2分間インキュベートした。その後、変性のために試料を94℃で3分間インキュベートし、プライマーアニーリングのために65℃で3分間インキュベートし、そしてcDNAポリメラーゼによる伸張のために75℃でインキュベートした。反応を、7.5μlの1M NaOHおよび2mM EDTAを添加して停止させ、65℃で10分間インキュベートした。反応混合物を350μlの水および500μlのフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール 25:24:1(Sigma)を用いてフェノール抽出により浄化し、500μl水を用いてMicrocon YM−100遠心ろ過機で3回洗浄し、そして16μlの用量に最終的に濃縮した。アンチセンスRNAを、インビトロ転写キット(Ambion)を用いてインビトロで転写することにより作製した。アンチセンスRNAから、cDNAを、上記の通りSuperscript II反応において再び逆転写し、次いで、DNAポリメラーゼ反応において二本鎖DNAを作製した。増幅の第二工程において、UTPヌクレオチド混合を、1:3混合のUTP Cy−色素−UTP(Ambion)で部分的に置換した。並行して、全ての培養からの等量のRNAから構成されるプールを、下記のハイブリダイゼーション実験に参照として用いるために増幅した。
I−8− Cy色素標識したアンチセンスRNAとセンスcDNAチップのハイブリダイゼーション
各細胞培養を、デュプリケートの色素交換(dye-swap)としてクアドルプリケートで、集めた培養の参照試料と共にハイブリダイズした。それぞれのハイブリダイゼーションのため、66μlの容量中、4μgの標識試料および4μgの標識集合物を、4μlのcotDNA(1mg/ml、Invitrogen)、4μlのポリアデニル酸(2μg/ml、Sigma)、8μlの70%エタノールおよび7μlの3M酢酸ナトリウム、pH5.2と混合した。−70℃での30分間のインキュベーションによる沈殿後、試料を、4℃にて20分間、15000×gで遠心した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、60分間空気乾燥させ、8μlの水および40μlのハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、6×デンハルト溶液、60mMトリス−HCl pH7.6、0.12%サルコシル、48%ホルムアミド、滅菌ろ過)中に溶解し、100℃で5分間加熱し、そして室温まで冷却した。試料を、予め冷却したマイクロアレイチップ(The Welcome Trust Sanger Institute、Human version 1.2.1、約10000要素を含む、約6000個体の遺伝子に対応する、http://www.sanger.ac.uk/Projects/Microarrays/)上に置き、カバーガラスで覆い、そしてCorningのハイブリダイゼーションチャンバー中、47℃で40μlの40%ホルムアミドおよび2×SSCを用いて、47℃で16時間インキュベートした。そのチップを、2×SSC中1回5分間洗浄し、0.1×SSCおよび0.1%のSDS中3回30分間洗浄し、そして0.1×SSC中1回10分間洗浄した。そのチップを1000rpmで2分間遠心分離し、最終的に乾燥させた。
I−9− チップのアレイ走査およびデータ抽出
チップを、ScanArray5000(GSI Lumonics)でScannArrayソフトウェアバージョン3.1(Packard BioChip Technologies)を用いて走査した。発現強度を、QuantArrayソフトウェアバージョン3.0.0.0(Packard BioChip Technologies)を用いて定量した。信頼できないスポットに手動で印をつけ、シグナルをヒストグラム法で定量した。
I−10− 階層的クラスタリング
データをGeneSpringに入力し、その後LOWESS標準化を行った。異なって発現される遺伝子を含むリストを、分散分析、ANOVA、または任意に設定したカットオフ値により作成した。GeneSpingでの分散分析のため、試料が同じ分散を有すると仮定されないので包括的誤差モデル(global error model)を止め、そしてボンフェローニモデルを、複数の試験補正のために用いた。特徴リストを、いくつかの異なる方法で作成したが、3個のバージョンを最終的な発表のために選択した。第一の遺伝子リストにおいて、特徴は、ANOVA検定において0.05未満のp値を有し、また、少なくとも3個の試料において2倍以上の上方制御および少なくとも3個の試料において2倍以上の下方制御を行う基準を満たすべきであり、これは88個の特徴をもたらした。第二および第三の遺伝子リストには、2795個および311個の特徴が含まれ、それぞれ0.05未満または0.000000001未満のANOVA p値の基準で作成された。その後、前記3個の遺伝子リストを、ピアソン相関に従い細胞培養の階層的クラスタリングに用いた。
I−11− 化合物I応答に関するマーカー遺伝子を同定するための管理下分析(supervised analysis)
加重投票法(Golub et al., 1999)を、増殖阻害実験値において最小の実験間変化を有する10個の細胞培養に適用した。10個の細胞培養からの発現データを、GeneClusterバージョン2.1.3ベータに入力した(http://www-genome.wi.mit.edu/cancer/software/genecluster2/gc2.html)(Golub et al., 1999; Tamayo et al., 1999)。異なる長さの特徴リストを用いる分類性能を、leave-one-out交差確認により試験した。分類特徴の選択は、最も高い中央シグナル対ノイズ値を有する許容される数の特徴の使用に基づく。GeneClusterを、最高の絶対的シグナル対ノイズ値を有する候補特徴を選択するために設定し、前記リストは、シグナル対ノイズで並べた遺伝子リストの陽性および陰性側からの同数の特徴を含む必要はなかった。
GBM培養の独立集合における分類子の評価のために、3−5個の特徴を有する分類子を構築した。特徴選択は、トレーニングセット中のレスポンダーおよびノンレスポンダーの中の特徴の最高のシグナル対ノイズ比に基づいた。その後、これらの分類子を、化合物I感受性が実験的に決定されている5個の独立したGBM培養の、加重投票法を基にした分類に用いた。
II− 結果
II−1− GBM培養の化合物I感受性の特性化
化合物I感受性について23個の異なる培養を特性化する前に、個々の培養の増殖特性を、10%FCS含有培地中で4日間の増殖での細胞数の増加を測定することにより分析した。図1Aに示した通り、増殖速度の大きな変化が観察された。最も増殖の遅い培養は4日間で細胞数の1.2倍の増加しか示さず、一方、最速で増殖する培養は、18倍の細胞数増加を示した。
化合物I処理により誘導される増殖阻害を、化合物Iの非存在または存在下における増殖4日後の細胞数を比較することにより分析した。化合物Iの効果を、処置後4日間の細胞数の増加の減少%として表した。7個の最も増殖の遅い培養を、この分析から除いた。残りの16培養の3個の独立した実験の結果を、図1Bに示す。化合物I処理に対する応答の大きな違いが、培養間で観察された。細胞培養5、18、21、30、34、35および38は全て、15%未満の増殖阻害を示した。対照的に、培養6、7、9、11、31および45の増殖は、40%以上減少した。培養8、13および27は、20−40%の増殖阻害の中間応答を示した。
増殖阻害が、増殖速度と関係するかどうかを分析するため、これらの2個のパラメーター間の相関関係を、計算した。図1Cに示す通り、この分析は、増殖速度と化合物I処理への応答の強い相関関係についていかなる証拠も提供しなかった。
II−2− GBM培養のPDGF受容体発現および活性化と化合物I感受性との相関関係
PDGF受容体は、GBM培養の化合物Iにより誘導される増殖阻害の増殖阻害作用を仲介する最も有力な標的である。故に、PDGF受容体発現および活性化を分析し、これらのパラメーターを増殖阻害と相関させた(図2および3)。
PDGF受容体活性化および発現を、PDGFαおよびβ受容体に対する抗体およびホスホチロシン抗体を用いて培養したGBM細胞からのWGA画分を免疫ブロッティングして分析した。陽性対照として、PDGFαまたはβ受容体でトランスフェクトされた、リガンド刺激したかまたは非刺激のブタ大動脈内皮細胞を用いた(図2A)。受容体発現、および全PDGF受容体リン酸化の値を、培養21において任意に1とした。
図2BおよびCに示す通り、PDGFαおよびβ受容体発現における100倍以上の変化が、培養間で観察された。PDGF受容体タンパク質発現の概算を、遺伝子発現分析からのデータ(下記を参照のこと)と比較し、そしてPDGFα−およびβ−受容体のそれぞれ0.86および0.52のr値がもたらされた(図2BおよびC、挿入図)。さらに、PDGF受容体リン酸化を、PDGFαおよびβ受容体の合わせた移動位置でのホスホ−チロシンシグナルを定量することにより決定した(図2A、D)。概して、この分析により、PDGFαおよびβ受容体発現を合わせて得られるのと非常に類似したパターンを得た。従って、この分析は、受容体ごとに同様のリン酸化を示すことを示唆した。
これらのデータと16個の分析した培養のうち11個の化合物I感受性の相関関係の結果を、図3に示す。培養11、45、8、27および34を、これらの培養の増殖阻害実験における大きな変化のため、この分析から除いた。全4個の分析したPDGF受容体関連パラメーターは、0.85(PDGFβ−受容体発現)から0.73(PDGFα−受容体発現)のr値範囲であって、化合物I感受性との高い相関関係を示した。
従って、これらの分析は、一群のGBM培養内のPDGF受容体発現に関して広範な変化を明らかにし、また、PDGF受容体発現と化合物I感受性および全PDGF受容体リン酸化と化合物I感受性の強い相関関係を明らかにした。
II−3− 化合物Iの非存在および存在下におけるERKおよびAktの活性化状態
タンパク質キナーゼERKおよびAktは、PDGF受容体シグナル伝達の重要な媒介物質であるだけでなく、他の型の細胞表面受容体、例えばインテグリンにより誘発される下流のシグナル伝達に関与する。両酵素は、リン酸化により活性化され、従って、活性化されたリン酸化型に特異的な抗体での免疫ブロッティングが、これらの酵素の活性化状態の決定に用いられた。これらの酵素の活性化状態を、増殖阻害実験で確固とした結果の11個の培養において決定した。ERKおよびAktの両方の活性化状態は、細胞培養間で大きな変化を示した(図4AおよびC)。活性化状態が化合物I応答と相関するとき(図4BおよびD、左上パネル)、全PDGF受容体発現(図4BおよびD、右上パネル)またはPDGF受容体リン酸化(図4BおよびD、下パネル)には相関関係が観察されなかった。
化合物Iでの処理の1時間後までに誘導されるERKおよびAktの特異的リン酸化の変化を、これらの経路の薬剤により誘導される変化が、化合物I応答または受容体発現と相関するかどうかを調査するために分析した。概して、ERKおよびAktリン酸化の中程度の変化のみが、薬剤処理後に観察された(図5AおよびC)。化合物Iにより誘導されるAktリン酸化の変化と化合物I応答性またはPDGF受容体状態に相関関係は観察されなかった(図5D)。しかしながら、化合物Iにより誘導される増殖阻害とERKリン酸化の減少との相関関係が観察された(r=−0.47)。
故に、これらの分析は、細胞培養間でERKおよびAkt活性化の大きな変化が起こったことを示し、これらの経路の活性化の基礎レベルが、PDGF受容体状態または化合物I感受性と相関しないことを示す。それらはまた、化合物I処理が、これらのシグナル伝達分子の正味の活性化状態の強い変化に関係しないことを証明する。しかしながら、増殖応答と化合物Iにより誘導されるERKリン酸化の変化における変化の幾分かの相関関係が記載された。
II−4− 21個のGBM由来の初代培養の遺伝子発現に基づくクラスタリング
23個のGBM由来の初代培養間の遺伝子発現に基づく相違および類似を説明するため、遺伝子発現プロファイリングを行った。RNAを、10%FCS中で増殖した継代の少ない培養から単離した。マイクロアレイ分析用に十分量のRNAを得るために、RNAを2回増幅した。蛍光色素を、2回目の増幅期間中にRNA中に挿入した。各培養を、約10000個のヒトcDNAを含むcDNAアレイ(http://www.sanger.ac.uk/Projects/Microarrays/)を用いて、クアドルプリケートで分析した。参照RNAは、全ての培養由来のRNAのプールを含む。
階層的クラスタリングからの結果を、図6に示す。示した通り、異なる統計基準を、どの遺伝子をクラスタリングに用いるべきかを決定するために用いた。どの基準を用いたかに関わらず、いくつかの一致パターンが観察でき、それは23個の試料のうち17個が関与した。培養18、21、35および38は、全ての分析において一緒のクラスターであった(クラスター1)。また、培養5、7、8および11は、全ての分析において一緒のクラスターであった(クラスター2)。最後に、培養9、10、15、16、31、34、37、43および45を含む群(クラスター3)が、遺伝子の選択のための統計的基準に関係なく、見られた。
図7は、3個の試料において少なくとも2倍の調節を示す遺伝子を用いる分析後に導かれるクラスタリング図を示し、それはまた表1および表2に列記されるクラスターを定義する遺伝子を含む。
表1において、異なって発現される遺伝子を、遺伝子オントロジープログラムにより記載されるそれらの分子機序により群に分ける。細胞のクラスタリングのために用いる88個のハイブリダイゼーションシグナルは、75個の独特な遺伝子を示す。これらの遺伝子のうち、47個は、遺伝子オントロジープログラムにおける機能に帰した:ほとんどの遺伝子は、シグナル伝達タンパク質、転写のレギュレーターおよび接着または増殖に関係するタンパク質の範疇に発見された。
表2において、前記遺伝子を、3個の培養クラスターを定義する遺伝子クラスターにおいてどの程度発現されるかによって系統立てる。3個の培養クラスターにおけるそれらの平均的発現を、3個の培養クラスターに関してそれらの発現パターンを説明するために強調して示す。一般的に、遺伝子クラスター群IIIおよびVIは、培養クラスター2および3にてそれぞれ上方制御される遺伝子から構成される。遺伝子クラスター群Iは、いくつかを除き、ほとんどの場合培養クラスター群1にて高い。反対に、遺伝子クラスターIVおよびVは、培養クラスター1において下方制御される遺伝子を含み、そして遺伝子クラスターIIは、培養クラスター3において低い発現の遺伝子から構成される。
II−5− 遺伝子発現に基づくGBM培養のクラスタリングを用いる増殖特性とPDGF受容体状態の比較
GBM培養の増殖速度、およびそれらの化合物I感受性の分析結果を、前記培養の遺伝子発現に基づく階層的クラスタリングの結果と合わせた(図8)。いくつかの興味のある傾向が観察された。7個の最も遅く増殖する培養(太字で示す)のうち6個が、クラスター3に生じた。6個のレスポンダーは、クラスター2および3に集中していた。クラスター2内では、それらは全てサブクラスター2b内に生じていた。7個のノンレスポンダーのうち4個の培養(18、21、35、38)は、完全なサブクラスター1bを構成した。
また、PDGF受容体状態からの結果を、遺伝子発現に基づく培養の群分けと比較した(図8)。培養をPDGF受容体発現およびリン酸化に関して2個のクラスに分類し、高い発現またはリン酸化を示す10個の培養および低い発現またはリン酸化の11個の培養をもたらした。クラスター1は、明らかに、低い受容体発現およびリン酸化の培養が多く、一方、クラスター2および3は両方とも、2個の範疇の混合から構成されていた。このデータのまとめは、全6個の確固たる化合物Iノンレスポンダーが低い受容体発現およびリン酸化を示し、反対に、全ての明確なレスポンダーが高い受容体発現およびリン酸化により特徴付けられたことを強調する。
II−6− 化合物I反応性と関係する遺伝子発現パターンの管理下同定
遺伝子発現パターンと化合物I応答性の間に相関関係が存在するという徴候を考慮して、管理下分析を、化合物I反応性と最良に相関する遺伝子発現パターンを同定する目的で行った。この目的に関して、化合物I感受性の分析で最も明らかな結果をもたらす10個の培養を、レスポンダー(培養6、7、9および31)およびノンレスポンダー(培養5、18、21、30、35および38)に分けた(図1B)。
管理下分析を、“leave-one-out”確認を含む、加重投票法を用いて行った。図9に示す通り、2−40個の特徴が分類に用いられるとき、10個の培養全てが、leave-one-out確認で正確に分類された。全体で、8および16個の遺伝子を、それぞれ4および10個の特徴からなるリストを用いる分類に用いた。leave-one-out検定に用いた遺伝子を、表3に一覧とする。
10個の培養全てからの発現データを用いて、3−5個の特徴の分類子を作製した(表4)。この分類子を用いて、分類子の確立に用いた10個の培養全てが、正確にレスポンダーおよびノンレスポンダーと記載された。この分析を拡大するため、前記分類子を、トレーニングセットに含まれない5個の培養(培養8、11、27、34および45)の予備試験に用いた(図10)。この予備試験セットへのこれらの分類子の適用の結果を、図10に示す。興味深いことに、培養11、45は、増殖阻害実験の結果と一致して、レスポンダーとして特徴付けられた3個の分類子全てを有した。また、増殖阻害結果と一致して、培養34は、常にノンレスポンダーと分類された。中間応答を示す培養8および27は、ノンレスポンダーおよびレスポンダーとしてそれぞれ示される3個の分類子全てを有していた。
上記に示す通り、GBMの初代培養は、化合物I感受性に関して大幅に変化した。PDGF受容体状態の特性化により、化合物I感受性とPDGF受容体発現およびリン酸化との明確な相関関係が示された(図1−3、8)。化合物I感受性とERKおよびAktの基底リン酸化の相関関係は観察されなかった(図4)。化合物I感受性は、ERKリン酸化の化合物Iにより誘導される減少といくらか関係することが示された(図5)。遺伝子発現プロファイリングは、化合物I感受性、増殖速度およびPDGF受容体リン酸化に関して異なる、別のGBM小集団の存在を示した(図6−8)。最後に、遺伝子発現データの管理下分析を用いて、化合物I応答を予測する短い遺伝子リストを作製することができた(図9、10)。
従前の研究がGBM細胞株の阻害を報告しているが、GBM増殖に対するPDGF受容体阻害の効果の系統的分析は、本明細書で最初に記載される。
PDGF受容体状態と化合物I応答の相関関係(図3)は、顕著であった。PDGF受容体発現およびリン酸化の分析はこれらのパラメーター間の強い共変化を示し、リガンド産生が培養間で顕著に相違しないことを示す。
下流のシグナル伝達分子であるAktおよびERKの定常活性化状態とPDGF受容体状態に相関関係がないこと(図4)が、これらのGBM培養におけるAktおよびERKの活性化が、複数のシグナル伝達経路の制御下に起こることを示唆する。これに関連して、増殖阻害実験ならびにAktおよびERK活性化の分析の両方を、10%FCSの存在下で維持した細胞で行ったことに注意すべきである。故に、これらの経路でのPDGF受容体シグナル伝達の潜在的な影響が、他の培養条件下でより明確に検出できる可能性がある。
AktおよびERKリン酸化の化合物Iにより誘導される変化の分析は、確固たる増殖阻害応答(培養6、7、9および31)を示したGBM培養および6個のノンレスポンダーの10個の選択されたGBM培養に集中した。PDGF受容体シグナル伝達におけるAktシグナル伝達の重要性を考慮すると、PDGF受容体阻害を介して達成されると推定される増殖阻害効果が、Aktの活性化の一貫した減少の不存在下に観察できることは、幾分驚くべき事である(図5)。これらの発見の1つの可能性のある説明は、PDGF受容体依存性pAktの存在であり、それはPDGF受容体阻害により影響されるが、血清成分がPDGF非依存的経路を介するAktの高活性化を提供する培養条件下での細胞の維持において検出されない。シグナル伝達において化合物Iにより誘導される変化について分析した細胞溶解物が、化合物Iに1時間しか暴露されていない細胞から誘導されたことも注意すべき事である。故に、この長さの時間が、ERKおよびAktのPDGF受容体依存的リン酸化における検出可能な変化を誘導するのに十分であることは、よく特徴付けられているPDGF依存的制御系において確認すべきである。
遺伝子発現プロフィールおよび生化学的特徴の合わせた分析は、一連の興味のある関係を明らかにした(図6および8)。簡単には、クラスター1は、低いPDGF受容体発現および化合物Iに対して低い感受性を示す培養が多く、クラスター2は、高いPDGF受容体発現の化合物Iレスポンダーが多く、そしてクラスター3は、PDGF受容体発現が一貫しない低増殖速度の培養から主に構成される。化合物Iレスポンダーが多いGBMクラスター2において過剰発現される遺伝子クラスターIII、IVおよびVを含む(図7、表2)遺伝子の予備的分析は、未だこのGBM小集団の特定の発生起源、または特定の生物学的特性を示していない。
化合物I感受性の特性化およびこのGBMパネルの遺伝子発現分析に基づく管理下分析を用いて、レスポンダーおよびノンレスポンダーを記載する分類子が作成された(図9、表3)。そのような分類子は、一般的に、少なくとも2つの目的を果たすことができる。第一に、それらを診断または予後ツールの開発のための出発点として用いることができる。分類子の性能が良好であれば、分類子のこの機能を、分類子を作製している遺伝子の生物学的意義に何ら注意を払わなくとも開発できる。第二に、分類子は分類子で区別される2個の表現型、この場合化合物I感受性または耐性をもたらす生物学的関係に向けることができる。
参考文献
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GBM培養の増殖速度および化合物I感受性。(A)23個のGBM培養の増殖速度を、24ウェルプレート中、4000細胞/ウェルで播き、培養4日後の細胞数を測定することにより決定した。値は、培養期間中の増殖倍数であり、2個の独立した実験からの平均値を示す。(B)化合物Iに対する感受性を決定するため、7個の最も遅い増殖速度の培養を除く16個のGBM培養の各4000細胞を、96ウェルプレートのウェルに播き、1μMの化合物Iの存在または不存在下で4日間増殖させた。培養終了時の細胞数を、クリスタルバイオレット染色および光度測定により決定した。化合物I感受性を、化合物I処理により誘導される増殖阻害の割合(%)として示す。標準偏差と共に示す結果は、各々クアドルプリケートで分析した3個の独立した実験から導かれる。(C)増殖速度と化合物I感受性の相関関係を、0.39のピアソンの相関係数を示す散布図に結果を示すことにより説明する。 GBM培養におけるPDGF受容体発現および活性化。異なる細胞培養におけるPDGFαおよびβ受容体の発現レベルおよび活性状態を、GBM培養からのWGA画分をPDGFRα、PDGFRβおよびホスホチロシンを認識する抗体で連続的に免疫ブロッティングすることにより決定した。どちらかの受容体を発現する細胞からの試料を、特異的対照として、および異なるフィルター間の標準化に用いた。(A)GBM培養および対照細胞の免疫ブロッティング分析の代表例。GBM培養における(B)PDGFα受容体および(C)PDGFβ受容体の発現。細胞株を、PDGFα−受容体発現レベルに従い順に並べる。GBM培養21の発現レベルを、任意に1とした。挿入図は、免疫ブロッティングおよびmRNA発現分析により決定したPDGFα受容体の発現とPDGFβ受容体の発現の相関関係を示す(ピアソン相関、PDGFα受容体 r=0.86、PDGFβ受容体 r=0.52)。(D)ホスホチロシン免疫ブロッティングにより決定されたPDGFRのチロシンリン酸化。PDGFαおよびβ受容体の合わせた移動位置に相当するフィルターの面積を、分析した。細胞株を、BおよびCにおける通りに並べる。GBM培養21における総PDGF受容体リン酸化を、任意に1とした。 化合物I感受性とPDGFR状態との相関関係。化合物I感受性と、PDGFα受容体発現(左上パネル)、PDGFβ受容体発現(右上パネル)、合わせたPDGFαおよびβ受容体発現(左下パネル)および全PDGF受容体チロシンリン酸化(右下パネル)との相関関係を示す。分析を、化合物I感受性実験で最大の実験間のばらつきを示した5個のGBM培養を除いて11個のGBM培養にて行った。 GBM培養におけるERKおよびAktリン酸化レベル、ならびにこれらのパラメーターと化合物I感受性またはPDGF受容体状態との相関関係。ERKおよびAktの特異的リン酸化を、p44/42 MAPK、ホスホ−p44/42 MAPK Thr202/Tyr2O4、Aktおよびホスホ−Akt Ser473を認識する抗体を用いる免疫ブロッティングにより決定した。ECLシグナルを定量し、対照溶解物を用いてフィルター間の移動効率における相違を標準化した。10個のGBM培養におけるERK(A)およびAkt(C)の相対的リン酸化、ならびにERK、Aktのリン酸化と、化合物I感受性(B、D、左上パネル)、PDGF受容体発現(B、D、右上パネル)およびPDGF受容体リン酸化(B、D、下パネル)との相関関係。 AktおよびERKのリン酸化における化合物Iの効果の分析、およびこれらのパラメーターと化合物I感受性およびPDGF受容体状態との相関関係。ERKおよびAktの化合物Iにより誘導される変化を、非処理細胞と1μMの化合物Iと共に予め1時間インキュベートした細胞におけるERKおよびAktのリン酸化を比較することにより観察した。10個のGBM培養におけるERK(A)およびAkt(C)のリン酸化の化合物Iにより誘導される変化、ならびにこれらのパラメーターと、化合物I感受性(B、D、左上パネル)、PDGF受容体発現(B、D、右上パネル)およびPDGF受容体リン酸化(B、D、下パネル)との相関関係。 クラスタリングに用いる特徴の選択のための3個の異なる基準を用いる23個の膠芽腫細胞培養の階層的クラスタリング。(A)ANOVA検定で0.05未満のp値を有する88エレメントを含み、また、少なくとも3個のGBM培養の2倍以上の上方制御および少なくとも3個の他のGBM培養の2倍の下方制御が示された遺伝子リストを用いるピアソン相関による階層的クラスタリング。(B)ANOVA検定で0.05を有意レベルと設定することにより得られた、2795個の特徴リストを用いるGBM培養のクラスタリング。(C)Bの通りであるが、ANOVA検定でp<0.000000001を有意と設定して得られた、311個の特徴リストの作製後のクラスタリング。色分けを、特徴リストの選択に用いた基準に関わらず、全ての場合に23個のGBM培養のうち17個が同じ分布を示す(例えばGBM培養5、7、8および11は、常に一緒のクラスターになる)3個の主要なクラスターが形成されるという説明のために用いる。 GBM培養の3個の小集団を定義する遺伝子のクラスタリング。図6Aに示されるGBM細胞クラスターに使用される特徴を、特徴に関する相関樹を与えるピアソン相関により階層的にクラスタリングした。このクラスタリングにより、23個のGBM培養全体の発現パターンにおける類似性に従い遺伝子がグループ分けされる。赤および緑は、個々のGBM培養における遺伝子の高および低発現をそれぞれ示す。 23個のGBM培養の生化学的特性化後に得られる結果の比較、および発現プロファイリング。ANOVA検定で0.05未満のp値を示し、また、少なくとも3個のGBM培養で2倍以上の上方制御および少なくとも3個の他のGBM培養で2倍の下方制御を示す(図6A)、特徴の選択後に得られるクラスタリングを示す。増殖速度の記載は、4日間の培養後の細胞数の増加倍数を示す数字を用い、図1Aの通りである。化合物I感受性について、16個の分析したGBM培養を、6個のレスポンダー(+、40%以上の増殖阻害を示す)、7個のノンレスポンダー(−;20%未満の増殖阻害を示す)および3個の中間レスポンダー(*;20−40%の増殖阻害)に分けた。PDGF受容体発現およびリン酸化について、21個の分析したGBM培養を、高い(+;10個のGBM培養)または低い(−;11個のGBM培養)PDGF受容体発現またはリン酸化の2個の群に分けた。 leave-one-out試験における化合物Iレスポンダーおよびノンレスポンダーの加重投票分類の性能。分類のため、細胞株6、7、9および31をレスポンダーとして選択し、細胞株5、18、21、30、35および38をノンレスポンダーとして選択した。x軸には、分類に用いた特徴の数(1−250)を記載し、y軸には、leave-one-out試験において分類を誤った培養画分を記載する。 トレーニングセットから外された5個のGBM培養での分類子の性能。10個の膠芽腫細胞からのシグナル対ノイズで整列した遺伝子リストで上位の特徴から作成された3−5個の特徴からなる分類子を、5個のさらなるGBM培養の応答を予測するために用いた。棒グラフは、図1Bで決定された培養の化合物I感受性を示す。各棒の下に、3、4または5個の特徴からなる特徴リストで得られた、5個のGBM培養の分類の分類を示す。それぞれの細胞培養についての、異なる分類子を用いる予測の強さを、信頼値として示す。

Claims (18)

  1. 哺乳動物における細胞増殖性疾患をインビトロで診断するための方法であって、
    a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;
    b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
    c)患者の遺伝子発現プロフィールと表3に示される平均非応答性発現プロフィールとを比較する工程;
    d)(b)の比較から得られた2個の遺伝子発現プロフィール間の類似性を決定する工程;
    e)(c)で決定された類似度を用いて、GBM病状を有する患者が薬剤に応答する可能性を決定する工程
    を少なくとも含む方法。
  2. 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールを、工程b)で決定する、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の行動を予測するための方法であって、
    a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;
    b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
    c)工程b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールと、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて表3から計算された平均±標準偏差とを比較する工程;そして
    d)該哺乳動物の行動を下記の通りに予測する工程:
    −b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に応答性であると予測する
    −b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に非応答であると予測する;および
    −b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差外であるならば、該処置に応答した該哺乳動物の行動は不明である
    を少なくとも含む方法。
  4. 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールを、工程b)で決定する、請求項3に記載の方法。
  5. 少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物を選択する方法であって、
    a)請求項3または4に記載の方法を用いて該哺乳動物の行動を予測する工程;および
    b)該哺乳動物が応答性であると予測されるならば、該哺乳動物を選択する工程
    を少なくとも含む方法。
  6. 該哺乳動物がヒトである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、哺乳動物における遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールをインビトロで分析するためのキット。
  8. 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、請求項7に記載のキット。
  9. 該哺乳動物がヒトである、請求項7または8に記載のキット。
  10. 表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、哺乳動物における遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールをインビトロで分析するためのマイクロアレイまたはバイオチップ。
  11. 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、請求項10に記載のマイクロアレイまたはバイオチップ。
  12. 該哺乳動物がヒトである、請求項10または11に記載のマイクロアレイまたはバイオチップ。
  13. −哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
    −細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
    −少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
    のための遺伝子マーカーとしての、表3から選択される少なくとも1個の遺伝子および/または少なくとも1個の遺伝子産物の使用。
  14. 該遺伝子に対応するcDNAおよび/または該遺伝子産物に特異的な抗体(複数可)を用いる、請求項13に記載の使用。
  15. −哺乳動物の細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
    −細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
    −少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
    のための、請求項7から9のいずれか一項に記載キットの使用。
  16. −哺乳動物における細胞増殖疾患のインビトロ診断;および/または
    −細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
    −少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
    のための、請求項10から12のいずれか一項に記載のマイクロアレイまたはバイオチップの使用。
  17. 請求項5に記載の方法を用いて選択される、細胞増殖性疾患を有する応答性哺乳動物を処置するための薬剤の製造を目的とした、少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストの使用。
  18. 該哺乳動物がヒトである、請求項13から17のいずれか一項に記載の使用。
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