JP2007332455A - 超高強度鋼板及びこれを用いた自動車用強度部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モリブデン、タングステン、バナジウム、チタン及びニオブなどを含有し、基地組織が焼戻しマルテンサイト、旧オーステナイト粒径が30μm以下であり、引張強度が980MPa以上である超高強度鋼板であり、C:0.10%〜0.40%及びCr:0.01%〜3.5%を含有し、Mo:0.10%〜2.0%、W:0.20%〜1.5%、V:0.002%〜1.0%、Ti:0.002%〜1.0%及びNb:0.005%〜1.0%などを含有し、P:≦0.02%及びS:≦0.01%であり、残部は実質的にFe及び不可避的不純物である。平均旧オーステナイト粒径が3〜10μmである。
上記高強度薄鋼板を用いて成る自動車用強度部品である。
【選択図】なし
Description
また、1180MPa以上の強度になると、水素脆化による遅れ破壊という新たな弊害が生じることが知られている。
TRIP鋼板は、加工変形により残留オーステナイトがマルテンサイトに誘起変態して大きな伸びが得られる鋼板である。
しかし、TRIP鋼板においても、残留オーステナイトの加工誘起変態に起因して遅れ破壊が助長されることが報告されている(例えば非特許文献1参照)。
しかし、成形性に関する知見は一切記載されておらず、超高強度鋼板における耐遅れ破壊性と成形性の両立が切望されている。
引張強度が980MPa以上であり、
C:0.10%〜0.40%及びCr:0.01%〜3.5%を含有し、
Mo:0.10%〜2.0%、W:0.20%〜1.5%、V:0.002%〜1.0%、Ti:0.002%〜1.0%及びNb:0.005%〜1.0%から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有し、
不純物P,Sの含有量はP:≦0.02%及びS:≦0.01%であり、残部は実質的にFe及び不可避的不純物であることを特徴とする。
代表的には、上記焼戻しマルテンサイトは、1100℃以上の温度に加熱後、850℃以上の仕上げ温度、圧下率30%以上で圧延、150℃〜300℃で保持の製造条件、550℃〜700℃の焼戻し条件により得ることができる。
炭素(C)、クロム(Cr)を、C:0.10%〜0.40%、Cr:0.01%〜3.5%の割合で含有し、
モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、チタン(Ti)又はニオブ(Nb)、及びこれらの任意の組合せに係るものを、Mo:0.10%〜2.0%、W:0.20%〜1.5%、V:0.002%〜1.0%、Ti:0.002%〜1.0%及びNb:0.005%〜1.0%の割合で含有し、
更に、不純物のリン(P)、硫黄(S)を、P:≦0.02%、S:≦0.01%の割合で含有し、
残部は実質的に鉄(Fe)及び不可避的不純物である。
以下に各成分について説明する。
以下に各成分について説明する。
以下に各成分について説明する。
また、成分設計の観点から、亜鉛めっきの表面処理を施すことができる。
同様に、フィルムラミネート処理を施すこともできる。
かかる自動車用強度部品は、上述の高強度薄鋼板を用いて成る。これにより成形性及び耐遅れ破壊性が共に優れた自動車用高強度部品が得られる。
具体的には、プレス成形(冷間、温間、熱間)、ハイドロ成形、ブロー成形、のいずれかの方法により、上記高強度薄鋼板を成形して得ることができる。
なお、通常、ピアス、トリム加工した部位は、残留応力が高く遅れ破壊の危険が高くなるが、本発明の自動車用強度部品は、切断加工部を有している場合でも、遅れ破壊が少ないので有効である。
表1に示す成分の鋼を用い、表2に示す製造条件により、各例の鋼板を作製した。
各例の鋼板について、引張強度、SD(一様伸び後の応力低下度)、組織、成形評価、遅れ破壊評価を行った。これらの試験結果を表3に示す。
また、各特性の評価は下記の要領で実施した。比較例2〜5(E,F,G,H)の鋼は市販品を使用した。
(1)引張強度
引張強度はJIS Z2201の5号試験片を用い、JIS Z2241に準拠した引張試験を行い、評価した。
(2)応力低下度(SD)
図1は、板状試験片(例えば、JIS Z 2201に規定される5号試験片や13号試験片)を用いた引張試験による応力−歪線図を示す模式図である。引張強さ(TS)と破断応力の差を応力低下度(SD)と定義する。
応力低下度(SD)が180MPa以上の値を有するものは良好な靭延性を有していた。
(1)基地組織
基地組織は、断面を研磨後、ナイタール溶液によりエッチングし、光学顕微鏡100〜1000倍及びSEM観察1000〜5000倍を行って評価した。
旧オーステナイト粒径は、基地組織が焼戻しマルテンサイトのものについて、JIS G0551に準拠して行い、評価した。
成形性評価方法は、複雑なプレス成形が必要な自動車用部品への適用を念頭に置き、深絞り性評価、張出し性評価、形状凍結性評価の総合評価で評価を行った。それぞれの成形性評価方法について下記の要領で実施した。
図2に深絞り試験概要を示す。ポンチ肩半径5mm、直径50mmの円筒ポンチ4と、ダイ肩半径7mmのダイ1及びシワ押さえ2で構成される試験工具を用い、シワ押さえ2に50kNの加圧力を与えた状態で、3mm/秒の速度でポンチ4を移動させた。
このとき、試験片3のブランク直径を大きくしていき、破断することなく絞りきることのできるブランク直径を、最大ブランク直径Dとした。ポンチ直径と最大ブランク直径の比(D/50)をLDRと定義した。この値が大きいほど深絞り性が良い。
図3に深絞り試験概要を示す。半径50mmの球頭ポンチ4と、ダイ肩半径5mmのビードつきダイ1及びシワ押さえ2で構成される試験工具を用い、シワ押さえ2に高い加圧力を与え材料が周りから流入しない状態で、10mm/分の速度でポンチ4を移動させた。試験片3の寸法は200mm×200mmとし、ポンチ4が試験片3に接触してから、破断する直前までの移動距離を最大成形高さ(LDH)とした。この値が大きいほど張出し性が良い。
図4に形状凍結性指標を評価するためのハット曲げ試験概要を示す。幅75mm、ポンチ肩半径5mmのポンチ4と、ダイ肩半径5mmのダイ1及びシワ押さえ2で構成される試験工具を用い、シワ押さえ2に200kNの加圧力を与え、10mm/分の速度でポンチ4を80mm移動させた。試験片3の寸法は300mm×50mmとした。ハット曲げ成形後の試験片3を試験機から取り出し、図5に示す方法で試験片3の曲率を測定した。この値が小さいほど形状凍結性が良い。
遅れ破壊試験評価方法は、100mm×50mmの短冊試験片をハット曲げ試験機で曲げ、曲げ戻し加工したあと壁部にピアス加工を行い、高い残留応力を持たせた試験片を、0.1mol/m3の塩酸水溶液に100時間浸したときの亀裂の有無によって評価した。
これらに対して、比較例1の鋼板は、引張強度は980MPa以上を示したが、成形性と遅れ破壊性の両立ができていない。また、比較例2〜5の鋼板は、成分が本発明の範囲から逸脱しており、一部は引張強度が980MPa未満であり、遅れ破壊は問題ないが、成形性が本発明鋼に対し劣っている。
2 シワ押さえ
3 試験片(鋼板)
4 ポンチ
Claims (11)
- モリブデン、タングステン、バナジウム、チタン及びニオブから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、基地組織が焼戻しマルテンサイトであり、旧オーステナイト粒径が30μm以下である超高強度鋼板であって、
引張強度が980MPa以上であり、
C:0.10%〜0.40%及びCr:0.01%〜3.5%を含有し、
Mo:0.10%〜2.0%、W:0.20%〜1.5%、V:0.002%〜1.0%、Ti:0.002%〜1.0%及びNb:0.005%〜1.0%から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有し、
不純物P,Sの含有量はP:≦0.02%及びS:≦0.01%であり、残部は実質的にFe及び不可避的不純物であることを特徴とする超高強度鋼板。 - 鋼中にCu:0.1%〜3.0%及び/又はNi:0.1%〜3.0%を含有することを特徴とする請求項1に記載の超高強度鋼板。
- 鋼中にSi:0.01%〜2.5%及び/又はMn:0.1%〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超高強度鋼板。
- 鋼中にAl:0.001%〜0.1%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の超高強度鋼板。
- 平均旧オーステナイト粒径が3〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の超高強度鋼板。
- 熱延鋼板又は冷延鋼板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の超高強度鋼板。
- 亜鉛めっきの表面処理を施したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の超高強度鋼板。
- フィルムラミネート処理を施したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の超高強度鋼板。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の高強度薄鋼板を用いて成ることを特徴とする自動車用強度部品。
- プレス成形、ハイドロ成形、ブロー成形、のいずれかの方法により成形されたことを特徴とする請求項9に記載の自動車用強度部品。
- 切断加工部を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の自動車用強度部品。
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