JP2007328325A - 顎歯模型用齲蝕付き歯牙及びその製造方法とその応用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙のエナメル部分と、デンチン部分と、エナメル部分とデンチン部分の間もしくはその辺縁に擬似齲蝕部分から構成され、擬似齲蝕部分が樹脂または無機焼成体から作製され、擬似齲蝕部分に着色材料、蛍光材料、X線造影材料の何れか一つ以上を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
しかし、エポキシ樹脂、メラミン樹脂では切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。具体的には、エポキシ樹脂、メラミン樹脂は軟らかく切削を多くしてしまう傾向にあり、天然歯は硬いために思った様に切削できない傾向にあった。その結果、強く削ってしまい、上手く形態を作れないことも発生する可能性がある。
また、齲蝕の切削感を再現したものでもなく、齲蝕歯を治療する練習にはならなかった。
しかしながら、エナメル質層が金雲母結晶やリチア・アルミナ・シリカ系結晶にて構成されたものでは天然歯に比べ、切削感が硬すぎるため使用に耐える物ではなく、更に象牙質認識層は接着性レジンで形成されている為、接着剤の切削感が柔らかすぎる為、使用に耐える物ではなかった。
また、齲蝕の状態を再現したものでなく、齲蝕歯の治療体験をすることができなかった。
しかし、天然歯と切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。また、無機物粉末体の開示のみである。齲蝕の状態を再現したものでなく、齲蝕歯の治療体験をすることができなかった。
特開平5−216395には、天然歯と極めて類似した切削性を有し、歯科教育切削実習用として好適な歯牙模型及びその製造方法を提供することが紹介されている。歯牙模型の主要構成成分として、気孔率が40〜80%のヒドロキシアパタイト粉末と、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂とを、重量比で20%対80%乃至50%対50%の割合で含有しているものである。
従来の歯牙模型は、切削性において満足できる状況にない。従って、天然歯と切削性において類似する歯牙模型の開発が望まれていることが示されているものの、十分な切削感を示すものではなかった。また、齲蝕の状態を再現したものでなく、齲蝕歯の治療体験をすることができなかった。
本文中に「歯牙模型の作製法及び経済的な観点から如何なる硬度の素材、例えば金属、セラミクス、樹脂で形成されていてもよく、更には空洞であってもよい。」との記載があるが、切削感の観点から解決されていない。
特開平5−241498、特開平5−241499、特開平5−241500には、無機充填材の記載やハイドロキシアパタイト充填材の記載があるがいずれも樹脂を母材とするものであり、切削感の解決には至っていない。更に、齲蝕の状態を再現したものでなく、齲蝕歯の治療体験をすることができなかった。
明細書中には、「本発明の模型歯の歯冠部表面を構成する材料としては、一般的に公知のものを用いることが可能であり、例えば、セラミックス等の磁器あるいはアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂材料や、メラミン、ユリア、不飽和ポリエステル、フェノール、エポキシ等の熱硬化性樹脂材料、さらには、これらの主原料にガラス繊維、カーボン繊維、パルプ、合成樹脂繊維等の有機、無機の各種強化繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の各種充填材、顔料や染料等の着色剤、あるいは耐候剤や帯電防止剤等の各種添加剤を添加したものを用いることが出来る。」との記載があるが、好ましい材質の記載がなく、切削感を解決するものでは無かった。更に、齲蝕の状態を再現したものでなく、齲蝕歯の治療体験をすることができなかった。
顎歯模型はこれらの課題を抱えているにも関わらず、研究報告されているものは殆ど見当たらない。
天然歯の切削感を体験するために、抜去歯を切削するなどの工夫は見られた。抜去歯は生体からの材料であり衛生上の問題があり、感染予防を十分に行なわなければならなかった。また、衛生管理も十分に行なわないと、腐敗の問題があり、保存にも十分な注意が必要であった。
特に齲蝕部分の切削体験をすることが難しく、更に歯科治療で重要な齲蝕除去方法の練習を十分に積むことが必要である。齲蝕部分は通常のデンチン部分よりも更に軟かくなっていることから、通常の歯牙模型を切削するよりも、練習が必要である。これらの練習を実施する歯牙が求められている。
更に、エナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分の順番に切削しやすくなることが好ましい。
歯牙デンチン部分の組成がアクリル系、エポキシ系、メラミン系の何れかからなり、歯牙エナメル部分の組成が一次粒子径0.1〜1.0μmのAl2O3粉末焼成体からなることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
歯牙デンチン部分の組成が一次粒子径1.0〜8μmのAl2O3粉末焼成体からなり、歯牙エナメル部分の組成が一次粒子径0.1〜1.0μmのAl2O3粉末焼成体からなることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
歯牙のエナメル部分がAl2O3粉末焼成体から作製され、デンチン部分が無機または有機粉末を混合した樹脂から作製され、エナメル部分とデンチン部分の間もしくはその辺縁に擬似齲蝕部分があり、擬似齲蝕部分が樹脂から作製され、擬似齲蝕部分にUV励起型蛍光材、X線造影材料の内一つ以上を含むことを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
エナメル部分がAl2O3粉末焼成体から作製され、
デンチン部分が樹脂、無機または有機粉末を混合した樹脂、無機焼成体から作製され、
デンチン部分に着色材料、蛍光材料、X線造影材料の何れか一つ以上を含む齲蝕部再現材を塗布もしくは含浸させる事により、齲蝕部分を再現したことを特徴とする顎歯模型用歯牙である。また、その齲蝕部分を再現方法であり、デンチン部分に塗布もしくは含浸させる着色材料、蛍光材料、X線造影材料の何れか一つ以上を含む齲蝕部再現材である。
本顎歯模型は人体の中で最も硬い天然歯牙の代用物質で、通常の材料では切削時に軟らかく感じてしまうのに対し、天然歯牙と同様な切削感を得ることができる。切削体は400000回転/分という高速回転するダイヤモンド研削材(エアータービン使用)を用いた切削である人口腔内と同様な環境で同じような体験ができる。
更に、歯牙模型の歯冠の形状も重要であり、支台歯形成や窩洞形成の目標となり隆起部分や窩、咬頭などが正確に表現されていることが重要であり、CIMでの成形が適している。
本発明の歯牙は歯質と同じように無機系顔料を用いることによって、白色、アイボリー色、乳白色とすることができ、よりリアルな切削体験をすることができる。
エナメルの硬さを容易に再現でき、デンチンとエナメルの硬さの違いを容易に再現することができる。
歯科治療において齲蝕部分を完全に取り除く治療は重要であり、それらを練習する歯牙がもとめられていた。
歯牙の組成は無機粉末焼成体であることが好ましく、アルミナで作製されることが好ましく、一次粒子径は0.2〜5μmであることが好ましい。歯牙組成にアルミナ焼成体の切削感を損なわない程度にシリカを代表とする金属酸化物を添加することは妨げない。歯牙デンチン部分と歯牙エナメル部分とのアルミナ一次粒子径を変えることで、切削感の違いを現すことが可能である。歯牙デンチン部分に比べ、歯牙エナメル部分の粒子を粗くすることで実現できる。
エナメルデンチン共に1300〜1600℃の焼成温度で焼成する。
エナメル部分の好ましい焼成温度は1400〜1600℃であり、デンチン部分の好ましい焼成温度は1300〜1500℃である。焼成温度は切削感と密接な関係があり、粒度や原材料ロットによって、調整しなければならない。同様に焼成温度での係留時間も切削感と密接な関係があり、粒度や原材料ロットによって、調整しなければならない。
歯牙デンチン部分および歯牙エナメル部分のビッカース硬度が300〜1000である。
本発明をCIM技術で作成することが好ましい。
CIMとは、次の工程で製造される成型技術である。
(1)アルミナを熱可塑性樹脂やワックスなどの樹脂(600℃ぐらいまでに熱で分解するもの)で練和し、ペレットを作製する。
(2)一定の形状の射出成形用の金型を作製し、(1)で作製したペレットを射出成型する。
(3)成型後、樹脂を脱脂(温度を上げて、樹脂成分を分解すること)する。
(4)次に、残った無機粉末体を焼成し、形体付与ができるまで焼き上げ成形する。
本技術を用いて、歯牙を作製することは、成形性などを鑑み、最も適した方法である。
本発明の歯牙部分に用いられる樹脂組成は、従来から用いられている樹脂や有機粉末または無機粉末と樹脂の混合物も利用することができる。
熱可塑性樹脂とは、熱を加えることにより成形できる程度の熱可塑性を得ることの出来る樹脂のことを指し、熱硬化性樹脂とは熱を加えることにより架橋が進み硬化する樹脂を指します。具体的にはアクリル系、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリアセタール系、飽和ポリエステル系、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルなど適宜使用できる。
特に、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、ポリアミド系樹脂が好ましい。
これらの熱可塑性樹脂に架橋剤を混合することにより、熱硬化性樹脂と同様性質となり好ましい。即ち、切削時に発生する熱により溶解しないで、歯牙切削の練習をすることができる。
具体的な無機粉末は石英、無定形シリカ、クレー、酸化アルミニウム、タルク、雲母、カオリン、ガラス、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等の無機物である。
具体的な有機粉末はポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン等の高分子またはオリゴマー等の有機物;および有機−無機の複合物等が好適に使用できる。
これらの粉末は単独または2種以上を使用しても何等問題はない。またこれらの粉末は、公知として用いられているチタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤やシランカップリング剤で表面処理したものを使用するのがより好ましい。混合割合は、必要に応じて適宜選択でき、例えば1〜90%の割合となる範囲から選べばよい。好ましくは60〜95%である。
エナメル部分、デンチン部分に比べ、擬似齲蝕部分が切削し易い事が好ましい。
エナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分と順次切削がし易い事が好ましい。
具体的な組合せとしては、エナメル部分及びデンチン部分が無機焼成体で擬似齲蝕部分が樹脂またはコンポジット、エナメル部分が無機焼成体でデンチン部分がコンポジットで擬似齲蝕部分が樹脂またはデンチン部分より切削しやすいコンポジット、エナメル部分がコンポジットでデンチン部分がエナメル部分より切削しやすいコンポジットで擬似齲蝕部分が樹脂またはデンチンより切削しやすいコンポジットである。
同一歯牙で同一組成を用いる場合であっても、着色剤や蛍光材などを用いて判別できる状況であれば問題は無い。色調にて齲蝕部分を判断する練習となる。
例えば、着色剤や蛍光材、X線造影材などを溶媒に分散させ、デンチンに含浸させ、擬似齲蝕部分とすることができる。この方法は容易に擬似齲蝕部分を作製することができて好ましい。
擬似齲蝕部分にX線造影性を持たせることにより、齲蝕除去状態を治療練習後にX線撮影にて確認することができる。切削後の評価に良いものである。
擬似齲蝕部分にX線造影材を付与することは好ましい、X線造影材はSrO、BaO、ZnO、ZrO2、La2O3および他の重金属元素酸化物等のX線造影材を含有させることにより達成することができる。好ましくはSrO、BaO、ZnO、ZrO2、La2O3、更に好ましくはZnO、ZrO2である。
着色剤や蛍光材、X線造影材の平均粒子径は、0.1〜30μm、好ましくは1.0〜10μm、更に好ましくは1.0〜5.0μmである。また、着色剤や蛍光材、X線造影材は染料でもよい。
蛍光材としては大手メーカのARBROWN CO.,LTD.社などが販売ている蛍光材が使用できる。また、シンロイヒ株式会社が販売している蛍光顔料など、母材の樹脂などに分散し蛍光を発するものであれば特に限定することなく利用できる。
UV励起型蛍光材の種類としては、UV励起タイプの有機系蛍光顔料または無機系蛍光顔料を利用することができる。
着色材は、蛍光剤またはX線造影材を組み合わせることも好ましい。
更に、擬似齲蝕部分が材質が異なり、切削感で見分ける練習の為に、デンチン色やエナメル色とほぼ同じ色として、蛍光剤またはX線造影材を用いることも好ましい。
擬似齲蝕部分がデンチン部分やエナメル部分と異なる材質で作製されている場合であって、擬似齲蝕部分に蛍光剤またはX線造影材を組み合わせることにより材質の異なる感覚を中心に歯牙を切削し、齲蝕部分を取り除く練習が可能である。後にブラックライトやX線撮影を利用して、齲蝕が完全に除去できているかどうかを確認することができる。
また、擬似齲蝕部分が歯牙表面のエナメル部分とデンチン部分の移行部分周辺のデンチン側に有することもできる。この場合は歯根部の根面齲蝕の再現となる。
(エナメル部分が無機粉末焼成体、デンチン部分がコンポジットの場合)
エナメル部分形状に成型したAl2O3(平均粒子径5μm)粉末焼成体のデンチン側の一部に、コンポジット(カーボンブラック5%、酸化亜鉛10%、UV励起タイプの無機系蛍光顔料30%、エポキシ55%、触媒少量)の齲蝕部再現材を塗りつけ硬化させ、歯牙形態金型に設置し、コンポジット(酸化チタン5%、シリカ粉末(5μm)70%、エポキシ25%、触媒少量)のデンチン部分を押し込み顎歯模型用歯牙を作製した。
コンポジット(酸化チタン5%、シリカ粉末(5μm)70%、エポキシ25%、触媒少量)をエナメル形状に成型し、デンチン側の一部に、コンポジット(カーボンブラック5%、酸化亜鉛10%、UV励起タイプの無機系蛍光顔料30%、エポキシ55%、触媒少量)の齲蝕部再現材を塗りつけ硬化させ、歯牙形態金型に設置し、コンポジット(酸化チタン5%、シリカ粉末(5μm)70%、エポキシ25%、触媒少量)のデンチン部分を押し込み顎歯模型用歯牙を作製した。
エナメル部分の成型やデンチン部分の成型は射出成形で行うことが好ましい。
デンチン部分形状及びエナメル部分形状に成型したAl2O3(平均粒子径5μm)粉末焼成体を作製し、デンチン部分のエナメル歯冠の中に入る一部に、コンポジット(カーボンブラック5%、酸化亜鉛10%、UV励起タイプの無機系蛍光顔料30%、エポキシ55%、触媒少量)の齲蝕部再現材を塗りつけ硬化させ、デンチン部分及びエナメル部分をエポキシ樹脂で接着させて、形状顎歯模型用歯牙を作製した。
エナメル部分とデンチン部分を一体成型もしくは一体となした後に、擬似齲蝕部分を設けるときは、擬似齲蝕部分に空洞を設け齲蝕部分まで孔を開けた歯牙を作製し齲蝕部再現材を注入して作製することができる。エナメル部分からデンチン部分までの厚みが薄い部分に小さな穴を開け、齲蝕部再現材を注入する孔としても良い。この薄い部分は天然歯では窩と呼ばれ、齲蝕の発現部分となりやすく、より再現性の取れた歯牙となり好ましい。この孔は歯間部分で有っても好ましい。前歯などでは隣接歯との間で齲蝕が発生しやすく、再現性の取れた歯牙となり好ましいからである。
エナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分の組合せ表として、表1に示す。
例1ではエナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分のすべてが無機粉末焼成体で作製されている。また、上で示した様にエナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分という順に軟かくなる(切削しやすい)ことが好ましい。例えばアルミナ粉末で作製する場合はエナメル部分の組成が一次粒子0.5μm、歯牙デンチン部分の組成が一次粒子径2μm、擬似齲蝕部分の組成が一次粒子径5.0μmと粗くすることで焼成体は切削しやすく構成でき、切削過程で齲蝕を検知することができる。
例3は例2の擬似齲蝕部分が熱硬化性樹脂または架橋剤入熱可塑性樹脂で作製されている。例2、例3共に好ましい組合せである。
他の例も同様に、無機粉末焼成体、コンポジット、"熱硬化性樹脂、架橋剤入り熱可塑性樹脂"、熱可塑性樹脂、デンチン部分に含浸(*)から、エナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分の好ましい材質を選んだ。
擬似齲蝕部分がエナメル部分やデンチン部分より軟かくなる(切削しやすい)ことが好ましい。エナメル部分、デンチン部分、擬似齲蝕部分という順に軟かくなる(切削しやすい)ことが好ましい。齲蝕切削を研削材の感覚で判断するの練習になるからである。
また、エナメル部分は無機粉末焼成体、コンポジット、"熱硬化性樹脂、架橋剤入り熱可塑性樹脂"が好ましく、更に無機粉末焼成体、コンポジットが好ましく、また更に無機粉末焼成体が好ましい。エナメル質と切削感覚が近似している硬質であることが好ましい。
デンチン部分は無機粉末焼成体、コンポジット、"熱硬化性樹脂、架橋剤入り熱可塑性樹脂"、熱可塑性樹脂が好ましく、更に無機粉末焼成体、コンポジット、"熱硬化性樹脂、架橋剤入り熱可塑性樹脂"が好ましく、更に無機粉末焼成体、コンポジットが好ましく、また更に無機粉末焼成体が好ましい。デンチン質と感覚が似ているからでる。熱可塑性樹脂は一応使用に耐える程度である。切削時に軟化することも少なくない。
擬似齲蝕部分は"熱硬化性樹脂、架橋剤入り熱可塑性樹脂"、熱可塑性樹脂、”デンチン部分に含浸”等が実施でき、"熱硬化性樹脂、架橋剤入り熱可塑性樹脂"、熱可塑性樹脂、が好ましい。含浸させただけでは、切削感覚が変わらないので、切削感覚を異にする練習に用いる事ができない。
一次粒子径0.3μmのAl2O3粉末700gとステアリン酸300g(30%)を加温し混練し、エナメル形状の金型に射出した。射出した成形体を600℃3時間にて脱脂し、1500℃で焼成した。焼成温度での係留時間は15分とした。自然放冷した結果、エナメル部分が完成した。エナメル形状のデンチンが接する部分にUV励起タイプの無機系蛍光顔料を10%とカーボンブラック0.2%を混合したエポキシ樹脂を少量付け、擬似齲蝕部分とした。
次に、エナメル部分を歯牙形状の金型に納め、残りのデンチン部分にアイボリー色にしたエポキシ樹脂を射出して完成とした。試験には歯科用ダイヤモンドバーを用いた。
実施例1に倣い、実施例2〜6を行なった。実施例と異なる点を表2に示す。
齲蝕部分では黒い部分を削除し、ブラックライトで齲蝕部分を正確に取り除けていることを確認できた。
エナメル部分を実施例1〜6のアルミナ粉末焼成体とし、デンチン部分にアルミナ粉末75%とエポキシ樹脂25%を混合したコンポジットを用い、擬似齲蝕部分にエナメル形状部分のデンチンが接する部分にUV励起タイプの無機系蛍光顔料を10%を混合したエポキシ樹脂を少量付け擬似齲蝕部分とした。擬似齲蝕部分、デンチン部分共にアイボリー色を着色した。
成形方法は実施例1に従い実施した。金型は歯牙の金型を用いた。
切削性、支台歯成形性、窩洞成形性の評価は、天然歯との近似性で行ったが、どれも良好な結果であった。特にデンチンエナメル移行性とは、デンチン層とエナメル層の界面を研削材は移行する折に切削感が天然歯に近似しているかどうかを確認し、良好であった。
齲蝕部分の切削感が異なり、ブラックライトで齲蝕部分を正確に取り除けていることを確認できた。熟練者は容易に齲蝕部分の感覚を探ることができたが、初級者では練習を重ねるにつれて、齲蝕部分を切削することができる様になった。
このことから齲蝕部分の切削を体験することが容易なことが確認された。
エナメル部分及びデンチン部分を実施例7と同一組成で実施し、擬似齲蝕部分に酸化亜鉛20%、エポキシ樹脂80%を混合したコンポジットを用いた歯牙を作製した。成形方法は実施例1に従い実施した。金型は歯牙の金型を用いた。試験として、齲蝕除去し、歯牙模型を歯科用レントゲンで撮影したところ、齲蝕除去状況が容易に撮影することができた。
Claims (6)
- 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
歯牙のエナメル部分と、デンチン部分と、エナメル部分とデンチン部分の間もしくはその辺縁に擬似齲蝕部分から構成され、擬似齲蝕部分が樹脂または無機焼成体から作製され、擬似齲蝕部分に着色材料、蛍光材料、X線造影材料の何れか一つ以上を含むことを特徴とする顎歯模型用歯牙。 - 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
歯牙のエナメル部分が無機焼成体から作製され、デンチン部分が樹脂または無機焼成体から作製され、エナメル部分とデンチン部分の間もしくはその辺縁に擬似齲蝕部分があり、擬似齲蝕部分が樹脂または無機焼成体から作製され、擬似齲蝕部分に着色材料、蛍光材料、X線造影材料の何れか一つ以上を含むことを特徴とする顎歯模型用歯牙。 - 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
歯牙エナメル部分の組成がAl2O3粉末焼成体からなることを特徴とする請求項1記載の顎歯模型用歯牙。 - 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
歯牙デンチン部分の組成がアクリル系、エポキシ系、メラミン系の何れかからなり、歯牙エナメル部分の組成が一次粒子径0.1〜1.0μmのAl2O3粉末焼成体からなることを特徴とする請求項2記載の顎歯模型用歯牙。 - 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
歯牙デンチン部分の組成が一次粒子径1.0〜8μmのAl2O3粉末焼成体からなり、歯牙エナメル部分の組成が一次粒子径0.1〜1.0μmのAl2O3粉末焼成体からなることを特徴とする請求項1記載の顎歯模型用歯牙。 - 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
歯牙のエナメル部分がAl2O3粉末焼成体から作製され、デンチン部分が無機または有機粉末を混合した樹脂から作製され、エナメル部分とデンチン部分の間もしくはその辺縁に擬似齲蝕部分があり、擬似齲蝕部分が樹脂から作製され、擬似齲蝕部分にUV励起型蛍光材、X線造影材料の内一つ以上を含むことを特徴とする顎歯模型用歯牙。
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Raosaheb | To Evaluate and Compare the Bond Strength of Acrylic Resin Denture Teeth to Conventional and High Impact Heat-Cured Acrylic Denture Base Resins Reinforced with Aluminium Oxide: An Invitro Study |
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