高圧ガス放電ランプ(HID、又は高輝度放電ランプ)、及び特にUHP(ウルトラ・ハイ・パフォーマンス)ランプは、その光学的性質のために投影の目的に望ましくは使用される。UHPランプ(Philips社)という語は、本発明の範囲において他の製造者によるUHP型ランプも示す。
可能な限り点形状である光源は、上述の適用に対して要求される。即ち、電極チップの間に形成された放電アークは、一定の長さを越えてはいけない。更に、可能な限り高い光度は、可能な限り自然な可視光の分光構成との組合せで所望される。
高圧ガス放電ランプは、例えば、白熱ランプと比較して、改善された発光効率を有する。かかる効率の更なる改善は、高圧ガス放電ランプに関して開発努力の最中である。
光源の発光効率は、一般的に、適用に所望された波長帯での放射に加えて、放射が定期的に発され、それがかかる適用に有用ではない又は有害でさえある状況によって、特に損なわれる。かかる所望されない放射は、予想される結果に関して入力エネルギの損失に少なくとも繋がる。
例えば、白熱ランプによって発された光の大部分はIR光であり、該光は、可視範囲における一般的な照明の目的に対して有用ではなく、従って、関連する発光効率を損なう。
UHPランプに関しては、ランプに与えられる電力の毎100Wのうち僅か約25Wが、可視光放射へと実際に転換される。
発光効率を上昇させる基本的な解決法の原理は、米国特許第5,221,876号明細書(特許文献1)より既知である。即ち、特許文献1では、所望されないIR放射は、ランプ・バルブの領域へと反射し戻され、バルブに追加的な加熱を与えるようにされる。多層インタフェース・フィルタは、反射体としての役割をなす。放射スペクトルのIR(赤外線)光は、照射の目的に対しては使用されず、ランプ・バルブへと反射し戻され、再吸収される。
インタフェース・フィルタに存在するいずれのUV放射も同時に吸収し、特に、かかる放射によってもたらされるランプ構成部品に対する損傷を防止するようにされることが提案される。
乗用車のヘッドライト用のランプとして設計される飽和ランプにおいて、ランプ・バルブの領域は、未分化の手法で加熱される。主にかかる加熱が、特に熱伝導及び伝達によって、ランプの一般的な動作温度でランプ・バルブの内部における金属ハロゲンの激しい蒸発をもたらす。
上述された提案された解決法を高圧ガス放電ランプに対して置き換えることは、特にUHPランプにおいては、特に個々のランプの種類の幅広く変化する動作温度を原因として可能ではない。ランプ・バルブの同程度の温度上昇は、約1,000℃の動作温度を有し、約6000℃乃至7000℃であるUHPランプの放電アークの温度を前提とすると、熱伝導及び伝達のせいで、プラズマ又は放電アークの大幅な温度上昇を与えることはできない。更に、UHPランプにおいては典型的に、他のランプの種類とは異なり、IR範囲での低い光度のみを発する。
高圧ガス放電ランプ、特にUHPランプが使用される場合、2つの必須の必要条件が同時に満たされるべきである。
一方では、放電空間の内側表面で最も高い温度は、通常は石英ガラスでできているランプ・バルブの失透が行なわれるほどには非常に高くなってはいけない。これは、ランプの放電空間内部の強い伝達が、放電アークの上方の領域を特に強く加熱するため、問題となり得る。
他方では、放電空間の内側表面で最も冷たい点は、まだ、水銀がそこで蒸発はしないがその代わりに十分な温度まで水蒸気の状態に留まる程度に高い温度を有さなければならない。
かかる2つの互いに相反する必要条件は、最高温度と最低温度との最高許容差が比較的小さい結果を有する。かかる高圧ガス放電ランプが構成材料の負荷制限で作動する間は、温度上昇等の温度に関する全ての変化は、ランプの寿命等の性能のパラメータに悪影響を及ぼし得る。かかる最適化されたシステムは、放電空間における気温領域に影響を及ぼす又は変化させる手段に対して非常に敏感に反応する。外側表面上に反射層を与えることは、かかる手段を表す。
多層インタフェース・フィルタ等の被覆は、加えて、被覆されていない石英表面と比較して、ランプの表面からの熱放射の低減をもたらし、ランプがより少ない熱を発することができ、従って作動温度が上昇するようにされる。
インタフェース・フィルタは、多層インタフェース・フィルタの使用によって、温度領域の変化が可能な限り少ないよう、選択されるべきである。
米国特許第5,221,876号明細書
本発明は、冒頭で言及された種類の高圧ガス放電ランプ、及びランプ等を有する照明ユニットを与えることを目的とする。ランプ・バルブ又はバーナーは、産業大量生産で効率的に製造され得るインタフェース・フィルタを有し、インタフェース・フィルタは、ランプの動作信頼性が確証されている間にランプの発光効率を強化し得るようにされる。
本発明の目的は、請求項1の特徴部分によって達成される。
本発明に従ったランプは、左右対称である放電室を有し、外側輪郭は放電室の領域において楕円形状を少なくとも有するバーナーと、放電室へと延び、放電室の左右対象の主軸上に互いに対向して配置される2つの電極と、放電室の領域でバーナーの外側輪郭上に配置され、主に少なくとも1つのUV光の波長体からの光を2つの電極の間へと反射する多層インタフェース・フィルタと、を少なくとも有する。
大幅な再吸収が、2つの電極の間の空間に略与えられるプラズマ又は放電アークで達成されるべき場合、反射されたUV光は、インタフェース・フィルタから放射によってかかる空間へと直接移動する必要がある。熱伝導及び伝達は、放射による熱輸送ほど重要ではなく、放電アークの関連する温度上昇に略影響を与えない。本発明は、ここでは、放射によって電磁波にさらされた物質又は媒体が、それら自体が放射することができる周波数を特に吸収する、という実証的結果を利用する。これはまた、2つの電極の間の空間に定期的に存在するプラズマにおいても当てはまる。このため、インタフェース・フィルタは、UV波長範囲全体を反射しないが、選択的な手法で1つ又は複数のみの波長範囲を反射する。インタフェース・フィルタによって反射されるべきUV光の関連する波長範囲の選択は、特にエネルギを基本としてなされる。即ち、関連する波長範囲は、インタフェース・フィオルタでの反射の後、プラズマに吸収され得る特に十分な電力を有さなければならない。インタフェース・フィルタに対する規準は、必要な温度安定度と、産業大量生産に対する適合性である。
インタフェース・フィルタは、伝えられるべきスペクトル域と反射されるべきスペクトル域との間の急激な移行により、望ましくは、かかる反射体に使用される。層の順序の適切な設計は、フィルタの特性が幅広い範囲にわたって、必要な高い正確性をもって達成されることを可能にさせる。
かかる放射による再吸収は、電気的なエネルギ供給のほかにアークへの追加的なエネルギ供給を示し、よって、夫々のランプの種類の関連する発光スペクトルの新たな生成に対する役割をなし、構成部品として可視光を与えるようにされる。これは、かかるエネルギが、電極を介するより高い効率性を有する放電アークに入るという追加的な有利性に繋がり、僅かな電極損失も考慮に入れられるべきではない。
UHPランプでの敏感な温度のバランスを前提として、電力の供給における対応する低減もまた可能であり、発光効率における対応する上昇が達成されるようにされる。かかる再吸収及び所望されるスペクトル域への転換がどの程度まで実現され得るかは、特に、主題となっている高圧ガス放電ランプの種類に特に依存する。
インタフェース・フィルタが放電室の外側輪郭全体、又はバーナーに略配置される場合、部分的な被覆の形状でのインタフェース・フィルタと比較して、反射されたUV放射のより大部分が、多重の反射により再吸収に利用され得る。
従属請求項は、本発明の更なる有利な実施例に関連する。
より高い屈折率を有する層及びより低い屈折率を有する層は、多層インタフェース・フィルタの層構造において交互に起きる、ことが望まれる。
かかるインタフェース・フィルタは、通常は多重層に作られる。インタフェース・フィルタの多層構造を前提にすると、より高い屈折率の層及びより低い屈折率の層は、交互に発生する。夫々の層の屈折率は、層の選択された材料によって特に定義付けられる。これは、かかる点において異なる少なくとも2つの誘電体材料が、層の配置において見受けられるべきであることを示す。
フィルタの伝達及び反射の特性は、フィルタの個別の層の設計、特に層の厚さによって確定される。原理上、所望されるスペクトルのターゲットは、フィルタの個別の層の屈折率の間の相違がより大きいことに比例して、よりよく達成され得る。交代層の数、ひいてはインタフェース・フィルタの全体の厚さを低減することは、しばしば可能である。ランプ・バルブが石英又は同様の材料から作られている場合、低屈折率の層に対する材料は、しばしばSiO2である。UHPランプの通常の動作温度範囲は、より高い屈折率を有する層の材料の選択において考慮されるべきであり、その温度は約1,000℃より高い範囲を有する。この点において十分な耐温度性は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)に見受けられる。しかしながら、酸化ジルコニウムは、石英と比較して非常に高い熱膨張係数を有する。従ってこれは、高圧ガス放電ランプの高い動作温度においてインタフェース・フィルタの層の間にストレスを蓄積することに繋がり得る。かかるストレスは、フィルタ内の亀裂、又はフィルタの破損に繋がり得るか、あるいは、所望しないほど増加した光散乱を引き起こし得る。
更に望ましくは、インタフェース・フィルタによって反射されないUV光の波長範囲からの光が、吸収される。
更に望ましくは、UHPランプのインタフェース・フィルタは、335nm乃至395nmの波長範囲からのUV光を2つの電極の間の領域へと主に反射する。
本発明の目的は、請求項8に記載される照明ユニットによって追加的に達成される。
本発明の更なる詳細、特徴、及び有利点は、図面を参照に与えられる望ましい実施例に関する次の説明から明らかとなる。
図1.1は、本発明に従った高圧ガス放電ランプ(UHPランプ)の左右対称である放電空間21を有するランプ・バルブ1を、図式的に断面図で示す。バーナー2は、1つの一個構成部品から形成される。バーナーは、通常はかかる目的のために、ガスで充填された放電空間21を密閉し、その材料は通常は硬質ガラス又は石英ガラスである。また、バーナーは、2つの円筒形で互いに対向する領域22,23を有し、その間に約8mm乃至14mmの範囲の直径を有する略球状の領域24が存在する。放電室21の領域内のバーナー2の外側輪郭は、楕円形状を有する。電極配置を有する楕円形の放電空間21は、領域24の中央に位置付けられる。電極配置は、第1の電極41及び第2の電極42を有し、その互いに対向するチップの間で、放電空間21に発光放電アークが励起され、放電アークが、高圧ガス放電ランプの光源としての役割をなすようにされる。放電室21の左右対称の主軸上に配置された電極41,42の端部は、ランプの電気接続ピン51,52に接続され、それを介して、ランプ動作に対する電源電圧が、主電圧への接続に対して設計された供給ユニット(図示せず)を用いて供給される。
インタフェース・フィルタ3は、領域24の外側表面全体に与えられる。インタフェース・フィルタ3は、約1μmの全厚さを有し、複数の層を有する。インタフェース・フィルタ3の設計、又はその構造は、図1.2に示される。インタフェース・フィルタは、17の層から作られており、SiO2層の全体の厚さは約674.9mmであり、ZrO2層の全体の厚さは約305.8nmである。
インタフェース・フィルタ3の2つの個別の層3.1及び3.2は、異なる屈折率によって特に特徴付けられ、屈折率の低い層は、高い率の層と毎回交代する。より低い屈折率の層3.2に対する材料は、SiO2である。即ち、より高い屈折率の層3.1に対する材料はZrO2である。
インタフェース・フィルタ3は、90%を上回る屈折率を有して335nm乃至395nmの波長範囲からのUV光を、2つの電極41と42との間の領域へと反射する。
インタフェース・フィルタ3の層を重ねる適用は、既知であるスパッタリング方法を用いて製造プロセスにおいて行なわれる。
120Wの定格電力で動作された上述されたランプ・バルブ1を有するUHPランプに対しては、負荷制限、即ち高負荷点での数千時間の動作後にも、同程度のランプの通常の老朽化を上回る有害な影響は、観察され得なかった。
本発明に従ったUHPランプは、その光度及び電気的特性に対して、ウルブリヒト球形光束計での標準的な試験手順において消費電力120Wで試験された。UV範囲(約200nm乃至400nm)での放射強度は1.33Wであり、可視範囲(約400nm乃至780nm)では31.2Wであった。7918lmの光の量を前提とすると、発光効率は従って約66.2lm/wであった。
上述されたインタフェース・フィルタを有さない同程度のUHPランプの同様の測定は、以下の値を与えた。UV範囲(約200nm乃至400nm)における放射強度は7.13Wであり、可視範囲(約400nm乃至780nm)では30.97Wであった。よって、7325lmの光量は、発光効率61.3lm/wをもたらした。
本発明の特に有利な実施例は、投射を目的として使用される高圧ガス放電ランプに係る。