JP2007514200A - 増感されたハロゲン化銀を含有するフォトサーモグラフィ材料 - Google Patents

増感されたハロゲン化銀を含有するフォトサーモグラフィ材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2007514200A
JP2007514200A JP2006543863A JP2006543863A JP2007514200A JP 2007514200 A JP2007514200 A JP 2007514200A JP 2006543863 A JP2006543863 A JP 2006543863A JP 2006543863 A JP2006543863 A JP 2006543863A JP 2007514200 A JP2007514200 A JP 2007514200A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
photothermographic
photosensitive
gold
silver halide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006543863A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007514200A5 (ja
Inventor
メアリー シンプソン,シャロン
ペトロブナ ブールバ,リリア
サキザデ,クマーズ
Original Assignee
イーストマン コダック カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by イーストマン コダック カンパニー filed Critical イーストマン コダック カンパニー
Publication of JP2007514200A publication Critical patent/JP2007514200A/ja
Publication of JP2007514200A5 publication Critical patent/JP2007514200A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49836Additives
    • G03C1/49845Active additives, e.g. toners, stabilisers, sensitisers
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/035Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein characterised by the crystal form or composition, e.g. mixed grain
    • G03C2001/03535Core-shell grains
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/08Sensitivity-increasing substances
    • G03C1/09Noble metals or mercury; Salts or compounds thereof; Sulfur, selenium or tellurium, or compounds thereof, e.g. for chemical sensitising
    • G03C2001/091Gold
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/167X-ray

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

化合物の組み合わせを用いてハロゲン化銀粒子を化学増感することによって写真スピードが増加したフォトサーモグラフィ乳剤を設計する。第一の化学増感剤は金(III)含有化合物であり、第二の化学増感剤はジフェニルホスフィンスルフィドである硫黄含有化合物である。金(III)含有化合物と前記硫黄含有化合物とのモル比は、すくなくとも1:1である。

Description

本発明は、金(III)含有化合物とジフェニルホスフィンスルフィドとの一定の組み合わせを使用して化学増感されたハロゲン化銀を含有するフォトサーモグラフィ材料に関する。本発明はまた、化学増感用化合物の組み合わせを使用したフォトサーモグラフィ乳剤及びフォトサーモグラフィ材料の製造方法、及びその結果として得られるフォトサーモグラフィ材料の画像形成方法に関する。
化学線によって画像形成され、次いで熱を用いて、しかも液体処理なしで現像される銀含有フォトサーモグラフィ画像形成材料(すなわち感光性の熱現像可能な画像形成材料)が長年にわたって当業者に知られている。このような材料は、特定の電磁線(例えばX線、紫外線、可視光、又は赤外線)による像様露光をフォトサーモグラフィ材料に施すことにより画像が形成され、この画像が熱エネルギーの使用により現像されるような記録プロセスにおいて使用される。「ドライシルバー」材料としても知られているこれらの材料は、一般に、下記の(a)〜(d)がコーティングされている支持体を含む:(a)光触媒(すなわちハロゲン化銀のような感光性化合物)であって、前記露光が施されると露光済粒子に潜像を提供し、これらの粒子が現像工程において銀画像を続いて形成するための触媒として作用することができる、光触媒、(b)比較的又は完全に非感光性の被還元性銀イオン源、(c)被還元性銀イオンのための還元性組成物(通常は現像剤を含む)、及び(d)親水性又は疎水性のバインダー。この潜像は次いで熱エネルギーを加えることにより現像される。
フォトサーモグラフィ材料において、写真ハロゲン化銀に露光を施すと、銀原子を含有する小さなクラスタ(Ag0)nが生成される。潜像として当業者に知られるこれらのクラスタの像様分布は一般に、通常の手段によっては見ることができない。このように感光性材料はさらに現像して可視像を生成しなければならない。このことは、潜像の銀含有クラスタを担持するハロゲン化銀粒子に触媒的に近接している銀イオンが還元されることにより達成される。このことは黒白画像を生成する。非感光性銀源は触媒的に還元されて可視黒白ネガティブ画像を形成するが、これに対して、ハロゲン化銀のほとんどは一般にはハロゲン化銀として残り、還元されない。
フォトサーモグラフィ材料において、しばしば「現像剤」と呼ばれる被還元性銀イオンのための還元剤は、潜像の存在において銀イオンを金属銀に還元することができ、そして、反応を引き起こすのに十分な温度に加熱されるまでは好ましくは比較的低活性である任意の化合物であってよい。フォトサーモグラフィ材料のための現像剤として機能する種々様々なクラスの化合物が、文献において開示されている。高温において、被還元性銀イオンは還元剤によって還元される。フォトサーモグラフィ材料において、加熱時にはこの反応は、潜像を取り囲む領域内に優先的に発生する。この反応は、画像形成層内の調色剤及びその他の成分の存在に応じて、黄色から濃い黒までの範囲の色を有する金属銀のネガティブ画像を生成する。
フォトサーモグラフィと写真との違い
画像形成の当業者は以前より、フォトサーモグラフィ分野は写真分野とは明らかに区別されることを認識している。フォトサーモグラフィ材料は、水性処理溶液による処理を必要とするコンベンショナルなハロゲン化銀写真材料とは著しく異なる。
フォトサーモグラフィ画像形成材料の場合、材料内部に内蔵された現像剤の反応の結果としての熱によって、可視像が形成される。この乾式現像にとっては50℃以上での加熱が必要である。対照的に、コンベンショナルな写真画像形成材料は、可視像を提供するために、より穏やかな温度(30℃〜50℃)の水性処理浴内で処理することを必要とする。
フォトサーモグラフィ材料の場合、光を捕らえるためにハロゲン化銀は少量しか使用されず、そして熱現像によって可視像を生成させるために、非感光性の被還元性銀イオン源(例えばカルボン酸銀塩又は銀ベンゾトリアゾール)が使用される。このように、画像形成済感光性ハロゲン化銀は、非感光性の被還元性銀イオン源及び内蔵された還元剤に関与する物理的現像プロセスのための触媒として役立つ。対照的に、コンベンショナルな湿式処理型黒白写真材料は銀の1つの形態(すなわちハロゲン化銀)だけを使用する。この銀形態は、化学的現像時には、それ自体が少なくとも部分的に銀画像に変換され、又は、物理的現像時には、外部銀源(又は、対応する金属に還元されると黒画像を形成する他の被還元性金属イオン)の添加を必要とする。このように、フォトサーモグラフィ材料が必要とする単位面積当たりのハロゲン化銀量は、コンベンショナルな湿式処理型写真材料中に使用される量のわずかな割合にすぎない。
フォトサーモグラフィ材料の場合、画像形成のための「化学物質」の全てが、材料自体内部に内蔵される。例えば、このような材料は現像剤(すなわち、被還元性金属イオンのための還元剤)を含むのに対して、コンベンショナルな写真材料は通常これを含まない。フォトサーモグラフィ材料内に現像剤を内蔵することにより、種々のタイプの「カブリ」又はその他の望ましくないセンシトメトリックな副作用の形成が増大するおそれがある。従って、これらの問題を最小限に抑えるべく、フォトサーモグラフィ材料の調製及び製造に多大の努力が為されている。
さらに、フォトサーモグラフィ材料の場合、未露光のハロゲン化銀は一般に、現像後に無傷のまま残り、材料はさらに画像形成及び現像に対して安定化されなければならない。対照的に、ハロゲン化銀はコンベンショナルな写真材料からは溶液現像後に除去され、更なる画像形成が防止される(すなわち水性定着工程)。
フォトサーモグラフィ材料は乾式熱処理を必要とするので、コンベンショナルな湿式処理型ハロゲン化銀写真材料と比較して、明らかに異なる問題を提示し、そして製造時及び使用時に異なる材料を必要とする。コンベンショナルなハロゲン化銀写真材料において1つの効果を有する添加剤は、基礎となる化学物質が著しく込み入っているフォトサーモグラフィ材料中に内蔵されると、全く異なった挙動を示すことがある。コンベンショナルな写真材料における例えば安定剤、カブリ防止剤、スピード促進剤、超色増感剤、並びに分光増感剤及び化学増感剤のような添加剤を内蔵しても、このような添加剤がフォトサーモグラフィ材料において有益であるか又は有害であるかは予測できない。例えば、コンベンショナルな写真材料において有用な写真カブリ防止剤がフォトサーモグラフィ材料中に内蔵されると種々のタイプのカブリを引き起こすこと、又は、写真材料において効果的な超色増感剤が、フォトサーモグラフィ材料中では不活性であることは珍しいことではない。
フォトサーモグラフィ材料と写真材料とのこれらの違い及びその他の違いは、上述のImaging Processes and Materials, (Nebletteの第8版), Unconventional Imaging Processes, E. Brinckman他(編), The Focal Press, London and New York, 1978, 第74-75, Zou他, J. Imaging Sci. Technol. 1996, 40, 第94-103頁、及びM. R. V. Sahyun, J. Imaging Sci. Technol. 1998, 42, 23に記載されている。
フォトサーモグラフィ材料の使用における難題の1つは、コンベンショナルな画像形成源とも適合可能であるような材料において十分なフォトサーモグラフィ・スピードを達成することである。
純粋な写真ハロゲン化銀(塩化銀、臭化銀及びヨウ化銀)及び混合型ハロゲン化物(例えば臭塩ヨウ化銀)のそれぞれは、電磁スペクトルのUV、近UV及び青領域内で、波長(スペクトル感度)及び効率(スピード)の両方において輻射線に対する固有のレスポンスを有する。従って、ハロゲン化銀粒子は、銀原子とハロゲン原子とだけから構成される場合、特定のハロゲンのレベル、結晶の形態(結晶又は粒子の形状及び構造)、結晶の欠陥、応力及び転位、並びにハロゲン化銀の結晶格子内部又は結晶格子上に内蔵されたドーパントに応じて、規定の感度レベルを有する。
化学増感(一般に硫黄増感)は、ハロゲン化銀結晶形成中又は形成後に、増感中心[例えば(Ag2S)nのような硫化銀のクラスタ]を個々のハロゲン化銀粒子上に導入するプロセスである。例えば、種々の段階中、又はハロゲン化銀粒子成長完了後に、硫黄付与化合物とハロゲン化銀とを直接的に反応させることにより、硫化銀片を導入することができる。これらの硫化銀片は通常、潜像中心を優先的に形成するための浅い電子トラップとして機能する。他のカルコゲン(Se及びTe)も同様に機能することができる。これらの硫化銀片の存在は、結果として生じるハロゲン化銀粒子の、輻射線に対するスピード又は感度を高める。この目的に有用な硫黄付与化合物は、Sheppard他、J. Franklin Inst., 1923, 第196, 653及び673頁、C. E. K. Mees及びT. H. James, The Theory of the Photographic Process, 第4版, 1977, 第152-3頁、及びTani, T., Photographic Sensitivity: Theory and Mechanisms, Oxford University Press, NY, 1995, 第167-176頁)によって記載されているようなチオスルフェート(例えばナトリウムチオスルフェート)及び種々のチオ尿素(例えばアリルチオ尿素、チオ尿素、トリエチルチオ尿素及び1,1'-ジフェニル-2-チオ尿素)を含む。
フォトサーモグラフィ乳剤の場合、感光性ハロゲン化銀は、非感光性の被還元性銀イオン源とは、触媒的に近接した関係(又は反応するように組み合わされた関係)になければならない。乳剤形成手順及びフォトサーモグラフィ乳剤の化学的な環境が異なるため、コンベンショナルな写真乳剤中の化合物(例えば化学増感剤)によって達成される効果は、フォトサーモグラフィ乳剤においては必ずしも可能ではない。
例えば、フォトサーモグラフィ乳剤の場合、2つのタイプの化学増感:(a)予め形成されたハロゲン化銀粒子を化学増感し、次いでこれらの粒子を何らかの様式で、被還元性銀イオンを含有する溶液中に混和する、化学増感、及び(b)被還元性銀イオンと既に密に接触している予め形成されたハロゲン化銀粒子の化学増感を用いることにより、スピードを高めている。
第1のアプローチ(a)において、伝統的な方法 (写真乳剤のために用いられる)の多くを用いることができるが、第2のアプローチ(b)の場合には、全く特異的な方法及び独自の化合物がしばしば必要となる。どのアプローチが用いられるかにかかわらず、低いカブリ(Dmin)を維持しつつ、追加のスピードを得ることはかなり困難である。
強力な酸化剤、例えば臭化水素酸ピリジニウムペルブロミド(PHP)を乳剤に添加することにより、米国特許第5,891,615号明細書(Winslow他)に記載されているようなフォトサーモグラフィ乳剤中の予め形成されたハロゲン化銀粒子上又は粒子の周りの硫黄含有分光増感色素を酸化的分解することによって、別の化学増感法が達成される。この分解に続いて、無機ハロゲン化物化合物を添加することにより、非感光性銀塩の一部がin-situでハロゲン化銀に変換される。
チオ硫酸ナトリウム、セレン化トリアリールホスフィン及びジテルル化ジベンゾイル、又はこれらの混合物をフォトサーモグラフィ材料のための化学増感剤として使用することも知られている(例えば米国特許第4,639,414号明細書(Sakaguchi))。感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン化銀形成後で化学増感完了前に添加された増感色素の存在において化学増感されると言われている。
種々のチオ尿素を含む種々の硫黄含有化学増感剤が、米国特許第4,810,626号明細書(Burgmaier他)、同第4,213,784号明細書(Ikenoue他)、及び同第5,843,632号明細書(Eshelman他)に記載されている。米国特許第6,368,779号明細書(Lynch他)に記載された四置換型チオ尿素化合物が、Dminの損失が最小限の、高められたフォトスピードを可能にすることが示されている。
金含有イオン、例えば写真材料用の米国特許第5,220,030号(Deaton)に記載されているようなテトラクロロ金酸塩(III)又はジチオシアナト金酸塩(I)で、ハロゲン化銀粒子を処理することによっても、フォトスピードを高めるための化学増感が達成されている。金は一般に金(III)として配合物に添加することもできるが、このような用途では、Au(I)が活性種であると考えられている(例えば、Tani, Photographic Sensitivity, Oxford University Press, 1995参照)。米国特許第5,858,637号明細書(Eshelman他)には、化学増感剤として使用することができる種々の金(I)化合物も記載されている。
最近では、米国特許第6,423,481号明細書(Simpson他)に、高いDmax及び低いDminを維持しながらフォトサーモグラフィ材料のスピードを高めるための、極めて有用な金(III)含有化学増感化合物が記載されている。
フォトサーモグラフィ材料は、消費者、管理者、及び製造者によってもたらされる、性能、貯蔵及び製造に対して増え続ける需要を満たすように絶えず再設計されている。これらの需要の1つは、カブリ(Dmin)の顕著な増大又はDmaxの損失なしにフォトスピードを増大させることである。従って、米国特許第5,891,615号明細書(上記)に記載された現行の化学増感法は、フォトサーモグラフィ乳剤の望ましいスピードを提供しているものの、このような乳剤のためのさらに高いフォトスピードを提供する改善された方法が依然として必要である。
金(III)含有化合物と硫黄含有化合物との特定の組み合わせを化学増感用化合物(化学増感剤)として使用することにより、Dmin(カブリ)の顕著な増大又はDmaxの損失なしにフォトスピードが高められたフォトサーモグラフィ材料が提供されることを、我々は見いだした。加えて我々は、本発明が、貯蔵寿命安定性が高められたフォトサーモグラフィ材料を提供することを見いだした。化学増感剤のこの組み合わせは、X線感光性フォトサーモグラフィ材料を製造するのに特に有用である。
本発明は、支持体を含み、そして該支持体の少なくとも一方の側に、バインダー、並びに反応するように組み合わさる、
a. 感光性ハロゲン化銀粒子、
b. 非感光性の被還元性銀イオン源、及び
c. 前記被還元性銀イオンのための還元性組成物
を含む1つ又は2つ以上の画像形成層を有するフォトサーモグラフィ材料であって、
前記感光性ハロゲン化銀粒子が、
1)下記構造GOLD:
Au(III)L'rYq
(GOLD)
(上記式中、L'は同じ又は異なる配位子を表し、各配位子は金との結合を形成することができる1つ以上のヘテロ原子を含み、Yはアニオンであり、rは1〜8の整数であり、そしてqは0〜3の整数である)
によって表される金(III)含有化合物、及び
2)下記構造PS:
Figure 2007514200
(上記式中、Ph1及びPh2は同じ又は異なるフェニル基であり、R1及びR2は独立して水素又はアルキル又はフェニル基であり、Lは直接的な結合又は結合基であり、mは1又は2であり、mが1である場合にはR3は一価基であり、そしてmが2である場合にはR3は、鎖内の炭素、窒素、酸素又は硫黄の原子数が1〜20の二価脂肪族結合基である)
によって表されるジフェニルホスフィンスルフィドである硫黄含有化合物
から本質的に成る化学増感剤の組み合わせで化学増感されており、そして
化学増感に使用される前記金(III)含有化合物と前記硫黄含有化合物とのモル比が、すくなくとも1:1であるフォトサーモグラフィ材料を提供する。
好ましい態様の場合、本発明は、支持体を含み、該支持体の少なくとも一方の側に、乾燥コーティング重量5〜200 g/m2のフォトサーモグラフィ画像形成層と、表面保護層とを有するX線感光性フォトサーモグラフィ材料であって、
該画像形成層が、疎水性バインダー、並びに反応するように組み合わさる、
a. 感光性の臭化銀もしくはヨード臭化銀、又はその両方、
b. ベヘン酸銀を含む非感光性の被還元性銀イオン源、
c. ヒンダード・フェノール又はアスコルビン酸を含む、該被還元性銀イオン源のための還元性組成物、及び
d. X線に対して感光し、そして0.002モル/m2以上で該材料中に存在する総銀量の1モル当たり0.5〜20モル以上の量で存在する燐光体
を含み、
該燐光体が、YTaO4、YTaO4:Nb、Y(Sr)TaO4、及びY(Sr)TaO4:Nbのうちの1つ又は2つ以上であり、
該臭化銀又は該ヨード臭化銀の粒子が、
1)下記金(III)含有化合物Au-1〜Au-14のうちの1つ又は2つ以上と、
2)下記ジフェニルホスフィンスルフィド化合物PS-1〜PS-19のうちの1つ又は2つ以上と
から本質的に成る化学増感剤の組み合わせで化学増感されており、
化学増感に使用される該金(III)含有化合物と該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物とのモル比が、1:1〜1:1,000である、
X線感光性フォトサーモグラフィ材料を提供する。
本発明はまた、
(A) 予め形成された感光性ハロゲン化銀粒子及び非感光性の被還元性銀イオン源の分散体を用意すること、
(B) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物である1種又は2種以上の硫黄含有化合物を用意すること、該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物は、上記構造PSによって表される、
(C) 酸化性環境内で該ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物を分解することによって、該予め形成されたハロゲン化銀粒子を化学増感することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、及び
(D) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる金(III)含有化合物を用意することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる金(III)硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供する
ことを含んで成り、
該金(III)含有化合物が、上記構造GOLDによって表され、そして
化学増感に使用される該金(III)含有化合物と該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物とのモル比が、1:1〜1:1,000である、
フォトサーモグラフィ乳剤の製造方法を提供する。
本発明はさらに、
(A) 予め形成された感光性ハロゲン化銀粒子及び非感光性の被還元性銀イオン源の分散体を用意すること、
(B) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物である硫黄含有化合物を用意すること、該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物は、上記構造PSによって表される、
(C) 酸化性環境内で該ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物を分解することによって、該予め形成されたハロゲン化銀粒子を化学増感することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、そして
(D) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる金(III)含有化合物を用意することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる金(III)硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、該金(III)含有化合物は、上記構造GOLDによって表される、そして、
(E') 工程(B)から(D)までのいずれかと同時に、又は工程(D)に続いて、バインダーを添加してエマルジョン配合物を形成すること、そして
(F) 工程(E')後、該乳剤配合物を支持体上にコーティングしてこれを乾燥させることにより、フォトサーモグラフィ画像形成材料を提供する
ことを含んで成り、
化学増感に使用される該金(III)含有化合物と該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物とのモル比が、1:1〜1:1,000である、
フォトサーモグラフィ材料の製造方法を提供する。
本発明はまた、
(A) 本発明のフォトサーモグラフィ材料に電磁線による像様露光を施すことにより、潜像を形成すること、及び
(B) 同時に又は続いて、該露光済フォトサーモグラフィ材料を加熱することにより、該潜像を現像して可視像にすることを含む、可視像形成方法を提供する。
本発明の或る態様において、該フォトサーモグラフィ材料支持体は透明であり、そして該方法はさらに:
(C) 画像形成用輻射線源と、画像形成用輻射線に対して感光する画像形成性材料との間に、可視像を有する露光・熱現像済フォトサーモグラフィ材料を位置決めすること、及び
(D) その後、該画像形成性材料を、該露光・熱現像済フォトサーモグラフィ材料に含まれる該可視像を通して画像形成用輻射線に暴露することにより、該画像形成性材料において可視像を提供することを含む。
本発明において有用な特定の金(III)含有化合物は、上記構造「GOLD」によって定義され、特定の硫黄含有化合物は、上記構造「PS」によって定義されたジフェニルホスフィンスルフィドである。これらのタイプの化合物のそれぞれを単独で使用すると、フォトサーモグラフィ乳剤のフォトスピードがいくらか高められるが、両タイプの化合物を組み合わせると、結果として得られるフォトサーモグラフィ材料のフォトスピード及び貯蔵寿命安定性の両方が高められる。
本発明によって調製されるフォトサーモグラフィ材料は、黒白又はカラーのフォトサーモグラフィ、並びに電子的に生成される黒白又はカラーのハードコピー記録に使用することができる。これらの材料は、マイクロフィルム用途、ラジオグラフィ画像形成(例えばデジタル医療用画像形成)、X線ラジオグラフィ、及び工業用ラジオグラフィにおいて使用することができる。さらに、これらの材料をグラフィックアート分野(例えばイメージセッティング、写真植字)、印刷版の製造、密着印画、複写(「デューピング」)及び校正に使用可能にするために、これらのフォトサーモグラフィ材料の350〜450 nmの吸光度は低い(0.5未満)ことが望ましい。
本発明によって調製されるフォトサーモグラフィ材料は、医療診断に使用するための可視光又はX線に応答して、ヒト又は動物の患者の医学的な画像を形成するのに特に有用である。このような用途の一例としては、胸部画像形成、マンモグラフィ用、歯科用画像形成、整形外科用画像形成、一般医療用ラジオグラフィ、治療用ラジオグラフィ、獣医用ラジオグラフィ、及びオートラジオグラフィが挙げられる。X線と一緒に使用される場合には、本発明のフォトサーモグラフィ材料は、1つ又は2つ以上の燐光増感スクリーンとの組み合わせ、又はフォトサーモグラフィ乳剤内に内蔵された燐光体との組み合わせ、又はこれらの組み合わせで使用することができる。このような材料は歯科用ラジオグラフィに特に有用である。
本発明の方法によって調製されるフォトサーモグラフィ材料を、任意の好適な波長の輻射線に対して感光させることができる。従っていくつかの態様の場合、これらの材料は、電磁スペクトルの紫外線、可視光、赤外線、又は近赤外線波長で感光する。好ましい態様の場合、これらの材料は、好ましくは350 nmを上回る輻射線に対して感光する(例えば350〜1100 nmに対する感度)。特定のスペクトル領域に対する感度は、種々の増感色素を使用することにより高められる。他の態様の場合、これらの材料はX線に対して感光する。好ましい態様の場合、X線に対する感度は燐光体の使用によって高められる。
本発明の方法によって調製されるフォトサーモグラフィ材料は、可視光又はX線(例えばX線リソグラフィ及び工業用ラジオグラフィ)の非医療用途にも有用である。このような画像形成用途において、フォトサーモグラフィ材料は「両側」型であることがしばしば望ましい。
本発明のフォトサーモグラフィ材料の場合、画像形成に必要な成分は、支持体の一方の側(「表側」)上の1つ又は2つ以上のフォトサーモグラフィ画像形成層内にあってよい。感光性光触媒(例えば感光性ハロゲン化銀)又は非感光性の被還元性銀イオン源、又はその両方を含有する層を、本明細書においては、フォトサーモグラフィ乳剤層と呼ぶ。光触媒と非感光性の被還元性銀イオン源とは、触媒的に近接した関係(すなわち、互いに反応するように組み合わされた関係)にあり、同じ乳剤層内にあることが好ましい。
材料が支持体の一方の側だけに画像形成層を含有する場合、材料の「裏側」(非乳剤側又は非画像形成側)上に、導電層、ハレーション防止層、保護層、及び搬送可能化層を含む種々の非画像形成層が通常配置される。
またこのような事例において、支持体の「表側」又は画像形成側又は乳剤側上には、保護トップコート層、プライマー層、中間層、不透明層、静電防止層、ハレーション防止層、アキュータンス層、補助層、及び当業者にとっては容易に明らかなその他の層を含む種々の非画像形成層を配置することもできる。
いくつかの用途の場合、フォトサーモグラフィ材料は「両側」型であり、そして支持体の両側上に同じ又は異なるフォトサーモグラフィ・コーティング(又は画像形成層)を有することが有用である。このような構造において、それぞれの側は、1つ又は2つ以上の保護トップコート層、プライマー層、中間層、静電防止層、アキュータンス層、補助層、クロスオーバー防止層、及び当業者にとっては容易に明らかなその他の層を含むこともできる。
本発明のフォトサーモグラフィ材料が、像様露光後又は像様露光と同時にほとんど水のない状態で下記のように熱現像されると、銀画像(好ましくは黒白銀画像)が得られる。
定義
本明細書中で使用する場合:
本発明のフォトサーモグラフィ材料の説明中、「成分」とは、その「成分の1種以上」を意味する(例えば、特定の化学増感用化合物)。
本明細書中に使用される、ほとんど水のない状態における加熱とは、存在する周囲水蒸気をほとんど上回らない状態で50℃〜250℃の温度で加熱することを意味する。「ほとんど水のない状態」という用語は、反応系が空気中の水とほぼ平衡しており、反応を誘発又は促進するための水が、材料外部からことさら又は積極的に供給されることはないことを意味する。このような状態は、T. H. James, The Theory of the Photographic Process, 第4版, Eastman Kodak Company, Rochester, NY, 1977, 第374頁に記載されている。
「フォトサーモグラフィ材料」は、1つ以上のフォトサーモグラフィ乳剤層又はフォトサーモグラフィ乳剤層セット(この場合、感光性ハロゲン化銀及び被還元性銀イオン源は1つの層内にあり、その他の主要成分又は望ましい添加剤は、所望の通りに、同じ層又は隣接するコーティング層内に分配される)と、任意の支持体と、トップコート層と、画像受理層と、ブロック層と、ハレーション防止層と、下塗り層又はプライミング層とを含む構造を意味する。これらの材料はまた多層構造を含む。これらの多層構造において、1種又は2種以上の画像形成成分は異なる層内にあるが、しかし「反応するように組み合わされた関係」にあるので、これらの成分は画像形成中及び/又は現像中に互いに容易に接触することになる。例えば、1つの層が非感光性の被還元性銀イオン源を含むことができ、別の層が還元性組成物を含むことができる。しかしこれら2種の反応性成分は互いに反応するように組み合わされた関係にある。
フォトサーモグラフィにおいて使用される場合、「像様露光」という用語は、電磁線を用いて潜像を提供する任意の露光手段によって材料が画像形成されることを意味する。このことは、例えば感光性材料上への投影によって画像が形成されるアナログ露光によるもの、並びに、走査レーザー線の変調のような、一度に1画素ずつ画像が形成されるデジタル露光によるものを含む。
「触媒的に近接した関係」又は「反応するように組み合わされた関係」は、材料が同一層内又は隣接層内にあるので、これらの材料が熱画像形成中及び熱現像中に互いに容易に接触するようになっていることを意味する。
「乳剤層」、「画像形成層」、又は「フォトサーモグラフィ乳剤層」は、感光性ハロゲン化銀(使用される場合)及び/又は非感光性の被還元性銀イオン源を含有するフォトサーモグラフィ材料層を意味する。前記用語は、感光性ハロゲン化銀(使用される場合)及び/又は非感光性の被還元性銀イオン源に加えて、追加の主要成分及び/又は望ましい添加剤を含有するフォトサーモグラフィ材料層を意味することもできる。これらの層は通常、支持体の「表側」として知られている面上に位置する。
「光触媒」とは、輻射線による露光の際に化合物を提供するハロゲン化銀のような感光性化合物を意味し、この感光性化合物により提供された化合物は、引き続き行われる画像形成材料の現像のための触媒として作用することができる。
本明細書中に使用される材料の多くは溶液として提供される。「活性成分」という用語は、試料中に含有される所望の材料の量又はパーセンテージを意味する。本明細書中に挙げられた全ての量は、添加された活性成分の量である。
「紫外スペクトル領域」とは、410 nm以下、好ましくは100 nm〜410 nmのスペクトル領域を意味するが、これらの領域の一部はヒトの肉眼で見ることができる場合がある。より好ましくは紫外スペクトル領域は、190〜405 nmの領域である。
「可視スペクトル領域」とは、400 nm〜700 nmのスペクトル領域を意味する。
「短波長可視スペクトル領域」とは、400 nm〜450 nmのスペクトル領域を意味する。
「赤スペクトル領域」とは、600 nm〜700 nmのスペクトル領域を意味する。
「赤外スペクトル領域」とは、700 nm〜1400 nmのスペクトル領域を意味する。
「非感光性」とは、意図的な感光性ではないことを意味する。
センシトメトリックな用語である「フォトスピード」、「スピード」又は「写真スピード」(感度としても知られる)、吸光度、コントラスト、Dmin及びDmaxは、画像形成分野の当業者に知られている従来通りの定義を有する。Dminは本明細書中では、フォトサーモグラフィ材料が輻射線による露光を予め施されることなしに熱現像されるときに達成される画像濃度として考えられる。Dminは、露光された側の基準マークの8つの最低濃度値の平均である。
センシトメトリックな用語である吸光度は光学濃度(OD)の別の用語である。
Dmaxは、画像形成済領域内のフィルムの最大濃度である。
「SP-2」 (スピード-2)は、Dminを1.00上回る濃度値に相当するLog1/E + 4であり、Eは露光量(ergs/cm2)である。
「AC-1」(平均コントラスト-1)は、Dminを0.60上回る濃度点と、Dminを2.00上回る濃度点とを繋ぐ線の勾配の絶対値である。
「AC-2」(平均コントラスト-2)は、Dminを1.00上回る濃度点と、Dminを2.40上回る濃度点とを繋ぐ線の勾配の絶対値である。
「透明」とは、さほどの散乱又は吸収なしに可視光又は画像形成用輻射線を透過させることができることを意味する。
本明細書中に使用される「有機銀配位子」という用語は、銀原子と一緒に結合を形成することができる有機分子を意味する。このように形成された化合物は技術的には銀配位化合物であるが、銀塩ともしばしば呼ばれる。
「両側型」及び「両面コーティング型」という用語は、支持体の両側(表側及び裏側)に配置された同じ又は異なる熱現像可能な乳剤層の1つ又は2つ以上を有するフォトサーモグラフィ材料を定義するのに使用される。両側型に対応する別の用語は「デュプリタイズ型」である。
本明細書中に使用される化合物の場合、描かれた構造によって、特定の二重結合ジオメトリー(例えばcis又はtrans)が意図されることはない。同様に、単結合及び二重結合を交互に有し、そして電荷が局在化されている化合物において、これらの構造は形式として描かれる。実際に、電子及び電荷双方の非局在化が、共役鎖全体にわたって存在する。
当業者にはよく理解されているように、本明細書中に記載された化合物の場合、置換は許容されるだけではなくしばしば望ましく、そして特に断りのない限り、本発明において使用される化合物に関して、種々の置換基が予想される。従って、化合物が所与の式の「構造を有する」と称されるときには、当該置換が言語によって(例えば「カルボキシ置換型アルキルがない」という言語)特定して排除されない限り、式の結合構造又はその構造内部の示された原子を変えない任意の置換が式内部に含まれる。例えば、ベンゼン環構造(縮合環構造を含む)が示される場合、ベンゼン環構造上に置換基を置くことができるが、しかしベンゼン環構造を形成する原子を置換することはできない。
或る特定の置換基の論議及び列挙を簡単にする手段として、「基」という用語は、置換することができる化学種、並びにこのように置換されない化学種を意味する。こうして「基」、例えば「アルキル基」という用語は、純粋な炭化水素アルキル鎖、例えばメチル、エチル、n-プロピル、t-ブチル、シクロヘキシル、イソ-オクチル、及びオクタデシルだけでなく、当業者に知られた置換基を担持するアルキル鎖、例えばヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、ハロゲン原子(F、Cl、Br及びI)、シアノ、ニトロ、アミノ及びカルボキシをも含むものとする。例えば、アルキル基は、エーテル及びチオエーテル基(例えばCH3-CH2-CH2-O-CH2-及びCH3-CH2-CH2-S-CH2-)、ハロアルキル、ニトロアルキル、アルキルカルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミド、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル及び当業者に容易に明らかな他の基を含む。他の活性成分と不都合に反応する置換基、例えば求電子性又は酸化性が極めて強い置換基はもちろん、不活性又は無害でないものとして当業者によって排除されることになる。
リサーチディスクロージャ(Research Disclosure)は、Kenneth Mason Publications Ltd, Dudley House, 12 North Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ, Englandの刊行物である(Emsworth Design Inc., 147 West 24th Street, New York, NY 10011からも入手可能)。
本発明の他の観点、利点、及び利益が、本明細書中の詳細な説明、例及び特許請求の範囲から明らかである。
光触媒
上述のように、本発明のフォトサーモグラフィ材料は、フォトサーモグラフィ乳剤層内に1種又は2種以上の光触媒を含む。有用な光触媒は典型的には感光性ハロゲン化銀、例えば臭化銀、ヨウ化銀、塩化銀、臭ヨウ化銀、塩臭ヨウ化銀、塩臭化銀、及び当業者には容易に明らかなその他のハロゲン化銀である。適切な比率でハロゲン化銀の混合物を使用することもできる。臭化銀及び臭ヨウ化銀(及びこれらの混合物)がより好ましいハロゲン化銀であり、後者のハロゲン化銀は最大10モル%のヨウ化銀を有している。
本発明に使用される感光性ハロゲン化銀粒子の形状は決して限定されない。ハロゲン化銀粒子は任意の晶癖、例えば、立方体状、八面体状、四面体状、斜方晶系、菱形、十二面体状、その他の多面体状、平板状、薄層状、双晶状、又は小板状の形態を有してよく、また、結晶のエピタキシャル成長を有してよい。所望の場合には、これらの結晶の混合物を採用することができる。立方体状及び平板状の形態を有するハロゲン化銀粒子が好ましく、立方体状粒子及び平板状粒子双方の混合物を本発明において使用することができる。
ハロゲン化銀粒子は、全体にわたってハロゲン化物の均一な比を有していてよい。ハロゲン化銀粒子は、例えば臭化銀とヨウ化銀との比が連続的に変化する、徐々に変化するハロゲン化物含量を有してよく、又はコア・シェル型であってもよい。このコア・シェル型のハロゲン化銀粒子は、1種又は2種以上のハロゲン化銀から成る不連続的なコアと、1種又は2種以上の異なるハロゲン化銀から成る不連続的なシェルとを有している。フォトサーモグラフィ材料に有用なコア・シェル型ハロゲン化銀粒子、及びこれらの材料の調製方法は、例えば米国特許第5,382,504号明細書(Shor他)に記載されている。イリジウム及び/又は銅でドープされたコア・シェル型及び非コア・シェル型粒子が、米国特許第5,434,043号明細書(Zou他)及び同第5,939,249号明細書(Zou)に記載されている。
いくつかの事例において、ヒドロキシテトラアザインデン(例えば4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラアザインデン)又は1つ以上のメルカプト基を含むN-複素環式化合物(例えば1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール)の存在において、感光性ハロゲン化銀粒子を調製することが、フォトスピードを高めるのに役立つことがある。この手順の詳細は米国特許第6,413,710号明細書(Shor他)に記載されている。
感光性ハロゲン化銀は、非感光性の被還元性銀イオン源と触媒的に近接した関係にある限り任意の様式で、乳剤層に添加する(又は乳剤層内部に形成する)ことができる。
ハロゲン化銀粒子がex-situプロセスによって予め形成され、調製されることが好ましい。ex-situで調製されたハロゲン化銀粒子は、次いで非感光性の被還元性銀イオン源に添加されるか、又はこのイオン源と物理的に混合されてよい。
ex-situで調製されたハロゲン化銀の存在下で、非感光性の被還元性銀イオン源を形成することがより好ましい。このようなプロセスにおいて、被還元性銀イオン源、例えば長鎖脂肪酸カルボン酸銀塩(一般に銀「石鹸」と呼ばれる)は、予め形成されたハロゲン化銀粒子の存在において形成される。ハロゲン化銀の存在において被還元性銀イオン源を共沈させると、2つの材料のより緊密な混合物が提供される[例えば米国特許第3,839,049号明細書(Simons)参照]。このタイプの材料はしばしば「予め形成された石鹸」と呼ばれる。
本発明の材料中に使用される、予め形成されたハロゲン化銀乳剤は、水性プロセス又は有機プロセスによって調製することができ、そして洗浄しないか又は洗浄することにより可溶性塩を除去することができる。後者の場合、可溶性塩は、限外濾過によって、又は低温硬化及び浸出によって、又は凝塊の洗浄によって除去することができる[例えば、米国特許第2,618,556号明細書(Hewitson他)、同第2,614,928号明細書(Yutzy他)、同第2,565,418号明細書(Yackel)、同第3,241,969号(Hart他)、及び同第2,489,341号明細書(Waller他)に記載された手順による]。
ハロゲン化物含有化合物又はハロゲン含有化合物を有機銀塩に添加することにより、有機銀塩の銀をハロゲン化銀に部分的に変換するin-situプロセスを用いるのも効果的である。化合物は、1種又は2種以上の無機ハロゲン化物(例えば臭化亜鉛、臭化カルシウム又は臭化リチウム、又はヨウ化亜鉛、又はこれらの混合物)、又は有機ハロゲン含有化合物(例えばN-ブロモスクシニミド又は臭化水素酸ピリジニウムペルブロミド)であってよい。in-situプロセスを用いて、本発明に使用されるハロゲン化銀粒子の一部を調製する。ハロゲン化銀のこのようなin-situ生成の詳細はよく知られており、例えば米国特許第3,457,075号明細書(Morgan他)に記載されている。この手順の更なる詳細を下記に示す。本発明の実施において、臭化亜鉛が添加されることが好ましい。
予め形成されたハロゲン化銀と、in-situ生成されたハロゲン化銀との両方の混合物を使用することが特に効果的である。
これらのハロゲン化銀及び銀塩を調製する追加の方法及びこれらのブレンドする様式が、リサーチディスクロージャ, 1978年6月, 第17029項、米国特許第3,700,458号明細書(Lindholm)及び同第4,076,539号明細書(Ikenoue他)、特開昭49-013224号公報(Fuji)、特開昭50-017216号公報(Fuji)、及び特開昭51-042529号公報(Fuji)に記載されている。
画像形成用配合物において使用されるハロゲン化銀粒子の、最大数マイクロメートル(μm)の平均直径は、これらの所望の用途に応じて変化することができる。ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは好ましくは0.01〜1.5 μmであり、より好ましくは0.03〜1.0 μmであり、最も好ましくは0.05〜0.8 μmである。当業者には明らかなように、粒子が分光増感される波長に部分的に依存する、ハロゲン化銀粒子の有限の実際的な下限値がある。このような下限値は例えば、0.01〜0.005 μmが典型的である。
ドープ型感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、これらの粒子が球体の場合には平均直径によって表現され、これらの粒子が立体形状又はその他の非球体形状の場合には、投影画像に対応する等価円の直径の平均によって表現される。
粒子サイズは、粒子サイズ測定のために当業者によって共通に採用される方法のうちのいずれかによって測定することができる。代表的な方法は、「Particle Size Analysis」, ASTM Symposium on Light Microscopy, R.P. Loveland, 1955, 第94-122頁、及びC. E. K. Mees 及びT. H. James, The Theory of the Photographic Process, 第3版, Macmillan, New York, 1966, 第2章に記載されている。粒子サイズ測定値は、粒子の投影面積又は直径の概算値で表すことができる。これらの測定値は、当該粒子の形状が実質的に均一ならば、相応に正確な結果をもたらす。
本発明のフォトサーモグラフィ材料において採用される1種又は2種以上の感光性ハロゲン化銀は、好ましくは、非感光性の被還元性銀イオン源1モル当たり、0.005〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.25モル、最も好ましくは0.03〜0.15モルの量で存在する。
化学増感剤
化学増感のための化合物の組み合わせを本発明において使用することにより、本発明のフォトサーモグラフィ材料において使用される感光性ハロゲン化銀のフォトスピードを高める。
化学増感用化合物の少なくとも1種は、下記構造GOLD:
Au(III)L'rYq
(GOLD)
(上記式中、L'は同じ又は異なる配位子を表し、各配位子は金との結合を形成することができる1つ以上のヘテロ原子を含み、Yはアニオンであり、rは1〜8の整数であり、そしてqは0〜3の整数である)によって表される金(III)含有化合物である。所望の場合、これらの化合物の混合物を使用することができる。
より具体的には、L'は、1つ以上の酸素、窒素、硫黄又は燐原子を含む同じ又は異なる配位子を表す。このような配位子の一例としては、ピリジン、ビピリジン、ターピリジン、P(フェニル)3、カルボン酸塩、イミン、フェノール、メルカプトフェノール、イミダゾール、トリアゾール、及びジチオオキサミドが挙げられる。好ましいL'配位子は、ターピリジン、P(フェニル)3、及びサリチルイミン化合物から誘導される。
また上記GOLD構造において、Yは、適切な電荷を有する適切な対アニオンを表す。有用なアニオンの一例としては、ハロゲン化物(例えば塩化物及び臭化物)、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、テトラフルオロアンチモン酸塩、及び硝酸塩が挙げられる。ハロゲン化物が好ましい。
GOLD構造において、rは1〜8(好ましくは1〜3)であり、qは0又は1〜3の整数(好ましくは3)である。
有用な金(III)含有化学増感剤は、周知の方法を用いて調製することができる。代表的な合成法は下記の引用文献に記載されている。加えて、種々の商業的供給元から、Alfa Aesar(Ward Hill, MA)を含むいくつかの金(III)含有化合物を得ることができる。
特に有用な金(III)含有化学増感剤は、下記化合物Au-1〜Au-14である。
Figure 2007514200
Figure 2007514200
Figure 2007514200
本発明において使用される金含有化合物の50 mol%以上が上記構造GOLDによって表される限り、他の金含有化学増感化合物[金(I)化合物及び金(III)化合物の両方]を、本発明の実施において使用することもできる。
本発明において使用される別の化学増感用化合物は、下記一般構造(PS):
Figure 2007514200
(上記式中、Ph1及びPh2は同じ又は異なる置換型又は無置換型フェニル基である)
を使用して定義することができるジフェニルホスフィンスルフィドである。フェニル基上の置換基の一例としては、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ及びニトロが挙げられる。
また構造(PS)において、R1及びR2はそれぞれ独立して水素、又は炭素原子数1〜10の置換型又は無置換型アルキル基(例えばメチル、エチル、イソ-プロピル、又はシクロヘキシル)、又は置換型又は無置換型フェニル基(例えばフェニル、4-メチルフェニル、及び3-クロロフェニル)である。好ましくは、R1及びR2は両方とも水素であるか、又はR1及びR2の少なくとも一方が水素である。より好ましくは、R1及びR2は両方とも水素である。
さらに、mは1又は2であり、好ましくはmは1である。
Lは直接的な結合、又は鎖内原子数が1〜3の有機結合基を表す。好ましい結合基は、スルホニル[-SO2-]、カルボニル[-(C=O)-]、及びスルホキシド[-SO-]である。最も好ましくは、結合基はカルボニル[-(C=O)-]である。
mが1である場合には、R3は一価基、炭素原子数1〜16、好ましくは1〜7の置換型又は無置換型アルキル基(例えばメチル、ベンジル、及びメチルカルボフェニル基)、置換型又は無置換型アリール基(例えばフェニル、ナフチル、フルアニル基)、二置換型アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、モルホリノ、又はピペリジノ基)である。mが2である場合には、R3は、鎖内の炭素、窒素、酸素又は硫黄の原子数が1〜20の置換型又は無置換型の二価脂肪族結合基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ポリエーテル、又はポリチオエーテル基)である。好ましくはmは1であり、R3はジエチルアミノ又はフェニル基である。
構造(PS)の代表的化合物は、下記PS-1〜PS-19化合物を含む:
Figure 2007514200
Figure 2007514200
Figure 2007514200
Figure 2007514200
Figure 2007514200
Figure 2007514200
所望の場合には、このような硫黄含有化合物の混合物を使用することができる。化合物PS-1及びPS-2が最も好ましい。
一般に、粉末状水酸化カリウムの存在において30分〜24時間にわたって0℃〜室温の温度で塩化メチレン中のジフェニルホスフィンスルフィドをアルキル化することにより、本発明の実施において有用なジフェニルホスフィンスルフィドを調製することができる。例に先立って、代表的な合成方法を以下に示す。
下記スキームIは、本発明のジフェニルホスフィンスルフィド化合物の調製を示し、Lはカルボニル基である。
スキームI
Figure 2007514200
本明細書中に記載された金(III)含有化合物は、フォトサーモグラフィ乳剤の調製中に金(III)化合物の溶液を添加することにより、ハロゲン化銀粒子中に内蔵される。下記のように、金(III)含有化合物の添加時点はさほど重要でないと考えられる。
このように、本発明において有用なフォトサーモグラフィ乳剤は一般には:
(A) 予め形成された感光性ハロゲン化銀粒子及び非感光性の被還元性銀イオン源の分散体を用意すること、
(B) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる、本明細書中に記載された1種又は2種以上のジフェニルホスフィンスルフィド化合物を用意すること、
(C) 酸化性環境内で該ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物を分解することによって、該予め形成されたハロゲン化銀粒子を化学増感することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、及び
(D) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる本明細書中に記載された1種又は2種以上の金(III)含有化合物を用意することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる金(III)硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること
によって調製することができる。
この方法のための任意の追加の工程は:
(E) 該非感光性の被還元性銀イオン源中の被還元性銀イオンのいくらかを、感光性ハロゲン化銀に変換することを含む。
工程(A)が先ず生じ、そして工程(A)及び(B)の後の或る時点で工程(C)が生じる限り、最終的なフォトサーモグラフィ乳剤を調製するのに用いられる工程の順序はさほど重要ではない。好ましい態様の場合、工程(A)から(D)、及び随意選択的には工程(E)が、指定された順序で行われる。
しかし、他の態様の場合、工程の配列は、有用なフォトサーモグラフィ乳剤を提供するための下記スキーム[随意選択の工程(E)を含む]のいずれかであってよい:
工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(E)、及び工程(D)。
工程(A)、工程(B)、工程(D)、工程(E)、及び工程(C)。
工程(A)、工程(B)、工程(D)、工程(C)、及び工程(E)。
工程(A)、工程(B)、工程(E)、工程(C)、及び工程(D)。
工程(A)、工程(B)、工程(E)、工程(D)、及び工程(C)。
工程(A)、工程(D)、工程(B)、工程(C)、及び工程(E)。
工程(A)、工程(D)、工程(B)、工程(E)、及び工程(C)。
工程(A)、工程(D)、工程(B)、工程(E)、及び工程(C)。
工程(A)、工程(E)、工程(D)、工程(B)、及び工程(C)。
工程(A)、工程(E)、工程(B)、工程(D)、及び工程(C)。
工程(A)、工程(E)、工程(B)、工程(C)、及び工程(D)。
その他の態様の場合、工程(B)及び工程(D)を同時に行うことができ、工程(D)及び工程(E)を同時に行うことができ、そして工程(B)、工程(D)及び工程(E)を同時に行うことができ、これら全ては工程(C)の前に行われる。
工程(E)は任意ではあるが、本発明の好ましい態様において使用される。工程(E)は、600 nmを上回る波長に対する感光性を有するフォトサーモグラフィ材料を調製するのに特に好ましい。
工程(B)において、1種又は2種以上の有機硫黄含有化合物が添加され、そしてフォトサーモグラフィ分散体と好適に混合される。この工程において、有機硫黄含有化合物がハロゲン化銀粒子の表面上又は表面の周りに位置するようになると、我々は考える。
工程(C)は、酸化性環境内で感光性ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの硫黄含有ジフェニルホスフィンスルフィド化合物を分解することを含む。このような分解は一般に、1種又は2種以上の酸化剤、好ましくは「強力」酸化剤を使用して行われる。強力酸化剤は、最大60分間にわたって10℃〜30℃の温度で化学増感剤として作用する、粒子上の種を形成することができる。好ましくは、この反応は周囲温度(一般に20℃)〜30℃で行われる。
いかなる理論又はメカニズムにも限定されるつもりはないが、本明細書中に記載されたジフェニルホスフィンスルフィドは、フォトサーモグラフィ分散体に添加されると、ハロゲン化銀粒子の表面上又は表面の周りに位置するようになると、出願人は考える。これらの化合物が酸化的に分解されることによってハロゲン化銀粒子と反応する残基又は反応生成物が提供され、これにより粒子上に化学増感部位が形成される。これらの部位は、銀片又は硫化銀片の形態を成すことができる。例えば、好ましい酸化剤(例えば下記PHP)が使用されると、これらは、ハロゲン化銀粒子表面と組み合わさるジフェニルホスフィンスルフィド化合物と反応することにより1種又は2種以上の化合物(例えばHSBr)を形成する。このような化合物は、ハロゲン化銀粒子表面と直接的に反応することにより、化学増感された部位の秩序正しい分布を形成することになる。
分解の効率は、酸化剤の機能及び効率、分解される特定の硫黄含有化合物、分解時間の長さ、及び分解温度によって影響される。反応性がより高い酸化剤を、より低い温度及び/又はより短い時間で使用することができ、そして反応性がより低い酸化剤に関しては、その逆が当てはまる。
分解は単一の反応で、又は複数の段階で行うことができる。複数の段階の場合には、同じ又は異なる酸化剤が添加される前に反応が中断又は完了される。このように、いくつかの態様の場合、単一の酸化剤を「分割して」添加することができる。この場合、総量が複数部分に小分けされ、複数の段階で添加される。
硫黄含有化合物を分解するために添加することができる好ましい酸化剤は、さらに一対の臭素原子と組み合わさるN-複素環式化合物の臭化水素酸塩(例えば複素環式化合物の臭化水素酸塩)を含む。これらの化合物は、臭化水素酸過臭化物と組み合わさる第四窒素含有5-、6-又は7員単環又は多環としても知られている。このような化合物の例は、米国特許第5,028,523号明細書(Skoug)(本明細書中に引用する)においてカブリ防止剤として記載されており、置換型又は無置換型ピリジン、ピロリドン、ピロリジノン、ピロリジン、フタラジノン、及びフタラジン環を有する化合物を含む。ピリジン環を有する化合物はより好ましく、そして特に有用な酸化剤は、臭化水素酸ピリジニウムペルブロミド(PHP)である。
好ましい態様の場合、PHPは20℃〜30℃の温度で最大60分間にわたって、酸化剤として使用される。
分解工程に続いて、酸化を必要としないコンベンショナルな追加の化学増感剤、バインダー、トナー、カブリ防止剤、分光増感色素、艶消し剤、燐光体、及びこのような乳剤内部に一般に含まれる他の添加物を添加することによって、フォトサーモグラフィ乳剤をさらに改質することができる。これらの化合物の更なる詳細は、多数の発行済文献に記載されており、また以下にも示す。フォトサーモグラフィ乳剤の調製中に還元剤(下記)を1回又は2回以上で添加することもできる。
工程(E)において、ハロゲン含有化合物を有機銀塩に添加するin-situプロセスによって、非感光性の被還元性銀イオン源内の被還元性銀イオンの一部が、感光性ハロゲン化銀に変換される。このような化合物は、無機ハロゲン化物(例えば臭化亜鉛、臭化カルシウム、臭化リチウム、又はヨウ化亜鉛、又はこれらの混合物)、又は有機ハロゲン含有化合物(例えばN-ブロモスクシニミド又は臭化水素酸ピリジニウムペルブロミド)であってよい。工程(E)における被還元性銀イオンの変換は、フォトサーモグラフィ乳剤配合物の調製に際して、上記ハロゲン化物含有化合物を一回添加することによって、又はこれらを種々の回数で複数回添加することによって行うことができる。例えば、ハロゲン化物含有化合物の第1の部分を、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物の前に添加することができ、そして第2の部分をジフェニルホスフィンスルフィド化合物の添加後に添加することができる。所望の場合には、種々異なるハロゲン化物含有化合物をこれらの工程において使用することができる。例えば、臭化物塩をヨウ化物塩と一緒に添加することができ、次いで、臭化物塩を単独で添加することができる。ハロゲン化物の混合物が添加される場合、これらは、結果として得られるハロゲン化銀粒子中に所望のハロゲン化物組成を提供するための比率で添加される。本発明の実施において、臭化亜鉛が添加されることが好ましい。
予め形成されたハロゲン化銀と、in-situ生成されたハロゲン化銀との両方の混合物を使用することが特に効果的である。
ハロゲン含有化合物は、0.1〜10モル%の被還元性銀イオンを感光性ハロゲン化銀に変換するのに十分な量で添加される。好ましくは、0.5〜5モル%の被還元性銀イオンを感光性ハロゲン化銀に変換する。より好ましくは1〜3モル%の被還元性銀イオンを変換する。ハロゲン含有化合物は、非感光性の被還元性銀イオン源1モル当たりのハロゲン原子の量10-4〜10-1モルで添加される。一般に、被還元性銀イオンの変換は、適温で30分以内で生じる。
本明細書中に記載された化学増感剤は、フォトサーモグラフィ材料の表側又は裏側(又は両側)に配置された1つ又は2つ以上の画像形成層内に存在することができる。好ましくは、これらの化学増感剤は、材料内部の全ての感光性ハロゲン化銀粒子上で使用される。
フォトサーモグラフィ乳剤中の最大スピードを高めるために特定の化学増感剤を添加するのに最適な時間に関しては、日常的な試験によって容易に見極めることができる。
本発明のフォトサーモグラフィ材料は、総銀量1モル当たり10-8〜10-2モルの量の金(III)含有化合物で化学増感され、そして、総銀量1モル当たり10-6〜10-1モルの量の上記ジフェニルホスフィンスルフィドで化学増感されているハロゲン化銀粒子を含有する。好ましくは、本発明のフォトサーモグラフィ材料は、総銀量1モル当たり10-6〜10-5モルの量の金(III)含有化合物、及び総銀量1モル当たり10-4〜10-3モルの量の上記ジフェニルホスフィンスルフィドで化学増感されているハロゲン化銀粒子を含有する。
加えて、化学増感剤として使用される金(III)含有化合物と、化学増感剤として使用されるジフェニルホスフィンスルフィドとのモル比は、すくなくとも1:1であり、好ましくは1:10〜1:5,000であり、そしてより好ましくは1:10〜1:1,000である。
上記金(III)及びジフェニルホスフィンスルフィドの化学増感用化合物の他に、1種又は2種以上の「追加の」化学増感剤を所望の場合に使用して、フォトスピードをさらに高めることができる。このような化合物は、硫黄、テルリウム又はセレンを含有してよく、或いは、金、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム又はイリジウム、又はこれらの組み合わせ、還元剤、例えばハロゲン化錫、又はこれらのうちのいずれかの組み合わせを含有する化合物を含んでよい。これらの材料の詳細は、例えば、T. H. James, The Theory of the Photographic Process, 第4版, Eastman Kodak Company, Rochester, NY, 1977, 第5章, 第149-169頁に記載されている。好適なコンベンショナルな化学増感処置は、米国特許第1,623,499号明細書(Sheppard他)、同第2,399,083号明細書(Waller他)、同第3,297,447号明細書(McVeigh)、同第3,297,446号明細書(Dunn)、同第5,049,485号明細書(Deaton)、同第5,252,455号明細書(Deaton)、同第5,391,727号明細書(Deaton)、同第5,912,111号明細書(Lok他)、同第5,759,761号明細書(Lushington他)、及び欧州特許出願公開第0 915 371号明細書(Lok他)にも記載されている。
さらに、米国特許第5,691,127号明細書(Daubendiek他)に記載されているようなメルカプトテトラゾールとテトラアザインデンを、平板状ハロゲン化銀粒子に適した添加物として使用することができる。
追加の硫黄増感剤の一例としては、チオスルフェート、チオ尿素、チアゾール、ロダニン、チオスルフェート、及びチオ尿素が挙げられる。一つの態様の場合、米国特許第5,891,615号明細書(Winslow他)に記載されているように、フォトサーモグラフィ乳剤の存在において硫黄含有分光増感色素を酸化的分解することによって、追加の化学増感が達成される。
別の態様の場合、追加の化学増感剤として或る特定の置換型及び無置換型チオ尿素化合物、例えば米国特許第6,368,779号明細書(Lynch他)に記載されている四置換型チオ尿素を使用することができる。
さらに他の追加の化学増感剤は、米国特許出願公開第2002-0164549号明細書(Lynch他)に記載された或る特定のテルリウム含有化合物、及び米国特許第6,620,577号(Lynch他)に記載された或る特定のセレン含有化合物を含む。
上記追加の化学増感剤は、一般にハロゲン化銀粒子の平均サイズに依存するコンベンショナルな量で使用することができる。一般に総量は、平均サイズ0.01〜2 μmのハロゲン化銀粒子の場合、総銀量1モル当たり10-10モル以上であり、そして好ましくは、総銀量1モル当たり10-8〜10-2モルである。上限は、使用される化合物、ハロゲン化銀のレベル、及び平均粒子サイズに応じて変化することができ、当業者によって容易に見極めることができる。
分光増感剤
本発明のフォトサーモグラフィ構成要件において使用される感光性ハロゲン化銀は、紫外線、可視光及び/又は赤外線に対するハロゲン化銀の感度を高めることが知られている種々の分光増感色素で分光増感することができる。採用可能な増感色素の一例としては、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポラー・シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキサノール色素が挙げられる。シアニン色素、メロシアニン色素及び複合メロシアニン色素が特に有用である。分光増感色素は、最適な感光性、安定性及び合成しやすさに関して選ばれる。分光増感色素は、フォトサーモグラフィ乳剤の化学的な仕上げ時における任意の段階で添加することができる。化学増感が達成された後、フォトサーモグラフィ乳剤に1種又は2種以上の分光増感色素を添加することにより、分光増感が一般に行われる。例えば、フォトサーモグラフィ乳剤及び材料を形成する方法のための上記工程(C)の後に、分光増感剤を添加することができる。このような分光増感剤は、350〜1100 nmにおける分光増感を可能にする。
米国特許第3,719,495号明細書(Lea)、同第4,396,712号明細書(Kinoshita他)、同第4,439,520号明細書(Kofron他)、同第4,690,883号明細書(Kubodera他)、同第4,840,882号明細書(Iwagaki他)、同第5,064,753号明細書(Kohno他)、同第5,281,515号明細書(Delprato他)、同第5,393,654号明細書(Burrows他)、同第5,441,866号明細書(Miller他)、同第5,508,162号明細書(Dankosh)、同第5,510,236号明細書(Dankosh)、同第5,541,054号明細書(Miller他)、特開2000-063690号公報(Tanaka他)、同2000-112054号公報(Fukusaka他)、同2000-273329号公報(Tanaka他)、同2001-005145号公報(Arai他)、同2001-064527号公報(Oshiyama他)、及び同2001-154305号公報(Kita他)に記載されているような好適な増感色素を本発明の実施において使用することができる。一般に有用な分光増感色素の概要は、リサーチディスクロージャ, 1989年12月, 第308119項、セクションIVに含まれる。他の波長における増感を含む、分光増感に有用な追加のクラスの色素が、リサーチディスクロージャ, 1994年、第36544項、セクションVに記載されている。
分光増感色素の特定の組み合わせに関する教示はまた、米国特許第4,581,329号明細書(Sugimoto他)、同第4,582,786号明細書(Ikeda他)、同第4,609,621号明細書(Sugimoto他)、同第4,675,279号明細書(Shuto他)、同第4,678,741号明細書(Yamada他)、同第4,720,451号明細書(Shuto他)、同第4,818,675号明細書(Miyasaka他)、同第4,945,036号明細書(Arai他)、及び同第4,952,491号明細書(Nishikawa他)を含む。
光又は熱の作用により色を失う分光増感色素も有用である。このような色素は、米国特許第4,524,128号明細書(Edwards他)、特開2001-109101号公報(Adachi)、同2001-154305号公報(Kita他)、及び同2001-183770号公報(Hanyu他)に記載されている。
分光増感色素は単独で、又は組み合わせて使用することができる。色素は、分光感度の波長分布を調整する目的で、また、超色増感の目的で選択される。超色増感効果を有する色素の組み合わせを使用すると、各色素を単独で使用することにより達成可能な感度の和よりも著しく高い感度を得ることが可能である。それ自体は分光増感作用を有しない色素、又は可視光をほとんど吸収しない化合物を使用することによって、このような超色増感作用を得ることも可能である。ジアミノスチルベン化合物が、超色増感剤としてしばしば使用される。
添加される分光増感色素の適量は一般に、ハロゲン化銀1モル当たり、10-10〜10-1モルであり、好ましくは10-7〜10-2モルである。
非感光性の被還元性銀イオン源
本発明のフォトサーモグラフィ材料に使用される非感光性の被還元性銀イオン源は、被還元性銀(1+)イオンを含有するいかなる金属有機化合物であってもよい。このような化合物は一般に、銀配位子の銀塩である。好ましくはこの銀イオン源は、光に対して比較的安定であり、そして、露光された光触媒(フォトサーモグラフィ材料中に使用される場合には、例えばハロゲン化銀)及び還元性組成物の存在において50℃以上に加熱されると、銀画像を形成する有機銀塩である。
長鎖カルボン酸の銀塩を含む有機酸の銀塩が好ましい。これらの鎖の炭素原子数は、10〜30、好ましくは15〜28である。好適な有機銀塩は、カルボン酸基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩、又は芳香族カルボン酸の銀塩を含む。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例は、ベヘン酸銀、アラキン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、フロ酸銀、リノレン酸銀、酪酸銀、樟脳酸銀、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、少なくともベヘン酸銀が単独で、又は他のカルボン酸銀塩との混合物中で使用される。
芳香族カルボン酸及び他のカルボン酸基含有化合物の代表的な銀塩の一例としては、安息香酸銀、銀置換型安息香酸塩(例えば銀3,5-ジヒドロキシ-ベンゾエート、銀o-メチルベンゾエート、銀m-メチルベンゾエート、銀p-メチルベンゾエート、銀2,4-ジクロロベンゾエート、銀アセトアミドベンゾエート、銀p-フェニルベンゾエート)、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、サリチル酸銀、フェニル酢酸銀、及びピロメリット酸銀が挙げられる。
米国特許第3,330,663号明細書(Weyde他)に記載されたチオエーテル基を含有する脂肪族カルボン酸の銀塩も有用である。エーテル又はチオエーテル結合、又は(炭化水素基上の)α-位置又は(芳香族基上の)ortho-位置に立体障害置換を内蔵する炭化水素鎖を含む可溶性カルボン酸銀塩であって、コーティング溶剤中の溶解度の増大を示し、そして光散乱が少ないコーティングをもたらすものを使用することもできる。このようなカルボン酸銀塩は米国特許第5,491,059号明細書(Whitcomb)に記載されている。所望の場合にはここに記載された銀塩のいずれかの混合物を使用することもできる。
ジカルボン酸の銀塩も有用である。このような酸は、脂肪族、芳香族、又は複素環式であってよい。このような酸の例は、例えばフタル酸、グルタミン酸、又はホモ-フタル酸を含む。
スルホネートの銀塩も本発明の実施において有用である。このような材料は、例えば米国特許第4,504,575号明細書(Lee)に記載されている。例えば欧州特許出願公開第0 227 141号明細書(Leenders他)に記載されているように、スルホスクシネートの銀塩も有用である。
メルカプト基又はチオン基、及びこれらの誘導体を含有する化合物の銀塩を使用することもできる。これらの化合物の好ましい一例としては、環内原子数5又は6の複素環式核であって、これらの原子のうちの1つ以上が窒素原子であり、他の原子が炭素、酸素又は硫黄原子であるものが挙げられる。このような複素環式核の一例としては、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、チアゾリン、イミダゾール、ジアゾール、ピリジン、及びトリアジンが挙げられる。これらの銀塩の代表例としては、3-メルカプト-4-フェニル-1,2,4-トリアゾールの銀塩、5-カルボキシル-1-メチル-2-フェニル-4-チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2-メルカプトベンゾオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号明細書(Knight他)に記載された銀塩(例えば1,2,4-メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、例えば3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-チアゾールの銀塩)、及びチオン化合物の銀塩[例えば米国特許第3,785,830号明細書(Sullivan他)に記載された3-(2-カルボキシエチル)-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオン]が挙げられる。
複素環式核を含有しないメルカプト又はチオン置換型化合物の他の有用な銀塩の一例としては、チオグリコール酸の銀塩、例えばS-アルキルチオグリコール酸の銀塩(アルキル基の炭素原子数は12〜22である)、ジチオカルボン酸の銀塩、例えばジチオ酢酸の銀塩、及びチオアミドの銀塩が挙げられる。
いくつかの態様の場合、イミノ基を有する化合物の銀塩が、特に水性画像形成配合物において好ましい。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾール及びこれらの置換型誘導体の銀塩(例えば、銀メチルベンゾトリアゾール及び銀5-クロロベンゾトリアゾール)、1,2,4-トリアゾール又は1-H-テトラゾール、例えば米国特許第4,220,709号明細書(deMauriac)に記載されているようなフェニルメルカプトテトラゾールの銀塩、及び米国特許第4,260,677号明細書(Winslow他)に記載されているようなイミダゾール及びイミダゾール誘導体の銀塩が挙げられる。このタイプの特に有用な銀塩は、ベンゾトリアゾール及びこれらの置換型誘導体の銀塩である。水性フォトサーモグラフィ配合物中では、ベンゾトリアゾールの銀塩が好ましい。
さらに、例えば米国特許第4,761,361号明細書(Ozaki他)及び同第4,775,613号明細書(Hirai他)に記載されているように、アセチレンの銀塩を使用することもできる。
有機溶剤系フォトサーモグラフィ材料中で特に有用な有機銀塩は、カルボン酸銀塩(脂肪族及び芳香族双方のカルボン酸塩)、トリアゾール酸銀、スルホン酸銀、スルホ琥珀酸銀、及び銀アセチリドを含む。炭素原子数15〜28の長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩(及びベヘン酸銀を含む)が特に好ましい。
銀半石鹸を使用するのも便利である。銀半石鹸の好ましい例は、カルボン酸銀塩とカルボン酸との等モル・ブレンドである。このブレンド中14.5重量%が銀固形分であると分析され、このブレンドは、アンモニウム又は商業的に入手可能な脂肪カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液からの沈澱により、又は銀石鹸に遊離脂肪酸を添加することにより調製される。透明フィルムの場合、15%以下の遊離脂肪カルボン酸を含有し、22%が銀であることが分析されているカルボン酸銀塩完全石鹸を使用することができる。不透明なフォトサーモグラフィ材料の場合、種々異なる量を使用することができる。
銀石鹸乳剤を形成するのに用いられる方法は当業者によく知られており、リサーチディスクロージャ, 1983年4月, 第22812項、リサーチディスクロージャ, 1983年10月, 第23419項、米国特許第3,985,565号明細書(Gabrielson他)、及び上に引用した参考文献に開示されている。
非感光性の被還元性銀イオン源は、米国特許第6,355,408号明細書(Whitcomb他)に記載されているようなコア・シェル型銀塩として提供することもできる。これらの銀塩は、1種又は2種以上の銀塩から成るコアと、1種又は2種以上の異なる銀源を有するシェルとを含む。
本発明の実施において有用なさらに別の非感光性の被還元性銀イオン源は、銀二量体化合物である。これらの銀二量体化合物は、米国特許第6,472,131号明細書(Whitcomb)に記載されているような2種の異なる銀塩を含む。このような非感光性銀二量体化合物は2種の異なる銀塩を含むが、ただし、これら2種の異なる銀塩が直鎖状の飽和型炭化水素基を銀配位子として含む場合には、これらの配位子は炭素原子数が最小6だけ異なるものとする。
本発明の実施におけるさらに別の有用な非感光性の被還元性銀イオン源は、1種又は2種以上の感光性ハロゲン化銀、又は1種又は2種以上の非感光性無機金属塩又は銀非含有有機塩を含む一次コアと、一次コアを少なくとも部分的に覆うシェルとを含む銀コア・シェル型銀塩であって、シェルは1種又は2種以上の非感光性銀塩を含み、これらの銀塩のそれぞれは有機銀配位子を含む。このような化合物は、係属中の同一譲受人による米国特許出願第10/208,603号明細書(Bokhonov, Burleva, Whitcomb, Howlader及びLeichterによって2002年7月30日付けで出願)に記載されている。
当業者には明らかなように、非感光性の被還元性銀イオン源は、本明細書中に記載された種々の銀塩化合物の種々の混合物を、任意の望ましい比率で含むことができる。
光触媒と非感光性の被還元性銀イオン源とは、触媒的に近接した関係(すなわち、互いに反応するように組み合わされた関係)になければならない。これらの反応性成分は、同じ乳剤層内にあることが好ましい。
1種又は2種以上の非感光性の被還元性銀イオン源は、乳剤層の総乾燥重量を基準として、好ましくは5重量%〜70重量%の量で、より好ましくは10重量%〜50重量%の量で存在する。別の言い方をすれば、被還元性銀イオン源の量は一般に、乾燥フォトサーモグラフィ材料の0.001〜0.2モル/m2の量で、好ましくは前記材料の0.01〜0.05モル/m2の量で存在する。
フォトサーモグラフィ材料中の(全ての銀源から得られる)銀の総量は、一般に0.002モル/m2以上であり、好ましくは0.01〜0.05モル/m2である。
還元剤
被還元性銀イオン源のための還元剤(又は、2種又は3種以上の成分を含む還元剤組成物)は、銀(1+)イオンを金属銀に還元することのできる任意の材料、好ましくは有機材料であってよい。
還元剤としては、コンベンショナルな写真現像剤、例えば芳香族ジ-及びトリ-ヒドロキシ化合物(例えばヒドロキノン、没食子酸及び没食子酸誘導体、カテコール及びピロガロール)、アミノフェノール(例えば、N-メチルアミノフェノール)、p-フェニレンジアミン、アルコキシナフトール(例えば4-メトキシ-1-ナフトール)、ピラゾリジン-3-オン型還元剤(例えばPHENIDONE(商標))、ピラゾリン-5-オン、ポリヒドロキシスピロ-ビス-インダン、インダン-1,3-ジオン誘導体、ヒドロキシテトロン酸、ヒドロキシテトロンイミド、例えば米国特許第4,082,901号明細書(Laridon他)に記載されているようなヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジン誘導体、ヒンダード・フェノール、アミドキシム、アジン、レダクトン(例えばアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体)、ロイコ色素、及び当業者に容易に明らかなその他の材料を使用することができる。
銀ベンゾトリアゾール銀源を使用する場合、アスコルビン酸還元剤が好ましい。「アスコルビン酸」還元剤(現像剤又は現像主薬とも呼ばれる)とは、アスコルビン酸、その複合体及びその誘導体を意味する。アスコルビン酸現像主薬は、写真プロセスにおいて相当数の刊行物、例えば米国特許第5,236,816号明細書(Purol他)及びこの明細書に引用された参考文献に記載されている。有用なアスコルビン酸現像主薬は、アスコルビン酸及びこれらの類似体、異性体、及び誘導体を含む。このような化合物の一例としては、米国特許第5,498,511号明細書(Yamashita他)、欧州特許出願公開第0 585 792号明細書(Passarella他)、同第0 573 700号明細書(Lingier他)、同第0 588 408号明細書(Hieronymus他)、米国特許第5,089,819号明細書(Knapp)、同第5,278,035号明細書(Knapp)、同第5,384,232号明細書(Bishop他)、同第5,376,510号明細書(Parker他)、特開平7-56286号公報(Toyoda)、及び米国特許第2,688,549号明細書(James他)、及びリサーチディスクロージャ、第37152項、1995年3月に記載されているような、D-又はL-アスコルビン酸、これらの糖型誘導体(例えばソルボアスコルビン酸、γ-ラクトアスコルビン酸、6-デソキシ-L-アスコルビン酸、L-ラムノアスコルビン酸、イミノ-6-デソキシ-L-アスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸、L-アラボアスコルビン酸)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、イソアスコルビン酸(又はL-エリトロアスコルビン酸)、及びこれらの塩(例えばアルカリ金属、アンモニウム又は当業者に知られているその他のもの)、エンジオール型アスコルビン酸、エナミノール型アスコルビン酸、チオエノール型アスコルビン酸、及びエナミン-チオール型アスコルビン酸が挙げられる。D-、L-又はD,L-アスコルビン酸(及びこれらのアルカリ金属塩)又はイソアスコルビン酸(又はこれらのアルカリ金属塩)が好ましい。所望の場合には、これらの現像主薬の混合物を使用することもできる。
フォトサーモグラフィ材料中でカルボン酸銀塩銀源を使用する場合、ヒンダード・フェノール還元剤が好ましい。いくつかの事例において、還元剤組成物は、2種又は3種以上の成分、例えばヒンダード・フェノール現像剤、及び下記の種々のクラスの共現像剤及び還元剤から選ぶことができる共現像剤を含む。コントラスト促進剤のさらなる添加に関与する三元現像剤混合物も有用である。このようなコントラスト促進剤は、下記の種々のクラスの還元剤から選ぶことができる。ヒンダード・フェノール還元剤が好ましい(単独、又は1種又は2種以上の高コントラスト共現像主薬及び共現像剤コントラスト促進剤との組み合わせ)。
「ヒンダード・フェノール還元剤」は、所与のフェニル環上に唯1つのヒドロキシ基を含有し、そして、このヒドロキシ基に対してorthoに配置された1つ以上の追加の置換基を有する化合物である。各ヒドロキシ基が互いに異なるフェニル環上に配置されている限り、ヒンダード・フェノール還元剤は、2つ以上のヒドロキシ基を含有することができる。ヒンダード・フェノール還元剤は、例えばビナフトール(すなわちジヒドロキシビナフチル)、ビフェノール(すなわちジヒドロキシビフェニル)、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン(すなわちビスフェノール)、ヒンダード・フェノール、及びヒンダード・ナフトールを含み、これらはそれぞれ種々に置換されていてよい。
代表的なビナフトールの一例としては、1,1'-ビ-2-ナフトール、1,1'-ビ-4-メチル-2-ナフトール、及び6,6'-ジブロモ-ビ-2-ナフトールが挙げられる。追加の化合物に関しては、米国特許第3,094,417号明細書(Workman)及び同第5,262,295号明細書(Tanaka他)を参照されたい。
代表的なビナフトールの一例としては、2,2'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5-ジメチルビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラ-t-ブチルビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5'-ジクロロビフェニル、2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4-メチル-6-n-ヘキシルフェノール、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラ-t-ブチルビフェニル及び4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラ-メチルビフェニルが挙げられる。追加の化合物に関しては、米国特許第5,262,295号明細書(上記)を参照されたい。
代表的なビス(ヒドロキシナフチル)メタンの一例としては、4,4'-メチレンビス(2-メチル-1-ナフトール)が挙げられる。追加の化合物に関しては、米国特許第5,262,295号明細書(上記)を参照されたい。
代表的なビス(ヒドロキシフェニル)メタンの一例としては、ビス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタン(CAO-5)、1,1'-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン(NONOX(商標)又はPERMANAX WSO)、1,1'-ビス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2'-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4'-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノール)、2,2'-イソブチリデン-ビス(4,6-ジメチルフェノール)(LOWINOX(商標)221B46)、及び2,2'-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。追加の化合物に関しては、米国特許第5,262,295号明細書(上記)を参照されたい。
代表的なヒンダード・フェノールの一例としては、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジクロロフェノール、2,6-ジメチルフェノール及び2-t-ブチル-6-メチルフェノールが挙げられる。
代表的なヒンダード・ナフトールの一例としては、1-ナフトール、4-メチル-1-ナフトール、4-メトキシ-1-ナフトール、4-メトキシ-1-ナフトール、4-クロロ-1-ナフトール及び2-メチル-1-ナフトールが挙げられる。追加の化合物に関しては、米国特許第5,262,295号明細書(上記)を参照されたい。
所望の場合には、ヒンダード・フェノール還元剤の混合物を使用することができる。
還元剤のさらに別の特に有用なクラスは、米国特許第3,440,049号明細書(Moede)に写真タンニング剤として記載されたポリヒドロキシスピロ-ビス-インダン化合物である。例は、3,3,3',3'-テトラメチル-5,6,5',6'-テトラヒドロキシ-1,1'-スピロ-ビス-インダン(インダンIと呼ばれる)、及び3,3,3',3'-テトラメチル-4,6,7,4',6',7'-ヘキサヒドロキシ-1,1'-スピロ-ビス-インダン(インダンIIと呼ばれる)を含む。
現像剤として使用することができる追加のクラスの還元剤は、米国特許第5,464,738号明細書(Lynch他)に記載されたスルホニルヒドラジドを含む置換型ヒドラジンである。さらに別の有用な還元剤は、例えば米国特許第3,074,809号明細書(Owen)、同第3,094,417号明細書(Workman)、同第3,080,254号明細書(Grant, Jr.)、及び同第3,887,417号明細書(Klein他)に記載されている。米国特許第5,981,151号明細書(Leenders他)に記載されているように、還元助剤が有用な場合がある。
ドライシルバー系において開示されたより具体的な別の還元剤は、アミドキシム、例えばフェニルアミドキシム、2-チエニル-アミドキシム及びp-フェノキシフェニルアミドキシム、アジン(例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒドラジン)、脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組み合わせ[例えば2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)-プロピオニル-β-フェニルヒドラジドとアスコルビン酸との組み合わせ]、ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンとの組み合わせ、レダクトン及び/又はヒドラジン[例えばヒドロキノンとビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミンとの組み合わせ]、ピペリジノヘキソース・レダクトン又はホルミル-4-メチルフェニルヒドラジン、ヒドロキサム酸(例えばフェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸、及びo-アラニン-ヒドロキサム酸)、アジンとスルホナミドフェノールとの組み合わせ(例えばフェノチアジン及び2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミドフェノール)、α-シアノフェニル-酢酸誘導体(例えばエチルα-シアノ-2-メチルフェニルアセテート及びエチルα-シアノフェニルアセテート)、ビス-o-ナフトール[例えば2,2'-ジヒドロキシ-1-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒドロキシ-1,1'-ビナフチル、及びビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)-メタン]、ビス-o-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン又は2,4-ジヒドロキシアセトフェノン)との組み合わせ、5-ピラゾロン、例えば3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン、レダクトン(例えばジメチルアミノヘキソース・レダクトン、無水ジヒドロ-アミノヘキソース・レダクトン及び無水ジヒドロ-ピペリドン-ヘキソース・レダクトン)、スルホンアミドフェノール還元剤(例えば2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホンアミド-フェノール、及びp-ベンゼンスルホンアミドフェノール)、インダン-1,3-ジオン(例えば2-フェニルインダン-1,3-ジオン)、クロマン(例えば2,2-ジメチル-7-t-ブチル-6-ヒドロキシクロマン)、1,4-ジヒドロピリジン(例えば2,6-ジメトキシ-3,5-ジカルベトキシ-1,4-ジヒドロピリジン)、アスコルビン酸誘導体(例えば1-アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート及び不飽和型アルデヒド及びケトン)、及び3-ピラゾリドンを含む。
例えば米国特許第6,387,605号明細書(Lynch他)に記載されているように、有用な共現像・還元剤を使用することもできる。これらの化合物の例としては、2,5-ジオキソ-シクロペンタンカルボキサルデヒド、5-(ヒドロキシメチレン)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン、5-(ヒドロキシメチレン)-1,3-ジアルキルバルビツール酸、及び2-(エトキシメチレン)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンが挙げられる。
共現像剤として使用することができる追加のクラスの還元剤は、米国特許第5,496,695号明細書(Simpson他)に記載されたトリチルヒドラジド及びホルミルフェニルヒドラジド、米国特許第5,654,130号明細書(Murray)に記載された2-置換型マロンジアルデヒド化合物、及び米国特許第5,705,324号明細書(Murray)に記載された4-置換型イソキサゾール化合物である。追加の現像剤が、米国特許第6,100,022号明細書(Inoue他)に記載されている。
さらに別のクラスの共現像剤は、米国特許第5,635,339号明細書(Murray)及び同第5,545,515号明細書(Murray)に記載された置換型アクリロニトリル化合物を含む。このような化合物の一例としては、米国特許第5,635,339号明細書(上記)でHET-01及びHET-02として、また米国特許第5,545,515号明細書(上記)でCN-01〜CN-13として同定された化合物が挙げられる。このタイプの特に有用な化合物は(ヒドロキシメチレン)シアノアセテート及びこれらの金属塩である。
いくつかのフォトサーモグラフィ材料において、特定の共現像剤とともに種々のコントラスト促進剤を使用することができる。有用なコントラスト促進剤の一例としては、ヒドロキシルアミン(ヒドロキシルアミン、並びにアルキル置換型及びアリール置換型誘導体を含む)、アルカノールアミン、及び例えば米国特許第5,545,505号明細書(Simpson)に記載されているようなフタルアミド酸アンモニウム化合物、例えば米国特許第5,545,507号明細書(Simpson他)に記載されているようなヒドロキサム酸化合物、例えば米国特許第5,558,983号明細書(Simpson他)に記載されているようなN-アシルヒドラジン化合物、米国特許第5,637,449号明細書(Harring他)に記載されているような水素原子供与体化合物が挙げられる。
ヒンダード・フェノール還元剤との組み合わせで、又は1種又は2種以上の高コントラスト共現像主薬及び共現像・コントラスト促進剤との組み合わせで、芳香族ジ-及びトリヒドロキシ還元剤を使用することもできる。
本明細書中に記載された還元剤(又はその混合物)は一般に、乳剤層の1〜10 %(乾燥重量)として存在する。多層構造において、還元剤が乳剤層以外の層に添加される場合、還元剤は2〜15重量%という僅かに高い比率で存在することがより望ましい。いかなる共現像剤も一般に、乳剤層コーティングの0.001 %〜1.5 %(乾燥重量)の量で存在してよい。
カラー画像形成材料(例えばモノクローム、ジクローム又は完全カラー画像)の場合、直接的又は間接的に酸化させることによって1種又は2種以上の色素を形成又は放出することができる1種又は2種以上の還元剤を使用することができる。
色素形成化合物又は色素放出化合物は、任意の有色化合物、無色化合物、又は僅かに着色された化合物であって、酸化されることにより、着色された形態になるか、又は好ましくは1秒以上にわたって80℃〜250℃の温度に加熱されると、予め形成された色素を放出することができる化合物であってよい。色素受理層又は画像受理層と一緒に使用される場合には、色素は画像形成層及び中間層を通って、フォトサーモグラフィ材料の画像受理層内に拡散することができる。
ロイコ色素又は「ブロック型」ロイコ色素は、色素形成化合物(又は「ブロック型」色素形成化合物)の1クラスであり、これらの化合物は、銀イオンによって酸化されると、色素を形成して放出することにより、本発明の実施において可視カラー画像を形成する。ロイコ色素は、可視領域において一般に無色又は極めて僅かに有色(光学濃度0.2未満)の色素の還元された形態である。このように酸化は、無色から有色への色の変化、0.2単位以上の光学濃度の増加、又は色相の実質的な変化を可能にする。
有用なロイコ色素の代表的なクラスの一例としては、発色ロイコ色素(例えばインドアニリン、インドフェノール、又はアゾメチン色素)、イミダゾール・ロイコ色素、例えば米国特許第3,985,565号明細書(Gabrielson他)に記載された2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール、例えば米国特許第4,563,415号明細書(Brown他)、同第4,622,395号明細書(Bellus他)、同第4,710,510号明細書(Thien他)、及び同第4,782,010号(Mader他) に記載されたアジン、ジアジン、オキサジン又はチアジン核を有する色素、及び例えば米国特許第4,932,792号明細書(Grieve他)に記載されたベンジリデン・ロイコ化合物が挙げられる。上記発色ロイコ色素の更なる詳細は、米国特許第5,491,059号明細書(上記、第13欄)及びこの明細書中に記載された参考文献から得ることができる。
ロイコ色素の別の有用なクラスは、例えば米国特許第4,587,211号明細書(Ishida他)及び同第4,795,697号(Vogel他)に記載されている「アルダジン」及び「ケタジン」ロイコ色素として知られているものを含む。
色素放出化合物のさらに別の有用なクラスは、酸化されると拡散性色素を放出する化合物を含む。これらは、予め形成された色素放出(PDR)化合物又はレドッキス色素放出(RDR)化合物として知られている。このような化合物において、還元剤は、酸化時に移動性の予め形成された色素を放出する。このような化合物の例は、米国特許第4,981,775号明細書(Swain)に記載されている。
さらに、他の有用な画像形成化合物は、例えば特開昭49-165,054号公報に記載されているように、ハロゲン化銀又は非感光性銀塩と高温で酸化還元反応する結果として、色素部分の移動性が変化する化合物である。
さらに、還元剤は、写真分野において知られているように、酸化されると、カラー・カプラー又は現像剤を形成するコンベンショナルな写真色素を放出する化合物であってもよい。
形成又は放出される色素は、同じ又は異なる画像形成層内で同じであってよい。反射最大吸光度に60 nm以上の差があることが好ましい。より好ましくは、この差は80〜100 nmである。種々の色素吸光度の更なる詳細は、米国特許第5,491,059号明細書(上記、第14欄)に記載されている。
本発明のフォトサーモグラフィ材料中に内蔵することができる、1種又は2種以上の色素形成化合物又は色素放出化合物の総量は一般に、これらの材料が配置された各画像形成層の総重量の0.5〜25重量%である。好ましくは、各画像形成層内の量は、総乾燥層重量を基準として1〜10重量%である。ロイコ色素の有用な相対比率は、当業者に容易に明らかとなる。
他の添加物
本発明によって調製されるフォトサーモグラフィ材料は、その他の添加剤、例えば貯蔵寿命安定剤、カブリ防止剤、コントラスト促進剤、現像促進剤、アキュータンス色素、処理後安定剤又は安定剤前駆体、熱溶剤(メルトフォーマーとしても知られる)、及び当業者には容易に明らかなその他の画像改質剤を含有することもできる。
フォトサーモグラフィ材料の特性(例えばコントラスト、Dmin、スピード又はカブリ)をさらに制御するために、式Ar-S-M1及びAr-S-S-Arの1種又は2種以上の複素環式芳香族メルカプト化合物又は複素環式芳香族ジスルフィド化合物を添加することが好ましいことがあり、上記式中、M1は水素原子又はアルカリ金属原子を表わし、Arは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はテルリウム原子のうちの1種又は2種以上を含有する複素芳香環又は縮合複素芳香環を表わす。好ましくは、複素芳香環は、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン又はキナゾリノンを含む。その他の複素芳香環を有する化合物、及び他の波長における増感を促進する化合物も好適と考えられる。例えば、複素芳香族メルカプト化合物が、欧州特許第0 559 228号明細書(Philip Jr.他)において赤外フォトサーモグラフィ材料のための超色増感剤として記載されている。これらの化合物は、増感色素とともに乳剤に添加されると(これらの化合物が特に赤及び赤外線に対して感光するフィルムとともに有益である場合)、そして特に有機バインダー[例えばポリ(ビニルブチラール)]又は水性ラテックス・バインダー中で使用されると、添加物として有用である。
複素芳香環は置換基を担持することもできる。好ましい置換基の例はハロ基(例えばブロモ及びクロロ)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル基(例えば炭素原子数1以上、好ましくは炭素原子数1〜4)、及びアルコキシ基(例えば炭素原子数1以上、好ましくは炭素原子数1〜4)である。
複素芳香族メルカプト化合物が最も好ましい。好ましい複素芳香族メルカプト化合物の例は、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、及び2-メルカプトベンゾキサゾール、及びこれらの混合物である。
複素芳香族メルカプト化合物が使用される場合、これは一般に、乳剤層内の総銀量1モル当たり0.0001モル以上の量で乳剤層内に存在する。より好ましくは、複素芳香族メルカプト化合物は、総銀量1モル当たり0.001モル〜1.0モル、最も好ましくは0.005モル〜0.2モルの範囲内で存在する。
フォトサーモグラフィ材料は、さらに、カブリの生成に対して保護することができ、また、貯蔵中の感度損失に対して安定化させることができる。本発明の実施には必要ではないが、カブリ防止剤として乳剤層に水銀(2+)塩を添加すると有利な場合がある。これを目的とした好ましい水銀(2+)塩は、酢酸水銀及び臭化水銀である。その他の有用な水銀塩は、米国特許第2,728,663号明細書(Allen)に記載されているものを含む。
単独又は組み合わせで使用することができる他の好適なカブリ防止剤及び安定剤は、米国特許第2,131,038号明細書(Brooker)及び同第2,694,716号明細書(Allen)に記載されているようなチアゾリウム塩、米国特許第2,886,437号明細書(Piper)に記載されているようなアザインデン、米国特許第2,444,605号明細書(Heimbach他)に記載されているようなトリアザインドリジン、米国特許第3,287,135号明細書(Anderson他)に記載されているようなウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書(Kennard他)に記載されているようなスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書(Carrol他)に記載されているようなオキシム、米国特許第2,839,405号明細書(Jones)に記載されているような多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書(Herz)に記載されているようなチウロニウム塩、米国特許第2,566,263号明細書(Trirelli)及び同第2,597,915号明細書(Damshroder)に記載されているようなパラジウム塩、白金塩、及び金塩、例えば米国特許第5,594,143号明細書(Kirk他)及び同第5,374,514号明細書(Kirk他)に記載されているような-SO2CBr3基を有する化合物、及び米国特許第5,460,938号明細書(Kirk他)に記載されているような2-(トリブロモメチルスルホニル)キノリン化合物を含む。
現像中に熱を加えると安定剤を放出することができる安定剤前駆体化合物を使用することもできる。このような前駆体化合物は、例えば米国特許第5,158,866号明細書(Simpson他)、同第5,175,081号明細書(Krepski他)、同第5,298,390号明細書(Sakizadeh他)、及び同第5,300,420号明細書(Kenney他)に記載されている。
加えて、米国特許第6,171,767号明細書(Kong他)に記載されたように、ベンゾトリアゾールの或る特定の置換型スルホニル誘導体(例えばアルキルスルホニルベンゾトリアゾール及びアリールスルホニルベンゾトリアゾール)が、有用な安定化化合物(例えば処理後プリント安定化)であることが判っている。
さらに、他の特定の有用なカブリ防止剤/安定剤が、米国特許第6,083,681号明細書(Lynch他)により詳細に記載されている。
他のカブリ防止剤は、例えば米国特許第5,028,523号明細書(Skoug)に記載されているような複素環式化合物の臭化水素酸塩(例えば臭化水素酸ピリジニウムペルブロミド)、例えば米国特許第4,784,939号明細書(Pham)に記載されているようなベンゾイル酸化合物、例えば米国特許第5,686,228号明細書(Murray他)に記載されているような置換型プロペンニトリル化合物、例えば米国特許第5,358,843号明細書(Sakizadeh他)に記載されているようなシリル・ブロック型化合物、例えば米国特許第6,143,487号明細書(Philip, Jr.他)に記載されているようなビニルスルホン、例えば欧州特許出願公開第0 600 586号明細書(Philip, Jr.他)に記載されているようなジイソシアネート化合物、及び例えば欧州特許出願公開第0 600 587号明細書(Oliff他)に記載されているようなトリブロモメチルケトンである。
本明細書中に記載されたフォトサーモグラフィ材料は、1種又は2種以上のポリハロカブリ防止剤を含んでもよい。このカブリ防止剤は、1種又は2種以上のポリハロ置換基、例えばジクロロ基、ジブロモ基、トリクロロ基及びトリブロモ基を含む。カブリ防止剤は、芳香族複素環式化合物及び炭素環式化合物を含む、脂肪族、脂環式又は芳香族化合物であってよい。
特に有用なカブリ防止剤は、ポリハロカブリ防止剤、例えば-SO2C(X')3基(この式中、X'は同じ又は異なるハロゲン原子を表わす)を有するポリハロカブリ防止剤である。
有利には、本発明により調製されるフォトサーモグラフィ材料は、1種又は2種以上の溶剤(又はメルト・フォーマー)を含むこともできる。このような化合物の代表例としては、サリチルアニリド、フタルイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、N-カリウム-フタルイミド、スクシニミド、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド、フタラジン、1-(2H)-フタラジノン、2-アセチルフタラジノン、ベンズアニリド、ジメチル尿素、D-ソルビトール及びベンゼンスルホンアミドが挙げられる。これらの化合物の組み合わせ、例えばスクシニミドとジメチル尿素との組み合わせを用いることもできる。例えば米国特許第3,438,776号明細書(Yudelson)、同第5,250,386号明細書(Aono他)、同第5,368,979号明細書(Freedman他)、同第5,716,772号明細書(Taguchi他)、及び同第6,013,420号明細書(Windender)に、公知の熱溶剤が開示されている。
改善されたより効果的な画像現像を可能にするために、本発明の方法により調製されるフォトサーモグラフィ材料中に塩基放出剤又は塩基前駆体を含むことが、しばしば有利である。本明細書中に採用された塩基放出剤又は塩基前駆体は、フォトサーモグラフィ材料中の加熱時に、上記感光性ハロゲン化銀と、銀塩及びハロゲン化銀現像主薬を含む画像形成複合体とのより効果的な反応を可能にする化合物を含むようになっている。代表的な塩基放出剤又は塩基前駆体は、グアニジニウム化合物、例えばトリクロロ酢酸グアニジニウム、及び塩基を放出するがしかし写真ハロゲン化銀材料に不都合な影響を与えないことが知られているその他の化合物、例えばフェニルスルホニルアセテートを含む。更なる詳細は、米国特許第4,123,274号明細書(Knight他)に示されている。
一定の範囲の濃度の塩基放出剤又は塩基前駆体が、上記フォトサーモグラフィ材料中で有用である。塩基放出剤又は塩基前駆体の最適濃度は、所望の画像、フォトサーモグラフィ材料中の特定の成分、及び処理条件に依存することになる。
画像を改善する「トナー」又はこれらの誘導体は、フォトサーモグラフィ材料の極めて望ましい成分である。トナーは、フォトサーモグラフィ画像形成層に添加されると、現像済銀画像の色を、黄色がかった橙色から茶色がかった黒又は濃い藍色にシフトする。一般に、このトナーを含む層の総乾燥重量を基準として、0.01重量%〜10重量%の量で、より好ましくは0.1重量%〜10重量%の量で、本明細書中に記載された1種又は2種以上の化合物が存在する。トナーは、フォトサーモグラフィ乳剤層内又は隣接層内に内蔵することができる。
トナーとして有用な化合物は、例えば米国特許第3,080,254号明細書(Grant, Jr.)、同第3,847,612号明細書(Winslow)、同第4,123,282号明細書(Winslow)、同第4,082,901号明細書(Laridon他)、同第3,074,809号明細書(Owen)、同第3,446,648号明細書(Workman)、同第3,844,797号明細書(Willems他)、同第3,951,660号明細書(Hagemann他)、同第5,599,647号明細書(Defieuw他)、及び英国特許第1,439,478号明細書(AGFA)に記載されている。
フタラジン及びその誘導体[例えば米国特許第6,146,822号明細書(Asanuma他)に記載されたもの]、フタラジノン及びフタラジノン誘導体が、特に有用なトナーである。
追加の有用なトナーは、例えば米国特許第3,832,186号明細書(Masuda他)、同第6,165,704号明細書(Miyake他)、同第5,149,620号明細書(Simpson他)、及び係属中の同一譲受人による米国特許出願公開第2004/0013985号明細書(Lynch他)、米国特許出願第10/192,944号明細書(Lynch, Ulrich及びZouにより2002年7月11日付けで出願)に記載されているような置換型及び無置換型メルカプトトリアゾールである。
同一譲受人による米国特許第6,605,418号明細書(Ramsden他)に記載されたフタラジン化合物、米国特許第6,703,191号明細書(Lynch他)に記載されているようなトリアジンチオン化合物、及び米国特許第6,737,227号明細書(Lynch他)に記載されているような複素環式ジスルフィド化合物も有用である。
トナーの一例としては、フタルイミド及びN-ヒドロキシフタルイミド、環状イミド(例えばスクシニミド)、ピラゾリン-5-オン、キナゾリノン、1-フェニルウラゾール、3-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、及び2,4-チアゾリジンジオン、ナフタルイミド(例えばN-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド)、コバルト錯体[例えばヘキサアミンコバルト(3+)トリフルオロアセテート]、メルカプタン[例えば3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール及び2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール)、N-(アミノメチル)-アリールジカルボキシミド(例えば(N,N-ジメチルアミノメチル)フタルイミド)、及びN-(ジメチルアミノメチル)ナフタレン-2,3-ジカルボキシミド、ブロックされたピラゾール、イソチウロニウム誘導体の組み合わせ、メロシアニン色素{例えば3-エチル-5-[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチル-エチリデン]-2-チオ-2,4-o-アゾリジン-ジオン}、フタラジン及びその誘導体、フタラジノン及びフタラジノン誘導体、又は金属塩又はこれらの誘導体[例えば4-(1-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノン、及び2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン]、フタラジン(又はその誘導体)及び1種又は2種以上のフタル酸誘導体(例えばフタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸、及び無水テトラクロロフタル酸)の組み合わせ、キナゾリンジオン、ベンゾオキサジン又はナフトオキサジン誘導体、色調改質剤としてだけではなくハロゲン化銀in-situ形成のためのハロゲン化物イオン源としても機能するロジウム錯体[例えばアンモニウムヘキサクロロロデート(3+)、臭化ロジウム、硝酸ロジウム、及びカリウムヘキサクロロロデート(3+)]、米国特許第5,817,598(Defieuw他)に記載されているようなベンゾオキサジン-2,4-ジオン及びナフトオキサジンジオン(例えば1,3-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン、8-メチル-1,3-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン、3,4-ジヒドロ-2,4-ジオキソ-1,3,2H-ベンゾオキサジン、3,4-ジヒドロ-2,4-ジオキソ-1,3,7-エチルカルボナトベンゾオキサジン、及び6-ニトロ-1,3-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン)、ピリミジン及びasym-トリアジン(例えば2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジン及びアザウラシル)及びテトラアザペンタレン誘導体[例えば3,6-ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン及び1,4-ジ-(o-クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレン]が挙げられる。
本発明の方法によって調製されるフォトサーモグラフィ材料は、通常は「裏側」層内に内蔵された1種又は2種以上の画像安定化化合物を含むこともできる。このような化合物の一例としては、具体的には同一譲受人による米国特許第6,599,685号明細書(Kong)に記載されているように、フタラジノン及びその誘導体、ピリダジン及びその誘導体、ベンゾキサジン及びベンゾキサジン誘導体、ベンゾチアジンジオン及びその誘導体、及びキナゾリンジオン及びその誘導体が挙げられる。その他の有用な裏側画像安定剤の一例としては、アントラセン化合物、クマリン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ナフタル酸イミド化合物、ピラゾリン化合物、又は例えば米国特許第6,465,162号明細書(Kong他)及び英国特許第1,565,043号明細書(Fuji Photo)に記載された化合物が挙げられる。
燐光体
いくつかの態様において、化学増感されたフォトサーモグラフィ乳剤及び本明細書中に記載されたように調製された材料中に、X線に対して感光する燐光体を内蔵することも効果的である。有機溶剤系乳剤及び材料が米国特許第6,440,649号(Simpson他)に記載されており、水性乳剤及び材料が米国特許第6,573,033号明細書(Simpson他)に記載されている。
本発明の実施において、任意のコンベンショナル又は有用な燐光体を単独又は組み合わせで使用することができる。有用な燐光体のより具体的な詳細を以下に示す。
燐光体は、励起時に赤外線、可視光、又は紫外線を放射する材料である。固有燐光体は、自然(すなわち固有)に燐光を発する材料である。「活性化された」燐光体は、1種又は2種以上のドーパントが意図的に添加された、固有燐光体であってもなくてもよい基礎材料から構成された燐光体である。これらのドーパントは、燐光体を「活性化」し、そして燐光体に赤外線、可視光、又は紫外線を放射させる。例えば、Gd2O2S:Tbにおいて、Tb原子(ドーパント/アクチベーター)は、燐光体を光学発光させる。
いくつかの燐光体、例えばBaFBrは、貯蔵燐光体として知られている。これらの材料の場合、ドーパントは貯蔵並びに輻射線の放射に関与する。貯蔵燐光体がフォトサーモグラフィ材料内部に内蔵される場合、X線による初期露光は、燐光体粒子内部に「貯蔵される」。次いで、材料が後で刺激電磁線(通常は可視光又は赤外線)によって二度目に露光されると、「貯蔵」されたエネルギーが可視光又は赤外線の放射として放出される。本明細書中に記載されたBaFBrは、このような貯蔵燐光体である。
例えば、有用な燐光体は、蛍光増感スクリーンに関連する数多くの参考文献に記載されている。これらの参考文献は例えば、リサーチディスクロージャ, 第184巻, 1979年8月, 第18431項, セクションIX, X-ray Screens/Phosphors, 及び米国特許第2,303,942号明細書(Wynd他)、同第3,778,615号明細書(Luckey)、同第4,032,471号明細書(Luckey)、同第4,225,653号明細書(Brixner他)、同第3,418,246号明細書(Royce)、同第3,428,247号明細書(Yocon)、同第3,725,704号明細書(Buchanan他)、同第2,725,704号明細書(Swindells)、同第3,617,743号明細書(Rabatin)、同第3,974,389号明細書(Ferri他)、同第3,591,516号明細書(Rabatin)、同第3,607,770号明細書(Rabatin)、同第3,666,676号明細書(Rabatin)、同第3,795,814号明細書(Rabatin)、同第4,405,691号明細書(Yale)、同第4,311,487号明細書(Luckey他)、同第4,387,141号明細書(Patten)、同第5,021,327号明細書(Bunch他)、同第4,865,944号明細書(Roberts他)、同第4,994,355号明細書(Dickerson他)、同第4,997,750号明細書(Dickerson他)、同第5,064,729号明細書(Zegarski)、同第5,108,881号明細書(Dickerson他)、同第5,250,366号明細書(Nakajima他)、同第5,871,892号明細書(Dickerson他)、欧州特許出願公開第0 491 116号明細書(Benzo他)を含む。これら全ての開示内容を燐光体に関して本明細書中に引用する。
燐光体の有用なクラスの一例としては、タングステン酸カルシウム(CaWO4)、活性化型又は不活性化型スズ酸リチウム、ニオビウム及び/又は希土類活性化型又は不活性化型タンタル酸イットリウム、タンタル酸ルテチウム、又はタンタル酸ガドリニウム、希土類(例えばテルビウム、ランタン、ガドリニウム、セリウム及びルテチウム)活性化型又は不活性化型中央カルコゲン燐光体、例えば希土類オキシカルコゲニド及びオキシハリド、及びテルビウム活性化型又は不活性化型ランタン及びルテチウム中央カルコゲン燐光体が挙げられる。
さらに別の有用な燐光体は、例えば米国特許第4,988,880号明細書(Bryan他)、同第4,988,881号明細書(Bryan他)、同第4,994,205号明細書(Bryan他)、同第5,095,218号明細書(Bryan他)、同第5,112,700号明細書(Lambert他)、同第5,124,072号明細書(Dole他)、及び同第5,336,893号明細書(Smith他)に記載されているようなハフニウムを含有する燐光体である。これらは、希土類活性化型酸臭化ランタン、及びテルビウム活性化型又はツリウム活性化型酸化ガドリニウム、例えばGd2O2S:Tbを含む。
他の好適な燐光体が、米国特許第4,385,397号明細書(Arakawa他)及び同第5,381,015号明細書(Dooms)(両方とも本明細書中に引用する)に記載されており、そして例えば二価ユウロピウム及びその他の希土類活性化型アルカリ土類金属ハロゲン化物燐光体、及び希土類元素活性化型希土類酸ハロゲン化物燐光体を含む。これらのタイプの燐光体のうち、より好ましい燐光体は、アルカリ土類金属フルオロハロゲン化物即時発光性燐光体及び/又は貯蔵燐光体[特にヨウ化物含有燐光体、例えば米国特許第5,464,568号明細書(Bringley他)に記載されたアルカリ土類金属フルオロブロモヨウ化物貯蔵燐光体]を含む。
別のクラスの有用な燐光体は、希土類ホスト、例えば希土類活性化型混合型アルカリ土類金属硫酸塩、例えばユウロピウム活性化型硫酸バリウムストロンチウムを含む。
従って、有用な燐光体の1つのクラスは、下記式(1):
M'(w-n)M''nOwX'' (1)
によって表される希土類オキシカルコゲニド及びハロゲン化物の燐光体を含み、上記式中、M'は、金属イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はルテチウム(Lu)のうちの1種以上であり、M''は、希土類金属ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユウロピウム(Eu)、ホルミウム(Ho)、ネオジミウム(Nd)、プラセオジミウム(Pr)、サマリウム(Sm)、タンタルム(Ta)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、又はイッテルビウム(Yv) のうちの1種以上であり、X''は、中央カルコゲン(S, Se又はTe)、又はハロゲンであり、nは0.002〜0.2であり、そしてX''がハロゲンであるときにはwは1であり、或いはX''が中央カルコゲンであるときにはwは2である。
燐光体の別の有用なクラスは、随意選択の酸化物及び下記式(2):
MFX1-zIzuMaXa:yA:eQ:tD (2)
によって特徴付けられる種の組み合わせを含む出発原料の焼成物である燐光体を含み、上記式中、「M」はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、又はバリウム(Ba)であり、「F」はフッ化物であり、「X」は塩化物(Cl)又は臭化物(Br)であり、「I」はヨウ化物であり、Maはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、又はセシウム(Cs)であり、Xaはフッ化物(F)、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I)であり、「A」はユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、又はテルビウム(Tb)であり、「Q」はBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5、又はThO2であり、「D」はバナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、又はニッケル(Ni)であり、「z」は0〜1であり、「u」は0〜1であり、「y」は1 × 10-4〜0.1であり、「e」は0〜1であり、そして「t」は0〜0.01である。
燐光体のさらに別の有用なクラスは、下記式(3):
(Ba1-a-b-cMgaCabSrc)FX1-zIzrMaXa:yA (3)
によって特徴付けられる二価アルカリ土類金属フルオロハロゲン化物燐光体である燐光体を含み、上記式中、「M」はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、又はバリウム(Ba)であり、「F」はフッ化物であり、「X」は塩化物(Cl)又は臭化物(Br)であり、「I」はヨウ化物であり、Maはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、又はセシウム(Cs)であり、Xaはフッ化物(F)、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I)であり、「A」はユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、又はテルビウム(Tb)であり、「z」は0〜1であり、「y」は1 × 10-4〜0.1であり、a, b及びcの和は0〜4であり、そして「r」は10-6〜0.1である。
特に有用な燐光体は、ドープ型又は非ドープ型タンタル、例えばYTaO4、YTaO4:Nb、Y(Sr)TaO4、及びY(Sr)TaO4:Nbを含有する燐光体である。これらの燐光体は、米国特許第4,226,653号明細書(Brixner)、同第5,064,729号明細書(Zegarski)、同第5,250,366号明細書(Nakajima他)、同第5,626,957号明細書(Benso他)に記載されている。その他の有用な燐光体はアルカリ土類金属燐光体である。
本発明の実施において、貯蔵燐光体を使用することもできる。種々の貯蔵燐光体が例えば米国特許第5,464,568号明細書(上記)に記載されている。このような燐光体は、任意にはヨウ化物を含有することができる二価アルカリ土類金属フルオロハロゲン化物燐光体を含む。これらの燐光体のいくつかの態様が、米国特許第5,464,568号明細書(上記)により詳細に記載されている。さらに他の貯蔵燐光体が、米国特許第4,368,390号明細書(Takahashi他)に記載されており、これらの燐光体は、より詳細に上述したように、二価ユウロピウム及びその他の希土類活性化型アルカリ土類金属ハロゲン化物、及び希土類元素活性化型希土類酸ハロゲン化物を含む。
有用な燐光体の例は、SrS:Ce,SM, SrS:Eu,Sm, ThO2:Er, La2O2S:Eu,Sm, ZnS:Cu,Pb、及び米国特許第5,227,253号明細書(Takasu他)に記載されたその他のものを含む。
1種又は2種以上の燐光体は、フォトサーモグラフィ材料中の総銀量1モル当たり0.1モル以上、好ましくは0.5〜20モルの量でフォトサーモグラフィ材料中に存在することができる。一般に総銀量は0.002モル/m2以上である。
本発明において使用される燐光体のサイズの理由から、燐光体が内蔵される層(通常は1つ又は2つ以上の乳剤層)の乾燥コーティング重量は一般に5 g/m2以上、好ましくは5 g/m2〜200 g/m2である。最も好ましくは、1種又は2種以上の燐光体及び感光性ハロゲン化銀は、上記好ましい範囲内の乾燥コーティング重量を有する同じ画像形成層内部に内蔵される。
バインダー
化学増感された感光性ハロゲン化銀、非感光性の被還元性銀イオン源、上述の還元剤組成物、及び本発明において使用される任意のその他の画像形成層添加剤は一般に、親水性又は疎水性の1種又は2種以上のバインダーと一般に組み合わされる。このように、水性溶剤系又は有機溶剤系の配合物を使用することにより、本発明の熱現像可能な材料を調製することができる。いずれか又は両方のタイプのバインダーの混合物を使用することもできる。バインダーは疎水性高分子材料、例えば、溶液又は懸濁液中に他の成分を保持するのに十分に極性の天然樹脂及び合成樹脂から選択されることが好ましい。
典型的な疎水性バインダーの一例としては、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、及び当業者に容易に明らかなその他の材料が挙げられる。コポリマー(ターポリマーを含む)もポリマーの定義に含まれる。ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、及びビニルコポリマー(例えばポリビニルアセテート及びポリビニルクロリド)が特に好ましい。特に好適なバインダーは、BUTVAR(商標) (Solutia, Inc)、及びPIOLOFORM(商標)(Wacker Chemical Company)として入手可能なポリビニルブチラール樹脂である。
疎水性ポリマーの水性分散体(又はラテックス)はバインダーとして単独で、又は他のバインダーとの組み合わせで使用することもできる。
有用な親水性バインダーの一例としては、タンパク質及びタンパク質誘導体、ゼラチン及びゼラチン様誘導体(アルカリ処理及び酸処理されたゼラチンを含む硬化又は未硬化ゼラチン、アセチル化ゼラチン、酸化ゼラチン、フタル酸化ゼラチン及び脱イオン・ゼラチン)、セルロース系材料、例えばヒドロキシメチルセルロース及びセルロースエステル、アクリルアミド/メタクリルアミドポリマー、アクリル/メタクリルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルラクタム)、スルホアルキルアクリレート又はメタクリレートのポリマー、加水分解ポリビニルアセテート、ポリアミド、多糖(例えばデキストラン及び澱粉エーテル)、及び水性写真乳剤に使用するものとして周知のその他の自然発生型又は合成型ビヒクル[例えばリサーチディスクロージャ, 第38957項(上記)参照]が挙げられる。米国特許第5,620,840号明細書(Maskasky)及び米国特許第5,667,955号明細書(Maskasky)に記載されているように、平板状ハロゲン化銀粒子のためのペプタイザーとして、カチオン性澱粉を使用することもできる。
種々のバインダーのための硬化剤が所望の場合には存在してよい。有用な硬化剤がよく知られており、これらは例えば欧州特許第0 600 586号明細書(Philip, Jr他)に記載されているようなジイソシアネート化合物、米国特許第6,143,487号明細書(Philip, Jr他)及び欧州特許第0 640 589号明細書(Gathmann他)に記載されているようなビニルスルホン化合物、米国特許第6,190,822号明細書(Dickerson他)に記載されているようなアルデヒド及び種々の他の硬化剤を含む。フォトサーモグラフィ材料中に使用される親水性バインダーは一般に、任意のコンベンショナルな硬化剤を使用して部分的又は完全に硬化される。有用な硬化剤がよく知られており、例えば、T. H. James, The Theory of the Photographic Process, 第4版, Eastman Kodak Company, Rochester, NY, 1977, 第2章, 第77-78頁に記載されている。
フォトサーモグラフィ材料の比率及び活性が特定の現像時間及び温度を必要とする場合、バインダーはこれらの条件に耐えることが可能であるべきである。疎水性バインダーが使用される場合、バインダーは60秒間にわたって120℃でその構造完全性を分解又は損失しないことが好ましい。親水性バインダーが使用される場合、バインダーは60秒間にわたって150℃でその構造完全性を分解又は損失しないことが好ましい。バインダーは60秒間にわたって177℃でその構造完全性を分解又は損失しないことがより好ましい。
ポリマーバインダーは、バインダー中に分散された成分を担持するのに十分な量で使用される。バインダー量の効果的な範囲は、当業者によって適切に決定することができる。好ましくはバインダーは、バインダーが含まれる層の総乾燥重量を基準として、10重量%〜90重量%のレベル、より好ましくは20重量%〜70重量%のレベルで使用される。両側型フォトサーモグラフィ材料中のバインダー量は同じであっても異なっていてもよい。
支持体の両側上の画像形成層及び非画像形成層の両方に、大部分(総バインダー重量の50重量%超)が疎水性であるバインダーを使用することが、フォトサーモグラフィ材料において特に有用である。こうして、本発明に従って調製されるフォトサーモグラフィ乳剤中に疎水性バインダーを混和することにより、支持体上にコーティングするためのフォトサーモグラフィ乳剤配合物が形成される。
支持体材料
本発明のフォトサーモグラフィ材料は高分子支持体を含む。この高分子支持体は、好ましくはフレキシブルな透明フィルムである。このフィルムは任意の所望の厚さを有しており、材料の用途に応じて、1種又は2種以上の高分子材料から成っている。支持体は一般には透明(特に材料がフォトマスクとして使用される場合)であるか又は少なくとも半透明であるが、しかし、不透明な支持体が有用な場合もある。これらの支持体は、熱現像中に寸法安定性を示すこと、また、上側の層との好適な接着特性を有することが必要とされる。このような支持体を形成するための有用な高分子材料の一例としては、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、セルロースアセテート及びその他のセルロースエステル、ポリビニルアセタール、ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリカーボネート、及びポリスチレン(及びスチレン誘導体のポリマー)が挙げられる。好ましい支持体は、良好な熱安定性を有するポリマー、例えばポリエステル及びポリカーボネートから成っている。ポリエチレンテレフタレート・フィルムが特に好ましい支持体である。種々の支持体材料が、例えばリサーチディスクロージャ, 1979年8月, 第18431項に記載されている。寸法安定性のポリエステル・フィルムの製造方法が、リサーチディスクロージャ, 1999年9月, 第42536項に記載されている。支持体材料を処理又はアニールすることにより、収縮を低減し、そして寸法安定性を促進することもできる。
二色性ミラー層を含む支持体を使用することも有用である。二色性ミラー層は、少なくとも一定の波長範囲を有する輻射線を乳剤層に対して反射させ、そして一定の波長範囲外の波長を有する輻射線を透過させる。このような二色性支持体は米国特許第5,795,708号明細書(Boutet)に記載されている。
2種以上の異なる高分子材料から成る多数の交互の層を含む透明多層高分子支持体を使用することが、さらに有用である。このような多層高分子支持体は好ましくは、フォトサーモグラフィ感光性材料が感光する波長範囲内の化学線の50%以上を反射させ、そしてスピードが高められたフォトサーモグラフィ材料を提供する。このような透明多層高分子支持体は米国特許第6,630,283号明細書(Simpson他)に記載されている。
高い温度に対して安定的な不透明支持体、例えば色素含有高分子フィルム及び樹脂コート紙を使用することもできる。
支持体材料は、所望の場合には、種々の着色剤、顔料、ハレーション防止色素又はアキュータンス色素を含有することができる。例えば、青く着色された支持体は、医療診断に有用な画像を提供するのに特に有利である。コンベンショナルな処置(例えばコロナ放電)によって支持体材料を処理することにより、上側の層の接着力を改善することができ、或いは、下塗り層又はその他の接着促進層を使用することができる。有用な下塗り層配合物は、写真材料のために従来より使用されている配合物、例えばハロゲン化ビニリデン・ポリマーを含む。
フォトサーモグラフィ配合物
本発明はまた、フォトサーモグラフィ材料の製造方法を提供する。この方法は、フォトサーモグラフィ乳剤の製造方法に関連して上述した工程(A)から(D)まで、及び任意には工程(E)を(上記種々の順序で)含む。一般に、フォトサーモグラフィ材料の製造は、少なくとも工程(A)から(D)までを伴い、これに続いて:
(E') 工程(B)から(D)までのいずれかと同時に、又は工程(D)に続いて、バインダーを添加してエマルジョン配合物を形成し、そして
(F) 工程(E')後、乳剤配合物を支持体上にコーティングしてこれを乾燥させることにより、フォトサーモグラフィ画像形成材料を提供する
ことを伴う。
好ましくは、これらの工程は、工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)、工程(E')、及び工程(F)の順序で行われる。工程(B)及び(D)が同時に行われることも可能である。フォトサーモグラフィ乳剤に任意の好適な時点で、還元剤組成物を添加することもできる。上述のように、工程(E)を用いることができ、この工程(E)において、無機又は有機ハロゲン化物(例えば臭化リチウム、臭化カルシウム、又は臭化亜鉛)の添加によって、非感光性の被還元性銀イオン源中の被還元性銀イオンのいくらかを、感光性ハロゲン化銀に変換する。
こうして、いくつかの態様において、工程は、工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)、工程(E)、工程(E')、及び工程(F)の順序で行われる。或いは、方法工程は、工程(A)、工程(B)、工程(D)、工程(C)、工程(E')、及び工程(F)の順序、又は工程(A)、工程(D)、工程(B)、工程(C)、工程(E')、及び工程(F)の順序で行われる。
フォトサーモグラフィ乳剤層のための有機溶剤系コーティング配合物は、本発明に従って調製されるフォトサーモグラフィ乳剤と、1種又は2種以上のバインダー、還元性組成物、トナー、及び任意の添加物とを、好適な溶剤系中で混合することにより調製することができる。この溶剤系は通常は、有機溶剤、例えばトルエン、2-ブタノン(メチルエチルケトン)、アセトン又はテトラヒドロフラン、又はこれらの混合物を含む。
或いは、所望の画像形成成分を、水又は水-有機溶剤混合物中で親水性バインダー(例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、又はラテックス)と配合することにより、水性コーティング配合物を提供することもできる。
本発明により調製されるフォトサーモグラフィ材料は、可塑剤及び滑剤、例えば米国特許第2,960,404号明細書(Milton他)に記載されたタイプのポリ(アルコール)及びジオール、米国特許第2,588,765号明細書(Robijin他)及び同第3,121,060号明細書(Duane)に記載されているような脂肪酸又はエステル、及び英国特許第955,061号明細書(DuPont)に記載されているようなシリコーン樹脂を含有することができる。これらの材料は、艶消し剤、例えば澱粉、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、及び米国特許第2,992,101号明細書(Jelley他)及び同第2,701,245号明細書(Lynn)に記載されたタイプのビードを含む高分子ビードを含有することもできる。高分子フッ素処理界面活性剤も、種々の目的、例えば米国特許第5,468,603号明細書(Kub)に記載されているようなコーティング性及び光学濃度の均一性の改善のために、画像形成材料から成る1つ又は2つ以上の層内で有用である。
米国特許第6,436,616号(Geisler他)には、「木目(woodgrain)」効果として知られるもの、又は不均一な光学濃度を低減するための種々のフォトサーモグラフィ材料改質手段が記載されている。この効果は、支持体の処理、トップコートへの艶消し剤の添加、特定層内でのアキュータンス色素の使用、又は上記刊行物に記載されたその他の処置を含む、いくつかの手段によって低減又は排除することができる。
本発明のフォトサーモグラフィ材料は、支持体のいずれかの側又は両側で、フォトサーモグラフィ乳剤層を含む層のうちのいずれか、又は別個の導電層内に1種又は2種以上の静電防止剤を含むことができる。このように、導電性成分の一例としては、可溶性塩(例えば塩化物又は硝酸塩)、蒸着金属層、又は米国特許第2,861,056号明細書(Minsk)及び同第3,206,312号明細書(Sterman他)に記載されているようなイオン性ポリマー、又は米国特許第3,428,451号明細書(Trevoy)に記載されているような不溶性無機塩、米国特許第5,310,640号明細書(Markin他)に記載されているような導電性下層、米国特許第5,368,995号明細書(Christian他)に記載されているような電子伝導性金属アンチモン酸塩粒子、及び欧州特許出願公開第0 678 776号明細書(Melpolder他)に記載されているような高分子バインダー中に分散された導電性金属含有粒子が挙げられる。特に有用な導電性粒子は、係属中の同一譲受人による米国特許出願第10/304,224号明細書(LaBelle, Sakizadeh, Ludemann, Bhave及びPhamによって2002年11月27日付けで出願)に記載されているような、非針状金属アンチモン酸塩粒子である。他の静電防止剤は当業者によく知られている。
さらに他の導電性組成物は、1種又は2種以上のフルオロ化学物質を含む。これらのそれぞれは、Rf-CH2CH2-SO3Hとアミンとの反応生成物であり、Rfは4つ又は5つ以上の完全フッ素化された炭素原子を含む。これらの静電防止組成物は、米国特許出願公開第2003-0198901号明細書(Sakizadeh他)により詳細に記載されている。
追加の導電性組成物は、構造Rf-R-N(R'1)(R'2)(R'3)+X-を有する1種又は2種以上のフルオロ化学物質を含み、上記式中、Rfは、炭素原子数4〜18の直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、Rは、鎖内に4つ以上の炭素原子及び硫化物基を含む二価結合基であり、R'1、R'2、R'3は独立して水素又はアルキル基であり、又は、R'1、R'2、及びR'3のうちの任意の2つが結合して、カチオン性窒素原子を有する5〜7員複素環を提供するのに必要な炭素原子及び窒素原子を表すことができ、そして、X-は一価アニオンである。これらの静電防止組成物は、係属中の同一譲受人による米国特許出願第10/265,058号明細書(Sakizadeh, LaBelle及びBhaveによって2002年10月4日付けで出願)により詳細に記載されている。
本発明のフォトサーモグラフィ材料は、支持体の画像形成側上の1つ又は2つ以上の層から構成することができる。単層材料は、化学増感されたハロゲン化銀、非感光性の被還元性銀イオン源、還元剤組成物、バインダー、並びに任意の添加物、例えばトナー、アキュータンス色素、コーティング助剤及び他のアジュバントを含有するべきである。
全ての成分を含有する単一の画像形成層コーティングと、表面保護トップコートとを含む二層構造が、本発明の材料の表側において普通は見いだされる。しかし、化学増感されたハロゲン化銀と非感光性の被還元性銀イオン源とを第1の画像形成層(通常、支持体に隣接する層)内に含有し、そしてその他の成分を第2の画像形成層内に含有するか又は両層間に分配した二層構造も考えられる。
両側型フォトサーモグラフィ材料の場合、支持体の各側は、同じ又は異なる画像形成層、中間層、及び保護トップコート層のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。このような材料の場合、好ましくはトップコートは、支持体の両側に最も外側の層として存在する。互いに対向する側の熱現像可能な層は、同じ又は異なる構造を有することができ、そして同じ又は異なる保護層でオーバーコートすることができる。ポリカルボン酸化合物は、支持体の互いに対向する側で同じもの又は異なったものであってよい。
フォトサーモグラフィ材料において層間の接着を促進するための層も、例えば米国特許第5,891,610号明細書(Bauer他)、同第5,804,365号明細書(Bauer他)、及び同第4,741,992号明細書(Przezdziecki)に記載されているように知られている。例えば米国特許第5,928,857号明細書(Geisler他)に記載されているような特定の高分子接着材料を使用して、接着を促進することもできる。
フィルムからの放射を低減するための層が存在してもよい。これらの層は、米国特許第6,352,819号明細書(Kenney他)、同第6,352,820号明細書(Bauer他)、及び同第6,420,102号明細書(Bauer他)、及び係属中の同一譲受人による米国特許第6,667,148号明細書(Rao他)、及び米国特許第6,746,831号明細書(Hunt)に記載された高分子バリヤ層を含む。
本明細書中に記載されたフォトサーモグラフィ配合物は、巻線ロッド・コーティング、浸漬コーティング、エアナイフ・コーティング、カーテン・コーティング、スライド・コーティング、又は、米国特許第2,681,294号明細書(Beguin)に記載されたタイプのホッパーを使用する押出コーティングを含む種々のコーティング処置によって、コーティングすることができる。層は一度に1つずつコーティングすることができ、或いは、例えば米国特許第2,761,791号明細書(Russell)、同第4,001,024号明細書(Dittman他)、同第4,569,863号明細書(Keopke他)、同第5,340,613号明細書(Hanzalik他)、同第5,405,740号明細書(LaBelle他)、同第5,415,993号明細書(Hanzalik他)、同第5,525,376号明細書(Leonard他)、同第5,733,608号明細書(Kessel他)、同第5,849,363号明細書(Yapel他)、同第5,843,530号明細書(Jerry他)、同第5,861,195号明細書(Bhave他)、及び英国特許第837,095号(Ilford)に記載されているような処置によって同時に2つ又は3つ以上の層をコーティングすることができる。乳剤層のための典型的なコーティング・ギャップは、10〜750 μmであってよく、そして層は、温度20℃〜100℃の強制空気中で乾燥させることができる。層の厚さは、MacBeth Color Densitometer Model TD 504によって測定して、0.2を上回る、そしてより好ましくは0.5〜5.0又はそれ以上の最大画像濃度を提供するように選択されることが好ましい。
例えば、フォトサーモグラフィ乳剤配合物を支持体に塗布した後、又は塗布するのと同時に、乳剤配合物上に保護オーバーコート配合物を塗布することができる。好ましくは、2種以上の配合物が同時に塗布される。
他の態様において、上述の2種又は3種以上のポリマーの単一相混合物を含む「キャリヤ」層配合物を、支持体上に直接的に塗布し、そしてこれにより、乳剤層の下側に配置することができる。このような配合物は米国特許第6,355,405号明細書(Ludemann他)に記載されている。好ましくは、キャリヤ層配合物は、フォトサーモグラフィ乳剤層配合物の塗布と同時に、支持体に塗布される。
例えば米国特許第5,532,121号明細書(Yonkoski他)に記載されているようなフッ素処理ポリマーを内蔵することにより、又は例えば米国特許第5,621,983号明細書(Ludemann他)に記載されているような特定の乾燥技術を用いることにより、本発明により調製されたフォトサーモグラフィ材料内で斑点及びその他の表面異常を低減することができる。
好ましくは、スライド・コーティングを用いてフィルム支持体に2つ又は3つ以上の層配合物が塗布される。第1の層は、第2の層がまだ湿っている間に、第2の層の上側にコーティングすることができる。これらの層のコーティングに使用される第1の流体及び第2の流体は、同じ溶剤であっても異なる溶剤(又は溶剤混合物)であってもよい。
第1の層及び第2の層はフィルム支持体の一方の側にコーティングすることができるが、製造法は、前記高分子支持体の対向側又は裏側に、1つ又は2つ以上の追加の層、例えば導電層、ハレーション防止層、又は艶消し剤(例えばシリカ)を含有する層、又はこのような層の組み合わせを形成することを含むこともできる。或いは、1つの裏側層が所望の機能の全てを発揮することもできる。
本発明により調製されるフォトサーモグラフィ材料が、支持体の両側にフォトサーモグラフィ乳剤層を含み、そして、1つ以上の乳剤層の下方のハレーション防止下層として1種以上の赤外線吸収性の熱漂白可能な組成物を含むことも考えられる。
支持体の両側に熱現像可能な層が配置されたフォトサーモグラフィ材料は、しばしば「クロスオーバー」を蒙る。クロスオーバーは、フォトサーモグラフィ材料の一方の側を画像形成するのに使用される輻射線が、支持体を通して透過され、支持体の対向側にフォトサーモグラフィ層を画像形成する場合に生じる。このような輻射線は、画質(特に鮮鋭度)の低下を招く。クロスオーバーが低減されると、画像はより鮮鋭になる。クロスオーバーの低減には種々の方法が利用可能である。このような「クロスオーバー防止」材料は、クロスオーバーを低減するために特定的に含まれる材料であってよく、或いは、アキュータンス色素又はハレーション防止色素であってよい。いずれの場合にも、可視光で画像形成される場合には、クロスオーバー防止材料は処理中に無色にさせられることがしばしば必要である。
画像鮮鋭度を促進するために、本発明により調製されるフォトサーモグラフィ材料は、アキュータンス色素及び/又はハレーション防止色素を含有する1つ又は2つ以上の層を含有することができる。これらの色素は、露光波長に近い吸光度を有するように選ばれ、散乱光を吸収するように構成される。ハレーション防止裏層、ハレーション防止下層、又はハレーション防止オーバーコートとして、公知技術に従って、1つ又は2つ以上のハレーション防止層内に1種又は2種以上のハレーション防止色素を内蔵することができる。加えて、公知の技術に従って、1つ又は2つ以上の表側層、例えばフォトサーモグラフィ乳剤層、プライマー層、下層、又はトップコート層内に、1種又は2種以上のアキュータンス色素を内蔵することもできる。本発明のフォトサーモグラフィ材料は、支持体の裏側に、より好ましくは裏側導電層内にハレーション防止組成物を含有することが好ましい。
ハレーション防止色素、フィルター色素、クロスオーバー予防(クロスオーバー防止)色素、輻射防止色素及び/又はアキュータンス色素として有用な色素は、米国特許第5,380,635号明細書(Gomez他)、同第6,063,560号明細書(Suzuki他)、同第6,432,340号明細書(Tanaka他)、同第6,444,415号明細書(Tanaka他)、及び欧州特許出願公開第1 083 459号明細書(Kimura)に記載されているスクアレイン色素、欧州特許出願公開第0 342 810号明細書(Leichter)に記載されたインドレニン色素、及び米国特許出願公開第2003-0162134号明細書(Hunt他)に記載されたシアニン色素を含む。
処理中に熱で色を失うか又は白くなることになるアキュータンス色素又はハレーション防止色素を含む組成物を採用することも有用である。色素、及びこれらのタイプの色素を採用する構造が、例えば米国特許第5,135,842号明細書(Kitchin他)、同第5,266,452号明細書(Kitchin他)、同第5,314,795号明細書(Helland他)、同第6,306,566号明細書(Sakurada他)、米国特許出願公開第2001-0001704号明細書(Sakurada他)、特開2001-142175号公報(Hanyu他)、及び同第2001-183770号公報(Hanyu他)に記載されている。特開平11-302550号公報(Fujiwara)、特開2001-109101号公報(Adachi)、特開2001-51371号公報(Yabuki他)、及び特開2000-029168号公報(Noro)に記載された漂白組成物も有用である。
特に有用な熱漂白可能な裏側ハレーション防止組成物は、ヘキサアリールビイミダゾール(「HABI」としても知られる)との組み合わせで使用される赤外線吸収化合物、例えばオキソノール色素及び種々のその他の化合物、又はこれらの混合物を含むことができる。このようなHABI化合物は、例えば米国特許第4,196,002号明細書(Levinson他)、同第5,652,091号明細書(Perry他)及び米国特許第5,672,562号明細書(Perry他)のように当業者に良く知られている。このような熱漂白可能な組成物の例は、例えば米国特許第6,455,210号明細書(Irving他)、同第6,514,677号明細書(Ramsden他)及び同第6,558,880号明細書(Goswami他)に記載されている。
実際の使用条件下で、これらの組成物は、90℃以上の温度で0.5秒以上にわたって、漂白を可能にするように加熱される。好ましくは、100℃〜200℃の温度で5〜20秒間にわたって漂白を行う。最も好ましい漂白は、110℃〜130℃の温度で20秒間以内で行われる。
いくつかの好ましい態様の場合、フォトサーモグラフィ材料は、支持体の両側で、1つ又は2つ以上の画像形成層上に表面保護層を含む。
他の好ましい態様の場合、フォトサーモグラフィ材料は、1つ又は2つ以上のフォトサーモグラフィ乳剤層と同じ支持体の側に、表面保護層を含み、そしてハレーション防止組成物及び/又は導電性静電防止成分を含む層を裏側に含む。これらの態様には、別個の裏側表面保護層を含むこともできる。
画像形成/現像
本発明のフォトサーモグラフィ材料は、任意の好適な画像形成源(典型的には、何らかのタイプの輻射線又は電子信号)を使用して、材料のタイプと呼応した任意の好適な形式で画像形成することができる。いくつかの態様の場合、材料は、300 nm以上〜1400 nm、好ましくは300 nm〜850 nmの範囲の輻射線に対して感光する。
本発明のフォトサーモグラフィ材料に、材料が感光する好適な輻射線源、例えば紫外線、可視光、近赤外線及び赤外線による露光を施すことにより潜像を提供することによって、画像形成を達成することができる。好適な露光手段がよく知られており、白熱灯又は蛍光灯、キセノン・フラッシュランプ、レーザー、レーザーダイオード、発光ダイオード、赤外線レーザー、赤外線レーザーダイオード、赤外線発光ダイオード、赤外線ランプ、又は当業者には容易に明らかな任意の他の紫外線、可視光、又は赤外線源、及びリサーチディスクロージャ, 1996年、第38957項のような当業者に記載された他のものを含む、輻射線源を含む。特に有用な赤外線露光手段は、レーザーダイオードを含み、米国特許第5,780,207号明細書(Mohapatra他)に記載されているような多長手方向露光技術として知られている技術によって、画像形成効率を高めるように変調されたレーザーダイオードを含む。その他の露光技術は、米国特許第5,493,327号明細書(McCallum他)に記載されている。
いくつかの態様の場合、本発明中に記載されたフォトサーモグラフィ材料を、任意の好適なX線画像形成源を使用して画像形成することにより、潜像を提供することができる。好適な露光手段がよく知られており、これらの手段は、医療用、マンモグラフィ用、歯科用、及び工業用のX線ユニットを含む。
熱現像条件は、使用される構造に応じて変化することになるが、しかし、典型的には像様露光を施された材料を、好適に上昇させた温度で加熱することに関与することになる。従って潜像は、中程度に上昇させた温度、例えば50℃〜250℃(好ましくは80℃〜200℃、より好ましくは100℃〜200℃)の温度で十分な時間、一般には1〜120秒間にわたって露光済材料を加熱することにより、現像することができる。加熱は好適な加熱手段、例えば熱板、蒸気アイロン、熱ローラ又は加熱浴を使用して達成することができる。好ましい熱現像処置は、110℃〜135℃で3〜25秒間にわたって加熱することを含む。
いくつかの方法において、現像は2工程で行われる。熱現像が、より短時間でより高い温度で行われ(例えば150℃で最大10秒間)、続いて転移溶剤の存在においてより低い温度(例えば80℃)で熱拡散が行われる。
別の2工程現像法の場合、予加熱工程(例えば110℃で最大10秒間)、そしてその直後に最終現像工程(例えば125℃で最大20秒間)によって、熱現像を行うことができる。
フォトマスクとしての使用
本発明のフォトサーモグラフィ材料は、画像形成されていない領域において350〜450 nmの範囲で十分に透過性を有するので、紫外線又は短波長可視光に対して感光する画像形成性媒体を引き続き露光する方法においてこれらの材料を使用することが可能である。例えば、材料を画像形成し、続いて現像を行うことにより、可視像がもたらされる。熱現像済フォトサーモグラフィ材料は、可視像がある領域では、紫外線又は短波長可視光を吸収し、そして可視像がない領域では、紫外線又は短波長可視光を透過させる。熱現像済材料を次いでマスクとして使用し、画像形成用輻射線源(例えば紫外線又は短波長可視光エネルギー源)と、このような画像形成用輻射線に対して感光する画像形成性材料、例えばフォトポリマー、ジアゾ材料、フォトレジスト、又は感光性印刷版との間に配置することができる。画像形成性材料を、露光・熱現像済フォトサーモグラフィ材料に含まれる可視像を通して画像形成用輻射線に暴露することにより、画像形成性材料において画像が提供される。この方法は、画像形成性媒体が印刷版を含み、フォトサーモグラフィ材料がイメージセッティング・フィルムとして役立つ場合に特に有用である。
このように、可視像(通常は黒白画像)の形成法は:
(A) 本発明のフォトサーモグラフィ材料に、化学増感済ハロゲン化銀が感光する電磁線による像様露光を施すことにより、潜像を形成し、そして
(B) 同時に又は続いて、露光済材料を加熱することにより、潜像を現像して可視像にする
ことを含む。
フォトサーモグラフィ材料は、これが感光する任意の輻射線源:例えば紫外線、可視光、赤外線、又は当業者に容易に明らかな任意の他の赤外線源を使用して、工程(A)で露光することができる。
フォトサーモグラフィ材料から調製される可視像は、次いで、好適な画像形成用輻射線(例えばUV線)に対して感光する他の感光性画像形成性材料、例えばグラフィック・アート・フィルム、校正用フィルム、印刷版、及び回路基板フィルムの露光のためのマスクとして使用することもできる。このことは、熱現像済フォトサーモグラフィ材料を通して画像形成性材料(例えばフォトポリマー、ジアゾ材料、フォトレジスト、感光性印刷版)を画像形成することにより行うことができる。こうして、フォトサーモグラフィ材料が透明支持体を含むいくつかの他の態様において、画像形成法はさらに:
(C) 画像形成用輻射線源と、画像形成用輻射線に対して感光する画像形成性材料との間に、露光・熱現像済フォトサーモグラフィ材料を位置決めし、そして
(D) 画像形成性材料を、露光・熱現像済フォトサーモグラフィ材料に含まれる可視像を通して画像形成用輻射線に暴露することにより、画像形成性材料において画像を提供することを含む。
画像形成用集成体
本明細書中に記載されたフォトサーモグラフィ材料は、フォトサーモグラフィ材料の表側及び/又は裏側に隣接する1つ又は2つ以上の燐光増感スクリーンを含む画像形成用集成体においても有用である。このようなスクリーンは当業者によく知られている[例えば、米国特許第4,865,944号明細書(Roberts他)及び同第5,021,327号明細書(Bunch他)]。フォトサーモグラフィ材料、及び1つ又は2つ以上のスクリーンを好適なホルダー内に配列し、そしてこれらの搬送用途及び画像形成用途のために適切にパッケージングすることにより、集成体(カセットとしても知られる)を調製することができる。
使用中、X線を吸収するように、そしてフォトサーモグラフィ材料が増感させられている300 nmを上回る波長の電磁線を放射するように、燐光増感スクリーンをフォトサーモグラフィ材料の「表側」に位置決めすることができる。
ダブルコート型X線感光性フォトサーモグラフィ材料(すなわち、支持体の両側に1つ又は2つ以上の熱現像可能な画像形成層を有する材料)が好ましくは、2つの増感スクリーンと組み合わせて使用される。一方のスクリーンは材料の「表側」に、他方のスクリーンは材料の「裏側」に配置される。表側及び裏側の増感スクリーンは、所望の放射タイプ、所望の透光性、乳剤スピード及びクロスオーバー%に応じて、適切に選ぶことができる。所望の場合には、金属(例えば銅又は鉛)スクリーンを含むこともできる。
画像形成集成体又はカセット内のスクリーン及びフォトサーモグラフィ材料の他の配列は、当業者には容易に明らかである。工業用ラジオグラフィに有用な構造及び集成体は、例えば米国特許第4,480,024号明細書(Lyons他)、同第5,900,357号明細書(Feumi-Jantou他)及び欧州特許出願公開第1 350 883号明細書(Pesce他)を含む。
下記例は、本発明の実施を例示するために記載するものであって、本発明がこれにより限定されるものではない。
試験及び例のための材料及び方法
下記例に使用される全ての材料は、他に特定しない限りは標準的な商業的供給元、例えばAldrich Chemical Co. (Milwaukee WI)から容易に入手可能である。全てのパーセンテージは、特に示さない限りは重量で示す。下記の追加の用語及び材料を使用した。
ACRYLOID(商標)A-21は、Rohm and and Haas(Philadelphia, PA)から入手可能なアクリル系コポリマーである。
BUTVAR(商標)B-79は、Solutia, Inc.(St. Louis, MO)から入手可能なポリビニルブチラール樹脂である。
CAB 171-15Sは、Eastman Chemical Co. (Kingsport, TN)から入手可能なセルロースアセテートブチレート樹脂である。
DESMODUR(商標)N3300は、Bayer Chemicals (Pittburgh, PA)から入手可能な脂肪族ヘキサメチレンジイソシアネートである。
ジフェニルホスフィンスルフィド(DPPS)は、Organometallics, Inc (East Hampstead, NH)から入手した。
PERMANAX(商標)WSO(又はNONOX(商標))は、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン[CAS RN=7292-14-0]であり、St-Jean PhotoChemicals, Inc.(Quebec, Canada)から入手可能である。
PIOLOFORM(商標)BM-18及びPIOLOFORM(商標)BL-16は、Wacker Polymer Systems (Adrian, MI)から入手可能なポリビニルブチラール樹脂である。
MEKは、メチルエチルケトン(又は2-ブタノン)である。
「PHP」は臭化水素酸ピリジニウムペルブロミドである。
Fischer X-Ray機械は、Model 36600Gであり、Fischer Imaging Corporation (Denver, CO)から入手した。
X-Rite(商標)Model 301濃度計は、X-Rite Inc.(Grandville, MI)から入手した。
ビニルスルホン-1(VS-1)は米国特許第6,143,487号明細書に記載され、下記構造を有すると考えられる。
Figure 2007514200
カブリ防止剤-Aは、トリブロモメチルスルホニルピリジンである。これは下記構造を有すると考えられる
Figure 2007514200
エチル-2-シアノ-3-オキソブタノエート(カブリ防止剤-B)は、米国特許第5,686,228号明細書に記載され、下記構造を有すると考えられる:
Figure 2007514200
バックコート色素BC-1は、シクロブテンジイリウム、1,3-ビス[2,3-ジヒドロ-2,2-ビス[[1-オキソヘキシル)オキシ]メチル]-1H-ペリミジン-4-イル]-2,4-ジヒドロキシ-、ビス((分子内塩)である。これは、下記構造を有すると考えられる。
Figure 2007514200
化合物CN-08は、米国特許第5,545,515号明細書(Murray他)に記載され、下記構造を有すると考えられる。
Figure 2007514200
化合物S-1は、硫黄含有化学増感色素であり、下記構造を有すると考えられる。
Figure 2007514200
比較化合物C-1は、特開2002-250984号公報(Kimura)に記載され、下記構造を有すると考えられる。
Figure 2007514200
置換型ジフェニルホスフィンスルフィドの合成:
N,N-ジエチルカルバモイルメチル-ジフェニルホスフィンスルフィド(PS-1)。 ジフェニルホスフィンスルフィド(4.365 g, 0.02モル)とN,N-ジエチルクロロアセトアミド(4.189 g, 0.028モル)との塩化メチレン(80 ml)中の撹拌混合物を、氷水浴内で8-10℃まで冷却した。固形水酸化カリウムの小片(3.927 g, 0.07 mol)を、窒素雰囲気下で撹拌しながら添加した。30分後、水(25 ml)を添加し、そして有機層を分離し、より多くの水(25 ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。回転蒸発器を使用して減圧下で溶剤を除去し、油性残留物を酢酸エチル-ヘキサン混合物から結晶化することにより、3.5 g(53%)の大きな立方体を提供した。mp: 108-110℃。
フェニルカルボニルメチル-ジフェニルホスフィンスルフィド(PS-2)。
ジフェニルホスフィンスルフィド(0.218 g, 0.001モル)とクロロアセトフェノン(0.216 g, 0.0014モル)との塩化メチレン(4 ml)中の撹拌混合物を、氷水浴内で8-10℃まで冷却した。固形水酸化カリウムの小片(0.196 g, 0.0035 mol)を、窒素雰囲気下で撹拌しながら添加した。45分後、水(2 ml)を添加し、そして有機層を分離し、より多くの水(2 ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。回転蒸発器を使用して減圧下で溶剤を除去し、油性残留物を酢酸エチル-ヘキサン混合物から結晶化することにより、0.19 g(56.5%)の星形結晶を提供した。mp: 83-84℃。
(4'-フルオロプロピオフェノン)ジフェニルホスフィンスルフィド(PS-13)。
ジフェニルホスフィンスルフィド(1.09 g, 0.005モル)と2-クロロ-4'-フルオロプロピオフェノン(Matrix Scientific, Columbia, SC)(1.03 g, 0.0055 mol)との塩化メチレン(25 ml)中の撹拌混合物を、0℃まで冷却した。窒素ブランケット下で撹拌しながら、粉末状水酸化カリウム(0.98 g, 0.0175 mol)を一度に添加した。冷却剤を除去し、反応物を室温まで暖めておき、そして撹拌を続けた。混合物は30分後に曇った。撹拌を16時間にわたって続け、この時間中に反応物の色は橙になった。TLC(ヘキサン中)はジフェニルホスフィンスルフィドの完全な消失、及びただ1つの主生成物の形成を示した。反応混合物を水(2×25 ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。回転蒸発器を使用して減圧下で塩化メチレンを除去し、黄色の結晶性残留物を酢酸エチル-ヘキサン混合物から再結晶化し、続いて冷蔵することにより、0.97 g(53%)の生成物を提供した。m.p.: 134-135℃。
他の(PS)化合物を同様に調製した。化合物の全てをこれらのIR、1H-NMR、及びMSスペクトルから特徴付けした。
例1-フォトサーモグラフィ材料における使用
フォトサーモグラフィ配合物の調製を下記のように実施した:
予め形成された臭化銀、カルボン酸銀塩「石鹸」分散体を米国特許第6,413,710号(Shor他)に記載されているように調製した。平均粒子サイズは0.14 μmであった。
フォトサーモグラフィ乳剤配合物
米国特許第6,423,481号明細書(Simpson他)に記載された手順に従って、しかし、本発明の硫黄含有化合物を内蔵した状態で、下記材料及び量を用いて、化学増感されたフォトサーモグラフィ乳剤を調製した。材料を10〜60分間の間隔を置いて添加し、添加中の温度は50°F〜70°F(10℃〜21℃)であった。
23.9%固形分のこの銀石鹸分散体199.3 gに、下記のものを順番に添加した:
化学増感剤 表I*に示された量
臭化亜鉛 1.19 gのMeOH中0.169 g
PHP 1.58 gのMeOH中0.20g
Au-2 50 gのMeOH中0.0052gの溶液4.8 ml
クロロベンゾイル安息香酸 1.42 g
BUTVAR B-79 20 g
カブリ防止剤A: 24.2 gのMEK中2.14 g
DESMODUR(商標)N3300 1.5 gのMEK中0.63 g
フタラジン 5 gのMEK中1.0 g
テトラクロロフタル酸 2 gのMEK中0.35 g
4-メチルフタル酸 4 gのMEK中0.45 g
PERMANAX(商標)WSO 10.6 g
*PS化合物の1.53 × 10-4モル溶液を、8.64 gのMEK、メタノール、又はこれらの混合物中で調製した。溶剤の選択は溶解度によって決定した。
保護トップコート配合物
フォトサーモグラフィ乳剤層のための保護トップコートを下記のように調製した:
ACRYLOID(商標)A-21 0.58 g
CAB 171-15S 14.9 g
MEK 200 g
VS-1 0.3 g
ベンゾトリアゾール 1.6 g
カブリ防止剤A 0.24 g
カブリ防止剤B 0.12 g
フォトサーモグラフィ乳剤及びトップコート配合物を、安全光条件下でデュアルナイフ・コーティング機械を用いて、7ミル(178 μm)の青みがかったポリエチレンテレフタレート支持体上にコーティングした。この支持体は、CAB 171-15S樹脂バインダー中に色素BC-1を含有する裏側ハレーション防止層を備えた。試料を87℃で7分間にわたって乾燥させた。銀コーティング重量は約2.2〜2.3 g/m2であった。
連続トーン「楔」を提供するためにP-16フィルター及び0.7ニュートラル・デンシティ・フィルターの両方を備えたEG&G Flash感光度計を使用して、10-3秒間にわたる像様露光をフォトサーモグラフィ材料の試料に施した。露光に続いて、15秒間にわたって122.2℃〜122.8℃で、熱ロール処理装置を用いてフィルムを現像した。
ISO標準5-2及び5-3を満たすカスタムメイドのコンピューター走査用濃度計で、濃度を測定した。このような濃度測定値は、商業的に入手可能な濃度計から得られる測定値に匹敵すると考えられる。次いで、フォトサーモグラフィ材料の感度に適したフィルターを使用して、楔の濃度を測定することにより、対数露光に対する濃度(D log E曲線)のグラフを得た。
化合物PS-1、PS-2、PS-3、及びPS-4を用いて乳剤配合物を形成した。比較配合物も調製した。下記表Iに示したセンシトメトリックな結果は、本発明のPS化合物が金(III)化合物とともに調製されると、スピードが高められることを実証する。Dminのわずかな増大だけが見いだされた。
Figure 2007514200
例2-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例1において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gに、平均サイズ4.0 μmを有する18.2 gのYSrTaO4燐光体を添加した。材料を15分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。そして例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は79〜82 g/m2であった。
フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように、画像形成し、現像し、そして評価した。下記表IIに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が、燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、スピードが高められることを実証する。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。露光済試料を、例1に記載されたものと同様に現像した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表IIIに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、X線に対する感度が高められることを実証する。表IIIはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例3-燐光体含有高コントラスト・フォトサーモグラフィ材料における使用
フォトサーモグラフィ材料を、上記例2に記載されているように調製し、画像形成し、そして現像した。ただしここでは、メタノール7.4 g中に0.43 gの高コントラスト剤、化合物CN-08を溶解することにより調製された溶液0.4 mlを、フォトサーモグラフィ乳剤のそれぞれ25 gにさらに添加した。下記表IVに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が、燐光体含有高コントラスト・フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、スピードが高められることを実証する。
Figure 2007514200
センシトメトリックX線応答を、また、例2に記載されているように測定した。下記表Vに示された、X線露光後のセンシトメトリック応答は、高コントラスト剤CN-08を含有する金(III)増感済乳剤と組み合わせて、本発明の化学増感剤(PS)化合物を添加することにより、顕著なX線感度が得られたことを実証する。表Vはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例4〜7
例4〜7は、平均粒子サイズ0.20 μmのハロゲン化銀を有するフォトサーモグラフィ乳剤におけるPS化合物の使用を示す。
例4-フォトサーモグラフィ材料における使用
フォトサーモグラフィ配合物の調製を下記のように実施した:
予め形成された臭化銀、カルボン酸銀塩「石鹸」分散体を米国特許第6,413,710号(Shor他)に記載されているように調製した。平均粒子サイズは0.20 μmであった。
米国特許第6,423,481号明細書(Simpson他)に記載された手順に従って、しかし、本発明のPS化合物を内蔵した状態で、例1に記載した材料及び量を用いて、化学増感されたフォトサーモグラフィ乳剤を調製した。
化合物PS-1及びPS-4を用いて乳剤配合物を形成した。比較配合物も調製した。試料を、上記例1に記載されているようにコーティングし、乾燥させ、画像形成し、そして現像した。下記表VIに示したセンシトメトリックな結果は、本発明のPS化合物が金(III)化合物とともに調製されると、スピードが高められることを実証する。Dminのわずかな増大だけが見いだされた。
Figure 2007514200
例5-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例4において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gのアリコートに、平均サイズ4.0 μmを有する18.2 gのYSrTaO4燐光体を添加した。材料を5分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。比較配合物も調製した。例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は78〜82 g/m2であった。
フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように、画像形成し、現像し、そして評価した。下記表VIIに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が、燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、スピードが高められることを実証する。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。試料に露光を施した後、例1に記載されたものと同様に処理した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表VIIIに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、X線に対する感度が高められることを実証する。表VIIIはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例6-フォトサーモグラフィ材料における使用
化合物PS-1及びAu-2を内蔵するフォトサーモグラフィ材料と、米国特許第5,891,615号明細書(Winslow他)に記載された周知の硫黄増感剤である化合物S-1、及びAu-2を内蔵するフォトサーモグラフィ材料との比較を以下に示す。
フォトサーモグラフィ乳剤を、上記例1に記載されているように調製し、ただしここでは、16.72 gのMEK中の7.9 mlのPS-1溶液及び1.48 gのカブリ防止剤-Aをフォトサーモグラフィ乳剤配合物中に使用し、そしてトップコート配合物にはカブリ防止剤-Aを添加しなかった。
化合物PS-1の代わりに2.5 gのメタノール及び2.5 gのMEK中に0.02 gの化合物S-1を含有する溶液を添加することにより、化合物S-1を含有する試料を調製した。加えて、PHPの添加の後、ZnBr2を添加した。
試料を、例1に記載されているようにコーティングし、乾燥させ、画像形成し、そして現像した。銀コーティング重量は2.34〜2.39 g/m2であった。
下記表IXに示されたセンシトメトリックな結果は、両構造が同様のフォトスピードを有することを実証する。しかし、化合物PS-1が化合物S-1と2.5モル当量で存在するにもかかわらず、化合物PS-1を含有する試料は、化合物S-1を含有する試料よりも低いDmin及び高いコントラストを有した。
Figure 2007514200
次いでこれらの材料を周囲温度及び周囲湿度で熟成させ、12.7週間後にセンシトメトリーを再び測定した。下記表Xに示される12.7週間後のDmin、SP-2、AC-1及びAC-2の変化は、化合物PS-1を含有するフォトサーモグラフィ材料が、周知の化学増感剤S-1と比較して改善されたDmin熟成及びコントラスト熟成を示すことを実証する。
Figure 2007514200
例7-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例8において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gのアリコートに、平均サイズ0.4 μmを有する18.2 gのYSrTaO4燐光体を添加した。材料を15分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。比較配合物も調製した。例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は76〜81 g/m2であった。フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように画像形成し、現像し、そして評価した。
下記表XIに示したセンシトメトリックな結果は、両構造が同様のフォトスピードを有することを実証する。しかし、化合物PS-1が化合物S-1と2.5モル当量で存在するにもかかわらず、化合物PS-1を含有する試料は、化合物S-1を含有する試料よりも低いDmin及び高いコントラストを有した。
Figure 2007514200
次いでこれらの材料を周囲温度及び周囲湿度で熟成させ、12.7週間後にセンシトメトリーを再び測定した。下記表XIIに示される12.7週間後のDmin、SP-2、AC-1及びAC-2の変化は、化合物PS-1を含有するフォトサーモグラフィ材料が、周知の化学増感剤S-1と比較して改善されたDmin熟成及びコントラスト熟成を示すことを実証する。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。露光済試料を、例1に記載されたものと同様に処理した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表XIIIに示したセンシトメトリックな結果は、両試料がX線に対して感光したことを実証する。本発明のPS化合物を内蔵する試料の濃度は、S-1のような色素を内蔵する試料の濃度よりも高い。表XIIIはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例8
この例は、化合物Au-2との組み合わせで使用される周知の化学増感化合物C-1を内蔵するフォトサーモグラフィ材料と、化合物Au-2との組み合わせで使用される化合物PS-1を内蔵するフォトサーモグラフィ材料とを比較する。
フォトサーモグラフィ乳剤を、上記例1に記載されているように調製し、画像形成し、そして現像し、ただしここでは、MEK/MeOHの1:1混合物8.64 g中の1.53 × 10-4モルの化合物PS-1の溶液7.9 ml、及び10.00 gのMEK中1.77 gのカブリ防止剤Aをフォトサーモグラフィ乳剤配合物中に使用し、そしてトップコート配合物にはカブリ防止剤-Aを添加しなかった。比較のために、化合物PS-1の代わりに、MEK/MeOHの1:1混合物8.64 g中の1.53 × 10-4モルの化合物C-1の溶液7.9 mlを添加した。銀コーティング重量は、2.36〜2.38 g/m2であった。
下記表XIVに示されたセンシトメトリックな結果は、本発明のPS化合物が金(III)化合物とともに調製されると、C-1のような化合物が金(III)とともに調製された場合と比較してスピードが高められることを実証する。
Figure 2007514200
例9-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例1において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gに、平均サイズ6.5 μmを有する18.2 gのBaFBr:Eu燐光体を添加した。材料を15分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は80 g/m2であった。
フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように、画像形成し、現像し、そして評価した。下記表XVに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が、BaFBr:Eu燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、スピードが高められることを実証する。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。露光済試料を、例1に記載されたものと同様に現像した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表XVIに示したセンシトメトリックな結果は、本発明の(PS)化合物が燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、X線に対する感度が高められることを実証する。表XVIはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例10-フォトサーモグラフィ材料における使用
化合物PS-1及びAu-2を内蔵するフォトサーモグラフィ材料と、米国特許第5,891,615号明細書(Winslow他)に記載された周知の硫黄増感剤である化合物S-1、及びAu-2を内蔵するフォトサーモグラフィ材料との比較を以下に示す。
フォトサーモグラフィ乳剤を、上記例1に記載されているように調製し、ただしここでは、7.9 mlのPS-1溶液、12 gのPIOLOFORM(商標)BM-18及び8 gのPIOLOFORM(商標)BL-16を20gのBUTVAR(商標)B-79の代わりに使用し、そして16.72 gのMEK中の1.48 gのカブリ防止剤-Aをフォトサーモグラフィ乳剤配合物中に使用し、そしてトップコート配合物にはカブリ防止剤-Aを添加しなかった。
化合物PS-1の代わりに2.5 gのメタノール及び2.5 gのMEK中に0.02 gの化合物S-1を含有する溶液を添加することにより、化合物S-1を含有する試料を調製した。
試料を、例1に記載されているようにコーティングし、乾燥させ、画像形成し、そして現像した。銀コーティング重量は2.28〜2.30 g/m2であった。
下記表XVIIに示されたセンシトメトリックな結果は、両構造が同様のフォトスピードを有することを実証する。しかし、化合物PS-1が化合物S-1と2.5モル当量で存在するにもかかわらず、化合物PS-1を含有する試料は、化合物S-1を含有する試料よりも低いDminを有した。
Figure 2007514200
次いでこれらの材料を周囲温度及び周囲湿度で熟成させ、12.7週間後にセンシトメトリーを再び測定した。下記表XVIIIに示される12.7週間後のDmin、SP-2、AC-1及びAC-2の変化は、化合物PS-1を含有するフォトサーモグラフィ材料が、周知の化学増感剤S-1と比較して改善されたDmin熟成及びコントラスト熟成を示すことを実証する。
Figure 2007514200
例11-フォトサーモグラフィ材料における使用
化合物PS-1及びAu-2を内蔵するフォトサーモグラフィ材料と、米国特許第5,891,615号明細書(Winslow他)に記載された周知の硫黄増感剤である化合物S-1、及びAu-2を内蔵するフォトサーモグラフィ材料との比較を以下に示す。
フォトサーモグラフィ乳剤を、上記例1に記載されているように調製し、ただしここでは、7.9 mlのPS-1溶液をフォトサーモグラフィ乳剤配合物に添加し、12 gのPIOLOFORM(商標)BM-18及び8 gのPIOLOFORM(商標)BL-16をBUTVAR(商標)B-79の代わりに使用し、そしてトップコート配合物にはカブリ防止剤-Aを添加しなかった。
化合物PS-1の代わりに2.5 gのメタノール及び2.5 gのMEK中に0.02 gの化合物S-1を含有する溶液を添加することにより、化合物S-1を含有する試料を調製した。
試料を、例1に記載されているようにコーティングし、乾燥させ、画像形成し、そして現像した。銀コーティング重量は2.25〜2.29 g/m2であった。
下記表XIXに示されたセンシトメトリックな結果は、両構造が同様のフォトスピードを有することを実証する。しかし、化合物PS-1が化合物S-1と2.5モル当量で存在するにもかかわらず、化合物PS-1を含有する試料は、化合物S-1を含有する試料よりも低いDmin及び高いコントラストを有した。
Figure 2007514200
次いでこれらの材料を周囲温度及び周囲湿度で熟成させ、12.7週間後にセンシトメトリーを再び測定した。下記表XXに示される12.7週間後のDmin、SP-2、AC-1及びAC-2の変化は、化合物PS-1を含有するフォトサーモグラフィ材料が、周知の化学増感剤S-1と比較して改善されたDmin熟成及びコントラスト熟成を示すことを実証する。
Figure 2007514200
例12-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例11において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gのアリコートに、平均サイズ4.0 μmを有する18.2 gのYSrTaO4燐光体を添加した。材料を15分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。比較配合物も調製した。例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は81 g/m2であった。フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように画像形成し、現像し、そして評価した。
下記表XXIに示したセンシトメトリックな結果は、両構造が同様のフォトスピードを有することを実証する。しかし、化合物PS-1が化合物S-1と2.5モル当量で存在するにもかかわらず、化合物PS-1を含有する試料は、化合物S-1を含有する試料よりも低いDmin及び高いコントラストを有した。
Figure 2007514200
次いでこれらの材料を周囲温度及び周囲湿度で熟成させ、12.7週間後にセンシトメトリーを再び測定した。下記表XXIIに示される12.7週間後のDmin、SP-2、AC-1及びAC-2の変化は、化合物PS-1を含有するフォトサーモグラフィ材料が、周知の化学増感剤S-1と比較して改善されたDmin熟成及びコントラスト熟成を示すことを実証する。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。露光済試料を、例1に記載されたものと同様に処理した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表XXIIIに示したセンシトメトリックな結果は、両試料がX線に対して感光したことを実証する。本発明のPS化合物を内蔵する試料の濃度は、S-1のような色素を内蔵する試料の濃度よりも高い。表XXIIIはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例13-フォトサーモグラフィ材料における使用
フォトサーモグラフィ配合物の調製を下記のように実施した:
予め形成された臭化銀、カルボン酸銀塩「石鹸」を米国特許第6,413,710号(Shor他)に記載されているように調製した。平均粒子サイズは0.15 μmであった。
フォトサーモグラフィ乳剤配合物
米国特許第6,423,481号明細書(Simpson他)に記載された手順に従って、しかし、本発明の硫黄含有化合物を内蔵した状態で、下記材料及び量を用いて、化学増感されたフォトサーモグラフィ乳剤を調製した。材料を10〜60分間の間隔を置いて添加し、添加中の温度は50°F〜70°F(10℃〜21℃)であった。
28.4%固形分のこの銀石鹸分散体163.0 gに、下記のものを順番に添加した:
化学増感剤 8.64 gのMeOH中の1.53 × 10-4モル溶液8.1 ml
PHP 1.58 gのMeOH中0.20g
Au-2 50 gのMeOH中0.0052gの溶液4.8 ml
クロロベンゾイル安息香酸 1.42 g
BUTVAR B-79 20 g
カブリ防止剤A: 19.4 gのMEK中1.71g
DESMODUR(商標)N3300 1.5 gのMEK中0.63 g
フタラジン 5 gのMEK中1.0 g
テトラクロロフタル酸 2 gのMEK中0.35 g
4-メチルフタル酸 4 gのMEK中0.45 g
PERMANAX(商標)WSO 10.6 g
ZnBr2の溶液を添加した(1.19 gのMEOH中0.169 g)時を、下記表XXIVに示す。
保護トップコート配合物
フォトサーモグラフィ乳剤層のための保護トップコートを下記のように調製した:
ACRYLOID(商標)A-21 0.58 g
CAB 171-15S 14.9 g
MEK 200 g
VS-1 0.3 g
ベンゾトリアゾール 1.6 g
カブリ防止剤A 0.24 g
カブリ防止剤B 0.12 g
フォトサーモグラフィ配合物を、例1に記載されているようにコーティングし、乾燥させ、画像形成し、そして現像した。
乳剤配合物を化合物PS-1を用いて形成した。下記表XXIVにも示したセンシトメトリックな結果は、PS-1化合物の添加前又は添加後に、又はPHP酸化化合物の後にZnBr2を添加することによって、Dmin、スピード及びコントラストに対して効果を与えることを実証する。PHPの前又は化合物PS-1の後にZnBr2を添加すると、より高いコントラストが得られる。最速スピードは、PS-1化合物の前にZnBr2を添加するときに観察される。
Figure 2007514200
例14-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例13において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gに、平均サイズ4.0 μmを有する18.2 gのYSrTaO4燐光体を添加した。材料を5分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は76〜77 g/m2であった。
フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように画像形成し、現像し、そして評価した。下記表XXVに示したセンシトメトリックな結果は、PS化合物(PS-1)の前又は後に、又はPHP酸化化合物(PHP)の後にZnBr2を添加することによって、Dmin、スピード及びコントラストに対して効果を与えることを実証する。酸化化合物(PHP)の前であるがしかしPS化合物(PS-1)の後にZnBr2を添加すると、より高いコントラストが得られる。最速スピードは、PS化合物の前にZnBr2を添加することによって観察される。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。露光済試料を、例1に記載されたものと同様に処理した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表XXVIに示したセンシトメトリックな結果は、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物が燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で金(III)化合物とともに調製されると、X線に対する感度が高められることを実証する。PS化合物(PS-1)の前にZnBr2を添加することにより、X線に対する最高感度が観察された。表XXVIはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200
例15-フォトサーモグラフィ材料における使用
フォトサーモグラフィ乳剤及び保護トップコート配合物を、上記例13に記載されたように調製した。乳剤配合物を化合物PS-1を用いて形成した。フォトサーモグラフィ配合物の調製においてZnBr2の溶液を添加する時を、下記表XXVIIに示す。溶液は1.19 gのMeOH中0.169 gの溶液として、又は0.595 gのMeOH中0.0845 gから成る2回の添加分として添加された。
フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように、コーティングし、乾燥させ、画像形成し、現像し、そして評価した。
下記表XXVIIに示したセンシトメトリックな結果は、PS-1化合物の前に、又は前及び後に分割してZnBr2を添加することによる、Dmin、スピード及びコントラストに与える効果を実証する。化合物PS-1の前及び後に分割してZnBr2を添加することによって、より高いスピードを観察される。
Figure 2007514200
例16-燐光体含有フォトサーモグラフィ材料における使用
上記例15において調製されたフォトサーモグラフィ乳剤配合物のそれぞれ25 gに、平均サイズ4.0 μmを有する18.2 gのYSrTaO4燐光体を添加した。材料を5分間にわたって混合することにより、最終フォトサーモグラフィ・コーティング配合物を調製した。例1に記載されているように、フォトサーモグラフィ材料をコーティングし、乾燥させた。近似燐光体コーティング重量は77〜78 g/m2であった。
フォトサーモグラフィ材料を、上記例1に記載されているように画像形成し、現像し、そして評価した。下記表XXVIIIに示したセンシトメトリックな結果は、PS-1化合物の前に、又は前及び後に分割してZnBr2を添加することによる、Dmin、スピード及びコントラストに与える効果を実証する。PHPの前であるがしかし化合物PS-1の後にZnBr2を添加することにより、より高いコントラストが得られる。最速スピードは、PS-1の前及び後に分割してZnBr2を添加することによって観察される。
Figure 2007514200
これらのフォトサーモグラフィ材料のX線センシトメトリック応答を、Fischer X線ユニットを使用して試料を露光することにより測定した。Fischer X線ユニットは200 mA及び76 KeVで動作し、そして3.0 mmのアルミニウム・シートでフィルタリングされた。X線源から85.5 cmの位置にセットされたテーブル上に、試料を置いた。一定の強度を有する一連のX線露光、及び0.1秒〜1.5秒の露光時間を形成した。露光済試料を、例1に記載されたものと同様に処理した。
これらの試料の濃度を、A状態フィルターを使用したX-Rite(商標)310濃度計によって測定し、そして可視フィルターで測定した。下記表XXIXに示したセンシトメトリックな結果は、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物が燐光体含有フォトサーモグラフィ材料中で調製されると、X線に対する感度が高められることを実証する。PS-1化合物の前及び後に分割してZnBr2を添加することにより、X線に対する最高感度が観察された。表XXIXはまた、材料が現像済濃度とDminとの間に良好な区別を有したことを示す。加えて、D log E曲線は、低いDmin、並びに良好なスピード及びコントラストを示した。
Figure 2007514200

Claims (49)

  1. 支持体を含み、そして該支持体の少なくとも一方の側に、バインダー、並びに反応するように組み合わさる、
    a. 感光性ハロゲン化銀粒子、
    b. 非感光性の被還元性銀イオン源、及び
    c. 前記被還元性銀イオンのための還元性組成物
    を含む1つ又は2つ以上の画像形成層を有するフォトサーモグラフィ材料であって、
    前記感光性ハロゲン化銀粒子が、
    1)下記構造GOLD:
    Au(III)L'rYq
    (GOLD)
    (上記式中、L'は同じ又は異なる配位子を表し、各配位子は金との結合を形成することができる1つ以上のヘテロ原子を含み、Yはアニオンであり、rは1〜8の整数であり、そしてqは0〜3の整数である)
    によって表される金(III)含有化合物、及び
    2)下記構造PS:
    Figure 2007514200
    (上記式中、Ph1及びPh2は同じ又は異なるフェニル基であり、R1及びR2は独立して水素又はアルキル又はフェニル基であり、Lは直接的な結合又は結合基であり、mは1又は2であり、mが1である場合にはR3は一価基であり、そしてmが2である場合にはR3は、鎖内の炭素、窒素、酸素又は硫黄の原子数が1〜20の二価脂肪族結合基である)
    によって表されるジフェニルホスフィンスルフィドである硫黄含有化合物
    から本質的に成る化学増感剤の組み合わせで化学増感されており、そして
    化学増感に使用される前記金(III)含有化合物と前記硫黄含有化合物とのモル比が、すくなくとも1:1である、
    フォトサーモグラフィ材料。
  2. 該1つ又は2つ以上の画像形成層が、X線に対して感光する燐光体をさらに含み、該燐光体が、総銀量1モル当たり0.1モル以上の量で存在し、そして該フォトサーモグラフィ材料中に存在する総銀量が0.002モル/m2以上である、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  3. 該ハロゲン化銀が、総銀量1モル当たりの量の金(III)含有化合物で化学増感され、そして総銀量1モル当たり10-6〜10-1モルの量の硫黄含有化合物で化学増感される、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  4. L'が、1つ以上の酸素、窒素、硫黄又は燐原子を含む同じ又は異なる配位子を表す、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  5. L'が、ピリジン、ビピリジン、ターピリジン、P(フェニル)3、カルボン酸塩、イミン、フェノール、メルカプトフェノール、イミダゾール、トリアゾール、及びジチオオキサミドであり、Yはハロゲン化物であり、rは1〜3の整数であり、そしてqは3である、請求項4に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  6. 該金(III)含有化合物が、化合物Au-1〜Au-14:
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    のうちの1つ又は2つ以上である、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  7. R1及びR2が両方とも水素であるか、又はこれらのうちの一方がメチルであり、Lが直接的な結合又はスルホニル又はカルボニル結合基であり、mが1であり、そしてR3がアルキル、アリール、又はジアルキルアミノ基である、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  8. 該硫黄含有化合物が、下記ジフェニルホスフィンスルフィド化合物PS-1〜PS-19:
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    のうちの1つ又は2つ以上である、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  9. 該感光性ハロゲン化銀が、酸化性環境内で該ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの硫黄含有化合物を分解することによって化学増感されている、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  10. 該バインダーが疎水性バインダー又は高分子ラテックス・バインダーであり、該非感光性の被還元性銀イオン源が、炭素原子数10〜30の脂肪酸の銀塩、又は該銀塩の混合物であり、該銀塩の1つ以上がベヘン酸銀である、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  11. 該感光性ハロゲン化銀が、金含有化合物の混合物で化学増感され、該混合物の50モル%以上が、構造GOLDによって表される金(III)含有化合物である、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  12. 該感光性ハロゲン化銀が、構造GOLD化合物以外の第2の硫黄含有化合物、テルリウム含有化合物、セレン含有化合物、又はこれらの化合物のいずれかの混合物でさらに化学増感される、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  13. 該画像形成層のうちの1つ又は2つ以上に、タングステン酸カルシウム(CaWO4)、活性化型又は不活性化型スズ酸リチウム、ニオビウム及び/もしくは希土類活性化型又は不活性化型タンタル酸イットリウム、タンタル酸ルテチウム、又はタンタル酸ガドリニウム、希土類活性化型もしくは不活性化型中央カルコゲン燐光体、又はテルビウム活性化型もしくは不活性化型ランタン及びルテチウム中央カルコゲン燐光体である燐光体をさらに含む、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  14. 下記式(1):
    M'(w-n)M''nOwX'' (1)
    (上式中、M'は、金属イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はルテチウム(Lu)のうちの1種以上であり、M''は、希土類金属ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユウロピウム(Eu)、ホルミウム(Ho)、ネオジミウム(Nd)、プラセオジミウム(Pr)、サマリウム(Sm)、タンタルム(Ta)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、又はイッテルビウム(Yb) のうちの1種以上であり、X''が、中央カルコゲン(S, Se又はTe)、又はハロゲンであり、nは0.002〜0.2であり、そしてX''がハロゲンであるときにはwは1であり、或いはX''が中央カルコゲンであるときにはwは2である)
    によって表される希土類オキシカルコゲニド及びハロゲン化物の燐光体である燐光体をさらに含む、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  15. 随意選択の酸化物、及び下記式(2):
    MFX1-zIzuMaXa:yA:eQ:tD (2)
    (「M」はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、又はバリウム(Ba)であり、「F」はフッ化物であり、「X」は塩化物(Cl)又は臭化物(Br)であり、「I」はヨウ化物であり、Maはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、又はセシウム(Cs)であり、Xaはフッ化物(F)、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I)であり、「A」はユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、又はテルビウム(Tb)であり、「Q」はBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5、又はThO2であり、「D」はバナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、又はニッケル(Ni)であり、「z」は0〜1であり、「u」は0〜1であり、「y」は1 x 10-4〜0.1であり、「e」は0〜1であり、そして「t」は0〜0.01である)
    によって特徴付けられる種の組み合わせを含む出発原料の焼成物である燐光体をさらに含む、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  16. 下記式(3):
    (Ba1-a-b-cMgaCabSrc)FX1-zIzrMaXa:yA (3)
    (「M」はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、又はバリウム(Ba)であり、「F」はフッ化物であり、「X」は塩化物(Cl)又は臭化物(Br)であり、「I」はヨウ化物であり、Maはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、又はセシウム(Cs)であり、Xaはフッ化物(F)、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I)であり、「A」はユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、又はテルビウム(Tb)であり、「z」は0〜1であり、「y」は1 × 10-4〜0.1であり、a, b及びcの和は0〜4であり、そして「r」は10-6〜0.1である)
    によって特徴付けられる二価アルカリ土類金属フルオロハロゲン化物燐光体である燐光体をさらに含む、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  17. 燐光体をさらに含み、そして該感光性ハロゲン化銀と燐光体とが同じ画像形成層内にある、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  18. 該支持体の両側に同じ又は異なる画像形成層を含む、請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  19. 支持体を含み、該支持体の少なくとも一方の側に、乾燥コーティング重量5〜200 g/m2のフォトサーモグラフィ画像形成層と、表面保護層とを有するX線感光性フォトサーモグラフィ材料であって、
    該画像形成層が、疎水性バインダー、並びに反応するように組み合わさる、
    a. 感光性の臭化銀もしくはヨード臭化銀、又はその両方、
    b. ベヘン酸銀を含む非感光性の被還元性銀イオン源、
    c. ヒンダード・フェノール又はアスコルビン酸を含む、該被還元性銀イオン源のための還元性組成物、及び
    d. X線に対して感光し、そして0.002モル/m2以上で該材料中に存在する総銀量の1モル当たり0.5〜20モル以上の量で存在する燐光体
    を含み、
    該燐光体が、YTaO4、YTaO4:Nb、Y(Sr)TaO4、及びY(Sr)TaO4:Nbのうちの1つ又は2つ以上であり、
    該臭化銀又は該ヨード臭化銀の粒子が、
    1)下記金(III)含有化合物Au-1〜Au-14:
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    のうちの1つ又は2つ以上と、
    2)下記ジフェニルホスフィンスルフィド化合物PS-1〜PS-19:
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    Figure 2007514200
    のうちの1つ又は2つ以上と
    から本質的に成る化学増感剤の組み合わせで化学増感されており、
    化学増感に使用される該金(III)含有化合物と該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物とのモル比が、1:1〜1:1,000である、
    X線感光性フォトサーモグラフィ材料。
  20. 該同じ又は異なる画像形成層が、該支持体の両側に配置されており、保護層が、各画像形成層の上に配置されている、請求項19に記載のフォトサーモグラフィ材料。
  21. (A) 請求項1に記載のフォトサーモグラフィ材料に電磁線による像様露光を施すことにより、潜像を形成すること、及び
    (B) 同時に又は続いて、該露光済フォトサーモグラフィ材料を加熱することにより、該潜像を現像して可視像にすること
    を含んで成る、可視像形成方法。
  22. 該フォトサーモグラフィ材料支持体が透明であり、そして該方法が:
    (C) 画像形成用輻射線源と、画像形成用輻射線に対して感光する画像形成性材料との間に、可視像を有する露光・熱現像済フォトサーモグラフィ材料を位置決めすること、及び
    (D) その後、該画像形成性材料を、該露光・熱現像済のフォトサーモグラフィ材料に含まれる該可視像を通して画像形成用輻射線に暴露することにより、該画像形成性材料において可視像を提供すること
    をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 該フォトサーモグラフィ材料がX線感光性であり、そしてX線に暴露されることにより該潜像を形成する、請求項21に記載の方法。
  24. (A) 予め形成された感光性ハロゲン化銀粒子及び非感光性の被還元性銀イオン源の分散体を用意すること、
    (B) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物である1種又は2種以上の硫黄含有化合物を用意すること、
    該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物は、下記構造PS:
    Figure 2007514200
    (上記式中、Ph1及びPh2は同じ又は異なるフェニル基であり、R1及びR2は独立して水素又はアルキル又はフェニル基であり、Lは直接的な結合又は結合基であり、mは1又は2であり、mが1である場合にはR3は一価基であり、そしてmが2である場合にはR3は、鎖内の炭素、窒素、酸素及び硫黄の原子数が1〜20の二価脂肪族結合基である)
    によって表される、
    (C) 酸化性環境内で該ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物を分解することによって、該予め形成されたハロゲン化銀粒子を化学増感することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、及び
    (D) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる金(III)含有化合物を用意することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる金(III)硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供する
    ことを含んで成り、
    該金(III)含有化合物が、下記構造GOLD:
    Au(III)L'rYq
    (GOLD)
    (上記式中、L'は同じ又は異なる配位子を表し、各配位子は金との結合を形成することができる1つ以上のヘテロ原子を含み、Yはアニオンであり、rは1〜8の整数であり、そしてqは0〜3の整数である)
    によって表され、
    該化学増感に使用される該金(III)含有化合物と該硫黄含有化合物とのモル比が、すくなくとも1:1である、
    フォトサーモグラフィ乳剤の製造方法。
  25. 該硫黄含有化合物と該金(III)含有化合物とのモル比が、5,000:1〜1:1であり、該感光性ハロゲン化銀粒子が、総銀量1モル当たり10-6〜10-1モルの量の硫黄含有化合物で化学増感され、そして総銀量1モル当たり10-8〜10-2モルの量の金(III)含有化合物で化学増感される、請求項24に記載の方法。
  26. 該工程が、工程(A)、工程(B)、工程(C)、そして工程(D)の順序で行われる、請求項24に記載の方法。
  27. 工程(B)及び工程(D)が同時にに行われ、そして工程(C)の前である、請求項24に記載の方法。
  28. 該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物が、酸化性環境内で分解される、請求項24に記載の方法。
  29. 該酸化剤が、一対の臭素原子と組み合わさるN-複素環式化合物の臭化水素酸塩である、請求項28に記載の方法。
  30. 工程(C)が、最大60分間にわたって10℃〜30℃の温度で行われる、請求項24に記載の方法。
  31. 工程(C)の後、分光増感色素を添加することにより、該感光性ハロゲン化銀粒子を400 nm〜1100 nmに対して分光増感することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  32. 該フォトサーモグラフィ乳剤に還元剤組成物を添加することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  33. (E) 該非感光性の被還元性銀イオン源中の被還元性銀イオンのいくらかを、感光性ハロゲン化銀に変換することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  34. 該非感光性の被還元性銀イオン源中の被還元性銀イオンのいくらかを、感光性ハロゲン化銀粒子に変換することが、無機ハロゲン化物又は有機ハロゲン含有化合物の1回又は2回以上の添加により行われる、請求項33に記載の方法。
  35. 該無機ハロゲン化物が、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、及びヨウ化亜鉛から成る群から選択される、請求項34に記載の方法。
  36. 該工程が、工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)、そして工程(E)の順序で行われる、請求項33に記載の方法。
  37. 該工程が、工程(A)、工程(B)、工程(D)、そして工程(C)の順序で行われる、請求項24に記載の方法。
  38. 該フォトサーモグラフィ乳剤に1種又は2種以上の燐光体を添加することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  39. (A) 予め形成された感光性ハロゲン化銀粒子及び非感光性の被還元性銀イオン源の分散体を用意すること、
    (B) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる、ジフェニルホスフィンスルフィド化合物である硫黄含有化合物を用意すること、
    該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物は、下記構造PS:
    Figure 2007514200
    (上記式中、Ph1及びPh2は同じ又は異なるフェニル基であり、R1及びR2は独立して水素又はアルキル又はフェニル基であり、Lは直接的な結合又は結合基であり、mは1又は2であり、mが1である場合にはR3は一価基であり、そしてmが2である場合にはR3は、鎖内の炭素、窒素、酸素及び硫黄の原子数が1〜20の二価脂肪族結合基である)
    によって表される、
    (C) 酸化性環境内で該ハロゲン化銀の粒子上又は粒子の周りの該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物を分解することによって、該予め形成されたハロゲン化銀粒子を化学増感することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、そして
    (D) 該予め形成されたハロゲン化銀粒子及び該非感光性の被還元性銀イオン源と組み合わさる金(III)含有化合物を用意することにより、非感光性の被還元性銀イオン源と反応するように組み合わさる金(III)硫黄化学増感された感光性ハロゲン化銀粒子を提供すること、
    該金(III)含有化合物は、下記構造GOLD:
    Au(III)L'rYq
    (GOLD)
    (上記式中、L'は同じ又は異なる配位子を表し、各配位子は金との結合を形成することができる1つ以上のヘテロ原子を含み、Yはアニオンであり、rは1〜8の整数であり、そしてqは0〜3の整数である)
    によって表される、そして、
    (E') 工程(B)から(D)までのいずれかと同時に、又は工程(D)に続いて、バインダーを添加してエマルジョン配合物を形成すること、そして
    (F) 工程(E')後、該乳剤配合物を支持体上にコーティングしてこれを乾燥させることにより、フォトサーモグラフィ画像形成材料を提供すること
    を含んで成るフォトサーモグラフィ材料の製造方法。
  40. 該工程が、工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)、工程(E')、そして工程(F)の順序で行われる、請求項39に記載の方法。
  41. 工程(B)及び(D)が同時に行われる、請求項39に記載の方法。
  42. 該ジフェニルホスフィンスルフィド化合物が、一対の臭素原子と組み合わさるN-複素環式化合物の臭化水素酸塩の存在によって分解される、請求項39に記載の方法。
  43. 工程(C)の後、分光増感色素を添加することにより、該感光性ハロゲン化銀粒子を400 nm〜1100 nmに対して分光増感することをさらに含む、請求項39に記載の方法。
  44. 該フォトサーモグラフィ乳剤に還元剤組成物を添加すること、及び
    (E) 無機又は有機ハロゲン化物の添加によって、該非感光性の被還元性銀イオン源中の被還元性銀イオンのいくらかを、感光性ハロゲン化銀粒子に変換すること
    をさらに含む、請求項39に記載の方法。
  45. 該無機ハロゲン化物が、臭化リチウム、臭化カルシウム、及び臭化亜鉛から成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 該工程が、工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)、工程(E)、工程(E')、そして工程(F)の順序で行われる、請求項44に記載の方法。
  47. 該工程が、工程(A)、工程(B)、工程(D)、工程(C)、工程(E')、そして工程(F)の順序で行われる、請求項39に記載の方法。
  48. 該工程が、工程(A)、工程(D)、工程(B)、工程(C)、工程(E)、そして工程(F)の順序で行われる、請求項39に記載の方法。
  49. 該フォトサーモグラフィ乳剤に1種又は2種以上の燐光体を添加することをさらに含む、請求項39に記載の方法。
JP2006543863A 2003-12-09 2004-11-30 増感されたハロゲン化銀を含有するフォトサーモグラフィ材料 Withdrawn JP2007514200A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10/731,251 US7026105B2 (en) 2003-12-09 2003-12-09 Photothermographic materials containing silver halide sensitized with combination of compounds
PCT/US2004/039920 WO2005062122A1 (en) 2003-12-09 2004-11-30 Photothermographic materials containing sensitized silver halide

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007514200A true JP2007514200A (ja) 2007-05-31
JP2007514200A5 JP2007514200A5 (ja) 2007-12-20

Family

ID=34634314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006543863A Withdrawn JP2007514200A (ja) 2003-12-09 2004-11-30 増感されたハロゲン化銀を含有するフォトサーモグラフィ材料

Country Status (4)

Country Link
US (2) US7026105B2 (ja)
EP (1) EP1692569A1 (ja)
JP (1) JP2007514200A (ja)
WO (1) WO2005062122A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7524621B2 (en) * 2007-09-21 2009-04-28 Carestream Health, Inc. Method of preparing silver carboxylate soaps
US7622247B2 (en) * 2008-01-14 2009-11-24 Carestream Health, Inc. Protective overcoats for thermally developable materials
WO2017123444A1 (en) 2016-01-15 2017-07-20 Carestream Health, Inc. Method of preparing silver carboxylate soaps

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2247893A1 (de) * 1972-09-29 1974-04-11 Agfa Gevaert Ag Supersensibilisiertes photographisches material
JPH0816772B2 (ja) * 1984-06-13 1996-02-21 富士写真フイルム株式会社 熱現像感光材料
US5220030A (en) * 1990-11-16 1993-06-15 Eastman Kodak Company Photographic silver halide material comprising gold compound
IT1251499B (it) * 1991-09-18 1995-05-15 Minnesota Mining & Mfg Elementi fotografici sviluppabili termicamente
GB9423266D0 (en) 1994-11-18 1995-01-11 Minnesota Mining & Mfg Chemical sensitisation of silver halide emulsions
US5891615A (en) * 1997-04-08 1999-04-06 Imation Corp. Chemical sensitization of photothermographic silver halide emulsions
US5858637A (en) * 1997-06-27 1999-01-12 Eastman Kodak Company Process of preparing a photothermographic composition of enhanced photosensitivity
JP2001249428A (ja) * 2000-03-02 2001-09-14 Konica Corp 熱現像感光材料、画像記録方法及び画像形成法
EP1150161A3 (en) 2000-04-25 2004-09-08 Konica Corporation Photothermographic material and image forming method
JP2002023301A (ja) 2000-07-12 2002-01-23 Konica Corp 感光性乳剤、熱現像感光材料、それを用いる画像記録方法及び画像形成方法
JP2002122958A (ja) 2000-10-13 2002-04-26 Konica Corp 熱現像感光材料、画像記録方法及び画像形成方法
JP2002131864A (ja) 2000-10-25 2002-05-09 Konica Corp 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、画像記録方法、画像形成方法
US6423481B1 (en) * 2001-01-23 2002-07-23 Eastman Kodak Company High speed photothermographic materials with combined chemical sensitizers and methods of using same
US6413710B1 (en) * 2001-04-12 2002-07-02 Eastman Kodak Company Methods for making photothermographic emulsions and imaging materials
US6440649B1 (en) * 2001-05-30 2002-08-27 Eastman Kodak Company X-radiation photothermographic materials and methods of using same
US6573033B1 (en) * 2002-07-11 2003-06-03 Eastman Kodak Company X-radiation sensitive aqueous-based photothermographic materials and methods of using same
US7087366B2 (en) * 2003-12-09 2006-08-08 Eastman Kodak Company Method for chemical sensitization of silver halide for photothermographic use
US7063941B2 (en) * 2003-12-09 2006-06-20 Eastman Kodak Company Method for chemical sensitization of silver halide for photothermographic use

Also Published As

Publication number Publication date
US20050123870A1 (en) 2005-06-09
US7026105B2 (en) 2006-04-11
EP1692569A1 (en) 2006-08-23
US7157219B2 (en) 2007-01-02
WO2005062122A1 (en) 2005-07-07
US20060078833A1 (en) 2006-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6440649B1 (en) X-radiation photothermographic materials and methods of using same
US6964842B2 (en) Black-and-white aqueous photothermographic materials
EP1291713A2 (en) Thermally developable imaging materials containing hydroxy-containing polymeric barrier layer
JP2004519712A (ja) テルル化合物含有高感度フォトサーモグラフィ材料及びその使用方法
US6599685B1 (en) Thermally developable imaging materials having improved shelf stability and stabilizing compositions
US6841343B2 (en) Black-and-white organic solvent-based photothermographic materials containing mercaptotriazole toners
US6605418B1 (en) Thermally developable emulsions and materials containing phthalazine compounds
US7157219B2 (en) Photothermographic materials containing silver halide sensitized with combination of compounds
US6746831B1 (en) Thermally developable imaging materials with barrier layer containing a cellulose ether polymer
US20040023164A1 (en) Novel silver compounds and compositions, thermally developable materials containing same, and methods of preparation
US6991894B2 (en) Thermally developable imaging materials with barrier layer
US7063941B2 (en) Method for chemical sensitization of silver halide for photothermographic use
US7087366B2 (en) Method for chemical sensitization of silver halide for photothermographic use
US6703191B1 (en) Thermally developable emulsions and materials containing tirazine-thione compounds
US7029834B2 (en) Thermally developable imaging materials having backside stabilizers
US20040259044A1 (en) Photothermographic materials with improved image tone
US6645706B1 (en) Thermally developable materials with improved speed and contrast and methods of use
WO2005040914A1 (en) Thermally developable imaging materials having backside stabilizers

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071101

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071101

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20071226

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20080730