JP2007326232A - 二軸スクリュ式混練押出機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、脱気部及び固体輸送部に角フライトスクリュピースを用い、せん断発熱を抑え、脱気効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明による二軸スクリュ式混練押出機は、長尺筒状のシリンダ(11)の内孔(11d)内に挿入されて回転駆動される２本のスクリュ(12)の脱気部(C,E)を構成する脱気用スクリュピース(12c,12e)および固体輸送部(A)を構成する固体輸送用スクリュピース(12a)のいずれか、あるいは両方が角フライトスクリュピース(20)よりなる構成である。
【選択図】図１

Description

本発明は、二軸スクリュ式混練押出機に関し、特に、脱気部及び固体輸送部に角フライトスクリュピースを用い、せん断発熱を抑え、脱気効率を向上させるための新規な改良に関する。
一般に、熱可塑性合成樹脂原料（以下において、「原料」と略称する。）は、合成樹脂材料あるいは合成樹脂成形製品に成形加工される前段階として、通常、二軸スクリュ式混練押出機により溶融混練され、押出されてペレット状に加工されている。合成反応から生産された粉末状、一度造粒されたペレット状あるいは成形品を粉砕して形状および大きさが不均一な異型形状の原料は、その中に含有される不要な水分、揮発成分等を除去するとともに均質化して改質するために、二軸スクリュ式混練押出機において、溶融混練され、脱気されている。
特許文献名を特には開示していないが、原料を溶融混練する二軸スクリュ式混練押出機は図２に示すように構成されている。図２において、符号１０で示されるものは二軸スクリュ式混練押出機であり、この二軸スクリュ式混練押出機１０は、長尺筒状のシリンダ１１とシリンダ１１の内孔１１ｄ内に挿入されて回転駆動される２本のスクリュ１２とを主要部材として構成されている。図２における二軸スクリュ式混練押出機１０は左側が上流側、右側が下流側であり、スクリュ１２の上流側端部が図示しない回転駆動装置に連結され、シリンダ１１の下流端がその内孔１１ｄの開口を塞いで図示しないダイスが連結されている。
前記シリンダ１１は、一般に、前記スクリュ１２の直径の２倍〜５倍の長さのブロックシリンダを連結して長尺のシリンダ１１が形成されている。ブロックシリンダには、筒状のもの、原料供給口を形成されたもの、ベント口を形成されたもの等があり、適宜に必要なブロックシリンダを選択配置し連結してシリンダ１１が構成されている。スクリュ１２もまた、その直径の０．５倍〜３倍のスクリュピースを組み合わせて構成されている。スクリュピースも種々の形状のものがあり、必要な機能に合せて適宜に選択されたスクリュピースが組み合わされている。２本のスクリュは図２に示す噛合い同方向回転に構成される場合のほか、非噛合い同方向回転、非噛合い異方向回転に構成される場合がある。
図２において、前記二軸スクリュ式混練押出機１０は、上流端から下流端へ、固体輸送用スクリュピース１２ａにより構成される固体輸送部Ａ、第１混練用スクリュピース１２ｂにより構成される第１混練部Ｂ、第１脱気用スクリュピース１２ｃにより構成される第１脱気部Ｃ、第２混練用スクリュピース１２ｄにより構成される第２混練部Ｄ、第２脱気用スクリュピース１２ｅにより構成される第２脱気部Ｅおよび押出用スクリュピース１２ｆにより構成される押出部Ｆにより構成されている。これ等の各部は混練押出しされる原料の種類とその物性あるいは特性により、適宜の区間長および適宜形状のスクリュピースの組み合わせが選択される。このような二軸スクリュ式混練押出機１０の構成に対し、前記シリンダ１１は、固体輸送部Ａの上流部に原料供給口１１ａ、第１混練部Ｂの直後すなわち第１脱気部Ｃの上流部に第１ベント口１１ｂ、第２混練部Ｄの直後すなわち第２脱気部Ｅの上流部に第２ベント口１１ｃがそれぞれ設けられている。第１ベント口１１ｂおよび第２ベント口１１ｃは図示しない吸引排気装置に連結されている。
前記固体輸送用スクリュピース１２ａ、前記第１脱気用スクリュピース１２ｃおよび前記第２脱気用スクリュピース１２ｅは、通常の順フライトスクリュ形状、すなわち噛合い状態で一方のフライト頂部が他方の溝部に沿うようにスクリュの溝形状が形成された形状の順フライトスクリュピース１５により構成されている。
以上のように構成された二軸スクリュ式混練押出機１０において、原料は以下のように溶融混練され、脱気される。すなわち、シリンダ１１が所定の運転可能状態に調整および設定され、スクリュ１２が回転駆動されている状態で、原料が原料供給口１１ａからシリンダ１１の内孔１１ｄ内へ供給される。シリンダ１１の内孔１１ｄ内において、原料は固体輸送用スクリュピース１２ａにより固体輸送部Ａを下流方向へ輸送されて第１混練部Ｂに到り、第１混練部Ｂにおいて第１混練用スクリュピース１２ｂにより溶融混練されながら下流方向へ輸送されて第１脱気部Ｃに到り、第１脱気部Ｃにおいて第１脱気用スクリュピース１２ｃにより練り返されながら下流方向へ輸送されて第２混練部Ｄに到り、第２混練部Ｄにおいて第２混練用スクリュピース１２ｄにより溶融混練されながら下流方向へ輸送されて第２脱気部Ｅに到り、第２脱気部Ｅにおいて第２脱気用スクリュピース１２ｅにより練り返されながら下流方向へ輸送されて押出部Ｆに到り、押出部Ｆにおいて押出用スクリュピース１２ｆにより加圧されながら下流端に到り、ダイスから押出される。この間、第１脱気部Ｃおよび第２脱気部Ｅにおいて、練り返される原料から水分および揮発成分が脱気され、第１ベント口１１ｂおよび第２ベント口１１ｃから吸引排気される。
従来の二軸スクリュ式混練押出機は以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、脱気部が順フライトスクリュ形状の脱気用スクリュピースにより構成されていることにより、２本のスクリュの噛合い部において、溝曲線が全長にわたり相互に沿い合っており、溝曲線の全長において原料が練り返されてせん断され発熱して温度が上昇し、原料の品質劣化の可能性があった。また、固体輸送部Ａが順フライトスクリュ形状の固体輸送用スクリュピースにより構成されていることにより、空間が狭く、原料特に異型形状の原料の食い込み性が低く、押出し能力が低かった。従って、二軸スクリュ式混練押出機としてエネルギー効率が低かった。
本発明による二軸スクリュ式混練押出機は、長尺筒状のシリンダの内孔内に挿入されて回転駆動される２本のスクリュの脱気部を構成する脱気用スクリュピースおよび固体輸送部を構成する固体輸送用スクリュピースのいずれか、あるいは両方が角フライトスクリュピースよりなる構成であり、また、前記角フライトスクリュピースのフライト部のＬ／Ｄを０．５Ｄ〜３．０Ｄとする構成であり、また、前記角フライトスクリュピースは、１条ネジ又は２条ネジを有する構成である。
本発明による二軸スクリュ式混練押出機は以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、脱気部を構成する脱気用スクリュピースが角フライトスクリュピースにより構成されているため、原料に対する練り返し作用が弱く、原料はせん断され発熱して温度上昇することが抑制され、品質劣化の可能性が無くなるとともに、原料を処理するための比エネルギーが低下し、二軸スクリュ式混練押出機のエネルギー効率が向上する。また、脱気部におけるシリンダの内孔内における空間が広くなり、従って原料の暴露面が広くなり、脱気効率が向上し、原料の品質が向上する。
また、固体輸送部を構成する固体輸送用スクリュピースが角フライトスクリュピースにより構成されていることにより、シリンダの内孔内における空間が広くなり、異型形状を含めて原料の食い込み性が高くなり、二軸スクリュ式混練押出機の処理能力が向上する。
また、角フライトスクリュピースは、構造が単純であることにより、フライトの高さ、幅および間隔の異なるものを設計および製作することが容易に可能であり、原料の種類、特性、処理量等の変化に対応して適宜のフライトの高さ、幅および間隔の角フライとスクリュピースを組み合わせて変えることにより、原料を最適条件で加工処理することが可能となる。その結果、原料の品質が向上し、二軸スクリュ式混練押出機のエネルギー効率が向上する。また、フライト角度により、フライト間隔が容易に調整でき、圧縮及び緩和が調整できる。
本発明は、脱気部及び固体輸送部に角フライトスクリュピースを用い、せん断発熱を抑え、脱気効率を向上させるようにした二軸スクリュ式混練押出機を提供することを目的とする。
以下、図面と共に本発明による二軸スクリュ式混練押出機の好適な実施の形態について説明する。尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。
原料を溶融混練する二軸スクリュ式混練押出機は、前述の背景技術の項において説明した図２に示すように構成されている。すなわち、二軸スクリュ式混練押出機１０は、長尺筒状のシリンダ１１とシリンダ１１の内孔１１ｄ内に挿入されて回転駆動される２本のスクリュ１２とを主要部材として構成され、左側の上流側において、スクリュ１２の上流端部が図示しない回転駆動装置に連結され、右側の下流側において、シリンダ１１の下流端がその内孔１１ｄの開口を塞いで図示しないダイスに連結されている。
前記シリンダ１１は、複数箇のブロックシリンダを連結されて長尺のシリンダ１１が形成され、スクリュ１２もまた、複数箇のスクリュピースを組み合わせて構成されている。２本のスクリュは噛合い同方向回転に構成される場合のほか、非噛合い同方向回転、非噛合い異方向回転に構成される場合がある。
前記二軸スクリュ式混練押出機１０は、上流端から下流端へ、固体輸送用スクリュピース１２ａにより構成される固体輸送部Ａ、第１混練用スクリュピース１２ｂにより構成される第１混練部Ｂ、第１脱気用スクリュピース１２ｃにより構成される第１脱気部Ｃ、第２混練用スクリュピース１２ｄにより構成される第２混練部Ｄ、第２脱気用スクリュピース１２ｅにより構成される第２脱気部Ｅおよび押出用スクリュピース１２ｆにより構成される押出部Ｆにより構成されている。これ等の各部は混練押出しされる原料の種類とその物性あるいは特性により、適宜の区間長および適宜形状のスクリュピースの組み合わせが選択される。このような二軸スクリュ式混練押出機１０の構成に対し、前記シリンダ１１は、固体輸送部Ａの上流部に原料供給口１１ａ、第１混練部Ｂの直後すなわち第１脱気部Ｃの上流部に第１ベント口１１ｂ、第２混練部Ｄの直後すなわち第２脱気部Ｅの上流部に第２ベント口１１ｃがそれぞれ設けられている。第１ベント口１１ｂおよび第２ベント口１１ｃは図示しない吸引排気装置に連結されている。
前記固体輸送用スクリュピース１２ａ、前記第１脱気用スクリュピース１２ｃおよび前記第２脱気用スクリュピース１２ｅは、角フライトスクリュピース２０、すなわち丸棒状のスクリュ芯材２０ａの外周に矩形断面の角棒２０ｂを螺旋状に巻きつけたようにフライトが形成されている。前記角フライトスクリュピース２０のフライト部のＬ／Ｄは０．５Ｄ〜３．０Ｄが好適であり、１条ネジ又は２条ネジを有してそのフライト間隔が可変に形成されている。すなわち、前記第１、第２脱気部Ｃ、Ｅを構成する第１、第２脱気用スクリュピース１２ｃ、１２ｅおよび固体輸送部Ａを構成する固体輸送用スクリュピース１２ａのいずれか、あるいは両方が角フライトスクリュピース２０により構成されている。
以上のように構成された二軸スクリュ式混練押出機１０において、原料は以下のように溶融混練され、脱気される。すなわち、シリンダ１１が所定の運転可能状態に調整および設定され、スクリュ１２が回転駆動されている状態で、原料が原料供給口１１ａからシリンダ１１の内孔１１ｄ内へ供給される。シリンダ１１の内孔１１ｄ内において、原料は固体輸送用スクリュピース１２ａにより固体輸送部Ａを下流方向へ輸送されて第１混練部Ｂに到り、第１混練部Ｂにおいて第１混練用スクリュピース１２ｂにより溶融混練されながら下流方向へ輸送されて第１脱気部Ｃに到り、第１脱気部Ｃにおいて第１脱気用スクリュピース１２ｃにより練り返されながら下流方向へ輸送されて第２混練部Ｄに到り、第２混練部Ｄにおいて第２混練用スクリュピース１２ｄにより溶融混練されながら下流方向へ輸送されて第２脱気部Ｅに到り、第２脱気部Ｅにおいて第２脱気用スクリュピース１２ｅにより練り返されながら下流方向へ輸送されて押出部Ｆに到り、押出部Ｆにおいて押出用スクリュピース１２ｆにより加圧されながら下流端に到り、ダイスから押出される。この間、第１脱気部Ｃおよび第２脱気部Ｅにおいて、練り返される原料から水分および揮発成分が脱気され、第１ベント口１１ｂおよび第２ベント口１１ｃから吸引排気される。
前記角フライトスクリュピース２０では、２本のスクリュ１２の噛合い部において、一方のフライト１２ｇの頂部１２ｈのみが他方の溝底１２ｍへ相互に沿い合っており、従来の順フライトスクリュ形状と比較してシリンダ１１の内孔１１ｄ内に広い空間が形成される。従って、第１脱気部Ｃおよび第２脱気部Ｅでは、２本のスクリュ１２の噛合い部において、一方のフライト１２ｇの頂部１２ｈが他方の溝底１２ｍへ沿う箇所においてのみ原料に対する練り返し作用が起こり、原料は部分的にせん断されるので、発熱して温度上昇することが抑制される。また、シリンダの内孔１１ｄ内に広い空間が形成されていることにより、原料の暴露面が広くなる。
固体輸送部Ａでは、シリンダ１１の内孔１１ｄ内に広い空間が形成されていることにより、多量の原料を受け入れて食い込むことが可能になる。また、形状あるいは大きさのまちまちな異型形状の原料についても、容易に受け入れて食い込むことが可能になる。
前記角フライトスクリュピース２０は、前述のように丸棒状のスクリュ芯材２０ａの外周に矩形断面の角棒２０ｂを螺旋状に巻きつけたようにフライト１２ｇが形成された単純な形状および構造であり、フライト１２ｇの高さ、幅、条数、フライト間の間隔等の異なるものを設計および製作することが容易に可能である。従って、フライト１２ｇの高さ、幅およびフライト１２ｇ間の間隔の異なる角フライトスクリュピース２０を予め設計製作して準備しておき、適宜組み合わせることにより、原料の種類、特性、処理量等に対応する最適条件のスクリュ１２を構成することができる。
本発明の構成による二軸スクリュ式混練押出機と従来の構成による二軸スクリュ式混練押出機との運転結果を次の第１表及び第２表に示す。
Figure 2007326232
本運転結果より、比エネルギーが低下し、原料の温度上昇が抑制されることが示された。
Figure 2007326232
本運転結果より、食い込み性が改善され、処理能力が向上することが示された。
本発明による二軸スクリュ式混練押出機の構成を示す構成図である。 従来の二軸スクリュ式混練押出機の構成を示す構成図である。
符号の説明
１０ 二軸スクリュ式混練押出機
１１ シリンダ
１１ａ 原料供給口
１１ｂ 第１ベント口
１１ｃ 第２ベント口
１１ｄ 内孔
１２ スクリュ
１２ａ 固体輸送用スクリュピース
１２ｂ 第１混練用スクリュピース
１２ｃ 第１脱気用スクリュピース
１２ｄ 第２混練用スクリュピース
１２ｅ 第２脱気用スクリュピース
１２ｆ 押出用スクリュピース
１２ｇ フライト
１２ｈ 頂部
１２ｍ 溝底
Ａ 固体輸送部
Ｂ 第１混練部
Ｃ 第１脱気部
Ｄ 第２混練部
Ｅ 第２脱気部
Ｆ 押出部
２０ 角フライトスクリュピース
２０ａ スクリュ芯材
２０ｂ 角棒

Claims (3)

  1. 長尺筒状のシリンダ(11)の内孔(11d)内に挿入されて回転駆動される２本のスクリュ(12)の脱気部(C,E)を構成する脱気用スクリュピース(12c,12e)および固体輸送部(A)を構成する固体輸送用スクリュピース(12a)のいずれか、あるいは両方が角フライトスクリュピース(20)により構成されていることを特徴とする二軸スクリュ式混練押出機。
  2. 前記角フライトスクリュピース(20)のフライト部のＬ／Ｄを０．５Ｄ〜３．０Ｄとすることを特徴とする請求項１記載の二軸スクリュ式混練押出機。
  3. 前記角フライトスクリュピース(20)は、1条ネジ又は2条ネジを有していることを特徴とする請求項１又は２記載の二軸スクリュ式混練押出機。
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