JP2007500882A - 螢光性赤−橙色再帰反射シート材料 - Google Patents

Abstract

螢光性赤−橙色再帰反射物品が、ポリマー母材と、昼光照明条件下で赤−橙色の色を前記物品に与える量で添加された少なくとも１つの螢光染料と、を含有する。前記物品はまた、前記ポリマー母材の裏面に配置されたキューブコーナー要素を備える。前記物品が、少なくとも３５０または５００ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ２）の再帰反射性、および少なくとも２０、３０、または３５の明度Ｙを示すことができる。前記物品が、ＣＩＥ色度座標（０．５６０，０．３８０）、（０．５８０，０．３５５）、（０．６３３，０．３６６）および（０．６１０，０．３９０）によって境界を定められた好ましい赤−橙色の色空間の範囲内の色を示すことができる。かかる向上された性能に対応する染料条件は、全赤−橙色螢光色空間の右上部分に配置される特定の優先的な色空間に相応する傾向がある。

Description

本発明は、再帰反射シート材料、より詳しくは螢光性赤−橙色の色を示す、かかるシート材料に関する。

特に自然照明条件下で螢光色が視認度の増大をもたらすことができることは公知である。螢光色は、螢光色が環境に対して形成する視覚的コントラストが非螢光性物品より大きいので、向上された視認度を提供する。黄色および赤色の螢光色を使用する交通標識等の高視認性製品が製造されている。

高視認性もまた、防水着、カバーオール、上着、ポーラシャツ（ｐｏｌａｒ ｓｈｉｒｔｓ）、および高視認性ベストなどの安全衣服のために、および仮設道路標識等の他の高視認性用途のために望ましい。これらの製品は、赤−橙色の色を有するコンプライアント高光沢反射シート材料を必要とする。螢光性赤−橙色は、高視認性安全衣服のための米国規格協会（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｓｔａｎｄａｒｄｓ Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ）（ＡＮＳＩ）基準および欧州高視認性基準ＥＮ４７１によって、（０．６１０，０．３９０）、（０．５３５，０．３７５）、（０．５７０，０．３４０）および（０．６５５，０．３４４）によって画定された色度座標（ｘ，ｙ）の範囲内にあるものとしてＣＩＥ１９３１表色系によって画定される。

視認性および安全性を高めるために螢光性赤−橙色衣服および標識が望ましいにも関わらず、許容範囲の明度および再帰反射性性質を有する真の螢光性赤−橙色製品は、調合するのが困難であった。螢光性赤−橙色の色の範囲に含まれる安全衣服用の最近の製品は、ミネソタ州、セントポールの３Ｍカンパニー（３Ｍ Ｃｏｍｐａｎｙ，Ｓｔ．Ｐａｕｌ，Ｍｉｎｎｅｓｏｔａ）によって３Ｍ^ＴＭスコッチライト（Ｓｃｏｔｃｈｌｉｔｅ）^ＴＭ反射材料高光沢トリム（Ｒｅｆｌｅｃｔｉｖｅ Ｍａｔｅｒｉａｌ Ｈｉｇｈ Ｇｌｏｓｓ Ｔｒｉｍ）（および高光沢フィルム）として販売された製品、ならびにコネチカット州、エイボンのレフレクサイト・コーポレーション（Ｒｅｆｌｅｘｉｔｅ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ，Ａｖｏｎ， Ｃｏｎｎｅｃｔｉｃｕｔ）によって製造された鮮やかな橙色製品、およびカリフォルニア州、パサディナのエイブリィデニソン・コーポレーション（Ａｖｅｒｙ−Ｄｅｎｎｉｓｏｎ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ，Ｐａｓａｄｅｎａ，Ｃａｌｉｆｏｒｎｉａ）によって製造されたＷ−７５１４螢光性橙色再帰反射シート材料である。これらの製品は赤−橙色の色座標に含まれるが、それらは、強い印象を与えないレベルの再帰反射性、昼間の明度、またはそれらの組合せの難点がある傾向がある。より大きな明度および再帰反射性を提供することができる赤−橙色再帰反射製品は、最新技術に対してかなりの前進であろう。

ポリマー母材およびポリマー母材に添加された少なくとも１つの螢光染料で構成された螢光性赤−橙色再帰反射物品が本明細書において記載され、前記物品の色は、基準赤−橙色の色領域の優先部分の範囲内にある。前記優先部分は、好ましくはＣＩＥ色度のコーナーポイント（０．５８０，０．３８４）、（０．６０２３，０．３６０）、（０．６３３，０．３６６）および（０．６１０，０．３９０）によって画定された、赤−橙色の色領域の右上部分に位置している。前記物品は、高い明度および高い再帰反射性の良好なバランスを達成することができる。具体的に、前記物品は、少なくとも２０の輝度率（明度、またはｃａｐ Ｙ）および少なくとも３５０ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）の平均再帰反射性を達成することができる。より好ましくは、前記物品は、少なくとも３０の輝度率および少なくとも５００ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）の平均再帰反射性を達成する。

上記の簡単な要約が便宜的に提供されるが、決して本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、その範囲はここに添付した特許請求の範囲に示され、出願手続遂行の間に補正される場合がある。

図において、同じ参照符号によって示された要素は、同じかまたは同様な要素を表す。

本発明の態様を説明するときに、特定の用語は、以下に定義された意味をもつ。

「ＣＩＥ」は、測光および測色の国際勧告の責任団体である国際照明委員会（Ｃｏｍｍｉｓｓｉｏｎ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ ｄｅ ｌ’Ｅｃｌａｉｒａｇｅ）である。

「ＣＩＥ色度図（ＣＩＥ ｃｈｒｏｍａｔｉｃｉｔｙ ｄｉａｇｒａｍ）」または「ｘ，ｙ図（ｘ， ｙ ｄｉａｇｒａｍ）」は、色度座標（ｘ，ｙ）によって画定された点が、本技術分野に公知であるＣＩＥカラーマッチングシステムにおける色刺激の色度を表す二次元図を指す。図１は、特定された基準色領域を有する１９３１ＣＩＥ ｘ，ｙ色度図を示す。従って、物品の「色」（または「色度」もしくは「色度座標」）は、ＣＩＥ１９３１表色系を用いて、ＣＩＥ色度図上の点または領域（１つ以上の色度座標（ｘ，ｙ）を用いて表される）によって精密に測定または規定され得る。このシステムは、ＣＩＥ標準の光Ｄ６５および０°／４５°の幾何学的配置（表面の垂直軸（０°）と一致した方向および表面の垂直軸から４５°の方向に沿う方向に沿った照明）を使用し、従って、通常の昼光照明および観察条件をシミュレートする。特に記載しない限り、色を規定するためのこの規則が本明細書において用いられる。

「輝度率（Ｌｕｍｉｎａｎｃｅ ｆａｃｔｏｒ）」は、通常の昼光照明および観察条件下の物品の知覚された明度の尺度である。この率は、前記物品の公知のＣＩＥ三刺激値「Ｙ」として本明細書において表される。輝度率Ｙは、色刺激を規定する３つの原色の量を表す３つのＣＩＥ三刺激値（Ｘ，Ｙ，Ｚ）の２番目である。三刺激値を上述のＣＩＥ標準の光Ｄ６５および０°／４５°測定幾何学的配置を用いて試料から放射する光のスペクトルパワー密度から計算することができる。

「螢光（Ｆｌｕｏｒｅｓｃｅｎｃｅ）」は、１つの波長においての放射線を吸収し、その後、ほとんどただちに異なった波長において再放射することによって起こされる発光を指す。

「再帰反射性（Ｒｅｔｒｏｒｅｆｌｅｃｔｉｖｅ）」は、広範囲の入射角にわたって照明源の方向に入射光の相当な部分を戻す表面または物品を指す。次いで、表面が再帰反射性である度合は、その再帰反射係数（「Ｒ_Ａ」）または単にその再帰反射性と称される。再帰反射性は、カンデラ／ルクス／平方メートル（ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２））の単位で表され、特に記載しない限り、−４°の入射角および０．２°の観察角で測定される。多くの再帰反射表面、特に、プリズム状キューブコーナー要素で製造された再帰反射表面については、再帰反射性は、表面に垂直な軸を中心にしてのこの表面の回転の関数として変化し得る（かかる回転は、平らな表面の場合、表面を固定幾何学平面に維持する）。結果として、ここに記載された「平均再帰反射性」（または「平均Ｒ_Ａ」）は、２回の再帰反射性の測定の平均である：第１の測定は、Ｒ_Ａの最大値をもたらす量において表面の垂直軸を中心にして回転された試料に対して行なわれ、第２の測定は、第１の測定の試料の向きに対して表面の垂直軸を中心にして９０°回転された試料に対して行なわれる。もちろん、これらの第１および第２の測定は、試料上の、境界を接した同じ物理的領域を評価または試験する。

図１は、様々な色領域を示すＣＩＥ １９３１ｘ，ｙ色度図である。「赤−橙色」色空間内の領域は、本技術分野に公知である、ＣＩＥ（ｘ，ｙ）色度座標（０．６１０，０．３９０）、（０．５３５，０．３７５）、（０．５７０，０．３４０）および（０．６５５，０．３４４）によって画定される。図において、星印は、Ｄ６５照明源の白色を表す。

図２は、上記の座標の範囲内の色空間の赤−橙色領域を画定する図１の一部分の拡大図である。しかしながら、図２においても示すように、ミネソタ州、セントポールの３Ｍカンパニー（３Ｍ Ｃｏｍｐａｎｙ，Ｓｔ．Ｐａｕｌ，Ｍｉｎｎｅｓｏｔａ）によって販売された先行技術の製品３Ｍ^ＴＭスコッチライト^ＴＭ高光沢トリム（シリーズ６１８６）（Ａとして示される）、コネチカット州、エイボンのレフレクサイト・コーポレーションによって販売された「鮮やかな橙色」シート材料製品（Ｂとして示される）、およびカリフォルニア州、パサディナのエイブリィデニソン・コーポレーションによって販売されたＷ−７５１４螢光性橙色再帰反射シート材料製品（Ｃとして示される）の色度座標が測定される。さらに、実施例番号によって示される（以下に詳細に記載された）実施例の各々の色度座標が、同様に以下に記載される好ましい色空間の部分集合の境界と共に、示される。

本出願は、ポリマー母材中に分散された選択された染料組成物を有する螢光性赤−橙色再帰反射物品について記載する。染料混合物およびポリマーの色形成有効量の混合物を押出してシートを形成することによって、前記物品を製造することができる。キューブコーナー要素などの再帰反射要素をシートに適用するかまたはシート内に形成して構造物を再帰反射性にすることができる。十分なレベルの平均再帰反射性（少なくとも３５０ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）、より好ましくは少なくとも５００ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２））と十分なレベルの昼間明度（少なくとも２０、より好ましくは少なくとも３０またはさらに３５の輝度率Ｙ）との両方を示す螢光性赤−橙色再帰反射体をもたらすことができる適した染料組成物、レベル、および組合せが開示される。かかる向上された性能に対応する染料条件は、全赤−橙色螢光色空間の部分集合である特定の優先的な色空間に相応する傾向がある。特に、優先的な色空間は、ＣＩＥ色度座標（０．５８０，０．３８４）、（０．６１０，０．３９０）、（０．６３３，０．３６６）および（０．６０２３，０．３６０）によって画定される。

好ましい染料、ポリマー、およびフィルム条件については、染料の濃度は典型的に、ポリマーの重量に対して０．０８〜５重量パーセント（ｗｔ％）、より好ましくは０．０８〜３ｗｔ％、最も好ましくは０．０８〜１ｗｔ％の範囲である。しかしながら、所定のフィルムの厚さおよび染料組成物については、染料配合量のパーセンテージを高くすると、螢光性物品の輝度率を減少させる傾向があり、従って、染料の重量パーセントをできるだけ低くした所望の色特性を達成することが好ましい。又、適切な染料配合量のパーセンテージは、染料が配合されるフィルムの厚さおよび染料組成物に依存する。

前述の特定の光学性質を有する螢光性赤−橙色物品を達成することができる多数の適した染料の組合せがある。使用されてもよい実例となる市販の染料には、ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）７レッドＧＧおよびホスタゾル７イエロー３Ｇなどのチオキサンテン染料、ホスタゾル７レッド５Ｂなどのチオインジゴ染料、およびルモゲン（ＬＵＭＯＧＥＮ）７レッドＦ３００などのペリレン染料がある。ホスタゾル７レッドＧＧ（Ｃ．Ｉ．ソルベント・オレンジ（Ｓｏｌｖｅｎｔ Ｏｒａｎｇｅ）６３としても公知である）は、スイス、ムッテンズのクラリアント・コーポレーション（Ｃｌａｒｉａｎｔ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ，Ｍｕｔｔｅｎｚ，Ｓｗｉｔｚｅｒｌａｎｄ）から市販されている、１４Ｈ−アントラ９２，１，９−ｍｎａ］チオキサンテン−１４−オンとして化学的に説明される橙色螢光染料である。ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）７イエロー３Ｇ（Ｃ．Ｉ．ソルベント・イエロー（Ｓｏｌｖｅｎｔ Ｙｅｌｌｏｗ）９８としても公知である）は、スイス、ムッテンズのクラリアント・コーポレーション（Ｃｌａｒｉａｎｔ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ，Ｍｕｔｔｅｎｚ，Ｓｗｉｔｚｅｒｌａｎｄ）から市販されている、Ｎ−オクタデシル−ベンゾ［ｋ，１］チオキサンテン−３，４−ジカルボキシミドとして化学的に説明される黄色螢光染料である。ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）７レッド５Ｂ（Ｃ．Ｉ．ヴァット・レッド（Ｖａｔ Ｒｅｄ）４１としても公知である）は、スイス、ムッテンズのクラリアント・コーポレーション（Ｃｌａｒｉａｎｔ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ，Ｍｕｔｔｅｎｚ，Ｓｗｉｔｚｅｒｌａｎｄ）から市販されている、３−（ジメチルアミノ）−プロピルブロミドとして化学的に説明される赤色螢光染料である。ルモゲン（ＬＵＭＯＧＥＮ）７レッドＦ３００は、ドイツ、ルートウィヒスハーフェンのＢＡＳＦ・ＡＧ（ＢＡＳＦ ＡＧ，Ｌｕｄｗｉｇｓｈａｆｅｎ，Ｇｅｒｍａｎｙ）から市販されている赤色螢光性ペリレン染料である。具体的に調合および試験された染料混合物の例を以下に示す。

ポリマー母材が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含む。適した樹脂には、物品に形成され得るポリマーまたはコポリマーがある。適したポリマーには、可塑化および非可塑化ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリエステル、不飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアクリレート、またはポリメチルメタクリレートポリマーおよびコポリマーがある。前記ポリマーは、染料を好適に均一に分散させることができる粉末、ペレットまたはビードの形状であってもよい。

適したポリメチルメタクリレートポリマーには、テネシー州、コルドバのＩＣＩ アクリリックス（ＩＣＩ Ａｃｒｙｌｉｃｓ，Ｃｏｒｄｏｖａ，Ｔｅｎｎ．）から商品名 「ＡＣＰ ９２３」として市販の耐衝撃性改良 銘柄 ポリマー、ペンシルベニア州、フィラデルフィアのアトフィナ・ケミカルズ（Ａｔｏｆｉｎａ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ，Ｐｈｉｌａｄｅｌｐｈｉａ，Ｐａ）から商品名「プレキシグラス（ＰＬＥＸＩＧＬＡＳ）ＭＩ−７」として市販の中間銘柄耐衝撃性改良ポリメチルメタクリレートおよび商品名「プレキシグラス（ＰＬＥＸＩＧＬＡＳ）Ｖ８２５」として市販のポリメチルメタクリレートがある。

適したポリカーボネート樹脂には、ビスフェノール、ペンシルベニア州、ピッツバーグのベイヤー・コーポレーション（Ｂａｙｅｒ Ｃｏｒｐ．，Ｐｉｔｔｓｂｕｒｇｈ Ｐａ．）から商品名「ＦＣＲ−２４０７」として市販のポリカーボネート、ニューヨーク州、スケネクタディのゼネラル・エレクトリック（Ｇｅｎｅｒａｌ Ｅｌｅｃｔｒｉｃ Ｃｏｍｐａｎｙ，Ｓｃｈｅｎｅｃｔａｄｙ，Ｎ．Ｙ．）製の「レキサン（ＬＥＸＡＮ）１２３Ｒ」またはミシガン州、ミッドランドのダウ・ケミカル（Ｄｏｗ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏ．，Ｍｉｄｌａｎｄ，Ｍｉｃｈ．）製の「カリブレ（ＣＡＬＩＢＲＥ）３００ ＥＰ」などがある。

適したポリオレフィンポリマーには、デラウェア州、ウィルミントンのデュポン社（ＤｕＰｏｎｔ Ｃｏ．，Ｗｉｌｍｉｎｇｔｏｎ，Ｄｅｌ．）から商品名「ＢＹＮＥＬ３１００」シリーズ樹脂として市販の樹脂がある。

特定の用途のための樹脂の選択は、樹脂が押出シートの色性質に及ぼす効果、物品に加工する容易さ、および可撓性、耐衝撃性、伸び等の物品の物理的性質に依存する。適した樹脂は、物品の色、明度、または再帰反射性に悪影響を及ぼさない。当業者は、本願明細書に記載された方法によるかまたはアメリカ材料試験協会（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｓｏｃｉｅｔｙ ｏｆ Ｔｅｓｔｉｎｇ Ｍａｔｅｒｉａｌｓ）（ＡＳＴＭ）および米国規格協会（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｓｔａｎｄａｒｄｓ Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ）（ＡＮＳＩ）によって公開された方法など、方法の編集物に記載された方法によってこれらの性質を容易に測定することができる。

ここにおいて予想される螢光性物品はどんな形状であってもよく、好ましくは、シートまたはフィルムの形状である。圧縮成形、キャスチング、カレンダー処理、押出し等によって本技術分野においてよく理解されているように物品をポリマーおよび染料混合物から作製することができる。前記物品がシートまたはフィルムである実施態様において、シートの厚さは典型的に０．０２ｍｍ〜１．０ｍｍまたはより好ましくは０．０２ｍｍ〜０．２ｍｍである。典型的なシート実施態様は、螢光性赤−橙色染色シートの裏面に配置されたキューブコーナー再帰反射要素を有し、再帰反射される光が２回、着色フィルムの厚さを通過される。かかる実施態様において、キューブコーナー要素は、（金属蒸気コートではなく）空気に曝された小平面を優先的に有し、白色シールフィルムがキューブコーナー要素の後ろに提供される。

典型的な再帰反射材料は、照明源に向かって入射光を方向変換して戻すのに有効である小さなプリズム状キューブコーナー要素の単層を備える。かかる材料の多種多様な特定の設計が、当業者に公知である。キューブコーナー要素を単体染色シートの一方の面の上に形成することができ、またはそれらを別個の材料から形成し、染色シートに付着、接着、あるいは他の方法で固定することができる。代表的な再帰反射物品は、例えば、米国特許第２，４０７，６８０号明細書、米国特許第４，５１１，２１０号明細書、米国特許第４，９５０，５２５号明細書、米国特許第３，１９０，１７８号明細書、米国特許第４，０２５，１５９号明細書、米国特許第４，８９６，９４３号明細書、米国特許第５，０６４，２７２号明細書、米国特許第５，０６６，０９８号明細書、米国特許第３，６８４，３４８号明細書、米国特許第４，８０１，１９３号明細書、米国特許第４，８９５，４２８号明細書、米国特許第４，９３８，５６３号明細書、および米国特許第５，６９１，８４６号明細書に記載されている。

キューブコーナー再帰反射シート材料製品の典型的な品目は、ミネソタ州、セントポールの３Ｍカンパニーから商品名３Ｍ^ＴＭスコッチライト^ＴＭ高光沢反射材料として市販されている。

又、保護層またはオーバーレイを螢光性シートに適用して積層体の外（前）面を形成してもよい。オーバーレイを螢光性シートと同じポリマー樹脂から、または異なった樹脂から製造することができる。オーバーレイが可視光線に対して透明であってもよく、日光に暴露することの悪影響から積層体を保護するための紫外光吸収材料を含有することができる。紫外光吸収材料には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ（Ｃｉｂａ Ｓｐｅｃｉａｌｔｙ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ）から商品名「ティヌビン（ＴＩＮＵＶＩＮ）３２７」として入手可能であるようなベンゾトリアゾール、ニュージャージー州、ウエストパターソンのサイテック・インダストリーズ（Ｃｙｔｅｃ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｓ， Ｗｅｓｔ Ｐａｔｔｅｒｓｏｎ Ｎ．Ｊ．）から市販されている商品名「シアソーブ（ＣＹＡＳＯＲＢ）５３１」として入手可能であるようなベンゾフェノン、または商品名「シアソーブ（ＣＹＡＳＯＲＢ）ＵＶ １１６４」として入手可能であるようなトリアジンなどがある。又、オーバーレイは、天候、オゾン、研磨剤、および他の環境的な要因の悪影響から積層体を保護することができる。螢光性物品を形成する間に接着剤によるかまたは同時押出によって螢光性物品の他の部分にオーバーレイを付着させることができる。

典型的な実施態様において、螢光性赤−橙色シートまたはフィルムは、再帰反射シートまたは材料の成分である。例えば、この物品は、シートまたは材料の従来の層に代用されてもよい。ポリマー母材および染料が再帰反射シート材料の光学要素の一部として含有されるか、または再帰反射シート材料の光学要素に積層されるオーバーレイフィルム中に含有されてもよい。再帰反射シート材料が、光学要素、例えば、キューブコーナー要素などの微小複製要素、および例えば、米国特許第２，４０７，６８０号明細書、米国特許第４，５１１，２１０号明細書、米国特許第４，９５０，５２５号明細書、米国特許第３，１９０，１７８号明細書、米国特許第４，０２５，１５９号明細書、米国特許第４，８９６，９４３号明細書、米国特許第５，０６４，２７２号明細書、米国特許第５，０６６，０９８号明細書、米国特許第３，６８４，３４８号明細書、米国特許第４，８０１，１９３号明細書、米国特許第４，８９５，４２８号明細書、および米国特許第４，９３８，５６３号明細書のどれかに記載されているような少なくとも１つの付加的な層を含んでもよく、この付加的な層は、ポリマー母材および染料を含むことができる。かかる付加的な層には、要素のためのバインダー層、オーバーレイまたは上フィルム、およびシールフィルムなどが挙げられる。水、夾雑物等による汚染からキューブコーナー要素の小平面を保護する多数のシールされたセルを形成するために典型的にはＲＦ、超音波、パターン化エポキシ、高温の缶、または他の公知のシール技術によって、シールフィルムをチェーンリンクパターンまたは他の独立多角形パターンにおいてキューブコーナー要素の配列に適用することができる。上に参照された特許において理解されるように並びに螢光性物品を作製するための本明細書における説明によって再帰反射シートまたは材料を作製することができる。

図３において、再帰反射シート材料２０が、螢光性層２２と、キューブコーナー再帰反射要素２６がそこに形成された再帰反射層２４と、を備える。螢光性層２２は、キューブコーナー再帰反射要素２６を有する後面３２の反対側の前面３０に適用された保護オーバーレイ２８を有する。シールフィルム３４が、キューブコーナー再帰反射要素２６の突出コーナー３６の上に配置され、空気または他の気体環境中のキューブコーナー再帰反射要素２６をシールするために独立セルのパターン（図示せず）において再帰反射層２４に接合される。シールフィルム３４は、キューブコーナー再帰反射要素２６の小平面において空気との境界面を維持するのを助け、効率的な再帰反射のためにかかる小平面においての内部全反射を保持する。シールフィルム３４は、上に記載したように、ハーメチックシールされたセルを提供する断続パターンにおいて、再帰反射層２４にヒートシール、接着剤によって接着、高周波（ＲＦ）融着または超音波融着されてもよい。シールフィルム３４はまた、ＴｉＯ_２粒子などで適切に着色される場合、均一な白色裏材を提供して構造物の明度をさらに向上することができる。再帰反射シート材料２０は、縫製または他の公知の付着技術によって高視認性衣服などの物品に固定されてもよい。

図４は、別の再帰反射シート材料の実施態様２１を示し、図３の再帰反射シート材料２０を用いて接着剤裏材を有する積層体を形成する。シールフィルム３４の表面３７は、支持層４０上に接着剤層３８と接触して配置される。支持層４０は例えば、紙、ポリエステルまたはポリオレフィンであってもよく、好ましくは、接着剤３８と接触して表面４２上にシリコーン剥離剤などの剥離コーティング（図示せず）を有する。支持層４０は、シート材料２１から剥ぎ取られてもよく、シート材料を支持体（図示せず）に付着させる前にフィルム３４の表面３６上に接着剤３８を残す。

以下の実施例は、先行技術の赤−橙色再帰反射製品ならびに本明細書において開示された他の再帰反射シート材料の実施態様の色、明度、および再帰反射性を示す。実施例１〜１１の物品は、１００回転／分（ｒｐｍ）のロータ速度においてニュージャージー州、サウスハッケンサックのＣ．Ｗ．ブラベンダー・インストルメンツ社（Ｃ．Ｗ．Ｂｒａｂｅｎｄｅｒ Ｉｎｓｔｒｕｍｅｎｔｓ，Ｉｎｃ．，Ｓｏｕｔｈ Ｈａｃｋｅｎｓａｃｋ，ＮＪ）から入手可能な混合ヘッドを用いて染料を可塑化ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）中に混合することによって形成された。特に記載しない限り、実施例の各々のブレンド中の染料の総量は、０．１ｗｔ％であった。次いで、その熱板が１８０℃に加熱されていた液圧プレスを用いて、混合物を厚さ約０．２５ｍｍのフィルムに加圧した。加圧されたフィルムをただちに、第２のプレスの水冷却された熱板の間に置き、加圧し、フィルムを急冷した。次に、ミネソタ州、セントポールの３Ｍカンパニーから入手可能な従来の３Ｍ^ＴＭスコッチライト^ＴＭ高光沢反射材料において見出されるのと同じ寸法、幾何学的配置、および組成物を有するキューブコーナー要素の配列を、キャスチングおよび硬化方法によって、製造されたフィルムの一方の主面の上に形成した。キューブコーナー要素は、米国特許第５，６９１，８４６号明細書（ベンソン・ジュニア（Ｂｅｎｓｏｎ，Ｊｒ．）ら）に記載されているように、多官能性アクリレートの透明なブレンドから製造されたピラミッド構造体である。キューブコーナー要素の小平面は空気に暴露され、すなわち、アルミニウム蒸気コートはキューブコーナー要素に適用されなかった。

各試料の色（ＣＩＥ色度座標における）および明度（輝度率、Ｙ）を、０／４５測定の幾何学的配置において標準の光Ｄ６５で２つのモノクロメーターを有するラブスフェア（Ｌａｂｓｐｈｅｒｅ）ＢＦＣ−４５０ ビスペクトル（Ｂｉｓｐｅｃｔｒａｌ）螢光比色計を用いて測定した。先行技術の試料の各々、ならびに番号付けした実施例１２は、裏材フィルム（シールフィルムなど）がキューブコーナー要素の後ろに配置された。番号付けした実施例１〜１１については、厚さ０．２５ｍｍ（０．０１０インチ）の白色可塑化ポリ塩化ビニルフィルム３Ｍ^ＴＭスコッチライト^ＴＭ反射材料高光沢トリム（シリーズ６１８６）製品において用いられた白色シールフィルムと同じは、色および明度を測定する間、キューブコーナー要素の後ろに配置され（しかし、それに接着されなかった）、白色シールフィルムの存在をシミュレートした。再帰反射性（Ｒ_Ａ、カンデラ／ルクス／平方メートルの単位）を、ＲＭ−２分光計を用いて測定した。色および明度の測定のための試験用配置、ならびに再帰反射性の測定のための試験用配置は、各試料の試験下の領域について直径１インチ（２５．４ｍｍ）スポットサイズを用いた。

先行技術
ミネソタ州、セントポールの３Ｍカンパニーによって販売されている３Ｍ^ＴＭスコッチライト（Ｓｃｏｔｃｈｌｉｔｅ）^ＴＭ反射材料高光沢トリム（Ｒｅｆｌｅｃｔｉｖｅ Ｍａｔｅｒｉａｌ Ｈｉｇｈ Ｇｌｏｓｓ Ｔｒｉｍ）（シリーズ６１８６）が得られた。この製品は、単一螢光染料、ローダミン（Ｒｈｏｄａｍｉｎｅ）Ｂを０．６重量％含有する、厚さ０．２５ｍｍ（０．０１０インチ）の可塑化ＰＶＣ層を備える。又、この製品は、キューブコーナー要素の後ろに配置され、シールラインの幾何学的パターンにおいてキューブコーナー要素層に接合された上に記載された白色シールフィルムを備える。幾何学的パターンは、これらのシールラインとのオーバーラップを避けるように光学測定用の１インチのサンプリング領域が配置されることを可能にするように十分に大きかった。試料は以下の性質を有することがわかった。

３Ｍ^ＴＭスコッチライト^ＴＭ反射材料高光沢トリム（６１８６）

コネチカット州、エイボンのレフレクサイト・コーポレーションによって販売された鮮やかな橙色製品が得られた。この製品は、再帰反射キューブコーナー要素を含む前または上部のほとんど透明な（無色）部分と、キューブコーナー要素の後ろに配置され、シールラインの幾何学的パターンにおいてキューブコーナー要素層に接合された橙色−着色シールフィルムとを有した。従って、前記製品は、橙色シールフィルムの結果として赤−橙色の昼間の外観を有したが、試験された他の２つの先行技術の試料および列挙された実施例と異なり、再帰反射光はほとんど白色であった。シールラインの幾何学的パターンは、これらのシールラインとのオーバーラップを避けるように光学測定用の１インチのサンプリング領域が配置されることを可能にするように十分に大きくなかった。試料は以下の性質を有することがわかった。

レフレクサイト（ＲＥＦＬＥＸＩＴＥ）の鮮やかな橙色

再帰反射性の比較的高い値は、主として、着色フィルムがほとんど無色の再帰反射キューブコーナー層の後ろに配置され、白再帰反射光をもたらす特定の構造物のためである。

カリフォルニア州、パサディナのエイブリィデニソン・コーポレーションによって販売されたＷ−７５１４螢光性橙色再帰反射シート材料が得られた。この製品は、染料を含む前または上部再帰反射部分と、キューブコーナー要素の後ろに配置され、シールラインの幾何学的パターンにおいてキューブコーナー要素層に接合された白色シールフィルムとを有した。幾何学的パターンは、これらのシールラインとのオーバーラップを避けるように光学測定用の１インチのサンプリング領域が配置されることを可能にするように十分に大きくなかった。試料は以下の性質を有することがわかった。

Ｗ−７５１４螢光性橙色再帰反射シート材料

実施例１〜４
実施例１〜４は、ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）ＧＧ（２Ｇ）（赤）螢光染料と混合されたホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）３Ｇ（黄）螢光染料を使用した（ただし、ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）ＧＧ（２Ｇ）（赤）螢光染料だけを使用した実施例４を除外する）。列挙された染料のパーセンテージは相対量であり、これらの実施例においての染料の総量は０．１ｗｔ％であることに留意のこと。実施例１〜４の光学性質の測定値を表１にまとめる。

表１

実施例５〜６
実施例５〜６は、ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）５Ｂ（赤）螢光染料と混合されたホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）３Ｇ（黄）螢光染料を使用した。列挙された染料のパーセンテージは相対量であり、これらの実施例においての染料の総量は０．１ｗｔ％であることに留意のこと。これらの実施例の光学性質の測定値を表２にまとめる。

表２

実施例７
実施例７は、ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）３Ｇ（黄）とルモゲン（ＬＵＭＯＧＥＮ）Ｆ３００（赤）螢光染料との混合物を使用した。列挙された染料のパーセンテージは相対量であり、これらの実施例においての染料の総量は０．１ｗｔ％であることに留意のこと。この実施例の光学性質の測定値を表３にまとめる。

表３

実施例８〜１１
実施例８〜１１は、ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）３Ｇ（黄）とホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）ＧＧ（２Ｇ）（赤）螢光染料との混合物を使用し、又、屋外暴露条件下で染料安定性および色彩堅牢度を提供するために使用された、ヒンダードアミン光安定剤（ＨＡＬＳ）ティヌビン（ＴＩＮＵＶＩＮ）７７０を０．２重量％および紫外線吸収剤ティヌビン（ＴＩＮＵＶＩＮ）３２８を０．２重量％含有した。列挙された染料のパーセンテージは相対量であり、これらの実施例においての染料の総量は０．１ｗｔ％であることに留意のこと。これらの実施例の光学性質の測定値を表４にまとめる。

表４

実施例１２
実施例１２については、先行の実施例において用いられた同じ可塑化ＰＶＣに２つの染料を配合したが、次いで、染色可塑化ＰＶＣを厚さ０．１９ｍｍ（０．００７５インチ）のフィルムにカレンダー処理した。両方の染料の全体としての濃度は０．１４重量％であり、染料の相対的な比は、螢光性黄色ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）３Ｇについて４０％および螢光性赤色ホスタゾル（ＨＯＳＴＡＳＯＬ）ＧＧ（２Ｇ）については６０％である。０．８８重量％の紫外線吸収剤ティヌビン（ＴＩＮＵＶＩＮ）９２８と０．８８重量％のヒンダードアミン光安定剤（ＨＡＬＳ）ティヌビン（ＴＩＮＵＶＩＮ）２９２とを配合された、厚さ０．０２５ｍｍ（０．００１インチ）の保護ウレタンフィルムを、染色ＰＶＣフィルムの前面に積層した。実施例１〜１１の場合と同じ寸法、幾何学的配置、および組成物のキューブコーナー要素を、染色ＰＶＣフィルムの裏面の上にキャストおよび硬化させた。最後に、白色シールフィルムを、シールラインの幾何学的パターンにおいてキューブコーナー要素層に適用した。幾何学的パターンは、これらのシールラインとのオーバーラップを避けるように光学測定用の１インチのサンプリング領域が配置されることを可能にするように十分に大きかった。試料が以下の光学性質を有することがわかった。

表５（実施例１２）

前述の実施例から見ることができるように、様々な螢光染料の組合せを様々な製品構造物において調合して、赤−橙色螢光色ならびに十分なレベルの平均再帰反射性（少なくとも３５０ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）、多くの場合、少なくとも５００ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２））および十分なレベルの昼間明度（少なくとも２０の輝度率Ｙ、多くの場合、少なくとも３０またはさらに３５）を有する再帰反射物品を提供することができる。かかる向上された性能に対応する染料条件は、全赤−橙色螢光色空間の右上部分に配置される特定の優先的な色空間に相応する傾向がある。特に、優先的な色空間は、ＣＩＥ色度座標（０．５８０、０．３８４）、（０．６１０，０．３９０）、（０．６３３、０．３６６）および（０．６０２３、０．３６０）によって画定される。向上された明度および再帰反射性性質、および好ましい色座標を達成したまま、上に記載された特定の実施例からの、染料の組成および濃度、フィルムの組成および他の性質、ならびに製品構造物の詳細に変更を加えることができることは当業者によって理解されよう。

本発明は好ましい実施態様に対して記載されたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形状および詳細において変更を加えてもよいことを認識するであろう。

様々な色空間を略示する図中の領域を示すＣＩＥ １９３１ｘ，ｙ色度図である。 標準赤−橙色の色空間、赤−橙色の色空間の好ましい部分、および本明細書において測定および説明された試料を表す点を示すＣＩＥ １９３１ｘ，ｙ色度図である。 赤−橙色再帰反射シート材料の１つの実施態様の一部分の断面図である。 赤−橙色再帰反射シート材料の別の実施態様の一部分の断面図である。

Claims (15)

1. ポリマー母材と、
   昼光照明条件下で赤−橙色の色を有する物品を提供するのに十分な量で前記ポリマー母材に添加された少なくとも１つの螢光染料と、
   前記ポリマー母材を通過した光を受容するように配置された再帰反射要素と、
   を含み、少なくとも３５０ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）の平均再帰反射性および少なくとも２０の輝度率Ｙを有する、螢光性赤−橙色再帰反射物品。
2. 少なくとも５００ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）の平均再帰反射性および少なくとも３０の輝度率Ｙを有する、請求項１に記載の物品。
3. 少なくとも３５の輝度率Ｙを有する、請求項２に記載の物品。
4. 前記赤−橙色の色のＣＩＥ色度座標（ｘ，ｙ）が、ＣＩＥ色度座標（０．５６０，０．３８０）、（０．５８０，０．３５５）、（０．６３３，０．３６６）および（０．６１０，０．３９０）によって境界を定められた色空間の範囲内である、請求項１に記載の物品。
5. ポリマー母材と、
   昼光照明条件下で赤−橙色の色を有する物品を提供するのに十分な量で前記ポリマー母材に添加された少なくとも１つの螢光染料と、
   前記ポリマー母材を通過した光を受容するように配置された再帰反射要素と、
   を含み、前記赤−橙色の色のＣＩＥ色度座標（ｘ，ｙ）が、ＣＩＥ色度座標（０．５６０，０．３８０）、（０．５８０，０．３５５）、（０．６３３，０．３６６）および（０．６１０，０．３９０）によって境界を定められた色空間の範囲内である、螢光性赤−橙色再帰反射物品。
6. 少なくとも５００ｃｄ／（ｌｕｘ・ｍ^２）の平均再帰反射性および少なくとも３０の輝度率Ｙを有する、請求項５に記載の物品。
7. 前記少なくとも１つの螢光染料がチオキサンテン螢光染料を含む、請求項１または５に記載の物品。
8. 前記少なくとも１つの螢光染料が、チオキサンテン化合物、チオインジゴ化合物、およびペリレン化合物からなる群から選択される前記ポリマー母材に添加された螢光染料の混合物を含む、請求項１または５に記載の物品。
9. 螢光染料の前記混合物が、約０〜４０％のチオキサンテン黄色螢光染料および約６０〜１００％のチオキサンテン赤色螢光染料を含む、請求項８に記載の物品。
10. 前記ポリマー母材が、０．０２〜１ｍｍの厚さを有する層の形状である、請求項１または５に記載の物品。
11. 前記再帰反射要素がキューブコーナー要素を含む、請求項１０に記載の物品。
12. 前記キューブコーナー要素が、空気に曝された小平面を有する、請求項１１に記載の物品。
13. 前記キューブコーナー要素に近接して配置された白色シールフィルムをさらに含む、請求項１２に記載の物品。
14. 前記ポリマー母材が、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、および可塑化および非可塑化ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）のうちの少なくとも１つを含む、請求項１または５に記載の物品。
15. 前記ポリマー母材がポリ塩化ビニルを含む、請求項１４に記載の物品。
    

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