JP2007335904A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光輝度、発光効率の向上、及びそれらと耐久性の両立を達成した有機EL素子、及び該有機EL素子を用いた発光輝度の高い、耐久性の良好な表示装置を提供する。
【解決手段】ホスト化合物及び燐光性化合物を含有する発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該素子を構成する何れかの層に下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】
Figure 2007335904

【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)及び表示装置に関し、詳しくは発光輝度、発光効率及び耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそれを有する表示装置に関する。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子には、更なる低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。
例えば、特許第3,093,796号では、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成している。
又、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(特開昭63−264692号公報)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(特開平3−255190号公報)が知られている。以上のように、蛍光量子収率の高い蛍光体をドープすることによって、従来の素子に比べて発光輝度を向上させている。
しかし、上記のドープされる微量の蛍光体からの発光は、励起一重項からの発光であり、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。ところが、プリンストン大から励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子が報告がされて以来(M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154頁(1998年))、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)、US特許6,097,147号など)。励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が最大4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
燐光性化合物をドーパントとして用いる際のホスト化合物は、燐光性化合物の発光極大波長よりも短波な領域に発光極大波長を有することが必要であることはもちろんであるが、その他にも満たすべき条件があることが分かってきた。
The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL ’00、浜松)では、燐光性化合物についていくつかの報告がなされている。例えば、Ikaiらはホール輸送性の化合物を燐光性化合物のホストとして用いている。又、M.E.Tompsonらは、各種電子輸送性材料を燐光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いている。更に、Tsutsuiらは、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得ている。
燐光性化合物のホスト化合物については、例えば、C.Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.,77巻、904頁(2000年)等に詳しく記載されているが、高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を得るためにホスト化合物に必要とされる性質について、より新しい観点からのアプローチが必要である。
しかし、何れの報告も、素子の発光輝度の向上及び耐久性を両立しうる構成は得られていない。
従って、本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は発光輝度、発光効率の向上、及びそれらと耐久性の両立を達成した有機EL素子、及び該有機EL素子を用いた発光輝度の高い、耐久性の良好な表示装置を提供するものである。
本発明の上記目的は、以下により達成された。
1.ホスト化合物及び燐光性化合物を含有する発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該素子を構成する何れかの層に下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2007335904
式中、R31は水素原子又は一価の置換基を表し、n3は0〜2を表し、Z3は5員環を形成するのに必要な原子群を表す。
2.一般式(3)で表される化合物を電子輸送層に含有することを特徴とする前記1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.一般式(3)で表される化合物の何れかをホスト化合物として発光層に含有することを特徴とする前記1または2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.燐光性化合物がイリジウム化合物、オスミウム化合物又は白金化合物であることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.燐光性化合物がイリジウム化合物であることを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
本発明によれば発光輝度に優れ、長寿命な有機EL素子及び該有機EL素子を有する表示装置が得られるという顕著に優れた効果を奏する。
本発明者等は、燐光発光用の材料について鋭意検討を重ねた結果、分子内に特定構造を有するピリミジン誘導体を有機EL素子を構成する何れかの層に含有させて有機EL素子を形成した場合、該素子の発光輝度、発光効率及び寿命が格段に改善されることを見出し本発明に至ったものである。
尚、トリアジン誘導体を有機EL素子材料として用いた例としては、特開平5−263074、同7−157473、同8−199163、同11−292860、特表平11−514143等にて開示されている。しかし、何れの報告も、燐光性化合物を発光層に含有した素子に適用した例はない。又、特開2002−100476では燐光性化合物を含有した素子に適用した例はあるが、本発明で挙げた特定構造のトリアジン誘導体についての記載はなく、特に、ホスト化合物として用いた場合の有用性を示すデータの開示はない。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の有機EL素子は、ホスト化合物及び燐光性化合物を含有する発光層を有し、該有機EL素子を構成する何れかの層に分子内に特定構造を有する、上記一般式(3)で表されるピリミジン誘導体を含有することを特徴とする。
本発明において「ホスト化合物」とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。更に、発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。従って、本発明における燐光性化合物はドーパント化合物の一種である。
本発明における「燐光性化合物」とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、燐光量子収率が、25℃において0.001以上の化合物である。燐光量子収率は好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられる燐光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記燐光量子収率が達成されれば良い。
本発明で用いられる燐光性化合物としては、好ましくは元素の周期律表でVIII属の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、本発明で用いられる燐光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
Figure 2007335904
Figure 2007335904
Figure 2007335904
又、別の形態では、ホスト化合物と燐光性化合物の他に、燐光性化合物からの発光の極大波長よりも長波な領域に、蛍光極大波長を有する蛍光性化合物を少なくとも1種含有する場合もある。この場合、ホスト化合物と燐光性化合物からのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光性化合物からの発光が得られる。蛍光性化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光性化合物は、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
ここでの蛍光量子収率も、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することが出来る。
前記燐光性化合物は、前記のような燐光量子収率が、25℃において0.001以上である他、前記ホストとなる蛍光性化合物の蛍光極大波長よりも長い燐光発光極大波長を有するものであり、これにより、例えば、ホストとなる蛍光性化合物の発光極大波長より長波の燐光性化合物を用いて燐光性化合物の発光、即ち三重項状態を利用した、ホスト化合物の蛍光極大波長よりも長波において電界発光するEL素子を得ることができる。従って、用いられる燐光性化合物の燐光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には、中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることができる。
例えば、350〜440nmの領域に蛍光極大波長を有する蛍光性化合物をホスト化合物として用い、例えば、緑の領域に燐光を有するイリジウム錯体を用いることで緑領域に電界発光する有機EL素子を得ることが出来る。
又、別の形態では、前記のように、ホスト化合物としての蛍光性化合物Aと燐光性化合物の他に、燐光性化合物からの発光の極大波長よりも長波な領域に、蛍光極大波長を有するもう一つの蛍光性化合物Bを少なくとも1種含有する場合もあり、蛍光性化合物Aと燐光性化合物からのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光性化合物Bからの発光を得ることも出来る。
本明細書の蛍光性化合物が発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
続いて本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
本発明におけるホスト化合物としては、特定構造を有するピリミジン誘導体であり、とりわけ一般式(3)で表される化合物であることが要求される。最初にこの化合物の上位概念に当たる一般式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 2007335904
式中、R11〜R14は水素原子又は一価の置換基を表し、少なくとも1つは炭素原子、酸素原子、硫黄原子又はケイ素原子を介して結合する置換基を表す。
11〜R14で表される一価の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、スチリル基等)、アルキニル基(エチニル基等)、アルキルオキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルキオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。
それぞれの置換基は更に置換基を有していても良い。又、置換基同士が結合し、環を形成しても良い。
一般式(1)において、好ましくはR11、R12、R13及びR14のうち少なくとも1つが炭化水素芳香族基(上記のアリール基)であり、一般式(1)の下位概念に当たる下記一般式(2)で表される場合も好ましい。
Figure 2007335904
一般式(2)においてAr21〜Ar23は芳香族基を表し、R21〜R23は一価の置換基を表す。l、m及びnはそれぞれ0〜4の整数を表す。
好ましくはR21〜R23がアルキル基であり、l、m及びnが2〜4の場合であり、更に好ましくはAr21〜Ar23のうち少なくとも1つがチエニル基の時である。尚、l、m、nが2〜4の場合、対応する複数のR21、R22及びR23は同一でも異なっていても良い。
又、一般式(1)で表される化合物が一般式(3)で表される特定構造の縮合環であることも好ましい。
本発明に係る一般式(3)において、R31は水素原子又は一価の置換基を表し、n3は0〜2を表し、Z3は5員環を形成するのに必要な原子群を表す。
Z3で形成される5員環は、更に置換基を有していてもよい。R31で表される一価の置換基としては、R11〜R14と同様のものが挙げられる。n3が2の場合、複数のR31は同一でも異なっていても良い。
以下に、本発明の具体的化合物例(3−1〜3−6)及び関連する化合物の例を示す。本発明における化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007335904
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又、ホスト化合物の分子量は600〜2000であることが好ましい。分子量が600〜2000であるとTg(ガラス転移温度)が上昇し、熱安定性が向上し、素子寿命が改善される。より好ましい分子量は800〜2000である。
これらの化合物は公知の方法によって製造が可能であるが、例えば特開2001−93670等に記載された方法を用いることができる。
以下、有機EL素子について説明する。
有機EL素子における発光層は、広義の意味では、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する層のことを指す。具体的には、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する蛍光性化合物を含有する層のことを指す。通常、EL素子は一対の電極の間に発光層を挟持した構造をとる。
本発明の有機EL素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、陽極バッファー層及び陰極バッファー層等を有し、陰極と陽極で挟持された構造をとる。具体的には以下に示される構造が挙げられる。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
上記一般式で表される化合物を用いて発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により薄膜を形成する方法があるが、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、上記一般式で表される化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態又は液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜はLB法により形成された薄膜(分子累積膜)と、凝集構造、高次構造の相違やそれに起因する機能的な相違により区別することができる。
又、この発光層は、特開昭57−51781号に記載されているように、樹脂などの結着材と共に発光材料として上記一般式で表される化合物を溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法などにより塗布して薄膜形成することにより得ることができる。
このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
次に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等、発光層と組み合わせてEL素子を構成するその他の層について説明する。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、その上、発光層に陰極、電子注入層又は電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔注入層もしくは正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。この正孔注入層、正孔輸送層の材料(以下、正孔注入材料、正孔輸送材料という)については、前記の陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
上記正孔注入材料、正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。この正孔注入材料、正孔輸送材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料、正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更に米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
又、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記正孔注入材料、正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
更に、必要に応じて用いられる電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。又、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
この電子輸送層は、上記一般式で表される化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。電子輸送層の膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子輸送層は、これらの電子輸送材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、或いは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
又、本発明においては、蛍光性化合物は発光層のみに限定することはなく、発光層に隣接した正孔輸送層、又は電子輸送層に前記燐光性化合物のホスト化合物となる蛍光性化合物と同じ領域に蛍光極大波長を有する蛍光性化合物を少なくとも1種含有させてもよく、それにより更にEL素子の発光効率を高めることができる。これらの正孔輸送層や電子輸送層に含有される蛍光性化合物としては、発光層に含有されるものと同様に蛍光極大波長が350〜440nm、更に好ましくは390〜410nmの範囲にある蛍光性化合物が用いられる。
又、本発明においては、発光効率、及び耐久性の点から上記一般式(1)〜(3)で表される化合物を電子輸送層に含有することも好ましい。
本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基盤は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、又、透明のものであれば特に制限はない。本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基盤としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
次に、該有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなるEL素子の作製法について説明する。
まず適当な基板上に、所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる薄膜を形成させる。
更に、陽極と発光層又は正孔注入層の間、及び、陰極と発光層又は電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウム、酸化リチウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
更に上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。
次に有機EL素子の電極について説明する。有機EL素子の電極は、陰極と陽極からなる。
この有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
上記陽極は蒸着やスパッタリングなどの方法によりこれらの電極物質の薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光効率が向上するので好都合である。
次に有機EL素子の作製方法について説明する。
薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、真空蒸着法が好ましい。薄膜化に真空蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
前記の様に、適当な基板上に所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製した後、該陽極上に前記の通り正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる各層薄膜を形成させた後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陰極を設け、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫してこの様に正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた有機EL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。又、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になった場合のみ発光する。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。又、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
実施例1
〈有機EL素子の作製〉
有機EL素子OLED1−1〜1−15を以下のように作製した。
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにカルバゾール誘導体(CBP)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにバソキュプロイン(BCP)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに燐光性化合物(Ir−1)を100mg入れ、更に別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlq3を200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで透明支持基板に蒸着し、膜厚45nmの正孔輸送層を設けた。更に、CBPとIr−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/sec、0.01nm/secで前記正孔輸送層上に共蒸着して膜厚20nmの発光層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。更に、BCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。その上に、更に、Alq3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/secで前記電子輸送層の上に蒸着して更に膜厚40nmの電子注入層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
引き続きフッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子OLED1−1を作製した。
発光層のCBPを表1に示す化合物に置き換えた以外は全く同じ方法で、有機EL素子OLED1−2〜1−15を作製した。
上記で使用した化合物の構造を以下に示す。
Figure 2007335904
〈有機EL素子の評価〉
以下のようにして得られた有機EL素子の評価を行い、結果を表1に示す。
1)発光輝度、発光効率
有機EL素子OLED1−1では、初期駆動電圧3Vで電流が流れ始め、発光層のドーパントである燐光性化合物からの緑色の発光を示した。有機EL素子OLED1−1の温度23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧を印加した時の発光輝度(cd/m2)、発光効率(lm/W)を測定した。
発光輝度、発光効率は有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表した。発光輝度については、CS−1000(ミノルタ製)を用いて測定した。
2)耐久性
10mA/cm2の一定電流で駆動したときに初期輝度が元の半分に低下するのに要した時間である半減寿命時間を指標として表した。半減寿命時間は有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表した。
Figure 2007335904
表1から明らかなように、上記一般式(3)で表されるピリミジン誘導体化合物をホスト化合物に用いた有機EL素子は、発光輝度及び発光効率が高く、半減寿命時間が長いことから、有機EL素子として非常に有用であることが判る。
又、燐光性化合物(Ir−1)をIr−12又はIr−9に変更した以外は有機EL素子OLED1−1〜1−15と同様にして作製した有機EL素子においても同様の効果が得られた。尚、Ir−12を用いた素子からは青色の発光が、Ir−9を用いた素子からは赤色の発光が得られた。
実施例2
実施例1の有機EL素子OLED1−1の電子輸送層におけるBCPを表2に示す化合物に置き換えた以外は全く同じ方法で有機EL素子OLED2−1〜2−10を作製した。
次いで実施例1と同様の方法で発光輝度、発光効率及び半減寿命時間(耐久性)を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2007335904
表2から明らかなように、上記一般式(3)で表されるピリミジン誘導体化合物の何れかを電子輸送層に用いた有機EL素子は、発光輝度、発光効率及び耐久性が改善されているのが分かる。
実施例3
実施例1で作製したそれぞれ赤色、緑色、青色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、図1に示すアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。図1には作製したフルカラー表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。即ち同一基板上に、複数の走査線2及びデータ線3を含む配線部と、並置した複数の画素1(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線2及び複数のデータ線3はそれぞれ導電材料からなり、走査線2とデータ線3は格子状に直交して、直交する位置で画素1に接続している(詳細は図示せず)。前記複数画素1は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線2から走査信号が印加されると、データ線3から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。この様に各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
得られたフルカラー表示装置を駆動することにより、輝度が高く耐久性の良好な、鮮明なフルカラー動画表示が得られた。
フルカラー表示装置の表示部の模式図。
符号の説明
A 表示部
1 画素
2 走査線
3 データ線

Claims (6)

  1. ホスト化合物及び燐光性化合物を含有する発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該素子を構成する何れかの層に下記一般式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2007335904
    式中、R31は水素原子又は一価の置換基を表し、n3は0〜2を表し、Z3は5員環を形成するのに必要な原子群を表す。
  2. 一般式(3)で表される化合物を電子輸送層に含有することを特徴とする請求項1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 一般式(3)で表される化合物の何れかをホスト化合物として発光層に含有することを特徴とする請求項1または2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 燐光性化合物がイリジウム化合物、オスミウム化合物又は白金化合物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 燐光性化合物がイリジウム化合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
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