JP2007322277A - 永久磁石型動電式振動発生機 - Google Patents

Abstract

【課題】 波形歪みの更なる低減を可能にした永久磁石型動電式振動発生機を提供する。
【解決手段】 永久磁石型動電式振動発生機は、第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２とを連通させているので、静止時において可動部５を中立位置に保持することができ、可動部への被振動体の搭載最大能力が向上する。さらに、駆動コイル７とヨーク２との間の空隙を封鎖する磁性流体１０がコイル挿通孔３内に充填されているので、可動部５の高速振動時に、駆動コイル７が、コイル挿通孔３を形成するための壁面に接触することがなく、極めてスムーズに可動部５を振動させることができる。さらに、同圧の第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２と間に設けられたコイル挿通孔３をシールするように磁性流体１０を配置させているので、磁性流体１０は、駆動コイル７の高速振動によっても飛散し難く、高いシール性を保持させ続けることができる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、振動解析、異音解析、耐久試験などに利用される動電式振動発生機に関するものである。

従来、このような分野の技術として、特開平６−３２３９５０号公報がある。この公報に記載された動電式振動発生機は、可動部のテーブルに固定された脚部の下端側に駆動コイルが固定され、この駆動コイルは、永久磁石とヨーク（継鉄）とで形成された磁気回路を横切るように設けられたコイル挿通孔内に配置されている。そして、可動部の案内軸は、ヨークの中央に固定された静圧軸受によって軸支されている。さらに、カバーにより脚部が包囲され、脚部に設けられた開口部を介して可動部内とカバー内を連通させ、ヨーク内に設けられた圧縮空気室と可動部内とをコイル挿通孔を介して連通させている。従って、カバーに設けられた圧縮空気供給管から圧縮空気を供給することにより、可動部を所定の空気圧力で保持することができるので、波形歪みの低減が可能になる。

特開平６−３２３９５０号公報

しかしながら、前述した従来の動電式振動発生機には、次のような課題が存在している。すなわち、ヨーク内の圧縮空気室と可動部内の圧縮空気室とをコイル挿通孔を介して連通させているので、圧縮空気室間を確実に連通させ難く、しかも、駆動コイルがコイル挿通孔内に単に挿入されているだけなので、可動部の高速振動時に駆動コイルが、コイル挿通孔を形成するための壁面に接触する可能性があり、これにより振動損失を発生させる虞がある。従って、従来の振動発生機では、可動部を大きな振幅で振動させると、上記した要因により波形歪みを発生させてしまうといった問題点がある。

本発明は、波形歪みの更なる低減を可能にした永久磁石型動電式振動発生機を提供することを目的とする。

本発明に係る永久磁石型動電式振動発生機は、可動部に設けられた駆動コイルは、永久磁石とヨークとで形成された磁気回路を横切るように配置されると共に、ヨークに設けられたコイル挿通孔内に配置されている動電式振動発生機において、
ヨークと永久磁石とで画成されると共に、可動部の端部が露出された第１の圧縮空気室と、可動部内に形成された第２の圧縮空気室と、コイル挿通孔内に充填されて、駆動コイルとヨークとの間の空隙を封鎖する磁性流体と、ヨークに設けられて、第１の圧縮空気室と第２の圧縮空気室とを連通させる連通路と、を備えたことを特徴とする。

この永久磁石型動電式振動発生機においては、第１の圧縮空気室と第２の圧縮空気室とを連通させ一体感を持たせ、この第１と第２の圧縮空気室に圧縮空気を供給することのより、静止時において可動部に載置する被振動体の荷重に対して、可動部を中立位置に保持することができる。
そして、連通路をヨークに設けることで、圧縮空気室間を確実に連通させることができ、その結果として、圧縮空気室の容積の実質的な増大を確実なものとし、可動部が振動する際の圧縮空気室内の圧力変化を極めて小さくすることができる。このことは、波形歪みの更なる低減を可能にするものである。さらに、駆動コイルとヨークとの間の空隙を封鎖する磁性流体がコイル挿通孔内に充填されているので、可動部の高速振動時に、駆動コイルが、コイル挿通孔を形成するための壁面に接触することがなく、極めてスムーズに可動部を振動させることができる。さらに、同圧の第１の圧縮空気室と第２の圧縮空気室と間に設けられたコイル挿通孔をシールするように磁性流体を配置させているので、磁性流体は、駆動コイルの高速振動によっても飛散し難く、高いシール性を保持させ続けることができる。

また、可動部は、振動軸線に対して直交する方向に延在する板バネによって弾発的に保持されていると好適である。このような構成は、波形歪みの更なる低減に寄与している。

また、駆動コイルは、上端が閉鎖され且つ底部が開放されたカップ状の可動部の下端側に固定され、磁気回路の途中に永久磁石が配置され、駆動コイルは環状に形成されたコイル挿通孔内に配置され、第１の圧縮空気室は振動軸線を中心に環状に形成され、ヨークには、第１の圧縮空気室に連通する圧縮空気供給管が固定されていると好適である。このことによって、シンプルな構成もって圧縮空気室の拡大を容易にし、波形歪みが極めて少ないバランスの良い振動を可能にしている。

本発明によれば、第１の圧縮空気室と第２の圧縮空気室とを連通させて一体化しているので、この第１と第２の圧縮空気室の空気圧により、静止時において被振動体を可動部に載置した際、この可動部を中立位置に保持することができ、可動部の変位を最小にすることができるので、波形歪みの更なる低減を可能にしている。

以下、図面を参照しつつ本発明に係る永久磁石型動電式振動発生機の好適な実施形態について詳細に説明する。

図１に示すように、永久磁石型動電式振動発生機１の下部には、磁気回路Ｐを構成するヨーク（継鉄）２及び永久磁石４が配置され、上部にはカップ状の可動部５が配置されている。ヨーク２は、中央に配置したブロック状の第１のヨーク部２Ａと、側方に位置するボックス状の第２のヨーク部２Ｂとからなり、第２のヨーク部２Ｂは、平坦な底部２ａと、底部２ａの端部から立設する外周部２ｂと、外周部２ｂの上端から第１のヨーク部２Ａの周面に向けて延在する上部２ｃとからなる。

そして、中央に配置した第１のヨーク部２Ａの周面と、周囲に配置した第２のヨーク部２Ｂの上部２ｃの遊端との間を離間させることで、環状のコイル挿通孔３を形成し、ブロック状の第１のヨーク部２Ａの底面と第２のヨーク部２Ｂの底部２ａの上面とで永久磁石４を挟み込むことで、矢印で示されるような磁気回路Ｐが形成される。

さらに、磁気回路Ｐの途中に配置された永久磁石４とヨーク２とで第１の圧縮空気室Ｓ１が画成され、第１の圧縮空気室Ｓ１は、振動軸線Ｌを中心に環状に形成されている。そして、ヨーク２の外周部２ｂには、第１の圧縮空気室Ｓ１に連通する圧縮空気供給管６が固定され、この圧縮空気供給管６は、図示しないコンプレッサに接続され、圧縮空気供給管６の途中には、空気圧調整のためのバルブ８が設けられている。

さらに、振動発生機１の上部に配置したカップ状の可動部５は、上端が閉鎖され且つ底部が開放され、可動部５内は第２の圧縮空気室Ｓ２として形成されている。この可動部５の円筒状脚部５ａの下端側に固定された駆動コイル７は、振動軸線Ｌを中心に筒状に巻回されると共に、環状のコイル挿通孔３内に配置されている。駆動コイル７をこの位置に配置させることで、駆動コイル７は磁気回路Ｐを横切るように配置され、駆動コイル７に交流の電流を流すことで、可動部５を、所定の周波数で振動させることができる。

さらに、コイル挿通孔３内には磁性流体１０が充填され、この磁性流体１０によって、駆動コイル７と第１のヨーク部２Ａとの間の空隙を封鎖している。そして、中央の第１のヨーク部２Ａには、第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２とを連通させるためのＬ字状の連通路９が形成されている。なお、第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２との連通状態は、連通路９の径を変えることで適宜調整可能であり、第１及び第２の圧縮空気室Ｓ１，Ｓ２内の圧力は、コンプレッサから供給される圧縮空気により、適宜調整可能になっている。

このようにして、第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２とを連通させ、この第１と第２の圧縮空気室Ｓ１、Ｓ２へのコンプレッサから供給される圧縮空気によって、静止時において可動部５に生じる被振動体の荷重を第１と第２の圧縮空気室Ｓ１、Ｓ２により吸収することができ、可動部５を中立位置に保持することができる。
すなわち、静止時において、可動部５へ被振動体１５を搭載する際、被振動体１５の重量が大であっても、コンプレッサから供給される圧縮空気により第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２で被振動体１５の荷重を吸収し、静止時において可動部５の変位を最小にでき、その為、可動部５への被振動体１５の搭載能力が向上する。
さらに、ヨーク２に連通路９を設けることで、圧縮空気室Ｓ１，Ｓ２間を確実に連通させることができ、その結果として、圧縮空気室Ｓ１，Ｓ２の容積の実質的な増大を確実なものとし、可動部５が振動する際の圧縮空気室Ｓ１，Ｓ２内の圧力変化を極めて小さくすることができる。このことは、波形歪みの更なる低減を可能にするものである。

さらに、駆動コイル７とヨーク２との間の空隙を封鎖する磁性流体１０がコイル挿通孔３内に充填されているので、可動部５の高速振動時に、駆動コイル７が、コイル挿通孔３を形成する壁面に接触することがなく、極めてスムーズに可動部５を振動させることができる。さらに、同圧の第１の圧縮空気室Ｓ１と第２の圧縮空気室Ｓ２と間に設けられたコイル挿通孔３をシールするように磁性流体１０を配置させているので、磁性流体１０は、駆動コイル７の高速振動によっても飛散し難く、高いシール性を保持させ続けることができる。さらに、この振動発生機１は、シンプルな構成もって圧縮空気室の拡大を容易にし、波形歪みが極めて少ないバランスの良い振動が可能になっている。

さらに、可動部５の振動を安定させて波形歪み更なる低減を可能にするために、可動部５は上下２段の板バネ１１，１２によって振動軸線Ｌ方向に弾発的に保持され、振動軸線Ｌに対して直交する方向に延在するドーナツ形状の板バネ１１，１２は、ヨーク２に固定されたカバー１３によって包囲されている。各板バネ１１，１２は、カバー１３と第２のヨーク部２Ｂの上部２ｃとの間には、３分割されたスペーサ１４が立設され、内端が可動部５の外周面に固定された上段側の板バネ１１と下段側の板バネ１２との間隔は、スペーサ１４によって一定に保たれている。そして、被振動体１５を配置させるために、カバー１３の中央の開口から可動部５の頂部を露出させている。
その上、可動部５は板バネ１１、１２以外に余分な部材により固定部側に保持されていないので、可動部５の強度が上がるとともに、可動部５の密閉性が向上し、圧縮空気による可動部５の保持が向上する。

図２に示す振動発生機は、図1に示す振動発生機と同様な構成であるが、圧縮空気供給管６は、直接、第２の圧縮空気室Ｓ２とを連通させるためのＬ字状の連通路９が形成されて、第２の圧縮空気室Ｓ２にコンプレッサから圧縮空気を供給している。
そして、第１の圧縮空気室Ｓ３は、図1に示した圧縮空気室Ｓ１の駆動コイル７の下部にカラー１６とヨーク２とで形成されている。
この第１の圧縮空気室Ｓ３は、図1に示す実施例とは異なり、第２の圧縮空気室Ｓ２を介して圧縮空気が供給されている。
このようにして、第１の圧縮空気室Ｓ３と第２の圧縮空気室Ｓ２とを連通させているので、コンプレッサから供給される圧縮空気によって、静止時において可動部５を中立位置に保持することができる。その為、静止時において、可動部５へ被振動体１５を載置する際、被振動体１５の重量が大であっても、コンプレッサから供給される圧縮空気により第１の圧縮空気室Ｓ３と第２の圧縮空気室Ｓ２で被振動体１５の重量を吸収することができ、被振動体１５を載置した際の可動部５の変位を最小にでき、可動部５への被振動体１５の搭載能力が向上する。

本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、板バネの段数は、１段以上あればよく、バネ定数によって適宜選択される。また、圧縮空気室Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３内の圧力は、振動数や圧縮空気室Ｓ１，Ｓ２の容積によって適宜変更されることは言うまでもない。

本発明に係る永久磁石型動電式振動発生機の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る永久磁石型動電式振動発生機の他の実施形態を示す断面図である。

符号の説明

１…永久磁石型動電式振動発生機
２…ヨーク
３…コイル挿通孔
４…永久磁石
５…可動部
６…圧縮空気供給管
７…駆動コイル
９…連通路
１０…磁性流体
１１，１２…、板バネ
Ｓ１，Ｓ３…第１の圧縮空気室
Ｓ２…第２の圧縮空気室
Ｌ…振動軸線
Ｐ…磁気回路

Claims (3)

1. 可動部に設けられた駆動コイルは、永久磁石とヨークとで形成された磁気回路を横切るように配置されると共に、前記ヨークに設けられたコイル挿通孔内に配置されている動電式振動発生機において、
   前記ヨークと前記永久磁石とで画成されると共に、前記可動部の端部が露出された第１の圧縮空気室と、
   前記可動部内に形成された第２の圧縮空気室と、
   前記コイル挿通孔内に充填されて、前記駆動コイルと前記ヨークとの間の空隙を封鎖する磁性流体と、
   前記ヨークに設けられて、前記第１の圧縮空気室と前記第２の圧縮空気室とを連通させる連通路と、を備えたことを特徴とする永久磁石型動電式振動発生機。
2. 前記可動部は、振動軸線に対して直交する方向に延在する板バネによって弾発的に保持されていることを特徴とする請求項１記載の永久磁石型動電式振動発生機。
3. 前記駆動コイルは、上端が閉鎖され且つ底部が開放されたカップ状の前記可動部の下端側に固定され、前記磁気回路の途中に前記永久磁石が配置され、前記駆動コイルは環状に形成された前記コイル挿通孔内に配置され、前記第１の圧縮空気室は前記振動軸線を中心に環状に形成され、前記ヨークには、第１の圧縮空気室に連通する圧縮空気供給管が固定されていることを特徴とする請求項１又は２記載の永久磁石型動電式振動発生機。
   
   

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