JP2007522803A - ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ標的遺伝子を使用する方法 - Google Patents

ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ標的遺伝子を使用する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトにおけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)の新規な標的遺伝子の同定、ならびに代謝異常を処置するかもしくはその処置をモニターすることにおけるおよび代謝異常を処置するために有用な化合物を同定することにおけるそれらの使用を特徴とする。

Description

本発明は、代謝異常を処置するかもしくはその処置をモニターするための方法および組成物に関する。本発明は、また、代謝異常を処置するための化合物を同定するために有用な方法および組成物に関する。特に、本発明の方法は、3個のPPARα標的遺伝子Pa9、Pa13およびPa21の使用に関する。
肥満症、糖尿病、高血圧および高脂血症のような代謝異常は、大部分の工業化社会において大きな公衆衛生問題を提起する。これらの代謝異常は、個体を冠動脈疾患、卒中および他の心臓血管疾患にかかりやすくする。新生データは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)が脂質およびグルコース代謝における中心的存在であり、そして代謝異常に関与することを示唆する。
PPARは、核受容体スーパーファミリーに属するリガンド活性化転写因子である。活性化PPARは別の核受容体、レチノイドX受容体とヘテロダイマー化し、そして標的遺伝子の転写を改変する。活性化PPARは、標的遺伝子のプロモーターに位置するペルオキシソーム増殖因子応答配列(PPRE)として知られている特定のDNA配列に結合して転写開始率を上げる。これまでに同定された大部分のPPREは、1ヌクレオチド間隔のあいた標準AGGTCA配列の直接反復からなる(非特許文献1)。3つのPPARサブタイプが特性化されている:PPARα、δおよびγ。PPARα発現は、褐色脂肪組織、肝臓、心臓、腎臓および筋肉における細胞の間でより高いレベルで見られ、そこでそれは脂肪酸異化を調節する。PPARδは普遍的に発現され、そしてその機能は現在解明中である。PPARγは主に脂肪組織、結腸およびマクロファージに存在し、そして脂肪細胞分化、脂質貯蔵およびグルコース恒常性に関与する(非特許文献2)。
PPARのリガンドには、食物脂肪酸、および高脂血症もしくは2型糖尿病の処置において使用される多数の薬剤が包含される。例えば、一群の血清トリグリセリド低下薬、フィブレートは、PPARαの合成アゴニストである。フィブレートの例には、ジェムフィブロジル、ベザフィブレート、フェノフィブレート、クロフィブレートおよび新たに開発された微粉化フェノフィブレートが包含されるがこれらに限定されるものではない。PPARαの他の合成アゴニストには、GW2331、WY14643およびL165041が包含されるがこれらに限定されるものではない(非特許文献3)。インシュリン感作薬群、チアゾリジンジオン(TZD)は、高親和性PPARγアゴニストである。TZDの例には、アバンジア(ロシグリタゾン)およびレスリン(トログリタゾン)が包含されるがこれらに限定されるものではない。
フィブレートのような、いくつかのPPARαアゴニストの作用は、種特異的であるように思われる(非特許文献4)。げっ歯類において、フィブレートの投与は、HD(3−エノイルCoAデヒドロゲナーゼ)、ACOX(アシルCoAオキシダーゼ)およびME(リンゴ酸酵素)の遺伝子のような、脂質恒常性にとって重要である遺伝子を誘導する(非特許文献5)。これは、PPARαがげっ歯類におけるグルコースおよび脂質代謝の主要な標的組織、肝臓、脂肪細胞および骨格筋におけるβ酸化経路の構成的活性を維持することにおいて重要な役割を果たすことを示す、PPARαヌルマウスに関する研究と一致する(非特許文献6)。ヒトならびにモルモットおよびマーモセットのようないくつかの他の「非感受性」種において、フィブレートの投与は、げっ歯類においてフィブレートにより誘導される遺伝子の多くを誘導するように思われない(非特許文献7)。フィブレートによるペルオキシソーム脂肪酸酸化の調節は、ヒト肝細胞においてもしくはいくつかの他の「非感受性」種の肝臓において認められない。しかし、これらの「非感受性」動物は、フィブレートへの強力な脂質低下応答を示す。
ヒトにおいてPPARαにより調節される新規な遺伝子を同定することは、ヒト患者におけるフィブレート処置の機序を理解することにとって重要である。新規なPPARα標的遺伝子は、フィブレートおよび他のPPARαアゴニストの活性を臨床的にモニターするために有益である。さらに、新規なPPARα標的遺伝子は、代謝異常を処置するために有用である新規な化合物の迅速な同定および開発を促進する。さらに、新規なPPARα標的遺伝子は、代謝異常の処置の新規な方法の開発を促進する。
Schoonjans et al.,1996,Biochim Biophys Acta,1302:93−109 Lee et al.,2003,supra Mukherjee et al.,2002,J Steroid Biochem Mol Biol.81(3):217−25 Vosper et al.,2002,Pharmacology & Therapeutics,95:47−62 Castelein et al,1994 J.Biolo.Chem.269:26754−758 Leone et al.,1999,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:7473−7478 Stael,et al.,1997,Current Pharmaceutical Design 3:1−14
[発明の要約]
今回、本明細書に示される遺伝子Pa9、Pa13およびPa21は、ヒトにおけるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)の標的遺伝子であることが見出された。
1つの一般的な態様として、従って、本発明は、被験体におけるPPARαの生物学的活性を決定する方法を提供する。そのような方法は、被験体におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子およびPa21遺伝子よりなる群から選択される遺伝子の発現レベルを決定する段階を含んでなる。
別の一般的な態様として、本発明は、被験体における代謝異常の処置の効果を評価する方法を提供する。そのような方法は:a)処置の間もしくは後の被験体におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子およびPa21遺伝子よりなる群から選択される遺伝子の発現レベルを決定する段階;およびb)段階a)において決定される発現レベルを処置の前の被験体における該遺伝子の発現レベルと比較する段階を含んでなり;ここで、処置の間もしくは後の被験体における該遺伝子の発現レベルの増加は、被験体における代謝異常の処置が有効であることを示す。
本発明は、また、被験体における代謝異常の処置の効果を評価するためのキットも特徴とする。該キットは、配列番号:1、配列番号:3および配列番号:5、もしくはその相補体よりなる群から選択される核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸プローブを含むことができる。該キットはまた、配列番号:2、配列番号:4および配列番号:6よりなる群から選択されるポリペプチド分子に特異的に結合する抗体を含むこともできる。該キットは、被験体における代謝異常の処置が有効であるかどうかを決定するための説明書をさらに含むことができる。
別の一般的な態様として、本発明は被験体における代謝異常を処置するために有用な化合物を同定する方法を提供する。そのような方法の1例は:a)PPARα応答系を緩衝剤および試験化合物を含んでなる溶液と接触させる段階;b)ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列により制御される遺伝子の発現レベルをPPARα応答系から測定する段階;およびc)段階(b)の結果を、PPARα応答系を緩衝剤のみと接触させるコントロールの結果と比較する段階を含んでなる。そのような方法の別の例は:a)ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされるポリペプチドを緩衝剤および候補もしくは試験化合物を含んでなる溶液と接触させる段階;b)ポリペプチドの活性に対する試験化合物の効果を測定する段階;およびc)段階(b)の結果を、ポリペプチドを緩衝剤のみと接触させるコントロールの結果と比較する段階を含んでなる。
本発明の別の一般的な態様は、被験体における代謝異常を処置する方法に関する。そのような方法は、被験体の細胞におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の遺伝子発現パターンもしくは生物学的活性を改変する組成物の治療有効量を被験体に投与する段階を含んでなる。
さらに別の一般的な態様として、本発明は、機能性PPARαタンパク質およびヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列に操作可能に連結されたレポーター遺伝子のコーディング配列を含んでなる核酸分子を含んでなるPPARα応答系を提供する。また、本発明に包含されるのは、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列に操作可能に連結されたレポーター遺伝子のコーディング配列を含んでなる単離された核酸分子である。
本発明の他の態様、特徴および利点は、本発明の詳細な記述およびその好ましい態様ならびに添付の請求項を包含する、以下の開示から明らかである。
[発明の詳細な記述]
本明細書において用いる場合、「含んでなる」、「含有する」、「有する」および「包含する」という用語は、それらのオープンな(open)、限定されない意味で使用される。
下記の事項は、本明細書において時々使用される略語である:
bs=塩基対
cDNA=相補的DNA
C20orf139=第20染色体オープンリーディングフレーム139
ELISA=酵素免疫測定法
FDRG=フィブリノーゲンドメイン関連タンパク質
kb=キロ塩基;1000塩基対
nt=ヌクレオチド
PAGE=ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBMC=末梢血単核細胞
PCR=ポリメラーゼ連鎖反応
PPARα=ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ
PPRE=ペルオキシソーム増殖因子応答配列
RT PCR=逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
SDS=ドデシル硫酸ナトリウム
SiRNA=低分子干渉RNA
SKMU=骨格筋
SSC=塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム
TZD=チアゾリジンジオン
UTR=非翻訳領域
WAT=白色脂肪組織
ポリペプチドもしくは核酸の「活性」、「生物学的活性」もしくは「機能活性」は、標準的な技術に従ってインビボもしくはインビトロで決定する場合にポリペプチドもしくは核酸分子によりもたらされる活性をさす。そのような活性は、第二のタンパク質との会合もしくはそれへの酵素活性のような直接的活性、または第二のタンパク質と該タンパク質との相互作用により媒介される細胞シグナリング活性のような間接的活性であることができる。
「生物学的サンプル」は、本明細書において用いる場合、被験体から単離される細胞もしくは生物学的液のような、細胞もしくは組織物質を含有するかもしくはそれからなるサンプルをさす。「被験体」は、処置、観察もしくは実験の対象である、ラット、マウス、サルもしくはヒトのような哺乳類であることができる。生物学的サンプルの例には、例えば、唾液、血液、血液細胞(例えば白血球)、羊水、血漿、精液、骨髄、組織もしくは細針生検サンプル、尿、腹水、胸膜液および細胞培養物が包含される。生物学的サンプルにはまた、組織学的目的のために採取された凍結切片のような組織の切片を包含することもできる。
好ましい態様として、生物学的サンプルはヒト患者由来のサンプルである「臨床サンプル」である。生物学的サンプルはまた、「患者サンプル」と呼ばれることもできる。試験生物学的サンプルは、分析、モニタリングもしくは観察の対象である生物学的サンプルである。コントロール生物学的サンプルは、試験生物学的サンプルの陽性もしくは陰性コントロールのいずれかであることができる。コントロール生物学的サンプルは、試験生物学的サンプルのものと同じタイプの興味のある組織、細胞および生体液を含有することが多い。
「細胞」は、検出方法の感度に適切なような少なくとも1個の細胞もしくは複数の細胞をさす。本発明に適当な細胞は、細菌のものであることができるが、好ましくは真核生物のものであり、そして最も好ましくは哺乳類のものである。
「クローン」は、有糸分裂により単一の細胞もしくは共通の祖先に由来する細胞の集団である。「細胞系」は、複数世代にわたってインビトロにおける安定な増殖の能力がある初代細胞のクローンである。
「遺伝子」は、コーディング領域ならびにコーディング領域の前(「5’UTR」)および後(「3’UTR」)の非コーディング領域を包含する、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質を生産することに関与するDNAのセグメントである。「遺伝子」にはまた、個々のコーディングセグメント(「エキソン」)間の介在非コーディング配列(「イントロン」)を包含することもできる。「プロモーター」は、遺伝子の転写を開始するためのRNAポリメラーゼの結合に関与するDNAの調節配列をさす。プロモーターは、遺伝子の転写開始部位の上流(「5’」)にあることが多い。「調節配列」は、遺伝子の発現を制御することができる遺伝子の部分をさす。「調節配列」には、プロモーター、エンハンサーならびにポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位(細菌発現のための)および/もしくはオペレーターのような他の発現制御要素を包含することができる。「コーディング領域」は、トリプレット塩基コドンによってアミノ酸ならびに翻訳の開始および終止シグナルをコードする遺伝子の部分をさす。
「遺伝子発現マイクロアレイ分析」は、プローブオリゴヌクレオチドの「マイクロアレイ」を興味のある核酸サンプル、例えば特定の組織タイプからのポリA mRNAもしくはその逆転写産物のような、標的サンプルと接触させるアッセイをさす。例えば、Nees et al.(2001),Curr Cancer Drug Targets,1(2):155−75を参照。接触はハイブリダイゼーション条件下で行われ、そして結合していない核酸は除かれる。得られるハイブリダイズした核酸のパターンは、試験したサンプルの遺伝子プロフィールに関する情報を与える。遺伝子発現分析は、何千もの遺伝子の発現を同時に測定することができ、遺伝子相互作用および機能に関する詳細な情報を与える。遺伝子発現分析は様々な応用、例えば、遺伝子の発現を同定すること、遺伝子発現を特定の表現型に相関させること、疾病素因についてスクリーニングすることおよび毒性試験におけるような細胞遺伝子発現への特定の薬剤の効果を同定することにおいて用途を見出すことができる。「マイクロアレイ」は、本明細書において用いる場合、基質の表面上に空間的に分散し、そしてそれと安定に会合するかもしくはその上に固定される複数のポリマー分子を有する基質、例えばバイオチップもしくは遺伝子チップのような実質的に平面の基質をさす。典型的なマイクロアレイ形態には、オリゴヌクレオチドアレイおよびスポットアレイ(spotted array)が包含される。遺伝子発現マイクロアレイ分析に関する方法は、当業者に既知である。例えば、Yang et al.(2002),Nat Rev Genet 3(8):579−88による概説、もしくはDNAマイクロアレイを用いる定量的遺伝子発現分析の方法を開示する米国特許第6,004,755号を参照。
「ヒトPa9遺伝子」は、(1)配列番号:1のヌクレオチド配列を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするか;(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするか;または(3)配列番号:2のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する抗体、例えばポリクローナルもしくはモノクローナル抗体に結合することができるタンパク質をコードする遺伝子をさす。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,(1989)に記述されているような、当該技術分野において既知である意味を有する。典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、約45℃6x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)におけるハイブリダイゼーション、続いて50〜65℃で0.2xSSCおよび0.1% SDSにおける1回もしくはそれ以上の洗浄が包含される。「ヒトPa9遺伝子」には、US6348350に記述されているヒトNL2 TIEリガンドホモログポリペプチド遺伝子およびWO0177151に記述されているヒトFDRG遺伝子が包含される。典型的なヒトPa9遺伝子には、ヒトPa9の構造的および機能的多型の遺伝子が包含される。「多型」は、集団における個体間の特定の遺伝子座での1組の遺伝的バリアントをさす。
「単離された」核酸分子は、他の核酸分子から実質的に分離されているものである。「単離された」核酸分子は、例えば、該核酸が由来する生物のゲノムDNAにおいて該核酸分子にその5’及び3’末端で生来隣接するヌクレオチド配列の少なくとも1つを含まない核酸分子であることができる。単離された核酸分子には、他の配列から独立した別個の核酸分子(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ処理により生成されるcDNAもしくはゲノムDNAフラグメント)、ならびにベクター、自律的に複製するプラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルスもしくはヘルペスウイルス)または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに導入された以前に単離された核酸に導入される核酸分子が包含されるが、これらに限定されるものではない。さらに、単離された核酸分子には、ハイブリッドもしくは融合核酸分子の一部である核酸分子を包含することができる。
「単離された」もしくは「精製された」タンパク質もしくはその生物学的活性部分は、該タンパク質が由来する細胞もしくは組織源からの細胞物質もしくは他の混入タンパク質を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という用語には、該タンパク質が単離されるかまたは組換え的に製造される細胞の細胞成分からそれが分離しているタンパク質の調製物が包含される。従って、細胞物質を実質的に含まないタンパク質には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%もしくは5%未満の異種タンパク質(本明細書において「混入タンパク質」とも呼ばれる)を有するタンパク質の調製物が包含される。1つの態様としてタンパク質もしくはその生物学的活性部分が組換え的に製造される場合、それはまた好ましくは培養培地も実質的に含まず、すなわち、培養培地はタンパク質調製物の容量の約20%、10%もしくは5%未満に相当する。タンパク質が化学合成により製造される場合、それは好ましくは化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まず、すなわち、それは該タンパク質の合成に関与する化学的前駆体もしくは他の化学物質から分離されている。従って、タンパク質のそのような調製物は、興味のあるポリペプチド以外の(乾燥重量で)約30%、20%、10%、5%未満の化学的前駆体もしくは化合物を有する。単離された生物学的活性ポリペプチドは、いくつかの異なる物理的形態を有することができる。単離されたポリペプチドは、全長の新生すなわちプロセシングされていないポリペプチドとして、または部分的にプロセシングされたポリペプチドもしくはプロセシングされたポリペプチドの組み合わせとして存在することができる。全長の新生ポリペプチドは、全長の新生ポリペプチドのフラグメントの形成をもたらす特定のタンパク質分解切断事象により翻訳後修飾されることができる。フラグメントもしくはフラグメントの物理的会合は、全長ポリペプチドと関連する生物学的活性を有することができるが、しかしながら、個々のフラグメントと関連する生物学的活性の程度は異なることができる。
核酸プローブもしくは抗体のような標識された薬剤に関して、「標識された」という用語には、薬剤に検出可能な物質をカップリングすること(すなわち、物理的に連結すること)による薬剤の直接標識ならびに直接標識される別の試薬での薬剤の間接標識が包含されるものとする。直接検出可能である標識には、蛍光標識および放射性同位体が包含される。実例となる放射性同位体標識には、例えば、35S、32PおよびHが包含される。好ましい蛍光剤は、約300〜900nm、より好ましくは約400〜800nmにおける波長の光を吸収するものであり、そしてここで、吸収最大値は、好ましくは約500〜800nmの間の波長である。個々に標識されるプライマーにおいて使用することができる典型的な蛍光剤には、フルオレセイン、ローダミン、BODIPY、シアニン染料などが包含される。蛍光剤は、Smith et al.,Nature(1986),321:647−679にさらに記述されている。間接標識の例には、蛍光標識した二次抗体を用いる一次抗体の検出、および蛍光標識したストレプトアビジンで検出することができるようなビオチンでのDNAプローブの末端標識などが包含される。標識された核酸分子に関して「末端標識される」は、標識部分が末端に少なくとも近位である領域に存在することを意味する。好ましい末端標識は、核酸分子の5’末端で該部分を有する。標識はまた、例えば酵素ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いて、3’末端であることもできる。
「Pa13遺伝子」は、(1)ヒトPa13 cDNA(配列番号:3)に約60%より大きいヌクレオチド配列同一性を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするか;(2)ヒトPa13タンパク質(配列番号:4)に約60%より大きいアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードするか;または(3)本明細書に記述されるヒトPa13タンパク質に対する抗体、例えばポリクローナルもしくはモノクローナル抗体に結合することができるタンパク質をコードする遺伝子をさす。ヒト「Pa13遺伝子」には、ヒトTGF−ベータスーパーファミリータンパク質(Yokoyama−Kobayashi et al.,1997,J Biochem(Tokyo).122(3):622−6,GenBank Protein_Id No:BAA19151)が包含される。
「Pa13遺伝子」は、配列番号:3に約65、70、75、80、85、90もしくは95パーセントより大きいヌクレオチド配列同一性を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズすることができる。別の態様として、Pa13遺伝子は、配列番号:4に約65、70、75、80、85、90もしくは95パーセントより大きいアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードする。典型的な「Pa13遺伝子」には、ヒトPa13の構造的および機能的多型の遺伝子、ならびにラット、マウス、ブタ、イヌおよびサルを包含する他の動物におけるそのオーソログが包含される。
「Pa21遺伝子」は、(1)ヒトPa21 cDNA(配列番号:5)に約60%より大きいヌクレオチド配列同一性を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするか;(2)ヒトPa21タンパク質(配列番号:6)に約60%より大きいアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードするか;または(3)本明細書に記述されるヒトPa21タンパク質に対する抗体、例えばポリクローナルもしくはモノクローナル抗体に結合することができるタンパク質をコードする遺伝子をさす。ヒト「Pa21遺伝子」には、ヒトC20orf139遺伝子(Strausberg et al.,2002 Dec 24,Proc Natl Acad Sci USA;99(26):16899−903.Epub 2002 Dec 11.,GenBank Protein_Id No:NP_542763)が包含される。
「Pa21遺伝子」は、配列番号:5に約65、70、75、80、85、90もしくは95パーセントより大きいヌクレオチド配列同一性を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズすることができる。別の態様として、「Pa21遺伝子」は、配列番号:6に約65、70、75、80、85、90もしくは95パーセントより大きいアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードする。典型的な「Pa21遺伝子」には、ヒトPa21の構造的および機能的多型の遺伝子、ならびにラット、マウス、ブタ、イヌおよびサルを包含する他の動物におけるそのオーソログが包含される。
本明細書において用いる場合、「ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ」もしくは「PPARα」は:(1)ヒトPPARαタンパク質(Sher et al.,1993.Biochemistry.32(21):5598−604,GenBank Protein_ID No:NP_005027)に約60%より大きいアミノ酸配列同一性を有するか;(2)本明細書に記述されるヒトPPARαタンパク質に対する抗体、例えばポリクローナルもしくはモノクローナル抗体に結合することができるか;または(3)ヒトPPARα cDNA(GenBankヌクレオチド受託番号:NM_005036)に約60%より大きいヌクレオチド配列同一性を有する配列を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドをさす。
「PPARα」は、ヒトPPARαタンパク質に約65、70、75、80、85、90もしくは95パーセントより大きいアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドであることができる。別の態様として、「PPARα」は、ヒトPPARα cDNAに約65、70、75、80、85、90もしくは95パーセントより大きいヌクレオチド配列同一性を有する配列を有する核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドである。典型的な「PPARα」タンパク質には、ヒトPPARαタンパク質の構造的および機能的多型、ならびにラット、マウス、ブタ、イヌおよびサルを包含する他の動物におけるPPARαオーソログが包含される。「機能性PPARα」は、食物脂肪酸、フィブレートもしくは他のPPARαアゴニストに結合した際に、本明細書に開示されるようなPa9、Pa13およびPa21を包含する多数の標的遺伝子の転写を活性化することのような、PPARαの生物学的活性を維持するPPARαタンパク質の全長もしくは任意のフラグメントをさす。
「PPARα標的遺伝子」もしくは「PPARαの標的遺伝子」という用語は、その発現がPPARαにより調節される任意の種類および起源の遺伝子を含んでなる。そのような遺伝子の例は、げっ歯類における脂肪酸アシル−CoAオキシダーゼ、3−エノイルCo−Aデヒドロゲナーゼおよびリンゴ酸酵素、ならびに本明細書に記述されるPa9、Pa13およびPa21遺伝子である。特に、「PPARα標的遺伝子」という用語は、そのプロモーター配列およびさらに特にそのPPARα結合配列、例えばペルオキシソーム増殖因子応答配列(PPRE)を含んでなる。標的遺伝子は、任意のDNA構造で存在することができる。それらは細胞に存在するか、もしくは単離された形で存在することができる。標的遺伝子はまた、さらなる配列と、特にレポータータンパク質をコードするものと連結して存在することもできる。
「組み換え宿主細胞」は、外来DNA配列により形質転換されているかもしくはトランスフェクションされている細胞である。本明細書において用いる場合、細胞は、原核細胞もしくは真核細胞にDNAを運ぶことが既知である様々な技術のいずれかを用いてそのような外来DNAが細胞に導入されている場合に外来DNAにより「形質転換」されている。外来DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組込まれる(共有結合される)かもしくはそうされない可能性がある。例えば、外来DNAは、プラスミドのようなエピソーム要素上で維持されることができる。あるいはまた、安定に形質転換されるかもしくはトランスフェクションされた細胞に関して、外来DNAはそれが染色体複製によって娘細胞により継承されるように染色体に組込まれるようになっている。この安定性は、外来DNAを含有する娘細胞の集団を含んでなる細胞系もしくはクローンを樹立する安定に形質転換されるかもしくはトランスフェクションされた細胞の能力により示される。組み換え宿主細胞は、エシェリキア・コリ(E.coli)のような細菌、酵母のような真菌細胞、ヒト、ウシ、ブタ、サルおよびげっ歯類由来の細胞系を包含する哺乳類細胞、ならびにショウジョウバエおよびカイコ由来の細胞系のような昆虫細胞を包含する、原核生物もしくは真核生物のものであることができる。さらに、「組み換え宿主細胞」という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫もしくは潜在的子孫もさすと理解される。突然変異もしくは環境的影響のいずれかのために後の世代においてある種の改変が起こることができるので、そのような子孫は実際には親細胞と同一でない可能性があるが、それでもなお本明細書に用いる場合に該用語の範囲内に包含される。
「配列」は、モノマーがポリマーにおいて存在する線形順序、例えば、ポリペプチドにおけるアミノ酸の順序もしくはポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの順序を意味する。
「配列同一性もしくは類似性」は、当該技術分野において既知であるように、配列を比較することにより決定されるような、2つもしくはそれ以上のポリペプチド配列または2つもしくはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、場合により、一続きのそのような配列間の一致により決定されるような、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。
2つのアミノ酸配列のもしくは2つの核酸の同一性もしくは類似性パーセントを決定するために、それらの配列を最適比較目的のために整列させる(例えば、第二のアミノ酸もしくは核酸配列との最適なアライメントのために第一のアミノ酸もしくは核酸配列の配列にギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置もしくはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを比較する。第一の配列におけるある位置が第二の配列における対応する位置と同じもしくは類似するアミノ酸残基もしくはヌクレオチドで占められる場合、それらの分子はその位置で同一であるかもしくは類似する。2つの配列間の同一性もしくは類似性パーセントは、それらの配列により共有される同一もしくは類似位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一位置の数/位置の総数(例えば、重複する位置)x100)。1つの態様として、2つの配列は同じ長さである。
同一性および類似性は両方とも、容易に計算することができる。同一性パーセントを計算する際には、完全な一致のみを計数する。配列間の同一性もしくは類似性を決定するために一般に用いられる方法には、例えば、Carillo et al.(1988),SIAM J.Applied Math.48,1073に開示されるものが包含される。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する配列間の最大の一致を与えるように設計される。同一性および類似性を決定する方法は、コンピュータープログラムに体系化される。
2つの配列の比較のために利用される数学アルゴリズムの例は、Karlinet al.(1993),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877におけるように改変された、Karlin et al.(1990),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al.(1990),J Mol.Biol 215:403−410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに導入される。比較目的のためのギャップ付きアライメントを得るために、Gapped BLASTをAltschul et al.(1997),Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記述されているように利用することができる。あるいはまた、反復検索を行うためにPSI−Blastを用いることができ、それは分子間の遠い関係を検出する。BLAST、Gapped BLASTおよびPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる。例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照。さらに、同様に用いることができるFASTA法(Atschul et al.(1990),J.Molec.Biol.215,403)がある。
配列の比較のために有用な数学アルゴリズムの別の例は、Myers et al.(1988),CABIOS 4:11−17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージ(Devereux et al.(1984),Nucleic Acids Research 12(1),387)の一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に導入される。
「実質的に同様の」という用語は、本明細書において用いる場合、同一配列ならびに任意の生物学的活性部分を維持しそしてその保存モチーフのいずれかを保有する改変配列をもたらすそれへの欠失、置換もしくは付加を含むポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列をさす。
「治療的に有効な量」という用語は、本明細書において用いる場合、処置している疾病もしくは疾患の症状の軽減を包含する、研究者、獣医、医師もしくは他の臨床医により求められている組織系、動物もしくはヒトにおける生物学的もしくは薬剤応答を引き出す活性化合物もしくは製薬学的薬剤の量を意味する。本発明の製薬学的組成物の治療的に有効な用量を決定する方法は、当該技術分野において既知である。
「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を運ぶことができる核酸分子をさす。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、それは追加のDNAセグメントをその中に挿入することができる環状二本鎖DNAループをさす。別のタイプのベクターは、追加のDNAセグメントを挿入することができるウイルスベクターである。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組込まれ、そして宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、発現ベクターのようなある種のベクターは、それらが操作可能に連結される遺伝子の発現を導くことができる。一般に、組み換えDNA技術において有用なベクターは、プラスミドの形態であることが多い。しかしながら、本発明には、同等の機能を果たす、ウイルスベクター(例えば、複製欠損性レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)のような、他の形態のベクターも包含されるものとする。
代謝異常の処置の効果を評価する方法
1つの一般的な態様として、本発明は被験体におけるPPARαの生物学的活性を決定する方法を提供する。そのような方法は、被験体におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子およびPa21遺伝子よりなる群から選択される遺伝子の発現レベルを決定する段階を含んでなる。
本発明は、代謝異常の処置の効果を被験体において評価する方法を提供する。代謝異常は、アテローム性動脈硬化症、肥満症、血栓症もしくは冠動脈疾患、高血圧、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患、卒中、II型糖尿病、グルコース寛容減損(IGT)および代謝症候群(症候群X)のような、異常脂質血症もしくは異常脂質血症と関連する症状であることができる。
好ましい態様として、本発明の方法は、PPARαアゴニストもしくはモジュレーターを伴う処置の効果を評価するために用いることができる。PPARαアゴニストの例には、ジェムフィブロジル、ベザフィブレート、フェノフィブレート、クロフィブレート、微粉化フェノフィブレート、GW2331、WY14643、L165041、およびその誘導体が包含されるがこれらに限定されるものではない。
被験体におけるPa9、Pa13もしくはPa21から選択されるPPARα標的遺伝子の発現レベルを決定するために被験体から採取した生物学的サンプルを用いることができる。例えば、針生検によって、生物学的サンプルを得るために当業者に既知である任意の適当な方法を用いることができる。例えば、生物学的サンプルは、PPARα発現が濃縮される、褐色脂肪組織、肝臓、心臓、腎臓もしくは筋肉から得ることができる。生物学的サンプルはまた、脂肪組織もしくは末梢血単核細胞(PBMC)から得ることもできる。
ある態様として、PPARα標的遺伝子の発現レベルは、遺伝子のmRNA量を測定することにより決定することができる。生物学的サンプルにおける特定の遺伝子のmRNAの量は、多数の技術を用いて測定することができる。例えば、mRNAは、mRNAを特異的に検出することができる化合物もしくは薬剤と生物学的サンプルを接触させることにより測定することができる。mRNAに特異的にハイブリダイズすることができる標識核酸プローブが使用されることが多い。例えば、ヒトPa9 mRNAに特異的な核酸プローブは、配列番号:1のヌクレオチド配列を有する全長ヒトPa9 cDNA、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でヒトPa9 mRNAにハイブリダイズすることができる長さが少なくとも15、30、50、100、250もしくは500ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドのような、その一部であることができる。ストリンジェントな条件下で、ヒトPa9 mRNAに特異的な核酸プローブは、このmRNAにハイブリダイズするだけであるが、生物学的サンプルに存在する他のmRNA種にハイブリダイズしない。本発明に有用な核酸プローブには、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1、3もしくは5にハイブリダイズすることができるものが包含される。
生物学的サンプルにおける特定の遺伝子からのmRNAの量を決定するための別の技術は、定量的リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)である。遺伝子、例えばヒトPa9遺伝子からの相補的DNA(cDNA)は、逆転写によってサンプルから調製することができる。このcDNAは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でPa9 cDNAにハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRによって増幅することができる。RT−PCRを容易にするキットは市販されている、例えば、Applied Biosystems(Foster City,CA)からの「ワンステップRT−PCRマスターミックス試薬」キット。
何十年にもわたって、in situハイブリダイゼーションは、細胞もしくは組織の特定のコンパートメント内のmRNAの分布および発現を研究するために広く使用されている。in situハイブリダイゼーションに使用される核酸プローブのタイプには、様々な長さの一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖RNAプローブ(リボプローブ)もしくは二本鎖cDNA配列が包含される。プローブは、任意の既知の発現される核酸配列に対して特異的に設計することができる。in−situハイブリダイゼーションにおいて使用することができる多数の異なる放射性同位体および非同位体標識が市販されている。in−situハイブリダイゼーション法の概説には、McNicol et al.(1997),J.Pathol 182(3):250−61を参照。生物学的サンプルにおける特定の遺伝子からのmRNAの量を決定するための他の有用な技術には、DNAマイクロアレイ分析、ドット−ブロッティングおよびノーザンハイブリダイゼーションが包含される。
ある態様として、生物学的サンプルにおけるPPARα標的遺伝子の発現レベルは、該遺伝子によりコードされるポリペプチドの量を測定することにより決定することができる。生物学的サンプルにおけるタンパク質の量は、該タンパク質を特異的に検出することができる化合物もしくは薬剤と生物学的サンプルを接触させることにより測定することができる。例えば、ヒトPa9タンパク質を検出するための好ましい薬剤は、該ポリペプチドの一部に特異的に結合することができる抗体である。1つの好ましい方法として、検出可能な標識に結合したヒトPa9タンパク質に特異的な抗体が、ヒトPa9タンパク質の検出に用いられる。抗体は、ポリクローナルもしくはモノクローナルであることができる。全抗体分子もしくはそのフラグメント(例えば、FabもしくはF(ab’))を用いることができる。抗体は、専門の研究所を通して利用可能である。例えば、Pa9、Pa13もしくはPa21タンパク質に特異的な合成ペプチド配列に対する抗体は、比較的短い時間スケール内で開発されることができ、興味のあるこれらの標的を研究することに関してより大きい柔軟性度を可能にする。
Pa9、Pa13もしくはPa21タンパク質のようなポリペプチドの検出の技術には、酵素免疫測定法(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光、ならびに免疫組織化学が包含される。これらの方法を行うための詳細は、例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,(1989)に見出されることができる。
さらに、生体ヒト臓器におけるPPARα標的遺伝子の発現レベルは、ポジトロンエミッション断層撮影(PET)画像化(Sedvall et al.,(1988)Psychopharmacol.Ser.,5:27−33)のような定量的非侵襲性手段により決定することができる。例えば、微量のPa9タンパク質結合放射性トレーサーを被験体に静脈内注射することができ、そして被験体の褐色脂肪組織、肝臓、心臓、腎臓、筋肉もしくは他の組織における放射性標識の分布を撮像することができる。PET画像化ならびに他の定量的非侵襲性画像化手段の方法は、当業者に既知である(Passchier et al.,(2002)Methods 27:278による概説を参照)。
通常は最適化プロトコルと一緒に、PPARα標的遺伝子の発現レベルの検出に必要な全ての試薬が含まれる完全なアッセイキットを利用可能にすることができる。
被験体における代謝異常の処置の効果を決定するためのキット
従って、本発明はまた、被験体における代謝異常の処置の効果を測定するためのキットも特徴とする。そのようなキットは、好ましくは、少なくとも1つの容器を密接に閉じ込めて保持するために適当な区分化された担体を含んでなる。担体は、生物学的サンプルにおけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子のポリペプチドもしくはmRNAを検出することができる試薬およびサンプルにおけるポリペプチドもしくはmRNAの量を決定するための手段(例えば、酵素もしくは基質)をさらに含んでなる。キットはまた、アッセイしそして含まれる試験サンプルと比較することができるコントロールサンプルもしくは一連のコントロールサンプルを含有することもできる。キットの各成分は、個々の容器内に封入することができ、そして様々な容器の全ては、被験体における代謝異常の処置が有効であるかどうかを決定するための説明書と一緒に単一のパッケージ内にある。
抗体に基づくキットでは、該キットは、例えば:(1)Pa9、Pa13もしくはPa21の遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合する一次抗体(例えば、固体支持体に結合した抗体);および場合により;(2)ポリペプチドもしくは一次抗体のいずれかに結合しそして検出可能な薬剤に結合している第二の異なる抗体;および(3)陽性コントロールとしてPa9、Pa13もしくはPa21の遺伝子によりコードされる実質的に精製されたポリペプチドを含んでなることができる。例えば、抗体に基づくキットは、配列番号:2、配列番号:4もしくは配列番号:6のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含んでなることができる。抗体はポリクローナルもしくはモノクローナルであることができる。抗体を開発するために当業者に既知である任意の適当な方法を用いることができる。
オリゴヌクレオチドに基づくキットでは、該キットは、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で遺伝子Pa9、Pa13もしくはPa21のmRNAにハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば標識オリゴヌクレオチドを含んでなることができる。例えば、キットは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1、配列番号:2もしくは配列番号:3の配列またはその相補体にハイブリダイズする標識オリゴヌクレオチドを含んでなることができる。あるいはまた、キットは、遺伝子Pa9、Pa13もしくはPa21のmRNAからの核酸分子の逆転写および増幅に有用な1対のプライマーを含んでなることができる。例えば、キットは配列番号:1、配列番号:2もしくは配列番号:3から核酸分子を増幅するために有用な1対のプライマーを含んでなることができる。
PPARαの新規な標的遺伝子としての遺伝子Pa9、Pa13およびPa21の同定はまた、化合物を代謝障害を処置することにおけるそれらの潜在的効能について同定するための新規なスクリーニング方法もしくはアッセイの開発も可能にする。
代謝異常を処置するために有用な化合物を同定する方法
本発明の一般的な態様は、被験体における代謝異常を処置するために有用な化合物を同定する方法に関する。そのような方法は、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の遺伝子発現レベルまたはヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされるポリペプチドの生物学的活性のいずれかを改変する化合物の同定を含む。
化合物同定方法は、通常の実験室フォーマットを用いてもしくはハイスループットに適応したアッセイにおいて行われることができる。「ハイスループット」という用語は、同時に多数のサンプルの容易なスクリーニングを可能にするアッセイ設計をさし、そしてロボット操作の能力を包含することができる。ハイスループットアッセイの別の望ましい特徴は、所望の分析を行うために試薬の使用を減らすかもしくは操作の数を最小限にするように最適化されるアッセイ設計である。アッセイフォーマットの例には、96ウェルもしくは384ウェルプレート、浮揚液滴および液体処理実験に試用される「ラボ・オン・チップ」マイクロチャンネルチップが包含される。当業者により知られているように、プラスチック金型および液体処理装置の小型化が進むにつれて、もしくは改善されたアッセイ装置が設計されるにつれて、より多数のサンプルが本発明のアッセイを用いてより効率よくスクリーニングされることができる。
スクリーニングの候補化合物は多数の化学分類から、好ましくは有機化合物の類から選択することができる。候補化合物は高分子であることができるが、好ましくは、候補化合物は小分子有機化合物、すなわち、50より大きくそして2500未満の分子量を有するものである。候補化合物は、ポリペプチドとの構造的相互作用に必要な1つもしくはそれ以上の官能性化学基を有する。好ましい候補化合物は、少なくとも1つのアミン、カルボニル、ヒドロキシルもしくはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つのそのような官能基、そしてより好ましくは少なくとも3つのそのような官能基を有する。候補化合物は、上記に例示する官能基の1つもしくはそれ以上で置換された環状炭素もしくは複素環式構造部分および/または芳香族もしくは多環芳香族構造部分を含んでなることができる。候補化合物はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体もしくは構造的アナログ、またはその組み合わせなどのような生体分子であることもできる。化合物が核酸である場合、非天然の結合もしくはサブユニットを有する改変された核酸もまた意図されるが、化合物は好ましくはDNAもしくはRNA分子である。
候補化合物は、合成もしくは天然化合物のライブラリーを包含する様々な供給源から得ることができる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドの発現、合成有機組み合わせライブラリー、ランダムペプチドのファージディスプレイライブラリーなどを包含する、様々な有機化合物および生体分子のランダムおよび指示された(directed)合成に多数の手段が利用可能である。候補化合物はまた、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並行固相もしくは液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;および親和性クロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を包含する(例えば、Lam(1997),Anticancer Drug Des.12:145を参照)、当該技術分野において既知である組み合わせライブラリー法における多数の方法のいずれかを用いて得ることもできる。あるいはまた、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であり、もしくは日常的に製造することができる。さらに、天然および合成的に製造されたライブラリーおよび化合物は、通常の化学的、物理的および生化学的手段によって日常的に改変することができる。
さらに、既知の薬理学的薬剤は、薬剤の構造的アナログを製造するためにアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などのような選択的もしくはランダム化学修飾を受けることができる。候補化合物は、ランダムに選択することができ、またはPPARα活性に結合しそして/もしくはその機能を調節する既存の化合物に基づくことができる。例えば、候補薬剤の供給源は、PPARαの既知のアクチベーターもしくはインヒビターに基づく分子のライブラリーであることができ、ここで、化合物の構造は、より多くのもしくはより少ない化学部分または異なる化学部分を含有するように分子の1つもしくはそれ以上の位置で変えられる。アナログアクチベーター/インヒビターのライブラリーを作製する際に分子に加えられる構造的変化は、選択的、ランダム、または選択的およびランダム置換および/もしくは付加の両方の組み合わせであることができる。
様々な他の試薬もまた混合物に含むことができる。これらには、最適なタンパク質−タンパク質および/もしくはタンパク質−核酸結合を促進するために用いることができる塩、緩衝剤、中性タンパク質(例えばアルブミン)および洗剤のような試薬が包含される。そのような試薬はまた、反応成分の非特異的なもしくはバックグラウンド相互作用を減少することもできる。ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤などのような、アッセイの効率を向上する他の試薬もまた用いることができる。
分子ライブラリーの合成の方法の例は、当該技術分野において、例えば:Zuckermann et al.(1994),J Med.Chem.37:2678に見出されることができる。化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten(1992)、Biotechniques 13:412−421)、またはビーズ(Lam(1991),Nature 354:82−84)、チップ(Fodor(1993),Nature 364:555−556)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号)、プラスミド(Cull et al.(1992),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)もしくはファージ(例えば、Scott and Smith(1990),Science 249:386−390を参照)上に提示されることができる。
1つの態様として、本発明は:a)PPARα応答系を緩衝剤および試験化合物を含んでなる溶液と接触させる段階;b)PPARα応答系からヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列により制御される遺伝子の発現レベルを測定する段階;および場合により段階(b)の結果をPPARα応答系が試験化合物の不在下で測定されるコントロールの結果と比較する段階を含んでなる、被験体における代謝異常を処置するために有用な化合物を同定する方法を提供する。
代謝障害を処置するために有用な同定される化合物には、PPARα応答系からのヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の遺伝子発現を増加するかもしくは減少することができる任意の化合物が包含される。例えば、化合物はPPARα応答系におけるPPARαに結合し、そして直接PPARαの生物学的活性を調節することができ、PPARα応答系からのヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の増加したもしくは減少した発現をもたらす。化合物はまた、PPARα応答系におけるPPARαと相互作用する細胞成分に結合し、そして間接的にPPARαと関連する生物学的活性を調節することもでき、PPARα応答系からのヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の増加したもしくは減少した発現をもたらす。化合物はさらに、PPARαの生物学的活性から独立している機序によって、PPARα応答系からのヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の発現を増加するかもしくは減少することができる。
「PPARα応答系」は、その最も広い意味において用いる場合、例えばPPARαアゴニストを使用する場合のような、PPARα遺伝子の刺激に応答する単一細胞、組織、および哺乳類のような複雑な多細胞生物をさす。好ましい態様として、PPARα応答系は、機能性PPARαタンパク質ならびにPa9、Pa13およびPa21遺伝子よりなる群から選択される少なくとも1つのPPARα標的遺伝子を含んでなる動物、組織もしくは細胞である。PPARα応答系は、内因性PPARαおよび内因性PPARα標的遺伝子Pa9、Pa13もしくはPa21の天然の宿主であることができる。例えば、ヒト肝細胞HuH7細胞、ヒト初代脂肪細胞およびヒト初代骨格筋細胞(SKMC)は全て、本発明において用いることができる天然のPPARα応答系である。PPARα応答系はまた、PPARαの組み換え宿主細胞であることもできる。組み換えPPARαを有するそのようなPPARα応答系を得るために当業者に既知である任意の適当な方法を用いることができる。例えば、PPARα応答系は、機能性PPARαタンパク質をコードする外来DNAを少なくとも1つの内因性PPARα標的遺伝子Pa9、Pa13もしくはPa21の天然の宿主細胞に導入することにより構築することができる。そのようなPPARα応答系からのPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の発現レベルは、上記の方法を用いてPPARα応答系から該遺伝子のmRNAもしくはタンパク質の量のいずれかにより測定することができる。
別の態様として、PPARα応答系は、機能性PPARαタンパク質およびヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列に操作可能に連結されたレポーター遺伝子のコーディング配列を含んでなる核酸分子を含んでなる。そのような系は、PPARαモジュレーターに応答したレポーター遺伝子の転写調節を可能にする。従って、PPARα標的遺伝子の発現レベルは、レポーター活性によって間接的に測定することができる。例えば、ルシフェラーゼ(luc)遺伝子をレポーター遺伝子として用いる場合、PPARα標的遺伝子の発現レベルは、PPARα応答系からの生物発光の量として測定することができる。他のレポーター遺伝子には、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)、β−グルクロニダーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼおよびグアニンキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼが包含されるが、これらに限定されるものではない。レポーターの生物学的活性は、容易に測定することができる。レポーター活性の測定を容易にするためにキットが市販されている。
ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列に操作可能に連結されたレポーター遺伝子のコーディング配列を含んでなる核酸を構築するために当業者に既知である任意の適当な方法を用いることができる。ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列には、それぞれ、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の遺伝子発現と生来関連しそしてそれを制御する任意のヌクレオチド配列が包含される。好ましくは、調節配列は1つもしくはそれ以上の潜在的PPREを含んでなる。例えば、配列番号:19のヌクレオチド配列もしくはその一部は、ヒトPa13遺伝子の調節配列を表し;そして配列番号:20のヌクレオチド配列もしくはその一部は、ヒトPa21遺伝子の調節配列を表す。
別の態様として、本発明は:a)ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされるポリペプチドを緩衝剤および試験化合物を含んでなる溶液と接触させる段階;b)ポリペプチドの活性への試験化合物の効果を測定する段階;およびc)段階(b)の結果を試験化合物を欠くコントロールの結果と比較する段階を含んでなる、被験体における代謝異常を処置するために有用な化合物を同定する方法を提供する。
ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合し、そして潜在的にポリペプチドの生物学的活性を増加するかもしくは減少することができる化合物を同定するために結合アッセイを用いることができる。1つの典型的な結合アッセイは:(a)ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされるポリペプチドおよびポリペプチドの標識リガンドと試験化合物をインキュベーションする段階;(b)結合していない標識リガンドからポリペプチドを分離する段階;および(c)ポリペプチドに結合する標識リガンドの量の減少によりポリペプチドへのリガンド結合を阻害する化合物を同定する段階を含んでなる。ポリペプチドの標識リガンドの例は、ポリペプチドに特異的な標識抗体である。ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子を発現する宿主細胞(組み換えもしくは天然の)を結合アッセイに用いることができる。好ましくは、宿主細胞から調製した細胞膜を結合アッセイに用いることができる。より好ましくは、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされる実質的に精製されたポリペプチドを結合アッセイに用いることができる。
結合していない標識リガンドからのポリペプチドの分離は、様々な方法で成し遂げることができる。都合よく、成分の少なくとも1つを固体基質上に固定し、それから結合していない成分を容易に分離することができる。固体基質は、多種多様な材料でそして多種多様な形状(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、樹脂粒子など)でできていることができる。基質は好ましくは信号対雑音比を最大にするように、主にバックグラウンド結合を最小にするように、ならびに分離の容易さおよび費用に関して選択される。
分離は、例えば、リザーバーからビーズもしくはディップスティックを取り除くこと、マイクロタイタープレートウェルのようなリザーバーを空にするかもしくは希釈すること、またはビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラムもしくはフィルターを洗浄溶液もしくは溶媒ですすぐことによりもたらすことができる。分離段階には、好ましくは、複数のすすぎもしくは洗浄が包含される。例えば、固体基質がマイクロタイタープレートである場合、塩、緩衝剤、洗剤、非特異的タンパク質などのような特異的結合に関与しないインキュベーション混合物の成分を典型的に含む洗浄溶液でウェルを数回洗浄することができる。固体基質が電磁ビーズである場合、ビーズを洗浄溶液で1回もしくはそれ以上洗浄し、そして磁石を用いて単離することができる。
リガンドを標識するために、直接的検出(例えば、放射活性、発光、光学もしくは電子密度など)もしくは間接的検出(例えば、FLAGエピトープのようなエピトープタグ、西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素タグなど)を与えるもののような多種多様な標識を用いることができる。
本発明の上記のアッセイ方法の1つより多くの態様として、ポリペプチドの複合体を形成していない形態からの複合体を形成した形態の分離を容易にするために、ならびにアッセイの自動化に対応するためにポリペプチドもしくはそのリガンドのいずれかを固定することが望ましい可能性がある。候補化合物の存在下および不在下でのポリペプチドへの試験化合物の結合もしくは標的分子とポリペプチドとの相互作用は、反応物を含有するために適当な任意の容器において成し遂げることができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管および微小遠心管が包含される。1つの態様として、ポリペプチドおよびそのリガンドの一方もしくは両方をマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加するポリペプチドの融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼとポリペプチドとの融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical;St.Louis,MO)もしくはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、それらを次に試験化合物もしくは試験化合物とポリペプチドの標識リガンドと合わせ、そして複合体形成を導く条件下で混合物をインキュベーションする(例えば、塩およびpHについて生理的条件で)。インキュベーション後に、ビーズもしくはマイクロタイタープレートウェルを洗浄してあらゆる結合していない成分を除き、そして複合体形成を直接的もしくは間接的に、例えば上記のように測定する。あるいはまた、複合体をマトリックスから解離することができ、そして本発明のポリペプチドの結合もしくは活性のレベルを標準的な技術を用いて決定することができる。
マトリックス上にタンパク質を固定するための他の技術もまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて用いることができる。例えば、ポリペプチドもしくはそのリガンドのいずれかをビオチンおよびストレプトアビジン結合を利用して固定することができる。
ビオチニル化ポリペプチドもしくは標的分子は、当該技術分野において周知である技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals;Rockford,IL)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から製造し、そしてストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルにおいて固定することができる。あるいはまた、ポリペプチドと反応するがポリペプチドのその標的分子への結合を妨げない抗体をプレートのウェルに誘導体化することができ、そしてポリペプチドを抗体結合によりウェルにおいて捕捉することができる。GST固定化複合体についての上記のものに加えて、そのような複合体を検出する方法には、本発明のポリペプチドもしくは標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、ならびにポリペプチドと関連する酵素活性を検出することに依存する酵素結合測定法が包含される。
PPARαの新規な標的遺伝子としての遺伝子Pa9、Pa13およびPa21の同定はまた、代謝異常を処置する新規な方法の開発も可能にする。
代謝異常を処置する方法
従って、本発明の別の一般的な態様は、被験体における代謝異常を処置する方法に関する。そのような方法は、被験体の細胞におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の遺伝子発現パターンもしくは生物学的活性を改変する組成物の治療有効量を被験体に投与する段階を含んでなる。
1つの態様として、処置の方法は、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の発現もしくは生物学的活性を増加するかもしくは減少することができる化合物を被験体に投与する段階を含んでなる。そのような化合物は、上記の化合物同定の方法を用いて同定することができる。
別の態様として、被験体における代謝異常を処置するために細胞におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子を標的とする遺伝子治療を用いることができる。例えば、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の減少した発現もしくは活性が望ましい場合、細胞におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の発現を減少するためにアンチセンス治療を用いることができる。
アンチセンスに基づく戦略の原理は、遺伝子発現の配列特異的抑制が、mRNAと相補的アンチセンス種との間の細胞内ハイブリダイゼーションにより成し遂げられることができるという仮説に基づく。ハイブリッドRNA二本鎖の形成は、次に、遺伝子Pa9、Pa13もしくはPa21のもののような、標的mRNAのプロセシング/輸送/翻訳および/もしくは安定性を妨げることができる。ハイブリダイゼーションは、アンチセンス効果が生じるために必要とされる。アンチセンス戦略は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用、アンチセンスRNAの注入およびアンチセンスRNA発現ベクターのトランスフェクションを包含する様々な方法を用いることができる。センス鎖へのアンチセンスハイブリダイゼーションにより誘導される表現型効果は、タンパク質レベル、タンパク質活性測定および標的mRNAレベルのような基準の変化に基づく。
アンチセンス核酸は、標的遺伝子の全コーディング鎖にもしくはその一部のみに相補的であることができる。アンチセンス核酸分子はまた、標的遺伝子のコーディング鎖の非コーディング領域の全部もしくは一部に相補的であることもできる。非コーディング領域(「5’および3’UTR」)は、コーディング領域に隣接しそしてアミノ酸に翻訳されない5’および3’配列である。好ましくは、非コーディング領域は、標的遺伝子の転写もしくは翻訳の調節領域である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、配列番号:1、3もしくは5の相補的配列から選ばれた約15、25、35、45もしくは65ヌクレオチドまたはそれ以上の長さであることができる。配列の翻訳を防ぐために標的mRNA配列への十分に強いアニーリングを得るために配列は少なくとも18ヌクレオチドの長さであることが好ましい(Izant et al.,1984、Cell,36:1007−1015;Rosenberg et al.,1985,Nature,313:703−706)。アニチセンス核酸は、当該技術分野において既知である方法を使用して化学合成および酵素ライゲーション反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増加するようにもしくはアンチセンスとセンス核酸との間で形成される二本鎖の物理的安定性を増加するように設計された様々に改変されたヌクレオチドを用いて化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換されたヌクレオチドを用いることができる。アンチセンス核酸を作製するために用いることができる改変されたヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、I−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノプリンが包含される。アンチセンス核酸分子は、CC−アノマー核酸分子であることができる。CC−アノマー核酸分子は相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、ここで、通常のP−ユニットと異なり、これらの鎖は相互に平行する(Gaultier et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)もしくはキメラRNA−DNAアナログ(Inoue et al.(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含んでなることもできる。
あるいはまた、アンチセンス核酸は、核酸が上記のようにアンチセンスの向きにサブクローン化されている発現ベクターを用いて生物学的に製造することもできる。アンチセンス発現ベクターは、ベクターが導入される細胞タイプによりその活性が決定されることができる高効率調節領域の制御下でアンチセンス核酸が生産される組み換えプラスミド、ファージミドもしくは弱毒化ウイルスの形態であることができる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIもしくはpol IIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構築物が好ましい。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子発現の調節の説明は、Weintraub et al.(1985,Trends in Genetics,Vol.1(1),pp.22−25)を参照。
典型的に、アンチセンス核酸は、微量注入、リポソーム封入により被験体に投与されるか、もしくはアンチセンス配列を保有するベクターからの発現によりin situで生成される。アンチセンス核酸分子の投与の経路の例には、組織部位での直接注入が包含される。アンチセンス核酸は、ウイルスベクターが宿主細胞に導入される場合にアンチセンス核酸の導入を媒介するウイルスベクターに連結することができる。適当なウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルスなどが包含される。あるいはまた、アンチセンス核酸分子は、選択した細胞を標的とするように改変され、そして次に全身的に投与されることができる。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、例えば、細胞表面受容体もしくは抗原に結合するペプチドもしくは抗体にアンチンセンス核酸分子を連結することにより、それらが選択した細胞表面上に発現される受容体もしくは抗原に特異的に結合するように改変されることができる。
いったん細胞に入ると、アンチセンス核酸分子はPa9、Pa13もしくはPa21タンパク質をコードする細胞mRNAおよび/もしくはゲノムDNAとハイブリダイズするかもしくは結合してそれにより例えば転写および/もしくは翻訳を阻害することにより発現を阻害する。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成するための通常のヌクレオチド相補性によるか、もしくは例えばDNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんの主溝における特異的相互作用によってであることができる。
好ましい態様として、該方法は低分子干渉RNA(siRNA)の使用を伴う。多くの生物は、遺伝子に対応する二本鎖RNA(dsRNA)がRNA干渉として知られているプロセスによって細胞に存在する場合に遺伝子発現を封じる機序を有する。特定の遺伝子の活性を減少するためにdsRNAを使用する技術は、最初に蠕虫(worm)シノラブディス・エレガンス(C.elegans)を用いて開発され、そしてRNA干渉もしくはRNAiと呼ばれている(Fire,et al.,(1998),Nature 391:806−811)。RNAiはそれ以来多くの生物において有用であることが見出されており、そして最近では哺乳類細胞に拡張されている(Moss,(2001),Curr Biol 11:R772−5による概説を参照)。RNAiが21〜25ヌクレオチドの低分子RNAの生成を伴うことが示されると重要な進歩がなされた(Hammond et al.,(2000)Nature 404:293−6;Zamore et al.,(2000)Cell 101:25−33)。これらの低分子干渉RNA、もしくはsiRNAは、該プロセスを開始するより大きいdsRNAに最初は由来する可能性があり、そして最終的に分解される標的RNAに相補的である。siRNAは、各末端で短い突出を有してそれ自体二本鎖である。それらはガイドRNAとして働き、相補性の領域における標的の単一切断を導く(Elbashir et al.,(2001)Genes Dev 15:188−200;Zamore et al.,(2000)Cell 101:25−33)。
配列番号:1、3もしくは5のヌクレオチド配列に相補的な約21〜25ヌクレオチドを含んでなるsiRNAを本発明の処置の方法において用いることができる。siRNAを製造する方法は、当業者に既知である。例えば、WO0175164 A2は、インビトロ系から21〜23ヌクレオチド(nt)の長さのsiRNAを製造し、そして細胞もしくは生物における遺伝子のmRNAを妨げるためにそのようなsiRNAを使用する方法を記述した。siRNAはまた、安定な発現系を用いて哺乳類細胞からインビボで製造することもできる。例えば、哺乳類細胞においてsiRNAの合成を導くpSUPERと呼ばれるベクター系が、最近報告された(Brummelkamp et al.,(2002)Science 296:550−3)。細胞における遺伝子発現を減少するためにsiRNAを用いる例を実施例3において示す。
本発明は、(a)被験体の細胞に分解のためにヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子のmRNAを標的とするsiRNAを導入する段階;および(b)被験体の細胞におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子のmRNAのsiRNA干渉が起こる条件下で(a)において作製した細胞を維持する段階を含んでなる、被験体における代謝異常を処置する方法を提供する。siRNAは、本明細書に記述するアンチセンス核酸のものと同様の方法を用いて被験体の細胞に導入することができる。
別の態様として、被験体の細胞に遺伝子を発現することができる核酸分子を導入することによりヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の発現を増加するために遺伝子治療を用いることができる。そのような遺伝子治療は、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の発現もしくは生物学的活性を高めることが有益である疾病の処置に特に有用であることができる。
エクスビボ遺伝子治療を行う方法は、米国特許第5,399,346号にそしてまた該特許のファイルヒストリーに提出された添付書類に概説され、それらの全ては公的に利用可能な文書である。一般に、遺伝子治療は、被験体の細胞(1つもしくは複数)への遺伝子の機能性コピーのインビトロでの導入、および遺伝子操作した細胞(1つもしくは複数)を被験体に戻すことを含むことができる。遺伝子の機能性コピーは調節要素の操作可能な制御下にあり、それは遺伝子操作した細胞(1つもしくは複数)における遺伝子の発現を可能にする。多数のトランスフェクションおよび形質導入技術ならびに適切な発現ベクターが当業者に周知であり、それらのいくつかはPCT出願WO95/00654に記述されている。インビボ遺伝子治療は、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、およびエプスタイン・バーウイルスのようなヘルペスウイルスのようなベクターを使用する。遺伝子導入は、また、インビトロで感染を必要とする非ウイルス手段を用いて行うこともできる。そのような手段には、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、電気穿孔およびプロトプラスト融合を包含することができる。標的化リポソームもまた、細胞へのDNAの送達に潜在的に有益であることができる。
1例として、標的遺伝子をコードするDNA分子を最初にレトロウイルスベクターにクローン化することができる。ベクターからの標的遺伝子の発現は、その内因性プロモーターからもしくはレトロウイルスの長い末端反復からもしくはある種の標的細胞に特異的なプロモーターから導かれることができる。次に、標的細胞において標的遺伝子を成功して発現させるためにベクターを被験体の細胞に導入することができる。遺伝子は、好ましくは、有効な機能を与えるのに十分なタンパク質をコードするために細胞により用いられることができる形態でそれらの細胞に送達することができる。レトロウイルスベクターは、特にそれらの高効率の感染ならびに安定な組込みおよび発現のために遺伝子治療の好ましい遺伝子送達ベクターであることが多い。あるいはまた、標的遺伝子をコードするDNA分子は、リガンド−DNAコンジュゲートもしくはアデノウイルス−リガンド−DNAコンジュゲートを用いる受容体により媒介される標的化DNA導入、リポフェクション膜融合または直接微量注入を包含する非ウイルス技術により遺伝子治療のために細胞に導入することができる。これらの方法およびそのバリエーションは、エクスビボならびにインビボ遺伝子治療に適している。本発明の方法での使用に適当な遺伝子治療の分子方法論のプロトコルは、Gene Therapy Protocols,Paul D.Robbins編集,Human press,Totowa NJ,1996に記述されている。
処置の間に、個体に投与される本発明の核酸分子の有効量は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および病状;処置する症状の重症度;投与の経路;患者の腎および肝機能;ならびに用いるその特定の核酸分子を包含する様々な因子に従って異なることができる。遺伝子治療における専門技術を有する医師もしくは獣医は、症状の進行を防ぐか、対処するかもしくは止めるために必要とされる有効量を決定しそして処方することができる。毒性なしに効能をもたらす範囲内の濃度を得ることにおける最適精度は、標的部位への核酸分子の利用可能性の反応速度論に基づく処方計画を必要とする。これは、遺伝子治療に関与する核酸分子の分配、平衡および除去の考慮を伴う。
本明細書に開示する遺伝子治療は、あらゆる潜在的毒性を最小限に抑えながらPPARα標的遺伝子活性の最適な増加もしくは減少を得るために日常的な試験により特定される適切な投薬量で単独で用いることができる。さらに、他の薬剤の共投与もしくは順次投与が、望ましい可能性がある。所望の効果を得るためにいくつかの薬剤が組み合わされる場合に投与の投薬量は調整される。これらの様々な薬剤の投薬量は独立して最適化され、そしていずれかの薬剤を単独で使用する場合よりも病状が軽減される相乗作用結果を得るように組み合わされることができる。
以下の実施例は本発明を説明するが、しかしながら、本発明をそれに限定しない。
ヒト細胞においてPPARαアゴニストにより調節される標的遺伝子の同定
ヒト細胞においてフィブレートもしくは他のPPARαアゴニストにより調節される標的遺伝子を同定するためにDNAマイクロアレイ技術を用いた。
肝臓の上皮細胞であるヒト肝細胞HuH7細胞は、Japan Health Science Research Resources Bank(Osaka,Japan)から入手した。脂肪の合成および貯蔵のために特殊化した結合組織細胞であるヒト初代脂肪細胞は、Zen−Bio,Inc(Research Triangle Park,NC)から入手した。ヒト初代骨格筋細胞(SKMC)は、Cambrex Bio Science(Walkersville,MD)から入手した。PPARαアゴニスト、Wyl4643(Agatha,et al,2000,Archives of Biochemistry and Biophysics 380:353−359)およびフェノフィブレートは、それぞれ、Cayman Chemical(Ann Arbor,MI)およびSigma(St Lous,MO)から入手した。
ヒトHuH7細胞を10%のウシ胎仔血清(Gibco,NY)を有するダルベッコの改変イーグル培地において培養した。チャコール・ストリッピングした(charcoal−stripped)脱脂仔ウシ血清(5%)(Sigma,St Louis,MO)で細胞を約4〜18時間処理した。次に、細胞を異なる濃度のPPARαアゴニスト(Wy14643もしくはフェノフィブレート)で約20〜24時間処理した。ヒトSKM細胞を骨格筋成長培地(Cambrex Bio Science,Walkersville,MD)において培養し、そして異なる濃度のPPARαアゴニスト(Wy14643もしくはフェノフィブレート)で約18〜20時間処理した。ヒト初代脂肪細胞を前脂肪細胞培地(カタログ番号PM_1,Zen−Bio,Inc.,Research Triangle Park,NC)において培養し、そして異なる濃度のPPARαアゴニスト(Wy14643もしくはフェノフィブレート)で約18〜20時間処理した。
全RNAを細胞から単離し、そしてDNAマイクロアレイに供した。JJPRDバージョンMEGAおよびMEGAB DNAマイクロアレイ(約6,000遺伝子/チップ)を用いた。合計約12,000個の遺伝子を分析した。40ピースより多くの標的チップおよびMEG−GAチップを実験分析において使用した。12,000を超える遺伝子の発現レベルをPPARαリガンドで処理した細胞から測定し、そして賦形剤コントロールで処理した細胞からのものと比較した。PPARαアゴニストによりその発現レベルが増加されるかもしくは減少された遺伝子の体系的検索をソフトウェアOMNI−Viz(OmniViz,Inc.Richland,WA)を用いて行った。約24個の遺伝子が、分析した1つ、2つもしくは3つ全ての細胞:ヒト脂肪細胞、SKMおよびHuH7細胞において、PPARαアゴニスト処理に起因する遺伝子発現の約1.8倍より大きい変化を有すると同定された。これらの遺伝子のcDNA配列に基づいてTaqManプローブを設計し、そして遺伝子発現改変を確かめるためにリアルタイム定量的PCR(RTQPCR)を用いた。3個の遺伝子、Pa9、Pa13およびPa21が、3つ全てのヒト細胞においてPPARαアゴニストにより調節されることが確かめられた。
製造業者(Trizon法、Invitrogen Inc.Ca)により提供されるプロトコルに従って全RNAを培養細胞から精製した。Pa9、Pa13およびPa21のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーおよび蛍光プローブ(TagManプローブ)は、それぞれ、受託番号W30988、AB000584およびNM_080725のGenBank配列から設計した。プライマーおよびプローブは、ソフトウェアPrimerDesign(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて設計した。Pa9のPCRプライマーは、配列番号:7(5−CCTGCAGCCA TTCCAACCT)および配列番号:8(5−TCCCTTCTTA AGCTTCTGCCG)であった。Pa9の蛍光ブローブは、配列番号:9(6FAM−CAGTACTTCC GCTCCATCCC ACAGCA)であった。Pa13のPCRプライマーは、配列番号:10(5−AGCAGTCCTG GTCCTTCCAC T)および配列番号:11(5−AATCGGGTGT CTCAGGAACC T)であった。Pa13の蛍光ブローブは、配列番号:12(6FAM−ACCTCAGTTG TCCTGCCCTG TGGAATG)であった。Pa21のPCRプライマーは、配列番号:13(5−TGCTCGTTAC TTCATGGTCC C)および配列番号:14(5−TCCACCCCTC CTTCCTTGA)であった。Pa21の蛍光ブローブは、配列番号:15(6FAM−TGGCTGCTGT ATCCCCAAGA ATCATGTC)であった。全てのプライマーおよびプローブは、Keystone Labs(Camarillo,CA)により合成された。
逆転写(RT)およびPCRは、ABI PRISM 7700配列検出システム(Applied Biosystems)において「ワンプテップRT−PCRマスターミックス試薬」キット(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて1段階で行った。各反応は、40ngの全RNAを含有する25μlの総容量で行った。反応条件は:48℃30分間、60℃30分間、94℃5分間、続いて94℃20秒間および60℃1分間の4サイクルであった。18SリボソームRNAのプライマーが、Applied Biosystemsにより開発され、提供された。ヒト18SリボソームRNAの測定は、測定および装填エラーの正規化のための内部コントロールとして用いた。PCRデータを製造業者の指針に従ってCt値(対数PCRプロットが計算閾値線と交差するサイクル数)により集め、そして該値を用いてΔCt(標的遺伝子のCt−18SリボソームRNAコントロールのCt)を決定した。相対的mRNAレベルは、以前に記述されているように(Heid et al.,1996,Genome Res.6:986−994)式2−ΔΔCtを用いて計算した。
PPARαアゴニストWy14643もしくはフェノフィブレートは、ヒトHuH7細胞(表1)、初代SKMU細胞(表2)もしくは初代脂肪細胞(表3)においてPa9、Pa13もしくはPa21の遺伝子発現を増加した。驚くことではないが、遺伝子調節は細胞環境により非常に影響を受けるので遺伝子発現パターンは異なる細胞タイプにおいて異なった。強力なPPARγアゴニスト、ロシグリタゾンはその有効濃度でヒトHuH7肝細胞においてこれらの遺伝子発現を有意に増加しなかったので(表4)、これらの標的遺伝子Pa9、Pa13およびPa21はPPARαアゴニスト特異的であった。
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遺伝子Pa9、13および21の生物情報科学特性化
National Center for Biotechnology Information(NCBI;http://www.ncbi.nlm.nih.gov)により提供される生物情報科学プログラムをDNA配列の分析において使用した。GenBankデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.html)は、DNA配列を取り出すために用いた。SwissProデータベース(http://www.ebi.ac.uk/swissprot)は、タンパク質配列を取り出すために用いた。BLASTプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)は、遺伝子検索に使用した。Motifプログラム(http://motif.genome.ad.jp)は、機能性DNA構造(モチーフ、調節配列、ドメインなど)を検索するために使用した。LocusLinkプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink)は、遺伝子座についての配列および記述的情報を検索するために使用した。さらに、Wisconsinパッケージ(GCG,Genetics Computer Group)は、配列編集および配列アセンブリ(SEQED)、配列比較(GAP、BESTFIT、PILEUP)ならびにDNA配列翻訳(TRANSLATION)に使用した。
Pa9
マイクロアレイ上で使用するPa9遺伝子配列の最初の注釈は、GenBank受託番号W30988:ヒトフィブリノーゲン関連タンパク質HFREP−1前駆体に類似するホモ・サピエンス(Homo sapiens)cDNAクローンであった。BLAST検索により、W30988の配列(シークエンシングエラーのために配列に多数の「n」を有する)は、GenBank受託番号:BC023647、AF202636、AF169312、AF153606、AB056477、E39784、BD075801、AX578037、AX464136、AX278133、AX201322、AX079971、AX079874、AX068560、AR243163およびAR194215のような、いくつかのGenBank配列登録に約97%(339/349;比較のスコアはe−162である)の配列同一性を共有することが示された。これらのGenBank配列登録は、同一でありそして約406アミノ酸残基(配列番号:2)のタンパク質をコードすると思われた。コードされるタンパク質は、US6348350においてヒトNL2 TIEリガンドホモログポリペプチドとして、そしてWO0177151においてヒトフィブリノーゲンドメイン関連(FDRG)タンパク質として請求された。該タンパク質の他の注釈には、アンジオポエチン様タンパク質PP1158およびTIE受容体チロシンキナーゼリガンドホモログなどが包含される。
WO0177151(実施例12)は、PARγを安定に発現するNIH3T3繊維芽細胞において細胞を10μg/mlのピオグリタゾン(PPARγのアゴニスト)で約2時間処理した後にマウスFDRG発現レベルが10倍増加することを開示した。さらに、WO0177151(実施例13)は、Zucker糖尿病肥満マウスにおけるマウスFDRG発現が、動物を長期にわたるトログリタゾン(PPARγのアゴニスト)で処理した場合に白色脂肪細胞(WAT)において3〜5倍アップレギュレーションされることを開示した。これらの結果は、FDRGがげっ歯類におけるPPARγの標的遺伝子であることと一致する。
さらに、Kersten et al(2000,J.Biolo.Chem.275:28488−493)は、マウスFDRGと同一であるマウスFIAF(空腹時誘導脂肪因子(fasting induced adipose factor))の発現がPPARαヌルマウスの肝臓において減少されることを示した。彼らはまた、マウスFIAFの発現がPPARα野生型マウス肝臓細胞においてWY14643処理により増加されるが、PPARαヌルマウス肝臓細胞ではそうでないことも見出した。さらに、彼らは、マウスFIAFの発現がヘテロ接合体PPARγ突然変異体マウスのWATにおいて減少されることを示した。これらの結果は、FDRGがげっ歯類におけるPPARα(肝臓において)およびPPARγ(WATにおいて)の両方の標的遺伝子であることと一致する。
しかしながら、FDRGは、単にそれがげっ歯類におけるPPARαもしくはPPARγの標的遺伝子であるのでヒトにおけるPPARαもしくはPPARγのいずれかの標的遺伝子であると容易に結論を下すことはできない。フィブレートもしくは他のPPARαアゴニストの作用は種特異的であり、そしてげっ歯類においてフィブレートもしくは他のPPARαアゴニストにより誘導される多くの遺伝子はヒトにおいて誘導されない。さらに、マウスFDRGはヒトFDRGと比較的低い配列同一性:cDNAレベルで約73%の配列同一性およびタンパク質レベルで約76%の配列同一性を共有するので、マウスおよびヒトにおけるFDRGの遺伝子調節の機序は異なり得る。
ヒトFDRG遺伝子(AX278133)のヌクレオチド配列を配列番号:1に提供し、そしてW30988とFDRG遺伝子間の配列アライメントを図1に示す。配列アライメントを調べることにより、W30988とヒトFDRG遺伝子間の配列相違は、大部分がW30988におけるシークエンシングエラーのためであることが示唆された。ヒトFDRG遺伝子の遺伝子発現がPPARαにより調節されるかどうかを試験するために定量的リアルタイムRT−PCRを行った。実施例1に記述されるものと同様のRT−PCR実験を用いて30μMもしくは100μMのWy14643で刺激したヒト骨格筋細胞から遺伝子Pa9および遺伝子FDRGの発現レベルを測定した。Pa9遺伝子発現を測定するために使用したPCRプライマーおよびプローブは、実施例1に記載のとおりの配列番号:7、8および9であった。これらのプライマーおよびプローブは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でW30988とハイブリダイズすることができる。FDRG遺伝子発現を測定するために使用したPCRプライマーおよび蛍光プローブは、W30988のヌクレオチド配列と配列相同性を共有する領域外でそれらがFDRG遺伝子とハイブリダイズすることができるように設計した。FDRG遺伝子のプライマーおよびプローブは:配列番号:16、5’−AGCCCCCTTT CTGAGTGCA、配列番号:17、5’−CCCTTGGTCC ACGCCTCTAおよび配列番号:18、6FAM−TGAGATCGAG GCTGCAGGAT ATGCTCAである。表5に示されるように、Wy14643はPa9遺伝子発現を30μMの濃度で3.64倍そして100μMの濃度で6.45倍誘導した。同じRNAサンプルからの測定により、Wy14643はFDRG遺伝子発現を30μMの濃度で4.37倍そして100μMの濃度で7.8倍誘導することが示された。同様の結果が異なる組のヒトSKM RNAサンプルから得られた(データは示されない)。Pa9遺伝子(W30988)とFDRG遺伝子(NM_139314)間の配列相同性および本明細書に記述されるmRNA定量データに基づいて、1)W30988は、実際はNM_139314の全長cDNA配列の部分配列であり;2)W30988の配列を含んでなるヒトPa9遺伝子はヒトFDRG遺伝子と同一であり;そして3)ヒトFDRG遺伝子は実際にPPARαによりアップレギュレーションされると結論を下すことは理にかなっている。
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2)Pa13
マイクロアレイ上で使用するPa13遺伝子配列の最初の注釈は、GenBank受託番号N26311、他の機能注釈を有さないcDNAクローンであった。BLAST検索により、N26311のヌクレオチド配列は、WO0194629に開示される多数の疑わしい癌細胞遺伝子クローン、例えばGenBank受託番号AX329948に約98%(416/424)の配列同一性を共有することが示された。さらに、N26311は、GenBank受託番号U88323、AF019770、AB000584、E09952、AX468429、AX408886、AR236374、AR127403、BC000529、AX052609、AR091376、E10038およびAR107279を包含する、いくつかの他のGenBank配列登録に約95%(387/404)の同一性を共有した。これらのGenBank配列登録は、同一でありそして約308アミノ酸残基(配列番号:4)のタンパク質をコードすると思われた。このコードされるタンパク質のGenBank注釈には、TGF−ベータスーパーファミリータンパク質、胎盤骨形成タンパク質PLAB、マクロファージ抑制サイトカイン−1(MIC−1)、TGF−ベータスーパーファミリータンパク質、抗腫瘍特性を有する非ステロイド性抗炎症薬活性化遺伝子、肝臓癌において発現される遺伝子、および前立腺増殖因子などが包含される。該タンパク質と糖尿病(もしくは肥満症、もしくは高脂血症)との間の相関関係は、これまで樹立されるかもしくは記述されていない。
これらのGenBank登録の代表、AB000584のヌクレオチド配列を配列番号:3に記載し、そしてN26311とAB000584の間の配列アライメントを図2に示す。配列アライメントを調べることにより、N26311とAB000584との間の配列相違は、大部分がN26311におけるシークエンシングエラーのためであることが示唆された。従って、N26311のヌクレオチド配列を含んでなるヒトPa13遺伝子は、AB000584(Yokoyama−Kobayashi et al.,1997,J Biochem(Tokyo).122(3):622−6)に表されるTGF−ベータスーパーファミリータンパク質遺伝子と同一であると思われる。実際に、ヒトTGF−ベータスーパーファミリータンパク質遺伝子は、N26311のヌクレオチド配列と配列相同性を共有する領域外でTGF−ベータスーパーファミリータンパク質遺伝子とハイブリダイズするPCRプライマーおよびプローブ(配列番号:10、11および12)を用いて、PPARαによりアップレギュレーションされることが見出された(実施例1におけるデータを参照)。
さらに、潜在的PPREがヒトPa13遺伝子の5’非翻訳領域(5’−UTR)において同定された。配列番号:19は、Pa13遺伝子と同一であるTGF−ベータスーパーファミリータンパク質遺伝子のATG翻訳開始部位のすぐ上流の−2538〜−1bpの5’−UTRを示す。5’−UTRのヌクレオチド配列は、GenBank受託番号:AC008397の152956bp〜155493bpをヒトゲノム配列データベースからダウンロードした。2個の潜在的転写開始部位が、配列番号:19の塩基970および2508で同定された。各々AGGTCAの配列を含んでなる3個の潜在的PPREが、配列番号:19の塩基160、564および1033で同定された。TGACCT、AGGTCGもしくはGGGTCAの配列を有するいくつかの他の潜在的PPRE部位もまた、配列番号:19内で見出されている。この結果は、Pa13遺伝子がヒト細胞においてPPARにより転写的に調節されることと一致する。
3)Pa21:
マイクロアレイ上で使用するPa21遺伝子配列の最初の注釈は、GenBank受託番号H49601:アナフィラトキシン走化性受容体に類似するcDNAクローンであった。BLAST検索により、H49601のヌクレオチド配列は、GenBank受託番号AF075053、AL833944、AL121758、BC017001、AK098418およびAX368959を包含する、いくつかのGenBank配列登録に約93%(384/410)の配列同一性を共有することが示された。これらのGenBank配列登録は、同一であると思われた。GenBank登録の大部分の注釈は、未知の機能を有するcDNAクローンである。注釈のいくつかは、疑わしい癌細胞遺伝子クローンである。H49601はまた、137アミノ酸残基(配列番号:6)のタンパク質をコードするGenBank受託番号NM_080725(配列番号;5)の相補的配列に93%(384/410)の配列同一性も共有する。該タンパク質は、以前に第20染色体オープンリーディングフレーム139(C20orf139)と命名された。C20orf139と糖尿病(もしくは肥満症、もしくは高脂血症)との間の相関関係は、これまで樹立されるかもしくは記述されていない。
H49601とNM_080725との間の配列アライメントを図3に示す。配列アライメントを調べることにより、H49601とNM_080725との間の配列相違は、大部分がH49601におけるシークエンシングエラーのためであることが示唆された。従って、H49601のヌクレオチド配列を含んでなるPa21遺伝子は、NM_080725に表されるC20orf139遺伝子と同一であると思われる。実際に、ヒトC20orf139遺伝子は、H49601のヌクレオチド配列と配列相同性を共有する領域外でC20orf139遺伝子とハイブリダイズするPCRプライマーおよびプローブ(配列番号:13、14および15)を用いて、PPARαによりアップレギュレーションされることが見出された(実施例1におけるデータを参照)。
さらに、潜在的PPREが、C20orf139遺伝子の5’非翻訳領域(5’−UTR)において同定された。配列番号:20は、Pa21遺伝子と同一であるC20orf139遺伝子のATG翻訳開始部位のすぐ上流の−1bp〜−3000bpの5’−UTRを示す。5’−UTRのヌクレオチド配列は、GenBank受託番号Hs20_11544の568887bp〜571886bpをヒトゲノム配列データベースからダウンロードした。2個の「AGGTCA」PPRE部位が、それぞれ、−2201bpおよび−2866bpで見出された。3個の「TGACCT」部位が、それぞれ、−872bp、−893bp、−2344bpで見出された。この結果は、C20orf139がヒト細胞においてPPARにより転写的に調節されることと一致する。
減少したPPARαは、Pa9、13もしくは21の遺伝子発現の減少した誘導をもたらした
siRNA技術を用いて減少したPPARα発現を有するヒトSKM細胞を最初に構築した。次に、これらの細胞におけるPa9、13および21の遺伝子発現を測定してこれらの遺伝子がPPARαにより実際に調節されることを確かめた。
当業者に既知である方法に従って(Brummelkamp et al.,2002,Science,296:550−553)、PPARαに特異的なsiRNAオリゴを設計し、そしてヒトSKMU細胞におけるPPARαの発現レベルをノックダウンするかもしくは減少するために用いた。最初に、4組のsiRNAオリゴを鋳型としてGenBank受託番号S74349(ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ、cDNA;PPARα)およびソフトウェア、Target Finder(Ambion,Austin,TX)を用いて設計した。4組のオリゴの中で、2組はより効率がよいことが見出され、そしてPPARαノックダウン研究のために選択した。2組のsiRNAの配列は、開始コドンの最初のヌクレオチドに対してcDNAの907bp〜927bp(配列番号:21、5’−AACGATCAAG TGACATTGCT A)および1106bp〜1126bp(配列番号:22、5’−AACTGGATGA CAGTGATATC T)に対応する。これらのオリゴは、Ambion Inc.(Austin,TX)により化学的に合成された。ユニバーサル陰性コントロールsiRNAオリゴは、Ambionから購入した。
ヒト初代骨格筋細胞(hSKM,Cambrex,MDにより提供された)は、60mm皿当たり4.67x10細胞の密度(約20%の飽和密度)でトランスフェクションの前日に調製した。細胞は、抗生物質を含まないSKGM培地(Cambrex,MD)で37℃、5% COで24時間培養した。
培養細胞へのsiRNAのトランスフェクションは、製造業者の説明書に従って実施した。簡潔に言えば、トランスフェクションの前に、siPORTアミン(Ambion,TX)を抗生物質および血清を含まないSKGM培地で最初に希釈し(10μl siPORT/ml)、続いて、混合物にsiRNA(50nM)を加えた。SKM細胞(多数の皿に前もって調製した)を2mlの混合物で4時間トランスフェクションした。さらに8mlの新しいSKGM培地(抗生物質なしで)を各皿に加えて細胞増殖を最大にしそしてトランスフェクション試薬によりもたらされる潜在的細胞毒性を減らした。コントロールとして、細胞はまたsiPORTアミンのみもしくはsiPORTアミンに加えてユニバーサル陰性コントロールsiRNAでもトランスフェクションした。
改変したQiagen RNeasy法(Qiagen,Ca)を用いてトランスフェクションの48時間後にトランスフェクションした皿のいくつかから全RNAを単離した。PPARα発現レベルがsiRNAにより本当にノックダウンされていることを確認するためにリアルタイムPCRを用いた。使用した最適条件下で、PPARαの発現レベルは、siRNAによりSKM細胞において70〜80%減少されることが見出された(図4)。
検証後に、PPARαノックダウン細胞を異なる化合物でさらに16時間処理した。再度、全RNAを細胞から単離し、そしてリアルタイムPCRを行い、Pa9、13および21のような興味のある標的遺伝子の発現レベルを実施例1に記述されるRT−PCR技術を用いて定量的に測定した。結果は:A)PPARαの減少した遺伝子発現を有するSKM細胞において、Pa9の遺伝子発現は、PPARαの減少した発現レベルのない細胞における33.48倍の誘導と比較した場合に、Wy14643処理の際に2.35倍増加しただけであり(図5);B)同様の結果がPa13(図6)およびPa21(図7)の遺伝子について認められ;そしてC)PPARαの減少した遺伝子発現を有するSKM細胞において、既知の非PPARα標的遺伝子、PPARdの発現レベルは改変されないことを示した。
前述の事項から明らかであるように、本発明は、本明細書に定義されるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子およびPa21遺伝子がペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)の標的遺伝子であることを初めて見出した。上記の詳細な記述および好ましい態様は、本発明ならびにその様々な特徴および利点を説明するために提供されているが、本発明は前述の事項によってではなく、特許法の原則の下で適切に解釈されるような以下の請求項によって定義されることが理解される。
Pa9マイクロアレイ注釈配列(GenBank受託番号W30988)とヒトFDRG遺伝子配列(GenBank受託番号AX278133)の間のDNA配列アライメントを示す。 Pa13マイクロアレイ注釈配列(GenBank受託番号N26311)とヒトTGF−ベータスーパーファミリータンパク質遺伝子配列(GenBank受託番号AB000584)の間のDNA配列アライメントを示す。 Pa21マイクロアレイ注釈配列(GenBank受託番号H49601)とヒトC20orfl39遺伝子配列(GenBank受託番号NM_080725)の間のDNA配列アライメントを示す。 PPARα特異的siRNAがSKMU細胞におけるPPARα遺伝子の発現レベルを減少したことを説明する。 WY14643が、減少したPPARα発現を有するSKMU細胞においてPa9遺伝子発現の減少した誘導を有したことを説明する。 WY14643が、減少したPPARα発現を有するSKMU細胞においてPa13遺伝子発現の検出可能な誘導を有さなかったことを説明する。 WY14643が、減少したPPARα発現を有するSKMU細胞においてPa21遺伝子発現の検出可能な誘導を有さなかったことを説明する。

Claims (38)

  1. 生物学的サンプルにおけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子およびPa21遺伝子よりなる群から選択される遺伝子の発現レベルを決定する段階を含んでなる、被験体からの生物学的サンプルにおけるPPARαの活性の決定方法。
  2. a.処置の間もしくは後の被験体におけるヒトPa9遺伝子、Pa13およびPa21よりなる群から選択される遺伝子の発現レベルを決定する段階;および
    b.段階a)において決定される発現レベルを処置の前の被験体における該遺伝子の発現レベルと比較する段階;
    を含んでなり、ここで、処置の間もしくは後の被験体における遺伝子の発現レベルの増加は、被験体における代謝異常の処置が有効であることを示す
    被験体における代謝異常の処置の効果の評価方法。
  3. 代謝異常が異常脂質血症もしくは異常脂質血症と関連する症状である請求項2の方法。
  4. 代謝異常がアテローム性動脈硬化症、肥満症、血栓症もしくは冠動脈疾患、高血圧、アンギナ、慢性腎不全、末梢血管疾患、卒中、II型糖尿病または代謝症候群(症候群X)である請求項2の方法。
  5. 代謝異常の処置がペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)の生物学的活性を調節することができる薬剤を包含する請求項2の方法。
  6. 薬剤がPPARαアゴニストである請求項5の方法。
  7. 被験体における遺伝子の発現レベルが生物学的サンプルから決定される、被験体から生物学的サンプルを得る段階をさらに含んでなる請求項2の方法。
  8. 被験体からの生物学的サンプルが末梢血単核細胞である請求項7の方法。
  9. 被験体からの生物学的サンプルが脂肪組織、肝臓、心臓、腎臓もしくは筋肉からのものである請求項7の方法。
  10. 遺伝子の発現レベルが、被験体における遺伝子のmRNAの量を測定することにより決定される請求項2の方法。
  11. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1にハイブリダイズすることができる核酸プローブが、被験体におけるヒトPa9 mRNAの量を測定するために使用される請求項10の方法。
  12. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:3にハイブリダイズすることができる核酸プローブが、被験体におけるPa13 mRNAの量を測定するために使用される請求項10の方法。
  13. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:5にハイブリダイズすることができる核酸プローブが、被験体におけるPa21 mRNAの量を測定するために使用される請求項10の方法。
  14. 遺伝子の発現レベルが、被験体において遺伝子によりコードされるポリペプチドの量を測定することにより決定される請求項2の方法。
  15. 配列番号:2に特異的に結合することができる抗体が、被験体におけるヒトPa9タンパク質の量を測定するために使用される請求項14の方法。
  16. 配列番号:4に特異的に結合することができる抗体が、被験体におけるPa13タンパク質の量を測定するために使用される請求項14の方法。
  17. 配列番号:6に特異的に結合することができる抗体が、被験体におけるPa21タンパク質の量を測定するために使用される請求項14の方法。
  18. 配列番号:1、配列番号:3および配列番号:5、もしくはその相補体よりなる群から選択される核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸プローブを含んでなる、被験体における代謝異常の処置の効果を評価するためのキット。
  19. 配列番号:2、配列番号:4および配列番号:6よりなる群から選択されるポリペプチド分子に特異的に結合する抗体を含んでなる、被験体における代謝異常の処置の効果を評価するためのキット。
  20. 被験体における代謝異常の処置が有効であるかどうかを決定するための説明書をさらに含んでなる請求項18および19のキット。
  21. a.ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子によりコードされるポリペプチドを緩衝剤および候補もしくは試験化合物を含んでなる溶液と接触させる段階;
    b.ポリペプチドの活性に対する試験化合物の効果を測定する段階;および
    c.段階(b)の結果を、ポリペプチドを緩衝剤のみと接触させるコントロールの結果と比較する段階
    を含んでなる被験体における代謝異常を処置するために有用な化合物の同定方法。
  22. ポリペプチドが宿主細胞から発現される請求項21の方法。
  23. ポリペプチドが単離された膜調製物と関連する請求項21の方法。
  24. ポリペプチドが精製される請求項21の方法。
  25. a.PPARα応答系を緩衝剤および候補もしくは試験化合物を含んでなる溶液と接触させる段階;
    b.ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列により制御される遺伝子の発現レベルをPPARα応答系から測定する段階;および
    c.段階(b)の結果を試験化合物を欠くコントロールの結果と比較する段階
    を含んでなる被験体における代謝異常を処置するために有用である化合物の同定方法。
  26. PPARα応答系が動物、組織もしくは細胞である請求項25の方法。
  27. PPARα応答系が機能性PPARαタンパク質およびヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列により制御される遺伝子を含んでなる請求項25の方法。
  28. 機能性PPARαタンパク質がPPARα応答系から内因的に発現される請求項27の方法。
  29. 機能性PPARαタンパク質がPPARα応答系に導入された外因的DNA分子から組み換え的に発現される請求項27の方法。
  30. ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列により制御される遺伝子が、それぞれ、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子である請求項27の方法。
  31. ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列により制御される遺伝子がレポーター遺伝子である請求項27の方法。
  32. レポーター遺伝子が緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)、ルシフェラーゼ(luc)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)、β−グルクロニダーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼおよびグアニンキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼの遺伝子よりなる群から選択される請求項31の方法。
  33. 機能性PPARαタンパク質およびヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列に操作可能に連結されたレポーター遺伝子のコーディング配列を含んでなる核酸分子を含んでなるPPARα応答系。
  34. ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の調節配列に操作可能に連結されたレポーター遺伝子のコーディング配列を含んでなる単離された核酸分子。
  35. レポーター遺伝子が緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)、ルシフェラーゼ(luc)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)、β−グルクロニダーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼおよびグアニンキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼの遺伝子よりなる群から選択される請求項34の単離された核酸分子。
  36. 被験体からの細胞におけるヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子の遺伝子発現もしくは生物学的活性を改変する組成物の治療的に有効な量を被験体に投与する段階を含んでなり、ここで、組成物が既知のPPARαアゴニストもしくはアンタゴニストではない、被験体における代謝異常の処置方法。
  37. 組成物が、被験体の細胞における分解のための、ヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子のmRNAを標的とするsiRNAである請求項36の方法。
  38. 組成物が、被験体の細胞においてヒトPa9遺伝子、Pa13遺伝子もしくはPa21遺伝子を発現することができる核酸分子である請求項36の方法。
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