JP2007521161A - 改善された耐久性を有するポリ塩化ビニル物品 - Google Patents

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Abstract

改善された破裂抵抗を有する手袋を形成する方法が開示される。この方法は、鎖組立体にピボット運動可能に取り付けられた手袋フォーマを準備し、該フォーマを実質的に垂直な第1の位置においてプラスチゾルの中に浸漬し、該フォーマを該プラスチゾルから除去し、該フォーマを、該第1の位置に対して90度より少ない角度を形成する第2の位置までピボット運動させ、該プラスチゾルが該フォーマ上にゲルを形成するまで、該フォーマを該第2の位置に維持する、ことを含む。

Description

本発明は、一般に、改善された指先破裂抵抗を有する手袋を形成する方法に関する。
近年、医学界においては、種々の程度及び種類の保護を提供する手袋を開発することに対して、ますます重点が置かれている。医師は、多くの場合、手袋を破裂させて、手袋により与えられる障壁を犠牲にすることになる尖った物体に曝されている。したがって、破裂に対して改善された抵抗をもった手袋の必要性が認識されている。破裂のために、手袋において破損が最も一般的な区域は、指先である。指先区域における破損は、すり傷、切り傷、感染、及び危険な物質による汚染といった健康被害をもたらすことになる。したがって、指先区域において、改善された破裂抵抗を有する手袋の必要性がある。
ポリ塩化ビニル(PVC)といった熱可塑性樹脂から形成された手袋は、凝集されたゴム・ラテックスから形成された手袋に対して、使用中、指先の耐久性が不良であるという歴史がある。この差は、手袋を形成するのに用いられる材料に固有の違いにより引き起こされる。手袋フォーマ上の凝集剤とラテックスとの間での最初の接触点及び最後の接触点の両方は指先であり、ラテックスは該フォーマ上の凝集剤と接触することにより、直ちに凝集し始めるため、凝集剤ベースの浸漬工程から形成される手袋は、典型的には、他の手袋の指先より厚い指先を有する。PVCプラスチゾルといったプラスチゾルから形成される手袋は、プラスチゾルは、これが特定のゲル化温度で加熱されるように露出されるまで厚くなったり又はゲル化することがないため、一般に、欠陥のある指先厚さに悩まされ、フォーマが十分な熱に曝されるまで、プラスチゾルが連続してフォーマから排出される傾向になる。
この問題に対する1つの潜在的な解決法は、指先を含む手袋全体の厚さを増加させることになる。しかし、厚い手袋は、使用者の触感を減少させ、したがって、望ましくないものにする。
本発明は、一般に、改善された指先破裂抵抗を有する手袋を形成する方法に関する。この方法は、鎖組立体にピボット運動可能に取り付けられた手袋フォーマを準備し、該フォーマを、実質的に垂直な第1の位置において、プラスチゾルの中に浸漬し、該フォーマを該プラスチゾルから除去し、該フォーマを該第1の位置に対して90度より少ない角度を形成する第2の位置にピボット運動させ、該プラスチゾルが該フォーマ上にゲルを形成するまで、該フォーマを該第2の位置に維持する、ことを含む。第2の位置は、第1の位置に対してあらゆる好適な角度を形成することができ、幾つかの場合においては、該第2の位置は、該第1の位置に対して約60度から約85度までの角度を形成することができる。他の場合においては、第2の位置は、第1の位置に対して約70度から約83度までの角度を形成することができる。さらに他の場合においては、第2の位置は、第1の位置に対して約75度から約80度までの角度を形成することができる。フォーマは、第2の位置に維持されている間、加熱されることができる。
本発明は、さらに、改善された指先破裂抵抗を有するポリ塩化ビニル手袋に関する。手袋は、手のひら厚さを有する手のひら部分と、該手のひら部分から延び、該手のひら部分の遠位側に指先を有し、この指先は、該手のひら厚さと実質的に等しい指先厚さを有する。幾つかの場合においては、指先厚さは、約0.1mmから約0.2mmまでとすることができる。他の場合においては、指先厚さは、約0.11mmから約0.15mmまでとすることができる。別の場合においては、指先厚さは、約0.12mmとすることができる。手袋は、鎖組立体にピボット運動可能に取り付けられた手袋フォーマを準備し、該フォーマを、実質的に垂直な第1の位置において、プラスチゾルの中に浸漬し、該フォーマを該プラスチゾルから除去し、該フォーマを該第1の位置に対して90度より少ない角度を形成する第2の位置にピボット運動させ、該プラスチゾルが該フォーマ上にゲルを形成するまで、該フォーマを該第2の位置に維持する、ことにより形成することができる。
本発明は、さらに、手袋における指先破裂抵抗を求める方法に関する。この方法は、手袋の指先サンプルを準備し、該サンプルを円筒形のサンプル・マウントの上に置き、プローブを該サンプルに向かって前進させ、該プローブを該サンプルに接触させ、該サンプルを穿孔するのに要求される力を測定する、ことを含む。サンプルの厚さは、所望の場合には測定することができる。幾つかの場合においては、プローブを、約100mm/分から約800mm/分までで前進させることができる。他の場合においては、プローブを、約400mm/分から約600mm/分までで前進させることができる。
本発明は、一般に、指先に増加した破裂抵抗を有する手袋を形成する方法、及び、この方法から形成された手袋に関する。本発明の方法は、一般に、手袋全体の厚さを増加させることなく、例えば、手のひらのような手袋の他の部分の厚さと実質的に等しい指先厚さを有する手袋をもたらす。ここで用いられる「実質的に等しい」厚さとは、ここに述べられるキャリパのような任意の好適な装置により測定したときに、別の厚さの0.05mm以内の厚さのことを指す。指先厚さは、PVCプラスチゾルのゲル化中に、フォーマの角度を調整することにより増加される。指先厚さの増加は、ここに述べられるように、改善された破裂抵抗をもたらす。本発明は、さらに、手袋の指先の破裂抵抗を求める方法に関する。
図1に示すように、本発明により形成された手袋20は、一般に、手のひら部分22及び複数の指24を含む。指24は、手のひら部分22から延びる。手袋20の各指24は、手のひら部分22の遠位側に指先26を有する。指先26は、手のひら部分の厚さ(「手のひら厚さ」)と実質的に等しい厚さ(「指先厚さ」)を有する。
指先26は、ここに述べられる技術又はキャリパのような任意の好適な装置を用いて測定したときに、約0.10mmより厚い指先厚さを有することができる。幾つかの実施形態においては、指先26は、約0.10mmから約0.20mmまでの指先厚さを有することができる。他の実施形態においては、指先26は、約0.11mmから約0.15mmまでの指先厚さを有することができる。さらに他の実施形態においては、指先26は、約0.12mmの指先厚さを有することができる。
したがって、幾つかの実施形態においては、手のひら部分22は、該手のひら部分22の中央28において一般的に測定したときに、約0.10mmから約0.20mmまでの手のひら厚さを有することができる。他の実施形態においては、手のひら部分22は、約0.11mmから約0.15mmまでの手のひら厚さを有することができる。さらに他の実施形態においては、手のひら部分22は、約0.12mmの手のひら厚さを有することができる。
本発明の手袋は、例えば、浸漬、噴霧、タンブリング、乾燥、及び硬化といった、様々な工程を用いて形成することができる。手袋を形成するための例示的な浸漬工程がここに述べられるが、他の工程を採用して、異なる特性を有する様々な手袋を形成することができる。さらに、バッチ、セミバッチ、又は連続工程を本発明と併せて用いることができることを理解すべきである。
図1及び図2に示すように、手袋20は、「フォーマ」30と呼ばれる手の形状のモールド上に形成される。フォーマ30は、ガラス、金属、磁器等といった、任意の好適な材料から形成できる。フォーマの表面が、製造されるべき手袋の表面の少なくとも一部を定める。フォーマ30は、一般に、軸受34によりキャリア32に取り付けられて、該フォーマ30が軸Fの周りを方向Rにおいて、該キャリア32の長さに沿って回転することができるようになっている。キャリア32は、手袋形成工程の種々の段階を通して前進される鎖組立体36にピボット運動可能に取り付けられている。キャリア32は、鎖組立体36の長さに対して垂直な方向Pでピボット運動することができる。
一般に、手袋は、必要に応じて、所望の手袋の特性を達成するのに必要とされる一連の組成物中にフォーマを浸漬することによって形成される。手袋は、層ごとに凝固させられる。任意の層の組み合わせを用いることができ、ここでは特定の層が記載されているが、要望に応じて、他の層及び層の組み合わせを用いてもよいことを理解すべきである。したがって、一実施形態においては、手袋20は、基材本体38及び着用(着用者に接触する)層40を含むことができる(図3)。
一実施形態においては、基材本体は、浸漬工程を用いてプラスチゾルから形成することができる。ここで用いられる「プラスチゾル」は、可塑剤中の微細な樹脂粒子の分散のことを指す。プラスチゾルは、安定したシステムを形成するのに十分な剪断で、樹脂粒子を可塑剤に混合することにより形成される。要望に応じて、任意の好適な樹脂を用いることができ、幾つかの場合においては、樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)を含む。PVCから形成された物品がここに述べられるが、あらゆる他の好適な熱可塑性材料又は熱可塑性材料の組み合わせも本発明と併せて用いることができることを理解すべきである。したがって、例えば、樹脂は、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン・ブロック共重合体、ニトリル・ブタジエン・ポリマー、又は凝集剤を用いることなくフィルムを形成することができるあらゆる他のポリマーを含むことができる。さらに、例示的な工程条件がここに述べられるが、このような条件は、物品の所望の厚さ、組成物の粘度、物品をゲル化するのに必要な時間などによって決まることを理解すべきである。
フォーマは、最初に、約100°F(38℃)から約200°F(93℃)までの温度、例えば、150°(66℃)に加熱することができる。フォーマは、次いで、例えば、PVC、可塑剤、及び熱安定剤といった好適な熱可塑性樹脂を含有するプラスチゾル56の中に浸漬される(図2)。組成物は、任意の好適な温度で維持することができ、幾つかの場合においては、約75°F(24℃)から約175°F(79℃)までの温度、例えば、105°(40℃)に維持される。この浸漬は、一般に、図2に示すように、実質的に垂直な第1の位置54において行われる。
フォーマは、次いで、組成物から除去されて、排出される。排出が可能な時間(「排出時間」)は、フォーマの温度、及び、プラスチゾルの粘度に基づいて、手袋の質量、その厚さなどを定める。典型的なPVC手袋形成工程は、フォーマ30が、特定の時間おいて排出することを可能にし、次いで、方向Pから水平位置58まで、フォーマを上方にピボット運動させ、ここでは該フォーマは、プラスチゾル56がフォーマ30上でゲル化するまで方向Rにおいて回転される(図4)。フォーマを回転させる間、該フォーマ上のプラスチゾルは熱に曝されて、PVCをゲル化するようにさせる。この時点においては、PVCは、流れることはなくなり、手袋のベース構造が確立される。フォーマは、次いで、融着オーブンを通して前進され、ここで基材本体が、フォーマ上に定着することが可能になる。一つの場合においては、融着オーブンを約300°F(149℃)から約500°F(260℃)までの温度、例えば、450°(232℃)に維持することができ、フォーマは、約3分から約8分まで、例えば、6分間だけオーブン内にあることができる。
しかし、フォーマを水平位置までピボット運動させて、これを融着オーブンに前進させるという典型的な実施は、不十分な指先厚さをもたらすことが明らかになっている。したがって、本発明は、フォーマを、水平方向より少ない第2の位置60まで移動させて、プラスチゾルを指先まで流して、プラスチゾル56がゲル化するときに所望の厚さを蓄積することを考慮する(図4)。第1の位置と第2の位置との間で形成される最小及び最大角度βは、フォーマの温度及びプラスチゾルの粘度に大いに依存する。さらに、プラスチゾルをゲル化するのに必要な時間は、融着オーブンの温度及び該オーブン内での滞留時間に依存する。
一般に、プラスチゾルの粘度が増加すると、所望の厚さを蓄積するのに必要な流れが少なくなるため、水平方向位置からの小さい変位が要求される。融着オーブンの温度が上昇すると、プラスチゾルはより迅速にゲル化し、少ない流れが必要になるため、水平方向位置からの少ない変位が要求される。したがって、所定のオーブン温度及び所定のプラスチゾル粘度においては、所望の手袋及び指先特性に到達するために、角度を調整せねばならないことがある。
幾つかの実施形態においては、フォーマ30を、水平方向位置から約5度から、水平方向位置から約30度までの角度αを形成する第2の位置にピボット運動させることができる。他の実施形態においては、フォーマ30を、水平方向位置から約7度から、水平方向位置から約20度までの角度αを形成する第2の位置にピボット運動させることができる。さらに他の実施形態においては、フォーマ30を、水平方向位置から約10度から、水平方向位置から約15度までの角度αを形成する第2の位置にピボット運動させることができる。
したがって、本発明の手袋は、鎖組立体にピボット運動可能に取り付けられた手袋のフォーマを準備し、該フォーマを実質的に垂直な第1の位置においてプラスチゾルの中に浸漬し、該フォーマを該プラスチゾルから除去し、該フォーマを、該第1の位置に対して90度より少ない角度を形成する第2の位置までピボット運動させ、該プラスチゾルが該フォーマ上にゲルを形成するまで、該フォーマを該第2の位置に維持する、ことにより形成することができる。
同様に、第2の位置は、第1の位置に対して任意の所望の角度βを形成することができ、幾つかの実施形態においては、該第2の位置は、該第1の位置に対して約60度から約85度までの角度βを形成する。他の実施形態においては、第2の位置は、第1の位置に対して約70度から約83度までの角度βを形成する。さらに他の実施形態においては、第2の位置は、第1の位置に対して約75度から約80度までの角度βを形成する。種々の範囲がここに述べられるが、正確な位置は工程条件に依存し、このような位置は、本発明により考慮されることを理解すべきである。
フォーマ上の定着されたPVCは、次いで、該フォーマを、必要に応じて、1つ又はそれ以上の冷却ファン、ブロワー、又は水スプレーに曝すことにより、約100°F(38℃)から約200°F(93℃)までの温度、例えば、150°F(66℃)に冷却される。
所望される場合には、フォーマを、着用層を形成するための組成物に浸漬して、手袋の着用を容易にすることができる。着用層組成物は、約100°F(38℃)から約200°F(93℃)までの温度、例えば、150°F(66℃)に維持することができる。フォーマ上の着用層は、次いで、オーブンで、例えば、約2ないし3分間、約200°F(93℃)から約400°F(204℃)までの温度、例えば、300°F(149℃)で乾燥されることができる。
着用層はあらゆる好適なポリマーで形成することができ、幾つかの実施形態においては、ポリウレタンで形成することができる。本発明と併せて用いるのに好適とすることができる1つのこのようなポリウレタンは、SOLUCOTE(登録商標)117−179という商品名で、Soluol Chemical Co.,Inc.(ロードアイランド州ウェストウォリック所在)から入手可能である。SOLUCOTE(登録商標)117−179は、約10ないし20質量%の総固形分(TSC)を有する水性ポリウレタン分散として与えられる。他の実施形態においては、着用層は、アクリル系ポリマーから形成することができる。本発明と併せて用いるのに好適とすることができる1つのこのようなアクリル系ポリマーは、SMOOTHER Anti−Stick Agentという商品名で、Jatrac., Inc.(日本、京都所在)から入手可能である。
例示的な着用層材料がここに述べられているが、要望に応じて、あらゆる好適な着用層も用いることができることを理解すべきである。さらに、要望に応じて又は必要に応じて、種々の潤滑材料を着用層組成物に加えて、着用を高めることができる。幾つかのこのような材料は、平滑化剤、潤滑剤、例えば、ワックス又はシリコーン、又は粒子状物質、例えば、シリカを含むことができる。
次いで、フォーマは、ビード・ロール・ステーションに送られ、ここではカフスがわずかにロールされて、凝固することが可能になる。次いで、フォーマは、剥離ステーションに移送され、ここでは手袋が該フォーマから取り外される。剥離ステーションは、フォーマから手袋の自動的又は人為的な取り外しを含むことができる。例えば、一実施形態においては、手袋は人為的に取り外されて、フォーマから剥離されるときに裏返しにされる。この方法により、手袋を反転させることにより、フォーマ上の基材本体の露出表面上に形成された着用層が手袋の内側になる。
本発明は、さらに、手袋の指先が破裂することに対する抵抗を求める方法を考慮する。この方法は、手袋の指先を破裂させるのに要求される力を測定するものであり、これは、実際の使用条件を予測するのに用いることができる。試験方法の詳細な説明がここに与えられるが、手順の変形がさらに本発明により考慮されることを理解すべきである。
図5に示すように、この方法は、一般に、サンプル42を手袋の指先から準備し、該サンプル42を円筒形のサンプル・マウント44の上に配置し、プローブ46を該サンプル42の方向に駆動させ、該プローブ46を該サンプル42に接触させ、該サンプル42を破裂させるのに要求される力を測定する、ことを含む。手袋の厚さと破裂に対する抵抗との間の関係を求めることができるように、サンプルの厚さは、一般に、試験前に測定するものとする。
サンプル42は、評価されるべき手袋の指から特定の長さを切断することにより準備される。所望であれば、この試験方法は、用いられるべき特定の手袋の指、例えば、中指48(図1)を特定することができる。あらゆる好適な長さを除去することができ、幾つかの場合においては、約30ないし45mmの長さを除去することができる。幾つかの場合においては、約38mmの長さを除去することができる。
所望であれば、次いで、サンプルの厚さが測定される。厚さは、所望される場合には、平均を取得するために、例えば3回といった複数回だけ測定することができる。あらゆる好適な装置、例えば、キャリパ、を用いて、サンプルの厚さを測定することができる。用いられるキャリパの仕様は、0から12.7mmまでの測定範囲、20℃で0.02mmの精度、1.4N又はそれ以下の測定力、9.525mmのステム直径、及び4.1mmの接触点とすることができる。
次いで、サンプル42が、図5に示すように円筒形状を有することができるサンプル・マウント44上に配置される。サンプル・マウント44は、あらゆる好適な材料から製造することができ、幾つかの場合においては、サンプル・マウント44は、ステンレス鋼から製造される。所望の場合には、クランプ50を設けて、サンプル42をサンプル・マウント44上に固定することができる。サンプルが完全に取り付けられ、マウント上のサンプルを調整することにより、あらゆるしわを人為的に除去した場合には、該サンプルは試験される準備が整ったことになる。幾つかの場合においては、タルクのような粉末を軽くサンプルに振って、破裂中に、確実に、プローブがサンプルに付着しないようにするのが望ましいとすることができる。このような付着が生じた場合には、穿孔部は、実際の使用中に生じることがある穿孔部より、不自然に大きくなることがある。特定の量は要求されていないが、サンプルへの軽い振りかけは、不正確な穿孔部の大きさについてのあらゆる懸念をなくすのに十分である。
サンプル42が十分に準備された場合には、プローブ46を方向Yにおいて、該サンプルに向かって前進させて、手袋の指先26が破裂する際の抵抗を求める。用いられる試験装置に応じて、プローブは、クロス・ヘッド52又は他の好適な取り付け手段に取り付けることができる。プローブは、あらゆる好適な材料で製造することがき、幾つかの場合においては、精密に切断されたステンレス鋼から製造される。プローブは、あらゆる所望の速度で、サンプルに向かって前進することができ、幾つかの場合においては、プローブは、約100mm/分から約800mm/分まででサンプルに向かって前進することができる。他の場合においては、プローブは、約300mm/分から約700mm/分まででサンプルに向かって前進することができる。さらに他の場合においては、プローブは、約400mm/分から約600mm/分まででサンプルに向かって前進することができる。さらに他の場合においては、プローブは、約500mm/分でサンプルに向かって前進することができる。
プローブ46がサンプル42に接触すると、指先26を破裂させるのに要求される力が測定される。力を測定するのに、一定の伸長引張速度試験器のようなあらゆる好適な装置を用いることができる。このデータは、コンピュータ・ベースのデータ獲得及びフレーム制御システム(図示せず)を用いて記録することができる。
本発明の方法は、実際の使用条件を正確に表わすことが見出された。本発明の方法より以前に、唯一受け入れられていた手袋の破裂抵抗を評価する手段は、「Slow Rate Penetration Resistance of Flexible Barrier Films and Kaminates」という名称のASTM F1306−90(「ASTM」)であった。一般に、ASTMは、サンプルを万能試験器においてクランプし、該サンプルが穿孔されるまで、すなわち、該サンプルが視認できる亀裂を生成するまで、一定の速度で、プローブを該サンプルと接触させることにより、標本の破裂抵抗を測定する。ASTM手順によれば、76mm×76mmの標本が準備される。次いで、標本の中心において厚さが3回測定され、平均される。標本は、次いで、標本クランプ具上に置かれる。万能試験器のクロス・ヘッド速度は、25mm/分に調整される。プローブは、次いで、標本が穿孔されるまで、その中心まで駆動され、フィルムを穿孔するのに要求される力が記録される。
ASTMは、手袋サンプルのゆっくりした破裂抵抗の相対測定を与えるが、手袋の指先が破裂する際の抵抗を正確に予測することはできない。第1に、ASTMにより要求されるサンプルの大きさは、一般に、約20mm×20mmであり、手袋の指先からサンプルを切断するには大きすぎる。したがって、ASTMと併せて用いることができる手袋の部分は、手のひら部分のみである。さらに、指先区域に生じる破裂は、一般に、着用された手袋が尖った物体に迅速に接触することにより、引き起こされるものであるため、ASTMにより用いられる低速は、こうした破裂の種類を正確に表わすものではない。
これらの発見は、どのような方法によっても制限することを意図するものではない以下の例により明らかになる。
商業的に入手可能な手袋のサンプルが、本発明の試験方法により、破裂抵抗について評価された。
コンピュータ・ベースのデータ獲得及びフレーム制御システムをもつ一定の伸長速度(CRE)引張試験器を用いて、種々の競合材料が評価された。装置は、国家較正標準を用いて較正された。引張試験器のパラメータは、483+/−10mm/分のクロス・ヘッド速度及び500mmのクロス・ヘッド移動と設定された。
実験室の条件は、23+/−2℃及び50+/−5%の相対湿度で維持された。各サンプルは、該サンプルが本生産手袋又は競合手袋でない限り、試験標本準備前に、少なくとも24時間の期間だけ試験環境内で平衡された。
各サンプルの中指において、指先から約38mmの位置にマークが付けられた。この部分は、次いで、はさみを用いて、手袋から切断された。キャリパを用いて、手袋の指先の厚さを測定した。このようにするために、サンプルを手袋から切断した後、該サンプルは、十分に、キャリパ上の試験フット上に進められた。サンプルにおけるあらゆるしわは、人為的に除去された。指先の種々の位置で3回の測定が行われ、平均された。
サンプルは、次いで、サンプル・マウント上に完全に取り付けられて、滑りを阻止するようにクランプされた。指先にはわずかに粉末が振りかけられて、確実に、材料が付着することなく破裂するようにした。次いで、クロス・ヘッドが起動され、手袋を破裂させるのに要求された力が記録された。種々の競合サンプルについての結果が以下に与えられる。
Figure 2007521161
本発明により製造された33の手袋が、実施例1に述べられた手順により指先破裂抵抗について評価された。
実験用手袋を形成するために、フォーマが、まず約65℃の温度まで加熱された。フォーマは、次いで、PVC、可塑剤、及び熱安定剤を含有するプラスチゾルの中に浸漬された。プラスチゾルは、約65℃の温度で維持された。フォーマは、プラスチゾルの中に約3秒間だけ、垂直方向に浸漬された。プラスチゾルから除去された後、フォーマは約42秒間だけ排出されて、垂直方向浸漬位置から約80度の角度を形成する第2の位置まで回転された。第2の位置に維持される間、フォーマは、次いで、約5ないし6分間、約200℃に維持された融着オーブンを通って送られる。フォーマは、次いで、ファンを用いて、約100℃の温度まで冷却された。
フォーマは、次いで、着用層を形成するためのアクリル系エマルジョンを含む組成物の中に浸漬された。乾燥後、ビードが各手袋上にロールされ、これらの手袋はフォーマから取り外された。
手袋は、0.12mmの平均指先厚さを有することが見出された。さらに、指先を破裂させるのに要求される力の平均は、29.2Nであった。したがって、本発明の手袋は、指先において、より顕著に破裂に抵抗するものであった。
耐久性研究においてシミュレートされる使用が、本発明の手袋を評価するために実行された。この研究は、臨床的な状況における実験手袋に対する応力を模倣するように設計されており、D.Korniewicz他による「Performance of latex and nonlatex medical examination gloves during simulated use」(American Journal of Infection Control、第30巻、第2号、133−138ページ)において詳細に説明されている。一般に、手袋のサンプルを着用し、(1)シリンジを止め栓に連結し、これを30回オンオフし、次いで、止血鉗子を用いてシリンジを外し、これを10回繰り返すこと、(2)吸引チューブをカテーテルに連結すること及び外すことを10回、(3)尖っていない物体(例えば、人工的な手)をガーゼで包み、新しいテープを3回適用すること、(4)各々の手袋をはめた手を清潔な水において手ぬぐいをもって、手のひらで、ねじり運動において各指で、親指、及び手の裏という順序で、こすること、という作業を実行するように要求されている。各作業の完了後、手袋は、視覚的に検査される。欠陥が観察された場合には、その手袋は失敗である。作業の完了後、検査においてどのような欠陥も観察されなかった場合には、手袋は、手袋を1000mlの水で充填し、該手袋を2分間懸架し、該手袋の漏れを観察することを課すFDA水漏れ試験を受ける。あらゆる手袋の破損の位置が記された。
実施例2の実験用手袋が、従来の手袋形成工程により形成されたPVC手袋として知られる「Safeskin Clear」PVCという商品名で商業的に利用可能な対照手袋、及び3つの競合手袋サンプルと比較された。250のサンプルの大きさが、評価された手袋の各々について用いられ、結果は以下の通りである。

Figure 2007521161

対照手袋の合計破損率は、実験用手袋の破損率4%と比較すると10%であり、合計手袋破損において60%の減少を示す。さらに、指先においては、対照手袋の破損率は9.6%であり、実験用手袋の破損率は0.4%にすぎなかった。競合サンプルJ、K、及びLと比較した場合には、実験用手袋は、顕著な破損の減少を示した。
結果は、破損率と指先厚さとの間には、強力な相関があることを示す。本発明により形成された実験用手袋は厚い先端部を有し、したがって、破損に対して増加した抵抗を与える。
つまり、本発明により手袋を形成する方法、及びこれによって形成された手袋は、従来の手袋形成工程及び手袋と比べて、顕著な利点を与える。PVCプラスチゾルのゲル化中にフォーマの角度を調整することにより、指先の厚さが増加した手袋が形成される。指先区域は、もっとも破損しやすいため、本発明により形成された手袋は、かなり破損しづらいものとなる。
本発明は、その特性の範囲及び精神から逸脱することなく他の特定の形態で実現できる。従って、本実施形態は、あらゆる点で、限定的なものではなく、例示的なものとして考えるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲により示され、従って、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入るあらゆる変更を本明細書に包含することが意図される。
本発明により形成することができる例示的な物品を示す。 例示的な手袋形成工程を示す。 図1の物品を線3−3に沿って取った概略断面図である。 本発明による手袋形成工程を示す。 手袋の指先の破裂抵抗を求めるための、本発明による例示的な試験装置を示す。

Claims (20)

  1. 改善された指先破裂抵抗を有する手袋を形成する方法であって、
    鎖組立体にピボット運動可能に取り付けられた手袋フォーマを準備し、
    前記フォーマを実質的に垂直な第1の位置においてプラスチゾルの中に浸漬し、
    前記フォーマを前記プラスチゾルから除去し、
    前記フォーマを、前記第1の位置に対して90度より少ない角度を形成する第2の位置までピボット運動させ、
    前記プラスチゾルが前記フォーマ上にゲルを形成するまで、該フォーマを前記第2の位置に維持する、
    ことからなる方法。
  2. 前記第2の位置が、前記第1の位置に対して約60度から約85度までの角度を形成する請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2の位置が、前記第1の位置に対して約70度から約83度までの角度を形成する請求項1に記載の方法。
  4. 前記第2の位置が、前記第1の位置に対して約75度から約80度までの角度を形成する請求項1に記載の方法。
  5. 前記フォーマを前記第2の位置に維持する間、該フォーマを加熱することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  6. 前記フォーマが、フォーマ・キャリアにより、前記鎖組立体に回転可能に取り付けられており、該フォーマが、前記キャリアの長さにより形成された軸の周りを回転する、請求項1に記載の方法。
  7. さらにゲルを冷却することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記プラスチゾルが、ポリ塩化ビニルからなる請求項1に記載の方法。
  9. 改善された指先破裂抵抗を有するポリ塩化ビニル手袋であって、
    手のひら厚さを有する手のひら部分と、
    前記手のひら部分から延び、該手のひら部分の遠位側に指先を有する複数の指と、
    を備え、
    前記指先が、前記手のひら厚さと実質的に等しい指先厚さを有する、
    ことを特徴とする手袋。
  10. 前記指先厚さが、約0.1mmから約0.2mmまでである、請求項9に記載の手袋。
  11. 前記指先厚さが、約0.11mmから約0.15mmまでである、請求項9に記載の手袋。
  12. 前記指先厚さが、約0.12mmである、請求項9に記載の手袋。
  13. 鎖組立体にピボット運動可能に取り付けられた手袋フォーマを準備し、
    前記フォーマを実質的に垂直な第1の位置においてポリ塩化ビニル樹脂プラスチゾルの中に浸漬し、
    前記フォーマを前記プラスチゾルから除去し、
    前記フォーマを、前記第1の位置に対して90度より少ない角度を形成する第2の位置までピボット運動させ、
    前記プラスチゾルが前記フォーマ上にゲルを形成するまで、該フォーマを前記第2の位置に維持する、
    ことからなる方法。
  14. 前記方法が、前記フォーマを前記第2の位置に維持する間、該フォーマを加熱することをさらに含む請求項13に記載の方法。
  15. 手袋における指先裂抵抗を求める方法であって、
    手袋の指先サンプルを準備し、
    前記サンプルを円筒形のサンプル・マウントの上に置き、
    プローブを前記サンプルに向かって前進させ、
    前記プローブを前記サンプルに接触させ、
    前記サンプルを穿孔するのに要求される力を測定する、
    ことからなる方法。
  16. 前記サンプルの厚さを測定することをさらに含む請求項15に記載の方法。
  17. 前記指先サンプルに粉末を適用することをさらに含む請求項15に記載の方法。
  18. 前記指先サンプルを前記円筒形のサンプル・マウントに対してクランプすることをさらに含む請求項15に記載の方法。
  19. 前記プローブが、約100mm/分から約800mm/分までで、前記サンプルに向かって前進される、請求項15に記載の方法。
  20. 前記プローブが、約400mm/分から約600mm/分までで、前記サンプルに向かって前進される、請求項15に記載の方法。
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