JP2007327133A - 耐食性に優れたステンレス鋼 - Google Patents

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【課題】塩害環境において、すきま腐食や孔食による耐孔あき性に優れると共に、応力腐食割れ性にも優れたステンレス鋼を得る。
【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.02%、N:0.001〜0.02%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Ni:3%超え〜5%、Cr:11〜26%を含み、更にTi:0.01〜0.5%Nb:0.02〜0.6%の一種又は二種を含み、残部がFe及び不可避不純物からなることを特徴とする耐食性に優れたステンレス鋼。Mo:3.0%以下、Cu:1.0%以下、V:3.0%以下、W:5.0%以下、Zr:0.5%以下、Al:1%以下、Ca:0.002%以下、Mg:0.002%以下、B:0.005%以下のいずれか1種または2種以上を含むことが望ましい。
【選択図】図1

Description

優れた耐食性が要求される塩害環境で使用されるステンレス鋼に関する。たとえば、飛来塩分の多い海浜環境における建材や屋外機器類、あるいは冬季に融雪塩を散布する寒冷地を走行する自動車や二輪車の燃料タンク、燃料パイプなどの部材に使用されるステンレス鋼に関する。
近年、ステンレス鋼の優れた耐食性を利用して、さまざまな用途へ使用されるようになってきている。ステンレス鋼製の機器や配管等の部材の耐食性において、特に重要なのは、孔食、すきま腐食、応力腐食割れといった局部腐食であり、これらを起因とした孔あきによって、内部流体等が漏洩することが問題となる。
海浜環境では海水成分を多く含む飛来塩分が、寒冷地では冬季に散布する融雪塩中の塩化物が腐食因子となる。海水中に含まれる塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムがあり、飛来塩分として付着し湿潤状態になると濃厚塩化物溶液を形成しやすい。一方、融雪塩は塩化カルシウム、塩化ナトリウムから構成されるが、通常固体の状態で散布されるため、やはり容易に濃厚塩化物溶液が形成される。塩化物の種類のなかでは、塩化ナトリウムは相対湿度75%以下で乾燥するが、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムは相対湿度40%以下にならないと乾燥しないため、より広い湿度範囲で濃厚塩化物溶液を形成する。これは、潮解性の大小も示しており、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムは、塩化ナトリムに比べ低い湿度で吸湿して濃厚塩化物溶液を形成することを示している。大気環境においては相対湿度40〜75%の範囲は一般的に存在するため、濃厚塩化マグネシウムあるいは濃厚塩化カルシウム中で優れた耐食性を有することは重要である。
特許文献1に耐隙間腐食性を改善したフェライト系ステンレス鋼が開示されている。16%以上のCrと1%程度のNiを複合添加させることで、多量のCr、Mo添加を必要とすることなく、優れた耐すきま腐食性が得られることを特徴としている。本文献では、塩化ナトリウム環境における乾湿繰り返し試験により評価されている。乾湿繰り返し試験を用いることで、濃厚塩ナトリウム物溶液での腐食特性を把握できるが、濃厚塩化マグネシウムあるいは濃厚塩化カルシウム溶液での腐食特性は考慮されていない。
特許文献2には、Cr、Moを多く含みかつ適量のCoを添加することで海洋環境で使用可能なフェライト系ステンレス鋼が開示されている。Co、Moは高価であると共に、Cr、Mo、Coを多量に含むために製造性に劣る。また、特許文献3には、P添加により耐食性を改善することで多量のCr、Moを必須とせず、C、Mn、Mo、Ni、Ti、Nb、Cu、Nを適正化することで製造性を確保したフェライト系ステンレス鋼が開示されている。しかしながら、Pは溶接性を劣化させるため、溶接構造物を製造するときの阻害要因となる。また、特許文献3に記載された中で最も過酷な耐食性試験はCASS試験(食塩水噴霧)であり、濃厚塩化マグネシウムあるいは濃厚塩化カルシウム環境に関する考慮はなされていない。更にまた、特許文献4には、やはりP添加により耐食性を高め、CaおよびAlを適正量添加することにより清浄度向上及び介在物形態等の制御を狙ったフェライト系ステンレス鋼が開示されており、Mo、Cu、Ni、Coなどの選択添加
が併せて記載されている。ここでの最も過酷な腐食試験は、10%塩化第二鉄−3%食塩水中における隙間腐食発生試験であり、濃厚塩化マグネシウムあるいは濃厚塩化カルシウム環境に関する考慮はなされていない。
一方、SUS304、SUS316Lに代表されるオーステナイト系ステンレス鋼は、孔食やすきま腐食を起点とした耐孔あき性は良好であるが、耐応力腐食割れ性が懸念される。そこで、高Cr、高Ni、高Moを含有させて、応力腐食割れの起点となる孔食やすきま腐食の発生を抑える、いわゆるスーパーオーステナイトステンレス鋼を適用したり、Si、Cuを複合添加して応力腐食割れ性を向上させたSUS315J1、315J2系の鋼の適用が考えられるが、いずれも高価である。
本発明は、このような現状に鑑み、高価なNi、Moを多量に添加することなく、海浜環境や融雪塩を散布する寒冷地道路環境などの塩害環境、中でも濃厚塩化マグネシウムあるいは濃厚塩化カルシウムに代表される塩害環境で優れた耐孔あき性、耐応力腐食割れを有するステンレス鋼を得ることにある。
特開2005−89828号公報 特開昭55−138058号公報 特開平6−172935号公報 特開平7−34205号公報
海浜環境や融雪塩を散布する寒冷地道路環境などの塩害環境、中でも、先行文献が技術課題とする塩化ナトリウムによる腐食環境より一層過酷な腐食環境である濃厚塩化マグネシウムあるいは濃厚塩化カルシウムに代表される塩害環境においても、すきま腐食や孔食による耐孔あき性に優れると共に、応力腐食割れ性にも優れたステンレス鋼を得る。
本発明は、下記の耐食性に優れたステンレス鋼を要旨とする。
質量%で、
C:0.001〜 0.02%、N:0.001〜0.02%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Ni:3%超え〜5%、Cr:11〜26%を含み、更にTi:0.01〜0.5%及びNb:0.02〜 0.6%のうちの一種又は二種を含み、残部がFe及び不可避不純物からなることを特徴とする耐食性に優れたステンレス鋼。
Feの一部にかえて、Mo:3.0%以下、Cu:1.0%以下、V:3.0%以下、W:5.0%以下、Zr:0.5%以下、Al:1%以下、Ca:0.002%以下、Mg:0.002%以下、B:0.005%以下のいずれか1種または2種以上を含むことが望ましい。
また、上記を満足するステンレス鋼において、オーステナイト相とマルテンサイト相をあわせた比率が15%以下で、残部がフェライト相からなり、かつフェライト相の結晶粒度番号がNo.4以上であることが望ましい。
塩害環境において、すきま腐食や孔食による耐孔あき性に優れると共に、耐応力腐食割れ性にも優れるため、飛来塩分の多い海浜環境における建材、屋外機器類あるいは冬季に融雪塩を散布する寒冷地を走行する自動車や二輪車の燃料タンク、燃料パイプ等の部品の寿命延長に有効である。
すきま腐食や孔食といった局部腐食を発生している部位では活性溶解により腐食が進行していくが、オーステナイト系ステンレス鋼はその溶解速度が小さいため腐食した部位の溶解によって孔あきに至るまでには多くの時間を必要とするが、溶解を停止させるような不動態化という意味ではフェライト系に劣るため、ゆっくりした速度で活性溶解が持続して、応力腐食割れ感受性が高くなる。一方フェライト系は、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度が大きいため、腐食した部位の溶解によって孔あきにいたるまでの時間が短い反面、応力腐食割れ感受性が低い。
塩化マグネシウム、塩化カルシウムは、塩化ナトリウムに比べて、上記段落0003において述べたようにより低い相対湿度でも水溶液として存在することが可能であり、かつ飽和濃度が高い。そのため、より広い湿度範囲でより高濃度の塩化物溶液として存在するので、塩化ナトリウムよりも腐食性が強くなるため、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度を高めるとともに、応力腐食割れも促進することとなる。
そこで、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度を低め、かつ応力腐食割れ感受性を改善するために不動態化を促進する有効な合金元素についてフェライトステンレス鋼をベースに鋭意研究を進めた。その結果、不動態化能を劣化させることなく、活性状態での溶解速度を低める最も効果的な元素がNiであり、かつ濃厚塩化マグネシウム或いは濃厚塩化カルシウムに代表される塩害環境においてオーステナイト系なみの溶解速度とするには3%を超えるNi量が必要であることが判明した。更に、Ni量増加とともに、第2相としてマルテンサイト相やオーステナイト相が生じて、不動態化能が劣化すること、また、第2相比率が多いと高強度、低延性となり加工性の劣化が顕著となるが、Ni含有量が5%までは活性溶解速度の減少を享受しつつ不動態化能劣化および加工性の劣化を許容できることを見出して、本発明に至った。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。以下に本発明で規定される
化学組成についてさらに詳しく説明する。
C:耐粒界腐食性、加工性を低下させるため、その含有量を低く抑える必要がある。しかしながら、過度に低めることは精練コストを上昇させるため、0.001〜0.02%とした。望ましくは0.002〜0.015%、より望ましくは0.002〜0.01%である。
N:耐孔食性、耐すきま腐食性に有用な元素であるが、耐粒界腐食性、加工性を低下させる。また、過度に低めることは精練コストを上昇させる。そのため、0.001〜0.02%とした。望ましくは0.002〜0.015%、より望ましくは0.002〜0.01%である。
Si:脱酸元素として有用であると共に、耐食性に有効な元素であるが、加工性を低下させるため、その含有量を0.01〜0.5%とした。望ましくは0.03〜0.3%である。
Mn:脱酸元素として有用であるが、過剰に含有させるとMnSを形成して耐食性を劣化させるので、0.05〜0.5%とした。
P:溶接性、加工性を低下させるので、その含有量を低く抑える必要がある。そのため、Pの含有量は0.04%以下とした。
S:Sが、CaS、MnSといった溶解しやすい硫化物として存在すると、孔食あるいはすきま腐食の起点となり耐孔食性、耐すきま腐食性を劣化させる。そのため、0.01%以下とした。望ましくは0.002%以下である。
Cr:ステンレス鋼において最も重要な耐食性を確保する上で、基本となる元素であると共に、フェライト組織を安定にするので、少なくとも11%以上必要である。増加させるほど耐食性は向上するが、加工性、製造性を低下させるため、上限を26%とした。望ましくは16〜25%である。
Ni:塩化カルシウムや塩化マグネシウムといった塩化ナトリウムよりも厳しい腐食環境において、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度を抑制すると共に、不動態化に対して最も効果的な元素であり、本発明で最も重要な元素である。その効果を発現させるには少なくとも3%を超えるNi量が必要である。過剰に含有させると、加工性を低下させと共にコストアップ要因にもなるので上限を5%とした。望ましくは、3%を超え4%以下、より望ましくは3%を超え3.5%以下である。
TiとNbは、いずれもC、Nを固定し、加工性や溶接部の耐粒界腐食性を向上させる上で有用な元素であり、本発明ではTiとNbの一種または二種を含有する。
Ti:C、Nを固定し、加工性や溶接部の耐粒界腐食性を向上させる上で有用な元素であり、少なくとも0.01%以上必要である。ここで、Tiは(C+N)の和の4倍以上含有させることが望ましい。しかしながら過剰の添加は、製造時の表面疵の原因となり、製造性を劣化させるため、上限を0.5%とした。望ましくは0.03〜0.3%である。
Nb:C、Nを固定し、加工性や溶接部の耐粒界腐食性を向上させる上で有用な元素であり、少なくとも0.02%以上必要である。ここで、Nbは(C+N)の和の8倍以上含有させることが望ましい。TiとNbの2種とも含有させる場合には、(Ti+Nb)/(C+N)を6倍以上とすることが望ましい。しかしながら、Nbの過剰添加は加工性を低下させるため、上限を0.6%とした。望ましくは0.05〜0.5%である。
Mo:耐食性を確保する上で、必要に応じて含有させることができる。Moは、Niとの組み合わせにより、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度を抑制すると共に、不動態化に対する効果を高めて、耐食性を向上させる。また、Crと同様、フェライト相の安定化に寄与する。そのため、含有させる場合には0.5%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰の添加は、加工性を劣化させると共に、高価であるためコストアップにつながる。したがって、含有させる場合には0.5〜3.0%とするのが望ましい。より望ましくは0.5〜2.5%である。
V、W、Zr:耐食性を確保する上で、必要に応じて含有させることができる。いずれも、Niとの組み合わせにより、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度を抑制すると共に、不動態化に対する効果を高めて、耐食性を向上させる。また、フェライト相の安定化に寄与する。そのため、含有させる場合には、Vは0.02%以上、Wは0.5%以上、Zrは0.02%以上の添加が望ましいが、過剰の添加は加工性を低下させ、コストアップ要因となるので、上限をVは3.0%、Wは5.0%、Zrは0.5%とした。
Cu:耐食性を確保する上で、必要に応じて含有させることができる。Niとの組み合わせにより、すきま腐食や孔食を発生した部位での活性溶解速度を抑制すると共に、不動態化に対する効果を高めて、耐食性を向上させる。そのため、含有させる場合には0.1%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰の添加は、加工性を劣化させる。また、オーステナイト形成元素であるため、フェライト組織を安定にするためにCrやMo含有量を増加させる必要があり、コストアップにつながる。したがって、含有させる場合には0.1〜1.0%とするのが望ましい。より望ましくは0.2〜0.6%である。
Al、Ca、Mg:Al、Ca、Mgは脱酸効果等精練上有用な元素であり、必要に応じて含有させることができる。また、組織を微細化し、成形性、靭性の向上にも有用であることから、Al、Ca、Mgの1種もしくは2種以上をAl:1%以下、Ca:0.002%以下、Mg: 0.002%以下の範囲で含有させることが望ましい。このうち、Alはフェライト生成元素であり、高温でのオーステナイト相の生成を抑制する効果を有する。その結果、成形性に有利なフェライト相の集合組織を形成することで成形性向上に寄与していると考えられる。なお、Alを含有させる場合には、0.002%以上0.5%以下とするのが望ましく、またCa、Mgを含有させる場合にはそれぞれ0.0002%以上とするのが望ましい。
B:Bは2次加工性を向上させるのに有用な元素であり、必要に応じて0.0002%以上含有させることが望ましい。しかしながら過剰に含有させると、1次加工性を低下させるので、上限を0.005%とした。
オーステナイト相とマルテンサイト相をあわせた比率が15%以下で、残部がフェライト相からなり、かつフェライト相の結晶粒度番号がNo.4以上:Ni量増加とともに、フェライト相に加え、オーステナイト相やマルテンサイト相といった第2相が存在しやすくなる。本発明の場合には多量のCr、Ni、Moを添加していないのでどちらかというとマルテンサイト相を生成しやすい。こうした第2相が存在すると常温伸びが低下するため上限を15%とするのが望ましい。また、第2相の生成を抑えるために仕上焼鈍温度を高温化するとフェライト相が粗大化して結晶粒度番号がNo.4未満になると常温伸びの低下が顕著となるため、No.4以上とするのが望ましい。第2相の比率を15%以下かつフェライト相の結晶粒度番号をNo.4以上であることは、本願発明のNi含有量が3%超〜5%の範囲において、Cr、Moなどのフェライト形成元素の添加量とのバランスをとると共に、最終焼鈍温度を設定すること、例えば実施例に示した方法により達成される。
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、熱延、熱延板焼鈍、冷延、仕上焼鈍工程を経て、板厚1.0mmの鋼板を製造した。この冷延鋼板を用いて耐食性と常温延性を評価した。
Figure 2007327133
Figure 2007327133
(耐すきま腐食性)
冷延鋼板より、幅60mm、長さ130mmと幅30mm、長さ60mmの試験片を切り出した後、エメリー紙にて#320まで湿式研磨を施した。その後、これらの大小二枚の試験片を重ねて図1に示すような二点(図1中で○で示す部位)でスポット溶接を施し、幅60mm、長さ130mmの端面と裏面をシールテープにより被覆した。
この試験片を用いて、図2に示す条件にて複合サイクル試験を行った。噴霧溶液は5%塩化カルシウム水溶液とした。試験サイクルのなかで、濃厚塩化カルシウム環境となるのは、噴霧から乾燥過程に切り替わったときにすきま内が完全に乾燥するまでの時間である。また、サイクルの進行に伴いすきま内に塩化物イオンが蓄積されることでも濃厚塩化カルシウム環境となりうる。300サイクル完了後、大小試験片を分離した。その後、腐食生成物を除去して、スポット溶接すきま部の侵食深さを焦点深度法により測定した。なお、ここに定めた条件以外については、自動車技術者協会規格の自動車用材料腐食試験法であるJASO M609−91に規定される条件に準じた。10点以上測定した侵食深さの中から最大値を求め、その最大値が400μmを下回るものを○、400μmを超えるものを×とした。本発明で対象としている塩害環境で使用されるステンレス鋼の板厚は0.8〜2mmが主体であり、最も薄い板厚の半分として400μmを基準とした。
(耐応力腐食割れ性)
冷延鋼板より、幅15mm、長さ75mmの試験片を圧延方向と平行に切り出し、8Rで曲げて、平行に拘束してUベンド試験片を作製した。Uベンド試験片R部外表面に人工海水の液滴10μlを2ヶ所滴下した。試験片R部が上になるように恒温恒湿試験器にいれ、80℃、40%RHの条件下で、672h保持した。本条件下では、人工海水中に含まれる塩化ナトリウムは完全に乾燥しており、濃厚塩化マグネシウム環境となる。試験完了後、試験片R部外表面ならびに断面を観察して、応力腐食割れの有無を判定した。
(ミクロ組織、常温延性)
マルテンサイト相もしくはオーステナイト相からなる第二相比率は、500倍の断面ミクロ組織写真をもとに画像解析により求めた。また、フェライト相の結晶粒度は、JISG0552に準拠して測定した。常温延性は、上記の試験材から圧延方向と平行にJIS13B号引張試験片を採取して常温引張試験を行い、全伸びを測定した。建材、屋外機器類あるいは自動車や二輪車の燃料タンク、燃料パイプ等、本発明で対象としている部材成形に望ましい全伸びの値として20%を目安とした。
これらの試験結果を表2に示す。
Figure 2007327133
本発明範囲内にあるNo.1〜No.13の鋼は、すきま部の最大侵食深さが400μm以下であり、応力腐食割れ試験でも割れ発生がなく良好な耐食性を示すと共に、常温伸びが20%以上あり加工性が良好である。Ni範囲が本発明範囲から外れるNo.14の鋼は、耐応力腐食割れ性、常温伸びは良好であるものの耐すきま腐食性に劣る。Ni範囲と第二相比率が本発明範囲から外れるNo.15の鋼は耐すきま腐食性、耐応力腐食割れ性は良好であるものの、常温伸びが20%未満と加工性に劣る。結晶粒度番号が請求項4から外れるNo.16の鋼は、常温伸びが20%未満と加工性に劣る。No.17、No.18はそれぞれSUS304、SUS315J1相当鋼であるが、耐すきま腐食性は良好であるものの、応力腐食割れ試験で割れ発生し耐応力腐食割れ性に劣る。
飛来塩分の多い海浜環境における建材、屋外機器類、あるいは冬季に融雪塩を散布する
寒冷地において走行する自動車部品、二輪車部品等に適する。
試験片形状を示した図である。 複合サイクルテスト条件を示した図である。
符号の説明
1:スポット溶接部

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.001〜 0.02%、N:0.001〜0.02%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Ni:3%超え〜5%、Cr:11〜26%を含み、更にTi:0.01〜0.5%及びNb:0.02〜0.6%のうちの一種または二種を含み、残部がFe及び不可避不純物からなることを特徴とする耐食性に優れたステンレス鋼。
  2. Mo:3.0%以下、Cu:1.0%以下、V:3.0%以下、W:5.0%以下、Zr:0.5%以下の範囲で、Mo、Cu、V、W、Zrのうち1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れたステンレス鋼。
  3. Al:1%以下、Ca:0.002%以下、Mg:0.002%以下、B:0.005%以下のいずれか1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優れたステンレス鋼。
  4. オーステナイト相とマルテンサイト相をあわせた比率が15%以下で、残部がフェライト相からなり、かつフェライト相の結晶粒度番号がNo.4以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐食性に優れたステンレス鋼。
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CN106756602A (zh) * 2016-12-02 2017-05-31 钢铁研究总院 一种耐高湿热海洋大气高强度耐候钢

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