JP2007534745A - 化学療法誘発末梢性ニューロパシーの治療のためのil6r/il6キメラ - Google Patents

化学療法誘発末梢性ニューロパシーの治療のためのil6r/il6キメラ Download PDF

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Abstract

本発明は、化学療法誘発性ニューロパシーにおけるIL−6R/IL−6キメラの使用に関する。

Description

本発明は、化学療法誘発性ニューロパシーの分野にある。とりわけ、本発明は、化学療法誘発性ニューロパシーの治療および/または予防のための、IL−6R/IL−6キメラの使用に関する。
末梢性ニューロパシーは、神経の、またはミエリン鞘の損傷に起因する末梢神経系の疾患の集合である。損傷は長期化し、通常、きっかけの傷より長く続く(outlasting)。
化学療法誘発末梢性ニューロパシー(CIPN)は、多くの細胞毒性薬物のよく知られた、潜在的な身体を不能にする副作用(disabling side effect)である。化学療法誘発性ニューロパシーは、蓄積用量または用量−強度に関係する(Verstappenら 2003 Drugs 63:1549−63)。
ビンカ−アルカロイド類(たとえば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、白金系化合物類(たとえばシスプラチン)およびタキサン類(パクリタキセルおよびドセタキセル)が、末梢神経毒性を誘導する最も重要な薬物の一群である(Visovsky C.Cancer Invest.2003 Jun;21(3):439−51)、Quasthoff S,Hartung HP J Neurol.2002 Jan;249(1):9−17.総説)。これらの薬物は、卵巣癌、乳癌、および血液性癌のような、種々の悪性物の治療のために広く使用されている(Verstappenら 2003 Drugs 63(15):1549)。
ビンクリスチン−駆動ニューロパシーは、主に、運動神経および感覚神経不全(ニューロパシーの混合型)によって特徴付けられる。関与する機構がいまだ完全に理解されてはいないが、最終的に軸索変性を導く、順行性軸索輸送の変化が関与することが記述されてきている。現在までのところ効果的な治療法が開発されてきていないので、ビンクリスチン−駆動ニューロパシーの治療は、現在一時しのぎのみである。
現在、CIPNは、用量減少によって緩和されるが、これは、化学療法治療の効果を減少させ得る。糖尿病、遺伝性ニューロパシー、または神経毒性化学療法での早期治療によって、神経因性症状をすでに持つ患者は、CIPNの発症をより受けやすいと考えられる。
一般的に、末梢性ニューロパシーの治療は、全身性であり、神経への損傷を根底におく有益な効果はない(Peltier AC,Russell JW.Recent advances in drug−induced neuropathies.Curr Opin Neurol.2002 Oct;15(5):633−8)。たとえば、ピリドキシン(ビタミンB6)は、末梢神経損傷に続く栄養サポートの方法として使用され、抗酸化剤類(たとえば、ガンマ−リノール酸、アルファリポ酸、およびPKC阻害剤およびアルドース還元酵素阻害剤)が、末梢性ニューロパシーに関与しうる毒素を排除するために使用され、抗けいれん剤が、痛み症状を抑制するために使用される。ビタミンB1、ビタミンB12、グルタミン酸(Boyleら J Pharmacol Exp Ther. 1996 Oct;279(1):410−5)、イソアキソニン(Le Quesneら,J Neurol Neurosurg Psychiatry.1985 Sep;48(9):933−5)、ガングリオシドまたは神経成長因子(Hayakawaら,Life Sci.1994;55(7):519−25.4;Lewisら Exp Neurol.1993 Nov;124(1):73−88.)のような推定される神経保護薬剤を用いる、ビンクリスチン−ニューロパシーを予防する試みは、ある程度の成功を示している。
インターロイキン(IL)−6は、免疫系に影響を与えるだけでなく、種々の器官内で、他の生物学的システムおよび多くの生理学的事象で役割を果たす、多面的サイトカインである。標的細胞内で、IL−6は、その受容体複合体、IL−6Rアルファおよびgp130を介して、機能的に異なる、または時には正反対のシグナルを、同時に引き起こす。最終的な生理学的結果は、所定のリガンドによって引き起こされた多様なシグナル伝達経路の統合の結果であると考えられ得る。シグナル統合モデルというこのコンセプトは、インビボ環境状態に依存して、IL−6がどのように、炎症促進または抗炎症効果を顕在化させ得るか、を説明し得る。この論点の下にある分子機構の解明が、さらなる研究のためのやりがいのある主題である(Jonesら 2001,Heinrichら 2003 Biochem Journal 374,1−20)。IL−6の機能的特性は、非常に幅広く、これは、このサイトカインを記述するために本来使用された専門用語によって反映される(Horst Ibelgaufts’COPE:Cytokines Online Pathfinder Encyclopaedia)。
IL−6の生物学的活性は、2つの異なるタンパク質、1つがIL−6受容体と呼ばれるもの(Jpnesら FASEB J.2001 Jan;15(1):43−58、総説によって概説されたIL−6Rまたはgp80)およびもう1つがgp130と呼ばれるもの(Hiranoら Stem Cells.1994 May;12(3):262−77.総説によって概説された)を含む、膜受容体系によって仲介される。gp80の細胞外ドメインに相当する、可溶型IL−6R(sIL−6R)は、血液および尿内で糖タンパク質として見出されるヒト体内の天然の産物である(Novickら,J Chromatogr.1990 June 27;510:331−7およびCytokine.1992 Jan;4(1):6−11)。sIL−6R分子の例外的特性は、これらが、ヒト細胞を含む種々の細胞に、IL−6の強力なアゴニストとして作用することである(Tagaら,Cell.1989 Aug 11;58(3):573−81.Novickら 1992 Jan;4(1):6−11)。gp80の細胞質内ドメインなしでさえ、sIL−6Rは、IL−6に応答してgp130の二量体化を引き起こすことができ、言い換えれば、続くIL−6−特異的シグナル伝達および生物学的効果を仲介する(Murakami Science.1993 Jun 18;260(5115):1808−10)。sIL−6Rは、gp130との二種類の相互作用を有し、その両方がIL−6特異的生物学的活性に必須である(Halimiら,Eur Cytokine Netw.1995 May−Jun;6(3):135−43)、活性IL−6受容体複合体が、2つのgp130鎖、2つのIL−6Rおよび2つのIL−6リガンドによって形成される六量体構造であることが提案された(Wardら,1994;Paonessaら,EMBO J.1995 May 1;14(9):1942−51)。
限定的細胞分布を有する同起源IL−6Rの発現(Jonesら 2001により概説される)とは異なり、膜貫通全gp130の発現は、心臓、腎臓、脾臓、肝臓、肺、胎盤および脳などのほとんどすべての器官で見られる(Saitoら J Immunol.1992 Jun 15;148(12):4066−71)。
インビトロにおいて、可溶性IL−6Rが投与されない限り、IL−6単独では特定の活性を誘導しないことを示す、多くの異なる実例が存在する。たとえば、IL−6は、sIL−6Rと組み合わせた場合のみ、マウス骨髄および骨芽細胞の共培養中で、骨芽細胞形成を誘導する(Jonesら 2001により概説される)。また、多くの神経細胞がIL−6を産生可能であるが、これらは、IL−6自身による刺激に対して応答しない。しかしながら、神経細胞の分化および生存は、sIL−6Rの作用を介して仲介され得る(Hirota J Exp Med.1996 Jun 1;183(6):2627−34.Martz 1998)。
健常被験者におけるsIL−6R(アンタゴニスト)の循環濃度は、比較的高く、IL−6の天然アンタゴニストである、可溶性gp130の濃度、10ng/ml以上に匹敵する(Corbiら 2000 Eur J Cardiotherac Surg.18(1):98−103,Disthabanchongら Clin Nephrol.2002 Oct;58(4):289−95)。反対に、IL−6の循環濃度は、およそ10pg/mlまたはそれ以下である(Kadoら 1999 Acta Diabetol.Jun 36(1−2)67−72、Corbiら 2000.)。したがって、疾患におけるsIL−6Rとの同時投与なしでの、インビボでのIL−6の単独投与の効果は、有効かもしれないし、有効でないかもしれず、特定の疾患、および体内の特定の場所における、可溶性アゴニスト/アンタゴニストの濃度に依存する。
可溶性IL−6受容体とIL−6とを一緒に連結するキメラ分子が記述された(Chebathら Eur Cytokine Netw.1997 Dec;8(4):359−65)。これらは、IL−6R/IL−6キメラと名付けられた。キメラIL−6R/IL−6分子は、可溶性IL−6受容体(sIL−6R)およびIL−6をコードしているcDNAsの全コード領域を融合することによって産出された。組換えIL−6R/IL−6キメラは、CHO細胞内で産生された(Chebathら,Eur Cytokine Netw.1997,国際公開第99/02552号パンフレット)。IL−6R/IL−6は、sIL−6RとIL−6の混合物で行なうよりも、インビトロにおいてgp130鎖により高い効率で結合する(Kolletら,Blood.1999 Aug 1;94(3):923−31)。
MBPおよびP0タンパク質は、通常はシュワン細胞の最終出生後成熟のあいだに誘導され、神経変性中に再誘導される。IL−6R/IL−6キメラは、14日齢マウス胎児由来の後根神経節(DRG)の培養中の、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)およびP0遺伝子産物MBPおよびP0 RNAsおよびタンパク質の発現を誘導することが示されている(FEBS Lett.1999 Aug 27;457(2):200−4.et al.,1999)。さらに、MBPおよびP0の発現は、神経堤起原の培養腫瘍細胞中でも、IL6R/IL6キメラによって誘導されることがわかった。正常な胚シュワン細胞前駆体中、および神経堤起原の腫瘍細胞中のどちらの場合でも、IL6R/IL6キメラによるMBPおよびP0遺伝子の誘導は、Pax−3のダウン−レギュレーションを伴う(Kamarajuら JBC 2002 277 15132,Slutskyら J Biol Chem.2003 Mar 14;278(11):8960−8,Haggiagら,J.Neurosci.Res.2001)。
インビボでの髄鞘形成における、gp130アクチベーターIL6R/IL6の促進効果が、座骨神経横断面のラットモデルにおいて示された。IL6R/IL6の注射により、再生神経における有髄線維の数が7倍増加した(Haggiagら,J.Neurosci.Res.2001)。
糖尿病−誘発末梢性ニューロパシーの動物モデルにおける、可溶性IL−6Rなしでの、組換えIL−6単独の治療効果は、特許出願、国際公開第03033015号パンフレットにて開示されている。しかしながら、IL6R/IL6キメラ単独、またはIL−6単独もしくはsIL−6Rと一緒のIL−6が化学療法によって引き起こされる末梢性ニューロパシーおいて、有益な効果を有するかどうかは明らかでない。事実、他のgp130アクチベーターである組換え白血病阻害因子(LIF)は、カルボプラチン/パクリタキセルによって引き起こされる末梢性ニューロパシーの予防について臨床試験にて試験され(Davisら Proc Am Soc Clin Oncol 22:ページ740、2003,要約2976)、結果により、LIFは試験した用量およびレジメにて、CIPNを予防することにおいて有効でないことが指摘された。
したがって、化学療法薬剤によって引き起こされる末梢性ニューロパシーを予防する/治療するための、新規の薬物/戦略が必要である。
本発明は、化学療法−誘発末梢性ニューロパシー(CIPN)の予防および/または治療のための医薬の製造における、IL−6R/IL−6キメラ、そのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩の使用に関する。
本発明は、シスプラチン、ジカルバジン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、ダカルバジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、メルカプトプリン、ミトタン、ストレプトゾシン、タキソールなどの化学療法薬剤、またはこれらの2つ以上の薬剤の混合物によって、好ましくはビンクリスチンによって誘発されるCIPNにおける、本発明のIL6R/IL6キメラの使用を提供する。
本発明の1つの側面において、IL6R/IL6キメラは、1つ以上の部位でグルコシル化されていても、またはグルコシル化されていなくてもよく、および/またはその機能性誘導体は、1つ以上の官能基に連結した、ポリエチレン部分のような、少なくとも1つの部分を有し得る。
さらに、本発明は、CIPNの治療および/または予防のための医薬の製造において使用される、IL6R/IL6キメラを発現する細胞を提供する。
また、本発明は、CIPNの治療および/または予防のための医薬の製造において使用される、IL6R/IL6キメラの発現用ベクター、好ましくはレンチウイルスベクターを提供する。
1つの実施様態において、本発明は、CIPNの治療および/または予防方法であって、それを必要としている患者に、任意には薬学的に許容され得る担体と一緒に、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩を投与することを含む方法を提供する。
1つの側面において、本発明による、必要としている患者は、糖尿病、AIDS、遺伝的ニューロパシーを患っている患者、および神経毒性薬物での早期治療を受けた患者のような高リスク患者であり得る。
他の側面において、本発明によるIL6R/IL6キメラの投与は、肝臓内、皮内、足底内、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所および鼻腔内経路であり得る。
さらに、本発明は、患者における化学療法薬剤の用量を増加させるまたは延長させる方法であって、それを必要としている患者に、任意に薬理学的に許容可能な担体と一緒に、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩を投与することを含む方法。
本発明のもう1つの観点において、IL6R/IL6キメラは、化学療法薬剤の前、あいだおよび/または後のいずれかで投与される。
さらに、本発明は、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、または機能性誘導体と、1つの化学療法薬剤またはその2つ以上の薬剤の混合物との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
本発明による化学療法薬剤は、シスプラチン、ジカルバジン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、ダカルバジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、メルカプトプリン、ミトタン、ストレプトゾシン、タキソール、およびまたはこれらの2つ以上の薬剤の混合物、および好ましくはビンクリスチンを含み得る。
本発明の1つの実施様態において、医薬組成物には、抗酸化剤、PKC阻害剤および神経保護薬剤などの追加薬物、好ましくは、グルタミン酸、ピリドキシン、ガンマ−リノール酸、ビタミンB1、ビタミンB2、イソアキソニン、ガングリオシドおよびNGFがさらに含まれ得る。
本発明は、化学療法誘発末梢性ニューロパシー(CIPN)の予防のための医薬の製造のための、IL−6R/IL−6キメラ、そのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩の使用に関する。
現在、末梢性ニューロパシーの治療は全身性であり、神経への損傷を根底におく有益な効果はない。典型的には、CIPNは、用量減少によって緩和されるが、これは、化学療法治療の効果を減少させ得る。
したがって、本発明は、実質的な前進、すなわち、IL−6R/IL−6キメラが化学療法−誘発損傷発症を予防するために、化学療法薬剤と一緒に使用可能であるということを提示する。さらに、化学療法−誘発損傷の発症後にインビトロで投与されたIL6R/IL6キメラが、神経組織を回復できたことが示された。
したがって、本発明は、IL−6R/IL−6キメラの投与による、ビンカ−アルカロイド類(たとえば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、白金系化合物類(たとえばシスプラチン)、およびタキサン類(パクリタキセルおよびドセタキセル)、またはそれらの1つ以上の薬剤の組み合わせから選択される、広範囲の化学療法薬剤により引き起こされるCIPNの治療および/または予防に関する。
本発明は、ビンクリスチンとIL6R/IL6キメラとの同時投与が、インビトロでのビンクリスチンによる軸索変性の誘導の予防に非常に効果的であった、という発見に基づいている。
たとえば、神経のアウトグロースが、神経成長因子(Nerver Growth Factor)(NGF)の添加によって、マウス胚(E17日)由来の後根神経節(DRG)の培養物において刺激された。続いて、培養物をビンクリスチンに暴露し、これにより、カスパーゼ−3活性化により進行性軸索変性を誘導する。ビンクリスチン処理の2日後、DRG神経アウトグロースにおけるカスパーゼ−3活性化および相当の軸索の欠損が観察された(図1、パネルB対AおよびD)。しかしながら、意外にも、IL−6R/IL−6がビンクリスチン処理中に存在した場合、カスパーゼ−3活性化が実質的に存在しなかった(図1、パネルE対D)。IL−6R/IL−6が、軸索変性を予防したことも観察された(図1、パネルC対B)。
本発明は、IL6R/IL6キメラでの処理が、ビンクリスチンによる神経損傷がすでに確立された後に加えた場合でさえも、神経組織を効果的に回復させたという発見にも基づく。
たとえば、軸索ネットワークが5日間のNGFの存在下で形成されたIL−6欠損マウス(IL−6−/−)由来のE18.5胚のDRG培養を、IL−6R/IL−6の存在下または非存在下でさらに11日間続ける(図2、それぞれパネルAおよびB)か、またはビンクリスチンによって4日間処理し、ビンクリスチンを除去し、6日以上培養を続けた(図2、パネルC〜F)。軸索ネットワークの広範囲の変性は、ビンクリスチンを除いた6日後になお存在したことが観察された(図2、パネルC)が、IL−6R/IL−6を、ビンクリスチン除去後に加えた場合、軸索の有意な再増殖が観察された(図2、パネルD)。グリア線維酸性タンパク質(GFAP)に関して免疫染色した平行培養物において、IL−6R/IL−6の添加が、ビンクリスチン除去6日後の対照培養物(図2、パネルE)と比較して、グリア細胞の明らかな再増殖が引き起こしたことが見られた(図2、パネルF)。
いくつかの同様の実験において、IL−6R/IL−6の治療効果が、IL−6+/+マウス由来のDRG培養物においてみられ、IL−6R/IL−6添加2日後にすでに現れた(示していない)。
要するに、得られた結果は、明白に、CIPNにおけるIL6R/IL6の予防的および/または治癒力のある治療価値を示している。
本発明によるIL−6R/IL−6キメラ、そのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩は、たとえば、グルコシル化されていなくてもよく、または1つ以上の部位でグルコシル化されていてもよい。
好ましい実施様態において、機能性誘導体は、アミノ酸残基上の1つ以上の側鎖に存在する1つ以上の官能基に連結した、ポリエチレン部分のような、少なくとも1つの部分を含み得る。
他の実施様態において、本発明によるIL−6R/IL−6キメラは、IL−6R/IL−6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、または円順列誘導体を発現する細胞によって、またはIL−6R/IL−6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、または円順列誘導体をコードする配列を含む発現ベクターによって投与されてよい。好ましい実施様態において、ベクターはレンチベクターである。
本発明はまた、CIPNの治療および/または予防方法であって、それを必要とする患者に、任意には薬学的に許容され得る担体と一緒に、IL−6R/IL−6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩を投与することを含む方法にも関する。
好ましい実施様態において、治療を必要とする患者は、すでに長期間、糖尿病を患っている患者、AIDSによる神経因性症状がすでにある患者、遺伝的ニューロパシーを患っている患者、または神経毒性化学療法による早期治療を受けた患者などのような、高リスク患者である。
本発明は、化学療法薬剤の前、後またはあいだに、任意には薬学的に許容され得る担体と一緒に、IL−6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩を投与することを含む、それを必要としている患者への、化学療法薬剤の用量を増加させるための方法にも関する。本発明による化学療法薬剤は、シスプラチン、ジカルバジン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、ダカルバジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、メルカプトプリン、ミトタン、ストレプトゾシン、タキソールなどの薬剤、およびまたはこれらの2つ以上の薬剤の混合物から選択し得る。
さらに、本発明は、IL−6R/IL6キメラ、またはそのアイソフォーム、ムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体または断片と、化学療法薬剤との組み合わせを含む医薬組成物に関する。より具体的には、本発明による医薬組成物において、化学療法薬剤は、シスプラチン、ジカルバジン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、ダカルバジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、メルカプトプリン、ミトタン、ストレプトゾシン、タキソール、およびまたはこれらの2つ以上の薬剤の混合物から選択される。
1つの実施様態において、好ましい化学療法薬剤はビンクリスチンであった。
より好ましい実施様態において、医薬組成物はさらに、たとえばピリドキシン(ビタミンB6)、抗酸化剤(たとえば、ガンマ−リノール酸、アルファリポ酸、PKC阻害剤およびアルドース還元酵素阻害剤、痛み症状を抑制するために使用する抗けいれん剤、ビタミンB1、ビタミンB12、グルタミン酸(Boyleら,1996)、イソアキソニン(Le Quesneら,1985)、ガングリオシドまたは神経成長因子などの神経保護剤のような追加薬物を含む。
本明細書で使用するところの「IL−6R/IL−6キメラ」(「IL−6R/IL−6」または「IL−6キメラ」とも呼ぶ)は、インターロイキン−6のすべてまたは生物学的に活性な画分に融合したgp130の可溶性部分を含むキメラ分子である。キメラタンパク質の部分は、互いに直接融合可能であるか、またはジスルフィド架橋またはポリペプチドリンカーのような任意の好適なリンカーによって連結可能である。リンカーは、長さにして、1〜3アミノ酸残基程度、または長さにして13または18アミノ酸残基のより長い、短いリンカーペプチドでありうる。前記リンカーは、可溶性IL−6レセプターgp130のアミノ酸配列とIL−6配列とのあいだに導入される、たとえば配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチド、またはGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含む13−アミノ酸リンカー配列であり得る。IL−6R/IL−6キメラの例は、本技術分野で公知であり、たとえば、国際公開第99/02552号パンフレットまたは同第97/32891号パンフレットに詳細に記述されてきている。
本明細書で使用するところの語句「治療する(treating)/治癒する(curing)、および予防する」は、化学療法ニューロパシーの1つ以上の症状または原因ならびに化学療法ニューロパシーに伴う症状、疾患または合併症を予防し、阻害し、和らげ、改善しまたは反転することとして理解すべきである。化学療法ニューロパシーを「治療する/治癒する」場合、本発明による物質は、疾患の発症後に与えられ、「予防」は、疾患の兆候が患者で見られ得る前の、物質の投与に関する。
語句「化学療法ニューロパシー」は、任意の形態の化学療法ニューロパシー、または化学療法ニューロパシーに付随するまたは引き起こされる1つ以上の症状または障害、または前記導入部において詳細に記述されたような、神経に影響を与える化学療法の合併症に関する。
語句「用量」は、特定の量の医薬のような、一度に投与される量に関する。
語句「投与量」は、用量のサイズ、頻度および回数の決定および調節に関する。
本明細書で使用するところの語句「ムテイン(muteins)」は、天然に存在するIL6R/IL6キメラの成分の1つ以上のアミノ酸残基が、本来のIL6R/IL6キメラと比較して得られた産物の活性を著しく変化することなく、異なるアミノ酸残基によって置換されるか、または欠損するか、または1つ以上のアミノ酸残基が本来のIL6R/IL6キメラの配列に加えられる、IL6R/IL6キメラの類似体を意味する。これらのムテインは、公知の合成によって、および/または部位特異的変異導入技術によって、または適切な他の任意の公知の技術によって製造される。
本発明によるムテインには、ストリンジェントな条件下で、IL6R/IL6キメラをコードするDNAまたはRNAにハイブリダイズする、DNAまたはRNAのような核酸によってコードされるタンパク質が含まれる。語句「ストリンジェントな条件」は、当業者が「ストリンジェント」として従来言及した、ハイブリダイゼーションと、それに続く洗浄条件を意味する。Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology、上記、Interscience,N.Y.,§§6.3および6.4(1987,1992)、およびSambrookら(Sambrook,J.C.,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)を参照のこと。
限定はせずに、ストリンジェントな条件の例としては、試験下のハイブリッドの計算Tmより12〜20℃低い洗浄条件、たとえば、2×SSCおよび0.5% SDS 5分間、2×SSCおよび0.1% SDS 15分間、0.1×SSCおよび0.5% SDS 37℃にて30〜60分間、ついで、0.1×SSCおよび0.5% SDS 68℃にて30〜60分間が含まれる。当業者は、ストリンジェントな条件がまた、DNA配列の長さ、オリゴヌクレオチドプローブ(10〜40塩基など)、または混合オリゴヌクレオチドプローブに依存することを理解する。混合プローブを使用する場合、SSCのかわりに、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を使用することが好ましい。Ausubel 上記を参照のこと。
そのような任意のムテインは好ましくは、IL6R/IL6キメラと実質的に同様の、またはよりよい活性を有するような、IL6R/IL6キメラのアミノ酸配列の十分に複製であるアミノ酸配列を有する。
IL6R/IL6キメラの特徴的な活性は、gp130への結合能力である。ムテインが、実質的にgp130部位に結合可能である限り、実質的にIL6R/IL6キメラと同様の活性を有するとみなすことができる。したがって、任意の所定のムテインがIL6R/IL6キメラと少なくとも同等の活性を有するかどうかは、肝細胞にそのようなムテインを作用させ、肝細胞の増殖を誘導するかどうかを、たとえばBrdUまたは標識化メチオニンの取り込みを測定するか、または単に、未処理対照細胞およびWT IL6R/IL6キメラにて処理した細胞と比較して細胞の数を計測するかによって決定することを含む決まりきった実験によって決定することができる。IL−6R/IL−6キメラのgp130への結合を測定するための、ELISA型のアッセイが、国際公開第99/02552号パンフレットの39頁、実施例7にて詳細に記述されている。
マイクロタイター96−ウェルプレート(ヌンク(Nunc))を、抗−ヒトgp130モノクローナル抗体でコートし、50ng/mlのgp130を加える(両方ともR&Dシステムズ、ミネアポリスより入手)。リン酸緩衝食塩水中での洗浄の後、IL6R/IL6キメラを、異なるウェルに、0.1〜50ng/mlの範囲の異なる濃度で加える。40℃で一晩インキュベーションした後、ウサギポリクローナル抗−IL−6R(Ohら,Cytokine,8,401−409,1996)を加え、続いて、ホースラディッシュ ペルオキシダーゼ共役ヤギ抗ウサギIgを加え、発色反応によって検出する(シグマ(Sigma)、セントルイス)。
変異体が、gp130への実質的な結合活性を有する限り、実質的にIL6R/IL6と類似の活性を有するとみなすことができる。
したがって、任意の所定の変異体が、少なくとも実質的に、IL6R/IL6キメラと同一の活性を有するかどうかは、そのような変異体を、たとえば国際公開第99/02552号パンフレットの実施例7で記述されたような、単純サンドイッチ結合アッセイにかけ、固定化gp130または可溶性gp130(gp130の細胞外断片)に結合するかしないかを決定することを含む、決まりきった実験によって決定することができる。
好ましい実施様態において、任意のそのようなムテインは、成熟IL−6R/IL−6キメラの配列と、少なくとも40%の同一性または相同性を有する。より好ましくは、任意のそのようなムテインは、成熟IL−6R/IL−6キメラの配列に少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性または相同性を有する。
同一性は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド配列間、または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係を反映する。一般的に、同一性は、比較している配列の長さにわたって、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチドの、それぞれ、ヌクレオチドに対するヌクレオチドの、またはアミノ酸に対するアミノ酸の正確な対応関係を意味する。
実際、正確な対応関係が存在しない配列に関して、「%同一性」が決定され得る。一般的に、比較されるべき2つの配列を、配列間の最大の相関が得られるように並べる。これには、アライメントの程度を高めるために、いずれか1つまたは両方の配列に、「ギャップ」を挿入することが含まれ得る。%同一性は、比較されている各配列の全長にわたって決定されてもよく(いわゆるグローバルアライメント)(これはとりわけ、同一または非常に類似の長さの配列により適している)、またはより短い、定義された長さにわたって決定されてもよい(いわゆるローカルアライメント)(これは等しくない長さの配列に対してより適している)。
2つ以上の配列の同一性および相同性を比較するための方法は、本技術分野でよく知られている。したがって、たとえば、Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン9.1(Devereux Jら 1984)にて使用可能なプログラム、たとえば、プログラムBESTFITおよびGAPを、2つのポリヌクレオチド配列間の%同一性、および2つのポリペプチド配列間の%同一性および%相同性を決定するために使用し得る。BESTFITは、Smith および Waterman(1981)の「ローカル相同性」アルゴリズムを使用し、2つの配列間の類似性の最もよい単一領域を発見する。配列間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラムも、本技術分野で公知であり、たとえば、BLASTプログラムファミリー(Altschul S Fら,1990, Altschul S Fら,1997、www.ncbi.nlm.nih.govにてNCBIのホームページよりアクセス可能)、およびFASTA(Pearson W R,1990;Pearson 1988)があげられる。
本発明により使用可能であるIL6R/IL6キメラのムテイン、またはそれをコードする核酸には、過度の実験をすることなく、本明細書で提示される教示およびガイドラインに基づいて、当業者によって通常得られ得る、置換ペプチドまたはポリヌクレオチドのような、実質的に対応する配列の限定された組が含まれる。
本発明により、ムテインに対する好ましい変化は、「保存的(conservative)」置換として知られるものである。IL6R/IL6キメラの保存的アミノ酸置換には、充分に類似した物理化学的特性を有し、かつ群のメンバー間での置換が分子の生物学的機能を保存している一群内の同義アミノ酸が含まれ得る(Grantham,1974)。特に、挿入または欠失が数個のアミノ酸(たとえば30個未満、好ましくは10個未満)のみを伴い、かつ機能的コンホメーションに必須のアミノ酸(たとえば、システイン残基)が除去または置換されない場合、アミノ酸の挿入および欠失もまた、その機能を改変することなく前記規定配列において行なわれ得ることは明白である。かかる欠失および/または挿入によって生じるタンパク質およびムテインは、本発明の範囲に含まれる。
好ましくは、同義アミノ酸群は表Aに規定されるものである。より好ましくは、同義アミノ酸群は表Bに規定されるものであり、最も好ましくは、同義アミノ酸群は表Cに規定されるものである。
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本発明における使用のため、IL−6ポリペプチドのムテインを得るのに使用され得るタンパク質内でのアミノ酸置換の生成の例としては、任意の公知の方法の工程(たとえば、Markらの米国特許第4,959,314号、同第4,588,585号および同第4,737,462号;Kothsらの同第5,116,943号、Namenらの同第4,965,195号;Chongらの同第4,879,111号;およびLeeらの同第5,017,691号に示されるものなど)ならびに米国特許第4,904,584号(Shawら)に示されたリジン置換タンパク質が挙げられる。
用語「融合タンパク質」は、IL−6R/IL−6キメラ、またはそのムテインもしくは断片を、別のタンパク質と融合された状態で含有するポリペプチドをいい、これは、体液中で長期の滞留時間を有する。IL−6R/IL−6キメラは、したがって、別のタンパク質、ポリペプチドなど(たとえば、免疫グロブリンまたはその断片)と融合されていてもよい。
本明細書で使用するところの「機能性誘導体」は、残基の側鎖またはNまたはC末端基として存在する官能基から、当該技術分野において公知の手段により調製され得る、IL−6R/IL−6キメラの誘導体ならびにそのムテインおよび融合タンパク質を包含し、薬学的に許容され得る状態を維持している(すなわち、IL−6R/IL−6キメラの活性に実質的に類似したタンパク質の活性を破壊せず、かつこれを含有する組成物に対して毒性を付与しない)限り、本発明に含まれる。
このような誘導体としては、たとえば、ポリエチレングリコール側鎖が挙げられ得、これは、抗原性部位をマスクし、体液中でのIL−6R/IL−6キメラの滞留時間を延長し得る。他の誘導体としては、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアもしくは第一級または第二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分と形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体(たとえば、アルカノイルまたは炭素環式アロイル基)またはアシル部分と形成される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体(たとえば、セリル残基もしくはスレオニル残基のもの)があげられる。
本明細書において、用語「塩」は、IL−6R/IL−6キメラ分子またはそのアナログのカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方をいう。カルボキシル基の塩は、当該技術分野において公知の手段により形成され得、無機塩(たとえば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄または亜鉛の塩など)、および有機塩基との塩(たとえば、トリエタノールアミンなどのアミン、アルギニンまたはリジン、ピペラジン、プロカインなどと形成されるものなど)があげられる。酸付加塩としては、たとえば、無機酸(たとえば、塩酸または硫酸など)との塩および有機酸(たとえば、酢酸またはシュウ酸など)との塩があげられる。もちろん、任意のかかる塩は、IL−6R/IL−6キメラの生物学的活性(たとえば、CIPNの予防または軽減および/またはgP130への結合能力)を維持していなければならない。
IL−6R/IL−6キメラの「アイソフォーム」は、gp130に結合することができるタンパク質、または選択的スプライシングによって生成し得るその断片である。
用語「円順列誘導体」は、本明細書で使用する場合、末端同士を直接またはリンカーを介してのいずれかで互いに結合して環状分子を作製し、次いで該環状分子を別の位置で開裂して末端が元の分子の末端と異なる新たな線状分子が作製された線状分子をいう。円順列誘導体のものとしては、その構造が、環化した後開裂された分子と等価である分子が挙げられる。したがって、円順列誘導体分子は、線状分子として最初から合成され、環化工程および開裂工程を経ないものであってもよい。円順列誘導体の製造は、国際公開第95/27732号パンフレットに記載されている。
IL−6キメラは、Chebathら(Eur Cytokine Netw.1997 Dec;8(4):359−65,1997)によって記述されたもの、Fischerら(Fischerら、Nat Biotechnol.1997 Feb;15(2):142−5.)による、ハイパー−インターロイキン−6、およびEkida Teiji,Ide Teruhiko(国際公開第0001731号パンフレット)による、IL−6−レセプターのIL−6への直接結合を有する融合タンパク質から選択され得る。
本発明の好ましい実施様態において、IL−6キメラは1つ以上の部位でグルコシル化される。
IL6R/IL6キメラのグリコシル化された形態は、国際公開第99/02552号パンフレット(PCT/IL98/00321)に記載されており、これは、本発明による非常に好ましいキメラ分子である。該文献に記載されたIL6R/IL6キメラは、組換え糖タンパク質であり、天然に存在する可溶性IL−6レセプターδ−Val(Novickら,J Chromatogr.1990 Jun27;510:331−7)の全コード配列を、天然に存在する成熟IL−6の全コード配列(ともにヒト起源に由来)に融合させて得られたものである。
本発明によるIL6R/IL6キメラは、酵母細胞、昆虫細胞、細菌などのような、適切な任意の原核または真核細胞中で産出されうる。哺乳動物細胞中で産出されることが好ましく、国際公開第99/02552号パンフレットにて記述されたような、遺伝子工学的に改変されたCHO細胞で産生されることが最も好ましい。
本発明のさらなる実施様態において、本発明の物質はグルコシル化されない。有利には、分子はついで、グリコシル残基は合成することができないが、通常、高い収率で組み換えタンパク質を産生する細菌細胞内で産出することができる。非グルコシル化IL6R/IL6キメラの産生は、たとえば、欧州特許第EP504751B1号にて詳しく記述されている、非−グルコシル化IL−6の産生に関して記述されたように、細菌内で産生可能である。
またさらなる実施様態において、本発明による物質には、免疫グロブリン融合体が含まれ、すなわち、本発明による分子が、免疫グロブリンのすべて、または一部分に融合する。免疫グロブリン融合タンパク質の作製方法は、たとえば、国際公開第01/03737号パンフレットにて記述されたもののように、本技術分野でよく知られている。当業者は、本発明の得られた融合タンパク質が、IL6R/IL6キメラの生物学的活性を維持することを理解するであろう。得られた融合タンパク質は、理想的に、長期間の体液中の滞留時間(半減期)、特異的活性の増加、発現レベルの増加、または融合タンパク質の精製を容易にするなどの改善された特性を持つ。
好ましくは、本発明による物質はIg分子の定常領域に融合される。たとえば、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのような重鎖領域に融合され得る。たとえば、IgG2またはIgG4アイソフォーム、またはIgMまたはIgAのような他のIgクラスなどのIgG分子の他のアイソフォームも本発明による融合タンパク質の産生に適している。融合タンパク質は、単量体または多量体、ヘテロ−またはホモ多量体であり得る。
本発明による物質の機能性誘導体は、安定性、半減期、バイオアベイラビリティー、ヒト体によるトレランスまたは免疫原性のような、タンパク質の特性を改善するために、ポリマーに連結してもよい。
したがって、本発明の好ましい実施様態は、アミノ酸残基上の1つ以上の側鎖に存在する、1つ以上の官能基に連結した、少なくとも1つの部分を含む本発明による物質の機能性誘導体に関する。
非常に好ましい実施様態は、ポリエチレングリコール(PEG)に連結した、本発明の物質に関する。PEG化は、たとえば、国際公開第92/13095号パンフレットにて記述されたもののような、公知の方法によって実施し得る。
「薬学的に許容され得る」の定義は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げず、かつ投与対象の宿主に対して毒性でない任意の担体を包含することを意味する。たとえば、非経口投与では、IL−6R/IL6キメラは、ビヒクル(たとえば、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルビミンおよびリンガー溶液)中にて注射用の単位投薬形態に製剤化され得る。
その投与の必要性がある患者に、種々の様式で投与され得る。投与経路としては、肝臓内、皮内、経皮(たとえば、低速放出製剤にて)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所および鼻腔内経路が挙げられる。任意の他の治療上有効な投与経路が使用され得、たとえば、上皮または内皮の組織からの吸収、またはIL−6R/IL−6キメラをコードするDNA分子を患者に投与し(たとえば、ベクターにより)、インビボでIL−6R/IL−6キメラの発現および分泌を引き起こす遺伝子療法によるものである。加えて、IL−6R/IL−6は、生物学的に活性な薬剤の他の成分(たとえば、薬学的に許容され得る界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤およびビヒクルなど)と共に投与してもよい。
非経口(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内)投与のためには、IL−6R/IL−6キメラは、薬学的に許容され得る非経口用ビヒクル(たとえば、水、生理食塩水、デキストロース溶液)ならびに等張性を維持する添加剤(たとえば、マンニトール)または化学的安定性を維持する添加剤(たとえば、保存剤およびバッファー)と組合せて、液剤、懸濁剤、乳剤または凍結乾燥した散剤として製剤化され得る。製剤は、一般的に用いられる手法によって滅菌する。
本発明のさらなる目的は、有効量/用量のIL−6R/IL−6キメラ、そのムテイン、融合タンパク質、機能性誘導体、活性画分、円順列誘導体または塩を、任意選択で薬学的に許容され得る担体とともに、必要とする患者に投与することを含む、CIPNの治療および/または予防方法を提供することである。
「有効量」は、上記の疾患の経過および重篤度に影響を与え、かかる病理の低減または寛解を導くのに充分な活性成分の量をいう。有効量は、投与経路および患者の状態に依存する。
個体に、単回用量または反復用量として投与される投薬量は、種々の要因(IL−6R/IL−6キメラ薬物動態学的性質、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、体格)、症状の程度、併用療法、処置の頻度ならびに所望の効果など)に依存して変化する。確立された投薬範囲の調整および操作は、充分、当業者の能力の範囲である。
本発明は、CIPNの治療および/または予防のための医薬の製造における、IL−6R/IL−6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、または円順列誘導体の使用に関する。
IL−6R/IL−6キメラの用量は、化学療法の前、あいだおよび/または後に投与可能である。IL6R/IL6キメラの用量は、CIPNが確立する前に予防的に、または確立したCIPNを治療するために投与可能である。
本発明を充分に記載してきたが、当業者には、広範な均等のパラメータ、濃度および条件の範囲内で、過度の実験をすることなく、本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明を行ない得ることが認識されよう。
本発明を、その特定の実施形態に関して記載したが、さらなる改良が可能であることを理解されたい。本特許出願明細書は、一般的に本発明の原理にしたがう本発明の任意の変形、使用または適応を包含し、本発明が属する技術分野において既知または慣用的な実務の範囲内である場合、および以下の添付の特許請求の範囲に記載された前述の本質的な特徴に適用され得る場合、本開示からのかかる逸脱を含むものとする。
本明細書で引用した参考文献、たとえば、学術論文もしくは要約、公開もしくは未公開の米国もしくは外国の特許出願、発行済の米国もしくは外国の特許、または任意の他の参考文献などは、引用により本明細書に完全に組み込まれる(引用した参考文献に示されたすべてのデータ、表、図および文章を含む)。加えて、参考文献内に引用された参考文献の全内容もまた、引用により本明細書に完全に組み込まれる。
公知の方法の工程、従来の方法の工程、公知の方法または従来の方法を参照することは、決して、本発明の任意の側面、説明または実施態様が関連技術において開示、教示または示唆されているという是認(admission)ではない。
特定の実施様態の以上の記述によって、完全に、他ではなく、本発明の一般的な性質が、(本明細書で引用した参考文献の内容を含む)当業者の知識を適用することによって、余計な実験なしに、本発明の一般的なコンセプトから逸脱することなしに、そのような特定の実施様態への種々の適用のために、簡単に改変および/または適合可能である。したがって、そのような適合および改変が、本明細書で示した協議およびガイダンスに基づいて、開示された実施様態の等価のものの範囲を意味することの範囲内であることが意図される。本明細書の語法または専門用語は、記述の目的であって、制限の目的ではなく、本明細書の専門用語または語法が、当業者の知識と組み合わせて、本明細書で示された協議およびガイドラインに関して、当業者によって解釈されるべきものであることが理解されるべきである。
特定の実施態様の前述の説明では、本発明の一般的本質を充分示したため、当該技術分野の技能の範囲内の知識を適用することにより(本明細書に引用した参考文献の内容を含む)、過度の実験をすることなく、本発明の一般的概念を逸脱することなく、種々の適用用途のために、かかる特定の実施態様は容易に改良および/または適応がなされよう。したがって、かかる適応および改良は、本明細書に示した教示および手引きに基づき、開示した実施態様の均等の範囲の意味に含まれるものとする。また、本明細書における語法または専門用語は、説明の目的のためであって、限定の目的のためではないため、当業者は、本明細書の専門用語または語法を、当業者の知識との組み合わせで、本明細書に示した教示および手引きに鑑みて解釈すべきであることを理解されたい。
次に、以下の非限定的な実施例および添付の図面にしたがって本発明をより詳細に説明する。
実施例1:ビンクリスチンによって中毒化した後根神経節細胞に対するIL−6R/IL−6キメラのインビトロ効果
IL−6R/IL−6キメラ(Chebathら,1997)を使用して、インビトロにおけるビンクリスチン中毒化に対する予防を調査した。本目的のために、神経アウトグロースを神経成長因子(NGF)によって刺激した、マウス胚(E17日)由来の後根神経節(DRG)の培養物を、その後、進行性軸索変性プロセスを誘導する10nMビンクリスチンに暴露した(Wangら,J Neuropathol Exp Neurol.2000 Jul;59(7):599−606.)。2日後、DRGアウトグロースにおける軸索の多量の損失が、βIII−チューブリンに関して免疫染色した後に明らかとなった(図1、パネルB対A)。ビンクリスチンによる治療のあいだのIL−6R/IL−6の添加が、軸索変性を予防した(パネルC)。種々のニューロパシーにおけるアポトーシスの早期段階を意味する、カスパーゼ−3のタンパク質分解活性化をモニターすることにより(Russellら,Neurobiol Dis.1999 Oct;6(5):347−63.)、神経変性をさらに調べた。活性化カスパーゼ−3に対する抗体への陽性反応が、ビンクリスチンで5日間処理した、DRG培養物で観察された(パネルD)。しかしながら、IL−6R/IL−6がビンクリスチン処理のあいだに存在した場合、実質的にカスパーゼ−3活性化は存在しなかった(パネルE)。
実施例2:ビンクリスチンによって中毒化した後根神経節細胞に対するIL−6R/IL−6キメラのインビトロ効果
本発明者はさらに、IL−6R/IL−6が、ビンクリスチンの作用がおこった後に、IL−6R/IL−6を加えることによって神経再生効果を有するかどうかを調査した。IL−6欠損マウス(IL−6−/−)由来のE18.5胚のDRGで実施した1つのそのような実験を、図2に示す。軸索ネットワークが、5日間のNGFの存在下で形成された培養物を、IL−6R/IL−6が存在する場合またはしない場合で、さらに11日間続けるか(それぞれパネルAおよびB)、またはビンクリスチンによって5日間処理し、ビンクリスチンを除去した時点で、さらに6日間培養を続けた(パネルC〜F)。軸索ネットワークの広範囲な変性が、ビンクリスチン除去の6日後になお観察されたが(パネルC)、ビンクリスチン除去後、IL−6R/IL−6を加えた場合、軸索の有意な再増殖が観察された(パネルD)。平行して、グリア繊維酸性タンパク質(GFAP)に対して免疫染色した培養物中で、IL−6R/IL−6の添加が、ビンクリスチンの除去6日後の対照培養物(パネルE)と比較して、グリア細胞の明らかな再増殖を引き起こすことがわかった(パネルF)。いくつかの同様の実験において、IL−6R/IL−6の神経再生効果が、IL−6+/+マウス由来のDRG培養物中でみられ、IL−6R/IL−6添加後2日ですでに現れた(示していない)。これらの実験は、IL−6R/IL−6キメラが、化学療法薬剤への暴露後に加えた場合、神経およびグリア細胞の再生を促進したことを示す。
実施例3:後根神経節(DRG)培養物、ビンクリスチンおよびIL−6R/IL−6処理
DRGsを、(C57BL/6x129Sv)F1マウスの胚から、以前に詳述されたように(Haggiagら,1999,2001)調製した。いくつかの実験において、相当するIL−6−/−突然変異マウスを使用した(Mendelら,1998)。DRGsを、(20μg/mlポリ−D−リジン、250μg/mlフィブロネクチンの溶液で事前にコートした)ガラスカバースリップ上にまき、12−ウェルコースター(Costar)プレート中においた。標準培養培地は、1% N2サプリメント、10% ウシ胎児血清、2%ウマ血清、1.4mM グルタミン(すべてギブコ/インビトロジェン(Gibco/Invitrogen)より)、および50ng/ml NGF(2.5S;アロモン ラボズ(Alomone Labs)、エルサレム、イスラエル)を含む、0.5ml DMEM/F12培地であった。培養物を、37℃、5% CO2にて維持し、培地を、30日ごとに交換した。5日目に、いくつかのウェルに、10nMビンクリスチン硫酸塩(シグマ、セントルイス、MO)を、または記述されたように(Chebathら,1997)調製した200ng/ml純粋組み換えIL−6R/IL−6とともにビンクリスチンを加えた。2〜5日後、培養物を、4%パラホルムアルデヒド中で、室温(RT)で10分間固定し、PBSで洗浄し、ついで、0.5% Triton X−100、およびPBS中10%正常ヤギ血清にて、RTで3分間処理し、1% NGSで3回洗浄した。治療効果を研究するために、5日目にビンクリスチン(5nM)にて処理した同様のDRG細胞培養物を10日目に洗浄し、ビンクリスチンを除去し、単独または200ng/ml IL−6R/IL−6を加えた前記標準培地を補充し、培養を固定化の前にさらに6日間続けた。
実施例4:免疫染色
免疫染色を、マウスモノクローナル抗体TUJ1抗−神経βIII−チューブリン抗体(コバンス(Covance)、バークリー、CA;MMS−435P、希釈1:500)およびAb−4抗−カスパーゼ−3活性化型(オンコジーン リーサーチ プロダクツ(Oncogene Research Products)、サンディエゴ、CA;AM65、希釈1:200)で、RTにて一晩行なった。第二抗体は、チューブリン用には、Alexa Fluor 488に共役したヤギ抗−マウスIgG(モレキュラー プローブス(Molecular Probes)、ユージーン、OR;A11029、希釈1:200)、そしてカスパーゼ用には、Cy3−共役アフィニティー精製ヤギ抗−マウスIgG、F(ab’)2断片特異的(ジャクソン イムノリサーチ ラボラトリーズ(Jackson ImmunoResearch Laboratories)、ウエストグローブ、PA;希釈1:600)であった。マウスモノクローナル抗−GFAP−Cy3共役抗体(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich);C9205、希釈1:400)をRTにて1時間適用した。PBSでの洗浄後、カバースリップをMowiol(カルビオケム(Calbiochem)、ラ・ジョラ(LaJolla)、CA)中に載せ、DVC−1310Cデジタルカメラ(DVS、オースチン、TX)を備えるオリンパス IX−70 FLA顕微鏡で写真を撮り、フォトショップにて画像を処理した。
IL−6シグナル伝達の活性化による、ビンクリスチンに対するインビトロでの神経保護を示す。(A)NGF−含有培地における7日後のDRG培養物での、βIII−チューブリンに関して染色した増大(outgrowing)軸索ネットワーク。(B)10nMビンクリスチンで、最後の2日間処理した同様の培養物。(C)ビンクリスチンおよび200ng/ml IL−6R/IL−6で、最後の2日間処理した同様の培養物。軸索ネットワークの有意な保護が観察される。パネルA〜Cは、同倍率であり、サイズバー:100μm。(D)最後の5日間は10nMビンクリスチンを添加した、NGF−含有培地中で10日間培養したDRGのアウトグロース。アポトーシスを受けている細胞を、活性化カスパーゼ−3に対する抗体で染色することによって視覚化した。(E)200ng/ml IL−6R/IL−6をビンクリスチンとともに加えた同様の培養物。アポトーシスは観察されない。(D’、E’)光位相差下、D、Eと同じ領域。パネルD〜E’は同倍率;サイズバー:100μm。 ビンクリスチン中毒の後の再生の刺激を示す。(A)NGF−含有培地における16日後のDRG培養物での、βIII−チューブリンに関して染色した増大軸索ネットワーク。(B)5日目〜16日目まで200ng/ml IL−6R/IL−6を追加した同様の培養物。(C)5日目〜16日目まで5mMビンクリスチンで処理したAと同様の培養物。薬物の除去後、培養をさらに6日間続けた。(D)5日目〜10日目まで5mMビンクリスチンで処理し、ついで、薬物の除去後さらに6日間IL−6R/IL−6で処理したAと同様の培養物。(E)5日目〜10日目までビンクリスチンで処理し、薬物なしで6日間さらに培養したCと同様のDRG培養物。(F)5日目〜10日目までビンクリスチンで処理し、IL−6R/IL−6で6日間さらに培養した、Dと同様の培養物。GFAP陽性細胞の再増殖に注目。パネルA〜DおよびE〜Fは、それぞれ同倍率;サイズバー:100μm。

Claims (21)

  1. 化学療法誘発末梢性ニューロパシー(CIPN)の予防および/または治療のための医薬の製造における、IL−6R/IL−6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩の使用。
  2. 末梢性ニューロパシーが、シスプラチン、ジカルバジン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、ダカルバジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、メルカプトプリン、ミトタン、ストレプトゾシン、タキソール、またはこれらの2つ以上の薬剤の混合物から選択される化学療法薬剤によって引き起こされる請求項1記載の使用。
  3. 前記薬剤がビンクリスチンである請求項2記載の使用。
  4. 前記IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩が、1つ以上の部位でグルコシル化されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記IL6R/IL6キメラ、そのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩がグルコシル化されていない請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記機能性誘導体が、1つ以上の官能基に連結した、少なくとも1つの部分を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
  7. 前記部分が、ポリエチレン部分である請求項6記載の使用。
  8. 前記医薬が、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体または円順列誘導体を発現する細胞を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記医薬が、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体または円順列誘導体のコード配列を含む発現ベクターを含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
  10. 前記ベクターが、レンチウイルスベクターである請求項9記載の使用。
  11. CIPNの治療および/または予防方法であって、それを必要としている患者に、任意には薬学的に許容され得る担体と一緒に、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩を投与することを含む方法。
  12. 前記必要としている患者が高リスク患者である請求項11記載の方法。
  13. 前記高リスク患者が、糖尿病、AIDS、遺伝的ニューロパシーを患っている患者、および神経毒性薬物での早期治療を受けた患者から選択される請求項12記載の方法。
  14. 前記投与が、肝臓内、皮内、足底内、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所および鼻腔内経路から選択される請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 患者における化学療法薬剤の用量を増加させる方法であって、それを必要としている患者に、任意には薬学的に許容され得る担体と一緒に、IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質、機能性誘導体、円順列誘導体または塩を投与することを含む方法。
  16. 前記IL6R/IL6キメラが、化学療法薬剤の前、あいだおよび/または後のいずれかで投与される請求項15記載の方法。
  17. IL6R/IL6キメラ、またはそのムテイン、アイソフォーム、融合タンパク質または機能性誘導体と、1つの化学療法薬剤またはその2つ以上の薬剤の混合物との組み合わせを含む医薬組成物。
  18. 前記化学療法薬剤が、シスプラチン、ジカルバジン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、ダカルバジン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、メルカプトプリン、ミトタン、ストレプトゾシン、タキソール、またはこれらの2つ以上の薬剤の混合物から選択される請求項17記載の医薬組成物。
  19. 前記化学療法薬剤がビンクリスチンを含む請求項18記載の医薬組成物。
  20. さらに、抗酸化剤、PKC阻害剤および神経保護剤から選択される追加薬物を含む請求項17〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  21. 前記追加薬物が、グルタミン酸、ピリドキシン、ガンマ−リノール酸、ビタミンB1、ビタミンB2、イソアキソニン、ガングリオシドおよびNGFから選択される請求項20記載の医薬組成物。
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