JP2007502989A - 高温超伝導体自己共振コイルを使用する核四重極共鳴検出システム - Google Patents
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Abstract
高温超伝導体ＲＦコイルを使用する核四重極共鳴検出システム。
Description
本出願は、２００３年８月２１日に出願された米国仮特許出願第６０／４９６，８４８号の利益を請求し、あらゆる目的のため、その出願の全体を本出願の一部として援用する。
本発明は、核四重極共鳴検出システム、および相互インダクタンスを介して受信機フロントエンドに結合された高温超伝導体自己共振受信コイルまたは送受信コイルの使用に関する。
爆発物および他の密輸品を検出する手段としての核四重極共鳴（ＮＱＲ）の使用が、しばらくの間認識されている、たとえば、非特許文献１を参照されたい。ＮＱＲは、他の検出方法に対していくつかの区別できる利点をもたらす。ＮＱＲは、核磁気共鳴によって必要とされるような外部磁石を必要としない。ＮＱＲは、対象の化合物に敏感であり、すなわち、ＮＱＲ周波数の特異性がある。
ＮＱＲ検出システムは、別個の送信コイルおよび受信コイルを有することができる。あるいは、およびより典型的には、同じコイルが送受信するために使用される。ＮＱＲ検出システムの送受信コイルは、サンプルの四重極核を励起する無線周波数（ＲＦ）磁界を提供し、それらが、コイルが受信するそれらの特徴的な共鳴信号を発生することをもたらす。ＮＱＲ信号は、低強度および短い持続期間を有する。送受信コイルは、好ましくは、同調可能であり、高い品質係数（Ｑ）を有する。ＲＦ信号を送信した後、コイルは、低強度ＮＱＲ信号を検出するために急速な回復時間を有さなければならない。低強度ＮＱＲ信号を考慮して、できるだけ大きい信号対雑音比（Ｓ／Ｎ）を有することが重要である。
サンプル１および典型的なＮＱＲ検出システム受信機のフロントエンド２が図１に示されている。受信コイルまたは送受信コイルに結合するサンプル１のＮＱＲ信号の磁界は、電流源４およびコイル５によって表され（ｒｅｐｒｅｓｅｎｔｅｄ）、また送受信コイルであることができる受信コイル３およびコイル５は、相互インダクタンスによって結合される。受信コイル３は、受信機フロントエンド２に配線され、かつ受信機フロントエンド２の一部である。キャパシタ６、通常、インダクタンス、キャパシタンス、または両方の組合せであるリアクタンス７、および第１の段の増幅器８も、ＮＱＲ検出システム受信機フロントエンド２の一部として示されている。
受信コイル３は、典型的には銅コイルであり、したがって、約１０２のＱを有する。ＨＴＳ自己共振コイルが１０３〜１０６のオーダのＱを有するので、銅ではなく高温超伝導体から製造された受信コイルまたは送受信コイルを使用することが有利である。
エー・エヌ・ガロウェイ（Ａ．Ｎ． Ｇａｒｒｏｗａｙ）ら、ＩＥＥＥトランザクションズ・オン・ジオサイエンス・アンド・リモート・センシング（ＩＥＥＥ Ｔｒａｎｓ． ｏｎ Ｇｅｏｓｃｉｅｎｃｅ ａｎｄ Ｒｅｍｏｔｅ Ｓｅｎｓｉｎｇ）、３９、ｐｐ．１１０８〜１１１８（２００１）
本発明の目的は、受信機フロントエンドに対して最適な構成で高温超伝導体（ＨＴＳ）自己共振受信コイルまたは送受信コイルを使用する方法を提供することである。
本発明は、高温超伝導体自己共振受信コイルまたは送受信コイルを含んでなる核四重極共鳴検出システムであって、高温超伝導体自己共振受信コイルまたは送受信コイルが相互インダクタンスを介して核四重極共鳴検出システムの受信機フロントエンドに結合される核四重極共鳴検出システムを提供する。好ましくは、高温超伝導体自己共振受信コイルまたは送受信コイルは平面または表面コイルである。
この検出システムは、密輸品を検出するのに特に有用である。
本発明は、相互インダクタンスを介して受信機フロントエンドに結合された高温超伝導体自己共振受信コイルまたは送受信コイルを有するＮＱＲ検出システムに関する。
ＨＴＳコイルが使用される態様は、ＨＴＳコイルで達成することができる性能の最適な向上をもたらすのに重要である。信号対雑音比（Ｓ／Ｎ）は、受信機フロントエンドのＱの平方根に比例する。銅または別の金属が受信コイルまたは送受信コイルに使用される場合、サンプルから受信機フロントエンドまでの結合のための配列は、図１に示され上述された通りである。回路の無負荷Ｑは、銅コイルの抵抗損失によって支配され、コイルを増幅の第１の段に接続する短いワイヤの抵抗損失によって評価可能には影響されない。
ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイルの使用は、従来使用される銅コイルに対してかなりの利点をもたらすことができる。利点は、Ｑ’が銅コイルの１０２の典型的なＱと比較して１０３〜１０６のオーダであるＨＴＳ自己共振コイルの高いＱから生じる。銅コイルと同じように使用される場合、すなわち、図１に示されているように受信機フロントエンドに配線される場合、ＨＴＳ受信コイルまたは送受信コイルは、受信機フロントエンドＱをわずかに向上させるだけである。しかし、自己共振コイルとして使用され、かつ受信機フロントエンドに最適に結合される場合、ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイルは、コイルに固有のかなりより高いＱ’をもたらすことができる。
図２は、本発明の相互誘導結合を備えたＮＱＲ検出システム受信機フロントエンドを示す。サンプル１１およびＮＱＲ検出システム受信機のフロントエンド１２が、ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイル１３とともに図２に示されている。ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイル１３に結合するサンプル１１のＮＱＲ信号の磁界は、電流源１４およびコイル１５によって表され、ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイル１３およびコイル１５は、相互インダクタンスによって結合される。ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイル１３は、２つのコイル１９および２０およびキャパシタ２１によって表される。ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイル１３は、相互インダクタンスを介して、コイル２２を介して受信機フロントエンド１２に結合される。ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイル１３を受信機フロントエンド１２に直接結合するワイヤはない。
キャパシタ１６、通常、インダクタンス、キャパシタンス、または両方の組合せであるリアクタンス１７、および増幅器１８も、ＮＱＲ検出システム受信機フロントエンド１２の一部として示されている。ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイルの受信機フロントエンドへの結合は、システムの入力インピーダンスが最大信号対雑音性能をもたらすように調整することができる。キャパシタ１６およびリアクタンス１７の大きさを変えることが、インピーダンス整合を達成するための１つの方法を提供する。しかし、これらの構成要素は、他の手段によって行うことができるインピーダンス整合のための等価回路として見なければならない。たとえば、インピーダンス整合を、受信コイルまたは送受信コイル１３と受信機フロントエンド１２のコイル２２との間の距離を物理的に変えることによって達成することができる。
高温超伝導体は、７７Ｋを超えた温度で超伝導するものである。ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイルを形成するために使用される高温超伝導体は、好ましくは、ＹＢａ２Ｃｕ３Ｏ７、Ｔｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８、ＴｌＢａ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ９、（ＴｌＰｂ）Ｓｒ２ＣａＣｕ２Ｏ７、および（ＴｌＰｂ）Ｓｒ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ９よりなる群から選択される。最も好ましくは、高温超伝導体は、Ｔｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８またはＹＢａ２Ｃｕ３Ｏ７である。
ＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイルは、さまざまな既知の技術によって形成することができる。平面コイルを基板の片面のみの上に形成することができる。しかし、好ましくは、平面コイルを、最初にＨＴＳ層を単結晶基板の両面上に堆積させることによって基板の両面上に形成する。好ましい技術において、ＨＴＳ層を、単結晶ＬａＡｌＯ３基板上に直接、または単結晶サファイア（Ａｌ２Ｏ３）基板上のＣｅＯ２バッファ層上に形成する。厚さ約５００ｎｍであり、約２：１：２の化学量論を有するＢａ：Ｃａ：Ｃｕ酸化物のアモルファス前駆体層を、Ｂａ：Ｃａ：Ｃｕ酸化物ターゲットからの軸外マグネトロンスパッタリングによって堆積させる。次に、前駆体フィルムを、空気中約４５分間８５０℃でＴｌ２Ｂａ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ１０とＴｌ２Ｏ３との粉末混合物の存在下でアニールすることによってタリネートする（ｔｈａｌｌｉｎａｔｅｄ）。この粉末混合物を加熱すると、Ｔｌ２Ｏが粉末混合物から放出され、前駆体フィルムに拡散し、それと反応して、Ｔｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８相を形成する。次に、サンプルを両面上でフォトレジストでコーティングし焼き付けをする（ｂａｋｅｄ）。
コイル設計マスクを準備する。次に、設計マスクを、基板の前面上のＴｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８フィルムを被覆するフォトレジスト上に中心に置き、紫外光に曝す。コイルが基板の両面上に同じＨＴＳパターンを有するべきである場合、次に、設計マスクを、基板の裏面上のＴｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８フィルムを被覆するフォトレジスト上に中心に置き、紫外光に曝す。次に、レジストを基板の両面上で現像し、レジストを現像するときに露出されたＴｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８フィルムの部分を、アルゴンビームエッチングによってエッチング除去する。次に、残りのフォトレジスト層を酸素プラズマによって除去する。結果は、所望のＨＴＳ自己共振受信コイルまたは送受信コイルである。
本発明によるＮＱＲ検出システムは、任意の目的で化学化合物の存在を検出するために使用することができるが、爆発物、薬物、またはいかなる種類の密輸品などの規制された物質の存在を検出するのに特に有用である。そのようなＮＱＲ検出システムは、安全システム、セキュリティシステム、または法執行スクリーニングシステムに有用に組入れることができる。たとえば、これらのシステムは、人および彼らの衣類、機内持込み品、手荷物、貨物、郵便物、および／または乗物を走査するために使用することができる。それらは、また、品質管理を監視するか、空気または水の質を監視するか、生物学的材料を検出するために使用することができる。
本発明の装置または方法が、特定の構成要素または工程を「含んでなる」、「含む」、「含有する」、「有する」、「から構成される（ｃｏｍｐｏｓｅｄ ｏｆ）」、または「によって構成される」と陳述または説明される場合、陳述または説明がそれと反対に明確に規定しない限り、明確に陳述または説明されたもの以外の１つもしくはそれ以上の構成要素または工程が、装置または方法に存在してもよいことが理解されるべきである。しかし、代替実施形態において、本発明の装置または方法は、特定の構成要素または工程から本質的になると陳述または説明してもよく、この実施形態において、装置または方法の動作の原理または際立った特徴を実質的に変更する構成要素または工程がその中に存在しない。さらなる代替実施形態において、本発明の装置または方法は、特定の構成要素または工程からなると陳述または説明してもよく、この実施形態において、陳述されたもの以外の構成要素または工程がその中に存在しない。
本発明の装置の構成要素または方法の工程の存在の陳述または説明に対して不定冠詞「ａ」または「ａｎ」が使用される場合、陳述または説明がそれと反対に明確に規定しない限り、そのような不定冠詞の使用が、装置の構成要素または方法の工程の存在を数で１に限定しないことが理解されるべきである。
Claims (13)
- 高温超伝導体自己共振送受信コイルと、受信機フロントエンドとを含んでなる核四重極共鳴検出システムであって、高温超伝導体自己共振送受信コイルが相互インダクタンスを介して受信機フロントエンドに結合される核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体自己共振送受信コイルが平面コイルである請求項１に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体自己共振送受信コイルの受信機フロントエンドへの結合が、インピーダンス整合をもたらすように調整される請求項１に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体が、ＹＢａ２Ｃｕ３Ｏ７、Ｔｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８、ＴｌＢａ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ９、（ＴｌＰｂ）Ｓｒ２ＣａＣｕ２Ｏ７、および（ＴｌＰｂ）Ｓｒ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ９よりなる群から選択される請求項１〜３のいずれかに記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体がＴｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８である請求項４に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体がＹＢａ２Ｃｕ３Ｏ７である請求項４に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体自己共振受信コイルと、受信機フロントエンドとを含んでなる核四重極共鳴検出システムであって、高温超伝導体自己共振受信コイルが相互インダクタンスを介して受信機フロントエンドに結合される核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体自己共振受信コイルが平面コイルである請求項７に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体自己共振受信コイルの受信機フロントエンドへの結合が、インピーダンス整合をもたらすように調整される請求項７に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体が、ＹＢａ２Ｃｕ３Ｏ７、Ｔｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８、ＴｌＢａ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ９、（ＴｌＰｂ）Ｓｒ２ＣａＣｕ２Ｏ７、および（ＴｌＰｂ）Ｓｒ２Ｃａ２Ｃｕ３Ｏ９よりなる群から選択される請求項７〜９のいずれかに記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体がＴｌ２Ｂａ２ＣａＣｕ２Ｏ８である請求項１０に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 高温超伝導体がＹＢａ２Ｃｕ３Ｏ７である請求項１０に記載の核四重極共鳴検出システム。
- 請求項１および７に記載の核四重極共鳴検出システムを含んでなる安全システム、セキュリティシステム、または法執行スクリーニングシステム。
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