JP2007335430A - 回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に、相手側端子と電気的に接続される電極の電気抵抗を低く形成出来るとともに耐マイグレーション性を向上させることができ、前記相手側端子と良好な電気的接続を図ることが可能な回路基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 絶縁基板2上に形成される電極4を、銀の有機化合物を有する銀ペーストを焼成して形成している。前記焼成により有機物は熱分解し銀が析出し、前記電極4はほぼ銀で形成される。この結果、前記電極4は低抵抗で、しかも半田濡れ性に優れたものとなる。よって電極表面4aを直接、半田6で覆うことが可能であり、前記電極表面4aを半田6で覆ったことで前記電極4の耐マイグレーション性を向上させることが出来、電子部品7の端子部8との電気的接続性を良好なものに出来る。
【選択図】図2
【解決手段】 絶縁基板2上に形成される電極4を、銀の有機化合物を有する銀ペーストを焼成して形成している。前記焼成により有機物は熱分解し銀が析出し、前記電極4はほぼ銀で形成される。この結果、前記電極4は低抵抗で、しかも半田濡れ性に優れたものとなる。よって電極表面4aを直接、半田6で覆うことが可能であり、前記電極表面4aを半田6で覆ったことで前記電極4の耐マイグレーション性を向上させることが出来、電子部品7の端子部8との電気的接続性を良好なものに出来る。
【選択図】図2
Description
本発明は、相手側端子と電気的に接続される電極の電気抵抗を低く出来るとともに耐マイグレーション性を向上させることができ、前記相手側端子と良好な電気的接続を図ることが可能な回路基板及びその製造方法に関する。
回路基板上に形成される導電パターンには、価格、電気伝導性、曲げ性等の観点から銀粒子とバインダー樹脂を含む銀塗膜が好ましく使用される。
しかしながら前記銀塗膜は、イオンマイグレーションが生じやすく、このイオンマイグレーションにより導電パターン間の短絡や断線が生じる。このため従来から、前記銀塗膜上を例えばレジスト膜で覆うことが一般的に行われている。
特開平9−121082号公報
特開2003−308729号公報
ところで、前記回路基板上に電子部品等を搭載するとき、前記回路基板上の電極と前記電子部品の端子とを電気的に接続するために、前記電極上を前記レジスト膜で覆うことは出来ない。すなわち前記電極は剥き出しの状態にされる。
よって、前記電極を前記銀塗膜で形成すると依然として前記イオンマイグレーションの問題が残される。特に電極は狭ピッチで形成されることから前記イオンマイグレーションが非常に起こりやすい部位である。
前記電極でのイオンマイグレーションの問題を回避する一つの方法は、前記電極を前記銀塗膜以外の材質で形成することであったが、かかる場合、価格が高くなり、また電気抵抗が大きくなるといった問題が生じた。また基板と導電塗膜間の密着性も良くない。
あるいは、特許文献1に記載されているように銀塗膜(特許文献1では銀ペースト2)上に半田を形成するという方法がある。かかる場合、イオンマイグレーションの発生を回避でき、電子部品との電気接続性を良好にできる。
しかし、バインダー樹脂を含む銀塗膜は半田濡れ性が悪いことから、直接、前記銀塗膜上に半田付け出来ない。このため特許文献1にも記載されているように前記銀塗膜上に例えば半田濡れ性に優れた銅塗膜(特許文献1では銅ペースト3と記載されている)を形成し、前記銅塗膜上に半田を形成するという手法をとらざるを得なかった。
その結果、前記電極を前記銀塗膜以外の材質で形成する場合と同様に、価格が高くなり、また電気抵抗が大きくなるといった問題が生じた。さらに高温高湿等の過酷な環境下では、前記銀塗膜と前記半田との間に挟まれた塗膜(上記では銅塗膜)の酸化や剥離の問題も生じやすくなった。
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、相手側端子と電気的に接続される電極の電気抵抗を低く出来るとともに耐マイグレーション性を向上させることができ、前記相手側端子と良好な電気的接続を図ることが可能な回路基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、基板上に相手側端子と電気的に接続される電極を備えた回路基板において、
前記電極は、銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストを焼成して形成されたものであり、
電極表面は半田により覆われていることを特徴とするものである。
前記電極は、銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストを焼成して形成されたものであり、
電極表面は半田により覆われていることを特徴とするものである。
本発明では、前記電極を、銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストを焼成して形成している。前記焼成により有機物は熱分解し銀が析出し、前記電極はほぼ銀で形成される。この結果、前記電極は低抵抗で、しかも半田濡れ性に優れたものとなる。よって本発明では前記電極表面を直接、半田で覆うことが可能であり、前記電極表面を半田で覆ったことで前記電極の耐マイグレーション性を向上させることが出来、相手側端子との電気的接続性を良好なものに出来る。
本発明では、前記電極は、銀を95質量%以上100質量%以下含有して形成されていることが好ましい。これにより、前記電極をより低抵抗でしかも半田濡れ性に優れた状態にできる。前記電極を、銀の有機化合物等を有する銀ペーストを焼成して形成することで、95質量%以上の銀を含む前記電極を形成できる。より好ましくは銀を97質量%以上含有することである。
また本発明では、前記基板上には前記電極と電気的に接続された配線部が形成されており、前記配線部の少なくとも一部は、銀粒子とバインダー樹脂とを有して形成されるとともにその表面は、絶縁性による被覆部材によって覆われていることが好ましい。前記電極以外の配線部は、従来と同様の銀粒子とバインダー樹脂とを含む銀塗膜で形成することで価格を抑えることができる。また電極以外の部分での曲げ性も向上できる。前記配線部は半田濡れ性が悪いため、耐マイグレーション性を向上させるべく絶縁性の被覆部材によって前記配線部の表面を覆う。
また本発明は、基板上に相手側部材と電気的に接続される電極を備えた回路基板の製造方法において、
(a)前記基板上に銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストによって前記電極をパターン形成する工程と、
(b)前記電極を焼成する工程と、
(c)前記電極の表面を半田で覆う工程と、
を有することを特徴とするものである。
(a)前記基板上に銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストによって前記電極をパターン形成する工程と、
(b)前記電極を焼成する工程と、
(c)前記電極の表面を半田で覆う工程と、
を有することを特徴とするものである。
上記した(a)(b)工程を施すことにより、低抵抗でしかも半田濡れ性に優れた前記電極をパターン形成できる。そして(c)工程により電極表面を半田で簡単且つ適切に覆うことが可能であり、その結果、前記電極の耐マイグレーション性を向上させることが可能である。
また本発明では、前記(c)工程で、前記半田を前記電極上に設けた後、前記半田に対して加熱処理を行うことが好ましい。これにより前記電極表面の全体を前記半田で適切且つ簡単に覆うことが出来る。
本発明では、基板上に形成される電極を、銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストを焼成して形成している。前記焼成により銀が析出し、前記電極はほぼ銀で形成される。この結果、前記電極は低抵抗で、しかも半田濡れ性に優れたものとなる。よって本発明では前記電極表面を直接、半田で覆うことが可能であり、前記電極表面を半田で覆ったことで前記電極の耐マイグレーション性を向上させることが出来、相手側端子との電気的接続性を良好なものに出来る。
図1は、電子部品が搭載されたフレキシブルプリント基板(回路基板)の斜視図、図2は図1に示すA―A線から厚み方向に切断し矢印方向から見た本実施形態の前記フレキシブルプリント基板及び電子部品の部分拡大断面図、図3は図2とは一部異なる別の実施形態を示す前記フレキシブルプリント基板及び電子部品の部分拡大断面図、である。
図1,図2に示すフレキシブルプリント基板1は、絶縁基板2と、前記絶縁基板2上に例えばスクリーン印刷等によってパターン形成された多数本の配線部3と、前記配線部3の先端に前記配線部3と電気的に接続された電極4と、前記配線部3の表面を覆うレジスト膜5と、前記電極4の表面4aを覆う半田6と、を有して構成される。この明細書において「電極4」とは、相手側端子と電気的に接続される部位であり、「配線部3」とは、前記電極4と電気的に接続される電流路であり、前記相手側端子とは前記電極4を介して接続される部位を指す。
前記絶縁基板2は可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。これにより前記フレキシブルプリント基板1の曲げ性を向上させることが出来る。例えば前記絶縁基板2はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることが安価であり、曲げ性にも優れて好ましい。また前記絶縁基板2に、より高い透明性が求められる場合はポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いたり、前記絶縁基板2にPETよりも高い難燃性が必要な場合はポリイミドフィルムを用いることも可能である。また、前記絶縁基板2は一層構造でなくてもよい。例えば、前記絶縁基板2は、可撓性を有する樹脂フィルムと、接着剤あるいは粘着剤等の接合剤を介して前記樹脂フィルムの裏面に設けられる補強板との積層構造で形成されてもよい。
前記配線部3は上記のようにスクリーン印刷等によって所定のパターンに形成されている。前記配線部3は、導電性粒子の銀粒子と、バインダー樹脂とを含む銀塗膜で形成される。前記バインダー樹脂は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の別を問わない。例えば前記バインダー樹脂は、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル等である。また前記銀塗膜には、硬化剤やその他の添加剤が含有されていてもよい。
前記配線部3を上記した銀塗膜で形成することでフレキシブルプリント基板1を安価に形成できる。また前記配線部3の曲げ性を良好にでき、前記配線部3を所定形状に適切にパターン形成できる。
前記配線部3上はレジスト膜5で覆われている。被覆部材は前記レジスト膜5に限定されるものではないが、少なくとも絶縁性であることが必要である。
前記配線部3の先端に設けられた前記電極4は、電子部品7の端子部8と電気的に接続される部位である。
本実施形態では、前記電極4は次のようにして形成される。すなわち前記絶縁基板2の表面に、溶剤中に、少なくとも銀の有機化合物を有する銀ペーストをスクリーン印刷等にて塗布し、続いて脱脂、焼成して、前記電極4を形成する。
銀の有機化合物は、例えば、CnHmCOO−Ag(nは0以上、mは1以上)の化学式で示される脂肪酸銀である。炭素数は特に限定されるものではない。低級脂肪酸、高級脂肪酸の別を問わない。具体的には、ギ酸銀、酢酸銀、カプリル酸銀等で形成される。直鎖の脂肪酸銀のみならず分枝の脂肪酸銀、環状脂肪酸銀等であってもよい。ただし、銀の有機化合物は上記の脂肪酸銀に限定されるものではない。
前記銀の有機化合物は、前記溶剤中に均一に分散し溶解した状態である「レジネート」により構成されていることが好ましい。
前記銀の有機化合物は、前記銀ペースト中に20〜70質量%程度含まれる。
前記銀の有機化合物は、前記銀ペースト中に20〜70質量%程度含まれる。
前記溶剤は特に限定されないが、例えばテルピネオール、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等である。溶剤の材質によって銀ペースト中に含まれる含有量は異なるが、前記テルピネオールの場合、銀ペースト中に10〜20質量%程度、前記トリプロピレングリコールn−ブチルエーテルの場合、銀ペースト中に1〜10質量%程度である。
そのほか、前記銀ペースト中には酸化銀や、銀ナノ粒子等が含まれていてもよい。
そのほか、前記銀ペースト中には酸化銀や、銀ナノ粒子等が含まれていてもよい。
焼成温度は、170℃〜200℃程度であることが好ましい。前記焼成温度を低くできれば、前記絶縁基板2に安価なPETフィルムを使用でき好ましい。
前記焼成温度は、前記溶剤が蒸発するとともに、銀の有機化合物が熱分解する温度以上であることが必要である。前記焼成により、前記溶剤が蒸発するとともに、有機物が熱分解して銀が原子レベルで分散した状態になり、あたかも銀が融解した状態になり、銀が析出する。銀の融点は1000℃近いが、銀の有機化合物とすることで、1000℃より十分低い温度で融解したと同じ状態を得ることが出来る。
上記したように銀ペースト中に酸化銀を含む場合、前記焼成によって有機物が酸化分解してアルデヒド類等が生成され、強い還元剤が出現する。これにより酸化銀は還元され銀が析出する。
酸化銀は160℃で還元を起こし、無垢の銀が析出する。エチレングリコールなどのグリコール類の溶剤や、アルコール類の溶剤でさらに低温で還元を起こさせることも可能である。
前記銀ペーストを焼成することにより生成された電極4は銀が主体で形成される。上記した製造方法によって前記電極4中に含まれる銀の含有量を、95質量%〜100質量%の範囲内にできる。より好ましくは前記銀の含有量を、97質量%以上にすることである。
前記電極4の膜厚は、最初、銀ペーストを印刷したときの膜厚に比べて、焼成後、薄くなる。前記焼成により有機物及び溶剤が蒸発するためである。最初、印刷したときの銀ペーストの膜厚に対し、焼成後の電極4の膜厚は、数十分の一程度に薄くなる。したがって必要な電極4の膜厚に応じて、最初、銀ペーストを印刷するときの膜厚を決定することが必要である。
図2に示すように、前記電極4の表面4aは半田6で覆われている。前記電極4は半田濡れ性に優れるため、前記電極4の表面4a全体に前記半田6を直接、コーティングできる。ここで「表面4a」とは、前記電極4の露出面全体を指す。
前記半田6には特にすず(Sn)を主成分とする合金が好適に用いられる。この場合、Snは全半田粒子中の50質量%以上、より好ましくは90質量%以上を占める。Snと合金を形成する金属としては、半田の融点の高低、あるいは電気伝導率の高低の目的に応じて、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)から1種あるいは2種以上を選択することができる。例えば、金、銀、銅は電気伝導率が高いので、Sn−Au、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu系合金等は、電気伝導率の高い半田を形成するが、融点が200〜250℃程度と高い。また、Sn−Bi系合金からなる半田は融点が60〜200℃と低く、加工性に優れており、基板や面発光レーザに熱損傷を与えにくい。また特にSn−Biは、融点が140℃程度であって低融点半田としては最適である。
このように前記電極4の表面4aを半田6で覆うことで、前記電極4の耐マイグレーション性を向上させることが出来、電子部品7の端子部8との電気的接続性を良好なものに出来る。
図2に示す実施形態では、前記電子部品7の端子部8と、前記電極4上を覆う半田6との間に、Sn−Bi等の半田9を新たに用いて前記端子部8と前記電極4間を導通接続させているが、図3のように、前記電極4の表面4aを覆う半田6自体を前記端子部8との接合用半田として利用することも出来る。加熱して前記半田6を溶融させた状態にして、前記電子部品7の端子部8と電極4間を前記半田6を介して密着させ、その状態を維持しながら、前記半田6を硬化させる。
本実施形態におけるフレキシブルプリント基板1の製造方法について説明する。前記絶縁基板2上に銀の有機化合物を含む銀ペーストを用いて電極4を例えばスクリーン印刷にてパターン形成した後、前記電極4を焼成する。上記したように、これにより、銀ペーストに含まれる有機物が熱分解して溶剤と共に蒸発する。この結果、前記電極4はほぼ銀で形成される。
続いて前記電極4上に直接、ペースト状の半田を、例えばスクリーン印刷にて塗布する。そして前記半田を加熱処理する。これにより半田は溶融する。このとき、前記電極4の表面4aは半田濡れ性に優れているので、半田が前記表面4a全体に広がり、前記表面4a全体を適切に覆う。
例えば前記電極4の形成は、前記絶縁基板2上に配線部3を形成した後であってもよい。その後、前記レジスト膜5の形成を行い、続いて前記半田6の形成(あるいは先に半田6を形成し、続いてレジスト膜5の形成)を行う。
前記電極4上に半田を塗布するとき、前記半田は、上記したようにペースト状の半田であることに限定されない。例えば粒子状、シート状等であってもかまわない。例えばSn−Biの半田粒子を前記電極4上に点在させた後、加熱処理を行うことで前記電極4の表面4a全体を前記半田6で適切に覆うことが可能である。
前記電極4上に塗布された半田を加熱するときの加熱温度は、前記半田の材質によって決定される。Sn−Bi等の低融点半田であれば、加熱温度を低温にでき、その結果、絶縁基板2に安価なPETフィルムを用いることが可能である。
上記のようにして前記フレキシブルプリント基板1を形成した後、前記半田6上にさらに半田9を塗布し、加熱して前記半田9を溶融させ、図2に示すように、電子部品7の端子部8と前記電極4とを前記半田9を介して密着させた状態にて前記半田9を硬化させる。
図2に示す半田6,9は同じ材質でも異なる材質でもよいが、異なる材質で、しかも半田6のほうが半田9よりも融点が高いことが望ましい。かかる場合、半田9を溶融させるために加熱しても、前記半田6の溶融を抑制でき、前記半田6が電極4の表面4a全体を適切に覆う状態を維持できる。前記半田6,9は、共に、低融点半田(ここで言う低融点とは200℃以下を指す)であり、しかも半田6のほうが、前記半田9よりも融点が高いと、前記半田6によって前記電極4の表面4aが覆われた状態を適切に維持できるとともに、前記絶縁基板2にPETフィルム等の安価な材料を使用でき好ましい。
また図3では、前記電極4の表面4aを覆う半田6自体を前記端子部8との接合用半田として利用しているが、かかる場合は、半田6の厚みを厚く形成することが好ましい。図3の状態にて、加熱して前記半田6を溶融させると、半田濡れ性に優れる端子部8側にも半田6が引き付けられ、前記電極4の表面4aに付着する半田6の膜厚が薄くなったり、前記電極4の表面4aを覆う半田6の一部に欠陥部が形成されて、そこから電極4が露出する可能性もある。かかる場合、前記電極4の耐マイグレーション性が低下するので、図3の形態の場合は、半田6の膜厚を図2の場合より厚くすることが好適である。上記のような問題が懸念される場合は、図2のように2段半田で、電極4と端子部8間を電気的に接合することが望ましい。
上記のようにして形成されたフレキシブルプリント基板1では、電極4の電気抵抗を低くできる。特に、従来のように銀粒子とバインダー樹脂とを含む銀塗膜により形成する場合に比べて、本願はバインダー樹脂を含まないことから、銀のバルクに電気抵抗を近づけることが可能である。さらに前記電極4の表面4a全体を半田6で覆うため耐マグレーション性を向上させることができ、電子部品7の端子部8との電気的接続性を良好なものに出来る。また前記電極4と前記絶縁基板2間の密着性にも優れる。また上記したように前記電極4の表面4aは半田濡れ性に優れるため、前記電極4と前記半田6間も強固に結合し密着性に優れる。
上記のように前記電極4を、銀の有機化合物を含む銀ペーストを焼成して形成しているが、前記銀ペーストを前記電極4とともに前記配線部3に用いてもよい。ただし価格が高くなるとともにフレキシブルプリント基板1の曲げ性は低下するので、前記電極4のみに前記銀ペーストを用い、前記配線部3は従来と同様にバインダー樹脂と銀粒子とを含む銀塗膜で形成し、前記配線部3の表面をレジスト膜5で覆ったほうが、安価にフレキシブルプリント基板1を形成できるとともに前記フレキシブルプリント基板1の曲げ性を向上させることが出来る。
本実施形態における電極構成は、次に説明するコネクタにも適用できる。
図4は、第1コネクタ(回路基板)と前記第1コネクタを接続する第2コネクタとを示す部分斜視図、図5は、前記第1コネクタの先端付近の部分拡大平面図、図6は、前記第1コネクタを前記第2コネクタに接続した状態で、図5に示すB−B線から切断し矢印方向から示した第1コネクタ及び第2コネクタの部分拡大断面図、である。
図4は、第1コネクタ(回路基板)と前記第1コネクタを接続する第2コネクタとを示す部分斜視図、図5は、前記第1コネクタの先端付近の部分拡大平面図、図6は、前記第1コネクタを前記第2コネクタに接続した状態で、図5に示すB−B線から切断し矢印方向から示した第1コネクタ及び第2コネクタの部分拡大断面図、である。
図4に示す第1コネクタ(オス型コネクタ)10を構成する絶縁基板11は、例えば可撓性を有する樹脂フィルム12と接着剤あるいは粘着剤等の接合剤13を介して前記樹脂フィルム12の裏面に設けられる補強板(例えば合成樹脂板)14との積層構造で形成される。
前記絶縁基板11には多数本の配線部17がスクリーン印刷等によりパターン形成されている。
前記配線部17上は前記絶縁基板11の先端に設けられる接続領域Cを除いて、レジスト膜15で覆われている。
前記配線部17の先端に設けられる電極18は、図1〜図3で説明した電極4と同様の製造方法によって形成されている。すなわち前記電極18は銀の有機化合物を有する銀ペーストを焼成して成るものである。そして図6に示すように前記電極18表面は半田16で覆われている。
前記接続領域Cでは、前記電極18のほかに配線部17の一部が露出する。したがって露出する前記配線部17も、前記電極18と同様に、銀の有機化合物を有する銀ペーストを焼成して形成し、図6に示すように前記配線部17の表面を半田16で覆う。これにより前記接続領域Cに設けられる電極18及び配線部17の耐マイグレーション性を向上させることができる。
図6に示すように、前記電極18は、第2コネクタ(メス型コネクタ)20の挿入口20a内に設けられる端子部21と電気的に接続される部分である。前記電極18はほぼ銀で形成されており(銀の含有量は95質量%〜100質量%、好ましくは97質量%以上)、低抵抗であるとともに半田濡れ性にも優れる。よって前記電極18の表面を覆う半田16と前記電極18間は強く結合されており、耐剥離性に優れている。また、前記電極18の表面を半田16で覆うことで耐マイグレーション性を向上できる。以上により、コネクタのように電極18と端子部21とが摺動するものであっても、前記電極18と前記端子部21間の電気的接続性を良好なものに出来る。
なお図2に示す電子部品7の端子部8や、図6に示す第2コネクタ20の端子部21も、前記電極18と同様に、銀の有機化合物を有する銀ペーストを焼成して形成し、その表面を半田で覆った構成であってもよい。あるいは前記端子部側だけ(かかる場合は、前記端子部を電極と表現する)を、銀の有機化合物を有する銀ペーストを焼成して形成し、その表面を半田で覆った構成としてもよい。
また、上記形態では、前記銀ペーストは、銀の有機化合物を含むものであったが、前記銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストであれば本実施形態に含まれる。これら銀ペーストを焼成して成る硬化塗膜は、バインダー等の樹脂を含まない。ただし価格や作業性、銀塗膜の均一性等の面から銀ペーストには銀成分として、前記銀の有機化合物を有することが好適である。
また、電極中に含まれる銀の含有量は97質量%以上であることが、より半田濡れ性を向上させることが出来る上で好適である。
まず、実施例として、PETフィルム上に、溶剤中に銀の有機化合物を含む銀ペーストにて電極パターンを形成し、焼成して、溶剤及び有機物を蒸発させ電極を形成した。実験では、藤倉化成(株)の型式XA9053の銀ペーストを使用した。また電極パターン間の間隔を0.5mmとした。焼成温度を170℃とし、焼成後の電極の組成を測定したところ100質量%の銀が含まれていた。
そして、前記電極上にSn−Biの半田粒子を含む半田ペーストを塗布し、180℃で10分間加熱処理した。
図7は、上記により形成された実施例の基板表面の拡大写真である。色濃く写っている箇所が電極の位置であり、その表面全体を綺麗に半田が覆っていることがわかった。これは前記電極が半田濡れ性に優れるためである。
次に比較例として、PETフィルム上に、銀粒子とバインダー樹脂とを含む銀ペーストにて電極パターンを形成し、加熱して溶剤を蒸発させ、主として銀粒子とバインダー樹脂から成る電極を形成した。実験では、アサヒ化学研究所の型式:SW1100の銀ペーストを使用した。また電極パターン間の間隔を0.5mmとした。加熱温度を160℃とし加熱時間を10分とした。
そして前記電極上にSn−Biの半田粒子を含む半田ペーストを塗布し、180℃で10分間加熱処理した。
図8は、上記により形成された比較例の基板表面の拡大写真である。図8に示すように、電極上には粒子状の半田が点在した状態であり、前記電極の表面全体が適切に半田で覆われていないことがわかった。これは、前記電極の半田濡れ性が悪いためである。
次に図7に示す実施例の試料を用いて、電極に5Vを印加し、水滴を滴下した状態で、電極間の電圧値を所定時間、測定した。その実験結果を図9に示す。
図9に示すように、電極間の電圧値はほぼ0Vであることがわかった。よって、前記電極の表面は適切に半田で覆われ耐マイグレーション性が良好であることがわかった。
一方、同様の実験を図8に示す比較例の試料を用いて行ったところ図10の結果が得られた。図10に示すように電極間の電圧値は大きくなっており、イオンマイグレーションが生じていることがわかった。図8で説明したように、前記電極の表面全体が適切に半田で覆われておらず、よって耐マイグレーション性が適切に向上していないことがわかった。
続いて、図7の実験で用いた銀ペーストの粘度を、B型粘度計(ローターNo7)を用いて測定した。その実験結果を図11に示す。
図11に示すように回転数が5〜10rpmで、1000Ps前後の粘度が得られることがわかった。
1 フレキシブルプリント基板
2、11 絶縁基板
3、17 配線部
4、18 電極
5、15 レジスト膜
6、9、16 半田
7 電子部品
8、21 端子部
10 第1コネクタ
20 第2コネクタ
2、11 絶縁基板
3、17 配線部
4、18 電極
5、15 レジスト膜
6、9、16 半田
7 電子部品
8、21 端子部
10 第1コネクタ
20 第2コネクタ
Claims (5)
- 基板上に相手側端子と電気的に接続される電極を備えた回路基板において、
前記電極は、銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストを焼成して形成されたものであり、
電極表面は半田により覆われていることを特徴とする回路基板。 - 前記電極は、銀を95質量%以上100質量%以下含有して形成されている請求項1記載の回路基板。
- 前記基板上には前記電極と電気的に接続された配線部が形成されており、前記配線部の少なくとも一部は、銀粒子とバインダー樹脂とを有して形成されるとともにその表面は、絶縁性の被覆部材によって覆われている請求項1又は2に記載の回路基板。
- 基板上に相手側部材と電気的に接続される電極を備えた回路基板の製造方法において、
(a)前記基板上に銀の有機化合物、銀ナノ粒子、あるいは酸化銀のうち少なくともいずれか1種を有する銀ペーストによって前記電極をパターン形成する工程と、
(b)前記電極を焼成する工程と、
(c)前記電極の表面を半田で覆う工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。 - 前記(c)工程で、前記半田を前記電極上に設けた後、前記半田に対して加熱処理を行う請求項4記載の回路基板の製造方法。
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