JP2007526213A - コロナウイルスによる感染症の治療、管理および予防用の抗ウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、対象体におけるコロナウイルス感染症を予防および治療する上で有用な組成物および方法を提供する。さらに詳しくは、本発明は、SARSウイルスのようなコロナウイルスの標的細胞への融合を阻止するペプチドおよび複合体、並びにそれらのペプチドおよび複合体を含有する医薬組成物を提供する。この阻止メカニズムにより、ヒト患者のような対象体において、SARS感染症のようなコロナウイルス感染症を予防または治療する。
Description
本出願は、2003年4月28日付で出願された仮出願No.60/465,782および2003年4月30日付で出願された60/466,432に基づき優先権を主張するものであり、それらの内容は引用することにより本明細書の一部とされている。
重症急性呼吸器症候群(SARS)は、ヒトに感染した新コロナウイルスにより引き起こされる、新たに出現した感染症である。Ksiazek et al.,New Engl.J.Med.(http://content.nejm.org/cgi/reprint/NEJMoa030781v2.pdf,2003年4月10日付公開)を参照されたい。SARSではこれまで報告された症例の約4〜10%が死亡している。2003年2月中旬に中国の広東省において非定型肺炎としての最初の報告がなされ、2003年3月中頃には世界保健機関(WHO)は未知の起源または原因の150以上の新たな擬似症例の報告を受けた。2003年4月中頃には、カナダ、中国、香港、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムおよび米国を含む26カ国において、SARSの症状を有すると診断された患者が4400例を超え、263人が死亡したことが、明らかにされた。短期間における数カ国への急速なSARS拡大を見て、世界保健機関は世界的警戒を発し、旅行者および航空会社に緊急ガイダンスを行った。突然の発生が最初に認められてからわずか数ヶ月で、SARSは世界衛生および世界経済に対する世界的脅威となった。SARSに対して効果的な療法は現在未知であり、ワクチンはない。したがって、感染者のSARSを管理または防止でき、SARSの拡大を防止しうる抗ウイルス剤が緊急に必要性とされる。
一般的に、SARSは100.4°F以上(>38.0℃)の発熱で始まる。他の症状には、頭痛、全体的不快感および体の痛みがある。一部の人々は軽い呼吸器症状も経験する。2〜7日後、SARS患者は空咳を生じ、息苦しさを覚えることもある。
SARSが広がる主要経路は、密接な人対人の接触によるものである。SARSのほとんどの症例は、SARSの人を世話したかまたは彼らと同居した人々、あるいはSARSの人の感染性物質(例えば、呼吸器分泌物)と直接接触した人々に生じていた。SARSが広がる可能性のある経路としては、感染性小滴で汚染された他の人々の皮膚または物体への接触、次いで目、鼻または口への接触が挙げられる。これは、SARSにかかった人が咳またはくしゃみして、自分、他の人々または近隣表面へ小滴を吐き出したときに起こりうる。SARSは空気を介してまたは現在未知の他の経路によりさらに広域に広がることも可能である。
疾病管理予防センター(CDC)および世界中の他の研究所の科学者は、これまで未認識のコロナウイルスをSARS患者から検出した。コロナウイルスである証拠は遺伝子指紋および電子顕微鏡超微細構造研究に基づいており、一般報道機関で広く報道された。CDC、WHOおよび多くの大学研究室の生物学者はすべて、コロナウイルスがSARSの主原因であろうと報告した。
最近、CDCはSARSの原因であると考えられる新コロナウイルス株、SARS‐CoV(Urbani株)のゲノムを配列決定したと報告した。配列データは、SARSウイルスがこれまで未認識のコロナウイルスであることを証明している。該ウイルスはSARS患者から採取した咽頭培養物から得た細胞から培養され、疾患原因コロナウイルスのリボ核酸(RNA)を再生するためにVero細胞(アフリカミドリサル腎臓細胞)で増殖された。新配列は29,727ヌクレオチドを有し、これはコロナウイルスの典型的RNA境界内に十分属している。このウイルスファミリーのメンバーは、29,000〜31,000のヌクレオチドを有する傾向がある。Lai et al.,Adv.Virus Res.,48:1(1997)を参照されたい。SARSウイルスのゲノム構成も、他のコロナウイルスのものと類似している。
SARS‐CoV(Urbani)のゲノム配列は、National Center for Biotechnology Information,National Library of Medicineのウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/にあるGenBankから得られる。SARS‐CoV(Urbani株)の配列のアクセッション番号はay278741である。本発明者らはこれらの配列データを用いて、SARSの治療および流行病蔓延への進展抑止に利用可能な、安全かつ有効な新規抗ウイルス療法をデザインする上で活用しうる、分子標的を特定したのである。
本発明の第一の態様によれば、7〜50アミノ酸を有する抗ウイルスペプチドであって、該ペプチドがコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を示し、かつ該ペプチドが下記配列のうち一つの、少くとも7つの連続するアミノ酸を含んでなる配列を含有するものである、抗ウイルスペプチドが提供される。
本発明の第二の態様によれば、ペプチドがコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を示し、かつ該ペプチドが下記配列由来の少くとも7つの連続するアミノ酸を含んでなる配列を含有した、7〜50アミノ酸を有する抗ウイルスペプチドが提供される:
(上記配列中、太字箇所のアミノ酸がI、L、V、W、Y、F、N、Q、S、T、D、E、G、HおよびMからなる群から選択されるアミノ酸で置換されてもよく、非太字箇所のアミノ酸がプロリン以外のいかなるアミノ酸でもよい。)
該ペプチドは、下記配列のうち一つの、少くとも10、15、20、25、30、35または40の連続するアミノ酸を含有してもよい:
上記いずれのペプチドも、例えばヒト血清アルブミンのような担体タンパク質と結合していてもよい。
本発明の第三の態様によれば、7〜50アミノ酸を有するペプチドXを含んでなる抗ウイルス組成物が提供され、該ペプチドはコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を示し、かつ該組成物は下記構造を有している:
B‐X‐Z
(上記構造中、Bが約43以下のアミノ酸を含有するアミノ酸配列であるか、またはBがアミノ基、アセチル基、9‐フルオレニルメトキシカルボニル基、疎水基もしくは高分子担体基であるか、またはBが担体タンパク質であり、ここで、Bが8を超えるアミノ酸を含有してもよく、かつBがまた抗ウイルス配列を前記担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでよく、Zが、約43以下のアミノ酸を含有したアミノ酸配列であるか、またはZがカルボキシル基、アミド基、疎水基もしくは高分子担体基を含んでなるか、またはZがHSAのような担体タンパク質であり、ここで、Zが8を超えるアミノ酸を含有していてもよく、かつZがまた、抗ウイルス配列を担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでいてもよく、BおよびZが、ともに考慮する場合、BおよびZ基間に少くとも8つのアミノ酸を含有していなければならず、かつXが、下記配列:
のうち一つの、少くとも7つの連続するアミノ酸を含んでなるペプチド配列である)。
B‐X‐Z
(上記構造中、Bが約43以下のアミノ酸を含有するアミノ酸配列であるか、またはBがアミノ基、アセチル基、9‐フルオレニルメトキシカルボニル基、疎水基もしくは高分子担体基であるか、またはBが担体タンパク質であり、ここで、Bが8を超えるアミノ酸を含有してもよく、かつBがまた抗ウイルス配列を前記担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでよく、Zが、約43以下のアミノ酸を含有したアミノ酸配列であるか、またはZがカルボキシル基、アミド基、疎水基もしくは高分子担体基を含んでなるか、またはZがHSAのような担体タンパク質であり、ここで、Zが8を超えるアミノ酸を含有していてもよく、かつZがまた、抗ウイルス配列を担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでいてもよく、BおよびZが、ともに考慮する場合、BおよびZ基間に少くとも8つのアミノ酸を含有していなければならず、かつXが、下記配列:
本発明の第四の態様によれば、7〜50アミノ酸を有する抗ウイルスペプチドであって、該前記ペプチドがコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を示し、かつ前記ペプチドが連続ヘプタペプチドの7箇所のうちいずれか2箇所において同一の配列を含んでなり、前記連続ヘプタペプチドが下記配列のうち一つの、7つの連続するアミノ酸を含んでなる、抗ウイルスペプチドが提供される:
前記同一配列は、例えば、連続ヘプタペプチドでi番目およびi+4番目に位置する。
本発明の他の態様によれば、上記のようなペプチドまたは組成物と製薬上許容される希釈剤、アジュバントおよび/または賦形剤を含んでなる医薬組成物が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、対象体におけるコロナウイルス感染症を治療または予防する方法であって、感染症の罹患が疑われる患者へ上記のようなペプチドまたは組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法が提供される。対象体としてはヒト、ウシ、ブタまたはニワトリがある。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明から、本発明の精神および範囲内における様々な変更および修正は当業者に明らかとなるため、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示していても、説明のために示されているだけである、と理解すべきである。
本発明は、対象体におけるコロナウイルス感染症を予防および治療する上で有用な組成物および方法を提供する。さらに詳しくは、本発明は、SARSウイルスのようなコロナウイルスの標的細胞への融合を阻止するペプチドおよび複合体、並びにそれらのペプチドおよび複合体を含有する医薬組成物を提供する。この阻止メカニズムにより、ヒト対象体のような対象体において、SARS感染症のようなコロナウイルス感染症を予防または治療する。
SARS‐CoVは新コロナウイルスである
SARS‐CoVのゲノムの配列がCDCウェブサイトからダウンロードされ、10の推定オープンリーディングフレーム(ORF)に翻訳された。10のORFによりコードされた推定タンパク質に相当するアミノ酸配列が、タンパク質データベース検索プログラムBLASTを用いて、プロテオームに存在するタンパク質との相同性について分析された。Altschul et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389(1997)を参照されたい。いくつかのオープンリーディングフレームは、既知コロナウイルスのタンパク質と大きな配列相同性を有するタンパク質をコードすることがわかった。例えば、ORF1はコロナウイルスポリメラーゼタンパク質(ポリメラーゼ1a、1b)に相当し、ORF3はコロナウイルススパイクタンパク質(S)に相当する。ゲノムの相同性および構成は、SARSウイルスがコロナウイルスである有力な追加証拠を与えている。
SARS‐CoVのゲノムの配列がCDCウェブサイトからダウンロードされ、10の推定オープンリーディングフレーム(ORF)に翻訳された。10のORFによりコードされた推定タンパク質に相当するアミノ酸配列が、タンパク質データベース検索プログラムBLASTを用いて、プロテオームに存在するタンパク質との相同性について分析された。Altschul et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389(1997)を参照されたい。いくつかのオープンリーディングフレームは、既知コロナウイルスのタンパク質と大きな配列相同性を有するタンパク質をコードすることがわかった。例えば、ORF1はコロナウイルスポリメラーゼタンパク質(ポリメラーゼ1a、1b)に相当し、ORF3はコロナウイルススパイクタンパク質(S)に相当する。ゲノムの相同性および構成は、SARSウイルスがコロナウイルスである有力な追加証拠を与えている。
コロナウイルスは、以前に、遺伝子データで裏付けられた抗体の交差反応性に基づき、三つのカテゴリーに分類された。以前に同定された2種のヒトコロナウイルスは、2つの異なる群に分かれる。これら群のうち1つは、胃腸炎を引き起こす数種の腸内コロナウイルスを含む。他は、多様な呼吸器または神経疾患を引き起こすコロナウイルスを含む。第三群はトリ種から単離されたコロナウイルスを含む。
SARS‐CoVのSタンパク質の配列は、その約1260アミノ酸長全体を通じて、ヒト、ウシ、ブタ、マウスおよびニワトリのコロナウイルスを含めた、全3群のコロナウイルス由来のSタンパク質と、約30〜35%の同一性を有している。配列相同性分析に基づくと、SARSコロナウイルスは、新たな第四コロナウイルス群の、第一の、これまでで唯一のメンバーである。
スパイクタンパク質がウイルス侵入に必要とされる
宿主細胞中への包膜ウイルスの侵入にはウイルスと宿主細胞との膜融合を要する、と多数の研究が示していた。ほとんどの動物ウイルスにおいて、この融合機能はビリオン上の単一エンベロープ糖タンパク質により媒介されている。Sタンパク質は、コロナウイルスの細胞侵入を媒介する融合タンパク質であることが示された。Spaan et al.,J.Gen.Virol.,69:2939(1988)を参照されたい。
宿主細胞中への包膜ウイルスの侵入にはウイルスと宿主細胞との膜融合を要する、と多数の研究が示していた。ほとんどの動物ウイルスにおいて、この融合機能はビリオン上の単一エンベロープ糖タンパク質により媒介されている。Sタンパク質は、コロナウイルスの細胞侵入を媒介する融合タンパク質であることが示された。Spaan et al.,J.Gen.Virol.,69:2939(1988)を参照されたい。
Sタンパク質は、電子顕微鏡写真でみられるように、ビリオン表面から突出したペプロマー突出部を形成している。ペプロマーは、3つのオリゴマー化Sタンパク質分子から構成されていると考えられる。Delmas et al.,J.Virol.,64:5367(1990)を参照されたい。Sタンパク質は、ウイルスアセンブリーに際して、宿主プロテアーゼにより2つの類似サイズサブユニット:S1およびS2に開裂される。N末端S1と非共有結合しているC末端S2サブユニットは貫膜ドメインを介してSタンパク質を膜へ固定し、一方、S1サブユニットはSタンパク質のレセプター結合活性を有している。
S2サブユニットのヘリカルヘプタドリピート(herical heptad repeat)が融合に必要とされる
ウイルス侵入および発病におけるコロナウイルススパイクタンパク質の役割の総説は、Gallagher et al.,Virology,279:371(2001)およびLuo et al.,J.Virol.,73:8152(1999)に示されている。S2サブユニットがウイルス融合に必要であることをいくつかの研究が示している。機能性突然変異誘発研究は、融合に重要な残基がヘプタドリピート(heptad repeat)領域として同定されたS2の2領域内に位置していることを示している。ヘリカルヘプタドリピートは、インフルエンザウイルスのようなパラミクソウイルス、HIVのようなレトロウイルス、およびエボラウイルスのようなフィロウイルスを含めた、他の包膜ウイルス由来の融合タンパク質においてみられる。コロナウイルスのS2サブユニットにおいて非ヘリカルスペーサーにより分けられた2つのヘプタドリピートHR1およびHR2の存在は、例えば、HIV、インフルエンザウイルスおよびエボラウイルスの融合糖タンパク質にてヘリカルヘプタドリピートにより形成されていると思われる融合誘導構造と類似した、コイルドコイル(coiled-coil)または“ヘアピンのトリマー”融合誘導複合体の形成を想起させる。
ウイルス侵入および発病におけるコロナウイルススパイクタンパク質の役割の総説は、Gallagher et al.,Virology,279:371(2001)およびLuo et al.,J.Virol.,73:8152(1999)に示されている。S2サブユニットがウイルス融合に必要であることをいくつかの研究が示している。機能性突然変異誘発研究は、融合に重要な残基がヘプタドリピート(heptad repeat)領域として同定されたS2の2領域内に位置していることを示している。ヘリカルヘプタドリピートは、インフルエンザウイルスのようなパラミクソウイルス、HIVのようなレトロウイルス、およびエボラウイルスのようなフィロウイルスを含めた、他の包膜ウイルス由来の融合タンパク質においてみられる。コロナウイルスのS2サブユニットにおいて非ヘリカルスペーサーにより分けられた2つのヘプタドリピートHR1およびHR2の存在は、例えば、HIV、インフルエンザウイルスおよびエボラウイルスの融合糖タンパク質にてヘリカルヘプタドリピートにより形成されていると思われる融合誘導構造と類似した、コイルドコイル(coiled-coil)または“ヘアピンのトリマー”融合誘導複合体の形成を想起させる。
HIVの場合は、HR1またはHR2に似たペプチド配列がHIV融合を妨げて、ウイルス複製を阻止する。HIV糖タンパク質のHR2の配列に基づく38残基ペプチド、エンフュルビタイド(enfurvitide)が、HIV/エイズを治療するために臨床で用いられている。コロナウイルスのコイルドコイル中間体と結合しうるペプチドは推定融合誘導複合体の形成を阻止し、ウイルス侵入を妨げるにちがいない、と本発明者らは推論した(図1)。
SARS‐CoVは、らせん状であると予測されるコロナウイルスのHR1およびHR2と高相同性領域を有している
SARS‐CoVおよび他のコロナウイルスのSタンパク質間のアミノ酸配列相同性が、その鎖長全体で評価された。最高の相同性は、既知コロナウイルスのHR1およびHR2ヘプタドリピートと重なり合う領域に存在している。二次構造予測法(例えば、CUBISTタンパク質予測サーバー@http://cubic.bioc.columbia.eduで行われているようなプログラムPROFを参照されたい)を用いたSタンパク質の分析では、HR1およびHR2領域がらせん状であると強く予測されることが示された(図2)。HR1およびHR2領域は、らせん状であると最も強く予測される5つの連続するアミノ酸セグメントに分けられた。HIV gp41で観察されたものと同様にして、HR1セグメントに由来するヘプタド含有配列はHR2ヘリックスと結合する。同様に、HR2セグメントに由来するヘプタド含有配列はHR1ヘリックスと結合しうる。HR1またはHR2と結合するペプチドは、おそらく融合誘導複合体の形成を壊すことにより、ウイルス侵入を妨げている。このようなペプチド、およびこれらのペプチドを含有した組成物は、コロナウイルスによる感染症を治療するために、さらにはコロナウイルス感染に対する予防剤として有用である。これらのペプチドは、SARS感染症を予防および治療する上で特に有用である。
SARS‐CoVおよび他のコロナウイルスのSタンパク質間のアミノ酸配列相同性が、その鎖長全体で評価された。最高の相同性は、既知コロナウイルスのHR1およびHR2ヘプタドリピートと重なり合う領域に存在している。二次構造予測法(例えば、CUBISTタンパク質予測サーバー@http://cubic.bioc.columbia.eduで行われているようなプログラムPROFを参照されたい)を用いたSタンパク質の分析では、HR1およびHR2領域がらせん状であると強く予測されることが示された(図2)。HR1およびHR2領域は、らせん状であると最も強く予測される5つの連続するアミノ酸セグメントに分けられた。HIV gp41で観察されたものと同様にして、HR1セグメントに由来するヘプタド含有配列はHR2ヘリックスと結合する。同様に、HR2セグメントに由来するヘプタド含有配列はHR1ヘリックスと結合しうる。HR1またはHR2と結合するペプチドは、おそらく融合誘導複合体の形成を壊すことにより、ウイルス侵入を妨げている。このようなペプチド、およびこれらのペプチドを含有した組成物は、コロナウイルスによる感染症を治療するために、さらにはコロナウイルス感染に対する予防剤として有用である。これらのペプチドは、SARS感染症を予防および治療する上で特に有用である。
Nペプチドは、HIV gp41のHR1と類似した、3回対称性のトリマーコイルドコイルを形成すると予測されている。Cペプチドは、HIV gp41のHR2と類似した、コイルドコイルの隣接N‐ヘリックスにより形成される溝で結合する、ヘリックスを形成すると予測されている。これらのペプチド配列は、一連の連続したまたはほぼ連続したヘリカルヘプタドリピートから構成される連続αヘリックスを形成すると予測され、連続αへリックスにおいてi番目およびi+4番目の残基はオリゴマー形成上重要または重大である。
これらの配列は、約15〜約50のアミノ酸、有利には15〜50のアミノ酸を有し、かつ上記配列のうち一つの、少くとも7つの連続するアミノ酸を含有するペプチドインヒビターをデザインするために用いられた。そのため、例えば、該ペプチドは下記の7アミノ酸配列のうち一つを含有している:
C末端HR2ペプチド1の場合、ペプチドは下記配列のうち一つを含有してもよい
N末端HR1ペプチド2の場合、ペプチドは下記配列のうち一つを含有してもよい
N末端HR1ペプチド3の場合、ペプチドは下記配列のうち一つを含有してもよい
N末端HR1ペプチド4の場合、ペプチドは下記配列のうち一つを含有してもよい
およびN末端HR1ペプチド5の場合、ペプチドは下記配列のうち一つを含有してもよい
C末端HR2ペプチド1の場合、ペプチドは下記配列のうち一つを含有してもよい
さらに、ペプチドのあるアミノ酸のみが、コイルドコイルの隣接N‐ヘリックスにより形成される溝で接触しているため、“変異”ペプチドインヒビターを作る上で、非溝結合箇所のアミノ酸は本質的に他のいかなるアミノ酸でも置換しうる。加えて、溝接触する箇所のアミノ酸もまた、ある好ましいアミノ酸で置換してよい。そのため、下記ペプチド
において、太字箇所のアミノ酸はI、L、V、W、Y、F、N、Q、S、T、D、E、G、HおよびMからなる群から選択されるアミノ酸で置換することができる。これらアミノ酸のうち、I、L、V、WおよびYが最も好ましく、F、N、Q、SおよびTが次に最も好ましいが、D、E、G、HおよびMも用いてよい。非太字箇所のアミノ酸は、ヘリカル構造を壊して溝結合を妨げると予測されるプロリン以外であれば、いかなるアミノ酸でもよい。上記ペプチドの場合のように、変異ペプチドのいずれか7つの連続残基を含有するペプチドは使用可能である。
これらのペプチド配列が、少くとも15でありかつ50以下のアミノ酸を含有する、より長いペプチド配列内に含まれている。追加のアミノ酸が、示された配列のNおよび/またはC末端に存在してもよい。
ペプチドインヒビターは、上記配列のうち一つの、少くとも10、15、20、25、30、35または40の連続するアミノ酸を含有してもよいが、但し上記の長さ制限内に留めなければならない。該ペプチドはさらに以下で詳細に記載された担体タンパク質のような担体へ結合させてもよく、その場合に全体の分子は50を超えるアミノ酸を含有してもよいが、細胞結合に関与する分子の部分は50以下のアミノ酸をなお含有している。
本発明によるペプチドは下記一般構造を有している。
B‐X‐Z
上記構造中、Bは約43以下のアミノ酸を含有するアミノ酸配列であるか、またはBはアミノ基、アセチル基、9‐フルオレニルメトキシカルボニル基、疎水基または高分子担体基である。BはHSAのような担体タンパク質を含有していてもよく、その場合にBは、8を超えるアミノ酸を含有していてもよく、抗ウイルス配列を担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでいてもよい。
B‐X‐Z
上記構造中、Bは約43以下のアミノ酸を含有するアミノ酸配列であるか、またはBはアミノ基、アセチル基、9‐フルオレニルメトキシカルボニル基、疎水基または高分子担体基である。BはHSAのような担体タンパク質を含有していてもよく、その場合にBは、8を超えるアミノ酸を含有していてもよく、抗ウイルス配列を担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでいてもよい。
Zは約43以下のアミノ酸を含有したアミノ酸配列であるか、またはZはカルボキシル基、アミド基、疎水基または高分子担体基を含んでなる。Zは、HSAのような担体タンパク質を含有していてもよく、その場合にZは8を超えるアミノ酸を含有してもよく、Zはまた抗ウイルス配列を担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列をも含んでいてもよい。ペプチドおよび担体は、例えばPierce(Rockford,IL)から市販されているタイプのマレイミドリンカーのようなリンカーを介して、化学的複合体として結合させてもよい。
BおよびZはともに考慮する場合、BおよびZ基間に少くとも8つのアミノ酸を含有していなければならない。典型的には、BおよびZのうち一方のみが高分子または担体タンパク質である。
Xは、上記CまたはNペプチド由来の、いかなる7、10、15、20、25、30、35または40の連続するアミノ酸であってもよい。
本発明によるペプチドはまた、上記配列のうち一つの、少くとも7、10、15、20、25、30、35または40の連続するアミノ酸と70%またはそれ以上の配列同一性を示すペプチド配列を含んでいてもよいが、但し上記の長さ制限内に留めなければならない。
本発明によるペプチドはまた、上記の連続ヘプタペプチドの7箇所のうちいずれか2箇所において同一性を示すペプチド配列を含んでよいが、但し上記の長さ制限内に留めなければならない。この配列同一性は、有利には、上記の連続ヘプタペプチドのi番目およびi+4番目に位置しうる。
本発明によるペプチド部分のHSAのような高分子へのエクスビボ複合化によって、精製し、かつ厳密に管理された投与量にて投与することが可能な、高度に可溶性の複合体が得られる。クロークド(cloaked)複合体は複合体として生物学的に活性であり、即ち該複合体から該ペプチド部分を放出するプロドラッグとしてそれは作用せず、複合体の開裂は生物活性のために不要である。さらに、患者に投与されると、該複合体は意外にも長いインビボ半減期を有し、優れた組織分布を有し、複合体の生物活性部分の活性に相当する持続的活性を生じる。
有利には、ペプチドと、担体タンパク質および高分子とは、生物活性部分の“ハプテン化”および複合体に対する免疫応答の発生を避けるために、約1:1比で結合される。さらに、ペプチドは、有利には、高分子の単一部位に付加される。例えば、HSAの特異反応性システイン34(C34)への選択的結合を用いうる。例えばマレイミド含有リンカーを用いたC34への選択的結合方法が、当業界で知られている。
ペプチドの2以上の分子が高分子へ結合される場合、これは高分子の単一箇所へ付加された“多価”リンカーを介して有利に行われる。例えば、HSAのC34へリンカーが付加され、リンカーへ複数のペプチドを付加することが可能となる。多価リンカーは当業界で公知であり、例えばHSAのC34との反応用の親チオ基、およびリンカーへの複数のペプチドの付加を可能とする、多数の求核(例えば、NHまたはOH)または求電子(例えば、活性化エステル)基を含有しうる。
本発明によるペプチドの製造
本発明によるペプチドは、当業界に周知の技術により合成または製造しうる。ペプチド合成装置は、例えば、Applied BiosystemsまたはMilligen/Biosearchから市販されている。さらに、例えばCreighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman and Co.,N.Y.を参照されたい。これはその全文が引用することにより本明細書の一部とされる。短鎖ペプチドは、例えば、固体支持体上または溶液中で合成可能である。長鎖ペプチド、または長鎖ペプチドとヒト血清アルブミンのような担体タンパク質との融合体は、組換えDNA技術を用いて得られる。望ましいペプチドまたは該ペプチドを含有した融合タンパク質についてコードするヌクレオチド配列は、当業者に周知の技術に従い、合成および/またはクローニングされて、発現させることができる。例えば、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Vol.1-3,Cold Spring Harbor Press,N.Y.を参照されたい。
本発明によるペプチドは、当業界に周知の技術により合成または製造しうる。ペプチド合成装置は、例えば、Applied BiosystemsまたはMilligen/Biosearchから市販されている。さらに、例えばCreighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman and Co.,N.Y.を参照されたい。これはその全文が引用することにより本明細書の一部とされる。短鎖ペプチドは、例えば、固体支持体上または溶液中で合成可能である。長鎖ペプチド、または長鎖ペプチドとヒト血清アルブミンのような担体タンパク質との融合体は、組換えDNA技術を用いて得られる。望ましいペプチドまたは該ペプチドを含有した融合タンパク質についてコードするヌクレオチド配列は、当業者に周知の技術に従い、合成および/またはクローニングされて、発現させることができる。例えば、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Vol.1-3,Cold Spring Harbor Press,N.Y.を参照されたい。
ペプチドはまた、該ペプチドのアミノ酸残基をつなぐ結合のうち1以上が非ペプチド結合となるように合成してもよい。代替えの非ペプチド結合は当業者に周知の反応により形成され、限定されないが、イミノ、エステル、ヒドラジド、セミカルバジドおよびアゾ結合が挙げられる。本発明のさらに他の態様によれば、上記配列を含むペプチドは、例えば該ペプチドの安定性、バイオアベイラビリティおよび/または阻害活性が高められるように、それらのアミノおよび/またはカルボキシ末端に追加化学基を付加させて合成してもよい。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシルまたはt‐ブチルオキシカルボニル基のような疎水基がペプチドのアミノ末端に加えられる。同様に、アセチル基または9‐フルオレニルメトキシ‐カルボニル基もペプチドのアミノ末端に配置することができる。加えて、疎水基、t‐ブチルオキシカルボニルまたはアミド基もペプチドのカルボキシ末端に加えてよい。さらに、ペプチドの安定性、バイオアベイラビリティまたは結合/阻害特性を改善するために、非天然アミノ酸も用いてよい。例えば、メチオニンはノルロイシンで置換することができる。他の非天然アミノ酸残基もまた周知である。
本発明によるペプチドはまた、アミノ酸置換をうけてもよく、これは保存性であってもまたは非保存性であってもよい。保存アミノ酸置換は、例えばグルタミン酸(E)からアスパラギン酸(D)へのアミノ酸置換のように、類似した電荷、サイズおよび/または疎水性のアミノ酸でペプチド配列の1以上のアミノ酸を置換することからなる。保存置換のみが行われる場合、得られたペプチドは非置換ペプチドの機能性を留めている。非保存置換は、例えばグルタミン酸(E)からバリン(V)への置換のように、非類似の電荷、サイズおよび/または疎水性を有するアミノ酸でペプチド配列の1以上のアミノ酸を置換することからなる。本発明によるペプチドは、有利には、保存性のアミノ酸置換を含んでなる。
本発明によるペプチドの安定性は、血液成分のような担体タンパク質へのインビボまたはエクスビボ結合により増加させることができる。本発明における使用に適した血液成分は当業界で公知である。ヒト血清アルブミン(“HSA”)はヒト血液の主成分であり、特に本発明における使用に適している。特に、HSAは、露出表面システイン残基を有しており、該システイン残基は、タンパク質へのペプチド化合物の共有結合向けに反応性チオール部分を提供する。チオールへの結合用に特に適した活性化リンカーには、マレイミドのような不飽和環式イミド、α‐ヨード‐およびα‐ブロモアセテートのようなα‐ハロエステル、およびビニルピリジン誘導体が挙げられる。このようなリンカーは合成に際してペプチドへ付加され、かつ配列のいかなる箇所に付加させてもよいが、Nおよび/またはC末端が有利に用いられる。適切な活性化リンカーは、例えばPierce Chemical(Rockford,IL)から市販されている。HSAへの結合用に適した活性化化合物の製造方法は当業界で公知である。例えばUS特許No.5,612,034を参照されたい;これは全文を引用することにより本明細書の一部とされる。
さらに、ペプチドおよびHSAの融合タンパク質の即時製造を可能とする、HSAの遺伝子がクローニングされた。融合タンパク質の製造方法は当業界で公知である。例えばWO01/79271およびWO01/79258を参照されたい;その内容は全体を引用することにより本明細書の一部とされる。融合タンパク質の製造は、本抗ウイルスペプチドの持続性誘導体を製造する上で有用である。
抗ウイルス化合物への結合に適した他の血液成分は免疫グロブリン(“Ig”)分子である。Igは持続性であり、血中に比較的高濃度で存在する。インビトロカップリングの場合、Igは容易に安定化しかつ容易に単離される利点を有し、Ig複合体の製造方法は当業界において周知である。さらに、Ig遺伝子は容易にクローニングされて、組換えIgおよびIg融合タンパク質が製造される。完全なヒトIgを得る方法は当業界において周知である。例えばUS特許No.5,969,108および6,300,064を参照されたい;その内容は全体を引用することにより本明細書の一部とされる。加えて、例えばHSAと結合する上で、特に望ましい結合活性を有したIgを選択するためのファージディスプレー方法は当業界において周知である。例えばUS特許No.5,885,793、5,969,108および6,300,064を参照されたい。本発明との関連において、Igとは当業界で知られたあらゆる適切な免疫グロブリンまたは免疫グロブリン誘導体に関し、例えば全IgG、IgM、Fab断片、F(ab′)2断片および一本鎖Fv断片を含む。
本発明において使用に適した他の血液成分としては、トランスフェリン、フェリチン、ステロイド結合タンパク質、チロキシン結合タンパク質およびα‐2‐マクログロブリンが挙げられる。
本ペプチドにおいて、活性化リンカーはリジン側鎖のような反応性側鎖残基へカップリングさせてもよい。例えば、活性エステル部分およびマレイミド部分を有するリンカーは、リジン側鎖を介して活性エステル(例えば、N‐ヒドロキシスクシンイミジルエステル)で、またはペプチドのN末端で選択的に反応させうる。
天然および組換えHSAおよびヒトIgは双方とも市販されており、本発明における使用に適している。
本ペプチドはまた、そのアミノおよび/またはカルボキシ末端へ非ペプチド高分子担体基を共有結合させてもよい。このような高分子担体基には、例えば脂質‐脂肪酸複合体、ポリエチレングリコールまたは炭水化物が挙げられる。
ペプチドの使用
本発明によるペプチドは、例えばSARSウイルスのようなコロナウイルスに対して強い抗ウイルス活性を示す。そのため、本ペプチドは、ヒトおよび非ヒトコロナウイルス、特にSARSの未感染細胞への伝染のインヒビターとして用いられる。SARSウイルスおよびネズミ肝炎ウイルス(MHV)におけるS2タンパク質のC末端HR2ドメイン由来の様々なペプチドが、細胞培養アッセイにおいて、これらウイルスに対して抗ウイルス活性を示すことが示された(例えば、Liu et al.,Lancet,363:938(2004);およびBosch et al.,J.Virol.,77:8801(2003)を参照されたい)。本発明によるペプチドにより伝染が抑制されるヒトSARSウイルスにはSARSウイルスの全株を含むが、それらに限定されない。本発明によるペプチドにより伝染が抑制される非ヒトレトロウイルスには、家庭内動物および家畜に感染するコロナウイルス、例えばウシ、ブタ、マウスおよびニワトリ由来のコロナウイルスを含むが、それらに限定されない。しかしながら、当業者に明らかなように、コロナウイルスを防ぐために用いられるペプチドは、感染ウイルス株の特定配列を用いて誘導された場合に、最も有効であろう。
本発明によるペプチドは、例えばSARSウイルスのようなコロナウイルスに対して強い抗ウイルス活性を示す。そのため、本ペプチドは、ヒトおよび非ヒトコロナウイルス、特にSARSの未感染細胞への伝染のインヒビターとして用いられる。SARSウイルスおよびネズミ肝炎ウイルス(MHV)におけるS2タンパク質のC末端HR2ドメイン由来の様々なペプチドが、細胞培養アッセイにおいて、これらウイルスに対して抗ウイルス活性を示すことが示された(例えば、Liu et al.,Lancet,363:938(2004);およびBosch et al.,J.Virol.,77:8801(2003)を参照されたい)。本発明によるペプチドにより伝染が抑制されるヒトSARSウイルスにはSARSウイルスの全株を含むが、それらに限定されない。本発明によるペプチドにより伝染が抑制される非ヒトレトロウイルスには、家庭内動物および家畜に感染するコロナウイルス、例えばウシ、ブタ、マウスおよびニワトリ由来のコロナウイルスを含むが、それらに限定されない。しかしながら、当業者に明らかなように、コロナウイルスを防ぐために用いられるペプチドは、感染ウイルス株の特定配列を用いて誘導された場合に、最も有効であろう。
ヒトのSARSに関して、本発明によるペプチドはSARS感染症の治療で治療剤として用いられる。本発明によるペプチドは、当業者に周知の技術を用いて投与される。好ましくは、薬剤は処方されて、全身投与される。処方および投与の技術は、”Remington’s Pharmaceutical Sciences”,18th ed.,1990,Mack Publishing Co.,Easton,Paに記載されている。適切な経路として、いくつか挙げると、経口、直腸、経粘膜または腸内投与;非経口デリバリー、例えば筋肉内、皮下、骨髄内注射、並びに鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻内または眼内注射がある。最も好ましくは、投与は静脈内である。注射の場合、本発明による薬剤は水溶液、好ましくは生理学的に適合する緩衝液、例えばハンクス液、リンゲル液または生理食塩液で処方される。上記経粘膜投与の場合、処方には、バリアの透過に適した浸透剤が用いられる。このような浸透剤は当業界において通常知られている。他の希釈剤、アジュバントおよび賦形剤も当業界において知られている。
加えて、本ペプチドは、過去未感染であってSARSウイルスへ急性暴露後の個体において、予防手段として用いられる。本ペプチドの予防使用の例としては、例えば、病院、および空港および鉄道駅などの輸送ターミナルのような、SARS伝染の可能性が存在する環境が挙げられるが、それらに限定されない。本発明によるペプチドはこのような場合に予防ワクチンの役割を果たし、宿主は本発明によるペプチドに対する抗体を生じ、該抗体は例えば、さらなるSARS感染を抑えることでSARSウイルスを中和するように働く。したがって、予防ワクチンとしての本発明によるペプチドの投与は、例えばSARSの細胞感染能力を抑制し、SARSまたは関連コロナウイルス中和するのに十分な免疫応答を生じさせる有効な濃度のペプチドを宿主へ投与することを含んでなる。正確な濃度は投与される具体的ペプチドに依存するが、免疫応答の発生を検定するための当業者に周知の標準技術を用いることにより決定することができる。ワクチンとして用いられるペプチドは、通常筋肉内投与される。
本ペプチドは、免疫応答を高めるために、適切なアジュバントとともに処方してもよい。このようなアジュバントとしては、水酸化アルミニウムのような鉱物ゲル;リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオンのような界面活性物質;他のペプチド;油エマルジョン;およびBCGおよびCorynebacterium parvumのような潜在的に有用なヒトアジュバントが挙げられるが、それらに限定されない。多くの方法がここで記載されたワクチン処方を導入するために用いうる。これらの方法としては、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下および鼻内経路が挙げられるが、それらに限定されない。
一方、本発明によるペプチドに対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体はまた、未感染細胞がSARSウイルスまたは他のコロナウイルスに感染しないように、有効濃度で宿主へ投与してよい。このような抗体の正確な濃度は各具体的抗体製剤に応じて異なるが、当業者に周知の標準技術を用いて決められる。抗体の投与は、このセクションで記載されたものに限定されないが、それらを含む様々な技術を用いて行うことができる。
投与される本発明によるペプチドの有効量は、生物学的半減期、バイオアベイラビリティおよび毒性のようなパラメーターに関する当業者に周知の手法により決められる。
本発明によるペプチドの抗ウイルス活性はタイプおよびサブタイプ特異性を示し、即ち特定のペプチドは特定のコロナウイルスのみの活性を阻害する上で有効である。本発明のこの特徴は多くの利点を発揮する。このような利点の一つは例えば診断の分野にあり、ウイルス単離体を同定するために本発明によるペプチドの抗ウイルス特異性を利用しうる。コロナウイルスに関しては、ウイルス単離体が、SARSを引き起こすコロナウイルスであるのかまたは軽度のかぜ様症状を引き起こすウイルスであるのかを、容易に決められる。例えば、SARSウイルスを含有していると同定されたコロナウイルス単離体で、未感染細胞が重感染させられる。SARSウイルスに対して活性であることが知られる本発明によるペプチドが加えられ、次いで細胞上澄のレトロウイルス活性が公知の方法を用いて検定される。ウイルス活性が完全にまたはほぼ完全に阻害された単離体は、SARSウイルスを含有している。ウイルス活性が未変化であるかまたはわずかに減少しただけである単離体は、SARSウイルスを含有していないと考えられる。このような単離体は本発明の1以上の他のペプチドで処理され、次いでウイルス単離体の同定を行うためにそのウイルス活性について試験される。
Claims (20)
- 前記ペプチドが担体タンパク質へ結合されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
- 前記ペプチドがヒト血清アルブミンへ結合されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
- 7〜50アミノ酸を有する抗ウイルスペプチドであって、前記ペプチドがコロナウイルスに対して抗ウイルス活性を示し、かつ前記ペプチドが下記構造を有するものである、抗ウイルスペプチド:
B‐X‐Z
(上記構造中、Bが約43以下のアミノ酸を含有するアミノ酸配列であるか、またはBがアミノ基、アセチル基、9‐フルオレニルメトキシカルボニル基、疎水基もしくは高分子担体基であるか、またはBが担体タンパク質であり、ここで、Bが8を超えるアミノ酸を含有してもよく、かつBがまた、抗ウイルス配列を前記担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでいてもよく、
Zが約43以下のアミノ酸を含有したアミノ酸配列であるか、またはZがカルボキシル基、アミド基、疎水基もしくは高分子担体基を含んでなるか、またはZがHSAのような担体タンパク質であり、ここで、Zが、8を超えるアミノ酸を含有していてもよく、かつZがまた、抗ウイルス配列を担体タンパク質へ連結させるリンカーペプチド配列を含んでいてよく、
BおよびZが、ともに考慮する場合、BおよびZ基間に少くとも8つのアミノ酸を含有していなければならず、かつ
Xが、下記配列:
- 前記同一配列が、前記連続ヘプタペプチドのi番目およびi+4番目に位置するものである、請求項8に記載のペプチド。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載されたペプチドおよび製薬上許容される希釈剤、アジュバントおよび/または賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
- 対象体におけるコロナウイルス感染症を治療または予防する方法であって、感染症の罹患が疑われる患者へ、請求項1〜10のいずれか一項に記載されたペプチドまたは組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
- 前記対象体がヒトである、請求項11に記載の方法。
- 前記対象体がウシ、ブタまたはニワトリである、請求項11に記載の方法。
- 担体タンパク質へ共有結合された、請求項14に記載されたペプチドを含んでなる、化合物。
- 前記太字箇所のアミノ酸のうち少くとも8つが、I、L、V、WおよびYからなる群から選択されるものである、請求項14に記載のペプチド。
- 前記化合物が融合タンパク質である、請求項15に記載の化合物。
- 前記ペプチドが、非ペプチドリンカーにより担体タンパク質へ結合されたものである、請求項15に記載の化合物。
- 請求項14に記載されたペプチドおよび製薬上許容される賦形剤、希釈剤またはアジュバントを含んでなる、医薬組成物。
- 対象体におけるコロナウイルス感染症を予防または治療する方法であって、請求項19に記載された医薬組成物を前記対象体へ投与することを含んでなる、方法。
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