JP2007322144A - 回転角度検出装置およびそれを備える電動パワーステアリング装置 - Google Patents

回転角度検出装置およびそれを備える電動パワーステアリング装置 Download PDF

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幹彦 水野
Takashi Asano
貴嗣 浅野
Yutaka Murakoshi
豊 村越
Toshio Takano
寿男 高野
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Abstract

【課題】電動パワーステアリング装置に適用することができる安価かつ高精度の回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置のステアリングシャフト102にレゾルバ30を取り付ける。レゾルバ30は、ステータハウジング31に固定された輪状ステータ32と回転軸部材34に固定された輪状ロータ33とを備える。輪状ロータ33は、位置によって透磁率μが変化するように、磁性体によって作製される。ステータハウジング31と回転軸部材34とは、ねじ部36によって螺接される。これにより、回転軸部材34は、回転に伴って上下に移動する。その結果、回転に伴って輪状ロータ33のうち輪状ステータ32と対向している部分の透磁率μが変化する。これにより、レゾルバ30から出力される角度信号Kの電圧レベルが変化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多回転の絶対角度を検出するための回転角度検出装置およびそれを備える電動パワーステアリング装置に関する。
従来より、角度を検出するためのセンサとしてレゾルバが知られている。レゾルバは、例えば電動パワーステアリング装置において、ブラシレスモータのロータの回転位置の検出やインプットシャフトおよびアウトプットシャフトの回転角度に基づく操舵トルク、操舵角の検出に用いられている。ところが、多回転の絶対角度を検出するためには、回転数を検出するためのセンサを備える構成あるいは2個のレゾルバを備える構成にしなければならなかった。そこで、ステータとロータとを含むようにして形成される磁気回路の磁気抵抗を回転に応じて変化させ(レゾルバから出力される)角度信号の電圧レベルを変化させることにより絶対角度を検出するバリアブルリラクタンス型のレゾルバの発明が、特許文献1および特許文献2に開示されている。
図7は、従来のバリアブルリラクタンス型のレゾルバ38の構成を示す断面図である。なお、図7には、レゾルバ38が電動パワーステアリング装置に用いられている例を示している。このレゾルバ38は、ステータハウジング31と輪状ステータ32と輪状ロータ39と回転軸部材34とを備えている。輪状ステータ32はステータハウジング31に固定され、輪状ロータ39は回転軸部材34に固定されている。また、輪状ステータ32と輪状ロータ39とは対向している。輪状ステータ32は巻線を有しているが、輪状ロータ39は巻線を有しておらず磁性体で構成されている。
電動パワーステアリング装置のステアリングシャフト102にはキー103が設けられ、レゾルバ38の回転軸部材34にはキー溝35が設けられている。回転軸部材34のキー溝35は、摺動自在にステアリングシャフト102のキー103に遊嵌されている。また、回転軸200を中心にステアリングシャフト102の回転とともに回転軸部材34が回転するようになっている。ここで、ステータハウジング31と回転軸部材34とは、ねじ部36によって螺接されている。これにより、回転軸部材34は、回転に伴って上下に移動する。
図8は、図7に示す従来のレゾルバ38の動作について説明するための図である。上述したように、回転軸部材34は、回転に伴って上下に移動する。このため、例えば、ハンドルの操舵角(絶対角度)が零度の時に図8(a)に示すような(輪状ステータ32と輪状ロータ39との)位置関係にあったものが、ハンドルが回転することによって図8(b)に示すような位置関係となる。
上述したように輪状ロータ39は磁性体で構成されており、輪状ステータ32と輪状ロータ39との対向する面積(以下、「対向面積」という。)によって磁気抵抗が変化する。より詳しくは、図8(a)に示すように対向面積が大きい時には磁気抵抗が低くなり、図8(b)に示すように対向面積が小さい時には磁気抵抗が高くなる。このように、回転軸部材34の回転に応じて磁気抵抗が変化し、その変化に伴って、レゾルバ38から出力される角度信号の電圧レベルが変化する。これにより、その電圧レベルに基づいて回転数が検出され、絶対角度が求められている。
また、図7に示した構成において、輪状ロータの形状をテーパ状にしたレゾルバもある。このレゾルバでは、回転軸部材34の回転に応じて対向面積が変化するだけではなく、輪状ステータ32と輪状ロータ39との隙間の距離(以下、「隙間距離」という。)が変化する。これにより、対向面積と隙間距離とに基づいて角度信号の電圧レベルが変化し、その電圧レベルに基づいて回転数が検出され、絶対角度が求められている。
特開2003−202243号公報 特開2003−202244号公報
ところが、図7に示した従来のレゾルバによると、レゾルバ38から出力される角度信号の電圧レベルは上述の対向面積に依存する。その対向面積は、輪状ロータ33が固定されている回転軸部材34の上下移動に依存する。また、回転軸部材34は、ねじ部36が設けられることによって上下移動している。以上より、レゾルバ38から出力される角度信号の電圧レベルは、ねじピッチのみにしたがって決まることになる。このため、角度信号の電圧レベルの調整が難しく、検出精度が十分であるとは言えない。また、輪状ロータの形状をテーパ状にしたレゾルバについても、電圧レベルの調整が容易であるとは言えない。さらに、コストの点についても、電動パワーステアリング全体としての低コスト化が従来より課題となっている。
そこで、本発明では、電動パワーステアリング装置に適用することができる安価かつ高精度の回転角度検出装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、所定の回転軸を中心に回転自在に構成された輪状ロータと前記輪状ロータの外側に設けられた輪状ステータとを備えたバリアブルリラクタンス型レゾルバ式の回転角度検出装置であって、
前記輪状ロータは、回転に伴って前記所定の回転軸方向に移動することによって前記輪状ステータと対向する部分が変化するように構成され、かつ、透磁率が前記所定の回転軸方向に変化するように構成され、
前記輪状ステータでは、前記輪状ロータのうち前記輪状ステータと対向する部分と前記輪状ステータとを含む所定の磁気回路の単位時間当たりの磁束の変化量に応じた電圧信号が生成されることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記輪状ロータは、磁性粉末を含有させた部材によって構成されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、
前記輪状ロータは、透磁率の異なる複数の珪素鋼板を積層することによって構成されていることを特徴とする。
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記輪状ロータは、透磁率が前記所定の回転軸方向に線形に増加または線形に減少するように構成されていることを特徴とする。
第5の発明は、トーションバーによって連結された第1のシャフトと第2のシャフトとからなるステアリングシャフトを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記第1のシャフトまたは前記第2のシャフトの回転角度を検出する、第1から第4までのいずれかの発明に係る回転角度検出装置を備えることを特徴とする。
第6の発明は、トーションバーによって連結された第1のシャフトと第2のシャフトとからなるステアリングシャフトを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトのそれぞれに第1から第4までのいずれかの発明に係る回転角度検出装置を備え、当該回転角度検出装置によって検出された前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトの回転角度に基づき操舵トルクおよび操舵角を検出することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、回転角度検出装置の輪状ロータは、その透磁率が(輪状ロータの回転軸方向について)一端ほど低く他端ほど高くなるように構成されている。また、輪状ロータは回転に伴って所定の回転軸方向に移動し、輪状ステータと輪状ロータとが対向する部分が変化する。ここで、バリアブルリラクタンス型レゾルバ式の回転角度検出装置では、角度信号の電圧レベルは、輪状ステータと輪状ロータとを含むようにして形成される磁気回路の磁気抵抗に依存する。また、磁気抵抗は輪状ロータの透磁率に依存する。本発明では、透磁率が変化するように構成されている輪状ロータが回転に伴って回転軸方向に移動するので、回転に応じて、輪状ロータのうち輪状ステータと対向している部分の透磁率が変化する。そして、その透磁率の変化に伴って磁気抵抗が変化するので角度信号の電圧レベルも変化する。逆に言えば、輪状ロータを作製するときに透磁率を調整することにより、角度信号の電圧レベルを調整することができる。このため、角度信号の電圧レベルを容易に調整することができ、多回転の絶対角度の検出精度が向上する。
上記第2の発明によれば、輪状ロータは磁性粉末を含有する部材によって構成されているところ、磁性粉末は粉状であるため、透磁率の変化を細かく調整することができる。このため、角度信号の電圧レベルをより細かく調整することができ、多回転の絶対角度の検出精度がより向上する。
上記第3の発明によれば、輪状ロータは珪素鋼板で構成されている。珪素鋼板は板状であるため、透磁率の異なる複数の珪素鋼板を積層することによって、所定の回転軸方向に透磁率が変化するように構成される輪状ロータを容易に実現することができる。
上記第4の発明によれば、輪状ロータの移動に伴う透磁率の変化が線形なものとなる。このため、輪状ロータの移動に伴う角度信号の電圧レベルの変化についても線形なものとなる。これにより、多回転の絶対角度の検出精度をより向上させることができる。
上記第5の発明によれば、電動パワーステアリング装置において、シャフトの回転角度が高い精度で検出される。これにより、例えば、ハンドルの操舵角を高い精度で検出することができる。
上記第6の発明によれば、ハンドルの操舵角を高い精度で検出することができる。このため、操舵フィーリングを良くすることができる。また、この回転角度検出装置によってハンドル操作による操舵トルクの検出が行われる。このため、電動パワーステアリング装置全体で必要な部品が削減され、コストが低減する。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
<1.レゾルバの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るバリアブルリラクタンス型レゾルバ式の回転角度検出装置(以下、「レゾルバ」という。)30の構成を示す断面図である。このレゾルバ30は、ステータハウジング31と輪状ステータ32と輪状ロータ33と回転軸部材34とを備えている。輪状ステータ32はステータハウジング31に固定され、輪状ロータ33は回転軸部材34に固定されている。また、輪状ステータ32と輪状ロータ33とは対向している。
本実施形態では、このレゾルバ30は、電動パワーステアリング装置のステアリングシャフト102に取り付けられる。ステアリングシャフト102は、その一端がハンドルに固着されている。図1に示すように、電動パワーステアリング装置のステアリングシャフト102にはキー103が設けられ、レゾルバ38の回転軸部材34にはキー溝35が設けられている。回転軸部材34のキー溝35は、摺動自在にステアリングシャフト102のキー103に遊嵌されている。また、回転軸200を中心にステアリングシャフト102の回転とともに回転軸部材34が回転するようになっている。ここで、ステータハウジング31と回転軸部材34とは、ねじ部36によって螺接されている。これにより、回転軸部材34は、回転に伴って上下に移動する。以上より、ハンドルが回転することによって、輪状ステータ32と輪状ロータ33との相対的な位置関係が変化する。
輪状ステータ32は、外部から励磁信号が与えられる巻線(以下、「励磁巻線」という。)と、(回転角度と電圧との関係に着目したときに)絶対角度の零度を基準として正弦曲線状の電圧が誘起されるように構成された巻線(以下、「sin巻線」という。)と、絶対角度の零度を基準として余弦曲線状の電圧が誘起されるように構成された巻線(以下、「cos巻線」という。)とを有している。一方、輪状ロータ33は巻線を有していない。輪状ロータ33は後述するように磁性体によって構成され、回転角度に応じて輪状ステータ32と輪状ロータ33との空隙が変化するように構成されている。このように、本実施形態に係るレゾルバ30は、バリアブルリラクタンス(可変磁気抵抗)型と呼ばれる構成となっている。
図2は、本実施形態における輪状ロータ33の構成を示す模式図である。輪状ロータ33は磁性体によって構成されているところ、図2に示すように、回転軸方向に一端(図2では下)から他端(図2では上)にいくにしたがい透磁率が漸増するように磁性粉末が埋め込まれている。ここで、磁性体に含まれる磁性粉末が多いほど透磁率が高くなる。従って、図2に示す例では、回転軸方向に下から上にいくほど磁性体に含まれる磁性粉末の量が多くなっている。
<2.絶対角度の検出>
次に、本実施形態に係るレゾルバ30での絶対角度の検出について説明する。外部から励磁巻線に励磁信号が与えられると、起磁力が生じ、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含むようにして磁気回路が形成される。このとき、励磁信号の電流をI、励磁巻線の巻数をN、磁気回路における磁気抵抗をR、磁気回路に生じる磁束をφとすると、次式(1)が成立する。
I×N=R×φ ・・・(1)
一方、輪状ステータ32では、磁束変化の時間微分に応じて、sin巻線およびcos巻線に電圧が誘起される。
ここで、励磁巻線には交流の励磁信号が与えられる。巻数Nは一定であるので、仮に磁気抵抗Rが一定であれば、式(1)より、励磁信号の電流Iの変化に応じて磁束φは変化する。ところが、バリアブルリラクタンス型のレゾルバでは、上述のように、回転することによって輪状ステータ32と輪状ロータ33との空隙が変化するように輪状ロータ33が構成されている。このため、回転に応じて輪状ステータ32と輪状ロータ33との空隙が変化し、磁気抵抗Rが変化する。従って、上記磁束φの大きさは、励磁信号の電流Iのみならず回転角度(回転位置)にも依存する。そして、励磁信号の電流Iと回転角度とに基づく磁束φの変化の時間微分に応じて、sin巻線およびcos巻線に電圧が誘起される。また、上述のとおり、sin巻線には正弦曲線状の電圧が誘起され、cos巻線には余弦曲線状の電圧が誘起される。すなわち、位相が90度ずれた2個の電圧が検出される。これらsin巻線およびcos巻線に誘起された2個の電圧によって回転角度(相対角度)が特定される。
本実施形態では、回転軸部材34の回転に伴って、輪状ステータ32と輪状ロータ33との回転軸方向の相対的な位置関係が変化する。また、上述のように、輪状ロータ33については、回転軸方向に一端(図2では下)から他端(図2では上)にいくにしたがい透磁率μが高くなるように構成されている。このため、輪状ロータ33のうち輪状ステータ32と対向している部分の透磁率μは、回転軸部材34の回転に伴って変化する。
ここで、透磁率μが大きくなれば磁気抵抗Rは小さくなり、透磁率μが小さくなれば磁気抵抗Rは大きくなる。また、磁気抵抗Rと磁束φとは反比例の関係にある。従って、磁気回路に生じる磁束φは、透磁率μが大きくなれば大きくなり、透磁率μが小さくなれば小さくなる。本実施形態のように交流の励磁信号が与えられる場合には、励磁信号に応じて磁束φが時間的に変化し、磁束φの変化量(振幅)は、透磁率μが大きくなれば大きくなり、透磁率μが小さくなれば小さくなる。その結果、sin巻線およびcos巻線に誘起される電圧(の振幅)も、同様に透磁率μに依存する。ところで、輪状ロータ33のうち輪状ステータ32と対向している部分の透磁率μは、上記のように回転軸部材34の回転に伴って変化する。従って、輪状ロータ33の回転角度が相対角度として同一であっても、絶対角度が異なれば、sin巻線およびcos巻線に誘起される電圧の大きさが異なる。すなわち、同じ相対角度であっても、例えば1回転目に誘起される電圧と2回転目に誘起される電圧とが異なる大きさとなる。また、上述のように回転による輪状ステータ32と輪状ロータ33との空隙の変化によっても誘起される電圧は変化するが、本実施形態では、sin巻線に誘起される電圧、cos巻線に誘起される電圧、およびsin巻線に誘起される電圧の2乗値とcos巻線に誘起される電圧の2乗値との和に基づいて、多回転したときの絶対角度を求めている。
<3.レゾルバの動作>
次に、図3を参照しつつ、本実施形態におけるレゾルバ30の動作について説明する。図3(a)〜(e)には、輪状ステータ32と輪状ロータ33との相対的な位置関係を示している。なお、以下において、輪状ステータ32のsin巻線に生じる電圧信号を「sin信号」といい、輪状ステータ32のcos巻線に生じる電圧信号を「cos信号」という。
図3(a)は、ハンドルの操舵角(絶対角度)が零度の時の輪状ステータ32と輪状ロータ33との位置関係を示している。この時には、輪状ロータ33の透磁率μが中程度の部分が輪状ステータ32と対向している。このため、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路の磁気抵抗Rの大きさは中程度のものとなり、磁束φの大きさは中程度の状態になる。これにより、このレゾルバ30より出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルは中程度のものとなる。
図3(a)に示す状態から右方向へハンドルの回転(1回転)が行われると、図3(b)に示すような状態となる。この時には、輪状ロータ33の透磁率μが比較的高い部分が輪状ステータ32と対向している。このため、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路の磁気抵抗Rは比較的大きくなり、磁束φは比較的大きい状態になる。これにより、このレゾルバ30より出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルは比較的高いものとなる。
図3(b)に示す状態からさらに右方向へハンドルの回転(1回転)が行われると、図3(c)に示すような状態となる。この時には、輪状ロータ33の透磁率μが最も高い部分が輪状ステータ32と対向している。このため、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路の磁気抵抗Rはさらに大きくなり、磁束φはさらに大きい状態になる。これにより、このレゾルバ30より出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルは高いものとなる。
このようにして図3(a)に示す状態から図3(c)に示す状態まで輪状ロータ33の位置が変化すると、ハンドルが右方向に最大2回転したことが絶対値で検出できる。なお、ハンドルの左右の最大回転数がN回転(上記においては「N=2」で説明)の場合には、ハンドルがN回転した時に図3(c)に示す状態に輪状ロータ33が移動する構成にすれば良い。
図3(a)に示す状態から左方向へハンドルの回転(1回転)が行われると、図3(d)に示すような状態となる。この時には、輪状ロータ33の透磁率μが比較的低い部分が輪状ステータ32と対向している。このため、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路の磁気抵抗Rは比較的小さくなり、磁束φは比較的小さい状態になる。これにより、このレゾルバ30より出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルは比較的低いものとなる。
図3(d)に示す状態からさらに左方向へハンドルの回転(1回転)が行われると、図3(e)に示すような状態となる。この時には、輪状ロータ33の透磁率μが最も低い部分が輪状ステータ32と対向している。このため、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路の磁気抵抗Rはさらに小さくなり、磁束φはさらに小さい状態になる。これにより、このレゾルバ30より出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルは低いものとなる。
このようにして図3(a)に示す状態から図3(e)に示す状態まで輪状ロータ33の位置が変化すると、ハンドルが左方向に最大2回転したことが絶対値で検出できる。なお、左方向へのハンドルの回転においても、右方向への回転と同様に、N回転の絶対回転数を検出することができる。
以上のように、ハンドルの回転に応じて、輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路に生じる磁束φの大きさが変化し、相対角度が同じであってもレゾルバ30から出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルが変化する。このため、相対角度が同じであっても、回転数が異なれば、sin信号およびcos信号の電圧レベルは異なるものとなる。例えば、ハンドルが右方向へ最大N回転することができる場合、右方向への1回転目の相対角度が30度の時の電圧レベル、2回転目の相対角度が30度の時の電圧レベル、・・・、(N−1)回転目の相対角度が30度の時の電圧レベル、N回転目の相対角度が30度の時の電圧レベルは全て異なるものとなる。また、それらの電圧レベルの大きさは、1回転目が最も小さく、N回転目が最も大きくなる。さらに、或る状態から同じ回転数だけハンドルを回転させたときであっても、右方向へ回転したときの電圧レベルと左方向へ回転したときの電圧レベルとは異なっている。以上より、レゾルバ30から出力されるsin信号およびcos信号の電圧レベルに基づいて回転方向と回転数と相対角度とが検出されるので、絶対角度を求めることができる。
<4.電動パワーステアリング装置の全体構成>
次に、上述のレゾルバ30を電動パワーステアリング装置のトルクセンサに用いた例を説明する。図4は、電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステアリング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル100に一端が固着されるステアリングシャフト102と、そのステアリングシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機構104と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出するためのトルクセンサ3と、当該車両の走行速度を検出する車速センサ4と、ハンドル操作による運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生するモータ6と、そのモータ6の発生する操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達する減速ギヤ7と、車載バッテリ8から電源の供給を受けて、トルクセンサ3および車速センサ4からのセンサ信号に基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)5とを備えている。
運転者がハンドル100を操作すると、トルクセンサ3からのセンサ信号に基づいて検出される操舵トルクおよび操舵角と車速センサ4によって検出される車速とに基づいてECU5によりモータ6が駆動される。これによりモータ6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギヤ7を介してステアリングシャフト102に加えられることにより、操舵操作による運転者の負荷が軽減される。すなわち、ハンドル操作によって加えられる操舵トルクとモータ6の発生する操舵補助力Taとの和が、出力トルクTbとして、ステアリングシャフト102を介してラックピニオン機構104に与えられる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラックピニオン機構104によってラック軸の往復運動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームからなる連結部材106を介して車輪108に連結されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の向きが変わる。
<5.トルクセンサの構成>
図5は、この電動パワーステアリング装置のトルクセンサ3の構成を模式的に示した概略図である。このトルクセンサ3は、第1のレゾルバ30aと第2のレゾルバ30bとを有している。第1のレゾルバ30aおよび第2のレゾルバ30bの詳細な構成は、図1および図2に示したとおりである。トルクセンサ3内において、ハンドル100に一端が固着された第1のシャフトとしてのステアリングシャフト(以下、「インプットシャフト」という。)102aと、ラックピニオン機構104に一端が連結された第2のシャフトとしてのステアリングシャフト(以下、「アウトプットシャフト」という。)102bとが、トーションバー102cによって接続されている。第1のレゾルバ30aは、インプットシャフト102aに設けられ、第2のレゾルバ30bは、アウトプットシャフト102bに設けられている。すなわち、第1のレゾルバ30aはインプットシャフト102aの回転角度を検出するために設けられ、第2のレゾルバ30bはアウトプットシャフト102bの回転角度を検出するために設けられている。なお、インプットシャフト102aの回転角度のうち絶対角度を符号θaで表し、アウトプットシャフト102bの回転角度のうち絶対角度を符号θbで表す。
第1のレゾルバ30aからは、インプットシャフト102aの絶対角度(以下、「第1の絶対角度」という。)θaを検出するための第1のsin信号sinθaと第1のcos信号cosθaとが出力される。第2のレゾルバ30bからは、アウトプットシャフト102bの絶対角度(以下、「第2の絶対角度」という。)θbを検出するための第2のsin信号sinθbと第2のcos信号cosθbとが出力される。ここで、ハンドル100が回転すると、トーションバー102cがねじれ、第1の絶対角度θaと第2の絶対角度θbとは異なる値となる。それらの絶対角度の差分(θa−θb)に基づいて、ハンドル100に加えられた操舵トルクが求められる。
<6.制御装置の構成>
図6は、上記電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。電動パワーステアリング装置の制御装置であるECU5は、角度検出部10と、トルク検出部11と、目標電流演算部12と、減算器14と、PI制御部15と、モータ駆動部20と、電流検出器19とを備えている。なお、ECU5の構成要素のうち角度検出部10、トルク検出部11、目標電流演算部12、減算器14、およびPI制御部15は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現される。
トルクセンサ3は、ハンドル100の操作に応じて、操舵角および操舵トルクを検出するための角度信号Kを出力する。この角度信号Kには、上述した第1のsin信号sinθa、第1のcos信号cosθa、第2のsin信号sinθb、および第2のcos信号cosθbが含まれている。角度検出部10は、角度信号Kに基づいて第1の絶対角度θaと第2の絶対角度θbとを検出し、それら出力する。トルク検出部11は、第1の絶対角度θaと第2の絶対角度θbとを受け取り、それらの差分(θa−θb)に基づいて操舵トルクを検出し、操舵トルク信号Tsとして出力する。車速センサ4は、この電動パワーステアリング装置が搭載される車両の走行速度を検出し、その検出値を示す信号を車速信号Ssとして出力する。
目標電流演算部12は、ハンドルの操舵角としての第1の絶対角度θaと操舵トルク信号Tsと車速信号Ssとに基づき目標電流値Itを設定する。電流検出器19は、モータ6に実際に供給される電流を検出し、その電流を示す電流検出値Isを出力する。減算器14は、目標電流演算部12から出力される目標電流値Itと電流検出器19から出力される電流検出値Isとの偏差(It−Is)を算出する。PI制御部15は、この偏差(It−Is)に基づき比例積分制御演算によって電圧指令値Vを生成する。モータ駆動部20は、この電圧指令値Vに基づいて、モータ6に電圧を印加する。この電圧印加によりモータ6に電流が流れ、運転者のハンドル操作を補助している。
<7.効果>
本実施形態によると、レゾルバ30の輪状ロータ33は、その透磁率μが(輪状ロータ33の)一端では低く、他端では高く、一端から他端へと漸増するように構成されている。また、レゾルバ30の輪状ロータ33が固定されている回転軸部材34は、回転に伴って上下に移動する。ここで、レゾルバ30から出力される角度信号Kの電圧レベルは輪状ステータ32と輪状ロータ33とを含む磁気回路に生じる磁束φの変化の大きさに依存するところ、磁束φの変化の大きさは輪状ロータ33のうち輪状ステータ32と対向している部分の透磁率μに依存する。本実施形態では、上述のようにレゾルバ30の回転軸部材34は回転に従って上下に移動するので、その回転に応じて、輪状ロータ33のうち輪状ステータ32と対向している部分の透磁率μが変化する。逆に言えば、輪状ロータ33を作製するときに透磁率μを調整することによって、磁束φの変化に依存する角度信号Kの電圧レベルを調整することができる。このため、角度信号Kの電圧レベルを容易に調整することができ、その結果、多回転の絶対角度の検出精度が向上する。
本実施形態における輪状ロータ33の透磁率μは、(図2において)下の方ほど低く、上の方ほど高くなっている。ここで、磁性体に含まれる磁性粉末の量を調整することによって、図2に示す透磁率μの変化が線形なものとなるように輪状ロータ33を構成することができる。透磁率μの変化が線形なものになると、回転軸部材34の移動に対する角度信号Kの電圧レベルの変化も線形なものとなる。これにより、多回転の絶対角度の検出精度がより高くなり、操舵フィーリングが向上する。
また、本実施形態によれば、電動パワーステアリング装置において、レゾルバ30は、ハンドルの操舵角を検出するだけでなく、ハンドル操作によって加えられるトルクを検出するために機能する。このため、電動パワーステアリング装置全体で必要な部品が削減され、コストが低減する。
<8.変形例>
上記実施形態においては、輪状ロータ33は磁性粉末を含有する磁性体によって構成されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。輪状ロータ33は、透磁率μの異なる複数個の珪素鋼板を積層することによって構成されても良い。
本発明の一実施形態に係るバリアブルリラクタンス型レゾルバ式の回転角度検出装置の構成を示す断面図である。 上記実施形態において、輪状ロータの構成を示す模式図である。 上記実施形態において、レゾルバの動作について説明するための図である。 上記実施形態において、電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。 上記実施形態において、電動パワーステアリング装置のトルクセンサの構成を模式的に示した概略図である。 上記実施形態において、電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図。 従来例に係るレゾルバの構成を示す断面図である。 従来例において、レゾルバの動作を説明するための図である。
符号の説明
3…トルクセンサ、4…車速センサ、5…電子制御ユニット(ECU)、6…モータ、30…レゾルバ式の回転角度検出装置、30a…第1のレゾルバ、30b…第2のレゾルバ、31…ステータハウジング、32…輪状ステータ、33…輪状ロータ、34…回転軸部材、35…キー溝、102…ステアリングシャフト、102a…インプットシャフト、102b…アウトプットシャフト、102c…トーションバー、200…回転軸

Claims (6)

  1. 所定の回転軸を中心に回転自在に構成された輪状ロータと前記輪状ロータの外側に設けられた輪状ステータとを備えたバリアブルリラクタンス型レゾルバ式の回転角度検出装置であって、
    前記輪状ロータは、回転に伴って前記所定の回転軸方向に移動することによって前記輪状ステータと対向する部分が変化するように構成され、かつ、透磁率が前記所定の回転軸方向に変化するように構成され、
    前記輪状ステータでは、前記輪状ロータのうち前記輪状ステータと対向する部分と前記輪状ステータとを含む所定の磁気回路の単位時間当たりの磁束の変化量に応じた電圧信号が生成されることを特徴とする、回転角度検出装置。
  2. 前記輪状ロータは、磁性粉末を含有させた部材によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回転角度検出装置。
  3. 前記輪状ロータは、透磁率の異なる複数の珪素鋼板を積層することによって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回転角度検出装置。
  4. 前記輪状ロータは、透磁率が前記所定の回転軸方向に線形に増加または線形に減少するように構成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の回転角度検出装置。
  5. トーションバーによって連結された第1のシャフトと第2のシャフトとからなるステアリングシャフトを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記第1のシャフトまたは前記第2のシャフトの回転角度を検出する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の回転角度検出装置を備えることを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
  6. トーションバーによって連結された第1のシャフトと第2のシャフトとからなるステアリングシャフトを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトのそれぞれに請求項1から4までのいずれか1項に記載の回転角度検出装置を備え、当該回転角度検出装置によって検出された前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトの回転角度に基づき操舵トルクおよび操舵角を検出することを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010041796A1 (ko) * 2008-10-10 2010-04-15 엘에스전선 주식회사 마그네트 부재의 구조가 개선된 전자식 파워 스티어링 시스템용 토크센서
JP2018048945A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 国立大学法人九州大学 角度検出装置

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