JP2007327140A - 防錆剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗装方法と同様の簡便さと金属溶射方法と同等の優位特性を発揮することができる防錆剤を提供する。
【解決手段】スタンピングミルで製造することによって鱗箔状に形成された無機微粉金属としての亜鉛及びアルミニウムを変性シリコーン樹脂溶液に混入調製して製造する。変性シリコーン樹脂溶液には、シラン系のシリコーン樹脂を使用し、例えばオルガノシラン系シリコーン樹脂にオリゴマー型シランカップリング剤等の混入溶液を用いる。
【選択図】なし

Description

この発明は、防錆剤に関し、特に塗装方法と同様の簡便さと金属溶射方法と同様の優位特性を発揮することができるようにしたものに関する。
従来、鉄鋼材の防食(防錆)方法には、塗料や他の有機材料による表面被覆によって酸素、硫化物、ハロゲン化物等との接触を遮断する塗装方法、溶融亜鉛に被処理物を一定時間浸漬させ亜鉛を付着形成させる亜鉛鍍金方法、亜鉛・アルミニウムを溶かして鉄鋼構造物表面に複合皮膜として付着させ犠牲陽極反応を利用することにより、この形成被膜の厚さに応じて経年酸化を抑制し耐久性を向上するようにした金属溶射方法等がある。
上記した従来から実施されている防食方法には、下記のような各種問題点があった。すなわち、塗装方法では、有機溶剤塗装であるため、硬度が不足し、表面の損傷や損耗による傷が原因となって空気と金属表面との遮断機能が劣化し、風化や紫外線劣化、外損傷等による腐食が発生するという問題点があった。
亜鉛鍍金方法では、10年程度の耐食性能があるものの、実施のためには浸漬のための大型プラントが必要であり、既設鉄鋼構造物のメンテナンスには適応できないという問題点があった。また、薄板鋼板や長尺鋼材には溶融温度と浸漬プールの問題からも適用できなかった。最近では亜鉛アルミニウムの合金鍍金の技術確立も進んできているが、結局セラミック炉等の設備にコストがかかり、経済的な面からも問題があるとともに、亜鉛・アルミニウムの合金鍍金では、亜鉛とアルミニウムの冷却速度の違いにより、アルミニウムの結晶粒の大きさが異なるため、いわゆる粒界面の腐食等が生じやすいという特性上の問題があった。
さらに、金属溶射方法では、犠牲陽極反応により内部の金属を保護するため、亜鉛鍍金以上の耐性を発揮するものの、金属溶射のための機械装置(溶射ガン、電源装置、送風装置、線材巻取り送出し装置、溶射延長コード等)が必要であり、施工効率は職人の技術による決定要素もあって、1日の施工面積が30m程度で、装置の搬入・整備の負担が大きいことからみても、採算面での検討を必要とし、既設構造物への溶射や狭隘な構造部分への施工には困難性があるといった問題点があった。また、亜鉛・アルミニウムを溶かして被処理物の表面に強制的に付着させるためには、鉄鋼構造物表面にショットブラストを施したり、粗面形成剤を用いてアンカー効果を発揮させるといった前処理が必要であった。
そこで、本発明は、従来の防食方法の利点を活かしつつ、上記した問題点を解消することができる防錆剤、すなわち、塗装方法と同様の簡便さと金属溶射方法と同等の優位特性を発揮することができる防錆剤の提供を課題とする。
本発明は上記課題を解決するため、次のような構成を採用した。すなわち、本発明にかかる防錆剤は、鱗箔状に形成された亜鉛及びアルミニウムを変性シリコーン樹脂溶液に混入調製してなることを特徴としている。
このように、変性シリコーン樹脂溶液に鱗箔状に形成された亜鉛及びアルミニウムを混入させ防錆剤として調製すると、変性シリコーン樹脂溶液の有する反応性の異なる2種類の官能基のうちの1つが鱗箔状の亜鉛とアルミニウムに対してそれぞれの水酸基分子同士が加水分解されて化学結合し、部分的に縮合して鱗箔状の亜鉛とアルミニウムがバインダ状に混入した状態(Al−O−Si−OR等の化学結合状態)となる。この状態で鉄鋼構造物の表面に塗布すると、変性シリコーン樹脂溶液の他の官能基が鉄鋼構造物表面のFe水酸基と結合し加水分解され、水素結合的に吸着し、その後乾燥していくと脱水縮合反応により強固に化学結合(Fe−O−Si−OR)する。かかる作用により、鉄鋼構造物表面に鱗箔状の亜鉛・アルミニウムのバインダ層が結果的に異種金属結合した状態で形成される。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明にかかる防錆剤は、鱗箔状に形成された無機微粉金属としての亜鉛及びアルミニウムを変性シリコーン樹脂溶液に混入調製して製造される。これら鱗箔状に形成される亜鉛及びアルミニウムの大きさは、150〜300メッシュが好ましいが、亜鉛及びアルミニウムともに180メッシュのものが本防錆剤中に年輪状に交互に積層されることになるのでより好ましい。亜鉛とアルミニウムの微粉末は、アトマーズ法や電界法よらず、スタンピングミルで製造することによって鱗箔状に形成しており、より金属結晶が微細化されている。これらが年輪状に交互に積層されることによって、アルミニウムの標準単極電位が−1.662V、亜鉛の標準単極電位−0.762V、鉄の標準単極電位が−0.447Vであるから、これら相互間に電位差が発生し、犠牲陽極効果による防錆効果に最適となる。
また、鱗箔状に形成された亜鉛及びアルミニウムを変性シリコーン樹脂溶液に混入する際には、鱗箔状の亜鉛及びアルミニウムに付着している他の物質、例えば、ステアリン酸等の物質を除去精製しておく必要がある。かかる処置は、無機溶液混入時に過剰化学反応を抑えるためである。
本防錆剤の変性シリコーン樹脂溶液には、シラン系のシリコーン樹脂が使用されており、例えばオルガノシラン系シリコーン樹脂にオリゴマー型シランカップリング剤等の混入溶液が適している。
具体的には、硬化触媒を含有する脱メタノール硬化型メチル系シリコーン樹脂溶液(3官能性を持つオルガノシルセスキオキサンを基本骨格とするシリコーン樹脂を基本構成とする)のオルガノシランや、反応基アルコキシ基(Si−OR)のメトキシ基を含有するアルコキシオリゴマーをそれぞれ単独で使用したり、両樹脂を同時に使用するほか、これらの樹脂にアルミニウムアルコキシドAl(OR)を混ぜたり、さらにアルコール類を混合する等の色々な組み合わせ混合溶液で構成されている。更に、各溶液と微粉金属の化学反応及び塗装性を考慮し、溶液の粘度は25℃において22〜25mm/Sが最適であり、かかる粘度調整により塗料化しやすくなる。
このように、変性シリコーン樹脂溶液に鱗箔状に形成された亜鉛及びアルミニウムを混入させ防錆剤として調製すると、変性シリコーン樹脂溶液の有する反応性の異なる2種類の官能基のうちの1つが鱗箔状の亜鉛とアルミニウムに対してそれぞれの水酸基分子同士が加水分解されて化学結合し、部分的に縮合して鱗箔状の亜鉛とアルミニウムがバインダ状に混入した状態(Al−O−Si−OR等の化学結合状態)となる。
この状態で鉄鋼構造物の表面に塗布すると、変性シリコーン樹脂溶液の他の官能基が鉄鋼構造物表面のFe水酸基と結合し加水分解され、水素結合的に吸着し、その後乾燥していくと脱水縮合反応により強固に化学結合(Fe−O−Si−OR)する。かかる作用により、鉄鋼構造物表面に鱗箔状の亜鉛・アルミニウムのバインダ層が結果的に異種金属結合した状態で形成され、いわゆる鉄表面に亜鉛・アルミニウムがアルコキシオリゴマーの架橋反応により3次元的に交互に積層した状態に架橋されることになり、通電性を発揮して犠牲陽極機能も発揮することになる。また、亜鉛とアルミニウムの微粉末は鱗箔状に形成されているので、より微細化された亜鉛とアルミニウムとが単一金属で交互に積層した状態で結合すると、粒界面における腐食等も生じなくなる。
本発明にかかる防錆剤は、上記したように構成されるので、鉄鋼構造物の表面に対して塗料のように塗布することができるとともに、通電性のある無機硬質な化学結合を鉄鋼構造物表面で起こすため、金属溶射方法による表面処理と同様の防錆機能を発揮することができる。また、塗料と同様の作業性により金属溶射の際に必要な機械装置等が不要になり、既設構造物や狭隘な構造部分への施工についても容易に行うことができる。また、装置類が不要なほか、亜鉛・アルミニウムを溶かして被処理物の表面に強制的に付着させるためのショットブラストや粗面形成剤を用いてアンカー効果を発揮させるといった前処理も不要であり、コスト的にも優れたものになる。
上記説明から明らかなように、本発明による防錆剤は、塗装方法と同様の簡便さで金属溶射方法と同等の犠牲陽極特性を発揮することができるとともに、亜鉛・アルミニウムを溶かして被処理物の表面に物理的に強制的に付着させるものではなく、化学結合によって異種金属を単一金属のまま結合させるため、外部からの応力によって生じる歪みなどで剥離することもなくその耐性を大幅に向上することもできる。

Claims (1)

  1. 鱗箔状に形成された亜鉛及びアルミニウムを変性シリコーン樹脂溶液に混入調製してなることを特徴とする防錆剤。
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