JP2007525448A - 改良された熱ショックタンパク質に基づくワクチンおよび免疫治療 - Google Patents

改良された熱ショックタンパク質に基づくワクチンおよび免疫治療 Download PDF

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Abstract

単独で投与するか、または少なくとも1つの熱ショックタンパク質との複合体として投与した場合、抗原性ドメインに対する免疫応答の誘導のために有用である、少なくとも1つの抗原性ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つの改良されたペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原が記載される。ハイブリッド抗原および複合体を用いて、抗原性ドメインの抗原を発現する感染症および癌を治療することができる。

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2004年2月12日に出願された米国特許出願第10/776,521号および2004年2月13日に出願されたPCT特許出願第PCT/US04/04340号に対する優先権を主張するものであり、この両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。本出願はまた、35 U.S.C.§119(e)に基づいて、2003年4月11日に出願された仮出願第60/462,469号、2003年4月18日に出願された第60/463,746号、および2003年9月16日に出願された第60/503,417号に対する優先権を主張するものであり、その3つ全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。
序論
本発明は、必要に応じて1つ以上の熱ショックタンパク質と組み合わせた少なくとも1つまたはそれ以上の所定のハイブリッド抗原の有効量を被験体に投与することを特徴とする被験体における免疫応答を誘導するための方法および組成物に関する。これらの方法および組成物を、感染症および癌の治療に用いることができる。
発明の背景
熱ショックタンパク質は元々、温度の突然の上昇に曝された哺乳動物細胞中で(多くの細胞タンパク質では発現が有意に低下するにもかかわらず)発現が増加することが観察された。それ以来、そのようなタンパク質がグルコース欠乏などの種々の型のストレスに応答して産生されることが決定されてきた。本明細書で用いる用語「熱ショックタンパク質」は、明らかに呼称されているそのもののタンパク質だけでなく他のストレスタンパク質、例えば、構成的に(すなわち、ストレス条件の非存在下で)発現されるそのようなタンパク質の相同体をも包含するように用いられる。熱ショックタンパク質の例としては、BiP(grp78とも呼ばれる)、hsp70、hsc70、gp96(grp94)、hsp60、hsp40およびhsp90が挙げられる。
熱ショックタンパク質は、非天然状態にある他のタンパク質と結合する能力を有し、特に、リボソームから生じるかまたは小胞体中に押し出される新生中のペプチドに結合する能力を有する。HendrickおよびHartl, Ann. Rev. Biochem. 62:349-384(1993); Hartl, Nature 381:571-580(1996)。さらに、熱ショックタンパク質は、細胞質ゾル、小胞体およびミトコンドリア中でのタンパク質の適切な折りたたみおよび会合において重要な役割を果たすことが示された。この機能に照らせば、これらは「分子シャペロン」と呼ばれる。Frydmanら、Nature 370:111-117(1994);HendrickおよびHartl, Ann. Rev. Biochem. 62:349-384 (1993); Hartl, Nature 381: 571-580 (1996)。
例えば、タンパク質BiPは、hsp70ファミリーと呼ばれる熱ショックタンパク質のクラスのメンバーであるが、これは、小胞体中での軽鎖との会合の前に、新規に合成された折りたたまれていないμ免疫グロブリン重鎖に結合することが見出された。Hendershotら、J. Cell Biol. 104:761-767 (1987)。別の熱ショックタンパク質であるgp96は、小胞体に局在するストレスタンパク質hsp90ファミリーのメンバーである。LiおよびSrivastava, EMBO J. 12:3143-3151 (1993); MazzarellaおよびGreen, J. Biol. Chem. 262:8875-8883 (1987)。gp96は小胞体中でマルチサブユニットタンパク質の会合を助けることが提唱されている。Wiechら、Nature 358:169-170 (1992)。
実験動物中の腫瘍から調製された熱ショックタンパク質は、腫瘍特異的な様式で免疫応答を誘導することができたこと、すなわち、特定の腫瘍から精製された熱ショックタンパク質は、同じ腫瘍の増殖を阻害するが、他の腫瘍の増殖は阻害しない実験動物における免疫応答を誘導することができたことが観察された。SrivastavaおよびMaki, Curr. Topics Microbiol. 167:109-123 (1991)。熱ショックタンパク質をコードする遺伝子については腫瘍特異的DNA多型を示すことは見出されていない。SrivastavaおよびUdono, Curr. Opin. Immunol. 6: 728-732 (1994)。高分解能ゲル電気泳動により、gp96が分子レベルで不均一性であってもよいことが示された。FeldwegおよびSrivastava, Int. J. Cancer 63:310-314 (1995)。証拠は、不均一性の原因が熱ショックタンパク質に付着した小ペプチドの集団(何百にも達しうる)でありうることを示している。上掲。腫瘍により合成された熱ショックタンパク質に付着した多様なペプチドは、そのようなタンパク質に対し、その効果においていくらかHLA拘束性でありうるより伝統的な免疫原とは対照的に、多様なHLA表現型を有する被験体において免疫応答を引き出すことができるようにすることが提唱された。上掲。
Nielandら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:6135-6139 (1996))は、VSV感染細胞により産生されるgp96に結合した細胞傷害性Tリンパ球(CTL)水疱性口内炎ウイルス(VSV)エピトープを含む抗原ペプチドを同定した。Neilandの方法は、gp96に結合したさらなるペプチドまたは他の化合物の同定を不可能にするものであり、従って、gp96に結合したより高分子量の物質をさらに特定し、高速液体クロマトグラフィーにより検出することができなかった。
グルタルアルデヒド固定された放線菌のhsp65またはhsp70と化学的に架橋された、NANP (Asp Ala Asp Pro)マラリア抗原の多重反復を含む合成ペプチドが、アジュバント添加の非存在下で、マウスにおける抗体形成(すなわち、体液性応答)を誘導することができたことが報告された。同様の効果は細菌エシェリキア・コリ(Escherichia coli)に由来する熱ショックタンパク質を用いても観察された。Del Guidice, Experientia 50: 1061-1066 (1994); Barriosら、Clin. Exp. Imnzunol. 98: 224-228 (1994); Barriosら、Eur. J. Immunol. 22: 1365-1372 (1992)。熱ショックタンパク質への合成ペプチドの架橋およびおそらくグルタルアルデヒド固定が、抗体誘導に必要であった。Barriosら、Clin.Exp. Immunol. 98:229-233。
PCT/US96/13363は、熱ショックタンパク質との複合体中で、抗原に対する免疫応答を誘導し、かくして癌および感染症の治療のために有用である、抗原性ドメインおよび熱ショックタンパク質結合ドメインを含むハイブリッド抗原を記載している。PCT/US98/22335は、同様の用途のためのさらなる熱ショックタンパク質結合ドメイン、ならびに単独で投与されるハイブリッド抗原が免疫応答を誘導する能力について記載している。ハイブリッド抗原中の少なくとも1つの抗原性ドメインと少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインとの間に存在するペプチドリンカーにおける改良が生物活性の増加をもたらすことが、今や発見されている。また、この増加は、ハイブリッド抗原の抗原部分に対する免疫応答の誘導の増加をもたらすことが見出される。このことは、本出願の対象であるこれらの改良されたペプチドリンカー、これらを含むハイブリッドペプチド、および熱ショックタンパク質を含むかまたは含まないこれらの使用に向けられている。
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの所定のハイブリッド抗原を必要に応じて熱ショックタンパク質との複合体として被験体に投与することを特徴とする被験体における免疫応答を誘導するための方法および組成物に関する。このハイブリッド抗原は、少なくとも1つの抗原性ドメインおよび少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、ならびにその間に少なくとも1つのペプチドリンカーを含む。感染症または腫瘍などの疾患と関連する抗原に対する免疫応答の誘導は、これらの疾患の治療のために有用である。ハイブリッド抗原の抗原性ドメインまたは免疫原性ドメインは、タンパク質全体もしくはペプチド抗原であってもよく、または選択された抗原の一部のみ、例えば、該抗原の選択されたエピトープであってもよい。熱ショックタンパク質結合ドメインは、熱ショックタンパク質に結合するペプチド、好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する7〜15アミノ酸のペプチド、より好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する疎水性ペプチド、および最も好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する7〜15アミノ酸の疎水性ペプチドである。リンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちいずれかの配列を有する。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
本発明は、そのようなハイブリッド抗原を単独で投与する方法、ならびに熱ショックタンパク質/ハイブリッド抗原組成物を投与する方法を提供する。この後者の方法は、(i)ハイブリッド抗原の熱ショックタンパク質への結合が起こってハイブリッド抗原/熱ショックタンパク質複合体を形成する条件下で、1つ以上の熱ショックタンパク質と、1つ以上のハイブリッド抗原とをin vitroで混合すること;および(ii)そのような治療を必要とする被験体に熱ショックタンパク質に結合したハイブリッド抗原を有効量で投与すること、を含む。
あるいは、必要に応じて熱ショックタンパク質と組み合わせたハイブリッド抗原は、該ハイブリッド抗原をコードする核酸を、必要に応じて熱ショックタンパク質をコードする核酸と共に被験体に投与することにより、該被験体に導入することができる。
かくして、第1の態様において、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質と非共有結合する結合ドメイン、および該抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原に向けられており、ここで該ペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
第2の態様において、本発明は、1つ以上の感染性物質または1つ以上の腫瘍抗原の複数の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および該抗原性ドメインと少なくとも1つの結合ドメインとを隔てる少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。特定の実施形態においては、前記のハイブリッド抗原中の少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。
第3の態様においては、本発明は感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、および熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、ならびにそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。特定の実施形態においては、前記ハイブリッド抗原は、抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーを有する。
第4の態様においては、本発明は、1つ以上の感染性物質または1つ以上の腫瘍抗原の複数の抗原性ドメイン、および熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、ならびにそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。特定の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。
第5の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、前記組成物は複数のハイブリッド抗原を含み、このハイブリッド抗原の1つはTヘルパーエピトープを含んでよい。
第6の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン(そのうちの少なくとも1つは感染性物質または腫瘍抗原に由来するものである)、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、ならびにそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
第7の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、前記組成物は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、複数のハイブリッド抗原のうち少なくとも1つはTヘルパーエピトープを含む。
第8の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン(そのうちの少なくとも1つは感染性物質または腫瘍抗原に由来する)、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)に由来する。一実施形態においては、抗原性ドメインの少なくとも1つはTヘルパーエピトープを含む。
第9の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を、被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで、ハイブリッド抗原および熱ショックタンパク質は非共有結合されており、少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。一実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープを含む。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含み、その抗原性ドメインの少なくとも1つはTヘルパーエピトープであってよい。複合体が複数のハイブリッド抗原を含むさらに別の実施形態においては、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の別の実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第10の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらなる実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。この態様の好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第11の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらなる実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の別の実施形態においては、ペプチドリンカーが抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。
第12の実施形態においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN) ;Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。さらなる実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。
第13の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここでハイブリッド抗原および熱ショックタンパク質は非共有結合されており、少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の一実施形態においては、ペプチドリンカーは抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。本発明のこの態様の好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第14の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の態様においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらなる態様においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第15の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)に由来する。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の態様においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の一実施形態においては、ペプチドリンカーは抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。
第16の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。
第17の態様においては、本発明は、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのペプチドに向けられている。
第18の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインおよびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む免疫原性ポリペプチドに向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
第19の態様においては、本発明は上記の第1、2、3または4の態様におけるハイブリッド抗原のいずれかをコードするポリヌクレオチドに向けられる。
第20の態様においては、本発明は、感染症または癌に関連する感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質結合ドメイン、およびそれらの間のPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかであるペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原をコードするポリヌクレオチドを被験体に投与することを含む、感染症または癌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
第21の態様においては、本発明は、上記のハイブリッド抗原をコードするポリヌクレオチド、および熱ショックタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、被験体に投与することを含む、感染症または癌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。好ましい実施形態においては、コードされる熱ショックタンパク質はhsp70である。
本発明の上記態様のいずれか、または全てにおいて、感染症の抗原は、非限定的な例であるが、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、菌類、酵母、寄生虫、またはプリオンなどの感染性物質から誘導されたものであってよい。癌または癌と関連する腫瘍抗原は、非限定的な例であるが、肉腫、リンパ腫、白血病、または癌腫、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、グリア芽腫、もしくは星状細胞腫から誘導されたものであってよい。感染性物質または癌の抗原性ドメインは、それぞれ、感染性物質または癌抗原の抗原に対する免疫応答を誘導することが対応する感染症または癌を治療するのに有用であるような感染症または腫瘍抗原から誘導されるか、またはそれと関連した抗原を含む。
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づいて、2003年4月11日に出願された仮出願第60/462,469号、2003年4月18日に出願された第60/463,746号、および2003年9月16日に出願された第60/503,417号に対する優先権を主張するものであり、これらの3つは全て、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
発明の詳細な説明
明確に説明するために、限定するものではないが詳細な説明を以下の小節に分割する:
(i) ハイブリッド抗原、
(ii) 熱ショックタンパク質、および
(iii) 投与方法。
ハイブリッド抗原
本発明によるハイブリッド抗原は、少なくとも1つの抗原性(免疫原性)ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、および少なくとも2つのこれらのドメインの間のペプチドリンカーを含み、このペプチドリンカーは、
Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)、
Phe Arg Lys (FRK)、
Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002)、
Arg Lys Asn (RKN)、
Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003)、
Phe Arg (FR)、
Gln Leu Lys (QLK)、
Gln Leu Glu (QLE)、
Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)、
Lys Asn (KN)、
Arg Lys (RK)、または
AA1-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)、
のうちのいずれかである。
前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000)が最も好ましい。
かくして、ハイブリッド抗原は少なくとも2つの機能を有し、すなわち、(i) それは所望の免疫応答を誘導することができるエピトープを含み;そして(ii) それは熱ショックタンパク質に物理的に結合することができる。以下に記載するように、ハイブリッド抗原単独の投与が所望の免疫応答を誘導し、所望の治療効果をもたらすように、そのような結合をin vivoで生じさせることができる。
本明細書で用いる用語「抗原」は、アミノ酸、炭水化物、核酸もしくは脂質から個々にまたは任意の組合せで構成されていてもよい化合物を指す。
本明細書で用いる用語「ハイブリッド抗原」は、1つ以上の熱ショックタンパク質に結合し、望ましい免疫応答を指向する免疫原である化合物を指す。例えば、免疫原がインフルエンザウイルスである場合、ハイブリッド抗原はインフルエンザウイルスのマトリックスタンパク質のペプチド断片を含みうる。本明細書で用いる用語「免疫原」は、引き出される免疫応答の対象となる新生物細胞、感染細胞、病原体、またはそれらの成分に当てはまるが、一方ハイブリッド抗原は、所望の応答を誘導することができ、1つ以上の熱ショックタンパク質に結合するその免疫原の一部を含む。具体的には、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインは、MHC分子から得られるペプチド、突然変異したDNA遺伝子産物、および腫瘍細胞から得られるものなどの直接的なDNA産物などを含み、これは特定の疾患または病原体に対する免疫応答を引き出すように選択される。
本発明は任意の型の免疫原にも適用することができるが、特定の目的の免疫原は、限定されるものではないが、肉腫、リンパ腫、白血病、または癌腫、特に、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、グリア芽腫、星状細胞腫などの新生物疾患と関連するものであるか、それらから誘導されるものであるか、またはそれらと関連することが予測されるものである。本発明のハイブリッド抗原において有用なメラノーマ抗原の選択を、非限定的な例であるが、PCT/US01/12449 (WO0178655)(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見出すことができる。さらに、p53などの腫瘍抑制遺伝子産物、またはrasなどの癌遺伝子産物の突然変異も、本発明に従って用いられるハイブリッド抗原を提供することができる。
さらなる実施形態においては、前記免疫原は感染症と関連していてもよく、例えば、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、菌類、酵母、寄生虫、またはプリオンなどであってよい。例えば、限定されるものではないが、免疫原はヒトパピローマウイルス(下記参照)、単純ヘルペスウイルスもしくは帯状ヘルペスなどのヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1もしくは2などのレトロウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、サルモネラ(Salmonella)属菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌、エンテロコッカス(Enterococcus)属菌、クロストリジウム(Clostridium)、エシェリキア(Escherichia)属菌、クレブシエラ(Klebsiella)属菌、ビブリオ(Vibrio)属菌、ミコバクテリウム(Mycobacterium)属菌、アメーバ、マラリア寄生虫、クルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)などであってよい。
免疫原は、新生物、感染細胞、感染した被験体由来の検体、細胞培養物、もしくは組織培養物からの直接的な単離により取得してもよく、または化学的もしくは組換え技術により合成してもよい。非限定的な例として、特にウイルス、細菌などに対する使用のためにハイブリッド抗原に使用するための、好適な抗原性ペプチドは、限定されるものではないが、以下のようなHLA-A2ペプチド結合配列などのHLA結合配列を含むMHCクラスI拘束性ペプチドエピトープをその配列に対して検索することによって、設計することができる:Xaa(Leu/Met)XaaXaaXaa(Val/Ile/Leu/Thr)XaaXaa(Val/Leu) (配列番号2)。このエピトープとしては、例えば、以下のものが挙げられる:
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前記エピトープは単に種々の感染症および癌と関連して利用可能な選択の例であって、限定されることを意図するものではない。
所望の免疫応答の型を考慮することも望ましい。例えば、特定の環境下では、体液性免疫応答が適当である。他の場合、実際に新生物細胞または感染細胞に対する免疫応答が引き出されると考えられる場合には、細胞性免疫応答が特に望ましい。従って、B細胞、Tヘルパー細胞、または細胞傷害性T細胞の活性化に関連する特定のエピトープを同定し、ハイブリッド抗原への組込みのために選択することができる。
また、自己免疫疾患またはアレルギーと関連するハイブリッド抗原を用いるのも望ましい。そのようなハイブリッド抗原を、1つ以上の熱ショックタンパク質と共に、被験体におけるハイブリッド抗原に対する既存の免疫応答に対して寛容原性であるか、またはそれを抑制するのに十分な量で投与すればよい。免疫応答を抑制するのに必要な熱ショックタンパク質の量は、刺激にとって必要な量よりも大幅に多いものと予測される。
ハイブリッド抗原のサイズは用いる熱ショックタンパク質に応じて様々でありうるが、本発明の非限定的な実施形態においては、ハイブリッド抗原は10〜500個のアミノ酸残基を有するペプチドサイズ、および好ましくは14〜100個、最も好ましくは18〜50個のアミノ酸残基を有するペプチドサイズであってよい。そのようなものとして、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインとして働く免疫原の断片を生成するか、あるいは化学的もしくは組換えDNA方法によりハイブリッド抗原を合成することは望ましい。
上記の考えに基づいて、ハイブリッド抗原を調製し、その後、熱ショックタンパク質に結合するその能力について試験することができる。いくつかの例においては、特定の熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合を、熱ショックタンパク質であってもよい少なくとも1つの他のタンパク質の存在により、容易にすることができる。
例えば、熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識もしくは色素標識などの検出可能な標識を用いてハイブリッド抗原を標識し、結合を生じさせることが予測される条件下で熱ショックタンパク質とハイブリッド抗原とを混合した後、未結合のハイブリッド抗原を除去しながら熱ショックタンパク質を単離し、標識されたハイブリッド抗原が熱ショックタンパク質に接着したか否かを決定することにより、評価することができる。特定の例として、限定するものではないが、ハイブリッド抗原が熱ショックタンパク質BiPに結合する能力を、50 mM Tris HCl (pH 7.5)、200 mM NaCl、および1 mM Na2EDTAを含むバッファー中、最終容量50μlとして、2μgのBiPと最大約1150ピコモルの放射性標識されたハイブリッド抗原とを、37℃にて30分間、混合することにより、評価することができる。次いで、未結合のハイブリッド抗原を、100 gで遠心分離し1 mlのSephadex-Gカラムを通して2分間脱塩することにより、結合したBiP-ハイブリッド抗原から除去することができる。Penefsky, J. Biol. Chem. 252:2891 (1977)。樹脂への結合を防止するために、最初にカラムを、上記と同様に同じバッファー中の100μlのウシ血清アルブミンで処理し、遠心分離することができる。次いで、結合したハイブリッド抗原を、液体シンチレーション計測により定量することができる。Flynnら、Science 245:385-390 (1989)を参照されたい。
ATP加水分解は多くの公知の熱ショックタンパク質からのペプチドの遊離を駆動するので、ATPase活性量を用いて、熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合量を定量することが多い。そのようなアッセイを行う方法の例はFlynnら、Science 245:385-390 (1989)に説明されている。
熱ショックタンパク質結合ドメインを、ハイブリッド抗原がin vitroまたはin vivoでBip、hsp70、gp96、もしくはhsp90、または前記熱ショックタンパク質ファミリーのメンバーなどの熱ショックタンパク質に、単独で、またはhsp40、もしくはhsp60などのアクセサリー熱ショックタンパク質と組み合わせて結合するように、選択する。
この基準を満たすペプチドの非限定的な例は、Blood-Elguindiら、Cell 75:717-728 (1993)に記載されているような、1つ以上の熱ショックタンパク質に良好に結合することが知られている抗原のライブラリーをパニングすることにより特定することができ、そのような抗原の例は以下の通りである:
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この技術を用いて、Blood-Elguindiは、熱ショックタンパク質BiPが、配列:
Hy(Trp/X)HyXHyXHy (配列番号29)
(式中、Hyは疎水性アミノ酸残基、特に、トリプトファン、ロイシンまたはフェニルアラニン(配列番号30)を表し、Xは任意のアミノ酸である)
を有するヘプタマー領域を含むポリペプチドを認識すると結論付けた。このモチーフを組み込んだ高親和性熱ショックタンパク質結合配列としては:
His Trp Asp Phe Ala Trp Pro Trp (配列番号1)、および
Phe Trp Gly Leu Trp Pro Trp Glu (配列番号4)、
が挙げられる。
他の熱ショックタンパク質結合モチーフも同定されている。例えば、Augerら、Nature Medicine 2:306-310 (1996)は、熱ショックタンパク質に結合する関節リウマチと関連したHLA-DR型における2つのペンタペプチド結合モチーフ:
Gln Lys Arg Ala Ala (配列番号5)、および
Arg Arg Arg Ala Ala (配列番号6)、
を同定した。また、熱ショック結合モチーフが疎水性アミノ酸に富む7〜15残基長のペプチドからなるものとして同定された。
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さらに、他の熱ショックタンパク質結合ペプチドとしては、以下:
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が挙げられ、これらはGragerovら、J. Molec. Biol. 235:848-854 (1994)に記載されている。
他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr (配列番号 )、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号 )、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg (配列番号 )、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号 )、Lys Phe Glu Arg Gln (配列番号 )、Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys (配列番号 )、およびArg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu (配列番号 )が挙げられる。
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、WO9922761に記載のものが挙げられる。Xaaは任意のアミノ酸を表す。
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上記の熱ショックタンパク質結合ドメインは、本発明の実施に用いることができるペプチドおよび非ペプチド性熱ショックタンパク質結合分子のうちの、種々のペプチドの単なる例に過ぎない。他の実施形態においては、熱ショックタンパク質結合ドメインは、上記のように哺乳動物熱ショックタンパク質の異なる部分に結合するようにすることができるので、本発明の熱ショックタンパク質結合ドメインは熱ショックタンパク質分子の任意の特定の部分への結合に限定されるものではない。非限定的な例においては、ペプチドIFAGIKKKAERADLIAYLKQATAK (Greeneら、1995, J. Biol. Chem. 270: 2967-2973; 配列番号331)またはこのペプチドの熱ショックタンパク質結合断片を、本発明のコンジュゲートのいずれかにおいて用いて、熱ショックタンパク質への予め選択した分子の結合を容易にする。熱ショックタンパク質に結合する上記のペプチドに加えて、その結合は、熱ショックタンパク質結合活性を有する有機分子または化合物の使用によって達成することができる。例えば、好適な分子としては、ハービマイシンA、ゲルダナマイシン、マクミマイシンI、ミモサマイシンおよびクワイチマイシン(Omuraら、1979, J. Antibiotics 32:255-261、WO9922761も参照。これらはその全体を本明細書に組み入れる)などのベンゾキノンアンサマイシン抗生物質のメンバー、またはそれらと構造的に関連する化合物、およびその類似体もしくは誘導体が挙げられる。これらの分子を、確立された化学的手法により、ペプチドリンカーを介して本発明の抗原性ドメインとコンジュゲートさせて、in vitroまたはin vivoで熱ショックタンパク質に結合し、そこに存在する該抗原に対する免疫応答を引き出すことができるハイブリッド抗原を生成することができる。
2004年2月12日に出願された、同時係属中の公有特許出願第10/776,521号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されているように、限定されるものではないが上記で同定されたものなどの熱ショックタンパク質結合ドメインのC末端でのトリプトファン残基(Trp、または一文字アミノ酸記号でW)の組込みにより、熱ショックタンパク質への結合が増大することが見出された。熱ショックタンパク質への結合の増大は、熱ショックタンパク質との複合体として投与されるか、または単独で投与されるかに関わらず、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインに対する免疫応答を誘導するハイブリッド抗原の能力を増加させることが見出された。増大した免疫応答は、疾患を治療する効力の増加と相関する。親和性を決定するための方法の他の例は、PCT/US96/13363 (WO9706821)(これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
熱ショックタンパク質結合ドメインの前記選択のうち、本発明の抗原性ドメインおよびその間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原の一部として本発明において好ましいものとしては、以下の熱ショックタンパク質結合ドメインが挙げられる:
Figure 2007525448
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本発明の種々の態様にとって有用な末端Trp残基を有するそのような熱ショックタンパク質結合ドメインの他の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
Figure 2007525448
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本発明の実施において有用な他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号501)、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号502)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号503)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号504)、Lys Phe Glu Arg Gln Trp (配列番号505)、Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys Trp (配列番号506)、およびArg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu Trp (配列番号507)が挙げられる。
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、WO9922761に記載のものが挙げられ、本発明の目的を達成するために付加された末端Trp残基を有しうる。Xaaは任意のアミノ酸を表す。
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前記熱ショックタンパク質結合ペプチドの全てのうち、熱ショックタンパク質結合ドメインAsn Leu Leu Arg Leu Thr Gly Trp (配列番号350)が、本発明のハイブリッド抗原において最も好ましい。しかしながら、前記熱ショックタンパク質結合ドメインは、本発明の実施において用いることができるペプチドおよび非ペプチド性熱ショックタンパク質結合分子のうちの、種々の部分の単なる例に過ぎない。
本発明のハイブリッド抗原は、本明細書に記載の少なくとも1つのペプチドリンカーにより隔てられた、少なくとも1つの抗原性(免疫原性)ドメインと少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインとを含む。本発明のハイブリッド抗原を、化学的ペプチド合成法を用いて合成するか、または抗原性および熱ショックタンパク質結合ドメインをコードする連結された配列を含む核酸構築物の発現により合成することができる。1つの好適な技術では、最初に別個のPCR増幅反応を用いて、一方の末端に結合されたリンカー断片をそれぞれが有する2つのドメインをコードする別個のDNA断片を作製し、その後、さらなるPCR工程においてその2つの増幅された産物を融合させる。この技術をリンカーテイリングと呼ぶ。好適な制限部位を目的の領域中に遺伝子工学的に作製し、その後、制限消化およびライゲーションを用いて、所望のハイブリッド抗原をコードする配列を作製することもできる。
本明細書に注記されるように、本発明のハイブリッド抗原をコードする核酸も、in vivoでの発現が免疫応答を誘導する能力を有するハイブリッド抗原をもたらす場合には、被験体への投与による治療的使用に好適である。
熱ショックタンパク質
本明細書で用いる用語「熱ショックタンパク質」は、細胞をストレスに曝した場合、該細胞中で発現の増加を示す任意のタンパク質を指す。好ましい非限定的な実施形態においては、熱ショックタンパク質は元々真核細胞から得られたものである。より好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質は元々哺乳動物細胞から得られたものである。例えば、限定されるものではないが、本発明に従って用いることができる熱ショックタンパク質としては、BiP(grp78とも呼ぶ)、hsp70、hsc70、gp96(grp94)、hsp60、hsp40、およびhsp90、ならびにそのファミリーのメンバーが挙げられる。特に好ましい熱ショックタンパク質は、以下に例示されるように、BiP、gp96、およびhsp70である。最も好ましいのは、hsp70ファミリーのメンバーである。熱ショックタンパク質の天然の突然変異体または組換え法で得られた突然変異体を、本発明に従って用いることもできる。例えば、限定されるものではないが、本発明は、細胞(例えば、小胞体の再生を容易にするエレメント(KDELもしくはその相同体)の突然変異または欠失を有する細胞;このような突然変異はPCT出願第PCT/US96/13233 (WO 97/06685)[これは参照により本明細書に組み入れられるものとする]に記載されている)からのそれらの分泌が容易になるように突然変異させた熱ショックタンパク質の使用を提供する。
熱ショックタンパク質およびハイブリッド抗原をタンパク質/ペプチド複合体の形態で被験体に直接投与する本発明の実施形態のために、熱ショックタンパク質は、例えば、Flynnら、Science 245:385-390 (1989)に記載のように天然の起源から、標準的な技術を用いて調製するか、または細菌、酵母もしくは哺乳動物細胞などの好適な宿主細胞中での熱ショックをコードするベクターの発現などの組換え技術を用いて調製することができる。宿主生物由来のペプチドが熱ショックタンパク質に予め負荷されていることが問題である場合、熱ショックタンパク質をATPと共にインキュベートした後、再精製すればよい。組換え熱ショックタンパク質の調製方法の非限定例を以下に説明する。
熱ショックタンパク質をコードする核酸を発現にとって必要な、または望ましいエレメントに機能し得る形で連結した後、これを用いて、タンパク質ワクチンまたは核酸ワクチンにおける使用のために熱ショックタンパク質を製造する手段として所望の熱ショックタンパク質を発現させることができる。発現にとって必要な、または望ましいエレメントとしては、限定されるものではないが、プロモーター/エンハンサーエレメント、転写開始および終結配列、ポリアデニル化シグナル、翻訳開始および終結配列、リボソーム結合部位、シグナル配列などが挙げられる。例えば、限定されるものではないが、gp96(ヒト:Genebankアクセッション番号X15187;Makiら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:5658-5562 (1990); マウス:Genebankアクセッション番号M16370;Srivastavaら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:3807-3811 (1987))、BiP(マウス:Genebankアクセッション番号U16277;Haasら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2250-2254(1988); ヒト: Genebankアクセッション番号M19645; Tingら、DIVA7 : 275-286 (1988))、hsp70 (マウス: Genebankアクセッション番号M35021; Huntら、Gene 87: 199-204 (1990); ヒト: Genebankアクセッション番号M24743; Huntら、Proe. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82 : 6455-6489 (1995))、およびhsp40 (ヒト: Genebankアクセッション番号D49547; Ohtsuka K., Biochenz. Biophys. Res. Commun. 197: 235-240 (1993))などの種々の熱ショックタンパク質の遺伝子がクローニングされ、配列決定されている。
投与方法
本発明のハイブリッド抗原、またはハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質の複合体は、ペプチドベースのワクチン、タンパク質ベースのワクチン、または核酸ワクチンのいずれかを用いて被験体に投与して、被験体中で、被験体における治療的な免疫応答を誘導するのに有効な量の複合体が生成するようにすることができる。
被験体はヒトまたは非ヒト被験体であってよい。
本明細書で用いる用語「治療的な免疫応答」は、標準的な技術により測定される、ハイブリッド抗原に対する体液性および/または細胞性免疫の増加を指す。好ましくは、限定されるものではないが、ハイブリッド抗原に対する体液性免疫の誘導レベルが、被験体への本発明の組成物の投与前の該抗原に対する体液性免疫のレベルより、少なくとも4倍、好ましくは少なくとも16倍大きい。被験体における新生物疾患または感染症の進行の阻止または寛解が治療的な免疫応答の誘導を示すとみなされる好適なin vitroまたはin vivoアッセイを用いて、その免疫応答を、定性的に測定することもできる。
投与する熱ショックタンパク質/ハイブリッド抗原の具体的な量は、特定のワクチン組成物の免疫原性、被験体の免疫適格性、被験体の大きさおよび投与経路を含む多くの要因に依存しうる。投与のための任意の所与の組成物の好適量の決定は、日常的なスクリーニングの問題である。
さらに、有意な免疫学的効果を、ハイブリッド抗原を単独で、すなわち、熱ショックタンパク質を用いずに投与する試験において同定した。本出願人は本発明が機能するその理論を開示する義務を有さず、またそれに束縛もされないが、これらの試験の結果は、ハイブリッド抗原が、被験体への注入の際に内因性の熱ショックタンパク質に結合することから、有効性のために熱ショックタンパク質の同時投与を必要としないことを示唆している。本発明は、本発明のハイブリッド抗原のそのような利用にも拡張され、さらに、全身的なまたは本発明のハイブリッド抗原の意図される投与部位での内因性熱ショックタンパク質レベルを増加させる同時療法または治療にも拡張される。そのような同時療法または治療としては、限定されるものではないが、局所組織における熱ショックタンパク質の発現を増加させる熱もしくは局所もしくは全身的薬剤の局所適用が挙げられる。そのような薬剤および方法は当業界で公知である。
少なくとも1つの抗原性ドメインおよび少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインを含み、熱ショックタンパク質と同時投与することなく投与される(すなわち、熱ショックタンパク質との複合体としては投与されない)ハイブリッド抗原は、上記のペプチドリンカーのうちの1つを含む。
本発明の特定の非限定的な実施形態においては、免疫応答を最適化するために、2種以上の熱ショックタンパク質、および/または2つ以上のハイブリッド抗原を含むことが望ましい。そのような手法は、免疫応答の回避をもたらす突然変異の急速な発生を特徴とする癌の治療または感染の治療において特に有利である。さらに、本発明のハイブリッド抗原は、2つ以上の免疫原性ドメインまたは2つ以上のエピトープを含んでもよい。
上記で説明したようなハイブリッド抗原/熱ショックタンパク質またはハイブリッド抗原単独を含む組成物を、本明細書では以後「ワクチン」と呼ぶ。用語「ワクチン」は、本発明の組成物を予防的または治療的な免疫応答を誘導するのに用いることができることを示すために、用いられる。本発明のワクチンは、単一の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原、または、複数の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原を含んでもよい。さらに、ワクチンは、単一もしくは複数の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原の混合物、または前記の任意の組合せを含んでもよい。上記で注記したように、ハイブリッド抗原もしくはその混合物を、投与前に1つ以上の熱ショックタンパク質と複合体化させることもできるし、または熱ショックタンパク質を用いずに投与することもできる。
必要に応じて本発明に従って1つ以上の熱ショックタンパク質と複合体化された1つ以上のハイブリッド抗原を含むワクチン組成物を、皮膚、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、非経口的、肺内、膣内、直腸内、経鼻または局所的に投与することができる。ワクチン組成物を、注入、粒子ボンバードメント法により、経口的に、またはエアロゾルにより、送達することができる。
ハイブリッド抗原を含む溶液中での熱ショックタンパク質のインキュベーションは、多くの場合、熱ショックタンパク質上への抗原の積載を達成するのに十分である。しかしながら、いくつかの場合においては、抗原の積載を助けることができる薬剤を添加することが望ましい。
ハイブリッド抗原とともに熱ショックタンパク質を加熱するインキュベーションは、一般的には、熱ショックタンパク質上への抗原の積載をもたらすであろう。いくつかの場合においては、しかしながら、積載を助ける追加薬剤を添加することが望ましい。例えば、hsp40はhsp70上へのペプチドの積載を容易にすることができる。Minamiら、J. Biol. Chem. 271:19617-19624(1996)。グアニジウムHClまたは尿素などの変性剤を用いて、熱ショックタンパク質を部分的かつ可逆的に不安定化させて、ペプチド結合ポケットを抗原に対してより近接可能にすることができる。
特に、熱ショックタンパク質を含む本発明のワクチンが、複合体がその目的部位に到達する前に熱ショックタンパク質と熱ショックタンパク質結合ドメインとの間の会合を促進する、アデノシン二リン酸(ADP)を含むことも好ましい。同様の能力を有する他の化合物を、単独で、またはADPと組み合わせて用いることもできる。
本発明によるワクチン組成物は、製薬上許容し得る担体などの種々の添加物質をさらに含んでもよい。好適な担体としては、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水乳液もしくはトリグリセリド乳液などの乳濁液、種々のタイプの湿潤剤、錠剤、被覆錠剤およびカプセル剤などの任意の標準的な製薬上許容された担体の任意のものが挙げられる。前記化合物の静脈内および腹腔内投与において有用な許容し得るトリグリセリド乳液の一例は、Intralipid(登録商標)として商業的に知られるトリグリセリド乳液である。典型的には、そのような担体はデンプン、乳、糖、特定のタイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物油脂、ゴム、グリコールなどの賦形剤、または他の公知の賦形剤を含む。そのような担体はまた、香料および着色添加剤または他の成分を含んでもよい。
また、本発明のワクチン組成物は、好適な希釈剤、保存剤、安定化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体を含んでもよい。そのような組成物は、液体製剤もしくは凍結乾燥された製剤、あるいは乾燥製剤の形態であってよく、そして、種々のバッファー成分(例えば、Tris-HCl、酢酸、リン酸)、pHおよびイオン強度の希釈剤、表面への吸着を防止するためのアルブミンもしくはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量剤もしくは等張性改変剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、タンパク質へのポリエチレングリコールなどのポリマーの共有結合、金属イオンとの複合体化、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのポリマー化合物の粒子状調製物の中もしくはその上への、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単一ラメラもしくは多重ラメラ小胞、赤血球ゴースト、もしくはスフェロプラスト上への前記物質の組み込みを、含んでもよい。そのような組成物は、物理状態、可溶性、安定性、in vivoでの放出速度、およびin vivoでのクリアランス速度に影響するであろう。組成物の選択はワクチンの物理的および化学的特性に依存するであろう。例えば、膜結合形態のタンパク質から誘導された生成物は界面活性剤を含む製剤を必要とする。制御放出型組成物または持続放出型組成物は、親油性デポー剤(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中の製剤を含む。また、ポリマー(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)で被覆され、組織特異的受容体、リガンドもしくは抗原に対する抗体に結合したか、または組織特異的受容体のリガンドに結合した粒子状組成物も、本発明に包含される。本発明の組成物の他の実施形態は、粒子形態保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤、または、筋肉内、非経口、経肺、経鼻および経口などの種々の投与経路のための透過促進剤を含む。
必要に応じて熱ショックタンパク質と複合体化されたハイブリッド抗原の直接投与の代わりに、該ハイブリッド抗原をコードする1つ以上のポリヌクレオチド構築物を、必要に応じて熱ショックタンパク質と共に、発現可能な形態で投与することができる。発現可能なポリヌクレオチド構築物を、ex vivoまたはin vivo法を用いて、被験体中の細胞に導入する。好適な方法としては、組織および腫瘍への直接注入、リポソームを用いるトランスフェクション(Fraleyら、Nature 370:111-117(1980))、受容体媒介エンドサイトーシス(Zatloukalら、Ann. NY Acad. Sci. 660:136-153 (1992))、粒子ボンバードメント媒介遺伝子導入(Eisenbraunら、DNA & Cell Biol. 12:792-797 (1993))およびペプチド提示バクテリオファージを用いるトランスフェクション(Barryら、Nature Medicine 2: 299-305 (1996))が挙げられる。ポリヌクレオチドワクチンを、in vitroで好適な細胞中に導入した後、それを被験体に導入することもできる。
発現可能なポリヌクレオチドを構築するために、熱ショックタンパク質および/またはハイブリッド抗原をコードする領域を上記で述べたようにして調製し、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどの好適なプロモーターに機能し得る形で連結された哺乳動物発現ベクター中に挿入する。次いで、得られた構築物を遺伝学的免疫化のためのワクチンとして用いることができる。また、核酸ポリマーをウイルスベクター中にクローニングすることもできた。好適なベクターとしては、限定されるものではないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。本発明における使用にとって好適である特定のベクターはpCDNA3 (InVitrogen)、プラスミドAH5(SV40複製起点およびアデノウイルス主要後期プロモーターを含む)、pRC/CMV (InVitrogen)、pCMUII(Paaboら、EMBO J. 5:1921-1927 (1986))、pZip-Neo SV (Cepkoら、Cell 37:1053-1062 (1984))およびpSRα (DNAX, Palo Alto, CA)である。
熱ショックタンパク質およびハイブリッド抗原の調製のための様々な方法がWO9706821およびWO9922761(これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。
以下の実施例において、および本出願を通して、アミノ酸を以下のような一文字記号を用いて表すことがある:
A アラニン
C システイン
D アスパラギン酸
E グルタミン酸
F フェニルアラニン
G グリシン
H ヒスチジン
I イソロイシン
K リジン
L ロイシン
M メチオニン
N アスパラギン
P プロリン
Q グルタミン
R アルギニン
S セリン
T トレオニン
V バリン
W トリプトファン
Y チロシン。
本発明を、本発明の例示として提供される以下の非限定的な実施例を参照することにより、より理解を深めることができる。以下の実施例は本発明の好ましい実施形態をより十分に説明するために提示する。しかしながら、これらは本発明の広範な範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
熱ショックタンパク質結合ドメイン、および癌抗原エピトープまたはオボアルブミン由来のモデル・クラスI H2-KbエピトープであるSIINFEKLをそれぞれが含む、種々のハイブリッド抗原を調製した。ペプチドリンカーをこの2つのドメインの間に含有させた。これらの実験において用いた熱ショックタンパク質ドメインは以下のものであった:HWDFAWPW、NLLRLTGW、FYQLALTWおよびRKLFFNLRW。リンカーは上述されたうちのいずれかであった。
癌およびモデルエピトープは以下のものであった。
Figure 2007525448
F-moc化学を用いる標準的な固相ペプチド合成を用いて、熱ショックタンパク質結合ドメイン、癌エピトープ、およびその間のリンカーを含むハイブリッド抗原を、様々な向きで合成した。
実施例2
組換えヒトまたはマウス熱ショックタンパク質70(hsp70)と上記の種々の熱ショックタンパク質結合ドメインおよび抗原性ペプチドとの間の結合親和性、ならびに抗原性ペプチドを含むハイブリッド抗原と上記の熱ショックタンパク質結合ドメインとの間の結合親和性を、Scatchard分析により測定されたhsp70に対する参照標識ハイブリッド抗原(トリチウム化またはフルオレセイン化ALFDIESKVGSGHWDFAWPW)の結合親和性と比較して、結合阻害アッセイ(Hillプロット)により決定した(それぞれ22.64μMおよび10.75μMのKd)。結合試験を39%PBS;20 mM THAM, pH 8; 37 mM NaCl, 5 mM MgCl2;および1 mM ADP中で行った。
実施例3
マウスにおける免疫学的試験のために、オボアルブミン由来マウスMHC H2-K(b)エピトープであるSIINFEKL(アミノ酸257〜264)、および水疱性口内炎ウイルス(VSV)の核タンパク質由来のH2-K(b)ペプチドであるRGYVYQGL(アミノ酸52〜59)を、ハイブリッド抗原の調製に用いた。次の表はエピトープ単独およびハイブリッド抗原中での配列およびhsp70に対する親和性を説明するものである。
Figure 2007525448
実施例4
Hsp70単独、SIINFEKLと複合体化したhsp70、およびHSP70を含むまたは含まないハイブリッドSIINFEKLペプチドを用いて、尾の根元でマウスを皮下的に免疫した。hsp70単独の場合を除き、各免疫化が同じ量のSIINFEKLを含むように、用量を調節した。7日後、脾臓を回収し、CD8+T細胞を濃縮し、これをex vivoでのIFN-γ ELISPOTアッセイに供した。SIINFEKLでパルスした後の応答(「SIINFEKL」)を、1群あたり少なくとも3匹のマウスを用いる4回以上の実験についての用量および4 x 105個のCD8 T細胞あたりのスポット数(平均±標準偏差)を含む以下の表に、記録した。対照としては、培地のみ(「培地対照」)、パルスされていないT細胞(「非パルス対照」)、VSVから誘導された非免疫化ペプチドであるRGYVYQGLでパルスされたT細胞(「VSV対照」)、および陽性対照としてのコンカナバリンAへの曝露(「Con A陽性対照」)を含めた。
同じ実験において、上記の51Cr放出アッセイを、SIINFEKLでパルスされた標的細胞を用いて行った。200:1のエフェクター 対 標的細胞比で得られた殺傷割合の結果を、以下の表の最右欄に示す。
Figure 2007525448
実施例5
Hsp70を含まないハイブリッド抗原をも含めて、上記のものと類似した実験を行った。
Figure 2007525448
実施例6
上記のものと類似したさらなる実験を行った。
Figure 2007525448
実施例7
in vivo実験の前に、FFRK、RK、AKVL、QLKおよびFR(一文字アミノ酸記号を用いる)などの他の短いペプチドリンカーを用いて作製された異なる用量のハイブリッド抗原とhsp70との複合体を評価するために、B6マウスを皮下的に免疫した。ex vivoでのIFN-γ ELISPOTアッセイを上記のように行った。対照値を含む結果を以下に示す。
Figure 2007525448
Figure 2007525448
実施例8
上記のものと類似したB6マウスにおけるin vivo試験を、hsp70を添加しない製剤を用いて行った。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例9
上記のものと類似したB6マウスにおけるin vivo試験を、hsp70を含む製剤、または含まない製剤を用いて行った。さらに、ハイブリッド抗原を遊離の熱ショックタンパク質結合ドメインペプチド(NLLRLTGW)と同時投与する1つの試験を行った。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例10
上記実験の多くにおいて対照として用いたVSVエピトープであるRGYVYQGLを、本発明のさらなるハイブリッド抗原の調製においてエピトープとして用い、上記と同様の実験において免疫応答の誘導について評価した。
Figure 2007525448
実施例11
疾患の治療に対する、上記のハイブリッド抗原およびhsp70との複合体の効果を評価するために、オボアルブミンを発現するように改変された20,000個のE7腫瘍細胞(E.G7と呼ぶ)をB6マウス中に皮下的に埋め込んだモデルを用いた。1処置群あたり10匹のマウスを用いた。このモデルは、例えば、Moroiら、2000, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 97: 3485-3490に記載されている。時間に対する、腫瘍を有するマウスの数の結果を、図1に示す。31日後、hsp70:NLLRLTGWFFRKSIINFEKLで免疫した10匹のマウスはいずれも腫瘍を発生せず、またTitermaxアジュバント中に乳化させたSIINFEKLで免疫したマウスも腫瘍を発生しなかった。NLLRLTGWFFRKSIINFEKL単独(hsp70を含まず)でワクチン接種した10匹のマウスのうちの3匹は腫瘍を有していた。Hsp70:SIINFEKLでワクチン接種した10匹のマウスのうちの5匹は腫瘍を有し、Titermaxおよびバッファーのみで免疫した10匹のマウスのうちの9匹は腫瘍を有していた。
実施例12
上記のin vitro抗原提示アッセイを用いて、本発明の製剤をさらに評価した。ハイブリッド抗原の参加、より具体的には該抗原の抗原提示経路への参加のための、hsp70に対する本発明のハイブリッド抗原(製剤中に供給されるものであれ、内因的に利用可能であれ)の必要性を証明するために、以下の製剤を用いてアッセイを行い、その結果と共に示す。
Figure 2007525448
実施例13
Firatら、1999, “H-2 class I knockout, HLA-A2.1-transgenic mice: a versatile animal model for preclinical evaluation of antitumor immunotherapeutic strategies,”Eur Immunol. 29: 3112- 21により記載されたヒトHLA-A2複合体を担持するHHD IIマウスモデルを以下の実験において用いて、本発明のハイブリッド抗原中のヒトHLA-A2エピトープを評価した。ヒトメラノーマ抗原gp100に由来する”IMD”ペプチドエピトープIMDQVPFSVを、HHD IIモデルにおいて低用量および高用量で本発明のハイブリッド抗原中にて評価した。上記のものと同様の方法を、IMDペプチドである試験ペプチド、および対照として、メラノーマ抗原チロシナーゼに由来するペプチドであるYMDGTMSQV(“YMD”)を用いるELISPOTアッセイに用いた。結果を以下の表に示す。
Figure 2007525448
HHD IIマウスにおける同様の実験を、hsp70との複合体としたハイブリッド抗原中のエピトープとしてYMDを用いて、以下のように行った。
Figure 2007525448
実施例14
センダイウイルス(SdV)由来のエピトープであるFAPGNYPALを、上記と同様に、B6マウスにおいて本発明のハイブリッド抗原中で評価した。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例15
2つの本発明のハイブリッド抗原とhsp70のB6マウスへの同時投与に関するin vivo実験を行った。オボアルブミン由来のSIINFEKLおよびVSV由来のRGYVYQGLを含むハイブリッド抗原をhsp70と混合し、免疫した。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例16
上記で注記したように、本発明の一態様においては、異なる抗原エピトープを含む複数のハイブリッド抗原を含む製剤を、ヒトにおける免疫化のために1つ以上の熱ショックタンパク質と共に製剤化して、疾患を治療または予防するための有効な免疫応答を引き出すことができる。例えば、ヒトメラノーマを治療するためには、8個の異なるメラノーマエピトープを含む製剤をハイブリッド抗原として調製し、さらに、例えばhsp70と共に製剤化することができる。この特定の製剤においては、N末端の熱ショックタンパク質結合ドメインNLLRLTGWを全てのエピトープとして用い、ペプチドリンカーFFRKを用いてエピトープのC末端に連結する。他の結合ドメインおよびリンカーは本明細書に包含される。この特定の製剤はHLA-A2ハプロタイプを有する患者を治療するのに有用である。製剤はhsp70を有する以下のハイブリッド抗原を含む。
Figure 2007525448
一実施形態においては、ほぼ等量の前記8種のハイブリッド抗原をhsp70と複合体化し、生理食塩水中に含めて投与することができる。別の実施形態においては、製剤は列挙した最初の5種のハイブリッド抗原を含む。生理食塩水中に熱ショックタンパク質を含む前記製剤は、必要に応じて複合体を安定化するためのADP、ならびに上記のような賦形剤、希釈剤および担体などの他の成分を含んでもよい。別の実施形態においては、前記8種のハイブリッド抗原の混合物、または列挙した最初の5つを、熱ショックタンパク質を含めずに投与のために生理食塩水中に製剤化する。
実施例17
初回免疫-追加免疫プロトコルをこの実験において評価した。NLLRLTGWFFRKSIINFEKLハイブリッド抗原を用いて、またはhsp70を同時投与せずに、以下の5つのプロトコルを行った:1) 0日目に投与し、7日目に分析する;2) 0および7日目に投与し、21日目に分析する;3) 0日目に投与し、21日目に分析する;4) 0および14日目に投与し、28日目に分析する;ならびに5) 0日目に投与し、28日目に分析する。細胞400,000個あたりのスポット数の結果を以下に示した。
Figure 2007525448
実施例18
さらなる実験を、ハイブリッド抗原の混合物を用いて行って、上記の成分抗原に対する免疫応答の誘導を証明した。この実験においては、SIINFEKLおよびVSVペプチドRGYVYQGLを含むハイブリッド抗原を用いた。
Figure 2007525448
実施例19
熱ショックタンパク質結合ドメインNLLRLTGW、抗原性ドメインSIINFEKL(オボアルブミン由来)またはRGYVYQGL(VSVタンパク質由来)および実施例32で説明する種々のリンカーを含むハイブリッド抗原に対する結合親和性を、実施例17に記載のようにして行った。抗原性ドメイン単独では、それぞれ235μMおよび82μMのhsp70結合のKdを有していた。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例20
さらなる試験を行って、hsp70を同時投与することなくB6マウスに単独で投与した場合のハイブリッド抗原の免疫原性を評価した。IFN-γ ELISPOTを用いる評価方法は上述されている。
Figure 2007525448
実施例21
ハイブリッド抗原が以下の一般構造:

(熱ショックタンパク質結合ドメイン)-(リンカー)-(抗原1)-(リンカー)-(抗原2)

を有するように、上記のようにリンカーにより隔てられた2つの抗原を含むハイブリッド抗原を調製した。この実施例においては熱ショックタンパク質結合ドメインはハイブリッド抗原のN末端部分にあるが、これは必ずしもこのようではなく、C末端、または2つの抗原性ドメインの間に熱ショックタンパク質結合ドメインを有するハイブリッド抗原も本発明に包含される。さらに、以下の実施例においては、抗原性ドメイン間および熱ショックタンパク質結合ドメインの近くの抗原性ドメインの間で同じリンカーペプチドを用いるが、これは必ずしもこのようではなく、異なるリンカーペプチドを用いることもできる。さらに、一方または両方の位置でのリンカーの存在は任意である。さらに、3個以上の抗原性ペプチドを用いることができる。単純化のために、2個以上の抗原性ドメインを有するそのようなハイブリッド抗原をタンデムハイブリッド抗原と呼ぶ。そのようなタンデムハイブリッド抗原組成物、1個以上のタンデムハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体、および1個以上のタンデムハイブリッド抗原または少なくとも1個の熱ショックタンパク質と少なくとも1個のタンデムハイブリッド抗原との複合体を投与することによる、免疫応答の誘導または疾患の予防もしくは治療のための方法は完全に本明細書に含まれる。
以下の実験は、2個のハイブリッド抗原と、その同じ抗原を含むタンデムハイブリッド抗原との混合物の免疫原性、および用量応答試験を比較するものである。一実施形態においては、2個のリンカーおよびエピトープを含むが熱ショックタンパク質結合ドメインを含まないペプチドを、含めた。
Figure 2007525448
Figure 2007525448
この実験および他の実験においては、熱ショックタンパク質結合ドメインの近くのエピトープが最も強い免疫応答を示し、かくして本発明のワクチン製剤のために選択された選択エピトープの位置を、熱ショックタンパク質の非存在下で投与する場合であれ、熱ショックタンパク質との複合体として投与する場合であれ、製剤の全体的な免疫原性に最大に寄与するように配置することができる。
実施例22
以下の実験においては、タンデムハイブリッド抗原の混合物を、免疫原性について評価した。オボアルブミン由来(SIINFEKL)およびVSV由来(RGYVYQGL)のH2-KbクラスIペプチドに加えて、H2-Kbβ-カゼインペプチドIAYFYPELおよびセンダイウイルスペプチドFAPGNYPALも用いた。別の実験においては、別々の立体配置を取る同じ抗原性ペプチドを有する2つのタンデムハイブリッド抗原を混合した。4つのエピトープに対する強い免疫応答が誘導された。
本明細書に記載の製剤には全て1 mM ADPを含めた。以下に記載の1つの実験においては、ADPは排除した。
Figure 2007525448
Figure 2007525448
実施例23
以下の実験においては、2種のタンデムハイブリッド抗原および単一のハイブリッド抗原の混合物としてB6マウスに投与する場合に、最大5種の抗原性ペプチドを送達して、HSP70を同時投与せずに免疫原性を誘導する。タンデムハイブリッド抗原は、一方がVSVおよびオボアルブミンペプチドを含み、他方がβ-カゼインおよびセンダイウイルスペプチドを含んでいた。単一のハイブリッド抗原はNS2-114インフルエンザペプチド(RTFSFQLI)を含んでいた。
Figure 2007525448
実施例24
熱ショックタンパク質を用いずに投与された前記単一のハイブリッド抗原の免疫原性を、ハイブリッド抗原中に存在するヘルパーT細胞エピトープと組み合わせて評価した。多くの実験においては、オボアルブミンのアミノ酸323〜339由来のH2-KbクラスIIエピトープであるTEWTSSNVMEERKIKVを用いた(すなわち、ハイブリッド抗原はNLLRLTGWFFRKTEWTSSNVMEERKIKVの配列を有していた)。クラスIIペプチドを含むハイブリッド抗原の含有により、平均して約7倍、クラスIエピトープに対する応答が増加した。
Figure 2007525448
実施例25
熱ショックタンパク質の非存在下で、H2-KbクラスIIペプチドを含む種々のハイブリッド抗原と共に同時投与したハイブリッド抗原の免疫原性に対する効果を評価した。クラスIペプチドはSSWDFITVまたはDAPIYTNVであった。クラスIIペプチドは上記のオボアルブミンペプチド、破傷風トキソイド由来のクラスIIペプチドNNFTVSFWLRVPKVSASHL(すなわち、ハイブリッド抗原はNLLRLTGWFFRKNNFTVSFWLRVPKVSASHLの配列を有する)、またはHBVc(アミノ酸128〜140)ペプチドであるTPPAYRPPNAPILを含んでいた。
Figure 2007525448
このように、ヘルパーT細胞エピトープを、唯一のエピトープとしてハイブリッド抗原中に含有させ、クラスIエピトープを含む他のハイブリッド抗原との混合物として投与することもできるし、あるいはヘルパーT細胞エピトープをエピトープの1つとしてタンデムハイブリッド抗原中に含有させることもできる。これらは単に本発明のハイブリッド抗原組成物の多くのバリエーションの例に過ぎない。
実施例26
前記実施例と同様の様式で、タンデムハイブリッド抗原の免疫原性を、オボアルブミンクラスIIペプチドを含むハイブリッド抗原の同時投与を用いて、および用いずに、評価した。
Figure 2007525448
実施例27
熱ショックタンパク質の同時投与の非存在下で、少なくとも1種のタンデムハイブリッド抗原と共に同時投与したヘルパーT細胞エピトープを含むハイブリッド抗原を用いた同様の実験も行った。
Figure 2007525448
実施例28
ヒトクラスI(HLA-A2)エピトープを含むハイブリッド抗原を用いる免疫化試験を、上記のようにしてHHD IIマウスにおいて行った。動物を5μgのhsp70および33μgのNLLRLTGWFFRKYMDGTMSQVから作製された複合体を用いて免疫した。細胞300,000個あたりのELISPOTの結果は以下の通り:培地、1.33±0.58;脾臓細胞1±0;脾臓細胞+YMDGTMSQV 123±13;および脾臓細胞+IMDQVPFSV 4±1。
実施例29
HHDIIマウスを用いる別の実験においては、Trp-2由来の免疫原性HLA-A2エピトープを用いた(SVYDFFVWL)。このエピトープはH2-Kbエピトープでもあり、HHDIIマウスはB6マウス(H2-Kb)のバックグラウンドを有するため、Trp-2ペプチドに対して誘導された免疫応答はマウスモデルにおける自己エピトープに対する寛容性の破壊を示す。この実験の結果は、この自己エピトープに対する寛容性が破壊されたことを示し、本発明はハイブリッド抗原および本発明の複合体を投与することにより寛容性を破壊する方法にもさらに関する。
Figure 2007525448
実施例30
HHDIIマウスを用いて、hsp70と実施例27で説明した特定のHIVウイルス成分エピトープを含む3つのハイブリッド抗原との複合体の免疫原性を評価した。
Figure 2007525448
実施例31
hsp70と複合体化したH2-Kbエピトープを含むハイブリッド抗原の混合物を、上記のようにB6マウスにおいて免疫原性について評価した。
Figure 2007525448
実施例32
hsp70と複合体化したタンデムハイブリッド抗原の免疫原性をB6マウスにおいて試験した。
Figure 2007525448
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によりその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の改変が、前記説明および添付の図面から当業者には明らかになるであろう。そのような改変は添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
様々な刊行物が本明細書で引用されているが、その内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
図1は、ハイブリッド抗原または熱ショックタンパク質とハイブリッド抗原の複合体を用いる免疫化を行い、その7日後に該抗原を発現する腫瘍を用いたチャレンジを行った腫瘍チャレンジ試験の結果を示す。
関連出願との相互参照
本出願は、2004年2月12日に出願された米国特許出願第10/776,521号および2004年2月13日に出願されたPCT特許出願第PCT/US04/04340号に対する優先権を主張するものであり、この両方は参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。本出願はまた、35 U.S.C.§119(e)に基づいて、2003年4月11日に出願された仮出願第60/462,469号、2003年4月18日に出願された第60/463,746号、および2003年9月16日に出願された第60/503,417号に対する優先権を主張するものであり、その3つ全ては参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする。
序論
本発明は、必要に応じて1つ以上の熱ショックタンパク質と組み合わせた少なくとも1つまたはそれ以上の所定のハイブリッド抗原の有効量を被験体に投与することを特徴とする被験体における免疫応答を誘導するための方法および組成物に関する。これらの方法および組成物を、感染症および癌の治療に用いることができる。
発明の背景
熱ショックタンパク質は元々、温度の突然の上昇に曝された哺乳動物細胞中で(多くの細胞タンパク質では発現が有意に低下するにもかかわらず)発現が増加することが観察された。それ以来、そのようなタンパク質がグルコース欠乏などの種々の型のストレスに応答して産生されることが決定されてきた。本明細書で用いる用語「熱ショックタンパク質」は、明らかに呼称されているそのもののタンパク質だけでなく他のストレスタンパク質、例えば、構成的に(すなわち、ストレス条件の非存在下で)発現されるそのようなタンパク質の相同体をも包含するように用いられる。熱ショックタンパク質の例としては、BiP(grp78とも呼ばれる)、hsp70、hsc70、gp96(grp94)、hsp60、hsp40およびhsp90が挙げられる。
熱ショックタンパク質は、非天然状態にある他のタンパク質と結合する能力を有し、特に、リボソームから生じるかまたは小胞体中に押し出される新生中のペプチドに結合する能力を有する。HendrickおよびHartl, Ann. Rev. Biochem. 62:349-384(1993); Hartl, Nature 381:571-580(1996)。さらに、熱ショックタンパク質は、細胞質ゾル、小胞体およびミトコンドリア中でのタンパク質の適切な折りたたみおよび会合において重要な役割を果たすことが示された。この機能に照らせば、これらは「分子シャペロン」と呼ばれる。Frydmanら、Nature 370:111-117(1994);HendrickおよびHartl, Ann. Rev. Biochem. 62:349-384 (1993); Hartl, Nature 381: 571-580 (1996)。
例えば、タンパク質BiPは、hsp70ファミリーと呼ばれる熱ショックタンパク質のクラスのメンバーであるが、これは、小胞体中での軽鎖との会合の前に、新規に合成された折りたたまれていないμ免疫グロブリン重鎖に結合することが見出された。Hendershotら、J. Cell Biol. 104:761-767 (1987)。別の熱ショックタンパク質であるgp96は、小胞体に局在するストレスタンパク質hsp90ファミリーのメンバーである。LiおよびSrivastava, EMBO J. 12:3143-3151 (1993); MazzarellaおよびGreen, J. Biol. Chem. 262:8875-8883 (1987)。gp96は小胞体中でマルチサブユニットタンパク質の会合を助けることが提唱されている。Wiechら、Nature 358:169-170 (1992)。
実験動物中の腫瘍から調製された熱ショックタンパク質は、腫瘍特異的な様式で免疫応答を誘導することができたこと、すなわち、特定の腫瘍から精製された熱ショックタンパク質は、同じ腫瘍の増殖を阻害するが、他の腫瘍の増殖は阻害しない実験動物における免疫応答を誘導することができたことが観察された。SrivastavaおよびMaki, Curr. Topics Microbiol. 167:109-123 (1991)。熱ショックタンパク質をコードする遺伝子については腫瘍特異的DNA多型を示すことは見出されていない。SrivastavaおよびUdono, Curr. Opin. Immunol. 6: 728-732 (1994)。高分解能ゲル電気泳動により、gp96が分子レベルで不均一性であってもよいことが示された。FeldwegおよびSrivastava, Int. J. Cancer 63:310-314 (1995)。証拠は、不均一性の原因が熱ショックタンパク質に付着した小ペプチドの集団(何百にも達しうる)でありうることを示している。上掲。腫瘍により合成された熱ショックタンパク質に付着した多様なペプチドは、そのようなタンパク質に対し、その効果においていくらかHLA拘束性でありうるより伝統的な免疫原とは対照的に、多様なHLA表現型を有する被験体において免疫応答を引き出すことができるようにすることが提唱された。上掲。
Nielandら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:6135-6139 (1996))は、VSV感染細胞により産生されるgp96に結合した細胞傷害性Tリンパ球(CTL)水疱性口内炎ウイルス(VSV)エピトープを含む抗原ペプチドを同定した。Neilandの方法は、gp96に結合したさらなるペプチドまたは他の化合物の同定を不可能にするものであり、従って、gp96に結合したより高分子量の物質をさらに特定し、高速液体クロマトグラフィーにより検出することができなかった。
グルタルアルデヒド固定された放線菌のhsp65またはhsp70と化学的に架橋された、NANP (Asn Ala Asn Pro; 配列番号1)マラリア抗原の多重反復を含む合成ペプチドが、アジュバント添加の非存在下で、マウスにおける抗体形成(すなわち、体液性応答)を誘導することができたことが報告された。同様の効果は細菌エシェリキア・コリ(Escherichia coli)に由来する熱ショックタンパク質を用いても観察された。Del Guidice, Experientia 50: 1061-1066 (1994); Barriosら、Clin. Exp. Imnzunol. 98: 224-228 (1994); Barriosら、Eur. J. Immunol. 22: 1365-1372 (1992)。熱ショックタンパク質への合成ペプチドの架橋およびおそらくグルタルアルデヒド固定が、抗体誘導に必要であった。Barriosら、Clin.Exp. Immunol. 98:229-233。
PCT/US96/13363は、熱ショックタンパク質との複合体中で、抗原に対する免疫応答を誘導し、かくして癌および感染症の治療のために有用である、抗原性ドメインおよび熱ショックタンパク質結合ドメインを含むハイブリッド抗原を記載している。PCT/US98/22335は、同様の用途のためのさらなる熱ショックタンパク質結合ドメイン、ならびに単独で投与されるハイブリッド抗原が免疫応答を誘導する能力について記載している。ハイブリッド抗原中の少なくとも1つの抗原性ドメインと少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインとの間に存在するペプチドリンカーにおける改良が生物活性の増加をもたらすことが、今や発見されている。また、この増加は、ハイブリッド抗原の抗原部分に対する免疫応答の誘導の増加をもたらすことが見出される。このことは、本出願の対象であるこれらの改良されたペプチドリンカー、これらを含むハイブリッドペプチド、および熱ショックタンパク質を含むかまたは含まないこれらの使用に向けられている。
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの所定のハイブリッド抗原を必要に応じて熱ショックタンパク質との複合体として被験体に投与することを特徴とする被験体における免疫応答を誘導するための方法および組成物に関する。このハイブリッド抗原は、少なくとも1つの抗原性ドメインおよび少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、ならびにその間に少なくとも1つのペプチドリンカーを含む。感染症または腫瘍などの疾患と関連する抗原に対する免疫応答の誘導は、これらの疾患の治療のために有用である。ハイブリッド抗原の抗原性ドメインまたは免疫原性ドメインは、タンパク質全体もしくはペプチド抗原であってもよく、または選択された抗原の一部のみ、例えば、該抗原の選択されたエピトープであってもよい。熱ショックタンパク質結合ドメインは、熱ショックタンパク質に結合するペプチド、好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する7〜15アミノ酸のペプチド、より好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する疎水性ペプチド、および最も好ましくは、熱ショックタンパク質に結合する7〜15アミノ酸の疎水性ペプチドである。リンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちいずれかの配列を有する。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。
本発明は、そのようなハイブリッド抗原を単独で投与する方法、ならびに熱ショックタンパク質/ハイブリッド抗原組成物を投与する方法を提供する。この後者の方法は、(i)ハイブリッド抗原の熱ショックタンパク質への結合が起こってハイブリッド抗原/熱ショックタンパク質複合体を形成する条件下で、1つ以上の熱ショックタンパク質と、1つ以上のハイブリッド抗原とをin vitroで混合すること;および(ii)そのような治療を必要とする被験体に熱ショックタンパク質に結合したハイブリッド抗原を有効量で投与すること、を含む。
あるいは、必要に応じて熱ショックタンパク質と組み合わせたハイブリッド抗原は、該ハイブリッド抗原をコードする核酸を、必要に応じて熱ショックタンパク質をコードする核酸と共に被験体に投与することにより、該被験体に導入することができる。
かくして、第1の態様において、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質と非共有結合する結合ドメイン、および該抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原に向けられており、ここで該ペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。
第2の態様において、本発明は、1つ以上の感染性物質または1つ以上の腫瘍抗原の複数の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および該抗原性ドメインと少なくとも1つの結合ドメインとを隔てる少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。特定の実施形態においては、前記のハイブリッド抗原中の少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。
第3の態様においては、本発明は感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、および熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、ならびにそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。特定の実施形態においては、前記ハイブリッド抗原は、抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーを有する。
第4の態様においては、本発明は、1つ以上の感染性物質または1つ以上の腫瘍抗原の複数の抗原性ドメイン、および熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、ならびにそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。特定の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。
第5の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、前記組成物は複数のハイブリッド抗原を含み、このハイブリッド抗原の1つはTヘルパーエピトープを含んでよい。
第6の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン(そのうちの少なくとも1つは感染性物質または腫瘍抗原に由来するものである)、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、ならびにそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。
第7の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)のうちいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、前記組成物は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、複数のハイブリッド抗原のうち少なくとも1つはTヘルパーエピトープを含む。
第8の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン(そのうちの少なくとも1つは感染性物質または腫瘍抗原に由来する)、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)に由来する。一実施形態においては、抗原性ドメインの少なくとも1つはTヘルパーエピトープを含む。
第9の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を、被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで、ハイブリッド抗原および熱ショックタンパク質は非共有結合されており、少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。一実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープを含む。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含み、その抗原性ドメインの少なくとも1つはTヘルパーエピトープであってよい。複合体が複数のハイブリッド抗原を含むさらに別の実施形態においては、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の別の実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第10の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらなる実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。この態様の好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第11の態様においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらなる実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の別の実施形態においては、ペプチドリンカーが抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。
第12の実施形態においては、本発明は、感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN) ;Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。さらなる実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。
第13の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここでハイブリッド抗原および熱ショックタンパク質は非共有結合されており、少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の一実施形態においては、ペプチドリンカーは抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。本発明のこの態様の好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第14の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の態様においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらなる態様においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質はhsp70である。
第15の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合するペプチドを含む結合ドメイン、およびそれらの間のペプチドリンカーを含む少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはSおよび最も好ましくはVである)に由来する。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の態様においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の態様においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。さらに別の態様においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。本発明のこの態様の一実施形態においては、ペプチドリンカーは抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てる。
第16の態様においては、本発明は、感染症または癌と関連する感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する結合ドメイン、および抗原性ドメインと結合ドメインとを隔てるペプチドリンカーから本質的になる少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌の治療方法に向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーはPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。一実施形態においては、この複合体は複数のハイブリッド抗原を含む。別の実施形態においては、少なくとも1つのハイブリッド抗原はTヘルパーエピトープである。さらに別の実施形態においては、ハイブリッド抗原は複数の抗原性ドメインを含む。さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの抗原性ドメインはTヘルパーエピトープである。別の実施形態においては、前記複合体は複数のハイブリッド抗原を含み、そのハイブリッド抗原の少なくとも1つは複数の抗原性ドメインを含む。
第17の態様においては、本発明は、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのペプチドに向けられている。
第18の態様においては、本発明は、複数の抗原性ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインおよびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーを含む免疫原性ポリペプチドに向けられており、ここで少なくとも1つのペプチドリンカーは、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかである。前記のうち、特にGln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。
第19の態様においては、本発明は上記の第1、2、3または4の態様におけるハイブリッド抗原のいずれかをコードするポリヌクレオチドに向けられる。
第20の態様においては、本発明は、感染症または癌に関連する感染性物質または腫瘍抗原の抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質結合ドメイン、およびそれらの間のPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)のうちのいずれかであるペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原をコードするポリヌクレオチドを被験体に投与することを含む、感染症または癌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。
第21の態様においては、本発明は、上記のハイブリッド抗原をコードするポリヌクレオチド、および熱ショックタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、被験体に投与することを含む、感染症または癌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。好ましい実施形態においては、コードされる熱ショックタンパク質はhsp70である。
本発明の上記態様のいずれか、または全てにおいて、感染症の抗原は、非限定的な例であるが、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、菌類、酵母、寄生虫、またはプリオンなどの感染性物質から誘導されたものであってよい。癌または癌と関連する腫瘍抗原は、非限定的な例であるが、肉腫、リンパ腫、白血病、または癌腫、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、グリア芽腫、もしくは星状細胞腫から誘導されたものであってよい。感染性物質または癌の抗原性ドメインは、それぞれ、感染性物質または癌抗原の抗原に対する免疫応答を誘導することが対応する感染症または癌を治療するのに有用であるような感染症または腫瘍抗原から誘導されるか、またはそれと関連した抗原を含む。
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づいて、2003年4月11日に出願された仮出願第60/462,469号、2003年4月18日に出願された第60/463,746号、および2003年9月16日に出願された第60/503,417号に対する優先権を主張するものであり、これらの3つは全て、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
発明の詳細な説明
明確に説明するために、限定するものではないが詳細な説明を以下の小節に分割する:
(i) ハイブリッド抗原、
(ii) 熱ショックタンパク質、および
(iii) 投与方法。
ハイブリッド抗原
本発明によるハイブリッド抗原は、少なくとも1つの抗原性(免疫原性)ドメイン、少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメイン、および少なくとも2つのこれらのドメインの間のペプチドリンカーを含み、このペプチドリンカーは、
Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)、
Phe Arg Lys (FRK)、
Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号701)、
Arg Lys Asn (RKN)、
Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号702)、
Phe Arg (FR)、
Gln Leu Lys (QLK)、
Gln Leu Glu (QLE)、
Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)、
Lys Asn (KN)、
Arg Lys (RK)、または
AA1-AA2-AA3-ロイシン(配列番号9)(式中、AA1はA、S、V、E、G、LもしくはK、好ましくはV、より好ましくはS、最も好ましくはAであり; AA2はK、VもしくはE、好ましくはE、より好ましくはV、最も好ましくはKであり;ならびにAA3はV、S、F、K、A、E、もしくはT、好ましくはF、より好ましくはS、および最も好ましくはVである)、
のうちのいずれかである。
前記のうち、Gln Leu Lys (QLK)、Arg Lys (RK)およびAla Lys Val Leu (AKVL、配列番号700)が好ましく、Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号699)が最も好ましい。
かくして、ハイブリッド抗原は少なくとも2つの機能を有し、すなわち、(i) それは所望の免疫応答を誘導することができるエピトープを含み;そして(ii) それは熱ショックタンパク質に物理的に結合することができる。以下に記載するように、ハイブリッド抗原単独の投与が所望の免疫応答を誘導し、所望の治療効果をもたらすように、そのような結合をin vivoで生じさせることができる。
本明細書で用いる用語「抗原」は、アミノ酸、炭水化物、核酸もしくは脂質から個々にまたは任意の組合せで構成されていてもよい化合物を指す。
本明細書で用いる用語「ハイブリッド抗原」は、1つ以上の熱ショックタンパク質に結合し、望ましい免疫応答を指向する免疫原である化合物を指す。例えば、免疫原がインフルエンザウイルスである場合、ハイブリッド抗原はインフルエンザウイルスのマトリックスタンパク質のペプチド断片を含みうる。本明細書で用いる用語「免疫原」は、引き出される免疫応答の対象となる新生物細胞、感染細胞、病原体、またはそれらの成分に当てはまるが、一方ハイブリッド抗原は、所望の応答を誘導することができ、1つ以上の熱ショックタンパク質に結合するその免疫原の一部を含む。具体的には、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインは、MHC分子から得られるペプチド、突然変異したDNA遺伝子産物、および腫瘍細胞から得られるものなどの直接的なDNA産物などを含み、これは特定の疾患または病原体に対する免疫応答を引き出すように選択される。
本発明は任意の型の免疫原にも適用することができるが、特定の目的の免疫原は、限定されるものではないが、肉腫、リンパ腫、白血病、または癌腫、特に、メラノーマ、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、結腸癌、肺癌、グリア芽腫、星状細胞腫などの新生物疾患と関連するものであるか、それらから誘導されるものであるか、またはそれらと関連することが予測されるものである。本発明のハイブリッド抗原において有用なメラノーマ抗原の選択を、非限定的な例であるが、PCT/US01/12449 (WO0178655)(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見出すことができる。さらに、p53などの腫瘍抑制遺伝子産物、またはrasなどの癌遺伝子産物の突然変異も、本発明に従って用いられるハイブリッド抗原を提供することができる。
さらなる実施形態においては、前記免疫原は感染症と関連していてもよく、例えば、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、菌類、酵母、寄生虫、またはプリオンなどであってよい。例えば、限定されるものではないが、免疫原はヒトパピローマウイルス(下記参照)、単純ヘルペスウイルスもしくは帯状ヘルペスなどのヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1もしくは2などのレトロウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、サルモネラ(Salmonella)属菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌、エンテロコッカス(Enterococcus)属菌、クロストリジウム(Clostridium)、エシェリキア(Escherichia)属菌、クレブシエラ(Klebsiella)属菌、ビブリオ(Vibrio)属菌、ミコバクテリウム(Mycobacterium)属菌、アメーバ、マラリア寄生虫、クルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)などであってよい。
免疫原は、新生物、感染細胞、感染した被験体由来の検体、細胞培養物、もしくは組織培養物からの直接的な単離により取得してもよく、または化学的もしくは組換え技術により合成してもよい。非限定的な例として、特にウイルス、細菌などに対する使用のためにハイブリッド抗原に使用するための、好適な抗原性ペプチドは、限定されるものではないが、以下のようなHLA-A2ペプチド結合配列などのHLA結合配列を含むMHCクラスI拘束性ペプチドエピトープをその配列に対して検索することによって、設計することができる:
Xaa(Leu/Met)XaaXaaXaa(Val/Ile/Leu/Thr)XaaXaa(Val/Leu) (配列番号2)
例えば、ウイルス由来のもの:
Ser Gly Pro Ser Asn Thr Pro Pro Glu Ile (配列番号10);
Ser Gly Val Glu Asn Pro Gly Gly Tyr Cys Leu (配列番号11);
Lys Ala Val Tyr Asn Phe Ala Thr Cys Gly (配列番号12);
Arg Pro Gln Ala Ser Gly Val Tyr Met (配列番号13);
Phe Gln Pro Gln Asn Gly Gln Phe Ile (配列番号14);
Ile Glu Gly Gly Trp Thr Gly Met Ile (配列番号15);
Thr Tyr Val Ser Val Ser Thr Ser Thr Leu (配列番号16);
Phe Glu Ala Asn Gly Asn Leu Ile (配列番号17);
Ile Tyr Ser Thr Val Ala Ser Ser Leu (配列番号18);
Thr Tyr Gln Arg Thr Arg Ala Leu Val (配列番号19);
Cys Thr Glu Leu Lys Leu Ser Asp Tyr (配列番号20);
Ser Asp Tyr Glu Gly Arg Leu Ile (配列番号21);
Glu Glu Gly Ala Ile Val Gly Glu Ile (配列番号22);
Val Ser Asp Gly Gly Pro Asn Leu Tyr (配列番号23);
Ala Ser Asn Glu Asn Met Glu Thr Met (配列番号24);
Ala Ser Asn Glu Asn Met Asp Ala Met (配列番号25);
Lys Leu Gly Glu Phe Tyr Asn Gln Met Met (配列番号26);
Leu Tyr Gln Asn Val Gly Thr Tyr Val (配列番号27);
Thr Tyr Val Ser Val Gly Thr Ser Thr Leu (配列番号28);
Phe Glu Ser Thr Gly Asn Leu Ile (配列番号29);
Val Tyr Gln Ile Leu Ala Ile Tyr Ala (配列番号30);
Ile Tyr Ala Thr Val Ala Gly Ser Leu (配列番号31);
Gly Ile Leu Gly Phe Val Phe Thr Leu (配列番号32);
Ile Leu Gly Phe Val Phe Thr Leu Thr Val (配列番号33);
Ile Leu Arg Gly Ser Val Ala His Lys (配列番号34);
Glu Asp Leu Arg Val Leu Ser Phe Ile (配列番号35);
Glu Leu Arg Ser Arg Tyr Trp Ala Ile (配列番号36);
Ser Arg Tyr Trp Ala Ile Arg Thr Arg (配列番号37);
Lys Thr Gly Gly Pro Ile Tyr Lys Arg (配列番号38);
Phe Ala Pro Gly Asn Tyr Pro Ala Leu (配列番号39);
Arg Arg Tyr Pro Asp Ala Val Tyr Leu (配列番号40);
Asp Pro Val Ile Asp Arg Leu Tyr Leu (配列番号41);
Ser Pro Gly Arg Ser Phe Ser Tyr Phe (配列番号42);
Tyr Pro Ala Leu Gly Leu His Glu Phe (配列番号43);
Thr Tyr Lys Asp Thr Val Gln Leu (配列番号44);
Phe Tyr Asp Gly Phe Ser Lys Val Pro Leu (配列番号45);
Phe Ile Ala Gly Asn Ser Ala Tyr Glu Tyr Val (配列番号46);
Tyr Pro His Phe Met Pro Thr Asn Leu (配列番号47);
Ala Pro Thr Ala Gly Ala Phe Phe Phe (配列番号48);
Ser Thr Leu Pro Glu Thr Thr Val Val Arg Arg (配列番号49);
Phe Leu Pro Ser Asp Phe Phe Pro Ser Val (配列番号50);
Trp Leu Ser Leu Leu Val Pro Phe Val (配列番号51);
Gly Leu Ser Pro Thr Val Trp Leu Ser Val (配列番号52);
Asp Leu Met Gly Tyr Ile Pro Leu Val (配列番号53);
Leu Met Gly Tyr Ile Pro Leu Val Gly Ala (配列番号54);
Ala Ser Arg Cys Trp Val Ala Met (配列番号55);
Lys Leu Val Ala Leu Gly Ile Asn Ala Val (配列番号56);
Phe Leu Arg Gly Arg Ala Tyr Gly Leu (配列番号57);
Arg Arg Ile Tyr Asp Leu Ile Glu Leu (配列番号58);
Ile Val Thr Asp Phe Ser Val Ile Lys (配列番号59);
Arg Arg Arg Trp Arg Arg Leu Thr Val (配列番号60);
Glu Glu Asn Leu Leu Asp Phe Val Arg Phe (配列番号61);
Cys Leu Gly Gly Leu Leu Thr Met Val (配列番号62);
Ser Ser Ile Glu Phe Ala Arg Leu (配列番号63);
Leu Tyr Arg Thr Phe Ala Gly Asn Pro Arg Ala (配列番号64);
Asp Tyr Ala Thr Leu Gly Val Gly Val (配列番号65);
Leu Leu Leu Gly Thr Leu Asn Ile Val (配列番号66);
Leu Leu Met Gly Thr Leu Gly Ile Val (配列番号67);
Thr Leu Gln Asp Ile Val Leu His Leu (配列番号68);
Gly Leu His Cys Tyr Glu Gln Leu Val (配列番号69);
Pro Leu Lys Gln His Phe Gln Ile Val (配列番号70);
Arg Leu Val Thr Leu Lys Asp Ile Val (配列番号71);
Arg Ala His Tyr Asn Ile Val Thr Phe (配列番号72);
Leu Leu Phe Gly Tyr Pro Val Tyr Val (配列番号73);
Ser Ala Ile Asn Asn Tyr Ala Gln Lys Leu (配列番号74);
His Gln Ala Ile Ser Pro Arg Thr Leu (配列番号75);
Gln Met Val His Gln Ala Ile Ser Pro Arg Thr Leu (配列番号76);
Cys Lys Gly Val Asn Lys Glu Tyr Leu (配列番号77);
Gln Gly Ile Asn Asn Leu Asp Asn Leu (配列番号78);
Asn Asn Leu Asp Asn Leu Arg Asp Tyr (配列番号79);
Ser Glu Phe Leu Leu Glu Lys Arg Ile (配列番号80);
Ser Tyr Ile Gly Ser Ile Asn Asn Ile (配列番号81);
Ile Leu Gly Asn Lys Ile Val Arg Met Tyr (配列番号82);
Arg Leu Arg Pro Gly Gly Lys Lys Lys (配列番号83);
Glu Ile Lys Asp Thr Lys Glu Ala Leu (配列番号84);
Gly Glu Ile Tyr Lys Arg Trp Ile Ile (配列番号85);
Glu Ile Tyr Lys Arg Trp Ile Ile Leu (配列番号86);
Arg Tyr Leu Lys Asp Gln Gln Leu Leu (配列番号87);
Arg Gly Pro Gly Arg Ala Phe Val Thr Ile (配列番号88);
Ile Val Gly Leu Asn Lys Ile Val Arg (配列番号89);
Thr Val Tyr Tyr Gly Val Pro Val Trp Lys (配列番号90);
Arg Leu Arg Asp Leu Leu Leu Ile Val Thr Arg (配列番号91);
Lys Arg Trp Ile Ile Leu Gly Leu Asn Lys (配列番号92);
Ser Phe Asn Cys Gly Gly Glu Phe Phe (配列番号93);
Gly Arg Ala Phe Val Thr Ile Gly Lys (配列番号94);
Thr Pro Gly Pro Gly Val Arg Tyr Pro Leu (配列番号95);
Gln Val Pro Leu Arg Pro Met Thr Tyr Lys (配列番号96);
Thr Glu Met Glu Lys Glu Gly Lys Ile (配列番号97);
Ile Leu Lys Glu Pro Val His Gly Val (配列番号98);
Val Glu Ala Glu Ile Ala His Gln Ile (配列番号99);
Arg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu (配列番号100);
Tyr Ser Gly Tyr Ile Phe Arg Asp Leu (配列番号101);
Val Gly Pro Val Phe Pro Pro Gly Met (配列番号102);
Ile Ile Tyr Arg Phe Leu Leu Ile (配列番号103);
細菌由来のもの:
Lys Tyr Gly Val Ser Val Gln Asp Ile (配列番号104);
Ile Gln Val Gly Asn Thr Arg Thr Ile (配列番号105);
Thr Pro His Pro Ala Arg Ile Gly Leu (配列番号106);
寄生虫由来のもの:
Ser Tyr Ile Pro Ser Ala Glu Lys Ile (配列番号107);
Lys Pro Lys Asp Glu Leu Asp Tyr (配列番号108);
Lys Ser Lys Asp Glu Leu Asp Tyr (配列番号109);
Lys Pro Asn Asp Lys Ser Leu Tyr (配列番号110);
Lys Tyr Leu Lys Lys Ile Lys Asn Ser Leu (配列番号111);
Tyr Glu Asn Asp Ile Glu Lys Lys Ile (配列番号112);
Asn Tyr Asp Asn Ala Gly Thr Asn Leu (配列番号113);
Asp Glu Leu Asp Tyr Glu Asn Asp Ile (配列番号114);
Ser Tyr Val Pro Ser Ala Glu Gln Ile (配列番号115);
癌由来のもの:
Phe Glu Gln Asn Thr Ala Gln Pro (配列番号116);
Phe Glu Gln Asn Thr Ala Gln Ala (配列番号117);
Glu Ala Asp Pro Thr Gly His Ser Tyr (配列番号118);
Glu Val Asp Pro Ile Gly His Leu Tyr (配列番号119);
Ala Ala Gly Ile Gly Ile Leu Thr Val (配列番号120);
Tyr Leu Glu Pro Gly Pro Val Thr Ala (配列番号121);
Ile Leu Asp Gly Thr Ala Thr Leu Arg Leu (配列番号122);
Met Leu Leu Ala Leu Leu Tyr Cys Leu (配列番号123);
Tyr Met Asn Gly Thr Met Ser Gln Val (配列番号124);
Leu Pro Tyr Leu Gly Trp Leu Val Phe (配列番号125);
Phe Gly Pro Tyr Lys Leu Asn Arg Leu (配列番号126);
Lys Ser Pro Trp Phe Thr Thr Leu (配列番号127);
Gly Pro Pro His Ser Asn Asn Phe Gly Tyr (配列番号128);および
Ile Ser Thr Gln Asn His Arg Ala Leu (配列番号129)
(Rammensee et al., Immunogenetics 41:178-223 (1995))
Xaa(Leu/Met)XaaXaaXaaXaaXaaXaaVal (配列番号3)
(Tarpey et al., Immunology 81:222-227 (1994))
Xaa(Val/Gln)XaaXaaXaaXaaXaaXaaLeu (配列番号4);
例えば、ウイルス由来のもの:
Tyr Gly Ile Leu Gly Lys Val Phe Thr Leu (配列番号130);
Ser Leu Tyr Asn Thr Val Ala Thr Leu (配列番号131)
(Barouch et al., J. Exp. Med. 182:1847-1856 (1995))
前記エピトープは単に種々の感染症および癌と関連して利用可能な選択の例であって、限定されることを意図するものではない。
所望の免疫応答の型を考慮することも望ましい。例えば、特定の環境下では、体液性免疫応答が適当である。他の場合、実際に新生物細胞または感染細胞に対する免疫応答が引き出されると考えられる場合には、細胞性免疫応答が特に望ましい。従って、B細胞、Tヘルパー細胞、または細胞傷害性T細胞の活性化に関連する特定のエピトープを同定し、ハイブリッド抗原への組込みのために選択することができる。
また、自己免疫疾患またはアレルギーと関連するハイブリッド抗原を用いるのも望ましい。そのようなハイブリッド抗原を、1つ以上の熱ショックタンパク質と共に、被験体におけるハイブリッド抗原に対する既存の免疫応答に対して寛容原性であるか、またはそれを抑制するのに十分な量で投与すればよい。免疫応答を抑制するのに必要な熱ショックタンパク質の量は、刺激にとって必要な量よりも大幅に多いものと予測される。
ハイブリッド抗原のサイズは用いる熱ショックタンパク質に応じて様々でありうるが、本発明の非限定的な実施形態においては、ハイブリッド抗原は10〜500個のアミノ酸残基を有するペプチドサイズ、および好ましくは14〜100個、最も好ましくは18〜50個のアミノ酸残基を有するペプチドサイズであってよい。そのようなものとして、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインとして働く免疫原の断片を生成するか、あるいは化学的もしくは組換えDNA方法によりハイブリッド抗原を合成することは望ましい。
上記の考えに基づいて、ハイブリッド抗原を調製し、その後、熱ショックタンパク質に結合するその能力について試験することができる。いくつかの例においては、特定の熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合を、熱ショックタンパク質であってもよい少なくとも1つの他のタンパク質の存在により、容易にすることができる。
例えば、熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合は、放射性標識、蛍光標識、酵素標識もしくは色素標識などの検出可能な標識を用いてハイブリッド抗原を標識し、結合を生じさせることが予測される条件下で熱ショックタンパク質とハイブリッド抗原とを混合した後、未結合のハイブリッド抗原を除去しながら熱ショックタンパク質を単離し、標識されたハイブリッド抗原が熱ショックタンパク質に接着したか否かを決定することにより、評価することができる。特定の例として、限定するものではないが、ハイブリッド抗原が熱ショックタンパク質BiPに結合する能力を、50 mM Tris HCl (pH 7.5)、200 mM NaCl、および1 mM Na2EDTAを含むバッファー中、最終容量50μlとして、2μgのBiPと最大約1150ピコモルの放射性標識されたハイブリッド抗原とを、37℃にて30分間、混合することにより、評価することができる。次いで、未結合のハイブリッド抗原を、100 gで遠心分離し1 mlのSephadex-Gカラムを通して2分間脱塩することにより、結合したBiP-ハイブリッド抗原から除去することができる。Penefsky, J. Biol. Chem. 252:2891 (1977)。樹脂への結合を防止するために、最初にカラムを、上記と同様に同じバッファー中の100μlのウシ血清アルブミンで処理し、遠心分離することができる。次いで、結合したハイブリッド抗原を、液体シンチレーション計測により定量することができる。Flynnら、Science 245:385-390 (1989)を参照されたい。
ATP加水分解は多くの公知の熱ショックタンパク質からのペプチドの遊離を駆動するので、ATPase活性量を用いて、熱ショックタンパク質へのハイブリッド抗原の結合量を定量することが多い。そのようなアッセイを行う方法の例はFlynnら、Science 245:385-390 (1989)に説明されている。
熱ショックタンパク質結合ドメインを、ハイブリッド抗原がin vitroまたはin vivoでBip、hsp70、gp96、もしくはhsp90、または前記熱ショックタンパク質ファミリーのメンバーなどの熱ショックタンパク質に、単独で、またはhsp40、もしくはhsp60などのアクセサリー熱ショックタンパク質と組み合わせて結合するように、選択する。
この基準を満たすペプチドの非限定的な例は、Blood-Elguindiら、Cell 75:717-728 (1993)に記載されているような、1つ以上の熱ショックタンパク質に良好に結合することが知られている抗原のライブラリーをパニングすることにより特定することができ、そのような抗原の例は以下の通りである:
Leu Phe Trp Pro Phe Glu Trp Ile (配列番号132);
Asp Gly Val Gly Ser Phe Ile Gly (配列番号133);
Glu Ser Leu Trp Asn Pro Gln Cys (配列番号134);
Leu His Phe Asp Val Leu Trp Arg (配列番号135);
Cys His Leu Lys Met Val Pro Trp (配列番号136);
Asn Ser Val Leu Val Cys Glu Leu (配列番号137);
Asp Arg Gly His Ser Thr Tyr Ser (配列番号138);
Asp Val Trp Gly Trp Val Thr Trp (配列番号139);
Ile Gln Phe Arg Val Glu Leu Phe (配列番号140);
Leu Trp Leu Glu Leu Ser Leu Ser (配列番号141);
Val Gly Ile Cys Ala Leu Phe Gly (配列番号142);
Pro Tyr Pro Ser Gly Leu Asp Ser (配列番号143);
Phe Trp Gly Val Leu Pro Tyr Pro (配列番号144);
Phe Thr His Gly Ile Ser Leu Tyr (配列番号145);
Asn His Ser Phe Gly Gly Ser Thr (配列番号146);
Val Asp Tyr Val Tyr Phe His His (配列番号147);
Phe Leu Asp Ile Ile Gly Tyr Gly (配列番号148);
Trp Asp Asp Leu Leu His Gly Arg (配列番号149);
Leu Arg Leu Leu Gly Thr Leu Asn (配列番号150);
Phe Glu Gln His Asn Gln Glu Pro (配列番号151);
Phe Val Gly Thr Val Thr Trp Ser (配列番号152);
Leu Trp Ala Leu Thr Tyr Arg Gly (配列番号153);
Ser Trp Gly Ser Asn Gly Gly Phe (配列番号154);
Asp Met Trp Arg Arg Ala Val Gln (配列番号155);
Cys Arg Val Ile Tyr His Ala Thr (配列番号156);
Met Val Val Ala Arg Cys Gly His (配列番号157);
His Met Trp Ile Asn Trp Val Gln (配列番号158);
Cys Ala Gly Arg Cys Phe Gly Tyr (配列番号159);
Cys Thr His Val Leu Ala Tyr Ser (配列番号160);
Ser Trp Met Pro Trp Leu Thr Met (配列番号161);
Leu Glu Trp Cys Ile Trp Arg Tyr (配列番号162);
Cys Leu Ala Cys Ile Ile His Ser (配列番号163);
Phe Trp Phe Pro Trp Asp Arg Ser (配列番号164);
Trp Arg Thr Gly Val Phe His Gly (配列番号165);
Met His Leu Arg Val Ala Asp Arg (配列番号166);
Ala Leu Asp Leu Tyr Leu Tyr Val (配列番号167);
Phe Phe Trp Phe Thr Leu Lys Glu (配列番号168);
Leu Ser Phe Ala Gly Trp Gly Val (配列番号169);
Met Met Met Leu Gly Arg Ala Pro (配列番号170);
Trp Ser Phe Tyr Thr Trp Leu Asn (配列番号171);
Phe Val Trp Met Arg Trp Ile Asp (配列番号172);
Met Gln Val Asn Thr Pro Asp Asn (配列番号173);
Phe Trp Gly Trp Leu Ile Pro Trp (配列番号174);
Trp Gly Trp Val Trp Trp Asp (配列番号175);
Trp Ile Phe Pro Trp Ile Gln Leu (配列番号176);
Trp Met Phe Asn Trp Pro Trp Tyr (配列番号177);
Met Asn Met Ile Val Leu Asp Lys (配列番号178);
Phe Trp Gly Trp Pro Gly Trp Ser (配列番号179);
Trp Leu Ile Arg Val Gly Thr Ala (配列番号180);
Gly Leu Leu Thr His Leu Ile Trp (配列番号181);
Leu Trp Trp Leu Asn Val His Gly (配列番号182);
Trp Trp Trp Ile Asn Asp Glu Ser (配列番号183);
Ala Asn Pro Ser Leu Ala Thr Tyr (配列番号184);
Trp Leu Gln Gly Trp Trp Gly Trp (配列番号185);
Met Met Pro Val Thr Ser Phe Arg (配列番号186);
Gly Trp Met Asp Trp Trp Tyr Tyr (配列番号187);
Leu Ala Ser Met Arg Asn Ser Met (配列番号188);
Asp Leu Met Arg Trp Leu Gly Leu (配列番号189);
Tyr Phe Tyr Ala Trp Trp Leu Asp (配列番号190);
Leu Gly His Leu Trp Thr Gln Val (配列番号191);
Leu Trp Trp Arg Asp Val Met Ala (配列番号192);
Phe Ile Trp Trp Ala Pro Leu Ala (配列番号193);
Gly Ser Val Gly Gly Gly Val Val (配列番号194);
Asp Ser His Asp Asp Trp Arg Met (配列番号195);
Phe Trp Arg Phe Asp Tyr Tyr Phe (配列番号196);
Trp Thr Trp Trp Glu Trp Leu Ala (配列番号197);
Trp Leu Trp Asp Trp Ile Val Val (配列番号198);
Gly Trp Thr Trp Phe Phe Asp Met (配列番号199);
Ala Trp Trp Gln His Phe Ile Val (配列番号200);
Leu Trp Trp Asp Ile Ile Thr Gly (配列番号201);
Phe Thr Tyr Gly Ser Arg Trp Leu (配列番号202);
Phe Ser Leu Trp Pro Leu Ala Trp (配列番号203);
Gly Ile Ile Leu Gly Tyr Asn Val (配列番号204);
Ser Trp Met Thr Trp Ile Glu His (配列番号205);
Gly Trp Trp Val Thr Trp Pro Trp (配列番号206);
Val Val Ser Pro Trp Trp Leu Gly (配列番号207);
Asn Val Leu Ser Arg Gly Phe Ser (配列番号208);
Ser Phe Glu Ser Leu Gly Gly Leu (配列番号209);
Ile Thr Lys Gly Ser Ser Phe Pro (配列番号210);
Leu Asp Trp Ala Arg Lys Leu Arg (配列番号211);
Thr Ala Trp Asn Leu Leu Gly Tyr (配列番号212);
Phe Gly Gln Gly Ile Lys His Val (配列番号213);
Asp Val Val Trp Gln Arg Leu Leu (配列番号214);
Tyr Val Asp Arg Phe Ile Gly Trp (配列番号215);
Lys Met Ala Arg Pro Glu Gly Asn (配列番号216);
Leu Gly Arg Trp Gly His Glu Ser (配列番号217);
Ser Ile Trp Ser Leu Leu Val Leu (配列番号218);
Val Trp Leu Asp Leu Leu Leu Ser (配列番号219);
Tyr Leu Thr Asp Ser Leu Phe Gly (配列番号220);
Thr Trp Trp Pro Ser Ile Thr Trp (配列番号221);
Tyr Gly Leu Trp Trp Phe Pro Trp (配列番号222);
Phe Ser Pro Ala Asp Thr Arg Tyr (配列番号223);
Cys Asn Arg Leu Gln Ile Asp Cys (配列番号224);
Ser Leu Val Ala Ala Arg Asn Leu (配列番号225);
Phe Thr Ile His Asn Val Ala Val (配列番号226);
Met Gly Pro Leu Gly Pro Leu Leu (配列番号227);
Arg Gln Leu Ser Glu Leu Phe Val (配列番号228);
Arg Val Val Cys Gln Ala Leu Leu (配列番号229);
Trp Pro His Leu Trp Trp Leu Asp (配列番号230);
Trp Met Asp Trp Val Trp His Thr (配列番号231);
Trp Trp Gly Tyr Leu Ile Cys Gln (配列番号232);
Phe Arg Gly Leu Ser Glu Gly Pro (配列番号233);
Ser Trp Phe Asp Trp Leu Val Ala (配列番号234);
Val Val Met Trp Tyr Ser Val Asp (配列番号235);
Trp Gly Trp Ser Leu Ala Thr (配列番号236);
Leu Gly Trp Phe Asp Arg Phe Phe (配列番号237);
Ala Trp Trp Trp Pro Thr Tyr Val (配列番号238);
Gly Phe Leu Ser Ser Trp Phe Leu (配列番号239);
Gly Val Ile Asn Cys Ala Gly Thr (配列番号240);
Val Cys Ala Arg Ala Ala His Leu (配列番号241);
Gly Asn Ser Tyr Gly Asp Gly Gly (配列番号242);
Gly Phe Leu Ser Ser Trp Phe Leu (配列番号243);
Phe Asp Gln Pro Gly Arg Phe Leu (配列番号244);
Arg Ser His Ala Thr Gly Val Val (配列番号245);
Gly Tyr Trp Ala Met Met Ser Trp (配列番号246);
Cys His Ser Met Trp Asp Gly Leu (配列番号247);
Phe Ile Trp Arg Gly Trp Pro His (配列番号248);
Leu Ser Phe Leu Gly Gly Arg Leu (配列番号249);
Phe Ser Gly Val Arg Gln Pro Asn (配列番号250);
Trp Gly Trp Met Pro Phe Tyr Tyr (配列番号251);
Phe Thr Arg Pro Ala Val Val Asp (配列番号252);
Asp Leu Trp Thr Trp Leu Gly Leu (配列番号253);
Cys Asp Thr Ala Ala Val Ala Asp (配列番号254);
Trp Trp Val Lys His His Met Leu (配列番号255);
Ile Ala Phe Leu Arg Asp Asn Arg (配列番号256);
Leu Ala Arg Pro Asp His Tyr Ser (配列番号257);
Met Glu Ser Lys Arg Trp Thr Val (配列番号258);
Met Ile Leu Lys Gly Tyr Ser Arg (配列番号259);
Ala Pro Ser Asp Tyr Asp Glu Ser (配列番号260);
His Trp Leu Arg Ser Lys Arg Thr (配列番号261);
Gly Ala Arg Val Trp Asn Tyr Gln (配列番号262);
Leu Ser Asn Trp Asn Met Arg Leu (配列番号263);
Cys Gly Ala Ala Gln Gln Gly Met (配列番号264);および
Gly Ser Ser Met Val Val Gln Arg (配列番号265)
この技術を用いて、Blood-Elguindiは、熱ショックタンパク質BiPが、配列:
Hy(Trp/X)HyXHyXHy (配列番号7)
(式中、Hyは疎水性アミノ酸残基、特に、トリプトファン、ロイシンまたはフェニルアラニン(配列番号8)を表し、Xは任意のアミノ酸である)
を有するヘプタマー領域を含むポリペプチドを認識すると結論付けた。このモチーフを組み込んだ高親和性熱ショックタンパク質結合配列としては:
His Trp Asp Phe Ala Trp Pro Trp (配列番号266)、および
Phe Trp Gly Leu Trp Pro Trp Glu (配列番号267)、
が挙げられる。
他の熱ショックタンパク質結合モチーフも同定されている。例えば、Augerら、Nature Medicine 2:306-310 (1996)は、熱ショックタンパク質に結合する関節リウマチと関連したHLA-DR型における2つのペンタペプチド結合モチーフ:
Gln Lys Arg Ala Ala (配列番号5)、および
Arg Arg Arg Ala Ala (配列番号6)、
を同定した。また、熱ショック結合モチーフが疎水性アミノ酸に富む7〜15残基長のペプチドからなるものとして同定された。
Lys Arg Gln Ile Tyr Asp Leu Glu Met Asn Arg Leu Gly Lys (配列番号269);
Leu Ser Ser Leu Phe Arg Pro Lys Arg Arg Pro Ile Tyr Lys Ser (配列番号270);
Lys Leu Ile Gly Val Leu Ser Ser Leu Phe Arg Pro Lys (配列番号271);
Arg Arg Pro Ile Tyr Lys Ser Asp Val Gly Met Ala His Phe Arg (配列番号272);
Cys Lys Ile Gln Ser Thr Pro Val Lys Gln Ser (配列番号273);
Tyr His Cys Asp Gly Phe Gln Asn Glu (配列番号274);
Val Gly Ile Asp Leu Gly Thr Thr Tyr Ser Cys (配列番号275);
Ser Asn Gly Ser Leu Gln Cys Arg Ile Cys (配列番号276)
(Flynn et al., Science 245: 385-390 (1989))
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ペプチドとしては、以下:
Gly Lys Trp Val Tyr Ile (配列番号277);
Ala Lys Arg Glu Thr Lys (配列番号278);
Lys Trp Val His Leu Phe (配列番号279);
Arg Leu Val Leu Val Leu (配列番号280);
Trp Lys Trp Gly Ile Tyr (配列番号281);
Ser Ser His Ala Ser Ala (配列番号282);
Trp Gly Pro Trp Ser Phe (配列番号283);
Ala Ile Pro Gly Lys Val (配列番号284);
Arg Val His Asp Pro Ala (配列番号285);
Arg Ser Val Ser Ser Phe (配列番号286);
Leu Gly Thr Arg Lys Gly (配列番号287);
Lys Asp Pro Leu Phe Asn (配列番号288);
Leu Ser Gln His Thr Asn (配列番号289);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr (配列番号290);
Tyr Pro Leu Trp Val Ile (配列番号291);
Leu Leu Ile Ile Asp Arg (配列番号292);
Arg Val Ile Ser Leu Gln (配列番号293);
Glu Val Ser Arg Glu Asp (配列番号294);
Ser Ile Leu Arg Ser Thr (配列番号295);
Pro Gly Leu Val Trp Leu (配列番号296);
Val Lys Lys Leu Tyr Ile (配列番号297);
Asn Asn Arg Leu Leu Asp (配列番号298);
Ser Lys Gly Arg Trp Gly (配列番号299);
Ile Arg Pro Ser Gly Ile (配列番号300);
Ala Ser Leu Cys Pro Thr (配列番号301);
Asp Val Pro Gly Leu Arg (配列番号302);
Arg His Arg Glu Val Gln (配列番号303);
Leu Ala Arg Lys Arg Ser (配列番号304);
Ser Val Leu Asp His Val (配列番号305);
Asn Leu Leu Arg Arg Ala (配列番号306);
Ser Gly Ile Ser Ala Trp (配列番号307);
Phe Tyr Phe Trp Val Arg (配列番号308);
Lys Leu Phe Leu Pro Leu (配列番号309);
Thr Pro Thr Leu Ser Asp (配列番号310);
Thr His Ser Leu Ile Leu (配列番号311);
Leu Leu Leu Leu Ser Arg (配列番号312);
Leu Leu Arg Val Arg Ser (配列番号313);
Glu Arg Arg ser Arg Gly (配列番号314);
Arg Met Leu Gln Leu Ala (配列番号315);
Arg Gly Trp Ala Asn Ser (配列番号316);
Arg Pro Phe Tyr Ser Tyr (配列番号317);
Ser Ser Ser Trp Asn Ala (配列番号318);
Leu Gly His Leu Glu Glu (配列番号319);
Ser Ala Val Thr Asn Thr (配列番号320);
Leu Arg Arg Ala Ser Leu (配列番号321);
Leu Arg Arg Trp Ser Leu (配列番号322);
Lys Trp Val His Leu Phe (配列番号323);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr (配列番号324);
Ala Arg Leu Leu Leu Thr (配列番号325);
Asn Ala Leu Leu Leu Thr (配列番号326);
Asn Arg Leu Ala Leu Thr (配列番号327);
Asn Leu Leu Arg Leu Thr (配列番号328);
Asn Arg Leu Trp Leu Thr (配列番号329);
Asn Arg Leu Leu Leu Ala (配列番号330);
Met Gln Glu Arg Ile Thr Leu Lys Asp Tyr Ala Met (配列番号331);
Leu Arg Arg Trp Ser Leu Gly (配列番号332);
Lys Trp Val His Leu Phe Gly (配列番号333);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr Gly (配列番号334);
Ala Arg Leu Leu Leu Thr Gly (配列番号335);
Asn Ala Leu Leu Leu Thr Gly (配列番号336);
Asn Arg Leu Ala Leu Thr Gly (配列番号337);
Asn Leu Leu Arg Leu Thr Gly (配列番号338);
Asn Arg Leu Trp Leu Thr Gly (配列番号339);
Asn Arg Leu Leu Leu Ala Gly (配列番号340);
Gly Lys Trp Val Tyr Ile Gly (配列番号341);
Ala Lys Arg Glu Thr Lys Gly (配列番号342);
Lys Trp Val His Leu Phe Gly (配列番号343);
Arg Leu Val Leu Val Leu Gly (配列番号344);
Trp Lys Trp Gly Ile Tyr (配列番号345);
Ser Ser His Ala Ser Ala (配列番号346);
Trp Gly Pro Trp Ser Phe (配列番号347);
Ala Ile Pro Gly Lys Val (配列番号348);
Arg Val His Asp Pro Ala Gly (配列番号349);
Arg Ser Val Ser Ser Phe Gly (配列番号350);
Leu Gly Thr Arg Lys Gly Gly (配列番号351);
Lys Asp Pro Leu Phe Asn Gly (配列番号352);
Leu Ser Gln His Thr Asn Gly (配列番号353);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr Gly (配列番号354);
Tyr Pro Leu Trp Val Ile Gly (配列番号355);
Leu Leu Ile Ile Asp Arg Gly (配列番号356);
Arg Val Ile Ser Leu Gln Gly (配列番号357);
Glu Val Ser Arg Glu Asp Gly (配列番号358);
Ser Ile Leu Arg Ser Thr Gly (配列番号359);
Pro Gly Leu Val Trp Leu Gly (配列番号360);
Val Lys Lys Leu Tyr Ile Gly (配列番号361);
Asn Asn Arg Leu Leu Asp Gly (配列番号362);
Ser Lys Gly Arg Trp Gly Gly (配列番号363);
Ile Arg Pro Ser Gly Ile Gly (配列番号364);
Ala Ser Leu Cys Pro Thr Gly (配列番号365);
Asp Val Pro Gly Leu Arg Gly (配列番号366);
Arg His Arg Glu Val Gln Gly (配列番号367);
Leu Ala Arg Lys Arg Ser Gly (配列番号368);
Ser Val Leu Asp His Val Gly (配列番号369);
Asn Leu Leu Arg Arg Ala Gly (配列番号370);
Ser Gly Ile Ser Ala Trp Gly (配列番号371);
Phe Tyr Phe Trp Val Arg Gly (配列番号372);
Lys Leu Phe Leu Pro Leu Gly (配列番号373);
Thr Pro Thr Leu Ser Asp Gly (配列番号374);
Thr His Ser Leu Ile Leu Gly (配列番号375);
Leu Leu Leu Leu Ser Arg Gly (配列番号376);
Leu Leu Arg Val Arg Ser Gly (配列番号377);
Glu Arg Arg ser Arg Gly Gly (配列番号378);
Arg Met Leu Gln Leu Ala Gly (配列番号379);
Arg Gly Trp Ala Asn Ser Gly (配列番号380);
Arg Pro Phe Tyr Ser Tyr Gly (配列番号381);
Ser Ser Ser Trp Asn Ala Gly (配列番号382);
Leu Gly His Leu Glu Glu Gly (配列番号383);および
Ser Ala Val Thr Asn Thr Gly (配列番号384)
が挙げられ、これらはGragerovら、J. Molec. Biol. 235:848-854 (1994)に記載されている。
他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr (配列番号385)、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号386)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg (配列番号387)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号388)、Lys Phe Glu Arg Gln (配列番号389)、Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys (配列番号390)、およびArg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu (配列番号391)が挙げられる。
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、WO9922761に記載のものが挙げられる。Xaaは任意のアミノ酸を表す。
HTTVYGAG (配列番号392);
TETPYPTG (配列番号393);
LTTPFSSG (配列番号394);
GVPLTMDG (配列番号395);
KLPTVLRG (配列番号396);
CRFHGNRG (配列番号397);
YTRDFEAG (配列番号398);
SSAAGPRG (配列番号399);
SLIQYSRG (配列番号400);
DALMWP Xaa G (配列番号401);
SS Xaa SLYIG (配列番号402);
FNTSTRTG (配列番号403);
TVQHVAFG (配列番号404);
DYSFPPLG (配列番号405);
VGSMESLG (配列番号406);
F Xaa PMI Xaa SG (配列番号407);
APPRVTMG (配列番号408);
IATKTPKG (配列番号409);
KPPLFQIG (配列番号410);
YHTAHNMG (配列番号411);
SYIQATHG (配列番号412);
SSFATFLG (配列番号413);
TTPPNFAG (配列番号414);
ISLDPRMG (配列番号415);
SLPLFGAG (配列番号416);
NLLKTTLG (配列番号417);
DQNLPRRG (配列番号418);
SHFEQLLG (配列番号419);
TPQLHHGG (配列番号420);
APLDRITG (配列番号421);
FAPLIAHG (配列番号422);
SWIQTFMG (配列番号423);
NTWPHMYG (配列番号424);
EPLPTTLG (配列番号425);
HGPHLFNG (配列番号426);
YLNSTLAG (配列番号427);
HLHSPSGG (配列番号428);
TLPHRLNG (配列番号429);
SSPREVHG (配列番号430);
NQVDTARG (配列番号431);
YPTPLLTG (配列番号432);
HPAAFPWG (配列番号433);
LLPHSSAG (配列番号434);
LETYTASG (配列番号435);
KYVPLPPG (配列番号436);
APLALHAG (配列番号437);
YESLLTKG (配列番号438);
SHAASGTG (配列番号439);
GLATVKSG (配列番号440);
GATSFGLG (配列番号441);
KPPGPVSG (配列番号442);
TLYVSGNG (配列番号443);
HAPFKSQG (配列番号444);
VAFTRLPG (配列番号445);
LPTRTPAG (配列番号446);
ASFDLLIG (配列番号447);
RMNTEPPG (配列番号448);
KMTPLTTG (配列番号449);
ANATPLLG (配列番号450);
TIWPPPVG (配列番号451);
QTKVMTTG (配列番号452);
NHAVFASG (配列番号453);
LHAA Xaa TSG (配列番号454);
TWQPYFHG (配列番号455);
APLALHAG (配列番号456);
TAHDLTVG (配列番号457);
NMTNMLTG (配列番号458);
GSGLSQDG (配列番号459);
TPIKTIYG (配列番号460);
SHLYRSSG (配列番号461);
YTLVQPL (配列番号462);
TPDITPK (配列番号463);
TYPDLRY (配列番号464);
DRTHATS (配列番号465);
MSTTFYS (配列番号466);
YQHAVQT (配列番号467);
FPFSAST (配列番号468);
SSFPPLD (配列番号469);
MAPSPPH (配列番号470);
SSFPDLL (配列番号471);
HSYNRLP (配列番号472);
HLTHSQR (配列番号473);
QAAQSRS (配列番号474);
FATHHIG (配列番号475);
SMPEPLI (配列番号476);
IPRYHLI (配列番号477);
SAPHMTS (配列番号478);
KAPVWAS (配列番号479);
LPHWLLI (配列番号480);
ASAGYQI (配列番号481);
VTPKTGS (配列番号482);
EHPMPVL (配列番号483);
VSSFVTS (配列番号484);
STHFTWP (配列番号485);
GQWWSPD (配列番号486);
GPPHQDS (配列番号487);
NTLPSTI (配列番号488);
HQPSRWV (配列番号489);
YGNPLQP (配列番号490);
FHWWWQP (配列番号491);
ITLKYPL (配列番号492);
FHWPWLF (配列番号493);
TAQDSTG (配列番号494);
FHWWWQP (配列番号495);
FHWWDWW (配列番号496);
EPFFRMQ (配列番号497);
TWWLNYR (配列番号498);
FHWWWQP (配列番号499);
QPSHLRW (配列番号500);
SPASPVY (配列番号501);
FHWWWQP (配列番号502);
HPSNQAS (配列番号503);
NSAPRPV (配列番号504);
QLWSIYP (配列番号505);
SWPFFDL (配列番号506);
DTTLPLH (配列番号507);
WHWQMLW (配列番号508);
DSFRTPV (配列番号509);
TSPLSLL (配列番号510);
AYNYVSD (配列番号511);
RPLHDPM (配列番号512);
WPSTTLF (配列番号513);
ATLEPVR (配列番号514);
SMTVLRP (配列番号515);
QIGAPSW (配列番号516);
APDLYVP (配列番号517);
RMPPLLP (配列番号518);
AKATPEH (配列番号519);
TPPLRIN (配列番号520);
LPIHAPH (配列番号521);
DLNAYTH (配列番号522);
VTLPNFH (配列番号523);
NSRLPTL (配列番号524);
YPHPSRS (配列番号525);
GTAHFMY (配列番号526);
YSLLPTR (配列番号527);
LPRRTLL (配列番号528);
TSTLLWK (配列番号529);
TSDMKPH (配列番号530);
TSSYLAL (配列番号531);
NLYGPHD (配列番号532);
LETYTAS (配列番号533);
AYKSLTQ (配列番号534);
STSVYSS (配列番号535);
EGPLRSP (配列番号536);
TTYHALG (配列番号537);
VSIGHPS (配列番号538);
THSHRPS (配列番号539);
ITNPLTT (配列番号540);
SIQAHHS (配列番号541);
LNWPRVL (配列番号542);
YYYAPPP (配列番号543);
SLWTRLP (配列番号544);
NVYHSSL (配列番号545);
NSPHPPT (配列番号546);
VPAKPRH (配列番号547);
HNLHPNR (配列番号548);
YTTHRWL (配列番号549);
AVTAAIV (配列番号550);
TLMHDRV (配列番号551);
TPLKVPY (配列番号552);
FTNQQYH (配列番号553);
SHVPSMA (配列番号554);
HTTVYGA (配列番号555);
TETPYPT (配列番号556);
LTTPFSS (配列番号557);
GVPLTMD (配列番号558);
KLPTVLR (配列番号559);
CRFHGNR (配列番号560);
YTRDFEA (配列番号561);
SSAAGPR (配列番号562);
SLIQYSR (配列番号563);
DALMWP Xaa (配列番号564);
SS Xaa SLYI (配列番号565);
FNTSTRT (配列番号566);
TVQHVAF (配列番号567);
DYSFPPL (配列番号568);
VGSMESL (配列番号569);
F Xaa PMI Xaa S (配列番号570);
APPRVTM (配列番号571);
IATKTPK (配列番号572);
KPPLFQI (配列番号573);
YHTAHNM (配列番号574);
SYIQATH (配列番号575);
SSFATFL (配列番号576);
TTPPNFA (配列番号577);
ISLDPRM (配列番号578);
SLPLFGA (配列番号579);
NLLKTTL (配列番号580);
DQNLPRR (配列番号581);
SHFEQLL (配列番号582);
TPQLHHG (配列番号583);
APLDRIT (配列番号584);
FAPLIAH (配列番号585);
SWIQTFM (配列番号586);
NTWPHMY (配列番号587);
EPLPTTL (配列番号588);
HGPHLFN (配列番号589);
YLNSTLA (配列番号590);
HLHSPSG (配列番号591);
TLPHRLN (配列番号592);
SSPREVH (配列番号593);
NQVDTAR (配列番号594);
YPTPLLT (配列番号595);
HPAAFPW (配列番号596);
LLPHSSA (配列番号597);
LETYTAS (配列番号598);
KYVPLPP (配列番号599);
APLALHA (配列番号600);
YESLLTK (配列番号601);
SHAASGT (配列番号602);
GLATVKS (配列番号603);
GATSFGL (配列番号604);
KPPGPVS (配列番号605);
TLYVSGN (配列番号606);
HAPFKSQ (配列番号607);
VAFTRLP (配列番号608);
LPTRTPA (配列番号609);
ASFDLLI (配列番号610);
RMNTEPP (配列番号611);
KMTPLTT (配列番号612);
ANATPLL (配列番号613);
TIWPPPV (配列番号614);
QTKVMTT (配列番号615);
NHAVFAS (配列番号616);
LHAA Xaa TS (配列番号617);
TWQPYFH (配列番号618);
APLALHA (配列番号619);
TAHDLTV (配列番号620);
NMTNMLT (配列番号621);
GSGLSQD (配列番号622);
TPIKTIY (配列番号623);
SHLYRSS (配列番号624);
HGQAWQF (配列番号625);および
FHWWW (配列番号626)
上記の熱ショックタンパク質結合ドメインは、本発明の実施に用いることができるペプチドおよび非ペプチド性熱ショックタンパク質結合分子のうちの、種々のペプチドの単なる例に過ぎない。他の実施形態においては、熱ショックタンパク質結合ドメインは、上記のように哺乳動物熱ショックタンパク質の異なる部分に結合するようにすることができるので、本発明の熱ショックタンパク質結合ドメインは熱ショックタンパク質分子の任意の特定の部分への結合に限定されるものではない。非限定的な例においては、ペプチドIFAGIKKKAERADLIAYLKQATAK (Greeneら、1995, J. Biol. Chem. 270: 2967-2973; 配列番号627)またはこのペプチドの熱ショックタンパク質結合断片を、本発明のコンジュゲートのいずれかにおいて用いて、熱ショックタンパク質への予め選択した分子の結合を容易にする。熱ショックタンパク質に結合する上記のペプチドに加えて、その結合は、熱ショックタンパク質結合活性を有する有機分子または化合物の使用によって達成することができる。例えば、好適な分子としては、ハービマイシンA、ゲルダナマイシン、マクミマイシンI、ミモサマイシンおよびクワイチマイシン(Omuraら、1979, J. Antibiotics 32:255-261、WO9922761も参照。これらはその全体を本明細書に組み入れる)などのベンゾキノンアンサマイシン抗生物質のメンバー、またはそれらと構造的に関連する化合物、およびその類似体もしくは誘導体が挙げられる。これらの分子を、確立された化学的手法により、ペプチドリンカーを介して本発明の抗原性ドメインとコンジュゲートさせて、in vitroまたはin vivoで熱ショックタンパク質に結合し、そこに存在する該抗原に対する免疫応答を引き出すことができるハイブリッド抗原を生成することができる。
2004年2月12日に出願された、同時係属中の公有特許出願第10/776,521号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されているように、限定されるものではないが上記で同定されたものなどの熱ショックタンパク質結合ドメインのC末端でのトリプトファン残基(Trp、または一文字アミノ酸記号でW)の組込みにより、熱ショックタンパク質への結合が増大することが見出された。熱ショックタンパク質への結合の増大は、熱ショックタンパク質との複合体として投与されるか、または単独で投与されるかに関わらず、ハイブリッド抗原の抗原性ドメインに対する免疫応答を誘導するハイブリッド抗原の能力を増加させることが見出された。増大した免疫応答は、疾患を治療する効力の増加と相関する。親和性を決定するための方法の他の例は、PCT/US96/13363 (WO9706821)(これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
熱ショックタンパク質結合ドメインの前記選択のうち、本発明の抗原性ドメインおよびその間のペプチドリンカーを含むハイブリッド抗原の一部として本発明において好ましいものとしては、以下の熱ショックタンパク質結合ドメインが挙げられる:
Gly Lys Trp Val Tyr Ile Gly Trp (配列番号628);
Ala Lys Arg Glu Thr Lys Gly Trp (配列番号629);
Lys Trp Val His Leu Phe Gly Trp (配列番号630);
Arg Leu Val Leu Val Leu Gly Trp (配列番号631);
Trp Lys Trp Gly Ile Tyr Gly Trp (配列番号632);
Ser Ser His Ala Ser Ala Gly Trp (配列番号633);
Trp Gly Pro Trp Ser Phe Gly Trp (配列番号634);
Ala Ile Pro Gly Lys Val Gly Trp (配列番号635);
Arg Val His Asp Pro Ala Gly Trp (配列番号636);
Arg Ser Val Ser Ser Phe Gly Trp (配列番号637);
Leu Gly Thr Arg Lys Gly Gly Trp (配列番号638);
Lys Asp Pro Leu Phe Asn Gly Trp (配列番号639);
Leu Ser Gln His Thr Asn Gly Trp (配列番号640);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr Gly Trp (配列番号641);
Tyr Pro Leu Trp Val Ile Gly Trp (配列番号642);
Leu Leu Ile Ile Asp Arg Gly Trp (配列番号643);
Arg Val Ile Ser Leu Gln Gly Trp (配列番号644);
Glu Val Ser Arg Glu Asp Gly Trp (配列番号645);
Ser Ile Leu Arg Ser Thr Gly Trp (配列番号646);
Pro Gly Leu Val Trp Leu Gly Trp (配列番号647);
Val Lys Lys Leu Tyr Ile Gly Trp (配列番号648);
Asn Asn Arg Leu Leu Asp Gly Trp (配列番号649);
Ser Lys Gly Arg Trp Gly Gly Trp (配列番号650);
Ile Arg Pro Ser Gly Ile Gly Trp (配列番号651);
Ala Ser Leu Cys Pro Thr Gly Trp (配列番号652);
Asp Val Pro Gly Leu Arg Gly Trp (配列番号653);
Arg His Arg Glu Val Gln Gly Trp (配列番号654);
Leu Ala Arg Lys Arg Ser Gly Trp (配列番号655);
Ser Val Leu Asp His Val Gly Trp (配列番号656);
Asn Leu Leu Arg Arg Ala Gly Trp (配列番号657);
Ser Gly Ile Ser Ala Trp Gly Trp (配列番号658);
Phe Tyr Phe Trp Val Arg Gly Trp (配列番号659);
Lys Leu Phe Leu Pro Leu Gly Trp (配列番号660);
Thr Pro Thr Leu Ser Asp Gly Trp (配列番号661);
Thr His Ser Leu Ile Leu Gly Trp (配列番号662);
Leu Leu Leu Leu Ser Arg Gly Trp (配列番号663);
Leu Leu Arg Val Arg Ser Gly Trp (配列番号664);
Glu Arg Arg ser Arg Gly Gly Trp (配列番号665);
Arg Met Leu Gln Leu Ala Gly Trp (配列番号666);
Arg Gly Trp Ala Asn Ser Gly Trp (配列番号667);
Arg Pro Phe Tyr Ser Tyr Gly Trp (配列番号668);
Ser Ser Ser Trp Asn Ala Gly Trp (配列番号669);
Leu Gly His Leu Glu Glu Gly Trp (配列番号670);
Ser Ala Val Thr Asn Thr Gly Trp (配列番号671);
Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr (配列番号672);
Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号673);
Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg (配列番号674);
Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号675);
Lys Phe Glu Arg Gln (配列番号676);
Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys (配列番号677);および
Arg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu (配列番号678)
本発明の種々の態様にとって有用な末端Trp残基を有するそのような熱ショックタンパク質結合ドメインの他の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
Asn Leu Leu Arg Leu Thr Gly Trp (配列番号679);
Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Tyr Trp (配列番号680);
Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号681);
Gly Lys Trp Val Tyr Ile Gly Trp (配列番号628);
Ala Lys Arg Glu Thr Lys Gly Trp (配列番号629);
Lys Trp Val His Leu Phe Gly Trp (配列番号630);
Arg Leu Val Leu Val Leu Gly Trp (配列番号631);
Trp Lys Trp Gly Ile Tyr Gly Trp (配列番号632);
Ser Ser His Ala Ser Ala Gly Trp (配列番号633);
Trp Gly Pro Trp Ser Phe Gly Trp (配列番号634);
Ala Ile Pro Gly Lys Val Gly Trp (配列番号635);
Arg Val His Asp Pro Ala Gly Trp (配列番号636);
Arg Ser Val Ser Ser Phe Gly Trp (配列番号637);
Leu Gly Thr Arg Lys Gly Gly Trp (配列番号638);
Lys Asp Pro Leu Phe Asn Gly Trp (配列番号639);
Leu Ser Gln His Thr Asn Gly Trp (配列番号640);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr Gly Trp (配列番号641);
Tyr Pro Leu Trp Val Ile Gly Trp (配列番号642);
Leu Leu Ile Ile Asp Arg Gly Trp (配列番号643);
Arg Val Ile Ser Leu Gln Gly Trp (配列番号644);
Glu Val Ser Arg Glu Asp Gly Trp (配列番号645);
Ser Ile Leu Arg Ser Thr Gly Trp (配列番号646);
Pro Gly Leu Val Trp Leu Gly Trp (配列番号647);
Val Lys Lys Leu Tyr Ile Gly Trp (配列番号648);
Asn Asn Arg Leu Leu Asp Gly Trp (配列番号649);
Ser Lys Gly Arg Trp Gly Gly Trp (配列番号650);
Ile Arg Pro Ser Gly Ile Gly Trp (配列番号651);
Ala Ser Leu Cys Pro Thr Gly Trp (配列番号652);
Asp Val Pro Gly Leu Arg Gly Trp (配列番号653);
Arg His Arg Glu Val Gln Gly Trp (配列番号654);
Leu Ala Arg Lys Arg Ser Gly Trp (配列番号655);
Ser Val Leu Asp His Val Gly Trp (配列番号656);
Asn Leu Leu Arg Arg Ala Gly Trp (配列番号657);
Ser Gly Ile Ser Ala Trp Gly Trp (配列番号658);
Phe Tyr Phe Trp Val Arg Gly Trp (配列番号659);
Lys Leu Phe Leu Pro Leu Gly Trp (配列番号660);
Thr Pro Thr Leu Ser Asp Gly Trp (配列番号661);
Thr His Ser Leu Ile Leu Gly Trp (配列番号662);
Leu Leu Leu Leu Ser Arg Gly Trp (配列番号663);
Leu Leu Arg Val Arg Ser Gly Trp (配列番号664);
Glu Arg Arg ser Arg Gly Gly Trp (配列番号665);
Arg Met Leu Gln Leu Ala Gly Trp (配列番号666);
Arg Gly Trp Ala Asn Ser Gly Trp (配列番号667);
Arg Pro Phe Tyr Ser Tyr Gly Trp (配列番号668);
Ser Ser Ser Trp Asn Ala Gly Trp (配列番号669);
Leu Gly His Leu Glu Glu Gly Trp (配列番号670);
Ser Ala Val Thr Asn Thr Gly Trp (配列番号671);
Leu Arg Arg Ala Ser Leu Trp (配列番号682);
Leu Arg Arg Trp Ser Leu Trp (配列番号683);
Lys Trp Val His Leu Phe Trp (配列番号684);
Asn Arg Leu Leu Leu Thr Trp (配列番号685);
Ala Arg Leu Leu Leu Thr Trp (配列番号686);
Asn Ala Leu Leu Leu Thr Trp (配列番号687);
Asn Arg Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号688);
Asn Leu Leu Arg Leu Thr Trp (配列番号689);
Asn Arg Leu Trp Leu Thr Trp (配列番号690);および
Asn Arg Leu Leu Leu Ala Trp (配列番号691)
本発明の実施において有用な他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号692)、Phe Tyr Gln Leu Ala Leu Thr Trp (配列番号693)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号694)、Arg Lys Leu Phe Phe Asn Leu Arg Trp (配列番号695)、Lys Phe Glu Arg Gln Trp (配列番号696)、Asn Ile Val Arg Lys Lys Lys Trp (配列番号697)、およびArg Gly Tyr Val Tyr Gln Gly Leu Trp (配列番号698)が挙げられる。
さらに、他の熱ショックタンパク質結合ドメインとしては、WO9922761に記載のものが挙げられ、本発明の目的を達成するために付加された末端Trp残基を有しうる。Xaaは任意のアミノ酸を表す。
Tyr Thr Leu Val Gln Pro Leu Trp (配列番号703);
Thr Pro Asp Ile Thr Pro Lys Trp (配列番号704);
Thr Tyr Pro Asp Leu Arg Tyr Trp (配列番号705);
Asp Arg Thr His Ala Thr Ser Trp (配列番号706);
Met Ser Thr Thr Phe Tyr Ser Trp (配列番号707);
Tyr Gln His Ala Val Gln Thr Trp (配列番号708);
Phe Pro Phe Ser Ala Ser Thr Trp (配列番号709);
Ser Ser Phe Pro Pro Leu Asp Trp (配列番号710);
Met Ala Pro Ser Pro Pro His Trp (配列番号711);
Ser Ser Phe Pro Asp Leu Leu Trp (配列番号712);
His Ser Tyr Asn Arg Leu Pro Trp (配列番号713);
His Leu Thr His Ser Gln Arg Trp (配列番号714);
Gln Ala Ala Gln Ser Arg Ser Trp (配列番号715);
Phe Ala Thr His His Ile Gly Trp (配列番号716);
Ser Met Pro Glu Pro Leu Ile Trp (配列番号717);
Ile Pro Arg Tyr His Leu Ile Trp (配列番号718);
Ser Ala Pro His Met Thr Ser Trp (配列番号719);
Lys Ala Pro Val Trp Ala Ser Trp (配列番号720);
Leu Pro His Trp Leu Leu Ile Trp (配列番号721);
Ala Ser Ala Gly Tyr Gln Ile Trp (配列番号722);
Val Thr Pro Lys Thr Gly Ser Trp (配列番号723);
Glu His Pro Met Pro Val Leu Trp (配列番号724);
Val Ser Ser Phe Val Thr Ser Trp (配列番号725);
Ser Thr His Phe Thr Trp Pro Trp (配列番号726);
Gly Gln Trp Trp Ser Pro Asp Trp (配列番号727);
Gly Pro Pro His Gln Asp Ser Trp (配列番号728);
Asn Thr Leu Pro Ser Thr Ile Trp (配列番号729);
His Gln Pro Ser Arg Trp Val Trp (配列番号730);
Tyr Gly Asn Pro Leu Gln Pro Trp (配列番号731);
Phe His Trp Trp Trp Gln Pro Trp (配列番号732);
Ile Thr Leu Lys Tyr Pro Leu Trp (配列番号733);
Phe His Trp Pro Trp Leu Phe Trp (配列番号734);
Thr Ala Gln Asp Ser Thr Gly Trp (配列番号735);
Phe His Trp Trp Trp Gln Pro Trp (配列番号736);
Phe His Trp Trp Asp Trp Trp Trp (配列番号737);
Glu Pro Phe Phe Arg Met Gln Trp (配列番号738);
Thr Trp Trp Leu Asn Tyr Arg Trp (配列番号739);
Phe His Trp Trp Trp Gln Pro Trp (配列番号740);
Gln Pro Ser His Leu Arg Trp Trp (配列番号741);
Ser Pro Ala Ser Pro Val Tyr Trp (配列番号742);
Phe His Trp Trp Trp Gln Pro Trp (配列番号743);
His Pro Ser Asn Gln Ala Ser Trp (配列番号744);
Asn Ser Ala Pro Arg Pro Val Trp (配列番号745);
Gln Leu Trp Ser Ile Tyr Pro Trp (配列番号746);
Ser Trp Pro Phe Phe Asp Leu Trp (配列番号747);
Asp Thr Thr Leu Pro Leu His Trp (配列番号748);
Trp His Trp Gln Met Leu Trp Trp (配列番号749);
Asp Ser Phe Arg Thr Pro Val Trp (配列番号750);
Thr Ser Pro Leu Ser Leu Leu Trp (配列番号751);
Ala Tyr Asn Tyr Val Ser Asp Trp (配列番号752);
Arg Pro Leu His Asp Pro Met Trp (配列番号753);
Trp Pro Ser Thr Thr Leu Phe Trp (配列番号754);
Ala Thr Leu Glu Pro Val Arg Trp (配列番号755);
Ser Met Thr Val Leu Arg Pro Trp (配列番号756);
Gln Ile Gly Ala Pro Ser Trp Trp (配列番号757);
Ala Pro Asp Leu Tyr Val Pro Trp (配列番号758);
Arg Met Pro Pro Leu Leu Pro Trp (配列番号759);
Ala Lys Ala Thr Pro Glu His Trp (配列番号760);
Thr Pro Pro Leu Arg Ile Asn Trp (配列番号761);
Leu Pro Ile His Ala Pro His Trp (配列番号762);
Asp Leu Asn Ala Tyr Thr His Trp (配列番号763);
Val Thr Leu Pro Asn Phe His Trp (配列番号764);
Asn Ser Arg Leu Pro Thr Leu Trp (配列番号765);
Tyr Pro His Pro Ser Arg Ser Trp (配列番号766);
Gly Thr Ala His Phe Met Tyr Trp (配列番号767);
Tyr Ser Leu Leu Pro Thr Arg Trp (配列番号768);
Leu Pro Arg Arg Thr Leu Leu Trp (配列番号769);
Thr Ser Thr Leu Leu Trp Lys Trp (配列番号770);
Thr Ser Asp Met Lys Pro His Trp (配列番号771);
Thr Ser Ser Tyr Leu Ala Leu Trp (配列番号772);
Asn Leu Tyr Gly Pro His Asp Trp (配列番号773);
Leu Glu Thr Tyr Thr Ala Ser Trp (配列番号774);
Ala Tyr Lys Ser Leu Thr Gln Trp (配列番号775);
Ser Thr Ser Val Tyr Ser Ser Trp (配列番号776);
Glu Gly Pro Leu Arg Ser Pro Trp (配列番号777);
Thr Thr Tyr His Ala Leu Gly Trp (配列番号778);
Val Ser Ile Gly His Pro Ser Trp (配列番号779);
Thr His Ser His Arg Pro Ser Trp (配列番号780);
Ile Thr Asn Pro Leu Thr Thr Trp (配列番号781);
Ser Ile Gln Ala His His Ser Trp (配列番号782);
Leu Asn Trp Pro Arg Val Leu Trp (配列番号783);
Tyr Tyr Tyr Ala Pro Pro Pro Trp (配列番号784);
Ser Leu Trp Thr Arg Leu Pro Trp (配列番号785);
Asn Val Tyr His Ser Ser Leu Trp (配列番号786);
Asn Ser Pro His Pro Pro Thr Trp (配列番号787);
Val Pro Ala Lys Pro Arg His Trp (配列番号788);
His Asn Leu His Pro Asn Arg Trp (配列番号789);
Tyr Thr Thr His Arg Trp Leu Trp (配列番号790);
Ala Val Thr Ala Ala Ile Val Trp (配列番号791);
Thr Leu Met His Asp Arg Val Trp (配列番号792);
Thr Pro Leu Lys Val Pro Tyr Trp (配列番号793);
Phe Thr Asn Gln Gln Tyr His Trp (配列番号794);
Ser His Val Pro Ser Met Ala Trp (配列番号795);
His Thr Thr Val Tyr Gly Ala Trp (配列番号796);
Thr Glu Thr Pro Tyr Pro Thr Trp (配列番号797);
Leu Thr Thr Pro Phe Ser Ser Trp (配列番号798);
Gly Val Pro Leu Thr Met Asp Trp (配列番号799);
Lys Leu Pro Thr Val Leu Arg Trp (配列番号800);
Cys Arg Phe His Gly Asn Arg Trp (配列番号801);
Tyr Thr Arg Asp Phe Glu Ala Trp (配列番号802);
Ser Ser Ala Ala Gly Pro Arg Trp (配列番号803);
Ser Leu Ile Gln Tyr Ser Arg Trp (配列番号804);
Asp Ala Leu Met Trp Pro XAA Trp (配列番号805);
Ser Ser XAA Ser Leu Tyr Ile Trp (配列番号806);
Phe Asn Thr Ser Thr Arg Thr Trp (配列番号807);
Thr Val Gln His Val Ala Phe Trp (配列番号808);
Asp Tyr Ser Phe Pro Pro Leu Trp (配列番号809);
Val Gly Ser Met Glu Ser Leu Trp (配列番号810);
Phe XAA Pro Met Ile XAA Ser Trp (配列番号811);
Ala Pro Pro Arg Val Thr Met Trp (配列番号812);
Ile Ala Thr Lys Thr Pro Lys Trp (配列番号813);
Lys Pro Pro Leu Phe Gln Ile Trp (配列番号814);
Tyr His Thr Ala His Asn Met Trp (配列番号815);
Ser Tyr Ile Gln Ala Thr His Trp (配列番号816);
Ser Ser Phe Ala Thr Phe Leu Trp (配列番号817);
Thr Thr Pro Pro Asn Phe Ala Trp (配列番号818);
Ile Ser Leu Asp Pro Arg Met Trp (配列番号819);
Ser Leu Pro Leu Phe Gly Ala Trp (配列番号820);
Asn Leu Leu Lys Thr Thr Leu Trp (配列番号821);
Asp Gln Asn Leu Pro Arg Arg Trp (配列番号822);
Ser His Phe Glu Gln Leu Leu Trp (配列番号823);
Thr Pro Gln Leu His His Gly Trp (配列番号824);
Ala Pro Leu Asp Arg Ile Thr Trp (配列番号825);
Phe Ala Pro Leu Ile Ala His Trp (配列番号826);
Ser Trp Ile Gln Thr Phe Met Trp (配列番号827);
Asn Thr Trp Pro His Met Tyr Trp (配列番号828);
Glu Pro Leu Pro Thr Thr Leu Trp (配列番号829);
His Gly Pro His Leu Phe Asn Trp (配列番号830);
Tyr Leu Asn Ser Thr Leu Ala Trp (配列番号831);
His Leu His Ser Pro Ser Gly Trp (配列番号832);
Thr Leu Pro His Arg Leu Asn Trp (配列番号833);
Ser Ser Pro Arg Glu Val His Trp (配列番号834);
Asn Gln Val Asp Thr Ala Arg Trp (配列番号835);
Tyr Pro Thr Pro Leu Leu Thr Trp (配列番号836);
His Pro Ala Ala Phe Pro Trp Trp (配列番号837);
Leu Leu Pro His Ser Ser Ala Trp (配列番号838);
Leu Glu Thr Tyr Thr Ala Ser Trp (配列番号839);
Lys Tyr Val Pro Leu Pro Pro Trp (配列番号840);
Ala Pro Leu Ala Leu His Ala Trp (配列番号841);
Tyr Glu Ser Leu Leu Thr Lys Trp (配列番号842);
Ser His Ala Ala Ser Gly Thr Trp (配列番号843);
Gly Leu Ala Thr Val Lys Ser Trp (配列番号844);
Gly Ala Thr Ser Phe Gly Leu Trp (配列番号845);
Lys Pro Pro Gly Pro Val Ser Trp (配列番号846);
Thr Leu Tyr Val Ser Gly Asn Trp (配列番号847);
His Ala Pro Phe Lys Ser Gln Trp (配列番号848);
Val Ala Phe Thr Arg Leu Pro Trp (配列番号849);
Leu Pro Thr Arg Thr Pro Ala Trp (配列番号850);
Ala Ser Phe Asp Leu Leu Ile Trp (配列番号851);
Arg Met Asn Thr Glu Pro Pro Trp (配列番号852);
Lys Met Thr Pro Leu Thr Thr Trp (配列番号853);
Ala Asn Ala Thr Pro Leu Leu Trp (配列番号854);
Thr Ile Trp Pro Pro Pro Val Trp (配列番号855);
Gln Thr Lys Val Met Thr Thr Trp (配列番号856);
Asn His Ala Val Phe Ala Ser Trp (配列番号857);
Leu His Ala Ala Xaa Thr Ser Trp (配列番号858);
Thr Trp Gln Pro Tyr Phe His Trp (配列番号859);
Ala Pro Leu Ala Leu His Ala Trp (配列番号860);
Thr Ala His Asp Leu Thr Val Trp (配列番号861);
Asn Met Thr Asn Met Leu Thr Trp (配列番号862);
Gly Ser Gly Leu Ser Gln Asp Trp (配列番号863);
Thr Pro Ile Lys Thr Ile Tyr Trp (配列番号864);
Ser His Leu Tyr Arg Ser Ser Trp (配列番号865);および
His Gly Gln Ala Trp Gln Phe Trp (配列番号866)
前記熱ショックタンパク質結合ペプチドの全てのうち、熱ショックタンパク質結合ドメインAsn Leu Leu Arg Leu Thr Gly Trp (配列番号867)が、本発明のハイブリッド抗原において最も好ましい。しかしながら、前記熱ショックタンパク質結合ドメインは、本発明の実施において用いることができるペプチドおよび非ペプチド性熱ショックタンパク質結合分子のうちの、種々の部分の単なる例に過ぎない。
本発明のハイブリッド抗原は、本明細書に記載の少なくとも1つのペプチドリンカーにより隔てられた、少なくとも1つの抗原性(免疫原性)ドメインと少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインとを含む。本発明のハイブリッド抗原を、化学的ペプチド合成法を用いて合成するか、または抗原性および熱ショックタンパク質結合ドメインをコードする連結された配列を含む核酸構築物の発現により合成することができる。1つの好適な技術では、最初に別個のPCR増幅反応を用いて、一方の末端に結合されたリンカー断片をそれぞれが有する2つのドメインをコードする別個のDNA断片を作製し、その後、さらなるPCR工程においてその2つの増幅された産物を融合させる。この技術をリンカーテイリングと呼ぶ。好適な制限部位を目的の領域中に遺伝子工学的に作製し、その後、制限消化およびライゲーションを用いて、所望のハイブリッド抗原をコードする配列を作製することもできる。
本明細書に注記されるように、本発明のハイブリッド抗原をコードする核酸も、in vivoでの発現が免疫応答を誘導する能力を有するハイブリッド抗原をもたらす場合には、被験体への投与による治療的使用に好適である。
熱ショックタンパク質
本明細書で用いる用語「熱ショックタンパク質」は、細胞をストレスに曝した場合、該細胞中で発現の増加を示す任意のタンパク質を指す。好ましい非限定的な実施形態においては、熱ショックタンパク質は元々真核細胞から得られたものである。より好ましい実施形態においては、熱ショックタンパク質は元々哺乳動物細胞から得られたものである。例えば、限定されるものではないが、本発明に従って用いることができる熱ショックタンパク質としては、BiP(grp78とも呼ぶ)、hsp70、hsc70、gp96(grp94)、hsp60、hsp40、およびhsp90、ならびにそのファミリーのメンバーが挙げられる。特に好ましい熱ショックタンパク質は、以下に例示されるように、BiP、gp96、およびhsp70である。最も好ましいのは、hsp70ファミリーのメンバーである。熱ショックタンパク質の天然の突然変異体または組換え法で得られた突然変異体を、本発明に従って用いることもできる。例えば、限定されるものではないが、本発明は、細胞(例えば、小胞体の再生を容易にするエレメント(KDEL(配列番号266)もしくはその相同体)の突然変異または欠失を有する細胞;このような突然変異はPCT出願第PCT/US96/13233 (WO 97/06685)[これは参照により本明細書に組み入れられるものとする]に記載されている)からのそれらの分泌が容易になるように突然変異させた熱ショックタンパク質の使用を提供する。
熱ショックタンパク質およびハイブリッド抗原をタンパク質/ペプチド複合体の形態で被験体に直接投与する本発明の実施形態のために、熱ショックタンパク質は、例えば、Flynnら、Science 245:385-390 (1989)に記載のように天然の起源から、標準的な技術を用いて調製するか、または細菌、酵母もしくは哺乳動物細胞などの好適な宿主細胞中での熱ショックをコードするベクターの発現などの組換え技術を用いて調製することができる。宿主生物由来のペプチドが熱ショックタンパク質に予め負荷されていることが問題である場合、熱ショックタンパク質をATPと共にインキュベートした後、再精製すればよい。組換え熱ショックタンパク質の調製方法の非限定例を以下に説明する。
熱ショックタンパク質をコードする核酸を発現にとって必要な、または望ましいエレメントに機能し得る形で連結した後、これを用いて、タンパク質ワクチンまたは核酸ワクチンにおける使用のために熱ショックタンパク質を製造する手段として所望の熱ショックタンパク質を発現させることができる。発現にとって必要な、または望ましいエレメントとしては、限定されるものではないが、プロモーター/エンハンサーエレメント、転写開始および終結配列、ポリアデニル化シグナル、翻訳開始および終結配列、リボソーム結合部位、シグナル配列などが挙げられる。例えば、限定されるものではないが、gp96(ヒト:Genebankアクセッション番号X15187;Makiら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:5658-5562 (1990); マウス:Genebankアクセッション番号M16370;Srivastavaら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:3807-3811 (1987))、BiP(マウス:Genebankアクセッション番号U16277;Haasら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2250-2254(1988); ヒト: Genebankアクセッション番号M19645; Tingら、DIVA7 : 275-286 (1988))、hsp70 (マウス: Genebankアクセッション番号M35021; Huntら、Gene 87: 199-204 (1990); ヒト: Genebankアクセッション番号M24743; Huntら、Proe. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 82 : 6455-6489 (1995))、およびhsp40 (ヒト: Genebankアクセッション番号D49547; Ohtsuka K., Biochenz. Biophys. Res. Commun. 197: 235-240 (1993))などの種々の熱ショックタンパク質の遺伝子がクローニングされ、配列決定されている。
投与方法
本発明のハイブリッド抗原、またはハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質の複合体は、ペプチドベースのワクチン、タンパク質ベースのワクチン、または核酸ワクチンのいずれかを用いて被験体に投与して、被験体中で、被験体における治療的な免疫応答を誘導するのに有効な量の複合体が生成するようにすることができる。
被験体はヒトまたは非ヒト被験体であってよい。
本明細書で用いる用語「治療的な免疫応答」は、標準的な技術により測定される、ハイブリッド抗原に対する体液性および/または細胞性免疫の増加を指す。好ましくは、限定されるものではないが、ハイブリッド抗原に対する体液性免疫の誘導レベルが、被験体への本発明の組成物の投与前の該抗原に対する体液性免疫のレベルより、少なくとも4倍、好ましくは少なくとも16倍大きい。被験体における新生物疾患または感染症の進行の阻止または寛解が治療的な免疫応答の誘導を示すとみなされる好適なin vitroまたはin vivoアッセイを用いて、その免疫応答を、定性的に測定することもできる。
投与する熱ショックタンパク質/ハイブリッド抗原の具体的な量は、特定のワクチン組成物の免疫原性、被験体の免疫適格性、被験体の大きさおよび投与経路を含む多くの要因に依存しうる。投与のための任意の所与の組成物の好適量の決定は、日常的なスクリーニングの問題である。
さらに、有意な免疫学的効果を、ハイブリッド抗原を単独で、すなわち、熱ショックタンパク質を用いずに投与する試験において同定した。本出願人は本発明が機能するその理論を開示する義務を有さず、またそれに束縛もされないが、これらの試験の結果は、ハイブリッド抗原が、被験体への注入の際に内因性の熱ショックタンパク質に結合することから、有効性のために熱ショックタンパク質の同時投与を必要としないことを示唆している。本発明は、本発明のハイブリッド抗原のそのような利用にも拡張され、さらに、全身的なまたは本発明のハイブリッド抗原の意図される投与部位での内因性熱ショックタンパク質レベルを増加させる同時療法または治療にも拡張される。そのような同時療法または治療としては、限定されるものではないが、局所組織における熱ショックタンパク質の発現を増加させる熱もしくは局所もしくは全身的薬剤の局所適用が挙げられる。そのような薬剤および方法は当業界で公知である。
少なくとも1つの抗原性ドメインおよび少なくとも1つの熱ショックタンパク質結合ドメインを含み、熱ショックタンパク質と同時投与することなく投与される(すなわち、熱ショックタンパク質との複合体としては投与されない)ハイブリッド抗原は、上記のペプチドリンカーのうちの1つを含む。
本発明の特定の非限定的な実施形態においては、免疫応答を最適化するために、2種以上の熱ショックタンパク質、および/または2つ以上のハイブリッド抗原を含むことが望ましい。そのような手法は、免疫応答の回避をもたらす突然変異の急速な発生を特徴とする癌の治療または感染の治療において特に有利である。さらに、本発明のハイブリッド抗原は、2つ以上の免疫原性ドメインまたは2つ以上のエピトープを含んでもよい。
上記で説明したようなハイブリッド抗原/熱ショックタンパク質またはハイブリッド抗原単独を含む組成物を、本明細書では以後「ワクチン」と呼ぶ。用語「ワクチン」は、本発明の組成物を予防的または治療的な免疫応答を誘導するのに用いることができることを示すために、用いられる。本発明のワクチンは、単一の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原、または、複数の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原を含んでもよい。さらに、ワクチンは、単一もしくは複数の抗原性ドメインもしくはエピトープを有するハイブリッド抗原の混合物、または前記の任意の組合せを含んでもよい。上記で注記したように、ハイブリッド抗原もしくはその混合物を、投与前に1つ以上の熱ショックタンパク質と複合体化させることもできるし、または熱ショックタンパク質を用いずに投与することもできる。
必要に応じて本発明に従って1つ以上の熱ショックタンパク質と複合体化された1つ以上のハイブリッド抗原を含むワクチン組成物を、皮膚、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、非経口的、肺内、膣内、直腸内、経鼻または局所的に投与することができる。ワクチン組成物を、注入、粒子ボンバードメント法により、経口的に、またはエアロゾルにより、送達することができる。
ハイブリッド抗原を含む溶液中での熱ショックタンパク質のインキュベーションは、多くの場合、熱ショックタンパク質上への抗原の積載を達成するのに十分である。しかしながら、いくつかの場合においては、抗原の積載を助けることができる薬剤を添加することが望ましい。
ハイブリッド抗原とともに熱ショックタンパク質を加熱するインキュベーションは、一般的には、熱ショックタンパク質上への抗原の積載をもたらすであろう。いくつかの場合においては、しかしながら、積載を助ける追加薬剤を添加することが望ましい。例えば、hsp40はhsp70上へのペプチドの積載を容易にすることができる。Minamiら、J. Biol. Chem. 271:19617-19624(1996)。グアニジウムHClまたは尿素などの変性剤を用いて、熱ショックタンパク質を部分的かつ可逆的に不安定化させて、ペプチド結合ポケットを抗原に対してより近接可能にすることができる。
特に、熱ショックタンパク質を含む本発明のワクチンが、複合体がその目的部位に到達する前に熱ショックタンパク質と熱ショックタンパク質結合ドメインとの間の会合を促進する、アデノシン二リン酸(ADP)を含むことも好ましい。同様の能力を有する他の化合物を、単独で、またはADPと組み合わせて用いることもできる。
本発明によるワクチン組成物は、製薬上許容し得る担体などの種々の添加物質をさらに含んでもよい。好適な担体としては、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水乳液もしくはトリグリセリド乳液などの乳濁液、種々のタイプの湿潤剤、錠剤、被覆錠剤およびカプセル剤などの任意の標準的な製薬上許容された担体の任意のものが挙げられる。前記化合物の静脈内および腹腔内投与において有用な許容し得るトリグリセリド乳液の一例は、Intralipid(登録商標)として商業的に知られるトリグリセリド乳液である。典型的には、そのような担体はデンプン、乳、糖、特定のタイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物油脂、ゴム、グリコールなどの賦形剤、または他の公知の賦形剤を含む。そのような担体はまた、香料および着色添加剤または他の成分を含んでもよい。
また、本発明のワクチン組成物は、好適な希釈剤、保存剤、安定化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体を含んでもよい。そのような組成物は、液体製剤もしくは凍結乾燥された製剤、あるいは乾燥製剤の形態であってよく、そして、種々のバッファー成分(例えば、Tris-HCl、酢酸、リン酸)、pHおよびイオン強度の希釈剤、表面への吸着を防止するためのアルブミンもしくはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量剤もしくは等張性改変剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、タンパク質へのポリエチレングリコールなどのポリマーの共有結合、金属イオンとの複合体化、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのポリマー化合物の粒子状調製物の中もしくはその上への、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単一ラメラもしくは多重ラメラ小胞、赤血球ゴースト、もしくはスフェロプラスト上への前記物質の組み込みを、含んでもよい。そのような組成物は、物理状態、可溶性、安定性、in vivoでの放出速度、およびin vivoでのクリアランス速度に影響するであろう。組成物の選択はワクチンの物理的および化学的特性に依存するであろう。例えば、膜結合形態のタンパク質から誘導された生成物は界面活性剤を含む製剤を必要とする。制御放出型組成物または持続放出型組成物は、親油性デポー剤(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中の製剤を含む。また、ポリマー(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)で被覆され、組織特異的受容体、リガンドもしくは抗原に対する抗体に結合したか、または組織特異的受容体のリガンドに結合した粒子状組成物も、本発明に包含される。本発明の組成物の他の実施形態は、粒子形態保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤、または、筋肉内、非経口、経肺、経鼻および経口などの種々の投与経路のための透過促進剤を含む。
必要に応じて熱ショックタンパク質と複合体化されたハイブリッド抗原の直接投与の代わりに、該ハイブリッド抗原をコードする1つ以上のポリヌクレオチド構築物を、必要に応じて熱ショックタンパク質と共に、発現可能な形態で投与することができる。発現可能なポリヌクレオチド構築物を、ex vivoまたはin vivo法を用いて、被験体中の細胞に導入する。好適な方法としては、組織および腫瘍への直接注入、リポソームを用いるトランスフェクション(Fraleyら、Nature 370:111-117(1980))、受容体媒介エンドサイトーシス(Zatloukalら、Ann. NY Acad. Sci. 660:136-153 (1992))、粒子ボンバードメント媒介遺伝子導入(Eisenbraunら、DNA & Cell Biol. 12:792-797 (1993))およびペプチド提示バクテリオファージを用いるトランスフェクション(Barryら、Nature Medicine 2: 299-305 (1996))が挙げられる。ポリヌクレオチドワクチンを、in vitroで好適な細胞中に導入した後、それを被験体に導入することもできる。
発現可能なポリヌクレオチドを構築するために、熱ショックタンパク質および/またはハイブリッド抗原をコードする領域を上記で述べたようにして調製し、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどの好適なプロモーターに機能し得る形で連結された哺乳動物発現ベクター中に挿入する。次いで、得られた構築物を遺伝学的免疫化のためのワクチンとして用いることができる。また、核酸ポリマーをウイルスベクター中にクローニングすることもできた。好適なベクターとしては、限定されるものではないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。本発明における使用にとって好適である特定のベクターはpCDNA3 (InVitrogen)、プラスミドAH5(SV40複製起点およびアデノウイルス主要後期プロモーターを含む)、pRC/CMV (InVitrogen)、pCMUII(Paaboら、EMBO J. 5:1921-1927 (1986))、pZip-Neo SV (Cepkoら、Cell 37:1053-1062 (1984))およびpSRα (DNAX, Palo Alto, CA)である。
熱ショックタンパク質およびハイブリッド抗原の調製のための様々な方法がWO9706821およびWO9922761(これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。
以下の実施例において、および本出願を通して、アミノ酸を以下のような一文字記号を用いて表すことがある:
A アラニン
C システイン
D アスパラギン酸
E グルタミン酸
F フェニルアラニン
G グリシン
H ヒスチジン
I イソロイシン
K リジン
L ロイシン
M メチオニン
N アスパラギン
P プロリン
Q グルタミン
R アルギニン
S セリン
T トレオニン
V バリン
W トリプトファン
Y チロシン。
本発明を、本発明の例示として提供される以下の非限定的な実施例を参照することにより、より理解を深めることができる。以下の実施例は本発明の好ましい実施形態をより十分に説明するために提示する。しかしながら、これらは本発明の広範な範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
熱ショックタンパク質結合ドメイン、および癌抗原エピトープまたはオボアルブミン由来のモデル・クラスI H2-KbエピトープであるSIINFEKL(配列番号868)をそれぞれが含む、種々のハイブリッド抗原を調製した。ペプチドリンカーをこの2つのドメインの間に含有させた。これらの実験において用いた熱ショックタンパク質ドメインは以下のものであった:HWDFAWPW(配列番号869)、NLLRLTGW(配列番号870)、FYQLALTW(配列番号871)およびRKLFFNLRW(配列番号872)。リンカーは上述されたうちのいずれかであった。
癌およびモデルエピトープは以下のものであった。
Figure 2007525448
F-moc化学を用いる標準的な固相ペプチド合成を用いて、熱ショックタンパク質結合ドメイン、癌エピトープ、およびその間のリンカーを含むハイブリッド抗原を、様々な向きで合成した。
実施例2
組換えヒトまたはマウス熱ショックタンパク質70(hsp70)と上記の種々の熱ショックタンパク質結合ドメインおよび抗原性ペプチドとの間の結合親和性、ならびに抗原性ペプチドを含むハイブリッド抗原と上記の熱ショックタンパク質結合ドメインとの間の結合親和性を、Scatchard分析により測定されたhsp70に対する参照標識ハイブリッド抗原(トリチウム化またはフルオレセイン化ALFDIESKVGSGHWDFAWPW; 配列番号878)の結合親和性と比較して、結合阻害アッセイ(Hillプロット)により決定した(それぞれ22.64μMおよび10.75μMのKd)。結合試験を39%PBS;20 mM THAM, pH 8; 37 mM NaCl, 5 mM MgCl2;および1 mM ADP中で行った。
実施例3
マウスにおける免疫学的試験のために、オボアルブミン由来マウスMHC H2-K(b)エピトープであるSIINFEKL(アミノ酸257〜264; 配列番号868)、および水疱性口内炎ウイルス(VSV)の核タンパク質由来のH2-K(b)ペプチドであるRGYVYQGL(アミノ酸52〜59; 配列番号879)を、ハイブリッド抗原の調製に用いた。次の表はエピトープ単独およびハイブリッド抗原中での配列およびhsp70に対する親和性を説明するものである。
Figure 2007525448
実施例4
Hsp70単独、SIINFEKL(配列番号868)と複合体化したhsp70、およびHSP70を含むまたは含まないハイブリッドSIINFEKL(配列番号868)ペプチドを用いて、尾の根元でマウスを皮下的に免疫した。hsp70単独の場合を除き、各免疫化が同じ量のSIINFEKL(配列番号868)を含むように、用量を調節した。7日後、脾臓を回収し、CD8+T細胞を濃縮し、これをex vivoでのIFN-γ ELISPOTアッセイに供した。SIINFEKL(配列番号868)でパルスした後の応答(「SIINFEKL」)を、1群あたり少なくとも3匹のマウスを用いる4回以上の実験についての用量および4 x 105個のCD8 T細胞あたりのスポット数(平均±標準偏差)を含む以下の表に、記録した。対照としては、培地のみ(「培地対照」)、パルスされていないT細胞(「非パルス対照」)、VSVから誘導された非免疫化ペプチドであるRGYVYQGL(配列番号879)でパルスされたT細胞(「VSV対照」)、および陽性対照としてのコンカナバリンAへの曝露(「Con A陽性対照」)を含めた。
同じ実験において、上記の51Cr放出アッセイを、SIINFEKL(配列番号868)でパルスされた標的細胞を用いて行った。200:1のエフェクター 対 標的細胞比で得られた殺傷割合の結果を、以下の表の最右欄に示す。
Figure 2007525448
実施例5
Hsp70を含まないハイブリッド抗原をも含めて、上記のものと類似した実験を行った。
Figure 2007525448
実施例6
上記のものと類似したさらなる実験を行った。
Figure 2007525448
実施例7
in vivo実験の前に、FFRK(配列番号699)、RK、AKVL(配列番号700)、QLKおよびFR(一文字アミノ酸記号を用いる)などの他の短いペプチドリンカーを用いて作製された異なる用量のハイブリッド抗原とhsp70との複合体を評価するために、B6マウスを皮下的に免疫した。ex vivoでのIFN-γ ELISPOTアッセイを上記のように行った。対照値を含む結果を以下に示す。
Figure 2007525448
Figure 2007525448
実施例8
上記のものと類似したB6マウスにおけるin vivo試験を、hsp70を添加しない製剤を用いて行った。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例9
上記のものと類似したB6マウスにおけるin vivo試験を、hsp70を含む製剤、または含まない製剤を用いて行った。さらに、ハイブリッド抗原を遊離の熱ショックタンパク質結合ドメインペプチド(NLLRLTGW)(配列番号870)と同時投与する1つの試験を行った。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例10
上記実験の多くにおいて対照として用いたVSVエピトープであるRGYVYQGL(配列番号879)を、本発明のさらなるハイブリッド抗原の調製においてエピトープとして用い、上記と同様の実験において免疫応答の誘導について評価した。
Figure 2007525448
実施例11
疾患の治療に対する、上記のハイブリッド抗原およびhsp70との複合体の効果を評価するために、オボアルブミンを発現するように改変された20,000個のE7腫瘍細胞(E.G7と呼ぶ)をB6マウス中に皮下的に埋め込んだモデルを用いた。1処置群あたり10匹のマウスを用いた。このモデルは、例えば、Moroiら、2000, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 97: 3485-3490に記載されている。時間に対する、腫瘍を有するマウスの数の結果を、図1に示す。31日後、hsp70:NLLRLTGWFFRKSIINFEKL(配列番号881)で免疫した10匹のマウスはいずれも腫瘍を発生せず、またTitermaxアジュバント中に乳化させたSIINFEKL(配列番号868)で免疫したマウスも腫瘍を発生しなかった。NLLRLTGWFFRKSIINFEKL(配列番号881)単独(hsp70を含まず)でワクチン接種した10匹のマウスのうちの3匹は腫瘍を有していた。Hsp70:SIINFEKL(配列番号868)でワクチン接種した10匹のマウスのうちの5匹は腫瘍を有し、Titermaxおよびバッファーのみで免疫した10匹のマウスのうちの9匹は腫瘍を有していた。
実施例12
上記のin vitro抗原提示アッセイを用いて、本発明の製剤をさらに評価した。ハイブリッド抗原の参加、より具体的には該抗原の抗原提示経路への参加のための、hsp70に対する本発明のハイブリッド抗原(製剤中に供給されるものであれ、内因的に利用可能であれ)の必要性を証明するために、以下の製剤を用いてアッセイを行い、その結果と共に示す。
Figure 2007525448
実施例13
Firatら、1999, “H-2 class I knockout, HLA-A2.1-transgenic mice: a versatile animal model for preclinical evaluation of antitumor immunotherapeutic strategies,”Eur Immunol. 29: 3112- 21により記載されたヒトHLA-A2複合体を担持するHHD IIマウスモデルを以下の実験において用いて、本発明のハイブリッド抗原中のヒトHLA-A2エピトープを評価した。ヒトメラノーマ抗原gp100に由来する”IMD”ペプチドエピトープIMDQVPFSV(配列番号874)を、HHD IIモデルにおいて低用量および高用量で本発明のハイブリッド抗原中にて評価した。上記のものと同様の方法を、IMDペプチドである試験ペプチド、および対照として、メラノーマ抗原チロシナーゼに由来するペプチドであるYMDGTMSQV(配列番号875)(“YMD”)を用いるELISPOTアッセイに用いた。結果を以下の表に示す。
Figure 2007525448
HHD IIマウスにおける同様の実験を、hsp70との複合体としたハイブリッド抗原中のエピトープとしてYMDを用いて、以下のように行った。
Figure 2007525448
実施例14
センダイウイルス(SdV)由来のエピトープであるFAPGNYPAL(配列番号891)を、上記と同様に、B6マウスにおいて本発明のハイブリッド抗原中で評価した。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例15
2つの本発明のハイブリッド抗原とhsp70のB6マウスへの同時投与に関するin vivo実験を行った。オボアルブミン由来のSIINFEKL(配列番号868)およびVSV由来のRGYVYQGL(配列番号879)を含むハイブリッド抗原をhsp70と混合し、免疫した。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例16
上記で注記したように、本発明の一態様においては、異なる抗原エピトープを含む複数のハイブリッド抗原を含む製剤を、ヒトにおける免疫化のために1つ以上の熱ショックタンパク質と共に製剤化して、疾患を治療または予防するための有効な免疫応答を引き出すことができる。例えば、ヒトメラノーマを治療するためには、8個の異なるメラノーマエピトープを含む製剤をハイブリッド抗原として調製し、さらに、例えばhsp70と共に製剤化することができる。この特定の製剤においては、N末端の熱ショックタンパク質結合ドメインNLLRLTGW(配列番号870)を全てのエピトープとして用い、ペプチドリンカーFFRK(配列番号699)を用いてエピトープのC末端に連結する。他の結合ドメインおよびリンカーは本明細書に包含される。この特定の製剤はHLA-A2ハプロタイプを有する患者を治療するのに有用である。製剤はhsp70を有する以下のハイブリッド抗原を含む。
Figure 2007525448
一実施形態においては、ほぼ等量の前記8種のハイブリッド抗原をhsp70と複合体化し、生理食塩水中に含めて投与することができる。別の実施形態においては、製剤は列挙した最初の5種のハイブリッド抗原を含む。生理食塩水中に熱ショックタンパク質を含む前記製剤は、必要に応じて複合体を安定化するためのADP、ならびに上記のような賦形剤、希釈剤および担体などの他の成分を含んでもよい。別の実施形態においては、前記8種のハイブリッド抗原の混合物、または列挙した最初の5つを、熱ショックタンパク質を含めずに投与のために生理食塩水中に製剤化する。
実施例17
初回免疫-追加免疫プロトコルをこの実験において評価した。NLLRLTGWFFRKSIINFEKL(配列番号881)ハイブリッド抗原を用いて、またはhsp70を同時投与せずに、以下の5つのプロトコルを行った:1) 0日目に投与し、7日目に分析する;2) 0および7日目に投与し、21日目に分析する;3) 0日目に投与し、21日目に分析する;4) 0および14日目に投与し、28日目に分析する;ならびに5) 0日目に投与し、28日目に分析する。細胞400,000個あたりのスポット数の結果を以下に示した。
Figure 2007525448
実施例18
さらなる実験を、ハイブリッド抗原の混合物を用いて行って、上記の成分抗原に対する免疫応答の誘導を証明した。この実験においては、SIINFEKL(配列番号868)およびVSVペプチドRGYVYQGL(配列番号879)を含むハイブリッド抗原を用いた。
Figure 2007525448
実施例19
熱ショックタンパク質結合ドメインNLLRLTGW(配列番号870)、抗原性ドメインSIINFEKL(配列番号868)(オボアルブミン由来)またはRGYVYQGL(配列番号879)(VSVタンパク質由来)および実施例32で説明する種々のリンカーを含むハイブリッド抗原に対する結合親和性を、実施例17に記載のようにして行った。抗原性ドメイン単独では、それぞれ235μMおよび82μMのhsp70結合のKdを有していた。結果を以下に示す。
Figure 2007525448
実施例20
さらなる試験を行って、hsp70を同時投与することなくB6マウスに単独で投与した場合のハイブリッド抗原の免疫原性を評価した。IFN-γ ELISPOTを用いる評価方法は上述されている。
Figure 2007525448
実施例21
ハイブリッド抗原が以下の一般構造:

(熱ショックタンパク質結合ドメイン)-(リンカー)-(抗原1)-(リンカー)-(抗原2)

を有するように、上記のようにリンカーにより隔てられた2つの抗原を含むハイブリッド抗原を調製した。この実施例においては熱ショックタンパク質結合ドメインはハイブリッド抗原のN末端部分にあるが、これは必ずしもこのようではなく、C末端、または2つの抗原性ドメインの間に熱ショックタンパク質結合ドメインを有するハイブリッド抗原も本発明に包含される。さらに、以下の実施例においては、抗原性ドメイン間および熱ショックタンパク質結合ドメインの近くの抗原性ドメインの間で同じリンカーペプチドを用いるが、これは必ずしもこのようではなく、異なるリンカーペプチドを用いることもできる。さらに、一方または両方の位置でのリンカーの存在は任意である。さらに、3個以上の抗原性ペプチドを用いることができる。単純化のために、2個以上の抗原性ドメインを有するそのようなハイブリッド抗原をタンデムハイブリッド抗原と呼ぶ。そのようなタンデムハイブリッド抗原組成物、1個以上のタンデムハイブリッド抗原と熱ショックタンパク質との複合体、および1個以上のタンデムハイブリッド抗原または少なくとも1個の熱ショックタンパク質と少なくとも1個のタンデムハイブリッド抗原との複合体を投与することによる、免疫応答の誘導または疾患の予防もしくは治療のための方法は完全に本明細書に含まれる。
以下の実験は、2個のハイブリッド抗原と、その同じ抗原を含むタンデムハイブリッド抗原との混合物の免疫原性、および用量応答試験を比較するものである。一実施形態においては、2個のリンカーおよびエピトープを含むが熱ショックタンパク質結合ドメインを含まないペプチドを、含めた。
Figure 2007525448
この実験および他の実験においては、熱ショックタンパク質結合ドメインの近くのエピトープが最も強い免疫応答を示し、かくして本発明のワクチン製剤のために選択された選択エピトープの位置を、熱ショックタンパク質の非存在下で投与する場合であれ、熱ショックタンパク質との複合体として投与する場合であれ、製剤の全体的な免疫原性に最大に寄与するように配置することができる。
実施例22
以下の実験においては、タンデムハイブリッド抗原の混合物を、免疫原性について評価した。オボアルブミン由来(SIINFEKL)(配列番号868)およびVSV由来(RGYVYQGL)(配列番号879)のH2-KbクラスIペプチドに加えて、H2-Kbβ-カゼインペプチドIAYFYPEL(配列番号904)およびセンダイウイルスペプチドFAPGNYPAL(配列番号891)も用いた。別の実験においては、別々の立体配置を取る同じ抗原性ペプチドを有する2つのタンデムハイブリッド抗原を混合した。4つのエピトープに対する強い免疫応答が誘導された。
本明細書に記載の製剤には全て1 mM ADPを含めた。以下に記載の1つの実験においては、ADPは排除した。
Figure 2007525448
Figure 2007525448
実施例23
以下の実験においては、2種のタンデムハイブリッド抗原および単一のハイブリッド抗原の混合物としてB6マウスに投与する場合に、最大5種の抗原性ペプチドを送達して、HSP70を同時投与せずに免疫原性を誘導する。タンデムハイブリッド抗原は、一方がVSVおよびオボアルブミンペプチドを含み、他方がβ-カゼインおよびセンダイウイルスペプチドを含んでいた。単一のハイブリッド抗原はNS2-114インフルエンザペプチド(RTFSFQLI)(配列番号906)を含んでいた。
Figure 2007525448
実施例24
熱ショックタンパク質を用いずに投与された前記単一のハイブリッド抗原の免疫原性を、ハイブリッド抗原中に存在するヘルパーT細胞エピトープと組み合わせて評価した。多くの実験においては、オボアルブミンのアミノ酸323〜339由来のH2-KbクラスIIエピトープであるTEWTSSNVMEERKIKV(配列番号908)を用いた(すなわち、ハイブリッド抗原はNLLRLTGWFFRKTEWTSSNVMEERKIKV(配列番号909)の配列を有していた)。クラスIIペプチドを含むハイブリッド抗原の含有により、平均して約7倍、クラスIエピトープに対する応答が増加した。
Figure 2007525448
実施例25
熱ショックタンパク質の非存在下で、H2-KbクラスIIペプチドを含む種々のハイブリッド抗原と共に同時投与したハイブリッド抗原の免疫原性に対する効果を評価した。クラスIペプチドはSSWDFITV(配列番号914)またはDAPIYTNV(配列番号915)であった。クラスIIペプチドは上記のオボアルブミンペプチド、破傷風トキソイド由来のクラスIIペプチドNNFTVSFWLRVPKVSASHL(配列番号916)(すなわち、ハイブリッド抗原はNLLRLTGWFFRKNNFTVSFWLRVPKVSASHL(配列番号917)の配列を有する)、またはHBVc(アミノ酸128〜140)ペプチドであるTPPAYRPPNAPIL(配列番号918)を含んでいた。
Figure 2007525448
このように、ヘルパーT細胞エピトープを、唯一のエピトープとしてハイブリッド抗原中に含有させ、クラスIエピトープを含む他のハイブリッド抗原との混合物として投与することもできるし、あるいはヘルパーT細胞エピトープをエピトープの1つとしてタンデムハイブリッド抗原中に含有させることもできる。これらは単に本発明のハイブリッド抗原組成物の多くのバリエーションの例に過ぎない。
実施例26
前記実施例と同様の様式で、タンデムハイブリッド抗原の免疫原性を、オボアルブミンクラスIIペプチドを含むハイブリッド抗原の同時投与を用いて、および用いずに、評価した。
Figure 2007525448
実施例27
熱ショックタンパク質の同時投与の非存在下で、少なくとも1種のタンデムハイブリッド抗原と共に同時投与したヘルパーT細胞エピトープを含むハイブリッド抗原を用いた同様の実験も行った。
Figure 2007525448
実施例28
ヒトクラスI(HLA-A2)エピトープを含むハイブリッド抗原を用いる免疫化試験を、上記のようにしてHHD IIマウスにおいて行った。動物を5μgのhsp70および33μgのNLLRLTGWFFRKYMDGTMSQV(配列番号890)から作製された複合体を用いて免疫した。細胞300,000個あたりのELISPOTの結果は以下の通り:培地、1.33±0.58;脾臓細胞1±0;脾臓細胞+YMDGTMSQV(配列番号875) 123±13;および脾臓細胞+IMDQVPFSV(配列番号874) 4±1。
実施例29
HHDIIマウスを用いる別の実験においては、Trp-2由来の免疫原性HLA-A2エピトープを用いた(SVYDFFVWL)(配列番号920)。このエピトープはH2-Kbエピトープでもあり、HHDIIマウスはB6マウス(H2-Kb)のバックグラウンドを有するため、Trp-2ペプチドに対して誘導された免疫応答はマウスモデルにおける自己エピトープに対する寛容性の破壊を示す。この実験の結果は、この自己エピトープに対する寛容性が破壊されたことを示し、本発明はハイブリッド抗原および本発明の複合体を投与することにより寛容性を破壊する方法にもさらに関する。
Figure 2007525448
実施例30
HHDIIマウスを用いて、hsp70と実施例27で説明した特定のHIVウイルス成分エピトープを含む3つのハイブリッド抗原との複合体の免疫原性を評価した。
Figure 2007525448
実施例31
hsp70と複合体化したH2-Kbエピトープを含むハイブリッド抗原の混合物を、上記のようにB6マウスにおいて免疫原性について評価した。
Figure 2007525448
実施例32
hsp70と複合体化したタンデムハイブリッド抗原の免疫原性をB6マウスにおいて試験した。
Figure 2007525448
本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によりその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の改変が、前記説明および添付の図面から当業者には明らかになるであろう。そのような改変は添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
様々な刊行物が本明細書で引用されているが、その内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
図1は、ハイブリッド抗原または熱ショックタンパク質とハイブリッド抗原の複合体を用いる免疫化を行い、その7日後に該抗原を発現する腫瘍を用いたチャレンジを行った腫瘍チャレンジ試験の結果を示す。

Claims (21)

  1. 感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間のPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);およびAAl-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、L、またはKであり、AA2はK、V、またはEであり、そしてAA3はV、S、F、K、A、E、またはTである)からなる群より選択される少なくとも1つのペプチドリンカーを含む、ハイブリッド抗原。
  2. 請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
  3. 少なくとも1つの熱ショックタンパク質と請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原との複合体を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
  4. 熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項3に記載の組成物。
  5. 請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
  6. 被験体に、
    (a) 請求項1に記載のハイブリッド抗原;および
    (b) 熱ショックタンパク質;
    の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
  7. 熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項6に記載の方法。
  8. 少なくとも1つの抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項1に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を、被験体に投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
  9. 被験体に、
    (a) 少なくとも1つの抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項1に記載のハイブリッド抗原;および
    (b) 熱ショックタンパク質;
    の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
  10. 熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項9に記載の方法。
  11. 感染性物質または腫瘍抗原の少なくとも1つの抗原性ドメイン、熱ショックタンパク質に非共有結合する少なくとも1つの結合ドメイン、およびそれらの間の少なくとも1つのペプチドリンカーから本質的になるハイブリッド抗原であって、該ペプチドリンカーがPhe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL、配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);およびAAl-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、L、またはKであり、AA2はK、V、またはEであり、そしてAA3はV、S、F、K、A、E、またはTである)からなる群より選択される、前記ハイブリッド抗原。
  12. 請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
  13. 少なくとも1つの熱ショックタンパク質と請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原との複合体を含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための組成物。
  14. 熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項13に記載の組成物。
  15. 請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
  16. 被験体に、
    (a) 請求項11に記載のハイブリッド抗原;および
    (b) 熱ショックタンパク質;
    の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染性物質または腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導する方法。
  17. 熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項16に記載の方法。
  18. 少なくとも1つの抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項11に記載の少なくとも1つのハイブリッド抗原を被験体に投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
  19. 被験体に、
    (a) 抗原性ドメインが感染症または癌に由来するものである請求項1に記載のハイブリッド抗原;および
    (b) 熱ショックタンパク質;
    の複合体であって、該ハイブリッド抗原と該熱ショックタンパク質とが非共有結合している前記複合体を投与することを含む、感染症または癌を治療する方法。
  20. 熱ショックタンパク質がhsp70である、請求項19に記載の方法。
  21. Phe Phe Arg Lys (FFRK、配列番号1000); Phe Arg Lys (FRK); Phe Arg Lys Asn (FRKN、配列番号1002); Arg Lys Asn (RKN); Phe Phe Arg Lys Asn (FFRKN、配列番号1003); Phe Arg (FR); Gln Leu Lys (QLK); Gln Leu Glu (QLE); Ala Lys Val Leu (AKVL; 配列番号1001); Lys Asn (KN); Arg Lys (RK);またはAAl-AA2-AA3-ロイシン(式中、AA1はA、S、V、E、G、L、またはKであり、AA2はK、V、またはEであり、そしてAA3はV、S、F、K、A、E、またはTである)である、ペプチド。
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