以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における電波検知装置は、互いに異なる複数の位置で受信された電波(以下、「通常電波」と記す)にもとづいて電波信号を検出し、検出された複数の電波信号を比較することで同一特性の電波信号の有無を検出し、無線式の盗聴器や盗撮器が発する電波(以下、「不正電波」と記す)の有無を検知結果として出力するものである。
ここで、不正電波とは、移動可能な装置本体、例えば、ロボットに取り付けられ、装置本体と一緒に位置を移動する無線式の盗聴器や盗撮器が発する電波であり、この不正電波は、同一特性の電波信号として検出されるため、同一特性の電波信号が検出されたときに不正電波「有り」として判断している。また、通常電波とは、無線ネットワーク、携帯電話、テレビ放送、ラジオ放送、警察無線、タクシー無線、電子レンジからの電磁波など、日常活動、社会活動などに使用されている電波である。
さらに、電波検知装置は、不正電波を検知したときに、検知されたことを外部に対して知らせるために何らかのメッセージを報知するようにしたものである。
このように、ロボットは、電波検知装置を備えることにより、盗聴や盗撮などの違法な機器のロボット本体への取り付けを発見して報知でき、ロボット使用者のプライバシーを守ることができる。
なお、電波検知装置の装着は、ロボットに限定されるものではなく、遠隔操作により移動可能な機器、例えば無線操作により動作する玩具などに備えてもよい。また、人によって持ち運ばれることにより位置を移動可能な装置に備えてもよい。例えば、ゲーム機器、携帯電話、PDAなどの携帯情報端末、ノート型パーソナルコンピュータなどである。いずれの装置においても、同様の効果を奏することができる。以下、本発明の実施の形態では、電波検知装置を備えたロボットを例に実施の形態として説明する。
以下、図面を用いてロボットの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるロボットの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態1におけるロボット101は、移動先の位置情報を設定するための位置設定部21と、設定された位置に移動するための移動部25と、設定された移動位置まで移動部25を駆動するためのアクチュエータ24と、受信した電波にもとづいて不正電波の有無を検知する電波検知装置10とを備える。
さらに、ロボット101は、電波検知装置10の検知結果に応じて外部に警告を発する報知部22を備える。また、さらに、ロボット101は、電波検知装置10の検知結果を記憶する検知結果記憶部23と、記憶された検知結果を表示する表示部26と、表示部26に表示される表示情報等を設定するための設定部27とを備える。
電波検知装置10は、電波を受信し、電波信号を検出する電波受信部12と、電波信号を記憶する電波信号記憶部14と、検出された電波信号と記憶された電波信号とを比較し、同一特性の電波信号の有無を検知する電波信号照合部15と、同一特性の電波信号の有無に応じて不正電波の有無を判定する不正電波検知部17とを備えている。
電波受信部12は、アンテナ13で受信された電波を検波する検波部(図示省略)と、検波されたアナログ電波信号を増幅する増幅部(図示省略)と、増幅されたアナログ電波信号をデジタル電波信号に変換するA/D変換器(図示省略)とを有する。これにより、電波受信部12は、受信した電波からデジタル信号に変換した電波信号を検出する。また、電波受信部12は、後述するアクチュエータ24から取得される位置情報にもとづいて、互いに異なる位置それぞれで電波信号を検出する。
電波信号記憶部14は、電波受信部12から出力される電波信号を記憶する。電波信号記憶部14は、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と記す)などの磁気ディスク装置や半導体メモリ等の公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。
電波信号照合部15は、スペクトラムアナライザなどの周波数分析部(図示省略)と、スペクトラム強度を比較する比較部(図示省略)とを有する。これにより、電波信号照合部15は、電波受信部12で検出された複数の電波信号、例えば、電波信号S1、電波信号S2を取得し、各信号の周波数の成分を周波数分析部で分析し、分析されたスペクトラム強度それぞれを比較部で比較することにより、同一特性の電波信号の有無を検出する。ここで、電波信号照合部15は、電波受信部12から電波信号を受け取った後、照合作業を実施する。
不正電波検知部17は、電波信号照合部15で同一特性の電波信号が「有り」と検出されたときに不正電波「有り」と判定し、同一特性の電波信号が「無し」と検出されたときには不正電波「無し」と判定した検知結果を出力する。
位置設定部21は、ロボット101により設定された移動先の位置情報をアクチュエータ24に出力する。この移動先の位置情報は、ロボット101の記憶部(図示省略)に予め保持してあり、電波検知の動作を行うときに、ロボット101自身が与えるものである。無論、この方法に限られるものでなく、例えば、ロボット101の外部から人が無線通信により移動先の位置情報を送信して設定するようにしてもよい。
アクチュエータ24は、DCブラシレスモータなどの公知のモータ(図示省略)と、ポテンショメータなどの公知のエンコーダ(図示省略)とが1組となったものを備え、位置設定部21から出力される移動先の位置情報に応じて移動部25の車輪などをモータで回転させる。なお、モータとエンコーダとは一体的に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
アクチュエータ24は、エンコーダからの出力を演算処理して位置情報を生成する。例えば、アクチュエータ24は、オドメトリにより位置情報を算出し、移動部25を車輪式とした場合、車輪の回転に伴って、車輪に取り付けられたエンコーダから発生するパルスを積算することでロボット101の位置を算出する。これにより、ロボット101は、自己の位置及び姿勢を認識することができる。
また、アクチュエータ24は、位置設定部21に設定された移動先の位置情報と、検出した位置情報とが一致したときに、電波受信部12に対して一致信号を出力する。電波受信部12は、この一致信号のタイミングに合わせて電波信号を検出すれば、位置設定部21で設定された移動先の位置情報にもとづく座標位置ごとに電波信号を検出できる。
なお、位置設定部21に設定された移動先の位置情報と、検出した位置情報との一致判定は、両者の距離の差が、予め設定した距離の差より小さければ「一致」と判定するものである。
また、アクチュエータ24は、所定の位置情報を記憶部(図示省略)に保存しておき、この所定の位置情報と検出した位置情報とが一致したときに一致信号を出力するようにしてもよい。所定の位置情報とは、例えば、家庭内で使用される場合は、居間、台所、洋室、和室、洗面所、浴室などの位置情報である。また、会社などのビル内で使用される場合は、会議室、資料室、居室、複写室などである。また、ロボット101がマンション、空港などの建物内で所定経路を巡回したり、荷物を搬送する場合、廊下、玄関先、共用場所、出発ロビー、到着ロビーなどの巡回経路上の所定位置である。
移動部25には、移動するための、公知の車輪、クローラ、脚(2足、多足)などを適宜用途に応じて選択して用いることができる。例えば、移動部25が階段の昇降などを行う場合、車輪やクローラより、2足歩行などの脚を用いることが好ましい。なお、近年、家庭内、会社内、ホール、公共施設などバリアフリー化にともない段差が減ってきており、移動範囲を同一階に限定すれば、車輪でも十分な移動性能を得ることができる。また、車輪式は、2足歩行などの脚式に比べ制御が容易である。以下、本発明の実施の形態では移動部25には車輪を用いるものとして説明する。
報知部22は、不正電波検知部17から出力される検知結果により、外部に報知を行う。例えば、報知部22は、検知結果で不正電波「有り」と検知されている場合、「不正な電波を検知しました。盗聴、盗撮機器が本体に取り付けられた可能性があります。」などのメッセージを音声で発する。報知部22は、検知結果で不正電波「無し」と検知されている場合は何もしない。なお、音声に変えて、表示装置で報知してもよい。これにより、ロボット使用者は、電波検知装置10が盗聴器や盗撮器などが発する不正電波を検知したことを容易に知ることができる。また、音声に変えて、メールや電話等のメッセージ伝達手段を用いて利用者に上記メッセージを報知してもよい。これにより、遠隔に離れたロボット使用者は、電波検知装置10が盗聴器や盗撮器などが発する不正電波を検知したことを容易に知ることができる。
検知結果記憶部23は、不正電波検知部17から出力される検知結果を記憶する。検知結果記憶部23は、HDDなどの磁気ディスク装置や半導体メモリなどの公知の記憶装置から適宜選択して用いることができる。なお、電波信号記憶部14と検知結果記憶部23は、それぞれ必要なデータが記憶可能であればよく、それぞれを別の記憶装置で実現してもよいし、1つの記憶装置のなかで記憶領域を分割することで実現してもよい。
表示部26は、検知結果記憶部23に記憶されている検知結果を表示する。表示部26は、液晶表示パネルなどの表示装置を有し、検知結果に対応して警告情報などを表示する。設定部27は、テンキー、キーボードなどを備え、表示部26に、表示させたい情報などを入力する。ロボット101は、さらに、図示しないが駆動エネルギーとしての電池や障害物検知を行うための外界センサなどを有している。
次に、本発明の実施の形態1におけるロボット101の動作について、図2を用いて説明する。図2は、ロボット101の動作を説明するためのフローチャートである。
図2において、ロボット101は、不正電波を検出するために、位置設定部21に、移動先である第1の位置P1を設定する(S101)。これにより、位置設定部21は、設定された第1の位置P1についての位置情報をアクチュエータ24に出力する。アクチュエータ24は、第1の位置P1についての位置情報にもとづいて移動部25のモータを回転させることで、ロボット101の本体を移動させる。
次に、ロボット101は、第1の位置P1まで移動して停止する(S102)。アクチュエータ24は、検出された位置情報と第1の位置P1についての位置情報とが一致したときに、一致信号を電波受信部12に出力する。電波受信部12は、この一致信号のタイミングに合わせて電波信号を検出することで、各移動先の座標位置で電波信号を検出できる。
次に、ロボット101の電波受信部12は、停止した第1の位置P1で通常電波W1を受信し、電波信号S1を検出する(S103)。ここで、通常電波W1は、第1の位置P1で受信される通常電波である。また、電波信号S1は、電波受信部12において、通常電波W1を受信することで検出される電波信号である。次に、ロボット101の電波受信部12は、第1の位置P1の電波信号S1を電波信号記憶部14に記憶させる(S104)。
次に、ロボット101は、電波信号S1の記憶が完了すると、位置設定部21に、移動先である第2の位置P2を設定する(S105)。これにより、位置設定部21は、設定された第2の位置P2についての位置情報をアクチュエータ24に出力する。アクチュエータ24は、第2の位置P2についての位置情報にもとづいて移動部25のモータを回転させ、ロボット101の本体を移動させる。
次に、ロボット101は、第2の位置P2まで移動して停止する(S106)。アクチュエータ24は、検出された位置情報と第2の位置P2についての位置情報とが一致したときに、一致信号を電波受信部12に出力する。電波受信部12は、この一致信号のタイミングに合わせて電波信号を検出する。
次に、ロボット101の電波受信部12は、停止した第2の位置P2で通常電波W2を受信し、電波信号S2を検出する(S107)。ここで、通常電波W2は、第2の位置P2で受信される通常電波である。また、電波信号S2は、電波受信部12において、通常電波W2を受信することで検出される電波信号である。
次に、ロボット101の電波信号照合部15は、電波信号記憶部14に記憶されている第1の位置P1の電波信号S1と、検出した第2の位置P2の電波信号S2とを比較し、同一特性の電波信号の有無を検知する(S108)。
次に、ロボット101の不正電波検知部17は、電波信号照合部15から同一特性の電波信号が「有り」と検知された場合に不正電波が「有り」と判定し、同一特性の電波信号が「無し」と検知された場合に不正電波が「無し」と判定した検知結果を出力する(S109)。
次に、ロボット101の報知部22は、検知結果に応じて外部に警告する(S110)。例えば、報知部22は、検知結果で不正電波が「有り」の場合、「不正な電波を検知しました。盗聴、盗撮機器が本体に取り付けられた可能性があります。」などのメッセージを音声で外部に発する。一方、報知部22は、検知結果で不正電波が「無し」の場合は何もしない。次に、電波受信部12は、最後に検出された電波信号を電波信号記憶部14に記憶する(S111)。
なお、1つ以上の電波信号が電波信号記憶部14に既に記憶されている場合、新たな電波信号が1つ検出されれば、複数の電波信号の比較が可能となるため、ステップS101からS104までの処理を行わなくてもよい。新たに電波信号を1つ検出することで、さらに、異なる複数の電波信号を比較することができる。また、新しい電波信号同士で比較ができるように、電波信号記憶部14に記憶されている電波信号は、タイマー或いはスケジューラーなどを用いて、定期的に、一括して又は古いものから順に消去するようにしてもよい。
また、ロボット101の動作において、検知結果の報知の後で、最後に検出された電波信号を電波信号記憶部14に記憶するようにしたが、検知結果の報知の後で電波信号記憶部14に記憶されている電波信号を全て消去するようにしてもよい。これにより、毎回、最新の電波信号同士を比較することができ、電波信号記憶部14に記憶させるデータ量を抑制することができる。
次に、図3を用いて、不正電波の検出について詳細に説明する。図3(a)は不正電波が「無し」の電波状態を説明する説明図、図3(b)は不正電波が「有り」の電波状態を説明する説明図である。
まず、図3(a)を用いて、不正電波が無いときの不正電波の検出動作について説明する。図3(a)において、ロボット101は、第1の位置P1まで移動して停止し、さらに、第2の位置P2まで移動して停止するものとする。
ロボット101は、電波受信部12により、第1の位置P1になったらアンテナ13で通常電波W1を受信し、電波信号S1を検出する。さらに、ロボット101は、検出した電波信号S1を電波信号記憶部14に記憶する。
次に、ロボット101は、同様に、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に移動し、第2の位置P2で通常電波W2を受信し、電波信号S2を検出する。ここで、ロボット101は、記憶された電波信号S1と検出した電波信号S2とを比較することで、同一特性の電波信号の有無を検知する。図3(a)では、不正電波が無いので、第1の位置P1と第2の位置P2では、互いに異なる電波信号S1と電波信号S2とが検出される。
次に、図3(b)を用いて、盗聴、盗撮などを行う何らかの不正機器50がロボット101本体に装着され、不正電波を発するときの不正電波の検出動作について説明する。
図3(b)において、図3(a)と同様に、ロボット101は、第1の位置P1まで移動して停止し、さらに、第2の位置P2まで移動して停止するものとする。
ロボット101は、第1の位置P1で停止したとき、電波受信部12により、通常電波W1と、不正機器50が出す不正電波WAとを受信し、電波信号S1aを検出する。電波信号S1aは、以下のようになる。
S1a=S1+SA
ここで、電波受信部12において、S1は通常電波W1を受信することで検出される電波信号、SAは不正電波WAを受信することで検出される電波信号である。
次に、ロボット101は、電波信号S1aを電波信号記憶部14に記憶する。次に、ロボット101は、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に移動して停止したとき、電波受信部12により、通常電波W2と、不正機器50が出す不正電波WAとを受信し、電波信号S2aを検出する。電波信号S2aは、以下のようになる。
S2a=S2+SA
ここで、電波受信部12において、S2は通常電波W2を受信することで検出される電波信号、SAは不正電波WAを受信することで検出される電波信号である。
次に、ロボット101は、記憶された電波信号S1aと検出した電波信号S2aとを比較することで、同一特性の電波信号SAを検知することができる。図3(a)に示すように、通常、例えば、第1の位置P1での通常電波W1と第2の位置P2での通常電波W2とは異なるため、検出された電波信号S1aと電波信号S2aとは相異する。しかし、図3(b)に示すように、不正電波WAを発する不正機器50がロボット101本体に装着されている場合、第1の位置P1と第2の位置P2との両方で、ほぼ同一の強度でほぼ同一周波数帯の電波信号SAが検出される。
次に、図4を用いて、電波信号照合部15における同一特性の電波信号の有無の検出方法について、より詳細に説明する。図4(a)と図4(b)とは、図3(a)において、第1の位置P1、第2の位置P2それぞれにおける電波信号を、電波信号照合部15で周波数分析した結果を示した図、図4(c)と図4(d)とは、図3(b)の第1の位置P1、第2の位置P2それぞれにおける電波信号を、同じく電波信号照合部15の周波数分析した結果を示した図である。なお、図4(a)乃至図4(d)において、横軸は電波信号の周波数成分、縦軸は信号レベルを示している。
まず、図4(a)及び図4(b)を用いて、同一特性の電波信号が無い場合の検出について説明を行う。ロボット101は、記憶された電波信号S1と検出した電波信号S2とを比較する際、まず電波信号照合部15の周波数分析部にて、各信号をデジタル化処理する。
具体的には、図4(a)及び図4(b)に示すように、測定周波数帯域を等間隔に分割し、各分割領域に対して、信号レベルが予め設定した閾値thよりも大きい場合に「1」を、小さい場合に「0」を割り当てることで、電波信号を電波信号行列に変換する。このとき、第1の位置P1の電波信号行列は、(0,0,0,0,1,0,0,0,0,0)、第2の位置P2の電波信号行列は、(0,0,0,0,0,0,0,1,0,0)となる。
次に、電波信号照合部15の比較部にて、第1の位置P1及び第2の位置P2の電波信号行列の対応する各列要素に対して、論理積(AND)処理を行う。このとき、処理後の行列要素に1つでも「1」があれば、同一特性の電波信号が「有り」と検出され、1つも「1」がなければ、同一特性の電波信号が「無し」と検出される。図4(a)及び図4(b)から、第1の位置P1及び第2の位置P2の電波信号行列の論理積(AND)処理結果が、(0,0,0,0,0,0,0,0,0,0)となるので、同一特性の電波信号が「無し」と検出される。
次に、図4(c)及び図4(d)を用いて、同一特性の電波信号が有る場合の検出について説明を行う。図4(c)及び図4(d)において、同様に、ロボット101は、記憶された電波信号S1a(=S1+SA)と、検出した電波信号S2a(=S2+SA)とを比較する際、まず電波信号照合部15の周波数分析部にて、各信号をデジタル化処理する。このとき、第1の位置P1の電波信号行列は、(0,1,1,0,1,0,0,0,0,0)、第2の位置P2の電波信号行列は、(0,1,1,0,0,0,0,1,0,0)となる。
次に、電波信号照合部15の比較部にて、同様に、第1の位置P1、第2の位置P2の電波信号行列の対応する各列要素に対して、論理積処理を行う。ここで、図4(c)及び図4(d)から、第1の位置P1及び第2の位置P2の電波信号行列の論理積処理結果は、(0,1,1,0,0,0,0,0,0,0)となるので、同一特性の電波信号が「有り」と検出される。
これにより、ロボット101は、不正電波検知部17により、電波信号照合部15において同一特性の電波信号が「有り」と検知されたときに不正電波WAが「有る」と判定している。一方、ロボット101は、電波信号照合部15において同一特性の電波信号が「無し」と検知されたときに不正電波WAが「無し」と判定している。
このように、ロボット101は、複数の移動位置で、同一特性の電波信号の有無を検知し、その検知結果から不正機器50などが発する不正電波WAの有無を判断している。また、不正電波WAの検出精度を上げるため、必要に応じて、さらに異なる位置P3、P4、…、Pnにおける電波を受信し、比較するようにしてもよい。
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、ロボット101は、互いに異なる複数の位置で受信された電波から電波信号を検出し、検出された複数の電波信号を比較することで、同一特性の電波信号の有無を検出する。これにより、移動可能なロボット本体に取り付けられ、ロボット本体と一緒に位置を移動する無線式の盗聴器や盗撮器などが発する不正電波を同一特性の電波信号として検知できる。
さらに、不正電波が「有り」と検知されたときに、ロボット101は、本体に不正機器50が装着されている可能性があるとして、外部に警報を発する。これにより、ロボット使用者は、無線式の盗聴器や盗撮器などが発する不正電波が検知されたことを容易に知ることができる。このように、盗聴器や盗撮器などの不正機器がロボット本体に取り付けられたことを発見して報知することで、プライバシーや企業機密の漏洩などを早期に防ぐことができる。
なお、報知部22は、発光ダイオードなどの点滅によって警告してもよく、ロボットの周囲の人が異常を認識可能な手段であれば同様の効果を奏する。また、電波検知装置10は、互いに異なる位置で電波を受信できればよいので、ロボット101だけでなく、移動可能な装置などに電波検知装置10を装備すれば、同様に、不正機器が発する不正電波を検知できる。
また、アクチュエータ24は、車輪などが接している床との滑りで発生する位置誤差を補正するため、複数の位置情報で位置の補正を行うようにしてもよい。また、カメラなどの公知の視覚センサ、超音波センサなどのセンサを用いて位置情報を検出してもよい。また、公知のGLOBAL POSITIONING SYSTEM(以下、「GPS」と記す)を用いてもよい。
また、異なる多数の位置、すなわち、N点(Nは3以上の整数)で電波を受信して各位置にとともに検出した電波信号を電波信号記憶部14に記憶し、N点のうち少なくとも異なる2地点で同一特性の電波があれば、ロボット101自体に不正機器50が装着されている可能性があるとして、外部に警報を発するようにしてもよい。この場合、盗聴電波又は盗撮電波が断続的に発信されるときでも、不正電波を正確に検知して警告することができる。また、少なくとも1地点で電波発信を検知したら、警戒態勢に入り、その情報を電波信号記憶部14に記憶しておき、他地点での比較に用いるようにしてよい。さらに、断続発信の周期を計測し、この周期に合わせて電波を受信して不正電波を検知するようにしてもよく、また、この周期をデータベース化して電波信号記憶部14に記憶して適宜参照するようにしてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、所定の時間間隔で発生するトリガ信号のタイミングに合わせて位置情報を取得することで、互いに異なる位置での電波信号の検出を可能にし、検出された複数の電波信号を比較することで不正電波を検知する実施の形態について説明する。
以下、図面を用いてその構成を説明する。図5は、本発明の実施の形態2におけるロボットの構成を示すブロック図である。以下、本発明の実施の形態1と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本発明の実施の形態2のロボット102と本発明の実施の形態1のロボット101とで異なる点は、電波検知装置30において、所定の時間間隔でトリガ信号を発生するトリガ信号発生部35と、トリガ信号に応じて位置情報を検出する位置情報検出部34とをさらに備えた点である。これにより、所定の時間間隔で複数の電波信号情報と複数の位置情報を検出するものである。なお、所定の時間間隔とは、定期的な時間間隔及び不定期的な時間間隔を含み、異なる位置で電波を受信できれば、種々の時間間隔を用いることができる。
電波検知装置30は、ロボット102の現在の位置情報を検出する位置情報検出部34と、電波信号情報322と位置情報321とを記憶する電波信号記憶部32と、所定の時間間隔でトリガ信号を発生するトリガ信号発生部35と、電波を受信して電波信号を検出し、検出された電波信号を表す電波信号情報と位置情報とを関連付けて電波信号記憶部32に記憶する電波受信部31と、電波信号記憶部32に記憶されている複数の電波信号情報を比較し、同一特性の電波信号の有無を検知する電波信号照合部33と、同一特性の電波信号の有無に応じて不正電波の有無を検知する不正電波検知部17とを備えている。
電波受信部31は、トリガ信号の発生タイミングに合わせて、電波を受信して電波信号を検出し、さらに、位置情報検出部34から位置情報を取得する。また、電波受信部31は、検出した電波信号と、取得した位置情報とを関連付けて電波信号記憶部32に記憶する。ここで、電波受信部31は、位置情報検出部34から取得した位置情報と電波信号記憶部32に記憶されている位置情報321との差が所定の距離の差より大きいとき、電波信号情報と位置情報とを関連付けて電波信号記憶部32に記憶するようにしている。これにより、電波信号記憶部32には、トリガ信号の発生タイミングに合わせて、互いに異なる位置における、電波信号情報のみ記憶することが可能となる。
電波信号照合部33は、トリガ信号の発生タイミング(例えば、電波受信部31が電波信号情報及び位置情報を電波信号記憶部32に記憶したタイミング)に合わせて、電波信号記憶部32に記憶された電波信号情報322から複数の電波信号情報を取得して比較する。これにより、同一特性の電波信号の有無が検知される。
位置情報検出部34は、トリガ信号の発生タイミングに合わせて、ロボット102本体の位置情報を検出する。ここで、位置情報検出部34は、例えば、GPSなどを用い、ロボット102で検出される位置情報とは独立に位置情報を検出する。これにより、電波検知装置30は、人によって持ち運ばれる機器に装着されても、位置情報を検出することができる。なお、発生した位置の誤差を補正するため、複数の位置情報を検出し、位置を補正してもよい。また、カメラなどの公知の視覚センサ、超音波センサなどの公知のセンサを用いてもよい。
トリガ信号発生部35は、所定の時間周期、例えば、1分単位、10分単位、60分単位、5時間単位、1日単位など必要に応じて設定でき、設定された時間間隔でトリガ信号を発生する。
次に、本発明の実施の形態2におけるロボット102の動作について、図6を用いて説明する。図6は、ロボット102の動作を説明するためのフローチャートである。
図6において、ロボット102の電波受信部31は、トリガ信号発生部35からトリガ信号が出力されるのを待ち(S201)、トリガ信号の発生に合わせて、位置情報検出部34から位置情報を取得する(S202)。
ロボット102の電波受信部31は、位置情報検出部34から取得された位置P2についての位置情報(P2)と、1つ前のトリガ信号のタイミングで電波信号記憶部32に記憶させた位置P1についての位置情報(P1)とを比較し、位置P2と位置P1との距離が予め設定した距離の差より大きいか否かを判定する(S203)。予め設定した距離の差より大きい場合、電波受信部31は、その位置P2で通常電波W2を受信し、電波信号S2を検出する(S204)。
一方、1つ前のトリガ信号のタイミングで電波信号記憶部32に記憶させた位置情報(P1)と比較して、予め設定した距離の差より小さければ、ステップS201に戻り、電波受信部31は、次のトリガ信号の発生を待つ。この距離の差は予めロボット102が使用される環境を想定し、実験的に求められた値である。例えば、2m、5m、10m、50m、100mなどである。
ロボット102の電波受信部31は、トリガ信号発生部35からのトリガ信号の発生に合わせて、電波信号S2を検出した後、電波信号S2を表す電波信号情報(S2)と位置P2についての位置情報(P2)とを関連づけて情報(P2,S2)として、電波信号記憶部32に記憶させる(S205)。ここで、電波信号記憶部32は、位置座標に関する情報を位置情報321の記憶領域に、電波信号に関する情報を電波信号情報322の記憶領域に格納する。もし、位置情報321がなければ、電波受信部31は、最初に記憶させた情報(P1,S1)を初期値とする。
このようにして、ロボット102は、電波受信部31により、トリガ信号発生部35から発生するトリガ信号に合わせ、予め設定された距離の差を有する位置P3、位置P4、…、位置Pnと、その各位置で検出された電波信号S3、電波信号S4、…、電波信号Snとを関連づけて電波信号記憶部32に記憶させる。例えば、情報(P1,S1)、情報(P2,S2)、情報(P3,S3)、・・・、情報(Pn,Sn)として、電波信号記憶部32に順次に記憶させる。なお、トリガ信号の発生に合わせて検出された位置についての位置情報と、その位置で検出された電波信号を表す電波信号情報との対応関係を保持するには、時間的な関係によるタイムスタンプなどを利用して関連付けてもよいし、記憶させる順番で関連付けて区別するようにしてもよい。
このように、ロボット102は、1つ前のトリガ信号のタイミングで電波信号記憶部32に記憶させた位置についての位置情報321と新たに取得した位置情報とを比較することで、所定の距離の差があるか否かを判定し、新たに記憶させる電波信号情報を取捨選択している。これにより、ロボット102は、互いに異なる位置で検出された電波信号情報のみを電波信号記憶部32に記憶する。例えば、もし位置P1についての位置情報と位置P2についての位置情報とで所定の距離の差が得られない場合、何も記憶せず、次のトリガ信号の発生を待つ。このようにして、同じ位置での情報を排除しつつ、各々位置情報が異なる(P3,S3),・・・,(Pn,Sn)のデータ列を得ることができる。
次に、ロボット102の電波信号照合部33は、電波信号記憶部32に複数の電波信号情報、例えば、予め設定された検出数の電波信号情報が記憶されているか否かを検出する(S206)。電波信号照合部33は、複数の電波信号情報が電波信号記憶部32にある場合、電波信号記憶部32から複数の電波信号情報を抽出し、抽出された複数の電波信号情報を比較し、同一特性の電波信号の有無を検知する(S207)。例えば、電波信号照合部33は、情報(P1,S1)と情報(P2,S2)とから、電波信号S1と電波信号S2とを比較する。なお、比較する精度を高めるため、より多くの電波信号の抽出と比較を行ってもよい。例えば、電波信号照合部33は、抽出された5個、10個、20個、50個の電波信号を比較するようにしてもよい。
一方、ロボット102は、複数の電波信号情報が電波信号記憶部32にない場合、ステップS201に戻る。
次に、ロボット102の不正電波検知部17は、電波信号照合部33から同一特性の電波信号が「有り」と検知された場合を不正電波「有り」と判定し、同一特性の電波信号が「無し」と検知された場合を不正電波が「無し」と判定した検知結果を出力する(S208)。
次に、ロボット102の報知部22は、検知結果に応じて外部に警告を発する(S209)。ここでは、不正電波「有り」と判定されたときに、外部に警告を発する。次に、ロボット102は、ステップS201に戻り、次のトリガ信号の発生を待つ。以降、同様に、ステップS201〜S209の処理が繰り返し実施される。
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、ロボット102は、所定の時間間隔で位置情報を取得でき、互いに異なる位置での電波信号情報を検出して記憶することができ、記憶された複数の電波信号情報を比較することで、同一特性の電波信号の有無を検出できる。これにより、ロボット102の移動と共に移動する盗聴器や盗撮器などが発する不正電波の有無を検知でき、この検知結果から、無線通信を行うロボットに無線式の盗聴器や盗撮器が取り付けられたことを判定する。
また、GPSなどの位置情報検出部34により、ロボット102で検出される位置情報とは独立に位置情報を検出しているので、電波検知装置30は、人によって持ち運ばれる機器や移動する機器に装着されても、位置情報を検出することができる。
なお、電波信号記憶部32に記憶されている位置情報及び電波信号情報は、タイマー或いはスケジューラーなどを用いて、定期的に、一括して又は古いものから順に消去するようにしてもよい。これにより、比較的新しい電波信号同士の比較を行うことができ、電波信号記憶部32に記憶させるデータ量を抑制することができる。また、比較する精度を高めるため、より多くの電波信号の抽出と比較を行う場合に、抽出する信号の数に応じて消去タイミングを設定するようにしてもよい。
また、電波受信部31は、最後に記憶させた位置情報のみ電波信号記憶部32に記憶し、同様に、新たに取得した位置情報と比較するようにしてもよい。これにより、電波信号記憶部32に記憶させるデータ量を、さらに削減できる。また、位置情報検出部34は、トリガ信号を用いずに、電波受信部31から位置情報取得要求があったとき、位置情報を取得するようにしてもよい。また、電波受信部31がトリガ信号の発生タイミングに合わせて位置情報検出部34からの位置情報を受け取る場合は、位置情報検出部34は、絶えず位置情報を検出し続けてもよい。
また、トリガ信号に合わせ、位置Pnと、その位置で検出された電波信号Snとを関連付けて常に電波信号記憶部32に登録し、電波信号照合部33が比較するときに、関連づけられた位置情報にもとづいて、互いに異なる位置情報と関連付けられた複数の電波信号情報を比較するようにしてもよい。これにより、後で、各位置での電波信号の履歴を保存することができ、履歴情報として利用できる。
また、トリガ信号発生部35でのトリガ信号の発生間隔などを制御する動作プログラムを中央処理装置(以下、「CPU」と記す)で行ってもよい。また、トリガ信号発生部35は、システムタイマーなどによる割り込みを適用してもよい。また、ロボット102本体が移動していないときは、トリガ信号発生部35のトリガ信号の間隔を長くしてもよいし、停止するようにしてもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、ロボット本体から発生する電波(以下、「自己電波」と記す)を検出し、各移動位置で受信される通常電波の信号成分から自己電波信号成分の影響を低減する実施の形態について説明する。
以下、図面を用いてその構成を説明する。図7は、本発明の実施の形態3におけるロボットの構成を示すブロック図である。以下、本発明の実施の形態1と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本発明の実施の形態3のロボット103と本発明の実施の形態1のロボット101とで異なる点は、初期化動作を設定する初期化設定部20を設けた点である。さらに、電波検知装置40において、ロボット103本体から発する自己電波を受信し、自己電波にもとづく電波信号(以下、「自己電波信号」と記す)を検出する電波受信部41と、電波信号情報421と自己電波信号情報422とを記憶する電波信号記憶部42と、複数の電波信号から記憶されている自己電波信号を除去し、除去された複数の電波信号を比較する電波信号照合部43とを備えた点である。これにより、各移動位置で受信される周囲からの通常電波に含まれてしまう自己電波の影響を低減でき、より高精度に不正電波を検知することができる。
図7に示すように、電波検知装置40は、電波信号情報421と自己電波信号情報422とを記憶する電波信号記憶部42と、アクチュエータ24から検出された位置情報にもとづいて、互いに異なる位置で電波信号を検出する電波受信部41と、電波信号記憶部42に記憶された複数の電波信号から自己電波信号を除去し、除去された複数の電波信号を比較することで、同一特性の電波信号の有無を検知する電波信号照合部43と、同一特性の電波信号の有無に応じて不正電波の有無を判定する不正電波検知部17とを備えている。また、電波受信部41は、検出された電波信号と自己電波信号とを電波信号記憶部42に記憶させる。
初期化設定部20は、ロボット103に初期化動作を行わせる。ここでは、初期化動作として、自己電波信号を検出して、ロボット103本体内に自己電波信号を記憶する動作を行う。
電波受信部41は、初期化時にロボット103本体から発する自己電波を受信し、自己電波信号を検出する。また、電波受信部41は、通常時は通常電波を受信し、電波信号を検出する。また、電波受信部41は、予め設定された距離の差がある、互いに異なる位置で検出された電波信号を電波信号記憶部42に電波信号情報421として記憶させる。また、電波受信部41は、初期化時には、検出された自己電波信号を電波信号記憶部42に自己電波信号情報422として記憶させる。
電波信号記憶部42は、電波信号を電波信号情報421の記憶領域に記憶し、自己電波信号を自己電波信号情報422の記憶領域に記憶する。電波信号記憶部42は、HDD、光磁気ディスクなどの磁気ディスク装置や半導体メモリなどの記憶装置を用いることができる。電波信号照合部43は、記憶された自己電波信号を除去した複数の電波信号を比較することで、同一特性の電波信号の有無を検知する。
次に、本発明の実施の形態3におけるロボットの動作について、図8を用いて説明する。図8はロボット103の動作を説明するためのフローチャートである。
図8において、ロボット103は、初期化モードの設定を受け付けると(S301)、初期化設定部20により、初期化時の座標位置P0(以下、「位置P0」と記す)を位置設定部21に設定する(S302)。ここで、位置P0には、自己電波を検出するために予め用意されているシールド室51(後述する図9参照)が置かれている。位置設定部21は、設定された位置P0についての位置情報をアクチュエータ24に出力する。アクチュエータ24は、移動部25の車輪をモータにより回転させることで、ロボット103の本体を移動させる。
次に、ロボット103は、アクチュエータ24により、位置P0まで移動して停止する(S303)。次に、ロボット103の電波受信部41は、停止した位置P0で自己電波W0を受信し、自己電波信号S0を検出する(S304)。次に、ロボット103の電波受信部41は、自己電波信号S0を電波信号記憶部42に自己電波信号情報422として記憶させる(S305)。ロボット103は、ステップS301からS305までの処理を実施することで初期化動作を完了する。
次に、ロボット103は、ステップS306からS316までの処理により、不正電波の検知と、検知結果による外部への警告などの報知とを行う。
具体的には、ロボット103は、位置設定部21に、移動先である第1の位置P1を設定する(S306)。これにより、位置設定部21は、設定された第1の位置P1についての位置情報をアクチュエータ24に出力し、アクチュエータ24は移動部25の車輪をモータにより回転させることで、ロボット103の本体を移動させる。
次に、ロボット103は、第1の位置P1まで移動して停止する(S307)。アクチュエータ24は、位置設定部21に設定された第1の位置P1についての位置情報と検出された位置情報とが一致したときに一致信号を電波受信部41に出力する。電波受信部41は、この一致信号のタイミングに合わせて電波信号を検出することで、各移動先の座標位置で電波信号を検出できる。ここで、電波受信部41において、S1は通常電波W1を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号である。
次に、ロボット103の電波受信部41は、停止した第1の位置P1で通常電波W1と自己電波W0とを受信し、下記式で表される電波信号S1bを検出する(S308)。
S1b=S1+S0
次に、ロボット103の電波受信部41は、第1の位置P1の電波信号S1bを電波信号記憶部42に記憶させる(S309)。次に、ロボット103は、電波信号S1bの記憶が完了すると、位置設定部21に、移動先である第2の位置P2を設定する(S310)。これにより、位置設定部21は、設定された第2の位置P2についての位置情報をアクチュエータ24に出力し、アクチュエータ24は移動部25の車輪をモータにより回転させることで、ロボット103本体を移動させる。
次に、ロボット103は、第2の位置P2まで移動して停止する(S311)。次に、ロボット103の電波受信部41は、停止した第2の位置P2で通常電波W2と自己電波W0とを受信し、下記式で表される電波信号S2bを検出する(S312)。ここで、電波受信部41において、S2は通常電波W2を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号である。
S2b=S2+S0
次に、ロボット103の電波信号照合部43は、電波信号記憶部42に記憶させた電波信号S1bと電波信号S2bとを比較するときに、初期化動作で記憶された自己電波信号S0の成分を除去する。すなわち、電波信号照合部43は、それぞれ自己電波信号S0の成分を除去した電波信号S1cと電波信号S2cとを比較し、同一特性の電波信号の有無を検知する(S313)。電波信号S1cと電波信号S2cとは、以下のようになる。
S1c=S1b−S0
=S1+S0−S0
=S1
S2c=S2b−S0
=S2+S0−S0
=S2
ここで、電波受信部41において、S1は通常電波W1を受信することで検出される電波信号、S2は通常電波W2を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号である。
これにより、本発明の実施の形態1に比べて、さらに、電波信号照合部43は、照合時に自己電波信号S0の成分を除去することで、同一特性を有する自己電波信号S0の影響を除去できるため、照合精度を向上させることができる。
次に、ロボット103の不正電波検知部17は、電波信号照合部43から同一特性の電波信号が「有り」と検知された場合を不正電波が「有り」と判定し、同一特性の電波信号が「無し」と検知された場合を不正電波が「無し」と判定した検知結果を出力する(S314)。
次に、ロボット103の報知部22は、検知結果に応じて外部に警告を発する(S315)。例えば、報知部22は、検知結果で不正電波が「有り」となった場合、「不正な電波を検知しました。盗聴、盗撮機器が本体に取り付けられた可能性があります。」などのメッセージを音声で外部に発する。一方、報知部22は、検知結果で不正電波が「無し」の場合は何もしない。次に、ロボット103の電波受信部41は、電波信号S2bを電波信号記憶部42に記憶させる(S316)。
以上のように、ロボット103は、ステップS301からS305までの処理を実施することで初期化動作を行い、ステップS306からS316までの処理により不正電波の検知と、検知結果による外部への警告などの報知とを行う。
なお、この初期化動作を工場出荷時に行い、予め自己電波信号の値をロボット103の本体に記憶するようにすれば、初期化設定部20を省略してもよい。また、ステップS301からS305までの初期化動作の処理も省略してもよい。
また、1つ以上の電波信号が電波信号記憶部42に記憶されている場合、新たな電波信号が1つ検出されれば、複数の電波信号の比較が可能となるため、ステップS306からS309までの処理を行わなくてもよい。新たに電波信号を1つ検出することで、さらに、異なる複数の電波信号を比較することができる。また、新しい電波信号同士で比較ができるように、電波信号記憶部42に記憶されている電波信号は、タイマー或いはスケジューラーなどを用いて、定期的に、一括して又は古いものから順に消去するようにしてもよい。
また、ロボット103の動作において、検知結果の報知の後、最後に検出された電波信号を電波信号記憶部42に記憶するようにしたが、検知結果の報知の後で電波信号記憶部42に記憶されている電波信号を全て消去するようにしてもよい。これにより、毎回、最新の電波信号同士を比較することができ、電波信号記憶部42に記憶させるデータ量を抑制することができる。
次に、図9を用いて、ロボット103本体が発する自己電波を検出する方法について説明する。図9は、自己電波を検出するときの状態を説明する説明図である。
図9において、ロボット103は、初期化動作として、外部からの電波を遮断したシールド室51に移動し、ロボット103本体から発する自己電波信号を検出して、ロボット103本体内に自己電波信号を記憶するものである。シールド室51は、例えば、所定厚の鉄板からなる略直方体から構成され、外部から入射される電波を遮断する。また、シールド室51には、自動開閉ドアが設けられており、ロボット103は、自立走行によりシールド室51内に入ることができる。
具体的には、ロボット103は、初期化動作として、位置P0に設置されたシールド室51に入り、本体を稼働状態にする。このとき、電波受信部41は、ロボット103自身から発生する通常稼働状態における自己電波W0を受信し、自己電波信号S0を検出する。電波受信部41は、検出された自己電波信号S0をロボット103本体内にある電波信号記憶部42に自己電波信号情報422として記憶する。
なお、シールド室51は、上記の例に特に限定されず、ロボット103がマンションなどの建物内で所定経路を巡回したり、荷物を搬送する場合、シールド室51に充電機能を設け、管理人がロボット103をシールド室51に入れ、ロボット103の充電とともに、初期化動作を行うようにしてもよい。
次に、図10を用いて、通常電波と不正電波の切り分けについて説明する。図10(a)は不正電波が「無し」の電波状態を説明する説明図、図10(b)は不正電波が「有り」の電波状態を説明する説明図である。
まず、図10(a)を用いて、不正電波が無いときの説明をする。図10(a)において、ロボット103は、第1の位置P1まで移動して停止し、さらに、第2の位置P2まで移動して停止するものとする。ロボット103は、第1の位置P1まで移動して停止すると、電波受信部41により通常電波W1と自己電波W0とを受信し、電波信号S1bを検出する。S1bは、以下のようになる。
S1b=S1+S0
次に、ロボット103は、電波信号S1bを電波信号記憶部42に記憶する。次に、ロボット103は、同様に、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2まで移動して停止すると、電波受信部41により通常電波W2と自己電波W0を受信し、電波信号S2bを検出する。電波信号S2bは、以下のようになる。
S2b=S2+S0
ここで、ロボット103は、電波信号照合部43により、電波信号記憶部42に記憶させた電波信号S1bと電波信号S2bとを比較するときに、初期化動作で電波信号記憶部42に記憶させた自己電波信号S0の成分を除去する。すなわち、電波信号照合部43は、電波信号S1bと電波信号S2bとを比較するときに、電波信号S1b、電波信号S2bそれぞれから、自己電波信号S0を減算した電波信号S1cと電波信号S2cとを比較する。電波信号S1cと電波信号S2cとは、以下のようになる。
S1c=S1b−S0
=S1+S0−S0
=S1
S2c=S2b−S0
=S2+S0−S0
=S2
ここで、電波受信部41において、S1は通常電波W1を受信することで検出される電波信号、S2は通常電波W2を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号である。
これにより、電波信号照合部43は、照合時に同一特性を有する自己電波信号S0の影響を除去でき、共通信号成分がないことを検知できる。
次に、図10(b)を用いて、盗聴器や盗撮器などの不正機器50がロボット103本体に装着され、不正電波が有るときの説明をする。図10(b)において、図10(a)と同様に、ロボット103は、第1の位置P1まで移動して停止し、さらに、第2の位置P2まで移動して停止するものとする。ロボット103は、第1の位置P1で、電波受信部41により、通常電波W1と、不正機器50が出す不正電波WAと、ロボット103が発する自己電波W0とを受信し、電波信号S1dを検出する。電波信号S1dは、以下のようになる。
S1d=(S1+S0)+SA
ここで、電波受信部41において、S1は通常電波W1を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号、SAは不正電波WAを受信することで検出される電波信号である。
次に、ロボット103は、同様に、第1の位置P1とは異なる第2の位置P2に移動して停止し、通常電波W2と、不正機器50が出す不正電波WAと、ロボット103が発する自己電波W0とを受信し、電波信号S2dを検出する。電波信号S2dは、以下のようになる。
S2d=(S2+S0)+SA
ここで、電波受信部41において、S2は通常電波W2を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号、SAは不正電波WAを受信することで検出される電波信号である。
さらに、ロボット103は、初期化時に電波信号記憶部42に記憶させた自己電波信号S0の成分を除去した電波信号を比較することで、同一特性の電波信号の検知精度を向上する。具体的には、電波信号照合部43は、検出した電波信号S1dと電波信号S2dとを比較するときに、それぞれの電波信号S1d、電波信号S2dから、自己電波信号S0を減算した電波信号S1eと電波信号S2eとを比較する。電波信号S1eと電波信号S2eとは、以下のようになる。
S1e=(S1+S0+SA)−S0
=S1+SA
S2e=(S2+S0+SA)−S0
=S2+SA
ここで、電波受信部41において、S1は通常電波W1を受信することで検出される電波信号、S2は通常電波W2を受信することで検出される電波信号、S0は自己電波W0を受信することで検出される電波信号、SAは不正電波WAを受信することで検出される電波信号である。
これにより、電波信号照合部43は、電波信号S1eと電波信号S2eとを比較することで、自己電波信号S0の成分の影響を除去でき、共通信号成分SAを精度よく検知できる。ロボット103は、この共通信号成分SAの有無により、不正電波の有無を判定する。この結果、不正電波の有無から本体に装着された不正機器50の有無を判断できる。
次に、図11を用いて、電波信号照合部43における同一特性の電波信号の有無の検出方法について、より詳細に説明する。図11(a)と図11(b)とは、図10(a)の第1の位置P1、第2の位置P2それぞれにおける電波信号を、電波信号照合部43において周波数分析した結果を示した図、図11(c)と図11(d)とは、図10(b)の第1の位置P1、第2の位置P2それぞれにおける電波信号を、同じく電波信号照合部43において周波数分析した結果を示した図である。なお、図11において、横軸は電波信号の周波数成分、縦軸は信号レベルを示している。
まず、図11(a)及び図11(b)を用いて、同一特性の電波信号が無い場合の検出について説明を行う。ロボット103は、記憶された電波信号S1b(=S1+S0)と検出した電波信号S2b(=S2+S0)とを比較する際、まず電波信号照合部43の分析部にて、各信号をデジタル化処理する。
具体的には、図11(a)及び図11(b)に示すように、測定周波数帯域を等間隔に分割し、各分割領域に対して、信号レベルが予め設定した閾値thよりも大きい場合に「1」を、小さい場合に「0」を割り当てることで、電波信号を電波信号行列に変換する。
ここで、本発明の実施の形態3の電波信号照合部43と本発明の実施の形態1の電波信号照合部15とで異なる点は、電波信号を電波信号行列に変換する際に、初期化動作時に電波信号記憶部42に記憶させた自己電波信号S0の成分を各電波信号から除去する点である。
これにより、第1の位置P1の電波信号行列は、(0,0,0,0,1,0,0,0,0,0)、第2の位置P2の電波信号行列は、(0,0,0,0,0,0,0,1,0,0)となり、この時点で同一特性を有する自己電波信号S0の影響が除去される。
次に、電波信号照合部43の比較部にて、第1の位置P1、第2の位置P2の電波信号行列の対応する各列要素に対して、論理積(AND)処理を行う。この時、処理後の行列要素に1つでも「1」があれば、同一特性の電波信号が「有り」と検出され、1つも「1」がなければ、同一特性の電波信号が「無し」と検出される。図11(a)及び図11(b)から、第1の位置P1、第2の位置P2それぞれの電波信号行列の論理積(AND)処理結果が、(0,0,0,0,0,0,0,0,0,0)となるので、同一特性の電波信号が「無し」と検出される。
次に、図11(c)及び図11(d)を用いて、同一特性の電波信号が有る場合の検出について説明を行う。図11(c)及び図11(d)において、同様に、ロボット103は、記憶された電波信号S1d(=(S1+S0)+SA)と、検出した電波信号S2d(=(S2+S0)+SA)とを比較する際、まず電波信号照合部43の分析部にて、各信号をデジタル化処理する。
このときも、先と同様に、初期化動作時に電波信号記憶部42に記憶させた自己電波信号S0の成分を各電波信号から除去して変換を行う。その結果、第1の位置P1の電波信号行列は、(0,1,1,0,1,0,0,0,0,0)、第2の位置P2の電波信号行列は、(0,1,1,0,0,0,0,1,0,0)となり、やはりこの時点で同一特性を有する自己電波信号S0の影響が除去される。
次に、電波信号照合部43の比較部にて、同様に、第1の位置P1、第2の位置P2の電波信号行列の対応する各列要素に対して、論理積処理を行う。ここで、図11(c)及び図11(d)において、第1の位置P1、第2の位置P2の電波信号行列の論理積処理結果は、(0,1,1,0,0,0,0,0,0,0)となり、自己電波信号S0以外の同一特性を有する電波信号SAのみが検出され、同一特性の電波信号が「有り」と検出される。
以上のように、本発明の実施の形態3によれば、ロボット103は、ロボット本体から発せられる自己電波W0を受信し、検出される自己電波信号S0を予め記憶し、照合時に検出された電波信号から記憶してある自己電波信号S0を除去するようにした。これにより、同一特性の共通信号成分を精度よく検出でき、盗聴器や盗撮器などの不正電波の有無を精度よく検知できる。
また、ロボット本体から発生する自己電波と盗聴器や盗撮器などが出す不正電波とを切り分けることで、自己電波の強いロボットでも、精度よく不正電波を検知することができる。これにより、自己電波に近い周波数の不正電波でも精度よく検出できる。なお、予め、電波信号から自己電波信号S0を除いたものを電波信号情報421として電波信号記憶部42に記憶するようにしてもよい。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4は、各ブロックに含まれる機能を停止させることで、ロボットが電波情報を受信するときにロボット本体から発生する自己電波の影響を抑える実施の形態について説明する。
以下、図面を用いてその構成を説明する。図12は、本発明の実施の形態4におけるロボットの構成を示すブロック図である。以下、本発明の実施の形態1と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本発明の実施の形態4のロボット104と本発明の実施の形態1のロボット101とで異なる点は、電波検知装置60において、電波受信部12が電波信号を検出する間、所定のブロックの機能を停止させ、ロボット104本体から発生する自己電波を抑える停止制御部28を設け、さらに、送受信部29を設けている点である。これにより、各移動位置で電波信号を検出するときに、通常電波に含まれるロボット104本体から発生する自己電波の影響を低減し、不正電波の検知精度を向上するものである。
停止制御部28は、ブロック単位で、第1のブロックBA、第2のブロックBB、第3のブロックBCに含まれる機能を停止させるか否かを制御する。これにより、電波の発生が抑えられる。ここで、第1のブロックBAには、アクチュエータ24と、移動部25とが含まれる。同様に、第2のブロックBBには、報知部22と、検知結果記憶部23と、表示部26と、設定部27とが含まれ、第3のブロックBCには、送受信部29が含まれている。
送受信部29は、電波信号記憶部14及び検知結果記憶部23に格納された情報や、外部からのロボットの制御情報などを、送信アンテナ11を介して送受信する機能を有する。なお、送受信内容として、例えばロボット104の稼動状況、検知結果の履歴情報、記憶した電波信号情報、外部機器からの指令コマンドなどである。
次に、ロボット104の動作について説明する。ロボット104は、停止した第1の位置P1と、第1の位置P1と異なる第2の位置P2とで、周囲の電波をそれぞれ受信し、不正機器の有無を判定する。まず、ロボット104は、停止した第1の位置P1で、停止制御部28からの制御信号282及び制御信号283により、その時点で使用しない機能の第2のブロックBB及び第3のブロックBCに含まれる機能を停止する。これにより、まず第3のブロックBCに含まれる送受信部29が停止し、外部への電波の発信がとまる。また、第2のブロックBBに含まれる機能も停止し、電波雑音が減少する。さらに、必要に応じて、制御信号281により、第1のブロックBAに含まれるアクチュエータ24や移動部25も停止してもよい。これにより、さらに、電波雑音が減少する。
ロボット104は、停止制御部28により、第2のブロックBBと第3のブロックBCとを停止した後、電波受信部12で電波信号S1を検出すれば、自己電波による電波雑音の影響を抑えることができる。電波受信部12及び電波信号記憶部14は、第2のブロックBB及び第3のブロックBCに含まれず、活動状態なので、第1の位置P1で、通常電波W1を受信し、電波信号S1の検出と記憶には支障はない。
次に、ロボット104は、電波信号S1を電波信号記憶部14に記憶させた後、第2の位置P2へ移動し停止する。ロボット104は、停止した第2の位置P2で、停止制御部28からの制御信号282と制御信号283とにより第2のブロックBB及び第3のブロックBCを停止し、電波受信部12は、電波信号S2を検出する。ロボット104の電波受信部12は、第2の位置P2で通常電波W2を受信し、検出した電波信号S2を電波信号記憶部14へ記憶する。
ロボット104は、電波信号S2の記憶が完了した後、停止制御部28の制御信号282により第2のブロックBBを活動状態にする。さらに、ロボット104は、電波信号照合部15により、電波信号記憶部14に記憶された電波信号S1と電波信号S2とを比較する。不正電波検知部17は、電波信号照合部15での照合結果から同一特性の信号の有無を検出し、不正電波の有無を検知する。不正電波検知部17は、検知結果を検知結果記憶部23に記憶する。さらに、報知部22は、不正電波が「有り」のとき、外部に対して警告を行う。なお、停止制御部28は、制御信号283により第3のブロックBCを活動状態に制御し、検知結果記憶部23のデータを送受信部29により外部に送信するようにしてもよい。
このように、ロボット104は、電波信号S1及び電波信号S2を検出する間、ロボット本体内部から発生する自己電波を抑えることで、精度よく不正機器が発する不正電波を検出できる。
なお、停止にする単位は、ブロック単位としたが、所定の処理を行う機能ごととしてもよく、例えば、報知部22のみを停止させたり、検知結果記憶部23のみを停止させたりしてもよく、種々の変更が可能である。また、送受信部29のみが主要な電波雑音の原因であって、その電波雑音のみを低減すれば十分であれば、送受信部29だけを停止にするようにしてもよい。このように、主要な電波雑音の原因となるユニットを非活動状態にすることで、ノイズ成分を低減して電波信号S1及び電波信号S2を検出することができる。
また、ロボット104が平坦な場所を移動して停止している場合、アクチュエータ24などによる位置決め制御を常に行う必要がないこともある。このようなときに、電波信号を検出する間のみアクチュエータ24の電力を停止するようにしてもよい。これにより、さらに、ロボット本体内部からの電波の発生を抑え、不正電波の検知精度を向上できる。
以上のように、本発明の実施の形態4によれば、ロボット104は、電波信号を検出する間、所定の機能を停止させることで、ロボット104本体内部から発生する自己電波を抑える。これにより、盗聴器や盗撮器などが発する不正電波をより精度よく検知できる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5では、音感知により動作する盗聴器又は盗撮器を検知する場合の実施の形態について説明する。以下、図面を用いてその構成を説明する。図13は、本発明の実施の形態5におけるロボットの構成を示すブロック図である。以下、本発明の実施の形態1と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図13に示すように、本発明の実施の形態5のロボット105と本発明の実施の形態1のロボット101とで異なる点は、電波検知装置70において、電波受信部72に電波信号を検出するときにトリガ信号を発生させるようにした点と、このトリガ信号に応じて検査音を発生させる検査音発生部71を設けた点である。これにより、電波信号を検出している間、音を発生させることで、音感知によって動作する盗聴器又は盗撮器を動作させ、その盗聴器又は盗撮器から発生する不正電波を検出することができる。
電波受信部72は、実施の形態1と同様に、アクチュエータ24から出力される一致信号のタイミングに合わせて電波信号を検出する。さらに、電波受信部72は、一致信号に応じて検査音発生部71にトリガ信号を出力する。検査音発生部71は、電波受信部72からのトリガ信号に合わせて、スピーカなどを駆動し、予め設定された音を発生させる。これにより、検査音発生部71は、音感知により不正電波を発信する盗聴器又は盗撮器を作動させることができる。
次に、ロボット105の動作について説明する。ロボット105は、第1の位置P1まで移動して停止し、さらに、第2の位置P2まで移動して停止するものとする。ロボット105は、それぞれの停止位置で電波信号を検出している間、検査音発生部71により検査音を発生させ、音感タイプの不正機器が発する不正電波を検知する。
ロボット105は、まず、第1の位置P1に移動して停止し、アクチュエータ24から出力される一致信号のタイミングに合わせて、電波受信部72から検査音発生部71にトリガ信号を出力し、検査音発生部71が備えるスピーカから検査音を発生させる。
次に、ロボット105は、停止した位置P1で、電波受信部72により、電波信号S1を検出する。次に、ロボット105は、検出された電波信号S1を電波信号記憶部14に記憶する。ロボット105は、電波信号S1を記憶した後、検査音発生部71により、検査音を停止する。
次に、ロボット105は、第1の位置P1と異なる第2の位置P2まで移動して停止し、同様に、アクチュエータ24から出力される一致信号のタイミングに合わせて、電波受信部72から検査音発生部71にトリガ信号を出力し、検査音発生部71が備えるスピーカから検査音を発生させる。次に、ロボット105は、停止した第2の位置P2で、電波受信部72により、電波信号S2を検出する。
次に、ロボット105は、電波信号照合部15により、電波信号記憶部14に記憶された電波信号S1と、電波受信部72から検出された電波信号S2とを比較し、同一特性の信号の有無を検出する。さらに、ロボット105は、不正電波検知部17により、不正電波の有無を検知する。ロボット105は、電波信号記憶部14に記憶された電波信号S1と電波信号S2とが比較された後、検査音発生部71により、検査音を停止する。
これにより、ロボット105は、検査音発生部71により、装着された不正装置が音に感知して電波を出す盗聴器又は盗撮器であっても、電波受信部72で電波信号S1又は電波信号S2を検出している間、スピーカより検査音を発生させることができ、不正電波を検出することができる。ここで、スピーカからの検査音が迷惑となる場合もあるので、電波受信部72で電波信号S1又は電波信号S2を検出している間だけ検査音を発生させることで、周囲に対して、迷惑にならないよう配慮している。
なお、検査音発生部71が備えるスピーカから発生する自己電波の影響は、本発明の実施の形態2で述べた自己電波信号S0を除去する方法により取り除くことができ、必要に応じて適用してもよい。
以上のように、本発明の実施の形態5によれば、ロボット105は、音に反応して動作する盗聴器などの不正機器が装着されても、不正電波の有無を検知することができる。
なお、ロボットが発生する音は、上記の検査音に特に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、電波を検知する際、又は、不正電波を検知した後、ロボット自体が自身に固有の微小な特異音(M系列など)を発音し、スペクトルが立っている周波数に同調させて電波信号を復調し、電波信号がこの特異音を含む場合に不正電波があることを検出するようにしてもよい。
具体的には、検査音発生部71は、微小な特異音(M系列など)を発音し、電波受信部72は、この特異音を含む電波信号を受信する。電波信号照合部15は、スペクトルが立っている周波数に同調させて電波信号を復調し、特異音が復調されれば特異音と同一特性の電波信号が「有り」と検出し、特異音が復調されなければ特異音と同一特性の電波信号が「無し」と検出する。不正電波検知部17は、電波信号照合部15で特異音と同一特性の電波信号が「有り」と検出されたときに不正電波「有り」と判定し、特異音と同一特性の電波信号が「無し」と検出されたときには不正電波「無し」と判定した検知結果を出力する。この場合、ロボット自体が発生する特異音を検出して不正電波を検知しているので、盗聴器又は盗撮器を正確に検知することができる。
なお、特異音としては、上記の例に特に限定されず、アクチュエータ24のモータ駆動音、移動部25の車輪音又は減速機音等を用いてもよく、この場合、検査音発生部71を省略することができる。また、検査音発生部71に代えて、ロボット自身の駆動音を集音するマイクを設け、このマイクによって測定された駆動音と、復調された特異音とが一致する場合に、不正電波「有り」と判定するようにしてもよい。また、上記の特異音の復調
は、少なくとも2地点間で実施することが好ましく、この場合、より高精度に盗聴器又は盗撮器を検知することができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6では、環境ノイズとなる環境電波エネルギーの最も小さい位置を計測位置として盗聴器又は盗撮器を検知する場合の実施の形態について説明する。以下、図面を用いてその構成を説明する。図14は、本発明の実施の形態6におけるロボットの構成を示すブロック図である。
図14に示すロボット106と本発明の実施の形態1のロボット101とで異なる点は、ロボット106の利用空間(作業範囲)における各位置に対応付けて当該位置の環境電波の強度を表す電波強度マップを記憶するマップ記憶部18と、マップ記憶部18に記憶されている電波強度マップを基に環境電波の強度が小さい計測位置を選択する計測位置選択部19とをさらに備え、位置設定部21は、計測位置選択部19が選択した計測位置を第1及び第2の位置P1、P2としてアクチュエータ24に出力し、電波強度の小さい2つの位置を計測位置として盗聴器又は盗撮器を検知する点である。なお、電波強度の小さい2つの位置が第1及び第2の位置P1、P2として設定された後の処理は、本発明の実施の形態1と同様であるので、同一の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
不正電波を検出するには、既存の環境電波の強度に対して不正電波の強度が大きい方が、検出精度が高くなる(S/N比が上がる)。このことから、本実施の形態では、利用空間の電波強度マップをマップ記憶部18に保持し、計測位置選択部19は、比較的電波強度の弱い場所を2点選択し、ロボット106は、この2点を計測位置として不正電波を検出する。なお、計測位置は、2点に特に限定されず、電波強度の小さい3点以上で計測するようにしてもよい。
電波強度マップは、例えば、ロボットサービス業者が予め利用空間においてロボットを遠隔操作しながら、各地点での電波強度を計測することにより作成され、マップ記憶部18に予め記憶される。図15は、電波強度マップの一例を示す模式図である。
まず、ロボット106の利用空間USに一定間隔で格子点GPを割り振り、下式に示すように、格子点GP毎にその座標(xi,yj)と、その格子点における電波強度Pij(各周波数のスペクトラム強度の総和又は2乗和)の組を割り当てる。
PMap={(xi,yj,Pij)|i=0,…,n−1,j=0,…,m−1}
但し、利用空間USにおいて存在しない点には−1を割り当てておき、例えば、図15に示す座標(x1,ym−2)には(x1,ym−2,−1)が割り当てられる。ここで、格子点GPの間隔は、例えば、10cm、20cm、50cmなど任意に事前に設定しておくことができるが、この例に特に限定されず、利用空間の任意の点に格子点を割り当てるようにしてもよい。
なお、電波強度マップは、実施の形態2に記載したように、日常走行時に電波計測を所定の時間間隔で計測し、不正電波が計測されなかった時の電波強度を各時刻における位置に対応づけて記憶するようにしてもよい。
また、例えば、複数のロボットがマンションや空港などの建物内に配置され、複数のロボットが実施の形態4のように送受信部を備え、複数のロボットを管理する管理装置が各ロボットと通信可能に構成されている場合、各ロボットが所定の経路を巡回しているときに、電波強度を測定して管理装置へ送信するようにしてもよい。この場合、管理装置は、各ロボットが測定した電波強度を纏めて電波強度マップを作成し、この電波強度マップや電波強度マップから選択した電波強度の弱い場所を通知したり、さらに、各ロボットが検出した電波信号を管理装置へ送信して管理装置が不正電波の有無を検知して検知結果を各ロボットへ送信したりすることができる。
次に、上記の電波強度マップから不正電波の検知に用いる2点を選択する方法について図16のフローチャートを用いて説明する。図16は、図14に示す計測位置選択部19による計測位置選択処理を説明するためのフローチャートである。なお、既に電波強度マップは求められており、マップ記憶部18に記憶されているものとする。
まず、計測位置選択部19は、imin1,imin2,jmin1,jmin2,Pmin1,Pmin2をメモリ空間上に準備し(S401)、Pmin1及びPmin2を−1に初期化し、i及びjを0に設定する(S402)。次に、計測位置選択部19は、i及びjを順に1ずつ増加させながら(S403、S404)、まず、Pijが−1であれば(S405)、次のi,jの組に移行する(S412、S413)。
一方、Pijが−1でない場合、Pmin1が−1であれば(S406)、計測位置選択部19は、Pmin1にPijを、imin1にiを、jmin1にjをそれぞれ代入し(S407)、iがn−1に、jがm−1になるまで次のi,jの組に移行する(S412、S413)。
また、Pmin1が−1でなく、且つ、PijがPmin1より小さければ(S408)、計測位置選択部19は、Pmin2にPmin1、imin2にimin1を、jmin2にjmin1をそれぞれ代入し、Pmin1にPijを、imin1にiを、jmin1にjをそれぞれ代入し(S409)、iがn−1に、jがm−1になるまで次のi,jの組に移行する(S412、S413)。
一方、ステップS408でPijがPmin1以上の場合、Pmin2が−1であるか、又は、PijがPmin2より小さければ(S410)、計測位置選択部19は、Pmin2にPijを、imin2にiを、jmin2にjをそれぞれ代入し(S411)、iがn−1に、jがm−1になるまで次のi,jの組に移行する(S412、S413)。
以上の処理により、計測位置選択部19は、利用空間内での電波強度の弱い2点を選択することが可能となり、位置設定部21は、この2点(xmin1,ymin1)、(xmin2,ymin2)をそれぞれ第1の位置P1、第2の位置P2として設定する。その後、ロボット106は、実施の形態1と同様に、この2点(xmin1,ymin1)、(xmin2,ymin2)をそれぞれ第1の位置P1、第2の位置P2として2点間でのスペクトラム強度(周波数毎の強度)を比較し、不正電波の有無を検出する。
このように、ロボット106は、環境電波の総エネルギーが最小の場所を自律的に探索し、その中で電波強度の最も弱い2点を選択して不正電波の有無を検出することができるので、環境ノイズを最小化して盗聴電波及び盗撮電波の検知処理のS/N比を向上することができ、精度よく不正機器が発する不正電波を検出できる。
なお、本実施の形態では、環境電波の総エネルギーが最小となる場所を自律的に探索したが、壁や家具の近くでは、環境電波が反射されやすいので、部屋の中心で不正電波の有無を検出するようにしてもよい。また、電波強度マップに、既知の発信源(例えば、無線LANのアクセスポイント)をも記憶し、この発信源から遠い位置を計測位置として選択するようにしてもよい。
また、電波強度マップとして、ペクトラム強度(各スペクトルのレベル)を記憶したが、この例に特に限定されず、スペクトルのレベルの分散を記憶し、この分散が所定の閾値以下の地点を計測位置として選択するようにしてもよい。また、時間帯によるレベルの分散や分散の変動周期をも考慮にして計測位置を選択するようにしてもよい。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7では、ロボットが荷物を搬送するときに、荷物に取付けられた盗聴器又は盗撮器を検知する実施の形態について説明する。以下、図面を用いてその構成を説明する。図17は、本発明の実施の形態7におけるロボットの構成を示すブロック図である。以下、本発明の実施の形態2と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図17に示すように、本発明の実施の形態7のロボット107と本発明の実施の形態2のロボット102とで異なる点は、電波検知装置30aにおいて、トリガ信号発生部35に代えて、荷物が載置されたことを検知してトリガ信号を発生する荷物検出部36を付加した点である。
荷物検出部36は、重量センサ又は接触センサを用いて、ロボット107の荷物台に荷物が載置されたことを検出し、トリガ信号をへ発生する。なお、荷物の検出方法は、上記の例に特に限定されず、例えば、ロボット107に荷物箱が設置され、荷物箱の扉の開閉動作を検出してトリガ信号を発生するようにしてもよい。
ロボット107に荷物台に荷物が載置されると、荷物検出部36は、荷物がロボット107に載置されたことを検出してトリガ信号を電波受信部31及び位置情報検出部34へ出力し、その後、実施の形態2と同様に動作して複数の電波信号情報と複数の位置情報を検出して荷物に取り付けられた盗聴器又は盗撮器を検知するものである。なお、上記の検知動作において、実施の形態2では、所定数の電波信号情報が電波信号記憶部32に記憶されている場合(ステップS206)に電波信号の照合を行っているが、ステップS206の処理を省略して、荷物が載置される度に電波信号の照合を行うようにしてもよい。
上記の構成により、本発明の実施の形態7によれば、ロボット107は、荷物が載置されたときに同一特性の電波信号の有無を検出することができるので、ロボット107自体ではなく、荷物に盗聴器や盗撮器が取り付けられている場合でも、盗聴器や盗撮器を正確に検知することができる。
なお、本実施の形態では、実施の形態2と同様に、荷物に盗聴器や盗撮器が取り付けられていると判定されたときに、外部に警告を発するが、これに代えて又はこれに付加して、荷役を預かった後に電波状態が変わって盗聴器や盗撮器が荷物に取り付けられていると認められる場合、荷物の配達時に、第一報の警告を配達先のユーザのコンピュータ等に通知したり、配達後に、電波状態を確認した上で第二報の警告を配達先のユーザのコンピュータ等に通知したりするようにしてもよい。
また、本実施の形態では、電波受信部31は、実施の形態2と同様に、位置情報検出部34から取得した位置情報と電波信号記憶部32に記憶されている位置情報321との差が所定の距離の差より大きいとき、電波信号情報と位置情報とを関連付けて電波信号記憶部32に記憶し、これにより、電波信号記憶部32に、トリガ信号の発生タイミングに合わせて、互いに異なる位置における電波信号情報を記憶しているが、この例に特に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、位置情報検出部34から取得した位置情報と電波信号記憶部32に記憶されている位置情報321との差が所定の距離の差以下の場合に、ロボット107の位置と電波信号記憶部32に記憶されている位置情報321に示される位置との差が所定の距離の差より大きくなるように、電波受信部31がロボット107の移動先の位置を位置設定部21に設定してもよい。このとき、位置設定部21が、設定された移動先の位置情報をアクチュエータ24に出力してロボット107を移動させた後に、電波受信部31が電波を受信して電波信号を検出し、検出された電波信号情報と位置情報とを関連付けて電波信号記憶部32に記憶するようにしてもよい。この場合も、互いに異なる複数の位置で同一特性の電波信号の有無を検出することができるので、荷物に盗聴器や盗撮器が取り付けられている盗聴器や盗撮器を正確に検知することができる。
また、位置情報検出部34を省略して、電波受信部31は、ロボット107の位置に関係なく、トリガ信号の発生タイミングすなわち荷物の検出タイミングに合わせて電波を受信して電波信号を検出し、検出した電波信号を電波信号記憶部32に記憶するようにしてもよい。このとき、電波信号照合部33は、現在のトリガ信号のタイミングで検出され電波信号と、1つ前(又はそれ以前)のトリガ信号のタイミングで検出されて電波信号記憶部32に記憶されている電波信号とを比較し、同一特性の電波信号の有無を検知する。この場合、荷物が載置される度に検出された電波信号を照合し、荷物に取り付けられた盗聴器又は盗撮器を検知することができる。
また、本実施の形態では、荷物が載置されたことをトリガとして不正電波を検出しているが、この例に特に限定されず、荷物が載置される前の電波状況と、荷物が載置された後の電波状況とを比較して、荷物に盗聴器や盗撮器が取り付けられていることを判定するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態では、異なる2地点間で盗聴器又は盗撮器の電波を検出したが、この例に特に限定されず、盗聴器又は盗撮器の電波の有無を検知し、盗聴器又は盗撮器の電波が検知されたら、2地点間を移動して検出された電波帯域のスペクトルの有無を比較し、場所移動によっても特性変化が無ければ(少なければ)、ロボット自体又は荷物に盗聴器又は盗撮器が取り付けられていると判定するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態では、盗聴器又は盗撮器の探知後に、警告をおこなっているが、探知後の処置はこの例に特に限定されず、ロボットが自律的にシールド室に入って盗聴器又は盗撮器の電波を遮断したり、盗聴器又は盗撮器の電波と同一周波数帯の妨害電波を発信するようにしてもよい。
なお、本発明の実施の形態1から本発明の実施の形態7までの電波検知装置又はロボットは、集積回路などを用いたハードウェアにより実施してもよいし、CPUなどを用いたソフトウェアにより実施してもよい。
まず、電波検知処理をハードウェアで実施する場合は、本発明の実施の形態での各機能を個別に1チップ化された集積回路としてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化された集積回路としてもよい。
また、集積回路は、専用回路又は汎用プロセッサーで実現してもよい。例えば、半導体チップを製造した後、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、集積回路内部のセルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術による集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の進歩により、バイオコンピュータの適用などが考えられる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8では、上記の電波検知処理をソフトウェアで実施する実施の形態について説明する。以下、図面を用いてその構成を説明する。図18は、本発明の実施の形態8におけるコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1から実施の形態7までと同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図18において、コンピュータシステム108は、位置設定により設定された位置に移動するための移動部25と、移動部25を駆動するためのアクチュエータ24と、初期化動作を設定する初期化設定部20と、アンテナ13で電波を受信し、電波信号を検出する電波受信部12と、位置情報を検出する位置情報検出部34と、信号の入出力を行うI/F部86と、電波信号を記憶する電波信号記憶部14と、電波強度マップを記憶するマップ記憶部18と、外部に警告を発する報知部22と、検知結果を表示する表示部26と、表示内容を設定する設定部27と、荷物が載置されたことを検知してトリガ信号を発生する荷物検出部36と、電波信号を検出するときに音を発生する検査音発生部71と、検知結果を記憶するHDD81と、外部との通信を行う通信I/F部82と、情報記録媒体からの情報を入出力するドライブ83と、制御部80とを備えている。
制御部80は、ロボットの動作の制御、電波検知処理をするものであり、所定の制御プログラム、電波検知処理プログラムにより、アクチュエータ24や移動部25の制御、電波受信部12からの電波信号の取得、位置情報検出部34からの位置情報の取得、内部信号のやりとり、不正電波検知処理などロボットの動作処理及び信号処理などを行い、電波信号照合部15、不正電波検知部17、計測位置選択部19、位置設定部21、トリガ信号発生部35、停止制御部28等として機能する。
制御部80は、各種プログラムの命令を処理するCPU801と、電波検知処理プログラムなどが格納されているリードオンリーメモリ802(以下、「ROM802」と記す)と、一時記憶のデータを格納するランダムアクセスメモリ803(以下、「RAM803」と記す)とを備える。
CPU801は、ROM802に記憶されているプログラム、又は、HDD81に記憶されているプログラムか、RAM803に記憶されたプログラムにしたがって各種の処理を実施する。また、CPU801は、RAM803に各部の処理に必要なデータを一時記憶する。
ドライブ83は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を適宜接続し、記録媒体に記憶されている電波検知処理プログラムなどの記憶情報を取得する。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクなどのディスク85、又は半導体メモリなどのメモリカード84などである。また、ドライブ83は、コンピュータシステム108で作成された記憶情報の書き込みを記録媒体に対して行う。この記憶情報として、不正機器などが発生した不正電波の電波信号の成分、不正な電波を検出した位置の情報、不正電波が検出された履歴情報などを記憶するようにしてもよい。また、ディスク85又はメモリカード84などに不正電波の情報を記憶し、コンピュータシステム108に、その情報を与えるようにしてもよい。
HDD81は、磁気メモリなどで構成され、電波検知処理に必要なプログラム群であるソフトウェアを記憶してもよい。なお、電波検知処理のソフトウェアを構成するプログラムは、予めコンピュータに専用のハードウェアで組み込んでもよいし、ROM802、HDD81に予め組み込んで提供してもよい。
また、コンピュータシステム108とは別に、プログラムが記憶されている記録媒体からプログラムを取得するようにしてもよい。例えば、ドライブ83にディスク85、或いは、メモリカード84が適宜接続され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じてHDD81にインストールされようにしてもよい。
また、無線による通信I/F部82を備え、ネットワークに接続することで、ネットワークを経由してプログラムを取得し、必要に応じてHDD81にインストールするようにしてもよい。これにより、コンピュータシステム108は、通信I/F部82により、遠隔操作により制御可能となる。また、制御プログラム、電波検知処理のプログラムのダウンロードなどを行ってもよい。
なお、本発明の電波検知装置及び電波検知方法は、遠隔操作可能な玩具、自律移動可能な玩具、ゲーム機器、携帯情報端末、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどにも適用でき、本発明の実施の形態1から本発明の実施の形態7までと同様の効果を奏する。