JP2007536920A - イマチニブを用いる処置に感受性のある膠芽腫の小集団の同定および特性化 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の“生物学的試料”は、組織、細胞、血漿、血清、細胞または組織溶解物、ならびに好ましくは腫瘍組織を含む哺乳動物体から単離された何らかの生物学的材料から得られた哺乳動物の試料である。そのような試料は、例えば生検により得られる。
(1)障害を予防すること、すなわち、疾患状態に暴露され得るかまたは疾患状態の素因を有するが、未だその疾患状態の症状を経験または示していない、哺乳動物対象、好ましくはヒト対象に疾患状態の臨床症状を生じさせないこと;
(2)疾患状態を阻害すること、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の進行を阻止すること;または
(3)疾患状態を緩和すること、すなわち、疾患状態またはその臨床症状の一時的または永続的緩解をもたらすこと
が含まれる。
a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;および
b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
c)患者の遺伝子発現プロフィールと表3に示される平均非応答性発現プロフィールとを比較する工程
を少なくとも含む方法に関する。
有利には、表3から選択される該マーカーのうち、少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのみの発現および/またはリン酸化プロフィールが、工程b)で決定される。
a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;
b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
c)工程b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールと、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて表3から計算された平均±標準偏差とを比較する工程;そして
d)該哺乳動物の行動を下記の通りに予測する工程:
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に応答性であると予測する
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に非応答であると予測する;および
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差外であるならば、該処置に応答した該哺乳動物の行動は不明である
を少なくとも含む方法に関する。
a)上記の方法を用いて該哺乳動物の行動を予測する工程;および
b)該哺乳動物が応答性であると予測されるならば、該哺乳動物を選択する工程
を少なくとも含む方法に関する。
この哺乳動物は、少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩を用いる臨床試験に参加させるため、または薬物療法を施すためのような様々な目的に関して選択され得る。
−哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための、表3から選択される少なくとも1個の遺伝子および/または少なくとも1個の遺伝子産物の遺伝子マーカーとしての使用に関する。
−哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための、上記のキット、マイクロアレイまたはバイオチップの使用に関する。
図1、GBM培養の増殖速度および化合物I感受性。
(A)23個のGBM培養の増殖速度を、24ウェルプレート中、4000細胞/ウェルで播き、培養4日後の細胞数を測定することにより決定した。値は、培養期間中の増殖倍数であり、2個の独立した実験からの平均値を示す。(B)化合物Iに対する感受性を決定するため、7個の最も遅い増殖速度の培養を除く16個のGBM培養の各4000細胞を、96ウェルプレートのウェルに播き、1μMの化合物Iの存在または不存在下で4日間増殖させた。培養終了時の細胞数を、クリスタルバイオレット染色および光度測定により決定した。化合物I感受性を、化合物I処理により誘導される増殖阻害の割合(%)として示す。標準偏差と共に示す結果は、各々クアドルプリケート(quadruplicate)で分析した3個の独立した実験から導かれる。(C)増殖速度と化合物I感受性の相関関係を、0.39のピアソンの相関係数を示す散布図に結果を示すことにより説明する。
異なる細胞培養におけるPDGFαおよびβ受容体の発現レベルおよび活性状態を、GBM培養からのWGA画分をPDGFRα、PDGFRβおよびホスホチロシンを認識する抗体で連続的に免疫ブロッティングすることにより決定した。どちらかの受容体を発現する細胞からの試料を、特異的対照として、および異なるフィルター間の標準化に用いた。(A)GBM培養および対照細胞の免疫ブロッティング分析の代表例。GBM培養における(B)PDGFα受容体および(C)PDGFβ受容体の発現。細胞株を、PDGFα−受容体発現レベルに従い順に並べる。GBM培養21の発現レベルを、任意に1とした。挿入図は、免疫ブロッティングおよびmRNA発現分析により決定したPDGFα受容体の発現とPDGFβ受容体の発現の相関関係を示す(ピアソン相関、PDGFα受容体 r=0.86、PDGFβ受容体 r=0.52)。(D)ホスホチロシン免疫ブロッティングにより決定されたPDGFRのチロシンリン酸化。PDGFαおよびβ受容体の合わせた移動位置に相当するフィルターの面積を、分析した。細胞株を、BおよびCにおける通りに並べる。GBM培養21における総PDGF受容体リン酸化を、任意に1とした。
化合物I感受性と、PDGFα受容体発現(左上パネル)、PDGFβ受容体発現(右上パネル)、合わせたPDGFαおよびβ受容体発現(左下パネル)および全PDGF受容体チロシンリン酸化(右下パネル)との相関関係を示す。分析を、化合物I感受性実験で最大の実験間のばらつきを示した5個のGBM培養を除いて11個のGBM培養にて行った。
ERKおよびAktの特異的リン酸化を、p44/42 MAPK、ホスホ−p44/42 MAPK Thr202/Tyr2O4、Aktおよびホスホ−Akt Ser473を認識する抗体を用いる免疫ブロッティングにより決定した。ECLシグナルを定量し、対照溶解物を用いてフィルター間の移動効率における相違を標準化した。10個のGBM培養における(A)ERKおよび(C)Aktの相対的リン酸化、ならびにERK、Aktのリン酸化と、化合物I感受性(B、D、左上パネル)、PDGF受容体発現(B、D、右上パネル)およびPDGF受容体リン酸化(B、D、下パネル)との相関関係。
ERKおよびAktの化合物Iにより誘導される変化を、非処理細胞と1μMの化合物Iと共に予め1時間インキュベートした細胞におけるERKおよびAktのリン酸化を比較することにより観察した。10個のGBM培養における(A)ERKおよび(C)Aktのリン酸化の化合物Iにより誘導される変化、ならびにこれらのパラメーターと、化合物I感受性(B、D、左上パネル)、PDGF受容体発現(B、D、右上パネル)およびPDGF受容体リン酸化(B、D、下パネル)との相関関係。
(A)ANOVA検定で0.05未満のp値を有する88エレメントを含み、また、少なくとも3個のGBM培養の2倍以上の上方制御および少なくとも3個の他のGBM培養の2倍の下方制御が示された遺伝子リストを用いるピアソン相関による階層的クラスタリング。(B)ANOVA検定で0.05を有意レベルと設定することにより得られる、2795個の特徴リストを用いるGBM培養のクラスタリング。(C)Bの通りであるが、ANOVA検定でp<0.000000001を有意と設定して得られた、311個の特徴リストの作製後のクラスタリング。色分けを、特徴リストの選択に用いた基準に関わらず、全ての場合に23個のGBM培養のうち17個が同じ分布を示す(例えばGBM培養5、7、8および11は、常に一緒のクラスターになる)3個の主要なクラスターが形成されるという説明のために用いる。
図6Aに示されるGBM細胞クラスターに使用される特徴を、特徴に関する相関樹を与えるピアソン相関により階層的にクラスタリングした。このクラスタリングにより、23個のGBM培養全体の発現パターンにおける類似性に従い遺伝子がグループ分けされる。赤および緑は、個々のGBM培養における遺伝子の高いおよび低い発現をそれぞれ示す。
ANOVA検定で0.05未満のp値を示し、また、少なくとも3個のGBM培養で2倍以上の上方制御および少なくとも3個の他のGBM培養で2倍の下方制御を示す(図6A)、特徴の選択後に得られるクラスタリングを示す。増殖速度の記載は、4日間培養後の細胞数の増加倍数を示す数字を用い、図1Aの通りである。化合物I感受性について、16個の分析したGBM培養を、6個のレスポンダー(+、40%以上の増殖阻害を示す)、7個のノンレスポンダー(−;20%未満の増殖阻害を示す)および3個の中間レスポンダー(*;20−40%の増殖阻害)に分けた。PDGF受容体発現およびリン酸化について、21個の分析したGBM培養を、高い(+;10個のGBM培養)または低い(−;11個のGBM培養)PDGF受容体発現またはリン酸化の2個の群に分けた。
分類のため、細胞株6、7、9および31をレスポンダーとして選択し、細胞株5、18、21、30、35および38をノンレスポンダーとして選択した。x軸には、分類に用いた特徴の数(1−250)を記載し、y軸には、leave-one-out試験において分類を誤った培養画分を記載する。
10個の膠芽腫細胞からのシグナル対ノイズで整列した遺伝子リストで上位の特徴から作成された3−5個の特徴からなる分類子を、5個のさらなるGBM培養の応答を予測するために用いた。棒グラフは、図1Bで決定された培養の化合物I感受性を示す。各棒の下に、3、4または5個の特徴からなる特徴リストで得られた、5個のGBM培養の分類を示す。それぞれの細胞培養についての、異なる分類子を用いる予測の強さを、信頼値として示す。
I−1− 組織培養、ならびにGBM培養の増殖速度および化合物I感受性の決定
GBMの初代培養の確立を、標準的方法(Ponten and Westermark, 1978)に従い行った。膠芽腫由来の初代細胞培養を、10%FBS、10U/mlのペニシリンおよび10μg/mlのストレプトマイシンを添加したMEM中、5%CO2の雰囲気下、37℃で増殖させた。
増殖速度の決定のため、24ウェルプレート(Sarstedt)中、4000細胞/ウェルの密度で細胞を播いた。培養4日後、細胞をトリプシン消化により集め、Coulter細胞計測器で計数した。増殖速度を、培養期間中の細胞数の増殖倍数として表した。示したデータは2個の独立した実験に由来し、それぞれの分析をデュプリケートで行った。
化合物Iを、Novartis Pharmaceuticalsから入手した。各実験のため、新鮮な1mMの化合物I原液を、PBS10ml中に化合物Iを6mg溶解し、次いで、45μmフィルターで滅菌ろ過することにより製造した。4日間かけて1.2倍を超えない増殖速度を有する細胞培養は、化合物Iにより誘導される増殖阻害について試験しなかった。細胞増殖における化合物Iの効果を決定するために、細胞を、96ウェルプレート(Sarstedt)中、4000細胞/ウェルの密度で播いた。翌日、培地を、1μM化合物I含有または不含有の培地と交換した。2日後の培地交換を含む、インキュベーションの4日後、細胞をPBS中冷4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で30分間固定し、4%エタノール中0.01%クリスタルバイオレットで30分間染色した。試料を水道水で3回洗浄し、そして少なくとも30分間空気乾燥させた。染色した細胞を100μlの1%SDS中に溶解し、吸光度を、Biomek1000(Beckman)光学ツールで600nmフィルターを用いて定量した。
化合物Iの効果を、4日間処理中の細胞数増加の減少%として表し、故に、100%増殖減少は、培養期間の最後および最初で細胞数が等しい状態に相当する。陽性対照として、各実験には、化合物I感受性増殖を示すことが既に示されている細胞が含まれた(Sjoeblom et al., 2001)。示したデータは、デュプリケート/クアドルプリケートで行った、各GBM培養における化合物Iの効果の、2個または3個の独立した分析に由来する。
PDGFαまたはβ受容体で安定にトランスフェクトされたブタ大動脈血管内皮細胞(それぞれ、PAE/RαおよびPAE/Rβ細胞(Claesson-Welsh et al., 1988; Claesson-Welsh et al., 1989))を、標準的培養条件を用いて10cm皿(Sarstedt)中に高密度で播いた。16時間後、細胞を、0.1%FBSを含む培地に交換して24時間で血清飢餓状態にした。その後、細胞を、0.1%FBSを含む培地中、100ng/mlのPDGF−BBの存在または不存在下で、37℃で5分間処理した。氷冷PBSで洗浄後、細胞を、氷上で、0.5%トライトンX−100、0.5%デオキシコール酸、150mM NaCl、20mM トリス pH7.5、10mM EDTA、30mM 二リン酸四ナトリウム十水和物、1%トラジロール、0.5%フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および0.5%NaVO3からなる溶解緩衝液1ml中、10分間溶解させた。15000×gで15分間遠心分離後、細胞溶解物を集め、そしてタンパク質濃度を、BCAタンパク質分析試薬Aキット(Pierce)を用いて測定した。タンパク質濃度を標準化後、糖タンパク質を、小麦胚芽凝集素(WGA)−セファロースと共に4℃で16時間インキュベーションすることにより単離した。試料を、15000×gで15分間遠心分離し、WGA−セファロースビーズをペレットとした。上清を取り出し、ERKおよびAkt分析のための対照とした。前記WGAビーズを、0.5%トライトンX−100、0.5%デオキシコール酸、500mM NaCl、20mM トリス pH7.5、10mM EDTA、30mM 二リン酸四ナトリウム十水和物、1%トラジロール、0.5%PMSFおよび0.5%NaVO3からなる高塩濃度溶解緩衝液1mlで3回洗浄した。細胞溶解上清または糖タンパク質のWGA−セファロース画分を、Laemmli緩衝液(0.0625M トリス−HCl、10%グリセロール、2%SDS、5% β−メルカプトエタノール、0.0125%ブロモフェノールブルー)と混合し、95℃で5分間加熱し、そして−20℃で保存した。
10%FCS添加培地中で維持されたサブコンフルエントな培養由来の約50万のGBM細胞からの細胞溶解物を、上記の通りに調製した。標準化されたタンパク質含有量の細胞溶解物からのWGA画分を、上記の通りに単離した。
膠芽腫細胞培養を、12ウェルプレートのウェル(Falcon)中にコンフルエントに播いた。翌日、細胞を非処理のままにするか、または1μMの化合物Iで1時間処理した。細胞溶解物を上記の通りに調製した。
23個のGBM培養それぞれのサブコンフルエントな75cm2培養皿から、製造者の説明書に従いRNAeasyキット(Qiagen)を用いてRNAを抽出した。RNA量を、分光学的に判断し、異なる培養からの10−100μgのRNA収量が示された。RNAの構造的完全性を、アガロースゲル電気泳動法により確かめた。
各細胞株からの5μgのRNAを、幾分変更した線形増幅(Van Gelder et al., 1990)に用いた。簡単には、cDNAを、5μgのRNA、1μlの細菌RNAカクテル、1μlのdT−T7プライマー(1μg/ml、配列番号1:AAA CGA CGG CCA GTG AAT TGT AAT ACG ACT CAC TAT AGG CGC TTT TTT TTT TTT TTT)、4μlの5×Superscript II反応緩衝液(Invitrogen)、2μlのDTT(Invitrogen)、1μlのUltrapure dNTP混合物(Clontech)、1μlのRNAsin(Ambion)、1μlのテンプレート・スイッチ・オリゴプライマー(1μg/ml、配列番号2:AAA CAG TGG TAT CAA CGC AGA GTA CGC GGG)および2μlのSuperscript II(Invitrogen)の混合物中、42℃で1時間逆転写した。第二の鎖合成のため、106μlの水、15μlのAdvantage 10×PCR緩衝液(Clontech)、3μlのUltrapure dNTP混合物、1μlのRNaseH(Promega)および3μlのcDNAポリメラーゼ(Clontech)を添加した。その後、RNaseH分解のため、試料をPCR機(Applied Biosystems)中、37℃で2分間インキュベートした。その後、変性のために試料を94℃で3分間インキュベートし、プライマーアニーリングのために65℃で3分間インキュベートし、そしてcDNAポリメラーゼによる伸張のために75℃でインキュベートした。反応を、7.5μlの1M NaOHおよび2mM EDTAを添加して停止させ、65℃で10分間インキュベートした。反応混合物を350μlの水および500μlのフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール 25:24:1(Sigma)を用いてフェノール抽出により浄化し、500μl水を用いてMicrocon YM−100遠心ろ過機で3回洗浄し、そして16μlの用量に最終的に濃縮した。アンチセンスRNAを、インビトロ転写キット(Ambion)を用いてインビトロで転写することにより作製した。アンチセンスRNAから、cDNAを、上記の通りSuperscript II反応において再び逆転写し、次いで、DNAポリメラーゼ反応において二本鎖DNAを作製した。増幅の第二工程において、UTPヌクレオチド混合を、1:3混合のUTP Cy−色素−UTP(Ambion)で部分的に置換した。並行して、全ての培養からの等量のRNAから構成されるプールを、下記のハイブリダイゼーション実験に参照として用いるために増幅した。
各細胞培養を、デュプリケートの色素交換(dye-swap)としてクアドルプリケートで、集めた培養の参照試料と共にハイブリダイズした。それぞれのハイブリダイゼーションのため、66μlの容量中、4μgの標識試料および4μgの標識集合物を、4μlのcotDNA(1mg/ml、Invitrogen)、4μlのポリアデニル酸(2μg/ml、Sigma)、8μlの70%エタノールおよび7μlの3M酢酸ナトリウム、pH5.2と混合した。−70℃での30分間のインキュベーションによる沈殿後、試料を、4℃にて20分間、15000×gで遠心した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、60分間空気乾燥させ、8μlの水および40μlのハイブリダイゼーション溶液(5×SSC、6×デンハルト溶液、60mMトリス−HCl pH7.6、0.12%サルコシル、48%ホルムアミド、滅菌ろ過)中に溶解し、100℃で5分間加熱し、そして室温まで冷却した。試料を、予め冷却したマイクロアレイチップ(The Welcome Trust Sanger Institute、Human version 1.2.1、約10000要素を含む、約6000個体の遺伝子に対応する、http://www.sanger.ac.uk/Projects/Microarrays/)上に置き、カバーガラスで覆い、そしてCorningのハイブリダイゼーションチャンバー中、47℃で40μlの40%ホルムアミドおよび2×SSCを用いて、47℃で16時間インキュベートした。そのチップを、2×SSC中1回5分間洗浄し、0.1×SSCおよび0.1%のSDS中3回30分間洗浄し、そして0.1×SSC中1回10分間洗浄した。そのチップを1000rpmで2分間遠心分離し、最終的に乾燥させた。
チップを、ScanArray5000(GSI Lumonics)でScannArrayソフトウェアバージョン3.1(Packard BioChip Technologies)を用いて走査した。発現強度を、QuantArrayソフトウェアバージョン3.0.0.0(Packard BioChip Technologies)を用いて定量した。信頼できないスポットに手動で印をつけ、シグナルをヒストグラム法で定量した。
データをGeneSpringに入力し、その後LOWESS標準化を行った。異なって発現される遺伝子を含むリストを、分散分析、ANOVA、または任意に設定したカットオフ値により作成した。GeneSpingでの分散分析のため、試料が同じ分散を有すると仮定されないので包括的誤差モデル(global error model)を止め、そしてボンフェローニモデルを、複数の試験補正のために用いた。特徴リストを、いくつかの異なる方法で作成したが、3個のバージョンを最終的な発表のために選択した。第一の遺伝子リストにおいて、特徴は、ANOVA検定において0.05未満のp値を有し、また、少なくとも3個の試料において2倍以上の上方制御および少なくとも3個の試料において2倍以上の下方制御を行う基準を満たすべきであり、これは88個の特徴をもたらした。第二および第三の遺伝子リストには、2795個および311個の特徴が含まれ、それぞれ0.05未満または0.000000001未満のANOVA p値の基準で作成された。その後、前記3個の遺伝子リストを、ピアソン相関に従い細胞培養の階層的クラスタリングに用いた。
加重投票法(Golub et al., 1999)を、増殖阻害実験値において最小の実験間変化を有する10個の細胞培養に適用した。10個の細胞培養からの発現データを、GeneClusterバージョン2.1.3ベータに入力した(http://www-genome.wi.mit.edu/cancer/software/genecluster2/gc2.html)(Golub et al., 1999; Tamayo et al., 1999)。異なる長さの特徴リストを用いる分類性能を、leave-one-out交差確認により試験した。分類特徴の選択は、最も高い中央シグナル対ノイズ値を有する許容される数の特徴の使用に基づく。GeneClusterを、最高の絶対的シグナル対ノイズ値を有する候補特徴を選択するために設定し、前記リストは、シグナル対ノイズで並べた遺伝子リストの陽性および陰性側からの同数の特徴を含む必要はなかった。
II−1− GBM培養の化合物I感受性の特性化
化合物I感受性について23個の異なる培養を特性化する前に、個々の培養の増殖特性を、10%FCS含有培地中で4日間の増殖での細胞数の増加を測定することにより分析した。図1Aに示した通り、増殖速度の大きな変化が観察された。最も増殖の遅い培養は4日間で細胞数の1.2倍の増加しか示さず、一方、最速で増殖する培養は、18倍の細胞数増加を示した。
PDGF受容体は、GBM培養の化合物Iにより誘導される増殖阻害の増殖阻害作用を仲介する最も有力な標的である。故に、PDGF受容体発現および活性化を分析し、これらのパラメーターを増殖阻害と相関させた(図2および3)。
タンパク質キナーゼERKおよびAktは、PDGF受容体シグナル伝達の重要な媒介物質であるだけでなく、他の型の細胞表面受容体、例えばインテグリンにより誘発される下流のシグナル伝達に関与する。両酵素は、リン酸化により活性化され、従って、活性化されたリン酸化型に特異的な抗体での免疫ブロッティングが、これらの酵素の活性化状態の決定に用いられた。これらの酵素の活性化状態を、増殖阻害実験で確固とした結果の11個の培養において決定した。ERKおよびAktの両方の活性化状態は、細胞培養間で大きな変化を示した(図4AおよびC)。活性化状態が化合物I応答と相関するとき(図4BおよびD、左上パネル)、全PDGF受容体発現(図4BおよびD、右上パネル)またはPDGF受容体リン酸化(図4BおよびD、下パネル)には相関関係が観察されなかった。
23個のGBM由来の初代培養間の遺伝子発現に基づく相違および類似を説明するため、遺伝子発現プロファイリングを行った。RNAを、10%FCS中で増殖した継代の少ない培養から単離した。マイクロアレイ分析用に十分量のRNAを得るために、RNAを2回増幅した。蛍光色素を、2回目の増幅期間中にRNA中に挿入した。各培養を、約10000個のヒトcDNAを含むcDNAアレイ(http://www.sanger.ac.uk/Projects/Microarrays/)を用いて、クアドルプリケートで分析した。参照RNAは、全ての培養由来のRNAのプールを含む。
GBM培養の増殖速度、およびそれらの化合物I感受性の分析結果を、前記培養の遺伝子発現に基づく階層的クラスタリングの結果と合わせた(図8)。いくつかの興味のある傾向が観察された。7個の最も遅く増殖する培養(太字で示す)のうち6個が、クラスター3に生じた。6個のレスポンダーは、クラスター2および3に集中していた。クラスター2内では、それらは全てサブクラスター2b内に生じていた。7個のノンレスポンダーのうち4個の培養(18、21、35、38)は、完全なサブクラスター1bを構成した。
遺伝子発現パターンと化合物I応答性の間に相関関係が存在するという徴候を考慮して、管理下分析を、化合物I反応性と最良に相関する遺伝子発現パターンを同定する目的で行った。この目的に関して、化合物I感受性の分析で最も明らかな結果をもたらす10個の培養を、レスポンダー(培養6、7、9および31)およびノンレスポンダー(培養5、18、21、30、35および38)に分けた(図1B)。
Claims (18)
- 哺乳動物における細胞増殖性疾患をインビトロで診断するための方法であって、
a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;
b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
c)患者の遺伝子発現プロフィールと表3に示される平均非応答性発現プロフィールとを比較する工程;
d)(b)の比較から得られた2個の遺伝子発現プロフィール間の類似性を決定する工程;
e)(c)で決定された類似度を用いて、GBM病状を有する患者が薬剤に応答する可能性を決定する工程
を少なくとも含む方法。 - 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールを、工程b)で決定する、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の行動を予測するための方法であって、
a)該哺乳動物から生物学的試料を得る工程;
b)表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーの、該試料における発現および/またはリン酸化プロフィールを決定する工程;
c)工程b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールと、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて表3から計算された平均±標準偏差とを比較する工程;そして
d)該哺乳動物の行動を下記の通りに予測する工程:
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に応答性であると予測する
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差内であるならば、該哺乳動物を該処置に非応答であると予測する;および
−b)で得られた発現および/またはリン酸化プロフィールが、応答性および非応答性発現および/またはリン酸化プロフィールについて計算される平均±標準偏差外であるならば、該処置に応答した該哺乳動物の行動は不明である
を少なくとも含む方法。 - 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールを、工程b)で決定する、請求項3に記載の方法。
- 少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物を選択する方法であって、
a)請求項3または4に記載の方法を用いて該哺乳動物の行動を予測する工程;および
b)該哺乳動物が応答性であると予測されるならば、該哺乳動物を選択する工程
を少なくとも含む方法。 - 該哺乳動物がヒトである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、哺乳動物における遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールをインビトロで分析するためのキット。
- 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、請求項7に記載のキット。
- 該哺乳動物がヒトである、請求項7または8に記載のキット。
- 表3から選択される少なくとも2個から40個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、哺乳動物における遺伝子マーカーの発現および/またはリン酸化プロフィールをインビトロで分析するためのマイクロアレイまたはバイオチップ。
- 表3から選択される少なくとも3個から5個の遺伝子マーカーのcDNAおよび/または抗体を含む、請求項10に記載のマイクロアレイまたはバイオチップ。
- 該哺乳動物がヒトである、請求項10または11に記載のマイクロアレイまたはバイオチップ。
- −哺乳動物における細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための遺伝子マーカーとしての、表3から選択される少なくとも1個の遺伝子および/または少なくとも1個の遺伝子産物の使用。 - 該遺伝子に対応するcDNAおよび/または該遺伝子産物に特異的な抗体(複数可)を用いる、請求項13に記載の使用。
- −哺乳動物の細胞増殖性疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための、請求項7から9のいずれか一項に記載キットの使用。 - −哺乳動物における細胞増殖疾患のインビトロ診断;および/または
−細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答した行動の予測;および/または
−少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストを用いる薬物療法に応答性であると予測される、細胞増殖性疾患を有する哺乳動物の選択
のための、請求項10から12のいずれか一項に記載のマイクロアレイまたはバイオチップの使用。 - 請求項5に記載の方法を用いて選択される、細胞増殖性疾患を有する応答性哺乳動物を処置するための薬剤の製造を目的とした、少なくとも1個のPDGF受容体アンタゴニストの使用。
- 該哺乳動物がヒトである、請求項13から17のいずれか一項に記載の使用。
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