JP2007521329A - 突然変異誘発を低下させるための組成物及び方法 - Google Patents

突然変異誘発を低下させるための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は薬剤耐性を抑制するための方法と組成物を提供する。1態様では、本発明は抗生物質耐性を抑制するための方法と組成物を提供する。本発明は一般に突然変異プロセスを抑制する物質であるアカオジェンを投与し、薬剤耐性の出現を抑制する。更に、アカオジェンとして使用するのに適した組成物も記載する。

Description

(クロスリファレンス)
本願は2003年11月19日付けで出願され、2004年11月18日付けで仮出願U.S.Ser.No60/ に出願変更された米国出願第10/718,002号の優先権を主張し、その開示内容全体を参考資料として全目的で本明細書に組込む。
薬剤耐性は現代医療で細菌感染症、ウイルス感染症、原生動物感染症、真菌感染症、及び癌等の種々の症状の治療にますます大きな問題となっている。
特に、抗生物質耐性細菌の世界的出現はこれらの薬剤の発見に伴う人類の健康の劇的進歩を元に戻す恐れがある。全人類の3分の1に感染し、その大半が開発途上国の住民である結核は抗生物質薬剤耐性が特に急性である。健康管理施設は新規抗生物質を創製すると共に既に入手可能な抗生物質の使用を制限することによりこの問題に対抗している。しかし、耐性株は増え続けているため、このアプローチはまだ所期効果を生じていない。
薬剤耐性はヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)を含むウイルスでも問題となる。実際に、HIV薬剤耐性は急速に広がっている。1996年〜1999年のHIV感染患者のある調査によると、患者の約78%が少なくとも1種類の薬剤に耐性のウイルスを保有しており、51%が2種類の薬剤に耐性のウイルスを保有しており、18%が3種類の薬剤に耐性のウイルスを保有していた。従って、HIV薬剤治療は耐性の出現に対応するように絶えず進化しなければならない。
薬剤耐性は癌治療中にも問題となる。全癌患者の半数が主に外科手術、放射線療法及び/又は化学療法の併用により治療されていると推定される。しかし、癌によっては化学療法でしか治療できないものもあり、その場合には患者の5分の1しか長期生存できない。この低い結果の主要な理由は薬剤耐性であると考えられ、腫瘍は入手可能な薬剤に元々耐性であるか、又は最初は感受性であるが、治療中に耐性を発生し、最終的に再増殖する。Allen JDら,Cancer Research(2002)62,2294−2299。
薬剤耐性はPlasmodium種(マラリアの原因である原生動物属)等の原生動物でも発生する。近年、薬剤耐性はマラリア防除における最重要問題の1つになっている。アルテミシニンとその誘導体を除く全抗マラリア薬に対するin vivo耐性が報告されている。このため、より高価で副作用の危険のある薬剤を使用しなければならない。
Allen JDら,Cancer Research(2002)62,2294−2299
従って、薬剤耐性を付与する突然変異を抑制する化合物と、薬剤耐性症状を治療及び予防するためにこのような化合物を使用する方法が大いに必要とされている。
(発明の要約)
本発明はアカオジェンを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成される組成物に関する。アカオジェンは誘導突然変異誘発率を低下させる化合物である。アカオジェンとしては核酸、ペプチド核酸、ファージ、ファージミド、ポリペプチド、ペプチドミメティック、抗体、大小有機もしくは無機分子又はこれらの任意組み合わせが挙げられる。アカオジェンは天然に存在するものでも天然に存在しないもの(例えば組換え)でもよく、単離及び/又は精製されているものが好ましい。
好適態様では、アカオジェンは細胞又は生物における突然変異率を増加させる遺伝子産物と相互作用又は結合する。このような遺伝子産物の例としてはRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はその任意ホモログもしくはホモログが挙げられる。
所定態様では、アカオジェンはLexA又はその任意ホモログもしくはアナログと相互作用又は結合し、細胞又は生物における突然変異率を低下させる。このようなアカオジェンは例えばLexA(又はLexAのホモログ)の開裂部位又は活性部位と相互作用又は結合することができる。所定態様では、アカオジェンはLexA(又はLexAのホモログ)の活性部位と結合することにより誘導突然変異誘発に必要なLexA(又はLexAのホモログ)の自己開裂を妨害する。
このようなアカオジェンはLexAと結合してLexAの自己蛋白分解活性を妨げるポリペプチド又はポリペプチドのペプチドミメティックを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成されることができる。このようなポリペプチド(及びそのペプチドミメティック)の例としてはジペプチドAla−Ala、トリペプチドVal−Ala−Ala、又は配列番号1、2、もしくは3を含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成されるものが挙げられる。アカオジェンがAla−Gly結合を含む所定態様では、結合は正常生理条件下で開裂できないように修飾することができる。所定態様では、ポリペプチド又はペプチドミメティックは例えば求電子性となるようにC末端修飾されている。
所定態様では、本発明のアカオジェンは式I:

により表される。
上記式中、R、R、R、R、R、及びRは各々独立して−(CHR−L−Rから構成される群から選択され、前記式中、xは0、1、2、3、又は4から構成される群から選択され;Lは単結合又は−C(O)−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−S(O)であり、jは0、1、又は2であり;RはH、(C−C)アルキル、ハロゲン、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミン、及び−C(O)−(C−C)アルコキシから構成される群から選択される部分であり;RはH、OH、ハロゲン、NH、CN、N、又は場合によりアルキル、アルケニル、アルコキシ、メルカプチル、アルキルアミン、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、及び複素環から構成される群から選択される1〜3個の独立して選択される置換基で置換された部分であり;更に、RとR、RとR、RとR、及びRとRは場合により置換又は未置換環構造を形成することができる。
所定態様では、アカオジェンは単離精製セリンプロテアーゼインヒビターである。
所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異誘発のネガティブレギュレーターとして機能する。このようなアカオジェンは細胞又は生物における突然変異率を低下させる遺伝子産物(例えばPsiB、DinI、Lonプロテアーゼ、ClpXPプロテアーゼ、セリンプロテアーゼインヒビター)を含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成されることができる。所定態様では、アカオジェンは細胞又は生物における突然変異率を低下させる遺伝子産物をコードする組換え核酸をもつファージ又はファージミドである。
所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異率を増加させる遺伝子産物(例えばRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はそのホモログもしくはアナログ)をコードする核酸に相補的な核酸である。このようなアカオジェンはこのような遺伝子産物とハイブリダイズしてその転写及び/又は翻訳を低下させるためにアンチセンス核酸、亜鉛フィンガー、RNAi又はリボザイムとして使用することができる。
本発明は更に細胞又は生物における突然変異率を低下させるアカオジェンを活性成分とする医薬製剤にも関する。このような医薬製剤は局所又は全身送達用に製剤化することができる。本発明の医薬製剤の任意のものは例えば抗生物質、抗腫瘍薬、抗真菌薬、抗原生動物薬、及び抗ウイルス薬等の付加治療薬を加えることができる。
本発明は更に有効量のアカオジェンを生物に投与することにより薬剤耐性になる可能性のある症状をもつ生物を治療する方法にも関する。本発明により治療される生物は動物(例えばウシ、ブタ、ウマ、もしくはニワトリ等の家畜、鳥類、又はヒト)又は植物とすることができる。治療される症状は治療の結果として薬剤耐性になる任意症状とすることができ、例えば、細菌感染症、ウイルス感染症、原生動物感染症、真菌感染症、及び癌関連異常細胞増殖が挙げられる。特に、本発明は細菌感染症の生物の治療方法に関する。細菌感染症は1種以上の抗生物質治療に耐性になる可能性があるか、又は耐性である感染症である。
本発明は更に薬剤耐性の獲得について細胞、生物の細胞群、又は完全生物をスクリーニングする方法にも関する。薬剤耐性のスクリーニングは生物(又は細胞又は生物の細胞群)において誘導突然変異に関連する遺伝子の突然変異を検出するか又は誘導突然変異に関連する遺伝子の蛋白質発現レベルを検出する。例えば大腸菌では、このような遺伝子としては限定されないが、16SrRNAの遺伝子、23SrRNAの遺伝子、clpXP、dinB、dinI、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA、lonプロテアーゼ、L4リボソームメチラーゼの遺伝子、lexA、lonプロテアーゼ、norA、recA、recN、psiB、parC、parE、polB、psiB、rpoS、rpoB、sxt、umuC、umuD、uvrA、uvrB、及びuvrDが挙げられる。このような遺伝子における突然変異の存在及び/又はこのような遺伝子の遺伝子発現レベルはマイクロアレイ等の診断ツールを使用するか又は当分野で公知の配列決定技術(例えばPCR)により検出することができる。
本発明は更に突然変異誘発を誘導する天然組成物(例えばRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はLexA−RecA複合体、又はそのホモログもしくはフラグメント)と相互作用する物質のスクリーニング方法にも関する。このような方法は突然変異誘発を誘導する天然組成物(例えばRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はLexA−RecA複合体、又はそのホモログ、アナログ、もしくはフラグメント)と候補物質ライブラリーからの候補物質を接触させる段階と;こうして突然変異誘発を誘導する組成物の1種以上と特異的に結合する候補物質を検出する段階を含む。その後、天然組成物との結合を強化するようにこのような候補物質を更に修飾することができる。
本発明はRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、LexA−RecA複合体、又はその任意ホモログ、アナログ、もしくはフラグメントと相互作用する物質のスクリーニング方法にも関する。このような方法はRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、LexA−RecA複合体、又はその任意ホモログ、アナログ、もしくはフラグメントの結晶複合体を同定する段階と;結晶の原子座標を取得する段階と;原子座標を1種以上の分子モデル化技術と併用し、上記分子と相互作用する物質を同定する段階を含む。
本発明はキットも提供する。本明細書に記載するキットは誘導突然変異を抑制する1種以上のアカオジェンを収容する少なくとも1個の容器と、使用説明書を含む。キットは更に別の治療薬(例えば抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗腫瘍薬、又は抗原生動物薬)の第2の容器を加えてもよい。アカオジェンと第2の治療薬は投与前に混合してもよいし、別々に投与してもよい。キットは更に生物又は細胞もしくは細胞群が部分的に薬剤耐性であるか又は完全に薬剤耐性であるかを判定するための診断ツールを含むことができる。
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
本明細書で使用する「Ac」なる用語は「アセチル化」なる用語と同義である。
本明細書で使用する「アカオジェン」なる用語は突然変異プロセスを抑制する物質を意味する。即ち、細胞又は生物がアカオジェンに暴露されると、突然変異頻度が低下する。突然変異頻度は完全多細胞生物、単細胞生物、細胞集団、又は生物の所定細胞(癌の場合等)のいずれでもよい。所定の好適態様では、アカオジェンは突然変異率を少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも10倍、又はより好ましくは少なくとも10倍低下させる。所定の好適態様では、アカオジェンは単一薬剤、より好ましくは少なくとも2種の薬剤、より好ましくは少なくとも3種の薬剤、又はより好ましくは少なくとも4種の薬剤、又はより好ましくは少なくとも5種の薬剤に対する耐性を低下させる。
「アルコキシ」基とは(アルキル)O−基を意味し、式中、アルキルは本明細書に定義する通りである。
「アルキル」基とは脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル部分は「飽和アルキル」基でもよく、即ちアルケン又はアルキン部分を含まない。アルキル部分は「不飽和アルキル」部分でもよく、即ち少なくとも1個のアルケン又はアルキン部分を含む。「アルケン」部分とは少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素二重結合から構成される基を意味し、「アルキン」部分とは少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素三重結合から構成される基を意味する。アルキル部分は飽和であるか不飽和であるかに関係なく、分岐鎖、直鎖、又は環状のいずれでもよい。
「アルキル」部分は炭素原子数1〜20とすることができる(本明細書で記載する場合、「1〜20」等の数値範囲は記載範囲の各整数を意味し、例えば「炭素原子数1〜20」はアルキル基が炭素原子1個、2個、3個、〜20個までから構成され得ることを意味し、この定義は数値範囲を指定しない場合にも「アルキル」なる用語に適用される)。アルキル基は炭素原子数1〜8の「低級アルキル」でもよい。本明細書に記載する化合物のアルキル基は「C−Cアルキル」等のように指定することができる。単に例示であるが、「C−Cアルキル」とはアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子が存在することを意味し、即ちアルキル鎖はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルから構成される群から選択される。典型的なアルキル基としては限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
「アルキルアミン」なる用語は−N(アルキル)基を意味し、式中、x及びyはx=1、y=1及びx=2、y=0の群から選択される。x=2のとき、アルキル基は一緒になって場合により環系を形成することができる。
「アルケニル」なる用語はアルキル基の最初の2個の原子が芳香族基の一部でない二重結合を形成する1種のアルキル基を意味する。即ち、アルケニル基は原子−C(R)=C−Rから開始し、式中、Rはアルケニル基の残余部分を意味し、同一でも異なってもよい。アルケニル基の非限定的な例としては−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CCH及び−C(CH)=CCHが挙げられる。アルケニル部分は分岐鎖、直鎖、又は環状(その場合には、「シクロアルケニル」基とも言う)のいずれでもよい。
「アルキニル」なる用語はアルキル基の最初の2個の原子が三重結合を形成する1種のアルキル基を意味する。即ち、アルキニル基は原子−C≡C−Rから開始し、式中、Rはアルキニル基の残余部分を意味し、同一でも異なってもよい。アルキニル基の非限定的な例としては−C≡CH、−C≡CCH及び−C≡CCHCHが挙げられる。アルキニル部分の「R」部分は分岐鎖、直鎖、又は環状のいずれでもよい。
「アミド」は式−C(O)NHR又は−NHC(O)Rの化学部分であり、式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合した)ヘテロアリール及び(環炭素を介して結合した)脂肪族複素環から構成される群から選択される。
本明細書で使用する「アミノ酸」又は「残基」なる用語は20種の天然アミノ酸のいずれか1種、天然アミノ酸のいずれか1種のD体、非天然アミノ酸、並びにその誘導体、アナログ及びミメティックを意味する。天然アミノ酸を含む任意アミノ酸は市販されており、当分野で公知の方法により合成することもできる。非天然アミノ酸の例としてはノルロイシン(「Nle」)、ノルバリン(「Nva」)、β−アラニン、L−又はD−ナフチルアラニン、オルニチン(「Orn」)、ホモアルギニン(ホモArg)及びペプチド分野で周知の他のアミノ酸が挙げられ、例えばいずれも参考資料として本明細書に組込むM.Bodanzsky,“Principles of Peptide Synthesis,”1st and 2nd revised ed.,Springer−Verlag,New York,N.Y.,1984 and 1993と、Stewart and Young,“Solid Phase Peptide Synthesis,”2nd ed.,Pierce Chemical Co.,Rockford,Ill.,1984に記載されているものが挙げられる。普通アミノ酸はその正式名称、標準1文字表記、又は標準3文字表記で記載することができ、例えば、A,Ala,アラニン;C,Cys,システイン;D,Asp,アスパラギン酸;E,Glu,グルタミン酸;F,Phe,フェニルアラニン;G,Gly,グリシン;H,His,ヒスチジン;I,Ile,イソロイシン;K,Lys,リジン;L,Leu,ロイシン;M,Met,メチオニン;N,Asn,アスパラギン;P,Pro,プロリン;Q,Gln,グルタミン;R,Arg,アルギニン;S,Ser,セリン;T,Thr,スレオニン;V,Val,バリン;W,Trp,トリプトファン;X,Hyp,ヒドロキシプロリン;Y,Tyr,チロシンのように記載する。本明細書に記載する組成物中の全アミノ酸は天然、合成、及びその誘導体又はミメティックとすることができる。アミノ酸残基が1個以上のキラル中心を含む場合には、(適宜)D、L、メソ、スレオ又はエリスロラセミ体又はその混合物の任意のものが本発明の範囲に含まれる。一般に、非酵素的加水分解手段に依存することが所望される場合には、D異性体を使用すべきである。他方、L異性体は非酵素的加水分解と潜在標的酵素的加水分解の両方が可能であり、胃腸管内でアミノ酸又はジペプチジル輸送系により効率的に輸送されるので汎用性であると考えられる。本明細書に記載するアミノ酸は天然でも合成でもよい。
本明細書で使用する「アナログ」なる用語は本明細書に記載するポリペプチド又は核酸と同一構造又は機能(例えば受容体との結合)を保持する組成物を意味する。アナログの例としてはペプチドミメティック、ペプチド核酸、大小有機又は無機化合物、並びに本明細書に記載するポリペプチド又は核酸の誘導体及び変異体が挙げられる。本明細書で使用する「誘導体」又は「変異体」なる用語は1個以上のアミノ酸又は核酸欠失、付加、置換又は側鎖修飾により天然ポリペプチド又は核酸と相違するペプチド又は核酸を意味する。アミノ酸置換としてはあるアミノ酸を別の天然又は非標準アミノ酸残基で置換する改変が挙げられる。このような置換は「保存的」に分類されるものでもよく、その場合には、ポリペプチドに含まれるあるアミノ酸残基を極性、側鎖官能価又はサイズに関して類似特徴の別の天然アミノ酸で置換する。
本発明に含まれる置換は「非保存的」でもよく、その場合には、ペプチドに存在するあるアミノ酸残基を別の群に由来する天然アミノ酸等の異なる性質をもつアミノ酸で置換(例えば荷電又は疎水性アミノ酸をアラニンで置換)するか、あるいは、天然アミノ酸を非標準アミノ酸で置換する。アミノ酸置換は保存的であることが好ましい。
アミノ酸置換は一般に単一残基であるが、塊状又は分散を問わずに多重残基でもよい。付加は1個以上の低下又は非標準アミノ酸残基の付加を含む。欠失は1個以上のアミノ酸残基の欠失を含む。
上述したように、ペプチド誘導体はアミノ酸の1個以上が側鎖修飾されているものを含む。本発明により意図される側鎖修飾の例としては、アルデヒドとの反応後にNaBHで還元する還元的アルキル化;メチルアセトイミデートによるアミジン化;無水酢酸によるアシル化;シアナートによるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水琥珀酸と無水テトラヒドロフタル酸によるアミノ基のアシル化;及びピリドキサール−5−リン酸によるリジンのピリドキシル化後にNaBHで還元する等のアミノ基修飾が挙げられる。
アルギニン残基のグアニジン基は2,3−ブタンジオン、フェニルグリオキサール及びグリオキサール等の試薬との複素環縮合物の形成により修飾することができる。カルボキシル基はO−アシルイソ尿素形成後に例えば対応するアミドに誘導体化することによるカルボジイミド活性化により修飾することができる。スルフヒドリル基はヨード酢酸又はヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化;システイン酸への過ギ酸酸化;他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸又は他の置換マレイミドとの反応;4−クロロメルクリ安息香酸塩、4−クロロメルクリフェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール及び他の水銀化合物による水銀化合物誘導体の形成;アルカリpHのシアン酸塩によるカルバモイル化等の方法により修飾することができる。システイン残基の修飾はペプチドが必要なジスルフィド結合を形成する能力に影響を与えるものであってはならない。ペプチドがジスルフィド結合の1個以上の変わりにジセレン結合を形成するようにシステインのスルフヒドリル基をセレン等価物で置き換えることも可能である。
トリプトファン残基は例えばN−ブロモスクシンイミドによる酸化又は臭化2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルもしくはハロゲン化スルフェニルによるインドール環のアルキル化により修飾することができる。他方、チロシン残基はテトラニトロメタンによりニトロ化して3−ニトロチロシン誘導体を形成することにより修飾することができる。ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾はヨード酢酸誘導体によるアルキル化又はジエチルピロカーボネートによるN−カルベトキシル化により実施することができる。プロリン残基は例えば4位の水酸化により修飾することができる。本発明により意図される他の誘導体としては完全非グリコシル化分子から修飾グリコシル化分子までの範囲のグリコシル化変異体が挙げられる。改変グリコシル化パターンは各種宿主細胞で組換え分子を発現させることにより得られる。
「芳香族」又は「アリール」なる用語はπ共役電子系をもつ少なくとも1個の環をもつ芳香族基を意味し、炭素環アリール基(例えばフェニル)と複素環アリール(ないし「ヘテロアリール」ないし「複素芳香族」)基(例えばピリジン)の両者を含む。この用語は単環式又は縮合環多環式(即ち隣接炭素原子対を共有する環)基を含む。「炭素環」なる用語は1個以上の共有閉環構造を含む化合物を意味し、環の主鎖を形成する原子が全て炭素原子であることを意味する。従って、この用語は環主鎖が少なくとも1個の炭素以外の原子を含む複素環から炭素環を区別する。
「結合」又は「単結合」なる用語は2個の原子間又は結合により結合される原子がより大きなサブ構造の一部とみなされる場合には2個の部分間の化学結合を意味する。
本明細書で使用する「相補的」なる用語は相互に会合(例えば相互に水素結合を形成)することができる2個のヌクレオチドを意味する。例えば、アデニンとチミンは2個の水素結合を形成することができるので相補的である。
結合について本明細書で使用する「共有」なる用語は2個の種間の化学結合を意味し、単結合でも多重結合でもよい。「共有」なる用語は疎水性/親水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性効果、及びイオン相互作用を含まず、これらは非共有とみなされる。
「シアノ」基とは−CN基を意味する。
「シクロアルキル」なる用語は炭素と水素のみを含み、飽和、部分不飽和、又は完全不飽和のいずれでもよい単環式又は多環式基を意味する。シクロアルキル基としては3〜10員環基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては以下の部分:

等が挙げられる。
本明細書で使用する「有効量」なる用語は指定効果を達成するために必要な組成物の量を意味する。
「エステル」なる用語は式−COORをもつ化学部分を意味し、式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合した)ヘテロアリール及び(環炭素を介して結合した)脂肪族複素環から構成される群から選択される。
「遺伝子」なる用語はその鋳型又はメッセンジャーRNAを介して特定ペプチドに特徴的なアミノ酸配列をコードする核酸配列(DNA、RNA、又はそのアナログ及び/又は組み合わせ)を意味する。「遺伝子」なる用語は介在、非コーディング領域及び調節領域を含むことができ、5’及び3’末端を含むことができる。誘導突然変異に関連する遺伝子の例としては限定されないが、lexA、recA、umuD、umuC、dinB、polB等、及びその任意ホモログ、アナログ又はフラグメントが挙げられる。
本明細書で使用する「遺伝子産物」なる用語は遺伝子から転写されたRNA、又は遺伝子によりコードされるかもしくはRNAから翻訳されたポリペプチドを意味する。このようなポリペプチドは未修飾翻訳ポリペプチドでもよいし、翻訳後修飾(例えばグルコシル化、ホスホニル化、開裂等)ポリペプチドでもよい。誘導突然変異誘発に関連する遺伝子産物の例としてはLexA、RecA、PolB、PolIV、UmuD、UmuC、並びにその任意ホモログ、アナログ及びフラグメントが挙げられる。
「ハロ」又は「ハロゲン」なる用語はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。好ましいハロ基はフルオロ、クロロ及びブロモである。
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」及び「ハロアルコキシ」なる用語は1個以上のハロ基又はその組み合わせで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル及びアルコキシ構造を意味する。「フルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」なる用語はハロがフッ素であるハロアルキル基とハロアルコキシ基を夫々意味する。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」及び「ヘテロアルキニル」なる用語は炭素以外の原子(例えば酸素、窒素、硫黄、リン又はその組み合わせ)から選択される1個以上の骨格鎖原子をもつ場合により置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニル基を意味する。
「ヘテロアリール」又は「複素芳香族」なる用語は窒素、酸素及び硫黄から選択される1個以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を意味する。N含有「複素芳香族」又は「ヘテロアリール」部分とは環の骨格原子の少なくとも1個が窒素原子である芳香族基を意味する。多環式ヘテロアリール基は縮合していてもいなくてもよい。ヘテロアリール基の具体例としては以下の部分:

等が挙げられる。
「複素環」なる用語はO、S及びNから各々選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素芳香族及び脂肪族複素環基を意味し、各複素環基はその環系内の原子数が4〜10であり、但し、前記基の環は2個の隣接するO又はS原子を含まない。非芳香族複素環基はその環系内に4個の原子しかもたない基を含むが、芳香族複素環基はその環系内に少なくとも5個の原子をもたなければならない。複素環基としてはベンゾ縮合環系が挙げられる。4員複素環基の一例は(アゼチジンから誘導される)アゼチジニルである。5員複素環基の一例はチアゾリルである。6員複素環基の一例はピリジルであり、10員複素環基の一例はキノリニルである。非芳香族複素環基の例はピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキシアゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル及びキノリジニルである。芳香族複素環基の例はピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。上記基から誘導されるような上記基は可能な場合にはCと結合していてもよいし、Nと結合していてもよい。複素環基としてはベンゾ縮合環系と1又は2個のオキソ(=O)部分で置換された環系(例えばピロリジン−2−オン)が挙げられる。
「脂肪族複素環」基とは窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むシクロアルキル基を意味する。この基はアリール又はヘテロアリールと縮合していてもよい。ヘテロシクロアルキル基の具体例としては以下の基:

等が挙げられる。脂肪族複素環なる用語は炭水化物の全環形も含み、限定されないが、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類が挙げられる。
本明細書で使用する「ホモログ」又は「相同」なる用語は構造及び/又は機能に関する相同を意味する。配列相同については、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、又はより好ましくは少なくとも99%一致する場合に配列は相同である。「実質的に相同」なる用語は少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、又はより好ましくは少なくとも99%一致する配列を意味する。相同配列は異なる種で同一の機能的遺伝子とすることができる。
「ハイブリダイズ」なる用語はヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列の相互作用を意味する。このような相互作用は例えば溶液中又は固体支持体(例えばセルロース又はニトロセルロース)上で生じることができる。核酸配列が第2のヌクレオチド配列と高親和性で結合する場合に、核酸配列は第2のヌクレオチド配列と「ハイブリダイズ」すると言う。2つの配列間の相互作用の強さはハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変動させることにより調べることができる。高ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下では高度に相補的なヌクレオチド配列しかハイブリダイズしない。
アカオジェンの活性を表す場合に「阻害」又は「阻害する」なる用語は突然変異率の防止又は検出可能な任意低下を意味する。
「イソシアナト」基とは−NCO基を意味する。
本明細書で使用する「単離」なる用語は他の化合物又は分子(例えば蛋白質、脂質、核酸又は該当化合物もしくは分子が細胞内で通常会合している他の分子)を比較的除去した化合物又は分子(例えばポリペプチド又は核酸)を意味する。一般に、単離ポリペプチドはこのポリペプチドを含有するサンプルの少なくとも約75重量%、より好ましくはこのポリペプチドを含有するサンプルの約90%、より好ましくはこのポリペプチドを含有するサンプルの約95%、又はより好ましくはこのポリペプチドを含有するサンプルの約99%を構成する。
「イソチオシアナト」基とは−NCS基を意味する。
「員環」なる用語は任意環構造を包含することができる。「員」なる用語は環を構成する骨格原子数を意味する。従って、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピラン及びチオピランは6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン、及びチオフェンは5員環である。
「メルカプチル」基とは(アルキル)S−基を意味する。
「部分」なる用語は分子の特定セグメント又は官能基を意味する。化学部分は分子に埋め込まれるか又は分子に付加された化学物質とみなされることが多い。
本明細書で使用する「核酸」なる用語はリボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、リボオリゴヌクレオチド、デオキシオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド配列もしくはポリヌクレオチド配列、又はその任意変異体、ホモログ、フラグメント、アナログもしくは誘導体を意味する。ヌクレオチド配列は天然でも合成でもよい。センス鎖を表すかアンチセンス鎖を表すかに関係なく、2本鎖でも1本鎖でもよい。
本明細書で使用する「求核剤」及び「求電子剤」なる用語は合成及び/又は物理有機化学で周知の通常の意味をもつ。炭素求電子剤は一般に炭素自体よりも大きいポーリングの電気陰性度をもつ任意原子又は基で置換された1個以上のアルキル、アルケニル、アルキニル又は芳香族(sp、sp、又はspとハイブリダイズした)炭素原子を含む。炭素求電子剤の例としては限定されないが、カルボニル(アルデヒド、ケトン、エステル、アミド)、オキシム、ヒドラゾン、エポキシド、アジリジン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アリール、アシル、スルホン酸塩(アリール、アルキル等)が挙げられる。炭素求電子剤の他の例としては電子求引基と電子共役した不飽和炭素原子が挙げられ、具体的にはα不飽和ケトンの6−炭素や、フッ素置換アリール基の炭素原子である。特に厳密に制御された生成物を生じるような方法で炭素求電子剤を作製する方法は有機合成分野の当業者に公知である。
「場合により置換」なる用語は指定する基がアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、脂肪族複素環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、シリル、及びアミノ(モノ及びジ置換アミノ基を含む)、並びにその保護誘導体から各々独立して選択される1個以上の付加基で置換されていてもよいことを意味する。上記置換基の保護誘導体を形成することができる保護基は当業者に公知であり、Greene and Wuts,前出等の文献に記載されている。
本明細書で使用する「生物」なる用語は微生物(例えばウイルス、細菌、原生動物)、植物、及び動物(例えばヒト、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、及び、ウシ、ニワトリ、ブタ、イヌ、及びヤギ等の家畜)を含む全生細胞を意味する。
「ポリペプチド」なる用語はペプチド結合により相互に結合された2個以上のアミノ酸を含む任意組成物又はそのペプチドミメティックを意味する。この用語は短鎖(当分野では一般に例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも言う)と長鎖(当分野では一般に蛋白質と言う)の両方を意味する。「ポリペプチド」なる用語は以下に記載するような全ペプチドを意味する。当然のことながら、ポリペプチドは多くの場合には20種の天然アミノ酸と通称する20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含み、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は天然プロセス(例えばグルコシル化や他の翻訳後修飾)又は当分野で周知の化学修飾技術により所与ポリペプチドを修飾することができる。本発明のポリペプチドに存在することができる公知修飾としては限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、ジメチル化、共有架橋の形成、シスチン形成、ピログルタミン酸塩の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、糖化、グルコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、セラミ化、セレノイル化、硫酸化、トランスファーRNAによる蛋白質へのアミノ酸付加(例えばアルギニル化)、及びユビキチン化が挙げられる。
本明細書で使用する「ペプチドミメティック」なる用語はポリペプチド構造の性状に似た分子を意味する。
「精製」なる用語は通常会合している他の物質を比較的除去した物質(例えば該当化合物、分子、又は構造)であり、好ましくは物質の総重量の少なくとも0.1%、1%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である物質を意味する。
材料(例えば細胞、核酸、蛋白質、又はベクター)に関して本明細書で使用する「組換え」なる用語はこのような材料が異種材料(例えば細胞、核酸、蛋白質、又はベクター)の導入により改変されていることを意味する。従って、例えば組換え細胞は細胞の天然(非組換え)形内に存在しない遺伝子を発現するか、あるいは他の場合には異常発現されるか、過小発現されるか、又は全く発現されない天然遺伝子を発現する。
「スルフィニル」基とは−S(=O)−Rを意味し、式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合した)ヘテロアリール及び(環炭素を介して結合した)脂肪族複素環から構成される群から選択される。
「スルホニル」基とは−S(=O)−Rを意味し、式中、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合した)ヘテロアリール及び(環炭素を介して結合した)脂肪族複素環から構成される群から選択される。
「チオシアナト」基とは−CNS基を意味する。
本明細書で使用する「治療」又は「治療する」なる用語は対象の症状を軽減又は緩和するか、症状が悪化又は進行するのを防ぐか、あるいは感染、疾患又は症状のない対象の感染、疾患又は症状を抑制、除去又は予防することを意味する。
(II.概説)
細胞が突然変異を制御するようにその細胞環境を調節する特定メカニズムは細胞増殖に必要な遺伝子の突然変異による復帰突然変異又は前進突然変異をモニターすることにより大腸菌で遺伝的に研究されている。突然変異の復帰突然変異は第1の突然変異の結果として失われた機能を第2の突然変異が復元するときに生じる。第2の突然変異は最初の変異を復帰させるか又は補償する変異をDNAに生じる。第2の突然変異の発生率は1組の条件下における細菌の突然変異率を反映するため、誘導突然変異を測定するために使用することができる。
大腸菌では、誘導突然変異に寄与する効果をもつ遺伝子がSOS応答系の一部である。細菌におけるSOS応答系はプログラムされた一連の遺伝子抑制解除イベントであり、DNA複製、細胞分裂、トランスポゾン移動、水平遺伝子伝達、エラープローン翻訳DNA合成等に関与する蛋白質を誘導し、その結果、突然変異数が増加する。Nickoloff,J.ら,(1998)DNA Damage and Repair(Totowa,New Jersey:Humana Press);Huisman,O.,Nature(1981)290,797−799;Kuan,C.,ら,J.Bacteriol.(1992)174,6872−6877;及びMatic,I.,ら,Cell(1995)80,507−515参照。細菌におけるSOS応答プロセスは細胞がその複製ポリメラーゼ(例えばPolIII)の停止を感知すると活性化されると仮定される。
複製ポリメラーゼPolIIIの停止の結果、ssDNAが蓄積される。このssDNAがRecAと結合して活性化させる。RecAは組換えとストレスに対するSOS応答の誘導の両者を媒介することが大腸菌で知られている多機能性蛋白質である。活性化されたRecAはLexAとUmuDに結合し、その蛋白分解を活性化する。Goodman,MF,Annu.Rev.Biochem.(2002)71:17−50;Nickoloff,JA and Hoekstra,MF(eds.)DNA Damage and Repair(Humana Press,Totowa,New Jersey,1998)参照。
LexA蛋白分解はLexAのAla84−Gly85易切断結合の自己開裂反応である。この結合開裂はLexAのDNA結合ドメインをその二量化ドメインから分離し、蛋白質が誘導突然変異誘発を調節する遺伝子を抑制できないようにする。(このような遺伝子としてはPolIV及びPolVの2つのサブユニット等のエラープローンポリメラーゼや、16SrRNA、23SrRNA、clpXP、dinB、dinI、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA、lonプロテアーゼ、L4リボソームメチラーゼ、lexA、norA、recA.recN、psiB、parC、parE、polB、rpoS、rpoB、sxt、umuC、umuD、uvrA、uvrB、及びuvrDから構成される群から選択される遺伝子が挙げられる。)RecAとの結合は自己開裂反応できないコンホメーションから自己開裂反応可能なコンホメーションへのLexAのコンホメーション変化を誘導する。活性化RecAと結合すると、LexAのAla84とGly85を含むループは一端に触媒セリン−リジンダイアドをもつ蛋白質の表面に位置するクレフトである活性部位へと移動する(図5A−5B)。触媒残基(Ser119とLys156)はセリンプロテアーゼと同様にペプチダーゼ反応を触媒する。Roland,KL.,J.Biol.Chem.(1990)265,12828−12835;van Dijl,ら,J.Biol.Chem.(1995)270,3611−3618;Slilaty,SN.,Prot.Engineer.(1991)4,919−922;及びLeung,D.,J.Med.Chem.(2000)43,305−341参照。
図1は正常条件下とシプロフロキサシン暴露による細胞ストレス条件下におけるLexAの細胞機能を示す。正常条件下では、図1Aに示すように、LexAは対応する蛋白質産物がストレスに対する細胞応答に関与する遺伝子(突然変異を誘発する遺伝子産物を含む)を抑制する。Goodman,MF,Annu.Rev.Biochem.(2002)71:17−50;Nickoloff,JA,and Hoekstra,MF(eds.),DNA Damage and Repair,(Humana Press,Totowa,New Jersey,1998)参照。LexAモノマーはDNAと結合し、隣接結合したLexAモノマー間の相互作用により安定化される。各LexAモノマーはLexAモノマーが隣接するオペレーター部位のDNAと結合し、蛋白質間接触により相互結合を安定化するにつれて協調的にLexAをDNAと結合させる二量化ドメインを含む。LexAダイマーがその対応する結合部位と結合すると、RNAポリメラーゼはLexAにより制御されるプロモーターに接近できなくなり、SOS応答遺伝子産物の細胞内濃度は低く抑えられる。
図1Bは細菌を所定抗生物質(例えばシプロフロキサシン)に暴露した場合に生じる状態を示す。Mamber,SW.,Antimicrob.Agents Chemother.(1993)37:213−217;Riesenfeld,C.,(1997)41:2059−2060;Phillips,I.,J.Antimicrob.Chemother.,(1987)20:631−638;Luo,Y.,Cell(2001)106:585−594;Shinagawa,H.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA(1988)85:1806−1810;Rehrauer,WM.,J.Biol.Chem.(1996)271:23865−23873;及びBalashov,S.,J.Mol.Biol.(2002)315:513−527参照。このような暴露はssDNAによるRecAの活性化によりSOS応答を活性化する。RecAはssDNA及びATPと複合体を形成することが示されている。この複合体は組換えを開始すると共にLexAの自己蛋白分解を触媒する。
LexAの自己蛋白分解の結果、LexAはそのN末端ドメインとC末端ドメインの間で開裂する。DNA結合ドメインと二量化ドメインの蛋白分解分離後に、LexAはDNAと協調的に結合して遺伝子発現を抑制しなくなる。その結果、SOS遺伝子産物が生産される。このようなSOS遺伝子産物としては、例えば、夫々dinBとumuDCによりコードされるPolIVとPolVが挙げられる。これらの遺伝子産物(並びにそのアナログ及びホモログ)は他の生物では別の名称をもつ場合がある。PolIVとPolV(UmuCのヘテロダイマーと、RecAによるUmuDの開裂産物であるUmuD’2コピー)はいずれもエラープローン突然変異誘発ポリメラーゼである。低信頼性でDNAを合成するこれらのポリメラーゼの抑制解除がストレス時の突然変異率の増加の原因である。従って、これらの突然変異誘発ポリメラーゼの生産又は活性の阻害は抗生物質耐性発生を抑制すると思われる。Yeiser,B.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2002)99:8737−3841;McKenzie,GJ.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:6646−6651;Goodman,MF.,Curr.Opin.Genet.Dev.(2000)10:162−168;Shinagawa,H.in Stress−Inducible Cellular Responses(eds.Feige,U.,Morimoto,R.I.,Yahara,I.& Polla,B.)BirkhSuser Verlag,Basel,1996;Sutton,MD.,Annu.Rev.Genet.(2000)34:479−497;Brotcorne−Lannoye,A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:3904−3908;Bull,HJ.,Genetics(2000)154:1427−1437;Bull,HJ.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(2001)98:8334−8341;Kim,B.,Cell(1993)73:1165−1173;Napolitano,R.,EMBO(2000)19:6259−6265;Tang,M.,Nature(2000)404:1014−1018;及びPrakash,S.,Genes.Dev.(2002)16:1872−1883も参照。
図1CはアカオジェンがLexA開裂を阻止する場合に生じる状態を示す。この場合には、アカオジェンは抗生物質の存在にも拘わらずLexAの蛋白分解を阻止する。その結果、細菌はその突然変異率を加速することができず、抗生物質耐性を発生するその能力を有意に低下する。アカオジェンによる突然変異抑制は複数のストラテジーにより実施することができ、(1)RecA(又は任意RecAオーソログ)活性化の抑制、(2)RecA(又は任意RecAオーソログ)とLexA又はUmuD(又は任意LexAもしくはUmuDオーソログ)又は誘導突然変異応答のその他の同定すべき任意成分の結合の阻害、あるいは(3)小分子の使用によるLexA又はUmuD(又は任意LexAもしくはUmuDオーソログ)の蛋白分解の抑制が挙げられる。
誘導突然変異誘発の調節に関連する遺伝子の一例はdnaE2である。dnaE2はMycobacterium tuberculosis(MTb)で薬剤耐性の出現に関連付けられている。Boshoff,H.,Cell.(2003)Vol.113,183−193参照。MTbは2種の機能的に重複する複製DNAポリメラーゼDnaE1及びDnaE2を含むことが示唆されている。Boshoff,H.,Cell.(2003)Vol.113,183−193参照。耐性を付与する突然変異の蓄積は遺伝子の欠失により妨げられるので、MTbでリファンピシン(Rif)に対する耐性を付与する突然変異は主にdnaE2により媒介されることも示されている。従って、DnaE2はRif耐性を付与する突然変異に関与するエラープローン翻訳ポリメラーゼであることが示唆されている。
現在、MTbは単剤耐性突然変異体が発生して治療を損なうことがないように、複数の抗生物質:リファンピシン(RIF)、イソニアジド(INH)、ピラジナミド(PZA)、及びエタンブトール(EMB)又はストレプトマイシン(SM)を含む初期の強力な2カ月レジメンで一般に治療されている。MMWR Morb.Mortal Wkly.Rep.(1993)42(RR−7)参照。次の4カ月間はRIFとINHのみを投与する。INHとRIFは投与開始から2カ月以内に結核菌の99%以上を死滅させる強力な抗MTb薬である。Mitchison DA.Bulletin International Union Against Tuberculosis(1985)65:30−7参照。これらの薬剤を併用し、場合によっては他の薬剤を併用すると、抗MTb治療は18カ月から6カ月に短縮する。しかし、多剤治療を開始した患者の2%は処方レジメンを完璧に順守したとしても治療終了までに薬剤耐性MTbを発生する。
(III.アカオジェン)
細菌細胞では、LexA自己蛋白分解により全長LexAの細胞濃度が低下するにつれてSOS遺伝子はLexAリプレッサーに対するそのプロモーターの親和性に依存する順序で順次抑制解除される。最初に抑制解除される遺伝子はuvrA、uvrB、及びuvrDを含む直接修復機能をコードする。細胞はまず損傷を修復しようとするが、損傷が持続する場合には、recA、recN、及びより強力な組換え修復経路を媒介する他の遺伝子が次に抑制解除される。最後に、損傷がまだ持続する場合には、細胞はまず(エラープローンポリメラーゼPolIVをコードする)dinBを抑制解除した後に(エラープローンポリメラーゼPolVの2個のサブユニットをコードする)umuC及びumuDを抑制解除する。このように、環境が十分に致死性用量にならないと細胞は突然変異率を増加させない。
本発明のアカオジェンは細胞、生物内の細胞群、又は完全生物における突然変異プロセスを抑制する任意物質である。特に、アカオジェンは環境ストレス又はDNA損傷に応答してトリガされる突然変異プロセスを抑制する物質である。突然変異誘発を誘導することができる環境ストレス又はDNA損傷としては、薬剤治療、紫外線、栄養制限等が挙げられる。
誘導突然変異を生じるか又はその影響を受ける可能性のある細胞又は生物は原核種でも真核種でもよい。本発明により意図される原核細胞/生物の例としては本明細書に開示する細菌株の任意のものが挙げられる。本発明により意図される真核細菌/生物の例としては哺乳動物、鳥類、植物、特にヒトが挙げられる。従って、突然変異率がアカオジェンにより低下する生物は微生物(例えばウイルス又は細菌)又は多細胞生物(例えば植物又は動物)とすることができる。
本発明はアカオジェンを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成される組成物に関する。従って、本発明の組成物は場合により第2の物質を含むことができる。
アカオジェンは天然に存在するものでも天然に存在しないものでもよい。本発明のアカオジェンは好ましくは単離及び/又は精製されている。本発明のアカオジェンは核酸、ポリペプチド、ペプチドミメティック、ペプチド核酸(「PNA」)、抗体、ファージ、ファージミど、又は大小有機もしくは無機分子を含むか又はそれから構成することができる。本発明の任意アカオジェンの塩、プロドラッグ、ホモログ又はアナログも本発明の特徴である。
所定態様では、アカオジェンは突然変異率を直接又は間接的に増加する遺伝子産物と相互作用又は結合することにより細胞又は生物における突然変異率を調節、低下、又は抑制する。このような遺伝子産物の例としては限定されないが、RecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はその任意ホモログ、アナログ、フラグメントもしくは組み合わせが挙げられる。当然のことながら、アカオジェンは上記遺伝子産物の全てと結合又は相互作用する必要はない。所定態様では、アカオジェンは上記遺伝子産物の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11種のみと結合又は相互作用する。例えば、所定態様では、アカオジェンはRecAと結合又は相互作用する。しかし、これはアカオジェンの一例に過ぎず、従って、態様によってアカオジェンはRecAと結合又は相互作用しない場合もある。他の態様では、アカオジェンはRecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、もしくはUvrD、又はそのホモログと結合又は相互作用しない。
このような調節又は抑制はこのような遺伝子産物の直接阻害剤、競合的阻害剤又は他の形態の阻害剤であるアカオジェンにより媒介することができる。例えば、本発明のアカオジェンは突然変異率を増加する遺伝子産物と共有又は非共有的に結合又は相互作用することにより突然変異率を調節又は抑制することができる。他の例では、アカオジェンは突然変異率を低下させる遺伝子産物と共有又は非共有的に結合又は相互作用することにより突然変異率を調節又は抑制することができる。
所定態様では、アカオジェンはRecA活性化又はRecAとssDNAの結合の阻害剤(例えばRecAとssDNAの結合を妨害する小分子又はペプチドミメティック)である。これは本発明により意図されるアカオジェンの一例に過ぎず、従って、本発明のアカオジェンはRecAと相互作用又は結合するアカオジェン以外のものでもよい。
所定態様では、アカオジェンはLexA自己開裂の阻害剤(例えばLexAの開裂部位と競合するペプチドミメティック)又はLexAのホモログの阻害剤である。LexAは臨床関連細菌種で高度に保存されている(下表1参照)。従って、本発明により意図されるアカオジェンはLexA又はその任意ホモログ、アナログもしくはフラグメントと相互作用又は結合し、広範な細菌感染症において誘導突然変異を減少させるために使用することができるものである。
LexAと相互作用するアカオジェンはLexAの「開裂部位」(基質ループ)又はLexAの「活性部位」と相互作用することが好ましい。LexAの「開裂部位」はジペプチド結合Ala84−Gly85を含むLexAのペプチド配列である。所定態様では、LexAの開裂部位は好ましくは50アミノ酸長未満、40アミノ酸長未満、30アミノ酸長未満、20アミノ酸長未満、より好ましくは15アミノ酸長未満、より好ましくは10アミノ酸長未満、又はより好ましくは6アミノ酸長未満である。
所定態様では、LexAの開裂部位はVAAG(配列番号1)、VAAGEPL(配列番号2)もしくはVAAGEPLLAW(配列番号3)のアミノ酸配列をもつポリペプチド、又はその任意ホモログもしくはアナログを含むか又はそれから構成される。
LexAの「活性部位」又は基質ループ部位はSer119とLys156を含むLexAのペプチド配列を含む。所定態様では、LexAの活性部位は100アミノ酸長未満、より好ましくは90アミノ酸長未満、より好ましくは80アミノ酸長未満、より好ましくは70アミノ酸長未満、より好ましくは60アミノ酸長未満、又はより好ましくは50アミノ酸長未満である。
従って、所定態様では、アカオジェンはLexAの開裂部位又は活性部位と相互作用する。このような相互作用は共有的でも非共有的でもよい。このようなアカオジェンは活性部位の競合阻害剤、LexAの分子デコイ、又はLexAを開裂する特異的プロテアーゼとすることができる。
所定態様では、アカオジェンはLexA開裂部位のペプチドフラグメント又はLexA開裂部位に類似するペプチドミメティックであり、自己開裂を妨げるLexAの内部活性部位と競合的に結合する。このようなアカオジェンの例としてはペプチドフラグメントVAAG(配列番号1)、VAAGEPL(配列番号2)、VAAGEPLLAW(配列番号3)、又はその任意ホモログもしくはアナログが挙げられる。このようなペプチド/又はペプチドミメティック又はそのアナログは単離されていることが好ましい。このようなペプチド及び/又はペプチドミメティック又はそのアナログは少なくとも1個の開裂不能な結合を含むことが好ましい。Ala−Gly結合は開裂不能な結合に改変されていることがより好ましい。
LexAの開裂部位の開裂不能なペプチドミメティックの例を図15A−15Dに示す。図15A−15Dの各々において、Ala84−Gly85易開裂結合は開裂不能なアナログで置換されている。このような開裂不能なアナログとしてはケト部分(図15A)、トランスオレフィン部分(図15B)、還元アミド部分(図15C)、及びα−ケト部分(図15D)が挙げられる。より好ましい態様では、易開裂結合に相当する10アミノ酸未満のペプチドミメティックを構築する。例えば、図16A−16Dでは、Ala84−Gly85易開裂結合に置換する置換基をもつAAGEPLペプチドのペプチドミメティックはケト部分(図16A参照)、トランスオレフィン部分(図16B)、還元アミド部分(図16C)、又はα−ケト部分(図16D)を含むことができる。
図4A及び4Bに示すように、LexAの開裂部位の一部(例えばVAAG)はLexAの自己蛋白分解反応中にLexAの基質ループの内側に配置されるようになると考えられる。図4Aは酵素の活性クレフトをその基質と共に示す。図4Bは基質ループのみを示す。開裂部位の残基Arg81〜Ala84は基質ループのクレフトにぴったりと合致し、Ala84及びVal82の側鎖は活性部位クレフトのS1及びS3部位に疎水性充填される(図4A)。興味深いことに、易開裂結合から極めて遠位にも拘わらず、Gln92→Trp91の突然変異は有利な相互作用を増加することにより、活性部位の対応するペプチドに対する親和性を劇的に増加する。
開裂可能なコンホメーションと開裂不能なコンホメーションの両者における大腸菌LexAの結晶構造は1.8オングストローム分解能まで決定されている(夫々図5A−5B参照)。Luo,Y.,Pfuetzner,R.A.,Mosimann,S.,Paetzel,M.,Frey,E.A.,Cherney,M.,Kim,B.,Little,J.W.,and Strynadka N.C.,Crystal structure of LexA:a conformational switch for regulation of self−cleavage.Cell,(2001)Vol.106,585−594参照。易切断結合のN末端側に配置されたP部位は易切断結合のC末端側に配置されたP’部位よりも重要な接点になることが構造から示唆される。
図6はLexAのSer119(S119)がAla84−Gly85易切断ペプチド結合のC=Oを攻撃するLexA自己開裂複合体を示す。Ser119は反応性求核剤として機能し、セリンプロテアーゼと同様にAla84−Gly85ペプチド結合を攻撃するが、電荷をもたないLys156はSer119ヒドロキシル基を活性化する。Rolan KI,ら,J.Biol.Chem.,(1990)265,22:12828−12835参照。従って、本発明はLexAの二量体形成を妨害せずに基質結合を破壊するように開裂部位又は活性部位の一方又は両方に突然変異をもつ突然変異LexAに関する。このようなアカオジェンは突然変異LexAポリペプチド(又はそのホモログ、アナログ、もしくはフラグメント)とすることができる。このようなアカオジェンは突然変異LexAポリペプチド(又はそのホモログ、アナログ、もしくはフラグメント)をコードする核酸でもよい。
従って、所定態様では、本発明は活性部位求核剤Ser119と結合するアカオジェンに関する。このようなアカオジェンはSer119と共有結合することが好ましい。これは本発明のアカオジェンの一例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンは活性部位求核剤Ser119と結合するアカオジェン以外のアカオジェンである。
所定態様では、このようなアカオジェンはLexA易切断結合のN末端直近に配置されたペプチド配列又はその任意ホモログもしくはアナログを含む。このようなアカオジェンはジペプチドAla−Ala、トリペプチドVal−Ala−Ala又はポリペプチドArg−Val−Ala−Ala、又はその任意ホモログもしくはアナログを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成される。このようなポリペプチド、ペプチドミメティック、又はアナログは求核性Ser119とのその結合を強化するようにC末端修飾されていることが好ましい。これらのアカオジェンは本発明で意図されるアカオジェンの一例に過ぎず、従って、所定態様では、アカオジェンはジペプチドAla−Ala、トリペプチドVal−Ala−Ala又はポリペプチドArg−Val−Ala−Ala、又はその任意ホモログもしくはアナログを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成されるもの以外のものである。
所定態様では、このようなアカオジェンはLexA易切断結合のC末端直近に配置されたペプチド配列又はその任意ホモログもしくはアナログを含む。このようなペプチドはジペプチドGly−Glu、トリペプチドGly−Glu−Pro又はペプチド配列Gly−Glu−Pro−Leu、又はその任意ホモログもしくはアナログを含むことができる。このようなポリペプチド、ペプチドミメティック、又はそのアナログは求核性Ser119とのその結合を強化するようにN末端修飾されていることが好ましい。これらのアカオジェンは本発明で意図されるアカオジェンの一例に過ぎず、従って、所定態様では、アカオジェンはジペプチドGly−Glu、トリペプチドGly−Glu−Pro又はペプチド配列Gly−Glu−Pro−Leu、又はその任意ホモログもしくはアナログを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成される。
ペプチド/ペプチドミメティック/アナログとSer119の結合を強化する好ましいC及びN末端修飾は求電子的修飾である。求電子的修飾の例としてはペプチドアルデヒド、トリフルオロケトン、クロロメチルケトン、及びα−ケト複素環が挙げられる。易切断結合のN末端側のAla−Alaジペプチドのアルデヒド及びクロロメチルケトンアナログの例を図17の化合物1及び2に示す。易切断結合のN末端側のVal−Ala−Alaトリペプチドのアルデヒド及びクロロメチルケトンアナログの例を図17の化合物3及び4に示す。
LexAと相互作用するアカオジェンは本発明で意図されるアカオジェンの一例に過ぎず、従って、本発明のアカオジェンはLexAと相互作用又は結合するもの以外のアカオジェンでもよい。所定態様では、アカオジェンはLexA開裂部位又はLexA活性部位と相互作用するもの以外のアカオジェンである。
所定態様では、アカオジェンはRecA/LexA複合体形成の阻害剤(例えばRecA/LexA複合体形成を妨害する小分子又はペプチドミメティック)である。この場合もこれはアカオジェンの一例に過ぎず、従って、本発明のアカオジェンはRecA/LexAを阻害するもの以外のアカオジェンでもよい。
本発明の任意アカオジェンペプチド又はペプチドミメティックは更に(例えばD−アミノ酸残基、PEG−末端等を使用して)放出又は分解を遅らせるように修飾することもできる。
ポリペプチド及びそのアナログの合成は当業者に公知である。本発明の任意態様では、本発明のペプチド又はペプチドミメティックは基質結合部位の内側に合致することが好ましい。従って、本発明のペプチド又はペプチドミメティック好ましくは約60オングストローム未満、より好ましくは約45オングストローム未満、より好ましくは約30オングストローム未満、又はより好ましくは約15オングストローム未満である。
所定態様では、アカオジェンはプロテアーゼインヒビター、又はより好ましくはセリンプロテアーゼインヒビターである。LexAとUmuDは複数の細菌種で突然変異の誘導に不可欠の蛋白分解反応を受けるセリン−リジンダイアドプロテアーゼであると考えられる。Roland,KL,ら,J.Biol.Chem.(1990)265:12828−12835;Little,JW.J.Bacteriol.(1993)175:4943−4950;Kim,B,ら,Cell 1993,73:1165−1173;及びSlilaty,SN,Prot.Engineer.(1991)4:919−922参照。LexAの触媒残基(Ser119とLysl56)はセリンプロテアーゼと同様にペプチダーゼ反応を触媒する。Roland,K.L.,J.Biol.Chem.(1990)265,12828−12835参照。更に、セリンプロテアーゼインヒビターであるフルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)はLexAの自己開裂を阻害し、Ser119はDFPと反応する唯一のセリン残基であることが示されている。Roland,KL.,J.of Biol.Chem.,(1990)265(22):12828−12835参照。(DFPの構造を図13に示す)。しかし、これらはアカオジェンの少数の例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンはプロテアーゼインヒビター又はセリンプロテアーゼインヒビター以外のものである。
従って、所定態様では、プロテアーゼインヒビター又はセリンプロテアーゼインヒビター又はそのアナログを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成されるアカオジェンは誘導突然変異率を少なくとも有意量、例えば少なくとも2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上低下させることが好ましい。誘導突然変異レベルの検出方法は本明細書に開示するか又は当分野で公知である。
アカオジェンとなり得るセリンプロテアーゼインヒビターの例としてはDFP(フルオロリン酸ジプロピル、小分子)、AEBSF(アミノエチル−ベンゼンスルホニルフルオリド)、アプロチニン(ウシ肺に由来するトリプシンインヒビター)、アンチパイン、アンチトロンビンIII(例えばヒト血漿由来)、(α)1−アンチトリプシン、APMSF(4−アミジノフェニル−メタンスルホニル−フルオリド)、キモスタチン、ロイペプチン−ヘミ硫酸塩、ペファブロックSC(4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリド)、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、ホスホラミドン、TLCK(1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−2−ヘプタノン)、TPCK(1−クロロ−3−トシルアミド−4−フェニル−2−ブタノン)、及び大豆由来トリプシンインヒビターが挙げられる。図14A−14Eには本発明により意図されるセリンプロテアーゼインヒビターの他の例を示す。
セリンプロテアーゼインヒビターであるアカオジェンはトロンビン、Xa因子、エラスターゼ、トリプターゼ、補体コンバーターゼ、及びC型肝炎NS3プロテアーゼの阻害剤を首尾よく設計するために使用される方法と同様の方法を使用して最適化することができる。Vacca,J.P.Annu.Rep.Med.Chem.(1998)33,81−90;Verstraete,M.Haemostasis(1996)26;Morishima,Y.,Thromb.Haemost.(1997)78,1366−1371;Edwards,P.D.,Med.Res.Rev.(1994)14;Rice,K.D.,Curr.Pharm.Des.(1998)4,381−396;Oda,M.,Jpn.J.Pharmacol.(1990)52,23−34;Steinkuhler,C.,Biochemistry(1998)37,8899−8905;及びLinas−Brunet,M.,ら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1998)8,1713−1718参照。
プロテアーゼインヒビター又はセリンプロテアーゼインヒビターを含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成されるアカオジェンは天然に存在するものでも合成物でもよい。1態様では、アカオジェンはプロテアーゼインヒビターである有機分子を含むか、それから本質的に構成されるか、又は構成される。特に、所定態様では、アカオジェンはプロテアーゼインヒビターとして作用することができる複素環分子を含むことができる。単に一例として、本発明のアカオジェンは式(I):

の一般構造をもつ複素環化合物を含むことができる。
上記式中、R、R、R、R、R、及びRは各々独立して−(CHR−L−Rから構成される群から選択され、前記式中、xは0、1、2、3、又は4から構成される群から選択され;Lは単結合又は−C(O)−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−S(O)であり、jは0、1、又は2であり;RはH、(C−C)アルキル、ハロゲン、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミン、及び−C(O)−(C−C)アルコキシから構成される群から選択される部分であり;RはH、OH、ハロゲン、NH、CN、N、又は場合によりアルキル、アルケニル、アルコキシ、メルカプチル、アルキルアミン、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、及び複素環から構成される群から選択される1〜3個の独立して選択される置換基で置換された部分であり;更に、RとR、RとR、RとR、及びRとRは場合により置換又は未置換環構造を形成することができる。式(I)の構造をもつ化合物はイソクマリンとしても知られる。化合物が式(I)の構造をもつ化合物や、他の複素環プロテアーゼインヒビター、他のプロテアーゼインヒビター、及び他の有機化合物等のアカオジェンとして作用するかどうかは本明細書に記載する方法及び技術により確認することができる。
式(I)の化合物は当業者に公知の標準合成技術を使用するか又は当分野で公知の方法を本明細書に記載する方法と併用することにより合成することができる。更に、式(I)の数種の化合物を各種販売業者から購入することもできる。更に参考として、以下の合成法を使用することができる。
共有結合物とこれらを生成する前駆体官能基(即ち求核基及び求電子基)の選択例を「共有結合物とその前駆体の例」の表題の表に示す。前駆体官能基は求核基及び求電子基として示す。有機物質上の官能基は直接結合してもよいし、有用な任意スペーサー又はリンカーを介して結合してもよい。従って、式(I)の構造をもつ他の化合物を合成するために、表2を利用して前駆体化合物を合成するか又は前駆体化合物に他の官能基を付加することができる。例えば、(a)ハロゲン化アルキル基をもつイソクマリンはチオール基をもつ別の化合物と反応し、チオエーテル基をもつイソクマリンを形成することができ;(b)アミン基をもつイソクマリンはハロゲン化アリール基をもつ化合物と反応し、アリールアミン基をもつイソクマリンを形成することができ;あるいは(c)カルボン酸基をもつイソクマリンはヒドラジド基をもつ化合物と反応し、ヒドラジン基をもつイソクマリンを形成することができる。
所定態様では、式(I)の化合物は保護基を含むことができる。「保護基」なる用語は少なくとも所定の反応性部分をブロックし、保護基が除去(又は「開裂」)されるまで前記基が化学反応に加わらないようにする化学部分を意味する。1側面では、特定試薬は少なくとも3個の異なる官能基をもち、これらの3個の官能基のうちのただ1個を反応させることにより所望生成物が合成される。このような所望生成物は修飾すべきではないと予想される2個の官能基を保護し、こうして第3の官能基を別の反応に利用できるようにすることにより合成することができる。この別の反応が生じたら、保護基を開裂することにより残りの2個の開裂基を復元することができる。従って、得られた化合物は3個の潜在部位の1個のみを修飾されている。
異なる反応条件下で開裂される保護基は分別除去の条件を満たす。保護基は酸、塩基、及び水素化分解により除去することができる。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール及びt−ブチルジメチルシリル等の基は酸に不安定であり、水素化分解により除去可能なCbz基と塩基に不安定なFmoc基で保護されたアミノ基の存在下にカルボキシ及びヒドロキシ反応性部分を保護するために使用することができる。カルボン酸反応性部分とヒドロキシ反応性部分はカルバミン酸t−ブチル等の酸に不安定な基や、酸と塩基の両方に安定であるが、加水分解により除去可能なカルバミン酸でブロックされたアミンの存在下に塩基に不安定な基(限定されないが、例えばメチル、エチル、及びアセチル)でブロックすることができる。
カルボン酸反応性部分とヒドロキシ反応性部分はベンジル基等の加水分解により除去可能な保護基でブロックすることもでき、酸と水素結合可能なアミン基はFmoc等の塩基に不安定な基でブロックすることができる。カルボン酸反応性部分は本明細書に例証するように単純エステル誘導体への変換により保護することもできるし、2,4−ジメトキシベンジル等の酸化的に除去可能反応性基でブロックすることもでき、共存するアミノ基はフッ化物に不安定なカルバミン酸シリルでブロックすることができる。
アリルブロッキング基は安定であり、後で金属又はπ酸触媒により除去できるので酸及び塩基保護基の存在下で有用である。例えば、アリルでブロックされたカルボン酸は酸に不安定なカルバミン酸t−ブチル又は塩基に不安定な酢酸アミン保護基の存在下にPdO触媒反応で脱保護することができる。更に別の形態の保護基は化合物又は中間体を結合することができる樹脂である。残基が樹脂と結合している限り、その官能基はブロックされ、反応することができない。樹脂から遊離されると、官能基は反応することができる。
ブロッキング/保護基は下記基:

から選択することができる。
他の保護基はその開示内容全体を参考資料として本明細書に組込むGreene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999に記載されている。
本明細書に記載する任意アカオジェンは1個以上のキラル中心をもつことができ、各中心はR又はS配置で存在することができる。本明細書に記載するアカオジェンは全ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマー体と適当なその混合物を含む。立体異性体は所望により、例えば、キラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離等の当分野で公知の方法により得ることができる。当然のことながら、本発明は本明細書に記載する任意所与化合物に限定されず、所定態様では、該当アカオジェンは本明細書に記載するような式Iの化合物以外の分子である。
本明細書に記載する方法及び製剤は式(I)の構造をもつアカオジェンのN−オキシド、結晶体(多形体とも言う)又は医薬的に許容可能な塩と、同一型の活性をもつこれらのアカオジェンの活性代謝産物を含むことがてきる。全互変異性体が本明細書に記載するアカオジェンの範囲に含まれる。更に、本明細書に記載するアカオジェンは非溶媒和形態で存在することもできるし、水、エタノール等の医薬的に許容可能な溶媒との溶媒和形態で存在することもできる。本明細書に記載する化合物の溶媒和形態も本明細書に開示しているものとみなす。
所定態様では、アカオジェンはプロテアーゼインヒビター以外、セリンプロテアーゼインヒビター以外、合成プロテアーゼインヒビター以外、天然プロテアーゼインヒビター以外、合成セリンプロテアーゼインヒビター以外、又は天然プロテアーゼインヒビター以外のものである。
LexA及びUmuDに類似のプロテアーゼに対する阻害剤の開発は確立薬剤設計法を使用して実施されている。Vacca,JP.,Annu.Rep.Med.Chem.(1998)33:81−90;Verstraete,M,Haemostasis(1996)26 Suppl.4:70−77;Morishima,Y.,Throb.Haemost.(1997)78:1366−1371;Edwards,PD,ら,Med.Res.Rev.(1994)14(2):127−94;Rice,KD,ら,Curr.Pharm.Des.(1998)4:381−396;Oda,M,ら,Jpn.J.Pharmacol.(1990)52:23−34;Steinkuhler,C.,Biochemistry,(1998)37:8899−8905;Llinas−Brunet,M.,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1998)8:1713−1718;及びBoger,DL.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,(2001)11:1517−1520参照。
所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異のネガティブレギュレーターである天然物質又は天然物質のアナログとすることができる。誘導突然変異のネガティブレギュレーターである天然物質の例としては限定されないが、DinI、PsiB、ClpXP、Lonプロテアーゼ、及びその任意フラグメント、ホモログ、又はアナログが挙げられる。これらはアカオジェンのごく少数の例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンは単離及び/又は精製DinI、PsiB、ClpXP、又はLonプロテアーゼ以外のものである。更に、所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異のネガティブレギュレーターとして作用する天然物質又は天然物質のアナログ以外のものである。
染色体によりコードされるDinI及びF−プラスミドによりコードされるPsiBはRecAと結合し、LexA自己開裂及び/又はUmuD開裂を阻害すると考えられる。McKenzie,G.,Proc.Natl.Aced.Sci.USA(2000)97,6646−6651;Bagadasarian,M.,ら,Mol.Microbiol.(1992)6,885−893;Yasuda,T.,EMBO J.(1998)17,3207−3216参照。(生存に必要なsulA欠失バックグラウンドで)lexA欠失により抑制解除されると、SOS応答が完全に誘導されてもPsiBは誘導突然変異を完全に抑制できることが実験により判明した。同一状況でpsiBも欠失させると、超変異状態が完全に発現される。更に、PsiBはRecAとの結合についてLexAとUmuDの両者と競合するが、DinIはUmuDとしか競合しない。Yasuda,T.,ら,EMBO J 1998,17:3207−3216;Yasuda,T.,EMBO(2001)20:1192−1202;及びBagadasarian,M.,Mol Microbiol.(1992)6:885−893参照。
更に、誘導突然変異はプロテアーゼによる負の調節下におかれる場合もある。例えば、細菌では誘導突然変異は1種以上のプロテアーゼ(例えばClpXP及びLonプロテアーゼ)により負に調節ないし抑制される。Frank,E,G.,ら,Proc.Ned.Aced.Sci.USA(1996)93,10291−10296参照。LonプロテアーゼはUmuD及びUmuC蛋白質を分解し、ClpXPはUmuD’/UmuDヘテロダイマーのUmuD’を特異的に蛋白分解する。これらのプロテアーゼは適切な突然変異が獲得されると超突然変異状態から迅速に離脱すると考えられる。
従って、所定態様では、本発明のアカオジェンは単離及び/又は精製DinI、PsiB、ClpXP、Lonプロテアーゼ、又はそのフラグメント、ホモログ、もしくはアナログとすることができる。特に、本発明は細胞又は生物における突然変異率を低下させるためにDinI、PsiB、ClpXP、Lonプロテアーゼのペプチドミメティック、又はそのフラグメント、ホモログ、もしくはアナログを使用するものである。他の態様では、本発明のアカオジェンは単離及び/又は精製DinI、PsiB,ClpXP,Lonプロテアーゼ、又はそのフラグメント、ホモログ、もしくはアナログ以外のものである。
本発明の任意態様では、アカオジェンは適正な設計又はライブラリーに基づく選択もしくはスクリーニング(例えば、ファージディスプレイ又は高スループットスクリーニング)によりその標的蛋白質(例えばRecA、LexA、又はUmuD)に対する親和性を増加するように改変された誘導突然変異を抑制する遺伝子産物(例えばPsiB、DinI、ClpXPプロテアーゼ、Lonプロテアーゼ、及びそのホモログ)の蛋白質又はペプチドミメティックとすることができる。アカオジェンペプチドミメティックは標的結合の改善(例えば、大腸菌におけるRecA又はLexA)又は薬物動態の改善(例えば、安定性、細胞浸透性、又は標的特異性の改善)を含む機能改善のために改変された適当な蛋白質又はペプチドフラグメントのアミノ酸配列に基づいて設計することができる。
(IV.核酸)
所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異のネガティブレギュレーターをコードする核酸を含むか又はそれから構成される。誘導突然変異のネガティブレギュレーターの例としてはDinI、PsiB、ClpXP、Lonプロテアーゼ、及びその任意フラグメント、ホモログ又はアナログが挙げられる。好適態様では、このような核酸は単離されている。これらは本発明のアカオジェンの数例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンはDinI、PsiB、ClpXP、又はLonプロテアーゼをコードする単離核酸以外のものである。
所定態様では、本発明はファージ粒子を含むアカオジェンに関し、前記ファージ粒子のゲノムは誘導突然変異のネガティブレギュレーターをコードする核酸から構成される。例えば、本発明のアカオジェンはそのゲノムがDinI、PsiB、ClpXP、Lonプロテアーゼ、又はその任意フラグメント、ホモログ、もしくはアナログをコードするバクテリオファージとすることができる。このようなファージは単離されていることが好ましい。更に、PsiB又はDinIの転写及び/又は翻訳を強化する核酸分子も本発明により意図される。ファージ及びファージミドは本発明で意図されるアカオジェンの一例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンは上記のようなファージ又はファージミドを含まないものである。
所定態様では、本発明は誘導突然変異を増加する遺伝子又は遺伝子のレギュレーター(例えばdinB、lexA、recA、recB、recC、recD、recF、recG、recN、polB、priA、ruvA、ruvB、ruvC、umuC、umuD、uvrA、uvrB、及びuvrD)と結合するアカオジェンに関する。このようなアカオジェンとしては例えば、細胞又は生物における突然変異率を増加する遺伝子産物(例えばRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、及びその任意ホモログ又はアナログ)と結合又は相互作用するアンチセンス核酸、リボザイム、亜鉛フィンガー、RNAi、又は三重螺旋核酸が挙げられる。このようなアカオジェンが誘導突然変異に感受性であるか又は誘導突然変異下にある細胞又は生物に導入されると、このような誘導突然変異の率を抑制することができる。上記態様はアカオジェンの一例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異率を増加する遺伝子と特異的に結合する核酸以外のもの、あるいは、RecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、もしくはUvrD又はその相補的核酸をコードする核酸と特異的に結合する核酸以外のものである。
所定態様では、アカオジェンは例えば、誘導突然変異システムのネガティブレギュレーター(例えばpsiB、dinI、Ion、又はclpXPプロテアーゼ)又はその任意ホモログ、アナログもしくはネガティブレギュレーターフラグメントをコードする核酸を含むことができる。これは本発明のアカオジェンの一例に過ぎず、所定態様では、アカオジェンは誘導突然変異誘発のネガティブレギュレーター又はpsiB、dinI、lon、及びclpXPプロテアーゼの1種以上をコードする核酸を含まない。
任意核酸は(例えばcDNAライブラリーから)クローニングし、ベクターに挿入することができる。ベクターは全目的で参考資料として本明細書に組込むSambrook,J.ら,“Molecular Cloning,A Laboratory Manual,”(Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.1989)、及びAusubel,F.M.ら,“Current Protocols in Molecular Biology”,(John Wiley & Sons,New York,N.Y.,1989)に開示されている方法等の方法を使用して構築することができる。ベクターはプロモーター及び/又は開始コドン及び/又は調節配列を含む発現カセットをベクターに挿入することにより所望遺伝子産物(例えばPsiB、DinI、Lonプロテアーゼ、及びClpXPプロテアーゼ)を生産するために使用することかできる。発現カセットと調節配列は宿主細胞に基づいて選択することができる。本発明の発現ベクターを使用して宿主細胞に導入すればよい。その後、核酸(例えばpsiB、dinI、lon、又はclpXP)の発現を可能にする適当な条件下に宿主細胞を維持する。
本発明のベクターはファージ療法に使用することもできる。ファージ療法は全目的で参考資料として本明細書に組込む米国特許第6,054,312号に開示されている。特に、本発明は外来核酸を細菌細胞に移入及び組込む手段としてファージ療法を使用するものである。所定態様では、誘導突然変異応答のネガティブレギュレーター(例えばDinI、PsiB、CIpXPプロテアーゼ、もしくはLonプロテアーゼ、又はその任意ホモログ、もしくはフラグメント)をコードする核酸をファージプラスミド(ファージミドとも言う)に挿入する。ファージミドはプラスミドとファージの特徴を兼備する。ファージミドは線維状ファージの複製起点及びパッケージングシグナルと、プラスミド複製起点を含む。外来核酸分子のクローニング及び/又は発現に有用な他のエレメントも一般に存在する。このようなエレメントとしては限定されないが、選択遺伝子、多重クローニング部位、プライマー配列が挙げられる。ファージミドはヘルパーファージによりレスキューされるとファージ粒子にパッケージングすることができる。本明細書で使用する「ファージ粒子」とはファージゲノム又はファージミドゲノムを含む粒子を意味する。粒子はファージゲノムとキャプシド蛋白質に加えて他の分子も含むことができる。
多数のファージベクター及びファージミドが市販されている。例えば、pEGFPベクターシリーズ(Clontech;Palo Alto,Calif.)、M13mpベクター(Pharmacia Biotech,Sweden)、pCANTAB SE(Pharnacia Biotech)、pBluescriptシリーズ(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,Calif.)等を使用することができる。他のベクターも科学機関で入手可能である(例えばSmith,in Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and their Uses,Rodriquez and Denhardt,eds.,Butterworth,Boston,pp 61−84,1988参照)か、又は下記原理に従い、標準方法(Sambrookら,Molecular Biology:A Laboratory Approach,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing,N.Y.,1994)を使用して構築することができる。
好適態様では、細胞又は生物における誘導突然変異を抑制する遺伝子産物をコードする核酸を送達するためにファージ粒子を使用する。例えば、細菌感染症に罹患しているか又は感受性の任意生物にファージを投与することができる。細菌細胞にターゲティングするためのファージ技術の使用をファージ療法と言うことが多い。ファージ療法の利点の1つはファージが細菌特異的であるという点である。従って、細菌に外来核酸をトランスフェクトするが、周囲の哺乳動物細胞は影響を受けない。更に、ファージは哺乳動物消化管に一般的である苛酷な環境及び条件に耐えることができるので、経口/全身製剤及び投与に適している。
本発明の任意態様では、真核細胞(例えば哺乳動物細胞)で複製することができるベクターに本発明の核酸を挿入することができる。好適態様では、このような構築物は転写終結配列、ポリアデニル化配列、スプライスドナー及びアクセプター部位、並びにエンハンサーを含む。哺乳動物細胞又は他の真核細胞における構築物の発現と維持に有用な他のエレメントも組込むことができる。構築物の一部は細菌細胞で生産されるので、細菌での増殖に必要であるか又は増殖を可能にするエレメントも組込む。
トランスジーンの発現を制御するプロモーターは標的細胞で活性又は活性化可能でなければならない。標的細胞は哺乳動物、鳥類、植物等とすることができる。本発明の用途はヒト、イヌ、ネコ、ウマ等を含む哺乳動物細胞のトランスフェクションを含む。プロモーターの選択は標的細胞型と所望される制御の程度又は型に部分的に依存する。本発明の関連で適切なプロモーターとしては限定されないが、構成的、誘導的、組織特異的、細胞型特異的、時期特異的、又はイベント特異的プロモーターが挙げられる。
構成的又は非特異的プロモーターの例としてはSV40初期プロモーター(米国特許第5,118,627号)、SV40後期プロモーター(米国特許第5,118,627号)、CMV初期遺伝子プロモーター(米国特許第5,168,062号)、ウシパピローマウイルスプロモーター、及びアデノウイルスプロモーターが挙げられる。ウイルスプロモーターに加え、細胞プロモーターも本発明の関連で利用可能である。特に、所謂「ハウスキーピング」遺伝子の細胞プロモーターが有用である(例えばβ−アクチン)。ウイルスプロモーターは細胞プロモーターよりも強力なプロモーターであることが多い。
本発明の任意態様では、核酸アカオジェンをウイルスベクターに挿入することができる。ウイルスベクターは多種多様な標的細胞に遺伝子を導入するために従来技術で使用されている。一般に、所望ポリペプチドの発現から有用な治療又は予防効果を提供するために十分な割合の細胞で形質転換が生じるようにベクターを標的細胞に暴露する。トランスフェクトした核酸(オリゴヌクレオチド)は標的細胞(例えば腫瘍細胞)のゲノムに永続的に組込まれるように局所又は全身投与することができる。あるいは、投与を周期的に繰返してもよい。ウイルスベクターとプラスミドベクターの両者の種々のベクターが当分野で公知である(米国特許第5,252,479号及びWO93/07282参照)。特に、多数のウイルスが遺伝子導入ベクターとして使用されており、SV40等のパポバウイルス、ワクチンウイルス、アデノウイルス、HSVやEBV等のヘルペスウイルス、及びレトロウイルスが挙げられる。従来技術の多くの遺伝子治療プロトコールは欠損マウスレトロウイルスを利用している。
(V.抗体)
本発明のアカオジェンは細胞又は生物における突然変異率を増加する遺伝子産物と特異的に結合してこれを不活化する抗体も含むことができる。このような遺伝子産物の例としては限定されないが、LexA、PolII、PolIV、PolV、RecA、RecN、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、並びにその任意ホモログ、アナログ及びフラグメントが挙げられる。所定態様では、本発明の抗体はその開裂可能なコンホメーションでLexAと特異的に結合する。所定態様では、本発明の抗体はその活性化コンホメーションでRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrDと結合する。
本発明で有用な抗体は完全抗体、1本鎖抗体、及びその抗原結合フラグメントとすることができる。好ましくは、抗体としては限定されないが、Fab、Fab’及びF(ab’)2、Fd、1本鎖Fv(scFv)、1本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)及びVL又はVHドメインを含むフラグメントが挙げられる。本発明の抗体はポリクローナル、モノクローナル、キメラ、又はヒト化のいずれでもよい。本発明の抗体は鳥類や哺乳動物を含む任意動物に由来することができる。本発明の抗体はマウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、又はニワトリに由来することが好ましい。抗体はヒトに由来するか又はヒト化されていることがより好ましい。本発明の抗体は(原核又は真核を問わずに)細胞又は生物における突然変異率を低下させるために使用することができる。
所定態様では、本発明の抗体はエピトープをもつポリペプチドを使用して作製され、エピトープをもつポリペプチドはLexAの活性部位又は開裂部位を含むか又はそれから構成される。例えば、エピトープをもつポリペプチドは配列番号1、2、又は3(VAAG、VAAGEPL、又はVAAGEPLLAW)を含むか又はそれから構成することができる。一般に、本発明のエピトープをもつポリペプチドは約1−50アミノ酸長、より好ましくは約2−40アミノ酸長、より好ましくは約3−30アミノ酸長、より好ましくは約4−25アミノ酸長、又はより好ましくは5−10アミノ酸長である。所定態様では、、本発明のエピトープをもつポリペプチドはLexAのSer119及び/又はLys156を含むLexAのペプチド配列を含む。
本発明の抗体は当分野で公知の適切な任意方法により作製することができる。例えば、Jonesら,Nature(1986)321:522−525はヒト抗体のCDRをマウス抗体に由来するもので置換する方法を開示している。Marx,Science(1985)229:455−456はマウス可変領域とヒト定常領域をもつキメラ抗体を記載している。Rodwell,Nature(1989)342:99−100は抗体CDR情報から誘導される低分子量認識エレメントを記載している。Clackson,Br.J.Rheumatol.(1991)3052:36−39はFvフラグメント誘導体1本鎖抗体、融合蛋白質キメラ抗体及びヒト化齧歯類抗体を含む遺伝子組換えモノクローナル抗体を記載している。Reichmanら,Nature(1988)332:323−327はラット超可変領域がグラフトされたヒト抗体を開示している。Verhoeyenら,Science(1988)239:1534−1536はヒト抗体へのマウス抗原結合部位のグラフトを記載している。
更に別の態様では、ファージを使用して細菌細胞での発現に耐えることができる抗体を細菌に導入する。このような抗体は誘導突然変異に必要な細菌遺伝子(例えばRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、並びにその任意ホモログ、アナログ及びフラグメント)と結合し、その機能を不活化することができる。
更に、当業者は本発明の抗体の相補性決定領域と同等以上の結合特性をもつペプチドミメティックを設計し、生産することができる。Horwellら,Bioorg.Med.Chem.(1996)4:1573;Liskampら,Recl.Trav.Chim.Pays−Basl(1994)113;Ganteら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1994)33:1699;Seebachら,Helv.Chim.Acta(1996)79:913)。従って、本発明は本発明の抗体のアナログとペプチドミメティックにも関する。
(VI.アカオジェンとしてのポリメラーゼ阻害剤)
本発明の任意態様では、突然変異を誘導する生化学的経路を調節するためにアカオジェンを使用することができる。このような生化学的経路はプロテアーゼ、DNA結合蛋白質、ヘリカーゼ、DNAポリメラーゼ、及び他の蛋白質を含む。Goodman,NE:Error−prone repair DNA polymerases in prokaryotes and eukaryotes.Annu Rev Biochem 2002,71:17−50;Nickoloff,JA,Hoekstra,MF(eds.)DNA Damage and Repair(Humana Press,Totowa,New Jersey,1998)参照。従って、所定態様では、アカオジェンは突然変異を誘導する遺伝子産物(例えばジャイレース、ヘリカーゼ、エラープローンDNAポリメラーゼ等)と特異的に結合してその活性を阻害する組成物を含む。このような遺伝子産物の例としてはRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、及びその任意ホモログ、アナログ、又は突然変異誘導フラグメントが挙げられる。
抗生物質耐性の出現は誘導型で非複製型の突然変異誘発ポリメラーゼの機能の抑制により防止することもできる。このようなポリメラーゼとしては大腸菌のPolII、PolIV及びPolV又は他の種におけるその機能的アナログ(例えばMTbのDnaE2)が挙げられる。本質的に、本発明は停止した複製フォークでDNA複製を再開させる「高信頼性」手段を細菌に使用させようとするものである。例えば、「高信頼性」複製経路を細菌に使用させる方法は突然変異能を低下させ、従って、抗生物質耐性を発生しにくくする。大腸菌では、遺伝子破壊によるPolII、PolIV又はPolVの不活化の結果、シプロフロキサシン耐性の発生が有意に低下することが示されている。
MTbで単一の突然変異誘発ポリメラーゼ(即ちDnaE2)を不活化させると、リファンピシン耐性のin vitro及びin vivo発生に必要な誘導突然変異応答が低下する。Boshoff,HIM,Reed,MB.,Cell(2003)113:183−193参照。しかし、他の突然変異誘発ポリメラーゼが耐性を助長するように機能し続ける恐れがある。従って、好適態様では、(LexA蛋白分解の抑制により上記のような遺伝子調節レベルで)その生産又は(ポリメラーゼ酵素活性のレベルで)その機能を抑制することにより、多く又は全部の突然変異誘発ポリメラーゼの機能を同時に抑制する。突然変異誘発ポリメラーゼ活性部位内の選択性が低下し、更にこれらのエラープローン酵素は酵素3’→5’エキソヌクレアーゼ活性によりヌクレオチドミスペアを除去することができないので、これらのポリメラーゼは複製ポリメラーゼにより拒絶されたヌクレオシドアナログを認識し、組込み、除去しない。従って、ヌクレオシドアナログ(例えばヌクレオ塩基又は糖環を修飾したジデオキシヌクレオシド)は高信頼性ポリメラーゼを阻害せずにこれらの突然変異誘発ポリメラーゼを選択的に阻害することができる。1態様では、複数の突然変異誘発ポリメラーゼを阻害する単一阻害剤を使用し、単一のエラープローンポリメラーゼの阻害により達成可能な程度よりも著しく強い突然変異抑制を達成することができる。
従って、本発明はDNAポリメラーゼ、より好ましくは誘導性DNAポリメラーゼII、IV、及び/又はV、又はより好ましくは誘導性DNAポリメラーゼIV及び/又はVを阻害する組成物と方法に関する。このような組成物(例えばアカオジェン)としては上記ポリメラーゼと結合してその酵素活性を阻害し、上記ポリメラーゼ転写産物と結合して翻訳を阻止することができる小分子、アンチセンス核酸、ポリペプチド、糖ペプチド、脂質、ジデオキシヌクレオチド、及びそのミメティック、誘導体又は変異体が挙げられる。
本発明の任意態様では、アカオジェンは細胞又は生物における突然変異率を少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも4倍、又はより好ましくは少なくとも5倍低下させる。本発明の任意態様では、アカオジェンは細胞又は生物における突然変異率をアカオジェンの不在下の突然変異率に比較して少なくとも2%、5%、10%、20%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上低下させる。
同様に、所定態様では、アカオジェンは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100個の置換突然変異の獲得を抑制する。所定態様では、アカオジェンは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100個の欠失/挿入突然変異の発生を抑制する。
(VII.医薬製剤)
本発明は治療又は予防効果を達成するために有効な量のアカオジェンと医薬的に有効なキャリヤーを含有する医薬製剤に関する。
実際の有効量は治療する症状、投与経路、症状を治療するために使用される薬剤、及び患者の病歴により異なる。有効量の決定は当業者が十分に実施可能である。ヒトで使用する有効量は動物モデルから決定することができる。例えば、動物で有効であることが認められた循環濃度を達成するようにヒト用量を決定することができる。アカオジェンを別の治療薬(例えば抗生物質、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗原生動物薬等)と合剤化する場合には、アカオジェンの有効量を変更することができる。このような場合には、両方の活性成分の相乗効果の結果として必要な用量が減ると考えられる。
好ましくは、活性成分(例えばアカオジェン又は第2の治療薬)の有効量は患者体重1kg当たり活性剤約0.0001mg〜約500mg、より好ましくは患者体重1kg当たり活性剤約0.001〜約250mg、更により好ましくは患者体重1kg当たり活性剤約0.01mg〜約100mg、更により好ましくは患者体重1kg当たり活性剤約0.5mg〜約50mg、最も好ましくは患者体重1kg当たり活性剤約1mg〜約15mgである。重量百分率で換算すると、活性剤(例えばアカオジェン又は第2の治療薬)の医薬製剤は好ましくは約0.0001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%を含有する。
本発明の任意製剤では、アカオジェンを塩、プロドラッグ、又は代謝産物として製剤化することができる。このような製剤は更に抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原生動物薬、及び/又は抗腫瘍薬等の付加治療薬を加えることができる。
アカオジェンと合剤化することができる抗生物質の例としてはアミノグリコシド、カルバペネム、セファロスポリン、セフェム、糖ペプチド、フルオロキノロン/キノロン、マクロリド、オキサゾリジノン、ペニシリン、ストレプトグラミン、スルホンアミド、及びテトラサイクリンが挙げられる。
アミノグリコシドはグラム陰性菌に対して有効であることが分かっている抗生物質群である。アミノグリコシドは併発尿路感染症、敗血症、腹膜炎及び他の重症腹腔内感染症、重症骨盤内炎症性疾患、心内膜炎、マイコバクテリア感染症、新生児敗血症、並びに各種眼感染症を治療するために使用される。グラム陽性菌とグラム陰性菌の両者に対応するためにペニシリン及びセファロスポリンと併用することが多い。アミノグリコシドの例としてはアミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネトロマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、パロモマイシン、及びネオマイシンか挙げられる。
カルバペネムはグラム陽性菌、グラム陰性菌、及び嫌気性微生物を防除するために使用される類の広域抗生物質である。カルバペネムは静脈内投与用に市販されているので、経口薬では十分に対応できない重症感染症に使用される。例えば、カルバペネムは下気道感染症、尿路感染症、腹腔内感染症、産婦人科及び分娩後感染症、敗血症、骨及び関節感染症、皮膚及び皮膚構造感染症、並びに髄膜炎等の重症単独又は混合細菌感染症を治療するために使用されることが多い。カルバペネムの例としてはイミペネム/シラスタチンナトリウム、メロペネム、エルタペネム、及びパニペネム/ベタミプロンが挙げられる。
セファロスポリンとセフェムはグラム陽性菌、グラム陰性菌、及びスピロヘータ感染症を治療するために使用される広域抗生物質である。セフェムは次世代セファロスポリンであるとみなされ、新薬はグラム陰性菌に対して強力であり、旧薬はグラム陽性菌に対して良好である。セファロスポリンとセフェムは一般にペニシリンアレルギーに代用され、一般尿路感染症及び上気道感染症(例えば咽頭炎及び扁桃腺炎)を治療するために使用することができる。セファロスポリンとセフェムは中耳炎、所定の皮膚感染症、気管支炎、下気道感染症(肺炎)、及び骨感染症(所定部分)を治療するためにも使用され、外科予防の好適抗生物質である。セファロスポリンの例としてはセフィキシム、セフポトキシム、セフチブテン、セフジニル、セファクロル、セフプロジル、ロラカルベフ、セファドロキシル、セファレキシン、及びセフラジネゼが挙げられる。セフェムの例としてはセフェピム、セフピロム、セフタジジム5水和物、セフタジジム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフォタキシム、セフテラム、セフォチアム、セフロキシム、セファマンドール、セフロキシムアキセチル、セフォテタン、セファゾリンナトリウム、セファゾリン、セファレキシンが挙げられる。
フルオロキノロン/キノロンはグラム陰性菌感染症を治療するために使用される抗生物質であるが、所定の新薬はグラム陽性菌と嫌気性生物に対する活性をもつ。フルオロキノロン/キノロンは尿路感染症、性感染症(例えば淋病、クラミジア尿道炎/子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患)、グラム陰性菌胃腸感染症、軟組織感染症、眼感染症、皮膚感染症、副鼻腔炎、及び気道感染症(例えば気管支炎、肺炎、及び結核)等の症状を治療するために使用することが多い。フルオロキノロン/キノロンは多剤耐性結核、発熱性好中球減少癌患者、及び潜在的に炭疽病等の症状を治療するために他の抗生物質と併用される。フルオロキノロン/キノロンの例としてはシプロフロキサシン、レボフロキサシン、及びオフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、モキシフロキサシン、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、及びパズフロキサシンが挙げられる。
糖ペプチドとストレプトグラミンはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)等の他の抗生物質に耐性の細菌に対処するために使用される抗生物質である。ペニシリンアレルギー患者にも使用される。糖ペプチドの例としてはバンコマイシン、テイコプラニン、及びダプトマイシンが挙げられる。
マクロリドは広域抗生物質であり、ペニシリンとセファロスポリンの主要代用薬である。マクロリドは気道感染症(例えば中耳炎、慢性副鼻腔炎、気管支炎、咽頭炎、肺炎、扁桃腺炎、及び連鎖球菌性咽頭炎)、性感染症(例えば子宮頸管や尿路の感染症、男性性器潰瘍、梅毒)、及び日和見感染症(例えば肺炎及びトリ結核菌(MAC)感染症)を治療するために使用することが多い。マクロリドの例としてはエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、アキシスロマイシン、ジリスロマイシン、トロレアンドマイシン、オレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、及びテリスロマイシンが挙げられる。
オキサゾリジノンは一般にグラム陽性菌感染症を治療するために投与される。カルバペネムはグラム陽性菌、グラム陰性菌、及び/又は嫌気性生物を防除するために使用される。オキサゾリジノンは耐性を発生した細菌に対して他の抗生物質類の代用薬として一般に使用される。オキサゾリジノンの例としてはリネゾリドが挙げられる。
ペニシリンはグラム陽性菌、グラム陰性菌、及びスピロヘータ感染症を治療するために使用される広域抗生物質である。ペニシリンで治療されることが多い症状としては肺炎球菌性及び髄膜球菌性髄膜炎、皮膚感染症、耳感染症、呼吸器感染症、尿路感染症、急性副鼻腔炎、肺炎、及びライム病が挙げられる。ペニシリンの例としてはペニシリン、アモキシシリン、アモキシシリン−クラブラン酸、アンピシリン、チカルシリン、ピペラシリン−タゾバクタム、カルベニシリン、ピペラシリン、メゾシリン、ベンザチンペニシリンG、ペニシリンVカリウム、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、及びジクロキサシリンが挙げられる。
ストレプトグラミンは既存抗生物質の効力を低下させた細菌耐性に対応して開発された抗生物質である。ストレプトグラミンは非常に小分類の薬剤であり、現状では非常に高価である。ストレプトグラミンの例としてはキヌプリスチン/ダフォプリスチンとプリスチナマイシンが挙げられる。
スルホンアミドは細菌の耐性増加により使用頻度が低下している広域抗生物質である。スルホンアミドはリウマチ熱の再発防止、尿路感染症、気管及び肺感染症予防、旅行者下痢症、百日咳、髄膜炎菌症、性感染症、トキソプラズマ症、及び鼻炎を治療するために一般に使用される。スルホンアミドの例としてはコトリモキサゾール、スルファメトキサゾールトリメトプリム、スルファジアジン、スルファドキシン、及びトリメトプリムが挙げられる。
テトラサイクリンはグラム陽性菌、グラム陰性菌、及び/又はスピロヘータ感染症を治療するために使用することが多い広域抗生物質である。テトラサイクリンは慢性気管支炎及び腹膜炎、尿路感染症、リケッチア、クラミジア、淋病、ライム病、及び歯周病等の混合感染症を治療するために使用することが多い。テトラサイクリンは梅毒治療のペニシリン代用薬であり、にきびや炭疽病の治療にも使用される。テトラサイクリンの例としてはテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、及びドキシサイクリンが挙げられる。
本発明で意図される他の抗生物質(上記と重複するものもある)としては、アブリファム;アクロフロキサシン;アプテシン、アモキシシリン+クラブロン酸;アミカシン;アパルシリン;アプラマイシン;アストロマイシン;アルベカシン;アスポキシシリン;アジドジリン;アジスロマイシン;アズロシリン;アズトレオナム;バシトラシン;ベンザシンペニシリン;ベンジルペニシリン;クラリスロマイシン、カルベンシリン;セファクロル;セファドキシル;セファレキシン;セファマンドール;セファパリン;セファトリジン;セファゾリン;セフブペラゾン;セフカペン;セフジニル;セフジトレン;セフェピム;セフェタメト;セフィキシム;セフメタゾール;セフミノクス;セフォペラゾン;セフォラニド;セフォタキシム;セフォテタン;セフォチアム;セフォキシチン;セフピミゾール;セフピラミド;セフドキシム;セフプロジル;セフラジン;セフロキサジン;セフスロジン;セフタジジム;セフトリアキソン;セフロキシム;セファレキシン;クロラムフェニコール;クロロテトラサイクリン;シクラシリン;シノキサシン;シプロフロキサシン;クラリスロマイシン;クレミゾールペニシリン;クレオシン、クレオシン−T、クリンダマイシン;クロキサシリン;コリファム;ダプトマイシン;ダプトマイシン;デメクロサイクリン;デスキノロン;ジベカシン;ジクロキサシリン;ジリスロマイシン;ドキソサイクリン;エノキサシン;エピシリン;エリスロマイシン;エタンブトール;ゲミフロキサシン;フェナムピシン;フィナミシナ;フレロキサシン;フロモキセフ;フルクロキサシリン;フルメキン;フルリスロマイシン;ホスホマイシン;ホスミドマイシン;フシジン酸;ガチフロキサシン;ゲミフロキサシン;ゲンタマイシン;イミペネム;イミペネム+シリスタチン合剤;イセパマイシン;イソニアジド;ジョサマイシン;カナマイシン;カスガマイシン;キタサマイシン;カルリファム、ラタモキセフ;レボフロキサシン、レボフロキサシン;リンコマイシン;リネゾリド;ロモフロキサシン;ロラカルベフ;ライムサイクリン;メシリナム;メロペネム;メタサイクリン;メチシリン;メトロニダゾール;メズロシリン;ミデカマイシン;ミノサイクリン;ミオカマイシン;モキシフロキサシン;ナフシリン;ナフシリン;ナリジキシン酸;ネオマイシン;ネチルマイシン;ノルフロキサシン;ノボビオシン;オフラキサシン;オレアンドマイシン;オキサシリン;オキソリン酸;オキシテトラサイクリン;パロマイシン;パズフロキサシン;ペフロキサシン;ペニシリンg;ペニシリンv;フェネチシリン;フェノキシメチルペニシリン;ピペミジン酸;ピペラシリン;ピペラシリン+タゾバクタム合剤;ピロミジン酸;プロカインペニシリン;プロピシリン;ピリメタミン;リファジン;リファブチン;リファミド;リファンピン;リファマイシンsv;リファペンテン;リフォマイシン;リマクタン、ロファクト;ロキタマイシン;ロリテトラサイクリン;ロキシスロマイシン;ルフロキサシン;シタフロキサシン;スパルフロキサシン;スペクチノマイシン;スピラマイシン;スルファジアジン;スルファドキシン;スルファメトキサゾール;シソマイシン;ストレプトマイシン;スルファメトキサゾール;スルフィソキサゾール;キヌプリスタン−ダルフォプリスタン;テイコプラニン;テリスロマイシン;テモシリン;ガチフロキサシン;テトラサイクリン;テトロキソプリム;テリスロマイシン;チアムフェニコール;チカルシリン;チゲサイクリン;トブラマイシン;トスフロキサシン;トリメトプリム;トリメトレキセート;トロバフロキサシン;バンコマイシン;ベルダマイシン;アジスロマイシン;及びリネゾリドが挙げられる。
アカオジェンと合剤化することができる抗腫瘍薬の例としてはアシビシン;アクラルビシン;塩酸アゴダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アンスラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾドマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブリキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチメル;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴル;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシラート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エチオダイズド油;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモホシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;パーホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウムsr 89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトトレキセート;グルクロン酸トリメトトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルヒシンが挙げられる。本明細書に開示するか又は当分野で公知の他の抗腫瘍薬も本発明により意図される。
「医薬的に許容可能なキャリヤー」は本発明のアカオジェンを動物又はヒトに送達するための医薬的に許容可能な溶剤、懸濁剤又はビークルである。キャリヤーは例えば気体、液体又は固体とすることができ、予定投与方法を考慮して選択される。
経口医薬製剤の医薬的に許容可能なキャリヤーの例としては乳糖、蔗糖、ゼラチン、寒天及びバルク粉末が挙げられる。利用可能な液体キャリヤーの例としては水、医薬的に許容可能な油脂、アルコール又は他の有機溶剤(エステルを含む)、エマルション、シロップ又はエリキシル剤、懸濁液、溶液及び/又は懸濁液、並びに非発泡顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡顆粒から再構成された発泡製剤が挙げられる。このような液体キャリヤーは例えば適切な溶剤、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味剤、増粘剤、及び溶解剤を添加することができる。好ましいキャリヤーは食用油(例えばコーン油又はキャノーラ油)である。ポリエチレングリコール(例えばPEG)も好ましいキャリヤーである。
局所製剤用の医薬的に許容可能なキャリヤーの例としては軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ジェル、スプレー、エアゾール又は油が挙げられる。あるいは、製剤は経皮パッチ又は包帯(例えば活性成分(例えばアカオジェン及び/又は第2の治療薬)と場合により1種以上のキャリヤー又は希釈剤を含浸させた包帯)でもよい。局所製剤は活性成分を皮膚又は他の患部に吸収又は浸透し易くする化合物を加えることができる。このような皮膚浸透促進剤の例としてはジメチルスルホキシドと関連アナログが挙げられる。
経皮送達システム形態で投与する場合には、製剤投与は投与レジメン期間を通して断続的よりも連続的になる。
非経口投与に適した製剤としては、所期レシピエントの血液に等張の水性及び非水性製剤と、血液成分又は1種以上の臓器に化合物をターゲティングするように設計された懸濁系を含むことができる水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は1回使い切り又は複数回投与用密閉容器(例えばアンプル又はバイアル)の形態とすることができる。上記のような滅菌粉末、顆粒及び錠剤から即席注射溶液及び懸濁液を調製してもよい。非経口静脈内製剤にはミネラルや、選択する注射又は送達システムの種類に適合可能にするための材料を添加することができる。
非経口投与用として一般に使用されている医薬的に許容可能なキャリヤーとしては水、適当な油、食塩水、デキストロース水溶液(グルコース)、又は関連糖溶液及びグリコール(例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコール)が挙げられる。非経口投与用溶液には活性成分の水溶性塩と、適当な安定剤と、必要に応じて緩衝物質を加えることが好ましい。酸化防止剤(例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸単独又は併用)が適切な安定剤である。クエン酸塩とナトリウムEDTAもキャリヤーとして使用することができる。更に、非経口溶液は塩化ベンズアルコニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、又はクロロブタノール等の防腐剤を加えてもよい。適切な医薬キャリヤーはRemington,前出に記載されている。
本発明は更に当分野の慣用方法による獣医学投与用に製剤化されたアカオジェンに関する。
本明細書に記載するアカオジェンは例えば石鹸、洗濯用洗剤、シャンプー、食器洗浄用石鹸、練り歯磨き、及び他のハウスクリーニング洗剤等の洗浄剤と併用して工業用に製剤化することもできる。
(VIII.投与)
本発明の組成物及び医薬製剤は当分野で公知の任意手段により生物に投与することができる。本発明の組成物及び医薬製剤をヒト等の動物に投与するための経路としては非経口、静脈内、筋肉内、経口、吸入、局所、経膣、経直腸、鼻腔内、口腔、経皮、又は埋め込み型レザバー外部ポンプもしくはカテーテルが挙げられる。植物に投与する場合には、このような手段はスプレー又は潅漑とすることができる。
任意投与経路を使用することができるが、非経口投与、即ち注射による投与が好ましい。注射用製剤は液体溶液もしくは懸濁液;注射前に液体に溶解もしくは懸濁するのに適した固体形態;又はエマルション等の慣用形態で製造することができる。医薬的に許容可能な適切なキャリヤーと上記のような他の任意成分を使用して当分野で公知の技術により滅菌注射用懸濁液を製剤化することが好ましい。
非経口投与は多数の任意方法で実施することができるが、シリンジ、カテーテル、又は同等の装置を使用して本明細書に記載する製剤の非経口投与を実施することが好ましい。活性剤が実質的に血流全体を循環するように製剤を全身注射することができる。
また、製剤を標的部位に局所注射してもよく、例えば突然変異誘発の抑制が所望される特定身体部分に注射することができる。注射による局所投与の利点は活性剤(例えばアカオジェン及び/又は他の治療薬)への全身暴露を制限又は回避する点である。なお、本発明の関連では、局所投与なる用語は局部投与を意味し、例えば身体の一部に通じる血管への送達によりこの部分に製剤を投与することを意味する。局所送達は直接、例えば腫瘍内とすることができる。局所送達はほぼ直接、即ち病変内又は腹腔内でもよく、即ち活性剤が所望薬理活性を示すように腫瘍又は感染部位に十分近接する領域に送達してもよい。従って、局所送達が所望される場合には、医薬製剤を病変内、腫瘍内、又は腹腔内に送達することが好ましい。
本明細書に記載する医薬製剤の局所送達により、より高濃度の活性剤を標的部位に送達できる。標的部位への高濃度の直接送達はいくつかの利点がある。第1に、活性剤がより局限されるので、全身暴露が最小限になるため、患者への毒性の可能性が少ない。第2に、標的部位が高濃度の薬剤に暴露されるので、薬剤効力が改善される。第3に、比較的迅速に送達されるので、その標的部位に到達する前の活性剤の溶解度及び安定性の低下が最小限になる。
医薬製剤は単位剤形が好ましい。このような剤形では、適量の活性成分を含有する単位用量に組成物を分割する。単位剤形はパッケージ製剤とすることができ、個別量の製剤、例えばバイアル又はアンプルに個装した錠剤、カプセル剤、及び散剤をパッケージに含む。単位剤形はカプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤でもよいし、適当な個数のこれらのパッケージ形態の任意のものでもよい。
本発明の化合物の投与に有用な医薬製剤を以下に例証する。
カプセル剤:標準2部分ハードゼラチンカプセルに各々粉末活性成分1−100mg、乳糖150mg、セルロース50mg、及びステアリン酸マグネシウム6mgを充填することにより多数の単位カプセル剤を製造する。
ソフトゼラチンカプセル剤:大豆油、綿実油又はオリーブ油等の消化し易い油に活性成分を加えた混合物を製造し、容量型ポンプによりゼラチンに注入し、活性成分1−100mgを収容するソフトゼラチンカプセル剤を形成する。カプセル剤を洗浄し、乾燥する。
錠剤:用量単位が活性成分1−100mg、コロイド二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5−6mg、微結晶セルロース275mg、澱粉11mg及び乳糖98.8mgとなるように慣用方法により多数の錠剤を製造する。口当たりをよくしたり、吸収を遅らせるように適当なコーティングを施すことができる。
注射剤:活性成分0.5−1.5重量%を10容量%プロピレングリコール及び水中で撹拌することにより注射による投与に適した非経口組成物を製造する。溶液を塩化ナトリウムで等張にし、滅菌する。
懸濁液:5ml当たり微粉状活性成分1−100mg、ナトリウムカルボキシメチルセルロース200mg、安息香酸ナトリウム5mg、ソルビトール溶液,U.S.P.1g及びバニリン0.02mlを含有するように経口投与用水性懸濁液を製造する。
本発明のアカオジェンは小さな単膜リポソーム、大きな単膜リポソーム、及び多重膜リポソーム等のリポソーム送達システムとして投与することもできる。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリン等の各種リン脂質から形成することができる。
本発明のアカオジェンはターゲティング可能な薬剤キャリヤーとして可溶性ポリマーとカップリングすることができる。このようなポリマーとしてはポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、又はポリエチレンオキシド−パルミトイル残基で置換されたポリリジンが挙げられる。更に、本発明の化合物は薬剤の制御放出を達成するのに有用な類の生分解性ポリマー(例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー)とカップリングすることができる。
アカオジェンは薬剤耐性を治療又は予防するために任意生物(真核又は原核)に投与することができる。アカオジェンは第1の生物に関連する第2の生物にターゲティングするために第1の生物に投与することもできる。例えば、細菌に感染した哺乳動物又は真菌に感染した植物にアカオジェンを投与することができる。
アカオジェンは単独療法として投与することもできるし、第2の治療薬(例えば抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原生動物薬、抗腫瘍薬)と併用投与することもできる。併用療法の一部として投与する場合には、本発明のアカオジェンは第2の物質と順次又は同時投与することができる。所定態様では、第2の治療薬を投与する前にアカオジェンを投与する。他の態様では、第2の治療薬の投与後にアカオジェンを投与する。
例えば、予防効果を得るためには、抗生物質耐性になる可能性のある細菌感染症を発症する危険のある患者にアカオジェンと抗生物質を併用投与することができる。所定態様では、抗生物質を投与する前にアカオジェンを投与する。
(IX.突然変異に関連する遺伝子産物を同定するためのスクリーニング)
遺伝子産物が誘導突然変異に関与している場合には、その機能により細胞の突然変異能が増加する。この遺伝子産物を不活化すると、細胞の突然変異能は低下する。これらの原理を使用し、所与遺伝子産物が実際に突然変異誘発性であり、従ってその阻害により誘導突然変異と薬剤(例えば抗生物質)耐性の発生を抑制する潜在的薬剤ターゲットであるか否かを判定することができる。
1態様では、公知遺伝子破壊技術を使用して試験遺伝子を遺伝的に不活化する。このような破壊イベント後に、突然変異を誘発すると推定されるターゲットをコードする遺伝子座は遺伝子産物を生産できなくなり、細胞はこの遺伝子産物の機能を失う。種々の公知「突然変異能」アッセイを使用して遺伝子破壊イベントが細胞の突然変異能に及ぼす効果を試験する。Friedberg,EC,Walker,GC,Siede,W.DNA Repair and Mutagenesis(ed.Friedberg,E.C.)American Society of Microbiology,Washington DC,1995参照。例えば、選択抗生物質に対する耐性の発生を測定する(実施例2と図2に記載するような)所謂「ストレス生活関連突然変異(Stressful Lifestyle Associated Mutation)」(即ちSLAM)アッセイ又は前進突然変異もしくは復帰突然変異アッセイを使用することができる。Bull,HJ,Lombardo,MJ,Rosenberg,SM:Stationary−phase mutation in the bacterial chromosome:recombination protein and DNA polymerase IV dependence.Bull HJ.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2001)98:8334−8341;Friedberg,EC.ら,DNA Repair and Mutagenesis(ed.Friedberg,E.C.)American Society of Microbiology,Washington DC,1995;Crouse,GF:Methods(2000)22:116−119;Rosenberg,SM Nature.Rev.Genet.(2001)2:504−515;Rosche,WA.,Methods(2000)20:4−17;及びFoster,PL:,BioEssays(2000)22:1067−1074参照。
別の態様では、不活化試験遺伝子と非機能的レポーター遺伝子をもつ細菌株を使用する。使用することができるレポーター遺伝子の例としてはlacZ遺伝子、緑色蛍光蛋白質遺伝子、赤色蛍光蛋白質遺伝子、及び黄色蛍光蛋白質遺伝子が挙げられる。野生型試験遺伝子又は不活化試験遺伝子の存在下でレポーター遺伝子が(補償突然変異により)機能的になる頻度を測定する。不活化試験遺伝子を含む細胞におけるレポーター遺伝子の機能回復頻度が低下する場合には、試験遺伝子は突然変異誘発活性をもつと判定される。
更に別の態様では、不活化試験遺伝子又は野生型試験遺伝子をもつ細菌細胞を抗生物質に暴露する。不活性試験遺伝子をもつ細胞と野生型試験遺伝子をもつ細胞の両者で抗生物質耐性を発生する細胞数を定量する。不活性試験遺伝子の場合に抗生物質耐性を発生する細胞数が低下したならば、試験遺伝子は潜在的突然変異誘発活性をもつと判定される。
遺伝子を不活化する技術は多数のものが当分野で公知であり、該当試験遺伝子を不活化するためにその多くを使用することができる。これらの技術としては、例えば相同組換えによる試験遺伝子の突然変異による試験遺伝子の直接不活化が挙げられる。別の有用な技術は、例えばその遺伝子産物が試験遺伝子の活性を調節する遺伝子の突然変異による試験遺伝子の間接的活性化である。
一般には、試験遺伝子によりコードされる蛋白質が不活性になるように1個以上の突然変異により試験遺伝子を不活化する。あるいは、遺伝子全体(又は遺伝子のオープンリーディングフレームの大部分)をゲノムから欠失させる。試験遺伝子の突然変異は当分野で公知の多数の突然変異誘発技術を使用して実施することができる。遺伝子レベルでは、遺伝子をコードするDNAの部位特異的突然変異誘発により突然変異体を作製するのが一般的である。突然変異体は置換突然変異体、欠失突然変異体、又は挿入突然変異体とすることができる。
所定態様では、アカオジェンは細胞又は生物における突然変異率を増加する遺伝子産物(例えばRecA、RecN、LexA、DinB、PolII、PolIV、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、及びUvrD)の阻害剤又は結合剤である。特に、本発明はLexA、RecA、又はその両者の阻害剤及び/又は結合剤であるアカオジェンに関する。結合剤の同定方法は当分野で公知であり、酵母2ハイブリッドシステム等が挙げられる。
(X.突然変異を抑制する小分子のスクリーニング)
アカオジェンは化合物ライブラリーのスクリーニングを含む多数の方法により同定することができる。コンビナトリアルライブラリーとこのようなライブラリーの検索方法は当分野で公知であり、生物ライブラリー、天然物質ライブラリー、空間的に指定可能なパラレル固相又は溶液相ライブラリー、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、及びアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法が挙げられる。生物ライブラリーアプローチは主にポリペプチドライブラリーに限定されるが、他の4種のアプローチはポリペプチド、非ペプチドオリゴマー又は小分子ライブラリーの化合物に適用可能である。Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145参照。
1態様では、自動リガンド同定システム(Automated Ligand Identification System)(本明細書では「ALIS」とも言う)を使用してアカオジェンをスクリーニングする。例えば全目的で参考資料として本明細書に組込む米国特許第6,721,665号、6,714,875号、6,694,267号、6,691,046号、6,581,013号、6,207,861号、及び6,147,344号参照。ALISは該当蛋白質(例えばRecA又はLexA)と結合する小分子を同定するための高スループット技術である。蛋白質と強く結合することが判明した小分子をその後、この蛋白質の生化学活性を阻害する能力について試験することができる。
従って、所定態様では、標的蛋白質(例えばRecA、LexA、又はPolV)を小分子のプールと混合する。好ましくは、>1,000プールを使用し、より好ましくは>2,000プールを使用し、より好ましくは>3,000プールを使用し、又はより好ましくは>10,000プールを使用する。各プールは「マスコード化」された約1,000種の化合物、より好ましくは約2,500種の化合物、又はより好ましくは約5,000種の化合物を含み、即ちその分子量と化学ライブラリーの情報のみを使用してその厳密な分子構造を決定することができる。
小分子と蛋白質を混合し、平衡させる(30分間室温でインキュベートする)。混合物を迅速に冷却して結合複合体をトラップし、迅速サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)にかける。該当蛋白質と強く結合する小分子はSEC中に蛋白質と共に排除される。質量分析を実施し、蛋白質に結合することが判明した全小分子の質量を測定する。これらの質量の測定により、小分子の分子構造を迅速に決定することができる。
ALISで標的蛋白質(例えばLexA及び/又は線維状RecA)と結合する化合物をその後、RecAにより誘導されるin vitro LexA蛋白分解を抑制する能力について試験することができる。下記実施例2にアカオジェン活性(即ちシプロフロキサシン含有(35ng/ml)LB寒天増殖培地で増殖させた場合にシプロフロキサシン耐性大腸菌の出現を抑制する能力)について記載するストレス生活適応的突然変異(Stressful Lifestyle Adaptation and Mutation)(本明細書では「SLAM」とも言う)アッセイの変法を使用して強力なin vitro阻害性をもつ分子を試験することができる。SLAMアッセイで検出可能なアカオジェン活性をもつ分子をマウス大腿検出モデルでアカオジェン活性について試験することができる。
1態様では、SLAMアッセイ(下記実施例2)と同様のフォーマットで化合物集団をスクリーニングし、突然変異能を低下させる分子を同定する。細菌細胞を1種の試験化合物又は化合物ライブラリーに暴露し、試験化合物の存在下と不在下で経時的に生産された突然変異体細胞数を測定する。合計細胞に対する耐性細胞の比が低下する場合には、試験化合物がアカオジェン活性をもつと判定する。細菌を薬剤に暴露する前後に生産耐性細胞数を測定する。突然変異体細胞数は公知アッセイ、例えば前進突然変異、遺伝子復帰突然変異、又はSLAMアッセイを使用して定量する。Friedberg,EC,Walker,GC,Siede,W.DNA Repair and Mutagenesis(ed.Friedberg,E.C.)(American Society of Microbiology,Washington DC,1995);Crouse,GF.,Methods(2000)22:116−119参照。更に別の態様では、細菌細胞を突然変異誘発環境に暴露し、試験化合物の存在下と不在下で生産された突然変異体細胞数を定量する。例えば、SLAMアッセイの変法を使用し、細菌における突然変異率を増加するように(例えば紫外線又は化学的突然変異誘発物質に暴露することにより)細菌に積極的にストレスを与える。このようなストレスは、細菌突然変異頻度の増加により突然変異を抑制するアカオジェンを検出し易くする。
アカオジェンのスクリーニング方法の別の例では、精製LexA蛋白質、精製RecA蛋白質、及びssDNAを試験化合物に暴露する。ssDNAとヌクレオシド三リン酸の存在下でRecAは活性化され、LexAと結合し、LexAの自己開裂反応を助長する。アカオジェンの存在下では、RecAの活性化、LexAとのその結合、又はLexAの開裂反応は阻害される。RecAの活性化の低下、RecAとLexAの結合の低下、又はLexAの自己開裂反応の化学的阻害は(例えばゲル移動度アッセイ、発色アッセイ、質量分析、又は細胞GFPレポーターアッセイにより)LexAの開裂を測定することにより評価することができる。LexA開裂の阻害は試験化合物が潜在的アカオジェンであることを示す。
機能的PolVの生産を阻止するその開裂阻害剤を見いだすために、精製UmuD遺伝子産物を使用して同様のアッセイを設計することもできる。精製RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、UmuC、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、及びその任意ホモログ又はフラグメントを使用して同様のアッセイを設計することもできる。
潜在的アカオジェンによる各種突然変異誘発ポリメラーゼの阻害は標準方法を使用して定量することができる。Ogawa,AK,.J Am Chem Soc(2000)122:3274−3287参照。例えば、所与ポリメラーゼによるDNA合成率はポリアクリルアミドゲル電気泳動により反応後に分解された5’放射性標識オリゴヌクレオチドプライマーと標準方法による定量を使用して潜在的アカオジェンの存在下と不在下で測定することができる。あるいは、高スループットアッセイを使用して大きな化合物ライブラリーをスクリーニングし、潜在的アカオジェンを同定することもできる。このようなアッセイは各ウェルが異なるアカオジェンを含むように96ウェルプレートに反応混合物を配置するものである。フルオロフォアで標識したヌクレオシド三リン酸又はオリゴヌクレオチドプライマーもしくは鋳型を標準プレート操作及び可視化法と併用し、どの分子が所与ポリメラーゼの活性を有効に阻害したかを調べることができる。1態様では、1種以上のポリメラーゼを同時に阻害することにより突然変異を最も有効に阻止するアカオジェン(例えば大腸菌におけるPolIV及び/又はPolV)を同定するために1種以上の誘導性ポリメラーゼの存在下でライブラリーをスクリーニングすることができる。
化合物ライブラリーをアカオジェンについてスクリーニングする他の方法としては、LexAにより調節されるプロモーター、又は上記SLAMアッセイで薬剤耐性(又はより好ましくは抗生物質耐性)の発生率を低下させる阻害剤の制御下でヘリカーゼ阻害剤(例えばRuvA、RuvB、RuvC、RecB、RecC、RecD阻害剤又はRuvABCやRecBC等のその組み合わせ)、GFPやルシフェラーゼ等のレポーター遺伝子の阻害剤をスクリーニングする方法が挙げられる。
(XI.小分子アカオジェンを作製するための構造設計法)
所定態様では、分子モデル化ソフトウェアツールを使用して分子形状のリアルな三次元モデルを作成することができる。このような方法は例えば分子グラフィクス(即ち3D表示)やコンピューター化学(例えば物理化学的性質の計算)の使用が挙げられる。
分子モデル化を使用すると、適正な薬剤設計プログラムは異なる薬剤様化合物のどの集合が酵素の活性部位に合致するかを予測することができ、その結合コンホメーションをコンピューター調節することにより、どの化合物が実際に活性部位によく合致するかを決定することができる。William Bains,Biotechnology from A to Z,2nd edition,Oxford University Press,1998,259頁参照。
分子モデル化に関する基本情報については、例えばM.Schlecht,Molecular Modeling on the PC,1998,John Wiley & Sons;Gansら,Fundamental Principals of Molecular Modeling,1996,Plenum Pub.Corp.;N.C.Cohen(editor),Guidebook on Molecular Modeling in Drug Design,1996,Academic Press;及びW.B.Smith,Introduction to Theoretical Organic Chemistry and Molecular Modeling,1996参照。分子モデル化に関する詳細な情報を提供する米国特許としては、米国特許第6,093,573号;6,080,576号;5,612,894号;5,583,973号;5,030,103号;4,906,122号;及び4,812,12号が挙げられる。
本発明によると、(その開裂可能又は開裂不能な形態の)LexA、RecA、PolIV、PolV又は誘導突然変異誘発率を増加する他の遺伝子産物と結合する化合物(例えばアカオジェン)を設計及び選択するために分子及びコンピューターモデル化技術を使用することができる。従って、本発明によると、このような遺伝子産物(例えばLexA及び/又はRecA)と相互作用する化合物を設計するために、RCSB Protein Data Bankにアクセション番号PDB ID:1AA、1LEA、1LEBで登録された原子座標を使用することができる。例えば、本発明によると、LexA自己開裂に関与する活性部位又はRecA−LexA結合界面の全体又は一部と結合することによりLexAの競合的阻害剤として作用する化合物を設計することができる。
本発明によると、RecAにより誘導されるLexA蛋白分解の非競合的阻害剤として作用する化合物を設計することもできる。これらの阻害剤はRecA及び/又はLexAの活性部位の全体又は一部と結合することができる。同様に、本発明のRecA及び/又はLexAの原子座標を使用して(別の化学物質と結合しているか否かに関係なく)RecA及び/又はLexAと結合し、RecA及び/又はLexAを阻害する非競合的阻害剤を設計することもできる。
あるいは、本発明により提供される原子座標は誘導突然変異を抑制する公知遺伝子産物(例えばDinI、PsiB、そのホモログ、及びそのフラグメント)の改善されたアナログを設計するため、又はLexA−RecA結合複合体に基づいて新規類の阻害剤を設計するためにも有用である。こうして、強力で選択的な阻害剤を設計する新規経路が提供される。
X線回折試験により決定された蛋白質結晶と原子座標の両方を利用できるため、各種化学物質から構成される分子をRecA及び/又はLexA結晶にソーキングする「ソーキング」実験により、候補阻害剤とRecA及び/又はLexAの潜在的相互作用部位を同定することができる。例えば、溶媒で飽和させた結晶から収集した高分解能X線回折データにより、各種溶媒分子が蛋白質と結合する位置を決定することができる。その後、これらの部位と強く結合する小分子をその誘導突然変異抑制能について試験することができる(Travis,J.,Science(1993)262:1374)。
更に、本発明によると、RecA及び/又はLexAと全部又は一部で結合することにより、RecAにより誘導されるLexA蛋白分解を阻止することができる化学物質、薬剤、又は化合物について小分子データベースをコンピュータースクリーニングすることができる。このスクリーニング技術では、このような物質又は化合物が結合部位と合致する品質は形状相補性又は推定相互作用エネルギーにより判断することができる。Meng,E.C.ら,J.Coma.Chem.,13:505−524(1992)参照。
本発明によるRecA及び/又はLexAと結合するか又はこれを阻害する化合物の設計は一般に2つの因子を考慮する。第1に、化合物はRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質と物理的に会合できなければならない。化合物とRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の会合に重要な非共有的分子相互作用としては、水素結合、ファンデルワールス及び疎水性相互作用が挙げられる。第2に、化合物はRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質との会合を可能にするコンホメーションをとることができなければならない。化合物の所定部分はRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質との会合に直接関与しないが、これらの部分は分子のコンホメーション全体にはまだ影響をもっている可能性がある。これは効力にも有意影響を与える可能性がある。このようなコンホメーション要件としては総合三次元構造とRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の活性部位の全部又は一部に対する化学物質又は化合物の向きあるいはRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質と直接相互作用する数種の化学物質を含む化合物の官能基間の間隔が挙げられる。
誘導突然変異に及ぼす化合物の潜在的阻害又は結合効果はその実際の合成の前にコンピューターモデル化技術を使用することにより分析することができる。所与化合物の理論構造からRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質との間に潜在的会合が認められない場合には、化合物の合成と試験を実施しない。他方、コンピューターモデル化により強い相互作用の可能性が示唆される場合には、分子を合成し、RecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質と相互作用することにより誘導突然変異を抑制する能力について試験することができる。こうして、不活性化合物の合成を避けることができる。
当業者はRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質、より特定的にはRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の個々の結合ポケットと会合する能力について化学物質フラグメント、化合物、又は薬剤をスクリーニングするために数種の方法の1つを使用することができる。この方法はまず例えば、RCSB Protein Data Bankにアクセション番号PDB ID:1AA3、ILEA、及びILEBで登録されたRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の座標に基づいてコンピュータースクリーン上で活性部位を目視確認する。次に、選択された化学物質、化合物、又は薬剤を上記のようなRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の個々の結合ポケットの内側の種々の向きに配置するか又はドッキングすることができる。ドッキングはQuantaやSybyl等のソフトウェアを使用した後にCHARMMやAMBER等の標準分子力学力場によるエネルギー最小化と分子力学法を使用することにより実施することができる。
専門コンピュータープログラムも化学物質選択法に役立つ。これらのプログラムとしては限定されないが、GRID(Goodford,P.J.,J.Med.Chem.,(1985)28,849−857)(GRIDはOxford University,Oxford,UKから入手可能である);MCSS(Miranker,A.ら,Structure,Function and Genetics,(1991)Vol.11,29−34)(MCSSはMolecular Simulations,Burlington,Massから入手可能である);AUTODOCK(Goodsell,D.S.and A.J.Olsen,“Automated Docking of Substrates to Proteins by Simulated Annealing”Proteins:Structure.Function,and Genetics,8,195−202(1990))(AUTODOCKはScripps Research Institute,La Jolla,Calif.から入手可能である);DOCK(Kuntz,I.D.ら,“A Geometric Approach to Macromolecule−Ligand Interactions”J.Mol.Biol.,(1982)161,269−288)(DOCKはUniversity of California,San Francisco,Calif.から入手可能である)が挙げられる。
適切な化学物質、化合物、又は薬剤が選択されたら、単一化合物又は阻害剤に組み立てることができる。組み立てはコンピュータースクリーン上に表示された三次元画像でRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の原子座標に対してフラグメントの相互関係を目視確認することにより進めることができる。その後、QuantaやSybyl等のソフトウェアを使用してマニュアルでモデル構築を行う。
当業者が個々の化学物質、化合物、又は薬剤を組み合わせるのに役立つ有用なプログラムとしては限定されないが、CAVEAT(Bartlett,P.A.ら,“CAVEAT:A Program to Facilitate the Structure−Derived Design of Biologically Active Molecules”.In Molecular Recognition in Chemical and Biological Problems”,Special Pub.,Royal Chem.Soc.,78,pp.82−196(1989))(CAVEATはUniversity of California,Berkeley,Calif.から入手可能である);MACCS−3D(MDL Information Systems,San Leandro,Calif.)等の3Dデータベースシステムが挙げられる。この分野はMartin,Y.C.,“3D Database Searching in Drug Design”,J.Med.Chem.,35,pp.2145−2154(1992)に記載されている。更に、HOOK(Molecular Simulations,Burlington,Mass.から入手可能)も挙げられる。
上記のようにRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の阻害剤を一度に化学部分1個ずつ段階的に設計する代わりに、空の結合部位又は場合により公知阻害剤の所定部分を使用してRecA、LexA、PolIV、PolVの阻害剤を全体として又は「de novo」設計することもできる。これらの方法としては、LUDI(Bohm,H.−J.,“The Computer Program LUDI:A New Method for the De Novo Design of Enzyme Inhibitors”,J.Coins.Aid.Molec.Design,(1992)6,61−78)(LUDIはBiosym Technologies,San Diego,Calif.から入手可能である);LEGEND(Nishibata,Y.and A.Itai,Tetrahedron,(1991)47,p.8985)(LEGENDはMolecular Simulations,Burlington,Mass.から入手可能である);及びLeapFrog(Tripos Associates,St.Louis,Mo.から入手可能)が挙げられる。
他の分子モデル化技術も本発明により利用することができる。例えばCohen,N.C.ら,“Molecular Modeling Software and Methods for Medicinal Chemistry,”J.Med.Chem.,(1990)33,883−894参照。Navia,M.A.and M.A.Murcko,“The Use of Structural Information in Drug Design”,Current Opinions in Structural Biology,(1992)2,202−210も参照。
上記方法により化合物を設計又は選択したら、化合物がRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質と結合し得る効率をコンピューター評価により試験し、最適化することができる。突然変異の有効な阻害剤はその結合状態と遊離状態の間のエネルギー差が比較的小さい(即ち結合の歪みエネルギーが小さい)ことが好ましい。従って、最も有効なRecA、LexA、PolIV、PolV、又は他の蛋白質の阻害剤は好ましくは結合の歪みエネルギーが約10kcal/mole以下、又はより好ましくは7kcal/mole以下となるように設計すべきである。
RecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の阻害剤は総結合エネルギーにおいて類似する2種以上のコンホメーションでそのターゲットと相互作用することができる。その場合、結合の歪みエネルギーは遊離化合物のエネルギーと阻害剤がLexA及び/又はRecAと結合するときに観察されるコンホメーションの平均エネルギーの差であるとみなされる。
LexA及び/又はRecAと結合するように設計又は選択された化合物は更にその結合状態において好ましくはターゲットとの静電反発相互作用をもたないようにコンピューターで最適化することができる。このような非相補的(例えば静電)相互作用としては反発電荷−電荷、双極子−双極子及び荷電双極子相互作用が挙げられる。特に、阻害剤がそのターゲット(例えばRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質)と結合しているときの阻害剤と酵素の全静電相互作用の和は結合エンタルピーに中立的又は有利な効果をもつことが好ましい。
化合物の歪みエネルギーと静電相互作用を評価するための特定コンピューターソフトウェアは当分野で入手可能である。このような用途にデザインされたプログラムの例としては、Gaussian 92,revision C(M.J.Frisch,Gaussian,Inc.,Pittsburgh,Pa.,1992);AMBER,version 4.0(P.A.Kollman,University of California at San Francisco,1994);QUANTA/CHARMM(Molecular Simulations,Inc.,Burlington,Mass.1994);及びInsight II/Discover(Biosysm Technologies Inc.,San Diego,Calif.,1994)が挙げられる。これらのプログラムは例えばSilicon Graphicsワークステーション、IRIS 4D/35又はIBM RISC/6000ワークステーションモデル550を使用して実行することができる。他のハードウェアシステム及びソフトウェアパッケージも当業者に自明である。
上記のようにRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の阻害剤が最適選択又は設計されたら、次にその結合特性を改善又は改変するようにその原子又は側鎖のいくつかを置換することができる。一般に、初期置換は保存的であり、例えば置換基は元の基とほぼ同一寸法、形状、疎水性及び電荷をもつ。当然のことながら、コンホメーションを変化させることが当分野で知られている成分は避けるべきである。次に、上記に詳述したと同一のコンピューター法によりこのような置換化合物がRecA、LexA、PolIV、PolV、又は誘導突然変異に必要な他の蛋白質の三次元構造に合致する効率を分析することができる。
上記任意方法により設計された化合物は誘導突然変異誘発を抑制するために有用であり、従って、薬剤耐性を低下させるための治療薬として有用である。
(XII.アカオジェンの用途)
本明細書に記載するアカオジェンは細胞、細胞群、又は多細胞生物における誘導突然変異率を調節するため、又はより好ましくは誘導突然変異率を抑制するために使用することができる。このような誘導突然変異は薬剤治療、紫外線、不十分な栄養等に起因し得る。誘導突然変異の原因となり得る薬剤治療の例としては、抗腫瘍薬、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗原生動物薬、及び/又は抗真菌薬による治療が挙げられる。このような誘導突然変異は薬剤耐性又は他の望ましくない突然変異につながる可能性がある。従って、所定態様では、アカオジェンは抗腫瘍薬、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗原生動物薬、及び/又は抗真菌薬から構成される群から選択される薬剤に対する薬剤耐性を抑制するために使用される。
例えば、本発明のアカオジェンは本明細書に開示するか又は他の当分野で公知の任意抗生物質に対する耐性を抑制するために使用することができる。好適態様では、アカオジェンはリファンピン、オキサゾリジノン(例えばリネゾリド)、フルオロキノロン(例えばシプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン)、マクロリド(例えばアジスロマイシン及びクラリスロマイシン)、及び次世代セファロスポリン(例えばセファクロル、セファドロキシル、セファゾリン、セフィキシム、セフォキシチン、セフプロジル、セフタジジム、セフロキシム、及びセファレキシン)に対する薬剤耐性を抑制するために使用される。
所定態様では、本発明のアカオジェンは細菌における突然変異率を低下させるために使用することができる。グラム陽性菌又はグラム陰性菌の一方又は両方における突然変異率を低下させることができ、これらの細菌は球菌(球状)、桿状、ビブリオ菌(コンマ状)、又は螺旋状のいずれでもよい。
球菌のうち、micrococcus種とstaphylococcus種は一般に皮膚に関連しており、Streptococcus種は一般に歯のエナメル質に関連しており、虫歯の原因となる。桿菌科のうち、Bacillus種の細菌は写真に各種発生段階を示す内生胞子を形成し、B.cereusは特に油で揚げた食物の再加熱により比較的軽度の食中毒を生じる。ビブリオ種ではV.choleraeが最も代表的な細菌であり、消化管内の細菌増殖により生産される毒素に起因する重症下痢であるコレラを生じる。螺旋状細菌では、rhodospirillumとTreponema pallidumが代表種であり、感染を生じる(例えばTreponema pallidumは梅毒を生じる)。螺旋状細菌は一般に弱い嫌気性条件下で増殖し、光合成して日光からエネルギーを獲得することができる。
更に、本発明はグラム陽性、グラム陰性、又は混合植物細菌における突然変異率を低下させるために使用することができるアカオジェンに関する。このような細菌としては限定されないが、Baciccis Antracis;Enterococcus faecalis;Corynebacterium diphtheriae;Escherichia coli;Streptococcus coelicolor;Streptococcus pyogenes;Streptobacillus moniliformis;Streptococcus agalactiae;Streptococcus pneumoniae;Salmonella typhi;Salmonella paratyphi;Salmonella schottmulleri;Salmonella hirshfeldii;Staphylococcus epidermidis;Staphylococcus aureus;Klebsiella pneumoniae;Legionella pneumophila;Helicobacter pylori;Mycoplasma pneumonia;Mycobacterium tuberculosis;Mycobacterium leprae;Yersinia enterocolitica;Yersinia pestis;Vibrio cholerae;Vibrio parahaemolyticus;Rickettsia prowazekii;Rickettsia rickettsii;Rickettsia akari;Clostridium difficile;Clostridium tetani;Clostridium perfrungens;Clostridium novyii;Clostridium septicum;Clostridium botulinum;Legionella pneumophila;Hemophilus influenzae;Hemophilus parainfluenzae;Hemophilus aegyptus;Chlamydia psittaci;Chlamydia trachomatis;Bordetella pertusis;Shigella種;Campylobacter jejuni;Proteus種;Citrobacter種;Enterobacter種;Pseudomonas aeruginosa;Propionibacterium種;Bacillus anthracis;Pseudomonas syringae;Spirrilum minus;Neisseria meningitidis;Listeria monocytogenes;Neisseria gonorrheae;Treponema pallidum;Francisella tularensis;Brucella種;Borrelia recurrentis;Borrelia hermsii;Borrelia turicatae;Borrelia burgdorferi;Mycobacterium avium;Mycobacterium smegmatis;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌;バンコマイシン耐性腸球菌;及び多剤耐性菌(例えば2種以上、3種以上、4種以上、又は5種以上の異なる薬剤に対して耐性の細菌)が挙げられる。
所定態様では、本発明のアカオジェンはリファンピシン耐性の異常性状を利用することによりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)又はバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)等の既に薬剤耐性の細菌株に対処するために使用される。リファンピシン耐性は投与開始から24時間以内に出現するので、リファンピシンは一般に臨床使用から除外されている。リファンピシン耐性を付与する突然変異は細菌増殖に非常に不利であるので、耐性細菌集団は投与停止から数週間以内に迅速にリファンピシン感受性に復帰する。従って、接触するほぼ全てのMRSA及びVRE株は最初はリファンピシン感受性である。従って、本発明はMRSAとVREに対処するためにリファンピシンをアカオジェンと併用しようとするものである。本発明は更に、所定薬剤に対する耐性を維持することができないグラム陽性菌に対処するためにアカオジェンを他の抗生物質と併用しようとするものである。
従って、本発明のアカオジェンは尿路感染症、耳感染症、副鼻腔感染症、皮膚細菌感染症、肺細菌感染症、性感染症、結核、肺炎、ライム病、及びレジオネラ症等の細菌感染症状を治療するために使用することができる。従って、上記症状及び細菌感染に起因する他の症状の任意のものを本発明の組成物により予防又は治療することができる。
別の例では、AZT;ガンシクロビル;塩酸バラシクロビル(Valtrex(登録商標));βインターフェロン;シドフォビル;Ampligen(登録商標);ペンシクロビル(Denavir(登録商標))、フォスカルネット(Foscavir(登録商標))、ファムシクロビル(Famvir(登録商標))、及びアシクロビル(Zovirax(登録商標))から構成される群から選択される抗ウイルス薬に対する耐性を抑制するためにアカオジェンを使用する。
アカオジェンにより突然変異率を抑制することができるウイルスの例としては限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV);インフルエンザ;トリインフルエンザ;エボラ;ニワトリポックス;ポリオ;天然痘;狂犬病;呼吸器合胞体ウイルス(RSV);単純ヘルペスウイルス(HSV);感冒ウイルス;重症急性呼吸器症候群(SARS);ラッサ熱(Arenaviridae科)、エボラ出血熱(Filoviridae科)、ハンタウイルス肺症候群(Bunyaviridae科)、及び汎流行インフルエンザ(Orthomyxoviridae科)が挙げられる。
別の例では、クロロキン;ピリメタミン;メフロキンヒドロキシクロロキン;メトロニダゾール;アトバコン;イミドカルブ;Malarone(登録商標);フェベンダゾール;メトロニダゾール;Ivomec(登録商標);ヨードキノール;ジロキサニドフロエート;及びロニダゾールから構成される群から選択される抗原生動物薬に対する耐性を抑制するためにアカオジェンを使用する。
アカオジェンにより突然変異率を抑制することができる原生動物の例としては限定されないが、Acanthameba;Actinophrys;Amoeba;Anisonema;Anthophysa;Ascaris lumbricoides;Bicosoeca;Blastocystis hominis;Codonella;Coleps;Cothurina;Cryptosporidia Difflugia;Entamoeba histolytica(アメーバ症とアメーバ赤痢の原因);Entosiphon;Epalxis;Epistylis;Euglypha;Flukes;Giardia lambia;鉤虫Leishmania種;Mayorella;Monosiga;Naegleria;Hartmannella;Paragonimus westermani;Paruroleptus;Plasmodium種(マラリアの原因)(例えばPlasmodium falciparum;Plasmodium malariae;Plasmodium vivax及びPlasmodium ovale);Pneumocystis carinii(免疫不全患者の肺炎の一般的な原因);microfilariae;Podophrya;Raphidiophrys;Rhynchomonas;Salpingoeca;Schistosoma japonicum;Schistosoma haematobium;Schistosoma mansoni;Stentor;Strongyloides;Stylonychia;サナダムシ;Trichomonas種(例えばTrichuris trichiuris及びTrichomonas vaginalis(膣感染症の原因));Typanosoma種;及びVorticellaが挙げられる。
別の例では、イミダゾール(例えばクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ケトナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール)、シクロピロックス、ブテナフィン、及びアリルアミンから構成される群から選択される抗真菌薬に対する耐性を抑制するためにアカオジェンを使用する。
アカオジェンにより突然変異率を抑制することができる真菌感染症の例としては限定されないが、白癬;水虫;いんきん;及びカンジダ症が挙げられる。
特に、本発明は薬剤耐性の増加と共に再出現した表3に示す感染症の予防及び治療に関する。
本明細書に記載する誘導突然変異経路は力学的詳細については全く異なると予想されるが、真核細胞に存在することも知られている。Diaz,M.,ら.Mol Cancer Res.,(2003)1:836−847;Zhang,Y.,ら,Nucleic Acids Res.,(2000)28:4147−4156参照。従って、アカオジェンは真核細胞における突然変異を抑制するために使用することができる。1態様では、アカオジェンは治療結果が突然変異により低下する治療のアジュバント又は補助剤として使用される。これらの治療としては限定されないが、癌化学療法が挙げられる。別の態様では、アカオジェンは突然変異を予防するため、例えば腫瘍形成及び癌形成を予防するための予防薬として使用される。アカオジェンは良性腫瘍と悪性腫瘍の両者を予防するのに適している。
本発明により治療可能又は予防可能な癌の例としては限定されないが、乳癌;皮膚癌;骨癌;前立腺癌;肝臓癌;肺癌;脳腫瘍;咽頭癌;胆嚢癌;膵臓癌;直腸癌;副甲状腺癌;甲状腺癌;副腎癌;神経組織癌;頭頸部癌;結腸癌;胃癌;気管支癌;腎臓癌;基底細胞癌;腫瘍型及び乳頭型の両者の扁平上皮細胞癌;転移性皮膚癌;骨肉腫;ユーイング肉腫;細網細胞肉腫;骨髄腫;巨細胞腫;小細胞肺癌;胆石;島細胞腫;原発性脳腫瘍;急性及び慢性リンパ細胞腫及び顆粒細胞腫;ヘアリー細胞白血病;腺腫;過形成;髄様癌;褐色細胞腫;粘膜神経腫;腸管神経節細胞腫;増殖性角膜神経腫;マルファン症候群様腫瘍;ウィルムス腫瘍;セミノーマ;卵巣腫瘍;平滑筋腫;子宮頸部異形成及びin situ癌;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;軟組織肉腫;悪性カルチノイド;局所皮膚損傷;菌状息肉腫;横紋筋肉腫;カポジ肉腫;骨原性及び他の肉腫;悪性高カルシウム血症;腎細胞癌;真性赤血球増加症;腺癌;多形性膠芽腫;白血病(急性骨髄性白血病を含む);リンパ腫;悪性黒肉腫;扁平上皮癌;慢性骨髄性リンパ腫;胃腸管間質腫瘍;及び黒肉腫が挙げられる。
特に、本発明の方法及び組成物は抗癌薬(抗腫瘍薬)に対する耐性の出現を抑制するのに有用であり、このような薬剤としては限定されないが、グリベック;アルキルスルホン酸塩等のアルキル化剤を含有する抗腫瘍薬(ブスルファン;インプロスルファン;ピポスルファン);アジリジン(ベンゾデパ;カルボコン;メツレデパ;ウレデパ);エチレンイミン及びメチルメラミン(アルトレタミン;トリエチレンメラミン;トリエチレンホスホラミド;トリエチレンチオホスホラミド;トリメチロールメラミン);窒素マスタード(クロラムブシル;クロルナファジン;シクロホスファミド;エストラムスチン;イフォスフアミド;メクロレタミン;塩酸メクロレタミンオキシド;メルファラン;ノベムビシン;フェネステリン;プレドニムスチン;トロフォスファミド;ウラシルマスタード);ニトロソ尿素(カルムスチン;クロロゾトシン;フォテンムスチン;ロムスチン;ニムスチン;ラニムスチン);デカルバジン;マンノムスチン;ミトブラノトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ドキソルビシン;及びシスプラチン(誘導体を含む)が挙げられる。
アカオジェンと併用投与すると有利であると思われる他の抗癌薬としては限定されないが、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アゴダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アンスラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾドマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブリキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチメル;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴル;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシラート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エチオダイズド油;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモホシン;インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;パーホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウムSr 89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトトレキセート;グルクロン酸トリメトトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルヒシンが挙げられる。
特に、本発明は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50個の突然変異に起因する薬剤耐性の出現を防止するためにアカオジェンを使用するものである。少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40又は50個の欠失/挿入突然変異に起因する薬剤耐性の出現を防止するためにアカオジェンを使用することもできる。
このようなアカオジェンは単独投与してもよいし、別の治療薬(例えば本明細書に記載する抗体、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗原生動物薬、及び抗腫瘍薬)と併用投与してもよい。
更に、上記治療用途に加え、本明細書に記載するアカオジェンは多数の産業用途にも有用である。特に、アカオジェンはプロセスで使用する生物における突然変異の発生により妨害される工業プロセスで有用である。適切な用途としては醸造所で使用される酵母の突然変異の防止や、他のバイオテクノロジー用途が挙げられる。別の適切な用途は抗体等の蛋白質の合成で使用される細菌(又は真核細胞)における突然変異の防止である。工業用途としては、石鹸、練り歯磨き、及びハウスクリーニング用製品等の洗浄剤の効用の改善が挙げられる。他の適切な用途も本明細書の開示から当業者に自明である。
(XIII.耐性のスクリーニング)
本発明の任意態様では、アカオジェンを投与する前に生物又は患者が薬剤耐性であるかどうかをまず試験することができる。薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さを検出する試験では患者から生検又はサンプルを採取することができる。微生物(例えばウイルス、細菌、真菌、原生動物)又は大型生物(例えばヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、イヌ及びネコ)からサンプルを採取することができる。サンプルは組織もしくは組織ホモジネート又は生物及び細胞又は細胞培養物の液体に由来することができる。例えば、全血、血清、精液、膣分泌液、耳垢、鼻汁、唾液、涙、尿、糞便、汗、口腔スワブ、皮膚、髄液、組織生検又はネクロプシー、及び毛髪からサンプルを採取することができる。増殖培地、組換え細胞及び細胞成分等のex vivo細胞培養物からサンプルを採取することもできる。所定態様では、疾患細胞と非疾患細胞からサンプルを採取することができる。
特定細菌株が抗生物質耐性を発生しているか否かを調べる技術は数種のものが当分野で公知である。例えば、細菌感染症患者に抗生物質をそのED50(投与した患者の50%が応答する用量)に等価の用量で投与しても治療効果が得られない場合には、その細菌はこの抗生物質に対して耐性であるとみなされる。
所定態様では、生物から採取したサンプルをアッセイし、誘導突然変異を調節する遺伝子の1個以上の突然変異を検出する。このような遺伝子の例としては限定されないが、16SrRNA、23SrRNA、clpXP、dinB、dinI、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA、lonプロテアーゼ、L4リボソームメチラーゼ、lexA、norA、recA、psiB、parC、parE、polB、rpoS、rpoB、sxt、umuC、及びumuDが挙げられる。一般に、psiB、dinI、clpXP、及び/又はlonの突然変異は突然変異誘発率の増加又は誘導突然変異感受性に関係がある。他方、16SrRNA、23SrRNA、dinB、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA umuC、umuD、lexA、norA、recA、L4リボソームメチラーゼ、parC、parE、rpoS、rpoB、sxt、及びpolBは誘導突然変異耐性又は誘導突然変異誘発の欠如に関係がある。
薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さの診断として使用することができる突然変異の例としては、その自己開裂能に影響を与えるlexAの突然変異(例えばS119AとS141A);recAと、ssDNAと結合及び/又はLexAと相互作用するその能力の突然変異;ジャイレースをコードするgyrA及びgyrB遺伝子の突然変異;トポイソメラーゼIVのサブユニットをコードするparC及びparE遺伝子の突然変異;外膜透過性又は能動排出システムによる輸送に影響を与える遺伝子の突然変異(例えばPoole,K.,44(10):2595−2599(2000)参照);dnaE2の突然変異;リファンピン耐性に関連するrpoS及びrpoBの突然変異(例えばBoshoff,H.,Cell,(2002)113,183−193参照);リネゾリド、エリスロマイシン、及び他のマクロリドに対する耐性に関連する23SrRNA遺伝子又はL4リボソームメチラーゼの突然変異;イソニアジド耐性に関連するkatG又はinhA遺伝子の突然変異;ストレプトマイシン耐性に関連する16SrRNA遺伝子の突然変異;並びに非細菌生物における誘導突然変異誘発を調節する遺伝子及び遺伝子産物の突然変異が挙げられる。突然変異を薬剤耐性に結び付けることができる遺伝子の他の例は本明細書に開示する通りである。
薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さの診断としては、誘導突然変異誘発を強化又は抑制する遺伝子産物の発現レベルを試験するアッセイを使用することができる。このような発現はこのような遺伝子の遺伝子転写産物又は遺伝子産物のレベルを測定することにより検出することができる。薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さの欠如の診断として過剰発現を使用することができる遺伝子の例としては限定されないが、psiB、dinI、clpXP、及びlonが挙げられる。薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さの診断として過剰発現を使用することができる遺伝子の例としては限定されないが、16SrRNA、23SrRNA、dinB、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA umuC、umuD、lexA、norA、recA、L4リボソームメチラーゼ、parC、parE、rpoS、rpoB、sxt、及びpolBが挙げられる。
発現レベルの検出は当分野で公知の任意方法を使用して実施することができる。好適態様では、マイクロアレイを使用して発現レベルを検出する。例えば、被験生物からサンプルを採取することができる。サンプルをアッセイし、例えば癌細胞、細菌感染症、ウイルス感染症の発現レベルを検出することができる。次に、この発現レベルを対照の発現レベルと比較することができる。サンプルにおける上記遺伝子の発現レベルが対照よりも高い場合には、薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さが生じたか又は生じる可能性がある。ある生物における発現レベルが対照における発現レベルよりも低い場合には、薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さが生じたか又は生じるとは予想されない。
薬剤耐性のスクリーニング後に、検出可能なレベルの薬剤耐性をもつ患者にアカオジェンと本明細書に開示する1種以上の治療薬を投与することができる。
(XIV.キット)
本発明は1個以上のバイアルを含むキットにも関し、少なくとも1個のバイアルは本発明のアカオジェンを収容する。キットは更にキットに含まれる組成物の使用説明書を含む。例えば、説明書は使用する特定アカオジェン、投与用量、使用頻度及び期間、並びに投与方法について個人に指示する。キットは更に併用投与すべき付加物質、例えば任意薬剤(例えば抗生物質、抗ウイルス薬、抗癌薬等)と、アカオジェンと付加物質の併用投与に関する説明書を含むことができる。
バイアルは、医薬製剤中にアカオジェンを含むことが好ましい。所定態様では、キットは局所又は全身投与用に製剤化されたアカオジェンの1個以上のバイアルを含む。所定態様では、バイアル内のアカオジェンを第2の治療薬(例えば抗原生動物薬、抗ウイルス薬、抗生物質、抗真菌薬、又は抗腫瘍薬)と合剤化することができる。
キットは更に付加アカオジェン及び/又は治療薬を収容する1個以上の容器を含むことができる。
キットは更に薬剤耐性の存在、不在、及び/又は薬剤耐性になり易さを検出するための診断ツールを含むことができる。本発明の診断ツールは核酸プライマー、プローブ、抗生物質、マイクロアレイ、マイロクフルイディックデバイス等を含むことができる。本発明の診断ツールは遺伝子発現レベル、SNP、又は誘導突然変異率を検出することができる。好適態様では、診断ツールはマイクロアレイである。
所定態様では、診断ツールは16SrRNA、23SrRNA、clpXP、dinB、dinI、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA、lonプロテアーゼ、L4リボソームメチラーゼ、lexA、lonプロテアーゼ、norA、recA、recN、psiB、parC、parE、polB、psiB、rpoS、rpoB、sxt、umuC、umuD、uvrA、uvrB、及びuvrD等の誘導突然変異に関連する遺伝子における1個以上の突然変異を検出する。
所定態様では、検出ツールは誘導突然変異誘発に関連する遺伝子の発現レベルを検出する。このような遺伝子の例としては限定されないが、16SrRNA、23SrRNA、clpXP、dinB、dinI、dnaE2、gyrA、gyrB、katG、inhA、lonプロテアーゼ、L4リボソームメチラーゼ、lexA、lonプロテアーゼ、norA、recA、recN、psiB、parC、parE、polB、psiB、rpoS、rpoB、sxt、umuC、umuD、uvrA、uvrB、及びuvrDが挙げられる。
シプロフロキサシンの投与が突然変異を誘導することを立証するために、シプロフロキサシン35ng/mLを加えた固体培地プレートで野生型MG1655大腸菌の耐性出現を試験した。まず、プレーティング前の指数増殖期に出現したコロニーとプレーティング後に出現したコロニーを区別した。これはコロニーを単離し、出現日を記録した後、コロニーを再増殖させ、コロニーが出現するのに要した時間を測定することにより実施した。例えば、コロニーが3日目に出現したが、再増殖に3日間を要した場合には、創始細胞は抗生物質に暴露する前の指数増殖期に耐性突然変異を獲得したと仮定した。コロニーが5日目に単離された後に再増殖に1日しか要さない場合には、創始細胞は抗生物質暴露後4日目に突然変異したと仮定した。
データの検討から少なくとも4点がすぐに分かった。第1に、生存細胞1個当たり1日当たりの突然変異数は抗生物質暴露後に少なくとも10倍、場合により少なくとも10倍(3.4(±2.0)×10−1→2.9(±0.41)×10−5)に増加した(先にRiesenfeld,C,Antimicrob.Agents Chemother.(1997)41:2059−2060に報告された結果と同様)。第2に、薬剤暴露前の突然変異率は下記実施例2に記載する遺伝子欠失にほとんど依存しなかったが、薬剤暴露後の突然変異率は強く依存した(所定遺伝子の欠失により増減、下記参照)。第4に、抗生物質の存在下で生じる突然変異スペクトルは指数増殖期に生じるものと有意差があった。単離された増殖依存的突然変異は厳密に置換であったが、誘導突然変異は置換と小さいインフレーム欠失の両方であった(図11)。薬剤暴露前に生じた突然変異型(欠失に対して塩基置換)は遺伝子欠失に依存しなかったが、シプロフロキサシン暴露後に生じた突然変異型は遺伝子欠失に強く依存した。このデータから、シプロフロキサシン暴露により突然変異システムが誘導され、このシステムは指数増殖期に突然変異を付与するシステムとは力学的に区別されると共に、シプロフロキサシン耐性を生じる突然変異の大多数に関与していると思われる。
抗生物質暴露に起因する誘導突然変異の効果を更に解明するために、無関係の抗生物質であるリファンピシンに予め暴露することにより細菌にシプロフロキサシン耐性を付与する突然変異を誘導できるか否かを調べることにし、リファンピシン0、4、12、及び36mg/mLを添加したPBSで大腸菌MG1655を4日間37℃でインキュベートした後、シプロフロキサシン35ng/mLを添加したLuria Broth(LB)を含む寒天にプレーティングした。0又は4mg/mLの存在下のインキュベーションは培養液中に存在するシプロフロキサシン耐性コロニー数に影響を与えなかった。しかし、リファンピシンを増加(12又は36mg/mL)したインキュベーションでは、シプロフロキサシン耐性細胞数は劇的に増加した。この効果はumuDC欠失株ではほぼ完全に失われ、野生型株における耐性は少なくとも部分的にPolVにより媒介される誘導突然変異に起因することが判明した。適切な濃度のリファンピシンの存在下でプレインキュベーションすると、(例えば,修復合成中に)突然変異システムが誘導されるようである。
シプロフロキサシン耐性の出現が遺伝子制御下にあるか否かを調べ、もしそうであるならば、どの遺伝子が関与しているかを調べるために、大腸菌K−12(MG1655)の一連の同質遺伝子系統機能低下株を構築した(表5)。大腸菌株MG1655を遺伝子バックグラウンドとして選択したのは、このK−12株が大腸菌ゲノム配列決定プロジェクトで使用されたためである。PCRによる遺伝子置換を使用して添付表4に示す株を構築した。Daiguan Yuら,Proc.Natl.Acad.Sci.,May 2000;97:5978−5983参照。Invitrogen製品Platinum pfx DNAポリメラーゼと標準サイクリングパラメーターを使用してPCR反応を実施した。DNeasyキット(Qiagen)を使用して新鮮な細菌一晩培養液からゲノム鋳型DNAを作製した。
Murphyら,Gene(2000)246:321−330に記載されているような三元PCRを使用して突然変異カセットを構築した。PCR反応の3個のフラグメントを等容量で混合することにより遺伝子特異的成分を抗生物質耐性マーカーにアニールした。このPCR反応の条件は近位プライマーを制限量で使用した以外は標準通りとした。
欠失カセットは欠失遺伝子の上流及び下流の約500塩基対領域から構成され、欠失させる遺伝子と逆向きで抗生物質耐性カセットの両側に遺伝子の最初と最後の2〜10個のコドンを含む。lexA点突然変異体を構築するために、プライマーlexA NF−SphI及びlexA_OrfR−NdeIを使用してPCRによりゲノムMG1655 DNAからlexA遺伝子を増幅し、SphI、NdeIで消化し、SphI、NdeIで消化しておいたpUC18ベクターにライゲーションした(5)。Quikchange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene,La Jolla,CA)とプライマーLexA_S119A_QCF及びLexA_S119A_QCRを使用して得られたプラスミドにS119A突然変異(TCG→GCG)を導入した。得られた対立遺伝子を配列決定により確認し、SphI、NdeIで消化し、抗生物質耐性カセットとlexA遺伝子の下流の配列の500bpを含むDNAフラグメントにライゲーションした。従って、最終カセットは上流DNA500bpと、突然変異ORFと、抗生物質耐性マーカーに逆向きで付着するNdeI部位と、下流DNA約500bpを含む。
抗生物質耐性マーカーは以下のように増幅した。プライマー5’−GGA AAG CCA CGT TGT GTC TC及び5’−CGA TTT ATT CAA CAA AGC CGCを使用してカナマイシン(Km)耐性カセットをpUC4Kから増幅した。同様に、スペクチノマイシン(Spec)耐性カセットをpOmegaから増幅し、クロラムフェニコール(Cm)耐性カセットをpSU18から増幅した。破壊カセットの構築に使用した全オリゴヌクレオチドプライマーを図19に示す。
(i)PS6275株へのゲノム挿入と、(ii)P1による欠失カセットのMG1655への導入の2段階でMG1655におけるゲノム欠失の作製を行った。第1段階では、λファージレッド遺伝子をもつMG1655の誘導体である超組換え大腸菌株PS6275[Yu,D,ら,Proc Natl Acad Sci USA(2000)97:5978−5983]に線状DNAフラグメント(PCR産物)をエレクトロポレーションした。この株は線状PCR産物を受容し、高い効率でゲノムに組込んだ。DY329を42℃で増殖させることにより組換え遺伝子を活性化させ、コンピテント細胞を−80℃で保存した。コンピテント細胞を所望カセットで形質転換し、適当な抗生物質(カナマイシン30_g/mL、クロラムフェニコール25_g/mL、又はスペクチノマイシン100_g/mL)を補充したLBで30℃にて形質転換細胞を選択し、30℃で増殖させた。MG−DY329は細胞を非超組換えバックグラウンドに戻すためにλファージレッド遺伝子を容易に除去できるように構築されたが、本願では遺伝子特異的破壊をPS6275からMG1655に移すためにP1形質導入を使用した。MG1655はMG−DY329よりも「野生型」に近いバックグラウンドを提供するので、結果の解釈が簡単になる。PCRにより遺伝子欠失を確認し、lexA(S119A)株はPCR後に配列決定により確認した。
同質遺伝子系統機能低下株を構築したら、図6に示すようなストレス生活適応的突然変異(SLAM)アッセイに基づくプロトコールを使用してシプロフロキサシン(U.S.Biologicalsから入手)に応答する突然変異を調べた。カナマイシン30μg/mLを添加したプレートから選択した各株5個のコロニーを24時間LB中、37℃で増殖させた。各培養液の希釈液を2本ずつ調製し、LBプレートにプレーティングして生存細胞数を測定した。
突然変異をアッセイするために、シプロフロキサシン35ng/mLを添加したLBプレートに各培養液150μLを2本ずつプレーティングした。また、「生存」実験で使用するために更に5枚のプレートに各株からの培養液150μLを2本ずつプレーティングした(下記参照)。使用したシプロフロキサシン濃度はMG親1655株による模擬実験によるとシプロフロキサシン35ng/mLで突然変異依存的増殖が最大になったことから選択した。プレーティング後13日間24時間おきにコロニーを計数して記録し、各株10個までの代表的コロニーを15%グリセロールにストックし、再構成実験(下記参照)に備えて−80℃で保存した。更に、プレート上に残存しているシプロフロキサシン感受性細胞数を測定するために、平行「生存」実験を実施した。「生存」実験プレートは全可視コロニーを切り出し、9mg/mL食塩水に残存寒天を回収し、得られた溶液の希釈液をLBにプレーティングして生存細胞数を調べることにより特定時点で代表的プレートを回収した以外はSLAMプレートと全く同様に処理した。
13日後に再構成実験を実施し、単離した耐性コロニーのうちのどのコロニーが抗生物質暴露後に誘導突然変異により耐性を生じたかを調べた。初期実験中に単離したコロニー懸濁液ストックを使用してLB 1mLに接種し、37℃で一晩増殖させた。得られた培養液を次に希釈し、LBとシプロフロキサシン35ng/mLを添加したLBに2本ずつプレーティングし、コロニー形成までに経過した時間を記録し、初期実験と比較した。初期実験よりも再構成実験中のほうが短時間で増殖したコロニーのみが抗生物質暴露後に誘導突然変異を獲得した、即ち出現したとみなした。シプロフロキサシンを添加したSLAMプレート上の誘導突然変異体コロニー数と「生存」実験からの生存細胞数を使用して生存細胞当たりの誘導突然変異率を計算した。
シプロフロキサシン耐性への突然変異率に関するデータを図3及び10に示す。図から明らかなように、耐性はpolB_(PolII欠失株);dinB_(PolIV欠失株);umuDC_(PolV欠失株)、及びlexA(Ind−)(自己開裂できないため、株は非誘導性になる)を含む数個の株で有意に低下することが判明した。単独突然変異から最大の効果が認められたのはLexA(Ind−)株であり、シプロフロキサシン耐性を発生する能力は10倍以上低下した(厳密な量は抗生物質濃度に依存する)。観測された効果は臨床耐性に即してみると著しく大きい。臨床関連の高耐性には複数の独立した突然変異が必要である(Drlica,K,ら,Microbiol Mol.Biol.Rev.(1997)61:377−392;Gibreel,.A,ら,Antimicrob.Agents Chemother.(1998)42:3276−3278;Kaatz,GW,Antimicrob Agents Chemother.(1993)37:1086−1094;Yoshida,H,ら,J.Bacteriol.,(1990)172:6942−6949;Poole,K.,Antimicrob.Agents Chemother.(2000)44:2233−2241;Kern,WV,Antimicrob.Agents Chemother.(2000)44:814−820;Fukuda,H,Antimicrob.Agents Chemother.(1998)42:1917−1922参照)が、これらの実験の耐性は単独突然変異しか必要としない(配列決定によりgyrA遺伝子であることが確認された)。
gyrA遺伝子の配列決定により興味深いパターンが明らかになった。野生型株では、誘導突然変異体(4日後に出現)は約〜2:1の点突然変異対コドン欠失比を示した。3種のポリメラーゼの欠失の結果、100%コドン欠失が生じ、全3種のポリメラーゼの活性に依存する主要な突然変異サブブランチが塩基置換突然変異には必要であることが示唆された。他方、コドン欠失経路は誘導突然変異を誘発するポリメラーゼ遺伝子のいずれか1個の欠失で機能することができる。
表5と図3及び10に示す遺伝子に加え、本発明者らのモデルによると、複製再開欠損株(図11)もキノロンにより選択下にあるときにキノロン耐性への突然変異率が低下すると予測される。より具体的には、本発明者らのモデルによると、recA、recB、recG、ruvA、ruvB、ruvC及びpriAによりコードされる蛋白質の阻害剤はPolIV及びPolVによるDNAのエラープローン修復の機会を阻害するので、アカオジェン特性をもつと予測される。
シプロフロキサシン耐性には明確な点突然変異が必要であるので、LexA(SOS遺伝子産物の発現を抑制するDNA結合蛋白質)が蛋白分解自己開裂反応を受けられないようにした場合に大腸菌細胞はシプロフロキサシン耐性にならなくなるか否かを調べた。図8は3種の大腸菌株が「第1段階」シプロフロキサシン耐性を発生する能力(即ちシプロフロキサシン35ng/mlの存在下で増殖する能力)を比較する。株(1)はATCC25922であり;株(2)はATCC25922−ΔlacZであり;株(3)はATCC25922−lexA(S119A)である。株(3)のLexA蛋白質はその求核性セリンがアラニンで置換されているので自己開裂できない。株(3)はLexA蛋白質の野生型ではなく開裂不能なLexAを含むため、シプロフロキサシン35ng/mlに対する耐性を付与するgyrAの単独点突然変異を獲得する能力は約100分の1である。gyrA遺伝子の単独点突然変異により細胞はシプロフロキサシン濃度が低い場合(35ng/ml)に増殖できるようになるが、臨床耐性は遥かに高く(約100倍,>15ug/ml)、3〜5個の独立した点突然変異が必要である。
ATCC25922−lexA(S119A)が同様に次「段階」シプロフロキサシン耐性を発生する能力(例えばシプロフロキサシン650ng/mlの存在下で大腸菌細胞の増殖を可能にする付加突然変異、この場合にはParC遺伝子の付加突然変異)を発揮できなくなるか否かを調べるために、gyrA遺伝子の単独点突然変異により低レベルのシプロフロキサシン(35ng/ml)耐性を既に獲得しているATCC25922−ΔlacZ及びATCC25922−lexA(S119A)クローンを使用してシプロフロキサシン650ng/mlに対する耐性を発生する能力を測定した。
図9は2種の(シプロフロキサシン35ng/mlに対して)既に耐性の株がシプロフロキサシン650ng/mlに対する耐性を発生する能力を比較する。この「第2段階」突然変異率は野生型株では細胞1個1日当たり突然変異体1.9(±0.21)×10−4個であり、lexA(S119A)株では細胞1個1日当たり突然変異体5.5(±4.9)×10−7個であった。従って、2段階の相対率を合わせると、lexA突然変異体がシプロフロキサシン650ng/mLに対する耐性を発生する率は野生型の10倍低下する。
臨床耐性には3〜5個の独立した突然変異が必要であることを考慮すると、lexA(S119A)突然変異体が臨床耐性を発生するのは少なくとも10倍遅くなるとデータから予想される。これらの結果から、1種以上の遺伝子、恐らく誘導性ポリメラーゼのLexA開裂による抑制解除はこれらの濃度の抗生物質の存在下で生存に重要ではないが、突然変異と耐性発生に不可欠であることが明らかである。
LexAの開裂が有効に阻害されている場合に感染状況における薬剤耐性の発生に及ぼす効果を予測するためにマウスでin vivo実験を実施した。
以下の2種の細菌株、即ち(上記のように)lacZ遺伝子をkanマーカーで置換したほぼ野生型の25922(大腸菌の病原株)又はlexA野生型遺伝子の代わりにlexA遺伝子産物であるLexA(S119A)遺伝子をもつように上記のように改変した25922の変異体の一方をマウス大腿筋に感染させた。これらの株を夫々「LacZ」又は「ATCC25922−ΔlacZ」及び「LexA(S119A)」又は「ATCC25922−lexA(S119A)」と呼ぶ。ほぼ細胞増殖抑制性の薬剤用量のシプロフロキサシンをマウスに投与した。マウスを屠殺し、その脚をホモジナイズし、各大腿部からの合計細胞数を計数した後、シプロフロキサシンを添加したプレートに大腿部をプレーティングし、シプロフロキサシン耐性コロニーを計数した。この実験からのデータを表6と図12に示す。
表6から明らかなように、野生型細菌に比較して突然変異体LexA(S119A)株では非常に少数のシプロフロキサシン耐性細菌しか認められなかった。
図12中、白丸及び白三角は夫々ATCC25922−ΔlacZ及びATCC25922 lexA(S119A)株の合計コロニー形成単位(CFU)/大腿部に対応する。黒丸及び黒三角は夫々シプロフロキサシン耐性ΔlacZ及びlexA(S119A)突然変異体数/大腿部を表す。実際の感染の状況では、動物の許容薬剤濃度(シプロフロキサシン35ng/ml)にも拘わらず、明らかにATCC25922−lexA(S119A)はシプロフロキサシン耐性を発生することができなった。本項の実験の材料と方法はCirz,R.and Romesberg E.F.(投稿中)に詳細に記載されている。
ここに記載する実現可能性実験はシプロフロキサシン耐性大腸菌の出現に及ぼす効果を試験したが、大腸菌におけるエリスロマイシン(マクロリド)耐性の出現を調べる同様の実験を実施した処、同様の結果が観察された。Boshoffら,Cell,(2003)113,183−193は同様の実験を実施し、RecAがLexA自己開裂を活性化する能力を阻止すると、マイコバクテリアはマウス肺感染モデルでリファンピシン耐性を発生できなくなることを確認している。まとめると、複数の細菌種が突然変異を誘導することにより広く使用されている複数種の抗生物質に対する耐性を発生する能力はSOS応答の阻止により著しく制限されることがこれらの結果から強く示唆される。
耐性付与突然変異の誘導におけるLexAにより抑制された各ポリメラーゼの役割を試験するために、ΔpolB、ΔdinB、及びΔumuDC株を上記のように構築した(実施例4、表5参照)。polBを欠失させると、非常に弱い抗生物質感受性が生じたが、dinB又はumuDCを欠失させても抗生物質感受性に検出可能な影響はなかった。この知見に一致し、ΔpolBΔdinB、ΔpolBΔumuDC、及び三重突然変異体ΔpolBΔdinBΔumuDCは弱いが再現可能に抗生物質感受性であったが、ΔdinBΔumuDC二重突然変異体は野生型感受性を示した。これらのデータから、PolIV及びPolVは必要ないが、PolIIはシプロフロキサシンに応答する複製再開に関与していると思われる。
図3及び10は以下の10種の株:ΔlacZ[株1]、ΔpolB[株2]、ΔdinB[株3]、ΔumuDC[株4]、ΔpolB/ΔdinB[株5]、ΔpolB/ΔumuDC[株6]、ΔdinB/ΔumuDC[株7]、ΔpolB/ΔdinB/ΔumuDC[株8]、lexA(S119A)[株9]、及びΔrecD[株10]の突然変異率を示し、黒棒線は塩基置換突然変異を表し、網掛け棒線はコドン欠失を表す。数値は1日生存細胞1個当たりの耐性突然変異体数を表す。誤差線は3回の独立した率測定からの標準偏差を表す。上記データから、PolIVを必要とする欠失/挿入突然変異と異なり、点突然変異(例えばシプロフロキサシン耐性に関与するもの)を必要とする誘導突然変異はPolVに大きく依存すると思われる。
シプロフロキサシン感受性の僅かな変化とは対照的に、図3及び10に示すように、3種の誘導性ポリメラーゼのうちの任意1種を欠失させると、薬剤の存在下の突然変異率に顕著な影響がある。配列決定によると、各欠失株の突然変異率の低下は置換突然変異の完全な不在に起因することが判明した(図10の黒棒線部分)。他方、コドン欠失率はほぼ変わらなかった(図10の網掛け棒線部分)。従って、3種のポリメラーゼはいずれも置換突然変異に必要であるが、欠失突然変異には必要ないと思われる。
コドン欠失における各ポリメラーゼの役割を更に試験するために、二重突然変異体と三重ポリメラーゼ突然変異体を試験した。図15に示すように、5〜8日の間に全欠失株は低レベルのコドン欠失を示す。他方、9〜13日までに各単独突然変異体は野生型細胞と区別できないコドン欠失率を示すが、二重突然変異体と三重突然変異体の率は低いままである。従って、コドン欠失は単独、二重、及び三重ポリメラーゼ突然変異体においてゼロにはならないが、次第に効果の低下する複数のポリメラーゼを介在するプロセスにより媒介されると思われる。図15に示すように、その持続性にも拘わらず、これらの欠失突然変異体は置換に由来する突然変異体よりも有意にシプロフロキサシン感受性に維持されるので、臨床関連薬剤耐性の出現に関与していないと思われる。これは臨床的に単離された耐性株が常に置換突然変異を含むという事実と一致する。臨床的に有意な抗生物質耐性の出現には置換突然変異が必要であり、従って、全3種のLexAにより抑制されるポリメラーゼが必要であると思われる。
このような阻害剤のモデルとして利用できるSOS応答の2種の天然阻害剤(DinI及びPsiB)が発見された。
2種の細菌株を構築した。一方の株はDinIを過剰生産するプラスミドを導入し、別の株はPsiBを過剰生産するプラスミドを導入した。いずれかの蛋白質の過剰生産により、これらの株がgyrA突然変異によるシプロフロキサシン(35ng/ml)耐性を発生する能力は約40分倍低下した。臨床シプロフロキサシン耐性(15ug/ml)には3〜5個の独立した点突然変異が必要であるため、RecAによるLexA蛋白分解のin trans阻害剤は臨床シプロフロキサシン耐性の出現を少なくとも64,000倍低下させると推測される。
好中球減少Swiss ICRマウス各10匹からなる2群の大腿部に大腸菌ATCC25922−ΔlacZ及びATCC25922 lexA(S119A)株を感染させた。(LacZ株はLacZをノックアウトし、上記のようにKanマーカーで置換したものであり;LexA株はLexA遺伝子を上記のようにLexA S119Aで置換したものである)。
感染から2時間後にマウスにリファンピン100mg/kg(皮下)を12時間おきに投与した。屠殺時までマウスにリファンピンレジメンを継続した。0、24、48、72及び96時間後にマウスを2匹ずつ屠殺した。大腿部を取出し、ホモジナイズし、10倍連続希釈し、CFU測定のためにプレーティングした。ホモジネートをMH寒天(MHA)にプレーティングして生物集団全体を定量し、リファンピン含有MHAプレート(16mg/L)にプレーティングしてリファンピン耐性表現型をもつ生物集団を定量した。実験からのデータを下表7に示す。
NCCLS法を使用して株のin vitro感受性試験を実施した(National Committee for Clinical Laboratory Standards.1997.Reference method for broth dilution anti−fungal susceptibility testing of yeasts.Approved standard M27−A.National Committee for Clinical Laboratory Standards,Wayne,Pa.参照。)リファンピンを添加したMHAプレートと添加しないMHAプレートから72時間時点で各群8個のコロニーを採取した。各コロニーで3回ずつ最小発育阻止濃度(「MIC」)を二重測定した。試験した最小発育阻止濃度の濃度範囲は下表8に示すように0.03〜16,384mg/Lであった。投与前のLexA及びLacZ株両者の最小発育阻止濃度=8.0mg/L。
上記実験と同様の別の実験で上記のような大腸菌ATCC25922−ΔlacZ及びATCC25922 lexA(S119A)株を使用して好中球減少CD1マウスの大腿部に強く感染させた。感染から2時間後にマウスにリファンピン100mg/kgを1日2回皮下経路で投与した。治療開始時(0時間)と24時間おきに72時間マウスを2匹ずつ屠殺した。安楽死後、大腿部を取出し、ホモジナイズし、希釈し、CFU計数のためにプレーティングした(検出下限は2log cfu/大腿部である)。リファンピン(128mg/L)を添加したMHAと添加しないMHAにホモジネート希釈液をプレーティングした。図18に示す結果をから明らかなようにLexAはSOS応答経路を制御し、この経路はシプロフロキサシンだけでなく種々の薬剤により活性化することができる。所定リファンピン濃度(例えば約128mg/L)で親株(例えば119A)の増殖が阻止されることも判明した。
親株と投与後に寒天プレートから単離した細胞でリファンピンによるin vitro感受性試験を実施した。
ATCC25922 lexA(S119A)による動物実験では、72時間の試験時間にリファンピン含有プレートでコロニーは増殖しなかった。72時間投与後にリファンピン含有プレートで多数の大腸菌ATCC25922−ΔlacZコロニーが増殖した。
両者親株のMICは8.0mg/Lであった。投与後のATCC25922 lexA(S119A)コロニーのMICは8.0mg/Lのままであった。リファンピン含有プレートから単離した大腸菌ATCC25922−ΔlacZコロニーのMICは>256mg/Lであった
20mM Tris pH7.4,4mM MgCl2,2mM ATPgS,1mM DTT及び60ug/mL 18量体ssDNA(配列:5’−TTG TTG TTG TTG TTG TTG−3’)を含有する溶液中、氷上で30分間インキュベーションすることによりRecA蛋白質(12.5uM,Sigma)を活性化した。20mM Tris pH7.4,5mM MgCl2,1mM ATPgS,2mM DTTを添加し、ペプチドを添加しないか又は指定ペプチド(1.2mM ペプチド1(配列番号4)、1.8mM ペプチド2(配列番号5)、1.5mM ペプチド3(配列番号2))を添加したLexA(5uM)溶液を37℃で5分間インキュベーションした。0.25uM活性RecAの添加によりLexAの開裂を開始した。混合物を37℃で30分間インキュベーションした。アリコートを分取し、0.1% TFAを加えたアセトニトリル水溶液でクエンチした。
バッファーA(98% H2O,1.9% CH3CN,0.1% TFA)中30→90%バッファーB(9.9% H2O,90% CH3CN,0.1% TFA)のグラジエントを使用してHPLCによりLexA蛋白質の開裂をモニターし、214nmの吸光度を記録した。結果を図20に示す。誤差線は3回の別個の実験の標準偏差を表す。図21は30分間のペプチド3によるLexA自己開裂阻害の比較を示す。
厳重な衛生習慣にも拘わらず、病院と高齢者ケア施設は依然として抗生物質耐性細菌の主要温床の2つであると共に、その感染に理想的な環境である。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、及びMDR(多剤耐性)肺炎は耐性抑制剤により抑制することができるごく少数の「院内感染症」である。
既に薬剤耐性である細菌株(例えばMRSA又はVRE)が最初は無感染状態で来院する患者に感染することは非常に多い。本発明はMRSAやVRE等の危険な多剤耐性株を死滅させるためにアカオジェンを使用するものである。
特に、リファンピン耐性は投与開始から24時間以内に出現するので、リファンピシンは一般に臨床使用から除外されている。上記実施例10参照。リファンピシン耐性を付与する突然変異は細菌増殖に非常に不利であるので、耐性細菌集団は投与停止から数週間以内に迅速にリファンピシン感受性に復帰する。従って、院内接触するほぼ全てのMRSA及びVRE株は最初はリファンピシン感受性である。本発明は1種以上の他の抗生物質に耐性であるが、最初はリファンピン感受性である危険なグラム陽性菌を死滅させるためにアカオジェンをリファンピンと併用するものである。アカオジェンとリファンピンを合剤化し、耐性を維持することができない「持続的」薬剤を創製することが好ましい。
細菌は以下のグラム試験段階によりグラム陽性菌とグラム陰性菌に分類することができる。細菌細胞をガラススライド上で乾燥し、クリスタルバイオレットで染色した後、素早く水洗する。ヨード溶液を加え、ヨードが細胞中でクリスタルバイオレットと複合体を形成するようにする。アルコール又はアセトンを加えてクリスタルバイオレット−ヨード複合体を可溶化する。細胞をサフラニンで対比染色した後、濯いで乾燥し、顕微鏡観察する。グラム陽性菌はクリスタルバイオレット−ヨード複合体を保持しているので紫色に呈色する(下記左側画像に示すBacillus cereus)。グラム陰性菌はアルコール又はアセトン処理により脱色されるが、その後、サフラニンで染色されるので、ピンク色に呈色する(下記右側画像に示すPseudomonas aeruginosa)。従って、グラム陽性細胞とグラム陰性細胞の本質的相違は溶剤処理時にクリスタルバイオレット−ヨード複合体を保持できるか否かである。
グラム陰性バチルス菌の例としては大腸菌(UTI及び他の感染症の原因)、Enterobacter(UTI及び他の感染症の原因)、Pseudomonas aueruginosa(UTI、肺炎及び菌血症)、Salmonella(腸チフス、パラチフス、菌血症、及び急性胃腸炎の原因)、Shigella(急性胃腸炎)、Campylobacter(腸炎、菌血症、心内膜炎、及び髄膜症の原因)、Vibrio cholerae(コレラの原因)が挙げられる。
グラム陽性バチルス菌の例としては、炭疽病と肺炎の原因であるB.anthracisが挙げられる。
グラム陰性球菌の例としては、淋病と髄膜症の原因であるNeisseriaが挙げられる。
グラム陽性球菌の例としては、腫瘍、菌血症、心内膜炎、肺炎、骨髄炎、及び蜂巣炎の原因であるStaphylococciが挙げられる。
本明細書に引用する全刊行物及び特許出願は参考資料として本明細書に組込み、各刊行物又は特許出願を参考資料として組込むと個々に記載していると同程度とみなす。
特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく多数の変更や変形が可能であることは当業者に自明である。
本明細書に引用する全刊行物及び特許出願は参考資料として本明細書に組込み、各刊行物又は特許出願を参考資料として組込むと個々に記載していると同程度とみなす。特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく多数の変更や変形が可能であることは当業者に自明である。
正常条件下、シプロフロキサシン暴露による細胞ストレス条件下及びアカオジェンの存在下の細胞ストレス条件下におけるLexAの細胞機能を示す。 ストレス生活適応的突然変異(SLAM)アッセイを示す。 シプロフロキサシンの存在下における各種細菌株の突然変異率を示す。 図4A及び4BはLexA基質ループのペプチドVAAGEPLLAWの一部(VAAG)を示す。図4Aは酵素の活性クレフトをその基質と共に示す。図4Bはその基質なしに活性クレフトを示す。 図5A及び5Bは2種のコンホメーションにおけるLexAの結晶構造を示す。図5AはLexAの開裂不能なコンホメーションの結晶構造を示す。図5BはLexAの開裂可能なコンホメーションを示す。 LexAの活性部位の形状と、Ala−GlyジペプチドのC=Oを攻撃する態勢にあるS119の位置を示す。 SOS及びポリメラーゼ欠損大腸菌株で固体培地(シプロフロキサシン35ng/mlを添加したLB)に残存する生存シプロフロキサシン感受性細胞数を時間の関数として示す。 「第1段階」シプロフロキサシン耐性(即ちシプロフロキサシン35ng/mlに対する耐性であり、gyrA遺伝子の単独点突然変異により付与される段階の耐性)を発生する能力を比較することにより測定した3種の異なる大腸菌株の突然変異率の比較を示す。株1はATCC25922であり;株2はATCC25922−ΔlacZであり;株3はATCC25922−lexA(S119A)である。棒線は合計突然変異率(塩基置換とコドン欠失)を表す。誤差線は3回の独立した率測定からの標準偏差を表す。 35ng/mlシプロフロキサシンに既に耐性である2種の異なる大腸菌株の突然変異率と高濃度のシプロフロキサシン(即ち650ng/mlシプロフロキサシン)に対する耐性を発生するその能力を示す。株1はATCC25922−ΔlacZ(gyrA(S83L))であり、株2はATCC25922−lexA(S119A)(gyyA(S83L))である。誤差線は2回の独立した率測定からの標準偏差を表す。 以下の10種の株:ΔlacZ[株1]、ΔpolB[株2]、ΔdinB[株3]、ΔumuDC[株4]、ΔpolB/ΔdinB[株5]、ΔpolB/ΔumuDC[株6]、ΔdinB/ΔumuDC[株7]、ΔpolB/ΔdinB/ΔumuDC[株8]、lexA(S119A)[株9]、及びΔrecD[株10]のシプロフロキサシン耐性への突然変異率を示し;黒棒線は塩基置換突然変異を表し、網掛け棒線はコドン欠失を表す。数値は1日生存細胞1個当たりの耐性突然変異体数を表す。誤差線は3回の独立した率測定からの標準偏差を表す。 シプロフロキサシンの存在下における組換え依存的複製再開のモデルメカニズムを示す。このモデルでは、RuvABがトラップされたトポイソメラーゼ複合体をDNAから移動させるように作用し、新しい複製フォークを形成してそこでPriAがプロセッシブレプリソームを再構成できるようにする。 t=0に〜10cfu/大腿部のシプロフロキサシン注射による治療開始後24時間置きに測定した好中球減少マウスの大腿部における大腸菌ATCC25922のΔlacZ及びlexA(S119A)突然変異体(0時に約10cfu/大腿部を注射)の突然変異と生存を示す。白丸及び白三角は夫々ΔlacZ及びlexA(S119A)株の合計CFU/大腿部に対応する。黒丸及び黒三角は夫々シプロフロキサシン耐性ΔlacZ及びlexA(S119A)突然変異体数/大腿部を表す。検出下限は生物100個/大腿部であった。 セリンプロテアーゼインヒビターであるフルオロリン酸ジイソプロピルの構造を示す。 図14A−14Eは代表的なセリンプロテアーゼインヒビターA−Eの構造を示す。 図15A−15DはLexAの代表的な非共有ペプチドミメティック阻害剤を示す。 LexAの代表的な非共有ペプチドミメティック阻害剤を示す。 LexAの各種共有ペプチドミメティック阻害剤を示す。 大腸菌ATCC25922−ΔlacZ又はATCC25922−lexA(S119A)を感染させたマウス大腿部でのリファンピン耐性実験の結果を示す。 破壊カセットの構築に使用したオリゴヌクレオチドプライマーを示す。 3種のペプチドによるLexAの自己開裂を示す。 ペプチド3の存在下とペプチド3の不在下におけるLexAの自己開裂の阻害の比較を示す。

Claims (64)

  1. 細胞又は生物における突然変異率を抑制する非天然、組換え、又は単離精製アカオジェンを含む組成物。
  2. 前記アカオジェンが突然変異率を増加させる遺伝子産物と結合する請求項1に記載の組成物。
  3. 前記遺伝子産物がRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はそのホモログもしくはフラグメントである請求項1に記載の組成物。
  4. 前記アカオジェンがLexAと共有又は非共有的に結合する請求項3に記載の組成物。
  5. 前記アカオジェンがLexA開裂部位もしくは活性部位のポリペプチド配列、又はそのホモログもしくはアナログを含む請求項3に記載の組成物。
  6. 前記ポリペプチド配列がジペプチドAla−Ala又はトリペプチドVal−Ala−Alaから構成される請求項5に記載の組成物。
  7. 前記ポリペプチド配列がVAAG(配列番号1)又はそのホモログから構成される請求項5に記載の組成物。
  8. 前記ポリペプチド配列がVAAGEPL(配列番号2)又はそのホモログから構成される請求項5に記載の組成物。
  9. 前記ポリペプチド配列がVAAGEPLLAW(配列番号3)又はそのホモログから構成される請求項5に記載の組成物。
  10. 前記Ala−Gly結合が正常生理条件下で開裂不能な結合に改変されている請求項6、7、8、又は9に記載の組成物。
  11. 前記アカオジェンがC末端修飾されている請求項6、7、8、又は9に記載の組成物。
  12. 前記C末端が求電子性である請求項11に記載の組成物。
  13. 前記求電子性末端がペプチドアルデヒド、トリフルオロケトン、クロロメチルケトン、及びα−ケト複素環から構成される群から選択される請求項12に記載の組成物。
  14. 前記アカオジェンが式I:

    [式中、R、R、R、R、R、及びRは各々独立して−(CHR−L−Rから構成される群から選択され、前記式中、xは0、1、2、3、又は4から構成される群から選択され;Lは単結合又は−C(O)−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−S(O)であり、jは0、1、又は2であり;RはH、(C−C)アルキル、ハロゲン、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)−NH、−(C−C)アルキルアミン、−C(O)−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)フルオロアルキル、−C(O)−(C−C)アルキルアミン、及び−C(O)−(C−C)アルコキシから構成される群から選択される部分であり;RはH、OH、ハロゲン、NH、CN、N、又は場合によりアルキル、アルケニル、アルコキシ、メルカプチル、アルキルアミン、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、及び複素環から構成される群から選択される1〜3個の独立して選択される置換基で置換された部分であり;更に、RとR、RとR、RとR、及びRとRは場合により置換又は未置換環構造を形成することができる]の非天然化合物又は単離精製セリンプロテアーゼインヒビターである請求項1に記載の組成物。
  15. 前記アカオジェンが単離精製ClpXP、Lonプロテアーゼ、PsiB、DinI、又はそのホモログ、アナログ、もしくはフラグメントである請求項1に記載の組成物。
  16. 前記アカオジェンが単離精製ClpXP、Lonプロテアーゼ、PsiB、DinI、又はそのホモログ、アナログ、もしくはフラグメントをコードするファージ粒子を含む請求項1に記載の組成物。
  17. 前記アカオジェンがRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はそのホモログもしくはフラグメントの発現率を低下させる三重螺旋核酸、アンチセンス核酸、亜鉛フィンガー、リボザイム又はRNAiである請求項1に記載の組成物。
  18. 前記アカオジェンがRecA、RecB、RecC、RecD、RecF、RecG、RecN、LexA、UmuC、UmuD、PolB、PolIV、PolV、PriA、RuvA、RuvB、RuvC、UmuC、UmuD、UvrA、UvrB、UvrD、又はそのホモログもしくはフラグメントと特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである請求項1に記載の組成物。
  19. 請求項1に記載の組成物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬製剤。
  20. 抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗原生動物薬、及び抗腫瘍薬から構成される群から選択される治療薬を更に含有する請求項19に記載の医薬製剤。
  21. 前記治療薬が抗生物質である請求項20に記載の医薬製剤。
  22. 前記抗生物質がアミノグリコシド、カルバペネム、セファロスポリン、セフェム、糖ペプチド、フルオロキノロン、マクロリド、オキサゾリジノン、ペニシリン、ストレプトグラミン、スルホンアミド、又はテトラサイクリンである請求項21に記載の医薬製剤。
  23. 請求項1に記載の組成物を収容した容器と、前記組成物を生物に投与することにより生物における突然変異率を低下させるための説明書を含むキット。
  24. 抗生物質、抗癌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、及び抗原生動物薬から構成される群から選択される第2の治療薬を更に含む請求項23に記載のキット。
  25. 診断ツールを更に含む請求項23に記載のキット。
  26. 前記診断ツールが誘導突然変異誘発を調節する遺伝子の突然変異又は発現率を検出する請求項25に記載のキット。
  27. 前記遺伝子がclpXP、dinB、dinI、dnaE1、dnaE2、gyrA、gyrB、lexA、lon、parC、parE、psiB、recA、recR、ruvA、ruvB、umuC、umuD、rpoS、23SrRNAの遺伝子、16SrRNAの遺伝子、L4リボソーム蛋白質の遺伝子、及びその任意ホモログから構成される群から選択される請求項26に記載のキット。
  28. 前記診断ツールがマイクロアレイを含む請求項26に記載のキット。
  29. 生物における突然変異率の調節方法であって、前記生物に請求項1に記載の組成物を投与することを含む前記方法。
  30. 前記生物がグラム陽性菌又はグラム陰性菌である請求項29に記載の方法。
  31. 前記細菌がAnthrax;Corynebacterium diphtheriae、Streptococcus pyogenes、Streptobacillus moniliformis、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella schottmulleri、Salmonella hirshfeldii、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Mycoplasma pneumonia、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Rickettsia prowazekii、Rickettsia rickettsii、Rickettsia akari、Clostridium difficile、Clostridium tetani、Clostridium perfringens、Clostridium novyii、Clostridium septicum、Clostridium botulinum、Legionella pneumophila、Hemophilus influenzae、Hemophilus parainfluenzae、Hemophilus aegyptus、Chlamydia psittaci、Chlamydia trachomatis、Bordetella pertusis、Shigella種、Campylobacter jejuni、Proteus種、Citrobacter種、Enterobacter種、Pseudomonas aeruginosa、Propionibacterium種、Bacillus anthracis、Spirrilum minus、Neisseria meningitidis、Listera monocytogenes、Neisseria gonorrheae、Treponema pallidum、Francisella tularensis、Brucella種、Borrelia recurrentis、Borrelia hermsii、Borrelia turicatae、Borrelia burgdorferi、Mycobacterium avium、Mycobacterium smegmatis、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、及び多剤耐性菌から構成される群から選択される請求項30に記載の方法。
  32. 抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗細菌薬、抗原生動物薬、及び抗生物質から構成される群から選択される物質を前記生物に投与する段階を更に含む請求項29に記載の方法。
  33. 前記組成物が前記生物における突然変異率を少なくとも2倍低下させる請求項29に記載の方法。
  34. 請求項1に記載の組成物の医薬製剤を生物に投与する段階を含む生物における薬剤耐性の治療又は予防方法。
  35. 薬剤耐性が抗生物質、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、及び抗原生動物薬から構成される群から選択される薬剤に対する耐性である請求項34に記載の方法。
  36. 薬剤耐性が抗生物質に対する耐性である請求項35に記載の方法。
  37. 抗生物質、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、及び抗原生動物薬から構成される群から選択される第2の治療薬を生物に投与する段階を更に含む請求項36に記載の方法。
  38. 前記抗生物質がアミノグリコシド、カルバペネム、セファロスポリン、セフェム、糖ペプチド、フルオロキノロン、マクロリド、オキサゾリジノン、ペニシリン、ストレプトグラミン、スルホンアミド、又はテトラサイクリンから構成される群から選択される請求項37に記載の方法。
  39. 抗生物質の投与前又は抗生物質の投与と同時に前記組成物を投与する請求項38に記載の方法。
  40. 生物がヒト、植物、鳥類又は家畜である請求項38に記載の方法。
  41. 薬剤耐性又は薬剤耐性になり易さに関する生物のスクリーニング方法であって、生物における突然変異率を調節する遺伝子の発現レベル又は突然変異を検出する段階を含む前記方法。
  42. 前記遺伝子がclpXP、dinB、dinI、dnaE1、dnaE2、gyrA、gyrB、lexA、lon、parC、parE、psiB、recA、recR、ruvA、ruvB、umuC、umuD、rpoS、23SrRNAの遺伝子、16SrRNAの遺伝子、L4リボソーム蛋白質の遺伝子、及びその任意ホモログから構成される群から選択される請求項41に記載の方法。
  43. 前記生物が細菌である請求項42に記載の方法。
  44. 前記生物がグラム陽性菌又はグラム陰性菌である請求項43に記載の方法。
  45. 前記細菌がAnthrax;Corynebacterium diphtheriae、Streptococcus pyogenes、Streptobacillus moniliformis、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Salmonella typhi、Salmonella paratyphi、Salmonella schottmulleri、Salmonella hirshfeldii、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Mycoplasma pneumonia、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、Vibrio cholerae、Vibrio parahaemolyticus、Rickettsia prowazekii、Rickettsia rickettsii、Rickettsia akari、Clostridium difficile、Clostridium tetani、Clostridium perfringens、Clostridium novyii、Clostridium septicum、Clostridium botulinum、Legionella pneumophila、Hemophilus influenzae、Hemophilus parainfluenzae、Hemophilus aegyptus、Chlamydia psittaci、Chlamydia trachomatis、Bordetella pertusis、Shigella種、Campylobacter jejuni、Proteus種、Citrobacter種、Enterobacter種、Pseudomonas aeruginosa、Propionibacterium種、Bacillus anthracis、Spirrilum minus、Neisseria meningitidis、Listera monocytogenes、Neisseria gonorrheae、Treponema pallidum、Francisella tularensis、Brucella種、Borrelia recurrentis、Borrelia hermsii、Borrelia turicatae、Borrelia burgdorferi、Mycobacterium avium、Mycobacterium smegmatis、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、及び多剤耐性菌から構成される群から選択される請求項44に記載の方法。
  46. 前記生物のサンプルを採取する段階を更に含む請求項44に記載の方法。
  47. 前記サンプルに由来する前記遺伝子の発現レベルを対照における前記遺伝子の発現と比較する段階を更に含む請求項46に記載の方法。
  48. 前記サンプルにおけるpsiB、dinI、lonプロテアーゼ、及びclpXPプロテアーゼの発現レベルが対照における発現レベルよりも高い場合に薬剤耐性が欠如又は薬剤耐性になり易さが欠如すると判定する請求項47に記載の方法。
  49. 前記突然変異がlexAの開裂部位もしくは活性部位又はそのホモログ内に位置する請求項47に記載の方法。
  50. 前記突然変異がS119Aである請求項47に記載の方法。
  51. 前記遺伝子がrpoS又はそのホモログである請求項47に記載の方法。
  52. LexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログと相互作用する物質の同定方法であって、
    (a)LexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログの結晶構造を取得する段階と;
    (b)前記結晶構造の原子座標を取得する段階と;
    (c)前記原子座標を1種以上の分子モデル化技術と併用し、LexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログと相互作用する物質を同定する段階を含む前記方法。
  53. 前記1種以上の分子モデル化技術がグラフィック分子モデル化及びコンピューター化学から構成される群から選択される請求項52に記載の方法。
  54. 前記物質をLexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログと接触させ、前記物質とLexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログの結合を検出する段階を更に含む請求項52に記載の方法。
  55. (d)段階(c)で同定された前記物質を改変する段階と;
    (e)段階(d)で改変された前記物質をLexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログと接触させ、前記改変物質とLexA、RecA、UmuC、UmuD、PolIV、又はそのホモログの結合を測定する段階を更に含む請求項52に記載の方法。
  56. 前記改変物質が細胞又は細胞群における突然変異率を低下させる請求項55に記載の方法。
  57. 細胞又は細胞群における突然変異率を低下させる物質の同定方法であって、
    (a)RecA又はそのホモログとLexA又はそのホモログを含む複合体の結晶を取得する段階と;
    (b)前記結晶の原子座標を取得する段階と;
    (c)前記原子座標と分子モデル化技術を併用し、前記複合体と相互作用する物質を同定する段階を含む前記方法。
  58. (d)細胞又は細胞抽出物に前記物質を投与し、突然変異率を測定することにより前記物質の阻害特性をアッセイする段階を更に含む請求項57に記載の方法。
  59. 細胞又は細胞群における突然変異率を低下させる物質の同定方法であって、
    (d)UmuC又はそのホモログとUmuD又はそのホモログを含む複合体の結晶を取得する段階と;
    (e)前記結晶の原子座標を取得する段階と;
    (f)前記原子座標と分子モデル化技術を併用し、前記複合体と相互作用する物質を同定する段階を含む前記方法。
  60. (d)細胞又は細胞抽出物に前記物質を投与し、突然変異率を測定することにより前記物質の阻害特性をアッセイする段階を更に含む請求項59に記載の方法。
  61. 細胞における突然変異率を抑制するアカオジェンの同定方法であって、
    候補アカオジェンを細胞又は細胞群と接触させる段階と;
    前記細胞又は細胞群を環境ストレスに暴露する段階と;
    前記細胞又は細胞群における突然変異レベルを検出し、前記細胞又は細胞群における前記レベルが対照におけるレベルよりも低い場合に、前記候補物質がアカオジェンであると判定する段階を含む前記方法。
  62. 前記環境ストレスが薬物療法、紫外線、栄養制限、及びDNA損傷から構成される群から選択される請求項61に記載の方法。
  63. 前記細胞又は細胞群が原核細胞又は真核細胞である請求項61に記載の方法。
  64. 前記検出段階が細胞を計数することにより実施される請求項61に記載の方法。
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