JP2007523148A - 疼痛の軽減方法 - Google Patents
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Abstract
疼痛軽減に用いるための医薬品の製造における、式(I) RC(O)-NH-(CH2)n-CH=CH2 (式中、RはC1〜20アルキル、C2〜20アルケニルまたはC2〜20アルキニルを表し、かつnは0〜3の整数である)の化合物の使用。医薬品に使用するための式(I)の化合物。式(I)の化合物の有効量を患者に投与することを含む、前記患者の疼痛を軽減する方法。好ましい化合物は、N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミドである。
Description
本発明は、疼痛の軽減、特に鎮痛剤として使用する化合物に関する。
疼痛の制御および軽減は、医療における重要な分野である。疼痛は、疾患や外傷の結果として生じる場合もあれば、化学療法などの医療処理の結果として生じる場合もある。いずれの場合も、疼痛をできるだけ軽減し、患者が正常に機能できるようにすることが重要である。
疼痛は、複雑な感覚であり、疾患の最も一般的な症状である。疼痛は、痛感受容体を活性化する(化学的、温度的、機械的等の)有害な刺激による侵害受容性の疼痛である場合、あるいは中枢または末梢の神経系の疾患が原因である神経障害性の疼痛である場合がある。さらに、疼痛は、急性または慢性と分類することができる。急性の疼痛は、通常、損傷(例えば、外傷または疾患)の結果であり、長くは続かず、損傷した組織が回復するにつれ、または回復してしばらくすると消失するのが普通である。慢性の疼痛は、通常、急性の組織損傷が回復しても1カ月以上続く疼痛、3カ月以上続いたり繰り返したりする疼痛、あるいは持続または進行する組織の損傷に伴う疼痛であると幅広く任意に規定されている(The Merck Manual, 1999)。
疼痛症状のいくつかは、これらの基準に基づいて分類するのが難しい。そのようなものには、例えば、慢性頭痛および悪性疾患における体組織への浸潤により生じる絶え間のない急性の疼痛が含まれる。
以下の2種類の疼痛に関する神経経路が、体内では同時に作用している:(1)組織の損傷を感知し、その結果として痛みの感覚をもたらす知覚経路;(2)痛みの感覚を弱め、疼痛に関する情報が中枢神経系(CNS)に流れるのを妨げ、それによって損傷にもかかわらず生物に正常な活動を維持させる鎮痛経路。これらは異なる経路であることから、異なる物質の影響を受ける。 例えば、アスピリンやリドカインは、末梢知覚経路に作用し、モルヒネおよび関連物質は、鎮痛系に作用する。
モルヒネおよび関連のオピオイド化合物などのオピオイド類は、最も強力な鎮痛剤と考えられており、重篤な疼痛の軽減に使われることが多い。しかし、これらの麻薬には、依存および耽溺をもたらす重大な欠点がある。さらに、オピオイド類を投与された患者は、それらの薬剤に対し耐性をもつようになりやすく、そのため鎮痛効果を得るために必要とする薬剤の用量が増えたり、耐性の結果禁断症状が生じたりすることになる。オピオイド系薬剤に伴う別の副作用として、悪心、鎮静および呼吸抑制が挙げられる。
非オピオイド系鎮痛剤、例えば、アセトアミノフェン(パラセタモール)などのシクロオキシゲナーゼ阻害剤および他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が、軽度から中等度の疼痛の治療に効果を示す場合が多い。アセチルサリチル酸(アスピリン)、インドメタシン、ジクロフェナク、ベンジダミンなどのNSAID類に属する抗炎症薬は、外傷および炎症に伴う疼痛の鎮痛剤として使われている。NSAID類に属する薬剤に共通する副作用には、胃腸の刺激および潰瘍化、血小板凝集抑制、腎機能不全ならびに肝障害が含まれる。
鎮痛剤の別の主たる種類として、ナトリウムチャンネルを遮断する局所麻酔薬がある。この種類に属する化合物、例えば、リドカインは、脊椎に局所的に適用した場合、手術または外傷の後の疼痛の制御に有効であることが報告されているが、適切に投与および監視するための専門技術および基本設備が必要である。リドカインの全身的注入により、急性の疼痛を軽減することができるが、発作または無呼吸から直ちに蘇生できるように継続的な監視が必要である。
鎮痛剤の種類として、さらに局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、抗うつ薬および抗けいれん薬が挙げられる。
上記の種類の鎮痛剤に加え、現在、炎症性および神経障害性の疼痛においてカンナビノイドが鎮痛効果を示すという経験的主張を支持する強力な実験に基づく証拠が得られている(Riceら、 (2003) Cannabinoids and pain. In: Dostrovsky, Carr and Kolzenburg Eds. Seattle: IASP Press, 437-468)。最近の進歩により、カンナビノイドの薬理に関する理解が大幅に進んでいる。カンナビス・サティヴァ(Cannabis sativa)の精神興奮性の成分が単離されており、合成カンナビノイドが報告されており、内因性カンナビノイド系が、それに関わる受容体、リガンドおよびそれらの生化学的特徴とともに同定されている。鎮痛作用を及ぼす部位が、脳、脊髄および末梢で特定されており、後者2つは、カンナビノイドの鎮痛効果と向精神性効果とを分離する格好のターゲットとなる。
今日までに、2種類のカンナビノイド受容体がクローニングされている。それらは、1990年にクローニングされたCB1(Matsudaら、(1990) Nature 346, 561-564)と1993年にクローニングされたCB2(Munroら、(1993) Nature 365 61-65)とである。いずれもG-タンパク質共役受容体であり、1種の細胞外N-末端ドメイン、7種の膜貫通へリックスおよび1種の細胞内C-末端ドメインからなる典型的な構造を有している。
CB1受容体に結合する内因性リガンドがいくつか発見されている。基本型のリガンドとして、2種類、アナンダミド(アラキドニルエタノールアミド、AEA)と2-アラキドニルグリセロール(2-AG)があり、いずれも長鎖脂肪酸誘導体(図1)である。AEAはCB1受容体に結合し、古典的な4種類のカンナビノイド効果、すなわち、無痛感、低運動、カタレプシーおよび低体温を惹起し、さらに記憶処理、痙性および細胞増殖にも作用を及ぼす。AEAはCB2受容体にも結合するが、この受容体では生物学的に顕著な活性は惹起しない。AEAはバニロイド受容体(VR1)の弱い作動薬である。2-AGも、カンナビノイド様作用を有し、AEAよりもはるかに高い濃度で内因性で認められる。2-AGは、CB1に弱く結合するに過ぎないが、完全作動薬であり、CB2受容体にも結合する。2-AGは、CB2受容体の内因性リガンドであると示唆されている(Hillard (2000) Prostaglandins Other Lipid Mediat 61, 3-18)。
パルミトイルエタノールアミド(PEA)(図1)は、別の内因性カンナビノイド様化合物であり、脂肪酸誘導体である。PEAは、CB1またはCB2受容体に対して限られた結合能しか有しないが、PEAの一部の作用は、CB2受容体拮抗薬SR144528(SR2)によって阻害される(Calignanoら、(1998) Nature 394 277-281; Farquhar-Smithら、(2002) Pain 97, 11-21; Farquhar-SmithおよびRice (2001) Anesthesiology 94(3), 507-513; Farquhar-SmithおよびRice (2003) Anesthesiology 99, 1391-1401)。
PEAは、生体内で抗炎症作用および鎮痛作用を有し(Calignanoら、(1998) Nature 394 277-281; Jaggarら、(1998) Pain 76 189-199; Lambertら、(2001) Epilepsia 42 321-327; Farquhar-Smithら、(2002) Pain 97, 11-21; Farquhar-SmithおよびRice (2001) Anesthesiology 94(3), 507-513; Farquhar-SmithおよびRice (2003) Anesthesiology 99, 1391-1401)、この作用がどのようにして仲介されるかについていくつかの説がある:PEAは、CB2受容体に結合する他の内因性リガンドの作用を高める可能性がある;または、SR2がここでも拮抗薬として作用する新たな非CB1/CB2受容体に結合している可能性がある。
脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)は、内因性カンナビノイドを含む多くの脂肪酸アミドを分解する酵素である(Bogerら、(2000) Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 10 2613-2616)。FAAHは、脳(Egertovaら、(1998) Proc R Soc Lond 265 2081-2085; Tsouら、(1998) Neuroscience Letters 254 137-140; Romeroら、(2002) Molecular Brain Res 100 85-93)および末梢に広く分布しており、AEAおよびPEAの両方を分解することが知られている(Tigerら、(2000) Biochemical Pharmacology 59 647-653)。最近の証拠によれば、FAAHは、疼痛経路に関与する領域を含む多くの脳の領域でCB1受容体と補完し合う形で局在化していることが示されている(Egertovaら、(1998) Proc R Soc Lond 265 2081-2085)。
FAAHは、内因性カンナビノイドAEAおよびPEAを含む脂肪酸アミドを分解することから、生体内でFAAHの機能を阻害すれば、内因性カンナビノイドがより長時間存在し、それによって鎮痛作用等の作用を持続させることができるであろう。このような目的のために、FAAH阻害剤が発見されており(Martinら、(2000) J Pharmacol Exp Ther 294 1209-1218; Bogerら、(2000) Proc Natl Acad Sci USA 97 5044-5049)、実際に、PEA自体がFAAHを阻害する何らかの能力を有する(Jonssonら、(2001) Br J Pharmacol 133 1263-1275)。
最近になって、PEAの構造-活性に関するいくつかの研究がなされている。Vandevoordeら、(2003) J Med Chem 46 1440-1448は、エタノールアミン頭基を変化させたPEAの類似体および同族体を合成し、FAAHの機能を阻害することによってAEAの代謝を低下させる点では、PEAは、それらのいずれの化合物よりも圧倒的に優っていることを見出した。
同様に、Jonssonら、(2001) Br J Pharmacol 13, 1263-1275は、エタノールアミン頭基および脂肪酸尾の両方を修飾したPEAの類似体および同族体をいくつか合成した。彼らは、FAAHによるAEA代謝を低下させる類似体の能力は、PEAと比較した場合ほとんど変わらないことを見出した。しかし、PEAに比べ、それらのうちの2種の化合物は、AEAの細胞内への取り込みを増加させたことから、「随行」化合物として有用である可能性がある。
別の研究では、Lambertら、(1999) Biochem Biophys Acta 1440 266-274は、PEA、ならびにエタノールアミン頭基および脂肪酸尾の両方を変化させた類似体と同族体の、CB1およびCB2に対するリガンドとして作用する能力を調べた。彼らは、PEAはCB1およびCB2に対する弱いリガンドであり、類似体および同族体は、本質的にそれらの受容体には結合しないことを見出した。
国際公開第WO 00/32200号は、さらに多くのアナンダミン類似体を検討しているが、生体内活性は示唆されていない。
The Merck Manual, 1999 Riceら、 (2003) Cannabinoids and pain. In: Dostrovsky, Carr and Kolzenburg Eds. Seattle: IASP Press, 437-468 Farquhar-Smithら、(2002) Pain 97, 11-21 Farquhar-SmithおよびRice (2001) Anesthesiology 94(3), 507-513 Farquhar-SmithおよびRice (2003) Anesthesiology 99, 1391-1401 Lambertら、(2001) Epilepsia 42 321-327 Romeroら、(2002) Molecular Brain Res 100 85-93 Vandevoordeら、(2003) J Med Chem 46 1440-1448 Jonssonら、(2001) Br J Pharmacol 13, 1263-1275 Lambertら、(1999) Biochem Biophys Acta 1440 266-274 国際公開第WO 00/32200号
Bogerら、(1999) Bioorg Med Chem Lett 9, 1151-1154
Linら、(1998) J Med Chem 41, 5353-5361
Pateら、(1996) Life Sci 58, 1849-1860
D.E.V. Wilman "Prodrugs in Cancer Chemotherapy" Biochemical Society Transactions 14, 375-382 (615th Meeting, Belfast 1986)
V.J. Stellaら、"Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery" Directed Drug Delivery R. Borchardtら編, pages 247-267 (Humana Press 1985)
Senterら、1993. Generation of cytotoxic agents by targeted enzymes. Bioconjugate 4, 3-9
Senterら、1991. Activation of prodrugs by antibody-enzyme conjugates. Immunobiology of Proteins and Peptides VI, M.Z.Atassi編, Plenum Press, New York, pp 97-105
R J Massey, Nature, 328, pp. 457-458 (1987)
Romeroら、2002
Lambertら、1999
Bakerら、2000
The Merck Manual, 1999 Riceら、 (2003) Cannabinoids and pain. In: Dostrovsky, Carr and Kolzenburg Eds. Seattle: IASP Press, 437-468 Farquhar-Smithら、(2002) Pain 97, 11-21 Farquhar-SmithおよびRice (2001) Anesthesiology 94(3), 507-513 Farquhar-SmithおよびRice (2003) Anesthesiology 99, 1391-1401 Lambertら、(2001) Epilepsia 42 321-327 Romeroら、(2002) Molecular Brain Res 100 85-93 Vandevoordeら、(2003) J Med Chem 46 1440-1448 Jonssonら、(2001) Br J Pharmacol 13, 1263-1275 Lambertら、(1999) Biochem Biophys Acta 1440 266-274
本発明者らは、エタノールアミン基がアリルアミン基で置換されているPEAに類似した化合物が、動物モデルで鎮痛剤として作用することができることを見出した。
本発明の第1の態様は、疼痛軽減に用いるための医薬品の製造における、式I:
RC(O)-NH-(CH2)n-CH=CH2
(式中、RはC1〜20アルキル、C2〜20アルケニルまたはC2〜20アルキニルを表し、かつnは0〜3の整数である)
の化合物の使用を提供する。
RC(O)-NH-(CH2)n-CH=CH2
(式中、RはC1〜20アルキル、C2〜20アルケニルまたはC2〜20アルキニルを表し、かつnは0〜3の整数である)
の化合物の使用を提供する。
本発明の第2の態様は、医薬品に使用するための先に規定した式Iの化合物を提供することである。
本発明の第3の態様は、先に規定した式Iの化合物の有効量を患者に投与することを含む患者の疼痛を軽減する方法を提供することである。
本明細書中のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、直鎖であってもよく、分枝鎖であってもよい。疑いを回避するために、さらにアルケニル基は、1つまたは(適当であれば)複数のC-C二重結合(例えば、1〜3個のC=C二重結合)を含有することができる。その上さらにアルキニル基は、1つまたは(適当であれば)複数のC-C三重結合(例えば、1〜3個のC≡C三重結合)を含有することができる。好ましくは、アルケニルおよびアルキニル基は、不飽和点を1つのみ含有する。また好ましくは、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、直鎖である。
本発明において使用される化合物は、共通して末端アリルアミン頭基を有する脂肪酸のアミドである。
患者とは、疼痛の軽減を必要としている、または疼痛の軽減を必要とする可能性がある患者である。「疼痛」には、あらゆるタイプの疼痛を含み、例えば、神経障害性の疼痛、術後性疼痛、慢性腰痛、クラスター頭痛、ヘルペス神経痛、ヘルペス後神経痛、幻想肢痛、中枢痛、歯痛、オピオイド不応性疼痛、ガン性疼痛、内臓痛、外科的疼痛、骨の損傷に伴う疼痛、陣痛、日焼けを含む熱傷が原因の疼痛、分娩後の疼痛、偏頭痛、狭心痛および膀胱炎を含む尿生殖路関連痛などの急性および慢性の疼痛がある。この用語は、侵害受容性疼痛または侵害受容を含む。
患者は、疼痛の軽減を必要としている任意の動物、例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、イヌ、ネコ、ラットまたはマウスであってもよい。好ましくは、患者はヒトである。
本発明の第1または第3の態様の実施形態では、前記医薬品が1種または複数の鎮痛剤をさらに含むか、患者に前記1種または複数の鎮痛剤をさらに投与する。
追加の鎮痛剤は、好ましくはカンナビノイド受容体リガンド、例えばアラキドニルエタノールアミド(AEA)または2-アラキドニルグリセロール(2-AG)またはパルミトイルエタノールアミド(PEA)、あるいはFAAHの基質、例えばPEAである。以下に、他の鎮痛剤の例を示す。
本発明の第1、第2または第3の態様の一実施形態では、式Iの化合物において、RがC10〜20アルキル、C10〜20アルケニルまたはC10〜20アルキニルを表す。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、式Iの化合物において、RがC10〜20 n-アルキル、C10〜20モノアルケニルまたはC10〜20モノアルキニルを表す。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、式Iの化合物において、RがC10〜20 n-アルキル、C10〜20モノ-n-アルケニルまたはC10〜20モノ-n-アルキニルを表す。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、式Iの化合物において、RがC11〜19 n-アルキルまたはC11〜19モノ-n-アルケニルを表す。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、式Iの化合物において、RがC11〜18 n-アルキルまたはC11〜18モノ-n-アルケニルを表す。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、式Iの化合物において、アルケニルまたはアルキニル基がそれぞれ、3個以下のC-C二重結合または三重結合を有する。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、化合物がN-(2-プロペニル)-5,8,11,14-エイコサテトラエンアミドではない。
本発明の第1、第2または第3の態様の別の実施形態では、式Iの化合物において、nが0または1を表し、好ましくはnが1を表す。
本発明の第1、第2または第3の態様の一実施形態では、化合物が、N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミド、N-(2-プロペニル)シス-9-オクタデセンアミド、N-(2-プロペニル)シス-9-ヘキサデセンアミド、N-(2-プロペニル)テトラデカンアミド、N-(2-プロペニル)シス-9-テトラデセンアミド、N-(2-プロペニル)オクタデカンアミド、N-(2-プロペニル)トランス-9-オクタデセンアミド、N-(2-プロペニル)ドデカンアミド、またはN-(2-プロペニル)シス-5-ドデセンアミドである。好ましくは、化合物がN-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミドである。図1は、これらの化合物を示す図である。
本発明のこれらの態様に関して用いる化合物は、当業者なら理解できるであろう、適当な任意の方法で調製することができる。
例えば、
N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミドは、Vandevoordeら、(2003) J Med Chem 46 1440-1448, Scheme 1にその概要が述べられているように、塩化パルミトイルとアリルアミンとから調製することができる。
N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミドは、Vandevoordeら、(2003) J Med Chem 46 1440-1448, Scheme 1にその概要が述べられているように、塩化パルミトイルとアリルアミンとから調製することができる。
N-(2-プロペニル)シス-9-オクタデセンアミドは、塩化オレオイルとアリルアミンとから調製することができる。本化合物は、CAS番号187529-39-1の下に登録されている。
N-(2-プロペニル)シス-9-ヘキサデセンアミドは、パルミトレイン酸、塩化オキサリルおよびアリルアミンから調製することができる。
N-(2-プロペニル)テトラデカンアミドは、塩化ミリストイルとアリルアミンとから調製することができる。
N-(2-プロペニル)シス-9-テトラデセンアミドは、ミリストレイン酸、塩化オキサリルおよびアリルアミンから調製することができる。
N-(2-プロペニル)オクタデカンアミドは、塩化ステアロイルとアリルアミンとから調製することができる。
N-(2-プロペニル)トランス-9-オクタデセンアミドは、エライジン酸、塩化オキサリルおよびアリルアミンから調製することができる。
N-(2-プロペニル)ドデカンアミドは、塩化ラウロイルとアリルアミンとから調製することができる。
N-(2-プロペニル)シス-5-ドデセンアミドは、シス-5-ドデセン酸、塩化オキサリルおよびアリルアミンから調製することができる。
N-(2-プロペニル)-5,8,11,14-エイコサテトラエンアミドは、アラキドン酸、塩化オキサリルおよびアリルアミンから調製することができる。この化合物は、CAS番号177037-49-9の下に登録されている。この化合物は、Bogerら、(1999) Bioorg Med Chem Lett 9, 1151-1154;Linら、(1998) J Med Chem 41, 5353-5361;Pateら、(1996) Life Sci 58, 1849-1860;および国際公開第WO 00/32200号で言及されている。
上記の試薬は、Sigma-Aldrich-Fluka社やAcros Chimica社から購入することができる。塩化アシルが市販されていない場合は、当業者ならば理解できるであろうが、ジクロロメタン中で対応するカルボン酸と塩化オキサリルとから調製することができるであろう。
以下に、N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミドの合成プロトコールの詳細を示す。
二口フラスコを用い、アリルアミン5.7 g(100mmol)を乾燥塩化メチレン10mLに注ぎ入れた。溶液を氷浴中で冷却し、マグネティックスターラーを用いて攪拌した。塩化パルミトイル2.74 g(10mmol)を滴下しながら加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した後、5%重炭酸ナトリウム溶液、1M HClおよびブラインで洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧下で蒸発させ、以下のデータを有する白色の固体1.74 g(59%)を得た。
物理学的データおよびスペクトルデータ:
融点:61〜63℃(未補正)、
TLC(酢酸エチル/メタノール 8:2 v/v) Rf)0.77、
1H NMR (CDC13) ‰ (ppm) 0.87 (t, J) 3 Hz, 3H), 1.22-1.54 (m, 26H), 2.19 (t, J) 7 Hz, 2H), 3.7-3.72 (m, 2H), 5.11-5.2 (m, 2H), 5.55 (NH), 5.79-5.88 (m, 1H)、13C NMR (CDC13) ‰ (ppm) 14.10 (CH3), 22.77, 25.88, 29.43, 29.56, 29.76, 32.02, 35.39, 36.87, 41.99, 58.48, 116.39 (CH2), 134.51 (CH), 173.07 (C=O)、
質量分析[M+・])296、
IR吸収(cm-1) 3299 (NH)、1636 C=O)、
CAS番号:1012114-99-8。
融点:61〜63℃(未補正)、
TLC(酢酸エチル/メタノール 8:2 v/v) Rf)0.77、
1H NMR (CDC13) ‰ (ppm) 0.87 (t, J) 3 Hz, 3H), 1.22-1.54 (m, 26H), 2.19 (t, J) 7 Hz, 2H), 3.7-3.72 (m, 2H), 5.11-5.2 (m, 2H), 5.55 (NH), 5.79-5.88 (m, 1H)、13C NMR (CDC13) ‰ (ppm) 14.10 (CH3), 22.77, 25.88, 29.43, 29.56, 29.76, 32.02, 35.39, 36.87, 41.99, 58.48, 116.39 (CH2), 134.51 (CH), 173.07 (C=O)、
質量分析[M+・])296、
IR吸収(cm-1) 3299 (NH)、1636 C=O)、
CAS番号:1012114-99-8。
本発明の方法で使用される他の化合物を合成するために要する変更は、当業者であれば容易に理解できるであろう。
本発明の化合物は、通常、有効成分を含む医薬品製剤の形態で、必要に応じて毒性のない有機もしくは無機の酸または塩基の付加塩の形態で、薬学的に許容される剤形で、経口または任意の非経口経路から投与される。治療される疾患および患者、ならびに投与経路によって、本組成物は、様々な用量で投与することができる。
好ましくは、本製剤は、有効成分の1日あたりの用量または単位、1日の1回あたりの用量、あるいはそれらを適切に分割した量を含有する単位用量である。
ヒトを治療する場合、本発明の化合物を単独で投与してもよいが、通常は、意図された投与経路および標準的薬学慣行に合致した適切な薬学的賦形剤、希釈剤または担体との混合物として投与される。
例えば、本発明の化合物は、錠剤、カプセル剤、腔坐剤(ovule)、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形態で、経口、口内および舌下投与が可能であり、香料または着色料を含有してもよく、即時、遅延、または制御放出として投与することができる。本発明の化合物は、陰茎海綿体に注射することによっても投与することができる。
これらの錠剤は、微細結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基リン酸カルシウム、グリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシデンプン、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン)、グリコール酸スターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、特定の複合シリケートなどの崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、アラビアゴムなどの顆粒化結合剤を含有することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルクなどの潤滑剤を含むことができる。
同様なタイプの固形組成物を、ゼラチンカプセル剤に充填剤として使用することもできる。この場合には、好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールである。水性懸濁液および/またはエリキシル剤では、本発明の化合物は、種々の甘味料、香料、着色料もしくは染料、乳化剤および/または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンなどの希釈剤、あるいはそれらの組合せとともに用いることができる。
本発明の化合物は、非経口、例えば、静脈内、動脈内、硬膜外、腹腔内、くも膜下、脳室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、皮下へ投与することもできる。または、注入法により投与してもよい。本発明の化合物は、滅菌水溶液の形態で最も好適に用いられ、他の物質、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩またはグルコースを含有することができる。このような水溶液は、必要であれば、適切に緩衝液で(好ましくはpH 3〜9に)処理する必要がある。当業者に周知の標準的な製剤方法によって、滅菌条件下で適切な非経口製剤を容易に調製することができる。
非経口投与に適する製剤には、水性および非水性の滅菌注射溶液が含まれ、それらは、酸化防止剤、緩衝液、細菌発育阻子剤、ならびに製剤を投与する患者の血液と等張にする溶質を含有することができる。さらに、非経口投与に適する製剤には、水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれ、それらは、懸濁化剤および増粘剤を含むことができる。本製剤は、単位用量容器または多用量容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアルに入れることができ、使用直前に滅菌した液体の担体、例えば、注射用水を加えるだけでよい凍結乾燥状態で保存することができる。即時調合型の注射溶液および懸濁液は、前記のような種類の滅菌した散剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
ヒト患者に対する経口および非経口投与の場合、本発明の化合物の1日あたりの用量レベルは、通常、成人で1〜1000mg(すなわち約0.015〜15mg/kg)を、1回または複数回に分けて投与する。
すなわち、例えば、本発明の化合物の錠剤またはカプセル剤は、1〜1000mgの有効成分を含有し、一度に1錠または複数錠を適宜投与する。医師は、常に、個々の患者に最も適した実際の用量を決め、そのような用量は、特定の患者の年齢、体重および応答によって異なる。上記の用量は、平均的な症例の具体例である。もちろん、それより高用量範囲が有効な場合も、低用量範囲が有効な場合もあってよく、いずれも本発明の範囲に属するものである。
本発明の化合物を、鼻腔内に投与することもできるし、吸入によって投与することもでき、好都合には、乾燥粉末吸入器の形態で供給したり、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン;トリクロロフルオロメタン;ジクロロテトラフルオロエタン;1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134A(商標))、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA(商標))などのヒドロフルオロアルカン;二酸化炭素または他の適切な気体を用いて、加圧された容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからエアゾールスプレーとして生じる形態で供給する。加圧されたエアゾール剤の場合、定量を供給するバルブを取り付けることによって用量単位を決定することができる。加圧された容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、有効化合物の溶液または懸濁液を含有することができる。例えば、溶媒としてエタノールと推進剤との混合物を用いる。さらに、トリオレイン酸ソルビタン等の潤滑剤を含有してもよい。吸入器または吹込器に使用する(例えば、ゼラチン製の)カプセル剤およびカートリッジは、本発明の化合物とラクトース、デンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤することができる。
エアゾールまたは乾燥粉末の製剤は、好ましくは、患者に供給するために、各測定量または「一吹き」が本発明の化合物を少なくとも1mg含有するようになされる。エアゾール剤の1日あたりの総投与量は、患者によって異なり、1日に1回、またはより普通には数回に分けて投与することができることが理解されよう。
別法として、本発明の化合物を、座剤またはペッサリーの剤形で投与してもよいし、ローション、溶液、クリーム、軟膏または散布粉剤の剤形で局所に塗布してもよい。本発明の化合物を、経皮的、例えば、皮膚パッチを用いて投与することもできる。さらに、眼から、特に眼疾患を治療するために投与することもできる。
眼科用として、本発明の化合物を、等張でpHが調整されている無菌の食塩水中で微粉の懸濁液として、または好ましくは等張でpHが調整されている無菌の食塩水中で、場合により塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤を加えて溶液として製剤化することができる。別法として、ワセリンなどの軟膏内に配合してもよい。
皮膚に対して局所塗布するために、本発明の化合物を、例えば、以下の1種または複数の物質との混合物に懸濁または溶解した、有効化合物を含有する適切な軟膏として、製剤化することができる。鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水。別法として、本発明の化合物を、例えば、以下の1種または複数の物質との混合物に懸濁または溶解した適切なローションまたはクリームとして、製剤化することができる。鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、液状パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
口内の局所投与に適する製剤として、香料を添加した基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に有効成分を含むトローチ剤、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性な基剤中に有効成分を含むバッカル剤、ならびに適切な液体担体中に有効成分を含むうがい剤が挙げられる。
一般に、ヒトにおいては、本発明の化合物を経口または局所投与するのが好ましい経路であり、最も便利である。患者にえん下障害または経口投与後の薬物吸収に欠陥がある場合、薬物を非経口、例えば、舌下または口内投与することができる。
動物に対して用いる場合、本発明の化合物を、通常の獣医診療において適切に許容される製剤として投与し、獣医が、個々の動物に最も適する投与計画および投与経路を決定する。
好都合には、本製剤は、医薬品製剤である。
本発明で使用される化合物の塩を、定法に従って、例えば、この化合物を、適当な塩基と反応させ対応する塩基の塩を形成させたり、適当な酸と反応させ対応する酸の塩を形成させたりして調製することができる。生理学的に許容される酸の塩として、塩酸塩、硫酸塩、メシラート、ベシラート、リン酸塩およびグルタミン酸塩が挙げられる。
本発明で使用される化合物を、「プロドラッグ」の形態で投与することもできる。
本出願で使用される用語「プロドラッグ」は、酵素によって、活性化されたり、より活性度の高い親形態に変換されたりすることができる薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体を意味する(例えば、D.E.V. Wilman "Prodrugs in Cancer Chemotherapy" Biochemical Society Transactions 14, 375-382 (615th Meeting, Belfast 1986);およびV.J. Stellaら、"Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery" Directed Drug Delivery R. Borchardtら編, pages 247-267 (Humana Press 1985)を参照)。
プロドラッグは、例えば、投与がより容易であり、保存により適し、あるいは投与部位における毒性がより低いまたは有害でない場合がある。
プロドラッグを活性化するための酵素の選択にあたっては、いくつかの要因を考慮する必要がある。それらの要因として、酵素の分子量および物理学的性質、生理学的条件下における酵素の活性および安定性、ならびに酵素により生成する薬物の性質が挙げられる。酵素は、内因性酵素でも、疼痛の軽減を必要とする部位(例えば、腫瘍部位)を標的とする、外因性酵素でもよい。
現在、哺乳類を起源とする酵素および哺乳類以外を起源とする酵素を利用して、広範囲のプロドラッグを活性化させる試みがなされている(Senterら、1993. Generation of cytotoxic agents by targeted enzymes. Bioconjugate 4, 3-9;Senterら、1991. Activation of prodrugs by antibody-enzyme conjugates. Immunobiology of Proteins and Peptides VI, M.Z.Atassi編, Plenum Press, New York, pp 97-105)。哺乳類を起源とする酵素は、免疫原性が低いという点で有利と思われ、酵素が作用するプロドラッグが、対応する内因性酵素の基質である場合も考えられる。
本発明の方法で有用であると思われる酵素には、それらに限定されないが、リン酸塩含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用であるアルカリホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用であるアリールスルファターゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用である、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、(カテプシンBおよびLなどの)カテプシンなどのプロテアーゼ;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用であるD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離の薬物に変換するのに有用である、β-ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭水化物分解酵素;β-ラクタム誘導体薬物を遊離の薬物に変換するのに有用であるβ-ラクタマーゼ;フェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基のそれぞれでアミンの窒素を修飾した薬物を遊離の薬物に変換するのに有用である、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが含まれる。別法として、当技術分野でアブザイムとしても知られる、酵素活性を有する抗体を用いて、本発明のプロドラッグを遊離の活性薬物に変換することができる(例えば、R J Massey, Nature, 328, pp. 457-458 (1987)を参照)。
同様に、本発明のプロドラッグとして、それらに限定されないが、上記のプロドラッグ、例えば、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫酸塩含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、または置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグが挙げられる。
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様で規定した化合物と、1種または複数の鎮痛剤と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬品組成物である。
本発明の第5の態様は、
(a)本発明の第1の態様で規定した化合物と、
(b)1種または複数の鎮痛剤と、
(c)薬学的に許容される賦形剤
とを含む部品を備えたキットである。
(a)本発明の第1の態様で規定した化合物と、
(b)1種または複数の鎮痛剤と、
(c)薬学的に許容される賦形剤
とを含む部品を備えたキットである。
担体は、本発明の化合物と適合性があり、その受容者に有害でないという意味において「許容され」なければならない。通常、担体は無菌の発熱因子を有しない水または食塩水である。医薬品組成物の投与方法については、上記で概要を述べた。
例えば、部品を備えたキットには、式Iの化合物と1種または複数の鎮痛剤とを含み、それらのそれぞれが、独自の処方を提示し、一緒に使用することを表示することができる。
本発明の第1、第3、第4または第5の態様の実施形態では、鎮痛剤がオピオイド、非ステロイド系抗炎症薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、カンナビノイド、抗うつ薬および/または抗けいれん薬である。
本発明の態様の本実施形態に含まれる鎮痛剤の例として、モルヒネ、コデイン、ペチジン、メタドンなどのオピオイド;アスピリンおよび関連化合物;イブプロフェン;アセトアミノフェン(パラセタモール)などのシクロオキシゲナーゼ阻害剤;リドカイン、ジブカイン、テトラカインなどのナトリウムチャンネル遮断薬;カルシウムチャンネル遮断薬;ケタミン、フェンシクリジンなどのN-メチル-D-アスパラギン酸(NDMA)受容体拮抗薬;アナンダミド(アラキドニルエタノールアミド、AEA)、2-アラキドニルグリセロール(2-AG)などのカンナビノイド;三環系抗うつ薬イミプラミン、セロトニン再取り込み阻害薬パロキセチンなどの抗うつ薬;ガバペンチン、カルバマゼピン、フェニトインなどの抗けいれん薬;および一過性受容体電位(TRP)イオンチャンネルに相互作用する薬物が挙げられる。
本明細書で参照する文献はいずれも、参照によって本明細書に組み込まれている。
次に、本発明を、以下の非限定的な図および実施例を参照し、より詳細に説明する。
(実施例1:ラットにおけるホルマリン惹起疼痛に対する脂肪酸アミド加水分解酵素阻害剤パルミトイルアリルアミドの作用)
〈要約〉
本研究では、炎症性疼痛のラットモデルにおいて、新たに特徴付けられた脂肪酸アミドであるパルミトイルアリルアミドの抗侵害受容作用を評価した。パルミトイルアリルアミドは、内因性カンナビノイド様化合物であるパルミトイルエタノールアミドの類似体である。パルミトイルアリルアミドは、脂肪酸アミド加水分解酵素を阻害するが、CB1またはCB2受容体のいずれにも顕著に結合することはない。ホルマリン皮下注射に対する行動応答にパルミトイルアリルアミドが及ぼす治療効果を調べた。対照動物は、ホルマリン注射に対し、特徴的な二相性(第1相および第2相)の応答を示した。パルミトイルアリルアミド(10mg/kgおよび1mg/kg i.p.)は、第1相および第2相のいずれにおいても、溶媒対照と比較して疼痛行動を有意に軽減した。選択的CB1受容体拮抗薬SR141716A(1mg/kg i.p.)は、ホルマリンテストの第2相で、パルミトイルアリルアミドにより生じた抗侵害受容を有意に減弱した。選択的CB2拮抗薬SR144528(1mg/kg i.p.)および選択的VR1拮抗薬カプサゼピン(10mg/kg i.p.)は、パルミトイルアリルアミドにより生じた抗侵害受容を無効化することはなかった。これらの結果は、脂肪酸アミド加水分解酵素阻害剤は、内因性カンナビノイドの細胞外濃度を増加させ、それにより、CB1受容体の活性化を高めることによって抗侵害受容を引き起こすという仮説を支持する。
〈要約〉
本研究では、炎症性疼痛のラットモデルにおいて、新たに特徴付けられた脂肪酸アミドであるパルミトイルアリルアミドの抗侵害受容作用を評価した。パルミトイルアリルアミドは、内因性カンナビノイド様化合物であるパルミトイルエタノールアミドの類似体である。パルミトイルアリルアミドは、脂肪酸アミド加水分解酵素を阻害するが、CB1またはCB2受容体のいずれにも顕著に結合することはない。ホルマリン皮下注射に対する行動応答にパルミトイルアリルアミドが及ぼす治療効果を調べた。対照動物は、ホルマリン注射に対し、特徴的な二相性(第1相および第2相)の応答を示した。パルミトイルアリルアミド(10mg/kgおよび1mg/kg i.p.)は、第1相および第2相のいずれにおいても、溶媒対照と比較して疼痛行動を有意に軽減した。選択的CB1受容体拮抗薬SR141716A(1mg/kg i.p.)は、ホルマリンテストの第2相で、パルミトイルアリルアミドにより生じた抗侵害受容を有意に減弱した。選択的CB2拮抗薬SR144528(1mg/kg i.p.)および選択的VR1拮抗薬カプサゼピン(10mg/kg i.p.)は、パルミトイルアリルアミドにより生じた抗侵害受容を無効化することはなかった。これらの結果は、脂肪酸アミド加水分解酵素阻害剤は、内因性カンナビノイドの細胞外濃度を増加させ、それにより、CB1受容体の活性化を高めることによって抗侵害受容を引き起こすという仮説を支持する。
略語:L-29、パルミトイルアリルアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;Δ9-THC、Δ9-テトラヒドロカンナビノール;PEA、パルミトイルエタノールアミド;SR1、SR141716A; SR2、SR144528;FAAH、脂肪酸アミド加水分解酵素;i.p.、腹腔内;s.c.、皮下;AEA、アナンダミド;2-AG、2-アラキドニルグリセロール;VR1、バニロイド受容体;CB1、カンナビノイド受容体1;CB2、カンナビノイド受容体2;WIN2、WIN 55, 212-2;
〈1.緒言〉
大麻は、麻の繊維を得るためならびに向精神効果および鎮痛効果を期待して、何千年も使用されてきたが、カンナビノイド化合物の有意義な研究が始まったのは1960年代に入ってからである。それ以来、大麻の有効成分が報告され、合成カンナビノイドが発見され、内因性受容体およびリガンドが特定されている。
大麻は、麻の繊維を得るためならびに向精神効果および鎮痛効果を期待して、何千年も使用されてきたが、カンナビノイド化合物の有意義な研究が始まったのは1960年代に入ってからである。それ以来、大麻の有効成分が報告され、合成カンナビノイドが発見され、内因性受容体およびリガンドが特定されている。
古典的な四つ組のカンナビノイド効果は、カンナビス・サティヴァ(Cannabis sativa)の主たる精神活性成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)によって仲介されている。これらの効果とは、無痛感、低運動、カタレプシーおよび低体温をいう。カンナビノイド研究の重大な課題は、いかにカンナビノイドの望ましくない向精神効果を、疼痛、緑内障、悪心および嘔吐ならびに痙性に対する強力な治療効果と分離するかという点にある。哺乳動物のカンナビノイド受容体および内因性リガンドが発見されたことによって、カンナビノイド化合物の生理学的効果の裏にある機構を深く理解することが可能になっている。
今日までに、2種類のカンナビノイド受容体がクローニングされている。それらは、1990年のCB1(Matsudaら、1990)と1993年のCB2(Munroら、1993)である。CB1は、主にニューロンで発現し、脳内に非常に広く、特に疼痛を処理する領域に分布しており(Egertovaら、1998)、脊髄(Farquhar-Smithら、2000)および脊髄後根神経節でも認められている。ノックアウトマウス(CB1 -/-)は、Δ9-THCの中枢性の効果を示さない(Ledentら、1999)ことから、CB1は、カンナビノイドの脊柱上における効果の大部分を仲介することが予想される。CB2受容体は、もともと脾臓のマクロファージで発見され、免疫細胞系にのみ存在するようであるが、脳の小グリア細胞にCB2を認めたという報告がある。CB2受容体の活性化により、抗炎症効果が得られるようである。これは、肥満細胞のダウンレギュレーションによる可能性を示唆する証拠がある(Facciら、1995)。
カンナビノイドは、脂肪酸であるが、特殊な神経伝達物質であり、細胞に保存されず、「オンデマンドで」合成され、通常、シナプスを越えて逆方向に移動する。カンナビノイドは、脳における興奮の脱分極誘導抑制(DSE)現象を仲介すると思われる。シナプス後脱分極により、シナプス後細胞において内因性カンナビノイドを合成する酵素が活性化される。続いて、新しく合成された内因性カンナビノイドが、シナプス後細胞から拡散し、シナプスを越えて逆方向に移動し、シナプス前細胞膜上のCB1受容体に結合する。CB1受容体に作動薬が結合すると、シナプス前Ca2+がシナプス前細胞へ入るのを直接阻害するG-タンパク質が活性化され、それによって、活動電位が閾値に達しにくくなり神経伝達物質が放出される可能性が下がる(KrietzerおよびRegehr、2001)(図2)。これにより、カンナビノイドの鎮痛特性の一部が説明できる。というのは、カンナビノイドが、それらのいずれもがCB1受容体を含有する中脳水道周囲灰白質(PAG)および延髄吻側の腹内側部(RVM)からの下降性疼痛抑制系を脱阻害すると思われるからである(Egertovaら1998)。
脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)は、内因性カンナビノイドを含む多くの脂肪酸アミドを分解する酵素である(Bogerら、2000a)。FAAHは、脳(Egertovaら、1998;Tsouら、1998;Romeroら、2002)および末梢に広く分布しており、AEAおよびPEAの両方を分解することが知られている(Tigerら、2000)。最近の証拠によれば、FAAHは、疼痛経路に関与する領域を含む多くの脳の領域でCB1受容体と補完し合う形で局在化していることが示されている(Egertovaら、1998)。内因性カンナビノイドがシナプスから放出された後、それらは、濃度勾配に沿って受動拡散または促進輸送によって、シナプス後細胞内に再び入る。AEAは、主に促進輸送によって移動すると考えられている(Dayら、2001;JacobssonおよびFowler、2001)が、PEAの移動は、約50%が受動拡散である(JacobssonおよびFowler 2001)。これら2種類の化合物は、異なる輸送体分子を有する。いったんシナプス後細胞内に入ると、これらの化合物はいずれもFAAHによって代謝され、不活性の代謝産物となる(図3)(Tigerら、2000)。
酵素FAAHをコードする遺伝子を欠くマウス(FAAH-/-)が開発されており(Cravattら、2001)、それらにおいては、痛感が鈍り、アナンダミドのレベルが上昇しており、これは、FAAHが内因性カンナビノイドの濃度を調節している証拠である。FAAHを阻害することによって、シナプス後細胞内のAEA (Martinら、2000;Dayら2001;Deutschら、2001)およびPEAの濃度が上昇し、それによって、内側に向かう濃度勾配が減少し、その結果、シナプスの内因性カンナビノイドの量が増加する。これにより、CB1結合のレベルが増加する(図3B)。同様のことが、末梢FAAHにもあてはまり、内因性カンナビノイドの細胞外濃度が増加した。FAAHの阻害により、カンナビノイド様の効果が得られるという証拠がある(ComptonおよびMartin、1997)が、ここで用いられた酵素阻害剤はFAAHに特異的ではなかった。
種々のFAAH阻害剤が発見されており(Martinら、2000;Bogerら、2000b)、実際に、PEA自体がFAAHを阻害する何らかの能力を有しており(Jonssonら、2001)、これは、随行説を支持する証拠となる。本発明者らが研究しているFAAHを阻害する化合物は、パルミトイルアリルアミド(L-29)と呼ばれるPEAの類似体である。この化合物は、the Unite de Chimie pharmaceutique et de Radiopharmacie, Universite catholique de Louvain, Brussels, Belgiumにおいて、Dr Didier Lambertのチームによって開発された。L-29のFAAHを阻害する能力は、FAAHが触媒する[3H]-AEAの加水分解を阻害する能力を測定することによって計算した(最大阻害およびpI50を計算した)。L-29は、最大阻害の67%に達し(±3%)、かなりの効果があり、pI50は5.47 μM(±0.06)で、非常に強力であった(未公表データ。方法についてはJonssonら、2001を参照)。それに対して、PEAの値は、78%(±7%)および5.3 μM(±0.15)であった。CB1およびCB2受容体への結合についても、CB1受容体をトランスフェクトした細胞系からの放射性[3H]- CP55,940の置換量、およびCB2受容体をトランスフェクトした細胞系からの放射性[3H]- WIN55,212-2の置換量を測定することによって計算した。10μMの濃度で、L-29は、CB1アッセイで13.3%(±0.4%)、CB2アッセイで7.8%(±0.3%)を置換した。それに対して、PEAは、それぞれ23.8%(±0.07%)および13.9%(±1.7%)を置換し、L-29は、CB1およびCB2受容体いずれに対しても親和性が低いことを明示している。
ホルマリンテストは、DubuissonおよびDennisによって1977年にはじめて報告され(DubuissonおよびDennis、1977)、広く使われている急性および緊張性の炎症性疼痛を良好に特徴付けるモデルである。希釈ホルマリンをラットの後足に注射すると、二相性の疼痛に由来する行動応答を起こす。注射後5分で第1相の疼痛行動が認められ、その後約10〜15分間に及び静止相がある。それに続き、疼痛行動の第2相が認められ、これは実験終了まで続く。
このような疼痛行動をスコア化する方法が多数提案されている。DubuissonおよびDennisは、投与を受けた足をいたわる、持ち上げる、およびなめるの3種類の行動カテゴリーのそれぞれに要した時間を測定したスコアを加重化する方法を報告している(DubuissonおよびDennis、1977)。投与を受けた後肢の振り回す回数を数えた研究者もいる。これらの異なるスコア化の方法の検証を試みた報告が2報ある。Abbottら(1995)は、足を持ち上げるおよび足をなめる時間の単純合計、すなわちDubuissonおよびDennisのスコア化の方法の方が、何らかの単一行動を測定する方法より優れており、さらに、足の振り回しや足をいたわる行動を加えても正確性が向上しないと結論付けた。Watsonら(1997)は、複数の疼痛スコアの最適な加重化法を検証し、Dubuisson-Dennis法に変更を加えることを推薦した。足をいたわる行動はスコア化せず、足を上げる行動に加重1を与え、足をなめる行動に加重2を与える。この新しい疼痛スコアは、Combined Pain Score-Weighted Scores (0,1,2)法(CPS-WST(0,1,2))と呼ばれ、本研究で使用した。
どのような機構が、ホルマリンテストの疼痛行動を仲介しているのであろうか。一般に、第1相は、C線維タイプの求心性の一次ニューロンが化学的に直接活性化されるためであると考えられている(PuigおよびSorkin、1995;Dallelら、1995;Mc Callら、1996)。ホルマリン注射部位のC線維は、注射によって破壊されており、注射部位から遠ざかり、接触するホルマリン濃度が低下するC線維が破壊されずに刺激に対し応答すると思われる(Mc Callら、1996)。第2相は、第1相の求心性の激しい活性化により、脊髄の後角ニューロンの中枢性の増感を生じるためであると考える著者もある(Martindaleら、2001)。しかし、第2相を通して、強度は低下しているものの、C線維の活性化が続くことを示す多くの電気生理学的実験が報告されており(PuigおよびSorkin、1995;Dallelら、1995)、これは恐らく足の炎症によるものであろう(DamasおよびLiegeois、1999)。一次求心性発射が続くことにより中枢性増感が維持されるのに加え、炎症が進行するために、第2相の疼痛行動が生じるという仮説が最も広く受け入れられている。第1相と第2相の間は、より高位の中枢からの脊髄への下降性の抑制によるものであることを示す証拠もある(PuigおよびSorkin、1995;Henryら、1999)。しかし、第1相と第2相の間には、C線維の発射が減少するという報告もある(McCallら、1996)。
本実験の目的は、第一に、炎症性疼痛のホルマリンモデルにおいて、L-29が抗侵害受容を示すかどうかを決定することであった。第二に、この作用が仲介されている部位を決定することであった。このために、本発明者らは、特異性のある受容体拮抗薬を、L-29の投与前に用い、何らかの抗侵害受容作用が減弱するかどうかを観察した。SR141716A(SR1)は、(Rinaldi-Carmonaら、1995)によりはじめて報告された選択的CB1受容体拮抗薬である。Strangmanら(1998)は、SR1の薬物動態の一部を報告した。彼らは、強力なCB1作動薬であるWIN 55, 212-2(WIN2)をラットに投与し、カタレプシーを誘発した。SR1は、投与(1mg/kg i.p.)後15分以内に、WIN2誘発カタレプシーを有意に拮抗し、この効果は、少なくとも実験終了まで、すなわち投与後約50分間は持続した。SR2は、選択的CB2受容体拮抗薬であり、(Uedaら、2000)によりはじめて報告された。SR2は、0.3mg/kgおよび3mg/kg i.p.の用量で研究に使われている(Beaulieuら、2000)。カプサゼピンは、競合的VR1拮抗薬であり、(Bevanら、1991)によって開発され、さらに、カプサイシンの抗侵害受容効果を拮抗すると報告されている(UrbanおよびDray、1991;DickensonおよびDray、1991;Di Marzoら、2001b)。カプサゼピンは、10mg/kg i.p.の用量で研究に使われている(Bouaboulaら、1997)。したがって、本発明者らは、L-29の投与前に、SR1(1mg/kg)、SR2(1mg/kg)およびカプサゼピン(10mg/kg)を用いた。
〈2.材料および方法〉
〈2.1 動物〉
実験は全て、英国内務省の規制に従った。ウィスター系ラット、オス、体重230〜290 g、をB&K社から入手した。ラットは、グループケージに収容し、昼12時間-夜12時間のサイクルで維持し、飼料および水は自由に摂取させた。各ラットは、1回の実験のみに使用した。
〈2.1 動物〉
実験は全て、英国内務省の規制に従った。ウィスター系ラット、オス、体重230〜290 g、をB&K社から入手した。ラットは、グループケージに収容し、昼12時間-夜12時間のサイクルで維持し、飼料および水は自由に摂取させた。各ラットは、1回の実験のみに使用した。
〈2.2 材料〉
L-29は、D Lambertから提供を受けた(化学構造については、図1を参照)。SR1およびSR2はSanofi社から提供され、カプサゼピンはTocris社から購入した。薬剤は全て、40%ジメチルスルホキシド(DMSO)および食塩水に溶解した。
L-29は、D Lambertから提供を受けた(化学構造については、図1を参照)。SR1およびSR2はSanofi社から提供され、カプサゼピンはTocris社から購入した。薬剤は全て、40%ジメチルスルホキシド(DMSO)および食塩水に溶解した。
〈2.3 処置群〉
ラットを、無作為に7群に割り付けた。英国内務省の規制に従うために、研究者JBが、ラットに投与を施し、研究者HJが、行動テストのスコア化を含むそれ以外の作業全てを実施し、投薬の割り付けについては何も知らされなかった。ラットは全て、実験開始前少なくとも30分間、テスト環境に馴化させた。各ラットに、ビヒクルまたは拮抗薬の第1回の腹腔内(i.p.)注射を行い、その5分後に、担体またはL-29の第2回のi.p.注射を行った。i.p.注射の体積は、全て1ml/kgであった。10分後に、全てのラットにホルマリン注射を行った。群の内訳は、表1を参照。
ラットを、無作為に7群に割り付けた。英国内務省の規制に従うために、研究者JBが、ラットに投与を施し、研究者HJが、行動テストのスコア化を含むそれ以外の作業全てを実施し、投薬の割り付けについては何も知らされなかった。ラットは全て、実験開始前少なくとも30分間、テスト環境に馴化させた。各ラットに、ビヒクルまたは拮抗薬の第1回の腹腔内(i.p.)注射を行い、その5分後に、担体またはL-29の第2回のi.p.注射を行った。i.p.注射の体積は、全て1ml/kgであった。10分後に、全てのラットにホルマリン注射を行った。群の内訳は、表1を参照。
〈2.4 ホルマリンテスト〉
2.5%ホルマリン、50 μlを、右後足の背部に27Gの針で皮下注射した。続いて、注射を受けた足を、非パーマネントのインクでマークした。直ちに、ラットを観察箱に移した。観察箱は透明なプレキシガラス製で、大きさは23cm×18cm×14cmであり、さえぎられることなく足を観察できるように鏡が45°下方に設置されていた。観察箱にラットが移された時点から60分間にわたり観察を続けた。ラットの行動は、ラットホルマリンテストにおける疼痛行動をスコア化する検証済みの方法であるComposite Pain, Score, Weighted Scores法(CPS-WST(0,1,2))に従って等級付けした(Watsonら、1997)。それぞれ2つの行動カテゴリーにおいて過ごした時間を、スコア化の1時間の間、5分単位で測定した。カテゴリー1:投与を受けた足を持ち上げ、どこの表面とも接触しない状態である。カテゴリー2:投与を受けた足をなめる、噛むまたは振る。続いて、5分単位のスコアから、第1相(0〜15分)および第2相(15〜60分)について、加重化スコアを、以下の式を用いて求めた。
CPS-WST={(1×カテゴリー1に属する時間)+(2×カテゴリー2に属する時間)} / テスト所要時間
2.5%ホルマリン、50 μlを、右後足の背部に27Gの針で皮下注射した。続いて、注射を受けた足を、非パーマネントのインクでマークした。直ちに、ラットを観察箱に移した。観察箱は透明なプレキシガラス製で、大きさは23cm×18cm×14cmであり、さえぎられることなく足を観察できるように鏡が45°下方に設置されていた。観察箱にラットが移された時点から60分間にわたり観察を続けた。ラットの行動は、ラットホルマリンテストにおける疼痛行動をスコア化する検証済みの方法であるComposite Pain, Score, Weighted Scores法(CPS-WST(0,1,2))に従って等級付けした(Watsonら、1997)。それぞれ2つの行動カテゴリーにおいて過ごした時間を、スコア化の1時間の間、5分単位で測定した。カテゴリー1:投与を受けた足を持ち上げ、どこの表面とも接触しない状態である。カテゴリー2:投与を受けた足をなめる、噛むまたは振る。続いて、5分単位のスコアから、第1相(0〜15分)および第2相(15〜60分)について、加重化スコアを、以下の式を用いて求めた。
CPS-WST={(1×カテゴリー1に属する時間)+(2×カテゴリー2に属する時間)} / テスト所要時間
〈2.5 統計分析〉
データを、統計解析ソフトSigmaStat 2.3を利用して、一元配置分散分析、続いてDunnett検定を用いて分析した。
データを、統計解析ソフトSigmaStat 2.3を利用して、一元配置分散分析、続いてDunnett検定を用いて分析した。
〈3.結果〉
〈3.1 ホルマリン惹起侵害受容に対するL-29の効果〉
図4Aは、対照群およびL-29投与群のそれぞれについて、ホルマリンを注射した後の疼痛行動の経時変化を示す。図4Bは、これらの群について、第1相および第2相の平均疼痛スコアを示す。対照群では、注射直後5分で疼痛スコアの初期ピーク、続いて静止相が認められた後、再び疼痛スコアの増加が始まり、これは実験終了まで続いた。これによって、以前から報告されているホルマリンに対する二相性の応答(DubuissonおよびDennis、1977;MalmbergおよびYaksh、1992;Abbottら、1995)が確認された。ホルマリンテストの疼痛行動は、いずれの相においても、L-29の投与により、用量に依存して抑制されたが、疼痛行動の二相性のパターンは維持された。10mg/kg L-29投与群および1mg/kg L-29投与群の両群では、疼痛行動が有意に減弱された(P<0.05、一元配置分散分析、続いてDunnett検定により対照値と比較)が、0.1mg/kg L-29投与群では、対照群と比べ有意な差は認められなかった。L-29の10mg/kg用量は、1mg/kg用量と比較し、抗侵害受容は有意には強くないが、図4Aにおいて一定の傾向を認めることができる。
〈3.1 ホルマリン惹起侵害受容に対するL-29の効果〉
図4Aは、対照群およびL-29投与群のそれぞれについて、ホルマリンを注射した後の疼痛行動の経時変化を示す。図4Bは、これらの群について、第1相および第2相の平均疼痛スコアを示す。対照群では、注射直後5分で疼痛スコアの初期ピーク、続いて静止相が認められた後、再び疼痛スコアの増加が始まり、これは実験終了まで続いた。これによって、以前から報告されているホルマリンに対する二相性の応答(DubuissonおよびDennis、1977;MalmbergおよびYaksh、1992;Abbottら、1995)が確認された。ホルマリンテストの疼痛行動は、いずれの相においても、L-29の投与により、用量に依存して抑制されたが、疼痛行動の二相性のパターンは維持された。10mg/kg L-29投与群および1mg/kg L-29投与群の両群では、疼痛行動が有意に減弱された(P<0.05、一元配置分散分析、続いてDunnett検定により対照値と比較)が、0.1mg/kg L-29投与群では、対照群と比べ有意な差は認められなかった。L-29の10mg/kg用量は、1mg/kg用量と比較し、抗侵害受容は有意には強くないが、図4Aにおいて一定の傾向を認めることができる。
〈3.2 L-29惹起無痛感に対する受容体拮抗薬の効果〉
図5Aは、対照群、1mg/kg L-29群および受容体拮抗薬群(すなわち1mg/kg SR1、1mg/kg SR2、10mg/kg カプサゼピンのいずれかを投与した後の1mg/kg L-29投与群)の疼痛行動の経時変化を示す。図5Bは、上記の群について、第1相および第2相の平均疼痛スコアを示す。全群が、ホルマリン注射に対して二相性の応答を示している。本発明者らは、受容体拮抗薬がL-29の抗侵害受容作用を低下させるかどうかを突き止めるために、L-29投与群とデータを比較した。ホルマリンテストの第1相においては、L-29投与群に比べ有意に異なるのは対照群のみであった(P<0.05、一元配置分散分析、続いてDunnett検定により1mg/kg L-29値と比較)。しかし、ホルマリンテストの第2相においては、SR1は、L-29の抗侵害受容作用を減弱させる。SR2およびカプサゼピンは、いずれの相においても、L-29の抗侵害受容作用を有意に減弱させることはない。
図5Aは、対照群、1mg/kg L-29群および受容体拮抗薬群(すなわち1mg/kg SR1、1mg/kg SR2、10mg/kg カプサゼピンのいずれかを投与した後の1mg/kg L-29投与群)の疼痛行動の経時変化を示す。図5Bは、上記の群について、第1相および第2相の平均疼痛スコアを示す。全群が、ホルマリン注射に対して二相性の応答を示している。本発明者らは、受容体拮抗薬がL-29の抗侵害受容作用を低下させるかどうかを突き止めるために、L-29投与群とデータを比較した。ホルマリンテストの第1相においては、L-29投与群に比べ有意に異なるのは対照群のみであった(P<0.05、一元配置分散分析、続いてDunnett検定により1mg/kg L-29値と比較)。しかし、ホルマリンテストの第2相においては、SR1は、L-29の抗侵害受容作用を減弱させる。SR2およびカプサゼピンは、いずれの相においても、L-29の抗侵害受容作用を有意に減弱させることはない。
〈4. 考察〉
得られた結果は、ラットにおける炎症性疼痛のホルマリンモデルの第1相および第2相のいずれにおいても、L-29は、用量に依存して、疼痛行動を減弱させることを実証している。選択的CB1受容体拮抗薬であるSR1は、第2相で、このL-29の抗侵害受容効果を有意に抑制するが、SR2およびカプサゼピンは、この効果を減弱させない。このことから、L-29の効果は、CB1受容体に結合する内因性カンナビノイドのレベルの増加によって仲介されていることが示唆される。第1相および第2相の両相で、侵害受容行動がL-29によって減弱したが、第2相における抗侵害受容効果のみがSR1によって減弱したのは驚きである。
得られた結果は、ラットにおける炎症性疼痛のホルマリンモデルの第1相および第2相のいずれにおいても、L-29は、用量に依存して、疼痛行動を減弱させることを実証している。選択的CB1受容体拮抗薬であるSR1は、第2相で、このL-29の抗侵害受容効果を有意に抑制するが、SR2およびカプサゼピンは、この効果を減弱させない。このことから、L-29の効果は、CB1受容体に結合する内因性カンナビノイドのレベルの増加によって仲介されていることが示唆される。第1相および第2相の両相で、侵害受容行動がL-29によって減弱したが、第2相における抗侵害受容効果のみがSR1によって減弱したのは驚きである。
動物を用いた行動テストでは、常に、環境要因が大きく影響し、慎重に制御されなければ、偏りが生じる。新規のストレス誘発鎮痛は、新しい環境に置かれたラットに認められる現象であり、内因性のアヘン剤の放出により仲介される(YamadaおよびNabeshima、1995を参照)。そのような変動を最低限にするために、本発明者らは、厳格なプロトコールに従った。ラットは全て6〜8週齢で、実験開始の少なくとも3日前に業者から動物舎へ納入された。ラットは、孤立するとストレスが加わるので、5匹ずつグループで飼育した。実験中の取り扱いによるストレスを減らすために、規則正しく取り扱った。実験日には、少なくとも実験開始の1時間前には、ラットを実験室に移動させ、少なくとも実験開始前の30分の間、観察箱に慣らさせた。周囲温度がホルマリンテストに影響するという証拠もあり(Rosland、1991)、実験は全て、環境を対照した同一室内で行った。注射部位も、変動の原因となり得る(PuigおよびSorkin、1995)ので、注射は全て、同一の研究者が投与し、注射した足に浮腫および発赤が認められないラット(および注射を失敗したラット)はいずれも除外した。
処置に用いる薬剤の投与プロトコールは、過去の研究を参照して決定した。SR1に関する入手可能な薬理学的データ(Strangmanら、1998)によれば、SR1は、作用発現までに約15分を要するということなので、いずれの拮抗薬も、実験開始15分前に投与することにした。L-29に関しては、過去のデータが入手できないので、構造がL-29に類似するPEAの入手可能なデータに基づいて決定した。PEAは、ホルマリンテストの直前に腹腔内注射された報告があり(Jaggarら、1998b)、苦悩テスト(writhing test)で有害物質投与の30分前に腹腔内注射された報告もある(Calignanoら、2001)。したがって、本発明者らは、ホルマリン投与の10分前にL-29を投与することにした。というのは、一般に、拮抗薬の後に作動薬を投与すべきであるからである。これは、作動薬が先に受容体部位を埋めてしまうと、拮抗薬が十分に働かない可能性があるからである。使用するホルマリンの用量も重要である(Leeら、2000)。低濃度では、疼痛応答が小さく、鎮痛効果を検出するのが困難となる恐れがあり、使用する濃度が高すぎると、疼痛行動レベルが極大に達してしまい、痛覚過敏作用の検出が困難となる。本発明者らは、中央値をとって、ホルマリンの用量を2.5%とした。これは、本研究室で日常に使用されている用量である。
多くの異なる疼痛の動物モデルがある。侵害受容アッセイ間で見られる差異として、刺激の起源、強度、場所および刺激が持続する時間、ならびに応答の特徴が挙げられる。ホルマリンテストでは、皮下に与えられた化学的/炎症性刺激を起こし、それによって、緊張性の、中等度の強さで、長くは続かない刺激をもたらす。単なる反射的な動作ではなく、複雑で統合された行動応答を発生させる。テイルフリック試験などの単純侵害受容刺激を観察するモデルに比べ、本法の主たる利点は、疼痛がある程度の間続き、そのような状態から逃れられないというヒトの臨床的疼痛状態を模倣していることである。カラゲーニンなど他の炎症疼痛モデルの場合、疼痛がより長時間にわたり続くのに比べ、疼痛がすぐに始まり一定の間しか続かないのも利点である。さらに、ホルマリンテストは、自由に行動する動物を使用するという点でも有利である。これによって、拘束ストレスにより生じる内因性鎮痛による紛らわしい影響を避けることができる。ホルマリンテストの欠点は、応答が二相性であるため、薬物動態が不明な場合には、結果の解釈がより困難であるという点である。ホルマリンテストは、炎症性疼痛の強力なモデルであるが、さらに異なる疼痛モデルを用いた研究で、本発明者らが本研究で得た結果を確認する必要がある。
SR1およびSR2は、カンナビノイド受容体では、純粋な拮抗薬ではなく、逆作動薬である可能性がある(Bouaboulaら、1997)。逆作動薬は、受容体を活性化し、作動薬の作用とは反対の作用を生じる。SR1は、CB1受容体で痛覚過敏を起こす可能性を示す証拠があり、内因性カンナビノイド傾向の拮抗作用あるいは逆作動性の作用のいずれかが示唆される。Calignanoら、1998は、ホルマリンテストでSR1の痛覚過敏効果を示したが、別の研究(Beaulieuら、2000)では、この効果を再現できなかった。ホルマリン注射後の内因性カンナビノイドのレベルの増加を示した研究(Walkerら、1999)は、SR1は、逆作動性の作用ではなく、内因性傾向を減弱させることを示唆する証拠である。また、SR1は、多くのその他の系には、作用を全く示さないという広範な証拠もある(MartinおよびLichtman、1998を参照)。
VR1受容体は、有害な熱および唐辛子の刺激性成分であるカプサイシンによって活性化されるカチオンチャンネルであり、「焼けるような」痛感を仲介する。AEAは、カンナビノイド受容体の内因性リガンドであり、VR1における完全作動薬であるという証拠もある(Smartら、2000)が、この研究では、このような作用は、生理学的に妥当な濃度で得られたものではなかった。一方、アナンダミドのVR1受容体における作用を、状況によっては、高めることができるという証拠もある。アナンダミドの加水分解を阻害すると、VR1リガンドとしてのアナンダミドの効果が少なくとも5倍高まることが示されている(De Petrocellisら、2001a)。PEA濃度が増加すると、VR1受容体におけるアナンダミドの作用が増加することも示されている(De Petrocellisら、2001)。したがって、VR1受容体において想定される作用を考慮して、本発明者らは、強力で選択的なVR1拮抗薬であるカプサゼピン(Bevanら、1992)を用い、予想される作用を探究した。
FAAHは、広範な基質特異性を有し、AEA類似体、およびPEA、オレアミドなどその他の脂肪酸アミドを広範囲に代謝することができる。いくつかの標準的な化合物が、FAAH活性を遮断することができ、それらには、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)(ComptonおよびMartin、1997)およびメチルアラキドニルフルオロホスホナート(MAPH)(Martinら、2000)が含まれる。しかし、これらは毒性が高く、治療には使用できない。そこで、FAAHを阻害する能力を得るために、種々のAEA類似体およびその他の脂肪酸誘導体が調べられている(Lambertら、1999;Bogerら、2000)。通常の状態では、FAAHの阻害により、鎮痛作用の多くを期待できるかどうかは疑問である。というのは、FAAHを欠くマウス(FAAH-/-)では、痛感を軽減したという報告があるにもかかわらず、多くのFAAH阻害剤は、生体内でカンナビノイド様作用を示さないからである(Cravattら、2001)。炎症状態では、AEAおよびPEAの濃度が増加することから、FAAH阻害剤は、炎症状態に対してより有効である可能性がある。AEAおよびPEAは、例えば、多発性硬化症のマウスモデルでは増加が認められており(Bakerら、2000)、ホルマリンテストにおいて脳内濃度の増加が報告されている(Walkerら、1999)。その上、外因性のAEAおよびPEAによる炎症性疼痛の軽減が報告されている(Jaggarら、1998a;Calignanoら、2001)。
本研究では、FAAH阻害剤L-29は、主として、CB1受容体に結合できる内因性カンナビノイドの濃度を増加させる作用がある可能性があることを示してきた。しかし、さらに研究を進め、このような結果を確認し、L-29の作用機構の理解を深める必要がある。別の可能性として、L-29は、新たな非CB1/CB2受容体に作用して鎮痛効果を起こすことも考えられる。新たなカンナビノイド受容体があると多くの研究者は考えているが、この仮説は、そのような受容体をクローニングすることよっては今のところ証明されていない。この推定上の受容体の内因性リガンドとしてもっと可能性があるのは、PEAである。このことから、L-29は、この受容体を介して作用するとは考えにくい。というのは、PEAの効果は、CB1受容体拮抗薬ではなく、CB2受容体拮抗薬によって拮抗されるからである。いくつかの異なる疼痛モデルで、L-29の作用を確認するのも有用であろう。テイルフリック試験(D'AmourおよびSmith、1941)などの反射後退モデル;結腸直腸膨満(NessおよびGebhart、1988)などの内臓痛モデル;テレピン油の膀胱内への滴下により生じる炎症性内臓痛(McMahonおよびAbel、1987);ならびに恐らく、L5およびL6脊髄神経結紮などの神経障害性の疼痛のモデル(KimおよびChung、1992)が挙げられる。4種類のカンナビノイド様効果、すなわちカタレプシー、低運動、無痛感(実験済み)および低体温を評価するテストをL-29投与後に実施すれば、内因性カンナビノイドの全般的な増加が生じるかどうかを決定できるであろう。アナンダミドの外部からの投与により、これらのカンナビノイド様作用が全て生じる。SR1の投与が示唆したように、L-29の主作用が内因性アナンダミドを増加させることであるならば、L-29によっても、同様の作用が認められるであろう。
CB1作動薬によって、多様な疼痛の動物モデル(Pertwee、2001を参照)においても、臨床的疼痛状況においても、抗侵害受容を得ることができることは確かであるが、向精神性の副作用のため用量が制限され、これまでのところ、使用が限られている。そこで、内因性カンナビノイド系をうまく利用する新しい方法が開発されている(PorterおよびFelder、2001を参照)。部分作動薬;作動薬活性は有さないが、作動薬に対する応答を高める受容体調節物質;再取り込み阻害剤;およびFAAH阻害剤が、治療薬としてより有望である。本研究では、臨床を反映する炎症性疼痛モデルにおけるFAAH阻害剤の抗侵害受容における役割を実証した。
(参考文献1)
(補遣)
(実施例2:神経障害性疼痛ラットモデルにおけるパルミトイルアリルアミド(L-29)の抗侵害受容作用の評価)
〈1.緒言〉
パルミトイルアリルアミド(L-29)は、内因性カンナビノイド様化合物であるパルミトイルエタノールアミド(PEA)の構造類似体であるが、CB1およびCB2受容体のいずれにも顕著には結合しない。L-29は、脂肪酸アミド加水分解酵素(典型的なリガンドであるアナンダミドおよびPEAを含む内因性カンナビノイドを分解するとして知られている酵素)を阻害する。この機構は、内因性のカンナビノイドの細胞外濃度を増加させ、それによりCB1受容体の活性化を高めることによって、抗侵害受容を惹起するものであると考えられる。L-29は、未解明のCB2様受容体を介して作用する可能性もある。
〈1.緒言〉
パルミトイルアリルアミド(L-29)は、内因性カンナビノイド様化合物であるパルミトイルエタノールアミド(PEA)の構造類似体であるが、CB1およびCB2受容体のいずれにも顕著には結合しない。L-29は、脂肪酸アミド加水分解酵素(典型的なリガンドであるアナンダミドおよびPEAを含む内因性カンナビノイドを分解するとして知られている酵素)を阻害する。この機構は、内因性のカンナビノイドの細胞外濃度を増加させ、それによりCB1受容体の活性化を高めることによって、抗侵害受容を惹起するものであると考えられる。L-29は、未解明のCB2様受容体を介して作用する可能性もある。
ホルマリン惹起炎症性疼痛ラットモデルにおける行動応答に対するL-29の治療効果が、過去に調べられている1。しかし、神経障害性の疼痛の確立されたげっ歯類モデルにおけるL-29の効果を、研究しなければならない。2つの目的がある:第一に、Seltzerら2により過去に報告されている坐骨神経部分結紮モデルにおけるL-29の抗侵害受容作用を評価することであり、第二に、この作用が仲介されている部位を決定することである。これを確立するために、本発明者らは、選択的CB1およびCB2受容体拮抗薬であるSR1(SR141716a)およびSR2(SR144528)を利用する。
〈2.主たる目的〉
・坐骨神経部分結紮(PSL)の確立されたラットモデルが、過去にSeltzerら2により報告されているが、これを、神経障害性の末梢神経損傷モデルとして再現する。
・本モデルにおいてラットが、神経障害性疼痛の特徴的な行動を示すかどうか、行動応答がL-29によって変化するかどうかを調べる。
・選択的CB1およびCB2受容体拮抗薬を用いることによって、このような抗侵害受容作用が、どのカンナビノイド受容体を介して仲介されている可能性があるかを特定する。
・用量/応答カーブを作成した。
・坐骨神経部分結紮(PSL)の確立されたラットモデルが、過去にSeltzerら2により報告されているが、これを、神経障害性の末梢神経損傷モデルとして再現する。
・本モデルにおいてラットが、神経障害性疼痛の特徴的な行動を示すかどうか、行動応答がL-29によって変化するかどうかを調べる。
・選択的CB1およびCB2受容体拮抗薬を用いることによって、このような抗侵害受容作用が、どのカンナビノイド受容体を介して仲介されている可能性があるかを特定する。
・用量/応答カーブを作成した。
〈3. 材料および方法〉
実験は全て、投与する薬剤について盲検法を実施した5週間の実験期間中、英国内務省の規制に従った。
実験は全て、投与する薬剤について盲検法を実施した5週間の実験期間中、英国内務省の規制に従った。
〈3.1 実験動物の飼育〉
ウィスター系ラット、オス、体重250〜350 g(平均300 g)を一定の温度で、14:10の昼/夜のサイクルで、飼料および水は自由に摂取させた。
ウィスター系ラット、オス、体重250〜350 g(平均300 g)を一定の温度で、14:10の昼/夜のサイクルで、飼料および水は自由に摂取させた。
〈3.2 実験群〉
ラットは、各群6匹とし、4つの実験群に無作為に割り付けた。
ラットは、各群6匹とし、4つの実験群に無作為に割り付けた。
グループA 溶媒対照群(DMSOビヒクル+食塩水)
時間(t)=0における3種類の知覚形態全てに関する行動の閾値を記録した。その後、40%ジメチルスルホキシド(DMSO)ビヒクルと食塩水とからなる全容量1mlの腹腔内(i.p.)注射を、各ラットに投与した。薬剤は投与しなかった。
時間(t)=0における3種類の知覚形態全てに関する行動の閾値を記録した。その後、40%ジメチルスルホキシド(DMSO)ビヒクルと食塩水とからなる全容量1mlの腹腔内(i.p.)注射を、各ラットに投与した。薬剤は投与しなかった。
グループB DMSOをビヒクルとし、0.1mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kgの3種類の用量のL-29をi.p.注射
ホルマリン惹起炎症性疼痛モデルの過去の実験1では、L-29の3種類の用量群(0.1mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kg、i.p.投与)について調べ、1mg/kgおよび10mg/kgの用量では、ともに疼痛行動が有意に軽減され、0.1mg/kgの用量のL-29では、対照群と比べ、有意な差異は認められないことを実証した。本研究では、各用量群にラットを6匹ずつ割り付け、時間t=0において、各ラットのベースライン肢後退閾値を記録した。その後、直ちにL-29溶液をi.p.投与した。
ホルマリン惹起炎症性疼痛モデルの過去の実験1では、L-29の3種類の用量群(0.1mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kg、i.p.投与)について調べ、1mg/kgおよび10mg/kgの用量では、ともに疼痛行動が有意に軽減され、0.1mg/kgの用量のL-29では、対照群と比べ、有意な差異は認められないことを実証した。本研究では、各用量群にラットを6匹ずつ割り付け、時間t=0において、各ラットのベースライン肢後退閾値を記録した。その後、直ちにL-29溶液をi.p.投与した。
グループC CB1受容体拮抗薬:SR1(1mg/kg、i.p.)
時間t=0において、3種類の知覚形態全てに関する肢後退閾値を記録した。その後、各ラットに、40%DMSOおよび食塩水中の拮抗薬をi.p.注射し、その直後に、L-29を1mg/kgの用量で同じ経路で投与した。記載のごとく、実験期間を通して、知覚テストを再開し、肢後退閾値を記録した。
時間t=0において、3種類の知覚形態全てに関する肢後退閾値を記録した。その後、各ラットに、40%DMSOおよび食塩水中の拮抗薬をi.p.注射し、その直後に、L-29を1mg/kgの用量で同じ経路で投与した。記載のごとく、実験期間を通して、知覚テストを再開し、肢後退閾値を記録した。
グループD CB2受容体拮抗薬:SR2(1mg/kg、i.p.)
グループCに準じる。
グループCに準じる。
〈3.3 坐骨神経部分損傷(PSLモデル)〉
Seltzerら2による坐骨神経部分結紮のもともとの記載に従って、同等の数の手術を実施した。イソフルランおよび亜酸化窒素を用いた吸入麻酔下、左坐骨神経を大腿上部まで露出し、坐骨神経の背側1/3〜1/2を、背側二頭半腱様筋神経が坐骨神経から分枝する点のちょうど遠位の部位において、7-0の絹製の縫合糸でしっかり結紮した。血流遮断を確認後、筋肉および皮膚を縫合し切開部を閉じ、少量の0.5%ブピバカインを皮下注射した。この間、厳格な無菌処置を維持した。その後、ラットを回復させ、飼育環境に戻し、翌日、術後チェックを実施した。詳細な説明およびプロトコールについては、表1Bを参照のこと。
Seltzerら2による坐骨神経部分結紮のもともとの記載に従って、同等の数の手術を実施した。イソフルランおよび亜酸化窒素を用いた吸入麻酔下、左坐骨神経を大腿上部まで露出し、坐骨神経の背側1/3〜1/2を、背側二頭半腱様筋神経が坐骨神経から分枝する点のちょうど遠位の部位において、7-0の絹製の縫合糸でしっかり結紮した。血流遮断を確認後、筋肉および皮膚を縫合し切開部を閉じ、少量の0.5%ブピバカインを皮下注射した。この間、厳格な無菌処置を維持した。その後、ラットを回復させ、飼育環境に戻し、翌日、術後チェックを実施した。詳細な説明およびプロトコールについては、表1Bを参照のこと。
〈3.4 知覚テスト〉
行動テストには、単純な反射後退から、機械刺激、温度刺激および冷感刺激までを含めた。実験開始前に、探求行動が止まるまで、少なくとも15分間は、テスト環境に慣れさせた。偏りを最小限に留めるために、これから実施しようとする実験は、実験日に(所定のランダム割り付け表に従って(表2を参照のこと))ランダムに割り付けられ、別の研究者が薬剤用量を選択し、投薬の割り付けを知らされていない行動テストのスコア化を担当する研究者に渡した。ベースライン知覚閾値は、手術日の手術前および手術後8日目に測定した。薬剤試験に含まれたラットは全て、全知覚形態において、手術前の閾値と比べ、統計的に有意に低下した知覚閾値を示した(p<0.05)。知覚閾値を、薬剤投与の0、20、40、60および80分後の時点(t)で記録した。
行動テストには、単純な反射後退から、機械刺激、温度刺激および冷感刺激までを含めた。実験開始前に、探求行動が止まるまで、少なくとも15分間は、テスト環境に慣れさせた。偏りを最小限に留めるために、これから実施しようとする実験は、実験日に(所定のランダム割り付け表に従って(表2を参照のこと))ランダムに割り付けられ、別の研究者が薬剤用量を選択し、投薬の割り付けを知らされていない行動テストのスコア化を担当する研究者に渡した。ベースライン知覚閾値は、手術日の手術前および手術後8日目に測定した。薬剤試験に含まれたラットは全て、全知覚形態において、手術前の閾値と比べ、統計的に有意に低下した知覚閾値を示した(p<0.05)。知覚閾値を、薬剤投与の0、20、40、60および80分後の時点(t)で記録した。
〈3.4.1 冷感異痛〉
冷感異痛を、Carltonら3の方法に変更を加えたアセトン塗布法を用いて評価した。0.8 cmのプラスチック製メッシュでできた床を含む透明のプレキシガラス製の箱(23cm×18cm×14cm)にラットを入れた。アセトン1滴を、各後足の裏の中心表面に注意深く塗布し、ラットの応答を記録した。例えば、足に加重をかけない、鼻を足にすりつける、または音を発する等の疼痛応答に伴い足の後退があれば、応答は陽性とした。テストとテストの間に少なくとも3分の間隔を置き、各足につき、5回データを収集し、平均パーセント陽性後退応答を求めた。
冷感異痛を、Carltonら3の方法に変更を加えたアセトン塗布法を用いて評価した。0.8 cmのプラスチック製メッシュでできた床を含む透明のプレキシガラス製の箱(23cm×18cm×14cm)にラットを入れた。アセトン1滴を、各後足の裏の中心表面に注意深く塗布し、ラットの応答を記録した。例えば、足に加重をかけない、鼻を足にすりつける、または音を発する等の疼痛応答に伴い足の後退があれば、応答は陽性とした。テストとテストの間に少なくとも3分の間隔を置き、各足につき、5回データを収集し、平均パーセント陽性後退応答を求めた。
〈3.4.2 機械誘発性異痛〉
有害な機械刺激に対する両側後肢後退閾値を用い、機械誘発性異痛を評価した。後足の裏の中心表面に、一定速度(5〜8g/sec)で、手動により調整済み電子的Von Frey装置(力変換器の先端の直径は0.5mm)を用い、データを収集した。テストとテストの間隔を10秒以上とし、テストを5回行い、平均後退閾値を求めた。
有害な機械刺激に対する両側後肢後退閾値を用い、機械誘発性異痛を評価した。後足の裏の中心表面に、一定速度(5〜8g/sec)で、手動により調整済み電子的Von Frey装置(力変換器の先端の直径は0.5mm)を用い、データを収集した。テストとテストの間隔を10秒以上とし、テストを5回行い、平均後退閾値を求めた。
〈3.4.3 熱痛覚過敏〉
Hargreavesら4の記載に従って、有害な赤外線による熱刺激を両後足の裏の表面に与え、熱痛覚過敏を評価する。46℃の一定温度および(ラットでは20、マウスでは30の)赤外強度での、焦点を合わせた熱線の照射に対する足後退閾値を測定する。反応が出現する前に中断する標準的な時間とされている21.4秒を採用し、組織損傷を避けた。テストとテストの間隔を3分とし、データを5回収集し、平均後退閾値を求める。
Hargreavesら4の記載に従って、有害な赤外線による熱刺激を両後足の裏の表面に与え、熱痛覚過敏を評価する。46℃の一定温度および(ラットでは20、マウスでは30の)赤外強度での、焦点を合わせた熱線の照射に対する足後退閾値を測定する。反応が出現する前に中断する標準的な時間とされている21.4秒を採用し、組織損傷を避けた。テストとテストの間隔を3分とし、データを5回収集し、平均後退閾値を求める。
〈3.5 データ分析〉
統計的に有意であるかどうかを、神経障害に関しては、paired t検定によって、薬剤効果に関しては、一元配置分散分析(Dunnett検定)(手術後の値と比較)によって調べ、いずれの場合も、p<0.05であれば、統計的に有意であると決定した。
統計的に有意であるかどうかを、神経障害に関しては、paired t検定によって、薬剤効果に関しては、一元配置分散分析(Dunnett検定)(手術後の値と比較)によって調べ、いずれの場合も、p<0.05であれば、統計的に有意であると決定した。
〈4.結果〉
坐骨神経部分結紮手術後8日目において、全知覚形態での知覚閾値の変化が、35匹のラットで認められた。これは、paired t検定を用いた統計分析によって確認された(+p<0.05、++p<0.005)。手術を施した肢に完全な神経除去が生じ、知覚形態テストのいずれに対しても後退応答を示さなかったラット1匹のみが、研究から除外された。
坐骨神経部分結紮手術後8日目において、全知覚形態での知覚閾値の変化が、35匹のラットで認められた。これは、paired t検定を用いた統計分析によって確認された(+p<0.05、++p<0.005)。手術を施した肢に完全な神経除去が生じ、知覚形態テストのいずれに対しても後退応答を示さなかったラット1匹のみが、研究から除外された。
手術後対照として、溶媒(DMSO 40%および食塩水)が投与されたラットにおいては、ベースライン知覚閾値からの有意な差異は認められなかった。これは、一元配置分散分析 (Dunnett's)を用いた統計分析によって確認された(*P<0.05、* *p<0.005)。
〈4.1 L-29に関する研究〉
〈4.1.1 熱痛覚過敏〉
L-29の用量10mg/kgにおいて、最大の熱痛覚過敏の軽減が、薬剤のi.p.投与後20分〜60分の間で認められた。L-29の用量1mg/kgにおいては、熱痛覚過敏の軽減が、薬剤の注射後40分〜60分の間で、認められた。L-29の用量0.1mg/kgでは、薬剤のi.p.投与後40分の時点でのみで認められた(図8)。
〈4.1.1 熱痛覚過敏〉
L-29の用量10mg/kgにおいて、最大の熱痛覚過敏の軽減が、薬剤のi.p.投与後20分〜60分の間で認められた。L-29の用量1mg/kgにおいては、熱痛覚過敏の軽減が、薬剤の注射後40分〜60分の間で、認められた。L-29の用量0.1mg/kgでは、薬剤のi.p.投与後40分の時点でのみで認められた(図8)。
〈4.1.2 機械誘発性異痛〉
機械による知覚閾値の有意な増加、すなわち、坐骨神経部分結紮により生じた機械誘発性異痛の減弱が、L-29の用量1mg/kgで、薬剤のi.p.投与後20分および60分の時点で観察された。L-29の用量10mg/kgにおいては、機械誘発性異痛に対する効果は観察されず、L-29の用量0.1mg/kgにおいては、薬剤のi.p.投与後80分の時点のみで認められた(図7)。
機械による知覚閾値の有意な増加、すなわち、坐骨神経部分結紮により生じた機械誘発性異痛の減弱が、L-29の用量1mg/kgで、薬剤のi.p.投与後20分および60分の時点で観察された。L-29の用量10mg/kgにおいては、機械誘発性異痛に対する効果は観察されず、L-29の用量0.1mg/kgにおいては、薬剤のi.p.投与後80分の時点のみで認められた(図7)。
〈4.1.3 冷感異痛〉
L-29のいずれの投与量においても、坐骨神経部分結紮に伴う冷感異痛に対して、統計的に有意な減弱は生じなかった。しかし、実験を通して、陽性応答の平均パーセントが、全投与群において減少したという点で、一定の傾向が認められた。最大の効果が、L-29の用量1mg/kgおよび10mg/kgにおいて、薬剤のi.p.投与後40分〜60分の間で観察され、陽性応答が100%から50%に減少した。同様に、約50%の減少は、L-29の用量0.1mg/kgにおいて、薬剤のi.p.投与後20分〜40分の間で観察されている(図6)。
L-29のいずれの投与量においても、坐骨神経部分結紮に伴う冷感異痛に対して、統計的に有意な減弱は生じなかった。しかし、実験を通して、陽性応答の平均パーセントが、全投与群において減少したという点で、一定の傾向が認められた。最大の効果が、L-29の用量1mg/kgおよび10mg/kgにおいて、薬剤のi.p.投与後40分〜60分の間で観察され、陽性応答が100%から50%に減少した。同様に、約50%の減少は、L-29の用量0.1mg/kgにおいて、薬剤のi.p.投与後20分〜40分の間で観察されている(図6)。
〈4.2 受容体の関与〉
L-29作用に対する選択的CB1およびCB2受容体拮抗薬の作用を、L-29の用量1mg/kgにおいて調べた。
L-29作用に対する選択的CB1およびCB2受容体拮抗薬の作用を、L-29の用量1mg/kgにおいて調べた。
〈4.2.1 CB1受容体拮抗薬(SR141716a)〉
CB1受容体におけるこの選択的拮抗薬を共投与しても、L-29の用量1mg/kgにおいて認められた抗痛覚過敏作用および抗異痛作用が損なわれることはないようである。機械誘発性異痛および熱痛覚過敏はいずれも、実験全体を通して軽減され、知覚閾値が、ベースラインに比べ有意に増加した。冷感刺激に対するパーセント陽性応答の有意な減少、すなわち、冷感異痛の軽減が80分間の実験の終わりに発生した。しかし、冷感刺激に対するパーセント陽性応答の減少傾向は、実験のはじめにも認められていると思われる(図10)。
CB1受容体におけるこの選択的拮抗薬を共投与しても、L-29の用量1mg/kgにおいて認められた抗痛覚過敏作用および抗異痛作用が損なわれることはないようである。機械誘発性異痛および熱痛覚過敏はいずれも、実験全体を通して軽減され、知覚閾値が、ベースラインに比べ有意に増加した。冷感刺激に対するパーセント陽性応答の有意な減少、すなわち、冷感異痛の軽減が80分間の実験の終わりに発生した。しかし、冷感刺激に対するパーセント陽性応答の減少傾向は、実験のはじめにも認められていると思われる(図10)。
〈4.2.2 CB2受容体拮抗薬(SR144528)〉
CB2受容体におけるこの選択的拮抗薬を共投与した場合の効果の解釈は、困難に思われる。L-29の用量1mg/kgによる抗異痛効果を抑制したのは、機械刺激に対してのみのようであり、この効果は、薬剤投与後40分以降に認められた。しかし、L-29のi.p.投与による抗痛覚過敏効果の軽減は、温度刺激に対しては認められない。冷感異痛の軽減も認めれらないように思われる(図11)。
CB2受容体におけるこの選択的拮抗薬を共投与した場合の効果の解釈は、困難に思われる。L-29の用量1mg/kgによる抗異痛効果を抑制したのは、機械刺激に対してのみのようであり、この効果は、薬剤投与後40分以降に認められた。しかし、L-29のi.p.投与による抗痛覚過敏効果の軽減は、温度刺激に対しては認められない。冷感異痛の軽減も認めれらないように思われる(図11)。
〈5.考察〉
規模のより大きな実験により、本研究が示した効果を確認する必要があろうが、本研究は、神経障害性の末梢神経損傷モデルにおいて、パルミトイルアリルアミド(L-29)が用量1および10mg/kgで鎮痛作用を示す証拠を提示している。本研究の結果は、L-29は、用量1mg/kgおよび10mg/kgの両用量で疼痛行動を有意に軽減し、用量0.1mg/kgでは効果がなかった、ホルマリン惹起炎症性疼痛のラットモデルを用いた以前の研究結果を支持している。
規模のより大きな実験により、本研究が示した効果を確認する必要があろうが、本研究は、神経障害性の末梢神経損傷モデルにおいて、パルミトイルアリルアミド(L-29)が用量1および10mg/kgで鎮痛作用を示す証拠を提示している。本研究の結果は、L-29は、用量1mg/kgおよび10mg/kgの両用量で疼痛行動を有意に軽減し、用量0.1mg/kgでは効果がなかった、ホルマリン惹起炎症性疼痛のラットモデルを用いた以前の研究結果を支持している。
全体として、坐骨神経部分結紮により生じた機械誘発性異痛は、実験全体を通して知覚閾値が有意に増加した熱痛覚過敏ほどには効果的に軽減されなかった。さらに、冷感異痛の有意な減弱は観察されなかった。
過去の研究1,5が示唆したように、本研究でも、機械刺激に対するL-29の抗異痛効果のみが、CB2受容体拮抗薬SR144528によって拮抗され、CB1受容体拮抗薬SR141716aによっては拮抗されなかったように思われる。炎症性疼痛のホルマリンモデルでは、ホルマリンテストの第2相において、L-29により生じた抗侵害受容を、選択的CB1受容体拮抗薬SR141716a(1mg/kg)が有意に軽減したが、選択的CB2受容体拮抗薬SR144528(1mg/kg)は、効果を示さなかった。このことは、脂肪酸アミド加水分解酵素阻害剤(FAAHI)が、CB1受容体仲介機構によって、またはそこでもSR144528が拮抗薬である、CB2様受容体と相互作用することによって、抗侵害受容を惹起するという仮説を支持する。同様に、神経障害性疼痛のモデルにおいて合成カンナビノイドWIN55,212-2の鎮痛特性を調べる研究で、SR144528ではなく、SR141716aの共投与によって、鎮痛効果が抑制されることが認められており、WIN55,212-2の作用は、CB1受容体受容体を介して仲介されていることを示唆している5。
(参考文献2)
Claims (18)
- 疼痛軽減に用いるための医薬品の製造における、式I:
RC(O)-NH-(CH2)n-CH=CH2
(式中、RはC1〜20アルキル、C2〜20アルケニルまたはC2〜20アルキニルを表し、かつnは0〜3の整数である)
の化合物の使用。 - 医薬品に使用するための、請求項1において規定する式Iの化合物。
- 請求項1において規定する式Iの化合物の有効量を患者に投与することを含む、患者の疼痛を軽減する方法。
- 前記医薬品が1種または複数の鎮痛剤をさらに含む、または前記のさらなる1種または複数の鎮痛剤を患者に投与する、請求項1に記載の使用、または請求項3に記載の方法。
- 式Iの化合物において、RがC10〜20アルキル、C10〜20アルケニルまたはC10〜20アルキニルを表す、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、RがC10〜20 n-アルキル、C10〜20モノアルケニルまたはC10〜20モノアルキニルを表す、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、RがC10〜20 n-アルキル、C10〜20モノ-n-アルケニルまたはC10〜20モノ-n-アルキニルを表す、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、RがC11〜19 n-アルキルまたはC11〜19モノ-n-アルケニルを表す、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、RがC11〜18 n-アルキルまたはC11〜18モノ-n-アルケニルを表す、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、アルケニルまたはアルキニル基がそれぞれ、3個以下のC-C二重結合または三重結合を有する、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 前記化合物がN-(2-プロペニル)-5,8,11,14-エイコサテトラエンアミドではない、請求項1から5のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、nが0または1を表す、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用、化合物、または方法。
- 式Iの化合物において、nが1を表す、請求項12に記載の使用、化合物、または方法。
- 前記化合物が、N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミド、N-(2-プロペニル)シス-9-オクタデセンアミド、N-(2-プロペニル)シス-9-ヘキサデセンアミド、N-(2-プロペニル)テトラデカンアミド、N-(2-プロペニル)シス-9-テトラデセンアミド、N-(2-プロペニル)オクタデカンアミド、N-(2-プロペニル)トランス-9-オクタデセンアミド、N-(2-プロペニル)ドデカンアミド、またはN-(2-プロペニル)シス-5-ドデセンアミドである、請求項1から4のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 前記化合物が、N-(2-プロペニル)ヘキサデカンアミドである、請求項1から14のいずれかに記載の使用、化合物、または方法。
- 請求項1から15のいずれかに関して規定する化合物と1種または複数の鎮痛剤と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬品組成物。
- (a)請求項1から16のいずれかに関して規定する化合物と、
(b)1種または複数の鎮痛剤と、
(c)薬学的に許容される賦形剤
とを含む部品を備えたキット。 - 前記鎮痛剤が、オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、カンナビノイド、抗うつ薬および/または抗けいれん薬である、請求項4に記載の使用もしくは方法、または請求項16に記載の医薬品組成物、または請求項17に記載のキット。
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