JP2007329821A - 音響特性補正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両に設置されるスピーカの特性を考慮した上で音源ソース(音声出力データ)に適切な補正を施すことにより、車室に好適な音響空間を構築することが可能な音響特性補正装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る音響特性補正装置は、処理パラメータに基づいて、音声再生手段4より入力された音声出力データに対して音響補正処理を施し、スピーカ3,21へと出力する音響補正処理手段5と、少なくともスピーカ3,21の音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを記録するスピーカ情報記録手段9、24a、24cと、スピーカ3、21に関する音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とをスピーカ情報記録手段9、24a、24cより取得し、取得された音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とに基づいて処理パラメータを作成する制御手段6とを有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、音声再生手段より入力された音声出力データに対して音響補正処理を施し、スピーカへと出力させる音響補正処理手段を備えた音響特性補正装置に関する。
車室内における音響環境は、ロードノイズ等の車特有の騒音が侵入しやすいという特徴を備えており、また、車室は特有の狭い閉空間によって形成されるため、通常の音響空間とは異なる音響特性を備えているという特徴がある。このため、車室内において好適な音響環境を構築するためには、カーステレオ等の車載機器から出力される出力音を適切に補正する必要があった。
車載機器の出力音を補正する方法として、一般的にパラメトリックイコライザー(PEQ:Parametoric EQualizer)やグラフィックイコライザー(GEQ:Grafic EQualizer)等を用い、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)等の音源ソースの周波数を車両毎に補正する方法が使用されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特開2003−153400号公報(第3−4頁、第1図) 特開平8−163688号公報(第2−3頁、第1図)
しかしながら、上述した特許文献1に示すように、車両のメーカー名・車種・グレード等の車の属性情報に基づいてその車両の音響空間を判断し、音源ソースの補正を行ったとしても、ユーザが設置されているスピーカを交換した場合には、スピーカの定格入力値や再生周波数帯域が変わってしまう。このため、車両の属性情報に基づいて音源ソースの補正を行う方法を用いても、好適な音響環境を構築することが困難となる場合があった。
また、特許文献2に示すように、ユーザがフロントスピーカ選択スイッチやリアスピーカ選択スイッチ等を直接操作することによって、各スピーカの出力レベルや再生周波数帯域の調整を行う方法では、調整により好適な音場調整が行われたか否かを、ユーザ自身で判断することが困難であるという問題があった。
また、スピーカの再生周波数帯はメーカーの製品毎に異なるので、例えば、音源ソースの高域の周波数特性を補正した場合に、補正された周波数帯域がスピーカで再生することが可能な周波数帯域の範囲外となってしまうおそれがあり、補正した効果をスピーカに反映させることができない場合があった。
さらに、補正により特定の周波数帯域を大きくすることによって、オーディオ機器のボリューム値を変更していないにも拘わらず、出力音の出力レベルがスピーカの出力許容レベルを超えてしまい、正しく出力音をスピーカから出力することができないおそれがあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、車両に設置されるスピーカの特性を考慮した上で音源ソース(音声出力データ)に適切な補正を施すことにより、車室に好適な音響空間を構築することが可能な音響特性補正装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る音響特性補正装置は、処理パラメータに基づいて、音声再生手段より入力された音声出力データに対して音響補正処理を施し、スピーカへと出力する音響補正処理手段と、少なくとも前記スピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを記録するスピーカ情報記録手段と、前記スピーカに関する音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを前記スピーカ情報記録手段より取得し、取得された前記音声周波数帯域情報と前記音声出力レベル情報とに基づいて前記処理パラメータを作成する制御手段とを有することを特徴とする。
ここで、音声出力レベル情報とは、スピーカにおいて出力することが可能な出力を示すものである。例えば、出力音を安定して出せる最大値を示す定格入力値等が音声出力レベル情報に該当する。
また、音響特性補正装置は、前記スピーカを特定するための情報が入力されるスピーカ情報入力手段をさらに有し、前記制御手段が、前記スピーカ情報入力手段によって入力された情報に基づいて前記スピーカを特定し、特定された当該スピーカに関する音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを前記スピーカ情報記録手段より取得するものであってもよい。
さらに、前記スピーカ情報記録手段が、各スピーカに個別に設置され、当該スピーカ情報記録手段に、設置されるスピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とが記録され、前記制御手段が、前記スピーカ情報記録手段よりスピーカ毎の前記音声周波数帯域情報と前記音声出力レベル情報とを取得することによって、前記処理パラメータを作成するものであってもよい。
また、前記制御手段が、前記スピーカ情報記録手段より取得した前記音声周波数帯域情報に基づいて、音響補正処理を施した音声出力データの出力音周波数成分が、スピーカの再生周波数帯域内に収まるように、前記処理パラメータを作成するものであってもよい。
さらに、前記制御手段が、前記スピーカ情報記録手段より取得した前記音声出力レベル情報に基づいて、音響補正処理を施した音声出力データの出力音がスピーカの出力許容レベルを超えることがないように、前記処理パラメータを作成するものであってもよい。
本発明に係る音響特性補正装置では、スピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とに基づいて処理パラメータが制御手段で作成されるので、スピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを考慮した最適な処理パラメータを算出することが可能となる。
また、スピーカ情報入力手段によって入力された情報に基づいてスピーカを特定することにより、車両に設置されるスピーカを確実に特定することができる。
一方で、スピーカ情報記録手段を各スピーカに個別に設置し、設置されたスピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを各スピーカ情報記録手段に記録させることによって、直接音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを制御手段で取得することができ、ユーザによるスピーカ情報の入力負担を軽減させることが可能となる。
また、制御手段が音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを直接取得するので、スピーカの直接音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とより確実に取得することが可能となる。
また、制御手段は、音響補正処理を施した音声出力データの出力音周波数成分がスピーカの再生周波数帯域内に収まるように、スピーカ情報記録手段より取得した音声周波数帯域情報に基づいて処理パラメータを作成するので、音響補正が行われた音声出力データをスピーカで確実に再現させることができ、車室内において所望の音響環境を構築することが可能となる。
さらに、制御手段は、音響補正処理を施した音声出力データの出力音がスピーカの出力許容レベルを超えることがないように、スピーカ情報記録手段より取得した音声出力レベル情報に基づいて処理パラメータを作成するので、補正された音声出力データの出力音をスピーカから確実に出力することができる。
以下、本発明に係る音響特性補正装置を備えた車載用音響システムを、図面を用いて詳細に説明する。
図1、車載用音響システムの概略構成を示したブロック図である。車載用音響システム1は、再生装置本体2と4つのスピーカ3(3a〜3d)とを備えている。再生装置本体2は、図2に示すように、車室内のインストルメントパネル11の中央部等のカーオーディ設置スペースに設置される。4つのスピーカ3a〜3dは、前席側右ドア、前席側左ドア、後席側右ドア、後席側左ドアにそれぞれ設置されている。
スピーカ3(3a〜3d)は、音響出力部10(10a〜10d)を有している。音響出力部10は、補正処理された音声出力データ(音声出力信号)を出力音として出力する装置であり、一般的なスピーカと同様にコーン、マグネット、ボイスコイル等からなるユニットによって構成されている。
再生装置本体2は、オーディオ出力部(音声再生手段)4と、DSP(Digital Signal Processor:音響補正処理手段)5と、制御部(制御手段)6と、操作部(スピーカ情報入力手段)7と、ディスプレイ部8と、メモリ(スピーカ情報記録手段)9とを有している。なお、制御部6と、DSP5と、メモリ9とにより、本発明に係る音響特性補正装置の最小構成を構築することができる。
オーディオ出力部4は、CDやDVD等の記録メディアに記録された音源出力データ(音源ソース)を読み取り、DSP5に出力する役割を有している。なお、オーディオ出力部4により読み取られる音源出力データは、必ずしもCDやDVD等の記録メディアに記録されたものには限定されず、ハードディスクドライブ等に記録された音源出力データであってもよい。また、再生装置本体2は、オーディオ出力部4の代わりに、車載用音響システム1に外部入力端子(図示省略)等を設け、この外部入力端子を介して他のオーディオ機器で再生された音響出力データを読み取る構成であってもよい。
DSP5は、オーディオ出力部4で出力された音声出力データを取得する。そして、DSP5は、制御部6の制御命令に応じて音響出力データに音響補正処理を実行し、補正された音響出力データを各スピーカ3a〜3dへ出力する。この音響補正処理において、DSP5は、各スピーカ3a〜3dの特性に応じた音響補正処理を行い、さらに、ユーザUにより選択される音響環境(例えば、シアター、スタジアム等の音響環境)に適した音響補正処理を行う。なお、DSP5により行われる音響補正処理には、パラメトリックイコライザーやグラフィックイコライザー等を使用した周知のデジタル補正処理技術が用いられる。
メモリ9には、スピーカ3a〜3dを特定するためのID情報、スピーカの製品名、型式等からなるスピーカ特定情報と、各スピーカ3a〜3dの再生周波数帯域情報および定格入力値情報を含むスピーカ性能情報とを有する製品リストが記録されている。
操作部7およびディスプレイ部8は、図2に示すように、再生装置本体2の前面(車室内側)に設けられている。ここで操作部7は、ボタンやレバー等であってもよく、またディスプレイ部8と一体に設けられるタッチパネル等であってもよい。
ユーザUは、ディスプレイ部8の表示に基づいて各種情報を確認することができ、また、ユーザUは、操作部7を操作することによって各種設定を行うことが可能となっている。例えば、ユーザUが操作部7を操作することによって、ディスプレイ部8に表示される音響環境設定モード(シアターモードやスタジアムモード等)の中から好適なモードを選択・決定することが可能である。
さらに、ユーザUは、操作部7を操作することによってスピーカの型式等の特定を行うことが可能となっている。例えば、図3(a)に示すように、メモリ9に記録された製品リストより製品名の一覧を抽出してディスプレイ部8に表示させることができ、ユーザUは、操作部7を操作することによって、表示される製品名の一覧から車両に設置されるスピーカに該当する商品名を選択することができる。また、このディスプレイ部8に表示される一覧は製品名の一覧だけに限られるものではなく、ID情報の一覧や型式の一覧等を選択可能に表示させることもできる。
さらに、製品名等の一覧をディスプレイ部8に表示させるのではなく、図3(b)に示すように、製品名やID情報等を、ユーザUが直接入力することも可能である。また、図3(c)に示すように、ユーザUは、操作部7を操作することによって、設置されるスピーカ3a〜3dの定格入力値および再生周波数帯域の最小値・最大値を直接入力することも可能となっている。
制御部6は、メモリ9に記録される製品リストより製品名やID情報等を読み出し、読み出した情報をディスプレイ部8に表示させる役割を有している。また、制御部6は、ユーザUが選択した製品名・ID情報等のスピーカ特定情報を操作部7から取得し、取得したスピーカ特定情報に基づいて、製品リストよりスピーカ性能情報を求める役割を有している。
図4は、制御部6におけるスピーカ性能情報取得処理を示したフローチャートである。まず、制御部6は、メモリ9にアクセスしてメモリ9に記録される製品リストよりスピーカ特定情報の情報一覧を読み取り(ステップS.1)、ディスプレイ部8に表示させる(ステップS。2)。
その後、制御部6は、ユーザUにより操作部7で製品名等が選択されたか否か、具体的には、選択された製品名等の情報を操作部7から受信した否かの判断を行う(ステップS.3)。製品名等の情報を取得した場合(ステップS.3においてYesの場合)、制御部6は、メモリ9に記録される製品リストより、取得した製品名に対応するスピーカ3a〜3dのスピーカ性能情報を読み出して、再生周波数帯域情報および定格入力値情報を取得する(ステップS.4)。
また、制御部6は、取得されたスピーカ3a〜3dの性能を考慮した音響補正用の処理パラメータを算出し、DSP5に対して処理パラメータを出力することによって、DSP5において好適な音響補正処理を実行させる。
図5は、制御部6における処理パラメータの算出処理を示したフローチャートである。制御部6は、図4を用いて説明したスピーカ性能情報取得処理に基づいてスピーカの再生周波数帯域情報および定格入力値情報を取得する(ステップS.10)。そして、必要に応じて、ユーザUにより選択された音響環境設定モードの情報を取得する(ステップS.11)。
その後、制御部6は、選択された音響環境設定モードの音響環境をDSP5で構築することができるように、デジタル補正処理に用いるイコライザー、例えば、パラメトリックイコライザーの処理パラメータを算出する。このとき制御部6は、パラメトリックイコライザーの処理パラメータとして、中心周波数、レベル、帯域幅(Q)の3つのパラメータ値を算出する。このパラメータ算出において、制御部6は、補正された出力音がスピーカ3a〜3dで正確に出力されるように、補正が行われた出力音の周波数帯域がスピーカの再生周波数帯域の範囲内に収まるように処理パラメータの算出を行う(ステップS.12)。
そして、制御部6は、周波数補正が行われた音声出力データの出力値を求め、求められた音声出力データの出力値が、その音声出力データを出力するスピーカの定格入力値より大きくないか否かを判断し、音声出力データの出力値がスピーカの定格入力値を超えないように出力音の処理パラメータの算出を行う(ステップS.13)。そして、制御部6は、上述した処理により算出した処理パラメータをDSP5に送出する(ステップS.14)。
DSP5では、オーディオ出力部4より取得した音声出力データに対して、処理パラメータに基づく音響補正処理を実行し、音響補正処理が施された出力音を各スピーカ3a〜3dより出力させる。
このように、DSP5における音響補正用の処理パラメータを制御部6で算出する場合、音響補正を行う周波数帯域がスピーカの再生周波数帯域の範囲内となるように処理パラメータの算出が行われるので、音響補正が行われた音声出力データの出力音をスピーカ3a〜3dで確実に再現させることができ、車室内において所望の音響環境を構築することが可能となる。
また、周波数補正が行われた音声出力データの出力値を、スピーカ3a〜3dの定格入力値を超えないように補正することによって、補正された音声出力データの出力音をスピーカ3a〜3dから確実に出力することができるので、出力音がスピーカ3a〜3dの定格入力値を超えてしまってスピーカ3a〜3dに多大な出力負担がかかってしまうことを防止することができる。
上述した実施例1では、操作部7で選択等されたスピーカ特定情報に基づいて、設置されるスピーカの再生周波数帯域情報および定格入力値情報を取得する構成としたが、設置されるスピーカの再生周波数帯域情報および定格入力値情報をユーザUに選択等させるのではなく、制御部6が自動的に取得するような構成にしてもよい。
図6は、実施例2に係る車載用音響システム20を示したブロック図である。実施例1において説明した構成部分に関しては同一符号を附すものとし、その説明は省略するものとする。
車載用音響システム20は、再生装置本体2と4つのスピーカ21(21a〜21d)とを備えており、再生装置本体2aは、オーディオ出力部4と、DSP5と、制御部6と、操作部7と、ディスプレイ部8とを有している。
スピーカ21aは前席側右ドアに設けられ、スピーカ21bは、前席側左ドアに設けられ、スピーカ21cは、後席側右ドアに設けられ、スピーカ21dは、後席側左ドアに設けられており、各スピーカ21a〜21dには、音響出力部22(22a〜22d)が設けられている。さらに、スピーカ21a、21cには、スピーカ制御部23a、23cと、スピーカメモリ24a、24cとが設けられており、スピーカ制御部23a、23cは、図6に示すように、接続用コネクタ25a、25cを介して再生装置本体2aの制御部6に接続されている。
スピーカメモリ24aには、スピーカ21aの音響出力部22aにおけるスピーカ性能情報、具体的には、スピーカ21aの定格入力値情報および再生周波数帯域情報が記録されている。また、スピーカメモリ24cには、スピーカ21cの定格入力値情報および再生周波数帯域情報が記録されている。
スピーカ制御部23a、23cは、制御部6より受信したスピーカ性能情報取得命令に基づいて、スピーカメモリ24a、24cに記録された定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを読み出し、制御部6へと出力する。
なお、図6に示すように、スピーカ21a、21cにのみ、スピーカ制御部23a、23cと、スピーカメモリ24a、24cと、接続用コネクタ25a、25cとが設けられ、スピーカ21b、21dには設けられていない。これは、通常、車室の左右フロントに設置されるスピーカは左右のバランスを考慮して同一のスピーカが用いられ、また左右リアに設けられるスピーカは左右同一のスピーカが用いられるためである。このため、制御部6がスピーカ21bの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを判断する場合には、スピーカ21aの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを用いるものとし、スピーカ21dの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを判断する場合には、スピーカ21cの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを用いるものとする。
従って、左右のスピーカが異なるおそれがある場合には、スピーカ21a〜21dの全てにスピーカ制御部と、スピーカメモリと、接続用コネクタとを設けて、全てのスピーカより個々の定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得する構成とすることも可能である。
図7は、車載用音響システムにおける制御部6の処理を示したフローチャートである。制御部6は、各スピーカ21a、21cのスピーカ制御部23a、23cに対して、各スピーカ21a、21cの定格入力値情報と再生周波数帯域情報との送信を要求する命令(スピーカ情報送信命令)を送出する(ステップS.20)。その後、制御部6は、スピーカ21a、21cより定格入力値情報および再生周波数帯域情報(スピーカ性能情報)を受信したか否かを判断し(ステップS.21)、受信を完了するまでスピーカ情報送信命令を繰り返し送出する(ステップS.21においてNoの場合)。
スピーカ21a、21cより定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを受信した場合(ステップS.21においてYesの場合)、制御部6は、スピーカ21aより受信した定格入力値情報および再生周波数帯域情報に基づいてスピーカ21aとスピーカ21bの定格入力値情報および再生周波数帯域情報を決定し、スピーカ21cより受信した定格入力値情報および再生周波数帯域情報に基づいてスピーカ21cとスピーカ21dの定格入力値情報および再生周波数帯域情報を決定する。そして、制御部6は、操作部7によってユーザUに選択された音響環境設定モードの情報を取得する(ステップS.22)。
その後、制御部6は、選択された音響環境設定モードの音響環境をDSP5で構築することができるように、デジタル補正処理に用いるイコライザー、例えば、パラメトリックイコライザーの処理パラメータを算出する。このとき制御部6は、パラメトリックイコライザーの処理パラメータとして、中心周波数、レベル、帯域幅(Q)の3つのパラメータ値を算出する。このパラメータ算出において、制御部6は、補正された出力音がスピーカ21a〜21dで正確に出力されるように、補正が行われた出力音の周波数帯域がスピーカ21a〜21dの再生周波数帯域の範囲内に収まるように処理パラメータの算出を行う(ステップS.23)。
そして、制御部6は、周波数補正が行われた音声出力データの出力値を求め、求められた音声出力データの出力値が、その音声出力データを出力するスピーカ21a〜21dの定格入力値より大きくないか否かを判断し、音声出力データの出力値がスピーカ21a〜21dの定格入力値を超えないように出力音の処理パラメータの算出を行う(ステップS.24)。そして、制御部6は、上述した処理により算出した処理パラメータをDSP5に送出する(ステップS.25)。
DSP5では、オーディオ出力部4より取得した音声出力データに対して、処理パラメータに基づく音響補正処理を実行し、音響補正処理が施された出力音を各スピーカ21a〜21dより出力させる。
このように、DSP5における音響補正用の処理パラメータを制御部6で算出する場合、音響補正を行う周波数帯域がスピーカ21a〜21dの再生周波数帯域の範囲内となるように処理パラメータの算出が行われるので、実施例1と同様に、音響補正が行われた音声出力データの出力音をスピーカ21a〜21dで確実に再現させることができ、車室内において所望の音響環境を構築することが可能となる。
また、周波数補正が行われた音声出力データの出力値を、スピーカ21a〜21dの定格入力値を超えないように補正することによって、補正された音声出力データの出力音をスピーカ21a〜21dから確実に出力することができるので、出力音がスピーカ21a〜21dの定格入力値を超えてしまってスピーカ21a〜21dに多大な出力負担がかかってしまうことを防止することができる。
さらに、制御部6が、車載用音響システム20に用いられているスピーカ21a〜21dのスピーカ制御部23を介して、スピーカ21a〜21dの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とをスピーカメモリ24から自動的に取得するので、ユーザUが操作部7を用いてスピーカ21a〜21dの製品名等を特定する必要が無くなり、ユーザUの負担軽減を図ることが可能となる。
また、制御部6は、車室内のスピーカを交換した場合であっても、図7に示した処理手順に従ってスピーカメモリ24に記憶される定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを新たなスピーカから取得することにより、適切な定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得することができるので、スピーカ交換の有無に拘わらず上記処理を行うことによりスピーカの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを考慮した処理パラメータの算出を行うことができ、好適な音響環境を構築することが可能となる。
以上、本発明に係る音響特性補正装置を、図面を用いて詳細に説明したが、本発明に係る音響特性補正装置は上述した実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、実施例1においては、製品リストが記録されるメモリ9を再生装置本体2に設置し、実施例2では定格入力値情報と再生周波数帯域情報とが記録されるスピーカメモリ24a、24cを各スピーカ21a、21cに設置することとしたが、メモリ9またはスピーカメモリ24a、24cは、必ずしも車両内に設置する必要はない。制御部6の要請に応じてスピーカの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得することが可能な構成であればよいので、製品リストを特定のサーバ等に記録し、無線通信回線等を通じて制御部6がサーバにアクセスすることによってスピーカの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得することができるような構成にすることも可能である。
車載用スピーカは通常車両ドア等に固定されているため、スピーカ交換の頻度は低く、一度スピーカの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得しておけば、その後に新たに定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得する必要性は乏しい。このため、スピーカ交換等を行った場合にのみサーバにアクセスして定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを取得する構成にすることによって、車両内にメモリ等を設置する必要が無くなり、システムのコストの低廉化を図ることが容易となる。
また、サーバに記録される製品リストを常に新しい情報に更新することによって、新たに開発・販売されたスピーカの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とを迅速に製品リストに反映させることができるので、スピーカの定格入力値情報と再生周波数帯域情報とをより確実に取得することが可能となる。
実施例1における車載用音響システムの概略構成を示したブロック図である。 実施例1における再生装置本体とスピーカとの接続状態を示したブロック図である。 ディスプレイ部に表示される情報を示した図である。 実施例1における制御部のスピーカ性能情報取得処理を示したフローチャートである。 実施例1における制御部の処理パラメータ算出処理を示したフローチャートである。 実施例2における車載用音響システムの概略構成を示したブロック図である。 実施例2における制御部の処理を示したフローチャートである。
符号の説明
1、20 …車載用音響システム
2、2a …再生装置本体
3、3a、3b、3c、3d、21、21a、21b、21c、21d …スピーカ
4 …オーディオ出力部(音声再生手段)
5 …DSP(音響補正処理手段)
6 …制御部(制御手段)
7 …操作部(スピーカ情報入力手段)
8 …ディスプレイ部
9 …メモリ(スピーカ情報記録手段)
11 …インストルメントパネル
10、10a、10b、10c、10d、22、22a、22b、22c、22d …音響出力部
23a、23c …スピーカ制御部
24a、24c …スピーカメモリ(スピーカ情報記録手段)
25a、25c …接続用コネクタ

Claims (5)

  1. 処理パラメータに基づいて、音声再生手段より入力された音声出力データに対して音響補正処理を施し、スピーカへと出力する音響補正処理手段と、
    少なくとも前記スピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを記録するスピーカ情報記録手段と、
    前記スピーカに関する音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを前記スピーカ情報記録手段より取得し、取得された前記音声周波数帯域情報と前記音声出力レベル情報とに基づいて前記処理パラメータを作成する制御手段と
    を有することを特徴とする音響特性補正装置。
  2. 前記スピーカを特定するための情報が入力されるスピーカ情報入力手段を有し、
    前記制御手段は、前記スピーカ情報入力手段によって入力された情報に基づいて前記スピーカを特定し、特定された当該スピーカに関する音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とを前記スピーカ情報記録手段より取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響特性補正装置。
  3. 前記スピーカ情報記録手段は、各スピーカに個別に設置され、
    当該スピーカ情報記録手段には、設置されるスピーカの音声周波数帯域情報と音声出力レベル情報とが記録され、
    前記制御手段は、前記スピーカ情報記録手段よりスピーカ毎の前記音声周波数帯域情報と前記音声出力レベル情報とを取得することによって、前記処理パラメータを作成すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音響特性補正装置。
  4. 前記制御手段は、前記スピーカ情報記録手段より取得した前記音声周波数帯域情報に基づいて、音響補正処理を施した音声出力データの出力音周波数成分が、スピーカの再生周波数帯域内に収まるように、前記処理パラメータを作成すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の音響特性補正装置。
  5. 前記制御手段は、前記スピーカ情報記録手段より取得した前記音声出力レベル情報に基づいて、音響補正処理を施した音声出力データの出力音がスピーカの出力許容レベルを超えることがないように、前記処理パラメータを作成すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の音響特性補正装置。
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