JP2007534339A - 免疫グロブリンeに特異的な核酸リガンドおよびアトピー性疾患治療としてのその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アトピー性疾患および/またはIgEが関係している他の疾患もしくは障害の治療剤として、およびそれの診断剤として有用である、免疫グロブリンE(「IgE」)に結合可能であるアプタマーを開示する。本発明はさらに、IgEに結合可能であるアプタマーの投与のための材料および方法に関する。IgEが病因に関与する疾患を治療するためにIgEの生物学的機能を破壊するための材料および方法を有することは有益であり、本発明は、これらおよび他の必要性に合致する材料および方法を提供する。
Description
(発明の分野)
本発明は、一般的に、アトピー性疾患および/またはIgEが関係している他の疾患もしくは障害の治療剤として、およびそれの診断剤として有用である、免疫グロブリンE(「IgE」)に結合可能である核酸、そしてより具体的にはアプタマーの分野に関する。本発明はさらに、IgEに結合可能であるアプタマーの投与のための材料および方法に関する。
本発明は、一般的に、アトピー性疾患および/またはIgEが関係している他の疾患もしくは障害の治療剤として、およびそれの診断剤として有用である、免疫グロブリンE(「IgE」)に結合可能である核酸、そしてより具体的にはアプタマーの分野に関する。本発明はさらに、IgEに結合可能であるアプタマーの投与のための材料および方法に関する。
(発明の背景)
アプタマーは、古典的なワトソン−クリック塩基対形成以外の相互作用を通した分子に対する特異的結合親和性を有する核酸分子である。
アプタマーは、古典的なワトソン−クリック塩基対形成以外の相互作用を通した分子に対する特異的結合親和性を有する核酸分子である。
アプタマーは、ファージディスプレイまたはモノクローナル抗体(「mAb」)によって生成されるペプチドと同様に、選択された標的の特異的結合および標的の活性を調節することが可能であり、例えば、結合することを通して、アプタマーは、標的が機能する能力をブロックし得る。ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからのインビトロ選択プロセスによって作製されるので、増殖因子、転写因子、酵素、免疫グロブリン、およびレセプターを含む100個を超えるタンパク質についてのアプタマーが生成されてきた。代表的なアプタマーは、10〜15kDaのサイズ(30〜45ヌクレオチド)であり、ナノモル濃度以下の親和性でその標的を結合し、そして密接に関連する標的に対して区別する(例えば、アプタマーは、代表的には、同じ遺伝子ファミリー由来の他のタンパク質を結合しない)。一連の構造研究は、アプタマーが、抗体−抗原複合体において親和性および特異性を駆動するものと同じ型の結合相互作用(例えば、水素結合、静電的相補性、疎水的接触、立体的排除)を使用することが可能であることを示してきた。
アプタマーは、高い特異性および親和性、生物学的効力、ならびに優れた薬物動態学的特性を含む、治療剤および診断剤としての使用のために所望される多数の特性を有する。加えて、アプタマーは、抗体および他のタンパク質生物製剤を超えた特定の競合的な利点、例えば、以下を含む:
1)速度および制御。アプタマーは、完全なインビトロプロセスによって産生され、これは、治療剤リード化合物を含む初期のリード化合物の迅速な生成を可能にする。インビトロ選択は、アプタマーの特異性および親和性がしっかりと制御されることを可能にし、毒性の標的と非免疫学的標的の両方に対するリード化合物を含むリード化合物の生成を可能にする。
1)速度および制御。アプタマーは、完全なインビトロプロセスによって産生され、これは、治療剤リード化合物を含む初期のリード化合物の迅速な生成を可能にする。インビトロ選択は、アプタマーの特異性および親和性がしっかりと制御されることを可能にし、毒性の標的と非免疫学的標的の両方に対するリード化合物を含むリード化合物の生成を可能にする。
2)毒性および免疫原性。クラスとしてのアプタマーは、毒性または免疫原性であることがほとんど実証されていないか、または全く実証されていない。高レベルのアプタマー(90日間毎日、10mg/kg)を用いるラットまたはマーモット属の長期的投薬において、毒性は、いかなる臨床的測定、細胞測定、または生化学的測定によっても観察されていない。多くのモノクローナル抗体の効力は、抗体それ自体に対する免疫応答によって厳しく制限され得るのに対して、アプタマーに対する抗体を誘発することは極度に困難である。最も考えられる原因としては、アプタマーはMHCを介してT細胞によって提示されることができず、免疫応答は、一般的に、核酸フラグメントを認識しないように向けられているからである。
3)投与。大部分の現在認可されている抗体治療剤は静脈内注入によって投与されるが(代表的には2〜4時間にわたって)、アプタマーは、皮下注射によって投与され得(皮下投与を介するアプタマーの生物学的利用能は、サルの研究において>80%である(非特許文献1)。この違いは、主として比較的低い溶解度に起因し、従って、大きな体積が大部分の治療用mAbのために必要である。良好な溶解度(>150mg/mL)および比較的低い分子量(アプタマー:10〜50kDa;抗体:150kDa)で、週1回の用量のアプタマーが、0.5mL未満の体積での注射によって送達され得る。加えて、小さなサイズのアプタマーは、抗体または抗体フラグメントが透過することが許容されないコンホメーション的な収縮の領域にそれらが透過することを可能にし、アプタマーに基づく治療剤または予防剤におけるなお別の利点を提示する。
4)拡大縮小性(scalability)およびコスト。治療用アプタマーは化学合成され、そして結果として、製造の需要に合致するために必要とされるように容易に拡大縮小され得る。製造を拡大縮小する際の困難さは、いくつかの生物製剤の利用可能性を現在制限しており、大スケールタンパク質産生プラントの資本コストが莫大であるのに対して、単一の大スケールオリゴヌクレオチド合成装置は、100kg/年より多くを産生し得、比較的控えめな初期投資を必要とする。キログラムスケールのアプタマー合成のための物品の現在のコストは500ドル/gと見積もられており、高く最適化された抗体のそれと比較可能である。プロセス開発において継続している改善は、5年間以内に<100ドル/gまで物品のコストを低下させると予測されている。
5)安定性。治療用アプタマーは化学的に強固である。これらは、熱および変性剤などの因子への曝露後に活性を回復するように内因的に適合されており、凍結乾燥粉末として室温で長時間(>1年間)保存可能である。
(IgEおよびアトピー性疾患)
アトピーはアレルゲン特異的IgEを産生する遺伝的素因であり、喘息および他のアレルギー性疾患の発症のための最も重要な素因の1つである。アレルギー性鼻炎(花粉症)、喘息、およびアトピー性皮膚炎のようなアトピー性疾患は、米国の人口の間で流行しており、上昇中である。アレルギー性疾患の徴候には、血管拡張、平滑筋収縮、局所的炎症および血管透過性が含まれる。一般的な環境アレルゲンに応答したIgEの産生の増加は、アトピー性疾患の顕著な特徴である。一般的なアレルゲンには、ホコリ中のダニの排出物、花粉、食品、動物の鱗屑および真菌胞子が含まれる。マスト細胞は、ヒスタミン、ロイコトリエン、およびプロスタグランジンのような種々の化学伝達物質のIgE媒介性の放出を通して、アレルギー性疾患の中間相反応において中心的な役割を果たすことが知られている。Tリンパ球、好塩基球および好酸球は、後期相応答を誘導する際の原因であると考えられている。抗原とのアレルギー特異的IgEの接触の際にマスト細胞および好塩基球の刺激によって引き起こされる即時型過敏性は、強力な哺乳動物免疫エフェクター系である。これらのIgE媒介性反応は、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、じん麻疹、食物アレルギー、喘息、および最も深刻な症例において、死をもたらし得るアナフィラキシーショックなどの疾患を引き起こし得る。
アトピーはアレルゲン特異的IgEを産生する遺伝的素因であり、喘息および他のアレルギー性疾患の発症のための最も重要な素因の1つである。アレルギー性鼻炎(花粉症)、喘息、およびアトピー性皮膚炎のようなアトピー性疾患は、米国の人口の間で流行しており、上昇中である。アレルギー性疾患の徴候には、血管拡張、平滑筋収縮、局所的炎症および血管透過性が含まれる。一般的な環境アレルゲンに応答したIgEの産生の増加は、アトピー性疾患の顕著な特徴である。一般的なアレルゲンには、ホコリ中のダニの排出物、花粉、食品、動物の鱗屑および真菌胞子が含まれる。マスト細胞は、ヒスタミン、ロイコトリエン、およびプロスタグランジンのような種々の化学伝達物質のIgE媒介性の放出を通して、アレルギー性疾患の中間相反応において中心的な役割を果たすことが知られている。Tリンパ球、好塩基球および好酸球は、後期相応答を誘導する際の原因であると考えられている。抗原とのアレルギー特異的IgEの接触の際にマスト細胞および好塩基球の刺激によって引き起こされる即時型過敏性は、強力な哺乳動物免疫エフェクター系である。これらのIgE媒介性反応は、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、じん麻疹、食物アレルギー、喘息、および最も深刻な症例において、死をもたらし得るアナフィラキシーショックなどの疾患を引き起こし得る。
いかなる理論によっても束縛されることを意図しないが、IgEがそれによってアレルギー性応答を媒介するメカニズムが決定されてきた。手短に述べると、IgEは、マスト細胞および好塩基球上の高親和性IgEレセプターのアルファ鎖、FcεRIに結合する。これらの細胞型上のFcεRIは、1つのα鎖、1つのβ鎖およびホモダイマー性γ鎖からなるテトラマー性である。β鎖およびγ鎖は、FcεRIのシグナル伝達ドメインである。マスト細胞に結合したIgEのアレルゲン架橋は、FcεRIの刺激、ならびにヒスタミン、ロイコトリエンおよび種々の他のサイトカインなどの気管支収縮物質および血管作用性物質(図1を参照のこと)を含む、一連の範囲の炎症誘発性メディエーターおよびサイトカインの放出をもたらす多数のシグナル伝達経路の活性化を生じる。IgEおよびFcεRIおよびマスト細胞の役割はアナフィラキシーの動物モデルにおいて確認されてきた:IgEプラス特異的抗原の全身性送達(または抗IgE単独での処置)は、正常なマウスにおいてアナフィラキシー反応を引き起こすが、マスト細胞欠損またはFcεRI−欠損マウスにおいては即時型の全身性応答を誘発しない。
現在、アレルゲン誘導性生理学の根底にある免疫学的メカニズムと干渉する、臨床的評価の下にある治療用アプローチ、例えば、IgE血清抗体を直接的に標的とし、従って、即時型超過敏反応の中心的なメカニズムを阻害する抗IgE免疫グロブリンが存在している。加えて、アレルギー性疾患を治療するその潜在能力に起因して、アレルゲン特異的免疫治療を開発することの関心が存在してきた。しかし、抗IgE免疫グロブリンとアレルゲン特異的免疫治療の両方が、永続的または毎期の治療のための高いコストおよび必要性によって制限されている。
新規なクラスの治療剤としてのアプタマーの以前に記載された利点に加えて、アプタマーが核酸であるために、これらは、アトピー性疾患および他の免疫疾患のための治療剤において望ましくかつ有益である免疫刺激効果を有するモチーフを取り込み得る。これらのモチーフには、II型Tヘルパー(TH2)細胞によって媒介されるアレルギー性応答の抑制のような免疫調節効果を有するCpGモチーフが含まれる。CpGは、精製されたB細胞におけるT−bet mRNAの発現を迅速に誘導することが示されてきた(非特許文献2)。
従って、IgEが病因に関与する疾患を治療するためにIgEの生物学的機能を破壊するための材料および方法を有することが有益である。本発明は、これらおよび他の必要性に合致する材料および方法を提供する。
Tuckerら,「J.Chromatography B.」1999年,第732巻:203−212 Liuら,「Nature Immun.」2003年,Vol.4,no.7,p.687−693
Tuckerら,「J.Chromatography B.」1999年,第732巻:203−212 Liuら,「Nature Immun.」2003年,Vol.4,no.7,p.687−693
(発明の要旨)
本発明は、アトピー性疾患の治療、予防および/または寛解のための材料および方法を提供する。1つの実施形態において、PEG部分に結合体化された以下の配列:
本発明は、アトピー性疾患の治療、予防および/または寛解のための材料および方法を提供する。1つの実施形態において、PEG部分に結合体化された以下の配列:
を含むアプタマーが提供される。ある実施形態において、上記PEG部分は、60kDa、40kDa、30kDaおよび20kDaからなる群より選択される。ある実施形態において、上記PEG部分は分枝状であるが、他の実施形態においては、これは直鎖状である。
特定の実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、非アルキルリンカーを含む。ある実施形態において、本発明のアプタマーはアルキルリンカーを含む。ある実施形態において、上記アルキルリンカーは2〜18個の連続するCH2基、特に2〜12個の連続するCH2基、およびより好ましくは3〜6個の連続するCH2基を含む。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、以下に示される構造:
ここで、それぞれ、mC、mG、mUおよびmA=2’−OMe C、2’−OMe G、2’−OMe U、および2’−OMe A、dG=デオキシG、dI=デオキシイノシン、s=ホスホロチオエートバックボーン置換、および3T=3’逆位デオキシチミジンである。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、IgEまたはその改変体の機能を調節、特に阻害する。ある実施形態において、アプタマーは、インビトロでIgEまたはその改変体の機能を阻害する。ある実施形態において、アプタマーは、インビボでIgEまたはその改変体の機能を阻害する。ある実施形態において、本発明のアプタマーは、そのレセプターへのIgEの結合を妨害する。ある実施形態において、本発明のアプタマーまたはその塩を、脊椎動物(好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒト)に投与する工程を包含する、IgEによって媒介される疾患を治療、予防および/または寛解する方法が提供される。
ある実施形態において、本発明は、上記のアプタマーまたはその塩のいずれかの治療有効量を含む治療組成物を提供する。ある実施形態において、上記治療組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤をさらに含む。
1つの実施形態において、本発明のアプタマーを投与する工程、特に治療組成物を脊椎動物(好ましくは哺乳動物、特にヒト)に投与する工程を包含する、IgEによって媒介される疾患を治療する方法が提供される。ある実施形態において、治療される疾患はアトピー性疾患である。特定の実施形態において、上記治療される疾患は、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息、急性じん麻疹、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、全身性アナフィラキシー、アレルギー性結膜炎、春季カタル、萎縮性角結膜炎、巨大乳頭性結膜炎、および好酸球性胃腸炎からなる群より選択される。特定の実施形態において、上記治療される疾患は喘息である。
ある実施形態において、本発明の抗IgEアプタマーは、CpGモチーフを含む第2のアプタマーなどの免疫刺激性核酸配列とともに、被験体(例えば、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)に投与される。
ある実施形態において、上記アプタマーは、皮下投与、静脈内投与および鼻内投与からなる群より選択される経路を介して被験体に投与される。特定の実施形態において、上記治療組成物は、アトピー性疾患を有するか、そのリスクがあるヒト被験体に皮下投与される。
ある実施形態において、IgEまたはその改変体を含むことが疑われる組成物と、PEG結合体化された本発明のアプタマーを接触させる工程、およびIgEまたはその改変体の存在または非存在を検出する工程を包含する診断方法が提供される。ある実施形態において、インビトロ診断剤としての使用のための本発明のアプタマーが提供される。さらに他の実施形態において、インビボ診断剤としての使用のための本発明のアプタマーが提供される。ある実施形態において、インビボでの疾患の治療、予防および/または寛解における使用のための本発明のアプタマーが提供される。
ある実施形態において、IgEに特異的に結合するアプタマーは、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、および98〜102からなる群より選択されるいずれか1つの配列に対して少なくとも80%同一、特に少なくとも90%同一である核酸配列を含む。
ある実施形態において、IgEに特異的に結合するアプタマーは、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、および56〜89からなる群より選択されるいずれか1つの配列の独特な配列領域に対して少なくとも80%同一、特に少なくとも90%同一である核酸配列を含む。
ある実施形態において、IgEに結合可能であるアプタマーは、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50および56〜96の群より選択されるいずれか1つのアプタマー酸配列における30個の連続するヌクレオチドの配列に対して同一である30個の連続するヌクレオチドの配列を含む。特定の実施形態において、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102の群より選択されるいずれか1つのアプタマー配列の独特な配列領域における20個の連続するヌクレオチドの配列に対して同一である20個の連続するヌクレオチドを含むアプタマーが提供される。さらにより特定の実施形態において、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102からなる群より選択されるいずれか1つのアプタマー配列の独特な配列領域における8個の連続するヌクレオチドの配列に対して同一である8個の連続するヌクレオチドを含むアプタマーが提供される。好ましくは、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102からなる群より選択されるアプタマー配列の独特な配列に対して同一である8個の連続するヌクレオチドを含むアプタマーは、IgE、好ましくはヒトIgEに特異的に結合し、ある実施形態においては、IgE、好ましくはヒトIgEの機能を調節する。ある実施形態において、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102、119〜124、126〜136、139〜157、158〜176、178〜190、194〜201、206〜243、247、249〜259、261〜267、269〜290および292からなる群より選択されるアプタマーが提供される。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、一本鎖核酸である。ある実施形態において、本発明のアプタマーは、高分子量の、非免疫原性化合物または親油性化合物に結合体化されている。ある実施形態において、本発明のアプタマーは、ポリアルキレングリコール部分、特にポリエチレングリコール部分に結合体化されている。ある実施形態において、上記ポリエチレングリコール部分は分枝状であるが、他の実施形態においてはこれは直鎖状である。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、糖の位置における化学置換;リン酸の位置における化学置換;核酸の塩基の位置における化学置換;逆位ヌクレオチドを伴う3’キャッピング;および逆位ヌクレオチドを伴う5’キャッピングからなる群より選択される化学修飾を含む。ある実施形態において、本発明のアプタマーは、CpGモチーフのような免疫刺激性核酸配列をさらに含む。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、IgEまたはその改変体の機能を調節、特に阻害する。ある実施形態において、上記アプタマーは、インビトロでIgEまたはその改変体の機能を阻害する。ある実施形態において、上記アプタマーは、インビボでIgEまたはその改変体の機能を阻害する。ある実施形態において、本発明のアプタマーは、IgEのそのレセプターへの結合を妨害する。ある実施形態において、本発明のアプタマーまたはその塩を、脊椎動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)に投与する工程を包含する、IgEによって媒介される疾患を治療、予防、および/または寛解する方法が提供される。
ある実施形態において、本発明のアプタマーまたはその塩、および薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤の治療有効量を含む治療組成物が提供される。ある実施形態において、本発明のアプタマー、好ましくは本発明の治療組成物を、脊椎動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)に投与する工程を包含する、IgEによって媒介される疾患を治療、予防、および/または寛解する方法が提供される。
本発明のある実施形態において、上記治療される疾患は、アトピー性疾患、特に、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息、急性じん麻疹、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、全身性アナフィラキシー、アレルギー性結膜炎、春季カタル、萎縮性角結膜炎、巨大乳頭性結膜炎、および好酸球性胃腸炎からなる群より選択される疾患である。
ある実施形態において、本発明の抗IgEアプタマーは、CpGモチーフを含む第2のアプタマーなどの免疫刺激性核酸配列とともに、被験体(例えば、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)に投与される。ある実施形態において、上記免疫刺激性核酸配列は、本発明の抗IgEアプタマーに取り込まれるか、または付加される。
ある実施形態において、本発明のアプタマーは、皮下投与、静脈内投与および鼻内投与からなる群より選択される経路によって被験体に投与される。
ある実施形態において、IgEまたはその改変体を含むことが疑われる組成物と、本発明のアプタマーを接触させる工程、およびIgEまたはその改変体の存在または非存在を検出する工程を包含する診断方法が提供される。ある実施形態において、インビトロ診断剤としての使用のための本発明のアプタマーが提供される。さらに他の実施形態において、インビボ診断剤としての使用のための本発明のアプタマーが提供される。ある実施形態において、インビボでの疾患の治療、予防および/または寛解における使用のための本発明のアプタマーが提供される。
本発明の別の態様において、標的へのアプタマーの結合親和性を増加させるための方法が提供され、ここで、アプタマーは、マルチマー凝集物を形成可能である。1つの実施形態において、上記方法は、凝集物の形成を妨害するように選択されたヌクレオチドで、凝集物を形成するアプタマー中のヌクレオチドを置換する工程を包含し、それによって、得られる置換されたアプタマーのその標的に対する結合親和性が親のアプタマーと比較して増加し、この親のアプタマーは、同じ核酸配列を有するが、ヌクレオチド置換を欠いている。ある実施形態において、凝集物形成を妨害するように選択されたヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。ある実施形態において、上記修飾ヌクレオチドはイノシンである。
本発明の別の態様において、標的に対するアプタマーの結合親和性を増加させるための方法が提供され、上記方法は、同じ標的に対する親のアプタマーの結合親和性と比較して、イノシン置換されたアプタマーの結合親和性を増加させる位置において少なくとも1つのヌクレオチドの代わりにイノシンで置換し、親のアプタマーは、同じヌクレオチド配列を有するがイノシン修飾を欠く、工程を包含する。提供される方法の1つの実施形態において、置換工程は、それぞれ4つ、3つまたは2つのヌクレオチドの代わりに、わずか4つ、3つまたは2つのイノシンで置換する工程を包含し、ここで、得られるアプタマーは、親のアプタマーの結合親和性と比較して、標的に対する結合親和性の増加を含む。ある実施形態において、イノシン置換ヌクレオチドはプリンである。特定の実施形態において、イノシン置換プリンはグアノシンである。別の実施形態において、本発明の方法は、糖の位置における化学置換;リン酸の位置における化学置換および核酸の塩基の位置における化学置換からなる群より選択される第2の化学修飾を含む。特定の実施形態において、さらに置換されたアプタマーは、第2の化学置換を欠く以外はさらに置換されたアプタマーと同一であるアプタマーと比較して、標的に対する結合親和性の増加を含む。
ある実施形態において、置換工程は、所望の置換を有するアプタマーを化学合成する工程を包含する。
ある実施形態において、イノシン置換されたアプタマーの標的に対する結合親和性は、親のアプタマーと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも75倍、少なくとも85倍、少なくとも95倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍増加する。ある実施形態において、置換工程は、アプタマーを化学合成する工程を包含する。
本発明の1つの態様において、本発明の置換方法によって得られるその標的についての結合親和性の増加を有するアプタマーが提供される。特定の実施形態において、上記アプタマーは、IgE、特にヒトIgEについての結合親和性の増加を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の付随する説明に示される。本明細書に記載されるものに対して類似のまたは等価な任意の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料がここで説明される。本発明の他の特徴、対象物、および利点もまた、この説明から明らかである。本明細書において、単数形は、文脈が明確に他を指示していない限り、複数形を含む。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、本明細書が優先する。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の付随する説明に示される。本明細書に記載されるものに対して類似のまたは等価な任意の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料がここで説明される。本発明の他の特徴、対象物、および利点もまた、この説明から明らかである。本明細書において、単数形は、文脈が明確に他を指示していない限り、複数形を含む。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、本明細書が優先する。
(SELEX(商標)法)
アプタマーを生成するための適切な方法は、図2におけるリボ核酸選択のために一般的に示される「Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment」(「SELEX(商標)」)という表題のプロセスを用いてである(デオキシリボ核酸プールを使用する選択については、図2において記載される逆転写および転写の工程が省略される)。SELEX(商標)プロセスは、標的分子への高度に特異的な結合を有する核酸分子のインビトロ進化のための方法であり、例えば、1990年6月11日に出願され、現在は放棄されている米国特許出願番号第07/536,428号、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号、および「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,270,163号(WO 91/19813号もまた参照のこと)に記載されている。各々のSELEX(商標)で同定された核酸リガンド、すなわち、それぞれのアプタマーは、所定の標的化合物または分子の特異的リガンドである。SELEX(商標)プロセスは、核酸が、種々の二次元構造および三次元構造を形成する十分な能力を有し、ならびにモノマー性であるかまたはポリマー性であるかに関わらず、実質的に任意の化学化合物とのリガンドとして作用する(すなわち、特異的結合対を形成する)ためにそれらのモノマー内に利用可能である十分な化学的多用途性を有するという独特な洞察に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が標的として働き得る。
アプタマーを生成するための適切な方法は、図2におけるリボ核酸選択のために一般的に示される「Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment」(「SELEX(商標)」)という表題のプロセスを用いてである(デオキシリボ核酸プールを使用する選択については、図2において記載される逆転写および転写の工程が省略される)。SELEX(商標)プロセスは、標的分子への高度に特異的な結合を有する核酸分子のインビトロ進化のための方法であり、例えば、1990年6月11日に出願され、現在は放棄されている米国特許出願番号第07/536,428号、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号、および「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,270,163号(WO 91/19813号もまた参照のこと)に記載されている。各々のSELEX(商標)で同定された核酸リガンド、すなわち、それぞれのアプタマーは、所定の標的化合物または分子の特異的リガンドである。SELEX(商標)プロセスは、核酸が、種々の二次元構造および三次元構造を形成する十分な能力を有し、ならびにモノマー性であるかまたはポリマー性であるかに関わらず、実質的に任意の化学化合物とのリガンドとして作用する(すなわち、特異的結合対を形成する)ためにそれらのモノマー内に利用可能である十分な化学的多用途性を有するという独特な洞察に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が標的として働き得る。
SELEX(商標)は、ランダム化配列を含む一本鎖オリゴヌクレオチドの大きなライブラリーまたはプールに、出発点として依存する。このオリゴヌクレオチドは、修飾されたか、または修飾されていないDNA、RNA、またはDNA/RNAハイブリッドであり得る。ある例において、このプールは、100%ランダムであるか、または部分的にランダムであるオリゴヌクレオチドを含む。他の例において、このプールは、ランダム化配列中に取り込まれた少なくとも1つの固定配列および/または保存配列を含む、ランダムまたは部分ランダムオリゴヌクレオチドを含む。他の例において、このプールは、オリゴヌクレオチドプールのすべての分子によって共有される配列を含み得る、その5’および/または3’末端において少なくとも1つの固定配列および/または保存配列を含む、ランダムまたは部分ランダムオリゴヌクレオチドを含む。固定配列は、あらかじめ選択された目的のために取り込まれた、プール中のオリゴヌクレオチドに一般的である配列、例えば、以下にさらに説明されるCpGモチーフ、PCRプライマーのためのハイブリダイゼーション部位、RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列(例えば、T3、T4、T7およびSP6)、制限部位、またはホモポリマー性配列、例えば、ポリAもしくはポリTトラクト、触媒コア、アフィニティーカラムへの選択的結合のための部位、ならびに目的のオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/もしくは配列決定を容易にするための他の配列である。保存配列は、同じ標的に結合する多数のアプタマーによって共有される、以前に記載された固定配列以外の配列である。
プールのオリゴヌクレオチドは、好ましくは、効率的な増幅のために必要である固定配列と同様に、ランダム化配列部分を含む。代表的には、開始プールのオリゴヌクレオチドは、30〜50個のランダムヌクレオチドの内部流域に隣接する固定された5’および3’末端配列を含む。このランダムヌクレオチドは、化学合成およびランダムに切断された細胞核酸からのサイズ選択を含む多数の方法で産生され得る。試験核酸における配列のバリエーションもまた、選択/増幅反復の前またはその間に、変異誘発によって導入または増加され得る。
オリゴヌクレオチドのランダム配列部分は任意の長さであり得、ならびにリボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含み得、ならびに修飾されたヌクレオチドまたは非天然のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含み得る。例えば、米国特許第5,958,691号;同第5,660,985号;同第5,958,691号;同第5,698,687号;同第5,817,635号;同第5,672,695号およびPCT公開WO 92/07065号を参照のこと。ランダムオリゴヌクレオチドは、当該分野において周知である固相オリゴヌクレオチド合成技術を使用して、ホスホジエステル結合ヌクレオチドから合成され得る。例えば、Froehler et al.,Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986)およびFroehler et al.,Tet.Lett.27:5575−5578(1986)を参照のこと。ランダムオリゴヌクレオチドはまた、トリエステル合成法のような液相法を使用して合成され得る。例えば、Sood et al.,Nucl.Acid Res.4:2557(1977)およびHirose et al.,Tet.Lett.,28:2449(1978)を参照のこと。自動DNA合成装置上で実行される代表的な合成は、1014〜1016の個々の分子を生じ、これは、大部分のSELEX(商標)実験のために十分な数である。配列設計におけるランダム配列の十分に大きな領域は、各合成された分子が独特な配列を表しそうな可能性を増加する。
オリゴヌクレオチドの開始ライブラリーは、DNA合成装置上での自動化学合成によって生成され得る。ランダム配列を合成するために、4種すべてのヌクレオチドの混合物が、合成プロセスの間の各ヌクレオチド付加工程で加えられ、ヌクレオチドのランダムな取り込みを可能にする。上記に言及したように、1つの実施形態においてランダムオリゴヌクレオチドは、完全にランダムな配列を含むが、しかし、他の実施形態においては、ランダムオリゴヌクレオチドは、ランダムでないか、または部分的にランダムである配列のストレッチを含み得る。部分的にランダムである配列は、各付加工程において、異なるモル比の4種のヌクレオチドを加えることによって作製され得る。
オリゴヌクレオチドの開始ライブラリーは、例えば、RNA、DNAまたはRNA/DNAハイブリッドであり得る。RNAライブラリーが開始ライブラリーとして使用される例において、これは、代表的には、T7 RNAポリメラーゼまたは修飾T7 RNAポリメラーゼを使用してインビトロでDNAライブラリーを転写することによって生成され、そして精製される。次いで、RNAまたはDNAライブラリーは、結合のために好ましい条件下で標的と混合され、同じ一般的選択スキームを使用して、結合、分配および増幅の段階的反復に供せられ、結合親和性および選択性の実質的に任意の所望の判断基準を達成する。より詳細には、核酸の開始プールを含む混合物を用いて開始して、SELEX(商標)法は、以下の工程を含む:(a)結合のために好ましい条件下で混合物を標的と接触させる工程;(b)標的分子に特異的に結合した核酸から未結合の核酸を分配する工程;(c)核酸−標的複合体を解離させる工程;(d)核酸−標的複合体から解離した核酸を増幅して、核酸のリガンド富化混合物を生じる工程;ならびに(e)所望される回数のサイクルを通しての結合、分配、解離および増幅の工程を再反復して、標的分子に対して高度に特異的な、高度に親和性の核酸リガンドを生じる工程。RNAアプタマーが選択される場合において、SELEX(商標)法は以下の工程をさらに含む:(i)工程(d)における増幅の前に核酸−標的複合体から解離した核酸を逆転写する工程;ならびに(ii)プロセスを再開する前に工程(d)からの増幅した核酸を転写する工程。
多数の可能な配列および構造を含む核酸混合物の中で、所定の標的についての広範な結合親和性が存在する。例えば、20個のヌクレオチドランダム化セグメントを含む核酸混合物は、420の候補の可能性を有し得る。標的についてより高い親和性定数を有するものは、標的に対して最も結合する可能性が高い。分配、解離および増幅後、第2の核酸混合物が生成され、より高い結合親和性候補について富化される。得られる核酸混合物が1つまたは数個の配列から優先的に構成されるまで、さらなるラウンドの選択が、最良のリガンドを選択的に支持する。次いで、これらはクローニングされ、配列決定され、および純粋なリガンドまたはアプタマーとして結合親和性について個々に試験され得る。
選択および増幅のサイクルは、所望の目的が達成されるまで反復される。最も一般的な場合において、選択/増幅は、結合強度の有意な改善がサイクルの反復において達成されるまで継続される。この方法は、代表的には、およそ1014の異なる核酸種をサンプリングするために使用されるが、約1018の異なる核酸種と同じ多さをサンプリングするために使用されてもよい。一般的に、核酸アプタマー分子は、5〜20サイクル手順において選択される。1つの実施形態において、異質性が、初期の選択段階においてのみ導入され、複製プロセス全体を通しては起こらない。
SELEX(商標)の1つの実施形態において、選択プロセスは、選択された標的に最も強力に結合する核酸リガンドを単離する際に効率的であるので、選択および増幅の1サイクルのみが必要である。このような効率的な選択は、例えば、クロマトグラフィー型のプロセスにおいて起こり得、ここで、カラム上に結合した標的に付随する核酸の能力は、カラムが最高の親和性の核酸リガンドの分離および単離を可能にするために十分であるような様式で作動する。
多くの場合において、単一の核酸リガンドが同定されるまで、SELEX(商標)の反復工程を実行することは必ずしも必要ではない。標的特異的核酸リガンド溶液は、多数の保存配列、および標的に対する核酸リガンドの親和性に有意な影響を与えることなく置換または付加され得る多数の配列を有する核酸構造またはモチーフのファミリーを含み得る。完了の前にSELEX(商標)プロセスを終了することによって、核酸リガンド溶液ファミリーの多数のメンバーの配列を決定することが可能である。
種々の核酸の一次構造、二次構造、および三次構造が存在することが公知である。非ワトソン−クリック型相互作用に関与することが最も一般的に示されてきた構造またはモチーフは、ヘアピンループ、対称および非対称バルジ(symmetric and bulge)、シュードノットならびにそれらの種々の組み合わせと呼ばれる。ほとんどすべての既知のこのようなモチーフの場合が、これらは30ヌクレオチドを超えない核酸配列中で形成され得ることを示唆する。この理由のために、連続するランダム化セグメント用いるSELEX(商標)手順が、約20から約50ヌクレオチド、およびある実施形態においては、約30ヌクレオチドから約40ヌクレオチドの間のランダム化セグメントを含む核酸配列を用いて開始されることがしばしば好ましい。1つの例において、5’固定:ランダム:3’固定配列は、約30〜約50ヌクレオチドのランダム配列を含む。
コアSELEX(商標)法は、多数の特異的対象物を達成するように改変されてきた。例えば、米国特許第5,707,796号は、ベント(bent)DNAのような特異的な構造の特徴を有する核酸分子を選択するために、ゲル電気泳動と併せたSELEX(商標)の使用を記載している。米国特許第5,763,177号は、標的分子を結合および/または光架橋および/または光不活性化することが可能である光反応性基を含む核酸リガンドを選択するための、SELEX(商標)に基づく方法を記載している。米国特許第5,567,588号および米国特許第5,861,254号は、標的分子についての高い親和性を有するオリゴヌクレオチドと低い親和性を有するオリゴヌクレオチドとの間の高い効率の分配を達成する、SELEX(商標)に基づく方法を記載している。米国特許第5,496,938号は、SELEX(商標)プロセスが実行された後で改善された核酸リガンドを入手するための方法を記載している。米国特許第5,705,337号は、リガンドをその標的に共有結合するための方法を記載している。
SELEX(商標)はまた、標的分子上の1つより多くの部位に結合する核酸リガンドを入手するため、および標的上の特異的部位に結合する非核酸種を含む核酸リガンドを入手するために使用され得る。SELEX(商標)は、核酸結合タンパク質およびそれらの生物学的機能の一部として核酸を結合することが知られていないタンパク質、ならびにコファクターおよび他の小分子のような大分子および小分子の生体分子を含む、任意の想定可能な標的に結合する核酸リガンドを単離および同定するための手段を提供する。例えば、米国特許第5,580,737号は、カフェインおよび密接に関連するアナログ、テオフィリンに対して高い親和性で結合することが可能である、SELEX(商標)を通して同定された核酸配列を開示する。
カウンターSELEX(商標)は、1つ以上の非標的分子に対して交差反応性を有する核酸リガンド配列を排除することによって、標的分子に対する核酸リガンドの特異性を改善するための方法である。カウンターSELEX(商標)は以下の工程から構成される:(a)核酸の候補混合物を調製する工程;(b)候補混合物を標的と接触させる工程、ここで、候補混合物と比較して標的に対して親和性の増加を有する核酸は、候補混合物の残りから分配されてもよい;(c)候補混合物の残りから親和性の増加した核酸を分配する工程;(d)親和性の増加した核酸を標的から解離させる工程;(e)非標的分子について特異的親和性を有する核酸リガンドが除去されるように、親和性の増加した核酸を1つ以上の非標的分子と接触させる工程;および(f)標的分子に対してのみ特異的親和性を有する核酸分子を増幅して、標的分子に対する結合のために比較的より高い親和性および特異性を有する核酸配列について富化された核酸の混合物を生じる工程。SELEX(商標)について上記に説明されるように、選択および増幅のサイクルは、所望の目的が達成されるまで必要に応じて反復される。
治療剤およびワクチンとしての核酸の使用において遭遇する1つの潜在的な問題は、それらのホスホジエステル型のオリゴヌクレオチドが、所望の効果が明らかになる前に、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなどの細胞内および細胞外酵素によって、体液中で迅速に分解される得ることである。従って、SELEX(商標)法は、改善されたインビボ安定性または改善された送達特性のような改善された特性をリガンドに付与する修飾ヌクレオチドを含む高親和性核酸リガンドの同定を包含する。このような修飾の例には、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基の位置における化学置換が含まれる。修飾ヌクレオチドを含むSELEX(商標)で同定された核酸リガンドは、例えば、リボースの2’位、ピリミジンの5位、およびプリンの8位において化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドを記載する米国特許第5,660,985号、種々の2’−修飾ピリミジンを含むオリゴヌクレオチドを記載する米国特許第5,756,703号、ならびに2’−アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’−OMe)置換基で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含む高度に特異的な核酸リガンドを記載する米国特許第5,580,737号に記載されている。
本発明において意図される核酸リガンドの修飾には、核酸リガンド塩基または全体としての核酸リガンドに、さらなる電荷、分極性、疎水性、水素結合、静電的相互作用、および流動性を組み込む他の化学基を提供するものが含まれるがこれらに限定されない。ヌクレアーゼに対して抵抗性であるオリゴヌクレオチド集団を生成するための修飾にはまた、1つ以上の置換ヌクレオチド間連結、糖の変化、塩基の変化、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。このような修飾には、2’位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモウラシルまたは5−ヨードウラシルの置換;バックボーン修飾、ホスホロチオエートまたはアルキルリン酸修飾、メチル化、およびイソ塩基、イソシチジンおよびイソグアノシンなどの通常でない塩基対の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。修飾にはまた、キャッピングなどの3’および5’の修飾が含まれ得る。
1つの実施形態において、P(O)O基がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、P(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COもしくはCH2(「ホルムアセタール」)または3’−アミン(−NH−CH2−CH2−)によって置換され、ここで、各RまたはR’が独立してHまたは置換されたかもしくは置換されていないアルキルであるオリゴヌクレオチドが提供される。連結基は、−O−、−N−、または−S−連結を通して隣接するヌクレオチドに結合され得る。オリゴヌクレオチドにおけるすべての連結が同一である必要はない。
さらなる実施形態において、上記オリゴヌクレオチドは、例えば、1つ以上のヒドロキシル基がハロゲン、脂肪族基で置き換えられるか、またはエーテルもしくはアミンとして官能基化されている修飾糖基を含む。1つの実施形態において、フラノース残基の2’位は、O−メチル基、O−アルキル基、O−アリル基、S−アルキル基、S−アリル基、またはハロ基のいずれかによって置換される。2’−修飾糖の合成の方法は、例えば、Sproat et al.,Nucl.Acid Res.19:733−738(1991);Cotten et al.,Nucl.Acid Res.19:2629−2635(1991);およびHobbs et al.,Biochemistry 12:5138−5145(1973)に記載されている。他の修飾は当業者に公知である。このような修飾は、SELEX(商標)前プロセス修飾またはSELEX(商標)後プロセス修飾(以前に同定された未修飾リガンドの修飾)であり得るか、またはSELEX(商標)プロセスへの組み込みによって作製され得る。
SELEX(商標)前プロセス修飾またはSELEX(商標)プロセスへの組み込みによって作製される修飾は、それらのSELEX(商標)標的についての特異性と、改善された安定性、例えば、インビボ安定性の両方を有する核酸リガンドを産生する。核酸リガンドに対して作製されるSELEX(商標)後プロセス修飾は、核酸リガンドの結合能力に有害な影響を与えることなく、改善された安定性、例えば、インビボ安定性を生じ得る。
SELEX(商標)法は、米国特許第5,637,459号および米国特許第5,683,867号に記載されるように、選択されたオリゴヌクレオチドを、他の選択されたオリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチド機能的単位と組み合わせる工程を包含する。SELEX(商標)法はさらに、例えば、米国特許第6,011,020号、米国特許第6,051,698号、およびPCT公開番号WO 98/18480号において記載されるように、選択された核酸リガンドを、診断剤または治療剤複合体中の親油性または非免疫原性高分子量化合物と組み合わせる工程を包含する。これらの特許および出願は、広範な形状のアレイおよび他の特性の、オリゴヌクレオチドの効率的な増幅および複製の特性、ならびに他の分子の所望の特性との組み合わせを教示している。
SELEX(商標)法を介して、小さな、柔軟性のあるペプチドに対する核酸リガンドの同定もまた、探索されている。小さなペプチドは柔軟性のある構造を有し、通常、溶液中では複数の配座異性体の平衡状態で存在し、従って、結合親和性は、柔軟性のあるペプチドを結合する際に失われたコンホメーションのエントロピーによって制限され得る。しかし、溶液中での小さなペプチドに対する核酸リガンドを同定することの実行可能性は、米国特許第5,648,214号において実証された。この特許において、11アミノ酸ペプチドであるサブスタンスPに対する高親和性RNA核酸リガンドが同定された。
本発明の標的に対して特異性および結合親和性を有するアプタマーは、代表的には、本明細書に記載されるようなSELEX(商標)プロセスによって選択される。次いで、SELEX(商標)プロセスの一部として、標的に結合することが選択される配列は、所望の結合親和性を有する最小配列を決定するために任意に最小化される。この選択された配列および/または最小化された配列は、結合親和性を増加させるために、または代替的には、配列中のどの位置が結合活性のために必須であるかを決定するために、配列のランダム変異誘発または部位特異的変異誘発を実行することによって任意に修飾される。加えて、選択は、インビボでの分解に対してアプタマー分子を安定化するために、修飾ヌクレオチドを取り込む配列を用いて実行され得る。
(2’修飾SELEX(商標))
治療剤としての使用のためにアプタマーが適切であるために、アプタマーは、好ましくは、安価に合成され、安全であり、かつインビボで安定である。野生型RNAおよびDNAアプタマーは、代表的には、ヌクレアーゼによる分解に対するそれらの感受性のためにインビボで安定ではない。ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性は、2’位において基の修飾を組み込むことの組み込みによって非常に増加され得る。
治療剤としての使用のためにアプタマーが適切であるために、アプタマーは、好ましくは、安価に合成され、安全であり、かつインビボで安定である。野生型RNAおよびDNAアプタマーは、代表的には、ヌクレアーゼによる分解に対するそれらの感受性のためにインビボで安定ではない。ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性は、2’位において基の修飾を組み込むことの組み込みによって非常に増加され得る。
フルオロ基およびアミノ基は、アプタマーがそこから引き続いて選択されるオリゴヌクレオチドプールに首尾よく組み込まれている。しかし、これらの修飾は、得られるアプタマーの合成のコストを非常に増大させ、ある場合においては、修飾ヌクレオチドが、修飾オリゴヌクレオチドの分解およびDNA合成のための基質としてのヌクレオチドの引き続く使用によって、宿主DNAによってリサイクルされ得る可能性のために、安全性の関心を持ち込み得る。
本発明で提供されるような、2’−O−メチル(「2’−OMe」)ヌクレオチドを含むアプタマーは、これらの多くの欠点を克服する。2’−OMeヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ抵抗性であり、合成することが高価ではない。2’−OMeヌクレオチドは生物学的系において遍在しており、天然のポリメラーゼは、生理学的条件下で2’−OMe NTPを基質として受容せず、従って、宿主DNAへの2’−OMeヌクレオチドのリサイクルに対する安全性の懸念は存在しない。2’−修飾アプタマーを生成するために使用されるSELEX(商標)法は、例えば、2002年12月3日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第60/430,761号、2003年7月15日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第60/487,474号、2003年11月4日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第60/517,039号、2003年12月3日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第10/729,581号、および「Method for in vitro Selection of 2’−O−methyl Substituted Nucleic Acids」という表題の2004年6月21日に出願された米国特許出願第10/873,856号において記載されており、これらはその全体が本明細書において参考として援用される。
本発明は、熱および物理的な分解と同様に酵素的および化学的な分解に対して未修飾オリゴヌクレオチドよりも安定であるオリゴヌクレオチドを作製するために、修飾ヌクレオチド(例えば、2’位に修飾を有するヌクレオチド)を含む、IgEに結合しかつその機能を調節するアプタマーを含む。文献中には2’−OMe含有アプタマーのいくつかの例が存在するが(例えば、Green et al.,Current Biology 2,683−695,1995を参照のこと)、これらは、C残基およびU残基が2’−フルオロ(2’−F)置換され、A残基およびG残基が2’−OHであった修飾転写物のライブラリーのインビトロ選択によって生成された。一旦機能的配列が同定されると、次いで各A残基およびG残基が2’−OMe置換に対する耐容性について試験され、2’−OMe残基として2’−OMe置換に耐容性であったすべてのA残基およびG残基を有するアプタマーが再合成された。この2段階様式において生成されたアプタマーのA残基およびG残基の大部分は、2’−OMe残基を有する置換に耐容性であるが、平均して、およそ20%がそうではない。結果として、この方法を使用して生成されたアプタマーは、2〜4個の2’−OH残基を含む傾向があり、安定性および合成のコストは、結果として損なわれる。アプタマーがそこから選択され、そしてSELEX(商標)(ならびに/またはそのバリエーションおよび改善、本明細書に記載されるものを含む)によって富化されるオリゴヌクレオチドプールにおいて使用される安定化されたオリゴヌクレオチドを生成する転写反応に、修飾したヌクレオチドを取り込むことによって、本発明の方法は、選択されたアプタマーオリゴヌクレオチドを安定化する必要性を除外する(例えば、修飾ヌクレオチドを用いてアプタマーオリゴヌクレオチドを再合成することによって)。
1つの実施形態において、本発明は、ATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、および2’−OMe修飾の組み合わせを含むアプタマーを提供する。別の実施形態において、本発明は、ATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2、および2’−メトキシエチル修飾の組み合わせを含むアプタマーを提供する。別の実施形態において、本発明は、ATP、GTP、CTP、TTP、およびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2、および2’−メトキシエチル修飾の56の組み合わせを含むアプタマーを提供する。
本発明の2’修飾アプタマーは、修飾ポリメラーゼ、例えば、野生型ポリメラーゼよりも高い、フラノース2’位においてかさ高い置換基を有する修飾ヌクレオチドの取り込みの割合を有する、修飾T7ポリメラーゼを使用して作製される。例えば、639位のチロシン残基がフェニルアラニンに変化した変異型T7ポリメラーゼ(Y639F)は、基質として2’デオキシ、2’アミノ−、および2’フルオロ−ヌクレオチド三リン酸(NTP)を容易に利用し、種々の適用のために広く使用されて修飾RNAを合成してきた。しかし、この変異型T7ポリメラーゼは、報告によれば、2’−OMeまたは2’−アジド(2’−N3)置換基などのかさ高い2’−置換基を有するNTPを容易には利用する(すなわち、取り込む)ことができない。かさ高い2’置換基の取り込みのために、Y639F変異に加えて、784位のヒスチジンがアラニン残基に変化したT7ポリメラーゼ変異型(Y639F/H784A)が記載されており、修飾ピリミジンNTPを取り込むための限られた状況で使用されてきた。Padilla,R.およびSousa,R.,Nucleic Acids Res.,2002,30(24):138を参照のこと。784位のヒスチジンがアラニン残基に変化した変異型T7ポリメラーゼ(H784A)もまた記載されている。Padilla et al.,Nucleic Acids Research,2002,30:138。Y639F/H784AとH784Aの両方の変異型T7ポリメラーゼにおいて、アラニンなどのより小さなアミノ酸残基への変化は、よりかさ高いヌクレオチド基質、例えば、2’−OMe置換ヌクレオチドの取り込みを可能にする。
一般的に、本明細書に開示される条件下で、Y693F変異型が、GTP以外のすべての2’−OMe置換NTPの取り込みのために使用され得、そしてY639F/H784A変異型がGTPを含むすべての2’−OMe置換NTPの取り込みのために使用され得ることが見い出されてきた。H784A変異型は、本明細書に開示される条件下で使用された場合に、Y639FおよびY639F/H784A変異型と類似した特性を保有することが予測される。
2’−修飾オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドから完全に合成され得るか、または修飾ヌクレオチドのサブセットとともに合成され得る。修飾は、同じであっても異なっていてもよい。すべてのヌクレオチドは修飾され得、すべてが同じ修飾を含み得る。すべてのヌクレオチドは修飾され得るが、異なる修飾を含み、例えば、同じ塩基を含むすべてのヌクレオチドが1つの型の修飾を有し得るのに対して、他の塩基を含むヌクレオチドは、異なる型の修飾を有し得る。すべてのプリンヌクレオチドが1つの型の修飾を有し得(または修飾されない)のに対して、すべてのピリミジンヌクレオチドは、別の異なる型の修飾を有する(または修飾されない)。このようにして、転写物または転写物のプールは、例えば、リボヌクレオチド(2’−OH)、デオキシリボヌクレオチド(2’−デオキシ)、2’−F、および2’−OMeヌクレオチドを含む修飾の任意の組み合わせを使用して生成される。2’−OMe Cおよび2’−OMe Uならびに2’−OH Aおよび2’−OH Gを含む転写混合物は「rRmY」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「rRmY」アプタマーと呼ばれる。デオキシAおよびデオキシGならびに2’−OMe Uおよび2’−OMe Cを含む転写混合物は「dRmY」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「dRmY」アプタマーと呼ばれる。2’−OMe A、2’−OMe C、および2’−OMe U、ならびに2’−OH Gを含む転写混合物は「rGmH」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「rGmH」アプタマーと呼ばれる。2’−OMe A、2’−OMe C、2’−OMe Uおよび2’−OMe Gならびに2’−OMe A、2’−OMe Uおよび2’−OMe Cならびに2’−F Gを交互に含む転写混合物は、「交互混合物」と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「交互混合物」アプタマーと呼ばれる。2’−OMe A、2’−OMe U、2’−OMe C、および2’−OMe Gを含む転写混合物は、Gの10%までがリボヌクレオチドである場合には、「r/mGmH」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「r/mGmH」アプタマーと呼ばれる。2’−OMe A、2’−OMe U、および2’−OMe C、ならびに2’−F Gを含む転写混合物は「fGmH」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「fGmH」アプタマーと呼ばれる。2’−OMe A、2’−OMe U、および2’−OMe C、ならびにデオキシGを含む転写混合物は「dGmH」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「dGmH」アプタマーと呼ばれる。デオキシA、ならびに2’−OMe C、2’−OMe Gおよび2’−OMe Uを含む転写混合物は「dAmB」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「dAmB」アプタマーと呼ばれ、そしてすべての2’−OHヌクレオチドを含む転写混合物は、「rN」混合物と呼ばれ、そこから選択されたアプタマーは「rN」または「rRrY」アプタマーと呼ばれる。「mRmY」アプタマーは、すべての2’−O−メチルヌクレオチドを含むものであり、可能な場合、任意の2’−OH Gの、2’−OMe GでのSELEX(商標)後置き換えによってr/mGmHオリゴヌクレオチドから通常誘導される。
好ましい実施形態は、2’−OH、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを含む。より好ましい実施形態は、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを含む。さらにより好ましい実施形態は、ピリミジンが2’−OMe(例えば、dRmY、mRmYまたはdGmH)である、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせである。
本発明のアプタマーへの修飾ヌクレオチドの取り込みは、選択プロセスの以前(前)に達成される(例えば、SELEX(商標)プロセス前修飾)。選択的に、修飾ヌクレオチドがSELEX(商標)プロセス前修飾によって取り込まれた本発明のアプタマーは、SELEX(商標)プロセス後修飾(すなわち、SELEX(商標)前修飾の後のSELEX(商標)プロセス後修飾)によってさらに修飾され得る。SELEX(商標)プロセス前修飾は、SELEX(商標)標的についての特異性を有する修飾核酸リガンドを生じ、またインビボ安定性を改善した。SELEX(商標)プロセス後修飾、すなわち、修飾(例えば、SELEX(商標)プロセス前修飾によって組み込まれたヌクレオチドを有する以前に同定されたリガンドの短縮、欠失、置換、またはさらなるヌクレオチド修飾)は、SELEX(商標)プロセス前修飾によって取り込まれたヌクレオチドを有する核酸リガンドの結合能力に有害な影響を与えることなく、インビボ安定性のさらなる改善を生じ得る。
ポリメラーゼが2’−修飾NTPを受け取る条件で2’−修飾(例えば、2’−OMe)RNA転写物のプールを生成するために、好ましいポリメラーゼはY693F/H784A変異型またはY693F変異型である。他のポリメラーゼ、特に、かさ高い2’−置換基について高い耐容性を示すものもまた、本発明において使用され得る。このようなポリメラーゼは、本明細書に開示される転写条件下で修飾ヌクレオチドを取り込むそれらの能力をアッセイすることによって、この能力についてスクリーニングされ得る。
多数の要因が、本明細書に開示される方法において有用である転写条件のために重要であることが決定されてきた。例えば、修飾された転写物の収率の増加は、リーダー配列がDNA転写鋳型の5’末端における固定化配列の5’末端に取り込まれた場合に、得られる転写物の少なくともほぼ最初の6残基がすべてプリンであるように観察される。
修飾ヌクレオチドを取り込んでいる転写物を得る際の別の重要な要因は、2’−OH GTPの存在または濃度である。転写は2つの相に分けられ得る:第1の相は開始であり、その間、NTPがGTP(または別の置換グアノシン)の3’−ヒドロキシル末端に加えられ、次には約10〜12ヌクレオチド伸長されるジヌクレオチドを生じる;第2の相は伸長であり、その間、転写は、最初の約10〜12ヌクレオチドの付加の向こうに進行する。過剰の2’−OMe GTPを含む転写混合物に加えられた少量の2’−OH GTPは、ポリメラーゼが2’−OH GTPを使用する転写を開始することを可能にするために十分であるが、一旦転写が伸長相に入ると、2’−OMeと2’−OH GTPの間の区別の減少、および2’−OH GTPを超えた過剰の2’−OMe GTPは、2’−OMe GTPの優先的な取り込みを可能にすることが見い出されてきた。
2’−OMe置換されたヌクレオチドの転写物への取り込みにおける別の重要な要因は、転写混合物中の二価マグネシウムとマンガンの両方の使用である。塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの濃度の異なる組み合わせが、2’−O−メチル化転写物の収率に影響を与えることが見い出されており、塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの最適濃度は、二価金属イオンと錯体を形成するNTPの転写反応混合物の濃度に依存する。最大限の2’置換O−メチル化転写物の最高の収率を得るために(すなわち、すべてのA、C、およびUならびに約90%のGヌクレオチド)、およそ5mMの塩化マグネシウムおよび1.5mMの塩化マンガンの濃度が、各NTPが0.5mMの濃度で存在するときに好ましい。各NTPの濃度が1.0mMである場合、およそ6.5mMの塩化マグネシウムおよび2.0mMの塩化マンガンの濃度が好ましい。各NTPの濃度が2.0mMである場合、およそ9.6mMの塩化マグネシウムおよび2.9mMの塩化マンガンの濃度が好ましい。いずれの場合においても、これらの濃度から出発して2倍までが、修飾転写物の顕著な量をなお与える。
GMPまたはグアノシンを用いて転写を開始することもまた重要である。この効果は、開始ヌクレオチドについてのポリメラーゼの特異性から生じる。結果として、この様式で生成された任意の転写物の5’−末端ヌクレオチドは、2’−OH Gである可能性がある。GMP(またはグアノシン)の好ましい濃度は0.5mMであり、なおより好ましくは1mMである。転写反応にPEG、好ましくはPEG−8000を含めることは、修飾ヌクレオチドの取り込みを最大化するために有用であることもまた見い出されている。
転写物への2’−OMe ATP(100%)、UTP(100%)、CTP(100%)およびGTP(〜90%)(「r/mGmH」)の最大の取り込みのために以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液 200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合は6.5mM)、MnCl2 1.5mM(各2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合は2.0mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(より好ましくは、1.0mM)、2’−OH GTP 30μM、2’−OH GMP 500μM、pH 7.5、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ 15単位/mL、無機ピロホスファターゼ 5単位/mL、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてのプリンのリーダー配列。本明細書に記載されるように、1単位のY639F/H784A変異型T7 RNAポリメラーゼ(また本明細書で特定される任意の他のT7 RNAポリメラーゼ)は、r/mGmH条件下で1nモルの2’−OMe NTPが転写物に取り込まれるために必要である酵素の量として定義される。本明細書に記載されるように、1単位の無機ピロホスファターゼは、pH 7.2および25℃で1分間あたり1.0モルの無機オルトリン酸を遊離させる酵素の量として定義される。
転写物への2’−OMe ATP、2’−OMe UTPおよび2’−OMe CTP(「rGmH」)の最大の取り込み(100%)のために、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液 200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(より好ましくは、2.0mM)、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/mL、無機ピロホスファターゼ 5単位/mL、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてのプリンのリーダー配列。
転写物への2’−OMe UTPおよび2’−OMe CTP(「rRmY」)の最大の取り込み(100%)のために、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液 200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(より好ましくは、2.0mM)、pH 7.5、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ 15単位/mL、無機ピロホスファターゼ 5単位/mL、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてのプリンのリーダー配列。
転写物へのデオキシATPおよびGTPならびに2’−OMe UTPおよび2’−OMe CTP(「dRmY」)の最大の取り込み(100%)のために、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液 200mM、DTT 40mM、スペルミン 2mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/mL、無機ピロホスファターゼ 5単位/mL、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてのプリンのリーダー配列。
転写物への2’−OMe ATP、2’−OMe UTP、および2’−OMe CTPならびに2’−F GTP(「fGmH」)の最大の取り込み(100%)のために、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液 200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/mL、無機ピロホスファターゼ 5単位/mL、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてのプリンのリーダー配列。
転写物へのデオキシATPならびに2’−OMe UTP、2’−OMe GTPおよび2’−OMe CTP(「dAmB」)の最大の取り込み(100%)のために、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液 200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/mL、無機ピロホスファターゼ 5単位/mL、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてのプリンのリーダー配列。
上記の各々について、(a)転写は、好ましくは、約20℃〜約50℃、好ましくは約30℃〜45℃、および最も好ましくは約37℃の温度で、少なくとも2時間の時間実行され、ならびに(b)50〜300nMの二本鎖DNA転写鋳型が使用される(200nM鋳型がラウンド1においては多様性を増加させるために使用され(300nM鋳型がdRmY転写においては使用される)、引き続くラウンドについては最適化PCR反応の1/10希釈である約50nMが、本明細書に記載される条件を使用して、使用される)。好ましいDNA転写鋳型は以下に記載される(ARC254およびARC256がすべての2’−OMe条件下で転写し、ならびにARC255がrRmY条件下で転写する場合)。
本発明のrRmY転写条件下で、転写反応混合物は、2’−OHアデノシン三リン酸、2’−OHグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸を含む。本発明のrRmY転写混合物を使用して産生される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべての2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−O−メチルシチジン、および2’−O−メチルウリジンを含む。好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
本発明のdRmY転写条件下で、転写反応混合物は、2’−デオキシアデノシン三リン酸、2’−デオキシグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸を含む。本発明のdRmY転写条件を使用して産生される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべての2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシン、2’−O−メチルシチジン、および2’−O−メチルウリジンを含む。好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
本発明のrGmH転写条件下で、転写反応混合物は、2’−OHグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸、および2’−O−メチルアデノシン三リン酸を含む。本発明のrGmH転写混合物を使用して産生される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべての2’−OHグアノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルウリジン、および2’−O−メチルアデノシンを含む。好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、およびすべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、およびすべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、およびすべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。
本発明のr/mGmH転写条件下で、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸、および2’−OHグアノシン三リン酸を含む。本発明のr/mGmH転写混合物を使用して産生される得られる修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべての2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンを含み、ここで、グアノシンヌクレオチドの集団は最大で約10%の2’−OHグアノシンを有する。好ましい実施形態において、得られる本発明のr/mGmH修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、およびすべてのグアノシンヌクレオチドの約10%以下が2’−OHグアノシンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、およびすべてのグアノシンヌクレオチドの約10%以下が2’−OHグアノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの90%が2’−O−メチルグアノシンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、およびすべてのグアノシンヌクレオチドの約10%以下が2’−OHグアノシンである配列を含む。
本発明のfGmH転写条件下で、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−Fグアノシン三リン酸を含む。本発明のfGmH転写条件を使用して産生される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべての2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルシチジン、および2’−Fグアノシンを含む。好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−Fグアノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、およびすべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−F−グアノシンである配列を含む。
本発明のdAmB転写条件下で、転写反応混合物は、2’−デオキシアデノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸を含む。本発明のdAmB転写混合物を使用して産生される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべての2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンを含む。好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、およびすべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
各々の場合において、次いで、転写生成物は、アプタマーを同定するため、および/または所定の標的に対して結合特異性を有する配列の保存モチーフを決定するために、SELEX(商標)プロセスにおけるライブラリーとして使用され得る。得られる配列は既に部分的に安定化されており、修飾アプタマー配列に到達するためのプロセスからこの工程を排除し、そしてより高度に安定化されたアプタマーを結果として与える。2’−OMe SELEX(商標)プロセスの別の利点は、得られる配列が、配列中に必要とされる2’−OHヌクレオチドをほとんど有さない、おそらく全く有さないらしいことである。2’OHヌクレオチドが残っている程度まで、これらは、SELEX(商標)後修飾を実行することによって取り除かれ得る。
以下に記載されるように、2’置換ヌクレオチドを完全に取り込んでいるより低いがなお有用である転写物が、上記の最適化された条件以外の条件下で得られ得る。例えば、上記の転写条件に対するバリエーションは以下を含む。
HEPES緩衝液濃度は、0〜1Mの範囲であり得る。本発明はまた、5から10の間のpKaを有する他の緩衝剤、例えば、Tris−ヒドロキシメチル−アミノメタンの使用を意図する。
DTT濃度は0〜400mMの範囲であり得る。本発明の方法はまた、例えば、メルカプトエタノールを含む他の還元剤の使用を提供する。
スペルミジンおよび/またはスペルミンは、0〜20mMの範囲であり得る。
PEG−8000濃度は、0〜50%(w/v)の範囲であり得る。本発明の方法はまた、例えば、他の分子量のPEGまたは他のポリアルキレングリコールを含む、他の親水性ポリマーの使用を提供する。
Triton X−100濃度は、0〜0.1%(w/v)の範囲であり得る。本発明の方法はまた、例えば、他のTriton X界面活性剤を含む他の界面活性剤を含む、他の非イオン性界面活性剤の使用を提供する。
MgCl2濃度は、0.5mM〜50mMの範囲であり得る。MnCl2濃度は、0.15mM〜15mMの範囲であり得る。MgCl2とMnCl2の両方は記載された範囲内で存在しなくてはならず、好ましい実施形態においては、約10対約3のMgCl2:MnCl2の比率で存在し、好ましくは、この比率は約3〜5:1であり、より好ましくは、この比率は約3〜4:1である。
2’−OMe NTP(各NTP)濃度は、5μM〜5mMの範囲であり得る。
2’−OH GTP濃度は、0μM〜300μMの範囲であり得る。
2’−OH GMP濃度は、0〜5mMの範囲であり得る。
pHはpH6〜pH9の範囲であり得る。本発明の方法は、修飾ヌクレオチドを取り込む大部分のポリメラーゼの活性のpH範囲内で実施され得る。加えて、本発明の方法は、例えば、EDTA、EGTA、およびDTTを含む、転写反応条件におけるキレート剤の選択的な使用を提供する。
(アプタマー医薬品化学)
アプタマー医薬品化学は、改変体アプタマーのセットが化学合成されるアプタマー改善技術である。これらの改変体のセットは、代表的に、単一の置換基の導入によって親のアプタマーとは異なり、この置換基の位置によって互いとは異なる。次いで、これらの改変体は、互いに対して、および親に対して比較される。特徴の改善は十分に深刻であり得、単一の置換基の包含が、特定の治療的判断基準を達成するために必要であるすべてであり得る。
アプタマー医薬品化学は、改変体アプタマーのセットが化学合成されるアプタマー改善技術である。これらの改変体のセットは、代表的に、単一の置換基の導入によって親のアプタマーとは異なり、この置換基の位置によって互いとは異なる。次いで、これらの改変体は、互いに対して、および親に対して比較される。特徴の改善は十分に深刻であり得、単一の置換基の包含が、特定の治療的判断基準を達成するために必要であるすべてであり得る。
代替的に、単一の改変体のセットから拾い集められる情報は、1つより多くの置換基が同時に導入されるさらなる改変体のセットを設計するために使用され得る。1つの設計ストラテジーにおいて、すべての単一の置換基改変体が階級付けされ、上の4つが選択され、これらの4つの単一の置換基改変体のすべての可能な二重(6通り)、三重(4通り)および四重(1通り)の組み合わせが合成されかつアッセイされる。第2の設計ストラテジーにおいて、最良の置換基改変体が新規な親と見なされ、この最高に階級付けされた単一の置換基改変体を含むすべての可能な二重置換基が、合成されかつアッセイされる。他のストラテジーが使用され得、これらのストラテジーは、さらなる改善された改変体を同定することを継続しながら、置換基の数が次第に増加されるように反復して適用され得る。
アプタマー医薬品化学は、全体的であるよりはむしろ、局所的な、置換基の導入を探索するために特に使用され得る。アプタマーは、転写によって生成されるライブラリー中で発見されるので、SELEX(商標)プロセスの間に導入される任意の置換基が、全体的に導入されるに違いない。例えば、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を導入することが所望されるならば、これらは、すべてのA(またはすべてのG、C、T、Uなど)でのみ導入され得る(全体的に置換される)。あるA(またはあるG、C、T、Uなど)においてホスホロチオエートを必要とするが(局所的に置換される)、他のAにおいてはそれを許容することができないアプタマーは、このプロセスによっては容易に発見することができない。
アプタマー医薬品化学プロセスによって利用され得る置換基の種類は、固相合成試薬としてそれらを生成し、およびオリゴマー合成スキームにそれらを導入する能力によってのみ制限される。このプロセスは、ヌクレオチド単独に対しては制限されない。アプタマー医薬品化学スキームは、立体的なかさ高さ、疎水性、親水性、親油性、疎油性、正電荷、負電荷、中性電荷、双性イオン、分極性、ヌクレアーゼ耐性、コンホメーションの強固さ、コンホメーションの柔軟性、タンパク質結合特性、分子量などを導入する置換基を含み得る。アプタマー医薬品化学スキームは、塩基修飾、糖修飾またはホスホジエステル結合修飾を含み得る。
治療用アプタマーの状況において有益である可能性がある置換基の種類を考慮する場合、以下のカテゴリーの1つ以上に当てはまる置換基を導入することが所望され得る。
身体中にすでに存在している置換基、例えば、2’−デオキシ、2’−リボ、2’−O−メチルプリンもしくはピリミジン、または5−メチルシトシン。
すでに認可された治療剤の一部である置換基、例えば、ホスホロチオエート−連結オリゴヌクレオチド。
上記の2つのカテゴリーの1つに加水分解または分解される置換基、例えば、メチルホスホネート連結オリゴヌクレオチド。
本発明の抗IgEアプタマーには、本明細書に記載されるようなアプタマー医薬品化学を通して開発されたアプタマーが含まれる。
(IgE特異的結合アプタマー)
本発明の材料は、IgEに対して特異的に結合する20〜50ヌクレオチド長の一連の核酸アプタマーを含み、ある実施形態においては、これは、細胞に基づくアッセイのようなインビボおよび/または機能的アッセイにおいてIgEの活性を機能的に調節、例えば、ブロックする。
本発明の材料は、IgEに対して特異的に結合する20〜50ヌクレオチド長の一連の核酸アプタマーを含み、ある実施形態においては、これは、細胞に基づくアッセイのようなインビボおよび/または機能的アッセイにおいてIgEの活性を機能的に調節、例えば、ブロックする。
IgEに特異的に結合し、かつこれを調節することが可能であるアプタマーは本明細書に記載されている。これらのアプタマーは、IgEによって引き起こされること、またはさもなくばIgEと関連することが知られているアレルギー性鼻炎(花粉症)、アトピー性皮膚炎、喘息、急性じん麻疹(膨疹−紅斑)、食物アレルギー、および全身性アナフィラキシーのようなアトピー性疾患および障害を治療および/または予防する低毒性、安全、かつ有効な様式を提供する。
治療剤および/または診断剤としての使用のためのIgE特異的結合アプタマーの例には以下の配列が含まれる:配列番号11〜15、18〜19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102、119〜124、126〜136、139〜176、178〜190、194〜201、206〜243、247、249〜259、261〜267、269〜290、292〜295、および296;特に、配列番号29、33、41〜44、46、50、98〜102、157〜176、178〜190、194〜201、206〜219、293〜295および296からなる群より選択され;より特には、配列番号101、157、181、216、293〜295および296から選択されるものが提供される。
IgEを結合する他のアプタマーは、実施例1〜4において以下に記載される。
これらのアプタマーは、例えば、PEGのような親水性または高分子量化合物への結合体化、CpGモチーフの取り込み、キャッピング部分の取り込み、修飾ヌクレオチドの取り込み、リン酸バックボーンにおける置換を含む、本明細書に記載される修飾を含み得る。
本明細書の1つの実施形態において、IgEに結合する、単離された、天然に存在しないアプタマーが提供される。ある実施形態において、単離された、天然に存在しないアプタマーは、IgEについて、100μM未満、1μM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、1nM未満、500pM未満、100pM未満、50pM未満、または1pM未満の解離定数(「KD」)を有する。本発明のある実施形態において、この解離定数は、以下の実施例1に記載されるような条件下でヒトIgEの滴定を使用するドットブロットアッセイによって決定される。特定の実施形態において、この解離定数は、ダルベッコPBS(Mg++およびCa++を有する)プラス0.1mg/mL BSA中、室温で30分間のヒトIgEの滴定を使用する、標準的なドットブロットアッセイによって決定される。
別の実施形態において、本発明のアプタマーは、IgEの機能を調節する。別の実施形態において、本発明のアプタマーは、IgEの機能を阻害する。本発明のなお別の実施形態において、このアプタマーは、IgE改変体に結合し、および/またはその機能を調節する。本発明で使用されるようなIgE改変体は、IgE機能と本質的に同じ機能を実行する改変体を包含し、好ましくは、実質的に同じ構造を含み、ある実施形態においては、IgEのアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、およびより好ましくは少なくとも95%の配列同一性を含む。本発明のある実施形態において、標的改変体の配列同一性は、以下に記載されるBLASTを使用して決定される。
用語「配列同一性」または「同一性%」は、2つ以上の核酸またはタンパク質の配列の状況において、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または目視の検査によって測定されるように、比較され、および最大の一致のためにアラインされたときに、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列またはサブ配列をいう。配列比較のために、代表的には、1つの配列は参照配列として働き、試験配列がこれに対して比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、サブ配列座標が必要な場合に指定され、および配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列と比較した試験配列についての配列同一性パーセントを計算する。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch,J Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc. Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性についての検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行によって(the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、ならびに目視的な検査によって(一般的には、Ausubel et al.,下記を参照のこと)によって実施され得る。
配列同一性パーセントを決定するために適切であるアルゴリズムの1つの例は、基本局所的アラインメント検索ツール(本明細書以下では「BLAST」)において使用されるアルゴリズムであり、例えば、Altschul et al.,J Mol.Biol.215:403−410(1990)およびAltschul et al.,Nucleic Acids Res.,15:3389−3402(1997)を参照のこと。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information(本明細書以下では「NCBI」)を通して公的に利用可能である。NCBIから利用可能であるソフトウェア、例えば、BLASTN(ヌクレオチド配列用)およびBLASTP(アミノ酸配列用)を使用して配列同一性を決定する際に使用されるデフォルトパラメーターは、McGinnis et al.,Nucleic Acids Res.,32:W20−W25(2004)に記載されている。
本発明の別の実施形態において、アプタマーは、配列番号11〜15、18〜19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102、119〜124、126〜136、139〜176、178〜190、194〜201、206〜243、247、249〜259、261〜267、269〜290、292〜295、および296のいずれか1つに従うアプタマーのそれと実質的に同じである、IgEに結合する能力を有する。本発明の別の実施形態において、アプタマーは、配列番号11〜15、18〜19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102、119〜124、126〜136、139〜176、178〜190、194〜201、206〜243、247、249〜259、261〜267、269〜290、292〜295、および296の配列番号のいずれか1つを含むアプタマーのそれと実質的に同じである、IgEを結合する構造および/または能力を有する。別の実施形態において、配列番号11〜15、18〜19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102、119〜124、126〜136、139〜176、178〜190、194〜201、206〜243、247、249〜259、261〜267、269〜290、292〜295、および296の配列番号のいずれか1つに従うアプタマーが提供される。特定の実施形態において、配列番号101、157、181、216、293〜295および296のいずれか1つに従うアプタマーが提供される。別の実施形態において、本発明のアプタマーは、薬学的組成物中の活性成分として使用される。別の実施形態において、本発明のアプタマーまたは本発明のアプタマーを含む組成物は、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アトピー性皮膚炎、喘息、急性じん麻疹(膨疹−紅斑)、食物アレルギー、ピーナッツアレルギー、全身性アナフィラキシー、アレルギー性結膜炎、春季カタル、萎縮性角結膜炎、巨大乳頭性結膜炎、および好酸球性胃腸炎のようなアトピー性疾患または障害を治療するために使用される。
ある実施形態において、本発明のアプタマー治療剤は、このアプタマー治療剤が患者または被験体の身体中で分解する場合に、天然には存在しないヌクレオチド置換からの有害な副作用を減少しながら、それらの標的に対する高い親和性および特異性を有する。ある実施形態において、本発明のアプタマー治療剤を含む治療組成物は、フッ化ヌクレオチドを含まないか、またはフッ化ヌクレオチドが減少している。
本発明のアプタマーは、当該分野において周知である固相オリゴヌクレオチド合成技術(例えば、Froehler et al.,Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986)およびFroehler et al.,Tet.Lett.27:5575−5578(1986)を参照のこと)およびトリエステル合成法のような液相法(例えば、Sood et al.,Nucl.Acid Res.4:2557(1977)およびHirose et al.,Tet.Lett.,28:2449(1978)を参照のこと)を含む、当該分野において公知である任意のオリゴヌクレオチド合成技術を使用して合成され得る。
(免疫活性化モチーフを有するアプタマー)
本発明は、IgEに結合し、それらの生物学的機能を調節するアプタマーを提供する。より詳細には、本発明は、IgEレセプター、FcεRIへのIgEの結合に干渉し、それによってIgEが媒介するアレルギー反応を妨害するアプタマーを提供する。このようなアプタマーの治療的潜在能力は、IgEに結合し、かつ免疫活性化モチーフもしくは免疫調節モチーフを含むアプタマーを選択することによって、または免疫活性化配列および/もしくは免疫調節配列に結合することが知られている標的に対するアプタマーとともに、IgEに結合するアプタマーを用いて処理することによって、さらに増強され得る。
本発明は、IgEに結合し、それらの生物学的機能を調節するアプタマーを提供する。より詳細には、本発明は、IgEレセプター、FcεRIへのIgEの結合に干渉し、それによってIgEが媒介するアレルギー反応を妨害するアプタマーを提供する。このようなアプタマーの治療的潜在能力は、IgEに結合し、かつ免疫活性化モチーフもしくは免疫調節モチーフを含むアプタマーを選択することによって、または免疫活性化配列および/もしくは免疫調節配列に結合することが知られている標的に対するアプタマーとともに、IgEに結合するアプタマーを用いて処理することによって、さらに増強され得る。
脊椎動物免疫系による細菌DNAの認識は、特定の配列の状況において、メチル化されていないCGジヌクレオチドの認識に基づく(「CpGモチーフ」)。このようなモチーフを認識する1つのレセプターは、Toll様レセプター9(「TLR9」)であり、これは、別個の微生物成分を認識することによって、生得的な免疫応答に関与するToll様レセプターのファミリー(約10メンバー)の1つのメンバーである。TLR9は、配列特異的な様式で、メチル化されていないオリゴデオキシヌクレオチド(「ODN」)CpG配列を結合する。CpGモチーフの認識は、生得的かつ最終的に獲得された免疫応答に導く防御メカニズムをトリガーする。例えば、マウスにおけるTLR9の活性化は、抗原提示細胞の活性化、MHCクラスIおよびII分子の調節、ならびに重要な同時刺激分子およびIL−12およびIL−23を含むサイトカインの発現を誘導する。この直接的と間接的の両方の活性化は、TH1サイトカインIFNγの強固なアップレギュレーションを含む、B細胞およびT細胞の応答を増強する。集合的に、CpG配列に対する応答は以下をもたらす:感染性疾患に対する防御、ワクチンに対する免疫応答の改善、喘息に対する効果的な応答、および抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性の改善。従って、CpG ODNは、感染性疾患に対する防御を提供することができ、免疫アジュバントまたは癌治療剤として機能し(単独治療またはmAbもしくは他の治療剤と組み合わせて)、ならびに喘息およびアレルギー性応答を減少することができる。
1つ以上のCpGまたは他の免疫活性化配列を含む本発明のアプタマーは、例えば、本明細書に記載されるSELEX(商標)プロセスを使用する種々のストラテジーによって、同定または生成され得る。一般的に、これらのストラテジーは、2つのグループに分けられ得る。グループ1においては、ストラテジーは、CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列ならびに標的のための結合部位の両方を含むアプタマーを同定または生成することに向けられ、ここで、標的(本明細書以下では、「非CpG標的」)は、CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列を認識することが知られており、およびCpGモチーフに結合する際に免疫応答を刺激することが知られているもの以外の標的である。本発明のある実施形態において、非CpG標的はIgEである。このグループの第1のストラテジーは以下を包含する:特異的非CpG標的、好ましくは、免疫応答が疾患の発症と関連する標的、例えば、IgEに対するアプタマーを得るために、オリゴヌクレオチドプールを使用してSELEX(商標)を実行することであって、ここで、CpGモチーフは、固定領域として、または固定領域の一部としてのプールの各メンバーに取り込まれ、例えば、ある実施形態において、プールのメンバーのランダム化領域は、そこに取り込まれたCpGモチーフを有する固定領域を含むこと、およびCpGモチーフを含むアプタマーを同定すること。このグループの第2のストラテジーは、以下を包含する:特異的非CpG標的、好ましくは、免疫応答が疾患の発症と関連する標的、例えば、IgEに対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行すること、ならびに選択後に5’末端および/もしくは3’末端にCpGモチーフを付加すること、またはCpGモチーフを、アプタマーの領域、好ましくは、非必須領域に操作すること。このグループの第3のストラテジーは、以下を包含する:特異的非CpG標的、好ましくは、免疫応答が疾患の発症と関連する標的、例えば、IgEに対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行し、ここで、プールの合成の間、種々のヌクレオチドのモル濃度比は、プールの各メンバーのランダム化された領域がCpGモチーフ中で富化されるように、1つ以上のヌクレオチド付加工程において偏向されること、およびCpGモチーフを含むアプタマーを同定すること。このグループの第4のストラテジーは、以下を包含する:特異的非CpG標的、好ましくは、免疫応答が疾患の発症と関連する標的、例えば、IgEに対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行すること、およびCpGモチーフを含むアプタマーを同定すること。このグループの第5のストラテジーは、以下を包含する:特異的非CpG標的、好ましくは、抑制された免疫応答が疾患の発症と関連する標的、例えば、IgEに対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行すること、および、結合の際に、免疫応答を刺激するが、CpGモチーフを含まないアプタマーを同定すること。
グループ2においては、ストラテジーは、CpGモチーフならびに/またはCpGモチーフについてのレセプター(例えば、TLR9または他のtoll様レセプター)によって結合され、および結合の際に免疫応答を刺激する他の配列を含むアプタマーを同定または生成することに向けられる。このグループの第1のストラテジーは、このグループの第1のストラテジーは以下を包含する:CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列に結合することが知られており、結合の際に、免疫応答を刺激する標的に対するアプタマーを得るために、オリゴヌクレオチドプールを使用してSELEX(商標)を実行することであって、ここで、CpGモチーフは、固定領域として、または固定領域の一部としてのプールの各メンバーに取り込まれ、例えば、ある実施形態において、プールのメンバーのランダム化領域は、そこに取り込まれたCpGモチーフを有する固定領域を含むこと、およびCpGモチーフを含むアプタマーを同定すること。このグループの第2のストラテジーは、以下を包含する:CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列に結合することが知られており、結合の際に、免疫応答を刺激する標的に対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行すること、ならびに5’末端および/もしくは3’末端にCpGモチーフを付加すること、またはCpGモチーフを、アプタマーの領域、好ましくは、非必須領域に操作すること。このグループの第3のストラテジーは、以下を包含する:CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列に結合することが知られており、結合の際に、免疫応答を刺激する標的に対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行し、ここで、プールの合成の間、種々のヌクレオチドのモル濃度比は、プールの各メンバーのランダム化された領域がCpGモチーフ中で富化されるように、1つ以上のヌクレオチド付加工程において偏向されること、およびCpGモチーフを含むアプタマーを同定すること。このグループの第4のストラテジーは、以下を包含する:CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列に結合することが知られており、結合の際に、免疫応答を刺激する標的に対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行すること、およびCpGモチーフを含むアプタマーを同定すること。このグループの第5のストラテジーは、以下を包含する:CpGモチーフまたは他の免疫活性化配列に結合することが知られている標的に対するアプタマーを得るために、SELEX(商標)を実行すること、および、結合の際に、免疫応答を刺激するが、CpGモチーフを含まないアプタマーを同定すること。
種々の異なるクラスのCpGモチーフが同定されており、各々が異なるカスケードの事象における認識、サイトカインおよび他の分子の放出、ならびに特定の細胞型の活性化を生じる。例えば、参照により本明細書に援用されるCpG Motifs in Bacterial DNA and Their Immune Effects,Annu.Rev.Immunol.2002,20:709−760を参照のこと。さらなる免疫活性化モチーフは、参照により本明細書に援用される以下の米国特許において開示される:米国特許第6,207,646号;米国特許6,239,116号;米国特許第6,429,199号;米国特許第6,214,806号;米国特許第6,653,292号;米国特許第6,426,434号;米国特許第6,514,948号および米国特許第6,498,148号。これらのCpGまたは他の免疫活性化モチーフのいずれかがアプタマーに取り込まれ得る。アプタマーの選択は、治療される疾患または障害に依存する。好ましい免疫活性化モチーフは、「r」がプリンを示し、「y」がピリミジンを示し、および「X」が任意のヌクレオチドを示す場合、以下の通りである(左から右に5’から3’で示す):AACGTTCGAG(配列番号4);AACGTT;ACGT;rCGy、rrCGyy、XCGX、XXCGXXおよびX1X2CGY1Y2、ここでX1はGまたはAであり、X2はCではなく、Y1はGではなく、Y2は好ましくはTである。
CpGモチーフが、CpGモチーフに結合されることが知られている標的以外の特異的標的(「非CpG標的」)に結合し、結合の際に免疫応答を刺激するアプタマーに取り込まれる場合において、このCpGは、好ましくは、アプタマーの非必須領域に位置する。アプタマーの非必須領域は、部位特異的変異誘発、欠失分析および/または置換分析によって同定され得る。しかし、非CpG標的に結合するアプタマーの能力に有意に干渉しない任意の位置が使用され得る。アプタマー配列中に埋め込まれることに加えて、CpGモチーフは、5’末端と3’末端のいずれかもしくは両方に付加され得るか、またはさもなくばアプタマーに結合され得る。非CpG標的に結合するアプタマーの能力が有意に干渉されない限り、結合の任意の位置または手段が使用され得る。
本明細書で使用されるように、「免疫応答の刺激」は、(1)特異的応答(例えば、Th1応答の誘導)もしくは特定の分子の産生の誘導、または(2)特異的応答(例えば、Th2応答の阻害もしくは抑制)もしくは特定の分子の阻害もしくは抑制のいずれかを意味し得る。
(薬学的組成物)
本発明はまた、IgEに結合するアプタマー分子を含む薬学的組成物を含む。ある実施形態において、この組成物は、内服のために適切であり、本発明の薬学的に活性な化合物の有効量を、単独で、または1種以上の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む。この化合物は、これらが、もしあれば、非常に低い毒性を有するという点で、とりわけ有用である。
本発明はまた、IgEに結合するアプタマー分子を含む薬学的組成物を含む。ある実施形態において、この組成物は、内服のために適切であり、本発明の薬学的に活性な化合物の有効量を、単独で、または1種以上の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む。この化合物は、これらが、もしあれば、非常に低い毒性を有するという点で、とりわけ有用である。
本発明の組成物は、患者における、疾患または障害のような病理を治療、予防および/もしくは寛解するため、またはこのような疾患もしくは障害の徴候を軽減するために使用され得る。例えば、本発明の組成物は、IgEによって引き起こされること、またはさもなくばIgEと関連することが知られている、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アトピー性皮膚炎、喘息、急性じん麻疹(膨疹−紅斑)、食物アレルギー、および全身性アナフィラキシーのようなアトピー性疾患および障害と関連した病理を治療、予防および/または寛解するために使用され得る。
本発明の組成物は、本発明のアプタマーが特異的に結合する標的と関連するか、またはそれに由来する疾患または障害に罹患しているか、またはその素因がある被験体への投与のために有用である。本発明の組成物は、病理を有する患者または被験体を治療するための方法において使用され得る。この方法は、IgEへのアプタマーの結合が標的の生物学的機能を変化させ、それによって病理を治療するように、IgEを結合するアプタマーまたはアプタマーを含む組成物を、患者または被験体に投与する工程を包含する。
病理を有する患者または被験体、すなわち、本発明の方法によって治療される患者または被験体は、脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、またはより好ましくはヒトであり得る。
実務上、アプタマーまたはそれらの薬学的に受容可能な塩は、それらの所望される生物学的活性を発揮するため、例えば、FcεRIへのIgEアプタマーの結合を阻害するために十分な量で投与される。
本発明の1つの態様は、IgE媒介性障害のための他の治療と組み合わせた本発明のアプタマー組成物を含む。本発明のアプタマー組成物は、例えば、1種より多くのアプタマーを含み得る。ある例において、1種より多くの本発明の化合物を含む本発明のアプタマー組成物は、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤などのような別の有用な組成物と組み合わせて投与される。一般的に、このような組み合わせにおける使用のための、既知の治療剤の現在利用可能な投薬量が適切である。
「併用療法(または「同時治療」)」には、これらの治療剤の共同作用からの有益な効果を提供することが意図される特定の治療レジメンの一部としての、本発明のアプタマー組成物および少なくとも第2の薬剤の投与が含まれる。組み合わせの有益な効果には、治療剤の組み合わせから生じる薬物動態学的または薬力学的共同作用が含まれるがこれに限定されない。組み合わせたこれらの治療剤の投与は、代表的には、所定の時間の間(通常、選択された組み合わせに依存して、分、時間、日または週)にわたって実行される。
「併用療法」は、本発明の組み合わせを偶発的にまたは任意に生じる別々の単独治療レジメンの一部として、2種以上のこれらの治療剤の投与を包含することが意図されてもよいが、一般的にはそうではない。「併用療法」は、逐次的な様式でのこれらの治療剤の投与、すなわち、各治療剤が異なる時点で投与される投与、ならびに実質的に同時の様式にあるこれらの治療剤、または少なくとも2種の治療剤の投与を包含することが意図される。実質的に同時の投与は、例えば、固定された比率の各々の治療剤を有する単一のカプセル、または各々の治療剤についての単一のカプセルの複数を、被験体に投与することによって達成され得る。
各治療剤の逐次的または実質的に同時的な投与は、局所的経路、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通しての直接的吸収を含むが、これらに限定されない任意の適切な経路などによってもたらされ得る。治療剤は、同じ経路または異なる経路によって投与され得る。例えば、選択された組み合わせの第1の治療剤が注射によって投与され得るのに対し、組み合わせの他方の治療剤が局所的に投与され得る。
代替的には、例えば、すべての治療剤が局所的に投与され得るか、またはすべての治療剤が注射によって投与され得る。治療剤が投与される順番は、他に注記されない限りは、狭義に決定的ではない。「併用療法」はまた、他の生物学的に活性な成分とのさらなる組み合わせにおける、上記のような治療剤の投与を包含し得る。併用療法が非薬物治療をさらに包含する場合、非薬物治療は、治療剤および非薬物治療の組み合わせの共同作用からの有益な効果が達成される限り、任意の適切な時点で実施され得る。例えば、適切な例において、有益な効果は、非薬物治療が一時的に治療剤の投与から除かれたとき、おそらく、数日間または数週間でまででさえ、なお達成される。
本発明の治療組成物または薬学的組成物は、一般的には、薬学的に受容可能な媒体中に溶解または分散された、活性成分の治療有効量を含む。薬学的に受容可能な媒体またはキャリアには、任意のおよびすべての溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および剤の使用は当該分野において周知である。補充的な活性成分もまた、本発明の治療組成物に取り込まれ得る。
薬学的組成物または薬理学的組成物の調製は、本開示に鑑みて、当業者には公知である。代表的には、このような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとしての注射液として;注射の前の液体中への溶液、または懸濁液のために適切である固体形態;経口投与のための錠剤もしくは他の固形物として;時限放出カプセルとして;または点眼液、クリーム、ローション、軟膏、吸入剤などを含む現在使用されている任意の他の形態において調製され得る。滅菌製剤の使用、例えば、手術分野における特定の領域を処置するための外科医、内科医または保健医療従事者による生理食塩水ベースの洗浄もまた、特に有用であり得る。組成物はまた、マイクロデバイス、微粒子またはスポンジを介して送達され得る。
製剤の際に、治療剤は、投薬量製剤と適合可能な様式で、および薬学的に有効である量で投与される。製剤は、種々の投薬量形態で、例えば、上記の注射可能溶液の型で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどもまた、利用され得る。
この状況において、投与される組成物の活性成分の量および組成物の体積は、治療される宿主動物に依存する。投与のために必要とされる活性化合物の正確な量は、実務者の判断に依存し、各個体に固有である。
活性化合物を分散するために必要である組成物の最小量が代表的に利用される。投与のための適切なレジメもまた変動性であるが、しかし、これは、化合物を最初に投与すること、および結果をモニタリングすること、および次いで、さらなる間隔でさらに制御された用量を与えることによって代表される。
例えば、錠剤またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態での経口投与のために、活性薬物成分は、経口、非毒性、薬学的に受容可能な不活性キャリア、例えば、エタノール、グリセロール、水などと組み合わされ得る。さらに、所望されるか、または必要である場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤もまた、この混合物に取り込まれ得る。適切な結合剤には、デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、グルコースまたはβ−ラクトース、トウモロコシ甘味料などの天然の糖、アカシア、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成のガム、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。これらの投薬量形態において使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコールなどが含まれる。崩壊剤には、非限定的に、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または沸騰性混合物などが含まれる。希釈剤には、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシンが含まれる。
本発明の化合物はまた、時限放出および持続放出錠剤またはカプセル、丸薬、散剤、顆粒剤、エリキシル、チンキ剤、懸濁剤、シロップおよびエマルジョンのような経口投薬量形態で投与され得る。坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から有利に調製される。
薬学的組成物は、滅菌され得、ならびに/またはアジュバント、例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶液促進剤、浸透圧を調節するための塩および/もしくは緩衝剤を含み得る。加えて、これらはまた、他の治療的に価値のある物質を含み得る。これらの組成物は、従来の混合、顆粒化、または被覆方法に従って調製され、代表的には、活性成分の約0.1%〜75%、好ましくは約1%〜50%を含む。
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製され得る。活性化合物は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどのような薬学的に純粋な溶媒中に溶解し、またはそれらとともに混合され、それによって、注射可能な溶液または懸濁液を形成する。加えて、注射の前に液体に溶解するために適切である固体形態が製剤化され得る。
本発明の化合物は、静脈内(ボーラスと注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態で投与され得、すべてが薬学分野における当業者に周知である形態を使用する。注射液は、従来的な形態で、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され得る。
非経口的注射投与は、一般的に、皮下、筋肉内または静脈内の注射および注入のために使用される。加えて、非経口投与のための1つのアプローチは、参照により本明細書に援用される米国特許第3,710,795号に従う、一定のレベルの投薬量が維持されることを保証する、徐放系または持続放出系の埋め込みを利用する。
さらに、本発明の好ましい化合物は、適切な鼻内ビヒクル、吸入剤の局所的使用を介する鼻内形態において、または当業者に周知である経皮皮膚パッチの形態を使用する経皮的経路を介して投与され得る。経皮送達系の形態で投与されるために、投薬量投与は、当然、投薬量レジメンの全体を通して断続的であるよりはむしろ連続的である。他の好ましい局所的調製物には、クリーム、軟膏、ローション、エアロゾルスプレーおよびゲルが含まれ、ここで、活性成分の濃度は、代表的には、0.01%〜15%、w/wまたはw/vの範囲である。
固体組成物のために、賦形剤には、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含まれる。上記に定義した活性化合物もまた、キャリアとして、例えば、ポリアルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールを使用して、坐剤として製剤化され得る。ある実施形態において、坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から有利に調製される。
本発明の化合物は、小さな単層ベシクル、大きな単層ベシクルおよび多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含む種々のリン脂質から形成され得る。ある実施形態において、米国特許第5,262,564号に記載されるように、脂質成分のフィルムが、薬物の水溶液で水和されて、薬物をカプセル化する脂質層を形成する。例えば、本明細書に記載されるアプタマー分子が、当該分野において公知である方法を使用して構築される、親油性化合物または非免疫原性、高分子量化合物との複合体として提供され得る。核酸結合複合体の例は、米国特許第6,011,020号において提供される。
本発明の化合物はまた、標的化可能な薬物キャリアとして、可溶性ポリマーとカップリングされ得る。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパンアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが含まれ得る。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成する際に有用である生物分解可能なポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびハイドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーにカップリングされ得る。
所望される場合、投与される薬学的組成物はまた、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、および例えば、酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンなどの他の物質を含み得る。
アプタマーを利用する投薬量レジメンは、患者の型、人種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療される状態の重篤度;投与の経路;患者の腎臓および肝臓の機能;ならびに利用される特定のアプタマーまたはその塩を含む種々の要因に従って選択される。通常の技能を有する医師または獣医師は、状態を治療し、予防し、それに対抗し、またはその進行を停止するために必要とされる薬物の有効量を容易に決定しかつ処方し得る。
本発明の経口投薬量は、示される効果のために使用される場合、経口で約0.05〜7500mg/日の間の範囲である。この組成物は、好ましくは、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0および1000.0mgの活性成分を含む、記録された錠剤の形態で提供される。注入投薬量、鼻内投薬量および経皮投薬量は、0.05〜7500mg/日の間の範囲である。皮下、静脈内および腹腔内の投薬量は、0.05〜3800mg/日の間の範囲である。
本発明の化合物の効果的な血漿レベルは、0.002mg/mL〜50mg/mLの範囲である。
本発明の化合物は、単独の一日用量で投与され得、または全体の一日用量は、一日に2回、3回、もしくは4回の分割用量で投与され得る。
(アプタマー治療剤の薬物動態学および生物分布の調節)
アプタマーを含む、すべてのオリゴヌクレオチドベースの治療剤について、薬物動態学特性が、所望の薬学的適用に一致するように仕立てられることが重要である。細胞外標的に対して指向されるアプタマーは、細胞内送達に付随する困難さ(アンチセンスおよびRNAiベースの治療剤によくあることである)を問題としないが、このようなアプタマーは、標的の器官および組織に分布すること、および所望の投薬レジメンと一致する時間の間、身体に残存すること(未修飾で)がなお可能でなくてはならない。
アプタマーを含む、すべてのオリゴヌクレオチドベースの治療剤について、薬物動態学特性が、所望の薬学的適用に一致するように仕立てられることが重要である。細胞外標的に対して指向されるアプタマーは、細胞内送達に付随する困難さ(アンチセンスおよびRNAiベースの治療剤によくあることである)を問題としないが、このようなアプタマーは、標的の器官および組織に分布すること、および所望の投薬レジメンと一致する時間の間、身体に残存すること(未修飾で)がなお可能でなくてはならない。
従って、本発明は、アプタマー組成物の薬物動態学、特に、アプタマーの薬物動態学を調整する能力に影響を与える材料および方法を提供する。アプタマーの薬物動態学の調整能力(すなわち、調節する能力)は、アプタマーへの修飾部分(例えば、PEGポリマー)の結合体化、および/または核酸の化学組成を変化させるための修飾ヌクレオチド(例えば、2’−フルオロまたは2’−O−メチル)の取り込みを通して達成される。アプタマー薬物動態学を調整する能力は、既存の治療的適用の改善において、または代替的には、新規な治療的適用の開発において使用される。例えば、ある治療的適用において、例えば、迅速な薬物クリアランスまたはターンオフが所望され得る、抗新生物または救急設定において、循環中でのアプタマーの滞留時間を減少することが所望される。代替的には、他の治療的適用、例えば、治療剤の全身性循環が所望される維持治療において、循環中のアプタマーの滞留時間を増加させることが所望され得る。
加えて、アプタマーの薬物動態学の調整能力は、被験体におけるアプタマー治療剤の生物分布を改変するために使用される。例えば、ある治療的適用において、特定の組織または特定の器官(または器官のセット)を標的とするための取り組みにおいて、アプタマー治療剤の生物分布を変化させることが所望され得る。これらの適用において、アプタマー治療剤は、特定の組織または器官に優先的に蓄積する。他の治療的適用において、アプタマー治療剤が罹患した組織に優先的に蓄積するように、所定の疾患、細胞の損傷、または他の異常な病理と関連する細胞マーカーまたは徴候を示す組織を標的とすることが所望され得る。例えば、2004年3月5日に出願され、「Controlled Modulation of the Pharmacokinetics and Biodistribution of Aptamer Therapeutics」という表題の米国仮出願第60/550790号において記載されるように、ならびに2005年3月7日に出願され、「Controlled Modulation of the Pharmacokinetics and Biodistribution of Aptamer Therapeutics」という表題の米国非仮出願第10/−−−,−−−号において記載されるように、アプタマー治療剤のPEG化(20kDa PEGポリマーを用いるPEG化)が、炎症組織を標的とするために使用され、その結果、PEG化されたアプタマー治療剤が炎症組織に優先的に蓄積する。
アプタマー治療剤(例えば、アプタマー結合体または変化した化学成分、例えば、修飾ヌクレオチドを有するアプタマー)の薬物動態学および生物分布プロフィールを決定するために、種々のパラメーターがモニタリングされる。このようなパラメーターには、例えば、アプタマー組成物の、半減期(t1/2)、血漿クリアランス(C1)、分布の体積(Vss)、濃度−時間曲線の下の面積(AUC)、最大の観察された血清または血漿濃度(Cmax)、および平均滞留時間(MRT)が含まれる。本明細書で使用されるように、用語「AUC」は、アプタマー投与後の時間に対する、アプタマー治療剤の血漿濃度のプロットの下の面積をいう。AUC値は、与えられたアプタマー治療剤のバイオアベイラビリティー(すなわち、アプタマー投与後の循環中での投与されたアプタマー治療剤のパーセンテージ)および/または全体のクリアランス(C1)(すなわち、アプタマー治療剤が循環から除去される速度)を見積もるために使用される。分布の体積は、アプタマー治療剤の血漿濃度を、身体中に存在するアプタマーの量に関連付ける。Vssがより大きければ、より多くのアプタマーが血漿の外側で見い出される(すなわち、より多くの溢血)。
本発明は、低分子、ペプチド、もしくはポリマー末端基などの調節部分にアプタマーを結合体化することによって、またはアプタマーに修飾ヌクレオチドを取り込むことによって、制御された様式で、安定化されたアプタマー組成物の薬物動態学的および生物分布をインビボで調節するための材料および方法を提供する。本明細書に記載されるように、修飾部分の結合体化および/またはヌクレオチドの化学組成を変化させることは、循環中でのアプタマー滞留時間および組織への分布の基本的な局面を変化させる。
ヌクレアーゼによるクリアランスに加えて、オリゴヌクレオチド治療剤は、腎臓濾過を介する排出に供される。このようなものとして、静脈内投与されるヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドは、濾過がブロックできない限り、代表的には、<10分間のインビボ半減期を示す。これは、血流から組織への迅速な分布を容易にすることによって、または糸球体についての有効なサイズのカットオフより上にオリゴヌクレオチドの見かけの分子量を増加させることによってのいずれかで達成され得る。PEGポリマーへの小さな治療剤の結合体化(PEG化)は、以下に記載されるように、循環中でのアプタマーの滞留時間を劇的に延長することができ、それによって、投薬の頻度を減少させ、および血管の標的に対する有効性を増強する。
アプタマーは、高分子量ポリマー、例えば、PEG;ペプチド、例えば、Tat(HIV Tatタンパク質の13アミノ酸フラグメント(Vives et al.(1997),J.Biol.Chem.272(25):16010−7))、Ant(Drosophilaアンテナペディアホメオティックタンパク質の第3へリックスから誘導された16アミノ酸配列(Pietersz et al.(2001),Vaccine 19(11−12):1397−405)およびArg7(ポリアルギニン(Arg7)から構成される短い、正に荷電した細胞透過ペプチド(Rothbard et al.(2000),Nat.Med.6(11):1253−7;Rothbard,J et al.(2002),J.Med.Chem.45(17):3612−8));ならびに低分子、例えば、コレステロールなどの親油性化合物などの種々の修飾部分に結合され得る。本明細書に記載される種々の結合体の中で、アプタマーのインビボ特性は、PEG基との複合体形成によって最も深刻に変化される。例えば、2’Fおよび2’−OMe修飾アプタマー治療剤の20kDa PEGポリマーとの複合体形成は、腎臓濾過を妨害し、健常組織と炎症を有する組織の両方へのアプタマーの分布を促進する。さらに、20kDa PEGポリマー−アプタマー結合体は、アプタマーの腎臓濾過を妨害する際に、40kDa PEGポリマーとほぼ同程度に有効であることが判明している。PEG化の1つの効果はアプタマークリアランスに対してであるが、20kDa部分の存在によって許容される全身的な露出の延長はまた、組織へのアプタマーの分布、特に、高度に灌流された器官の分布、および炎症の部位における分布を容易にする。アプタマー−20kDa PEGポリマー結合体は、アプタマー分布を、炎症の部位に方向付け、その結果、PEG化されたアプタマーが炎症を有する組織に優先的に蓄積する。ある例において、20kDa PEG化アプタマー結合体は、例えば、腎臓細胞などの細胞の内部に接近することが可能である。
修飾ヌクレオチドはまた、アプタマーの血漿クリアランスを調節するために使用され得る。例えば、2’−Fと2’−OMeの両方の安定化化学物質を取り込んでおり、インビトロおよびインビボでの高度なヌクレアーゼ安定性を示す現在の世代のアプタマーに特有である、結合体化されていないアプタマーは、未修飾のアプタマーと比較した場合に、血漿からの迅速な喪失(すなわち、迅速な血漿クリアランス)および組織、主として腎臓への迅速な分布を示す。
(PEG誘導体化核酸)
上記に記載されたように、高分子量非免疫原性ポリマーを用いる核酸の誘導体化は、核酸の薬物動態学的および薬力学的特性を変化させる潜在能力を有し、それらをより有効な治療剤にする。活性の好ましい変化は、ヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性の増加、腎臓を通しての濾過の減少、免疫系に対する露出の減少、および身体を通しての治療剤の分布の変化を含み得る。
上記に記載されたように、高分子量非免疫原性ポリマーを用いる核酸の誘導体化は、核酸の薬物動態学的および薬力学的特性を変化させる潜在能力を有し、それらをより有効な治療剤にする。活性の好ましい変化は、ヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性の増加、腎臓を通しての濾過の減少、免疫系に対する露出の減少、および身体を通しての治療剤の分布の変化を含み得る。
本発明のアプタマー組成物は、ポリアルキレングリコール(「PAG」)部分で誘導体化され得る。PAG誘導体化された核酸の例は、その全体が参照により本明細書に援用される、2003年11月21日に出願された米国特許出願第10/718,833号に見い出される。本発明において使用される代表的なポリマーには、ポリエチレンオキサイド(「PEO」)としても知られるポリエチレングリコール(「PEG」)、およびポリプロピレングリコール(ポリイソプロピレングリコールを含む)が含まれる。加えて、異なるアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド)のランダムまたはブロックコポリマーが多くの応用において使用され得る。最も一般的な形態において、PEGなどのポリアルキレングリコールは、各末端においてヒドロキシル基で終わっている直鎖状ポリマー:
示されるように、PEG分子は、二官能性であり、時折、「PEGジオール」と呼ばれる。PEG分子の末端部分は、比較的非反応性のヒドロキシル部分、−OH基であり、これは、化合物上の反応性部位において他の化合物へのPEGの結合のために、活性化され得るか、または官能基部分に転換され得る。このような活性化されたPEGジオールは、本明細書では二活性化PEGと呼ばれる。例えば、PEGジオールの末端部分は、比較的非反応性ヒドロキシル部分である−OHの、N−ヒドロキシスクシンイミドからのスクシニミジル活性エステル部分での置換により、アミノ部分との選択的反応のための活性カーボネートエステルとして官能基化されてきた。
多くの応用において、PEG分子が一官能性(または一活性化)であるように、本質的に非反応性である部分を用いて、一方の末端においてPEG分子をキャップすることが所望される。活性化PEGについて複数の反応部位を一般的に示すタンパク質治療剤の場合において、二官能基活性化PEGは広範な架橋を導き、乏しい機能的凝集物を生じる。一活性化PEGを生成するために、PEGジオール分子の末端上の1つのヒドロキシル部分は、代表的に、非反応性メトキシ末端部分、−OCH3で置換される。他方のキャップされていないPEG分子の末端は、代表的には、反応性の末端部分に転換され、これは、表面またはタンパク質のような分子上の反応性部位における結合のために活性化され得る。
PAGは、代表的には、水および多くの有機溶媒における溶解性の特性を有し、毒性を欠き、および免疫原性を欠くポリマーである。PAGの1つの用途は、得られるPAG−分子「結合体」を可溶性にするために、不溶性分子にポリマーを共有結合させることである。例えば、水不溶性薬物パクリタキセルは、PEGにカップリングされたときに、水溶性になることが示されてきた。Greenwald et al.,J.Org.Chem.,60:331−336(1995)。PAG結合体は、しばしば、溶解性および安定性を増強するために使用されるのみならず、分子の血液循環半減期を延長するためにも使用される。
本発明のポリアルキル化化合物は、代表的には、5〜80kDaの間のサイズであるが、しかし、任意のサイズが使用され得、その選択はアプタマーおよび用途に依存する。本発明の他のPAG化合物は、10〜80kDaの間のサイズである。本発明のなお他のPAG化合物は、10〜60kDaの間のサイズである。例えば、PAGポリマーは、少なくとも10、20、30、40、50、60、または80kDaのサイズであり得る。このようなポリマーは、直鎖状または分枝状であり得る。ある実施形態において、ポリマーはPEGである。ある実施形態において、ポリマーは分枝状PEGである。なお他の実施形態において、ポリマーは、図3に示されるような40kDa分枝状PEGである。ある実施形態において、40kDa分枝状PEGは、図4に示されるようなアプタマーの5’末端に結合される。
生物学的に発現されたタンパク質治療剤とは対照的に、核酸治療剤は、代表的には、活性化されたモノマーヌクレオチドから化学合成される。PEG−核酸結合体は、同じ反復モノマー合成を使用してPEGを取り込むことによって調製され得る。例えば、ホスホルアミダイト型への転換によって活性化されたPEGは、固相オリゴヌクレオチド合成に組み込まれ得る。代替的には、オリゴヌクレオチド合成は、反応性PEG結合部位の部位特異的な取り込みを用いて完了され得る。最も一般的には、これは、5’末端における遊離の一級アミンの付加によって達成されてきた(固相合成の最後のカップリング工程において修飾因子のホスホルアミダイトを使用して取り込む)。このアプローチを使用して、反応性PEG(例えば、それがアミンと反応し、かつアミンと結合を形成するように活性化されるもの)が精製したオリゴヌクレオチドと合わされ、カップリング反応が溶液中で実行される。
PEG結合体化が治療剤の生物分布を変化させる能力は、結合体の見かけのサイズ(例えば、流体力学的半径によって測定される)を含む多数の要因に関連する。より大きな結合体(>10kDa)は、腎臓を介する濾過をより効果的にブロックすること、および結果として小さな高分子(例えば、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の血清半減期を増加させることが知られている。PEG結合体が濾過をブロックする能力は、およそ50kDaまでのPEGサイズを用いて増加することが示されてきた(さらなる増加は、半減期が腎臓を介する除去よりはむしろマクロファージ媒介性の代謝によって規定されるようになるために、最小限の有益な効果を有する)。
高分子量(>10kDa)PEGの産生は、困難、非効率的、かつ高価であり得る。高分子量PEG−核酸結合体の合成に向けた経路として、以前の研究は、より高分子量の活性化PEGの生成に向けて焦点が当てられていた。このような分子を生成するための1つの方法は、2つ以上のPEGが活性化基を有する中心コアに結合されている分枝状活性化PEGの形成を含む。これらのより高分子量のPEG分子の末端部分、すなわち、比較的非反応性のヒドロキシル(−OH)部分は、化合物上の反応性部位における、1つ以上のPEGの他の分子への結合のために、活性化され得るか、または官能基部分に転換され得る。分枝状活性化PEGは2つより多くの末端を有し、2つ以上の末端が活性化された場合においては、このような活性化されたより高分子のPEG分子は、本明細書では、多活性化PEGと呼ばれる。ある場合において、分枝状PEG分子におけるすべての末端が活性化されるわけではない。分枝状PEG分子の任意の2つの末端が活性化される場合において、このようなPEG分子は、二活性化PEGと呼ばれる。分枝状PEG分子における1つの末端のみが活性化される場合において、このようなPEG分子は、一活性化と呼ばれる。このアプローチの例として、反応のために引き続き活性化されるリジンコアへの2つのモノメトキシPEGの結合によって調製される活性化PEGが記載されている(Harris et al.,Nature,vol.2:214−221,2003)。
本発明は、多層PEG化核酸を含む、高分子量PEG−核酸(好ましくは、アプタマー)結合体の合成のための別のコスト的に効率的な経路を提供する。本発明はまた、PEG−連結マルチマー性オリゴヌクレオチド、例えば、ダイマー性アプタマーを包含する。本発明はまた、PEG安定化部分がアプタマーの異なる部分を分離するリンカーである高分子量組成物に関し、例えば、PEGが単一のアプタマー配列中に結合体化され、その結果、高分子量アプタマー組成物の直鎖状配置が、例えば、核酸−PEG−核酸(−PEG−核酸)nであり、ここで、nは1以上である。
本発明の高分子量組成物には、少なくとも10kDaの分子量を有するものが含まれる。組成物は、代表的には、10〜80kDaの間のサイズの分子量を有する。本発明の高分子量組成物は、少なくとも10、20、30、40、50、60、または80kDaのサイズである。
安定化部分は、本発明の高分子量アプタマー組成物の薬物動態学的および薬力学的特性を改善する、分子または分子の部分である。ある場合において、安定化部分は、2つ以上のアプタマー、またはアプタマードメインを近接に導き、または本発明の高分子量アプタマー組成物の全体的な回転自由度の減少を提供する分子または分子の部分である。安定化部分は、直鎖状または分枝状の、ホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得る、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコールであり得る。他の安定化部分には、ペプチド核酸(PNA)のようなポリマーが含まれる。オリゴヌクレオチドもまた安定化部分であり得;このようなオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、および/または修飾連結、例えば、ホスホロチオエートを含み得る。安定化部分は、アプタマー組成物の不可欠な部分であり得、すなわち、これはアプタマーに共有結合される。
本発明の組成物は、2つ以上の核酸部分が少なくとも1つのポリアルキレングリコール部分に共有結合的に結合体化されている高分子量アプタマー組成物を含む。このポリアルキレングリコール部分は安定化部分として働く。ポリアルキレングリコールが1つの分子中で一緒に核酸分子を連結するように、ポリアルキレングリコール部分がいずれかの末端でアプタマーに共有結合されている組成物において、このポリアルキレングリコールは連結部分と呼ばれる。このような組成物において、共有結合分子の一次構造は、直鎖状配置の核酸−PAG−核酸を含む。1つの例は、一次構造、核酸−PEG−核酸を有する組成物である。別の例は、核酸−PEG−核酸−PEG−核酸の直鎖状配置である。
核酸−PEG−核酸結合体を産生するために、核酸は、それが単一の反応部位を有する(例えば、これが一活性化されている)ように、もともと合成される。好ましい実施形態において、この反応性部位は、オリゴヌクレオチドの固相合成における最後の工程として、修飾因子ホスホルアミダイトの付加によって5’−末端において導入されるアミノ基である。脱保護および修飾オリゴヌクレオチドの精製の後、これは、活性化PEGの自発的な加水分解を最小化する、溶液中の高濃度で再構築される。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドの濃度は1mMであり、再構築された溶液は、200mM NaHCO3−緩衝液、pH 8.3を含む。結合体の合成は、高度に精製された二官能性PEGのゆっくりとした、段階的な付加によって開始される。好ましい実施形態において、PEGジオールが、スクシニミジルプロピオネートを用いる誘導体化によって、両方の末端(二活性化されている)において活性化される。反応後、PEG−核酸結合体は、ゲル電気泳動または液体クロマトグラフィーによって精製され、完全に結合体化された種、部分的に結合体化された種、および結合体化されていない種を分離する。連結された複数のPAG分子(例えば、ランダムまたはブロックコポリマーとして)またはより小さなPAG鎖が種々の長さ(または分子量)を達成するために連結され得る。非PAGリンカーは、種々の長さのPAG鎖間で使用され得る。
2’−O−メチル、2’−フルオロおよび他の修飾ヌクレオチドは、ヌクレアーゼに対してアプタマーを安定化し、およびそのインビボでの半減期を増加させる。3’−3’−dTキャップもまた、エキソヌクレアーゼ耐性を増加させる。例えば、その全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,674,685号;同第5,668,264号;同第6,207,816号;および同第6,229,002号を参照のこと。
(反応性核酸のPAG誘導体化)
高分子量PAG−核酸−PAG結合体は、1つより多くの反応部位を含む核酸との一官能性活性化PEGの反応によって調製され得る。1つの実施形態において、核酸は、二反応性または二活性化され、従来的なホスホロアミダイト合成、例えば:図5において図示される3’−5’−ジ−PEG化を通してオリゴヌクレオチドに導入された2つの反応部位:5’−アミノ基および3’−アミノ基を含む。代替的な実施形態において、反応部位は、一級アミンの結合のための部位として、例えば、ピリミジンの5位、プリンの8位、またはリボースの2’位を使用して、内部の位置において導入され得る。このような実施形態において、核酸は、いくつかの活性化された部位または反応部位を有し得、多活性化されるといわれる。合成および精製の後、修飾オリゴヌクレオチドは、自発性加水分解を最小化しながら、オリゴヌクレオチド反応部位を用いる選択的反応を促進する条件下で、一活性化PEGと合わせられる。好ましい実施形態において、モノメトキシ−PEGは、スクシニミジルプロピオネートを用いて活性化され、カップリング反応はpH 8.3で実行される。二置換PEGの合成を駆動するために、オリゴヌクレオチドと比較して化学量論的に過剰なPEGが提供される。反応後、PEG−核酸結合体はゲル電気泳動または液体クロマトグラフィーによって精製され、完全に結合体化された種、部分的に結合体化された種、および結合体化されていない種を分離する。
高分子量PAG−核酸−PAG結合体は、1つより多くの反応部位を含む核酸との一官能性活性化PEGの反応によって調製され得る。1つの実施形態において、核酸は、二反応性または二活性化され、従来的なホスホロアミダイト合成、例えば:図5において図示される3’−5’−ジ−PEG化を通してオリゴヌクレオチドに導入された2つの反応部位:5’−アミノ基および3’−アミノ基を含む。代替的な実施形態において、反応部位は、一級アミンの結合のための部位として、例えば、ピリミジンの5位、プリンの8位、またはリボースの2’位を使用して、内部の位置において導入され得る。このような実施形態において、核酸は、いくつかの活性化された部位または反応部位を有し得、多活性化されるといわれる。合成および精製の後、修飾オリゴヌクレオチドは、自発性加水分解を最小化しながら、オリゴヌクレオチド反応部位を用いる選択的反応を促進する条件下で、一活性化PEGと合わせられる。好ましい実施形態において、モノメトキシ−PEGは、スクシニミジルプロピオネートを用いて活性化され、カップリング反応はpH 8.3で実行される。二置換PEGの合成を駆動するために、オリゴヌクレオチドと比較して化学量論的に過剰なPEGが提供される。反応後、PEG−核酸結合体はゲル電気泳動または液体クロマトグラフィーによって精製され、完全に結合体化された種、部分的に結合体化された種、および結合体化されていない種を分離する。
連結ドメインもまた、そこに結合された1つ以上のポリアルキレングリコール部分を有し得る。このようなPAGは、種々の長さであり得、および組成物の所望の分子量を達成するために適切な組み合わせで使用され得る。
特定のリンカーの効果は、その化学組成と長さの両方によって影響され得る。長すぎるか、短すぎるか、またはIgEと好ましくない立体的および/もしくはイオン的相互作用を形成するリンカーは、アプタマーとIgEの間の複合体の形成を妨げる。核酸の間の距離にわたるよりも長いリンカーは、リガンドの有効濃度を減少することによって結合安定性を減少し得る。従って、標的へのアプタマーの親和性を最大化するために、リンカーの組成および長さを最適化することがしばしば必要である。
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許文書は、各々のこのような刊行物および文書が、参照により本明細書に援用されることが具体的にかつ個別に示されるように、参照により本明細書に援用される。刊行物および特許文書の引用は、いずれも適切な先行技術であることの認可として意図されず、またこれらの内容または日付に関してのいかなる認可も構成しない。本発明は、書かれた記載によって本明細書で説明されてきたが、当業者は、本発明が種々の実施形態において実施され得ること、および前述の記載および以下の実施例が例示の目的のためであり、以下の特許請求の範囲の限定ではないことを認識している。
(実施例1:アプタマー選択および配列)
(実施例1A:rRfY IgEアプタマーのh−IgE選択)
ヒト骨髄腫血漿から精製したヒトIgE(本明細書以下「h−IgE」)を、Athens Research and Technology(Athens,GA)から購入した。T7 RNAポリメラーゼ(Y639F)を発現させ、および精製した。2’−Fピリミジンヌクレオチド、ならびに2’−OMeプリンおよびピリミジンオリゴヌクレオチドを、TriLink BioTechnologies(San Diego,CA)から購入した。すべての他の一般的な試薬は、商業的な供給業者から購入した。1回の選択を、2’−OHプリンおよび2’−Fピリミジンヌクレオチド(rRfY)からなるプールを使用して、h−IgEに対するアプタマーを同定するために実行した。h−IgEに対する直接的選択を実行し、h−IgEに特異的な高親和性アプタマーを産生した。
(実施例1A:rRfY IgEアプタマーのh−IgE選択)
ヒト骨髄腫血漿から精製したヒトIgE(本明細書以下「h−IgE」)を、Athens Research and Technology(Athens,GA)から購入した。T7 RNAポリメラーゼ(Y639F)を発現させ、および精製した。2’−Fピリミジンヌクレオチド、ならびに2’−OMeプリンおよびピリミジンオリゴヌクレオチドを、TriLink BioTechnologies(San Diego,CA)から購入した。すべての他の一般的な試薬は、商業的な供給業者から購入した。1回の選択を、2’−OHプリンおよび2’−Fピリミジンヌクレオチド(rRfY)からなるプールを使用して、h−IgEに対するアプタマーを同定するために実行した。h−IgEに対する直接的選択を実行し、h−IgEに特異的な高親和性アプタマーを産生した。
プール調製。配列5’−
選択。選択を、2×1014分子の2’−Fピリミジン修飾ARC212プール
溶出したタンパク質を、RNA混合物から、フェノール:クロロホルムを用いて抽出し、このプールRNAを沈殿させた(2μL グリコーゲン、1体積イソプロパノール)。RNAを、製造業者の説明書に従って、配列番号7に従う3’プライマーを使用して、ThermoScript RT−PCR(商標)システム(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて逆転写した。cDNAをPCR(20mM Tris pH 8.4、50mM KCl、2mM MgCl2、0.5μM 5’プライマー(配列番号6)、0.5μM 3’プライマー(配列番号7)、0.5mM 各dNTP、0.05単位/μL Taqポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA))によって増幅した。PCR産物を、QIAquick PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)を使用して精製した。鋳型を、37℃で一晩のα32P ATPボディー標識(4% PEG−8000、40mM Tris pH 8.0、12mM MgCl2、1mM スペルミジン、0.002% Triton x−100、3mM 2’OHプリン、3mM 2’−F CTPおよびUTP、25mM DTT、無機ピロホスファターゼ、T7 RNAポリメラーゼ(Y639F)5μCi α32P ATP)を使用して転写した。反応物を、製造業者の説明書に従って、Centrisep Spinカラム(Princeton Separations,Adelphia,NJ)を使用して脱塩し、1.5mm変性ポリアクリルアミドゲル(8M 尿素、10% アクリルアミド;19:1 アクリルアミド:ビスアクリルアミド)上で精製した。
引き続くラウンドは、ネガティブ選択工程を加える以外は、ラウンド1と同じ方法を使用して反復した。タンパク質標的とのインキュベーションの前に、プールRNAを、0.45ミクロンニトロセルロースフィルターカラムに通して、フィルターに結合する配列を除去し、次いで、濾液を続いてポジティブ選択工程に供する。
代替的なラウンドにおいて、プールRNAをゲル精製した。転写反応を50mM EDTAでクエンチし、およびエタノール沈殿させ、次いで、1.5mm変性ポリアクリルアミドゲル上で精製した。プールRNAを、電気溶出によって、Elutrap(登録商標)装置(Schleicher and Schuell,Keene,NH)中で、225Vにて1時間、1×TBE(90mM Tris、90mM ホウ酸、0.2mM EDTA)中でゲルから取り出した。溶出した物質を、300mM 酢酸ナトリウムおよび2.5体積のエタノールの付加によって沈殿させた。
RNA濃度は、選択の全体を通してh−IgE濃度を超えたままであった。タンパク質濃度は、最初の2ラウンドについては1μMであり、次いで、引き続くラウンドの間により低い濃度に低下した(表1)。競合tRNAをラウンド4の始めに0.1mg/mLで結合反応に加えた。10ラウンドの選択が完了した後で、プールを2つに分けた。ラウンド11aは、10:1のプール対h−IgE濃度比率を有するポジティブ選択を用いて行った。ラウンド11bおよび12bにおいて、100:1のRNA対h−IgE濃度比率を使用した。これは、より高い親和性の結合物に向けた選択を駆動する試みにおいてストリンジェンシーを増加させるために行った。表1は、各ラウンドについて使用したプールRNA濃度、タンパク質濃度、およびtRNA濃度、(もしあれば)使用したネガティブ選択工程、ならびに製造業者の推奨(New England Biolabs,カタログ番号N3231L,Beverly,MA)に従ってロードした場合に100bp DNAラダー(約48ngのDNA量)の100bpマーカーレーンの強度に等しい4%アガロースゲルE−Gel(Invitrogen,Carlsbad,CA)上でのPCRバンドを得るために必要とされるPCRサイクルの数を含む選択の詳細を含む。
選択の進行は、ポジティブ選択の間にニトロセルロースフィルターから溶出したインプットプールRNAのパーセンテージを測定することを介してモニタリングした。
(表1.(rRfY)を使用する選択の各ラウンドで使用した条件)
(表2.クローン結合活性)
他に注記されない限り、以下に列挙された個々の配列は、5’から3’の方向で表され、rRfY SELEX(商標)条件下で選択した。ここで、プリン(AおよびG)は2’−OHであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−フルオロである。ある実施形態において、本発明は、以下の表3に記載される核酸配列を有するアプタマーを含む。他の実施形態において、表3に記載されるアプタマーの核酸配列は、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、3’逆位dT(3T))修飾、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。
(表3.rRfYアプタマーについての配列情報)
選択を、デオキシ−A残基、デオキシ−G残基および2’O−メチルC残基、2’O−メチルU残基を含むIgEアプタマー(dRmY組成物)を同定するために実行した。これは、疎水性プレート上に固定化されたh−IgEに対する直接的選択であった。この選択は、未処理の選択されていないプールに対する、h−IgE結合について有意に富化されたプールを産生した。
プール調製。配列5’−
(選択)100μLの1×PBS中で、室温で1時間、Nunc Maxisorp(Rochester,NY)疎水性プレートの表面に、20pモルのh−IgEを固定化することによって、選択の各ラウンドを開始した。次いで、上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液(1×PBS、0.1mg/mL tRNAおよび0.1mg/mL ssDNA)で5回洗浄した。ラウンド1において、100pモルのプールRNA(6×1013の独特な分子)を、ウェル中の100μL結合緩衝液(1×PBS、0.1mg/mL tRNAおよび0.1mg/mL ssDNA)中で、固定化されたタンパク質標的とともに室温で1時間インキュベートした。次いで、上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液で5回洗浄した。引き続くラウンドにおいて、ネガティブ選択工程が含まれた;ポジティブ選択工程の前に、プールRNAはまた、空のウェル中で室温で1時間インキュベートされ、プールから任意のプラスチック結合配列を除去した。ラウンド3を開始して、第2のネガティブ選択工程を導入して、非特異的結合物に対してさらに選択した;プールを、100μlブロッキング緩衝液(1×PBS、0.1mg/mL tRNA、0.1mg/mL ssDNAおよび0.1mg/mL BSA)で事前にブロックしたウェル中で1時間インキュベートした。前のラウンド3から、ポジティブ選択工程の前に、標的固定化ウェルを、100μlブロッキング緩衝液(1×PBS、0.1mg/mL tRNA、0.1mg/mL ssDNAおよび0.1mg/mL BSA)中で、室温で1時間ブロックした。すべての場合において、固定化したh−IgEに結合したプールRNAを、RTミックス(3’プライマー(配列番号25)およびThermoscript RT,Invitrogen)の添加、その後の65℃で1時間のインキュベーションによって、選択プレート中で直接的に逆転写した。得られるcDNAをPCR(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)のための鋳型として使用した。68℃アニーリング温度と共役した「ホットスタート」PCR条件を、プライマー−ダイマー形成を最小化するために使用した。PCR増幅は、製造業者の推奨(New England Biolabs,カタログ番号N3231L,Beverly,MA)に従ってロードした場合に、4%アガロースゲルE−Gel(Invitrogen,Carlsbad,CA)上で100bp DNAラダー(〜48ngのDNA量)の100bpマーカーレーンの強度に等しいPCRバンドを得るために必要とされるサイクルの数(以下の表4の最後のカラムに報告される)で実行した。増幅したプール鋳型DNAを、製造業者の推奨する条件に従ってMicro Bio−Spinカラム(Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて脱塩し、次のラウンドの選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために使用した。転写したプールは、各ラウンドにおいて、10%ポリアクリルアミドゲルを使用してゲル精製した。以下の表4は、dRmYアプタマー選択の各ラウンドについて使用される条件を示す。
(表4:dRmY組成物を使用する選択の各ラウンドにおいて使用される条件)
dRmY h−IgE選択は、6ラウンド選択後に、未処理のプールに対して、h−IgE結合について富化された。ラウンド6およびラウンド7において、プールKDはほぼ4nMであった。ラウンド6プールは、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を使用してクローニングし、31個の個別の配列を生成した。31個の配列、および21個のシングルトンのうち8および3によって表される2つのドミナントクローンが存在した。図6は、ラウンド6および7のプールについてのh−IgE濃度に対する結合した画分のプロットを示す。
(クローンのスクリーニング)KD決定のために、23個の独特な配列の各々のクローン転写物は、5’末端標識γ−32P ATPであった。KD値をドットブロットアッセイにおいて8点のスクリーニング(0〜300nM h−IgE、3倍の段階希釈)、および1×ダルベッコPBS;1.0mg/mL tRNA;0.1mg/mL 剪断サケ精子DNA;および0.1mg/mL BSAの緩衝液条件を使用して決定した。解離定数(KD)を、式:結合した画分RNA=振幅/(1+KD/[h−IgE])+バックグラウンドにデータをフィットさせて見積もった。これらの結合アッセイ条件下で、23個の独特な配列からの20個は有意な結合を示さなかった。配列番号43および配列番号46に従うクローンは、それぞれ、87.7nMおよび109.7nMの解離定数を示した。
23個の独特なクローンの各々は、異なるアッセイ条件下で、h−IgEへの結合について続けて再試験した。クローンは、標準的な化学合成および脱保護の方法を使用して合成的に作製した。次いで、クローンを、ゲル電気泳動によって精製した。痕跡量の5’−32P−標識アプタマーを、300nMから開始するヒトIgEの7つの減少濃度(3倍希釈)およびタンパク質なしのサンプルと合わせ、そしてdPBS(Mg++およびCa++を含む)および0.1mg/mL BSA中で、室温で30分間インキュベートした。KD値を、以前に記載されたようにドットブロットアッセイを使用して決定した。このアッセイを、各クローンについて3回反復した。平均結合パーセントを、各タンパク質濃度について計算し、平衡解離定数を式:
これらのアッセイ条件下で、配列番号43および配列番号46に従う核酸配列を有するクローンは、顕著に改善されたh−IgEへの結合を示し、23個の独特な配列からの6個のさらなるクローンが、低いナノモル濃度範囲におけるh−IgEへの高親和性結合を示した。タンパク質結合特徴の結果は表5Aに集計され、生成された22個すべてのクローンは以下の表5Bに列挙される。
(表5A:dPBS(Ca++およびMg++を有する)、0.1mg/mL BSA中でのdRmYクローン結合活性)
他に注記されない限り、以下に列挙された個々の配列は、5’から3’の方向で表され、dRmY SELEX(商標)条件下で選択した。ここで、プリン(AおよびG)はデオキシであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−OMeである。ある実施形態において、本発明は、以下の表5Bに記載される核酸配列を有するアプタマーを含む。他の実施形態において、表5Bに記載されるアプタマーの核酸配列は、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、3’逆位dT(3T))修飾、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。
(表5B.ラウンド6プール(すべてdRmY組成物)からの独特な配列)
選択を、2’−リボG残基および2’−リボA残基ならびに2’−OメチルC残基および2’−OメチルU残基を含むh−IgEアプタマー(rRmY組成物)を同定するために選択を実行した。これは、疎水性プレート上に固定化されたh−IgEに対する直接的選択であった。この選択は、未処理の選択されていないプールに対する、h−IgE結合について有意に富化されたプールを産生した。
(プール調製。)配列5’−
選択。100μLの1×ダルベッコPBS中で、室温で2時間、Nunc Maxisorp疎水性プレートの表面に、20pモルのh−IgEを固定化することによって、選択の各ラウンドを開始した。次いで、上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSA、および0.05% Tween−20)で4回洗浄した。プールRNAを3分間90℃に加熱し、10分間室温まで冷却して、再フォールディングした。ラウンド1において、ポジティブ選択工程を実施した。手短に述べると、1×1014分子(0.2nモル)のプールRNAを、ウェル中の100μL結合緩衝液(1×DPBS、0.05% Tween−20)中で、固定化されたタンパク質標的ともに室温で1時間インキュベートした。次いで、上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液で4回洗浄した。引き続くラウンドにおいて、ネガティブ選択工程が含まれた。ポジティブ選択工程の前に、プールRNAはまた、空のウェル中で室温で30分間インキュベートされ、プールから任意のプラスチック結合性配列を除去した。洗浄の回数は、ストリンジェンシーを増加させるために、ラウンド4の後では、2回のさらなる120μlの洗浄により増加された(全体で6×120μlの洗浄)。すべての場合において、固定化したh−IgEに結合したプールRNAを、RTミックス(3’プライマー(配列番号53)およびThermoscript RT,Invitrogen)の添加、その後の65℃で1時間のインキュベーションによって、選択プレート中で直接的に逆転写した。得られるcDNAをPCR(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)のための鋳型として使用した。60℃アニーリング温度と共役した「ホットスタート」PCR条件を、プライマー−ダイマー形成を最小化するために使用した。増幅したプール鋳型DNAを、製造業者の推奨する条件に従ってCentrisepカラム(Princeton Separations)を用いて脱塩し、次のラウンドの選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために使用した。転写したプールは、各ラウンド毎に、10%ポリアクリルアミドゲルを使用してゲル精製した。以下の表6は、ラウンドあたりのrRmY選択プールh−IgE使用を示す。
(表6:ラウンドあたりのrRmYプールおよびh−IgE使用)
選択は、4ラウンド後に、未処理のプールに対して富化された。選択のストリンジェンシーは、2回のさらなる120μlの洗浄によって増加され、選択は2回のさらなるラウンド継続した。ラウンド6において、プールKDはほぼ500nMであった。このプールは、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を使用してクローニングし、個々のクローン配列を得た。ラウンド6プールは、配列決定した24個のクローンの71%を構成する、配列番号56に従う核酸配列を有する1つのドミナントクローンを含んだ。このドミナントクローンは、複製で見られた3つのクローンと同様に、12点のスクリーニング(2倍の段階希釈での0〜250nM h−IgE)を使用して、h−IgEへの結合について試験した。3個の複製クローンは、ドミナントクローンよりも高い結合の程度を示したが、しかし、すべてのKDがほぼ500nMであった。96個の配列のさらなるセットが得られ、ドミナントクローンは、第1の配列セットにおいては明らかではなかった8個の他の配列ファミリーとともに、96クローンの40%を構成する配列番号56に従う核酸配列を有した。単一の点のスクリーニングを、さらなる独特な配列に対して実行した(+/−200nM h−IgE)。単一の点のスクリーニングに基づいて、KDは、12点のスクリーニング(0〜400nM h−IgE、2倍の段階希釈)を使用して、さらなる24個のKDの配列について決定した。これらのクローンの各々についてのKDは100nMを超えており、これらのクローンに対するさらなる取り組みは終了した。以下の表7は、選択したrRmyクローンのヌクレオチド配列を示す。
各アプタマーの独特な配列は、配列
他に注記されない限り、以下に列挙された個々の配列は、5’から3’の方向で表され、rRmY SELEX(商標)条件下で選択した。ここで、プリン(AおよびG)は2’−OHであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−OMeである。ある実施形態において、本発明は、以下の表7に記載されるような核酸配列を有するアプタマーを含む。他の実施形態において、表7に記載されるアプタマーの核酸配列は、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、3’逆位dT(3T))修飾、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。
(表7.rRmYの独特なクローン配列の情報)
(実施例2A:rRfY IgEクローンの最小化)
結合親和性を維持しながら、好ましくは、改善しながら、実施例1Aにおいて上記に記載されたIgEアプタマーを最小化するための取り組みを行った。h−IgE結合のために必要とされるコア構造エレメントを同定するために、高親和性h−IgE結合物のいくつかの3’境界を決定した。RNA転写物を、γ−32P ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて5’−末端で標識した。放射性標識したリガンドを、部分的アルカリ加水分解に供し、次いで、500nMの溶液中でh−IgEに選択的に結合させ、ニトロセルロースフィルター上に分配した。保持されたオリゴヌクレオチドを、8%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離した。h−IgEに結合した最小のオリゴヌクレオチドは3’境界を規定した。選択されたクローンの3’−境界は表8に記載する。境界実験ならびに予想倍率の視覚的検査に基づいて、短縮型構築物を調製し、オリゴは、Integrated DNA Technologies(Coralville,IA)に発注した。配列番号11、配列番号18、および配列番号21に従う核酸配列を有する親のクローンの最小化バージョンは、以前に記載されたサンドイッチフィルター結合アッセイによって測定された、有意なタンパク質結合を示した。ミニマーの結合データは表8に示し、対応する配列を表9に示す。
(表8:ミニマー結合活性)
(表9:rRfY最小化アプタマーの配列)
結合親和性を維持しながら、好ましくは、改善しながら、実施例1Bにおいて上記に記載されたdRmY IgEアプタマーを最小化するための取り組みを行った。配列番号43および配列番号46に従う核酸配列を有するクローンについての予想倍率の視覚的検査に基づいて、最小化配列のパネルを設計した。最高の親和性分子、ARC445(配列番号101)は23ヌクレオチド長であり、22nMのKDでh−IgEを結合した。データを表10に要約する。表11は、ARC441〜ARC447(配列番号97〜103)、ならびに配列番号43および配列番号46に従う核酸配列を有するクローンから誘導された短縮型のヌクレオチド配列を示す。
(表10:最小化されたdRmY h−IgE結合物)
他に注記されない限り、以下に列挙された個々の配列は、5’から3’の方向で表され、dRmY SELEX(商標)で選択した。ここで、すべてのプリン(AおよびG)はデオキシであり、すべてのピリミジン(UおよびC)は2’−O−メチルである。ある実施形態において、本発明は、以下の表11に記載されるような核酸配列を有するアプタマーを含む。他の実施形態において、表11に記載されるアプタマーの核酸配列は、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、3’逆位dT(3T))修飾、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。
(表11:配列番号43および配列番号46に従う核酸配列を有するクローンの短縮型)
ドープ再選択は、活性クローンまたはミニマー中での配列の要求性を探索するために使用する。ドープ再選択の間、選択は、単一の配列に基づいて設計された合成の縮重プールを用いて実行する。縮重のレベルは、通常、70〜85%までの野生型ヌクレオチドを変化させる。一般的に、ニュートラルな変異が観察され、ある場合において、配列の変化は、親和性の改善を生じ得る。次いで、複合性の配列情報を使用して、最小結合モチーフを同定し、およびアプタマー医薬品化学の取り組みを補助し得る。
最小化h−IgE結合配列ARC445(配列番号101)(実施例2Bに記載される)に基づくドーププールを使用する選択を、より高い親和性結合物を同定するために実行した。選択は、疎水性プレートの表面に固定化されたh−IgEに対してであり、複数のより長い洗浄(例えば、30分間、60分間、一晩)の組み合わせのようなより高い親和性のアプタマーに対して選択を駆動するように設計された技術を利用した。
(プール調製。)配列5’−
(選択。)100μLの1×ダルベッコPBS(DPBS)中で、室温で1時間、Nunc Maxisorp疎水性プレートの表面に、20pモルのh−IgEを固定化することによって、選択の各ラウンドを開始した。次いで、上清を除去し、ウェルを120μL 1×ダルベッコPBSで2回洗浄した。ウェルを、100μLブロッキング緩衝液(1×ダルベッコPBS、0.1mg/mL tRNA、0.1mg/mL サケ精子DNA、および0.1mg/mL BSA)を加えること、および室温で1時間インキュベートすることによってブロックした。上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液で2回洗浄した。ラウンド2で開始して、空のウェルへのネガティブ結合インキュベーション、およびBSAでブロックしたウェルへのネガティブ結合インキュベーションを、両方とも、RNAプールのために実行した。ポジティブ選択を、100μL 1×ダルベッコPBS中の100pモルのプールRNAを標的ウェルに加えることによって実行した。0.1mg/mL tRNAおよび0.1mg/mLサケ精子DNAもまた、ポジティブ選択に加えた。室温で1時間のインキュベーション後、上清を除去し、以下の表12に概説されるように、ウェルを120μL洗浄緩衝液(1×DPBS)を用いて5回洗浄した。さらなる選択を、ラウンド3およびラウンド4において選択されたプールを分岐することによって加えた。これらは、選択のストリンジェンシーを増加させるためにより長い洗浄を用いて行った。
RNAを、100μl反応量のThermoScript RT−PCR(商標)システム(Invitrogen)を用いて、配列番号5に従う3’プライマー配列を使用して、65℃で30分間逆転写した。cDNAを、PCR(20mM Tris pH 8.4、50mM KCl、2mM MgCl2、0.5μM 5’プライマー(配列番号52)、0.5μM 3’プライマー(配列番号105)、0.5mM 各dNTP、0.05単位/μL Taqポリメラーゼ(New England Biolabs))によって、製造業者の推奨(New England Biolabs,カタログ番号N3231L,Beverly,MA)に従ってロードした場合に、4%アガロースゲルE−Gel(Invitrogen,Carlsbad,CA)上で、100bp DNAラダー(約48ngのDNA量)の100bpマーカーレーンの強度に等しいPCRバンドを得るために必要とされるPCRサイクルの数を使用して増幅した(表12、最後のカラム)。次いで、PCR産物を、Centrisep Spinカラム(Princeton Separations)を使用して脱塩した。鋳型を、200mM Hepes、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、30μM GTP、2mM mCTP、2mM mUTP、2mM dGTP、2mM dATP、2mM GMP、2mM スペルミン、0.01単位/μl 無機ピロホスファターゼ、およびT7ポリメラーゼ(Y639F)を使用して、37℃で一晩転写した。引き続くラウンドのためのRNAは、10%ポリアクリルアミドゲル上で精製した。以下の表12は、ARC445(配列番号101)についてのドープ再選択プロフィールの要約を示す。
(表12.ARC445ドープ再選択プロフィール)
他に注記されない限り、以下に列挙された個々の配列は、5’から3’の方向で表され、dRmY SELEX(商標)下で選択した。ここで、すべてのプリン(AおよびG)はデオキシであり、ピリミジン(CおよびU)は2’−O−メチルである。ある実施形態において、本発明は、以下の表13に記載されるような核酸配列を有するアプタマーを含む。他の実施形態において、表13に記載されるアプタマーの核酸配列は、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、3’逆位dT(3T))修飾、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。
(表13.ARC445ドープ再選択からのクローンの配列)
(プール調製。)配列
100μLの選択緩衝液(1×SCHMK;実施例1Aを参照のこと)中で、室温で1時間、Nunc Maxisorp疎水性プレートの表面に、20pモルのh−IgEを固定化することによって、選択の各ラウンドを開始した。次いで、上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液(1×SCHMK、0.2% BSAおよび0.5% Tween−20)で4回洗浄した。ウェルを、100μLブロッキング緩衝液(1×SCHMCK、1% BSA、0.5% Tween−20)を加えること、および室温で1時間インキュベートすることによってブロックした。上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液で4回洗浄した。ラウンド1において、100μL選択緩衝液中の80pモルのプールDNA(1.5×1013の独特な分子)を、ネガティブ選択工程として、室温で1時間、ブランクウェル中でインキュベートして、非特異的結合物を排除した。次いで、上清を除去し、1×SCHMK中の12μLの9.1mg/mLサケ精子DNAを加え、この混合物を、標的タンパク質を含むウェルに移した。室温で1時間のインキュベーション後、上清を除去し、ウェルを120μL洗浄緩衝液で複数回洗浄した。以下の表14は、ドープ再選択についての選択条件を示す。
(表14.ラウンドおよび洗浄の関数としての選択ストリンジェンシー)
選択ラウンド3および5の後で、プール鋳型を、配列番号115および
(表15.選択したDNAアプタマーの長さおよび結合親和性)
(表16.DNA h−IgEドープ再選択アプタマー配列情報(クローン配列はプライマー領域なしで列挙される))
ARC455(配列番号101)の高度に安定かつ強力な改変体を、アプタマー合成、精製および結合活性のアッセイの複数のフェーズを含む、系統的合成アプローチを通して同定した。2’−デオキシ含有残基の2’−Oメチル含有残基での系統的置き換えなどの修飾は、血漿のヌクレアーゼ耐性および全体的な安定性の顕著な増加を達成するために使用される基本的アプローチであった。
ARC445(配列番号101)に導くクローンのスクリーニングおよび最小化のプロセスの間、結合(以前に記載されたドットブロットアッセイによって測定される)、ELISA、FACSおよびヒスタミン放出アッセイ(以下の実施例3において記載される)におけるアプタマーの相対的強度の間に優秀な一致が存在した。従って、試験改変体の大部分を、相対的強度の指標として、ドットブロット結合アッセイにおいてh−IgE結合親和性について試験した。KD決定のために、化学合成されたアプタマーを、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して精製し、γ−32P ATPを用いて5’末端標識し、そして完全なヒトh−IgEへの直接的結合について試験した。8点のタンパク質滴定({100nM、30nM、10nM、3nM、1nM、300pM、100pM、0pM}または{10nM、3nM、1nM、300pM、100pM、30pM、10pM、0pM}のいずれか)を、以前に記載されたドットブロット結合アッセイにおいて、ダルベッコPBS(Mg++およびCa++を含む)中で、0.1mg/mL BSAを用いて、室温で30分間使用した。KD値を、カレイダグラフ(カレイダグラフv.3.51,Synergy Software)を使用して、式 y=(max/(1+K/タンパク質))+yintにフィットさせることによって計算した。合成され、精製されおよびh−IgEへの結合についてアッセイされたARC445誘導体の配列、ならびにタンパク質結合の特徴付けの結果を、表17において以下に集計する。
デオキシ含有残基の2’−Oメチル含有残基を有する残基での置き換えのプロセスにおける第1の工程は、ARC1250〜ARC1264(配列番号158〜172)の合成およびその結合活性についてのアッセイであった。これらの各々は、3’−逆位−dT(3T)の付加および単一の2’−デオキシ残基の2’−Oメチル残基での置き換えを有するARC445に等価である。表17における結合データから見られ得るように、ある位置は、デオキシ残基の2’−Oメチル残基に対する置換を容易に許容するのに対して、他の位置はそうではない。興味深いことに、2’−デオキシ残基の2’−Oメチル残基による置き換えは、10位における親和性の顕著な改善を付与した(ARC1256)(配列番号164)。
アプタマー医薬品化学プロセスのフェーズ1からの構造活性相関(SAR)の結果に基づいて、第2のシリーズのアプタマーを設計し、合成し、精製し、およびh−IgEへの結合について試験した。これらおよびすべての続く分子について、1nM未満またはよりよい親和性(KD)を保持した分子を、さらなるアプタマー設計ストラテジーに到達する際に使用した。ARC1332〜ARC1337(配列番号173〜178)を生じたフェーズ2において、フェーズ1からのデータを使用して、もっぱら2’−Oメチル置換を使用するより高度に修飾された複合分子を設計した。安定化ホスホロチオエート含有連結の付加もまた試験した。単純な結合親和性によるこれらの最良のものは、ARC1335(配列番号176)であった。
アプタマー医薬品プロセスのフェーズ3(ARC1382〜ARC1384、配列番号179〜181)およびフェーズ4(ARC1572〜1573、配列番号182〜183)において、ARC1335(配列番号176)の関係におけるさらなるホスホロチオエート修飾の効果を試験した。ホスホロチオエートの中間体の数と最高の親和性の間の最良のバランスをとるように見えるこれらの制限されたシリーズからの分子は、ARC1384(配列番号181)であった(図7を参照のこと)。
ARC445およびその誘導体の合成の間、ARC445のマルチマー凝集物に対応するように見えるピークが、イオン交換HPLC上で観察された。図8は、ARC445およびいくつかの誘導体のHPLC追跡分析の例であり、これは、アプタマー凝集物に起因する複数のピークを示す。ARC445は、6〜9位および16〜21位のグアノシン残基の2つのランを含む。理論によって束縛されることを意図しないが、これらのランのいずれかまたは両方は、アプタマー凝集の原因であり得る。臭化エチジウム蛍光が二重鎖RNAおよびDNAへの結合の際に増加されるほとんど同じやり方で、N−メチルメソポルフィリンIX(NMM)蛍光は、Gカルテット構造への結合の際に増加されることが報告されている(Arthanari et al.,Nucleic Acids Research,26(16):3724(1996);Marathais et al.,Nucleic Acids Research,28(9):1969(2000);Joyce et al.,Applied Spectroscopy,58(7):831(2004))。従って、図9に示されるように、本発明者らは、ARC445が実際にGカルテット構造を採用することを確立するためにNMM蛍光を使用した。文献のプロトコールに従って、マグネシウムおよびカルシウムを含むダルベッコPBS中の約1μM NMMおよび約2μMアプタマーを含む100μl反応を、SpectraMax Gemini XS蛍光プレートリーダーを使用して分析した。蛍光発光スペクトルを、405nmの励起波長を用いて、550〜750nmで収集した。抗トロンビンDNAアプタマーARC183のGカルテット構造は、文献中で長い間確立されており(Macaya et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:3745(1993))、従って、この実験におけるポジティブコントロールとして使用した(図10)。図10に示すARC1346は、Gカルテット構造を有することが予想されないARC445の類似のサイズおよびヌクレアーゼ組成のアプタマーであり、それゆえに、実験におけるネガティブコントロールである(図10)。図9および10において見られ得るように、ARC183およびARC445は、NMM単独と比較してNMM蛍光の顕著な増加を示したのに対して、ネガティブコントロール、ARC1346はそのような増加を示さなかった。
dGをdGアナログで置換すること、およびNMM蛍光アッセイにおいて「Gカルテット」シグナルの最小化についてスクリーニングすることに加えて、アプタマーは、dGアナログがh−IgEについての親和性を改善し、およびこれによる効力を改善したか否かを試験するために、ドットブロットアッセイおよび以前に記載された結合条件(ダルベッコPBS(Ca++およびMg++を含む)+0.1mg/mL BSA、室温で30分間)を使用して、結合についてスクリーニングした。試験した第1のアナログは、デオキシ−7−デアザGであった。プリン塩基上の7位の窒素を炭素によって置き換えて、Gカルテット中でのG:G対合のために必要である水素結合アクセプターを効率的に除去する。フェーズ5.1(配列番号184〜201)において、ARC445における各々の個々のGを7−デアザGで置き換える。図8および図9において見られ得るように、18〜20位におけるG N−7の除去は(ARC909〜911、配列番号191〜193)、HPLCおよびNMM蛍光によって観察されるアプタマー凝集を完全に除去した。しかし、これらの置換はまた、図11において示される結合曲線によって実証されるように(表17において報告されるKD値もまた参照のこと)、h−IgEへの結合を完全に除去する。ARC912(配列番号194)はまた、HPLC凝集の顕著な減少を示し、h−IgEへのある程度の結合を保持した。ARC192(配列番号194)についての結合の結果およびHPLCに基づいて、3:21位におけるmC:dG対は、マルチマー性凝集を減少させるための試みにおいて、21位においてdGを有さない別のワトソン/クリック対合で置換した。これは、ARC1244〜ARC1249(配列番号195〜200)において行ったが、ARC445(配列番号101)になお比較可能である親和性を有するいかなるアプタマーも産生せず、従って、ARC445の修飾についてのオプションとして取り下げた。
いかなる理論によっても束縛されることを望まないが、dGの7−デアザ−Gでの置換は、凝集現象の可能性のある原因は16〜21位のより長いGランであること、および試験された残基の多くにおけるN−7位が、直接的水素結合相互作用を通して、またはアプタマーの機能的フォールディングを促進するアプタマーそれ自体における他の残基との相互作用を通してのいずれかで、h−IgEへの高親和性結合のために必要とされ得ることの洞察を提供した。
アプタマー医薬品化学プロセスのフェーズ5.2において(配列番号201〜211)、dGは、ARC1335(配列番号176)の状況でデオキシイノシンで置換した。デオキシイノシンは、デオキシグアノシンにおいて見い出される環外アミンを欠くので、単一のアミノ〜N7の水素結合は、各dGについて、潜在的なGカルテットから、dI置換まで除去される。ARC1548、1552〜1555、および1562〜1567(それぞれ配列番号201〜211)についての結合アッセイは、dGの、dI置換へのSAR関連性が、dGの7−デアザ−G置換へのその関連性からほぼ完全に逆転したことを明らかにした。dIシリーズにおいて、置換は、6〜9位で許容されなかったのに対し、これらは16〜21位では中程度〜非常に良好に許容された。
フェーズ5.2からの結果は、ARC1384の状況において、複数のdGからdIへの置換を含む複合分子の設計に導いた。フェーズ5.3(配列番号212〜219)からの結果は、ARC445(配列番号101)およびARC1384(配列番号181)を比較して、非常に改善された親和性を有する多数のアプタマーを産生した。例えば、ARC1666(配列番号216)は、図12において示されるように、NMM蛍光によってアッセイされるようなGカルテット形成を顕著に減少することも示した。
ある実施形態において、本発明は、以下の表17に記載されるような核酸配列を有するアプタマーを含む。ある実施形態において、以下の表17に記載されるアプタマーの核酸配列は、欠いている場合、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、逆位dTキャップ(3T))修飾、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。他の実施形態において、表17に記載される核酸配列は、示される3’キャップ(例えば、3’逆位dTキャップ(3T))を欠く。小文字「f」、「m」および「d」は、2’−フルオロ、2−O−メチル、およびデオキシ修飾をそれぞれ示す。「s」は、ヌクレオチド間ホスホロチオエート置換を示し、「I」はグアノシン代わりのイノシン置換を示す。
(表17:ARC445修飾誘導体の配列および結合親和性)
ARC656(配列番号157)の高度に安定かつ強力な改変体(実施例2Dにおいて記載される)を、アプタマー合成、精製および結合活性のアッセイの複数のフェーズを含む、系統的合成アプローチを通して同定した。2’−デオキシ含有残基の2’−Oメチル含有残基での系統的置き換えは、血漿ヌクレアーゼ耐性および全体的な安定性の顕著な増加を達成するために使用される基本的アプローチであった。
ARC656(配列番号157)に導くクローンのスクリーニングおよび最小化のプロセスの間、結合(以前に記載されたドットブロットアッセイによって測定される)、ELISA、FACSおよびヒスタミン放出アッセイ(以下の実施例3において記載される)におけるアプタマーの相対的強度の間に優秀な一致が存在した。従って、ドットブロットアッセイ結合アッセイにおいて測定したh−IgEについての試験改変体の結合親和性を使用して、合成したアプタマーの大部分の相対的効力を特徴付けした。KD決定のために、化学合成されたアプタマーを、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して精製し、γ−32P ATPを用いて5’末端標識し、そして完全なヒトh−IgEへの直接的結合について試験した。8点のタンパク質滴定{30nM、10nM、3nM、1nM、300pM、100pM、30pM、0pM}を、ドットブロット結合アッセイにおいて、ダルベッコPBS(Mg++およびCa++を含む)中で、0.1mg/mL BSAを用いて使用した。KD値を、カレイダグラフ(カレイダグラフv.3.51,Synergy Software)を使用して、式 y=(max/(1+K/タンパク質))+yintにフィットさせることによって計算した。合成され、精製されおよびh−IgEへの結合についてアッセイされたARC656誘導体の配列、ならびにタンパク質結合の特徴付けの結果を、表18において以下に集計する。
デオキシ含有残基の2’−Oメチル含有残基を有する残基での置き換えのプロセスにおける第1の工程は、ARC1265〜ARC1306(配列番号220〜261)の合成およびその結合活性についてのアッセイであった。これらの各々は、単一の2’−デオキシ残基の2’−Oメチル残基での置き換えを有するARC656に等価である。表18における結合データから見られ得るように、ある位置は、2’−Oメチル残基に関するデオキシ残基の置換を容易に許容するのに対して、他の位置はそうではない。ARC656の提案されたステム領域は、デオキシ含有残基の2’−Oメチル残基での置換を最高に許容した。加えて、フェーズ1は、アプタマーのステム領域中で、デオキシから2’−Oメチルへのいくつかのブロック置換を含んだ。
アプタマー医薬品化学設計のフェーズ1からの構造活性相関(SAR)の結果に基づいて、第2のシリーズのアプタマーを設計し、合成し、精製し、およびh−IgEへの結合について試験した。安定化ホスホロチオエート含有連結の付加(ARC1391(配列番号266)およびARC1417(配列番号292))もまた試験した。単純な結合親和性によるこれらの最良のものは、ARC1410(配列番号285)であった。試験した多くの構築物は、h−IgEについての比較的高い親和性結合を保持することが明らかであるが、それらのいくつかは親の化合物ARC656(配列番号157)に対して等価である親和性を保持する。
ある実施形態において、本発明は、以下の表18に記載されるような核酸配列を有するアプタマーを含む。ある実施形態において、以下の表18に記載されるアプタマーの核酸配列は、欠いている場合、高分子量、非免疫原性化合物(例えば、PEG)への化学カップリングおよび/または結合体化を容易にするための、3’キャップ(例えば、逆位dTキャップ(3T))、および/または5’アミン(NH2)修飾をさらに含む。他の実施形態において、表18に記載される核酸配列は、示される3’キャップ(例えば、3’逆位dTキャップ(3T))を欠く。ヌクレオチドの略号A、C、G、またはTに先行する小文字「f」「m」および「d」は、2’−フルオロ、2−O−メチル、およびデオキシ修飾をそれぞれ示し、「s」は、ヌクレオチド間ホスホロチオエート置換を示す。
(表18:ARC656修飾誘導体の配列および結合親和性)
5’−アミン修飾アプタマーのアリコートを、異なるPEG部分(例えば、40kDa、60kDaのPEG部分)に、合成後に結合体化した。アプタマーを、1.5〜3mMの間の濃度まで、水/DMSO(1:1)溶液中に溶解した。炭酸ナトリウム緩衝液、pH 8.5を、100mMの最終濃度まで加え、オリゴを、等容量のアセトニトリルに溶解した所望のPEG試薬(例えば、40kDa Sunbright GL2−400NP p−ニトロフェニル炭酸エステル[NOF Corp,Japan]、40kDaまたは60kDa mPEG2−NHSエステル[Nektar,Huntsville AL])の1.7〜3倍モル濃度過剰とともに一晩反応させた。得られる40kDaまたは60kDa PEG化生成物を、Super Q 5PW(30)レジン(Tosoh Biosciences)上のイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、Amberchrom CG300−Sレジン(Rohm and Haas)上で実行される逆相クロマトグラフィーを使用して脱塩し、そして凍結乾燥した。
得られるPEG化アプタマー配列を以下の表19に列挙する。小文字「f」、「m」、および「d」は、それぞれ、2’−フルオロ、2−O−メチル、およびデオキシ修飾を示し、「s」はヌクレオチド間ホスホロチオエート置換を示す。「I」は、グアノシンの代わりのイノシン置換を示し、「NH」は化学カップリングを容易にするためのアミンを示し、および「3T」は3’逆位dTを示す。
(表19.抗IgEアプタマーARC1666の5’PEG結合体)
(実施例2H:アプタマー−3’−5’−PEG結合体の合成)
オリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチド
3’−5’−ジアミン修飾アプタマーのアリコートを、異なるPEG部分(例えば、20kDaおよび30kDaのPEG部分)に、合成後に結合体化した。アプタマーを、1.5〜3mMの間の濃度まで、水/DMSO(1:1)溶液中に溶解した。炭酸ナトリウム緩衝液、pH 8.5を、100mMの最終濃度まで加え、オリゴを、等容量のアセトニトリルに溶解した所望のPEG試薬(例えば、20kDaまたは30kDa Sunbright GL2−400NP p−ニトロフェニル炭酸エステル[NOF Corp,Japan])の2.7〜3.5倍モル濃度過剰とともに一晩反応させた。得られる2×20kDaまたは2×30kDa PEG化生成物を、Super Q 5PW(30)レジン(Tosoh Biosciences)上のイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、Amberchrom CG300−Sレジン(Rohm and Haas)上で実行される逆相クロマトグラフィーを使用して脱塩し、そして凍結乾燥した。
得られる二PEG化アプタマー配列を以下の表20に列挙する。小文字「f」、「m」、および「d」は、それぞれ、2’−フルオロ、2−O−メチル、およびデオキシ修飾を示し、「s」はヌクレオチド間ホスホロチオエート置換を示す。「I」は、グアノシンの代わりのイノシン置換を示し、および「NH」は化学カップリングを容易にするためのアミンを示す。
(表20.抗IgEアプタマーARC1666の3’−5’PEG結合体)
(実施例3:機能的細胞アッセイ)
(実施例3A:レセプター(FcεR1)結合阻害ELISA)
rRfY IgEアプタマーのパネル(実施例1Aにおいて上記に記載される)を、ELISAアッセイを使用して、h−IgEと可溶性モノマーFcεR1α(研究室内で精製)の間の複合体形成を阻害する能力について試験した。1×PBS中のFcεR1(100μL、10μg/mL)を、Nunc Maxisorb 96ウェルプレートのウェル中で、4℃で一晩インキュベートして、ウェルの表面をコートした。上清を除去し、ウェルを120μl 1×PBSで3回洗浄し、そして300mL 1×PBS+0.2% Tween−20で4℃にて2時間ブロックした。ブロッキング後、ウェルを3回、1×PBSで洗浄した。次に、種々の濃度のアプタマーを、100μL PBS+0.05% Tween−20中の0.5nM h−IgEとともに、室温で30分間インキュベートし、次いで、この混合物をアッセイウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。次いで、ウェルを、120μL 1×PBSで5回洗浄した。結合したh−IgEを、HRP−標識した抗h−IgEポリクローナル抗体(ヤギ抗ヒトIgE−HRP(074−1004)(KPL,Gaithersburg,MD))の添加によって検出した。Quantablue基質(Pierce,Rockford,IL)を使用して、ペルオキシダーゼ活性を検出した。100μlのQuantablue基質を各ウェルに加え、室温で15分間インキュベートした。次に、100μlの供給される停止溶液を各ウェルに加え、プレートを、SpectraMax 96ウェルプレートリーダー上で、それぞれ325nmおよび420nmの励起/発光で読み取った。各ウェルの相対的な蛍光単位(RFU)を使用してIC50を計算した。以下の表21は、rRfy選択からの種々のアプタマーを用いるFcεRIαレセプター阻害について計算されたIC50を示す。
(実施例3A:レセプター(FcεR1)結合阻害ELISA)
rRfY IgEアプタマーのパネル(実施例1Aにおいて上記に記載される)を、ELISAアッセイを使用して、h−IgEと可溶性モノマーFcεR1α(研究室内で精製)の間の複合体形成を阻害する能力について試験した。1×PBS中のFcεR1(100μL、10μg/mL)を、Nunc Maxisorb 96ウェルプレートのウェル中で、4℃で一晩インキュベートして、ウェルの表面をコートした。上清を除去し、ウェルを120μl 1×PBSで3回洗浄し、そして300mL 1×PBS+0.2% Tween−20で4℃にて2時間ブロックした。ブロッキング後、ウェルを3回、1×PBSで洗浄した。次に、種々の濃度のアプタマーを、100μL PBS+0.05% Tween−20中の0.5nM h−IgEとともに、室温で30分間インキュベートし、次いで、この混合物をアッセイウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。次いで、ウェルを、120μL 1×PBSで5回洗浄した。結合したh−IgEを、HRP−標識した抗h−IgEポリクローナル抗体(ヤギ抗ヒトIgE−HRP(074−1004)(KPL,Gaithersburg,MD))の添加によって検出した。Quantablue基質(Pierce,Rockford,IL)を使用して、ペルオキシダーゼ活性を検出した。100μlのQuantablue基質を各ウェルに加え、室温で15分間インキュベートした。次に、100μlの供給される停止溶液を各ウェルに加え、プレートを、SpectraMax 96ウェルプレートリーダー上で、それぞれ325nmおよび420nmの励起/発光で読み取った。各ウェルの相対的な蛍光単位(RFU)を使用してIC50を計算した。以下の表21は、rRfy選択からの種々のアプタマーを用いるFcεRIαレセプター阻害について計算されたIC50を示す。
(表21.レセプター(FcεR1)結合阻害−rRfYアプタマー)
rRfY、dRmYおよびDNA組成物を表すアプタマーのパネルを、ラット好塩基球性白血病(RBL)細胞の表面上に発現されたFcεR1へのh−IgEの結合を阻害する能力について試験した。h−IgEレセプターのヒトα鎖、β鎖、およびγ鎖を安定に発現するSX38細胞、RBL細胞株(Harvard University,Cambridge,MA)を、フローサイトメトリーh−IgE結合アッセイにおいて使用した。細胞を、16%胎仔ウシ血清(FBS)および1mg/mL G418(Invitrogen)を有するイーグル最小必須培地(MEM)中で、37℃、5%CO2で培養した。1% BSA(Sigma,St.Louis,MO)および0.03% アジ化ナトリウム(VWR,West Chester,PA)を伴う1×DPBS(FACS緩衝液)中の100万個のSX38細胞を、96ウェルプレート中で適切な数のウェルにアリコートとし、氷上で30分間インキュベートした。各アプタマー濃度について、アプタマー+h−IgE(Athens Research and Technology,Athens,GA)の2×混合物を氷上で30分間インキュベートした。アプタマーおよびh−IgEの混合物を、SX38細胞に加えて、最終的な1×濃度を得、さらに30分間氷上でインキュベートした。0〜1μMの範囲の最終的なアプタマー濃度を、3μg/mL h−IgE(15nM)に対してスクリーニングした。次いで、細胞を、FACs緩衝液で3回洗浄し、レセプターに結合しなかった任意のh−IgEを除去する。h−IgE結合を検出するために、抗h−IgE−FITC抗体(QED Biosciences,San Diego,CA)を細胞に加え、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をFACs緩衝液で3回洗浄し、任意の未結合抗体を除去した。細胞をFACs緩衝液に再懸濁し、FACSCAN(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して分析した。h−IgE単独および未処理プールに対するh−IgEを、それぞれ、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして含めた。h−IgEアプタマー活性を、細胞へのh−IgE結合の阻害パーセントによって測定した。平均蛍光強度値を使用して、阻害パーセントを計算した。表22は、FACSアッセイによって計算されるように選択された、種々のrRfY、dRmY、およびDNAクローンについてのIC50を示す。
(表22.FACSアッセイによるrRfY、dRmY、DNAクローン:レセプター(FceR1)結合阻害)
(表23:FACSアッセイによる、ARC445修飾誘導体;ARC656:レセプター(FceR1)結合阻害)
(表24)
アプタマーを、カニクイザルIgEとFcεR1α−Fcの間の複合体形成を阻害する能力について、ELISAアッセイを使用して試験した。PBS中のFcεR1α−Fc(100mL、5μg/mL)を、Nunc Maxisorb96ウェルプレートのウェル中で4℃にて一晩インキュベートし、ウェルの表面をコートした。上清を除去し、ウェルを120μl 1×PBSで3回洗浄し、そしてウェルを、300μL PBS+0.2% Tween−20を用いて、4℃で2時間ブロックした。このウェルを120μl 1×PBSで3回洗浄した。次に、種々の濃度のアプタマーを、100μL PBS中の0.5ng h−IgE(またはPBSで10%に希釈したカニクイザル血清(Sigma))とともに、室温で30分間インキュベートし、次いで、この混合物をアッセイウェルに加えて、室温で1時間インキュベートした。次いで、ウェルを120μL PBSで5回洗浄した。結合したIgE(サルとヒトの両方)を、HRP−標識抗IgEポリクローナル抗体(ヤギ抗ヒトIgE−HRP(074−1004)(KPL,Gaithersburg,MD))の添加によって検出した。Quantablue基質(Pierce,Rockford,IL)を、ペルオキシダーゼ活性を検出するために使用した。100μlのQuantablue基質を各ウェルに加え、室温で15分間インキュベートした。次に、100μlの提供された停止溶液を各ウェルに加え、プレートを、SpectraMax96ウェルプレートリーダー上で、それぞれ325nmおよび420nmの励起/発光で読み取った。各ウェルの相対的蛍光単位(RFU)を、IC50を計算するために使用した。
配列番号149(3’逆位デオキシチミジンを有する)および配列番号151(3’逆位デオキシチミジンを有する)に従う核酸配列を有するDNAに従うアプタマーの存在、または配列番号90および配列番号93に従う核酸配列を有するrRfYアプタマーの存在は、それぞれ250nMおよび1μMまでの濃度で、FcεR1−Fcへのサルの結合を阻害しなかったのに対して、dRmYアプタマーARC445(配列番号101)およびARC1666(配列番号216)は、相互作用をブロックする際に全く強力であり(ARC445、IC50サル=161nM;IC50ヒト=63nM;ARC1666、IC50サル=8nM;IC50ヒト=5nM)、この分子が、カニクイザルIgEおよびヒトIgEと交差反応性であることを示す。さらなるコントロール実験は、ARC445が、このアッセイ形式においてサルIgEの検出を示さなかったことを示した。
図13は、FACSによって、IgE:FcεR1結合阻害において最高の効力を示す、rRfY、dRmYおよびDNA最小化アプタマーについての可能性のある二次構造を示す。左:配列番号91(fRfY)、縁取り文字の残基は2’−Fである;中央:ARC445(配列番号101)(dRmY)、下線を付した残基は2’−デオキシであり、縁取り文字の残基は2’−OMeである;右:ARC475(配列番号151)(DMA)、下線を付した残基は2’−デオキシである。
(実施例3D:ヒスタミン放出の阻害)
IgEアプタマーの細胞ベースの活性を、h−IgEレセプターのヒトα鎖、β鎖、およびγ鎖を安定して発現するRBL細胞株である、SX38細胞(Dana Farber Cancer Institute,Boston,MA)を使用するヒスタミン放出アッセイを使用して測定した。SX38細胞の上清は、h−IgEおよび抗h−IgE架橋抗体の存在下で、アプタマーブロックされた細胞よりも多くのヒスタミンを含むので、競合ヒスタミンELISA(Immuno−Biological Laboratories,Minneapolis,MN)を使用して、h−IgEおよびh−IgE架橋抗体+/−IgEアプタマーで処理されたSX38細胞の上清に放出されたヒスタミンのレベルを定量した。
IgEアプタマーの細胞ベースの活性を、h−IgEレセプターのヒトα鎖、β鎖、およびγ鎖を安定して発現するRBL細胞株である、SX38細胞(Dana Farber Cancer Institute,Boston,MA)を使用するヒスタミン放出アッセイを使用して測定した。SX38細胞の上清は、h−IgEおよび抗h−IgE架橋抗体の存在下で、アプタマーブロックされた細胞よりも多くのヒスタミンを含むので、競合ヒスタミンELISA(Immuno−Biological Laboratories,Minneapolis,MN)を使用して、h−IgEおよびh−IgE架橋抗体+/−IgEアプタマーで処理されたSX38細胞の上清に放出されたヒスタミンのレベルを定量した。
実験の1日前に、ウェルあたり20万(200,000)個のSX38細胞を、24ウェルプレート中のMEM+16%FBSにプレートした。翌日、適切な濃度のアプタマー(1μMで開始する、2倍の段階希釈の8点滴定)+3μg/mLのh−IgE(Athens Research and Technology,Athens,GA)を、MEM+16%FBS中で30分間、一緒にインキュベートした。次いで、この混合物をSX38細胞に加え、37℃、5%CO2で30分間インキュベートした。各濃度を4連で試験した。細胞をMEM+16%FBSで3回洗浄し、次いで、MEM+16%FBS中でさらに5.5時間インキュベートした。h−IgE架橋抗体(QED Biosciences,San Diego,CA)を、1μg/mLの濃度で、細胞上の培地に加え、さらに2時間インキュベートした。上清を収集し、ヒスタミンELISAにおける使用まで−20℃で凍結した。ヒスタミンELISAを、製造業者の推奨に従って使用した。h−IgE単独および未処理プールに対するh−IgEを、それぞれ、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールとして含めた。IgEアプタマー活性を、図14において示されるように、上清へのヒスタミンの放出の阻害パーセントによって測定した(ここで、ARC445は配列番号101であり、ARC656は配列番号157であり、そしてARC714は非結合ネガティブコントロールである)。
ARC445(配列番号101)のいくつかの修飾誘導体(実施例2Eに記載される)もまた、DNAアプタマー、ARC656(配列番号157)(実施例2Dに記載される)とともに、上記のようにSX38細胞におけるヒスタミン放出を阻害する能力について試験した。試験したARC445誘導体についての計算したIC50を表25に要約する。
(表25:ARC445修飾誘導体;ARC656:SX38細胞におけるヒスタミン放出の阻害)
実施例4において、この実施例におけるすべての分子量に基づく濃度データは、PEG結合体化によって付与される分子量に関わらず、アプタマーのオリゴヌクレオチド部分の分子量のみをいう。
(実施例4A:抗IgEアプタマーの血漿安定性)
アプタマー医薬品化学プロセスにおいて同定されたアプタマーのサブセットを、ヒトとラットの両方の血漿中でのヌクレオチド安定性についてアッセイした。血漿ヌクレアーゼ分解は、以下に記載されるように、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動上で測定した。手短に述べると、血漿安定性の決定のために、化学合成したアプタマーを、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して精製し、γ−32P ATPで5’末端標識し、次いで再度ゲル精製した。痕跡量の32P−標識アプタマーを、200マイクロリットル結合反応において、95%ヒト血漿(または95%ラット血漿)中の100nMの未標識アプタマーの存在下でインキュベートした。0時点での反応を、血漿がPBSで置き換えられた以外は、同じ成分を用いて別々に作製した。これは、ゲル上にロードされた量または放射能が実験にわたって一貫していたことを保証した。反応は、他に特定されない限り、1時間、3時間、10時間、30時間および100時間、サーモサイクラー中で37℃にてインキュベートした。各時点において、20マイクロリットルの反応を取り出し、200マイクロリットルのホルムアミドローディング色素と合わせ、液体窒素中ですばやく凍結し、そして−20℃で保存した。取られた最後の時点の後、凍結サンプルを融解し、20マイクロリットルを各時点から取り出した。次いで、SDSを、0.1%の最終濃度まで、この少ないサンプルに加えた。次いで、サンプルを90℃で10〜15分間インキュベートし、15%変性PAGEゲル上に直接的にロードし、そして12Wで35分間泳動した。ゲル上の放射能を、Storm 860ホスホロイメージャーシステム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)を使用して定量した。各時点における全長アプタマーのパーセンテージを、全長アプタマーバンドを定量すること、およびレーン中の全体の計数を分割することによって決定した。次いで、各時点における全長アプタマーの画分を、0時間の時点の全長アプタマーのパーセンテージに対して標準化した。時間の関数としての全長アプタマーの画分を式:
アプタマー医薬品化学プロセスにおいて同定されたアプタマーのサブセットを、ヒトとラットの両方の血漿中でのヌクレオチド安定性についてアッセイした。血漿ヌクレアーゼ分解は、以下に記載されるように、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動上で測定した。手短に述べると、血漿安定性の決定のために、化学合成したアプタマーを、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して精製し、γ−32P ATPで5’末端標識し、次いで再度ゲル精製した。痕跡量の32P−標識アプタマーを、200マイクロリットル結合反応において、95%ヒト血漿(または95%ラット血漿)中の100nMの未標識アプタマーの存在下でインキュベートした。0時点での反応を、血漿がPBSで置き換えられた以外は、同じ成分を用いて別々に作製した。これは、ゲル上にロードされた量または放射能が実験にわたって一貫していたことを保証した。反応は、他に特定されない限り、1時間、3時間、10時間、30時間および100時間、サーモサイクラー中で37℃にてインキュベートした。各時点において、20マイクロリットルの反応を取り出し、200マイクロリットルのホルムアミドローディング色素と合わせ、液体窒素中ですばやく凍結し、そして−20℃で保存した。取られた最後の時点の後、凍結サンプルを融解し、20マイクロリットルを各時点から取り出した。次いで、SDSを、0.1%の最終濃度まで、この少ないサンプルに加えた。次いで、サンプルを90℃で10〜15分間インキュベートし、15%変性PAGEゲル上に直接的にロードし、そして12Wで35分間泳動した。ゲル上の放射能を、Storm 860ホスホロイメージャーシステム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)を使用して定量した。各時点における全長アプタマーのパーセンテージを、全長アプタマーバンドを定量すること、およびレーン中の全体の計数を分割することによって決定した。次いで、各時点における全長アプタマーの画分を、0時間の時点の全長アプタマーのパーセンテージに対して標準化した。時間の関数としての全長アプタマーの画分を式:
サンプルデータを図15aおよび15bに示し、試験したアプタマーについての結果を表26に要約する。本発明者らの予想と一致して、アプタマーは、ラット血漿中よりもヒト血漿中でより安定であり、糖−リン酸バックボーンへの安定化修飾の数を増加させることは、血漿安定性の増加と相関する。
(表26:ARC445およびARC656誘導体の血漿安定性)
静脈内(IV)投与を介するARC1785、ARC1787、ARC1788、およびARC1790のマウス薬物動態学研究のための設計を、図16に示す。手短に述べると、この研究は3つの群(全体で33匹の動物)からなった。各サンプル収集時点において、3匹の動物を最終的に屠殺し、0.5mLの全血を、血漿の収集のために心臓穿刺を介して収集した。アプタマーを、注射のために、凍結乾燥粉末から標準的な0.9%生理食塩水中の10mg/mL(オリゴ重量)の最終濃度に製剤化し、そして投薬の前に滅菌濾過(0.2μm)した。使用した投与の経路は、10mg/kgの用量の単回の静脈内ボーラス注射であった。特定の時点、t=投薬前、0.08、0.5、1、2、4、8、16、24、32、48、および72時間において、全血サンプルを得て、K2EDTAコートしたチューブに直接的に移し、ひっくり返して混合し、そして湿らせた氷上に配置した。
血漿を、3500rpmで5分間の血液−EDTAチューブの遠心分離によって収集した。血漿サンプルを新鮮に標識した1.5mLチューブに移し、分析の時点まで−80℃に保存した。アプタマー濃度についての血漿サンプルの分析を、市販の蛍光核酸検出試薬Oligreen(商標)(Molecular Probes,Eugene,OR)を含むアッセイウェルへの血漿アリコートの直接的付加を利用する均一アッセイ形式を使用して達成した。室温での短いインキュベーション時間(5分間)の後、光から保護し、アッセイプレートを、蛍光プレートリーダーによって読み取った。各ウェルからの蛍光シグナルはウェル中のアプタマーの濃度に比例し、サンプル濃度は、蛍光−濃度標準曲線(2連の曲線からの平均値)からの蛍光値の内挿によって計算した。平均血漿濃度は、各群における3匹の動物から、各時点において得、図17において投薬後の時間に対してプロットする。
現れた時間のデータに対する血漿濃度は、工業用標準的薬物動態学モデリングソフトウェアWinNonLin(商標)v.4.0(Pharsight Corp.,Mountain View,CA)を使用して、非区分化分析(noncompartmental analysis)(NCA)に供した。以下の主要な薬物動態学的パラメーター:最大血漿濃度、Cmax;濃度−時間曲線の下の面積、AUC;末端半減期、t1/2;末端クリアランス、C1;および定常状態における分布の体積,Vssについての見積もりを得た。WinNonLin(商標)v.4.0(Pharsight Corp.,Mountain View,CA)を使用するデータの非区分化分析(NCA)は、図20に列挙される主要な薬物動態学的パラメーターについての見積もりを生じた。
(実施例4C:PEG化に対する抗IgEアプタマーの薬物動態学および生物学的利用能:10mg/kgでのマウスへのSC投与後のARC1785、ARC1787、ARC1788、およびARC1790)
皮下経路投与を介するARC1785、ARC1787、ARC1788、およびARC1790の生物学的利用能のマウス薬物動態学研究のための設計を、図18に示す。手短に述べると、この研究は3つの群(全体で33匹の動物)からなった。各サンプル収集時点において、3匹の動物を最終的に屠殺し、0.5mLの全血を、血漿の収集のために心臓穿刺を介して収集した。アプタマーを、注射のために、凍結乾燥粉末から標準的な0.9%生理食塩水中の10mg/mL(オリゴ重量)の最終濃度に製剤化し、そして投薬の前に滅菌濾過(0.2μm)した。使用した投与の経路は、10mg/kgの用量の単回の皮下ボーラス注射であった。特定の時点、t=投薬前、0.08、0.5、1、2、4、8、16、24、32、48、および72時間において、全血サンプルを得て、K2EDTAコートしたチューブに直接的に移し、ひっくり返して混合し、そして湿らせた氷上に配置した。
皮下経路投与を介するARC1785、ARC1787、ARC1788、およびARC1790の生物学的利用能のマウス薬物動態学研究のための設計を、図18に示す。手短に述べると、この研究は3つの群(全体で33匹の動物)からなった。各サンプル収集時点において、3匹の動物を最終的に屠殺し、0.5mLの全血を、血漿の収集のために心臓穿刺を介して収集した。アプタマーを、注射のために、凍結乾燥粉末から標準的な0.9%生理食塩水中の10mg/mL(オリゴ重量)の最終濃度に製剤化し、そして投薬の前に滅菌濾過(0.2μm)した。使用した投与の経路は、10mg/kgの用量の単回の皮下ボーラス注射であった。特定の時点、t=投薬前、0.08、0.5、1、2、4、8、16、24、32、48、および72時間において、全血サンプルを得て、K2EDTAコートしたチューブに直接的に移し、ひっくり返して混合し、そして湿らせた氷上に配置した。
血漿を、3500rpmで5分間の血液−EDTAチューブの遠心分離によって収集した。血漿サンプルを新鮮に標識した1.5mLチューブに移し、分析の時点まで−80℃に保存した。アプタマー濃度についての血漿サンプルの分析を、市販の蛍光核酸検出試薬Oligreen(商標)(Molecular Probes,Eugene,OR)を含むアッセイウェルへの血漿アリコートの直接的付加を利用する均一アッセイ形式を使用して達成した。室温での短いインキュベーション時間(5分間)の後、光から保護し、アッセイプレートを、蛍光プレートリーダーによって読み取った。各ウェルからの蛍光シグナルはウェル中のアプタマーの濃度に比例し、サンプル濃度は、蛍光−濃度標準曲線(2連の曲線からの平均値)からの蛍光値の内挿によって計算した。平均血漿濃度は、各群における3匹の動物から、各時点において得、図19において投薬後の時間に対してプロットする。
現れた時間のデータに対する血漿濃度は、工業用標準的薬物動態学モデリングソフトウェアWinNonLin(商標)v.4.0を使用して、非区分化分析(NCA)に供した。以下の主要な薬物動態学的パラメーター:最大血漿濃度、Cmax;濃度−時間曲線の下の面積、AUC;末端半減期、t1/2;末端クリアランス、C1;および定常状態における分布の体積,Vssについての見積もりを得た。WinNonLin(商標)v.4.0(Pharsight Corp.,Mountain View,CA)を使用するデータの非区分化分析(NCA)は、図20に列挙される主要な薬物動態学的パラメーターについての見積もりを生じた。図20の表から見られ得るように、試験したすべてのPEG結合体化アプタマーは、皮下の生物学的利用能を示した。
本発明は、書かれた説明および実施例によって本明細書で説明されてきたが、当業者は、本発明が種々の実施形態において実施され得ること、および前述の説明および前述の実施例が例示の目的のためであり、以下の特許請求の範囲の限定ではないことを認識している。
Claims (40)
- 前記PEG部分が、60kDa、40kDa、30kDaおよび20kDaからなる群より選択される分子量を含む、請求項1に記載のアプタマー。
- 前記PEG部分が分枝状PEGである、請求項2に記載のアプタマー。
- 前記リンカーがアルキルリンカーである、請求項4に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜18個の連続するCH2基を含む、請求項5に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜12個の連続するCH2基を含む、請求項6に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが3〜6個の連続するCH2基を含む、請求項7に記載のアプタマー。
- 前記リンカーがアルキルリンカーである、請求項10に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜18個の連続するCH2基を含む、請求項11に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜12個の連続するCH2基を含む、請求項12に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが3〜6個の連続するCH2基を含む、請求項13に記載のアプタマー。
- 前記リンカーがアルキルリンカーである、請求項16に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜18個の連続するCH2基を含む、請求項17に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜12個の連続するCH2基を含む、請求項18に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが3〜6個の連続するCH2基を含む、請求項19に記載のアプタマー。
- 前記リンカーがアルキルリンカーである、請求項22に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜18個の連続するCH2基を含む、請求項23に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが2〜12個の連続するCH2基を含む、請求項24に記載のアプタマー。
- 前記アルキルリンカーが3〜6個の連続するCH2基を含む、請求項25に記載のアプタマー。
- 配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、および98〜102からなる群より選択されるいずれか1つの配列に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む、IgEに特異的に結合するアプタマー。
- 前記アプタマーの核酸配列が、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、および98〜102からなる群より選択されるいずれか1つの配列に対して少なくとも90%同一である、請求項28に記載のアプタマー。
- 配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50および56〜89からなる群より選択されるいずれか1つの配列の独特な配列領域に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む、IgEに特異的に結合するアプタマー。
- 前記アプタマーの核酸配列が、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50および56〜89からなる群より選択されるいずれか1つの配列の独特な配列領域に対して少なくとも90%同一である、請求項30に記載のアプタマー。
- 配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50および56〜96の群より選択されるいずれか1つのアプタマー酸配列における30個の連続するヌクレオチドの配列に対して同一である30個の連続するヌクレオチドの配列を含む、IgEに結合可能であるアプタマー。
- 前記アプタマーが、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102の群より選択されるいずれか1つのアプタマー配列の独特な配列領域における20個の連続するヌクレオチドの配列に対して同一である20個の連続するヌクレオチドを含む、請求項32に記載のアプタマー。
- 前記アプタマーが、配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102の群より選択されるいずれか1つのアプタマー配列の独特な配列領域における8個の連続するヌクレオチドの配列に対して同一である8個の連続するヌクレオチドを含み、該アプタマーはIgEに特異的に結合する、請求項33に記載のアプタマー。
- 配列番号11〜15、18、19、21、29、33、41〜44、46、50、56〜96、98〜102、119〜124、126〜136、139〜157、158〜176、178〜190、194〜201、206〜243、247、249〜259、261〜267、269〜290および292からなる群より選択されるアプタマー。
- 前記アプタマーが一本鎖核酸である、請求項35に記載のアプタマー。
- 高分子量の、非免疫原性化合物または親油性化合物に結合体化されている、請求項36に記載のアプタマー。
- 前記高分子量の、非免疫原性化合物がポリアルキレングリコールである、請求項37に記載のアプタマー。
- 前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、請求項38に記載のアプタマー。
- 糖の位置における化学置換;リン酸の位置における化学置換;核酸の塩基の位置における化学置換;逆位ヌクレオチドを伴う3’キャッピング;および逆位ヌクレオチドを伴う5’キャッピングからなる群より選択される化学修飾を含む、請求項35に記載のアプタマー。
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