JP2007325354A - 電磁機械の固定子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製作容易、良磁気特性、丈夫な電磁機械の分割型固定子及び製造方法の提供。
【解決手段】固定子は複数の鉄心部分をV字型間隔を置いて配置した固定子鉄心と、ティース上の巻線とを備えている。V字型間隙には磁性樹脂材料が充填されて鉄心部分間を磁気的機械的に結合している。鉄心部分は分割されたヨーク部あるいはヨーク部から分割されたティースである。鉄心部分の外表面の少なくとも一面を磁性樹脂材料で被覆すること、被覆されていない面を非磁性樹脂材料で被覆することも、内径治具による製造方法も提案されている。
【効果】製作、組立が容易で磁気特性が損なわれない。
【選択図】図1
【解決手段】固定子は複数の鉄心部分をV字型間隔を置いて配置した固定子鉄心と、ティース上の巻線とを備えている。V字型間隙には磁性樹脂材料が充填されて鉄心部分間を磁気的機械的に結合している。鉄心部分は分割されたヨーク部あるいはヨーク部から分割されたティースである。鉄心部分の外表面の少なくとも一面を磁性樹脂材料で被覆すること、被覆されていない面を非磁性樹脂材料で被覆することも、内径治具による製造方法も提案されている。
【効果】製作、組立が容易で磁気特性が損なわれない。
【選択図】図1
Description
本発明は電磁機械の固定子に関し、特に複数に分割されたヨークから可動子側に向かって延びたティースを持つ固定子鉄心とティースに巻かれた巻線とを備えた回転電機等の電磁機械の固定子およびその製造方法に関するものである。
スロットを有する鉄心形状のモータでは、スロット開口部からコイルを巻線するためにスロット内の巻線の占積率が悪くなる問題がある。これに対して、鉄心を分割することによりコイルの占積率を向上させる方法がある。しかし、積層鉄心の分割構造は、鉄心抜きの精度や積層倒れの問題から接合部に間隙や歪が生じ、鉄心内径精度の悪化や磁気特性の劣化によりコギングトルクの増加などが問題となる。
従来この問題を解決する技術として、回転電機の分割した鉄心の間隙に樹脂などを充填して、形状を成す方法があった(例えば特許文献1、2および3参照)。例えば、特許文献1の場合は、分割部に微小間隙を設け、この微小間隙に充填材を充填して接合している。また、特許文献2および3の場合は、ティースの内周部を互いに連結し、複数のティースが放射状に延びるティースに巻かれたコイルを有する内側コアと、このコアと別体に形成されたヨークを形成する環状の外側コアを有し、外側コアと内側コアの接合部に磁性フィラーまたは高透磁性フィラーを充填して接合している。
特許文献1では、微小間隙を接着剤などの充填材にて充填しているが、この接着剤は、コアの接合用であり、接着剤の磁気特性は、何ら配慮されていないので、標準的な接着剤の樹脂材料の磁気特性と同等であり、微小間隙は、磁気損失の増加につながる。また、コギングトルクは、回転子磁石とエアギャップの間を均等にしても、分割したコア間の距離が均等でなければ、磁石からみた磁気回路は、コアによって異なる。したがって、空隙磁束分布は、周方向位置によってバラツキを生じ、コギングトルクのバラツキを生じる。
特許文献2、3においては、ティース部とバックヨーク部を分割している。
ここで、磁性粉末を入れて流動性が悪い樹脂を注入するには、通常のモールドよりも遥かに高圧で樹脂を充填しないとコア間隙に充填することは困難である。ところが、ティース内周部を一体に連結したモータにおいて、ティースとヨークの間に高圧で樹脂を充填すると、ティース部を内周に押し付けることになり、コアが微小ではあるが、コギングトルクに影響しうる程度に変形し、内周部のコア内径真円精度を保つことが困難になるという課題があった。
これを回避するためにティース内周側先端のティース間の連結を太くすると、漏れ磁束が増大する。ティース間の連結部を太くすると無痛電磁のコギングトルク低減には有効であるが、漏れ磁束によって鉄心の磁気飽和が発生し、通電トルクリップルを生じるため、結果として、トルク脈動は小さくならない。また鉄心の磁気飽和によって、永久磁石の有効磁束が低減し、出力の低下や電流量に対するトルクの線形性が失われる。
従ってこの発明の目的は、磁性樹脂材料を細部にまで低圧で高密度に充填でき、金型製作コストを大幅に削減することができる電磁機械の固定子とその製造方法を提供することである。
この発明の電磁機械の固定子は、ヨークおよびヨークから可動子側に向かって延びたティースを持つ固定子鉄心と、上記ティースに巻かれた巻線とを備えた電磁機械の固定子に於いて、上記固定子鉄心は、間にV字型断面の間隙を形成するように配列された複数の鉄心部分により構成され、上記間隙には磁性樹脂材料が充填されて上記鉄心部分間が磁気的に結合されている。
また、この発明の電磁機械の固定子の製造方法は、環状のヨークおよびヨークから径方向内側に延びたティースを持つ固定子鉄心と、上記ティースに巻かれた巻線とを備えた回転電機の固定子を製造するために、間にV字型断面の間隙を形成するように内径治具上に複数の鉄心部分を配列し、上記間隙内に磁性樹脂材料を充填されて上記鉄心部分間を磁気的に結合することを特徴とするものである。
本発明は、個々に分割されたティース部を組み合わせて形成する固定子鉄心において、その分割部の間隙の形状をV字状にして、内径を拘束して、高透磁性の粉末を含有した樹脂を充填することを特徴とする。
本発明の間隙部をV字状とする手段は、磁性入り樹脂を流路の大きな軸方向に供給しつつ、微小間隙部への充填は、主として径方向とする作用があるので、細部に磁性樹脂の充填を低圧かつ高密度に行うことができる。
また、コアの内径形状を拘束する手段を配置した状態で、外周から内周方向に押圧されるように磁性粉入り樹脂を充填するので、組立て時により一層コア内径精度を高めることができる。
ヨークの径方向に微小間隙部を設ける手段によって、微小間隙部に樹脂を充填したコアをフレーム焼バメなど更に外周から内周へ拘束する手段を設けてコアの一体剛性を高めようとした場合でも,間隙部に充填した樹脂に加わる力は主として圧縮方向のため、樹脂が破壊したりすること無くコア剛性を高めることができる。本発明では締め付けによって、分割されたコアの微小間隙に注入した磁性樹脂がコア端面とより強固に密着一体化する方向に作用する。このため鉄心と磁性樹脂の接着力が強大でなくても、固定子コアとして十分な強度を確保することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の電磁機械の固定子を回転電機に適用した実施形態1による回転電機の固定子の中心軸に直角な面での断片的断面図であり、図2は図1の回転電機の固定子の概略側面図である。回転電機の固定子は、筒状のヨーク1およびヨーク1から径方向内側に延びたティース2を持つ固定子鉄心3と、ティース2に巻かれた巻線4とを備えている。固定子鉄心3の内側には、回転軸5によって回転可能に支持された永久磁石を備え、空隙6を介して固定子鉄心3に対向した可動子すなわち回転子7が設けられている。固定子鉄心3は、図2に示すように全体として筒状に配置された複数の鉄心部分10により構成されており、鉄心部分10は回転子7の移動方向に対してほぼ垂直な平面に対して傾斜した傾斜端面8同士が離間して対向するように配置されていて、傾斜端面8の間に径方向外側に向かって開いたほぼV字型の間隙9が形成されている。
図1は本発明の電磁機械の固定子を回転電機に適用した実施形態1による回転電機の固定子の中心軸に直角な面での断片的断面図であり、図2は図1の回転電機の固定子の概略側面図である。回転電機の固定子は、筒状のヨーク1およびヨーク1から径方向内側に延びたティース2を持つ固定子鉄心3と、ティース2に巻かれた巻線4とを備えている。固定子鉄心3の内側には、回転軸5によって回転可能に支持された永久磁石を備え、空隙6を介して固定子鉄心3に対向した可動子すなわち回転子7が設けられている。固定子鉄心3は、図2に示すように全体として筒状に配置された複数の鉄心部分10により構成されており、鉄心部分10は回転子7の移動方向に対してほぼ垂直な平面に対して傾斜した傾斜端面8同士が離間して対向するように配置されていて、傾斜端面8の間に径方向外側に向かって開いたほぼV字型の間隙9が形成されている。
図示の鉄心部分10は、各々一つのティース2を有するようにヨーク1が周方向(可動子である回転子7の移動方向)に複数個に分割されて配列されたヨークセグメント11を備えている。鉄心部分10は全体として断面がほぼT字型の部材である。即ち、T字型の横棒に相当するヨークセグメント11は全体がほぼ板状の部材で、外面(回転子7と反対側の面)12が固定子の外周面を形成する円筒面であり、内面13が平面であり、両側面14(図2)が固定子の中心軸(図2)15に垂直な平面である。両傾斜端面8は固定子の中心軸15を通る径方向の平面に平行な平面である。鉄心部分10のティース2はT字型の縦棒に相当するほぼ板状の部材であり、ヨークセグメント11の内面13の中央から中心軸15に向かって径方向内側に延びている。ティース2の回転子(可動子)側に向かって延びた内端には周方向に広がった脚部16が設けられている。
或る鉄心部分10のヨークセグメント11の傾斜端面8と周方向に隣接の鉄心部分10のヨークセグメント11の傾斜端面8との間には外側に向かって開いたV字型の間隙9が形成されているが、この各鉄心部分10間の間隙9には磁性樹脂材料17が充填されていて、鉄心部分10間が磁気的および機械的にに結合されている。また、磁性樹脂材料17はヨークセグメント11間に充填されているということもできる。図示の例では磁性樹脂材料17は傾斜端面8の間の間隙9だけでなく、そこからはみ出してヨークセグメント11の内面13上にまで回り込み、またヨークセグメント11の円筒形外面12上にも適用されている。
このとき、間隙9が固定子鉄心3の軸方向に延びた断面がV字型の溝であるので、磁性樹脂材料17を流路断面積の大きな軸方向に供給しつつ、微小間隙部への充填は、主として径方向とする作用があるので、磁性樹脂材料17の細部への充填を低圧で高密度に行うことができる。また、外径側から内径治具20に対して鉄心部分10を押圧保持した状態で固定子鉄心3を固定するので、内径真円度の高い固定子鉄心3が得られる。鉄心部分10間に微小な間隙9があるので、内径基準で鉄心部分10を円周上に並べた際の鉄心部分10間の間隙にばらつきがあっても、磁性樹脂材料を注入してあるため間隙9の寸法誤差は空隙に対して十分小さく影響しない。
磁性樹脂材料17は、高熱伝導性および高透磁性の粉末を含有した樹脂であり、例えば硬化後の強度が充分に大きなエポキシ樹脂に鉄粉等の透磁性が大きく熱伝導度も大きな金属材料を混入させた樹脂材料である。
磁性樹脂材料17は、固定子鉄心3のヨークセグメント11の傾斜端面8だけでなく、軸方向に対して垂直な両側面14および内外面12、13のうちの少なくとも一面をも被覆している。図示の例ではヨークセグメント11の全ての面が磁性樹脂材料17により被覆されているが、ヨークセグメント11の内面13だけは傾斜端面8に沿った内面13の縁部分だけが僅かに被覆されているだけで、巻線4の設けられている部分を含む内面13のその他の部分は磁性樹脂材料17によっては被覆されていない。
このように固定子鉄心3の両側面14および内外面12、13のうちの磁性樹脂材料17によって被覆されていない面、即ち内面13は、その上に設けられた巻線4とともに、非磁性樹脂材料18によってモールドされて被覆されている。このように、非磁性樹脂材料18はティース2に巻かれた巻線4をティース2とともにモールドしているため、巻線4に非磁性樹脂材料18による絶縁シールドが設けられていることになる。この絶縁シールドは、磁性樹脂材料17の充填作業中に高透磁性の粉末を含有した磁性樹脂材料17が巻線4部に漏れてくることを防ぐ作用をするので、磁性樹脂材料17のそのような漏れ防止のための処理をする必要が無くなり、コイルエンド部など余ったスペースを容易に有効に活用することができるようになる。
図3には、ティース2に巻線4が巻かれた鉄心部分10をほぼ円筒形の内径治具20上に配列してV字型の間隙9を有する固定子鉄心3を組み上げた状態を概略断面図で示してある。鉄心部分10は、このように鉄心部分10の内径部分にくさび状の内径治具20を押し当てた状態で、内径基準で鉄心部分10を保持して組み立てられる。次に巻線4とその周辺部分のみを非磁性の高耐熱性かつ熱硬化性の非磁性樹脂材料18でモールドし、内径形状を確保する。その後、鉄心部分10の外周側からV字型の間隙9に対して磁性樹脂材料17を充填して硬化させる。この磁性樹脂材料17は非高耐熱樹脂18の軟化温度より低温で硬化する鉄粉などの磁性粉入り樹脂材料である。この様な非磁性樹脂材料18によるモールドを設けることにより、固定子鉄心3のより真円に近い形状の維持が可能になる。また、磁性樹脂材料17の注入充填作業時には巻線4のあるスロット部は、既に非磁性樹脂材料18によって充填されているため、巻線4部へ磁性樹脂材料が漏れ出すことがなく、充填作業が容易になる。また、磁性粉入りの樹脂だけで保持されていた鉄心同士をより強い結合で保持することもできる。
図4に於いては、このようにして非磁性樹脂材料18および磁性樹脂材料17によって被覆されモールドされた固定子鉄心3の外周面に焼き嵌めフレーム21を設けた状態を示してある。このように磁性粉入りの磁性樹脂材料17を分割部のV字型の間隙9内に充填した後、固定子鉄心3の外周をフレーム21で焼バメを行う。このようにすると間隙9に充填した磁性樹脂材料17に加わる力は主として圧縮方向のため、磁性樹脂材料17が破壊したりすることなく固定子鉄心3の剛性を高めることができる。
このようにこの実施の形態によれば、環状のヨーク1およびヨーク1から径方向内側に延びたティース2を持つ固定子鉄心3が、複数の鉄心部分10により構成されている。鉄心部分10はそれぞれ一つのティース2を持ち、鉄心部分10のヨークセグメント11の傾斜端面8が対向して間にV字型の間隙9を有するように配置され、全体として円筒形の固定子鉄心3を形成している。ヨークセグメント11間のV字型間隙9には磁性樹脂材料17が充填されていて、ヨークセグメント11を互いに磁気的および機械的に結合している。
また、固定子鉄心3のヨークセグメント11の可動子移動方向に見て両側面14および内外面12、13のうちの少なくとも一面が、磁性樹脂材料17で被覆されている。更に固定子鉄心3のヨークセグメント11の両側面14および内外面12、13のうちの磁性樹脂材料17で被覆されていない面が、非磁性樹脂材料18によって被覆されている。
このように本発明では、例えば固定子鉄心3の積層板の打ち抜き作業時の工作誤差のばらつきによる寸法形状の誤差による磁気特性に対する悪影響が少ない。このため、ヨークセグメント11間の間隙9を余裕を持って大きく設定しておいても接合部の工作精度が低くても磁気特性を損ねることがなく、また、部品間の位置精度も高めることもできる。
また、分割部の結合は、分割間隙の樹脂結合だけでなく固定子鉄心の軸方向両端および内外周部の4面を樹脂で覆うことにより、より強い強度で結合することができる。また、樹脂の充填経路としては、コア端面(コイルエンド側)の他にコア内外径の側面からも充填可能なことから、間隙が細長くなる積厚の長い鉄心や接着剤や高透磁性の粉末を含有した粘性の高い樹脂でも容易に充填することができる。このような樹脂材料による充填および被覆作業は図示してない適当な治具あるいはモールド型を使用して行うことができる。
このとき高透磁性の粉末は、通常、鉄分など熱伝導性の高い材料であるため、それを含有した樹脂をコアバックのコイルエンド部の空き領域により充填することによりコア−コイル間、コア−フレーム間の熱伝導性が大幅に向上する。また、高透磁性の磁性材料の粉末を含有した樹脂でコアバック部のコイルエンド側の空き領域など3次元磁路として有効に活用することができ、自由度のある磁気設計が可能となる。
本発明の構成として、間隙9の形状寸法および高透磁性の粉末を含有した磁性樹脂材料17の透磁率は、磁性樹脂材料17を充填した間隙9の磁気抵抗が磁性樹脂材料17を充填してない間隙9(空隙)の磁気抵抗に比べて十分小さくなるように設定することが望ましい。
図5は磁気設計の具体的手法を説明する模式図であり、例えば、V字形状の間隙を分かりやすく図5に示すように平行の間隙a1、その公差±Δa1で分割した固定子鉄心を考えたとき、永久磁石磁束が空隙、ティースと鎖交する磁路c1において、その部分の磁気抵抗の大きさは、
Rb+Rs+Ra+Rs+Rb (1)
となる。
Rb+Rs+Ra+Rs+Rb (1)
となる。
一般的にコアの磁気抵抗Rsは、空隙の磁気抵抗Rbに比べて、十分小さいことからコアの磁気抵抗Rsを無視することができる。磁気抵抗は、磁路長、透磁率、断面積で表すことができるので、
2Rb+Ra=2b1/(μo×Sb1)+(al±Δa1)/(μoμr×Sa1)
(2)
Sa1:分割部間隙2の断面積、Sb1:空隙の断面積、μo:真空中の透磁率、
μr:高透磁性の粉末を含有した樹脂の比透磁率
となる。
2Rb+Ra=2b1/(μo×Sb1)+(al±Δa1)/(μoμr×Sa1)
(2)
Sa1:分割部間隙2の断面積、Sb1:空隙の断面積、μo:真空中の透磁率、
μr:高透磁性の粉末を含有した樹脂の比透磁率
となる。
分割してない鉄心の磁気抵抗は、
2×Rb=2×(b1/μo×Sb1) (3)
である。
2×Rb=2×(b1/μo×Sb1) (3)
である。
ここで、式(2)の分割部間隙a1±Δa1ができたときの空隙長b1の見かけの増加分は、
(2/μo+Sb1)×(b1+((a1±Δa1)/2μr)×(Sb1/Sa1)) (4)
となる。
(2/μo+Sb1)×(b1+((a1±Δa1)/2μr)×(Sb1/Sa1)) (4)
となる。
したがって、空隙長b1の見かけ上のばらつきは、式(4)より
(Δa1/2μr)×(Sb1/Sa1) (5)
となる。
(Δa1/2μr)×(Sb1/Sa1) (5)
となる。
通常コギングトルクを定格トルクの1.5%以下に抑えようと考えると、空隙長b1の10分の1以下にばらつきを抑える必要があることから
(Δa1/2μr)×(Sb1/Sa1)≦(b1×0.1) (6)
となるように設計されることが望ましい。
(Δa1/2μr)×(Sb1/Sa1)≦(b1×0.1) (6)
となるように設計されることが望ましい。
ここで間隙の公差Δa1を小さく設計したとき、高い加工精度確保のためコストアップにつながる。このため式(6)の条件を満たし、高透磁性の粉末を含有した樹脂の透磁率μrは、大きく設計することが望ましい。
プレス打ち抜きで作られた積層鉄心でコアを構成する場合には、通常間隙の公差ばらつきは積層する鉄心の1/3程度は生じうる値である。したがって間隙間をあらかじめ確保しようとすると板厚の加工公差を入れると、間隙の距離は積層鉄心を構成する磁性鋼板の1/3程度以上設ける必要がある。
通常電機機器では0.35t材もしくは0.5t材を使うことが多く、この場合の積層時の公差を考慮して、間隙を確保すると、設計上は100μm〜200μm程度以上の平均的な隙間値を設定する必要がある。また、樹脂注形時の流動性確保のためにも、間隙を100μm〜200μm程度以上は確保することが望ましい。
ここで、100μm〜200μm程度の隙間を保持した場合に、磁性粉末を注入することを考える。数十ミクロンと極端に磁性粉粒系が小さい場合は、間隙を複数の磁性粉末で埋めることにある。このときの微小粒子間に樹脂が介在することから間隙の磁気抵抗低減の効果が少なくなる。
ところが、磁性粉の粒径を100μm〜200μm程度以上で間隙程度とした粉末が含まれると間隙の鉄心間を1粒の磁性粉末が挟まれ、直接磁性粉末粒子で間隙を磁気的に短絡できる個所を設けることができるので、トータルでは間隙の磁気抵抗をより低減できるという効果が得られる。
実施の形態2.
図6に本発明の別の電磁機械の固定子の固定子鉄心25を円筒形の内径治具20上に組立配置した状態を示す概略断面図である。この固定子鉄心25は、磁束があまり通らないコアバック部のティース中央部分を利用して、分割部のV字型の間隙の樹脂を充填する経路を稼ぐことにより、より充填しやすくしている。また、樹脂充填時の圧力がより内径方向へ大きく加わるため、ティース部を内径側に位置決めしやすくなる。
図6に本発明の別の電磁機械の固定子の固定子鉄心25を円筒形の内径治具20上に組立配置した状態を示す概略断面図である。この固定子鉄心25は、磁束があまり通らないコアバック部のティース中央部分を利用して、分割部のV字型の間隙の樹脂を充填する経路を稼ぐことにより、より充填しやすくしている。また、樹脂充填時の圧力がより内径方向へ大きく加わるため、ティース部を内径側に位置決めしやすくなる。
即ち、図示の例では、固定子鉄心25の鉄心部分26が、中空円筒形状のヨーク部27と、ヨーク部27の内周側に配置された複数のティース28とを備えている。間隙29はヨーク部27とティース28との間に形成されたV字型断面の軸方向に延びたものである。V字型断面の間隙29は、ヨーク部27の内周(回転子である可動子が配置される側)に設けられた複数の軸方向溝30と、この軸方向溝30内に受け入れられたティース28との間に形成されていて、図示の例では中央部で連結されて両端に向かって先細りとなる二つの脚部を持つV字型の間隙29である。このような間隙29は二つの脚部の開端が互いに連通していて、中央部の断面積が広いため充填すべき磁性樹脂材料17の注入が安定して迅速にできる。図示の例では中央部の断面積を更に拡げるために円形にくり抜いてある。
なお、以上説明した本発明は、永久磁石を用いたリニア同期モータにも同様の効果が得られることはいうまでもない。
1 ヨーク、2 ティース、3 固定子鉄心、4 巻線、5 回転軸、6 空隙、7 回転子、8 傾斜端面、9 間隙、10 鉄心部分、11 ヨークセグメント、12 外面、13 内面、14 両側面、15 中心軸、16 脚部、17 磁性樹脂材料、18 非磁性樹脂材料、20 内径治具、21 フレーム、25 固定子鉄心、26 鉄心部分、27 ヨーク部、28 ティース、29 間隙、30 軸方向溝、a1 間隙長、b1 空隙長、c1 磁路、Rb 磁気抵抗、Rs 磁気抵抗、Δa1 公差、μr 透磁率。
Claims (14)
- ヨークおよびヨークから可動子側に向かって延びたティースを持つ固定子鉄心と、上記ティースに巻かれた巻線とを備えた電磁機械の固定子に於いて、
上記固定子鉄心は、間にV字型断面の間隙を形成するように配列された複数の鉄心部分により構成され、
上記間隙には磁性樹脂材料が充填されて上記鉄心部分間が磁気的に結合されていることを特徴とする電磁機械の固定子。 - 上記巻線の磁界と相互作用して推力を発生させる永久磁石を備え、
上記間隙に上記磁性樹脂材料が充填された場合の上記複数のヨークセグメント間の磁気抵抗が、上記間隙が空隙の場合の上記複数のヨークセグメント間の磁気抵抗より小さいことを特徴とする請求項1に記載の電磁機械の固定子。 - 上記ヨークと上記ティースと分割部間隙の断面積Sa1、上記隙間の製造バラツキΔa1、上記磁性樹脂材料の透磁率μr、上記固定子鉄心と上記永久磁石との間の空隙距離b1、および断面積Sb1の関係が次式を満たすことを特徴とする請求項2に記載の電磁機械の固定子。
(Δa1/2μr)×(Sb1/Sa1)≦(b1×0.1) - 上記鉄心部分の各々が、一つの上記ティースを有するように周方向に複数個に分割された環状のヨーク部を備え、上記間隙は、上記ヨーク部間に形成されて径方向外向きに開いたV字型断面の軸方向に延びた間隙であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁機械の固定子。
- 上記鉄心部分が、環状のヨーク部と、上記ヨーク部の内周側に配置された複数のティースとを備え、上記間隙は、上記ヨーク部と上記ティースとの間に形成されたV字型断面の軸方向に延びた間隙であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁機械の固定子。
- 上記V字型断面の間隙が、上記ヨーク部の内周の軸方向溝と、この軸方向溝内に受け入れられた上記ティースとの間に形成され、互いに開端で連通した2つのV字型断面の間隙であることを特徴とする請求項5に記載の電磁機械の固定子。
- 上記固定子鉄心の軸方向両端面および内外周面のうちの少なくとも一面が、上記磁性樹脂材料で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電磁機械の固定子。
- 上記固定子鉄心の軸方向両端面および内外周面のうちの上記磁性樹脂材料で被覆されていない面が、非磁性樹脂材料で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電磁機械の固定子。
- 上記磁性樹脂材料は、鉄の粉末を含有したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電磁機械の固定子。
- 上記ヨークは積層板で構成され、上記鉄の粉末には、上記積層板の一枚の板の厚みの1/3以上の粒径の粉末も含まれることを特徴とする請求項9に記載の電磁機械の固定子。
- 上記ティースに巻かれた上記巻線に上記非磁性樹脂材料による絶縁シールドが設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電磁機械の固定子。
- 環状のヨークおよびヨークから径方向内側に延びたティースを持つ固定子鉄心と、上記ティースに巻かれた巻線とを備えた回転電機の固定子を製造するために、
間にV字型断面の間隙を形成するように内径治具上に複数の鉄心部分を配列し、
上記間隙内に磁性樹脂材料を充填されて上記鉄心部分間を磁気的に結合することを特徴とする電磁機械の固定子の製造方法。 - 上記間隙に上記磁性樹脂材料を充填する前に、上記ティースに巻かれた巻線を非磁性樹脂材料によって被覆することを特徴とする請求項12記載の電磁機械の固定子の製造方法。
- 上記磁性樹脂充填後に固定子外周をフレームで焼嵌めすることを特徴とする請求項12あるいは13記載の電磁機械の固定子の製造方法。
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2006
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CN114421659A (zh) * | 2022-01-26 | 2022-04-29 | 丽水方德智驱应用技术研究院有限公司 | 一种适配温区分布特点的定子及扁线电机 |
CN114421659B (zh) * | 2022-01-26 | 2023-10-27 | 丽水方德智驱应用技术研究院有限公司 | 一种适配温区分布特点的定子及扁线电机 |
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