JP2007328134A - 観察装置、および観察プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】光を照射することによる対象物への悪影響を排除すること。
【解決手段】制御装置105は、対物レンズ103を移動させながら対物レンズ103を通して入力される対象物の像をカメラ104で撮影し、対象物を撮影する際に、カメラ104による撮影時のみ対象物に光を照射するように透過光照明装置106およびシャッター107を制御する。制御装置105は、対物レンズ103を移動させながら撮影した複数の画像をつなぎ合わせて1枚の結合画像を生成して、PC109へ出力する。
【選択図】図1
【解決手段】制御装置105は、対物レンズ103を移動させながら対物レンズ103を通して入力される対象物の像をカメラ104で撮影し、対象物を撮影する際に、カメラ104による撮影時のみ対象物に光を照射するように透過光照明装置106およびシャッター107を制御する。制御装置105は、対物レンズ103を移動させながら撮影した複数の画像をつなぎ合わせて1枚の結合画像を生成して、PC109へ出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は、観察対象物を観察するための観察装置、および観察プログラムに関する。
次のような蛍光顕微鏡を使用した蛍光法による細胞の観察方法が非特許文献1によって知られている。この方法によれば、細胞に励起光を照射し、細胞から放出される蛍光を観察する。そして、観察前に観察位置の設定を行うが、この際、細胞へ励起光を照射し、蛍光画像から観察位置の設定を行っている。
バイオイメージングがわかる P22〜24(2005年9月 羊土社発行)
しかしながら、従来の観察方法においては、細胞に励起光を照射する時間が長くなるにつれて、光退色によって蛍光が弱まったり、光毒性により細胞にダメージを与えてしまうことになる。このため、観察対象とする細胞を選択し、観察位置を設定する際、細胞の選択作業に時間を要すると、選択段階で細胞に光退色や光毒性による悪影響を及ぼしてしまい、実際の観察時には正確な観察が行えない可能性がある。
本発明は、観察対象物の像を小領域ごとに撮影し、撮影時のみ前記観察対象物に光を照射し、小領域ごとに撮影した複数の画像をつなぎ合わせた結合画像を生成することを特徴とする。
本発明によれば、光を照射することによる対象物への悪影響を軽減することができる。
図1は、本実施の形態における細胞観察装置の構成を模式的に示した図である。細胞観察装置100は、ステージ101と、チャンバー102と、対物レンズ103と、カメラ104と、制御装置105と、透過光照明装置106と、シャッター107と、励起用光源装置108と、パーソナルコンピュータ(PC)109と、モニタ110と、環境制御装置111とを備えている。なお、ステージ101と、チャンバー102と、対物レンズ103と、カメラ104と、制御装置105と、透過光照明装置106と、シャッター107と、励起用光源装置108は顕微鏡を構成する。
この細胞観察装置100においては、使用者はPC109を操作することによって、細胞観察装置100に対する種々の指示を出すことができ、PC109は、使用者からの指示に応じた制御信号を制御装置105へ出力する。制御装置105は、PC109からの制御信号に基づいて使用者からの指示に応じた種々の処理を実行する。本実施の形態では、使用者がステージ101上のチャンバー102内にセットされた細胞培養容器A内の細胞を観察する場合の処理について説明する。
なお、細胞培養容器Aは、例えば35mmディッシュが使用される。また、チャンバー102内は密閉されており、その内部環境は、環境制御装置111によって細胞の培養に適した環境に維持されている。例えば、チャンバー102内のCO2濃度はCO2混合機111aによって5%に維持され、湿度は湿度調整機111bによって95%に維持され、温度は温度調整機111cによって37℃に維持されている。
励起用光源装置108は、細胞を蛍光染色している色素を励起する波長の励起光をチャンバー102内の細胞培養容器Aに照射する。なお、励起用光源装置108から出力される励起光は、シャッター107により遮断することが可能である。透過光照明装置106は、光源としてLEDを備えており、シャッター107により励起光が遮断されているときに、LEDを発光させて、チャンバー102内の細胞培養容器Aに透過光(照明光)を照射することもできる。シャッター107による励起光の遮断、および透過光照明装置106からのLEDの発光は、全て制御装置105によって制御される。
顕微鏡は、位相差観察モードと蛍光観察モードとを備え、透過光照明装置106からチャンバー102内の細胞培養容器Aに透過光を照射して細胞を位相差観察することができ、また、励起用光源装置108からチャンバー102内の細胞培養容器Aに励起光を照射して、蛍光試薬で染色した細胞を蛍光観察することもできる。カメラ104は、CCDなどの撮像素子を備えており、対物レンズ103を通して入力される細胞の像(拡大像)を撮像して顕微鏡画像、すなわち位相差画像と蛍光画像とを得ることができる。
なお、顕微鏡は、複数の蛍光フィルタを切り替えて蛍光観察を行うことができる。例えば、複数の蛍光試薬で染色した多重染色の場合には、複数の蛍光フィルタを切り替えて蛍光観察を行うことによって、複数の蛍光色を観察することができる。これにより、カメラ104は、蛍光フィルタごとの複数の蛍光画像を撮像することができる。
カメラ104によって撮影された顕微鏡画像は制御装置105へ出力され、さらにPC109に出力された後にモニタ110に表示される。これによって、使用者は顕微鏡画像をモニタ110上で確認することができる。
本実施の形態における細胞観察装置100においては、使用者は、PC109を操作して観察対象の細胞の種類に応じた蛍光画像の撮影条件を指示することができる。例えば撮影条件として励起光量、カメラゲイン、露光時間、焦点面、フィルタ種類を指示する。この撮影条件は、細胞の種類ごとにあらかじめ設定してPC109が備えるメモリ内に記憶しておき、使用者が観察対象の細胞の種類に応じて設定内容を選択するようにしてもよく、観察の都度、撮影条件を設定するようにしてもよい。
一般的に、細胞を蛍光観察する場合には、細胞に励起光を照射する時間が長くなるにつれて、光退色によって蛍光が弱まったり、光毒性により細胞にダメージを与えてしまう。このため、実際の蛍光観察(本蛍光観察)を行う前段階として観察対象とする細胞を選ぶための蛍光観察(準備蛍光観察)を行った場合に、準備蛍光観察に時間をかけてしまうと、準備蛍光観察の段階で細胞に光退色や光毒性による悪影響を及ぼしてしまい、本蛍光観察で正確な実験データが得られないなど、期待通りの観察結果が得られない可能性が生じる。
本実施の形態では、準備観察段階で細胞に及ぼす悪影響を最小限に抑えるために、準備観察段階における励起光の照射時間を極力抑える方法について説明する。
使用者は、細胞培養容器A内から観察対象の細胞を選択するために後述するナビゲーションを実行して顕微鏡画像を撮影する範囲(ナビゲーション範囲)を指定する。このために制御装置105は、まず、顕微鏡を位相差観察モードにセットして、シャッター107を閉じて励起光を遮断した後、透過光照明装置106を制御してLEDを発光させ、チャンバー102内の細胞培養容器Aに透過光を照射する。そして、対物レンズ103を低倍率にセットし、カメラ104を制御して対物レンズ103を通して入力される像を撮影する。このように撮影した細胞培養容器Aの位相差画像をPC109へ出力する。
PC109が備えるCPUは、制御装置105から入力される細胞培養容器Aの位相差画像をモニタ110上に表示し、使用者はモニタ110に表示された位相差画像上でPC109が備えるマウスを使用して後述するナビゲーション範囲を指定する。ナビゲーション範囲としては、例えば、細胞培養容器Aの内部全体を指定することもでき、細胞培養容器Aの内部の内、所定の範囲内を選択して指定することもできる。PC109が備えるCPUは、使用者によってナビゲーション範囲が指定されると、指定されたナビゲーション範囲の位置を示す情報(ナビゲーション範囲情報)と上述した撮影条件とを格納したレシピを作成する。
制御装置105は、PC109からレシピが入力されると、レシピに格納されているナビゲーション範囲情報と撮影条件とを読み込んで、ナビゲーション範囲内に対してナビゲーションを実行する。すなわち、対物レンズ103、カメラ104、透過光照明装置106、およびシャッター107を制御して、ナビゲーション範囲内で対物レンズ103を移動させながら位相差画像と蛍光画像を撮影する。具体的には、制御装置105は、次のようにしてナビゲーションを実行する。
制御装置105は、まず、指定されたナビゲーション範囲に基づいてナビゲーション範囲の開始点の座標値(X,Y)を特定する。例えば、ナビゲーション範囲の左上の端点の座標値をナビゲーション範囲の開始点の座標値(X,Y)として特定する。そして、顕微鏡を位相差観察モードにセットして特定したナビゲーション範囲の開始点に対物レンズ103を移動させ、シャッター107を閉じて励起光を遮断した後、透過光照明装置106を制御して位相差画像の撮影に必要な時間だけ、例えばカメラ104の露光時間だけLEDを発光させる。のときに対物レンズ103を通して入力される像をカメラ104を制御して撮影し、記憶する。これによって、ナビゲーション範囲の開始点における位相差画像を撮影することができる。
さらに、制御装置105は、顕微鏡を蛍光観察モードにセットして、透過光照明装置106を制御してLEDを消灯し、蛍光画像の撮影に必要な時間、例えばカメラ104の露光時間だけシャッター107を開けて励起光を照射する。そして、カメラ104を制御して対物レンズ103を通して入力される像を撮影し、記憶する。これによって、ナビゲーション範囲の開始点における蛍光画像を撮影することができる。なお、このとき、撮影条件として複数の蛍光フィルタの種類が指定されている場合には、蛍光フィルタを切り替えて、各蛍光フィルタごとに蛍光画像をそれぞれ撮影する。
その後、制御装置105は、ナビゲーション範囲内の次の領域を撮影するように対物レンズ103を移動させる。すなわち、制御装置105は、移動後の対物レンズ位置におけるカメラ104の撮影範囲が移動前の対物レンズ位置におけるカメラ104の撮影範囲と隣接し、かつ両範囲が重複しないように、対物レンズ103の移動量を制御する。そして、移動後の対物レンズ位置において上述した処理を実行し、移動後の対物レンズ位置における位相差画像と蛍光画像を撮影し、記憶する。この処理をナビゲーション範囲の全範囲に対して実行することによって、ナビゲーション範囲内において複数の小領域ごとに位相差画像と、蛍光フィルタの種類分の複数枚の蛍光画像を撮影することができる。
そして、制御装置105は、ナビゲーションを実行して撮影され、記憶された各小領域に対応する位相差画像をつなぎ合わせて(タイリングして)、ナビゲーション範囲全体を撮影した1枚の結合画像(マクロ位相差画像)を生成する。さらに、制御装置105は、各蛍光フィルタの蛍光画像ごとに、同様にして各小領域に対応する蛍光画像をタイリングして蛍光フィルタごとの結合画像(マクロ蛍光画像)を生成する。
図2を用いて、マクロ位相差画像の生成方法を具体的に説明する。この図2は、4つの小領域に対してナビゲーションを実行した場合に撮影される位相差画像に基づいてマクロ位相差画像を生成する手順を模式的に示した図である。ここでは、4つの小領域を対象としてナビゲーションが実行された結果、図2(a)に示す4枚の位相差画像2a〜2dが撮影されている。制御装置105は、この4枚の位相差画像をナビゲーション範囲内におけるそれぞれの小領域の位置関係を保持したまま図2(b)のように並べて結合することによってタイリングを行う。これによって図2(c)に示すようなマクロ位相差画像2eが生成される。
次に、図3を用いて、マクロ蛍光画像の生成方法を具体的に説明する。この図3は、4つの小領域に対して2種類の蛍光フィルタを使用してナビゲーションを実行した場合に撮影される蛍光画像に基づいてマクロ蛍光画像を生成する手順を模式的に示した図である。ここでは、第1の蛍光フィルタを使用して4つの小領域を対象としてナビゲーションが実行された結果、図3(a)に示す4枚の蛍光画像3a〜3dが撮影されている。また、第2の蛍光フィルタを使用して4つの小領域を対象としてナビゲーションが実行された結果、図3(d)に示す4枚の蛍光画像3f〜3iが撮影されている。
制御装置105は、まず、図3(a)に示す4枚の蛍光画像3a〜3dを、ナビゲーション範囲内におけるそれぞれの小領域の位置関係を保持したまま図3(b)のように並べて結合することによってタイリングを行う。これによって図3(c)に示すような第1の蛍光フィルタのマクロ位相差画像3eが生成される。次に、図3(d)に示す4枚の蛍光画像3f〜3iを、ナビゲーション範囲内におけるそれぞれの小領域の位置関係を保持したまま、図3(e)のように並べて結合することによってタイリングを行う。これによって図3(f)に示すような第2の蛍光フィルタのマクロ位相差画像3jが生成される。
制御装置105は、このように生成したマクロ位相差画像と蛍光フィルタごとのマクロ蛍光画像とをPC109へ出力する。
PC109においてCPUは、例えば図4に示すようなGUI画面をモニタ110に表示する。使用者は、モニタ110上でこのGUI画面を操作することにより、マクロ位相差画像および複数の蛍光フィルタを使用して撮影した複数のマクロ蛍光画像に基づいて、次のように観察対象の細胞を選択する。なお、使用者はPC109が備えている不図示の入力部材、例えばキーボードやマウスを操作することによって図4に示すGUI画面を操作する。また、図4のGUI画面については、本実施の形態に関連する項目についてのみ説明し、それ以外の項目については説明を省略する。
まず使用者は、GUI画面上で位相差画像表示ボタン4aを選択して、GUI画面上の画像表示領域4d内にマクロ位相差画像を表示する。使用者はこのマクロ位相差画像によって細胞の形状を確認することができる。そして、このマクロ位相差画像をベースとして、その上に任意の蛍光フィルタで撮影したマクロ蛍光画像(フィルタ画像)を重ね合わせて(重畳して)表示することができる。例えば、蛍光観察によって赤色に発光した画像を撮影したフィルタ画像をマクロ位相差画像に重ね合わせて表示する場合には、使用者はGUI画面上で赤色フィルタ画像表示ボタン4bを選択する。すなわち、位相差画像表示ボタン4aと赤色フィルタ画像表示ボタン4bとがいずれも選択された状態にすることで、画像表示領域4d内にベースとなるマクロ位相差画像上に赤色フィルタ画像を重ね合わせて表示することができる。
同様に、蛍光観察によって青色に発光した画像を撮影したフィルタ画像をマクロ位相差画像に重ね合わせて表示する場合には、使用者はGUI画面上で位相差画像表示ボタン4aと共に青色フィルタ画像表示ボタン4cを選択する。また、マクロ位相差画像に赤色フィルタ画像と青色フィルタ画像のいずれも重ね合わせて表示したい場合には、位相差画像表示ボタン4a、赤色フィルタ画像表示ボタン4b、および青色フィルタ画像表示ボタン4cを全て選択すればよい。
例えば、図2に示したマクロ位相差画像2eに、図3に示した第1の蛍光フィルタ画像3eと第2のフィルタ画像3jを重ね合わせて表示した場合には、図5に示すような合成画像(重畳画像)が画像表示領域4d内に表示される。
このように合成されたマクロ位相差画像と合成されたマクロ蛍光画像(フィルタ画像)とを重ね合わせて表示することによって、使用者は細胞の形状とともに蛍光試薬による蛍光状態を確認しながら、観察対象とする細胞の選択を行うことができる。具体的には、使用者は、画像表示領域4d内のマクロ画像上に表示されたカーソル4eを移動ボタン4fをマウスで操作して移動させ、本観察の観察対象とする細胞に当てた後、選択ボタン4gをマウスでクリックすることによって、本観察の観察対象とする細胞を選択する。使用者は、本観察の観察対象として複数の細胞を選択したい場合には、この処理を繰り返し行う。
なお、図4に示す例では、移動ボタン4fは円形状のボタンであり、マウスでクリックされたボタン上の位置に応じてカーソル4eの画面上での移動方向が決定される。また、マウスによる押下回数、または押下時間に応じてカーソル4eの画面上での移動量が決定される。
使用者によって本観察の観察対象とする細胞が選択されると、CPUは、選択ボタン4gがクリックされた時点におけるカーソル4eの位置を特定する情報を本観察対象表示領域4h内に追加する。
これによって、使用者はモニタ110に表示されたマクロ画像を見ながら本観察前の準備段階として観察対象の細胞を選択することができ、細胞を選択するために透過光や励起光を細胞に長時間照射し続けなくても済むことになる。すなわち、励起光の照射時間も蛍光画像の撮影に必要な時間だけで済むことから、準備段階での細胞の光退色や光毒性によるダメージを最小限に抑えることができる。また、透過光の照射時間は位相差画像の撮影に必要な時間だけで済むことから、細胞が透過光によっても悪影響を受ける場合でも、この悪影響を最小限に抑えることができる。
その後、使用者がPC109を操作して本観察の開始を指示すると、CPUは、本観察対象表示領域4h内に表示された情報とともに本観察の実行指示信号を制御装置105へ出力する。例えば、使用者は、図4に示すタイムラプス実行ボタン4iをクリックすることによって、本観察対象表示領域4h内に表示されている選択済みの細胞に対する本観察の開始を指示する。
制御装置105は本観察の実行指示信号が入力されると、観察対象の細胞に対して、例えばタイムラプス処理を実行して細胞の観察、すなわち本観察を行う。本観察の結果は制御装置105を介してPC109に出力され、観察データ(試験データ)がPC109内のハードディスクに記録され、同時にモニタ110に表示される。
図6は、本実施の形態における制御装置105の処理を示すフローチャートである。図6に示す処理は、使用者によってPC109が操作されて試験準備の開始が指示され、PC109から試験開始信号を受信すると起動するプログラムとして制御装置105によって実行される。
ステップS10において、顕微鏡を位相差観察モードにセットし、対物レンズ103、カメラ104、およびシャッター107を制御して低倍率で撮影した細胞培養容器Aの位相差画像をPC109へ出力してステップS20へ進む。ステップS20では、PC109から上述したレシピが入力されたか否かを判断する。レシピが入力されたと判断した場合には、ステップS30へ進む。
ステップS30では、レシピに格納されている撮影条件とナビゲーション範囲情報とを読み込んでステップS40へ進む。ステップS40では、ナビゲーション範囲の開始点を特定し、特定したナビゲーション範囲の開始点に対物レンズ103を移動させる。
その後、ステップS50へ進み、顕微鏡の位相差観察モードと蛍光観察モードとを切替ながら、上述したように対物レンズ103、カメラ104、透過光照明装置106、およびシャッター107を制御してナビゲーションを実行し、小領域ごとに位相差画像および蛍光画像を撮影する。このとき、撮影条件として複数の蛍光フィルタの種類が指定されている場合には、複数の蛍光フィルタを切り替えて、そのフィルタの種類ごとに蛍光画像を撮影する。その後、ステップS60へ進む。
ステップS60では、ナビゲーション範囲の全範囲についてナビゲーションの実行が完了したか否かを判断する。ナビゲーションの実行が完了していないと判断した場合には、ステップS40へ戻って隣接する小領域を撮影するために対物レンズ103を移動させて処理を繰り返す。これに対してナビゲーションの実行が完了したと判断した場合には、ステップS70へ進む。
ステップS70では、ナビゲーションを実行して撮影した小領域ごとの位相差画像、および少なくとも1種類の蛍光フィルタで撮影した蛍光画像のそれぞれをタイリングして、上述したマクロ位相差画像およびマクロ蛍光画像を作成する。その後、ステップS80へ進み、作成したマクロ位相差画像およびマクロ蛍光画像をPC109へ出力して、ステップS90へ進む。
ステップS90では、PC109から本観察の実行指示信号を受信したか否かを判断する。本観察の実行指示信号を受信したと判断した場合にはステップS100へ進み、PC109上で使用者によって選択された観察対象の細胞に対してタイムラプス処理を実行する。その後、ステップS110へ進み、タイムラプス処理の結果をPC109へ出力して、処理を終了する。
図7は、本実施の形態におけるPC109の処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、制御装置105から上述したナビゲーション範囲を指定するための細胞培養容器Aの位相差画像が入力されると起動するプログラムとしてPC109が有するCPUによって実行される。
ステップS200において、制御装置105から入力された細胞培養容器Aの位相差画像をモニタ110に表示してステップS210へ進む。ステップS210では、位相差画像上で使用者によってナビゲーション範囲が指定されたか否かを判断する。ナビゲーション範囲が指定されたと判断した場合にはステップS220へ進み、指定されたナビゲーション範囲のナビゲーション範囲情報と撮影条件とを格納したレシピを作成し、レシピを制御装置105へ出力してステップS230へ進む。
ステップS230では、制御装置105から上述したマクロ位相差画像およびマクロ蛍光画像が入力されたか否かを判断する。これらの画像が入力されたと判断した場合にはステップS240へ進み、図4に示したGUI画面をモニタ110に表示する。その後、ステップS250へ進む。
ステップS250では、使用者によって不図示の入力部材が操作され、図4に示すGUI画面上で位相差画像表示ボタン4aが選択されることにより、マクロ位相差画像の表示が指示されたか否かを判断する。マクロ位相差画像の表示が指示されたと判断した場合には、ステップS260へ進み、GUI画面上の画像表示領域4d内にマクロ位相差画像を表示する。その後、ステップS270へ進む。
ステップS270では、使用者によって不図示の入力部材が操作され、図4に示すGUI画面上で蛍光フィルタの種類に応じた蛍光画像表示ボタンが選択されることにより、マクロ蛍光画像の表示が指示されたか否かを判断する。マクロ蛍光画像の表示が指示されていないと判断した場合には、後述するステップS290へ進む。これに対して、マクロ蛍光画像の表示が指示されたと判断した場合には、ステップS280へ進み、画像表示領域4d内に表示されているマクロ位相差画像に指示された蛍光フィルタのマクロ蛍光画像を重ね合わせて表示する。その後、ステップS290へ進む。
ステップS290では、使用者によって観察対象の細胞が選択されたか否かを判断する。観察対象の細胞が選択されていないと判断した場合には、ステップS270へ戻って処理を繰り返す。これに対して観察対象の細胞が選択されたと判断した場合には、ステップS300へ進む。ステップS300では、使用者によって本観察の実行が指示されたか否かを判断する。本観察の実行が指示されたと判断した場合には、ステップS310へ進み、本観察の実行指示信号を制御装置105へ出力して処理を終了する。
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)蛍光画像を取得する領域を設定する際、励起光を照射することなく、ナビゲーション範囲内の小領域ごとに、画像を撮影するために必要な時間だけ励起光を細胞に照射して蛍光画像を撮影し、撮影した小領域ごとの蛍光画像をタイリングしたマクロ蛍光画像を使用者に提供するようにした。これによって準備段階での細胞の光退色や光毒性によるダメージを最小限に抑えることができる。また、使用者は、励起光を照射し続けることによる細胞への悪影響を気にせずに、マクロ位相差画像上で時間をかけて観察対象の細胞を選択することができる。
(1)蛍光画像を取得する領域を設定する際、励起光を照射することなく、ナビゲーション範囲内の小領域ごとに、画像を撮影するために必要な時間だけ励起光を細胞に照射して蛍光画像を撮影し、撮影した小領域ごとの蛍光画像をタイリングしたマクロ蛍光画像を使用者に提供するようにした。これによって準備段階での細胞の光退色や光毒性によるダメージを最小限に抑えることができる。また、使用者は、励起光を照射し続けることによる細胞への悪影響を気にせずに、マクロ位相差画像上で時間をかけて観察対象の細胞を選択することができる。
(2)ナビゲーション範囲内の小領域ごとに、画像を撮影するために必要な時間だけ透過光を細胞に照射して位相差画像を撮影し、撮影した小領域ごとの位相差画像をタイリングしたマクロ位相差画像を使用者に提供するようにした。これによって、励起光だけではなく透過光を照射することによっても悪影響を受ける可能性がある細胞を観察する場合にも、透過光の照射による細胞への悪影響を最小限に抑えて位相差画像を撮影することができる。
(3)対物レンズ103は、複数の蛍光フィルタを切り替えて蛍光観察を行えるようにし、カメラ104は、各蛍光フィルタごとに蛍光画像を撮影するようにした。これによって、複数の蛍光試薬で染色した多重染色の場合でも、蛍光色ごとの蛍光画像を撮影することができる。
(4)ナビゲーションを実行して撮影した小領域ごとの位相差画像および蛍光画像をそれぞれタイリングしてナビゲーション範囲全体を撮影した1枚のマクロ画像を生成し、このマクロ画像をモニタ110に表示するようにした。これによって、使用者はナビゲーション範囲全体から観察対象の細胞を選択することができる。
(5)使用者は、モニタ110に表示されたGUI画面上の画像表示領域4d内にマクロ位相差画像と、複数のマクロ蛍光画像のそれぞれとを重ね合わせて表示して、細胞を選択できるようにした。これによって、使用者は細胞の形状とともに蛍光試薬による蛍光状態を確認しながら、観察対象とする細胞の選択を行うことができる。
―変形例―
なお、上述した実施の形態の細胞観察装置は、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、モニタ110に表示されたGUI画面上の画像表示領域4d内に位相差画像の上に複数の蛍光画像の少なくとも1つを重ね合わせて表示して細胞を選択できるようにした。しかしこれに限定されず、複数の蛍光画像のうち2枚以上を重ね合わせるようにしてもよい。また、画像表示領域4d内に表示したマクロ画像を拡大できるようにしてもよい。これによって、使用者はマクロ画像をさらに拡大して観察対象の細胞を容易に選択できるようになる。
なお、上述した実施の形態の細胞観察装置は、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、モニタ110に表示されたGUI画面上の画像表示領域4d内に位相差画像の上に複数の蛍光画像の少なくとも1つを重ね合わせて表示して細胞を選択できるようにした。しかしこれに限定されず、複数の蛍光画像のうち2枚以上を重ね合わせるようにしてもよい。また、画像表示領域4d内に表示したマクロ画像を拡大できるようにしてもよい。これによって、使用者はマクロ画像をさらに拡大して観察対象の細胞を容易に選択できるようになる。
(2)上述した実施の形態では、ナビゲーション範囲に対してナビゲーション処理を実行して得た小領域ごとの位相差画像と蛍光画像とをそれぞれ合成してマクロ位相差画像とマクロ蛍光画像を生成する例について説明した。しかしながら、位相差画像または蛍光画像のいずれか一方のみを撮影するようにしてもよい。この場合、使用者は観察対象選択用画面上でマクロ位相差画像またはマクロ蛍光画像のいずれか一方のみを確認しながら本観察対象の細胞を選択すればよい。
(3)上述した実施の形態では、使用者は図4に示すGUI画面上で観察対象の細胞を選択する例について説明したが、GUI画面のレイアウトは図4に示すものに限られない。
(4)上述した実施の形態では、制御装置105が図6に示した処理を実行し、PC109が図7に示した処理を実行する例について説明した。しかしながら、制御装置105またはPC109のいずれか一方が図6および図7の処理を全て行うようにしてもよい。
(5)上述した実施の形態では、本観察として観察対象の細胞に対してタイムラプス処理を実行する例について説明したが、本発明は、その他の観察方法による観察や試験を行う場合の前準備として対象の細胞を選択する場合にも適用可能である。
(6)上述した実施の形態では、細胞を観察対象とする場合について説明したが、本発明は、光を照射することによって観察することができ、かつ光を照射することによって悪影響が生じる可能性があるその他の観察対象、例えば鉱物などにも適用可能である。
(7)上述した実施の形態では、位相差画像を取得し、ナビゲーションを行う基本となる画像としたが、微分干渉画像、偏光画像等、他のコントラスト生成方法を用いることも可能である。
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
100 細胞観察装置、101 ステージ、102 チャンバー、103 対物レンズ、104 カメラ、105 制御装置、106 透過光照明装置、107 シャッター、108 励起用光源装置、109 パーソナルコンピュータ(PC)、110 モニタ、111 環境制御装置、111a CO2混合機、111b 湿度調整機、111c 温度調整機
Claims (8)
- 観察対象物の像を小領域ごとに撮影する撮影手段と、
前記撮影手段による撮影時のみ前記観察対象物に光を照射する照明手段と、
前記撮影手段により小領域ごとに撮影した複数の画像をつなぎ合わせた結合画像を生成する制御手段とを備えることを特徴とする観察装置。 - 請求項1に記載の観察装置において、
前記照明手段は、前記観察対象物を位相差観察するための透過光、および前記観察対象物を蛍光観察するための励起光を異なるタイミングで照射し、
前記撮影手段は、前記観察対象物の位相差観察によって得られる位相差画像、および前記観察対象物の蛍光観察によって得られる蛍光画像を撮影することを特徴とする観察装置。 - 請求項2に記載の観察装置において、
複数の蛍光フィルタをさらに備え、
前記撮影手段は、前記複数の蛍光フィルタを切り替えて、複数の蛍光フィルタごとに前記蛍光画像を撮影することを特徴とする観察装置。 - 請求項3に記載の観察装置において、
前記制御手段は、前記位相差画像の結合画像、および前記複数の蛍光画像のそれぞれの結合画像を生成することを特徴とする観察装置。 - 請求項4に記載の観察装置において、
前記制御手段は、前記位相差画像の結合画像、および前記複数の蛍光画像のそれぞれの結合画像のうち、少なくとも2枚の結合画像を重畳してモニタに表示することを特徴とする観察装置。 - 請求項4に記載の観察装置で生成した位相差画像の結合画像、および複数の蛍光画像のそれぞれの結合画像のうち、少なくとも2枚の結合画像を重畳して表示する制御手段を備えることを特徴とする観察装置。
- 請求項5または6に記載の観察装置において、
前記制御手段は、前記重畳して表示した画像を拡大表示することを特徴とする観察装置。 - コンピュータに、
観察対象物の像を小領域ごとに撮影する撮影手順と、
前記撮影手順による撮影時のみ前記観察対象物に光を照射する照明手順と、
前記撮影手順により小領域ごとに撮影した複数の画像をつなぎ合わせた結合画像を生成する制御手順とを実行させるための観察プログラム。
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