JP2007512321A - 造影剤 - Google Patents
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Abstract
次式Iの造影剤。
V−L−R (I)
式中、VはアンジオテンシンIIレセプター部位に対する結合親和性を有する有機基であり、Lは線状又は枝分かれアミノ酸を含むバイオモディファイヤー又はリンカー部分であり、Rはヒト又は動物の身体のインビボ画像化で検出可能なレポーター部分である。
【選択図】 なし
V−L−R (I)
式中、VはアンジオテンシンIIレセプター部位に対する結合親和性を有する有機基であり、Lは線状又は枝分かれアミノ酸を含むバイオモディファイヤー又はリンカー部分であり、Rはヒト又は動物の身体のインビボ画像化で検出可能なレポーター部分である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、疾患状態を画像化することができる画像診断技術に使用するのに適した標的化造影剤に関する。より具体的には、本発明は、アンジオテンシンII型レセプターAT1のアップレギュレーションに関連した疾患の画像形成用造影剤に関する。本発明は、現存の医薬品と比較して増大した効力並びに最適化された排泄及び生体内分布プロフィールを有するように設計されたリガンドについて記載する。
AT1レセプターを標的とする造影剤を使用して検出することができる疾患は、鬱血性心不全(CHF)、アテローム性動脈硬化、並びに心臓、肺及び肝臓のような臓器の線維症である。
オクタペプチド(Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe)であるアンジオテンシンII(AngII)は2つの異なるレセプター、すなわちAngIIの1型(AT1)及び2型(AT2)レセプターに結合する多面的な血管作用性ペプチドである。レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の活性化の結果、血管肥大、血管収縮、塩及び水の貯留、並びに高血圧が起こる。これらの結果は主としてAT1レセプターによって媒介される。逆に、他のAngIIに媒介される結果、例えば細胞死、血管拡張、及びナトリウム排泄増加はAT2レセプターの活性化によって媒介される。AngIIシグナリングメカニズムの理解は不完全なままである。AT1レセプター活性化は、チロシンキナーゼ誘発タンパク質リン酸化、アラキドン酸代謝産物の産生、反応性酸化剤化学種活性の変更、及び細胞内Ca2+濃度の流れを始めとする細胞内の様々な系の引き金となる。AT2レセプター活性化により、ブラジキニン、一酸化窒素産生、及びプロスタグランジン代謝が刺激されるが、これらは大部分がAT1レセプターの効果と反対である(Berry C,Touyz R,Dominiczak AF,Webb RC,Johns DG.:Am J Physiol Heart Circ Physiol.2001 Dec;281(6):H2337−65.Angiotensin receptors:signaling,vascular pathophysiology,and interactions with ceramide参照)。
AngIIは、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の活性成分であり、血圧、血漿量、交感神経活性、及び渇き反応(thirst response)の調節において重要な生理学的役割を果たす。また、AngIIは、心臓肥大、心筋梗塞、高血圧、慢性閉塞性肺疾患、肝臓線維症 及びアテローム性動脈硬化において病態生理学的役割をもっている。AngIIは、古典的RAASを介して全身で、また組織RAASを介して局所で産生される。古典的RAASにおいては、循環性の腎臓由来レニンが肝臓由来アンギオテンシノゲンを開裂してデカペプチドのアンジオテンシンI(AngI)を形成し、これが肺でアンジオテンシン変換酵素(ACE)により活性なAngIIに変換される。また、AngIは組織エンドペプチダーゼによるプロセッシングを受けてヘプタペプチドのAng−(1−7)になることもできる。このRAAS系を概略的に図1に示す。図は、Footeらの論文Ann.Pharmacother.27:1495−1503(1993)の図1に基づいている。
正常な心血管ホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすRAASに加えて、RAASの過度の活性は高血圧、鬱血性心不全、冠動脈虚血及び腎不全のような様々な心血管疾患の進行に関与していることが示唆されている。心筋梗塞(MI)後、RAASが活性化される。特に、MI後及び左心室機能障害でAT1レセプターの発現が増大することから、AT1レセプターはMI後リモデリング(remodelling)で突出した役割を果たすように思われる。それ故、ACE阻害剤及びAT1レセプターアンタゴニストのようにRAASに干渉する薬剤が、かかる心血管障害の処置において治療上非常に有益であることが示されてきている。
心臓、腎臓、肺及び肝臓では一様に、線維症がそれらの不全に至る共通の経路である。従って、臓器線維症に関与する病態生理学的メカニズムの理解は、特に防御薬理的方策の可能性を考えると、大いに興味深い。組織修復には、修復過程の開始に不可欠な単球/マクロファージ系統のメンバーを含む炎症細胞、並びにコラーゲンターンオーバー及び繊維組織の形成を担う表現型が形質転換された間質線維芽細胞である筋線維芽細胞が関与する。修復の微小環境におけるこれらの細胞事象は各々が、アンジオテンシンII(AngII)の新たな(de novo)生成につながる分子事象に関連している。このペプチドは、自己分泌/パラクリン様式(autocrine/paracrine manner)で、アンジオテンシン(AT1)レセプター−リガンド結合を介してTGF−β1の発現を調節する。このサイトカインが、線維芽細胞の筋線維芽細胞(myoFb)への表現型変換に寄与しており、コラーゲンの筋線維芽細胞ターンオーバーを調節するのである。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害又はAT1レセプターアンタゴニズムは各々、線維症に帰結するこれらの分子及び細胞応答の多くを防止し、従って防護的介入であることが判明している(Weber KT.Fibrosis,a common pathway to organ failure:angiotensin II and tissue repair.Semin Nephrol.1997 Sep;17(5):467−91及びそこに引用されている文献を参照されたい)。
AngIIは間葉細胞の活性化を介して組織線維症を調節することができる。例えば、AngIIはAT1の活性化を介してインビトロで心臓線維芽細胞の増殖を刺激する。AT1レセプターの存在はインビトロで心臓線維芽細胞でも立証されている。AngIIの前線維症(profibrotic)効果の殆どはこのレセプターを介して媒介されるようである。しかし、心臓線維芽細胞における増大したAT2発現が肥大したヒト心臓で検出されており、これら2つの亜型の発現のバランスはAngIIに対する応答を決定する上で重大であり得る(Am.J.Respir.Crit.Care Med.,Volume 161,Number 6,June 2000,1999〜2004:Angiotensin II Is Mitogenic for Human Lung Fibroblasts via Activation of the Type 1 Receptor.Richard P.Marshall,Robin J.McAnulty,and Geoffrey J.Laurent及びそこに引用されている文献を参照されたい)。
AngIIレセプターは特定のアンタゴニストによる阻害に従って識別することができる。AT1レセプターはロサルタンのようなビフェニルイミダゾールによって選択的に拮抗され、一方テトラヒドロイミダゾピリジンはAT2レセプターを特異的に阻害する。また、AT2レセプターはCGP−42112Aにより選択的に活性化され得る。これはAngIIのヘキサペプチドアナログであり、濃度に応じてAT2レセプターを阻害し得る。他の2つのアンジオテンシンレセプター、すなわちAT3亜型とAT4亜型が既に記載されている。
齧歯類の場合、AT1レセプターは機能的に異なる2つの亜型、AT1AとAT1Bを有し、これらは>95%のアミノ酸配列相同性をもっている。
第2の主要なアンジオテンシンレセプターアイソフォームはAT2レセプターである。これはAT1A又はAT1Bレセプターとのアミノ酸配列相同性が低い(約34%)。AT2レセプターの正確なシグナル経路と機能的役割ははっきりしないが、これらのレセプターは、生理的条件下で、細胞増殖を阻害し、かつアポトーシスと血管拡張を誘導することによりAT1媒介作用と拮抗し得る。心血管疾患におけるAT2レセプターの正確な役割はまだ明確になっていない。
AT1及びAT2に加えてAngIIに対するその他のレセプターが公知であり、一般にATatypicalといわれている(Kangら,Am.Heart J.127:1388−1401(1994)参照)。AngIIの効果の抑制は治療上、例えば高血圧及び心不全の管理に使用されている。これを達成するには幾つかの方法があり、例えば、アンギオテンシノゲンからアンジオテンシンI(AngIIの前駆体)への変換をブロックするレニン阻害剤の使用、アンジオテンシンIからAngIIへの変換をブロックする(そしてブラジキニンとプロスタグランジンの生物変換もブロックする)アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の使用、抗−AngII−抗体の使用、並びにAngII−レセプターアンタゴニストの使用である。
β−ブロッカーは不整脈の治療で最も普遍的に使用されている。抗−不整脈剤は限られた全体的成功を収めており、カルシウムチャンネルブロッカーは時に不整脈を誘発することがある。単一の作用物質が優位性を示すことはなく、可能な例外はアミオダロンのみである。短期的な抗−不整脈効果が、個々の薬剤に依存するが、死亡率に対する中立的又はマイナスの効果によって相殺されることが分かっている(Sanguinetti MC及びBennett,PB:Anti−arrhythmic drug target choices and screening.Circulation 2003,93(6):491−9257−263)。明らかに、より良好な抗−不整脈剤が必要である。
刊行物Lancet(Lindholm,LHら Effect of Losartan on sudden cardiac death in people with diabetes:data from the LIFE study.The Lancet,2003,362:619−620)により、AT1レセプターアンタゴニストが、一般的にCHFの患者に好まれることに加えて、突然心臓死の発生も低下させることが明らかにされた。AT1アンタゴニストが心筋梗塞により誘発された不整脈に対して、又はLADの結紮後の再潅流において抗−不整脈効果を有することを示す二、三の研究がある(Harada Kら Angiotensin II Type 1a Receptor is involved in the occurrence of reperfusion arrhythmiass. Circulation.1998,97:315−317,Ozer MKら Effects of Captopril and Losartan on myocardial ischemia−reperfusion induced arrhythmias and necrosis in rats. Pharmacological research,2002,45(4),257−263,Lynch JJら EXP3174,the AII antagonist human metabolite of Losartan,but not Losartan nor the Angiotensin−converting inhibitor captopril,prevents the development of lethal ischemic arrhythmias in a canine model of recent myocardial infarction.JACC,1999,34 876−884)。
この度、標的性結合性リガンドがAngII−レセプター部位に対する親和性を有する標的化造影剤を用いてインビボでAngIIレセプター部位を画像化することが可能であるということが判明した。AngIIレセプターは、一般に、かかる造影剤が血流中に投与されたときその造影剤にアクセス可能である。従って、かかる標的化造影剤を用いて、心不全、アテローム性動脈硬化及び制限された血流、並びにその他の血管疾患及び障害のような疾患及び障害を検出し、またかかる疾患及び障害の治療の経過をモニターすることが可能である。
国際公開第98/18496号(Nycomed Imaging AS)には、インビボ画像形成用に標識されたAngII−レセプターアンタゴニストを含む造影剤が開示されている。
米国特許第5138069号には、AngIIレセプターブロッカーとして使用される置換イミダゾールが開示されている。さらに、米国特許第5264581号(Cariani)には、放射性ヨウ素化されたイミダゾールAngIIアンタゴニストが開示されている。
国際公開第98/18496号
米国特許第5138069号
米国特許第5264581号
Am J Physiol Heart Circ Physiol.2001 Dec;281(6):H2337−65
Ann.Pharmacother.27:1495−1503(1993)
Semin Nephrol.1997 Sep;17(5):467−91
Am.J.Respir.Crit.Care Med.,Volume 161,Number 6,June 2000,1999〜2004
Am.Heart J.127:1388−1401(1994)
Circulation 2003,93(6):491−9257−263
The Lancet,2003,362:619−620
Circulation.1998,97:315−317
Pharmacological research,2002,45(4),257−263
JACC,1999,34 876−884
嵩高いキレートのような比較的大きいレポーターを有するコンジュゲート中に結合性リガンドとしてイミダゾール類、例えロサルタンを使用すると、その選択された結合部位に対するそのリガンドの親和性にマイナスの影響が生じ得る。
薬剤及びキレートコンジュゲートのいずれでもあるロサルタンのような作用物質のもつ問題は、それらが主に(80%より多く)が肝臓を経由して排泄され、天然のホルモンAngIIより弱い親和性(Ki)を有することである。これは、かかる組成物を標的化造影剤として使用する際に2つの問題を構成する。まず第一に、肝臓で吸収される前に投与された組成物のうちの小量がAngIIレセプター部位に結合し得ることであり、第二に、肝臓摂取の結果バックグラウンド活性が増大し、例えば肝臓からのバックグラウンドは心臓の疾患のある領域の画像化の妨害となることがある。
この度、アミノ酸を含むバイオモディファイヤー/リンカーを標的化リガンドとキレート又はレポーター部分との間に導入すると、肝臓摂取を低下させることができ、またAngIIレセプター部位に対する結合親和性を増大することもできるということが判明した。
このバイオモディファイヤー/リンカーは線状でも枝分かれでもよい。従って、本発明の組成物は哺乳類の身体をインビボ画像化するために有用な診断用造影剤である。また、画像化処置を受ける患者は「サータン(sartan)」薬物療法も受けていることがある。「サータン」、例えばロサルタンは高血圧の処置に用いられているAngIIレセプターアンタゴニストである。AngIIレセプターを標的とする造影剤は同じレセプター部位に対する結合に関して治療用薬剤と競合する。従って、ほど遠い薬剤、すなわち規定されている検出可能でない「サータン」薬剤の有害な競合作用を回避するために、その規定されている薬剤より高いAT1レセプターに対する親和性を有する造影剤を開発することが望ましいと考えられている。
このバイオモディファイヤー/リンカーは線状でも枝分かれでもよい。従って、本発明の組成物は哺乳類の身体をインビボ画像化するために有用な診断用造影剤である。また、画像化処置を受ける患者は「サータン(sartan)」薬物療法も受けていることがある。「サータン」、例えばロサルタンは高血圧の処置に用いられているAngIIレセプターアンタゴニストである。AngIIレセプターを標的とする造影剤は同じレセプター部位に対する結合に関して治療用薬剤と競合する。従って、ほど遠い薬剤、すなわち規定されている検出可能でない「サータン」薬剤の有害な競合作用を回避するために、その規定されている薬剤より高いAT1レセプターに対する親和性を有する造影剤を開発することが望ましいと考えられている。
インビボで検出可能な部分(レポーター)は、インビボ画像診断処置、例えばMRI、光学的画像化、シンチグラフィー、SPECT、PET 、X−線、超音波、電気インピーダンス又は磁気的処置により、直接又は間接的に検出することができる部分であることができる。
本発明の物質は、AngIIレセプター部位のアップレギュレーションが関与することが知られているある範囲の疾患状態(鬱血性心不全(CHF)、アテローム性動脈硬化、心臓、肺及び肝臓のような臓器の線維症)のインビボ画像診断に有用である。
第1の態様において、本発明は次式Iの物質を提供する。
V−L−R (I)
式中、VはアンジオテンシンIIレセプター部位に対する結合親和性を有する有機基であり、Lはアミノ酸を含むバイオモディファイヤー又はリンカー部分であり、Rはヒト又は動物の身体のインビボ画像形成法で検出可能な部分である。
V−L−R (I)
式中、VはアンジオテンシンIIレセプター部位に対する結合親和性を有する有機基であり、Lはアミノ酸を含むバイオモディファイヤー又はリンカー部分であり、Rはヒト又は動物の身体のインビボ画像形成法で検出可能な部分である。
リガンドVはAngIIレセプターに対する親和性を有するいかなる有機化合物でもよい。AT1又はAT2のような特定の型のAngIIレセプターに対して際立った親和性を有する化合物が一般に好ましい。イミダゾールAngIIアンタゴニストリガンドが好ましく、最も好ましいのはロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン及びエプロサルタンのようなリガンドである。
診断、特にインビボ診断に有用な造影剤の場合、部分RはMで表される画像形成可能な1以上の部分を担持することができなければならない。担持するとは、化学結合、例えば共有結合若しくは電気原子価すなわちイオン結合又は吸着その他の型の結合のような、部分RとMとの間のあらゆる形態の結合を意味する。Rは任意の画像形成可能な部分であることができる。Mが金属である場合、Y1はキレート剤を表す。R及び/又はY1Mの種類は診断に利用する画像化様式に依存する。R及び/又はY1Mは、インビボ画像診断法で直接又は間接的に検出することができなければならず、例えば、検出可能な放射線を(例えば、放射性壊変、蛍光励起、スピン共鳴励起、などにより)放出するか又は放出させることができる部分、局部的電磁場に影響を及ぼす部分(例えば、常磁性、超常磁性、フェリ磁性又はフェロ磁性化学種)、放射線エネルギーを吸収又は散乱する部分(例えば、発色団、粒子(例えば、気体又は液体含有する小胞)、重元素及びその化合物、など)、並びに検出可能な物質を生成する部分(例えば、気体超微粒気泡発生器)を含んでいなければならない。
好ましい実施形態において、1つの部分RはLに直接共有結合してN−アルキルグリシン単位を形成する。
後述する式(II)及び(e)のキレート剤も特に好ましい。
広範囲の適切な画像形成可能な部分が、例えば国際公開第98/18496号(援用によりその内容は本明細書の内容の一部をなす)により公知である。
画像化様式並びに画像形成可能な部分R及びMについて以下さらに詳細に説明する。
第1の実施形態において、式(I)の化合物は、Radio及びSPECT画像化様式で有用な1以上の画像形成可能な部分Mを担持する部分Y1を含んでいる。好ましくは、Mは、α−及びβ−放出が少ないか若しくは全くなくて半減期が1時間より長いγエミッターである。好ましい基Mは放射性核種67Ga、111In、123I、125I、131I、81mKr、99Mo、99mTc、201Tl及び133Xeである。最も好ましいのは99mTcである。
Mはさらに、放射性標識方法又はキレート剤を変更することなく画像化と治療の両方に使用する以下の同位体又は同位体対であることができる。47Sc21、141Ce58、188Re75、177Lu71、199Au79、47Sc21、131I53、67Cu29、131I53及び123I53、188Re75及び99mTc43、90Y39及び87Y39、47Sc21及び44Sc21、90Y39及び123I53、146Sm62及び153Sm62、並びに90Y39及び111In49。
Mが金属性放射性核種を表す場合、Y1はMとの安定なキレートを形成するのに適したキレート剤を表す。かかるキレート剤は当該分野の技術水準から周知であり、かかるキレート剤の典型的な例は国際公開第01/77145号の表Iに記載されている。
特に好ましいのは次式(II)のキレート剤である。
特に好ましいのは、R1、R2及びR3が水素又はメチル基であり、R4がアルキルアミン基である式(II)のキレート剤であり、特に次の式(e)の化合物(本明細書ではcPN216という。)である。以下の構造で、星印は可能な結合部位を表す。次式(e)の場合、星印はアミン基を表す。
その他の好ましいキレート剤は次式a、b、c及びdで表すことができる。
その他の関連するキレート剤は次式(III)のものである。
式(III)のテトラアミンキレート剤の合成は英国特許出願第0416062.8号に見ることができる。
123I、125I及び131Iのような非金属放射性核種は当技術水準で周知の置換又は付加反応により部分Lに共有結合させることができる。
第2の実施形態において、式(I)の化合物は、PET画像化様式で有用な部分Rを含んでいる。その場合Rは陽電子放出特性をもつ放射性エミッターを表す。好ましい基Rは放射性核種11C、18F、68Ga、13N、15O及び82Rbである。18Fは取り分け好ましい。キレート剤Y1とキレート化された金属性放射性エミッター82Rb及び68Gaも好ましい。
チオール結合化学、18F−シントン及びチオール結合化学を用いて製造された標識されたペプチドは国際公開第03/080544号(その内容は援用により本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。
チオール結合化学を用いて標識されたペプチドの記載は英国特許出願第0317815.9号(その内容は援用により本明細書の内容の一部をなす)に見ることができる。
Mが金属性放射性核種を表す場合、Y1はMと共に安定なキレートを形成するのに適したキレート剤を表す。かかるキレート剤は当分野の技術水準から周知であり、かかるキレート剤の典型的な例は国際公開第01/77145号の表I及びその前のRadio及びSPECT画像化に関する欄に記載されている。
別の好ましい実施形態において、Y1はDOTAキレート剤であり、Mはマイクロ波化学を用いてキレート中に容易に導入することができる68Gaである。
18Fのような非金属放射性核種を、当分野の技術水準から周知の置換又は付加反応によって部分Lに共有結合させてもよく、例えば国際公開第03/080544号(援用により本明細書の内容の一部をなす)にも記載されている。
第3の実施形態において、式(I)の化合物のRはMR画像化様式に有用な1以上の画像形成可能な部分Mを担持する部分Y1を含む。ここで、Mは米国特許第4647447号に述べられているもののような常磁性金属を表し、Gd3+、Dy3+、Fe3+及びMn2+が特に好ましく、Y1はキレート剤、特に例えば米国特許第4647447号及び国際公開第86/02841号に記載されている非環式又は環式ポリアミノカルボキシレート(例えば、DTPA、DTPA−BMA、DOTA及びDO3A)のようなキレート剤である。Mはまた、超常磁性、フェリ磁性又はフェロ磁性化学種のような金属酸化物を表してもよく、これらは例えばRが金属酸化物に対するコーティングとして機能するようにRによって吸収される。MR造影剤として使用される金属酸化物は、例えば米国特許第6230777号(援用により本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。
第4の実施形態において、式(I)の化合物のRは、X線画像化様式に有用な1以上の画像形成可能な部分Mを担持する部分Y1を含んでいる。ここで、Mは、好ましくはRにより吸収され得る酸化物の形態にあるW、Au及びBiのような重金属を表す。また、Rは、特にX線造影剤、例えばIopamiron(商標)及びOmnipaque(商標)として周知のヨウ素化されたアリール誘導体を表すこともできる。これらの作用物質は、
例えば式(I)のVにアミド又はアミン基を介して結合することができる。
例えば式(I)のVにアミド又はアミン基を介して結合することができる。
さらに別の実施形態において、式(I)の化合物は、気体を充填した微小胞の形態にあるRを含んでいる。かかる超音波造影剤は、例えば、当分野の技術水準、例えば国際公開第98/18500号に記載されているように、レセプターがペプチドと結合するように官能化されたときそれらレセプターの画像化に利用することができる。
本発明の第6の実施形態において、式(I)の部分Rは、光学的画像化法で直接又は間接的に検出することができるいかなる部分であってもよい。この検出可能な部分は光散乱剤(例えば、着色又は無着色粒子)、光吸収剤又は発光体であることができる。より好ましくは、Rは発色団又は蛍光化合物のような染料で代表される。部分Rは、電磁スペクトル中で紫外光〜近赤外の波長を有する光と相互作用する任意の染料であることができる。好ましい形態ではRが蛍光特性を有する。
好ましい有機染料部分としては、広範囲に非局在化した電子系を有するもの、例えばシアニン類、メロシアニン類、インドシアニン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、トリフェニルメチン類、ポルフィリン類、ピリリウム染料、チアピリリウム染料、スクアリリウム染料、クロコニウム染料、アズレニウム染料、インドアニリン類、ベンゾフェノキサジニウム染料、ベンゾチアフェノチアジニウム染料、アントラキノン類、ナフトキノン類、インダスレン類、フタロイルアクリドン類、トリスフェノキノン類、アゾ染料、分子内及び分子間電荷移動染料及び染料複合体、トロポン類、テトラジン類、ビス(ジチオレン)複合体、ビス(ベンゼン−ジチオラート)複合体、ヨードアニリン染料、ビス(S,O−ジチオレン)複合体がある。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び異なる吸収/発光特性を有するGFPの修飾体のような蛍光タンパク質も有用である。場合により、蛍光性ナノ結晶(量子ドット)と同様に、ある種の希土類金属(例えば、ユーロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の錯体が使用される。
光学的画像化法に適した部分のさらなる説明は、ノルウェー特許出願第200303115号(その内容は、援用により本明細書の内容の一部をなす)に見られる。
本発明は、ロサルタン誘導体により例示することができ、バイオモディファイヤー/リンカー及びレポーター部分のイミダゾール5−位への結合に基づく。この原理はまた、構造類似性を有する他の化合物、例えば分子のロサルタンイミダゾール環に相当する部分に適切な固着(anchoring)部位を有するバルサルタン、カンデサルタン及びエプロサルタンにも当て嵌まる。
また、リンカー基の種類を利用して、得られるコンジュゲートの金属錯体の生体内分布を変えることもでき、例えば、異なる特性を有するアミノ酸を導入して肝臓による摂取を低減することができる。
本発明の化合物の幾つかはAT1レセプターに対して高い親和性を有する。「高い親和性」とは、AT1に対する競合結合アッセイから計算してKi=5nM、好ましくは<0.1nMを有する化合物をいい、最も好ましいKiはpM以下の範囲を有する。ここで、Ki値は、公知の高い親和性ベクター125I−Sar1Ile8−アンジオテンシンIIとの競合によって決定されたものである。このアッセイ系におけるAngIIに対するKiはおよそ5nMである。
画像化用部分で標識された、バルサルタン、カンデサルタン及びエプロサルタンのようないわゆる「サータン」類の薬剤、好ましくはロサルタンに由来するAngII−レセプターアンタゴニストは、ヒト又は動物の身体のインビボ画像化に有用な診断用造影剤である。
本発明の1つの好ましい実施形態は、99mTc標識造影剤の99mTc(ロサルタン−Leu−ジグリコリル−cPn216)、99mTc(ロサルタン−Leu−Gly−ジグリコリル−cPn216)、99mTc(ロサルタン−Leu−β−Ala−ジグリコリル−cPn216)及び99mTc(ロサルタン−Leu−Lys(プロピオニル−PEG(12)−Ac)−ジグリコロイル−cPn216)である。
式(I)の造影剤は、ヒトのような哺乳動物に投与するのに適した形態で式(I)の化合物を含む医薬製剤として投与するのが好ましい。投与は水溶液のような製剤の注射又は注入により行うのが適切である。製剤は1種以上の製薬上許容できる添加剤及び/又は賦形剤、例えば緩衝剤、シクロデキストリン類のような可溶化剤、又はPluronic、Tween若しくはリン脂質のような界面活性剤を含有していてもよい。さらに、アスコルビン酸、ゲンチシン酸又はパラ−アミノ安息香酸のような安定剤又は抗酸化剤及び塩化ナトリウム又はマンニトールのような凍結乾燥用充填剤(bulking agent)を添加してもよい。
本発明はまた、有効量(例えば、インビボ画像形成法において画像コントラストを増強するのに有効な量)の一般式Iの組成物又はその塩を、1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と共に含む薬剤組成物を提供する。
さらに別の態様から見ると、本発明は、造影剤をヒト又は動物の身体に投与し、前記身体の少なくとも一部の画像を生成することを含む診断法に使用する造影剤の製造のための、式Iの組成物の使用を提供する。
さらに別の態様から見ると、本発明は、式Iで定義される物質を含む造影剤組成物を前もって投与されたヒト又は動物の身体の増強された画像を生成する方法であって、前記身体の少なくとも一部の画像を生成することを含んでなる、前記方法を提供する。
本発明はさらに、心不全及びAT1レセプターのアップレギュレーションに関連する他の疾患の治療の効果をモニターする方法を提供する。
さらにもう1つ別の態様において、本発明は、リガンド−キレートコンジュゲート及び還元剤を含む、式(I)の放射性薬剤組成物の調製用キットを提供する。好ましくは、還元剤は第一スズ塩である。キットはさらに、1種以上の安定剤、抗酸化剤、凍結乾燥用充填剤及び可溶化剤を含んでいてもよい。
本明細書でアミノ酸に対して使用する3文字略語は以下の意味を有する。
Ala − アラニン
Asp − アスパラギン酸
Arg − アルギニン
Glu − グルタミン酸
Gly − グリシン
Lys − リジン
Leu − ロイシン
Sar − サルコシン
Val − バリン
Tyr − チロシン
Ile − イソロイシン
His − ヒスチジン
Pro − プロリン
Phe − フェニルアラニン
Nal − 2−アミノ−3−ナフチルプロピオン酸
Cha − 2−アミノ−3−シクロヘキシルプロピオン酸。
Ala − アラニン
Asp − アスパラギン酸
Arg − アルギニン
Glu − グルタミン酸
Gly − グリシン
Lys − リジン
Leu − ロイシン
Sar − サルコシン
Val − バリン
Tyr − チロシン
Ile − イソロイシン
His − ヒスチジン
Pro − プロリン
Phe − フェニルアラニン
Nal − 2−アミノ−3−ナフチルプロピオン酸
Cha − 2−アミノ−3−シクロヘキシルプロピオン酸。
本明細書で使用するその他の略語の意味は次の通りである。
DOTA − 1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸
PEG − ポリエチレングリコール
DIEA − ジイソプロピルエチルアミン
DPPA − ジフェニルホスホリルアジド
DBU − 1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデス−7−エン
DMF − ジメチルホルムアミド
MDP − メチレンジホスホネート
TFA − トリフルオロ酢酸
THF − テトラヒドロフラン
HATU − N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジノ−1−イルメチレン]−N−メチルメタナミニウムヘキサフルオロホスホネートN−オキシド
PyAOP − 7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート
Fmoc − 9−フルオレニルメトキシカルボニル。
DOTA − 1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸
PEG − ポリエチレングリコール
DIEA − ジイソプロピルエチルアミン
DPPA − ジフェニルホスホリルアジド
DBU − 1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデス−7−エン
DMF − ジメチルホルムアミド
MDP − メチレンジホスホネート
TFA − トリフルオロ酢酸
THF − テトラヒドロフラン
HATU − N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジノ−1−イルメチレン]−N−メチルメタナミニウムヘキサフルオロホスホネートN−オキシド
PyAOP − 7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート
Fmoc − 9−フルオレニルメトキシカルボニル。
一般手順
反応式1に、ロサルタンリンカーキレート剤コンジュゲートの固相合成を示す。円は固体支持体粒子を表す。
反応式1に、ロサルタンリンカーキレート剤コンジュゲートの固相合成を示す。円は固体支持体粒子を表す。
化合物のAT1レセプターに対する親和性は、そのレセプターを発現するCHO細胞由来の膜を用いた競合アッセイで決定されている。AT1レセプターと非常に効率的に結合することが知られているリガンドである125I−Sar1−Ile8−アンジオテンシンIIの結合を、様々な濃度の試験物質と競合させた。Kiは、競合アッセイにおいて、放射性リガンドが存在しなければレセプターの50%を占めることになる競合するリガンドの濃度である。Kiは次のCheng−Prussoff式を用いて計算される。
Ki=IC50/(1+(L)/Kd)
式中、(L)は使用する放射性標識されたリガンドの濃度であり、Kdは放射性標識されたリガンドのレセプターに対する解離定数である。IC50は放射性リガンドの特異的結合の50%を置換する競合性リガンドの濃度である。ある化合物に対するIC50値は放射性リガンドの濃度に応じて実験間で変わり得るが、Kiは絶対値である。
Ki=IC50/(1+(L)/Kd)
式中、(L)は使用する放射性標識されたリガンドの濃度であり、Kdは放射性標識されたリガンドのレセプターに対する解離定数である。IC50は放射性リガンドの特異的結合の50%を置換する競合性リガンドの濃度である。ある化合物に対するIC50値は放射性リガンドの濃度に応じて実験間で変わり得るが、Kiは絶対値である。
99m Tc−標識化手順
0.1mgの凍結乾燥したcPn216由来化合物を0.2mlの(蒸留、酸素不含)水に溶解することによって調製物を作成する。この溶液を10mlの窒素を充填したバイアル中に移す。0.5mlの炭酸塩緩衝液、0.5mlのNa99mTcO4溶液及び0.1mlのSn−MDP溶液を加える。この調製物を室温で20分放置する。
0.1mgの凍結乾燥したcPn216由来化合物を0.2mlの(蒸留、酸素不含)水に溶解することによって調製物を作成する。この溶液を10mlの窒素を充填したバイアル中に移す。0.5mlの炭酸塩緩衝液、0.5mlのNa99mTcO4溶液及び0.1mlのSn−MDP溶液を加える。この調製物を室温で20分放置する。
炭酸塩緩衝液:炭酸塩緩衝液はpHが9.2であり、水1ml当たり8.4mgのNaHCO3及び10.6mgのNa2CO3を含有する。使用する前に窒素ガスで15分以上パージする。
Na 99m TcO 4 溶液:テクネチウム発生器(例えば、Ifetec発生器)溶出液、2GBq/mlの放射活性濃度に希釈、酸素不含。
Sn−MDP溶液:この溶液は水1ml当たり0.131mgのSnCl2 *2H2O及び0.925mgのMDP(メチレンジホスホネート)を含有する。この溶液は使用前に連続的に窒素ガスをパージしながら新たに作成する。
実施例1 短いPEG−リンカーを介してcPn216で誘導体化されたロサルタン−Leu(固相合成)
a)ロサルタンとトリチル誘導体化固体支持体との結合
b)アジドによるヒドロキシル基の置換
c)アジド基のアミンへの還元
d)ロサルタン−Leu−ジグリコロイル−PEG(4)−ジグリコロイル−cPn216
標準カップリング用試薬(HATU及びDIEA)及び標準Fmoc−開裂手順(DMF中20%ピペリジン)を用いて、Fmoc−Leu−OH(Novabiochem、0.030g、0.084mmol)及びFmoc−アミノPEGジグリコール酸(Polypure、0.045mg、0.084mmol)を、c)で得られた樹脂結合アミノ−ロサルタン(0.042mmol)の一部試料にDMF中で順次カップリングさせた。カップリングの完了は標準Kaiser試験でチェックした。ジグリコール酸無水物(Aldrich、0.010g、0.084mmol)及びDIEA(0.014ml、0.084mmol)を用いて、第2のジグリコロイル単位を導入した。この樹脂(末端カルボキシル官能基を含有する)に、キレートcPn216(0.029g、0.084mmol)、PyAOP(Applied Biosystems、0.022g、0.042mmol)及びDIEA(0.014ml、0.084mmol)を加えた。2時間後、化合物を樹脂から開裂した(ジクロロメタン/TFA/トリイソプロピルシラン、92.5:5.0:2.5溶液、30分)。この溶液を濾過し、濃縮し、分取用HPLC(カラムPhenomenex Luna C18(2) 5μm 10.0×250mm、溶媒:A=水/0.1%TFA、B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配25〜30%B、60min、流量5.0ml/min、UV検出214nm)で精製し、凍結乾燥後3mgの生成物を得た。LC−MS分析(カラムPhenomenex Luna C18(2) 3μm 50×4.60mm、溶媒:A=水/0.1%TFA、B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配10〜80%B、10min、流量0.3ml/min、UV検出214及び254nm、ESI−MS)のtR5.9分、m/z1266.5(MH+))で上記構造を確認した。
標準カップリング用試薬(HATU及びDIEA)及び標準Fmoc−開裂手順(DMF中20%ピペリジン)を用いて、Fmoc−Leu−OH(Novabiochem、0.030g、0.084mmol)及びFmoc−アミノPEGジグリコール酸(Polypure、0.045mg、0.084mmol)を、c)で得られた樹脂結合アミノ−ロサルタン(0.042mmol)の一部試料にDMF中で順次カップリングさせた。カップリングの完了は標準Kaiser試験でチェックした。ジグリコール酸無水物(Aldrich、0.010g、0.084mmol)及びDIEA(0.014ml、0.084mmol)を用いて、第2のジグリコロイル単位を導入した。この樹脂(末端カルボキシル官能基を含有する)に、キレートcPn216(0.029g、0.084mmol)、PyAOP(Applied Biosystems、0.022g、0.042mmol)及びDIEA(0.014ml、0.084mmol)を加えた。2時間後、化合物を樹脂から開裂した(ジクロロメタン/TFA/トリイソプロピルシラン、92.5:5.0:2.5溶液、30分)。この溶液を濾過し、濃縮し、分取用HPLC(カラムPhenomenex Luna C18(2) 5μm 10.0×250mm、溶媒:A=水/0.1%TFA、B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配25〜30%B、60min、流量5.0ml/min、UV検出214nm)で精製し、凍結乾燥後3mgの生成物を得た。LC−MS分析(カラムPhenomenex Luna C18(2) 3μm 50×4.60mm、溶媒:A=水/0.1%TFA、B=アセトニトリル/0.1%TFA、勾配10〜80%B、10min、流量0.3ml/min、UV検出214及び254nm、ESI−MS)のtR5.9分、m/z1266.5(MH+))で上記構造を確認した。
この化合物のアンジオテンシン−IIレセプターAT1(Ki0.5nM)に対する結合性をインビトロで試験した。
実施例2〜18 アミノ酸で置換されたロサルタン誘導体
表1に示す一般式(IV)のアミノ誘導体を、実施例1に記載のようにして固体支持体上で合成した。適切な勾配のアセトニトリル/0.1%TFA含有水を用いて逆相クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18(2)カラム)で生成物を精製し、電気スプレーイオン化を用いたLC−MSで分析した。
表1に示す一般式(IV)のアミノ誘導体を、実施例1に記載のようにして固体支持体上で合成した。適切な勾配のアセトニトリル/0.1%TFA含有水を用いて逆相クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18(2)カラム)で生成物を精製し、電気スプレーイオン化を用いたLC−MSで分析した。
表2に挙げる一般式(V)の化合物を、実施例1に記載のようにして固体支持体上で合成した。ビオチン及びフルオレセイン−NHSエステルはそれぞれFluka及びPierceから購入した。TcキレートcPn216をグルタリルリンカーを介して結合する場合、3つの異なる合成方法を使用した。殆どの場合は、式(VI)の活性エステルを使用した。これに代わる場合として、PyAOP又はHATUのような試薬を用いて相当する遊離酸をカップリングさせたが、この場合にはカップリングを数回繰り返す必要があった。また、グルタリル−cPn216部分を、実施例1で相当するジグリコロイル誘導体に関して記載したようにして二段階反応で結合した。すなわち、第1に、樹脂をグルタル酸無水物と反応させ、次の段階で樹脂に結合したカルボン酸を活性化し、式(VII)の遊離のアミンとしてのcPn216をカップリングさせる。テトラアミンキレートを含有する化合物の合成の場合、完全にBocで保護された構築ブロック(VIII)(英国特許第0416062.8号)を使用した。適切な勾配のアセトニトリル/0.1%TFA含有水又はギ酸を用いた逆相クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18(2)カラム)により生成物を精製し、電気スプレーイオン化を用いたLC−MSによって分析した。
Claims (11)
- 次式Iの造影剤。
V−L−R (I)
式中、VはアンジオテンシンIIレセプター部位に対して結合親和性を有する有機基であり、Lは線状又は枝分かれアミノ酸を含むバイオモディファイヤー又はリンカー部分であり、Rはヒト又は動物の身体のインビボ画像形成で検出可能なレポーター部分である。 - Vがロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン又はエプロサルタンである、請求項1又は2記載の造影剤。
- Lが1〜40のアミノ酸残基を含んでいる、請求項1又は請求項2記載の造影剤。
- Lがさらに1以上のジカルボン酸単位、エチレングリコール単位若しくはPEG様成分又は以上のものの組合せを含んでおり、好ましくは1以上のジグリコリル、グリコリル、グルタリル若しくはスクシニル単位又はこれらの組合せを含んでいる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の造影剤。
- Lが枝分かれである、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の造影剤。
- 99mTc(ロサルタン−Leu−ジグリコリル−cPn216)、99mTc(ロサルタン−Leu−Gly−ジグリコリル−cPn216)、99mTc(ロサルタン−Leu−β−Ala−ジグリコリル−cPn216)、又は99mTc(ロサルタン−Leu−Lys(プロピオニル−PEG(12)−Ac)−ジグリコロイル−cPn216)であることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の造影剤。
- 有効量の一般式Iの化合物又はその塩を、1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる、インビボ画像形成における画像のコントラストを増強するために使用される薬剤組成物。
- 式Iで定義される化合物を含む造影剤組成物を前もって投与されたヒト又は動物の身体の増強された画像を生成する方法であって、前記身体の少なくとも一部の画像を生成することを含んでなる、前記方法。
- リガンド−キレートコンジュゲート及び還元剤を含んでなる、式Iの放射性薬剤組成物を製造するためのキット。
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A02 | Decision of refusal |
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