JP2007507423A - 病原体感染の危険を低減する方法 - Google Patents
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Abstract
空気媒介病原体からの感染に対する個体及び/又は集団の保護のための予防的処置法を提供する。詳細には、自然発生源による又は環境への病原体の故意的放出により、1種又は複数の空気媒介病原体に対する曝露の危険にある又は既に曝露されてしまった集団の1又は複数のメンバーに、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩を投与することを含む予防的処置法を提供する。
Description
本出願は、2003年8月20日出願の米国特許仮出願第60/496,517号の特典を要求するものであり、そのそれぞれをそのすべてにおいて参照により本明細書に組み込む。
本発明は、病原体、特に生物テロで使用される可能性のある病原体によって引き起こされる疾病又は状態に対する予防(prophylactic)的、曝露後予防的、若しくは防止的(preventive)処置のためのアミロライド、ベンザミル又はフェナミルなどのピラジノイルグアニジン類の使用に関する。
近年、テロリズム行為における生物剤の使用に関する懸念に対処するために、種々の研究計画及び生体防御手段が検討されている。これらの手段は、バイオテロリズムに関する懸念、又は人を殺害し、恐怖を広げ、社会を混乱させるための微生物又は生物毒素の使用に備えることを目的としている。例えば、米国立アレルギー感染症研究所(the National Institute of Allergy and Infectious Disease)(NIAID)は、バイオテロリズム並びに新興及び再興感染疾患の広範な領域における研究の必要性に取り組むための計画を概説した「生体防御研究のための戦略計画(Strategic Plan for Biodefence Research)」を明らかにしている。この計画書によれば、合衆国の民間住民が炭疽菌(Bacillus anthracis)の胞子に意図的に曝露されたことによって、バイオテロリズムに対する国家の総合的な備えの欠陥が明らかになった。さらに、報告書は、これらの攻撃が、迅速に診断するための試験、予防するためのワクチン及び免疫療法、並びにバイオテロリズムの作用物質で惹起される疾病を治療するための薬剤及び生物製剤の不足を明らかにしたと詳述している。
各種研究活動の焦点の多くは、バイオテロリズムの作用物質と同様に潜在的に危険であることが確認されている病原体の生物学の研究、このような作用物質に対する宿主応答の研究、感染症に対するワクチン開発、このような作用物質に対する現在利用可能な及び研究中の治療剤の評価、並びに脅威を与える作用物質の兆候及び症状を同定するための診断方法の開発を対象としてきた。このような努力は賞賛に値するが、バイオテロリズムに潜在的に利用可能であることが確認されている多数の病原体を考えると、これらの努力は、未だ、すべての起こりうるバイオテロリズムの脅威に対して満足できる対応を提供できるものではない。さらに、バイオテロリズムの作用物質として潜在的に危険であることが確認されている病原体の多くは、産業が治療的又は予防的手段を開発するための適切な経済的動機を提供しない。さらに、バイオテロリズムで使用される可能性のあるそれぞれの病原体に対してワクチンなどの予防手段を利用できるとしても、このようなすべてのワクチンを集団全体に投与する費用は莫大である。
便利で効果的な処置法が、あらゆるバイオテロリズムの脅威に対して利用可能になるまで、病原性作用物質からの感染の危険を防止又は低減することのできる防止的又は予防的処置法が強く求められている。
本発明は、このような予防的処置法を提供する。本発明の一態様において、1種若しくは複数の空気媒介病原体からの感染に対する予防的処置を必要とする個体に対して、予防有効量のアミロライド、ベンザミル、フェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩を投与することを含む予防的処置法を提供する。
もう1つの態様において、ヒトに疾病を惹起させることのできる空気媒介病原体からの感染の危険を低減するための予防的処置法が提供され、該方法は、空気媒介病原体からの感染の危険の可能性はあるがその疾病について無症状であるヒトの肺に、有効量のアミロライド、ベンザミル、フェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩を投与することを含み、その有効量のアミロライド、ベンザミル、フェナミル又は薬学上許容できる塩は、ヒトにおける感染の危険を軽減するに十分である。
本発明の予防的処置法は、集団のある部分が、1種又は複数の空気感染性病原体に曝されてしまったか、又はそのように思われる状況において使用できる。この予防的処置法は、さらに、空気感染性病原体への曝露又は空気感染性病原体からの感染の危険が継続している状況においても使用できる。このような状況は、天然の病原体によって起こる可能性もあるし、或いは集団のある部分が1種又は複数の病原体に故意に曝露されるバイオテロリズム事件によって起こる可能性もある。本明細書に開示する方法により、感染の危険性のあると思われる集団の個体又は部分を処置することができる。このような処置は、好ましくは、病原体への切迫した曝露が予想されるか起こり得る場合には曝露に先立って、或いは実際の若しくはその疑いのある曝露の後に、できるだけ最も早期に開始する。典型的には、この予防的処置法は、ヒトがその危険性のあると思われる疾病に関して無症状のヒトに使用できる。用語「無症状の」は、本明細書中で使用する場合、医学的に認識されるその疾病の症状を示さないこと、空気媒介病原体への曝露による感染若しくは疾病にまだ罹患していないこと、又は疾患に対して陽性の結果が出ていないことを意味する。
NIAIDが確認している病原性作用物質の多くは、それらの物質が口又は鼻を通って身体に入り、身体気道及び肺内に移動できるように、エアロゾル化されることが可能であったか、可能性がある。身体のこれら領域は、身体に入って来る外来作用物質を防御するのにある程度自然的に役立つ粘膜表面を有する。環境と身体の界面にある粘膜表面は、幾つかの「自然防御」すなわち保護機構を進化させてきた。このような自然防御の主な形態は、これらの表面を液体で清潔にすることである。一般に、粘膜表面上の液体層の量は、水(及びカチオン性対イオン)と結合したアニオン(Cl−及び/又はHCO3 −)の分泌を反映することの多い、上皮の液体分泌と、水及び対アニオン(Cl−及び/又はHCO3 −)と結合したNa+吸収を反映することの多い上皮の液体吸収との間のバランスを反映する。
R.C.Boucherは、米国特許第6,264,975号に、ナトリウムチャネル遮断薬ピラジノイルグアニジンを投与することによって粘膜表面、特に鼻の気道表面を水和する方法を記載している。アミロライド、ベンザミル及びフェナミルで代表されるこれらの化合物は、粘膜表面を水和するのに有効である。米国特許第5,656,256号は、例えば嚢胞性線維症及び慢性気管支炎などの疾病を治療するために、ベンザミル又はフェナミルの投与によって肺の粘液分泌物を水和する方法を記載している。米国特許第5,725,842号は、アミロライドの投与によって肺から滞留粘液分泌物を除去する方法を対象にしている。
アミロライド、ベンザミル、及びフェナミルは、居住地域の環境、典型的には空気中に故意に持ち込むことが可能な、又は可能でない病原体からの感染の危険からヒトを全部又は部分的に保護するための予防的処置法において使用できることが今回わかった。このような処置は、曝露された可能性がある者を、ワクチンが利用できないか、或いは曝露された集団に準備されていない場合、及び/又は集団が遭遇した病原体から起こる感染に対する処置が不十分であるかまったく利用できない状況において有効に使用できる。
ある理論に拘束されるものではないが、アミロライド、ベンザミル及び/又はフェナミルは、驚くべきことに、実質的に正常又は健康な肺組織に対して使用して、空気媒介病原体の取込みを防止又は低減し、且つ/又はこのような病原体の全部又は少なくとも一部を肺から取り除くことができると考えられる。好ましくは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルは、空気媒介病原体のウイルス又は細菌の取り込みを防止又は低減する。アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルが粘膜表面を水和する能力は、ヒトが遭遇した空気媒介病原体を含有する粘液を含む肺粘液分泌物を急速に水和し、次いで、身体からの肺粘液分泌物の除去を容易にするように機能すると考えられる。身体から肺粘液分泌物を除去するように機能することによって、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルは、身体の気道を通って体内に吸入又は運ばれた病原体からの感染の危険を防止、又は少なくとも低減する。
本発明は、第一に、ヒト対象の予防的、曝露後、救済的及び治療的処置に関するが、イヌ及びネコなどのその他哺乳動物対象の獣医学的目的のため、且つ哺乳動物が空気感染性病原体からの感染又は疾患の危険性のある範囲での処置に対して使用することもできる。
用語「気道」は、本明細書で使用する場合、喉頭より下流及び肺の中を含む口又は鼻から接近可能な気道など、呼吸器系のすべての気道、並びに喉頭の上部領域の洞を含む頭部内の空気通路を指す。
用語「病原体」及び「病原性作用物質」は、相互交換可能であり、本明細書で使用する場合、疾病を引き起こすことのできる任意の作用物質、又は疾病を引き起こす病原体によって産生される毒性物質を意味する。典型的には、病原性作用物質は、疾病を引き起こすことのできる生きた微生物である。例を挙げれば、病原体は、疾病を引き起こすことのできる、細菌、原生動物又はウイルスなどの任意の微生物でよい。
用語「空気媒介病原体」は、空気中を伝播できる能力のある任意の病原体を意味し、担体物質を利用して空気中を伝わる病原体、及び人工的にエアロゾル化された或いは空気中に自然に現われる病原体が含まれる。
用語「予防」は、本明細書で使用する場合、感染の防止、感染の遅延、感染の抑制、及び/又は病原体に対する曝露前及び曝露後を含む病原体からの感染リスクの低減を意味する。予防効果には、とりわけ、病原体が体内に侵入する能力を低下させることを含めることができ、又は病原体が感染又は疾病を開始又は引き起こすに先立って、体内の気道及び気道表面に到達する病原体の全部又は一部を身体から除去することを含めることができる。病原体を全部又は部分的に除去できる気道には、肺の気道表面を含む粘膜表面を有するすべての体内気道及び気道表面が含まれる。
本発明において有用である化合物としては、参照によりそのすべてを本明細書に組み込む、E.Cragoeに対する米国特許第3,313,813号に記載されているようなピラジノイルグアニジン類、特にアミロライド、ベンザミル及びフェナミルを挙げることができる。アミノライドとは、3,5−ジアミノ−N−(アミノイミノメチル)−6−クロロピラジンカルボキサミドである。ベンザミルとは、3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(ベンジルアミノアミノメチレン)ピラジンカルボキサミドであり、フェナミルは3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(フェニルアミノアミノメチレン)ピラジンカルボキサミドである。これら各化合物は、米国特許第3,313,813号に開示されている。アミロライド、ベンザミル及びフェナミルは、当業者に周知の方法と組み合わせて、米国特許第3,313,813号に記載の方法によって調製できる。
用語、「アミロライド」、「ベンザミル」、及び「フェナミル」には、本明細書で使用する場合、薬学上許容されるその塩が含まれる。薬学上許容される塩は、所望される親化合物の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性効果を与えない塩である。このような塩の例は、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などを用いて形成される酸付加塩、及び例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸、などの有機酸を用いて形成される塩、並びに(b)元素、例えば、塩素、臭素、及びヨウ素のアニオンから形成される塩である。
本発明の組成物を調製するのに使用するアミロライド、ベンザミル又はフェナミルは、代わりに、アミロライド、ベンザミル又はフェナミルの薬学上許容される遊離塩基の形態であってもよい。該化合物の遊離塩基はその塩よりも溶解性が低いので、遊離塩基組成物は、肺に対してより徐放性である化合物を提供するために使用される。溶液に移行しない粒子状形態で肺中に存在するアミノライド、ベンザミル又はフェナミルは、生理学的応答を誘導するのには利用できないが、徐々に溶液に移行する生物学的に利用可能な薬剤のデポー剤として役立つ。
本明細書に開示する活性化合物は、任意の適切な手段によって患者の肺に投与できるが、好ましくは、対象が吸収する活性化合物を含む、呼吸に適した粒子のエアロゾル懸濁液を投与することによって投与される。化合物は、口又は鼻を通って吸入できる。活性化合物は、限定はしないが、乾燥粉末吸入剤、定量投与吸入剤又は液/液懸濁液など、各種の形態でエアロゾル化できる。吸入に適した粒子は、液体でも固体でもよい。アミロライド、ベンザミル又はフェナミルの含有量は、対象の気道表面におけるアミロライド、ベンザミル又はフェナミルの溶存濃度として約10−7〜約10−3モル/リットル、より好ましくは約10−6〜約10−4モル/リットルを達成するに十分な量であればよい。
本発明の1つの態様において、粒子状のアミロライド、ベンザミル又はフェナミル組成物には、肺粘液分泌物に溶解するために、アミロライド、ベンザミル又はフェナミルの早期放出及び持続放出の双方を提供するために、アミロライド、フェナミル又はベンザミルの遊離塩基、及びアミロライド塩酸塩、ベンザミル塩酸塩又はフェナミル塩酸塩などの薬学上許容される塩の双方を含めることができる。このような組成物は、患者に対して、早期の緩解及び長期に渡る持続的緩解の双方を提供するのに役立つ。持続的緩解は、必要な毎日の投与回数を減らすことによって、アミノライド、ベンザミル又はフェナミル治療の方針に対する患者のコンプライアンスを高めると期待される。
本発明実施のために調製される固体又は液体の粒子状アミロライド、ベンザミル、又はフェナミルは、吸入に適した大きさの粒子、すなわち、吸入に際し、口及び喉頭から気管支及び肺胞に通り抜けるように大きさが十分に小さな粒子を含むべきである。一般に、大きさが約1〜5ミクロンの範囲(特に、約4.7ミクロン未満の大きさ)の粒子が吸入に適している。エアロゾル中に含まれる吸入に適さない粒子は、喉に沈着し嚥下される傾向があり、エアロゾル中の吸入に適さない粒子の量を最小にするのが好ましい。経鼻投与の場合、鼻腔での滞留を確実にするため、10〜500μmの範囲の粒子径が好ましい。経鼻投与は、病原体が、一般に鼻を通って進入する場合に有用である可能性がある。しかし、病原体が肺に達することが予想される場合には、効果的な予防的処置を確実にするために、少なくとも一部のアミロライド、ベンザミル、又はフェナミルを、肺に到達する剤形で投与するのが好ましい。
活性化合物の投与量は、所望される予防効果及び対象の状態に応じて変動するが、一般に、約10−7〜約10−3モル/リットル、より好ましくは約10−6〜約10−4モル/リットルの、対象の気道表面における活性化合物の溶存濃度を達成するに十分な量でよい。投与される活性化合物の特定の製剤の溶解度に応じて、1日の投与量を1つ又は幾つかの単位投与量の投与に分割できる。呼吸に適したアミロライド、ベンザミル又はフェナミル粒子の1日当たり投与量は、ヒト対象に対して約1〜約20mgであり、対象の年齢及び状態に応じて、好ましくは約1〜約10mgである。呼吸に適したアミロライド、ベンザミル又はフェナミル粒子の一般に好ましい単位投与量は、1日当たり4回投与の計画とすれば、約2mgである。投与量は、任意の適切な手段(例えば、ゼラチンカプセル中にカプセル化)によって前以て包装された単位として提供できる。
気道投与に適した医薬製剤には、液剤、乳剤、懸濁剤及びエキスの製剤が含まれる。概括的には、Remington編、「The Science and practice of Pharmacy」86章(第19版、1995年)中のJ.Naimによる「Solutions,Emulsions,Suspensions and Extracts」を参照のこと。経鼻投与に適した医薬製剤は、Schorに対する米国特許第4,389,393号、Illumに対する同第5,707,644号、Suzukiに対する同第4,294,829号、及びSuzukiに対する同第4,835,142号に記載されていると同様に調製できる。
本発明による製剤の製造において、有効薬剤、又は生理学的に許容されるそれらの塩若しくは遊離塩基は、一般に、特に、許容される担体と混合される。もちろん、担体は、製剤中の任意のその他成分と化学反応を起こさないと言う意味で許容されなければならず、且つ、患者に対して有害であってはならない。担体は、固体又は液体、或いは両方でよく、好ましくは、化合物と共に単位投与製剤、例えば、0.5重量%〜99重量%の活性化合物を含むことのできるカプセルとして製剤される。本発明の製剤には、1種又は複数の活性化合物を組み込むことが可能であり、その製剤は、本質的には化合物を混合することからなる任意の周知製薬技術によって調製できる。
活性化合物を含む液体粒子のエアロゾル又はミストは、任意の適切な手段によって、例えば、経鼻投与の場合には、滅菌生理食塩水又は滅菌水などの薬学上許容される水性担体中の活性化合物を用いる簡単な鼻内噴霧によって作ることができる。その他の手段としては、圧力駆動ネブライザー又は超音波ネブライザーを用いてエアロゾルを作ることが挙げられる。例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい。ネブライザーは商業的に入手できる装置であって、狭いベンチュリーオリフィスを通る圧縮ガス、典型的には空気又は酸素の加速によって、或いは超音波撹拌によって、有効成分の溶液又は懸濁液を治療用エアロゾルミストに変換する。ネブライザーで使用するのに適した製剤は、液体担体中に有効成分を含み、有効成分は、製剤の40%w/wまで、好ましくは20%w/wまで含まれる。担体は、典型的には、たとえば塩化ナトリウムを添加して好ましくは体液と等張性にした、水(最も好ましくは、滅菌された、パイロジェンを含まない水)又は希薄アルコール水である。
活性化合物を含む固体粒子のエアロゾル又はミストは、任意の固体粒子状薬剤エアロゾル発生器を用いて同様に生成させることができる。対象に対して固体粒子状薬剤を投与するためのエアロゾル発生器は、上で説明したような吸入に適した粒子を生成し、事前に決めた定量投与量の薬剤を含むある容積のエアロゾルを、ヒトへの投与に適した速度で発生する。このようなエアロゾル発生器は、当技術分野で周知である。例については、米国特許第5,725,842号を参照されたい。
固体粒子状エアロゾル発生器の1つの実例となる型は、インサフレーター(insufflator)である。吹込みによって投与するのに適した製剤としては、インサフレーターを用いて送達できる、又は鼻から息を吸う方法で鼻腔内に取り入れることのできる微粉砕した粉末が挙げられる。インサフレーターでは、粉末(例えば、本明細書に記載の処置を実施するのに十分なその定量投与量)を、典型的にはゼラチン又はプラスチック製のカプセル又はカートリッジに入れ、その場でそれらに穴をあけるか、開口し、吸入の際に装置を通って吸い出される空気によって、又は手動ポンプを使用して粉末を送達する。インサフレーターで採用される粉末は、有効成分の単独から、又は、有効成分、乳糖などの適切な粉末希釈剤、及び任意選択の界面活性剤を含む粉末ブレンドから構成される。有効成分は、典型的には、その製剤の0.1〜100w/wを構成する。
例示するエアロゾル発生器の第二の型は、定量投与吸入器を含む。定量投与吸入器は、典型的には、有効成分を液化噴射剤に懸濁又は溶解した製剤を含む、加圧エアロゾル分注器である。使用中、これらの装置は、定容積、典型的には10〜150μlを送達するように構成されたバルブを通して製剤を放出し、有効成分を含む微細粒子の霧を生成する。本発明を実施するに際しては、クロロフルオロカーボン含有噴射剤及びクロロフルオロカーボン非含有噴射剤の両方を含む、任意の噴射剤を使用できる。適切な噴射剤としては、ある種のクロロフルオロカーボン、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン及びそれらの混合物が挙げられる。
製剤には、さらに、例えばエタノールなどの1種又は複数の共溶媒、オレイン酸又はトリオレイン酸ソルビタンなどの界面活性剤、酸化防止剤、ヒドロキシ安息香酸メチルなどの防腐剤、揮発性オイル、緩衝剤及び適切な着香剤を含めることができる。
ミクロ化したアミロライド、ベンザミル又はフェナミルの呼吸に適した乾燥粒子を含む組成物は、乾燥アミロライド、フェナミル又はベンザミルを乳鉢及び乳棒で粉砕し、次いで、そのミクロ化された組成物を400メッシュの網を通して大きな集塊物を壊し、又は分離することによって調製できる。活性化合物は、単独で(すなわち、固体粒子状組成物は本質的に活性化合物からなってよい)、或いは糖類(すなわち、乳糖、蔗糖、トレハロース、マニトール)などの分散剤、希釈剤若しくは担体、又は、任意の適切な比率(例えば重量で1対1)で活性化合物と混合できる肺若しくは気道送達のためのその他許容される補助剤と組み合わせて製剤できる。乾燥粉末の固体粒子状化合物は、噴霧乾燥、粉砕、凍結乾燥などの当技術分野で周知の方法によって得ることができる。
エアロゾル又はミストは、固体又は液体粒子のいずれから形成されるにせよ、エアロゾル発生器によって毎分約10〜約150リットル、より好ましくは毎分約30〜約150リットル、最も好ましくは毎分約60リットルの速度で作られる。より大量の薬剤を含むエアロゾルは、より迅速に投与できる。
その他の薬剤は、該薬剤が製剤中の活性化合物及びその他の成分と反応せず、本明細書に記載するように投与できる場合、開示された活性化合物と共に投与できる。
本発明の曝露後予防、救出及び治療的処置法によって防止できる病原体には、口、鼻又は鼻気道を通って身体に入り、それによって肺に進入できる任意の病原体が含まれる。典型的には、病原体は、自然に現われる又はエアロゾル化による空気媒介病原体である。病原体は、自然に現われる可能性もあり、或いは、病原体を環境中に持ち込むエアロゾル化又はその他の方法の後に、環境中に故意に持ち込まれる可能性もある。空気中で自然には伝播しない多くの病原体は、バイオテロリズムで使用するためにエアロゾル化され、或いはされる可能性がある。
本発明の処置が有用である可能性のある病原体には、それに限定されないが、NIAIDが示したカテゴリーA、B及びCの重要病原体が含まれる。これらのカテゴリーは、一般に、米国疾病管理予防センター(CDC)が編集したリストに対応している。CDCが設定したように、カテゴリーAの作用物質は、容易に散布可能であるか、或いはヒトからヒトに容易に伝播可能であり、多くの公衆の健康に対して潜在的影響を有する高い死亡率を引き起こすものである。カテゴリーBの作用物質は、すぐ次の重要度であり、中程度の容易さで散布され、罹患率が中程度であり、死亡率の低いものが含まれる。カテゴリーCは、それらの有用性、製造及び散布の容易さ及び高い罹患率及び死亡率が得られる可能性のために、将来、大量散布用に遺伝子工学で作られる可能性のある新興病原体からなる。
カテゴリーA:
炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽病)、
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)(ボツリヌス中毒)、
ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)、
大痘瘡(Variola major)(天然痘)及びその他の痘瘡ウイルス、
野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、
ウイルス性出血熱、
アレナウイルス、
LCM(リンパ球性脈絡髄膜炎)、フニンウイルス、ジウニンウイルス、
マチュポウイルス、グアナライトウイルス(Guanarite virus)、
ラッサ熱、
ブニヤウイルス、
ハンタウイルス、
リフトヴァレー熱、
フラビウイルス、
デング、
フィロウイルス、
エボラ、
マールブルグ、
カテゴリーB:
類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)(類鼻疽)、
コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)(Q熱)、
ブルセラ属(Brucella species)(ブルセラ病)
バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疽)、
ヒマ(Ricinus communis)からのリシン毒素、
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のイプシロン毒素、
ブドウ球菌エンテロトキシンB、
発疹チフス(Rickettsia prowazekii)、
食物及び水系媒介病原体、
細菌:
下痢性大腸菌
病原性ビブリオ菌
シゲラ属
サルモネラ属
リステリア・モノシトゲネス
ウイルス:
カリシウイルス、
A型肝炎
原生動物:
クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、
シクロスポラ・カヤテネンシス(Cyclospora cayatenensis)、
ジアルジア・ラムブリア(Goardia lamblia)、
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、
トキソプラスマ(Toxoplasma)、
ミクロスポリディア(Microsporidia)、及び
さらなるウイルス性脳炎:
西ナイル熱、
ラクロス、
カリフォルニア脳炎、
ベネズエラウマ脳炎、
東部ウマ脳炎、
西部ウマ脳炎、
日本脳炎ウイルス、及び
キャサヌール森林ウイルス、
カテゴリーA:
炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽病)、
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)(ボツリヌス中毒)、
ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)、
大痘瘡(Variola major)(天然痘)及びその他の痘瘡ウイルス、
野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、
ウイルス性出血熱、
アレナウイルス、
LCM(リンパ球性脈絡髄膜炎)、フニンウイルス、ジウニンウイルス、
マチュポウイルス、グアナライトウイルス(Guanarite virus)、
ラッサ熱、
ブニヤウイルス、
ハンタウイルス、
リフトヴァレー熱、
フラビウイルス、
デング、
フィロウイルス、
エボラ、
マールブルグ、
カテゴリーB:
類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)(類鼻疽)、
コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)(Q熱)、
ブルセラ属(Brucella species)(ブルセラ病)
バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疽)、
ヒマ(Ricinus communis)からのリシン毒素、
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のイプシロン毒素、
ブドウ球菌エンテロトキシンB、
発疹チフス(Rickettsia prowazekii)、
食物及び水系媒介病原体、
細菌:
下痢性大腸菌
病原性ビブリオ菌
シゲラ属
サルモネラ属
リステリア・モノシトゲネス
ウイルス:
カリシウイルス、
A型肝炎
原生動物:
クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、
シクロスポラ・カヤテネンシス(Cyclospora cayatenensis)、
ジアルジア・ラムブリア(Goardia lamblia)、
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、
トキソプラスマ(Toxoplasma)、
ミクロスポリディア(Microsporidia)、及び
さらなるウイルス性脳炎:
西ナイル熱、
ラクロス、
カリフォルニア脳炎、
ベネズエラウマ脳炎、
東部ウマ脳炎、
西部ウマ脳炎、
日本脳炎ウイルス、及び
キャサヌール森林ウイルス、
カテゴリーC:
ニパウイルス及びさらなるハンタウイルスなどの新興感染性疾病の脅威、クリミア−コンゴ出血熱ウイルスなどのダニ媒介出血熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、黄熱病、多剤耐性結核、インフルエンザ、その他リケッチア及び狂犬病。
ニパウイルス及びさらなるハンタウイルスなどの新興感染性疾病の脅威、クリミア−コンゴ出血熱ウイルスなどのダニ媒介出血熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、黄熱病、多剤耐性結核、インフルエンザ、その他リケッチア及び狂犬病。
防護できる、又はそれからの感染リスクが低減されるさらなる病原体には、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス及び呼吸器合胞体ウイルスなどが含まれる。防護できるさらなる病原体は、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすと考えられるコロナウイルスである。
上に挙げた病原体の幾つかは、空気によって体内に取り込まれた場合に特に有害であることが知られている。例えば、炭疽病を引き起こす作用物質である炭疽菌(Bacillus anthracis)は、3つの主要臨床形態、皮膚、吸入及び胃腸の形態を有する。3つの形態のすべてが、死に至る可能性を有するが、皮膚及び胃腸炭疽病の早期抗生物質治療により通常これらの形態の炭疽病は治癒する。一方、吸入炭疽病は、抗生物質治療を用いてさえ潜在的に致命的な疾病である。初期症状は通常の風邪に似ている。数日後、症状は、重度の呼吸問題及びショックにまで進行する。自然に現われる又は偶発的感染の場合、適切な抗生物質及びその他すべての利用可能な支持ケアを用いてさえ、歴史上の死亡率は、NIAIDによれば約75%であると考えられる。吸入炭疽病は、胞子が肺胞空間内に沈着し続いて肺胞マクロファージによって摂取された後に発現する。生き残った胞子は、次いで、縦隔リンパ節に輸送され、そこで60日又はそれ以上発芽できる。発芽後、複製細菌は、疾病を引き起こす毒素を放出する。胞子は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された肺粘液分泌物を除去することによって身体から完全に又は部分的に排除されるので、これらの過程は、予防有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの投与によって妨害される。
ヒトからヒトへ容易に伝播し、効果的な治療法が存在せず、ほとんどの人々がそのウイルスに対する完全な免疫を持たないが故に、もっとも危険な潜在的生物兵器の1つとして懸念される主なもう1つの病原体は、天然痘ウイルス、大痘瘡(Variola majar)である。天然痘は、主として、感染者から排出されるエアロゾル化された唾液飛沫によってヒトからヒトへ直接的に拡がる。初期症状としては、高熱、疲労、頭痛及び腰痛が挙げられ、2、3日間特徴的な発疹が続く。
本発明の1つの実施形態は、予防有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、天然痘又はその他の痘瘡ウイルスに曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、個体が曝露されたエアロゾル化唾液飛沫中に存在する大痘瘡ウイルス又はその他の痘瘡ウイルスが身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
細菌ペスト菌(Yersinia pestis)は、ペストを引き起こし、世界中で広く入手できる。NIAIDは、有毒なエアロゾル化ペスト細菌の少量の吸入による感染でさえ肺ペストに至る可能性があり、その死亡率は、未処置で放置すればほぼ100%であることを報告している。肺ペストは、他の呼吸器病と類似した熱及び咳の初期症状を有する。抗生物質は、ペストに対して有効であるが、抗生物質での成功は、薬物療法開始の迅速性、吸入した細菌の吸入量、及び患者に対する支持ケアの程度によって左右され、有効なワクチンは、広範には利用できない。
本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、エアロゾル化されたペスト細菌に曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与すると、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、エアロゾル化されたペスト細菌が身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
ボツリヌス毒素は、環境に放出するのが容易なので、重大なバイオテロリズムの脅威を与えると考えられるもう1つの物質である。抗生物質は、ボツリヌス毒素に対して有効ではなく、認められたワクチンは存在しない。毒素は、食物を介して伝播されるが、ボツリヌス毒素は、粘膜表面を通過して吸収され、従って、本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、ボツリヌス毒素に曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。
NIAIDは、野兎病菌(Francisella tularensis)が10程度の少ない器官で感染を起こす能力があり、且つそのエアロゾル化される性質ゆえに、野兎病を引き起こす細菌を潜在的なバイオテロリズム作用物質として確認している。自然感染は、空気媒介粒子の吸入後に発生する。野兎病は、抗生物質で処置可能であり、実験的なワクチンは存在するが、この疾病に関して研究している研究者は極めて少数なので野兎病に対する最適治療方法に関する知識は限られている。本発明の一実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、エアロゾル化された野兎病菌に曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、エアロゾル化された野兎病菌が身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
最も広範にはエアロゾル経路で感染する可能性を有すると考えられるカテゴリーB及びCの細菌には、ブルセラ(Brucella)属、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)などのグラム陰性細菌、及び一部のリッケチア(Rickettsia)属が含まれる。これらの作用物質のそれぞれは、少数の微生物の吸入に続き、感染を引き起こす能力があると考えられる。ブルセラ(Brucella)属は、ブルセラ病を引き起こすことができる。6つのブルセラ属中の4つ、ブタ流産菌(B.suis)、ヤギ流産菌(B.melitensis)、ウシ流産菌(B.abortus)及びイヌ流産菌(B.canis)は、ヒトにブルセラ病を引き起こすことが知られている。類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)は、ヒト及びその他の哺乳動物並びに鳥類に類鼻疽を引き起こす可能性があり、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)は、通常はウマ、ラバ及びロバの疾病である鼻疽を引き起こす微生物であるが、NIAIDによればエアロゾル曝露に続く感染が報告されている。コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)は、Q熱を引き起こすことができ、高度に感染性である。エアロゾル化された細菌による感染が報告されており、ほんの少数だけの微生物の吸収で感染が起こり得る。発疹チフスリケッチア(R.prowazekii)、ロッキー山紅斑熱リケッチア(R.rickettsii)、地中海紅斑熱リケッチア(R.conorrii)及び発疹熱リケッチア(R.typhi)は、エアロゾル経路での低投与量伝染性を有することが見出されている。
本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、エアロゾル化された、ブルセラ(Brucella)属、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)、及び一部のリケッチア(Rickettsia)属などのグラム陰性細菌に曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、エアロゾル化されたグラム陰性細菌が身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
典型的には節足動物で媒介される幾つかのウイルスは、エアロゾル化された曝露に続くそれらの激しい伝染力ゆえに、潜在的なバイオテロリズムの兵器としてかなりの脅威を与えると考えられる。これらのウイルスには、ウイルス性脳炎及び出血熱の重要な作用物質であるアルボウイルスが含まれる。このようなウイルスとしては、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス及び西部ウマ脳炎ウイルスなどのアルファウイルスを挙げることができる。その他のこのようなウイルスとしては、西ナイル熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス複合体及び黄熱ウイルスを挙げることができる。脅威を与えることのできるウイルスのその他の群には、カリフォルニア脳炎ウイルス、又はラクロスウイルス、クリミア−コンゴ出血熱ウイルスなどのブニヤウイルスが含まれる。NIAIDによれば、ワクチン又は有効で具体的な治療法は、これらのウイルスの極めて少量に対してのみ利用できる。ヒトにおいて、アルボウイルスへの感染は、通常、初めは無症状であるか、或いは熱、痛み、疲労など、非特異的なインフルエンザ様症候を引き起こす。
本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、エアロゾル化されたアルボウイルスに曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、アルボウイルスが身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
ヒマ(Ricinus Communis)由来のリシン毒素、ウェルシュ菌(Closttridium perfringens)のイプシロン毒素及びブドウ球菌エンテロトキシンBなど、特定のカテゴリーBの毒素も、潜在的なバイオテロリズムの手段と見なされる。これら毒素のそれぞれは、エアロゾルに対する吸入曝露によって環境又は集団に送達できる。リシン毒素の少量吸入により、鼻及び喉の鬱血及び気管支喘息が起こる可能性があり、多量吸入に曝露されると、重症肺炎、急性炎症が起こり、非ヒト霊長動物での気道壊死が広がる。ウェルシュ菌(Closttridium perfringens)は、ヒト及び動物に感染できる嫌気性細菌である。5種の細菌が存在し、ガス壊疽に関連したアルファトキシン、壊死性腸炎の原因であるベータトキシン、ヤギ及びヒツジの出血性腸炎に至る神経毒イプシロントキシンを含む、4つの主要致死性毒素及び7つの少量毒素を産生する。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の吸入は、激しい高熱、呼吸困難、胸痛及び頭痛を引き起こす。
本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、エアロゾル化された毒素に曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、エアロゾル化された毒素が身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、結核の原因となり、結核に罹ったヒトが咳、くしゃみ又は話をしたときに肺から排出され、空気で運ばれる飛沫によって拡がる。本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、結核菌に曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、結核菌が身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
本発明の方法は、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)などのより一般的な病原体に対しても使用できる。本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、これらのウイルスの1つに曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、ウイルスが身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
本発明の方法は、さらに、SARSの原因であると考えられるウイルス、コロナウイルスに対して使用できる。重症急性呼吸器症候群は、ある人が咳又はくしゃみをして他人又は近くの表面にウイルスを含む飛沫を吐き出した場合を含む、人と人との接触によって拡がると考えられる呼吸器の病気である。最近、CDCは、SARSは、空気を介して又は現在知られていないその他の経路によってより急速に広がることができると考えている。典型的には、SARSは、38℃(100.4°F)を超える発熱で始まる。その他の症状としては、頭痛及び身体痛がある。2〜7日後に、SARS患者は乾性咳を発し、呼吸困難を示す。
空気媒介病原体で起こる広範なSARSに対して、本発明の1つの実施形態は、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することを含む、SARSウイルスに曝露された又は曝露された可能性のある1又は複数の個体を予防的に処置する方法を提供する。有効量のアミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルを投与することは、アミロライド、ベンザミル、及び/又はフェナミルの作用で水和された水和化肺粘液分泌物を除去することによって、ウイルスが身体から完全に又は部分的に排除されることを可能にするように機能する。
次の実施例で、化合物の粘膜繊毛クリアランスに対する効果を測定するための1つの方法を例示する。アミロライド、ベンザミル及びフェナミルは、説明するアッセイにおいて明確な効果を示す。
動物における薬物の薬理効果及び作用機序
粘膜繊毛クリアランス(MCC)の向上に対する化合物の効果は、SabaterらがJournal of Applied Physiology、1999年、2191〜2196頁に発表しているin vivoモデルを用いて測定可能であり、該文献を参照により本明細書に組み込む。アミロライドを用いる典型的な実験を以下で説明する。
方法
動物の準備:成熟雌性ヒツジ(体重25〜35kg)を、改造ショッピングカートに適合させた特殊身体ハーネスに直立姿勢で拘束した。動物の頭部を固定し、2%リドカインで鼻通路の局部麻酔を誘導した。次いで、動物に内径7.5mmの気管内チューブ(ETT)を経鼻挿管した。ETTのカフを声帯の直下に置き、その位置を軟性気管支鏡で確認した。挿管後、粘膜繊毛クリアランスの測定を開始するのに先立って、約20分間平衡させた。
放射性エアロゾルの投与:3.6μmの空気力学的直径中央値を有する液滴を作り出すレインドロップネブライザー(Raindrop Nebulizer)を使用して、99mTc−ヒト血清アルブミン(3.1mg/ml、約20mCiを含む)のエアロゾルを発生させた。ネブライザーを、ソレノイドバルブ及び圧縮空気源(0.14MPa(20psi))からなる線量測定装置に連結した。ネブライザーの出力をプラスチック製T型コネクターに向け、コネクターの一端を気管内チューブに連結し、他端をピストン式人工呼吸器に連結した。人工呼吸器の吸気サイクルの開始1秒で装置を作動させた。人工呼吸器は、中央気道沈着を最大化するために、500mlの換気容積、1:1の吸気呼気比、毎分20回の呼吸速度に設定した。ヒツジに放射化標識エアロゾルを5分間呼吸させた。ガンマカメラを使用して気道からの99mTc−ヒト血清アルブミンのクリアランスを測定した。画像視野が動物の脊髄に対して垂直になるように、カートに支持された自然な直立姿勢のヒツジに対して動物の背中の上方にカメラを配置した。放射化標識外部マーカーをヒツジに配置し、ガンマカメラの下での妥当な位置調整を確保した。全ての画像をガンマカメラと統合されたコンピューターに保存した。重要な領域をヒツジの右肺に該当する画像上で追跡し、計数値を記録した。計数値は、崩壊に対する補正を行い、初めの基準画像に存在する放射能に関する比率として表した。左肺は、その外形線が胃と重なり合い、計数値は嚥下され放射化標識された粘液として胃に入るので、解析から除外した。
処置プロトコール(t−ゼロでの活性評価):放射性エアロゾル投与の直後に基準沈着画像を得た。基準画像を補足した後、時刻ゼロで、ビヒクル対照(蒸留水)、アミロライド、又はその他の供試化合物を、Pari LC JetPlusネブライザーを使用して自由呼吸動物に対して容積4mlからエアロゾル化した。ネブライザーは、流速毎分8リットルの圧縮空気で駆動した。溶液を送達するための時間は10〜12分であった。ETTからの過剰な放射性トレーサーの吸引によって起こる計数値の偽上昇を防止するために、全投与量の送達に続いて、直ちに動物から抜管した。投与後の最初の2時間は15分間隔で、投与後の次の6時間は1時間ごとに肺の連続画像を収得し、全部で8時間観察した。異なる供試薬剤を用いる投与実験期は、少なくとも7日間の洗浄期間を置いて隔離した。
処置プロトコール(t−4時間での活性評価):標準実験計画を以下のように変更して、ビヒクル対照(蒸留水)、アミロライド若しくはベンザミル、又はその他の治験薬剤に対する1回だけの曝露に続く応答の持続性を評価した。時刻ゼロで、ビヒクル対照(蒸留水)、陽性対照(アミロライド)、又は治験薬剤を、Pari LC JetPlusネブライザーを使用して自由呼吸動物に対して容積4mlからエアロゾル化した。ネブライザーは、流速毎分8リットルの圧縮空気で駆動した。溶液を送達するための時間は10〜12分であった。動物は、特殊身体ハーネスに直立姿勢で4時間拘束した。4時間の期間の終末で、レインドロップネブライザー(Raindrop Nebulizer)からエアロゾル化した99mTc−ヒト血清アルブミン(3.1mg/ml、約20mCiを含む)を、動物に1回だけ投与した。放射性トレーサーの全投与量の送達に続いて、直ちに動物から抜管した。放射性エアロゾルの投与後、直ちに基準沈着画像を採取した。放射性トレーサー投与後の最初の2時間は15分間隔で、投与後の次の2時間(投与後4〜6時間を表す)は1時間ごとに肺の連続画像を採取し、全部で4時間観察した。異なる供試薬剤を用いる投与実験期は、少なくとも7日間の洗浄期間を置いて隔離した。
統計:データは、SYSTAT for Windows(登録商標)、バージョン5を使用して解析した。二元配置反復ANOVAを使用して(総合効果の評価用)、続いて特定ペアー間の階差を確認するためにペアードt検定によってデータを解析した。Pが0.05以下である場合に有意と認めた。平均MCC曲線に対する勾配値(t−ゼロの評価における投与後の最初の45分間に集められたデータから計算される)を、線形最小二乗回帰を用いて計算し、急速クリアランス期における初期速度の差を評価した。
粘膜繊毛クリアランス(MCC)の向上に対する化合物の効果は、SabaterらがJournal of Applied Physiology、1999年、2191〜2196頁に発表しているin vivoモデルを用いて測定可能であり、該文献を参照により本明細書に組み込む。アミロライドを用いる典型的な実験を以下で説明する。
方法
動物の準備:成熟雌性ヒツジ(体重25〜35kg)を、改造ショッピングカートに適合させた特殊身体ハーネスに直立姿勢で拘束した。動物の頭部を固定し、2%リドカインで鼻通路の局部麻酔を誘導した。次いで、動物に内径7.5mmの気管内チューブ(ETT)を経鼻挿管した。ETTのカフを声帯の直下に置き、その位置を軟性気管支鏡で確認した。挿管後、粘膜繊毛クリアランスの測定を開始するのに先立って、約20分間平衡させた。
放射性エアロゾルの投与:3.6μmの空気力学的直径中央値を有する液滴を作り出すレインドロップネブライザー(Raindrop Nebulizer)を使用して、99mTc−ヒト血清アルブミン(3.1mg/ml、約20mCiを含む)のエアロゾルを発生させた。ネブライザーを、ソレノイドバルブ及び圧縮空気源(0.14MPa(20psi))からなる線量測定装置に連結した。ネブライザーの出力をプラスチック製T型コネクターに向け、コネクターの一端を気管内チューブに連結し、他端をピストン式人工呼吸器に連結した。人工呼吸器の吸気サイクルの開始1秒で装置を作動させた。人工呼吸器は、中央気道沈着を最大化するために、500mlの換気容積、1:1の吸気呼気比、毎分20回の呼吸速度に設定した。ヒツジに放射化標識エアロゾルを5分間呼吸させた。ガンマカメラを使用して気道からの99mTc−ヒト血清アルブミンのクリアランスを測定した。画像視野が動物の脊髄に対して垂直になるように、カートに支持された自然な直立姿勢のヒツジに対して動物の背中の上方にカメラを配置した。放射化標識外部マーカーをヒツジに配置し、ガンマカメラの下での妥当な位置調整を確保した。全ての画像をガンマカメラと統合されたコンピューターに保存した。重要な領域をヒツジの右肺に該当する画像上で追跡し、計数値を記録した。計数値は、崩壊に対する補正を行い、初めの基準画像に存在する放射能に関する比率として表した。左肺は、その外形線が胃と重なり合い、計数値は嚥下され放射化標識された粘液として胃に入るので、解析から除外した。
処置プロトコール(t−ゼロでの活性評価):放射性エアロゾル投与の直後に基準沈着画像を得た。基準画像を補足した後、時刻ゼロで、ビヒクル対照(蒸留水)、アミロライド、又はその他の供試化合物を、Pari LC JetPlusネブライザーを使用して自由呼吸動物に対して容積4mlからエアロゾル化した。ネブライザーは、流速毎分8リットルの圧縮空気で駆動した。溶液を送達するための時間は10〜12分であった。ETTからの過剰な放射性トレーサーの吸引によって起こる計数値の偽上昇を防止するために、全投与量の送達に続いて、直ちに動物から抜管した。投与後の最初の2時間は15分間隔で、投与後の次の6時間は1時間ごとに肺の連続画像を収得し、全部で8時間観察した。異なる供試薬剤を用いる投与実験期は、少なくとも7日間の洗浄期間を置いて隔離した。
処置プロトコール(t−4時間での活性評価):標準実験計画を以下のように変更して、ビヒクル対照(蒸留水)、アミロライド若しくはベンザミル、又はその他の治験薬剤に対する1回だけの曝露に続く応答の持続性を評価した。時刻ゼロで、ビヒクル対照(蒸留水)、陽性対照(アミロライド)、又は治験薬剤を、Pari LC JetPlusネブライザーを使用して自由呼吸動物に対して容積4mlからエアロゾル化した。ネブライザーは、流速毎分8リットルの圧縮空気で駆動した。溶液を送達するための時間は10〜12分であった。動物は、特殊身体ハーネスに直立姿勢で4時間拘束した。4時間の期間の終末で、レインドロップネブライザー(Raindrop Nebulizer)からエアロゾル化した99mTc−ヒト血清アルブミン(3.1mg/ml、約20mCiを含む)を、動物に1回だけ投与した。放射性トレーサーの全投与量の送達に続いて、直ちに動物から抜管した。放射性エアロゾルの投与後、直ちに基準沈着画像を採取した。放射性トレーサー投与後の最初の2時間は15分間隔で、投与後の次の2時間(投与後4〜6時間を表す)は1時間ごとに肺の連続画像を採取し、全部で4時間観察した。異なる供試薬剤を用いる投与実験期は、少なくとも7日間の洗浄期間を置いて隔離した。
統計:データは、SYSTAT for Windows(登録商標)、バージョン5を使用して解析した。二元配置反復ANOVAを使用して(総合効果の評価用)、続いて特定ペアー間の階差を確認するためにペアードt検定によってデータを解析した。Pが0.05以下である場合に有意と認めた。平均MCC曲線に対する勾配値(t−ゼロの評価における投与後の最初の45分間に集められたデータから計算される)を、線形最小二乗回帰を用いて計算し、急速クリアランス期における初期速度の差を評価した。
本発明は好ましい態様に関して記載してきたように、変換及び修飾として当業者に明らかな手段を取ることができることは理解されるべきである。かかる変換及び修飾は、本明細書に添付した特許請求の範囲の権限及び範囲内と考えられるべきである。
Claims (25)
- 1種若しくは複数の空気媒介病原体からの感染又は疾病に対する予防的処置を必要とする個体に対して、予防有効量のアミロライド、ベンザミル、フェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩を投与することを含む予防的処置法。
- 前記病原体が炭疽菌(Bacillus anthracis)である、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体が大痘瘡(Variola Major)である、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体がペスト菌(Yersinia pestis)である、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体が野兎病菌(Francisella tularensis)である、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体がグラム陰性細菌である、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記グラム陰性細菌が、ブルセラ(Brucella)属、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)及びリケッチア(Rickettsia)からなる群から選択される、請求項6に記載の予防的処置法。
- 前記病原体が、アルファウイルス、フラビウイルス又はブニヤウイルスである、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体が、ヒマ(Ricinus communis)からのリシン毒素、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のイプシロン毒素又はブドウ球菌エンテロトキシンBである、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体が結核菌(Mycobacterium tuberculosis)細菌である、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体が、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス又は呼吸器合胞体ウイルスである、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記病原体がコロナウイルスである、請求項1に記載の予防的処置法。
- 前記のアミロライド、ベンザミル、フェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩が、個体が吸入する、呼吸に適した粒子のエアロゾル懸濁液で投与される、請求項1に記載の予防的処置法。
- ヒトの疾病を惹起できる空気媒介病原体からの感染の危険を低減するための予防的処置法であって、空気媒介病原体からの感染の危険の可能性はあるがその疾病に関して無症候であるヒトの肺に対して、有効量のアミロライド、ベンザミル及びフェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩を投与することを含み、アミロライド、ベンザミル及びフェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩の有効量が、ヒトにおける感染の危険を低減するのに十分である予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体が炭疽菌(Bacillus anthracis)であり、疾病は炭疽病である、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体が大痘瘡(Variola Major)であり、疾病が天然痘である、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体がペスト菌(Yersinia pestis)であり、疾病がペストである、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体がグラム陰性細菌である、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記グラム陰性細菌が、ブルセラ(Brucella)属、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、及びコクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)からなる群から選択される、請求項18に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体が、アルファウイルス、フラビウイルス又はブニヤウイルスである、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体が、ヒマ(Ricinus communis)からのリシン毒素、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のイプシロン毒素又はブドウ球菌エンテロトキシンBである、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体が結核菌(Mycobacterium tuberculosis)細菌である、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体が、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス又は呼吸器合胞体ウイルスである、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記空気媒介病原体がコロナウイルスであり、疾病が重症急性呼吸器症候群である、請求項14に記載の予防的処置法。
- 前記のアミロライド、ベンザミル、フェナミル又は薬学上許容されるそれらの塩が、ヒトが吸入する、呼吸に適した粒子のエアロゾル懸濁液で投与される、請求項14に記載の予防的処置法。
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